説明

OLED表示装置

本発明は、複数の表示画素を有するディスプレイを有するアクティブマトリクス表示装置に関する。夫々の表示画素は、電流駆動型放射素子と、アナログデータ信号を受けるデータ入力部と、給電系統に接続され、前記データ信号に従って前記電流駆動型放射素子を駆動するよう配置された少なくとも一つの駆動素子と、前記データ信号に従ってフレーム期間の間に全体的な輝度レベルを発生させるように、選択信号に応じて、前記少なくとも一つの駆動素子に前記データ信号を供給するよう配置された選択手段とを有する。当該装置は、前記放射素子が第一の非零電流を伝える少なくとも第一のサブ期間と、前記放射素子が第二の非零電流を伝える第二のサブ期間とに前記フレーム期間を分けるよう構成され、前記少なくとも第一及び第二の非零電流は、十分に前記全体的な輝度レベルを生ずる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示画素を有するディスプレイを有する表示装置に関する。更に具体的には、本発明は、高分子化合物発光ダイオード(PLED)又は微分子発光ダイオード(AMOLED)を望ましくは有するアクティブマトリクス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホールドタイプの表示装置は、サンプル/ホールド効果として知られているものに悩まされることで知られる。これらの効果は、全てのフレーム期間において新しい画像がフレーム期間の開始時に表示されえ(サンプル)、一方、残りのフレーム期間(一般的に、60Hz動作に対して16ms)において画像がディスプレイ上で可視的なままである(ホールド)という事実から引き起こされる。この効果は、動画が表示される場合には、ぼやけた画像として視聴者に捉えられる。
【0003】
画像にじみ効果は、パルスモードでディスプレイを動作させることにより低減されうる。この場合、フレーム期間は二つのサブフレームに時分割され、一つのサブフレームのみが表示される。しかし、このパルスモード動作は、高い輝度レベルを達成することは困難であるという点で不利である。
【0004】
米国特許出願US2002/0003520(特許文献1参照。)は、次の信号が画素に入力されるまで先の像の輝度を保持するホールドタイプの表示装置である表示装置を開示する。この場合、一つの像を表示するフレームは、複数のサブフレームに時分割され、次のサブフレームの輝度は、入力された像の輝度に応じて、指定された割合で弱められる。このように得られた表示装置は、動画が不鮮明で、ぼやけていることを防ぎ、像の輝度の低減を制御する。
【0005】
従来技術の表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトから最初に発生した光信号は後に低減されるので、電力損失に関して不利である。電力損失の考慮は、携帯電話、ラップトップ型コンピュータ及びパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)のような携帯型アプリケーションに特に関連性を有する。
【特許文献1】米国特許出願US2002/0003520
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、サンプル/ホールド効果及び光度に関する表示装置の性能を維持又は改善する一方で、より高いエネルギー効率をもたらす表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、複数の表示画素を有するディスプレイを有するアクティブマトリクス表示装置によって達成される。夫々の表示画素は:
・電流駆動型放射素子と;
・アナログデータ信号を受けるデータ入力部と;
・給電系統に接続され、前記データ信号に従って前記電流駆動型放射素子を駆動するよう配置された少なくとも一つの駆動素子と;
・前記データ信号に従ってフレーム期間の間に全体的な輝度レベルを発生させるように、選択信号に応じて、前記少なくとも一つの駆動素子に前記データ信号を供給するよう配置された選択手段とを有し、
当該装置は、前記放射素子が第一の非零電流を伝える少なくとも第一のサブ期間と、前記放射素子が第二の非零電流を伝える第二のサブ期間とに前記フレーム期間を分けるよう構成され、前記少なくとも第一及び第二の非零電流は、十分に前記全体的な輝度レベルを生ずる。このような装置内の放射素子は、特定の素子の光出力が特定のサブ期間に所要の輝度出力に変えられることができるように電流で駆動され、それによって、前に発生した信号の減衰及びそれに伴うエネルギー浪費を回避する。アクティブマトリクス表示装置は、液晶ディスプレイとは対照的に、前記サブ期間の間で瞬間的に切り替わっても良い。
【0008】
本発明の実施例において、アクティブマトリクス表示装置は、前記選択信号を発生させるディスプレイ制御部を有し、前記選択信号は、前記第一のサブ期間をトリガーする第一の選択信号と、前記第二のサブ期間をトリガーする第二の選択信号とを少なくとも有する。この実施例では、前記表示画素は、様々なアドレス指定パルスを前記選択手段に供給することによって夫々のフレーム期間で一度以上アドレス指定される。この方法では、サブ期間の間の電流の配分は、様々なサブ期間で前記放射素子によって伝えられる電流の合計が全体的な輝度をもたらす限りは自由に選ばれることができる。好ましい実施例では、前記第一の非零電流は、前記第二の非零電流より大きく、且つ/あるいは、例えば、前記第一のサブ期間は、前記第二のサブ期間よりも短い存続期間を有するように、前記第一のサブ期間及び前記第二のサブ期間は、異なる存続期間から成る。前記放射素子が前記フレーム期間の50%より少ない期間で第一の電流を伝える場合には、サンプル/ホールド効果は、更に軽減される。
【0009】
本発明の実施例において、アクティブマトリクス表示装置は、前記駆動素子の電圧を変化させることによって前記第一の電流と前記第二の電流とを少なくとも発生させるよう構成されたディスプレイ制御部を有する。望ましくは、前記電圧は、電力供給ライン又は電圧供給ラインを介して変えられる。前述された実施例とは対照的に、この実施例は、データ信号の十分な処理を必要としない。前記表示画素は、これらの画素を一度だけアドレス指定する間に、前記第二のサブ期間に薄暗くされうる。望ましくは、前記駆動素子は、短チャネル長を有する薄膜トランジスタ(TFT)である。このようなTFTは、ソース−ドレイン間電圧と共にソース−ドレイン間電流のより大きな変動を示し、増大した画素開口度を可能にする、より小さな寸法を有する。
【0010】
本発明の実施例において、前記表示画素は、行及び列のマトリクスで配置され、当該装置は、夫々の行又は行の組に対して、前記駆動素子に対する電圧を操るラインを有し、行の組の場合にはより少ない電力ラインしか必要とせず、当該装置は、アドレス指定のために、前記ディスプレイ全体に亘って、前記行又は行の組に沿って前記ラインを走査するよう構成されたディスプレイ制御部を有する。この方法では、前記電流駆動型放射素子は、同じ時間期間で、前記第二の非零電流、即ち、薄暗い状態を伝える。行の組が信号を走査される場合に、処理は、如何なるアーティファクトも低減するように、組の最後の行に対して、第二のサブ期間において第二の非零電流を僅かに増大させるために適用されても良い。
【0011】
本発明の実施例において、アクティブマトリクス表示装置は、前記第一の非零電流での輝度の30%又はそれより小さい輝度を前記第二の非零電流で生ずるよう構成されている。認知の研究は、前記第二の非零電流が前記電流駆動型放射素子に前記第一の非零電流を流すことによって得られた輝度の30%の輝度を生ずる場合でさえも、視聴者が動作にじみアーティファクトの満足な減少を経験することを明らかにする。
【0012】
本発明の実施例において、アクティブマトリクス表示装置は、表示画素又は放射素子の部分集合を有するディスプレイを有し、当該装置は、前記第一の非零電流及び前記第二の非零電流を前記部分集合にのみ供給するよう構成されている。望ましくは、前記表示画素は、赤、緑及び青の放射素子を有する有色の表示画素であり、前記部分集合は、色によって決められている。例えば、緑の発光素子は、一般的に、より効率が良く、極めて長い寿命を示すので、このような部分集合は、赤及び青の素子のみから成る。緑の素子は、パルスモードで駆動されても良い。即ち、フレーム期間は、放射素子が光を放射するサブ期間と、放射素子が十分な光を放射しないサブ期間とに分けられる。この方法では、駆動は簡単化され、サンプル/ホールド効果は更に軽減される。他の実施例では、前記部分集合は前記緑の素子のみから成り、一方で、赤及び青の放射素子は、非パルスモードで単純に駆動される。この方法では、駆動は更に簡単化され、ディスプレイの寿命は、赤及び青の放射素子が高い電流を流されず、好ましい画像認知が(優性の)緑の素子のサンプル/ホールド効果を軽減し続けるので延びる。
【0013】
このような実施例又は特徴は組み合わされても良いことが認識されるべきである。
【0014】
本発明は、更に、前の段落で述べたような表示装置を有する電気機器に関する。このような電気機器は、携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)又は持ち運び可能なコンピュータのような手持ちサイズの装置、並びに、パーソナルコンピュータ、テレビ受像器又は例えば自動車のダッシュボード上のディスプレイのような装置に関連があっても良い。電力消費の問題は、特に、電池から電源供給される装置に当てはまることが知られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について添付の図面を参照して更に説明する。図面は、本発明による好ましい実施例を示す。本発明の装置及び方法は、この具体的な、好ましい実施例に決して限定されないことが理解されるであろう。
【0016】
図1は、行4及び列5のマトリクスに配置された複数の表示画素3を有するアクティブマトリクスディスプレイ2を有する電気機器1を示す。ディスプレイ2は、大型ディスプレイであっても良い。一般的に、動作アーティファクトは、このような大型ディスプレイにおいて、ほぼ可視的である。
【0017】
図2は、図1に示された電気機器1のディスプレイ2を有するアクティブマトリクス表示装置6の略図を示す。ディスプレイ2は、他と共通に行選択回路8及びデータレジスタ9を有するディスプレイ制御部7を有する。ディスプレイ上に示されるべき(ビデオ)画像のような情報又はデータを有するデータ信号は、データ入力部10を介してディスプレイ制御部7により受信される。データは、データライン11を介してデータレジスタ9から適切な表示画素3に書き込まれる。表示画素3の行4の選択は、ディスプレイ制御部7によって制御される選択ライン12を介して行選択回路8によって実行される。表示画素3の選択と表示画素3へのデータの書き込みとの間の同期化は、ディスプレイ制御部7によって実行される。更に、ディスプレイ制御部7は、電力供給ライン13を介して表示画素3の電力供給を制御する。
【0018】
図3及び4は、アクティブマトリクス表示装置6の表示画素3に対する回路配置の二つの例を示す。
【0019】
図3は、例えばアドレス指定トランジスタT1のような選択手段と、蓄積キャパシタCと、電流駆動型放射素子14に駆動信号を加えるための駆動素子T2とを有する表示画素3に対する電圧アドレス指定型回路配置を示す。トランジスタT1は、ディスプレイ制御部7からライン12により選択信号を受けるように配置されている。T1は、適切な選択信号が受信される場合に、特定のフレームの間にT2のゲートにデータ信号を送る。T2は、p形シリコン薄膜トランジスタ(TFT)であっても良く、電流駆動型放射素子14は、例えば、高分子化合物発光ダイオード(PLED)又は微分子有機発光ダイオード(SMOLED)のような発光ダイオードであっても良い。キャパシタCのプレートの一つ及びT2のソース電極は、電力供給ライン13に接続されている。
【0020】
T2は、飽和状態でバイアスをかけられていると、μfe.(VGS−V)に比例する電流を供給する定電流源として働く。ここで、VGSはT2のゲート−ソース間電圧であり、Vは閾値電圧であり、μfeはT2の電界効果移動度である。その場合、この定電流は、T2に接続された放射素子14により駆動される。従って、電流源は、T2のゲートの電圧を設定することによってプログラムされる。これは、従来、ライン12を介してT1をオンとし、データレジスタ9からT2のゲートに信号電圧を送ることによって、例えば25μsの短いアドレス指定時間の間に達成される。その場合、T1はオフに切り替えられ、プログラム電圧は、残りのフレーム時間の間、T2のゲートに保持される。蓄積キャパシタCは、T1の漏出によるこの結合点の相当の放電を防ぎ、このようにして連続的なLED電流を許容するようにメモリを形成し、一方で、ディスプレイ2の他の行4は、順次に選択される。電圧アドレス指定型表示画素3は、更なるトランジスタを用いても良い多数の変形で知られることが知られている。このような変形は、本発明の適用範囲に該当する。
【0021】
他の種類の表示画素回路は、図4に示された電流アドレス指定型表示画素3である。駆動トランジスタT2は、表示画素3をアドレス指定する際及び放射素子14を駆動する際に使用される。データ入力信号は、電流源Iによって示されているように、ライン11を介して電圧ではなくて電流として入力される。アドレス指定期間の間に、駆動トランジスタT2は、アドレス指定トランジスタT1を介してトランジスタT4によってダイオード接続され、放射素子14は、トランジスタT3によって回路から分離される。このアドレス指定期間の間に、データ入力電流はT2に強制的に流され、一方で、キャパシタCは、T2に対して関連するゲート−ソース間電圧VGSに達するように充電される。ここで、T1及びT4を開き、T3を閉じることによって、ドレイン電流が放射素子14に供給される。キャパシタCのメモリ機能は、前記電流がライン11を介して受けられたデータ入力電流の完全な複製であることを確実にする。
【0022】
図5は、本発明の実施例による発光プロファイルの説明図を示す。発光プロファイルは、放射素子14が第一の非零電流I1を伝える第一のサブ期間F1と、放射素子14が第二の非零電流I2を伝える第二のサブ期間F2とにフレーム期間Fを分けるよう構成された、アクティブマトリクス表示装置6によって得られる。電流I1及びI2は、サブ期間F1及びF2の間に光出力又は輝度レベルBLに比例するので、夫々の光出力は、フレーム期間Fの間に表示画素3の全体的な輝度レベルを生ずる。
【0023】
本発明は、当該装置6が、点線17によって表されている高ピーク輝度を必要とせずに、放射素子14を流れる有限電流を保持することによって同じ全体的な輝度レベル(曲線16の下の積分領域)を達成することを可能にする。これは、ピーク電流がより低いので、電力浪費を低減し、ディスプレイ2の寿命をより延ばす。放射素子14は、特定の素子14の光出力が特定のサブ期間F1及びF2の間に所要の輝度レベルに正確に変えられることができるように、電流で駆動される。アクティブマトリクス表示装置6は、液晶ディスプレイとは対照的に、電流I1とI2との間で瞬間的に切り替わっても良い。認知の研究は、I2がI1の30%又はそれより小さい場合でさえも、動作にじみアーティファクトは、低減されたように認知されることを明らかにしている。
【0024】
図5のプロファイル16は、単純な例を表しているに過ぎないことが知られる。より複雑なプロファイルは、その後のフレーム期間Fにおいて変化するピーク電流を含めて、ディスプレイ制御部7から発生しても良く、電流I2は、サブ期間F2の間に一定若しくは可変の割合又は安定レベルに保たれ、複数のサブ期間F1、F2、...Fnは、対応する非零電流I1、I2、...Inを有する。サブ期間F1及びF2は、異なる存続期間であっても良い。
【0025】
図5のプロファイルを得るための次の幾つかの実施例について説明する。
【0026】
実施例において、アクティブマトリクス表示装置6のディスプレイ制御部7は、図3及び4に表されているように、選択信号18を発生させる。選択信号18は、第一のサブ期間F1をトリガーする第一の選択信号18’と、図5の第二のサブ期間F2をトリガーする第二の選択信号18”とを有する。従って、表示画素3は、様々なアドレス指定パルスを選択手段T1及びT1、T3、T4に夫々供給することによって夫々のフレーム期間Fの間に一度以上、電圧又は電流でアドレス指定される。ディスプレイ制御部7は、入力部10により受信されたデータ信号を処理し、サブ期間F1の間に放射素子14に供給される電流I1及びサブ期間F2の間に放射素子14に供給される電流I2としてフレーム期間Fの間にデータ信号を分配する。複数のサブ期間F1、F2、...Fnは、選択手段に複数のアドレスパルスを適用することによって得られることができる。
【0027】
他の実施例において、ディスプレイ制御部7は、前記電流駆動型放射素子14の電圧を変化させることによって、前記第一の電流I1及び前記第二の電流I1を少なくとも発生させるよう構成されている。これは、サブ期間F1では、放射素子14によって伝えられる電流はI1であって、一方で、サブ期間F2の間に伝えられる電流はI2であるように、ライン13を介して電力供給を制御することによって実行され得る。代替的には、発光素子14の電圧は、ライン15を介してディスプレイ制御部7により制御されることができる。この実施例は、データ信号の信号処理が必要とされないので、更に時間効率が良い。
【0028】
図6は、異なるデータ信号(VGS=V1;VGS=V2。ここで、V2>V1。)に対するドレイン−ソース間電圧VDSの関数として標準的なPMOS薄膜駆動トランジスタの出力特性を示す。明らかに、表示画素3の全ての輝度レベルBL(ゲート−ソース間電圧により決められる。)に対して、駆動トランジスタT2を流れる電流は、ドレイン−ソース間電圧VDSが減少するにつれて減少している。従って、全ての表示画素3は、表示画素3を一度だけアドレス指定する一方で、必要に応じサブ期間F2の間、放射素子14の電圧を操ることによって薄暗くされうる。電源ライン13からの電圧は、先と同様に、次のアドレス指定期間の直前にI1を得るように増大される。電圧のこのような変動は、放射素子14によって伝えられる電流に対する高速で正確な制御の実現を瞬間的に得られることが可能である。
【0029】
図6において、実線は、短チャネル長(例えば、4ミクロン)を有する駆動トランジスタT2の特性を表し、一方、破線は、長チャネル長の駆動トランジスタT2(例えば、50ミクロン)の特性を表す。T2の電流IDSの変動は、短チャネル長に関して、より明白であって、この結果として、短チャネル長の駆動トランジスタは、電流I2を30%まで減少させるように選ばれても良い。更に、このような小さな寸法は、表示画素3の開口度に対して有利である。
【0030】
ディスプレイ2上で均一な画像を達成するために、放射素子14の電圧の減少は、アドレス指定のために、表面から底面までディスプレイ2の行4(図1参照。)に沿って走査されうることが好ましい。この方法では、全ての表示画素3は、同様の期間F2の間に薄暗くされることができる。このような実施例は、表示画素3の夫々の行に対して、あるいは、更に現実的には、電源ライン13、15の数を限定するように隣接する行4の組に対して、個々の電力ライン13又は電圧ライン15を設けることによって得られることができる。行4のこのような組に対して、ディスプレイ制御部7は、行4の組の電力ライン13又は電圧ライン15の電圧を同時に変えることに関する如何なるアーティファクトも低減するように信号を処理しうる。幾つかの実施例では、この処理は、これらの行4の表示画素3が僅かにより短い時間でこの電流を伝える場合には、夫々の組の最後の行4に対して電流I1の僅かな増加を有しても良い。
【0031】
複数のアドレス指定及び放射素子14の電圧変動を有する上記の実施例は、同様に、アクティブマトリクスディスプレイ2の有色の表示画素3に対して実施されても良い。
【0032】
一般的に、有色の表示画素3は、赤、緑及び青の放射素子14を有し、一方、表示装置6は、互いに無関係に、これらの放射素子を駆動するよう構成されている。放射素子14の幾つかは、光出力に関して、他よりも効率が良く、更に、放射素子の寿命は、色によって相当に変化しうることが分かっている。特に、緑色放射の有機発光ダイオードは、高い光出力、即ち、電子毎により多くの光を生じ、極めて長い寿命を示す。従って、本発明の実施例において、ディスプレイ2は、表示画素3又は放射素子14の部分集合を有し、当該装置6は、前記第一の非零電流及び前記第二の非零電流を前記部分集合にのみ供給するよう構成されている。この部分集合は、発光素子14の色に基づいて決められても良い。一例として、赤及び青の放射素子14のみが非零電流I1...Inを伝えるサブ期間F1...Fnにフレーム期間Fを分けるように、赤及び青の発光素子14のみがフレーム期間Fに複数回アドレス指定されても良い。一方で、緑の発光素子14は、単純なパルスモード(図5の曲線17参照。)、即ち、低減されたデューティーサイクルにおいて駆動されることができる。代替的に、複数のアドレス指定に代わって、赤及び青の放射素子の電圧が変えられても良いことが知られる。
【0033】
他の実施例として、緑の放射素子14は、例えば、フレーム期間Fの間にこれらの素子の電圧を変化させることによって操作される。一方で、赤及び青の放射素子14は、単にこのフレーム期間Fの間に連続的に駆動される。この方法では、ディスプレイ2の駆動は、より一層単純化され、ディスプレイ2の寿命は、赤及び青の放射素子14が高い電流パルスを流されないので延びる。サンプル/ホールド効果は、優性の緑色放射素子14のみを操作することによる認知によって軽減される。
【0034】
色によって決められた以外の集合の例は、例えば、マルチメディア・ディスプレイにおけるビデオウィンドウと、待機モード等のアイコンで使用されるような使用頻度の高い画素とを有しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例によるアクティブマトリクス表示装置を有する電気機器を示す。
【図2】図1に示された電気機器のアクティブマトリクス表示装置の略図を示す。
【図3】本発明の実施例による電圧アドレス指定型表示画素を示す。
【図4】本発明の実施例による電流アドレス指定型電流ミラー表示画素を示す。
【図5】本発明の実施例による発光プロファイルを示す。
【図6】異なるデータ信号(Vgs)に対するドレイン−ソース間電圧の関数としての標準的なPMOS形薄膜トランジスタの出力特性を示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素を有するディスプレイを有するアクティブマトリクス表示装置において、
夫々の表示画素は:
電流駆動型放射素子と;
アナログデータ信号を受けるデータ入力部と;
電力供給に接続され、前記データ信号に従って前記電流駆動型放射素子を駆動するよう配置された少なくとも一つの駆動素子と;
前記データ信号に従ってフレーム期間の間に全体的な輝度レベルを発生させるように、選択信号に応じて、前記少なくとも一つの駆動素子に前記データ信号を供給するよう配置された選択手段とを有し、
当該装置は、前記放射素子が第一の非零電流を伝える少なくとも第一のサブ期間と、前記放射素子が第二の非零電流を伝える第二のサブ期間とに前記フレーム期間を分けるよう構成され、
前記少なくとも第一及び第二の非零電流は、十分に前記全体的な輝度レベルを生ずることを特徴とするアクティブマトリクス表示装置。
【請求項2】
前記選択信号を発生させるディスプレイ制御部を有し、
前記選択信号は、前記第一のサブ期間をトリガーする第一の選択信号と、前記第二のサブ期間をトリガーする第二の選択信号とを少なくとも有することを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項3】
前記第一のサブ期間及び前記第二のサブ期間は、異なる存続期間から成ることを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項4】
前記第一のサブ期間は、前記第二のサブ期間よりも短い存続期間を有することを特徴とする、請求項3記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項5】
前記第一の非零電流は、前記第二の非零電流より大きいことを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項6】
前記電流駆動型放射素子の電圧を変化させることによって前記第一の非零電流と前記第二の非零電流とを少なくとも発生させるよう構成されたディスプレイ制御部を有することを特徴とする請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項7】
前記駆動素子は、短チャネル長を有する薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項8】
前記表示画素は、行及び列のマトリクスで配置され、当該装置は、夫々の行又は行の組に対して、前記駆動素子に対する電圧を操るラインを有し、
当該装置は、前記ディスプレイ全体に亘って、前記行又は行の組に沿って前記ラインを走査するよう構成されたディスプレイ制御部を有することを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項9】
前記第一の非零電流での輝度の30%又はそれより小さい輝度を前記第二の非零電流で生ずるよう構成されていることを特徴とする、請求項1記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項10】
前記ディスプレイは、表示画素又は放射素子の部分集合を有し、
当該装置は、前記第一の非零電流及び前記第二の非零電流を前記部分集合にのみ供給するよう構成されていることを特徴とする、請求項1乃至9のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項11】
前記表示画素は、赤、緑及び青の放射素子を有する有色の表示画素であり、
前記部分集合は、色によって決められていることを特徴とする、請求項10記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項12】
前記部分集合は、前記赤及び青の放射素子から成ることを特徴とする、請求項11記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項13】
前記部分集合は、前記緑の放射素子から成ることを特徴とする、請求項11記載のアクティブマトリクス表示装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちいずれか一項記載のアクティブマトリクス表示装置を有することを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−528019(P2007−528019A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520038(P2006−520038)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002291
【国際公開番号】WO2005/008622
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】