説明

Neisseriameningitidis血清型B複合糖質およびその使用法

【課題】新規のNeisseria meningitidis血清型B複合糖質を提供すること。
【解決手段】本発明は、シアル酸残基N−アセチル基がN−アシル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド誘導体(MenB OS誘導体)から形成される複合糖質に関する。本発明はまた、この複合糖質を含むワクチン処方物、このワクチン処方物を作製する方法、およびこのワクチン処方物を使用して哺乳動物被験体においてNeisseriameningitidis血清型BまたはE.coli K1疾患を処置または予防する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、一般的に、新規なNeisseria meningitidis血清型B複合糖質(glycoconjugate)に関する。より詳細には、本発明は、Neisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド誘導体(MenB OS誘導体)から形成されたシアル酸残基N-アセチル基がN-アシル基で置換されている複合糖質、およびこれらの複合糖質を作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
Neisseria meningitidisは、細菌性髄膜炎および敗血症の原因因子である。髄膜炎菌は、莢膜および細胞壁抗原の免疫学的特徴に基づいて、血清型群に分類される。現在認識されている血清型としては、A、B、C、D、W-135、X、Y、Z、および29Eが挙げられる。血清型特異性を担うポリサッカライドは、A、B、C、D、W-135、およびYを含むこれらの群のいくつかから精製されている。
【0003】
N.meningitidis血清型B(「MenB」)は、米国およびヨーロッパの幼児および子供における細菌性髄膜炎の約50%を数える。この生物はまた、青年において致命的な敗血症を引き起こす。青年期において、外膜タンパク質(OMP)ベシクルからなるMenBワクチンの経験は、約50%防御を見いだしている。しかし、ワクチン接種した幼児および子供(疾患の最大危険度の年齢群)においてはなんの防御も観察されていない。さらに、OMPワクチンは、血清型および型特異的であり、そして優性MenB株は、地域的および時間的変化の両方の影響を受け、このようなワクチンの有用性を制限する。
【0004】
有効な莢膜ポリサッカライドベースのワクチンは、血清型A、C、Y、およびW135によって引き起こされる髄膜炎菌性疾患に対して開発されている。しかし、MenBポリサッカライドワクチンに対する類似の試みは、莢膜MenBポリサッカライド(本明細書中で「MenBPS」と称す)の乏しい免疫原性に起因して失敗している。MenB PSは、(N-アセチル(α2→8)ノイラミン酸(neuraminic acid)のホモポリマーである。Escherichiacoli K1は、同一の莢膜ポリサッカライドを有する。MenB PSによって誘発される抗体は、宿主ポリシアル酸(PSA)と交差反応する。PSAは、胎児および新生児組織、特に脳組織に見いだされる神経細胞接着分子(「NCAM」)において豊富に発現される。PSAはまた、腎臓、心臓、および嗅覚神経を含む成人組織にわずかに見いだされる。従って、ほとんどの抗MenBPS抗体はまた、自己抗体である。それゆえ、このような抗体は、胎児発症に逆行的に影響するか、または自己免疫疾患を導く能力を有する。
【0005】
MenB PS誘導体は、MenB PSの乏しい免疫原性を回避するための試みにおいて調製されている。例えば、C4-C8N-アシル置換MenB PS誘導体が記載されている。Jenningsらに対するEP公報第504,202B号を参照のこと。同様に、Jenningsらに対する米国特許第4,727,136号は、N-プロピオニル化MenBPS分子(本明細書中で「NPr-MenB PS」と称す)を記載する。NPr-MenB PS複合糖質で免役したマウスは、高力価のIgG抗体を誘発することが報告された。Jenningsら、(1986)J.Immunol.137:1708。ウサギにおいて、抗体の2つの別々の集団(MenB PSによって占有されるものおよび占有されないものの2つの異なるエピトープに関連して称される)は、誘導体を用いて産生された。殺菌性活性は、MenBPSと交差反応しなかった抗体集団において見いだされた。Jenningsら、(1987)J.Exp.Med. 165:1207。この結合体(conjugate)によって誘発される防御性抗体と反応する細菌表面エピトープ(単数または複数)の同一性は、未知のままである。
【0006】
上記のMenB PS誘導体は、有意な抗MenB PS応答を誘発し得るが、応答する抗体は、宿主組織におけるポリシアル酸残基と交差反応する分子の有意な部分を未だ含み、それゆえ自己反応である。従って、現在まで、MenBワクチン開発を意図してとられた試みは、安全かつMenBに対して有効なワクチンを首尾良く提供していない。従って、ワクチン処方物に使用され得るMenB免疫原を提供する必要があるままである。ここで、免疫原は、宿主組織と交差反応する免疫化動物における抗体の産生を誘発せず、従って、MenB疾患の予防または処置に使用され得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、MenBオリゴサッカライド(MenB OS)誘導体フラグメントの実質的に均一の調製物、およびこれらのフラグメントから作製された複合糖質が、抗MenBワクチン調製物に使用するための非常に効果的な免疫原を提供することの発見に基づく。免疫化動物におけるこれらのMenBOS誘導体フラグメントによって誘発された抗体は、本明細書中に記載のいくつかの結合アッセイを用いて決定されたように、宿主組織と実質的に交差反応せず、それゆえ、自己反応である。本発明のMenBOSフラグメントは、自己反応分子の形成を誘発しないので、MenBおよびE.coli K1疾患の予防に使用するための安全かつ効率的なワクチン組成物を提供する。
【0008】
従って、1つの実施態様において、本発明は、N-アセチル基をN-アシル基で置換されたシアル酸残基を有するMenBOS誘導体を含む複合糖質に関する。ここで、MenB OS誘導体はキャリア分子に共有結合し、そして約10〜約20の平均重合度(Dp)を有する。
【0009】
別の実施態様において、本発明は、 N-アセチル基をN-プロピオニル基で置換されたシアル酸残基を有するMenBOS誘導体を含む複合糖質に関する。ここで、MenB OS誘導体は破傷風トキソイドタンパク質キャリアに共有結合し、そして約12〜約18の平均Dpを有する。
【0010】
さらに別の実施態様において、本発明は、以下の工程を含む、複合糖質を産生する方法を指向する:
(a)MenB OS誘導体の均一な集団を提供する工程、ここで、シアル酸残基N-アセチル基はN-アシル基で置換されている;
(b)MenB OS誘導体の実質的に均一なグループを(a)の集団から得る工程、ここで、MenBOS誘導体は約10〜20の平均Dpを有する;
(c)工程(b)において得られる誘導体の非還元末端に反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)末端活性化MenB OS誘導体をキャリア分子に共有結合させて、実質的に均一なサイズのMenBOS部分を含むMenB OS複合糖質を提供する工程。
【0011】
なおさらなる実施態様において、本発明は、以下の工程を含む、複合糖質を産生する方法に関する:
(a)MenB OS誘導体の均一な集団を提供する工程、ここで、シアル酸残基のN-アセチル基はN-プロピオニル基で置換されている、工程;
(b)MenB OSの実質的に均一のグループを(a)の集団から得る工程。ここで、MenBOS誘導体は約12〜18の平均Dpを有する、工程;
(c)工程(b)において得られる誘導体の非還元末端で反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)末端活性化MenB OS誘導体を破傷風トキソイドキャリア分子に共有結合させて、実質的に均一のサイズのMenBOS部分を含むMenB OS/破傷風トキソイド複合糖質を提供する工程。
【0012】
なおさらなる実施態様において、本発明は、これらの方法によって産生された複合糖質、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて複合糖質を含むワクチン組成物、およびワクチン組成物を形成する方法に関する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、哺乳動物被験体におけるMenBおよび/またはE,coliK1疾患を予防または処置する方法に関し、これは上記のワクチン組成物の治療学的に有効な量を被験体に投与する工程を含む。
【0014】
したがって、本発明は、以下を提供する。
1.シアル酸残基N−アセチル基がN−アシル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体を含む複合糖質であって、ここで、該MenB OS誘導体がキャリア分子に共有結合されており、そして約10〜約20の平均重合度(Dp)を有する、複合糖質。
2.前記Nアセチル基がN−プロピオニル基で置換されている、項目1に記載の複合糖質。
3.前記キャリア分子が細菌トキソイドである、項目1に記載の複合糖質。
4.前記細菌トキソイドが破傷風トキソイドである、項目3に記載の複合糖質
5.前記キャリア分子が非毒性変異型細菌トキソイドである、項目1に記載の複合糖質。
6.前記変異型細菌トキソイドがCRM197である、項目5に記載の複合糖質。
7.前記MenB OS誘導体が約12〜約18の平均Dpを有する、項目1に記載の複合糖質。
8.シアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体を含む複合糖質であって、ここで、該MenB OS誘導体がCRM197トキソイドタンパクキャリアに共有結合されており、そして約12〜約18の平均Dpを有する、複合糖質。
9.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目1に記載の複合糖質。
10.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目8に記載の複合糖質。
11.複合糖質を生成する方法であって、以下:
(a)シアル酸残基N−アセチル基がN−アシル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体の不均一な集団を提供する工程;
(b)(a)の集団由来のMenB OS誘導体の実質的に均一なグループを得る工程であって、該MenBOS誘導体のグループが約10〜約20の平均Dpを有する、工程;
(c)工程(b)において得られた誘導体の非還元末端に反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)該末端活性化MenB OS誘導体をキャリア分子に共有結合させて、実質的に均一なサイズのMenBOS部分を含むMenB OS複合糖質を提供する工程、
を包含する、方法。
12.前記工程(c)で導入される反応基が反応性アルデヒド基を含む、項目11に記載の方法。
13.前記MenB OS誘導体のシアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されている、項目11に記載の方法。
14.前記キャリア分子が細菌トキソイドである、項目13に記載の方法。
15.前記キャリア分子が、非毒性変異型細菌トキソイドである、項目13に記載の方法。
16.前記MenB OS誘導体が、約12〜約18の平均Dpを有する、項目11に記載の方法。
17.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目11に記載の方法。
18.複合糖質を生成する方法であって、以下:
(a)シアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体の不均一な集団を提供する工程;
(b)(a)の集団由来のMenB OS誘導体の実質的に均一なグループを得る工程であって、該MenBOS誘導体のグループが約12〜約18の平均Dpを有する、工程;
(c)工程(b)において得られた誘導体の非還元末端に反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)該末端活性化MenB OS誘導体をCRM197細菌トキソイドキャリア分子に共有結合させて、実質的に均一なサイズのMenBOS部分を含むMenB OS/CRM197トキソイド複合糖質を提供する工程、
を包含する、方法。
19.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目18に記載の方法。
20.複合糖質を生成する方法であって、以下:
(a)シアル酸残基N−アセチル基がN−アシル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体の不均一な集団を提供する工程;
(b)(a)の集団由来のMenB OS誘導体の実質的に均一なグループを得る工程であって、該MenBOS誘導体のグループが約10〜約20の平均Dpを有する、工程;
(c)工程(b)において得られた誘導体の還元末端に反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)該末端活性化MenB OS誘導体をキャリア分子に共有結合させて、実質的に均一なサイズのMenBOS部分を含むMenB OS複合糖質を提供する工程、
を包含する、方法。
21.前記工程(c)で導入される反応基が活性エステル基を含む、項目20に記載の方法。
22.前記MenB OS誘導体のシアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されている、項目20に記載の方法。
23.前記キャリア分子が細菌トキソイドである、項目22に記載の方法。
24.前記キャリア分子が、非毒性変異型細菌トキソイドである、項目22に記載の方法。
25.前記MenB OS誘導体が、約12〜約18の平均Dpを有する、項目20に記載の方法。
26.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目20に記載の方法。
27.複合糖質を生成する方法であって、以下:
(a)シアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体の不均一な集団を提供する工程;
(b)(a)の集団由来のMenB OS誘導体の実質的に均一なグループを得る工程であって、該MenBOS誘導体が約12〜約18の平均Dpを有する、工程;
(c)工程(b)において得られた誘導体の還元末端に反応基を導入して、単一末端活性化MenBOS誘導体を提供する工程;および
(d)該末端活性化MenB OS誘導体をCRM197細菌トキソイドキャリア分子に共有結合させて実質的に均一なサイズのMenBOS部分を含むMenB OS/CRM197トキソイド複合糖質を提供する工程、
を包含する、方法。
28.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目27に記載の方法。
29.項目11に記載の方法により生成される複合糖質。
30.項目18に記載の方法により生成される複合糖質。
31.項目20に記載の方法により生成される複合糖質。
32.項目27に記載の方法により生成される複合糖質。
33.ワクチン組成物であって、以下:
シアル酸残基N−アセチル基がN−アシル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体から形成される複合糖質であって、ここで、該MenB OS誘導体がキャリア分子に共有結合されており、そして約10〜約20の平均重合度(Dp)を有する、複合糖質;および
薬学的に受容可能な賦形剤、
の組合せを含む、ワクチン組成物。
34.前記MenB OS誘導体のNアセチル基がN−プロピオニル基で置換されている、項目33に記載のワクチン組成物。
35.前記MenB OS誘導体が約12〜約18の平均Dpを有する、項目33に記載のワクチン組成物。
36.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目33に記載のワクチン組成物。
37.ワクチン組成物であって、以下:
シアル酸残基N−アセチル基がN−プロピオニル基で置換されているNeisseriameningitidis血清型B莢膜オリゴサッカライド(MenB OS)誘導体から形成される複合糖質であって、ここで、該MenB OS誘導体がCRM197トキソイドタンパク質キャリアに共有結合されており、そして約12〜約18の平均重合度(Dp)を有する、複合糖質;および
薬学的に受容可能な賦形剤、
の組合せを含む、ワクチン組成物。
38.前記MenB OS誘導体が、さらに、それに共有結合しているC3-C16長鎖脂肪族脂質を含む、項目37に記載のワクチン組成物。
39.アジュバントをさらに含む、項目33に記載のワクチン組成物。
40.アジュバントをさらに含む、項目37に記載のワクチン組成物。
41.哺乳動物被験体においてNeisseria meningitidis血清型Bおよび/またはE.coliK1疾患を予防する方法であって、治療的有効量の項目33に記載のワクチンを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
42.哺乳動物被験体においてNeisseria meningitidis血清型Bおよび/またはE.coliK1疾患を予防する方法であって、治療的有効量の項目37に記載のワクチンを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0015】

本発明のこれらおよび他の実施態様は、本明細書中の開示に基づいて、当業者には容易に実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の実施は、他に示さない限りは、当該分野内の免疫学、微生物学、分子生物学、および組換えDNA技術を使用する。このような技術は、文献において完全に説明される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratry Manual(第2版、1989);DNA Cloning: A Practical Approach,第IおよびII巻(D,Glover編);OligonucleotideSynthesis(N.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcriptionand Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.Freshney編、1986);Perbal,A practical Guide to Molecular Cloning(1984);およびHandbook of ExperimentalImmunology,第I〜IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、1986, Blackwell ScientificPublications)を参照のこと。
【0017】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、前出であろうと後出であろうと、その全体を参考として援用する。
【0018】
本明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形態「a」、「an」、および「the」は、文脈で他に明確に示さない限りは、複数の参照を含む。
【0019】

I.定義
本発明の説明において、以下の用語が使用され、そして以下に示されるように定義されることが意図される。
【0020】
本明細書で使用される「MenB PS誘導体」は、MenBの天然の莢膜ポリサッカライドの化学改変によって得られた分子をいう。このようなMenBPS誘導体としては、天然の分子のシアル酸残基N-アセチル基の適切なアシル基(例えば、C3-C8およびそれ以上のアシル基)での置換によって改変されているMenBPS分子が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、用語「アシル基」は、任意のアシル化直鎖状分子、分枝状分子、脂肪族分子、または芳香族分子を包含する。本明細書中で使用されるための特に好ましいMenBPS誘導体は、天然のMenB PSのN-プロピオニル基のN-アセチルとの置換を含む(本明細書で「NPr-Menb PS」と称す)。N-アシル置換したMenBPS誘導体(NPr-MenB PSを含む)を合成する方法は当該分野で公知であり、そしてJenningsらの米国特許第4,727,136号およびJenningsらの欧州特許公開第504,202B号にも記載される。
【0021】
「抗原」は、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の物質を含むことを、本明細書中で定義される。「免疫原」は、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原である。このような活性化は、一般的に、免疫原に対する分泌、細胞、および/または抗体媒介性免疫応答の発生を生じる。通常、このような応答は、以下の効果の1つ以上を含むが、これらに限定されない;任意の免疫学的クラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)からの抗体の産生;BおよびTリンパ球の増殖;免疫学的細胞への活性化、増殖、および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、ならびに/または細胞毒性T細胞、および/またはγδT細胞集団。それゆえ、免疫原は、このような抗原特異的応答を開始する宿主の免疫系を刺激する1つ以上の抗原決定因子(例えば、エピトープ)を含む任意の分子を含む。
【0022】
「エピトープ」は、特異的なB細胞およびT細胞が応答する抗原の部位を意味する。用語はまた、「抗原決定因子」または「抗原決定因子部位」と交換可能に使用される。ペプチドエピトープは、エピトープに独特の空間的な高次構造において3つ以上のアミノ酸を含み得る。一般的には、エピトープは、少なくとも5のこようなアミノ酸からなり、そしてより通常には少なくとも8〜10のこのようなアミノ酸からなる。アミノ酸の空間的な高次構造を決定する方法は当該分野で公知であり、そして、例えば、X線結晶解析および二次元核磁気共鳴が挙げられる。さらに、所定のタンパク質におけるエピトープの同定は、当該分野で周知の技術を用いて、容易に達成される。例えば、Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:3998(所定の抗原における免疫原性エピトープの位置を決定するためのペプチドを迅速に合成する一般的な方法);米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定しそして化学的に合成するための手順);およびGeysenら(1986)MolecularImmunology 23:709-715(所定の抗体に高い親和性を有するペプチドを同定するための技術)を参照のこと。同じエピトープを認識する抗体は、簡単な免疫アッセイにおいて同定され得、これは、別の抗体の標的抗原への結合を阻害する1つの抗体の能力を示す。
【0023】
「独特のMenBエピトープ」は、MenB細菌に存在するエピトープとして、本明細書中で定義される。ここでエピトープを直接指向する抗体は、MenBに特異的に結合し得、そして宿主組織の表面に存在するシアル酸残基と交差反応しないか、または最小限にしか交差反応しない。従って、1つ以上の「独特のMenBエピトープ」を含む免疫原は、MenB疾患の予防のためのワクチンに有用であり、そして自己免疫応答を誘発しないか、または自己免疫応答を誘発する最小限の危険に留まるかのいずれかである。
【0024】
「哺乳動物被験体」は、ヒトならびに他の霊長目(チンパンジーおよび他のヒトニザルおよびサル(monkey)種:ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマのような家畜;イヌおよびネコのようなペット;ならびにマウス、ラット、およびモルモットのような齧歯目を含む実験動物のような非ヒト霊長目を含む)を含むがこれらの限定されない哺乳網クラスの任意のメンバーを意味する。用語は、特定の年齢または性別を示さない。従って、成人および新生児個体の両方、ならびに特徴(男性または女性のいずれか)が、含まれることを意図される。
【0025】

II.発明を実施するための様態
上記に説明したように、MenBの天然の莢膜ポリサッカライド(本明細書中で「MenB PS」と称す)は、ヒトおよび実験動物において免疫原性に乏しい。さらに、天然のMenBPSは、自己抗体の産生を誘発し、それゆえ、ワクチン組成物における使用に不適切であり得る。従って、本発明は、MenB最近に対して機能的活性を示す抗体の形成を誘発するそれらの能力に基づいて選択された、MenBOS誘導体免疫原を使用する。ここで、このような機能的活性は、MenB疾患に対する保護を確認するのに重要である。免疫原はまた、本明細書中に記載されるアッセイを用いて決定されるような最小限または実質的に検出不可能な自己免疫活性を有する免疫応答を誘発することに基づいて選択される。
【0026】
より詳細には、MenB PS誘導体は、MenB OS誘導体免疫原の産生における開始物質として使用するために調製された。MenBPS誘導体は、一般的に、天然の分子のシアル酸残基N-アセチル基のC3-C8アシル置換を含む。特に好ましいMenBPS誘導体は、天然のMenBのN-プロピオニル基のN-アセチル基への置換を含み、そして本明細書中で「NPr-MenB PS」といわれる。このような誘導体およびそれを合成する方法は、例えば、米国特許第4,727,136号および欧州特許公開第504,202号(両方ともJenningsら)に記載される。
【0027】
C3-C8アシル誘導体は、強塩基の存在下で第1のN-脱アシル化天然MenB(例えば、N.meningitidis培養物から得られる)によって作製され得、N-アセチル基を定性的に除去し、そして分子のシアル酸残基部分における反応性アミン基を提供する。次いで、脱アシル化MenBポリサッカライドは、N−アシル化される。例えば、NPr-MenBPSの場合、脱アシル化分子は、プロピオニル基の供給源(例えば、Jenningsらに対する米国特許第4,727,136号に記載されるような、プロピオン酸無水物および塩化プロピオニル)を用いて、N-プロピオニル化される。N-アシル化の程度は、例えば、NMR分光学を用いて決定され得る。一般的には、反応条件は、N-アシル化の程度が少なくとも約80%であるように選択される。
【0028】
従って、高分子量のMenB PS誘導体分子不均一集団が得られる。以前の方法は、複合糖質調製物におけるこのような不均一高分子量誘導体を用いた。ここで、誘導体は、制御された過ヨウ素酸酸化に供され、タンパク質キャリアへの結合(ポリサッカライドの非還元末端でのアルデヒド基を介する)のための非還元末端で末端アルデヒド基を作製する。しかし、本発明の実施において、上記のN-アシル化MenBポリサッカライド誘導体はフラグメント化され、次いでサイズ分画化されて、複合糖質を調製するのに使用するための中間に「サイズをそろえた」MenBオリゴサッカライドフラグメントの実質的に均一な集団を提供する。
【0029】
充分に規定されそして制御された構造立体配置を有するN-アシル化MenB OS誘導体ベースの複合糖質を提供するために、中間サイズのN-アシル化MenBオリゴサッカライドは、実質的に均一なサッカライド部分サイズを有するように調製される。これらのサイズの分子から形成される複合糖質は、不均一調製物より一貫性のある免疫学的な振る舞いを示すことが予想される。詳細には、N-アシル化MenBPS調製物(例えば、NMR分析によって決定されたような、実質的に100%N-アシル化シアル酸残基を有する)は、穏やかな酸性条件下でフラグメント化されて、種々のサイズのオリゴサッカライド分子の集団を提供する。フラグメント化産物は、例えば、段階塩勾配と組み合わせた標準的なクロマトグラフィー技術を用いてサイズ分画されて、均一のサイズのN-アシル化MenB分子の画分を提供する。同じ大きさのオリゴサッカライドを含み、例えば、約5〜約25、好ましくは10〜約20、およびより詳細には12〜約18の平均Dpを有する画分が、本明細書中でさらに使用するために選択される。中間の長さを有するこれらの同じ大きさのN=アシル化オリゴマーは、T細胞依存性ハプテンとして機能するのに十分小さく、さらに関連する高次構造のエピトープを発現するのに十分大きい。
【0030】
このサイズのMenB PS誘導体フラグメントの免疫原性を増大させるために、分子は適切なキャリア分子に結合され得、複合糖質を提供する。適切なキャリアは、本明細書中以下にさらに記載される。特に、充分に規定されそして制御された構造立体配置を有する複合糖質調製物は、中間サイズのN-アシル化MenBオリゴサッカライドから形成されて、優れた免疫原性を有するN-アシル化MenBオリゴサッカライドを提供し得る。
【0031】
従って、本発明の1つの実施態様において、N-アシル化MenB OS複合糖質(この例は、本明細書中で「CONJ-1」といわれる)のグループは、以下のように調製され得る。約10〜約20、および好ましくは約12〜約18の平均Dpを有する中間サイズのオリゴサッカライドの画分は、それらの非還元末端で化学的に末端活性化され、そして還元アミノ化技術によってタンパク質キャリアに結合して、CONJI-1複合糖質を提供する。得られた複合糖質は図1に示される。ここで、オリゴサッカライドフラグメント2は、それらの非還元末端4で適切なタンパク質キャリア6に共有結合して、複合糖質(一般的には8で示される)を提供することを示す。首尾良い結合は、例えば、ゲル濾過を用いて決定され得、そしてタンパク質に対する最終的なサッカライドの比(w/w)を、比色分析アッセイによって評価した。
【0032】
本発明の関連する実施態様において、別のグループのN-アシル化MenB OS複合糖質(この例は、本明細書中で「CONJ-2」といわれる)は、以下のように調製される。約10〜約20、および好ましくは約12〜約18の平均Dpを有する中間サイズのオリゴサッカライドの画分は、それらの還元末端でタンパク質に固着されて、逆の化学極性(配向)を有する複合糖質を提供する。特に、N-アシル化MenBオリゴサッカライドフラグメントの還元末端は、還元アミノ化によって、例えば、NaCNBH3を用いて、遊離アミノ基に変換され得る。次いで、遊離アミノ基は、アジピン酸のN-OHスクシンイミド活性エステルを有するアンカー分子を共有結合することによって改変され得る。タンパク質キャリアへの結合は、リジンのεアミノ基での活性エステル基の求核置換によって生じ、安定なアミド結合を提供する。図2を参照することによって理解され得るように、得られるCONJ-2複合糖質(一般的には18で示される)は、CONJ-1複合糖質に類似の結合を有するが、サッカライドフラグメントは、タンパク質キャリアに比べて逆方向に配向する。この構造配向は、MenBPSの天然の化学極性により緊密に共通する。特に、オリゴサッカライドフラグメント12は、それらの還元末端15で適切なタンパク質キャリア16に共有結合して、CONJ-2複合糖質18を提供することが示される。
【0033】
CONJ-2複合糖質を提供するために(ここで、オリゴサッカライドフラグメントはタンパク質キャリアから突出される)、上記の方法は、アジピン酸のN-OHスクシンイミド活性エステルを有する炭化水素スペーサーアームを用いることによって、アミン化分子の遊離アミノ基を修飾するために改変され得る。スペーサーアームはC3〜C8の分子を含み得、これは、複合糖質においてタンパク質キャリアからオリゴサッカライドフラグメントを伸張する。
【0034】
なおさらなる複合糖質は、上記のサイズのMenB OS誘導体フラグメントから形成され得る。特に、細菌性MenBPSの還元末端での脂質部分の存在が実証されている。Mandrellら(1982)J.Immunol. 129:2172。任意の特定の理論によって結びつけられないが、この脂質部分は、疎水性相互作用を介して、ポリサッカライドを細菌表面に結合するアンカー機構として作用し得る。従って、天然のMenBPSのサッカライド-脂質結合領域は、長いポリシアル酸鎖の構築物のマスキングおよび/またはシールド効果の結果として、または精製の間の脂質部分の欠失の結果としてのいずれかで、精製MenBPS調製物には存在しない独特のエピトープ(新生(neo)決定因子)を提供し得る。
【0035】
従って、さらに、なおさらに関連した本発明の実施態様において、MenB OS複合糖質が提供され、この例は本明細書中で「CONJ-3」および「CONJ-4」と称される。ここで、複合糖質は、脂質部分の付加に起因する増強された物理化学的および免疫学的な特徴を有するように構築され、これは、天然のMenBサッカライド-脂質接合領域の模倣物を提供する。1つの特定の実施態様において、約15〜約25の平均Dpを有する中間サイズのオリゴサッカライドの実質的に同質の画分は、上記のように得られ得る。これらのオリゴサッカライドフラグメントは、重要な高次構造エピトープ(例えば、伸張したヘリックス)に折り畳まれるのに十分な長さを有するべきであるが、潜在的なサッカライド-脂質接合新生エピトープの実質的に立体的なマスキングまたはシールドを発揮するには長すぎる。種々の長さの炭化水素鎖(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはプロピオニル、ヘキサノイル、およびドデカノイル基を含む他の脂質部分のようなC3〜C16鎖長脂肪族脂質)は、MenBOSフラグメントの還元末端で、上記のN-OH活性エステルカップリング手順を用いて、共有結合され得る。次いで、得られるアルキル化シアロ-オリゴマーは、緩和に制御された過ヨウ素酸酸化に供され得、オリゴサッカライド部分の非還元末端で末端遊離アルデヒド基を誘導する。次いで、これらの一価のアルキル化-シアロ-オリゴマーは、還元アミノ化によって適切なタンパク質キャリアにカップリングされ得、CONJ-3複合糖質を提供する。図3を参照して、CONJ-3複合糖質は、一般的に、28で示される。複合糖質は、中間サイズのMenBOS誘導体フラグメント22の還元末端25で共有結合した脂質部分32を含み、一価のアルキル化-シアロ-オリゴマーを提供する(一般的には、34で示される)。アルキル化-シアロ-オリゴマー34は、MenBOS誘導体フラグメント22の非還元末端24でタンパク質キャリア26にカップリングされる。
【0036】
関連した実施態様において、約15〜約25の平均Dpを有する中間サイズのオリゴサッカライドの実質的に同質の画分は、過ヨウ素酸化および選択的還元技術を用いて、MenBOS誘導体フラグメントの非還元末端で、C3〜C16脂肪族脂質に共有結合され得る。次いで、得られたアルキル化-シアロ-オリゴマーは、MenBオリゴサッカライド誘導体部分の還元末端を還元アミノ化によって遊離アミノ基に最初に変換することによって、適切なタンパク質キャリアにカップリングされ得る。次いで、遊離アミノ基は、アジピン酸のN-OHスクシンイミド活性エステルを有するアンカー分子を共有結合することによって改変され得る。必要に応じて、活性エステル基を有するC3〜C8のスペーサーアームが添加され、タンパク質キャリアからアルキル化-シアロ-オリゴマーを突出し得る。タンパク質キャリアへの結合は、リジンのε-アミノ基との活性エステル基の求核置換によって生じ、安定なアミド結合を提供し、CONJ-4複合糖質を提供する。図4を参照して、CONJ-4複合糖質は、一般的に、58で示される。複合糖質は、中間サイズのMenBOS誘導体フラグメント52の非還元末端54で共有結合した脂質部分62を含み、一価のアルキル化-シアロ-オリゴマーを提供する(一般的に、64で示される)。アルキル化-シアロ-オリゴマー64は、MenBOSフラグメント52の還元末端55で、タンパク質キャリア56にカップリングされる。
【0037】
CONJ-3およびCONJ-4複合糖質の両方において、脂質-サッカライド接合領域は、タンパク質キャリアに遠位に配置されることによって暴露される。この立体配置は、脂質-サッカライド接合領域(新生エピトープ)に、新生エピトープ領域への抗体形成を誘導するための免疫学的な受容可能性および認識可能性を与える。CONJ-4複合糖質は、CONJ-3複合糖質と類似の構造を有するが、サッカライドフラグメントは、タンパク質キャリアに対して逆に配向する。
【0038】
脂質化(lipidate)末端を有するMenB OS誘導体を人工的に作製したCONJ-3およびCONJ-4のような複合糖質を提供するのに加えて、天然に存在する脂質を含有する天然のMenBオリゴマーは、複合糖質調製物の調製における使用のために単離され、そして精製される。従って、本発明の別の実施態様において、MenBPSは、ノイラミニダーゼ(上記の酸加水分解ではなく)を用いて消化され得、これは、天然のMenB PS鎖のサッカライド-脂質部分の構造的および化学的整合性を保存する。この様式において、シアル酸残基は、ノイラミニダーゼ酵素の作用によって、非還元末端から順次除去される。時間制御された消化を用いることによって、シアル-脂質オリゴマーの実質的に同質の画分は、種々の鎖長を有するように作製され得る。生じた遊離シアル酸残基は、透析によって調製物から除去され得、そして脂質-MenBオリゴマーを含む保有物(retentate)は、イオン交換または疎水性相互作用クロマトグラフィー技術によって精製され得る。次いで、脂質-MenBオリゴマーは、上記の技術を用いて、適切なタンパク質キャリアへの結合のために入手可能である。特に、結合は一般的に、脂質-menBオリゴマーの非還元末端で選択的な末端基活性化に関与し、キャリア分子への単一部位(single-site)共有結合を可能にする。
【0039】
上記の複合糖質の各々は、それ自身が有害な抗体の産生を誘導しないキャリア分子を用いて調製される。適切なキャリアは、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体(例えば、液滴またはリポソーム)、および不活性なウイルス粒子のような、代表的に、大きなゆっくりと代謝される巨大分子である。好ましくは、本発明の同じ大きさのMenB OS誘導体フラグメントは、細菌性トキソイド(例えば、限定されないが、形態ジフテリア、破傷風、コレラなど由来のトキソイド)に結合される。特定の実施態様において、オリゴサッカライドフラグメントは、CRM197タンパク質キャリアにカップリングされる。CRM197キャリアは、充分に特徴づけられた非毒性ジフテリアトキソイド変異体であり、ヒトの使用に意図された複合糖質ワクチン調製物に有用である。Bixlerら(1989)Adv.Exp.Med.Biol.251:175、Constantinoら(1992)Vaccine。他の実施態様において、MenBOS誘導体フラグメントは、強力なT細胞エピトープを有することが公知であるタンパク質キャリアにカップリングする。例示的なキャリアとしては、破傷風トキソイド(TT)のフラグメントC、およびN.meningitidisのクラス1またはクラス2/3OMPが挙げられるが、これらに限定されない。このようなキャリアは、当業者に周知である。複合糖質は、Menb細菌細胞の表面に見いだされるエピトープを模倣するサッカライド結合エピトープを発現するそれらの能力について選択される。本発明での使用に適切な複合糖質は、免疫化宿主における機能的細菌特異的抗体の形成を誘発し、そして本明細書中に記載の結合アッセイを用いて決定される場合、宿主組織と交差反応しない。
【0040】
いくつかの因子は、上記の複合糖質の身体的および免疫学的な特性における影響を有する。詳細には、平均のMenBオリゴマーフラグメントサイズ、サッカライドのタンパク質に対する比(ハプテン装填密度)、結合化学、およびタンパク質キャリアの選択は、本複合糖質の調製において考慮および最適化されるべき全ての因子である。例えば、低いサッカライド装填密度は、乏しい抗サッカライド抗体応答を生じ得る。一方、サッカライドの大量装填は、タンパク質分子の重要なT細胞エピトープを潜在的にマスクし得、従ってキャリア効果を抑止し、そして全抗サッカライド免疫応答を減衰させる。
【0041】
従って、種々の結合反応の経過の間、アリコートが回収され得、そして結合課程の程度をモニターするためにSEC-HPLCによって分析され得る。解離緩衝液(例えば、EDTA、SDS、デオキシコール酸など)の使用は、非共有相互作用による調製物に接着し得る組成物を分離するために使用され得る。キャリアのグリコシル化を確実にするために、カラムの排除容量(Vo)への特定のタンパク質キャリアの保持時間のシフトがモニターされ得る。さらに、HPLCクロマトグラムにおけるサッカライドピーク面積の緩やかな減少は、キャリアへのサッカライドの取り込みを示唆するために使用され得る。
【0042】
複合糖質の特徴付けは、例えば、ゲル濾過カラムを用いる分子量決定を含み得る。さらなる特徴付けはまた、SDS-PAGE分離装置の電気泳動移動度、ならびに炭水化物およびアミノ酸成分に関する複合糖質の化学的組成物の分析を含み得る。産物の純度、および残存する夾雑物(例えば、核酸、LPS、ならびに遊離サッカライドおよび/またはキャリア)の非存在の同定もまた、公知の技術を用いて実証され得る。安定な共有結合の確認は、分析技術(界面活性剤含有緩衝液におけるゲル濾過、SDS-PAGE、続くウエスタンブロット分析、およびアミノ酸分析を含む)の組合せを用いて達成され得る。例えば、Vellaら(1992)Vaccines:New Approaches to Immunological Problems,(Ellis,R.W.編)、Butterworth-Heinemann,Boston, 1〜22頁、Seidら(1989)Glycoconjugate J. 6: 489を参照のこと。
【0043】
本発明の複合糖質は、免疫化宿主における抗MenB免疫応答の形成を誘発するために使用される。免疫化宿主によって産生される抗MenB抗体は、本明細書中に記載の結合アッセイを用いて決定される場合、宿主組織シアル酸残基と、交差反応しないかまたは最小限に交差反応するが、MenB細菌に結合するはずである。抗MenB抗体は、イソタイプ、良好な抗原特異性、機能的活性、および宿主組織におけるポリシアル酸残基との交差反応性に関して完全に特徴づけられ得る。殺菌性活性を有する非自己反応性IgG抗体を誘発し得る複合糖質は、抗MenB免疫化における使用のためのワクチン処方物の調製に使用するために選択され得る。
【0044】
例えば、MenB OS誘導体複合糖質の免疫原性は、哺乳動物被験体(簡便には、齧歯目およびウサギのような標準的な実験動物)を、以下でさらに記載される適切なアジュバントとともに複合糖質を含む組成物でチャレンジすることによって決定され得る。被験体の群は、一般的に免疫化され、そして組成物またはコントロール物質(例えば、アジュバント単独、天然のMenBPS、MenB OS誘導体フラグメント、または非共有結合MenB OS誘導体/キャリア複合体)で数回追加免疫される。免疫化被験体からの抗血清が得られ得、そしてプールされた血清の連続希釈物は、標準的な技術を用いて、例えばELISAによって評価される。標識化抗IgG血清は、IgG抗MenBOS誘導体抗体応答を測定するために使用され得る。結合体によって誘発される抗体のイソタイプを決定するために、標準的な方法(例えば、ELISA)はまた、IgGサブクラスIgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3に特異的な標識化分子を用いて行われ得る。IgG2bおよびIgG1に優勢であり、そしてIgG2aおよびIgG3に対してより低い程度であるイソタイプ応答は、T細胞依存性抗原の特徴である。高度に免疫原性であることが見いだされ、そして優勢なIgG抗体を産生する結合体は、さらなる評価のために選択される。
【0045】
特に、選択されたMenB OS誘導体複合糖質によって誘発された抗体の特異性は、競合特異的結合アッセイ(例えば、阻害ELISAなど)を用いてさらに評価され得る。例えば、可溶性MenBOS誘導体(または複合糖質)または天然のMenB PSのいずれかとともに、免疫化被験体から得られた抗血清は、適切なELISA反応容器中で、二次抗体としての標識化抗Ig(抗IgM、IgG、およびIgA)を用いて、結合MenBOS誘導体(またはその複合糖質)と反応され得る。従って、可溶性の天然のMenB PS(例えば、改変されたポリサッカライド分子に高度に親和性を示す抗体を誘発するもの)によるよりも、可溶性MenBOS誘導体および複合糖質によってより大きな程度で阻害される抗体の形成を誘発するMenB OS複合糖質は、さらなる免疫化研究における使用のための候補物として選択される。
【0046】
機能的活性は、相補媒介性殺菌性活性および/またはオプソニン活性を評価することによって決定され得る。特に、抗体の相補媒介性殺菌性活性は、Goldら(1970)Infect.Immun. 1:479、Westerinkら(1988)Infect.Immun.56:1120、Mandrellら(1995)J.Infect.Dis.172:1279、およびGranoffら(1995)Clin.Diagn.Laboratory Immunol. 2:574に記載されるような標準的なアッセイを用いて評価され得る。これらのアッセイにおいて、N.meningitidisは、相補供給源ならびに試験される抗体と反応される。細菌計数は、種々のサンプリング時間で行われる。時間0でのコロニー計数と比較して、抗体および相補体との60分間のインキュベーションの後に決定された生存細菌細胞の計数における最小50%の減少によって実証されたように、相補媒介性殺菌性活性を示すこれらの抗体は、本発明の目的のための殺菌性活性を示すことが考えられ、そしてさらなる使用に適切である。
【0047】
補体媒介性溶菌作用は、侵襲性髄膜炎菌性疾患に対する宿主防御を担う主要な機構であると考えられる。しかし、かなりの証拠が、オプソニン作用についての重要な防御役割もまた支持する(例えば、Bjerknesら(1995)Infect.Immun.63:160を参照のこと)。従って、本明細書中で産生される抗体のオプソニン活性が、機能的活性を評価するために、第二の手段としてまたは代替的な手段として評価される。オプソニンアッセイからの結果は、殺菌性データを補充するため、および防御を与え得る適当な複合糖質の選択を補助するために使用され得る。
【0048】
種々のオプソニンアッセイ方法は当該分野で公知であり、そして本発明の複合糖質によって誘導される抗体の機能的活性を評価するために使用され得る。このような標準的なアッセイは、Sjursenら(1987)Acta Path. Microbiol. Immunol.Scand., Sec. C 95:283,Halstensenら(1989)Scand.j.Infect. Dis. 21:267、Lehmannら(1991)APMIS 99:769、Halstensenら(1991)NIPH Annals14:157,Fredlundら(1992)APMIS 100:449、Guttormsenら(1992)Infect. Immun. 60:2777、Guttormsenら(1993)J.Infec. Dis. 167:1314,Bjerknesら(1995)Infect. Immun.63:160、Hayrinenら(1995)J.Infect.Dis.171:1481、de Velascoら(1995)J. Infect. Dis. 172:262、およびVerheul, A.F.M.(1991)「MeningococcalLPS Derived Oligosaccharide-Protein Conjugate Vaccines, Immunochemical andImmunological Aspects」Thesis, Utrecht University, The Netherlands, 112〜135頁に記載されるものを含む。
【0049】
いくつかの結合アッセイは、本発明の複合糖質によって誘導される抗体の可能な自己反応性を評価するために使用され得る。特に、誘導された抗体は、細胞表面上でポリシアル酸を発現する宿主細胞に結合する能力について評価され得る。このような細胞は、自己免疫活性を示す抗体の検出のための代理標的を示す。1つの標的は、ヒト神経芽腫細胞株CHP-134を含み、これは、その細胞表面上で長鎖α2-8ポリシアル酸(NCAM)を発現する(Livingstonら(1988)J.Biol. Chem. 263:9443によって記載)。他の適切な標的としては、新生児脳細胞、例えば、腎臓、心臓、および嗅覚神経由来の組織、培養伏在静脈内皮細胞、細胞傷害性Tリンパ球、およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Brandonら(1993)Intl.J. Immunopathology and Pharmacology 6:77を参照のこと。免疫化被験体から得られる抗体分子が、培養物中の適切な試験細胞集団に添加され得、そして細胞標的への抗体の可能な結合が、標識されたモノクローナルを用いて直接的に、または抗体と特異的に反応する適切に標識された二次試薬(例えば、StaphylococcalProtein AおよびGならびに抗マウス抗体分子)を用いて間接的に検出および定量され得る。試験宿主組織PSAと交差反応しないかまたは最小限の反応性を示す抗体は、本発明の目的のために自己反応性であるとはみなされない。従って、このような抗体の形成を誘発するために使用される複合糖質は、さらなる使用に適切である。さらに、試験組織との結合を示すいくつかの抗体(この結合は、試験細胞のノイラミニダーゼでの前処理によって影響されない)もまた、さらなる使用に適切な複合糖質の指標であり得る。このような抗体の自己反応性は、本明細書中で「不確定」と称する。
【0050】
種々のMenB OS誘導体結合体を提供するために使用されるプロセスは、MenB生物の表面に見出されるものを模倣し、かつ宿主で最小限に発現される独特のサッカライド関連エピトープを提示する優れた免疫原を産生するように設計される。従って、本明細書中に記載のサッカライド誘導体は、MenB特異的抗体の産生を誘発し得、そして抗MenBワクチン処方物において直接使用される。このワクチン処方物は、哺乳動物におけるMenBおよびE.coliK1疾患を予防および/または処置するための薬学的組成物において使用され得る。このような疾患としては、幼児、子供、および成人における細菌性髄膜炎および敗血症が挙げられる。
【0051】
ワクチンは、1つ以上のMenB OS誘導体免疫原を含み得る。ワクチンはまた、他の抗原および免疫調節剤(例えば、免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン:これらは、IL-2、改変IL-2(cys125→ser125)、GM-CSF、IL-12、γ-インターフェロン、IP-10、MIP1β、およびRANTESを含むがこれらに限定されない)と共に投与され得る。
【0052】
ワクチンは、一般に、1つ以上の「薬学的に受容可能な賦形剤またはビヒクル」(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなど)を含む。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質など)がこのようなビヒクル中に存在し得る。
【0053】
アジュバントもまた、ワクチンの有効性を増強するために用いられ得る。アジュバントは、ワクチン組成物に直接添加され得るか、または別に(ワクチン投与と同時または直後のいずれかで)投与され得る。このようなアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど);(2)水中油型エマルジョン処方物(他の特定の免疫刺激剤(例えば、ムラミルペプチド(下述)または細菌細胞壁成分)を有するまたは有さない):例えば、(a)MF59(国際公開第WO 90/14837号):5%スクワレン、0.5%Tween 80、および0.5%Span 85を含む(必要に応じて、種々の量のMTP-PE(下述)を含むが、必要とされるわけではない)、微小流動機(microfluidizer)(例えば、Model110Y microfluidizer(Microfluidics、Newton、MA)を用いてサブミクロン粒子に処方された、(b)SAF:10%スクワレン、0.4%Tween80、0.5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr-MDP(下述)を含む、サブミクロン粒子に微小流動されるか、またはより大きな粒子サイズエマルジョンを生成するようにボルテックスされるかのいずれかである、および(c)RibiTMアジュバントシステム(RAS)(RibiImmunochem、Hamilton、MT):2%スクワレン、0.2%Tween 80、および1つ以上の細菌細胞壁成分(モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群から、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))を含む;(3)サポニンアジュバント(例えば、StimulonTM(CambridgeBioscience、Worcester、MA)が用いられ得るか、またはそれから生成された粒子であり得る(例えば、ISCOM(免疫刺激複合体));(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL-1、IL-2など)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など;ならびに(6)免疫刺激剤として作用して組成物の有効性を増強し得る他の物質。
【0054】
ムラミルペプチドとしては、N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
代表的には、ワクチン組成物は、注射用(液体溶液または懸濁液のいずれか)として調製される;注射前に液体ビヒクルに入れて溶液または懸濁液とするのに適切な固体形態もまた、調製され得る。調製物はまた、上述のように、アジュバント効果の増強のためにリポソーム中に乳化またはカプセル化され得る。
【0056】
ワクチンは、治療有効量のMenB OB誘導体複合糖質免疫原、および必要に応じて他の上述の成分を含む。「治療有効量」とは、自己免疫応答を刺激することなく、投与される個体において免疫応答を誘導する分子の量を意味する。一般に、このような応答は、被験体において、ワクチンに対して分泌性、細胞性、および/または抗体媒介性免疫応答の発達を生じる。通常、このような応答は、以下の効果の1つ以上を含むがこれらに限定されない:免疫クラス(例えば、免疫グロブリンA、D、E、GまたはM)のいずれかからの抗体の産生;Bリンパ球およびTリンパ球の増殖;免疫細胞への活性化、成長、および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、ならびに/または細胞傷害性T細胞および/もしくはγδT細胞集団の拡大。
【0057】
好ましくは、有効量は、疾患症状の処置(すなわち、症状の減少または完全な除去)または予防をもたらすのに充分である。必要な正確な量は、とりわけ処置される被験体;処置されるべき被験体の年齢および一般状態;抗体を合成する被験体の免疫系の能力;所望される保護の程度;処置される状態の重度;選択される特定の分子;および投与様式に依存して変動する。適当な有効量は、当業者により容易に決定され得る。「治療有効量」は、日常的な試行により決定され得る比較的広範な範囲にある。
【0058】
一旦処方されると、ワクチンは、非経口(例えば、注射により、皮下、または筋内)に従来通りに投与される。他の投与様式に適切なさらなる処方物としては、経口処方物および肺処方物、坐剤、および経皮適用剤が挙げられる。投与処置は、単回用量スケジュールまたは多回用量スケジュールであり得る。
【実施例】
【0059】
III.実験
以下に、本発明を実施するための特定の実施態様の例を挙げる。本実施例は、例示の目的にのみ提供され、本発明の範囲をいかなるようにも限定することを意図しない。
【0060】
用いた数字(例えば、量、温度など)に関して正確に記載するよう試みたが、幾分かの実験誤差および偏差はもちろん許容されるべきである。
【0061】
実施例1
コントロールMenB PS結合体の調製
塩形態の精製MenB PSを、2M NaOHおよびNaBH4を用いて、約110℃にて6時間脱アシル化し、N-アセチル基を適量除去した。脱アシル化MenBPSを、Jenningsらに対する米国特許第4,727,136号に記載のように、無水プロピオン酸の使用によってN-プロピオニル化して、NPr-MenB PSを得た。N-プロピオニル化の程度を、1H-NMR分光法によって約84%であると概算した。NPr-MenBPSを、Jenningsらに対する米国特許第4,727,136号に記載のように、蒸留水に対して透析することによって精製し、そして穏和な過ヨウ素酸酸化に供して、タンパク質キャリアへの続く結合体化のために非還元末端に末端アルデヒド基を導入した。穏和な過ヨウ素酸酸化の間、NPr-MenBPSをフラグメント化し、「サイズのあっていない」NPr-MenBオリゴサッカライドフラグメントの異種集団を生じさせた。これは代表的には、約30以上の平均Dpを有する。
【0062】
サイズのあっていないNPr-MenB PSフラグメントの2つの異なるタンパク質キャリア(TTおよびCRM197)への結合体化を、シアノホウ化水素ナトリウムの存在下における還元アミノ化によって実施した。結合体化反応を、40℃にて約5日にわたって行った。従って、2つのコントロールMenBPS結合体(C1/TTおよびC1/CRM197)を得た。
【0063】
実施例2
結合体の特徴づけ
SDS-PAGEおよびSephadex G-100ゲル濾過を、共有結合結合体部分の形成を確認するために行った。図1に言及すると、C1/CRM197結合体の代表的なSephadexG-100ゲル濾過の結果を示す。特に、結合体化の前(例えば、NaCNBH3の添加前)の、NPr-MenB PSフラグメントおよびCRM197キャリア分子の非共有結合混合物のクロマトグラムを、図1の上部パネルに示す。理解され得るように、NPr-MenBサッカライドはベッド容積に近い幅広いピークとして溶出したが、CRM197タンパク質は、ベッド容積のわずかに前方に溶出した。結合体化後(例えば、還元アミノ化を行うためのNaCNBH3の添加の後)のクロマトグラムは、図1の下部パネルに示す。そこに示されるように、新規な高分子量(HMW)ピークがボイドボリューム近くに現れた。このHMWピーク(サッカライドとタンパク質との両方を含む)を収集し、そしてC1/CRM197結合体として同定した。
【0064】
2つのC1結合体の最終サッカライド対タンパク質の比(w/w)を、比色定量アッセイによって決定し、そしてC1/CRM197結合体については0.21およびC1/TT結合体については0.15であることを見いだした。
【0065】
実施例3
コントロール結合体の免疫原性
免疫化被験体においてIgG抗NPr-MenB PS抗体応答を誘発するC1コントロール結合体の能力を評価するために、以下の研究を行った。CD1マウスの群(10動物/群)を、FCAまたはミョウバンアジュバントとともに、C1/TTまたはC1/CRM197結合体を含むワクチン処方物を用いて、腹腔内(ip)注射によって、3回免役した(最初の注射について、結合体ワクチン中5.0μgのシアル酸含有量、ならびに2回目および3回目の用量において2.5μgのシアル酸含有量)。コントロール群を、アジュバント単独;天然のMenBPS;NPr-MenB PS;または非共有結合NPr-MenB PS/キャリア複合体のいずれかで免役した。
【0066】
血清サンプルを各追加免疫と同時に、ならびに最終追加免疫の11日後に、各実験群から回収し、そしてプールした。プールした血清の連続希釈物を作製し、そしてアビジン-ビオチン化NPr-MenB PS系を用いて、ELISAによって評価した。血清とともに一晩インキュベーションした後、反応ウェルを、IgGに特異的なアルカリホスファターゼ標識抗マウス血清とともに、3時間インキュベートした。洗浄後、p-ニトロフェニルホスフェートをウェルに添加し、そして30分の発色の後、吸光度(「OD」)値を405nmにて読んだ。OD値を、図2に報告する。C1/TTおよびC1/CRM197結合体の両方は、FCAを投与された場合、免疫原性であり、そしてミョウバンアジュバントを投与された場合、より低い程度に免疫原性であった。結合体/FCAワクチン処方物で免疫化した動物からプールした血清のOD値を、1:1600の血清希釈で示すが、結合体/ミョウバンワクチン処方物で免疫化した動物からプールした血清のOD値を、1:400の血清希釈で示す。図2を参照することによって理解され得るように、使用した特定のタンパク質キャリア(TTまたはCRM197)に起因する免疫原性において有意な差異は観察されなかったが、FCAアジュバントの使用は、ワクチン組成物の免疫原性を非常に増加させた。
【0067】
実施例4
C1結合体によって誘発される抗体応答の特徴付け
C1コントロール結合体によって誘導される抗体応答のIgGサブクラスを評価するために、以下の研究を行った。マウスの群(1群あたり10匹)を、FCAまたはミョウバンアジュバントとともに、C1/TTまたはC1/CRM197結合体のいずれかを含む、3用量のワクチン組成物を与えた。投薬量は、上記の実施例3の免疫化に用いたのと同じであった。血清サンプルを、最終追加免疫後に各実験群から回収し、そしてプールした。プールした血清の連続希釈物を作製し、そしてアビジン-ビオチン化NPr-MenBPS系を用いて、ELISAによって評価した。血清の一晩のインキュベーションの後、反応ウェルを、IgGサブクラスIgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3に特異的なアルカリホスファターゼ標識抗マウス血清とともに、3時間インキュベートした。洗浄後、p-ニトロフェニルホスフェートをウェルに添加し、そして30分の発色の後に、OD値を405nmで読んだ。OD値を、図3に示す。ここで、値は、比色分析基質のみを含むウェルから得られたブランクの値を引いた後の正味のODを示す。
【0068】
理解され得るように、優性な抗体応答はIgG1であった;しかし、結合体をFCAアジュバントとともに投与した場合、IgG2b、ならびにより少ない程度ではあるがIgG2aおよびIgG3抗体応答もまた存在した。従って、C1結合体によって免疫化したマウスにおいて誘発された抗体応答は、T細胞依存性抗原の特徴である。
【0069】
CD1マウスにおけるC1/TTおよびC1/CRM197結合体によって誘導される全抗Npr-MenBPS抗体応答を評価するために、そして結合体誘導抗体応答の特異性を決定するために、以下の研究を行った。CD1マウスの群(1群あたり8〜10動物)を、3用量の結合体ワクチン処方物またはコントロール物質で、上記の実施例3のように免役した。血清サンプルを、最終追加免疫後の各実験群から回収し、そしてプールした。C1結合体に対する全Ig応答を評価するために、固相ELISAを行った。ここでビオチン化NPr-MenBPS(アビジンによって反応ウェルに結合される)を、コート抗原として使用した。標識抗体は、アルカリホスファターゼに結合した抗マウスIgM、IgG、およびIgAであった。洗浄後、p-ニトロフェニルホスフェートをウェルに添加し、そして30分の発色の後に、OD値を405nmにて読んだ。特異性を評価するために、競合阻害ELISAを、可溶性NPr-MenBPSまたは天然のMenB PSインヒビターのいずれかの添加により、25μg/mlの同じコート抗原を用いて行った。
【0070】
全抗体応答のレベルの決定および応答する抗体の特異性の両方の結果を、以下の表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に理解され得るように、C1結合体/FCAアジュバント処方物で免役されたCD1マウスは、NPr-enBPSに対する有意な抗体応答を生じた。さらに、抗体応答は、可溶性NPr-MenBインヒビターによるほとんどの競合阻害(例えば、97〜99%)によって実証されるように、天然のMenBPSインヒビターで観察された部分阻害(例えば、14〜36%)と比較して、NPr-MenB PSに特異的であった。可溶性インヒビターでの阻害の割合は、緩衝液コントロールとの比較として、表1に示される。
【0073】
殺菌性活性を評価するために、上記の免疫化被験体から得られたプールした血清を、補体の供給源とともに、N.meningitidisの培養物(MenB細菌培養物)に添加した。この特定のアッセイにおいて、異種補体供給源(例えば、若年性ウサギ血清)を使用した。ネガティブ(血清)コントロールおよび補体コントロール培養物もまたアッセイし、そして全ての血清を、試験の前に、熱不活化した。殺菌性アッセイの結果を、以下の表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
BC50は、3回目のプール後の血清の希釈の逆数であり、ここで、ネガティブ血清コントロールおよび補体コントロールと比較して、細菌の50%が殺傷された。
ネガティブコントロール群:
群3:FCA
群4:ミョウバン
群5:NPr-MenBPS+TT(非共有)
群6:NPr-MenBPS+FCA
補体コントロール:
抗MenYMAb+C’=ネガティブ
抗MenBポリンMAb+C’=ポジティブ
抗MenBポリンMAb−C’=ネガティブ
マウス群血清−C’=ネガティブ
表2において、殺菌性活性を、ネガティブ血清コントロールおよび補体コントロールと比較して、50%のMenB細菌が殺傷された際の濃度として表す。理解され得るように、FCAで投与されたC1/TTおよびC1/CRM197結合体で免疫化したCD1マウスは、有意な殺菌性活性を示す抗体を産生した。
【0076】
実施例5
CONJ-1 MenB OS誘導体複合糖質の調製
NPr-MenB OS誘導体-破傷風トキソイド結合体(本明細書で以後、CONJ-1と称す)の調製物を、以下のように調製した。そのナトリウム形態における精製MenBPSを、約110℃にて6時間、2M NaOHで脱アシル化して、定量的にN-アセチル基を除去した。アルカリ処理を、NaBH4の存在下で行った。アルカリ処理後、脱アシル化MenBPSを、飽和重炭酸ナトリウム緩衝液中で完全に透析した。ついで、透析産物を、過剰の無水プロピオン酸で、一晩撹拌しながら外界温度にて処理し、NPr-MenB PSを得た。NPr-MenBPSを、水中で完全に透析し、そして凍結乾燥によって回収した。1H-NMR分光法によって測定した場合、N-プロピオニル化の程度は、実質的に100%であることが見出された。
【0077】
NPr-MenB PSを、緩和な酸性条件下(例えば、10mMアセテート、pH5.5、50℃にて2時間)で、脱重合化(フラグメント化)して、種々のサイズのNPr-MenBオリゴサッカライド(NPr-MenBOS)の混合物を得た。NPr-MenB PSの加水分解の反応速度論および得られるフラグメント化オリゴサッカライドプロフィールは、分析用FPLC monoQクロマトグラフィーによってモニターされ得る。
【0078】
フラグメント化NPr-MenB OSの混合物を、Q-Sepharoseで、低(100mMNaCl)および高(500mM NaCl)段階塩勾配でサイズ分画した。分析用分析によって、例えば、シアル酸についてはSvennerholmレゾルシノールアッセイ(Svennerholm,L.(1957)Biochim.Bioohys.Acta24:604)およびNPr-MenB PSオリゴマーの非還元末端から遊離したホルムアルデヒドについてはHantzsch比色定量アッセイ(Nash,T.(1953)Biochem.J.55:416)によって、100mM NaCl画分は、3〜6の平均Dpを有する小さなサイズのNPr-MenB OS分子を含むはずであり、そして500mMNaCl画分は、13〜20の平均Dpを有する中間サイズのNPr-MenB OS分子を含むはずである。Q-Sepharoseカラム後の分析用monoQ分析によって示されるように、予測したオリゴサッカライド分配パターンを確認した。ここで、100mMNaCl画分は、小さなオリゴマー(すなわち、2.85の平均Dp)を含み、そして500mM NaCl画分は、13の平均Dpを有する中間サイズのオリゴマーを含んだ。
【0079】
Q-Sepharoseの500mM NaCl画分から回収した中間サイズのNPr-MenBOS誘導体(13のDp)の群を、それらの非還元末端で化学的に末端活性化し、そして還元アミノ化法によって破傷風トキソイド(TT)に結合し、CONJ-1複合糖質を提供した。より詳細には、Dp13オリゴサッカライドを、緩和な過ヨウ素酸化(例えば、100mM過ホウ酸ナトリウムで、15〜30分間、暗所において外界温度にて)に供し、オリゴサッカライドの非還元末端にて末端アルデヒド基を導入した。過ヨウ素酸化に続いて、過剰のエチレングリコールを使用して、酸化反応をクエンチした。酸化した中間サイズのNPr-MenBオリゴサッカライド誘導体を、SephadexG-25カラムで脱塩することによって精製し、次いで凍結乾燥した。
【0080】
還元アミノ化結合体反応を、シアノホウ化水素ナトリウムの存在下で、3〜5日間行った。結合反応について、サッカライド対タンパク質の比は、50〜250mol/molの範囲であり得る。NPr-MenB OS/TT結合体を調製するために、平均Dp13を有するNPr-MenBオリゴマーのプールを、オリゴマー対タンパク質の最初の高モル比(200:1)で、適切に調製したTTと組み合わせた。反応を、3日間進行し得た(例えば、40℃にて1日、続いて外界温度にて2日)。
【0081】
CONJ-1複合糖質の単離および精製は、適切な分粒カラムでのゲル浸透クロマトグラフィーによって、または疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えば、PhenylSepharoseを用いる)によって達成され得る。どちらのクロマトグラフィー手順も、試薬、副生成物、ならびに未処理のサッカライドおよびタンパク質キャリア分子から複合糖質を分離するのに効果的である。
【0082】
実施例6
NPr-MenB OS誘導体CONJ-1複合糖質の特徴付け
CONJ-1複合糖質を、以下のように特徴づけた。共有原子価を示す(例えば、NPr-MenBOSとタンパク質キャリアとの間の共有結合を達成する)ために、多数の物理化学技術が使用され得、これは、SDS-PAGE;ウエスタンブロット;SephadexG-100ゲル濾過;アミノ酸分析などを含む。本研究の目的のために、SDS-PAGEを使用して、キャリアタンパク質のバンド自体と比較して、結合体のバンドについて高分子量へのシフトを示すことによって、NPR-MenBOS/TT CONJ-1複合糖質の共有結合を達成した。CONJ-1複合糖質のウエスタンブロット分析は、特異的抗TTおよび抗NPr-MenB OS抗血清を有するTTおよびNPr-MenBOSについてのポジティブシグナルの一致による共有原子価を示した。
【0083】
立体因子に基づいて、CONJ-1複合糖質の調製における巨大分子量のポリサッカライドのかわりのオリゴサッカライドの使用は、タンパク質キャリア分子へのサッカライド抗原の高カップリング効率を可能にする。これらのNPr-MenBオリゴサッカライドベースの結合体の最終サッカライド対タンパク質比は、約0.10〜0.25の範囲であり、これは、1タンパク質キャリアあたりに共有結合する、約3〜5のNPr-MenBオリゴサッカライド鎖に相当する。1重量基準あたりにおいて、CONJ-1複合糖質は、以前に報告されたNPr-MenBPSベースの結合体(米国特許第4,727,136号)よりも高いサッカライド装填を有するようであり、これは、平均約7.5〜18.8倍よリ多くのサッカライドを含む(NPr-MenBPSの分子量として10,000ダルトンを用いる)。
【0084】
さらに、中間鎖長の実質的に同じサイズ(例えば、平均 10〜20のDp)のサッカライド部分を有するようにCONJ-1複合糖質を構築することは、より一貫性のある免疫学的な振る舞いを示す複合糖質を生じることが予想される。さらに、Q-Sepharoseクロマトグラフィー精製したNPr-MenBオリゴサッカライドの選択的末端活性化(例えば、非還元末端でのアルデヒド基の選択的導入)は、架橋した異種構造の可能性を回避し、これは、両方の末端で誘導された「活性な」アルデヒド基を有するNPr-MenBPS分子の使用から起因し得る。このことに関して、2つの末端で活性化されたポリサッカライド分子(両方の末端にアルデヒド基を有する)は、N-脱アセチル化手順の間に以前にNaBH4に暴露されたN-アセチル化NPr-MenBPSの過ヨウ素酸化に由来し得る。
【0085】
実施例7
NPr-MenB OS誘導体複合糖質の免疫原性の評価
4〜6週齢のCD1およびBALB/cマウスの群(1群あたり5〜6動物)を、NPr-MenBOS/TT(CONJ-1)複合糖質から形成したワクチン組成物およびFCAアジュバントの3用量でワクチン接種した。ネガティブコントロール群を、FCAアジュバント単独でワクチン接種した。ワクチン接種および追加免疫を、3.5〜4週ごとに投与した。プールした血清(二次追加免疫後に回収した)を、NPr-MenBOSに対するELISA力価について分析した。ポジティブコントロールとして、二次結合体、NPr-MenB OS-CRM197(CONJ-1/CRM197と称す)でワクチン接種したCD1マウスの二次追加免疫由来のプールした血清を使用した。抗体特異性もまた、競合阻害ELAISAにおいて、可溶性NPr-MenBOSインヒビター(25μg/ml)を用いて決定した。可溶性の天然のMenB PS(NAc-MenB PS)(25μg/ml)による阻害もまた測定した。ELISAについて、ビオチン化NPr-MenBPS(アビジンコートプレートに結合している)を、コート抗原として使用した。標識抗体は、アルカリホスファターゼに結合した抗マウスIg(抗IgM、IgG、およびIgA)であった。ELISAの結果を、以下の表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
緩衝液コントロールと比較して示される可溶性インヒビター(25μg/ml)での阻害の割合。
本文を参照のこと
表3に示されるデータは、可溶性NPr-MenB PSで希釈した血清を含むウェルにおけるOD値を引いた後の正味のODを用いて得られた力価を示し、阻害可能な結合のみを報告する。この手順は、アッセイにおける非特異的結合の報告を回避する(例えば、Granoffら(1955)Clinic.Diag.Lab.Immunol.2:574を参照のこと)。可溶性分子での阻害の割合もまた、緩衝液コントロールとの比較として報告する。CONJ-1複合糖質によって誘発される抗体応答は、可溶性NPr-MenBPSによる80〜90%の競合阻害によって証明されるように、NPr-MenBサッカライド誘導体に特異的であった。対称的に、4〜12%阻害のみが、可溶性NAc-MenBPSを使用した場合に観察された。理解され得るように、CD1およびBALB/cマウスの両方が、CONJ-1複合糖質で免役した場合に、ネガティブコントロール(FCAのみで免疫化)と比較して、NPr-MenBPSに対する有意な抗体応答を示した。CD1マウスにおけるELISA力価は、BALB/cマウスで得られたものよりも高かった。
【0088】
従って、新規のMenB OS誘導性免疫原、ならびにそれらを得るための方法および用いるための方法が開示される。本発明の好ましい実施態様は、いくらか詳述されているが、明白な改変が、添付の請求の範囲によって規定されるように本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明の実施において産生されたCONJ-1 NPr-MenB OS誘導体ベースの複合糖質を示す。
【図2】図2は、本発明の実施において産生されたCONJ-2 NPr-MenB OS誘導体ベースの複合糖質を示す。
【図3】図3は、本発明の実施において産生されたCONJ-3 NPr-MenB OS誘導体ベースの複合糖質を示す。
【図4】図4は、本発明の実施において産生されたCONJ-4 NPr-MenB OS誘導体ベースの複合糖質を示す。
【図5】図5は、実施例2に記載のタンパク質キャリアへのサッカライドの共有結合前および後の、コントロールMenB PS//CRM197複合糖質の調製の間に得られるクロマトグラムを示す。
【図6】図6は、コントロール複合糖質を含むワクチン組成物で免役した動物における、IgG抗MPr-MenBPS抗体応答の産生を評価する、実施例3に記載のELISAの結果を示す。
【図7】図7は、コントロール複合糖質ワクチン組成物によって誘発された抗体応答のIgGサブクラスを評価する、実施例4に記載のELISAの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−201793(P2008−201793A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104151(P2008−104151)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【分割の表示】特願平10−511656の分割
【原出願日】平成9年8月4日(1997.8.4)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】