説明

NOx化合物の還元のための触媒ユニット

【課題】ガスストリームにおけるNO化合物の還元のための触媒ユニットを提供すること。
【解決手段】 本発明は、ガスストリームにおけるNO化合物の還元が意図され、銀/アルミナ型の触媒的に活性な物質を含む触媒ユニット(1;1’)からなる。本発明は、その触媒ユニット(1;1’)が、触媒的に活性な物質を含む少なくとも1つの第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)およびNが形成される第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)中に形成されるガス種の分解を可能にするように配置される少なくとも1つの第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)を含み、ガスストリームは、その第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)およびその第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)を通して運ばれることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスストリームにおけるNO化合物の還元のための触媒ユニットに関し、このユニットは、銀/アルミナ型の、触媒的に活性な物質を含む。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
燃焼エンジンを用いて操作される車に関連して、エンジンからの排気ガスにおける有害な物質の低い排出が、一般に要求される。これらの物質は、主に、酸化窒素化合物(NO)の形態の化合物、炭化水素化合物(HC)および一酸化炭素(CO)からなる。先行技術に従い、従来のガソリンエンジンからの排気ガスは、排気ガス触媒を用いて浄化され得、この触媒は、排気ガスシステムの一部を形成し、排気ガスはこれに導かれる。3通りに作用する触媒型の排気ガス触媒において、上述の有害な化合物のより大部分は、公知の触媒反応によって除去される。触媒の機能を最適化するために、NO化合物、HC化合物およびCO化合物に関し、触媒が可能な限り大きな浄化効果を生じることを保障するため、殆どの運用例において、化学量論の空気/燃料混合物(すなわち、λ=1である混合物)を用いてエンジンが操作される。コンピューターベースの制御ユニットは、この化学量論混合物が、各それぞれの車に関連し得る運用例において維持されることを、保障するために使用され得る。
【0003】
さらに、車に関連して、可能な限り大きく燃焼エンジンの燃料消費量を減少する一般の必要が存在する。このため、エンジンの円筒に新型の燃焼チャンバを有するエンジンが、近年開発されており、特に、徐々に減少する(increasingly lean)燃料混合物を用いる(すなわち、ここでλ>1である)エンジンを操作可能にする目的で開発されている。希薄燃焼型(lean−burn type)と呼ばれるエンジン(すなわち、直接注入Ottoエンジン)において、エンジンにおける各燃焼チャンバは、供給される燃料が、各それぞれのイグニション・プラグで高度に濃縮され得るように配置され得る。この操作状態は、通常、「犠牲」操作と呼ばれ、エンジンが低いかまたは中程度のトルクおよび回転速度で連続して作動する場合、非常に少ない空気−燃料混合物(より詳細には、約λ=3まで)を使用することを可能にする。これは、この型のエンジンの場合に、燃料消費量において実質的な節約をもたらす。このエンジンは、さらに、主化学量論(λ=1)の混合物または比較的豊富な(λ<1)混合物のどちらかを用いて、「均一な」操作状態で操作され得る。後者の操作状態は、通常、エンジンが比較的高いトルクおよび回転速度で作動される場合に、存在する。特定のさらなる状態(均一な状態と層別化状態を除き)もまた、希薄燃焼エンジンの例に当てはまり得る。
【0004】
希薄燃焼エンジンにおいて、従来の3通りに作用する触媒は、混合物が化学量論である場合、触媒が最適な浄化能力を有するように設計される事実に起因して、NO化合物を還元するために使用され得ない。この理由で、通常3通りに作用する触媒は、窒素酸化物吸着材(adsorbent)(NO吸着材または「NOトラップ」とも呼ばれる)と組み合わされ得、これはデバイスであり、それ自体、(例えば、燃焼エンジンからの排気ガスにおいて)NO化合物を吸着することが公知である。NO吸着材は、このようにして、3通りに作用する触媒の上流の分離ユニットとしてか、または3通りに作用する触媒と一体化される(すなわち、3通りに作用する触媒に属する触媒物質と一緒になる)かのどちらかで、従来の3通りに作用する触媒に対する補完物(complement)として使用され得る。後者の場合、一体化された構成要素は、次いで、NO吸着排気ガス触媒の形態で構成される。
【0005】
NO化合物の還元に関連する必要が、異なる型の燃焼エンジン(例えば、上述のようにディーゼルエンジンと希薄燃焼エンジンとの場合)に関連して該当することが、留意され得る。従って、このような状況において、従来の3通りに作用する触媒が、NO化合物の還元のための触媒として作用することは不可能である。
【0006】
NO吸着材は、エンジンが少ない空気/燃料混合物で操作される場合に排気ガス中のNO化合物を取り込み(吸着し)、エンジンが豊富な空気/燃料混合物で一定時間作動する場合、NO化合物を放出する(脱着する)ように構成される。さらに、NO吸着材は、特定の限界までしかNO化合物を吸着しない(すなわち、徐々に「満たされ(filled)」、そしてこのように吸着の限界に到達する)特徴を有する。この状況において、NO吸着材は、再生されるべきである(すなわち、蓄積したNO化合物を脱着させ、その後放出させるべきである)。従って、従来の3通りに作用する触媒がNO吸着材の下流に配置される場合、あるいは、3通りに作用する触媒がNO吸着材に組み込まれるように設計される場合、脱着されたNO化合物は、3通りに作用する触媒によって除去され得、但し、後者は、その点火温度に到達している。
【0007】
先行技術に従い、NO吸着材は、一定時間で比較的豊富に作られるNO吸着材を通って流れる、数秒の位の大きさの排気ガス混合物により再生され得る。実際に、これは、この一定時間の上述の均一な操作状態で操作されるエンジンによってなされ、すなわち、エンジンは、その後比較的豊富な空気/燃料混合物で操作される。この様式において、NO吸着材は、「空にされ」、その結果、これはその後、一定時間NO化合物を吸着し得、新規な再生が必要になるまで続く。
【0008】
NO化合物を再生するための上述の手順は、それ自体よく機能するが、エンジンの燃料消費量にネガティブ方向で影響するという点で欠点がある。何故なら、これは、一定の間隔で、豊富な排気ガス混合物で操作されるべきエンジンに基づくためである。従って、希薄燃焼エンジンおよびディーゼルエンジンの場合に、比較的大過剰な酸素を有する排気ガスにおけるNO化合物の効率的な還元を達成するための代替の方法の必要が存在する。酸素過剰のNO化合物に関する他の燃焼プロセスの場合に、(例えば、動力および加熱プラントを連結した焼却プラント、住居用ボイラー、燃料ガス浄化などに関連して)類似の状況が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の開示)
本発明の第1の目的は、NO化合物を触媒的に浄化するための改善されたデバイスを提供することであり、このデバイスにおいて、上述の必要は満たされ、問題は解決される。
【0010】
上述の目的は、序論で述べた型の触媒ユニットを使用して達成され、このユニットは、上記の触媒活性物質を含む少なくとも第1の反応ゾーンならびに上記第1の反応ゾーンにおいて形成される種類のガスの分解を(Nの形成と共に)可能にするように配置される少なくとも1つの第2の反応ゾーンを備え、そしてここで、ガスストリームは、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンを通って導かれることを特徴とする。
【0011】
上記の目的はまた、序論で述べられた型の触媒ユニットを用いて達成され、このユニットは、触媒ユニットが、上記触媒活性物質の内部層を備えるチャネルを配置した構造を備えることで特徴付けられ、上記構造はまた、上記層において形成される種類のガスの分解を、この分解に関連するNの形成と共に可能にするさらなる物質を含む。
【0012】
本発明は、特定の利益を達成する。第1および最も重要なことは、本発明は、燃焼エンジンからの排気ガスにおけるNO化合物の有効な還元を提供する。本発明の特定の適用は、希薄燃焼エンジンおよびディーゼルエンジン(これらの排気ガスは比較的大きく酸素の過剰を示す)からの排気ガスを浄化することに関連する。
【0013】
本発明は、好ましい実施形態および含まれる図面に関連して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、好ましい実施形態および添付の図面を参照しながら記載される。
【図1】図1は、第1の実施形態に従う本発明に従うデバイスを、図表形状で示す。
【図2】図2は、第2の実施形態に従う本発明に従うデバイスを、図表形状で示す。
【図3】図3は、図1における線I−Iに沿った拡大断面図を示す。
【図4】図4は、主に図3に対応する断面図を示すが、代替の第3の実施形態を示す。
【図5】図5は、主に図3および図4に対応する断面図を示すが、代替の第4の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(好ましい実施形態)
ここで、本発明は、好ましい実施形態を参照しながら説明される。本発明は、図には示さないが希薄燃焼型エンジンのガソリンエンジンまたは、代わりにディーゼルエンジンからなる燃焼エンジンに関連して使用されることが意図される。これらの2つの型のエンジンにおいて、比較的大過剰の酸素を含む排気ガスストリーム中のNO化合物の減少についての必要が存在する。しかし、本発明の背後にある原則は、これらの2つのエンジン型と共に使用されるのみに限定されず、従来のガソリンエンジンにもまた適用され得る。本発明は、車に関連して使用されることのみにも限定されない;対照的に、これは、例えば、動力プラントおよび加熱プラントを連結した焼却プラント、住居用ボイラーまたは燃料ガス浄化に関連してもまた、酸素過剰のNO化合物を含むガスストリームが生成されることに関連して、適用され得る。
【0016】
図1から認められ得るように、本発明は、従来の様式において、燃焼エンジン(示されず)の下流に、すなわち、燃焼エンジンの外向き排気パイプ2に沿って、配置されるように意図される触媒ユニット1からなる。燃焼エンジンからの排気ガスストリームは、次いで、図1における矢印によって示される方向において排気パイプ2に沿って運ばれる。第1の実施形態に従って、その触媒ユニット1は、便宜的に多くの触媒構成要素(触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eといわれる)からなる少なくとも1つの第1の反応ゾーンから構成されており、これらは、触媒ユニット1の長手軸方向に配置され、順に、ガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eからなり、それぞれ触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eの下流に配置される、対応する多くの第2の反応ゾーンによって分離されている。
【0017】
その第1の触媒ベッド3aは、その後に続く第1のガス相反応器4aとともに触媒的に活性なユニットを形成し、これは、以下に記載されるように、排気ガスストリーム中の特定の量のNO化合物を変換および還元し得る。類似の触媒的に活性なユニットは、図1において認められるように、他の触媒ベッド3b、3c、3dおよび3eならびにガス相反応器4b、4c、4dおよび4eによって規定される。各々このような触媒的に活性なユニットは、触媒ベッド(すなわち、第1の反応ゾーン)およびその後に続くガス相反応器(すなわち、第2の反応ゾーン)によって形成され、その排気ガスストリームにおけるNO化合物の量の減少を生じる。このことは、その触媒ユニット1を使用して達成されるNO化合物の全体的減少が、そのそれぞれの触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eならびにガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eから得られる寄与の総和によって与えられることを意味する。
【0018】
図1に示されるものに従って、かつ以下に記載されるものに従って、触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eならびにガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eはともに、例えば、NO化合物を減少するために5つの触媒的に活性なユニットに対応して、数が5つである。しかし、本発明の根底にあるその原理は、その構成要素の与えられた数に制限されない;対照的に、異なる数が使用され得る。一般的様式において、その排気ガスストリーム中のNO化合物中で達成される減少が、使用されるユニット数に比例することが述べられ得る。しかし、本発明が、大量生産車において実際に適用される場合、その完全な触媒ユニット1の長さ(その長さは、順に触媒ベッドおよびガス相反応器の数に比例する)はまた、車において利用可能な空間および許容される費用のような制限要因に関して注意を払いつつ選択されなければならない。
【0019】
その触媒ユニット1はさらに、問題の燃焼エンジンからの排気ガスを供給するための入り口5および外向きの浄化された排気ガスストリームのための出口6を備える。その触媒ユニット1はまた、好ましくは、酸化触媒7を備え、この酸化触媒は、次いで、最後のガス相反応器4eの下流、かつ出口6の前に配置される。触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3e、ならびにそのガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eは、排気ガス中のCOおよびHC化合物の含有量に影響を及ぼすことはできないので、その酸化触媒7は、これらのCO化合物およびHC化合物を減少させるために利用される。その酸化触媒7は、それ自体が従来の型のものであるので、本明細書中では詳細に記載されない。
【0020】
本発明は、一体化された酸化触媒7を含む触媒ユニット1に限定されない。例えば、特定の適用において、これは、3通りに作用する触媒を使用することが便利であり得る。排気ガス中のCO化合物およびHC化合物のさらなる浄化の必要性は、問題の適用に依存して変化する。
【0021】
本発明は、触媒ユニット1に(すなわち、触媒ベッドおよびガス相反応器と同じ物理ユニット内部に)一体化される様式で設計される酸化触媒7にも限定されない。選択肢として、酸化触媒は、完全に別個のユニットからなり得、そのユニットは、触媒ベッドおよびガス相反応器を含む触媒ユニットの下流に配置され得る。
【0022】
触媒ユニット1に備えられる触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eは、好ましくは、銀−アルミナ型であり、すなわち、酸化アルミニウムとともに銀または酸化銀の小さなクラスターを含み、各それぞれの触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eにおけるチャネル構造を有するモノリス上の触媒的に活性なコーティングを形成する。NO化合物を触媒的に浄化するための銀−アルミナ型の触媒を使用することは、本質的に以前から公知である。しかし、先行技術とは対照的に、本発明は、二重の反応ゾーン(すなわち、上記の第1の反応ゾーンおよび上記の第2の反応ゾーン)とともに提供される触媒ユニット1に基づき、その反応ゾーンは、特定の化学反応が促進されるように設計され、その反応は、以下に詳細に記載される。この反応において、NO化合物の量が減少し、Nが形成される。図1に示されるように、本発明の実施形態は、5つの触媒的に活性なユニット(すなわち、その各々が1つの触媒ベッドおよび1つのガス相反応器からなる)を使用することに基づく。図1に示される実施形態に従って、その触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eは、触媒ユニット1の長手軸方向に(すなわち、排気ガスストリームの流れの方向に)互いから離れて配置される。
【0023】
本発明の機能は、図1に対して言及しながらここでより詳細に記載される。問題の燃焼エンジンが操作される場合、排気ガスストリームが、その排気パイプ2を介して、そして触媒ユニット1へと運ばれる。従来の様式において、この排気ガスストリームは、CO化合物、HC化合物およびNO化合物の形態において、有害な、よって望ましくないガス成分を含む。その排気ガスストリームが第1の触媒ベッド3aに達すると、第1の触媒ベッド3aにおける銀/アルミナ基材の表面に衝突するNO分子およびHC分子が関与する反応が起こる。これらの分子は、中間体ガス種の形態において不安定な中間体を与えるように反応する。この中間体の実質的な割合は、表面からガス相へと放出される。その中間体ガス種は不安定であり、かつ分解(すなわち、崩壊)する。この崩壊と関連して、N(すなわち、好都合な結果である)が形成される。COもまた、この反応において形成される。
【0024】
前述の反応はまた、排気ガスストリームにおいて見いだされる望ましくないガス成分でもあるNOの場合において起こることが見いだされた。これはさらに、前述の反応が、関連する型の燃焼エンジンからの排気ガスにおいて存在するHC化合物の大部分に関して類似する原理である場合である。
【0025】
第1の触媒ベッド3aにおける前述の反応の結果は、どの不安定なガス種が形成されるかとともに、ガス種が触媒ベッド3aの表面に戻り得ることである。このことが起こる場合、その窒素は、もう一度酸化され得、その結果、NO化合物(NOまたはNO)が形成される。NO化合物の再形成をもたらすこの「逆反応(backreaction)」は望ましくなく、本発明に従って、ここで記載されるように、特別な様式において設計されている触媒ユニット1によってかなりの程度まで制限される。
【0026】
この第1の触媒ベッド3aは、その他の寸法とともに、その第1の触媒ベッド3aの表面上でHC化合物と反応する排気ガスストリーム中のNO化合物のかなりの割合に対応する特定の長さL1を有する。その結果、その前述の中間体ガス種の大量の形成が存在する。その第1の触媒ベッド3aの最適な長さL1についての特定の値は、パラメーター、例えば、その直径およびセル密度、その排気ガスストリームの流れの予測速度、ならびに温度などに依存して選択される。これらのパラメーターは、および結果として、その長さL1についての正確な値は、当然のことながら、問題の適用に依存して(例えば、問題のエンジン型に、性能に、予測される作動条件に、その排気ガスの流れの予測される速度に、問題の車における触媒ユニット1についての利用可能な空間に依存して)変化する。
【0027】
その長さL1に関して実際の寸法とは無関係に、その場合、本発明に従って、そのドウェル時間は、好ましくは、触媒ユニット1に関係する温度に関して最適化されるべきである。選択肢として、反応性ガス種の割合は、このようにして、Nを生成するための所望の反応の速度に関して逆反応の速度を抑えるために、NO化合物の量に関して最適化されるべきであるといわれ得る。一般に、この反応の完了は、選択される長さL1に比例するといわれ得る。
【0028】
中間体ガス種が形成されるように、その排気ガスストリームが第1の触媒ベッド3aを徐々に通る場合、そのガス種はまた、Nが生じるように分解し始める。この段階において、その排気ガスストリームはまた、そのガス種の分解が連続することと関連して、第1のガス相反応器4aへと前に流れる。その第1のガス相反応器4aは、いかなる銀−アルミナ物質をも含まないので、その逆反応は、厳密に制限され、それにより、Nの形成に都合がよい。実際の実験によって、この分解は、350℃の温度で約30msにおいて、形成されるそのガス種の量の約50%が分解される(Nが放出される)ような速度で起こることが見いだされた。
【0029】
図1に示されるその触媒ユニット1は、所定の長さL2を有する第1のガス相反応器4aをさらに含む。この長さL2は、そのガス種の大部分(好ましくは、少なくとも90%)が、反応し(すなわち、崩壊し)、その第1のガス相反応器4aを通る排気ガスストリームの通過の間にN形成を生じる時間を有することを確実にするように選択される。このことは、よって、その排気ガスの特定のドウェル時間を規定し、その結果、反応して、次の触媒ベッドによって規定される次の反応ゾーンに入る前に、Nを形成する時間を有する。しかし、その長さL2は、例えば、問題の車における利用可能な空間に関して注意を払いつつ、選択されなければならない。その長さL2についての適切な選択は、次の第2の触媒ベッド3bの表面に影響を与え、NO化合物の望ましくない再形成を生じさせるそのガス種の少なくともあり得る残りの量に対応する。第1のガス相反応器4aの長さL2についての特定の値は、排気ガスストリームの流れの基本的な特定の予測速度および温度(これは、順に、問題のエンジン型などに依存する)を考慮しながら、およびそのガス種の例えば、少なくとも90%が、第1のガス相反応器4aを通る排気ガスストリームの通過の間に分解するべきという要件を基礎として考慮しながら決定され得る。しかし、例えば、90%を超える他の限界値は、本発明の範囲内において許容可能である。
【0030】
その第1の触媒ベッド3aおよびその第1のガス相反応器4aは、ともに、その排気ガスストリーム中のNO化合物を減らすための触媒的に活性なユニットを形成する。その中間体ガス種の形成の結果として、NO化合物は吸収され、Nが放出される。その第1の触媒ベッド3aおよび第1のガス相反応器4aの長さL1の注意深い調和および最適化は、例えば、その排気ガスストリームの流速および温度に依存して、かつその第1の触媒ベッド3aおよび第1のガス相反応器4aの他の寸法およびパラメーターに依存して、排気ガスストリーム中のNO化合物の実質的変換および周囲の大気への有害な排出物の減少を生じる。
【0031】
その第1の触媒ベッド3aおよび第1のガス相反応器4aを通ったその排気ガスストリームは、特定の量のNO化合物をなお含む。この理由のために、その触媒ユニット1は、好ましくは、さらなる触媒ベッド3b、3c、3dおよび3eならびにさらなるガス相反応器4b、4c、4dおよび4eの形態にあるさらなる触媒的に活性なユニットを含む。その第2の触媒的に活性なユニット(これは、その第2の触媒ベッド3bおよび第2のガス相反応器4bによって形成される)へ流れるNO化合物の残りの量は、結果として、かなりの程度まで、この第2の触媒的に活性なユニットによって排除される。その後、そのユニットは、排気ガスストリームがその第2のガス相反応器4bを通る間にそのガス種が分解される(Nが形成される)ことを確実にする。その後、そのプロセスは、その残りの触媒ベッド3c、3dおよび3eならびにガス相反応器4c、4dおよび4e、それぞれに沿って継続する。結論として、その5つのガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eが、反応ゾーンを規定し、その反応ゾーンの長さL2および他の寸法は、そのガス種が崩壊し、Nが形成される上記の反応を可能にするように配置されることが述べられ得る。
【0032】
図1からみられ得るように、その5つの触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eは、触媒ユニット1の長手軸方向に(すなわち、排気ガスストリームの流れの方向に)互いから分離され、それぞれの第1の反応ゾーン(すなわち、その触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3e)の間の空間は、それぞれの第2の反応ゾーン(すなわち、5つの対応するガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4e)によって繋がれる。その排気ガスストリームが通過する各ユニット(1つの触媒ベッドおよび1つのその後に続くガス相反応器からなる)は、NO化合物の所定の変換および排除を生じる。実際の実験により、このような各ユニットが、とりわけ、使用される燃料に依存して、70〜80%の規模に達し得るNO化合物の変換を生じ得ることを示した。より具体的には、本発明は、排気パイプ2を通って流れているNO化合物の約70〜80%が、その第1の触媒的に活性なユニット3a、4aに吸収される機能を有する。排気ガス中のNOの含有量は、その第1の触媒ベッド3aを通る間に減少する。その後、その排気ガス中のNO含有量は、主として、その排気ガスが、第1のガス相反応器4aを通過するときに、一定レベルにある。その後、そのNO含有量は、もう一度、その排気ガスがその第2の触媒ベッド3bなどを通過する場合に、70〜80%の規模にまで減少する。このことは、その完全な触媒ユニット1は、排気ガスストリーム中に存在するNO化合物の計99%以上を排除し得ることを意味する。残り得る中間体ガス種の任意の量が、酸化触媒7上でNO化合物に逆反応し得る。
【0033】
図1に示される実施形態に従って、そのガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eは、空であり、すなわち、それらは、所定の長さL2を有し、各それぞれの触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eの間の反応ゾーンとして配置される、チューブ状接続からなる。図2に示される本発明の代替的実施形態に従って、そのガス種を窒素ガスに分解するのを促進する第2の触媒物質(分解触媒)を含むガス相反応器を利用する。この第2の触媒物質は、吸着によって、その第2の反応ゾーンにおけるそのガス種の崩壊反応自体および/またはドウェル時間を促進し、その結果、そのガス種のより大きな割合が反応して、その後に続く触媒ベッドに入る前にNを形成する時間を有することになる物質であり得る。このことは、よって、図2に示されるように、代替的ガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eを規定する。これらのガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eは、結論として、N形成に対して都合のよい効果を有する。
【0034】
図2に示される実施形態は、結論として、各それぞれのガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eが、Nが形成されるように、そのそれぞれのガス相反応器において上記の反応(すなわち、その中間体ガス種の所望の分解)を加速および達成し得る材料で設計される第2の反応ゾーンを規定するという原理に基づく。この目的に適切な第2の触媒材料は、酸化のためのいかなる部位も、いかなる酸性部位も含まない材料である。何かあるとしても、塩基性触媒を使用することは好都合である。この目的で、炭化ケイ素または金を使用することが好ましいが、本発明は、これらの材料単独に限定されない。例えば、シリケートまたは塩基性金属酸化物(MgO、CaO、BaOなど)型の材料を使用することが可能である。さらに、この目的でフラグメント活性炭またはすすを使用することが可能である。これはさらに、各それぞれのガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eが、別個の触媒モノリスからなり得るか、または代わりに、各それぞれの触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3e(図2)の後ろ部分(すなわち、各それぞれの後ろ側部分が適切な分解触媒中に浸漬されている)からなり得る場合である。
【0035】
図2に示される実施形態において、そのガス種の分解は、各それぞれのN形成ガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eにおいて使用される上記の材料の結果として比較的迅速に起こる。このことはまた、例えば、各それぞれのガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eの長さL3が、図1に示されるように、ガス相反応器4a、4b、4c、4dおよび4eの長さL2より短く作られ得ることを意味する。このことは、続いて、図2に示される実施形態が、完全な触媒ユニット1’が、図1に示されるものよりも短く作られ得るという点で利点を示す;あるいは、図1に示される触媒ユニット1と同じ全長である触媒ユニット1’が、図1に示される実施形態よりも多くの触媒的に活性なユニット(順に、触媒ベッドおよびガス相反応器からなる)を含み得ることを意味する。
【0036】
図1に示されるものと類似の様式において、図2に示される実施形態は、最後のガス相反応器8eの下流に配置される酸化触媒7を含み得る。あるいは、3通りに作用する触媒(three−way catalyst)を使用することが可能である。同様に、酸化触媒は、図2に示されるように、触媒ユニット1’と物理的に一体化した構成要素からなり得るか、または別個の構成要素からなり得、その別個の構成要素は、次いで、使用されるその触媒ベッドおよびガス相反応器の下流に配置される。その触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3e、ならびにそのガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eは、その排気ガス中のCO化合物およびHC化合物の含有量を減少させるために設計されていないので、その酸化触媒7は、これらのCO化合物およびHC化合物を減少させるために使用される。
【0037】
図3は、その上記の触媒ベッド(3e)のうちの1つを通る断面を示し、その断面は、図1の線1−1によって示される。より具体的には、図3は、このような断面1−1に沿った多くのチャネル9の部分拡大図を示す。それ自体が以前から公知である様式において、各それぞれの触媒ベッド(図1における参照番号3eを参照のこと)は、支持構造10から構成され、この支持構造は、順に、菫青石(cordierite)から構成される。この支持構造10は、チャネル9を規定し、このチャネルは、好ましくは、形状が主に矩形である断面を示す。各それぞれのチャネル9の内部サイズは、触媒的に活性な銀/アルミナ材料の薄い層11でコーティングされる。
【0038】
図4は、主に図3に対応するが、本発明の第3の実施形態を例示する断面を示す。この第3の実施形態は、銀/アルミナから構成される上記の層11を覆う分解層12を含むことによって、上記の実施形態とは異なる。その分解層12の目的は、Nが効率的に形成され得るように、その中間体ガス種の分解を加速しかつ容易にすることである。図2に示されるガス相反応器8a、8b、8c、8dおよび8eのものと類似の様式において、図4に示される分解層12は、この分解を加速しかつ容易にし得る材料から作り上げられる。上記で特定される異なる型の物質(例えば、炭化ケイ素または金)は、次いで、分解層12のために使用される。さらに、その分解層12は、好ましくは多孔性であり、それにより、下にある層11(ここで触媒反応が起こる)に対するガスの通過を可能にする。
【0039】
図1に示される実施形態に従うガス種の分解が、触媒ユニット1の長手軸方向にある空間とともに提供される方法に対応する様式において、図4に示される配置は、各それぞれのチャネル9における横断方向にその分解のための空間を提供する。このことは、図4に示される配置が、互いから分離して配置される多くの触媒ベッドに基づく必要はないことを意味する。代わりに、図4に示されるように設計された1つの単一モノリスは、望ましい上記のN形成を得るように配置され得る。
【0040】
図4に示されるものに対する代替に従って、その層11、12は、その分解層12が、その菫青石構造10の直ぐ下に(すなわち、菫青石構造10に最も近く)配置されるように、反対の様式において配置され得る一方で、その銀/アルミナ層11が、上部に配置される。
【0041】
本発明の第4の実施形態は、図5に示され、この図は、図3および4に原理的に対応するが、菫青石構造10上に配置される代替層13を含む断面である。この層13は、順にその触媒的に活性な銀/アルミナ材料およびその上記の分解層(図4を参照のこと)におけるものと同じ型の分解材料(すなわち、炭化ケイ素または金)からなる一体化された材料からなる。この第4の実施形態はまた、Nが各それぞれの触媒ベッドにおいて効率的に形成されるように、その中間体ガス種の分解を生じる。
【0042】
図4および5を参照して記載される実施形態はまた、図面に示されるように、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーン(すなわち、その異なる層11、12および13の形態において)を含むといわれ得る。例えば、その層11(図4)は、第1の反応ゾーンを構成するといわれ得る一方で、その層12は、第2の反応ゾーンを構成する。前者の層11は、銀−アルミナ型の触媒材料を含む一方で、その第2の層12は、上記のように、N形成を促進する材料を含む。そのガスは、異なる層の間で動き、かつその異なる層を通って拡散することを可能にされる。その反応ゾーンは、結論として、そのガスが通過されるようにする非常に小さな領域またはゾーンからなり得る。図5に示される実施形態はまた、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーン(すなわち、それぞれ触媒効果およびN助触媒効果を有する層13内の領域)を示すといわれ得、ガスは、それぞれ、その第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーン中を交互に動くようにされる。
【0043】
それぞれ、図4および5に示される実施形態は、それぞれ、図1および2に示されるその触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3eにおけるそれぞれのチャネル9の考えられる設計を示す。図4および5に示される実施形態の各々は、図1に示される構造(すなわち、交互になった触媒ベッドおよびガス相反応器)または図2に示される構造(すなわち、交互になった触媒ベッド3a、3b、3c、3dおよび3e、ならびに分解触媒8a、8b、8c、8dおよび8e)と結合され得る。しかし、図4および5に示される実施形態が、いかなる挿入されたガス相反応器も使用することなく(すなわち、いかなる挿入された反応ゾーンも使用することなく)実行され得ることが強調されるべきである。好都合なことに、各それぞれの触媒ユニットは、それぞれ図4および5に示されるように、単一のモノリスであるその菫青石構造10に基づいて構築される。
【0044】
まとめると、Nが形成されるように、変換(NO化合物の還元)に使用されることが本発明の主な目的であることが述べられ得る。上記のように、本発明は、不安定な中間体ガスガス種が、NOとHCが触媒表面で(すなわち、銀/アルミナ表面において)反応する場合に形成されるという具現化に基づく。このガス種は、その触媒表面に戻る場合にかなりの程度までNOに再形成されるのに対して、そのガス種は、その表面から一定距離で存在している場合に、Nの形成とともに、かなりの程度まで崩壊する。図1および2、ならびに上記の記載から明らかな、本発明の根底にある重要な原理は、形成されたそのガス種が、その触媒表面から離れたまま維持されることを確実にすることである。そのガス種が、触媒表面から一定距離をおいて十分に長時間にわたって維持され得る場合、Nに分解する時間を有する。本発明の一実施形態に従って、このことは、触媒を含む領域または含まない領域を交互に通ってガスを流すことを可能にすることによって達成される。結果として、そのガス種は、形成されるにつれてその表面から運び去られ、そのガス種がもう一度触媒表面に達する前に、Nが形成されるべき時間を有するにそのガス種のドウェル時間が十分長いことを確実にするように注意が払われる。
【0045】
ドウェル時間をさらに延長させるために、その配置は、本発明に従って、そのガス種が吸着される材料が補充され得る。例えば、炭化ケイ素または金は、この目的で使用され得る。この材料は、別個のN形成ガス相反応器(これは、図2において、参照番号8a、8b、8c、8dおよび8eによって示される)上に、または代わりに、そのそれぞれの触媒中に含まれるチャネル(それぞれ、図4および5における参照番号12および13を参照のこと)上に配置され得る。後者の場合、この物質は、別個の層(図4)として、または触媒銀/アルミナ材料(図5)と一体化された層として設計され得る。
【0046】
本発明の好ましい実施形態に従って、NOをNにするその所望の変換は、互いから間隔を空けて配置される多くの触媒ベッド(空間的に設計された反応ゾーンによってその間隔が繋がれている)によって、またはそのNの形成を促進かつ完了する材料とともに提供された触媒ユニットによってかのいずれかで達成される。前者の改変に従って、その排気ガスは、選択的NO還元について活性である銀−アルミナ触媒を交互に通過し、そしてその中間体ガス種からのNの形成を完了するための触媒もしくはゾーンを交互に通過する。その上記の反応ゾーンは、順に、ガス相反応器(図1)または分解触媒(図2)からなり得る。さらに、その中間体ガス種の分解過程は、その触媒ベッドがそのガス相反応器中の活性材料に対応する材料を含むように設計される場合に、促進され得る。このことは、NO化合物を形成するためのいかなる逆反応を制限することもまた可能であることと関連して、結果として、排気ガスストリームからNO化合物を効率的に排除する。
【0047】
本発明の代替的実施形態(図面には示されない)に従って、図1および2に示されるその触媒ベッドのうちの1以上の前に適切な還元剤を供給することは可能である。これは、車に存在する燃料タンクとその触媒ベッド(ここにその還元剤が供給されることになる)の前(すなわち、上流)における取り付け点との間の接続を補助することで都合よく実施され得る。各それぞれの取り付け点への測定しながらの供給は、各それぞれの取り付け点において適切なバルブデバイスに接続される制御ユニットを使用して調節され得る。このような還元剤を供給することによって、好都合には、そのエンジンのための通常の燃料の形態において、その絶対濃度が可能な限り低いという点において、このようにして利点が得られる。そのあるものは、次に、自己位置決めの危険性を最小にすることである。還元剤を供給することに関する改変はまた、図4および5において示される実施形態において実行され得る。
【0048】
本発明の別の改変に従って、水素ガスは、還元剤を供給するためのものと類似の様式において、各それぞれの触媒ベッドに供給され得る。比較的低温(約200〜350℃)で特徴づけられる操作例と特に関連して、特に、図2に示されるガス相反応器のうちの少なくとも1つに水素を供給することは有利である。
【0049】
本発明が、還元剤または水素を供給することを包含するように設計され得る場合、1以上の触媒ベッドにおいてこの供給がもたらされ得る。この供給はまた、異なる量が、異なる触媒ベッドにおいて測定しながら供給されるようにもたらされ得る。
【0050】
本発明が、還元剤または水素を供給することを包含するように設計される場合、各それぞれの触媒ユニットは、さらに好都合なことに、NOセンサ(すなわち、その触媒ユニットに沿って適切な点におけるNO化合物の優勢な濃度を検出するためのセンサ)とともに提供され得る。この濃度に対応するシグナルは、制御ユニットに供給され得、その制御ユニットは、順に、例えば、NO形成、NO還元およびN生成に関して最適化される様式で車のタンクから還元剤を測定しながら供給するように配置される。この性質のNOセンサはまた、次いで、このシステムを診断する場合に使用され得る。
【0051】
別の改変に従って、燃焼プロセス、その点火プロセス、燃料注入などを制御するためにそれ自体公知の様式で使用される上記の型の制御ユニットは、排気ガスの温度を上記の反応に有利なレベルにまで導くために、本発明に関連して、設計され得る。言い換えると、この性質の制御ユニットは、その排気ガスの温度が、その反応が十分な温度にまで加熱されるように十分高いことを確実にするように使用され得る。
【0052】
さらに、その触媒ユニットは、本発明に従って、比較的低温においてすらHC化合物をこのように利用するために、HC吸着剤が補給され得る。このようなHC吸着剤は、この場合に、触媒ユニットの残りの部分と一体化されるように設計され得るか、または代わりに別個のその次のユニットとして設計され得る。
【0053】
本発明の別の実施形態に従って、後者は、金属モノリス型の支持構造(すなわち、金属触媒本体)と関連して実行され得る。これは、それ自体公知であり、かつ平坦な金属シートおよび望ましい構造にともに成形される、プリーツ加工された金属シートを使用する構成である。本発明の別の実施形態に従って、この構造は、そのプリーツ加工されたシートが、銀−アルミナ材料でコーティングされ、平坦なシートがその上記のN形成材料でコーティングされる(逆もまた同様)ように、設計され得る。平坦なシートおよびプリーツ加工されたシートは、積層体として互いの上に配置され得、それによって、絶縁層を有する構造が得られ得る。
【0054】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、上記の特許請求の範囲の範囲内で変化され得る。例えば、触媒ベッド、ガス相反応器および分解触媒の数は変化し得る。同様に、その付属の構成要素の寸法および他のパラメーターは、本発明の範囲内で変化し得る。例えば、図3〜5において示される層11、12および13は、10〜40μmの大きさの厚みを有し得る一方で、この寸法は、その適用に依存して変化し得る。
【0055】
第2の反応ゾーンの代わりに、水素の供給を利用することが可能である。水素がこのようにして供給される場合、問題のガス種のガス相分解はない。
例えば、本発明は、以下を提供する
(項目1)
ガスストリームにおけるNO化合物の還元が意図され、銀/アルミナ型の触媒的に活性な物質を含む触媒ユニット(1;1’)であって、該触媒ユニット(1;1’)は、該触媒的に活性な物質を含む少なくとも1つの第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)およびNが形成される該第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)中に形成されるガス種の崩壊を可能にするように配置される少なくとも1つの第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)を備え、該ガスストリームは、該第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)および該第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)を通して運ばれることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目2)
項目1に記載の触媒ユニット(1;1’)であって、上記第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)は、上記触媒的に活性な物質を含む触媒ベッドからなり、上記第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)は、該触媒ベッド(3a、3b、3c、3d、3e)の下流に配置されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目3)
項目2に記載の触媒ユニット(1;1’)であって、該触媒ユニットは、上記触媒的に活性な物質を含む多くの触媒ベッド(3a、3b、3c、3d、3e)および多くの第2の反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e;8a、8b、8c、8d、8e)を含み、該ベッドは、該触媒ユニット(1;1’)における長手軸方向において互いから離れて配置され、該第2の反応ゾーンは、各それぞれの触媒ベッド(3a、3b、3c、3d、3e)の下流に配置され、上記分解を可能にするように配置されていることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目4)
項目1〜3の1項に記載の触媒ユニット(1;1’)であって、各それぞれの第2の反応ゾーンは、ガス相反応器(4a、4b、4c、4d、4e)からなり、上記触媒ベッド(3a、3b、3c、3d、3e)において形成される上記ガス種の大部分の分解に対応する長さ(L2;L3)を有し、該触媒ベッドは、上記反応ゾーン(4a、4b、4c、4d、4e)の上流に配置されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目5)
項目1〜3の1項に記載の触媒ユニット(1;1’)であって、上記第2の反応ゾーン(8a、8b、8c、8d、8e)は、上記ガス種がNに分解される崩壊と関連して、上記崩壊を促進する物質を含むことを特徴とする、触媒ユニット。
(項目6)
項目1〜5の1項に記載の触媒ユニット(1;1’)であって、該触媒ユニットは、少なくとも上記第1の反応ゾーン(3a、3b、3c、3d、3e)の上流に還元剤の供給のために配置されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目7)
ガスストリーム中のNO化合物の還元が意図され、銀/アルミナ型の触媒的に反応性の物質(11)を含む触媒ユニットであって、該触媒ユニットは、該触媒的に活性な物質の内部層(11)を有するチャネル(9)とともに配置される構造(10)を備え、該構造(10)はまた、該層(11)に形成されるガス種の崩壊を可能にするさらなる物質を含み、該崩壊と関連して、Nが形成されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目8)
項目7に記載の触媒ユニットであって、上記物質は、上記銀/アルミナ物質(11)と関連して配置される層(12)からなることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目9)
項目8に記載の触媒ユニットであって、上記物質は、上記銀/アルミナ物質もまた含む層(13)からなることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目10)
項目5または7〜9の1項に記載の触媒ユニットであって、上記物質は、NO吸着材料であることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目11)
項目5または7〜10の1項に記載の触媒ユニットであって、上記物質は、炭化ケイ素、金、シリケート、塩基性金属酸化物、活性炭、またはすすからなることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目12)
項目7〜11の1項に記載の触媒ユニットであって、上記構造(10)の上流に還元剤を供給するために配置されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目13)
項目1〜12の1項に記載の触媒ユニットであって、該触媒ユニットは、上記触媒ユニットに関するNO濃度に対応するシグナルを発生させるためのNOセンサを備えることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目14)
項目1〜13の1項に記載の触媒ユニットであって、該触媒ユニットは、HC吸着材に接続されていることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目15)
項目1〜14の1項に記載の触媒ユニットであって、上記ガス種は、上記第1の反応ゾーン(3)における触媒表面において、およびガス相への主要通路において形成される不安定な中間体ガス種からなることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目16)
項目15に記載の触媒ユニットであって、該触媒ユニットは、上記ガス種が上記触媒表面に戻る前に、該ガス種の上記崩壊を原理的に発生させるように配置されることを特徴とする、触媒ユニット。
(項目17)
自動車に配置された燃焼エンジンからの排気ガスストリームを精製する目的で、項目1〜16の1項に記載の触媒ユニット(1;1’)を含む、自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書または図面に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230124(P2011−230124A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179968(P2011−179968)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【分割の表示】特願2004−555209(P2004−555209)の分割
【原出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【出願人】(502196511)ボルボ テクノロジー コーポレイション (52)
【Fターム(参考)】