NF−κBの活性化特異的阻害剤及び心臓血管疾患における炎症プロセスを治療するための方法
【課題】 粥腫進行における炎症プロセスの治療のために、NF−κBの活性化形態をその基本的活性を害することなく阻害する特異的能力がある化合物の提供。
【解決手段】 化合物(A)、(B)及び(C)及びその医薬用途の提供。
【化1】
【解決手段】 化合物(A)、(B)及び(C)及びその医薬用途の提供。
【化1】
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、NF−κBの活性化特異的阻害のための化合物、該化合物を活性剤として含有する医薬組成物、及び、心臓血管疾患、特に粥状動脈硬化症の治療又は予防のための医薬品の製造のための該化合物の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
一定のチアゾロ[2,3−a]ピリミジン−6−カルボン酸は、データベース CHEMCATS [online] Chemical Abstracts Service, Columbus, Ohio, US;XP002247262 及び INTERCHIM, Montlucon, Cedex, France, 公表日:2002年9月7日;カタログ名:INTERCHIM INTERMEDIATES から知られている。これら化合物の医薬用途はこの文献からは分からない。
【0003】
一定のフラン−2−カルボン酸ベンジリデンヒドラジド誘導体は、Beilstein 登録番号13281−56−6、125274−01−3(本化合物68)、7640046、6806515、及び211942で知られている。一定のチオフェン−2−カルボン酸ベンジリデンヒドラジド誘導体は、Beilstein 登録番号91435、5872866で知られている。
【0004】
Tozkoparan B.らは、Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 331, 201-206 (1998) において、一定のチアゾロ[2,3−a]ピリミジン類の合成と抗炎症活性を開示している。しかしながら、この文献は、これら抗炎症性化合物の作用の可能ないずれのメカニズムも挙げていない。Ertan M.らは、Arch. Pharm. (Weinheim) 324, 135-139 (1991) において、チアゾロ[2,3−a]ピリミジン類の合成に中間体化合物として有用である2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン誘導体の合成を開示している。
【0005】
WO01/30774及び Hehner, S. P.ら. Journal of Immunology 163 (10), 5617-5623 は、本発明の化合物と構造的に関連しない化合物によるNF−κB活性の阻害に関する。
【0006】
異なる毒性プロセスが粥状動脈硬化症の開始にある役割を果たしており、コレステロール及び他の脂質がその最も重要な因子である。しかしながら、これらプロセスは、思春期の頃に起こり、粥状動脈硬化症の複雑さについての限られた病因的関連性を有するに過ぎない。この疾患の予測及び顕現についてより重要なものは、中年及び老年患者における粥状動脈硬化症性変化の進行である。粥腫進行は、主に内皮における炎症プロセスにより推進され、それが、喫煙、高血圧症、高脂血症及び糖尿病などの粥状動脈硬化症の異なる危険因子により維持される。粥状動脈硬化症における慢性炎症は、病巣に白血球を差し向ける特定のサイトカインにより永久化され、かくして動脈壁内での炎症状態の悪循環を誘発する [Ross, R, N. Engl J. Med. 340:115-126, 1999]。
【0007】
この慢性炎症プロセスが起こるメカニズムは、まず、血小板内皮相互作用により引き起こされる [Ross, R, N. Engl. J. Med. 340:115-126, 1999]。血小板が活性化されると、それらがそれらの周辺環境のサイトカイン及び増殖因子を放出することが知られている [Gawaz M, Circulation. 96:1809-1818; 1997]。内皮表面への血小板の接着は、粥腫形成プロセスの初期に観察され、生物活性分子、例えばIL−1β [Gawaz M, Atherosclerosis. 148:75-85; 2000] 又はCD40リガンド [Henn V; Nature. 391:591-594; 1998] の放出と関連している。初期の粥状動脈硬化症は、更に、単球の内皮への接着及び泡沫細胞形成を伴う内膜層における蓄積により特徴付けられる。これら活性化された血小板は、培養内皮細胞において転写因子NF−κBの活性化を誘発する [Gawaz, M; Circulation. 98:1164-1171; 1998]。血小板に加えて、粥状動脈硬化症の悪化について決定的な役割を有する他の重要な諸内皮表面レセプター、例えば、LOX−1レセプター又はトール様 (toll-like) レセプターが、共通のシグナリング経路としてNF−κBシステムを有する [Metha JL & L; D,J. Am. Coll. Cardiol. 39:1429-1435; 2002; Dunne; A & O'Neill LA; Science STKE 2003 (171):re 37]。
【0008】
NF−κBは、MCP−1 [Bauerle, P; Cell. 87:13-20; 1996]、単球についての強力な化学的攻撃体であって粥状動脈硬化症組織に豊富にあるC−Cケモカイン [Neiken; J. Clin. Invest 88:1121-1127; 1991] などの初期炎症応答遺伝子を媒介するのに特に重要な偏在性転写因子である。刺激されていない細胞では、NF−κBは、二量体として、最も高頻度では、それが核に入るのを阻止する阻害性IkBタンパク質、例えば、IB−α、−β及び−εに結合したp50/p65として、細胞質において見られる。細胞がサイトカイン、細菌産物又は酸化ストレスにより刺激されると、特定のキナーゼがIkBをリン酸化して、プロテアソームによりその急速なユビキチン依存性タンパク質分解性劣化を起こす。NF−κBのIkBからの放出は、NF−κBの核への通過をもたらし、そこで、それは、プロモーター又はエンハンサー領域の特異的kB配列に結合することにより、炎症、免疫学的、増殖及び細胞自滅プロセスに関与する標的遺伝子の転写を活性化する [Bauerle, P; Cell. 87:13-20; 1996]。
【0009】
IkBのリン酸化をもたらすシグナリング事象についての鍵となる役割は、最近同定されたIkBキナーゼ(IKK)コンプレックスが果たす [Karin; Annu. Rev. Immunol 18:621-663; 1996]。原型的には、このコンプレックスは、2のキナーゼ活性成分、即ちIKK−αとIKK−β、並びに、IKK−γと呼ばれる、そのコンプレックスの安定化に関与するか又はその調節を助けることができるキナーゼ不活性アダプタータンパク質を含有する。IKK−αの機能は未だ不明であるが、それは分化及び増殖にある役割を果たすことが提案されてきたのに対し、IKK−βは主要なIkBリン酸化キナーゼとして見做され、前炎症及び細胞自滅プロセスに関与している [Karin ; Annu. Rev. Immunol. 18:621-663; 1996]。
【0010】
活性化された血小板は、IL−1β刺激の後に見られる効果と類似の、IkB−α及び−εのタンパク質分解をもたらす内皮Iコンプレックスの一時的活性化を誘発する。IKK−βは、IKKコンプレックスからの最も重要なキナーゼとして同定され、IKK−βの優勢ネガティブ突然変異体の過剰発現が、内皮細胞において、血小板誘発IkB−及びMCP−1プロモーター依存性転写、並びに、MCP−1分泌を実質的に低下させた [Gawaz, M; Thromb Haemost. 2002 Aug;88(2):307-14; 2002]。これは、内皮細胞において、接着タンパク質VCAM及びICAMの顕著な減少をもたらした。これら接着タンパク質の表面発現は、粥状動脈硬化症動物モデル及びヒトの内皮上で増加する。更には、これら接着タンパク質は、炎症細胞の内皮への粘着を増加させるのに、及び更に単球の内皮内への侵入に重要な役割を果たしている。これら単球は、更にマクロファージへと分化して、粥腫進行における炎症を更に悪化させる。かくして、IKK−βの阻害によるこのシグナリングの阻害は、粥腫進行における炎症経路の鍵となる段階を崩壊させる。
【0011】
NF−κB活性を阻害する異なるアプローチが記載されている。一例は、IKK−γ/NEMOシグナルソームコンプレックス(signalsome complex)の成立の阻害である [May, M.J; Science 289:1550-1554; 2000]。このシグナルソームコンプレックスの組み立ては、IkBの効率的なリン酸化及び引き続いて起こるNF−κBの阻害のために必須である。別のアプローチは、NF−κB阻害のためにキナーゼの触媒ドメインを阻害することである。NF−κBシステムは、偏在しておりかつ種々の細胞プロセスの一因であるので、炎症プロセスにおける度を越したNF−κB活性をその基本的活性を害さないで特異的に阻害することが望ましい。
【発明の要旨】
【0012】
本発明の課題は、粥腫進行における炎症プロセスの治療のために、NF−κBの活性化形態をその基本的活性を害することなく阻害する特異的能力がある化合物を提供することである。医薬品、特に上記種類の急性及び/又は慢性心臓血管障害の制御又は予防のための医薬品の製造のためのそのような化合物の使用も本発明の目的である。
【0013】
この課題は、特許請求の範囲に従えば解決される。本発明は、粥腫進行におけるNF−κB媒介炎症(具体的には、NF−κBシステムの活性化形態)を完全なNF−κB阻害という有害な副作用なしに阻害するという格別な技術的特徴に基づく単一の一般的発明概念により関連付けられる化合物を提供する。本発明は、粥状動脈硬化症を治療するための重要な課題を解決する。本発明の化合物は、NF−κB経路を阻害することにより、粥状動脈硬化症の動脈における慢性炎症プロセスを治療又は予防する。そのクラスの化合物は、粥状動脈硬化症において優勢的に見出されるNF−κBシステムの活性化形態 [Brand K ら; J Clin Invest. 1996;97(7):1715-22] を基本的なNF−κB活性を害することなく特異的に阻害する。この新規な原理は、NF−κB調節キナーゼの活性ドメインを標的にせずに、IKK−α及びIKK−βとNEMOとのシグナルソームコンプレックスの安定性を標的にする。このコンプレックスの一体性は、十分なIkBリン酸化とそれに引き続いて起こるNF−κBの活性化に必須である [May M. et al.; Science 289: 1550-1553; 2000]。更には、本化合物は、シグナルソームコンプレックスについて特異的なタンパク質分解活性を、NEMOについては最高でありIKK−αとIKK−βについてはより弱いタンパク質分解活性と併せて有している。NF−κBシグナルソームコンプレックスから独立の他のタンパク質がこのタンパク質分解活性によって害されることはない。キナーゼIKK−β又はIKK−αの直接阻害は、重篤な肝臓不全を伴う細胞自滅(Li ら; Science 284: 321-325; 1999)又は免疫抑制的副作用 [Lavon I ら; Nature Medicine 6 (5); 573-577; 2000] の誘発などの重篤な有害作用を有している。従って、NF−κB関連キナーゼの触媒ドメインの阻害により粥状動脈硬化症の炎症プロセスを治療するという考え方は、有害な副作用により欠陥があり、患者における全身適用を可能にしない。
【0014】
本発明の第1の一般的側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(A):
【0015】
【化1】
【0016】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0017】
本発明の第2の一般的側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(B):
【0018】
【化2】
【0019】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0020】
第1の好ましい態様においては、式(B)の点線は両方とも二重結合である。
第2の好ましい態様においては、特に第1の好ましい態様に従い、Rが置換フェニル基を表す。
【0021】
第3の好ましい態様においては、特に第1又は第2の好ましい態様に従い、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す。
第4の好ましい態様においては、特に第1〜3のいずれか1の好ましい態様に従い、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す。
【0022】
第5の好ましい態様においては、特に第1〜4のいずれか1の好ましい態様に従い、X1はOを表す。
第6の好ましい態様においては、特に第1〜4のいずれか1の好ましい態様に従い、X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボニル基又はその塩を表す。
【0023】
最も好ましい態様においては、式(B)の化合物は、環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体と該ピリミジン環のキラル中心に関してのエナンチオマーを包含する図7のCOM56である。
【0024】
式(A)及び(B)(好ましい態様を含む)において、Rにより表されるフェニル又はピリジル基は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されていてもよい。そのフェニル又はピリジル基は、ジオキシメチレン、ジオキシエチレン、又はジオキシプロピレン基などのアルキレンジオキシ基により置換されていてもよい。式(A)及び(B)において、環外二重結合は、EでもZ配置でもよい。本発明は、両方の異性体形態並びにそれらの混合物に関する。式(A)及び(B)において、ピリミジン環は、キラル中心を含有することができる。本発明は、あらゆるエナンチオマー形態並びにそれらの混合物に関する。
【0025】
式(B)において、点線は好ましくは両方とも二重結合である。
本発明の第3の一般的側面は、医薬として使用するための次式(C):
【0026】
【化3】
【0027】
により表される化合物であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【0028】
【化4】
【0029】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物に関する。
【0030】
式(C)の化合物の更なる態様においては、A又はBは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン原子であることもできる。
式(C)の化合物の更なる態様においては、A又はBは、水素原子であることもできる。
【0031】
好ましいクラスの化合物では、Aは水素又はヒドロキシル基である。好ましいクラスでは、L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。更に好ましいクラスの化合物では、Aは水素であり、L、L'及びL"の少なくとも1がヒドロキシル基である。X'及びX"は、好ましくは酸素原子である。更には、Wは、好ましくはニトロ基又は水素原子である。好ましいクラスの化合物では、点線は、両方とも二重結合を表す。
【0032】
本発明の第1の側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【0033】
【化5】
【0034】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0035】
本発明の第2の側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【0036】
【化6】
【0037】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0038】
本発明の第3の側面は、医薬として使用するための化合物又はその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【0039】
【化7】
【0040】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【0041】
【化8】
【0042】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステルに関する。
【0043】
本発明の更なる側面に従う化合物は、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなる。
【0044】
好ましい態様においては、この無細胞スクリーニング方法において阻害剤として正の結果を与える化合物は、特異的に結合した抗体の量を該化合物が存在しない場合に比較して低下させることに、少なくとも同じ濃度かつ同じ条件下で測定されたとき、少なくともCOM56又はCOM68と同じほど活性である。
【0045】
本発明の更なる側面に従う化合物は、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための細胞アッセイにおける阻害剤として正の結果を与えるものであり、該アッセイが、次の段階:
(a)細胞培養物を提供する段階;
(b)該細胞培養物中の細胞を、試験化合物の存在下、TNFαに曝す段階;
(c)機能性IKK−コンプレックスを、抗IKK−NEMO抗体を使用する免疫沈降により単離する段階;
(d)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、予め決められた条件下で、段階(c)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(e)段階(d)の該リン酸化された基質ペプチドを、該基質ペプチドのリン酸化されたドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(f)特異的に結合した抗体の量が、該試験化合物の存在に起因して、該試験化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該試験化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなる。
【0046】
好ましい態様においては、この細胞アッセイにおいて阻害剤として正の結果を与える化合物は、特異的に結合した抗体の量を該化合物が存在しない場合に比較して低下させることに、少なくとも同じ濃度かつ同じ条件下で測定されたとき、少なくともCOM56又はCOM68と同じほど活性である。
【0047】
本発明は、活性成分として、NF−κBの活性を低下させるための活性成分としての化合物を含んでなる医薬組成物も提供する。
【好ましい態様の説明】
【0048】
番号を伴ったCOM及びcomは、この明細書においてその化学構造で示された化合物を指す。
本発明の化合物は、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)、及び(III)により表される。これら式において、アルキル基は、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルを含むことができる。アルケニル基の例には、2〜6の炭素原子、好ましくは2〜4の炭素原子と、1〜2の二重結合とを有する直鎖状又は分枝状アルケニル基、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル及びブタジエニルが含まれることができる。シクロアルキル基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれることができる。アルコキシ基の例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ及びn−ヘキソキシが含まれることができる。シクロアルキルオキシ基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ及びシクロヘキシルオキシが含まれることができる。ハロゲン原子の例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。上記式において、アリール基の例は、フェニル、ナフチル及びピリジルであることができ、フェニル及びピリジルが特に好ましい。アルキレン基の例は、1〜6の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のものであることができ、1〜4の炭素原子を有するものが好ましい。例は、メチレン、エチレン及びトリメチレンである。アルキルアミノ基についての例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルから選択される1又は2の置換基を有するアミノ基が含まれることができる。ジアルキルアミノ基についての例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルから選択される2の置換基を有するアミノ基が含まれることができる。シクロアルキルアミノ基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ及びシクロヘキシルアミノが含まれることができる。アシル基の例には、2〜7の炭素原子、好ましくは2〜5の炭素原子を有するアシル基が含まれることができる。カルボキシル基は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの薬学的に許容できる金属塩の形態であることができる。
【0049】
上記の基、特にアリール基は1〜3の置換基を含有することができる。そのような置換基の例には、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルフィニル基、C1-4アルキルスルホニル基、カルボキシル基、C2-5アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、及びC1-4アルキルアミノ基が含まれる。ここで、ハロゲン原子の例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素であることができる。C1-4アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びn−ブチルである。C1-4アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ及びプロポキシである。C1-4Cアルキルチオ基の例は、例えば、メチルチオ、エチルチオ及びプロピルチオである。C1-4アルキルスルフィニル基の例は、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル及びプロピルスルフィニルである。C1-4アルキルスルホニル基の例は、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル及びプロピルスルホニルである。C2-5アルコキシカルボニル基の例は、各々が1〜4の炭素原子を含有するアルコキシ基を有するもの、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルであることができる。C1-8アルキルアミノ基の例は、各々が1〜4の炭素原子を含有する1又は2のアルキル基を有するもの、例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ及びプロピルアミノであることができる。これら置換基におけるアルキル部分は、直鎖状であも分枝状でも環状でもよい。
【0050】
本発明の化合物は、カルボキシル基などの官能基のための通常の保護基を含有することもできる。更には、本発明の化合物は、生理学的条件下で活性物質に転化されることができるプロドラッグの形態であることもできる。
【0051】
好ましいR1及びR2は、アルキル基、特にメチル若しくはエチル基、又はアルキレン基、好ましくはメチレン若しくはエチレン基である。R3として好ましいのは、水素原子又はハロゲン原子、特に、芳香環の2位におけるものである。R4として好ましいのは、アルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシである。R5として好ましいのは、アルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基である。R6及びR7として好ましいのは、アルキル基、特に、メトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン原子、特にヨウ素である。X、Y、又はZとして好ましいのは、水素原子又はハロゲン原子である。
【0052】
一般式(I)の好ましいクラスの化合物は、R1及びR2が一緒になってアルキレン基、特に、メチレン又はエチレン基を形成し;R3が水素原子であり;R4がアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ基であり、R5がアルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基であり、R6及びR7がアルキル基、特に、メトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン原子、特にヨウ素であり、X及びYが水素原子であり、そして、Zがハロゲン原子である化合物である。
【0053】
一般式(I)の最も好ましい化合物は、次式:
【0054】
【化9】
【0055】
により表されることができる。
一般式(B)の好ましいクラスの化合物は、Rが置換フェニル基である化合物である。その置換基は、好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である。更に好ましいクラスの式(B)又は(II)の化合物は、Xがメタ位にある置換基であり、好ましくはカルボキシル基である化合物からなる。
【0056】
一般式(II)の好ましいクラスの化合物は、R1及びR2がアルキル基、特にメチル又はエチルであり;R3が水素原子、特に、芳香環の2位におけるものであり;R4がアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ基であり、R5がアルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基であり、X及びYが水素原子であり、そして、Zがカルボキシル基、特に、芳香環の3又は4位におけるものである。
【0057】
一般式(B)及び(II)の最も好ましい化合物は、次式:
【0058】
【化10】
【0059】
により表されることができる。
一般式(B)の化合物の更に好ましい態様が図7に示される。
一般式(C)の好ましいクラスの化合物は、Aが水素である化合物である。このグループでは、X'及びX"が好ましくは酸素原子であり、Lがヒドロキシル基であり、そして、Wがニトロ基である。更なるグループの化合物では、Bがアルキル又はアルコキシ基、好ましくはアルコキシ基であり、そしてL及びWが水素である。
【0060】
一般式(III)の好ましいクラスの化合物は、A及びBが同じ基であり、R8及びR9が同じか異なっていてアルキル基、特に、メチル若しくはエチル、又は水素原子を表し、X'が酸素原子であり、Lが水素原子であり、そして、Wがニトロ基である。
【0061】
式(C)及び式(III)の最も好ましい化合物は、次式:
【0062】
【化11】
【0063】
により表されることができる。
式(C)の更に好ましい化合物は、図14に示されており、COM68が特に好ましい。
【0064】
好ましくない態様では、化合物のクラスから、Beilstein 登録番号13281−56−6、125274−01−3、7640046、6805515、211942、191435、及び5872866が除かれるが、粥状動脈硬化症の治療又は予防用の医薬品の製造のためのそれらの使用に関する先入観がある訳ではない。
【0065】
本発明の化合物の塩に特別な制限が課されることはないので、前記塩も、それが薬学的に許容できる塩である限り本発明に含まれる。例は、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩などの無機酸の酸付加塩;及び、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩及びクエン酸塩などの有機酸の酸付加塩であることができる。
【0066】
更に、本発明の化合物は、水和物により代表される溶媒和物の形態で存在することができる。更に、本発明の化合物は、幾何異性体として存在することができる。そのような幾何異性体も本発明に包含されることができる。更に、式(I)及び(II)の化合物は光学活性であるので、エナンチオマーの形態で存在することができる。そのようなエナンチオマーは、慣用的な分割方法に従って純粋な形態で得られ、やはり本発明により包含される。
【0067】
本発明によりカバーされる幾つかの化合物は、異なる供給業者から商業的に入手可能であり、[305870−48−8]などの登録番号を有する。
本発明の化合物は、例えば、次の方法により調製されることができる。
【0068】
一般式(A)の化合物は、次のスキーム(A):
【0069】
【化12】
【0070】
(式中、R、R4〜R7、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(B)の化合物は、次のスキーム(B):
【0071】
【化13】
【0072】
(式中、R、R4、R5、X1、X、Y、Z、及び点線は、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(A)及び(I)の化合物は、次のスキーム1:
【0073】
【化14】
【0074】
(式中、R1〜R7、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(B)及び(II)の化合物は、次のスキーム2:
【0075】
【化15】
【0076】
に従って調製されることができる。
出発化合物(IV)の、スキーム(A)、(B)、1及び2に示された式(A)、(B)、(I)及び(II)の本発明の化合物への転化は、Ultra Scientist of Physical Sciences, 12(3), 277-280 (2000);Oriental Journal of Chemistry, 16(3), 427-430, (2000) に開示された操作に従って行われることができる。従って、化合物(IV)が、塩化クロロアセチルと適当に置換されたアルデヒド(V)又は(VI)とで、無水酢酸中、酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下で−30℃からその混合液の沸点までの温度で処理される。一般的な調製方法は、Birsen Tozkoparan ら, Arch Pharm. Pharm. Med. Chem. 331, 201-206 (1998) から分かる。
【0077】
出発化合物(IV-1)は、次の反応スキーム:
【0078】
【化16】
【0079】
に従う Biginelli 型反応により調製されることができる。
出発化合物(IV)は、次の反応スキーム3:
【0080】
【化17】
【0081】
(式中、R1〜R5、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従う Biginelli 型反応により調製されることができる。
出発化合物(IV-1)又は(IV)の調製において、適当に置換されたアルデヒド化合物(VII-1)又は(VII)が、適当に置換された等モル量のβ−ケトエステル(VIIIa)又は1,3−ジケトン(VIIIb)及び僅かに過剰のチオ尿素と、アルコールなどの適する溶媒中で0℃から反応混合液の沸点までの温度で反応させられる。P. Biginelli, Ber. 24, 1317, 2962 (1896); 26 447 (1893);Martin Zaug, Organic Reactions, 14, 88, (1965);D.J. Brown, The Pyrimidines, (Wiley, New York, 1962), p. 440;前掲., Supplement 1, 1970, p. 326;F. Sweet, Y. Fissekis, J. Am. Chem Soc., 95, 8741 (1973), Tetrahedron, 58, 4801-4807 (2002), J. Chem. Soc. Perkin Transactions, 1, 1845-1846, (2002), 及び US-A 5,958,931 を参照のこと。一般的な調製方法は、Mevlut Ertan ら, Arch Pharm. (Weinhelm) 324,135-139 (1991) から分かる。
【0082】
一般式(C)の化合物は、次の反応スキーム:
【0083】
【化18】
【0084】
(式中、L、L’、L”、X’、X”、R9、W及び点線は、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(C)及び(III)の化合物は、次の反応スキーム4:
【0085】
【化19】
【0086】
(式中、L、X’、R9及びWは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
従って、式(IX)又は(IX-1)が、例えば、Synthesis, 5, 411-413, (1986) に開示された通りの操作に従って、それぞれ、出発原料(X)又は(X-1)と縮合される。出発原料(X)は、Paulsen, Stoy, The Chemistry of Amides, Wiley, New York, 1970, pp. 515-600 により記載された通りに、5−ニトロフラン−2−カルボン酸[645−12−5]を対応する酸塩化物に転化してその酸塩化物をヒドラジンと反応させることにより、調製されることができる。
【0087】
一般式(C)の化合物も、次の反応スキーム:
【0088】
【化20】
【0089】
に従って調製されることができる。
従って、式(XI)の化合物が対応する対称無水物(XII)に転化され、次いで、式(XIII)の化合物と反応させられて、式(C)の化合物を与える(Wang, J.-X. (Wang, C.-H.);Hu, Y.-L.; Cui, W.-F. (1990) Synthesis of Anhydrides from Acyl Chlorides under Solid-Liquid Phase-transfer Catalysis. J. Chem. Research (S), 84-85)。
【0090】
式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)及び(III)の化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩又はエステルは、例えば、医薬製剤の形態で、医薬品として使用されることができる。医薬製剤は、好ましくは、経口で、例えば、錠剤、コーテッド錠剤、糖衣錠、ハード及びソフトゼラチンカプセル剤、溶液剤、乳濁液剤又は懸濁液剤の形態で投与されることができる。しかしながら、投与は、経直腸で、例えば、坐剤の形態で行われても、非経口で、例えば、注射溶液剤の形態で行われてもよい。
【0091】
本発明は、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物、特に上記の好ましい化合物と薬学的に許容できる担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩又はエステルが、薬学的に許容できる担体、例えば、医薬製剤を製造するための不活性な無機又は有機の担体と一緒に加工される。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等が、例えば、錠剤、コーテッド錠剤、糖衣錠及びハードゼラチンカプセル剤用のそのような担体として使用されることができる。ソフトゼラチンカプセル剤用に適する担体は、例えば、活性物質の性質に依存して、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等であるが、ソフトゼラチンカプセル剤の場合には、通常、担体は必要とされない。溶液剤及びシロップ剤の製造に適する担体は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース等である。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等のアジュバントが、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物の水溶性塩の注射水溶液剤に使用されることができるが一般に必要ではない。坐剤用の適する担体は、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、脂肪、半液体若しくは液体のポリオール等である。
【0092】
加えて、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物又は薬学的に許容できるその塩又はエステルと治療的に不活性な賦形剤とを含有する医薬品も、1又はそれを越える式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物又は薬学的に許容できるその塩又はエステルと、望まれるなら1又はそれを越える他の治療的に価値のある物質とを、1又はそれを越える治療的に不活性な担体と一緒に、ガレン剤形にすることを含んでなるそのような医薬品の製造方法と同じく、本発明の目的である。
【0093】
従って、粥状動脈硬化症などの心臓血管疾患を治療する方法もこの発明の一部であり、それによって、その方法は、上記状態のいずれかを有する患者に前記状態を治療するのに有効である量のこの発明の医薬組成物を投与することを含んでなる。
【0094】
もちろん、用量は広い範囲で変動してもよく、各々の特定の場合に個々の必要性に合わされることができる。一般に、経口又は非経口投与のための有効量は、0.01〜20mg/kg/日であり、全てについて0.1〜10mg/kg/日が好ましい。従って、体重が70kgである成人についての日量は、0.7〜1400mg/日、好ましくは7〜700mg/日である。
【0095】
本発明に従う化合物は、抗−IKK−NEMO抗体を含む免疫沈降されたIKK−コンプレックスであるIKK−コンプレックスが使用される細胞アッセイ及び無細胞アッセイにおいて、阻害剤としての正の結果を与える。無細胞アッセイでは、段階(a)は、好ましくは、細胞をTNFαに接触させた後、プロテインA及び抗−IKK−NEMO抗体を使用する免疫沈降によりIKK−コンプレックスを単離することを含んでなる。無細胞方法では、試験化合物は、好ましくは、段階(a)の後に加えられる。細胞アッセイでは、諸化合物は、段階(a)の前に加えられる。このアッセイでは、同定は、好ましくは、増幅された発光近接均一アッセイ(amplified luminescent proximity homogeneous assay)に基づいており、そこでは、好ましくは、基質ペプチドがビオチンニル化されてストレプトアビジンドナービーズ上に固定される。抗体は、好ましくは、プロテインA−アクセプタービーズ上に不動化される。アッセイの基質ペプチドは、好ましくは、IkBα又はBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEEである。好ましくは、基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体は、抗−ホスホ−IκBα−抗体である。本発明による化合物は、好ましくは1500ダルトン未満、より好ましくは1000ダルトン未満の分子量を有する非ペプチド分子から選択される。本化合物は、好ましくは、置換されていてもよい少なくとも3又は4の炭素環又はヘテロ環の非分岐鎖を含有する化合物であって、置換されていてもよい4以下の炭素又は窒素原子の長さを有するスペーサーにより隔てられていてもよい化合物である。
【0096】
以下の実施例は、例示のために提供されるもので、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0097】
調製例I
2−[5−(3−カルボキシフェニル)−フラン−2−イルメチレン]−5−(4−クロロフェニル)−7−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸エチルエステル(COM56)
【0098】
【化21】
【0099】
(1): 3.426g(45mmol)
(2): 3,82ml(30mmol)
(3): 4,217g(30mmol)
PPEa: 4.5g
THF: 45ml
(aPPE=ポリリン酸エチルエステル,Synlett 1988, 718-720 に従って調製された)
100mlのRBフラスコで、上記試薬をTHF中に溶解させ、そして窒素気流下で8時間還流した。進行は、TLC(プレート:Merck5554,溶離液:クロロホルム−メタノール10:1,生成物Rf=0.7)により追跡された。半分の溶媒がロータリーエバポレーターで留去され、そして残渣が水に注がれて生成物が白色結晶として析出した。それは濾取され、そして蒸留水とジエチルエーテルで逐次的に洗浄された。
収率:6.3g(67.5%)。NMR:構造
【0100】
【化22】
【0101】
に一致する。
量:
(4): 1.274g(4,1mmol)
(5): 0.397g(4.2mmol)
(6): 0.884g(4,1mmol)
無水酢酸ナトリウム:0.336g(4,1mmol)
無水酢酸: 6ml
酢酸: 8ml
上記の物質の混合物が混合されて5時間還流される。反応の進行がTLC(プレート:Merck5554,溶離液:クロロホルム−メタノール10:1,生成物Rf=0.4)により追跡された。冷却後、その混合液は水に注がれ、析出した生成物がジクロロメタンで抽出される。有機相が10%Na2CO3溶液で2回洗浄され、無水MgSO4で乾燥され、そしてロータリーエバポレーターで濃縮される。得られた残渣は、ジエチルエーテル−n−ヘキサン混合液で結晶化される。
収率:2.0g(88%)
NMR(DMSO−d6,ppm):8.37 bs, 1H; 8.06 d, 1H; 7.96 d, 1H 及び 7.66 t, 1H (Ph /COOH/); 7.64 s, 1H (Ph-CH=フラン); 7.41 d, 2H 及び 7.33 d, 2H (Ph/Cl/); 7.40 d, 1H 及び 7.26 d, 1H (フラン); 6.01 s, 1H (ピリミジン-4); 4.1 q, 2H 及び 1.14 t, 3H (OCH2CH3); 2.49 s, 3H (CH3)。
【0102】
調製例2:
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(COM68)
【0103】
【化23】
【0104】
反応条件:a)KHCO3,n−Bu4NI触媒,トルエン,0℃→室温,2時間;b)CH2Cl2,0℃→室温,2.5時間。
一般
使用した全ての溶媒は、使用前に乾燥するか蒸留するかされた。塩化5−ニトロ−2−フロイル(1)は Lancaster から購入され、そしてサリチルアルデヒドヒドラゾン(3)は Sigma-Aldrich から購入された。
【0105】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)
750mg(4.27mmol)の塩化5−ニトロ−2−フロイル(1)の120mlのトルエン中の溶液に、471mg(4.70mmol)のKHCO3及び158mg(0.427mmol)のヨウ化テトラn−ブチルアンモニウムが0℃らで加えられる。この温度で5分後に、この混合液は、周囲温度で2時間激しく攪拌される。次いで、少量の析出物が濾去され、その混合液は120mlの氷冷水中に注がれる。層分離後、水相が60mlのジクロロメタンで2回抽出される。合わされた有機相が硫酸ナトリウムで乾燥され、そして溶媒が減圧留去される。粗生成物がジクロロメタンから再結晶されて、117mg(0.395mmol,19%)の灰色粉末の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)を生成する。
【0106】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)
35.0mg(0.118mmol)の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)が10mlのジクロロメタン中に殆ど溶解される。この混合液に16.9mg(0.124mmol)のサリチルアルデヒドヒドラゾン(3)の3.5mlのジクロロメタン中の溶液が0℃で加えられる。その溶液はゆっくり明るい黄色に変色する。0℃で30分経過した後、冷却を止めてその混合液が周囲温度で更に2時間攪拌される。次いで、その反応混合液は、10mlのNaHCO3の飽和溶液で2回及び10mlのNaClの飽和溶液で2回抽出される。合わされた水相は、5mlのジクロロメタンで2回抽出される。有機相が硫酸ナトリウムで乾燥され、そして溶媒が減圧留去される。粗生成物がジクロロメタンから再結晶されて、12.0mg(0.0436mmol,37%)の明黄色粉末の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)を生成する。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)の特性
溶解性
溶解性試験は、化合物4(1.2mg)及び500μlの各々の溶媒のアリコートで行われた。
【0110】
【表3】
【0111】
異性化
化合物4をDMSO−d6中に溶解させたときに、第2組のNMRシグナルが数分内に室温で観察された。これらシグナルは、暫定的に化合物4のシス/トランス異性体に帰属された。この異性体のシグナル強度は、主生成物に起因するシグナルの約10%に相当した。アセトン−d6中では、この異性化は遅くて数日内に起こったに過ぎなかった。
【0112】
実施例1:NF−κB依存性IκBペプチドリン酸化の阻害
(A)方法:
キナーゼアッセイプロトコル:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0113】
細胞は、示された濃度の異なる化合物と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、200μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、2μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)及び1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKB抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0114】
結果:
IκB−タンパク質は、サイトカイン誘発性リン酸化により、Ser−32及びSer−36上で調節される。幾つかの化合物がIkBタンパク質のTNFα誘発性リン酸化を阻害したかどうかを確認するために、TNFαで刺激されたHeLa細胞がこれら化合物で処理された。特異的IkB−キナーゼ−コンプレックス(IKK)が抗−NEMO−抗体で免疫沈降され、そしてIKBの特異的リン酸化サイドに相当するペプチドと共にインキュベートされた。リン酸化ペプチドの収率がαスクリーン(Perkin Elmer)により分析された。3つの異なる化合物、即ち、41、48及び73がIKK−活性への効果を有する。化合物73がより詳細に試験された。化合物73は、約8μMのIC50でIKK−活性を用量依存的に阻害し、(図1a)。化合物41及び48は、10μM〜100μMの範囲のIC50値でIKK−活性を用量依存的に阻害した(図1b)。化合物41は、PBSに部分的に溶解性であるに過ぎず、実際の処理濃度が不明である。
【0115】
化合物73ファミリーの構造的類似体である化合物56が、更に、HeLa細胞での細胞アッセイで、IκBリン酸化について、αスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により上記のように試験された。HeLa細胞に加えられた漸増する濃度の化合物56が、IκB Btn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミドについての基質ペプチドのリン酸化を用量依存的に阻害した。化合物56のIKK活性を阻害する強さは、他の73ファミリーメンバーより10倍高く、〜850nmol/LのIC50を有すると計算された(図8a)。
【0116】
(B)方法:
in vitro/無細胞アッセイプロトコル:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。TNFαでの処理24時間前に、HeLa細胞が175−mm細胞培養皿中に1×107/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0117】
細胞は、20ng/mlのTNFα(Roche)で薬剤なしで刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、400μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、400μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、4μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と12mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、そのプロテインAセファロースペレットは、4つの同一アリコートに分けられた。上澄み液が除去されて、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)、1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。次いで、異なる濃度の薬剤が、IκBリン酸化に必要な単離された成分の無細胞成分に加えられた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKBα−抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0118】
結果:
COM73及びCOM56のIKK活性への阻害効果が、無細胞アッセイで比較された。HeLa細胞のTNFα刺激及びIKKコンプレックスの免疫沈降後に、漸増する濃度の薬剤がその単離されたIKKコンプレックスと共にインキュベートされた。COM73及び56は、この無細胞アッセイにおいてIKK活性を用量依存的に阻害した。COM56の強さは、IKK活性の阻害において、COM73に比較して有意により高かった。これら結果は、IKKコンプレックスの形成がTNFα刺激に起因して完結した後にそのキナーゼコンプレックスを崩壊させる、それらIKK阻害性薬剤の能力を確認するものである。かくして、COM73及び56は、粥状動脈硬化症などの炎症性疾患の治療に適する治療剤であるばかりか、IKKコンプレックス形成を阻止する予防剤でもある(図8b)。
【0119】
(C)方法:
ウェスタンブロットプロトコルでのP−IkBα検出:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0120】
細胞は、示された濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である30μlの上澄み液が、Laemmli−緩衝液(2%SDS,2%2−メルカプトエタノール,0.01%ブロモフェノールブルー,8%グリセリン)で稀釈され、60℃で10分間加熱され、そして4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、P−IkBαに対するモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。
【0121】
結果:
化合物73の、IκBリン酸化を阻害する能力が、P−IκBαに特異的な抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットにより直接に測定された。漸増する濃度のCOM73が、IκBのリン酸化を用量依存的に阻害した(図9)。
【0122】
結果:
COM73及びCOM54ファミリーの異なる化合物の、IκBリン酸化を阻害する能力が比較された。IκBリン酸化が、抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットにより直接に測定された。COM73及びCOM56は用量依存的にIκBのリン酸化を阻害したのに対し、COM54、COM68及び69はIκBリン酸化に何の効果もなかった。かくして、このクラスのNF−κB−阻害剤の阻害効果は、IκBリン酸化とは独立している(図15)。
【0123】
実施例2:NF−κBヌクレオチド結合活性の阻害:
方法:
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA):THP−1単球(DSM, Braunschweig, Germany)が、7%ウシ胎児血清(FCS)(Myoclone super plus,低エンドトキシン)、100ユニット/mlペニシリン、及び100mg/mlストレプトマイシン(Life Technologies, Inc., Eggenstein, Germany)を含有するRPMI 1640(Glutamax-1,低エンドトキシン)中に懸濁して維持された。実験のために、それら細胞は6ウェル培養皿中に3×106/ウェルの密度でプレートされた。4℃で1200rpmで7分間遠心分離することで細胞を採取することによって核抽出物が調製された。それら細胞は、1mlの氷冷PBSを加えることにより再懸濁され、そして微小遠心分離管に移された。4℃で2000gで2分間遠心分離した後、ペレットは、50μlの緩衝液A(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))中で細胞溶解された。氷上で5分間インキュベートして16000gで5秒間遠心分離した後、それら核ペレットは100μlの緩衝液Aで洗浄された。それら核ペレットは、100μlの緩衝液B(20mM Hepes,pH7.9,100mM KCl,100mM NaCl,1mM DTT,20%グリセロール,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で再懸濁されて、10秒間超音波処理された。プローブが、16000gで5秒間パルス遠心分離された。この核抽出物は、アリコートに分けられて液体N2で瞬間冷凍された。核抽出物(5mgのタンパク質)は、放射性標識されたDNAプローブ(10ng;105cpm)と共に30分間室温で、20mlの結合緩衝液(20mM HEPES,pH7.9,50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.5mM EDTA,10%グリセロール,1mg/mlウシ血清アルブミン,0.2% Nonidet P−40,50ngのポリ(dl−dC)/ml)中でインキュベートされた。プロトタイプのイムノグロブリンk−鎖オリゴヌクレオチドがプローブとして使用され、相補的プライマーのアニーリングにより標識されてから、[γ−32P]dCTP(>3,000Ci/mmol;NEN Life Science Products, Brussels, Belgium)及びデオキシヌクレオシド・トリホスフェート(Boehringer Mannheim)の存在下で、DNAポリメラーゼIの Klenow フラグメント(Boehringer Mannheim)でのプライマー伸長が行われた。諸サンプルは、未変性4%ポリアクリルアミドゲル上、0.253TBE緩衝液(10×TBEは次の通り:890mM Tris,890mM ホウ酸,20mM EDTA,pH8.0)中で展開された。SP−1及びAP−1の結合も、[γ−32P]ATP(>5,000Ci/mmol;NEN Life Science Products)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)で標識された特異的コンセンサスオリゴヌクレオチド(Promega, Heidelberg, Germany)を使用して、EMSAにより分析された。ゲルは乾燥されてオートラジオグラフィーにより分析された。
【0124】
結果:
このEMSA実験は、40の数の化合物がNF−κBの活性化に影響するかどうかを検査するために行われた。THP−1単球が、異なる物質と共に予備インキュベートされてからLPSで刺激された。NF−の活性化及び放出はEMSAにより確認された。同じ核抽出物で、別の転写アクチベーター因子であるSP−1が、SP−1コンセンサス配列を含んでなるオリゴヌクレオチドに結合するタンパク質について検査された(負荷コントロール)。これら化合物の不存在下では、予想通りの劇的なNF−κBの活性化が観察されることができる。100μMのこれら化合物で処理することにより、2つの物質がNF−κB−放出を有意に減少させた。詳細には、化合物54については95%までであり化合物73については80%までであった(図2a)。更に、本発明者らは、化合物54を12,5μM〜100μMの範囲の異なる濃度で試験した。そのNF−κB活性化は、12,5μM及び25μMの化合物54での処理により有意に影響を受け、そして、50μM及び100μMにより殆ど完全に無くなった(図2bを参照のこと)。コントロールとして役立つ別の転写アクチベーター因子であるSP−1の、この特異的オリゴヌクレオチドへの結合は、同じ核抽出物中で変化しなかった。
【0125】
実施例3:IKK−βへのNEMO結合の阻害
(A)方法:
3×106のHeLa細胞が漸増する濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlTNFα(Roche)で刺された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。(2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。)
細胞質ゾル抽出物が先に記載した通りに単離された。
【0126】
凡そ4×105の細胞からの抽出物である30μlの細胞質ゾル抽出物が4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、IKKα/β又はNEMOに対するモノクローナル抗体(両方とも、Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。
【0127】
結果:
化合物73がNEMOのIKKα/βへの結合を選択的に阻害してコンプレックスの不安定性と劣化をもたらすかごうかを検査するために、HeLa細胞が種々の濃度の化合物73で処理されて、タンパク質安定性が測定された(図3aを参照のこと)。その細胞質ゾル抽出物は、ウェスタンブロット分析により分析された。NEMO及びIKKα/βのレベルは、これら実験条件下で用量依存的に減少した(図3a)。NEMOタンパク質の場合には、化合物73によりタンパク質劣化を高度に受け易いことが観察され得る。NEMOタンパク質の量の減少が3.3μMで観察されることができ、20μMにより有意な劣化があり、33μM及び100μMにより殆ど完全に無くなった。対照的に、IKKα/β劣化は、高濃度の33μMと100μMの化合物73でのみ明らかであった。使用された最高の濃度でも完全な分解は検出されなかった。TNFα刺激のコンプレックス組成又はコンプレックス劣化への効果は観察されなかった。
【0128】
IKKコンプレックスの崩壊を詳しく検査するために、本発明者らは、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)での免疫沈降後のIKK−α/βのタンパク質発現を分析した(図3b)。免疫沈降前後にIKKα/βの量の明らかな相関関係が見られた。NEMOタンパク質の検出は不変でも、IKKα/βタンパク質のレベルは、化合物73により用量依存的に減少した。化合物73無しのコントロールと比較して、IKK−α/IKK−βは、NEMOとの同時沈降コンプレックスにおいて、10μMで27%に減少し、100μMで91%に減少した。
【0129】
結果:
TNFα刺激後のIKKコンプレックスの劣化が、ウェスタンブロット及びIKKα/βとNEMOに対する特異的抗体で評価された。COM73は、無傷細胞とのインキュベーション後に、用量依存的にIKKα/βとNEMOを劣化させた。NEMOは、COM73によるタンパク質劣化に対して、IKKα/βコンプレックスに比較してより感受性であった(図10)。
【0130】
(B)方法:
in vitro での薬剤処理後のIKK−コンプレックスの劣化:先に記載した通りの抗−NEMO抗体(Santa Cruz)での免疫沈降後に、免疫沈降し洗浄されたIKK−コンプレックスが、異なる濃度のIKK阻害剤と共に、20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma)中でインキュベートされた。1時間処理後、プローブが16000gで1分間遠心分離され、上澄み液が完全に除去され、プロテインAペレットが、1×Laemmli−緩衝液(2%SDS,2%2−メルカプトエタノール,0.01%ブロモフェノールブルー,8%グリセリン)中に再懸濁され、60℃で10分間加熱され、そして4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、IKKαに対するモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。そのX線フィルムは走査されて、その結果がソフトウェアAIDAにより濃度計により分析された。
【0131】
結果:
化合物56によるIKK−α/βへのNEMO結合の阻害が、IKKコンプレックスの免疫沈降後に評価された。COM56は、この in vitro アッセイにおいてそのコンプレックスを用量依存的に崩壊させた(図11)。
【0132】
実施例4:NF−κB阻害剤の細胞透過性
方法:
3×106HeLa細胞が100μMの化合物73と共に1時間インキュベートされた。PBSで3回洗浄した後、120μlの低張性緩衝液(10mM NaCl,10mM Hepes ph7.5)が細胞ペレットに加えられ、細胞溶解のために液体N2中で凍結された。16000gで5分間遠心分離した後、上澄み液がELISAで450nmにより測定され、化合物73の量がこの物質の標準濃度と比較された。
【0133】
結果:
化合物73の細胞透過性が、ELISAリーダーでのその特性シグナルにより、細胞質ゾル中のその化合物濃度を測定することにより追跡された。100μMの化合物73と共に1時間インキュベートした後、高レベルのその化合物が検出されることができた。100mM化合物のシグナルと比較して、約90μMの濃度が細胞内部に見出された(図4)。この結果は、化合物73の優れた細胞透過性を示すものである。
【0134】
実施例5:NF−κB阻害剤での処理後の細胞生存度
方法:
96ウェル中の3×104HeLa細胞が、100μMの化合物54及び73と共に3時間インキュベートされた。培地が変えられ、そして10μlのWST−1試薬が各々のウェルに加えられた。2時間後、450nmの吸収がElisaリーダーで測定された。
【0135】
結果:
化合物73及び54の潜在的毒性が、WST−1生存度試験アッセイ(Boehringer Mannheim)により追跡された。化合物54及び73は、記載されたアッセイで適用された濃度及び条件ではHeLa細胞に毒性であるとは認められなかった。30μMの各々の化合物で3時間インキュベートした後、未処理コントロールと比較して有意な代謝活性の減少が検出されることはなかった。
【0136】
結果:
COM54ファミリーの化合物についての細胞生存度がHeLa細胞で試験された。HeLa細胞を漸増する濃度のCOM54及び69(0.3〜100μmol/L)で1日インキュベートしても、細胞生存度への負の影響はなかった(WST染色により評価された)。33及び100μmol/Lの濃度の化合物68が、1日インキュベーション時間後に細胞生存度を低下させた(図16)。
【0137】
実施例6:キナーゼアッセイプロトコル
HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100−mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0138】
細胞は、示された濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、200μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、2μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)及び1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKBα−抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0139】
実施例7:電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
THP−1単球(DSM, Braunschweig, Germany)が、記載された通りに(41)、7%ウシ胎児血清(FCS)(Myoclone super plus,低エンドトキシン)、100ユニット/mlペニシリン、及び100mg/mlストレプトマイシン(Life Technologies, Inc., Eggenstein, Germany)を含有するRPMI 1640(Glutamax-1,低エンドトキシン)中に懸濁して維持された。実験のために、それら細胞は6ウェル培養皿中に3×106/ウェルの密度でプレートされた。4℃で1200rpmで7分間遠心分離することで細胞を採取することによって核抽出物が調製された。それら細胞は、1mlの氷冷PBSを加えることにより再懸濁され、そして微小遠心分離管に移された。4℃で2000gで2分間遠心分離した後、ペレットは、50μlの緩衝液A(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))中で細胞溶解された。氷上で5分間インキュベートして16000gで5秒間遠心分離した後、それら核ペレットは100μlの緩衝液Aで洗浄された。それら核ペレットは、100μlの緩衝液B(20mM Hepes,pH7.9,100mM KCl,100mM NaCl,1mM DTT,20%グリセロール,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で再懸濁されて、10秒間超音波処理された。プローブが、16000gで5秒間パルス遠心分離された。この核抽出物は、アリコートに分けられて液体N2で瞬間冷凍された。核抽出物(5mgのタンパク質)は、放射性標識されたDNAプローブ(10ng;105cpm)と共に30分間室温で、20mlの結合緩衝液(20mM HEPES,pH7.9,50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.5mM EDTA,10%グリセロール,1mg/mlウシ血清アルブミン,0.2% Nonidet P−40,50ngのポリ(dl−dC)/ml)中でインキュベートされた。プロトタイプのイムノグロブリンk−鎖オリゴヌクレオチドがプローブとして使用され、相補的プライマーのアニーリングにより標識されてから、[a−32P]dCTP(>3,000Ci/mmol;NEN Life Science Products, Brussels, Belgium)及びデオキシヌクレオシド・トリホスフェート(Boehringer Mannheim)の存在下で、DNAポリメラーゼIの Klenow フラグメント(Boehringer Mannheim)でのプライマー伸長が行われた。諸サンプルは、未変性4%ポリアクリルアミドゲル上、TBE緩衝液(10×TBEは次の通り:890mM Tris,890mM ホウ酸,20mM EDTA,pH8.0)中で展開された。SP−1及びAP−1の結合も、[γ−32P]ATP(5,000Ci/mmol;NEN Life Science Products)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)で標識された特異的コンセンサスオリゴヌクレオチド(Promega, Heidelberg, Germany)を使用して、EMSAにより分析された。ゲルは乾燥されてオートラジオグラフィーにより分析された。
【0140】
実施例8:一回用量IV投与後のIKK阻害剤の薬物動態学
方法:
ラットにおける in vivo IV適用:
COM56が、生理食塩水緩衝液で200μLの容量中100μM及び200μMに稀釈された。このプローブがラットに静脈内投与された。2分後と20分後に、血液プローブが右頸動脈から採取された。それら血液プローブは、2500gで3分間遠心分離されて、血清成分である上澄み液が質量分析法により分析された。
【0141】
結果:
ラットにおける55及び27.5μg化合物56の一回IV適用後、正の血清プローブが、投与2分後及び20分後に測定された(図12)。
【0142】
実施例9:全身炎症の阻害
方法:
ラットにおいて全身炎症応答が、リポポリサッカリド(LPS)ショック(LPS0.33μg/gのIV投与)により誘発された。ラットへの化合物56のIV投与(1μg/g)による炎症の阻害が、マウス血清中のTNFα定量により測定された。TNFαは、ELISAキット(Pierce)でその製造業者の指示書に従って検出された。
【0143】
結果:
ラットにおいてLPSにより in vivo で誘発された全身炎症が化合物56により阻害された。ラット血清におけるTNFα濃度が、化合物56予備処理後に有意に阻害された(図13)。
【0144】
実施例10:薬剤処理によるヒト内皮細胞中の粥状動脈硬化症の阻害
方法:
蛍光活性化細胞ソーター(FACS)分析によるICAM発現の測定:
HUVEC細胞が6ウェルプレートに1×106細胞/ウェルで播かれた。24時間後、細胞は異なる濃度の化合物68で処理された。1時間後、培地が除去されて、それら細胞はIL−1(100pg/ml)又はTNFα(1ng/ml)のいずれかと共に合計4時間インキュベートされた。その後、それら細胞は、トリプシンで採取され、PBSで洗浄され、そして1000rpmで5分間遠心分離された。ペレットが50μlのPBSと5μlのCD54−PE抗体(Beckman/Coulter/Immunotech からの抗−ICAM抗体)中に再懸濁された。PBSで二回洗浄した後、ICAM細胞表面発現がFACScan(Becton Dickinson)により分析された。
【0145】
結果:
COM68がヒト内皮細胞における粥状動脈硬化症マーカーを濃度依存的に阻害した。COM68のHUVEC細胞とのインキュベーションで、ICAM発現が有意に阻害された。IL−1刺激後はCOM68についてのIC50は7.8μmol/Lであり、TNFα刺激後はICAM発現の阻害について4.5μmol/Lであった(図17)。
【0146】
製剤例A
次の組成の錠剤が慣用的なやり方で製造される:
【0147】
【表4】
【0148】
製剤例B
次の組成の錠剤が慣用的なやり方で製造される:
【0149】
【表5】
【0150】
製剤例C
次の組成のカプセル剤が慣用的なやり方で製造される:
【0151】
【表6】
【0152】
適する粒子サイズを有する活性成分、結晶ラクトース及び微結晶性セルロースが相互に均一に混合され、篩分けされ、その後にタルクとステアリン酸マグネシウムが混和される。最終混合物が適するサイズのハードゼラチンカプセル内に充填される。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1a】化合物73の、TNAα刺激後のIKK−コンプレックスの活性への効果。IκBペプチドリン酸化の阻害についての化合物73の用量−応答曲線が示される。HeLa細胞がTNFα(20ng/ml)で刺激され、免疫沈降されたIKK−コンプレックスの活性が、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。活性の相対的減少率が最大蛍光計数値の%で出される。n=3の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図1b】化合物41、48及び73のIKK−コンプレックスへの分化阻害。TNFα(20ng/ml)刺激後のHeLa細胞を種々の濃度の阻害剤(#41;#48及び#73)で処理した後に二重IKK−活性測定が行われた。IKK−コンプレックスは、抗−NEMO−抗体で又は非特異的IgGでの制御下で免疫沈降された。IκBペプチドリン酸化についてのキナーゼ活性の減少率が出され、蛍光計数値がαスクリーンシステム(Perkin Elmer)により測定された。
【図2a】異なる化合物の、NF−κB活性への効果。THP−1細胞が、100μMの異なる化合物で1時間処理されてから、LPS(1μg/ml)で刺激された。NF−κBについての電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)が行われた。核抽出物が、NF−κBについて特異的な配列を有する放射性標識DNAプローブと共にインキュベートされた。X線フィルム曝露により検出された標識NF−κBについてのシグナル強度が濃度計により分析された。10試験化合物のNF−κB活性への阻害効果が、LIPSコントロールの100%と比較したSP−1結合へと標準化される。LPS刺激なしの細胞は、有意なNF−κB活性を示さなかった。
【図2b】化合物54での、NF−κB放出の用量依存的阻害。異なる濃度の化合物54が、THP−1細胞に1時間加えられた。LPS(1μg/ml)での1時間の刺激後、EMSAアッセイでNF−κB活性を分析するための核抽出物が調製された。最上段のフレームでは、EMSAゲルへの曝露後の代表的X線フィルムが示される。ダイヤグラムは、LIPSコントロールの100%と比較してSP−1結合へ標準化させたNF−κB活性の用量依存的阻害を纏めたものである。最下段のフレームでは、SP1へのオリゴヌクレオチド結合がコントロールとして示される。
【図3a】IKK−コンプレックスの劣化が化合物73により起こる。HeLa細胞が、種々の濃度の化合物73と共にインキュベートされてから、TNFα刺激(20ng/ml)された。TNFα刺激有り又は無しの追加の2つのコントロールが分析された。細胞溶解産物中のNEMOの量が、特異的抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)でのウェスタンブロット分析により測定された。B.同じ抽出物において、IKKα/βのレベルが、特異的抗−IKKα/β−抗体(Santa Cruz)で調べられた。代表的ウェスタンブロットは、NEMOの用量依存的タンパク質分解と高い化合物73濃度でのIKK−α及びIKK−βのタンパク質分解を示す。
【図3b】化合物73によるIKKα/βのNEMO結合へのコンプレックスの崩壊。HeLa細胞が10μM及び100μMの化合物73で処理されてから、TNFα刺激(20ng/ml)された。IKK−コンプレックスが、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)とプロテインA−セファロースで、細胞質ゾル抽出物から同時沈降された。その沈降物は、特異的抗−IKKα/β−抗体で、IKKα/βタンパク質について、ウェスタンブロットで分析された。コントロールでは、免疫沈降用の非特異的ウサギ抗体で、IKKα/βとの同時沈降物は検出されなかった。化合物73は、活性化されたHeLa細胞において、IKKα/βのNEMOへの結合を用量依存的に阻害した。
【図4】化合物73の細胞透過性。細胞質ゾル抽出物が調製されて、Elisaにより分析された。化合物73は、ELISAリーダーで、450nmの波長で特性シグナルを与える。無傷HeLa細胞が100μMの化合物73で1時間処理された。ダイヤグラムは、化合物73と共にインキュベートした後の細胞質ゾル抽出物からの特性シグナルを、緩衝液中の100μMサンプルと比較して示す。未処理細胞からの細胞質ゾル抽出物がコントロールに示される。
【図5】化合物73及び54の、細胞生存度への影響。HeLa細胞が化合物73(100μM)又は化合物54(100μM)と共に3時間インキュベートされた。細胞の完全性と活性な代謝のために、WST−1試薬が加えられた。Elisaリーダーでの特性波長で吸光度が測定された。
【図6】阻害剤としての正の結果により本発明の化合物を特性決定する細胞アッセイ及び無細胞アッセイの図式的表示。
【図7】一般式(B)のIKK−阻害剤(COM73ファミリー)の化学構造。化合物COM73への構造的類似性を有するIKK−阻害剤の化学構造が比較しながら示されている。これら8化合物についてのIKK−活性阻害の効力が、方法の項で説明した通りにNEMO劣化により測定されたIKK活性の阻害率(%)で与えられている。
【図8a】COM56の、細胞性IKK−活性への阻害効果。細胞アッセイにおけるIKK活性の阻害についての化合物56の用量−応答曲線が示される。漸増する濃度のCOM56の存在下で、HeLaがTNFα(20ng/ml)で刺激された。IKK−コンプレックスが免疫沈降され、そして、IKKの活性が、方法の項に記載した通りに、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。その活性の相対的減少率は、最大蛍光計数値の%で出される。n=4の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図8b】COM73及び56の、無細胞IKK−活性への阻害効果。無細胞アッセイにおけるIKK活性の阻害についての化合物73及び56の用量−応答曲線が直接比較しながら示される。HeLa細胞がTNFα(20ng/ml)で刺激されて、IKK−コンプレックスが連続的に免疫沈降した。漸増する濃度の化合物73及び56の存在下で、無細胞アッセイ条件下、方法の項に記載した通りに、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。その活性の相対的減少率は、最大蛍光計数値の%で出される。n=2の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図9】COM73の、IκBαリン酸化への阻害効果。漸増する濃度のCOM73がIκBαのリン酸化を用量依存的に阻害する。HeLa細胞が、漸増する濃度の化合物73の存在下でTNFαで予備刺激された。細胞溶解産物のIκBリン酸化が、特異的抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットで分析された。代表的ウェスタンブロットが示される。
【図10】化合物73の、IKK−コンプレックスの劣化への効果。IKK−コンプレックスの劣化についての化合物73の用量−応答曲線が示される。HeLa細胞が、種々の濃度の化合物73と共にインキュベートされてから、TNFα刺激された(20ng/ml)。細胞の溶解後、NEMOタンパク質の量が、特異的抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)でのウェスタンブロット分析により測定された。IKKα/βの量が、特異的抗−IKKα/β−抗体(Santa Cruz)とウェスタンブロットとで調べられた。タンパク質量が定量され、漸増する濃度のCOM73によるタンパク質の量の相対的減少率がコントロールの%で出された。n=2の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図11】COM56は、NEMOへのIKKα/β結合を in vitro で崩壊させる。HeLa細胞がTNFα刺激(20ng/ml)で処理された。IKKコンプレックスが、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)とプロテインA−セファロースで、細胞質ゾル抽出物から同時沈降された。その沈降物は化合物56と共にインキュベートされ、そのコンプレックス完全性がIKKα/βタンパク質について特異的抗体でのウェスタンブロットで分析された。化合物56は、NEMOへのIKKα/βの結合を in vitro で崩壊させた。IKKα/βタンパク質の量が未処理HeLa細胞の%で表される。
【図12】IV施与後のCOM56の血清濃度。一回IV施与後のCOM56の血清レベルが質量分析法により分析された。COM56の27.5及び55μgIV注射で、2及び20分後にかなりの血清レベルがラットにおいて測定されることができた。2つの実験の一回値が与えられている。
【図13】COM56による全身性炎症の阻害。LPS刺激前後の全身性TNFα放出が、特異的ELISAアッセイで、ラットで測定された。COM56でのラットの予備処理は、全身性TNFα放出を阻害する。n=4の実験の平均値±SEMが示される。
【図14】COM54ファミリーのIKK阻害剤の化学構造。化合物COM54と高い構造的類似性を有するIKK−阻害剤の化学構造が比較しながら示される。
【図15】IkBα−リン酸化への阻害活性の測定。異なるIKK阻害剤のIκBαリン酸化への効果が比較しながら示される。HeLa細胞が、10及び100μMの異なるIKK阻害剤の存在下でTNFαで予備刺激された。細胞溶解産物のIκBαリン酸化が、特異的抗リン酸化抗体とウェスタンブロットとで分析された。代表的ウェスタンブロットが示される。
【図16】COM54及び類似物での処理後の細胞生存度。HeLa細胞が、漸増する濃度の化合物54とその類似物と共に1日インキュベートされた。細胞完全性と活性な代謝のために、WST−1試薬が加えられた。Elisaリーダーでの特性波長で吸光度が測定され、そしてコントロールの%で出された。n=4の実験の平均値±SEMが示される。
【図17】COM68によるヒト内皮細胞における粥状動脈硬化症の阻害。HUVEC細胞におけるCOM68によるICAM発現の阻害が、IL−1及びTNFα刺激後の両方で示される。ICAM発現は、HUVEC細胞のFACS測定により測定された。n=3の実験の平均値±SEMが示される。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、NF−κBの活性化特異的阻害のための化合物、該化合物を活性剤として含有する医薬組成物、及び、心臓血管疾患、特に粥状動脈硬化症の治療又は予防のための医薬品の製造のための該化合物の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
一定のチアゾロ[2,3−a]ピリミジン−6−カルボン酸は、データベース CHEMCATS [online] Chemical Abstracts Service, Columbus, Ohio, US;XP002247262 及び INTERCHIM, Montlucon, Cedex, France, 公表日:2002年9月7日;カタログ名:INTERCHIM INTERMEDIATES から知られている。これら化合物の医薬用途はこの文献からは分からない。
【0003】
一定のフラン−2−カルボン酸ベンジリデンヒドラジド誘導体は、Beilstein 登録番号13281−56−6、125274−01−3(本化合物68)、7640046、6806515、及び211942で知られている。一定のチオフェン−2−カルボン酸ベンジリデンヒドラジド誘導体は、Beilstein 登録番号91435、5872866で知られている。
【0004】
Tozkoparan B.らは、Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 331, 201-206 (1998) において、一定のチアゾロ[2,3−a]ピリミジン類の合成と抗炎症活性を開示している。しかしながら、この文献は、これら抗炎症性化合物の作用の可能ないずれのメカニズムも挙げていない。Ertan M.らは、Arch. Pharm. (Weinheim) 324, 135-139 (1991) において、チアゾロ[2,3−a]ピリミジン類の合成に中間体化合物として有用である2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン誘導体の合成を開示している。
【0005】
WO01/30774及び Hehner, S. P.ら. Journal of Immunology 163 (10), 5617-5623 は、本発明の化合物と構造的に関連しない化合物によるNF−κB活性の阻害に関する。
【0006】
異なる毒性プロセスが粥状動脈硬化症の開始にある役割を果たしており、コレステロール及び他の脂質がその最も重要な因子である。しかしながら、これらプロセスは、思春期の頃に起こり、粥状動脈硬化症の複雑さについての限られた病因的関連性を有するに過ぎない。この疾患の予測及び顕現についてより重要なものは、中年及び老年患者における粥状動脈硬化症性変化の進行である。粥腫進行は、主に内皮における炎症プロセスにより推進され、それが、喫煙、高血圧症、高脂血症及び糖尿病などの粥状動脈硬化症の異なる危険因子により維持される。粥状動脈硬化症における慢性炎症は、病巣に白血球を差し向ける特定のサイトカインにより永久化され、かくして動脈壁内での炎症状態の悪循環を誘発する [Ross, R, N. Engl J. Med. 340:115-126, 1999]。
【0007】
この慢性炎症プロセスが起こるメカニズムは、まず、血小板内皮相互作用により引き起こされる [Ross, R, N. Engl. J. Med. 340:115-126, 1999]。血小板が活性化されると、それらがそれらの周辺環境のサイトカイン及び増殖因子を放出することが知られている [Gawaz M, Circulation. 96:1809-1818; 1997]。内皮表面への血小板の接着は、粥腫形成プロセスの初期に観察され、生物活性分子、例えばIL−1β [Gawaz M, Atherosclerosis. 148:75-85; 2000] 又はCD40リガンド [Henn V; Nature. 391:591-594; 1998] の放出と関連している。初期の粥状動脈硬化症は、更に、単球の内皮への接着及び泡沫細胞形成を伴う内膜層における蓄積により特徴付けられる。これら活性化された血小板は、培養内皮細胞において転写因子NF−κBの活性化を誘発する [Gawaz, M; Circulation. 98:1164-1171; 1998]。血小板に加えて、粥状動脈硬化症の悪化について決定的な役割を有する他の重要な諸内皮表面レセプター、例えば、LOX−1レセプター又はトール様 (toll-like) レセプターが、共通のシグナリング経路としてNF−κBシステムを有する [Metha JL & L; D,J. Am. Coll. Cardiol. 39:1429-1435; 2002; Dunne; A & O'Neill LA; Science STKE 2003 (171):re 37]。
【0008】
NF−κBは、MCP−1 [Bauerle, P; Cell. 87:13-20; 1996]、単球についての強力な化学的攻撃体であって粥状動脈硬化症組織に豊富にあるC−Cケモカイン [Neiken; J. Clin. Invest 88:1121-1127; 1991] などの初期炎症応答遺伝子を媒介するのに特に重要な偏在性転写因子である。刺激されていない細胞では、NF−κBは、二量体として、最も高頻度では、それが核に入るのを阻止する阻害性IkBタンパク質、例えば、IB−α、−β及び−εに結合したp50/p65として、細胞質において見られる。細胞がサイトカイン、細菌産物又は酸化ストレスにより刺激されると、特定のキナーゼがIkBをリン酸化して、プロテアソームによりその急速なユビキチン依存性タンパク質分解性劣化を起こす。NF−κBのIkBからの放出は、NF−κBの核への通過をもたらし、そこで、それは、プロモーター又はエンハンサー領域の特異的kB配列に結合することにより、炎症、免疫学的、増殖及び細胞自滅プロセスに関与する標的遺伝子の転写を活性化する [Bauerle, P; Cell. 87:13-20; 1996]。
【0009】
IkBのリン酸化をもたらすシグナリング事象についての鍵となる役割は、最近同定されたIkBキナーゼ(IKK)コンプレックスが果たす [Karin; Annu. Rev. Immunol 18:621-663; 1996]。原型的には、このコンプレックスは、2のキナーゼ活性成分、即ちIKK−αとIKK−β、並びに、IKK−γと呼ばれる、そのコンプレックスの安定化に関与するか又はその調節を助けることができるキナーゼ不活性アダプタータンパク質を含有する。IKK−αの機能は未だ不明であるが、それは分化及び増殖にある役割を果たすことが提案されてきたのに対し、IKK−βは主要なIkBリン酸化キナーゼとして見做され、前炎症及び細胞自滅プロセスに関与している [Karin ; Annu. Rev. Immunol. 18:621-663; 1996]。
【0010】
活性化された血小板は、IL−1β刺激の後に見られる効果と類似の、IkB−α及び−εのタンパク質分解をもたらす内皮Iコンプレックスの一時的活性化を誘発する。IKK−βは、IKKコンプレックスからの最も重要なキナーゼとして同定され、IKK−βの優勢ネガティブ突然変異体の過剰発現が、内皮細胞において、血小板誘発IkB−及びMCP−1プロモーター依存性転写、並びに、MCP−1分泌を実質的に低下させた [Gawaz, M; Thromb Haemost. 2002 Aug;88(2):307-14; 2002]。これは、内皮細胞において、接着タンパク質VCAM及びICAMの顕著な減少をもたらした。これら接着タンパク質の表面発現は、粥状動脈硬化症動物モデル及びヒトの内皮上で増加する。更には、これら接着タンパク質は、炎症細胞の内皮への粘着を増加させるのに、及び更に単球の内皮内への侵入に重要な役割を果たしている。これら単球は、更にマクロファージへと分化して、粥腫進行における炎症を更に悪化させる。かくして、IKK−βの阻害によるこのシグナリングの阻害は、粥腫進行における炎症経路の鍵となる段階を崩壊させる。
【0011】
NF−κB活性を阻害する異なるアプローチが記載されている。一例は、IKK−γ/NEMOシグナルソームコンプレックス(signalsome complex)の成立の阻害である [May, M.J; Science 289:1550-1554; 2000]。このシグナルソームコンプレックスの組み立ては、IkBの効率的なリン酸化及び引き続いて起こるNF−κBの阻害のために必須である。別のアプローチは、NF−κB阻害のためにキナーゼの触媒ドメインを阻害することである。NF−κBシステムは、偏在しておりかつ種々の細胞プロセスの一因であるので、炎症プロセスにおける度を越したNF−κB活性をその基本的活性を害さないで特異的に阻害することが望ましい。
【発明の要旨】
【0012】
本発明の課題は、粥腫進行における炎症プロセスの治療のために、NF−κBの活性化形態をその基本的活性を害することなく阻害する特異的能力がある化合物を提供することである。医薬品、特に上記種類の急性及び/又は慢性心臓血管障害の制御又は予防のための医薬品の製造のためのそのような化合物の使用も本発明の目的である。
【0013】
この課題は、特許請求の範囲に従えば解決される。本発明は、粥腫進行におけるNF−κB媒介炎症(具体的には、NF−κBシステムの活性化形態)を完全なNF−κB阻害という有害な副作用なしに阻害するという格別な技術的特徴に基づく単一の一般的発明概念により関連付けられる化合物を提供する。本発明は、粥状動脈硬化症を治療するための重要な課題を解決する。本発明の化合物は、NF−κB経路を阻害することにより、粥状動脈硬化症の動脈における慢性炎症プロセスを治療又は予防する。そのクラスの化合物は、粥状動脈硬化症において優勢的に見出されるNF−κBシステムの活性化形態 [Brand K ら; J Clin Invest. 1996;97(7):1715-22] を基本的なNF−κB活性を害することなく特異的に阻害する。この新規な原理は、NF−κB調節キナーゼの活性ドメインを標的にせずに、IKK−α及びIKK−βとNEMOとのシグナルソームコンプレックスの安定性を標的にする。このコンプレックスの一体性は、十分なIkBリン酸化とそれに引き続いて起こるNF−κBの活性化に必須である [May M. et al.; Science 289: 1550-1553; 2000]。更には、本化合物は、シグナルソームコンプレックスについて特異的なタンパク質分解活性を、NEMOについては最高でありIKK−αとIKK−βについてはより弱いタンパク質分解活性と併せて有している。NF−κBシグナルソームコンプレックスから独立の他のタンパク質がこのタンパク質分解活性によって害されることはない。キナーゼIKK−β又はIKK−αの直接阻害は、重篤な肝臓不全を伴う細胞自滅(Li ら; Science 284: 321-325; 1999)又は免疫抑制的副作用 [Lavon I ら; Nature Medicine 6 (5); 573-577; 2000] の誘発などの重篤な有害作用を有している。従って、NF−κB関連キナーゼの触媒ドメインの阻害により粥状動脈硬化症の炎症プロセスを治療するという考え方は、有害な副作用により欠陥があり、患者における全身適用を可能にしない。
【0014】
本発明の第1の一般的側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(A):
【0015】
【化1】
【0016】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0017】
本発明の第2の一般的側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(B):
【0018】
【化2】
【0019】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0020】
第1の好ましい態様においては、式(B)の点線は両方とも二重結合である。
第2の好ましい態様においては、特に第1の好ましい態様に従い、Rが置換フェニル基を表す。
【0021】
第3の好ましい態様においては、特に第1又は第2の好ましい態様に従い、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す。
第4の好ましい態様においては、特に第1〜3のいずれか1の好ましい態様に従い、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す。
【0022】
第5の好ましい態様においては、特に第1〜4のいずれか1の好ましい態様に従い、X1はOを表す。
第6の好ましい態様においては、特に第1〜4のいずれか1の好ましい態様に従い、X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボニル基又はその塩を表す。
【0023】
最も好ましい態様においては、式(B)の化合物は、環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体と該ピリミジン環のキラル中心に関してのエナンチオマーを包含する図7のCOM56である。
【0024】
式(A)及び(B)(好ましい態様を含む)において、Rにより表されるフェニル又はピリジル基は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されていてもよい。そのフェニル又はピリジル基は、ジオキシメチレン、ジオキシエチレン、又はジオキシプロピレン基などのアルキレンジオキシ基により置換されていてもよい。式(A)及び(B)において、環外二重結合は、EでもZ配置でもよい。本発明は、両方の異性体形態並びにそれらの混合物に関する。式(A)及び(B)において、ピリミジン環は、キラル中心を含有することができる。本発明は、あらゆるエナンチオマー形態並びにそれらの混合物に関する。
【0025】
式(B)において、点線は好ましくは両方とも二重結合である。
本発明の第3の一般的側面は、医薬として使用するための次式(C):
【0026】
【化3】
【0027】
により表される化合物であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【0028】
【化4】
【0029】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物に関する。
【0030】
式(C)の化合物の更なる態様においては、A又はBは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン原子であることもできる。
式(C)の化合物の更なる態様においては、A又はBは、水素原子であることもできる。
【0031】
好ましいクラスの化合物では、Aは水素又はヒドロキシル基である。好ましいクラスでは、L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。更に好ましいクラスの化合物では、Aは水素であり、L、L'及びL"の少なくとも1がヒドロキシル基である。X'及びX"は、好ましくは酸素原子である。更には、Wは、好ましくはニトロ基又は水素原子である。好ましいクラスの化合物では、点線は、両方とも二重結合を表す。
【0032】
本発明の第1の側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【0033】
【化5】
【0034】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0035】
本発明の第2の側面は、医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【0036】
【化6】
【0037】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステルに関する。
【0038】
本発明の第3の側面は、医薬として使用するための化合物又はその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【0039】
【化7】
【0040】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【0041】
【化8】
【0042】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステルに関する。
【0043】
本発明の更なる側面に従う化合物は、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなる。
【0044】
好ましい態様においては、この無細胞スクリーニング方法において阻害剤として正の結果を与える化合物は、特異的に結合した抗体の量を該化合物が存在しない場合に比較して低下させることに、少なくとも同じ濃度かつ同じ条件下で測定されたとき、少なくともCOM56又はCOM68と同じほど活性である。
【0045】
本発明の更なる側面に従う化合物は、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための細胞アッセイにおける阻害剤として正の結果を与えるものであり、該アッセイが、次の段階:
(a)細胞培養物を提供する段階;
(b)該細胞培養物中の細胞を、試験化合物の存在下、TNFαに曝す段階;
(c)機能性IKK−コンプレックスを、抗IKK−NEMO抗体を使用する免疫沈降により単離する段階;
(d)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、予め決められた条件下で、段階(c)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(e)段階(d)の該リン酸化された基質ペプチドを、該基質ペプチドのリン酸化されたドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(f)特異的に結合した抗体の量が、該試験化合物の存在に起因して、該試験化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該試験化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなる。
【0046】
好ましい態様においては、この細胞アッセイにおいて阻害剤として正の結果を与える化合物は、特異的に結合した抗体の量を該化合物が存在しない場合に比較して低下させることに、少なくとも同じ濃度かつ同じ条件下で測定されたとき、少なくともCOM56又はCOM68と同じほど活性である。
【0047】
本発明は、活性成分として、NF−κBの活性を低下させるための活性成分としての化合物を含んでなる医薬組成物も提供する。
【好ましい態様の説明】
【0048】
番号を伴ったCOM及びcomは、この明細書においてその化学構造で示された化合物を指す。
本発明の化合物は、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)、及び(III)により表される。これら式において、アルキル基は、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルを含むことができる。アルケニル基の例には、2〜6の炭素原子、好ましくは2〜4の炭素原子と、1〜2の二重結合とを有する直鎖状又は分枝状アルケニル基、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル及びブタジエニルが含まれることができる。シクロアルキル基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれることができる。アルコキシ基の例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ及びn−ヘキソキシが含まれることができる。シクロアルキルオキシ基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ及びシクロヘキシルオキシが含まれることができる。ハロゲン原子の例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。上記式において、アリール基の例は、フェニル、ナフチル及びピリジルであることができ、フェニル及びピリジルが特に好ましい。アルキレン基の例は、1〜6の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のものであることができ、1〜4の炭素原子を有するものが好ましい。例は、メチレン、エチレン及びトリメチレンである。アルキルアミノ基についての例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルから選択される1又は2の置換基を有するアミノ基が含まれることができる。ジアルキルアミノ基についての例には、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル及びn−ヘキシルから選択される2の置換基を有するアミノ基が含まれることができる。シクロアルキルアミノ基の例には、3〜6の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ及びシクロヘキシルアミノが含まれることができる。アシル基の例には、2〜7の炭素原子、好ましくは2〜5の炭素原子を有するアシル基が含まれることができる。カルボキシル基は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの薬学的に許容できる金属塩の形態であることができる。
【0049】
上記の基、特にアリール基は1〜3の置換基を含有することができる。そのような置換基の例には、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルフィニル基、C1-4アルキルスルホニル基、カルボキシル基、C2-5アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、及びC1-4アルキルアミノ基が含まれる。ここで、ハロゲン原子の例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素であることができる。C1-4アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びn−ブチルである。C1-4アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ及びプロポキシである。C1-4Cアルキルチオ基の例は、例えば、メチルチオ、エチルチオ及びプロピルチオである。C1-4アルキルスルフィニル基の例は、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル及びプロピルスルフィニルである。C1-4アルキルスルホニル基の例は、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル及びプロピルスルホニルである。C2-5アルコキシカルボニル基の例は、各々が1〜4の炭素原子を含有するアルコキシ基を有するもの、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルであることができる。C1-8アルキルアミノ基の例は、各々が1〜4の炭素原子を含有する1又は2のアルキル基を有するもの、例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ及びプロピルアミノであることができる。これら置換基におけるアルキル部分は、直鎖状であも分枝状でも環状でもよい。
【0050】
本発明の化合物は、カルボキシル基などの官能基のための通常の保護基を含有することもできる。更には、本発明の化合物は、生理学的条件下で活性物質に転化されることができるプロドラッグの形態であることもできる。
【0051】
好ましいR1及びR2は、アルキル基、特にメチル若しくはエチル基、又はアルキレン基、好ましくはメチレン若しくはエチレン基である。R3として好ましいのは、水素原子又はハロゲン原子、特に、芳香環の2位におけるものである。R4として好ましいのは、アルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシである。R5として好ましいのは、アルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基である。R6及びR7として好ましいのは、アルキル基、特に、メトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン原子、特にヨウ素である。X、Y、又はZとして好ましいのは、水素原子又はハロゲン原子である。
【0052】
一般式(I)の好ましいクラスの化合物は、R1及びR2が一緒になってアルキレン基、特に、メチレン又はエチレン基を形成し;R3が水素原子であり;R4がアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ基であり、R5がアルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基であり、R6及びR7がアルキル基、特に、メトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン原子、特にヨウ素であり、X及びYが水素原子であり、そして、Zがハロゲン原子である化合物である。
【0053】
一般式(I)の最も好ましい化合物は、次式:
【0054】
【化9】
【0055】
により表されることができる。
一般式(B)の好ましいクラスの化合物は、Rが置換フェニル基である化合物である。その置換基は、好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である。更に好ましいクラスの式(B)又は(II)の化合物は、Xがメタ位にある置換基であり、好ましくはカルボキシル基である化合物からなる。
【0056】
一般式(II)の好ましいクラスの化合物は、R1及びR2がアルキル基、特にメチル又はエチルであり;R3が水素原子、特に、芳香環の2位におけるものであり;R4がアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ又はプロポキシ基であり、R5がアルキル基、特に、メチル、エチル又はプロピル基であり、X及びYが水素原子であり、そして、Zがカルボキシル基、特に、芳香環の3又は4位におけるものである。
【0057】
一般式(B)及び(II)の最も好ましい化合物は、次式:
【0058】
【化10】
【0059】
により表されることができる。
一般式(B)の化合物の更に好ましい態様が図7に示される。
一般式(C)の好ましいクラスの化合物は、Aが水素である化合物である。このグループでは、X'及びX"が好ましくは酸素原子であり、Lがヒドロキシル基であり、そして、Wがニトロ基である。更なるグループの化合物では、Bがアルキル又はアルコキシ基、好ましくはアルコキシ基であり、そしてL及びWが水素である。
【0060】
一般式(III)の好ましいクラスの化合物は、A及びBが同じ基であり、R8及びR9が同じか異なっていてアルキル基、特に、メチル若しくはエチル、又は水素原子を表し、X'が酸素原子であり、Lが水素原子であり、そして、Wがニトロ基である。
【0061】
式(C)及び式(III)の最も好ましい化合物は、次式:
【0062】
【化11】
【0063】
により表されることができる。
式(C)の更に好ましい化合物は、図14に示されており、COM68が特に好ましい。
【0064】
好ましくない態様では、化合物のクラスから、Beilstein 登録番号13281−56−6、125274−01−3、7640046、6805515、211942、191435、及び5872866が除かれるが、粥状動脈硬化症の治療又は予防用の医薬品の製造のためのそれらの使用に関する先入観がある訳ではない。
【0065】
本発明の化合物の塩に特別な制限が課されることはないので、前記塩も、それが薬学的に許容できる塩である限り本発明に含まれる。例は、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩などの無機酸の酸付加塩;及び、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩及びクエン酸塩などの有機酸の酸付加塩であることができる。
【0066】
更に、本発明の化合物は、水和物により代表される溶媒和物の形態で存在することができる。更に、本発明の化合物は、幾何異性体として存在することができる。そのような幾何異性体も本発明に包含されることができる。更に、式(I)及び(II)の化合物は光学活性であるので、エナンチオマーの形態で存在することができる。そのようなエナンチオマーは、慣用的な分割方法に従って純粋な形態で得られ、やはり本発明により包含される。
【0067】
本発明によりカバーされる幾つかの化合物は、異なる供給業者から商業的に入手可能であり、[305870−48−8]などの登録番号を有する。
本発明の化合物は、例えば、次の方法により調製されることができる。
【0068】
一般式(A)の化合物は、次のスキーム(A):
【0069】
【化12】
【0070】
(式中、R、R4〜R7、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(B)の化合物は、次のスキーム(B):
【0071】
【化13】
【0072】
(式中、R、R4、R5、X1、X、Y、Z、及び点線は、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(A)及び(I)の化合物は、次のスキーム1:
【0073】
【化14】
【0074】
(式中、R1〜R7、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(B)及び(II)の化合物は、次のスキーム2:
【0075】
【化15】
【0076】
に従って調製されることができる。
出発化合物(IV)の、スキーム(A)、(B)、1及び2に示された式(A)、(B)、(I)及び(II)の本発明の化合物への転化は、Ultra Scientist of Physical Sciences, 12(3), 277-280 (2000);Oriental Journal of Chemistry, 16(3), 427-430, (2000) に開示された操作に従って行われることができる。従って、化合物(IV)が、塩化クロロアセチルと適当に置換されたアルデヒド(V)又は(VI)とで、無水酢酸中、酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下で−30℃からその混合液の沸点までの温度で処理される。一般的な調製方法は、Birsen Tozkoparan ら, Arch Pharm. Pharm. Med. Chem. 331, 201-206 (1998) から分かる。
【0077】
出発化合物(IV-1)は、次の反応スキーム:
【0078】
【化16】
【0079】
に従う Biginelli 型反応により調製されることができる。
出発化合物(IV)は、次の反応スキーム3:
【0080】
【化17】
【0081】
(式中、R1〜R5、X、Y、及びZは、上で定義した通りである。)
に従う Biginelli 型反応により調製されることができる。
出発化合物(IV-1)又は(IV)の調製において、適当に置換されたアルデヒド化合物(VII-1)又は(VII)が、適当に置換された等モル量のβ−ケトエステル(VIIIa)又は1,3−ジケトン(VIIIb)及び僅かに過剰のチオ尿素と、アルコールなどの適する溶媒中で0℃から反応混合液の沸点までの温度で反応させられる。P. Biginelli, Ber. 24, 1317, 2962 (1896); 26 447 (1893);Martin Zaug, Organic Reactions, 14, 88, (1965);D.J. Brown, The Pyrimidines, (Wiley, New York, 1962), p. 440;前掲., Supplement 1, 1970, p. 326;F. Sweet, Y. Fissekis, J. Am. Chem Soc., 95, 8741 (1973), Tetrahedron, 58, 4801-4807 (2002), J. Chem. Soc. Perkin Transactions, 1, 1845-1846, (2002), 及び US-A 5,958,931 を参照のこと。一般的な調製方法は、Mevlut Ertan ら, Arch Pharm. (Weinhelm) 324,135-139 (1991) から分かる。
【0082】
一般式(C)の化合物は、次の反応スキーム:
【0083】
【化18】
【0084】
(式中、L、L’、L”、X’、X”、R9、W及び点線は、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
一般式(C)及び(III)の化合物は、次の反応スキーム4:
【0085】
【化19】
【0086】
(式中、L、X’、R9及びWは、上で定義した通りである。)
に従って調製されることができる。
従って、式(IX)又は(IX-1)が、例えば、Synthesis, 5, 411-413, (1986) に開示された通りの操作に従って、それぞれ、出発原料(X)又は(X-1)と縮合される。出発原料(X)は、Paulsen, Stoy, The Chemistry of Amides, Wiley, New York, 1970, pp. 515-600 により記載された通りに、5−ニトロフラン−2−カルボン酸[645−12−5]を対応する酸塩化物に転化してその酸塩化物をヒドラジンと反応させることにより、調製されることができる。
【0087】
一般式(C)の化合物も、次の反応スキーム:
【0088】
【化20】
【0089】
に従って調製されることができる。
従って、式(XI)の化合物が対応する対称無水物(XII)に転化され、次いで、式(XIII)の化合物と反応させられて、式(C)の化合物を与える(Wang, J.-X. (Wang, C.-H.);Hu, Y.-L.; Cui, W.-F. (1990) Synthesis of Anhydrides from Acyl Chlorides under Solid-Liquid Phase-transfer Catalysis. J. Chem. Research (S), 84-85)。
【0090】
式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)及び(III)の化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩又はエステルは、例えば、医薬製剤の形態で、医薬品として使用されることができる。医薬製剤は、好ましくは、経口で、例えば、錠剤、コーテッド錠剤、糖衣錠、ハード及びソフトゼラチンカプセル剤、溶液剤、乳濁液剤又は懸濁液剤の形態で投与されることができる。しかしながら、投与は、経直腸で、例えば、坐剤の形態で行われても、非経口で、例えば、注射溶液剤の形態で行われてもよい。
【0091】
本発明は、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物、特に上記の好ましい化合物と薬学的に許容できる担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩又はエステルが、薬学的に許容できる担体、例えば、医薬製剤を製造するための不活性な無機又は有機の担体と一緒に加工される。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等が、例えば、錠剤、コーテッド錠剤、糖衣錠及びハードゼラチンカプセル剤用のそのような担体として使用されることができる。ソフトゼラチンカプセル剤用に適する担体は、例えば、活性物質の性質に依存して、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等であるが、ソフトゼラチンカプセル剤の場合には、通常、担体は必要とされない。溶液剤及びシロップ剤の製造に適する担体は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース等である。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等のアジュバントが、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物の水溶性塩の注射水溶液剤に使用されることができるが一般に必要ではない。坐剤用の適する担体は、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、脂肪、半液体若しくは液体のポリオール等である。
【0092】
加えて、式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物又は薬学的に許容できるその塩又はエステルと治療的に不活性な賦形剤とを含有する医薬品も、1又はそれを越える式(A)、(B)、(C)、(I)、(II)又は(III)の化合物又は薬学的に許容できるその塩又はエステルと、望まれるなら1又はそれを越える他の治療的に価値のある物質とを、1又はそれを越える治療的に不活性な担体と一緒に、ガレン剤形にすることを含んでなるそのような医薬品の製造方法と同じく、本発明の目的である。
【0093】
従って、粥状動脈硬化症などの心臓血管疾患を治療する方法もこの発明の一部であり、それによって、その方法は、上記状態のいずれかを有する患者に前記状態を治療するのに有効である量のこの発明の医薬組成物を投与することを含んでなる。
【0094】
もちろん、用量は広い範囲で変動してもよく、各々の特定の場合に個々の必要性に合わされることができる。一般に、経口又は非経口投与のための有効量は、0.01〜20mg/kg/日であり、全てについて0.1〜10mg/kg/日が好ましい。従って、体重が70kgである成人についての日量は、0.7〜1400mg/日、好ましくは7〜700mg/日である。
【0095】
本発明に従う化合物は、抗−IKK−NEMO抗体を含む免疫沈降されたIKK−コンプレックスであるIKK−コンプレックスが使用される細胞アッセイ及び無細胞アッセイにおいて、阻害剤としての正の結果を与える。無細胞アッセイでは、段階(a)は、好ましくは、細胞をTNFαに接触させた後、プロテインA及び抗−IKK−NEMO抗体を使用する免疫沈降によりIKK−コンプレックスを単離することを含んでなる。無細胞方法では、試験化合物は、好ましくは、段階(a)の後に加えられる。細胞アッセイでは、諸化合物は、段階(a)の前に加えられる。このアッセイでは、同定は、好ましくは、増幅された発光近接均一アッセイ(amplified luminescent proximity homogeneous assay)に基づいており、そこでは、好ましくは、基質ペプチドがビオチンニル化されてストレプトアビジンドナービーズ上に固定される。抗体は、好ましくは、プロテインA−アクセプタービーズ上に不動化される。アッセイの基質ペプチドは、好ましくは、IkBα又はBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEEである。好ましくは、基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体は、抗−ホスホ−IκBα−抗体である。本発明による化合物は、好ましくは1500ダルトン未満、より好ましくは1000ダルトン未満の分子量を有する非ペプチド分子から選択される。本化合物は、好ましくは、置換されていてもよい少なくとも3又は4の炭素環又はヘテロ環の非分岐鎖を含有する化合物であって、置換されていてもよい4以下の炭素又は窒素原子の長さを有するスペーサーにより隔てられていてもよい化合物である。
【0096】
以下の実施例は、例示のために提供されるもので、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0097】
調製例I
2−[5−(3−カルボキシフェニル)−フラン−2−イルメチレン]−5−(4−クロロフェニル)−7−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸エチルエステル(COM56)
【0098】
【化21】
【0099】
(1): 3.426g(45mmol)
(2): 3,82ml(30mmol)
(3): 4,217g(30mmol)
PPEa: 4.5g
THF: 45ml
(aPPE=ポリリン酸エチルエステル,Synlett 1988, 718-720 に従って調製された)
100mlのRBフラスコで、上記試薬をTHF中に溶解させ、そして窒素気流下で8時間還流した。進行は、TLC(プレート:Merck5554,溶離液:クロロホルム−メタノール10:1,生成物Rf=0.7)により追跡された。半分の溶媒がロータリーエバポレーターで留去され、そして残渣が水に注がれて生成物が白色結晶として析出した。それは濾取され、そして蒸留水とジエチルエーテルで逐次的に洗浄された。
収率:6.3g(67.5%)。NMR:構造
【0100】
【化22】
【0101】
に一致する。
量:
(4): 1.274g(4,1mmol)
(5): 0.397g(4.2mmol)
(6): 0.884g(4,1mmol)
無水酢酸ナトリウム:0.336g(4,1mmol)
無水酢酸: 6ml
酢酸: 8ml
上記の物質の混合物が混合されて5時間還流される。反応の進行がTLC(プレート:Merck5554,溶離液:クロロホルム−メタノール10:1,生成物Rf=0.4)により追跡された。冷却後、その混合液は水に注がれ、析出した生成物がジクロロメタンで抽出される。有機相が10%Na2CO3溶液で2回洗浄され、無水MgSO4で乾燥され、そしてロータリーエバポレーターで濃縮される。得られた残渣は、ジエチルエーテル−n−ヘキサン混合液で結晶化される。
収率:2.0g(88%)
NMR(DMSO−d6,ppm):8.37 bs, 1H; 8.06 d, 1H; 7.96 d, 1H 及び 7.66 t, 1H (Ph /COOH/); 7.64 s, 1H (Ph-CH=フラン); 7.41 d, 2H 及び 7.33 d, 2H (Ph/Cl/); 7.40 d, 1H 及び 7.26 d, 1H (フラン); 6.01 s, 1H (ピリミジン-4); 4.1 q, 2H 及び 1.14 t, 3H (OCH2CH3); 2.49 s, 3H (CH3)。
【0102】
調製例2:
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(COM68)
【0103】
【化23】
【0104】
反応条件:a)KHCO3,n−Bu4NI触媒,トルエン,0℃→室温,2時間;b)CH2Cl2,0℃→室温,2.5時間。
一般
使用した全ての溶媒は、使用前に乾燥するか蒸留するかされた。塩化5−ニトロ−2−フロイル(1)は Lancaster から購入され、そしてサリチルアルデヒドヒドラゾン(3)は Sigma-Aldrich から購入された。
【0105】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)
750mg(4.27mmol)の塩化5−ニトロ−2−フロイル(1)の120mlのトルエン中の溶液に、471mg(4.70mmol)のKHCO3及び158mg(0.427mmol)のヨウ化テトラn−ブチルアンモニウムが0℃らで加えられる。この温度で5分後に、この混合液は、周囲温度で2時間激しく攪拌される。次いで、少量の析出物が濾去され、その混合液は120mlの氷冷水中に注がれる。層分離後、水相が60mlのジクロロメタンで2回抽出される。合わされた有機相が硫酸ナトリウムで乾燥され、そして溶媒が減圧留去される。粗生成物がジクロロメタンから再結晶されて、117mg(0.395mmol,19%)の灰色粉末の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)を生成する。
【0106】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)
35.0mg(0.118mmol)の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸無水物(2)が10mlのジクロロメタン中に殆ど溶解される。この混合液に16.9mg(0.124mmol)のサリチルアルデヒドヒドラゾン(3)の3.5mlのジクロロメタン中の溶液が0℃で加えられる。その溶液はゆっくり明るい黄色に変色する。0℃で30分経過した後、冷却を止めてその混合液が周囲温度で更に2時間攪拌される。次いで、その反応混合液は、10mlのNaHCO3の飽和溶液で2回及び10mlのNaClの飽和溶液で2回抽出される。合わされた水相は、5mlのジクロロメタンで2回抽出される。有機相が硫酸ナトリウムで乾燥され、そして溶媒が減圧留去される。粗生成物がジクロロメタンから再結晶されて、12.0mg(0.0436mmol,37%)の明黄色粉末の5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)を生成する。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド(4)の特性
溶解性
溶解性試験は、化合物4(1.2mg)及び500μlの各々の溶媒のアリコートで行われた。
【0110】
【表3】
【0111】
異性化
化合物4をDMSO−d6中に溶解させたときに、第2組のNMRシグナルが数分内に室温で観察された。これらシグナルは、暫定的に化合物4のシス/トランス異性体に帰属された。この異性体のシグナル強度は、主生成物に起因するシグナルの約10%に相当した。アセトン−d6中では、この異性化は遅くて数日内に起こったに過ぎなかった。
【0112】
実施例1:NF−κB依存性IκBペプチドリン酸化の阻害
(A)方法:
キナーゼアッセイプロトコル:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0113】
細胞は、示された濃度の異なる化合物と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、200μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、2μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)及び1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKB抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0114】
結果:
IκB−タンパク質は、サイトカイン誘発性リン酸化により、Ser−32及びSer−36上で調節される。幾つかの化合物がIkBタンパク質のTNFα誘発性リン酸化を阻害したかどうかを確認するために、TNFαで刺激されたHeLa細胞がこれら化合物で処理された。特異的IkB−キナーゼ−コンプレックス(IKK)が抗−NEMO−抗体で免疫沈降され、そしてIKBの特異的リン酸化サイドに相当するペプチドと共にインキュベートされた。リン酸化ペプチドの収率がαスクリーン(Perkin Elmer)により分析された。3つの異なる化合物、即ち、41、48及び73がIKK−活性への効果を有する。化合物73がより詳細に試験された。化合物73は、約8μMのIC50でIKK−活性を用量依存的に阻害し、(図1a)。化合物41及び48は、10μM〜100μMの範囲のIC50値でIKK−活性を用量依存的に阻害した(図1b)。化合物41は、PBSに部分的に溶解性であるに過ぎず、実際の処理濃度が不明である。
【0115】
化合物73ファミリーの構造的類似体である化合物56が、更に、HeLa細胞での細胞アッセイで、IκBリン酸化について、αスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により上記のように試験された。HeLa細胞に加えられた漸増する濃度の化合物56が、IκB Btn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミドについての基質ペプチドのリン酸化を用量依存的に阻害した。化合物56のIKK活性を阻害する強さは、他の73ファミリーメンバーより10倍高く、〜850nmol/LのIC50を有すると計算された(図8a)。
【0116】
(B)方法:
in vitro/無細胞アッセイプロトコル:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。TNFαでの処理24時間前に、HeLa細胞が175−mm細胞培養皿中に1×107/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0117】
細胞は、20ng/mlのTNFα(Roche)で薬剤なしで刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、400μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、400μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、4μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と12mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、そのプロテインAセファロースペレットは、4つの同一アリコートに分けられた。上澄み液が除去されて、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)、1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。次いで、異なる濃度の薬剤が、IκBリン酸化に必要な単離された成分の無細胞成分に加えられた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKBα−抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0118】
結果:
COM73及びCOM56のIKK活性への阻害効果が、無細胞アッセイで比較された。HeLa細胞のTNFα刺激及びIKKコンプレックスの免疫沈降後に、漸増する濃度の薬剤がその単離されたIKKコンプレックスと共にインキュベートされた。COM73及び56は、この無細胞アッセイにおいてIKK活性を用量依存的に阻害した。COM56の強さは、IKK活性の阻害において、COM73に比較して有意により高かった。これら結果は、IKKコンプレックスの形成がTNFα刺激に起因して完結した後にそのキナーゼコンプレックスを崩壊させる、それらIKK阻害性薬剤の能力を確認するものである。かくして、COM73及び56は、粥状動脈硬化症などの炎症性疾患の治療に適する治療剤であるばかりか、IKKコンプレックス形成を阻止する予防剤でもある(図8b)。
【0119】
(C)方法:
ウェスタンブロットプロトコルでのP−IkBα検出:HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0120】
細胞は、示された濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である30μlの上澄み液が、Laemmli−緩衝液(2%SDS,2%2−メルカプトエタノール,0.01%ブロモフェノールブルー,8%グリセリン)で稀釈され、60℃で10分間加熱され、そして4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、P−IkBαに対するモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。
【0121】
結果:
化合物73の、IκBリン酸化を阻害する能力が、P−IκBαに特異的な抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットにより直接に測定された。漸増する濃度のCOM73が、IκBのリン酸化を用量依存的に阻害した(図9)。
【0122】
結果:
COM73及びCOM54ファミリーの異なる化合物の、IκBリン酸化を阻害する能力が比較された。IκBリン酸化が、抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットにより直接に測定された。COM73及びCOM56は用量依存的にIκBのリン酸化を阻害したのに対し、COM54、COM68及び69はIκBリン酸化に何の効果もなかった。かくして、このクラスのNF−κB−阻害剤の阻害効果は、IκBリン酸化とは独立している(図15)。
【0123】
実施例2:NF−κBヌクレオチド結合活性の阻害:
方法:
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA):THP−1単球(DSM, Braunschweig, Germany)が、7%ウシ胎児血清(FCS)(Myoclone super plus,低エンドトキシン)、100ユニット/mlペニシリン、及び100mg/mlストレプトマイシン(Life Technologies, Inc., Eggenstein, Germany)を含有するRPMI 1640(Glutamax-1,低エンドトキシン)中に懸濁して維持された。実験のために、それら細胞は6ウェル培養皿中に3×106/ウェルの密度でプレートされた。4℃で1200rpmで7分間遠心分離することで細胞を採取することによって核抽出物が調製された。それら細胞は、1mlの氷冷PBSを加えることにより再懸濁され、そして微小遠心分離管に移された。4℃で2000gで2分間遠心分離した後、ペレットは、50μlの緩衝液A(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))中で細胞溶解された。氷上で5分間インキュベートして16000gで5秒間遠心分離した後、それら核ペレットは100μlの緩衝液Aで洗浄された。それら核ペレットは、100μlの緩衝液B(20mM Hepes,pH7.9,100mM KCl,100mM NaCl,1mM DTT,20%グリセロール,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で再懸濁されて、10秒間超音波処理された。プローブが、16000gで5秒間パルス遠心分離された。この核抽出物は、アリコートに分けられて液体N2で瞬間冷凍された。核抽出物(5mgのタンパク質)は、放射性標識されたDNAプローブ(10ng;105cpm)と共に30分間室温で、20mlの結合緩衝液(20mM HEPES,pH7.9,50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.5mM EDTA,10%グリセロール,1mg/mlウシ血清アルブミン,0.2% Nonidet P−40,50ngのポリ(dl−dC)/ml)中でインキュベートされた。プロトタイプのイムノグロブリンk−鎖オリゴヌクレオチドがプローブとして使用され、相補的プライマーのアニーリングにより標識されてから、[γ−32P]dCTP(>3,000Ci/mmol;NEN Life Science Products, Brussels, Belgium)及びデオキシヌクレオシド・トリホスフェート(Boehringer Mannheim)の存在下で、DNAポリメラーゼIの Klenow フラグメント(Boehringer Mannheim)でのプライマー伸長が行われた。諸サンプルは、未変性4%ポリアクリルアミドゲル上、0.253TBE緩衝液(10×TBEは次の通り:890mM Tris,890mM ホウ酸,20mM EDTA,pH8.0)中で展開された。SP−1及びAP−1の結合も、[γ−32P]ATP(>5,000Ci/mmol;NEN Life Science Products)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)で標識された特異的コンセンサスオリゴヌクレオチド(Promega, Heidelberg, Germany)を使用して、EMSAにより分析された。ゲルは乾燥されてオートラジオグラフィーにより分析された。
【0124】
結果:
このEMSA実験は、40の数の化合物がNF−κBの活性化に影響するかどうかを検査するために行われた。THP−1単球が、異なる物質と共に予備インキュベートされてからLPSで刺激された。NF−の活性化及び放出はEMSAにより確認された。同じ核抽出物で、別の転写アクチベーター因子であるSP−1が、SP−1コンセンサス配列を含んでなるオリゴヌクレオチドに結合するタンパク質について検査された(負荷コントロール)。これら化合物の不存在下では、予想通りの劇的なNF−κBの活性化が観察されることができる。100μMのこれら化合物で処理することにより、2つの物質がNF−κB−放出を有意に減少させた。詳細には、化合物54については95%までであり化合物73については80%までであった(図2a)。更に、本発明者らは、化合物54を12,5μM〜100μMの範囲の異なる濃度で試験した。そのNF−κB活性化は、12,5μM及び25μMの化合物54での処理により有意に影響を受け、そして、50μM及び100μMにより殆ど完全に無くなった(図2bを参照のこと)。コントロールとして役立つ別の転写アクチベーター因子であるSP−1の、この特異的オリゴヌクレオチドへの結合は、同じ核抽出物中で変化しなかった。
【0125】
実施例3:IKK−βへのNEMO結合の阻害
(A)方法:
3×106のHeLa細胞が漸増する濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlTNFα(Roche)で刺された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。(2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。)
細胞質ゾル抽出物が先に記載した通りに単離された。
【0126】
凡そ4×105の細胞からの抽出物である30μlの細胞質ゾル抽出物が4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、IKKα/β又はNEMOに対するモノクローナル抗体(両方とも、Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。
【0127】
結果:
化合物73がNEMOのIKKα/βへの結合を選択的に阻害してコンプレックスの不安定性と劣化をもたらすかごうかを検査するために、HeLa細胞が種々の濃度の化合物73で処理されて、タンパク質安定性が測定された(図3aを参照のこと)。その細胞質ゾル抽出物は、ウェスタンブロット分析により分析された。NEMO及びIKKα/βのレベルは、これら実験条件下で用量依存的に減少した(図3a)。NEMOタンパク質の場合には、化合物73によりタンパク質劣化を高度に受け易いことが観察され得る。NEMOタンパク質の量の減少が3.3μMで観察されることができ、20μMにより有意な劣化があり、33μM及び100μMにより殆ど完全に無くなった。対照的に、IKKα/β劣化は、高濃度の33μMと100μMの化合物73でのみ明らかであった。使用された最高の濃度でも完全な分解は検出されなかった。TNFα刺激のコンプレックス組成又はコンプレックス劣化への効果は観察されなかった。
【0128】
IKKコンプレックスの崩壊を詳しく検査するために、本発明者らは、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)での免疫沈降後のIKK−α/βのタンパク質発現を分析した(図3b)。免疫沈降前後にIKKα/βの量の明らかな相関関係が見られた。NEMOタンパク質の検出は不変でも、IKKα/βタンパク質のレベルは、化合物73により用量依存的に減少した。化合物73無しのコントロールと比較して、IKK−α/IKK−βは、NEMOとの同時沈降コンプレックスにおいて、10μMで27%に減少し、100μMで91%に減少した。
【0129】
結果:
TNFα刺激後のIKKコンプレックスの劣化が、ウェスタンブロット及びIKKα/βとNEMOに対する特異的抗体で評価された。COM73は、無傷細胞とのインキュベーション後に、用量依存的にIKKα/βとNEMOを劣化させた。NEMOは、COM73によるタンパク質劣化に対して、IKKα/βコンプレックスに比較してより感受性であった(図10)。
【0130】
(B)方法:
in vitro での薬剤処理後のIKK−コンプレックスの劣化:先に記載した通りの抗−NEMO抗体(Santa Cruz)での免疫沈降後に、免疫沈降し洗浄されたIKK−コンプレックスが、異なる濃度のIKK阻害剤と共に、20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma)中でインキュベートされた。1時間処理後、プローブが16000gで1分間遠心分離され、上澄み液が完全に除去され、プロテインAペレットが、1×Laemmli−緩衝液(2%SDS,2%2−メルカプトエタノール,0.01%ブロモフェノールブルー,8%グリセリン)中に再懸濁され、60℃で10分間加熱され、そして4〜20%ポリアクリルアミドゲル(BioRad)にかけられた。電気泳動後、ウェットブロッティング法を用いて、諸タンパク質がニトロセルロースメンブランに移された。まず、そのメンブランは、Roti-Block(Roth)でブロックされてから、IKKαに対するモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,1:200希釈率で使用された)と共にインキュベートされた。このインキュベーションに続いて、1:10000稀釈率の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ複合化第2抗体(Dianova)と共にインキュベートされた。抗体結合は、ウェスタンブロット化学発光試薬検出キット(Santa Cruz)を使用して、X線フィルム上に可視化された。そのX線フィルムは走査されて、その結果がソフトウェアAIDAにより濃度計により分析された。
【0131】
結果:
化合物56によるIKK−α/βへのNEMO結合の阻害が、IKKコンプレックスの免疫沈降後に評価された。COM56は、この in vitro アッセイにおいてそのコンプレックスを用量依存的に崩壊させた(図11)。
【0132】
実施例4:NF−κB阻害剤の細胞透過性
方法:
3×106HeLa細胞が100μMの化合物73と共に1時間インキュベートされた。PBSで3回洗浄した後、120μlの低張性緩衝液(10mM NaCl,10mM Hepes ph7.5)が細胞ペレットに加えられ、細胞溶解のために液体N2中で凍結された。16000gで5分間遠心分離した後、上澄み液がELISAで450nmにより測定され、化合物73の量がこの物質の標準濃度と比較された。
【0133】
結果:
化合物73の細胞透過性が、ELISAリーダーでのその特性シグナルにより、細胞質ゾル中のその化合物濃度を測定することにより追跡された。100μMの化合物73と共に1時間インキュベートした後、高レベルのその化合物が検出されることができた。100mM化合物のシグナルと比較して、約90μMの濃度が細胞内部に見出された(図4)。この結果は、化合物73の優れた細胞透過性を示すものである。
【0134】
実施例5:NF−κB阻害剤での処理後の細胞生存度
方法:
96ウェル中の3×104HeLa細胞が、100μMの化合物54及び73と共に3時間インキュベートされた。培地が変えられ、そして10μlのWST−1試薬が各々のウェルに加えられた。2時間後、450nmの吸収がElisaリーダーで測定された。
【0135】
結果:
化合物73及び54の潜在的毒性が、WST−1生存度試験アッセイ(Boehringer Mannheim)により追跡された。化合物54及び73は、記載されたアッセイで適用された濃度及び条件ではHeLa細胞に毒性であるとは認められなかった。30μMの各々の化合物で3時間インキュベートした後、未処理コントロールと比較して有意な代謝活性の減少が検出されることはなかった。
【0136】
結果:
COM54ファミリーの化合物についての細胞生存度がHeLa細胞で試験された。HeLa細胞を漸増する濃度のCOM54及び69(0.3〜100μmol/L)で1日インキュベートしても、細胞生存度への負の影響はなかった(WST染色により評価された)。33及び100μmol/Lの濃度の化合物68が、1日インキュベーション時間後に細胞生存度を低下させた(図16)。
【0137】
実施例6:キナーゼアッセイプロトコル
HeLa細胞が、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(50ユニット/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)が補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(invitrogen)中に維持された。異なる化合物での処理24時間前に、HeLa細胞が100−mm細胞培養皿中に5×106/ウェルの密度でプレートされて90%集密度までにされた。
【0138】
細胞は、示された濃度の異なる薬剤と共に1時間インキュベートされ、PBSで2回洗浄され、そして20ng/mlのTNFα(Roche)で刺激された。7分後、細胞は、氷冷PBSで2回洗浄されてから、かき集められて1.5mlの微小遠心分離管に移された。2000rpmで2分間4℃で遠心分離した後、PBS上澄み液が除去されて、そのペレットに、200μlの細胞溶解緩衝液(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))が加えられた。再懸濁されたペレットは氷上で5分間インキュベートされて13000gで30秒間遠心分離された。細胞質ゾル抽出物である上澄み液が、200μlのTNT−緩衝液(200mM NaCl,20mM Tris/HCl pH7.5,1%TritonX−100)に加えられた。3μgの正常ウサギIgG(Sigma)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)との30分間4℃でのインキュベーションにより非特異性結合が遮断されてから、2μgの抗−NEMO−抗体(Santa Cruz Biotechnology)と6mgの再懸濁され予備洗浄されたプロテインAセファロースCl−4B(Pharmacia Biotech)で4℃で1.5時間免疫沈降された。TNT緩衝液で3回及びキナーゼ緩衝液(20mM HEPES,pH8.0,10mM MgCl2,100μM Na3VO4,20mM−グリセロホスフェート,50mM NaCl,2mM ジチオスレイトール,0.5μM フッ化フェニルメチルスルホニル,アンチパイン,アプロチニン,ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で3回洗浄した後、キナーゼ反応が、25μlのキナーゼ緩衝液中で、30℃で60分間、1mMのATP(Sigma)及び1μMの基質ペプチドBtn−Ahx−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE−アミド(Blosyntan)の存在下で行われた。16000gで1分間遠心分離した後、10μlの上澄み液が白色384proxi−プレート(Packard)に加えられた。6.6μlの検出緩衝液(20mM Hepes pH7.5,100mM NaCl,1%Tween,0.1mM BSA,50μg/mlプロテインA−アクセプタービーズ,250μg/mlストレプトアビジン−ドナービーズ(両方とも Perkin-Elmer),4nM抗−ホスホ−IKBα−抗体(Santa Cruz Biotechnology))が各々のウェルに分注された。1.5時間のインキュベーション後に、そのプレートはαスクリーンリーダー(Perkin Elmer)により読み取られた。
【0139】
実施例7:電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
THP−1単球(DSM, Braunschweig, Germany)が、記載された通りに(41)、7%ウシ胎児血清(FCS)(Myoclone super plus,低エンドトキシン)、100ユニット/mlペニシリン、及び100mg/mlストレプトマイシン(Life Technologies, Inc., Eggenstein, Germany)を含有するRPMI 1640(Glutamax-1,低エンドトキシン)中に懸濁して維持された。実験のために、それら細胞は6ウェル培養皿中に3×106/ウェルの密度でプレートされた。4℃で1200rpmで7分間遠心分離することで細胞を採取することによって核抽出物が調製された。それら細胞は、1mlの氷冷PBSを加えることにより再懸濁され、そして微小遠心分離管に移された。4℃で2000gで2分間遠心分離した後、ペレットは、50μlの緩衝液A(10mM Hepes,pH7.9,0.1%NP40,10mM,300mMスクロース,10mM KCl,15mM MgCl2,1mM DTT,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))中で細胞溶解された。氷上で5分間インキュベートして16000gで5秒間遠心分離した後、それら核ペレットは100μlの緩衝液Aで洗浄された。それら核ペレットは、100μlの緩衝液B(20mM Hepes,pH7.9,100mM KCl,100mM NaCl,1mM DTT,20%グリセロール,0.5mM PMSF及び、アンチパイン、アプロチニン、ロイペプチン各々0.75μg/ml(Sigma))で再懸濁されて、10秒間超音波処理された。プローブが、16000gで5秒間パルス遠心分離された。この核抽出物は、アリコートに分けられて液体N2で瞬間冷凍された。核抽出物(5mgのタンパク質)は、放射性標識されたDNAプローブ(10ng;105cpm)と共に30分間室温で、20mlの結合緩衝液(20mM HEPES,pH7.9,50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.5mM EDTA,10%グリセロール,1mg/mlウシ血清アルブミン,0.2% Nonidet P−40,50ngのポリ(dl−dC)/ml)中でインキュベートされた。プロトタイプのイムノグロブリンk−鎖オリゴヌクレオチドがプローブとして使用され、相補的プライマーのアニーリングにより標識されてから、[a−32P]dCTP(>3,000Ci/mmol;NEN Life Science Products, Brussels, Belgium)及びデオキシヌクレオシド・トリホスフェート(Boehringer Mannheim)の存在下で、DNAポリメラーゼIの Klenow フラグメント(Boehringer Mannheim)でのプライマー伸長が行われた。諸サンプルは、未変性4%ポリアクリルアミドゲル上、TBE緩衝液(10×TBEは次の通り:890mM Tris,890mM ホウ酸,20mM EDTA,pH8.0)中で展開された。SP−1及びAP−1の結合も、[γ−32P]ATP(5,000Ci/mmol;NEN Life Science Products)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)で標識された特異的コンセンサスオリゴヌクレオチド(Promega, Heidelberg, Germany)を使用して、EMSAにより分析された。ゲルは乾燥されてオートラジオグラフィーにより分析された。
【0140】
実施例8:一回用量IV投与後のIKK阻害剤の薬物動態学
方法:
ラットにおける in vivo IV適用:
COM56が、生理食塩水緩衝液で200μLの容量中100μM及び200μMに稀釈された。このプローブがラットに静脈内投与された。2分後と20分後に、血液プローブが右頸動脈から採取された。それら血液プローブは、2500gで3分間遠心分離されて、血清成分である上澄み液が質量分析法により分析された。
【0141】
結果:
ラットにおける55及び27.5μg化合物56の一回IV適用後、正の血清プローブが、投与2分後及び20分後に測定された(図12)。
【0142】
実施例9:全身炎症の阻害
方法:
ラットにおいて全身炎症応答が、リポポリサッカリド(LPS)ショック(LPS0.33μg/gのIV投与)により誘発された。ラットへの化合物56のIV投与(1μg/g)による炎症の阻害が、マウス血清中のTNFα定量により測定された。TNFαは、ELISAキット(Pierce)でその製造業者の指示書に従って検出された。
【0143】
結果:
ラットにおいてLPSにより in vivo で誘発された全身炎症が化合物56により阻害された。ラット血清におけるTNFα濃度が、化合物56予備処理後に有意に阻害された(図13)。
【0144】
実施例10:薬剤処理によるヒト内皮細胞中の粥状動脈硬化症の阻害
方法:
蛍光活性化細胞ソーター(FACS)分析によるICAM発現の測定:
HUVEC細胞が6ウェルプレートに1×106細胞/ウェルで播かれた。24時間後、細胞は異なる濃度の化合物68で処理された。1時間後、培地が除去されて、それら細胞はIL−1(100pg/ml)又はTNFα(1ng/ml)のいずれかと共に合計4時間インキュベートされた。その後、それら細胞は、トリプシンで採取され、PBSで洗浄され、そして1000rpmで5分間遠心分離された。ペレットが50μlのPBSと5μlのCD54−PE抗体(Beckman/Coulter/Immunotech からの抗−ICAM抗体)中に再懸濁された。PBSで二回洗浄した後、ICAM細胞表面発現がFACScan(Becton Dickinson)により分析された。
【0145】
結果:
COM68がヒト内皮細胞における粥状動脈硬化症マーカーを濃度依存的に阻害した。COM68のHUVEC細胞とのインキュベーションで、ICAM発現が有意に阻害された。IL−1刺激後はCOM68についてのIC50は7.8μmol/Lであり、TNFα刺激後はICAM発現の阻害について4.5μmol/Lであった(図17)。
【0146】
製剤例A
次の組成の錠剤が慣用的なやり方で製造される:
【0147】
【表4】
【0148】
製剤例B
次の組成の錠剤が慣用的なやり方で製造される:
【0149】
【表5】
【0150】
製剤例C
次の組成のカプセル剤が慣用的なやり方で製造される:
【0151】
【表6】
【0152】
適する粒子サイズを有する活性成分、結晶ラクトース及び微結晶性セルロースが相互に均一に混合され、篩分けされ、その後にタルクとステアリン酸マグネシウムが混和される。最終混合物が適するサイズのハードゼラチンカプセル内に充填される。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1a】化合物73の、TNAα刺激後のIKK−コンプレックスの活性への効果。IκBペプチドリン酸化の阻害についての化合物73の用量−応答曲線が示される。HeLa細胞がTNFα(20ng/ml)で刺激され、免疫沈降されたIKK−コンプレックスの活性が、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。活性の相対的減少率が最大蛍光計数値の%で出される。n=3の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図1b】化合物41、48及び73のIKK−コンプレックスへの分化阻害。TNFα(20ng/ml)刺激後のHeLa細胞を種々の濃度の阻害剤(#41;#48及び#73)で処理した後に二重IKK−活性測定が行われた。IKK−コンプレックスは、抗−NEMO−抗体で又は非特異的IgGでの制御下で免疫沈降された。IκBペプチドリン酸化についてのキナーゼ活性の減少率が出され、蛍光計数値がαスクリーンシステム(Perkin Elmer)により測定された。
【図2a】異なる化合物の、NF−κB活性への効果。THP−1細胞が、100μMの異なる化合物で1時間処理されてから、LPS(1μg/ml)で刺激された。NF−κBについての電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)が行われた。核抽出物が、NF−κBについて特異的な配列を有する放射性標識DNAプローブと共にインキュベートされた。X線フィルム曝露により検出された標識NF−κBについてのシグナル強度が濃度計により分析された。10試験化合物のNF−κB活性への阻害効果が、LIPSコントロールの100%と比較したSP−1結合へと標準化される。LPS刺激なしの細胞は、有意なNF−κB活性を示さなかった。
【図2b】化合物54での、NF−κB放出の用量依存的阻害。異なる濃度の化合物54が、THP−1細胞に1時間加えられた。LPS(1μg/ml)での1時間の刺激後、EMSAアッセイでNF−κB活性を分析するための核抽出物が調製された。最上段のフレームでは、EMSAゲルへの曝露後の代表的X線フィルムが示される。ダイヤグラムは、LIPSコントロールの100%と比較してSP−1結合へ標準化させたNF−κB活性の用量依存的阻害を纏めたものである。最下段のフレームでは、SP1へのオリゴヌクレオチド結合がコントロールとして示される。
【図3a】IKK−コンプレックスの劣化が化合物73により起こる。HeLa細胞が、種々の濃度の化合物73と共にインキュベートされてから、TNFα刺激(20ng/ml)された。TNFα刺激有り又は無しの追加の2つのコントロールが分析された。細胞溶解産物中のNEMOの量が、特異的抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)でのウェスタンブロット分析により測定された。B.同じ抽出物において、IKKα/βのレベルが、特異的抗−IKKα/β−抗体(Santa Cruz)で調べられた。代表的ウェスタンブロットは、NEMOの用量依存的タンパク質分解と高い化合物73濃度でのIKK−α及びIKK−βのタンパク質分解を示す。
【図3b】化合物73によるIKKα/βのNEMO結合へのコンプレックスの崩壊。HeLa細胞が10μM及び100μMの化合物73で処理されてから、TNFα刺激(20ng/ml)された。IKK−コンプレックスが、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)とプロテインA−セファロースで、細胞質ゾル抽出物から同時沈降された。その沈降物は、特異的抗−IKKα/β−抗体で、IKKα/βタンパク質について、ウェスタンブロットで分析された。コントロールでは、免疫沈降用の非特異的ウサギ抗体で、IKKα/βとの同時沈降物は検出されなかった。化合物73は、活性化されたHeLa細胞において、IKKα/βのNEMOへの結合を用量依存的に阻害した。
【図4】化合物73の細胞透過性。細胞質ゾル抽出物が調製されて、Elisaにより分析された。化合物73は、ELISAリーダーで、450nmの波長で特性シグナルを与える。無傷HeLa細胞が100μMの化合物73で1時間処理された。ダイヤグラムは、化合物73と共にインキュベートした後の細胞質ゾル抽出物からの特性シグナルを、緩衝液中の100μMサンプルと比較して示す。未処理細胞からの細胞質ゾル抽出物がコントロールに示される。
【図5】化合物73及び54の、細胞生存度への影響。HeLa細胞が化合物73(100μM)又は化合物54(100μM)と共に3時間インキュベートされた。細胞の完全性と活性な代謝のために、WST−1試薬が加えられた。Elisaリーダーでの特性波長で吸光度が測定された。
【図6】阻害剤としての正の結果により本発明の化合物を特性決定する細胞アッセイ及び無細胞アッセイの図式的表示。
【図7】一般式(B)のIKK−阻害剤(COM73ファミリー)の化学構造。化合物COM73への構造的類似性を有するIKK−阻害剤の化学構造が比較しながら示されている。これら8化合物についてのIKK−活性阻害の効力が、方法の項で説明した通りにNEMO劣化により測定されたIKK活性の阻害率(%)で与えられている。
【図8a】COM56の、細胞性IKK−活性への阻害効果。細胞アッセイにおけるIKK活性の阻害についての化合物56の用量−応答曲線が示される。漸増する濃度のCOM56の存在下で、HeLaがTNFα(20ng/ml)で刺激された。IKK−コンプレックスが免疫沈降され、そして、IKKの活性が、方法の項に記載した通りに、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。その活性の相対的減少率は、最大蛍光計数値の%で出される。n=4の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図8b】COM73及び56の、無細胞IKK−活性への阻害効果。無細胞アッセイにおけるIKK活性の阻害についての化合物73及び56の用量−応答曲線が直接比較しながら示される。HeLa細胞がTNFα(20ng/ml)で刺激されて、IKK−コンプレックスが連続的に免疫沈降した。漸増する濃度の化合物73及び56の存在下で、無細胞アッセイ条件下、方法の項に記載した通りに、αスクリーンアッセイ(Perkin Elmer)で測定された。その活性の相対的減少率は、最大蛍光計数値の%で出される。n=2の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図9】COM73の、IκBαリン酸化への阻害効果。漸増する濃度のCOM73がIκBαのリン酸化を用量依存的に阻害する。HeLa細胞が、漸増する濃度の化合物73の存在下でTNFαで予備刺激された。細胞溶解産物のIκBリン酸化が、特異的抗リン酸化抗体及びウェスタンブロットで分析された。代表的ウェスタンブロットが示される。
【図10】化合物73の、IKK−コンプレックスの劣化への効果。IKK−コンプレックスの劣化についての化合物73の用量−応答曲線が示される。HeLa細胞が、種々の濃度の化合物73と共にインキュベートされてから、TNFα刺激された(20ng/ml)。細胞の溶解後、NEMOタンパク質の量が、特異的抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)でのウェスタンブロット分析により測定された。IKKα/βの量が、特異的抗−IKKα/β−抗体(Santa Cruz)とウェスタンブロットとで調べられた。タンパク質量が定量され、漸増する濃度のCOM73によるタンパク質の量の相対的減少率がコントロールの%で出された。n=2の実験のまとめが平均値+/−SEMとして示される。
【図11】COM56は、NEMOへのIKKα/β結合を in vitro で崩壊させる。HeLa細胞がTNFα刺激(20ng/ml)で処理された。IKKコンプレックスが、抗−NEMO−抗体(Santa Cruz)とプロテインA−セファロースで、細胞質ゾル抽出物から同時沈降された。その沈降物は化合物56と共にインキュベートされ、そのコンプレックス完全性がIKKα/βタンパク質について特異的抗体でのウェスタンブロットで分析された。化合物56は、NEMOへのIKKα/βの結合を in vitro で崩壊させた。IKKα/βタンパク質の量が未処理HeLa細胞の%で表される。
【図12】IV施与後のCOM56の血清濃度。一回IV施与後のCOM56の血清レベルが質量分析法により分析された。COM56の27.5及び55μgIV注射で、2及び20分後にかなりの血清レベルがラットにおいて測定されることができた。2つの実験の一回値が与えられている。
【図13】COM56による全身性炎症の阻害。LPS刺激前後の全身性TNFα放出が、特異的ELISAアッセイで、ラットで測定された。COM56でのラットの予備処理は、全身性TNFα放出を阻害する。n=4の実験の平均値±SEMが示される。
【図14】COM54ファミリーのIKK阻害剤の化学構造。化合物COM54と高い構造的類似性を有するIKK−阻害剤の化学構造が比較しながら示される。
【図15】IkBα−リン酸化への阻害活性の測定。異なるIKK阻害剤のIκBαリン酸化への効果が比較しながら示される。HeLa細胞が、10及び100μMの異なるIKK阻害剤の存在下でTNFαで予備刺激された。細胞溶解産物のIκBαリン酸化が、特異的抗リン酸化抗体とウェスタンブロットとで分析された。代表的ウェスタンブロットが示される。
【図16】COM54及び類似物での処理後の細胞生存度。HeLa細胞が、漸増する濃度の化合物54とその類似物と共に1日インキュベートされた。細胞完全性と活性な代謝のために、WST−1試薬が加えられた。Elisaリーダーでの特性波長で吸光度が測定され、そしてコントロールの%で出された。n=4の実験の平均値±SEMが示される。
【図17】COM68によるヒト内皮細胞における粥状動脈硬化症の阻害。HUVEC細胞におけるCOM68によるICAM発現の阻害が、IL−1及びTNFα刺激後の両方で示される。ICAM発現は、HUVEC細胞のFACS測定により測定された。n=3の実験の平均値±SEMが示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、次式(A):
【化1】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【化2】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項3】
請求項2の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項4】
請求項2又は3の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R3が水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R6及びR7が同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲン原子であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲンである、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項10】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項11】
請求項10の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項12】
請求項10又は11の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項13】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、次式(B):
【化3】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項14】
請求項13の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、式(B)における点線が両方とも二重結合である、誘導体又はその塩。
【請求項15】
請求項13又は14の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、Rが置換フェニル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、X1がOを表す、誘導体又はその塩。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、X、Y、及びZが同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボキシル基若しくはその塩を表す、誘導体又はその塩。
【請求項20】
環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体を包含する図7のCOM56。
【請求項21】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【化4】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項22】
請求項21の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が同じでも異なっていてもよくアルキル基を表すか、又は、一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項23】
請求項21又は22の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R3がハロゲン原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがカルボキシル基であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項27】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項28】
請求項27の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項29】
請求項27又は28の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項30】
医薬として使用するための次式(C):
【化5】
により表される化合物又はその塩であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【化6】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物又はその塩。
【請求項31】
請求項30の医薬として使用するための化合物又はその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【化7】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【化8】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステル。
【請求項32】
請求項31の化合物であって、A及びBが同じある化合物。
【請求項33】
請求項30又は31の化合物であって、R8が水素原子である化合物。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項の化合物であって、R9が水素原子である化合物。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1項の化合物であって、X'がOである化合物。
【請求項36】
請求項30〜35のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項37】
請求項30の化合物であって、Aが水素又はヒドロキシル基である化合物。
【請求項38】
請求項30の化合物であって、X'及びX"が酸素原子である化合物。
【請求項39】
請求項30、37又は38の化合物であって、Lがヒドロキシル基である化合物。
【請求項40】
請求項30又は37〜39のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項41】
1500ダルトン未満の分子量を有する、請求項1〜40のいずれか1項の医薬として使用するためのヘテロ環化合物であって、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として該化合物が正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなり、特に、化合物002、02、30、31、54、56、68、69、73、70及び82の群から選択される化合物。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物を活性成分として含んでなる医薬組成物。
【請求項43】
NF−κBの放出を低下させるための請求項42の医薬組成物。
【請求項44】
請求項42又は43の医薬組成物であって、炎症性疾患を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項45】
請求項42〜44のいずれか1項の医薬組成物であって、粥状動脈硬化症を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物の、医薬を製造するための使用。
【請求項47】
請求項39の使用であって、該医薬が粥状動脈硬化症を治療又は予防するための医薬である使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、次式(A):
【化1】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【化2】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項3】
請求項2の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項4】
請求項2又は3の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R3が水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R6及びR7が同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲン原子であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲンである、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項10】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項11】
請求項10の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項12】
請求項10又は11の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項13】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、次式(B):
【化3】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項14】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、式(B)における点線が両方とも二重結合である、誘導体又はその塩。
【請求項15】
請求項13又は14の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、Rが置換フェニル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、X1がOを表す、誘導体又はその塩。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、X、Y、及びZが同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボキシル基若しくは薬学的に許容できるその塩を表す、誘導体又はその塩。
【請求項20】
環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体を包含する図7の医薬として使用するためのCOM56。
【請求項21】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【化4】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項22】
請求項21の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が同じでも異なっていてもよくアルキル基を表すか、又は、一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項23】
請求項21又は22の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R3がハロゲン原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがカルボキシル基であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項27】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項28】
請求項27の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項29】
請求項27又は28の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項30】
医薬として使用するための次式(C):
【化5】
により表される化合物又は薬学的に許容できるその塩であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【化6】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物又はその塩。
【請求項31】
請求項30の医薬として使用するための化合物又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【化7】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【化8】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステル。
【請求項32】
請求項31の化合物であって、A及びBが同じある化合物。
【請求項33】
請求項30又は31の化合物であって、R8が水素原子である化合物。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項の化合物であって、R9が水素原子である化合物。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1項の化合物であって、X'がOである化合物。
【請求項36】
請求項30〜35のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項37】
請求項30の化合物であって、Aが水素又はヒドロキシル基である化合物。
【請求項38】
請求項30の化合物であって、X'及びX"が酸素原子である化合物。
【請求項39】
請求項30、37又は38の化合物であって、Lがヒドロキシル基である化合物。
【請求項40】
請求項30又は37〜39のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項41】
1500ダルトン未満の分子量を有する、請求項1〜40のいずれか1項の医薬として使用するためのヘテロ環化合物又は薬学的に許容できるであって、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として該化合物が正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなり、特に、化合物002、02、30、31、54、56、68、69、73、70及び82の群から選択される化合物。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物を活性成分として含んでなる医薬組成物。
【請求項43】
NF−κBの放出を低下させるための請求項42の医薬組成物。
【請求項44】
請求項42又は43の医薬組成物であって、炎症性疾患を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項45】
請求項42〜44のいずれか1項の医薬組成物であって、粥状動脈硬化症を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物の、医薬を製造するための使用。
【請求項47】
請求項39の使用であって、該医薬が粥状動脈硬化症を治療又は予防するための医薬である使用。
【請求項1】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、次式(A):
【化1】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【化2】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項3】
請求項2の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項4】
請求項2又は3の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R3が水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R6及びR7が同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲン原子であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲンである、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項10】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項11】
請求項10の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項12】
請求項10又は11の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項13】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、次式(B):
【化3】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項14】
請求項13の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、式(B)における点線が両方とも二重結合である、誘導体又はその塩。
【請求項15】
請求項13又は14の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、Rが置換フェニル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、X1がOを表す、誘導体又はその塩。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項の5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩であって、X、Y、及びZが同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボキシル基若しくはその塩を表す、誘導体又はその塩。
【請求項20】
環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体を包含する図7のCOM56。
【請求項21】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【化4】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項22】
請求項21の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が同じでも異なっていてもよくアルキル基を表すか、又は、一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項23】
請求項21又は22の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R3がハロゲン原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Xがカルボキシル基であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項27】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項28】
請求項27の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項29】
請求項27又は28の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又はその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項30】
医薬として使用するための次式(C):
【化5】
により表される化合物又はその塩であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【化6】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物又はその塩。
【請求項31】
請求項30の医薬として使用するための化合物又はその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【化7】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【化8】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステル。
【請求項32】
請求項31の化合物であって、A及びBが同じある化合物。
【請求項33】
請求項30又は31の化合物であって、R8が水素原子である化合物。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項の化合物であって、R9が水素原子である化合物。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1項の化合物であって、X'がOである化合物。
【請求項36】
請求項30〜35のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項37】
請求項30の化合物であって、Aが水素又はヒドロキシル基である化合物。
【請求項38】
請求項30の化合物であって、X'及びX"が酸素原子である化合物。
【請求項39】
請求項30、37又は38の化合物であって、Lがヒドロキシル基である化合物。
【請求項40】
請求項30又は37〜39のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項41】
1500ダルトン未満の分子量を有する、請求項1〜40のいずれか1項の医薬として使用するためのヘテロ環化合物であって、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として該化合物が正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなり、特に、化合物002、02、30、31、54、56、68、69、73、70及び82の群から選択される化合物。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物を活性成分として含んでなる医薬組成物。
【請求項43】
NF−κBの放出を低下させるための請求項42の医薬組成物。
【請求項44】
請求項42又は43の医薬組成物であって、炎症性疾患を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項45】
請求項42〜44のいずれか1項の医薬組成物であって、粥状動脈硬化症を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物の、医薬を製造するための使用。
【請求項47】
請求項39の使用であって、該医薬が粥状動脈硬化症を治療又は予防するための医薬である使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、次式(A):
【化1】
により表され、
式中、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、次式(I):
【化2】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R6及びR7は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
アルキル基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項3】
請求項2の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項4】
請求項2又は3の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R3が水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R6及びR7が同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲン原子であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがハロゲンである、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項10】
請求項1の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項11】
請求項10の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項12】
請求項10又は11の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項13】
医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、次式(B):
【化3】
により表され、
式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
Rは、置換されていてもよいフェニル又はピリジル基を表し;
R4は、
ヒドロキシル基、
アミノ基、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基、
ジアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X1は、O、S、又はNHを表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
ニトロ基、
シアノ基、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩。
【請求項14】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、式(B)における点線が両方とも二重結合である、誘導体又はその塩。
【請求項15】
請求項13又は14の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、Rが置換フェニル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、X1がOを表す、誘導体又はその塩。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩であって、X、Y、及びZが同じでも異なっていてもよく、水素原子又はカルボキシル基若しくは薬学的に許容できるその塩を表す、誘導体又はその塩。
【請求項20】
環外二重結合に関してのあらゆる幾何異性体を包含する図7の医薬として使用するためのCOM56。
【請求項21】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、次式(II):
【化4】
により表され、
式中、
R1及びR2は、同じでも異なっていてもよく、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
直鎖状又は分枝状アルケニル基、
シクロアルキル基、
アリール基
を表すか、又は、R1及びR2は、一緒になってアルキレン基を形成することができ;
R3は、
水素原子、
ハロゲン原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
R4は、
直鎖状又は分枝状アルコキシ基、
直鎖状又は分枝状アルキル基、
シクロアルコキシ基、
アルキルアミノ基、
シクロアルキルアミノ基
を表し、
R5は、
水素原子、
直鎖状又は分枝状アルキル基
を表し、
X、Y、及びZは、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
カルボキシル基、
ハロゲン原子、
ニトロ基、
シアノ基、又は
アシル基
を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項22】
請求項21の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R1及びR2が同じでも異なっていてもよくアルキル基を表すか、又は、一緒になってアルキレン基を形成する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項23】
請求項21又は22の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R3がハロゲン原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R4が直鎖状又は分枝状アルコキシ基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、R5が直鎖状又は分枝状アルキル基を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1項の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Xがカルボキシル基であり、Y及びZが水素原子を表す、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項27】
請求項13の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rにより表されるフェニル基又はピリジル基が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルオキシ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状ジ−C1-6アルキルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニルアミノ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される1〜3の置換基により置換されている、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項28】
請求項27の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、Rがフェニル基である、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項29】
請求項27又は28の医薬として使用するための5H−チアゾロ[3,2]ピリミジン誘導体又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、ハロゲン原子又はアルコキシ基から選択される1〜3の置換基が存在する、誘導体又はその塩又はそのエステル。
【請求項30】
医薬として使用するための次式(C):
【化5】
により表される化合物又は薬学的に許容できるその塩であって、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、直鎖状又は分枝状C1-6アルキル基、直鎖状又は分枝状C1-6アルコキシ基、直鎖状又は分枝状C1-7アルキルカルボニル基、直鎖状又は分枝状C1-7アルコキシカルボニル基、又は直鎖状又は分枝状C1-6アルキルアミノ基であるか、又は、次式(1−1)
【化6】
[式中、
点線は、独立に、単結合又は二重結合を表し、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'及びX"は、独立に、O又はSを表し、
Wは、水素原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
L、L'及びL"は、同じでも異なっていてもよく、
水素原子、
ヒドロキシ基、
アルキル基、
アルコキシ基、
ハロゲン原子、
カルボキシル基、
アルキルカルボニル基、
アルコキシカルボニル基、
アミノ基、
アルキルアミノ基、又は
ジアルキルアミノ基
を表し、但し、A及びBの少なくとも1が式(1−1)により表される、化合物又はその塩。
【請求項31】
請求項30の医薬として使用するための化合物又は薬学的に許容できるその塩又はそのエステルであって、該化合物が、次式(III):
【化7】
により表され、
式中、
A及びBは、同じでも異なっていてもよく、次式
【化8】
[式中、
R8及びR9は、独立に、水素原子又はC1-6アルキル基を表し、
X'は、O又はSを表し、
Wは、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、又は式−COZ'R10(Z'はO又はS又はNHであり、そしてR10はC1-6アルキル基である)の基である。]により表され;そして、
Lは、
水素原子、
アルキル基、
アルコキシ基、又は
ハロゲン原子
を表す、化合物又はその塩又はそのエステル。
【請求項32】
請求項31の化合物であって、A及びBが同じある化合物。
【請求項33】
請求項30又は31の化合物であって、R8が水素原子である化合物。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項の化合物であって、R9が水素原子である化合物。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1項の化合物であって、X'がOである化合物。
【請求項36】
請求項30〜35のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項37】
請求項30の化合物であって、Aが水素又はヒドロキシル基である化合物。
【請求項38】
請求項30の化合物であって、X'及びX"が酸素原子である化合物。
【請求項39】
請求項30、37又は38の化合物であって、Lがヒドロキシル基である化合物。
【請求項40】
請求項30又は37〜39のいずれか1項の化合物であって、Wがニトロ基である化合物。
【請求項41】
1500ダルトン未満の分子量を有する、請求項1〜40のいずれか1項の医薬として使用するためのヘテロ環化合物又は薬学的に許容できるであって、IKK−βによるIkBリン酸化の阻害を同定するための無細胞スクリーニング方法における阻害剤として該化合物が正の結果を与えるものであり、該方法が、次の段階:
(a)機能性IKK−コンプレックスを含有する組成物を提供する段階;
(b)IkBのIKK−βリン酸化ドメインを含んでなる基質ペプチドを、該化合物の存在下、予め決められた条件下で、段階(a)の機能性IKK−コンプレックスによるリン酸化に付する段階;
(c)段階(b)の該リン酸化された基質ペプチドを、予め決められた条件下で、該基質ペプチドのIKK−βリン酸化ドメインに特異的な抗体と反応させる段階;
(d)特異的に結合した抗体の量が、該化合物の存在に起因して、該化合物が存在しない場合に比較して低いときに、該化合物を阻害剤として特定する段階
を含んでなり、特に、化合物002、02、30、31、54、56、68、69、73、70及び82の群から選択される化合物。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物を活性成分として含んでなる医薬組成物。
【請求項43】
NF−κBの放出を低下させるための請求項42の医薬組成物。
【請求項44】
請求項42又は43の医薬組成物であって、炎症性疾患を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項45】
請求項42〜44のいずれか1項の医薬組成物であって、粥状動脈硬化症を予防又は治療するのに有効である医薬組成物。
【請求項46】
請求項1〜41のいずれか1項の化合物の、医薬を製造するための使用。
【請求項47】
請求項39の使用であって、該医薬が粥状動脈硬化症を治療又は予防するための医薬である使用。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1b】
【図2a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−521327(P2006−521327A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504880(P2006−504880)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003246
【国際公開番号】WO2004/084907
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502294035)トリゲン ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003246
【国際公開番号】WO2004/084907
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502294035)トリゲン ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
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