説明

O2センサの劣化防止駆動方法及び自動車両

【課題】O2センサの動作を極力阻害することなく、O2センサの劣化防止、抑圧を可能とする。
【解決手段】
排気管5の適宜な位置には、排気ブレーキ10が設けられると共に、その上流側の適宜な位置にはO2センサ11が配設されて、酸素濃度の検出を可能としてなり、このO2センサ11は、排気ブレーキ10がオンとされた際に、ポンプ電流の通電が遮断される一方、排気ブレーキ10がオフとされた際には、所定時間経過後に前ポンプ電流の通電が開始されるよう車両制御装置101により駆動されるものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両等において用いられる酸素濃度検出を行うO2センサに係り、特に、劣化防止、信頼性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回路としては、例えば、特許文献1等には、自動車両に用いられるO2センサの劣化を、所定の使用条件において、O2センサからの所定の出力を得るに要する時間を計測することによって、劣化の有無を判定するようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−77897号公報(第3−6頁、図1−図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の技術は、O2センサが劣化した状態を検出すること、或いは、劣化の兆候をある程度検出することはできるが、劣化を防止、抑圧する方策を提供するものではない。
ところが、自動車両にあっては、O2センサは、その劣化を促進するような環境条件に晒されることがあり、本来の酸素濃度検出動作を極力阻害しない範囲で劣化防止、抑圧のための何らかの方策が講ずることができれば、O2センサのさらなる長寿命化、ひいては装置の信頼性の向上を図ることができ好適である。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、O2センサの動作を極力阻害することなく、O2センサの劣化防止、抑圧を可能とする劣化防止駆動方法及び自動車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るO2センサの劣化防止駆動方法は、
排気ガスの外部への排気を遮断する排気遮断手段が排気管路に設けられると共に、前記排気遮断手段の上流側にO2センサが配設され、前記O2センサの検出信号がエンジン制御に供されるよう構成されてなる自動車両における前記O2センサの劣化防止駆動方法であって、
前記排気遮断手段が始動された際に、前記O2センサのポンプ電流の通電を遮断する一方、前記排気遮断手段が非動作状態とされた際に、所定時間経過後に前記O2センサのポンプ電流の通電を開始するよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る自動車両は、
車両の動作制御のためのソフトウェア処理が実行される車両制御装置が設けられる一方、排気ガスの外部への排気を遮断する排気遮断手段が排気管路に設けられると共に、前記排気遮断手段の上流側にO2センサが配設され、前記O2センサの検出信号が前記車両制御装置における車両の動作制御に供されるよう構成されてなる自動車両であって、
前記車両制御装置は、
前記排気遮断手段が始動された際に、前記O2センサのポンプ電流の通電を遮断する一方、前記排気遮断手段が非動作状態とされた際に、所定時間経過後に前記O2センサのポンプ電流の通電を開始するよう構成されてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、O2センサの素子劣化が生ずる前に、ポンプ電流の通電が遮断されるため、従来と異なり、O2センサの劣化を確実に抑圧することができ、より信頼性の高い車両を提供することができる。
また、O2センサを構成する安定化ジルコニア素子や電極の分極が生ずる前に、ポンプ電流を遮断するので、従来のような劣化診断を行う回路や、O2センサにおける分極復帰のための回路などを不要とすることができ、従来に比して、低コストでより確実にO2センサの劣化を防止できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態におけるO2センサの劣化防止駆動方法が適用される自動車両におけるO2センサの取り付け状態の概略を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるO2センサの劣化防止駆動方法が実行される車両制御装置の構成例を示す構成図である。
【図3】図2に示された車両制御装置により実行されるO2センサの劣化防止駆動処理の前半部分の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示された車両制御装置により実行されるO2センサの劣化防止駆動処理の後半部分の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態におけるO2センサの劣化防止駆動方法が適用される自動車両におけるO2センサの取り付け構造について説明する。
本発明の実施の形態における自動車両は、エンジン1として、例えば、ディーゼルエンジンを用いたもので、排出ガス中の窒素酸化物 (NOx) 低減や燃費向上等のため、排気ガス再循環装置2が設けられたものとなっている。
【0010】
本発明の実施の形態における排気ガス再循環装置2は、公知・周知の構成を有してなるものである。すなわち、まず、排気ガス再循環装置2においては、排気ガスのエネルギーを利用して吸入空気の圧縮を可能とするターボチャージャ3が設けられている。
また、吸気管4と排気管5の適宜な位置を連結する連結管6が設けられており、その適宜な位置には、排気管5から吸気管4側へ帰還させる排気ガス量を調整するための負圧式のEGRバルブ7が設けられたものとなっている。
このEGRバルブ7における導入負圧の調整には、電磁式のバキューム調整バルブ8が用いられている。
【0011】
そして、排気管5の下流側にあっては、酸化触媒9、排気ブレーキ10が順に設けられており、さらに、酸化触媒9とターボチャージャ3との間の適宜な位置には、O2センサ11が設けられて、排気ガス中の酸素濃度の検出が可能となっている。
さらに、先の電磁式のバキューム調整バルブ8の動作制御、インジェクタ12の通電制御などに加え、O2センサ11の通電制御などのため、車両制御装置(図1においては、「ECU」と表記)101が設けられている。
【0012】
図2には、車両制御装置の構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、かかる構成例について説明する。
最初に、本発明の実施の形態におけるO2センサ11は、本発明独自のものではなく、一般に良く知られた構造を有してなるものである。
以下、具体的に、その構造等について説明すれば、まず、O2センサ11は、安定化ジルコニアを用いてなる基部21の内部に、空洞状に形成された拡散層22と、この拡散層22と適宜な間隔を隔てて、ほぼ同一平面内において、拡散層22同様に空洞状に形成された参照用空洞23とが設けられており、いずれも、外部と連通する構造となっている。特に、O2センサ11は、拡散層22の開口部分が排気管5内に臨むように設けられるものとなっている。
【0013】
拡散層22と参照用空洞23との間は、ネルンストセル24と称される部位(図2においては点線楕円で囲まれた部位)となっている。
拡散層22の壁面部分の適宜な位置には、ポンプセル内側電極25が設けられる一方、基部21の外面には、ポンプセル内側電極25と平行するように、ポンプセル外側電極26が設けられており、両者は共に後述する車両制御装置101に接続されている。
そして、ポンプセル内側電極25とポンプセル外側電極26の間の部位は、酸素が検出されるポンプセル27と称される部位(図2においては点線楕円で囲まれた部位)となっている。
なお、ポンプセル外側電極26は、絶縁体28で覆われたものとなっている。
【0014】
一方、参照用空洞23内にも参照用電極29が配設されており、後述するように車両制御装置101に接続されている。
また、基部21内には、ジルコニアの活性化のためのヒータ30が埋め込まれており、後述するように車両制御装置101により、その通電が制御されるものとなっている。
【0015】
車両制御装置101は、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図2においては「CPU」と表記)41を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を備えると共に、入出力インターフェイス回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されたものである。
マイクロコンピュータ41においては、エンジン1の動作制御に必要な種々のソフトウェアが実行されるようになっており、それによって、インジェクタ12における燃料噴射動作や、電磁式のバキューム調整バルブ8の動作が制御されるようになっている。さらに、本発明の実施の形態のマイクロコンピュータ41においては、後述するようにO2センサ11の劣化防止駆動制御処理が実行されるようになっている。
【0016】
さらに、本発明の実施の形態における車両制御装置101は、O2センサ11の動作制御のため、ポンプ電流制御部42、O2センサ素子温度測定部(図2においては「TEMP−MEAS」と表記)43と、ヒータPWM制御部(図2においては「PWM−CON」と表記)44などが設けられて構成されたものとなっている。
ポンプ電流制御部42は、演算増幅器51を主たる構成要素として反転増幅回路が構成されたものとなっている。すなわち、まず、演算増幅器51の反転入力端子と出力端子との間には、反転入力端子側から帰還抵抗器52、コンデンサ53が順に直列接続されて設けられ、出力端子は、ポンプ電流用スイッチ素子57の一端に接続されたものとなっている。
【0017】
ポンプ電流用スイッチ素子57は、マイクロコンピュータ41によりその開閉成が制御されるようになっているもので、例えば、MOSトランジスタ等の半導体素子からなる公知・周知の構成を有するものである。かかるポンプ電流用スイッチ素子57の他端は、電圧測定用抵抗器58の一端に接続されており、この電圧測定用抵抗器58の他端は、O2センサ11のポンプセル外側電極26に接続されている。
電圧測定用抵抗器58の電圧は、図示されないA/D変換器を介してマイクロコンピュータ41へ入力され、後述するようにO2センサ11の劣化駆動制御に供されるようになっている。
【0018】
一方、演算増幅器51の非反転入力端子には、第1の入力抵抗器54を介して、所定電圧(V1+Vref)が印加されるようになっている。すなわち車両制御装置101には、ポンプ電流制御部用供給電圧V1を出力する供給電圧用電源59と、基準電圧Vrefを出力する基準電圧用電源60とがグランド側から供給電圧用電源59、基準電圧用電源60の順となるように直列接続されており、供給電圧用電源59の負極はグランドに接続され、基準電圧用電源60の正極が、第1の入力抵抗器54に接続されたものとなっている。
そして、供給電圧用電源59の正極と基準電圧用電源60の負極との接続点に、O2センサ11のポンプセル内側電極25が接続されたものとなっている。
【0019】
また、演算増幅器51の反転入力端子は、第2の入力抵抗器55を介してO2センサ11の参照用電極29に接続されている。さらに、第2の入力抵抗器55と参照用電極29との接続点は、O2センサ素子温度測定部43の入力段に接続されると共に、この接続点とグランドとの間には、ノイズ除去用のコンデンサ56が接続されている。
【0020】
O2センサ素子温度測定部43は、次述するようにO2センサ11によって得られる電圧信号を、後述するO2センサ11の劣化防止駆動制御処理等のためにマイクロコンピュータ41へ供するよう構成されてなるものである。
すなわち、O2センサ素子温度測定部43は、O2センサ素子の温度に対応した電圧である第2の入力抵抗器55と参照用電極29との相互の接続点に得られるO2センサ11から入力電圧、すなわち、ポンプ電流制御部用供給電圧V1とネルンスト電圧VNとの和の電圧(V1+VN)(以下、便宜的に「O2センサ素子温度対応電圧」と称する)を、O2センサ素子の温度情報として所定の信号形式でマイクロコンピュータ41へ出力するよう構成されたものとなっている
なお、ここで、O2センサ素子の温度とは、O2センサ11の中の特に、ネルンストセル24付近の温度を意味する。
かかるO2センサ素子温度測定部43は、本発明特有のものではなく、基本的に従来の車両制御装置において用いられていたものと同様の構成を有してなるものである。
【0021】
マイクロコンピュータ41は、O2センサ素子温度測定部43から入力された上述のO2センサ素子温度対応電圧に応じてポンプ電流用スイッチ素子57のオン・オフを制御するよう構成されたものとなっている。
また、マイクロコンピュータ41は、O2センサ素子温度測定部43から入力された上述のO2センサ素子温度対応電圧を、O2センサ素子の温度情報としてヒータPWM制御部44へ出力するようになっている。
【0022】
ヒータPWM制御部44は、マイクロコンピュータ41から入力されたO2センサ素子の温度情報に基づいて、ヒータ用スイッチ素子61のオン・オフをPWM制御するよう構成されたものとなっている。すなわち、ヒータPWM制御部44は、O2センサ素子の温度が低い状態にあっては、デューティ比を大きく、すなわち、換言すれば、一周期の間にヒータ用スイッチ素子61がオンとされる時間を長くする一方、O2センサ素子の温度が高い状態にあっては、デューティ比を小さく、すなわち、換言すれば、一周期の間にヒータ用スイッチ素子61がオンとされる時間を短くするよう構成されてなるものである。かかるヒータPWM制御部44は、先のO2センサ素子温度測定部43同様、従来の車両制御装置において用いられていたものと基本的に同様の構成を有してなるものである。
【0023】
ヒータ用スイッチ素子61は、その一端がグランドに接続される一方、他端は、ヒータ30の他端に接続されたものとなっている。そして、ヒータ30の他端は、車両制御装置101の外側でバッテリ62の正極に接続されたものとなっている。しかして、ヒータ30は、ヒータ用スイッチ素子61がオンとされた状態において、バッテリ62の電圧VBが印加されるようになっている。
【0024】
次に、上述の構成を有する車両制御装置101において実行されるO2センサ11の劣化防止駆動処理の手順について図3及び図4を参照しつつ説明する。
車両制御装置101による処理が開始されると、最初に、イグニッションスイッチ(図示せず)がオンとされており、かつ、エンジン(図示せず)がオンとされているか否かが判定され(図3のステップS102参照)、イグニッションスイッチ(図示せず)がオンとされており、かつ、エンジン(図示せず)がオンとされていると判定されると、次述するステップS104の処理へ進むこととなる。
【0025】
なお、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン・オフ情報、エンジンのオン・オフの情報は、本発明の実施の形態における車両制御装置101がエンジン(図示せず)の動作制御をも実行するものであることを前提としており、それらの情報は、本来、そのエンジンの動作制御に供されるよう入力されるものであるので、その情報を流用すれば良く、O2センサ11の劣化防止駆動処理のために独自に入力する必要はないものである。
【0026】
ステップS104においては、ヒータPWM制御部44によるヒータ30のプレヒートを開始させるべくヒータPWM制御部44へ対して、マイクロコンピュータ41から所定の信号が出力されることとなる。そして、ヒータPWM制御部44においては、それに対応して、プレヒートのための所定のデューティ比でヒータ用スイッチ素子61のオン・オフが開始され、ヒータ30がプレヒート状態とされることとなる。
次いで、マイクロコンピュータ41により、O2センサ11を用いて酸素濃度を検出するのに適した使用環境条件にあるか否かが判定されることとなる(図3のステップS106参照)。
【0027】
ここで、適切な使用環境条件にあるか否かの判断条件として、本発明の実施の形態においては、具体的には、O2センサ11に水滴が付着しているか否か、エンジン回転数が所定回転数(例えば、300rpm)を超えているか否か、バッテリー電圧が所定電圧(例えば、10V)を超えているか否かの三つが判定されるものとなっている。
【0028】
ここで、O2センサ11に水滴が付着しているか否かは、排気ガスの熱量を所定の演算により算出し、その値によって、水滴の有無の判定する従来から行われている方法によって判定されるものとなっている。
なお、バッテリ電圧は、先にステップS102で説明したエンジン回転数同様、車両制御装置101によるエンジン(図示せず)の動作制御のために本来入力されるものであるので、その入力情報を流用するようにすると好適である。
【0029】
そして、ステップS106において、全ての使用環境条件が満たされていると判定された場合(YESの場合)、すなわち、O2センサ11に水滴が付着していないと判定され、エンジン回転数が所定回転数を超えていると判定され、かつ、バッテリー電圧が所定電圧を超えていると判定された場合には、後述するステップS110の処理へ進むこととなる。
一方、ステップ106において、いずれかの使用環境条件が満たされていないと判定された場合(NOの場合)、O2センサ素子の温度は、現時点の温度に維持されることとなり、再度、ステップS106の判定が行われることとなる(図3のステップS108参照)。
【0030】
ステップS110においては、O2センサ素子の温度をプレヒート状態から酸素濃度検出に適する温度にすべく、O2センサ素子温度が徐々に上昇せしめられる。すなわち、ヒータPWM制御部44は、マイクロコンピュータ41から入力されたO2センサ素子の温度情報に基づいて、O2センサ素子温度を上げるべく、ヒータ用スイッチ素子61のオン・オフのディーティ比を大きくして、ヒータ用スイッチ素子61をオン・オフし、その結果、ヒータ温度が徐上昇せしめられることとなる。
【0031】
次いで、マイクロコンピュータ41により、O2センサ素子の温度が所定の目標温度を超えたか否かが判定されることとなる(図3のステップS112参照)。
そして、ステップS112において、O2センサ素子の温度は、所定の目標温度を超えていると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS116の処理へ進む一方、O2センサ素子の温度は、所定の目標温度を超えていないと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS110の処理と同様にしてO2センサ素子の温度の上昇が継続され、再度、ステップS112の判定が行われることとなる(図3のステップS114参照)。
【0032】
ステップS116においては、O2センサ素子の温度が目標温度に維持されるようヒータ30の通電が維持されることとなる。すなわち、マイクロコンピュータ41からのO2センサ素子の温度情報に基づいて、O2センサ素子の温度が目標温度に維持されるようヒータPWM制御部44によりヒータ用スイッチ素子61のオン・オフされることで、ヒータ30の温度がフィードバック制御されることとなる。
【0033】
次いで、ステップS118においては、ポンプ電流用スイッチ素子57がマイクロコンピュータ41からの制御により、オン(導通状態)とされ、ポンプ電流の通電が開始され、O2センサ11は、酸素濃度の検出状態とされる。
次いで、ステップS120において、排気ブレーキ(エキブレ)10がオンとされているか否かが判定される。なお、排気ブレーキ10が装備された自動車車両においては、車両の動作制御に供するため、通常、排気ブレーキ10がオン状態となったことを検出するセンサ(図示せず)が設けられているので、このステップS120における排気ブレーキ10がオンとされているか否かには、その既存のセンサの出力を流用するようにすると好適である。
【0034】
ステップS120において、排気ブレーキ10はオンであると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS130(図4参照)の処理へ進む一方、排気ブレーキ10はオンではないと判定された場合(NOの場合)には、後述するステップS122の処理へ進むこととなる。
ステップS130(図4参照)においては、排気ブレーキ10使用時の排気圧上昇に起因してO2センサ11の劣化が促進されることを防ぐため、マイクロコンピュータ41の指令に応じてポンプ電流用スイッチ素子57がオフとされて、ポンプ電流制御部42によるポンプ電流の通電が遮断されることとなる。
【0035】
次いで、排気ブレーキ10がオフとされたか否かが判定され(図4のステップS132参照)、排気ブレーキ10は未だオフとされていないと判定された場合(NOの場合)は、排気ブレーキ10がオフとされたと判定されるまでポンプ電流の遮断状態が維持されることとなる(図4のステップS138参照)。一方、排気ブレーキ10がオフとされたと判定された場合(YESの場合)には、マイクロコンピュータ41内において、いわゆるソフトウェアタイマが始動されることとなる(図4のステップS134参照)。
【0036】
そして、所定のタイマ時間が経過したと判定されると、再び先のステップS118の処理(図3参照)へ戻り、ステップS118以降の処理が繰り返されることとなる(図4のステップ130参照)。すなわち、ポンプ電流の通電が再開され、O2センサ11が酸素検出可能な状態とされることとなる。
このように、所定のタイマ時間が経過した後にポンプ電流の通電を行うのは、排気ブレーキ10がオフとされた後、排気ガス中の酸素濃度が安定した状態で酸素濃度の検出を行うようにするためである。
なお、所定のタイマ時間は、車両の規模等によってその適切な値が異なるため、試験やシミュレーション等の結果に基づいて、車両毎に適切な値を設定するのが好適である。
また、排気ブレーキ10がオフした後、ポンプ電流の通電の再開に、所定時間を見る代わりに、センサ周辺の排気圧力が所定値以下かどうかを見るようにしても良い。
【0037】
一方、先のステップS120において、排気ブレーキ10はオンではないと判定され(NOの場合)、ステップS122の処理へ進むと、排気圧上昇によるO2センサ11の劣化は生じないとして、ポンプ電流の通電が継続され、次いで、イグニッションスイッチ(図示せず)がオフとされたか否かが判定されることとなる(図3のステップ124参照)。
そして、ステップS124において、イグニッションスイッチ(図示せず)がオフとされたと判定された場合(YESの場合)には、O2センサ11の駆動の必要なしとして、マイクロコンピュータ41からの指令に応じてポンプ電流用スイッチ素子57がオフとされると同時に、ヒータPWM制御部44によりヒータ用スイッチ素子61がオフとされ、ポンプ電流及びヒータ電流の通電が遮断され、O2センサ11は非駆動状態とされる。
【0038】
また、ステップS124において、イグニッションスイッチ(図示せず)はオフとされていないと判定された場合(NOの場合)には、ポンプ電流の通電が継続され(図3のステップS128参照)、再び先のステップS118の処理へ戻り、ステップS118以降の処理が繰り返されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
O2センサの低コストでより確実な劣化防止が要請される自動車両に適する。
【符号の説明】
【0040】
10…排気ブレーキ
11…O2センサ
41…マイクロコンピュータ
42…ポンプ電流制御部
43…O2センサ素子温度測定部
44…ヒータPWM制御部
101…車両制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの外部への排気を遮断する排気遮断手段が排気管路に設けられると共に、前記排気遮断手段の上流側にO2センサが配設され、前記O2センサの検出信号がエンジン制御に供されるよう構成されてなる自動車両における前記O2センサの劣化防止駆動方法であって、
前記排気遮断手段が始動された際に、前記O2センサのポンプ電流の通電を遮断する一方、前記排気遮断手段が非動作状態とされた際に、所定時間経過後に前記O2センサのポンプ電流の通電を開始することを特徴とするO2センサの劣化防止駆動方法。
【請求項2】
車両の動作制御のためのソフトウェア処理が実行される車両制御装置が設けられる一方、排気ガスの外部への排気を遮断する排気遮断手段が排気管路に設けられると共に、前記排気遮断手段の上流側にO2センサが配設され、前記O2センサの検出信号が前記車両制御装置における車両の動作制御に供されるよう構成されてなる自動車両であって、
前記車両制御装置は、
前記排気遮断手段が始動された際に、前記O2センサのポンプ電流の通電を遮断する一方、前記排気遮断手段が非動作状態とされた際に、所定時間経過後に前記O2センサのポンプ電流の通電を開始するよう構成されてなることを特徴とする自動車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−190718(P2011−190718A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56113(P2010−56113)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】