説明

NK−3受容体の調節剤としてのアルキルピリジルキノリン

式I
【化1】


(式中、R1、A、R2、R3、R4、R5、n、mおよびpは本明細書で定義された通りである)の化合物、その薬学的に許容しうる塩、製造法、それらを含有する医薬組成物およびそれらの使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキルピリジルキノリン誘導体、それらを含有する医薬組成物、中枢神経系および末梢の疾患または障害の治療におけるそのような化合物の使用に関する。本発明はまた、他のCNS剤の作用を増強する1種またはそれ以上の該他のCNS剤と組合せたそのような化合物の使用に関する。本発明の化合物はまた、細胞表面受容体を局在化させるためのプローブとして有用である。
【背景技術】
【0002】
タキキニン受容体は“タキキニン”と総称されるP物質(SP)、ニューロキニンA(NKA)およびニューロキニンB(NKB)を含む構造的に関連するペプチドファミリーの標的である。タキキニンは中枢神経系(CNS)および末梢組織で合成され、そこで様々な生物活性を発揮する。ニューロキニン−1(NK−1)、ニューロキニン−2(NK−2)およびニューロキニン−3(NK−3)受容体と名付けられた3種のタキキニン受容体が知られている。NK−1およびNK−2受容体はいろいろな末梢組織で発現し、さらにNK−1受容体はCNSでも発現するが、NK−3受容体は主にCNSで発現する。
【0003】
ニューロキニン受容体はCNSおよび末梢の興奮性神経シグナル(例えば疼痛シグナル)の伝達、平滑筋収縮活性の調節、免疫応答および炎症反応の調節、末梢血管系の拡張による血圧低下作用の誘発、並びに内分泌腺および外分泌腺の分泌刺激を含むタキキニンが刺激する様々な生物学的作用を仲介する。
【0004】
CNSにおいて、 NK−3受容体の活性化はドーパミン、アセチルコリンおよびセロトニンの放出を調節することがわかっており、このことは不安、うつ病、統合失調および肥満を含む様々な疾患の治療におけるNK−3リガンドの治療的有用性を示唆している。霊長類の脳での研究から、これらの疾患に関連する様々な領域におけるNK−3 mRNAの存在がわかっている。ラットでの研究から、外側視床下部および不確帯においてMCHを含有する神経細胞に NK−3受容体が存在することがわかっており、このことはまた肥満に対するNK−3リガンドの治療的有用性を示唆している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非ペプチドリガンドはそれぞれのタキキニン受容体に対して開発されているが、知られている非ペプチド NK−3受容体アンタゴニストには多くの適切な疾患モデルでこれらの化合物の評価につながる可能性を制限する種選択性のような幾つかの問題がある。したがって、新規な非ペプチド NK−3受容体リガンドとして望ましいものは、治療剤として、またNK−3受容体の調節の生物学的効果を調べるツールとして使用するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
NK−3受容体(NK−3r)に対して親和性を有する化合物、特にキノリン誘導体が開示されている。これらの化合物は NK−3受容体の活性の調節が有益であるうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患(過敏性腸症候群および炎症性腸疾患を含む)、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)を含むがこれらに限定されない広範囲の疾患、障害および状態の治療の可能性を有する。
【0007】
NK−3受容体のリガンドである式I
【化1】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、およびその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、および薬学的に許容しうる塩が開示されている。
【0008】
本化合物を含有する医薬組成物および製剤、疾患および状態を治療するためにそれらを単独で、または治療的に活性な化合物もしくは物質と組合せて使用する方法、それらを製造するために使用される方法および中間体、それらの医薬としての使用、医薬の製造におけるそれらの使用、並びに診断および分析目的でのそれらの使用もまた開示されている。特に、本化合物、それらを含有する組成物、並びに NK−3受容体が関与すると考えられている広範囲の疾患または障害と関係がある状態および障害を治療または予防するためにそれらを使用する方法が開示されている。
【0009】
本発明の化合物は式I
【化2】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の 二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、その立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、および薬学的に許容しうる塩である。
【0010】
特定の化合物は:
Aはフェニルであり;
R1はC1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
R2はH、ハロゲンおよび未置換C1-6アルコキシ−から選択され;
R3はHまたはハロゲンであり;
nおよびmは共に1であり;そして
R1がアルキルまたはシクロアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CNおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する化合物、その立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体および薬学的に許容しうる塩である。
【0011】
他の特定の化合物は:
Aはフェニルであり;
R1はC1-4アルキル−およびC3-6シクロアルキル−から選択され;
R2はH、ハロゲンおよび未置換C1-6アルコキシ−から選択され;
R3はHまたはハロゲンであり;
nおよびmは共に1であり;
R4はピリド−4−イル、ピリド−3−イルおよびピリド−2−イルから選択され;そして
R5はHである化合物、その立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体および薬学的に許容しうる塩である。
【0012】
さらに他の特定の化合物は:
Aはフェニルであり;
R1は−エチルまたはシクロプロピルであり;
R2はH、Fおよび−OCH3から選択され;
R3はHまたはFであり;
n、m、pおよびqはそれぞれ1であり;
R4はピリド−4−イル、ピリド−3−イルおよびピリド−2−イルから選択され;そして
各存在でのR5は独立してH、−OHおよびハロゲンから選択される化合物、その立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体および薬学的に許容しうる塩である。
【0013】
さらに他の特定の本発明の化合物は式II
【化3】

(式中、R1、A、R2、n、R3、m、R4、R5およびqは式Iで定義された通りである)の化合物、その立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体および薬学的に許容しうる塩である。
【0014】
特定の化合物は:
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;および
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル、
それらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体および薬学的に許容しうる塩から選択される。
【0015】
本発明の化合物は既知化合物よりも可溶性であり、容易に吸収され、生体内で有効であり、副作用が少なく、毒性が低く、強力であり、選択的であり、作用時間が長く、代謝されにくく、および/もしくは良好な薬物動態特性を持ち、または他の有用な薬理学的もしくは物理化学的特性を持つという利点を有する。本明細書で開示した機能活性のアッセイを使用して、本発明の化合物は NK−3受容体に対して約1μM未満のIC50を有することがわかり、多くの化合物はそのような受容体に対して約100nM未満のIC50を有することがわかる。
【0016】
略語および定義
特に断りがなければ、本明細書で使用される「C1-6アルキル」は単独または他の基の一部であるメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、s−ブチル部分を包含するが、これらに限定されず、アルキル基は直鎖状または分枝状である。
【0017】
特に断りがなければ、本明細書で使用される「C1-6アルコキシ」は単独または他の基の一部である−O−メチル、−O−エチル、−O−n−プロピル、−O−n−ブチル、−O−i−プロピル、−O−i−ブチル、−O−t−ブチル、−O−s−ブチル部分を包含するが、これらに限定されず、アルコキシ基は直鎖状または分枝状である。
【0018】
本明細書で使用される「C3-6シクロアルキル基」は環状アルキル部分のシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含するが、これらに限定されない。
【0019】
特に断りがなければ、本明細書で使用される「C2-6アルケニル」は1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルおよび3−ブテニルを包含するが、これらに限定されない。
【0020】
特に断りがなければ、本明細書で使用される「C2-6アルキニル」はエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルおよび3−ブチニルを包含するが、これらに限定されない。
【0021】
特に断りがなければ、本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0022】
本明細書で使用される「アリール」はフェニルおよびナフチルを包含する。
【0023】
本明細書で使用される「芳香族または非芳香族複素環」はN−またはC−結合したフリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピロリジニル、チアゾリル、チオフェニル、ピロリル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、インダニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾチアゾリルを包含するが、これらに限定されない。
【0024】
DCMはジクロロメタンを意味し;
EtOAcは酢酸エチルを意味し;
EDCは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを意味し;
EDTAはエチレンジアミン四酢酸を意味し;
HEPESは4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸モノナトリウム塩を意味し、そしてTEAはトリエチルアミンを意味する。
【0025】
本明細書で開示した方法において、必要ならば、標準テキストのGreeneおよびWutsの「有機合成の保護基」, 第3版(1999年)に記載されているような保護基を使用してヒドロキシ、アミノまたは他の反応性基を保護することができる。
【0026】
特に断りがなければ、反応は不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で行なわれ、通常は約1〜約3気圧、好ましくは大気圧(約1気圧)の圧力下で行なわれる。
【0027】
本発明の化合物および中間体はそれらの反応混合物から標準法により単離することができる。
【0028】
式Iの化合物の酸付加塩の例として鉱酸の塩、例えば塩酸塩および臭化水素酸塩;並びに有機酸と形成される塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩およびフマル酸塩が挙げられる。
【0029】
式Iの化合物の酸付加塩は遊離塩基または塩、そのエナンチオマーまたは保護誘導体を1当量以上の適切な酸と反応させることにより製造することができる。反応は塩が不溶性である溶媒もしくは媒質、または塩が可溶性である溶媒、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル、または溶媒の混合物中で行なうことができ、それは真空で、または凍結乾燥により除去することができる。反応は複分解工程であってよく、またはイオン交換樹脂上で行なうことができる。
【0030】
特定の式Iの化合物は互変異性体またはエナンチオマーとして存在することができ、それらはすべて本発明の範囲内に含まれる。様々な光学異性体は従来の方法を使用して、例えば分別結晶またはキラルHPLCにより本化合物のラセミ混合物を分離することにより単離することができる。別法として、個々のエナンチオマーはラセミ化を引き起こさない反応条件下で適切な光学的に活性な出発物質を反応させることにより製造することができる。
【0031】
合成およびスキーム
式Iの化合物は次のようにして一般法により製造することができる。ピリジニル−アルカノールをJones試薬のような酸化剤と反応させてカルボキシアルキルピリジンを得;該カルボキシアルキルピリジンをジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンズトリアゾールのような適するカップリング剤系の存在下でN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩のようなアミンと反応させてN−メトキシ−N−メチル−ピリジルアルキルアミドを得;該N−メトキシ−N−メチル−ピリジルアルキルアミドを臭化フェニルマグネシウムのようなGrignard試薬と反応させてフェニル−ピリジル−アルカノンを得;該フェニル−ピリジル−アルカノンをエタノール中、水酸化カリウムの存在下、約80〜100℃の高温でイサチンと反応させてフェニル−ピリジニル−アルキル−キノリン−4−カルボン酸を得;該フェニル−ピリジニル−アルキル−キノリン−4−カルボン酸をジシクロヘキシルカルボジイミドおよびヒドロキシベンゾトリアゾール、または他の適切な脱水剤系の存在下で適切なアミンと反応させて式Iの化合物を得る。
【0032】
特定の式Iの化合物を生成する典型的な方法をスキーム1に示す:
【化4】

【0033】
すなわち、スキーム1に示されるように、3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オールとCrO3(Jones試薬)のような酸化剤との反応により3−ピリジン−4−イル−プロピオン酸が得られ、それをジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールのような適切なカップリング剤系の存在下でN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させてN−メトキシ−N−メチル−3−ピリジン−4−イル−プロピオンアミドを得ることができる。この物質を臭化フェニルマグネシウムのようなGrignard試薬と反応させて1−フェニル−3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オンを得ることができる。この物質をエタノール中、水酸化カリウムの存在下、約80〜100℃の高温でイサチンと反応させて2−フェニル−3−ピリジン−4−イル−メチル−キノリン−4−カルボン酸を得ることになる。得られる物質をジシクロヘキシルカルボジイミドおよびヒドロキシベンゾトリアゾール、または他の適切な脱水剤系の存在下で1−フェニル−プロピルアミンと反応させて2−フェニル−3−ピリジン−4−イル−メチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミドを得ることができる。
【0034】
一般に、式Iの化合物は構造式
【化5】

の酸を構造式
【化6】

のアミンとジシクロヘキシルカルボジイミドおよびヒドロキシベンズトリアゾールの存在下で反応させることによりカップリングさせて式Iの化合物を得ることにより製造することができる。
【0035】
他の側面において、本発明は1個またはそれ以上の原子が 同一元素の放射性同位体である本明細書で開示された化合物に関する。本発明のこの側面の形態において、化合物はトリチウムで標識される。そのような放射性標識化合物は放射性標識した出発物質を結合させることにより、またはトリチウムの場合、既知方法により水素をトリチウムと交換することにより合成される。既知方法には(1) 求電子的にハロゲン化し、次にトリチウム源の存在下でハロゲンを還元する、例えばパラジウム触媒の存在下、トリチウムガスで水素化する方法、または(2) トリチウムガスおよび適当な有機金属(例えばパラジウム)触媒の存在下で水素をトリチウムと交換する方法がある。
【0036】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、アゴニスト作用、部分アゴニスト作用、またはアンタゴニスト作用により NK−3受容体と結合し、その活性を調節する新規な薬用化合物の発見に有用である。このようなトリチウムで標識された化合物はこのような化合物の置換を測定して NK−3受容体と結合するリガンドの結合能力を評価するアッセイで使用することができる。
【0037】
他の側面において、本発明は1個またはそれ以上の原子の放射性同位体を追加的に含有する本明細書で開示された化合物に関する。本発明のこの側面の特定の形態において、化合物は放射性ハロゲンを含有する。このような放射性標識化合物は放射性標識した出発物質を既知方法で結合させることにより合成される。本発明のこの側面の特定の実施態様は放射性同位体が18F、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brまたは82Brから選択されるものである。本発明のこの側面の最も格別な実施態様は放射性同位体が18Fである化合物である。このような1個またはそれ以上の原子の放射性同位体を含有する化合物はポジトロン放射断層撮影法(PET)のリガンドとして、また他の用途やNK3受容体の部位を測定する方法において有用である。
【0038】
化合物の治療的使用:
他の側面において、本発明は本明細書で開示された式Iの化合物、並びにこのような化合物の治療および治療に有用な組成物における使用に関する。
【0039】
他の側面において、本発明にはNK−3受容体の作用を通して仲介される疾患の治療における本明細書で開示された化合物の使用が包含される。このような側面はNK−3受容体の調節が有益である疾患または状態を治療または予防する方法を包含し、当該方法は前記疾患または状態に罹患している対象(subject)に治療的に有効な量の本発明の拮抗化合物を投与することを含む。
【0040】
本発明のこの側面の一実施態様は疾患がうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患(過敏性腸症候群および炎症性腸疾患を含む)、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌または精巣癌を含む)であり、薬理学的に有効な量の式Iの化合物を必要な患者に投与することを含む疾患を治療または予防する方法である。
【0041】
本発明のさらなる側面はNK−3受容体の調節が有益である疾患または状態の治療または予防のための本発明の化合物、そのエナンチオマー または薬学的に許容しうる塩の使用である。治療することができる特定の疾患および状態はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患(過敏性腸症候群および炎症性腸疾患を含む)、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)である。さらに特定の実施態様は不安、うつ病、統合失調症および肥満の治療または予防のための化合物の使用を包含する。本発明のさらなる側面は本明細書で挙げた疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物、そのエナンチオマーまたは薬学的に許容しうる塩の使用である。
【0042】
本発明のこの側面の特定の実施態様はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患(過敏性腸症候群および炎症性腸疾患を含む)、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用である。
【0043】
医薬組成物
本発明の化合物、そのエナンチオマーおよび 薬学的に許容しうる塩は単独で、または経腸もしくは非経口に適した医薬製剤の形態で使用することができる。本発明のさらなる側面によれば、好ましくは80質量%未満、より好ましくは50質量%未満の本発明の化合物を、不活性な薬学的に許容しうる賦形剤、滑沢剤または担体と混合して含有する医薬組成物が提供される。
【0044】
賦形剤、滑沢剤および担体の例は:
- 錠剤および糖衣錠の場合:ラクトース、スターチ、タルク、ステアリン酸;
- カプセル剤の場合:酒石酸またはラクトース;
- 注射用液剤の場合:水、アルコール、グリセリン、植物油;
- 坐剤の場合:天然油、硬化油またはワックスである。
【0045】
このような医薬組成物の製造法もまた提供され、当該方法は各成分を互いに混合または調剤し、その混合した成分を錠剤もしくは坐剤に成形する、各成分をカプセルに封入する、または各成分を溶解して注射用液剤を製造することを含む。
【0046】
薬学的に許容しうる誘導体は溶媒和物および塩を包含する。例えば、本発明の化合物はマレイン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸およびメタンスルホン酸を含む従来の薬学的に許容しうる酸のような酸と酸付加塩を形成することができる。
【0047】
式Iの化合物の酸付加塩の例として鉱酸の塩、例えば塩酸塩および臭化水素酸塩;並びに有機酸と形成される塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩およびフマル酸塩が挙げられる。式Iの化合物の酸付加塩は遊離塩基または塩、そのエナンチオマーまたは保護誘導体を1当量以上の適切な酸と反応させることにより形成することができる。反応は塩が不溶性である溶媒もしくは媒質、または塩が可溶性である溶媒、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル、または溶媒の混合物中で行なうことができ、それは真空で、または凍結乾燥により除去することができる。反応は複分解工程であってよく、またはイオン交換樹脂上で行なうことができる。
【0048】
本明細書で挙げた使用、方法、医薬および組成物に関して、使用される化合物の量および投与量はもちろん、使用される化合物、その投与方法および所望の治療に応じて変動する。しかしながら、一般に、本発明の化合物が動物の体重1kgあたり約0.1mg〜約20mgの1日量で投与されると満足ゆく結果が得られる。このような用量は1日に1〜4回の分割された用量で、または徐放性形態で投与することができる。人間の場合、1日の全投与量は5mg〜1,400mg、より好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、経口投与に適した単位投与形態は2mg〜1,400mgの化合物を固体または液体の薬用担体、滑沢剤および賦形剤と混合して含有する。
【0049】
幾つかの本発明の化合物は互変異性体、エナンチオマー、立体異性体または幾何異性体で存在することができ、それらはすべて本発明の範囲内に含まれる。様々な光学異性体は従来の技術、例えば分別結晶またはキラルHPLCを使用して本化合物のラセミ混合物を分離することにより単離することができる。別法として、個々のエナンチオマーはラセミ化を引き起こさない反応条件下で適切な光学的に活性な出発物質を反応させることにより製造することができる。
【0050】
典型的な本発明の化合物はスキーム1で説明した方法と同様にして製造することができる。当業者ならば、多くの適するアミン、酸塩化物およびカルボン酸を使用して式Iのような本明細書で開示された主題の範囲内の化合物を製造することができることは容易に理解できよう。
【0051】
典型的な化合物
典型的な化合物および製造法を理解を明確にするための例示および実施例とすることにより、本発明を詳細に説明する。しかしながら、当業者にとって本発明の化合物、製造法および使用方法の教示を考慮して本発明の趣旨または範囲を逸脱することなくそれらの修飾および変更をなし得ることができることは明らかである。
【0052】
典型的な化合物:
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
〔実施例37〕
2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]−3−(ピリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボキサミド(1)
【化7】

【0061】
実施例37の化合物を次のスキームに従って製造した:
【化8】

【0062】
(a) N−メトキシ−N−メチル−3−ピリジン−4−イル−プロピオンアミド
【化9】

N,N−ジメチルホルムアミド(75mL)中の3−ピリジン−4−イルプロピオン酸(3.91g、25.8ミリモル)およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.49g、25.8ミリモル)の混合物にN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.33g、25.8ミリモル)を加えた。混合物を4時間撹拌した後、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.78g、38.8ミリモル)およびトリエチルアミン(9mL、64.6ミリモル)を加え、得られたスラリーをリストシェーカーで一晩混合した。水(10mL)を加えて混合物をクエンチし、70℃で加熱しながら減圧下で濃縮して殆んどのN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。得られたスラリーを1M HClで酸性にしたものを塩化メチレンおよび水間で分配した。水層を1M NaOHを加えて塩基性にし、塩化メチレンで抽出した。有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、濃縮して油状物を得、それを塩化メチレン中の0.5%〜10%メタノールのグラジエント溶離を使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して生成物を油状物(3.27g、17ミリモル)として得た。1H NMR (300MHz, CDCl3) δ8.50 (d, J=5.7 Hz, 2H), 7.16 (d, J=5.8 Hz, 2H), 3.64 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 2.97 (t, J=7.6 Hz, 2H), 2.76 (t, J=7.5 Hz, 3H)。
【0063】
(b) 1−フェニル−3−ピリジン−4−イルプロパン−1−オン
【化10】

テトラヒドロフラン(150mL)中のN−メトキシ−N−メチル−3−ピリジン−4−イルプロピオンアミドの冷却(−78℃) 溶液に臭化フェニルマグネシウム(3M、9.5mL)の溶液を5分間で加えた。溶液を4℃まで加温し、1時間撹拌した。この後、溶液を−78℃まで冷却し、さらに臭化フェニルマグネシウム(3M、9.5mL)を加えた。溶液を4℃まで加温および撹拌し、さらに1時間撹拌した。これに飽和塩化アンモニウム(30mL)を加え、室温まで加温し、pHを8.8に調整した。混合物をジエチルエーテルで抽出し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、濃縮してオレンジ色の油状物を得、それを塩化メチレン中の0.5%〜5%メタノールのグラジエント溶離を使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して生成物を黄色の泡状固体(1.58g、7.5ミリモル)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.51 (d, J=4.7 Hz, 2H), 7.95 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.58 (t, J=7.4 Hz, 1H), 7.47 (t, J=6.7 Hz, 2H), 7.19 (d, J=5.8 Hz, 2H), 3.33 (t, J=7.5 Hz, 2H), 3.08 (t, J=7.4 Hz, 2H)。LRMS m/z 212.1。
【0064】
(c) 2−フェニル−3−(ピリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボン酸
【化11】

エタノール(3mL)中の1−フェニル−3−ピリジン−4−イルプロパン−1−オン(150mg、0.71ミリモル)、イサチン(105mg、0.71ミリモル)およびKOH(120mg、2.1ミリモル)の混合物を密封管中、100℃で1.5時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、水で希釈し、次にpHを3.0に調整した。得られた混合物の上澄みを水およびアセトニトリル(0.1%TFAを含有する)でグラジエント溶離する逆相HPLCにより精製してトリフルオロ酢酸塩の生成物を粘着性のある黄色の粉末(60mg、0.18ミリモル)として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO) δ8.58 (d, J=5.6 Hz, 2H), 8.11 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.97−7.86 (m, 2H), 7.77 (t, J=7.6 Hz, 1H), 7.35 (s, 7H), 4.44 (s, 2H)。LRMS m/z 341.1。
【0065】
表題化合物(1)を製造するために、2−フェニル−3−(ピリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩の溶液を1M HClに溶解し、減圧下で濃縮し、水およびアセトニトリルの混合物に再溶解し、凍結乾燥して2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸塩酸塩を得た。テトラヒドロフラン(3mL)中のこの物質(100mg、0.29ミリモル)および塩化チオニル(26μL、0.35ミリモル)の溶液を1時間撹拌した。この後、トリエチルアミン(123μL、0.88ミリモル)および(S)−1−フェニル−プロピルアミン(79mg、0.59ミリモル)を加え、混合物を密封管中、70℃で3時間加熱した。混合物を濃縮し、水およびアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含有する)でグラジエント溶離する逆相HPLCにより精製して生成物をビス−トリフルオロ酢酸塩として得た。1H NMR (300MHz、DMSO、アトロプ異性体の混合物;ピーク積分を報告していない) δ9.42 (d, J=8.3Hz), 9.17 (d, J=11.8Hz), 8.89 (d, J=8.9 Hz), 8.47 (d, J=6.1 Hz), 8.39 (d, J=6.1 Hz), 8.23 (s), 8.11−7.99 (m), 7.99−7.76 (m), 7.50−6.89 (m), 5.05−4.96 (m), 4.36 (s), 1.82−1.68 (m), 1.86−1.65 (m), 1.27−1.15 (m), 1.01−0.95 (m), 0.81−0.73 (m)。HRMS m/z 458.2201、計算値(C31H27N3Oとして)458.2232。
【0066】
生物学的試験
NK−3受容体の結合活性:
一般に、NK−3rの結合活性はKrauseらのProc. Natl. Acad. Sci. USA 94:310-315,1997に記載のようにして行なわれるアッセイを使用して評価することができる。標準的な方法を使用してNK−3rの相補的DNAをヒト視床下部RNAからクローニングする。受容体のcDNAを、チャイニーズハムスター卵巣細胞株にトランスフェクションされた適切な発現ベクターに挿入し、そして安定に発現するクローン細胞株を単離し、特性決定して実験に使用できる。
【0067】
細胞を当業者に知られている技術により組織培養培地で増殖させ、低速遠心分離により回収する。細胞ペレットを均質化し、すべての細胞膜を高速遠心分離により単離し、緩衝生理食塩水中で再懸濁する。一般に、受容体結合アッセイは適切な量の精製した膜標本を試験化合物の存在下または不存在下で125I−メチルPhe7−ニューロキニンBと一緒にインキュベートすることにより行なうことができる。膜タンパク質は急速ろ過により採取することができ、そして放射能はβ−プレートシンチレーションカウンターで定量することができる。非特異的結合は適切な対照を使用することにより特異的結合と区別することができ、そして化合物の発現した受容体に対する親和性は様々な濃度の化合物を使用することにより測定することができる。
【0068】
クローン化したNK−3受容体がトランスフェクションされたCHO細胞の膜の調製:
ヒトNK−3受容体遺伝子を他のヒトNK受容体について記載された方法(AharonyらのMol. Pharmacol. 45:9-19,1994;CacceseらのNeuropeptides 33, 239-243,1999)と同様にしてクローン化した。クローン化したNK−3受容体のDNA配列はコード配列のヌクレオチド1320でT>Cサイレント一塩基変異を有する公表された配列 (BuellらのFEBS Letts. 299, 90-95,1992;HuangらのBiochem. Biophys. Res. Commun. 184, 966-972,1992)と異なる。変異がサイレントであるため、クローン化遺伝子は、公表された配列と同一であるコード化NK−3受容体タンパク質の一次アミノ酸配列を与える。受容体のcDNAを使用して標準法でCHO−K1細胞をトランスフェクションし、そして受容体を安定に発現するクローンを単離し、特性決定した。これらの細胞の原形質膜を文献(Aharonyら、1994年)に記載のように調製した。
【0069】
細胞を採取し、遠心分離して培地を除去した。ペレット化した細胞を50mMのトリス−HCl(pH7.4)、120mMのNaCl、5mMのKCl、10mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤(0.1mg/mlの大豆トリプシン阻害剤および1mMのヨードアセトアミド)からなる緩衝液中で均質化した(Brinkman Polytron、氷上で15秒間のバーストを3回)。ホモジネートを4℃で40,000×gで10分間遠心して細胞残屑を除去した。ペレットを均質化緩衝液で1回洗浄した。上澄みを合一し、4℃で40,000×gで20分間遠心した。膜を含有するペレットを前記のようにPolytronで均質化した。懸濁液を4℃で40,000×gで20分間遠心し、緩衝液(3mMのMgCl2、30mMのKClおよび100μMのチオルファンを含有する20mMのHEPES、pH7.4)に再懸濁し、タンパク質濃度を測定した。次に、0.02%BSAを含有する緩衝液で膜懸濁液を3mg/mlに希釈し、そして急速冷凍した。試料を使用するまで−80℃で保存した。
【0070】
NK−3受容体の結合活性アッセイ:
[125I]−MePhe7−NKBを使用する受容体結合アッセイ法はAharonyらのJ.Pharmacol. Exper. Ther., 274,1216〜1221(1995年)に記載の方法を変更した。
【0071】
競合実験は膜(2μgのタンパク質/反応)、試験される競合剤および[125I]−MePhe7NKB(0.2nM)を含有する0.2mLのアッセイ緩衝液(50mMのトリス−HCl、4mMのMnCl2、10μMのチオルファン、pH7.4)中で行なった。非標識相同リガンド(0.5μM)を使用して非特異的結合を規定した。インキュベーションを25℃で90分間行なった。受容体と結合したリガンドをPackard 細胞ハーベスターで予め0.5%BSAに浸漬したGF/Cプレート上に真空ろ過により単離した。プレートを0.02Mのトリス(pH7.4)で洗浄した。平衡結合定数(KDおよびKi)、受容体密度(Bmax)の計算および統計分析はGraphPad PrismまたはIDBS XLフィットソフトウエアを使用して先の文献(Aharonyら、1995年)のように行なった。
【0072】
NK−3の機能活性:
一般に、NK−3の機能活性は安定にNK−3rを発現する細胞株においてカルシウム動員アッセイを使用することにより評価することができる。メチルPhe7−ニューロキニンBアゴニストにより誘導されるカルシウム動員はFLIPR機器(Molecular Devices社)を使用して製造業者のマニュアル通りにモニターすることができる。アゴニストを細胞に加え、蛍光反応を最大5分間連続的に記録した 。アンタゴニストの作用は細胞をメチルPhe7−ニューロキニンBアゴニストの投与前に予めインキュベートすることにより評価することができる。アゴニストの作用はそのようなシステムでそれらの固有活性を観察することにより評価することができる。
【0073】
NK−3の機能活性アッセイ:
NK−3受容体を発現するCHO細胞を増殖培地(Ham's F12培地、10%FBS、2mMのL−グルタミンおよび50mg/mLのハイグロマイシンB)で維持した。アッセイの1日前に細胞を2mMのL−グルタミンを含むUltraculture培地(Cambrex Bio Science)中384ウェルのプレートに分配して70〜90%のコンフルエンシーを達成した。NK−3受容体が誘導するカルシウム動員を定量化するために、細胞を最初にハンクスの平衡塩類溶液、15mMのHEPESおよび2.5mMのプロベネシドからなるアッセイ緩衝液(pH7.4)で洗浄した。次に、細胞をアッセイ緩衝液中、Fluo4/AM色素(4.4μM)でローディングした。細胞を1時間インキュベートし、次にアッセイ緩衝液で洗浄し、0.02〜300nMのセンクチドに暴露し、そしてFLIPR機器(Molecular Devices社)を使用して蛍光反応を測定した。アゴニスト反応の拮抗作用を定量化するために、細胞を予め様々な濃度の試験化合物で2〜20分間インキュベートし、単独で約70%の最大カルシウム反応を引き出す濃度である2nMのセンクチドに暴露した。XLフィット曲線(IDBS製造会社)を使用して得られたデータを分析し、EC50およびIC50値を決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしく5個の置換基を有する]
の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
Aはフェニルであり;
R1はC1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
R2はH、ハロゲンおよび未置換のC1-6アルコキシ−から選択され;
R3はHまたはハロゲンであり;
nおよびmは共に1であり;そして
R1がアルキルまたはシクロアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CNおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する;
請求項1記載の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項3】
Aはフェニルであり;
R1はC1-4アルキル−およびC3-6シクロアルキル−から選択され;
R2はH、ハロゲンおよび未置換のC1-6アルコキシ−から選択され;
R3はHまたはハロゲンであり;
nおよびmは共に1であり;
R4はピリド−4−イル、ピリド−3−イルおよびピリド−2−イルから選択され;そして
R5はHである;
請求項1記載の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項4】
Aはフェニルであり;
R1はエチルまたはシクロプロピルであり;
R2はH、Fおよび−OCH3から選択され;
R3はHまたはFであり;
n、m、pおよびqはそれぞれ1であり;
R4はピリド−4−イル、ピリド−3−イルおよびピリド−2−イルから選択され;そして
各存在でのR5は独立してH、−OHおよびハロゲンから選択される;
請求項1記載の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項5】
式II
【化2】

(式中、R1、A、R2、n、R3、m、R4、R5およびqは式Iで定義された通りである)
の請求項1記載の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項6】
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−
フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボン酸(1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−4−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−3−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)
−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−[(2−フェニル−3−ピリジン−2−イルメチル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;
フェニル−{[2−フェニル−3−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)−キノリン−4−カルボニル]−アミノ}−酢酸メチルエステル;および
2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]−3−(ピリジン−4−イルメチル)キノリン−4−カルボキサミド
から選択される請求項1記載の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩。
【請求項7】
工程として3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オールを酸化剤と反応させて3−ピリジン−4−イル−プロピオン酸を得、該3−ピリジン−4−イル−プロピオン酸を適したカップリング剤系の存在下でN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させてN−メトキシ−N−メチル−3−ピリジン−4−イル−プロピオンアミドを得、該N−メトキシ−N−メチル−3−ピリジン−4−イル−プロピオンアミドをグリニャール試薬と反応させて1−フェニル−3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オンを得、該1−フェニル−3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オンをエタノール中、水酸化カリウムの存在下、高温でイサチンと反応させて2−フェニル−3−ピリジン−4−イル−メチル−キノリン−4−カルボン酸を得、該2−フェニル−3−ピリジン−4−イル−メチル−キノリン−4−カルボン酸を脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドおよびヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で1−フェニル−プロピルアミンと反応させて2−フェニル−3−ピリジン−4−イル−メチル−キノリン−4−カルボン酸(1−フェニル−プロピル)−アミドを得ることを含む、式I
【化3】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物の製造法。
【請求項8】
NK−3受容体の調節が有益である疾患または状態を治療または予防する方法であって、該疾患または状態に罹患している対象に治療的に有効な量の式I
【化4】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、またはそれぞれ独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩を投与することを含む上記方法。
【請求項9】
疾患または状態はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)から選択される請求項8記載の方法。
【請求項10】
薬学的に許容しうる賦形剤、滑沢剤または担体および式I
【化5】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩を含有する医薬組成物。
【請求項11】
NK−3受容体の調節が有益である疾患または状態に罹患している対象に治療的に有効な量の請求項10記載の医薬組成物を投与することを含む該疾患または状態を治療または予防する方法。
【請求項12】
疾患または状態はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
NK−3受容体の調節が有益である疾患または状態の治療または予防のための式I
【化6】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項14】
疾患または状態はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)から選択される請求項13記載の使用。
【請求項15】
NK−3受容体の調節が有益である疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における、式I
【化7】

[式中、R1はH、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−およびC1-4アルキルOC(O)−から選択され;
AはフェニルまたはC3-7シクロアルキル−であり;
各存在でのR2は独立してH、−OH、−NH2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C3-7シクロアルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
nは1、2または3であり;
各存在でのR3は独立してH、−OH、−NH2、−NO2、−CN、ハロゲン、C1-6アルキル−、C1-6アルコキシ−およびC1-6アルコキシC1-6アルキル−から選択され;
mは1、2または3であり;
R4は−(CH2)p−Ar1であり、ここでpは1、2、3、4、5または6から選択され、Ar1はピリジルであり;
各存在でのR5は独立してH、−OH、−CN、ハロゲン、−R6、−OR6、−NR6R7、−SR6、−SOR6および−SO2R6から選択され;
qは1、2または3であり;
ここで、各存在でのR6およびR7は独立してH、直鎖状または分枝状のC1-6アルキル基、直鎖状または分枝状のC2-6アルケニルまたはアルキニル基および0、1または2個の二重または三重結合を有するC3-7炭素環基から選択され、ここで該基は未置換であるか、または−OH、=O、−NH2、−CN、ハロゲン、アリールおよびC1-3アルコキシ−から選択される1個もしくはそれ以上の部分で置換され;そして
R1、R2またはR3がアルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアルコキシアルキル部分である場合、該部分は未置換であるか、または各存在で独立して−OH、−NH2、−CN、フェニルおよびハロゲンから選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基を有する]の化合物、もしくはその立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前駆体、または薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項16】
疾患または状態はうつ病、不安、統合失調症、認知障害、精神病、肥満、炎症性疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、過剰なゴナドトロピンおよび/またはアンドロゲンと関係がある疾患(月経困難症、良性前立腺過形成、前立腺癌および精巣癌を含む)から選択される請求項15記載の使用。

【公表番号】特表2009−504641(P2009−504641A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525962(P2008−525962)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000935
【国際公開番号】WO2007/018466
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】