説明

ORL−1受容体アンタゴニストとしてのスピロピペリジン化合物

下記式(I)のORL−1受容体アンタゴニスト:


(I)
、その使用、およびその調製方法が記載される。ORL−1アンタゴニストは、鬱病の治療ならびに/あるいは過体重、肥満の治療、および/または過体重もしくは肥満の治療後の体重維持に有用であるとみなされている。特定の化合物はまた、本発明の化合物が片頭痛の治療に有用であると動物モデルにより実証されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ORL−1受容体アンタゴニストとしてのスピロピペリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
オルファニンFQ(OFQ)/ノシセプチンは、ORL1 Gタンパク質共役受容体(GPCR)に対して高い親和性を有する17個のアミノ酸ペプチドである。ORL1受容体は、中枢神経系および末梢神経系において、ならびに胃腸管、平滑筋、および免疫系において主に発現されるクラスA GPCRである。オピオイドペプチド/受容体に構造的に関連しているが、OFQ/ノシセプチン系は、古典的オピオイドペプチド/受容体に対する有意な交差反応を示さず、インビボにおける抗オピオイド活性を示す(例えば、ORQ/ノシセプチンは抗侵害受容特性を示すことが報告されている)。
【0003】
ノシセプチン/オルファニンFQ受容体(NOC/OFQ)アンタゴニスト、具体的にはORL−1受容体のアンタゴニストは、鬱病および摂食行動に関する多数の研究において動物モデルを用いて抗鬱作用および食欲抑制作用が実証されている。このように、ORL−1アンタゴニストは、鬱病の治療ならびに/あるいは過体重、肥満の治療、および/または過体重もしくは肥満の治療後の体重維持に有用であるとみなされている。
【0004】
特許文献1は、鎮痛薬として使用するためのORL−1アンタゴニストとしての特定のスピロピペリジニル化合物を記載している。
【0005】
非特許文献1は、選択的ORL−1アンタゴニストとして特定のN−ビアリールメチル−スピロピペリジン化合物を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/095427号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yoshizumi,Takashiら(2008),Design,synthesis,and structure−activity relationship study of a novel class of ORL−1 receptor antagonists based on N−biarylmethyl spiropiperidine,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters vol.18,pg.3778−3782
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ORL−1受容体の高いアンタゴニスト効力およびインビボでのCNSにおける高いORL−1受容体占有率を有する4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]化合物のファミリーを提供する。さらに、特定の化合物は、hERGチャネル活性に対する選択性、および他の重要な受容体(例えば、μ、κおよびδオピオイド、セロトニン、ならびにドーパミン受容体)に対する高い選択性により決定される場合、有益な心臓毒性学プロファイルを有する。さらに、特定の本発明の化合物は、有益な生物薬剤学的および薬物動態特性(例えば溶解性、経口曝露、およびCNS透過性)を有する。本発明の特定の化合物は、有益な経口バイオアベイラビリティを生じる低い酸化的代謝を示す。特定の化合物はまた、本発明の化合物が片頭痛の治療に有用であると動物モデルにより実証されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物:
【化1】

(式中、
は、フルオロまたはクロロであり、
2aおよびR2bは、各々水素であるか、または各々フルオロであり、
は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または(C−C)アルコキシメチルであり、
は、フルオロ、クロロ、シアノ、シアノメチル、(C−C)アルキル、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、メトキシ、シクロプロピルメトキシ、アミノカルボニルメトキシ、(C−C)アルコキシメチル、シクロプロピルオキシメチル、シクロプロピルメトキシメチル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、アミノカルボニルオキシメチル、メチルアミノカルボニルオキシメチル、ジメチルアミノカルボニルオキシメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、−CH−NR、ヒドロキシイミン、メトキシイミン、モルホリン−4−イル、モルホリン−4−イルメチル、Ar、−CHAr、テトラヒドロフラン−2−イル、3−オキソモルホリン−4−イルメチル、2−オキソピロリジン−1−イルメチル、および2−オキソピペリジン−1−イルメチルからなる群より選択され、
は、水素、C−Cアルキル、シアノメチル、−C(O)CH、またはアミノカルボニルメチルであり、
は、水素またはメチルであり、
Arは、イミジゾール−1−イル、イミジゾール−2−イル、2−メチルイミジゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、イソオキサゾール−3−イル、オキサゾール−5−イル、および3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルからなる群より選択される部分である)
またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0010】
本発明の別の態様において、医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と共に式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供される。本発明のこの態様の一実施形態において、医薬組成物はさらに、例えばフルオキセチンなどの例えばSSRI抗鬱剤などの少なくとも1つのさらなる治療成分を含む。さらに、本発明のこの態様は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、担体、またはそれらの希釈剤と共に、式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、鬱病の治療に適合される医薬組成物を提供する。本発明のこの態様の別の実施形態において、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、担体、またはそれらの希釈剤と共に式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、過体重、肥満および/または体重維持の治療に適合される医薬組成物が提供される。さらなる実施形態は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、担体、またはそれらの希釈剤と共に、式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、片頭痛の治療に適合される医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、哺乳動物における鬱病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、方法を提供する。さらなる実施形態は、哺乳動物における鬱病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に有効量の式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、および有効量のSSRI抗鬱剤、またはその医薬的に許容可能な塩、例えばフルオキセチンなどを投与することを含む、方法を提供する。本発明の他の実施形態は、過体重および/または肥満を治療する方法、ならびに/あるいは体重維持のための方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に有効量の式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩を投与することを含む、方法を提供する。本発明のこれらの態様の1つの特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0012】
本発明はまた、治療に使用するための式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。この態様内で、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける鬱病の治療に使用するための、式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。本発明はまた、哺乳動物、特にヒトにおける鬱病の治療に使用するためのSSRI抗鬱剤、またはその医薬的に許容可能な塩、例えばフルオキセチンなどと共に式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。さらに、本発明のこの態様は、以下のうちのいずれか1つを含む:過体重の治療に使用するための式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、肥満の治療に使用するための式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、特に過体重または肥満の治療後の体重の維持(体重維持)に使用するための式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、片頭痛の治療に使用するための式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、鬱病の治療のための医薬の製造における、式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明の別の態様は、過体重、肥満の治療、および/または体重の維持のための医薬の製造における、式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明のさらに別の実施形態は、片頭痛の治療のための医薬の製造における式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0014】
本発明の化合物は塩基であり、従って、多くの有機酸および無機酸と反応して医薬的に許容可能な塩を形成する。本発明の化合物の各々の医薬的に許容可能な塩は本発明の範囲内であると意図される。本明細書で用いる、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、生物に実質的に無毒である式Iの化合物の任意の塩を指す。このような塩には、当業者に公知である、Journal of Pharmaceutical Science,66,2−19(1977)に記載されているものが含まれる。
【0015】
本明細書で用いる略語は以下のように定義する。
「BSA」はウシ血清アルブミンを意味する。
「mCPP」はメタ−クロロフェニルピペラジン、非選択セロトニン受容体アゴニストを意味する。
「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を意味する。
「EGTA」はエチレングリコール四酢酸を意味する。
「GTP」はグアノシン三リン酸を意味する。
「HEPES」は4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸を意味する。
「HPLC」は高圧液体クロマトグラフィーを意味する。
「IC50」は最大阻害の50%が達成される濃度を意味する。
「LC/MS」は液体クロマトグラフィー後の質量分析を意味する。
「LC/MS/MS」は液体クロマトグラフィー後の質量分析、その後の第2のイオン化質量分析を意味する。
「mFST」はマウス強制水泳試験、抗鬱作用についての動物モデルを意味する。
「MS」は質量分析を意味する。
「MS(ES+)」はエレクトロスプレーイオン化を用いる質量分析を意味する。
「NMR」は核磁気共鳴を意味する。
「ROトレーサー」は2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミドを意味する。
「RO」は受容体占有を意味する。
「SCXカラム」は強カチオン交換カラムを意味する。
「SNAr」は芳香族求核置換を意味する。
「SSRI」は選択的セロトニン再摂取阻害剤を意味する。
「tBu」は第三級ブチル部分を意味する。
「TLC」は薄層クロマトグラフィーを意味する。
「XRD」はX線回折を意味する。
【0016】
本発明の好ましい化合物は、
1)Rがクロロであり、
2)R2aおよびR2bが各々フルオロであり、
3)Rがクロロであり、R2aおよびR2bが各々フルオロであり、
4)Rがフルオロであり、R2aおよびR2bが各々水素であり、
5)Rが水素、メチル、ヒドロキシメチル、またはメトキシメチルであり、
6)Rがメチルであり、
7)Rがヒドロキシメチルであり、
8)Rがクロロであり、R2aおよびR2bが各々フルオロであり、Rがメチルであり、
9)Rがクロロであり、R2aおよびR2bが各々フルオロであり、Rがヒドロキシメチルであり、
10)Rがフルオロ、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、またはピラゾール−1−イルメチルであり、
11)Rがフルオロであり、
12)Rがヒドロキシメチルであり、
13)Rがメトキシメチルであり、
14)Rがピラゾール−1−イルメチルであり、
15)Rがフルオロである好ましい実施形態1)〜9)のいずれか1つであり、
16)Rがヒドロキシメチルである好ましい実施形態1)〜9)のいずれか1つであり、
17)Rがメトキシメチルである好ましい実施形態1)〜9)のいずれか1つであり、
18)Rがピラゾール−1−イルメチルである好ましい実施形態1)〜9)のいずれか1つである、
化合物である。
【0017】
特定の好ましい化合物は、[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[3−メチル−1−[3−(ピラゾール−1−イルメチル)−2−ピリジル]ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]、および[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール、またはその医薬的に許容可能な塩(すなわち実施例1、23、53、62、および63)である。
【0018】
1つの特に好ましい本発明の化合物は、[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール、またはその医薬的に許容可能な塩、例えば実施例1、62および63に例示されているようなL−酒石酸塩および/またはHCl塩などである。
【0019】
2aおよびR2bが各々フルオロである化合物が好ましい。なぜなら、その化合物はより有益な薬物動態プロファイルを有し、酸化的代謝に安定であるからである。これは化合物の経口バイオアベイラビリティを改善する一般的効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般化学
本発明の化合物は、当該技術分野において周知であり、理解されている方法による以下の合成スキームに従って調製できる。これらのスキームの工程についての適切な反応条件は当該技術分野において周知であり、溶媒および試薬の適切な置換は当業者の範囲内である。同様に、必要または所望の場合、合成中間体が種々の周知技術により単離および/または精製されてもよく、多くの場合、ほとんどまたは全く精製せずに後の合成工程において直接、種々の中間体を使用できることは当業者により理解されるだろう。さらに、当業者は、一部の状況において、部分が導入される順序は重要でないことを理解するだろう。熟練した化学者によって十分に理解されているように、式Iの化合物を生成するのに必要とされる工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発物質、および置換部分の相対的不安定性に依存する。他に記載しない限り、全ての置換基は上記に定義した通りであり、全ての試薬は当該技術分野において周知であり、理解されている。
【0021】
【化2】

還元的アミノ化反応条件を用いることによって、室温にてテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、化合物IIIを、適切に置換されたピラゾールカルバルデヒドおよびナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの還元剤と反応させて、化合物IIを得る。適切なカップリング条件下で、高温にてトルエンなどの溶媒中でヨウ化銅などの適切な触媒、炭酸カリウムなどの適切な塩基を用いて、化合物IIを、化合物IV(式中、Halはクロロ、ブロモ、またはヨードである)とカップリングさせて、化合物I’(式中、R4’はRまたはRの前駆体である)を得る。化合物IV上のHalがFまたはClである場合、芳香族求核置換(SNAr)が化合物I’を生成する代替方法である。より具体的には、高温にて炭酸カリウムなどの適切な塩基を含むジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で化合物IIは化合物IVと反応して、化合物I’を得ることができる。化合物IIIはまた、上記の還元的アミノ化条件下で適切に置換されたアルデヒド化合物Vと反応して、所望の化合物I’を得ることができる。R4’がRの前駆体である場合、公知の方法によりRに変換される。
【0022】
【化3】

化合物IIIa、IIIb、およびIIIcはスキーム2に示したように生成できる。化合物XIVおよびXVを、トリフルオロ酢酸などの適切な酸の存在下でジクロロメタンなどの適切な溶媒中で反応させる。得られたトリフルオロ酢酸塩を水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にして、遊離塩基として化合物XIIIを得る。メチルt−ブチルエーテルなどの適切な溶媒中の化合物XIIIを、室温にて塩化スルフリルの酢酸溶液で処理して、塩酸塩として化合物VIIIを得る。次いで当業者に周知の条件下で化合物VIIIを窒素保護基で保護して、化合物VIIを得る(例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Chapters2および7,John Wiley and Sons Inc.,(1999)を参照のこと)。典型的に、保護基はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)基である。光源照射を用いてクロロベンゼンなどの適切な溶媒中で、化合物VIIを、N−ブロモスクシンイミドと反応させて、臭化物化合物を得て、次いでそれを重炭酸ナトリウム水溶液などの塩基溶液で処理して、ヒドロキシル化合物を得る。単離してまたはせずに、臭化カリウム、テトラメチルピペリジン−N−オキシド、および次亜塩素酸ナトリウム水溶液中などの適切な酸化条件下でヒドロキシル化合物をさらに酸化させて、所望のケトン化合物VIを得る。次いで高温にてテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、化合物VIを、(ビス(2−メチルエチル)アミノ)硫黄トリフルオリドと反応させ、得られた生成物を脱保護して化合物IIIaを得る。
【0023】
式XIIIの化合物を保護して、化合物VIIを生成するのに使用したものと同様の方法を用いて化合物XIIを得る。低温にてテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中の化合物XIIを、リチウムテトラメチルピペリジンなどの適切な塩基で処理し、その後N−フルオロベンゼンスルホンアミドを加えて、フッ化物化合物を得て、それをHCl水溶液で脱保護し、NaOH水溶液で塩基性にして、化合物IIIbを得る。
【0024】
上記の化合物VIを生成するのに使用した同じ方法によって、臭素化、ヒドロキシル化、および酸化などの3工程合成を介して、化合物IXを、化合物XIIから得ることができる。各々の中間体を、さらなる反応のために純粋化合物として単離できるか、または化合物VIの合成に記載されているように単離せずに反応できる。次いで低温下でテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中のブチルリチウムなどの適切なハロゲン−金属交換試薬、続いてN−フルオロ−ベンゼンスルホンアミドなどのフッ素化試薬を用いて化合物IXを処理して、所望のフッ素化生成物を得て、次いでそれを適切に脱保護して、所望の化合物IIIcを得る。
【0025】
【化4】

式Vの化合物はスキーム3に示されるように生成できる。化合物IIを化合物I’に変換するために上記のSNArまたはカップリング条件下で化合物XVIを化合物XVIIと反応させて式XVの化合物を得る。Zがエステル基である場合、それは、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中の水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤により最初にアルコールに還元され得る。次いでジクロロメタンなどの溶媒中の酸化マンガン(IV)などの適切な酸化剤を用いてアルコールをアルデヒドに酸化する。
【0026】
4’がRの前駆体である場合、R4’からRへの変換は、限定されないが、所望の新規アミンを得るための還元的アミノ化、エステル、ケトン、またはアルデヒドの還元などの反応、それをアルコキシ化合物またはカルバミン酸塩にさらに変換でき、ニトリルのアミドまたはアミンへの還元、適切な条件下でのエステルの、オキサジアゾールなどのヘテロシクリルへの変換を含む(例えば、Richard C.Larock, Comprehensive Organic Transformations,Second Edition,Chapters 2 and 7,John Wiley and Sons Inc.,(1999)を参照のこと)。
【0027】
以下の調製例および実施例は、本発明の化合物の合成に有用な方法の例示である。調製例および実施例に例示した化合物の多くの名称は、「Symyx Draw 3.1」または「Autonom 2000Name」を用いて描かれる構造から得られる。
【0028】
調製例1:4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]
【化5】

3−チオフェンエタノール(123.03mL、1.11mol)を、ジクロロメタン(1300mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(185g、928.48mmol)の溶液に加え、室温にて攪拌する。次いでトリフルオロ酢酸(280.82mL、3.71mole)を、氷/水浴(内部温度=14℃〜30℃、注意:CO発生)で冷却しながら滴下して加える(5分)。反応混合物を室温まで徐々に加温し、その温度にて20時間攪拌する。溶媒を蒸発させて、真空中での冷却時にベージュ色の結晶性固体を得る。固体をメチルt−ブチルエーテル(200mL)中でスラリーにし、濾過し、メチルt−ブチルエーテル(2×1000mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イウムトリフルオロアセテートを95%収率で白色の固体として得る。MS=(m/z):210(M+1)。10Mの水酸化ナトリウム(220.36mL、2.20mol)を、冷却(氷/水浴)しながらジクロロメタン(1L)中の4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イウムトリフルオロアセテート(285g、881.44mmol)の攪拌した懸濁液に加え、得られた混合物を、二相混合物が得られるまで攪拌する。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×200mL)で抽出する。合わせた有機物を真空下で濃縮して厚い油を得て、それを水で粉砕して淡黄色の沈殿物を得る。その沈殿物を濾過し、水(300mL)およびヘキサン(200mL)で洗浄し、35℃にて20時間真空下で乾燥させて、86%収率で淡黄色の固体として標題化合物を得る。MS(m/z):210(M+1)。
【0029】
調製例2:tert−ブチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
【化6】

2−メチルテトラヒドロフラン(600mL)中のスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](60g、286.6mmol)を22℃にて10分間攪拌する。次いで、2−メチルテトラヒドロフラン(300mL)中のtert−ブトキシカルボニルtert−ブチルカルボネート(65.6g、301mmol)を滴下して加える。12時間後、塩化ナトリウム水溶液(250mL)を加え、有機層を分離する。水層を2−メチルテトラヒドロフラン(2×50mL)で2回洗浄し、有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、99%収率で標題化合物を得る。MS(m/z):310(M+1)。
【0030】
調製例3:2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,2−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化7】

1.tert−ブチル 2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(18.7mL、110.5mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に加え、−78℃にて窒素下で溶液を冷却する。ヘキサン中のブチルリチウムの2.5M溶液(37.2mL、93mmol)を加え、混合物を−78℃にて30分間攪拌する。新たなリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジン溶液に、−70℃以下に温度を維持しながら、テトラヒドロフラン(90mL)中のtert−ブチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(20g、58.2mmol)の溶液を加える。20分後、窒素下で−20℃に事前に冷却したテトラヒドロフラン(200mL)中のN−フルオロベンゼンスルホンイミド(30.26g、93.07mmol)の溶液を、カニューレを介して加える。1時間攪拌後、水(20mL)および塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加える。次いで、有機層を分離し、水層をメチルt−ブチルエーテル(2×25mL)で2回洗浄する。有機物を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質を、溶媒としてヘキサン/メチルt−ブチルエーテルを用いる順相HPLCにより精製して、tert−ブチル2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートを50%収率で得る。MS(m/z):328(M+1)。
【0031】
2.2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,2−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
37%塩酸(11.75mL、125.22mmol)を、45℃にて、イソプロピルアルコール(57.4mL)中のtert−ブチル2’−フルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート(8.2g、25.04mmol)の溶液に加える。得られた溶液を45℃にて6.5時間攪拌する。溶媒を黄色の懸濁液まで濃縮する。水(50mL)を加え、混合物を5Nの水酸化ナトリウムで塩基性にする。水相を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、96%収率で標題化合物を得る。MS(m/z):228(M+1)。
【0032】
調製例4:2’−クロロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]塩酸塩
【化8】

酢酸(400mL)とメチルt−ブチルエーテル(40mL)との混合物中の4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン](50g、238.88mmol)の溶液を15℃まで冷却する。次いで、酢酸(100mL)中の塩化スルフリル(21.20mL、262.77mmol)の溶液を、その温度(内部温度=15℃〜22℃)にて40分滴下して加え、混合物を室温にて20時間攪拌する。次いで、酢酸(50mL)中の塩化スルフリル(11.56mL、143.33mmol)の溶液を室温にて滴下して加える。反応混合物を室温にて30分間攪拌し、次いでそれを、攪拌しながら氷/水浴で冷却しているメチルt−ブチルエーテル(1L)に滴下して加える(30分)。白色の懸濁液が形成し、固体を濾過する。物質の第2の産物を得るために、濾液を濃縮する(ロータリエバポレーターによりメチルt−ブチルエーテルを補充する)。得られた固体をメチルt−ブチルエーテル(300mL)に懸濁し、懸濁液を還流(浴:100℃)にて攪拌し、濁った懸濁液が形成するまでメタノール(30mL)を加える。次いで、その懸濁液を一晩室温まで冷却する。さらに懸濁液を氷/水浴中で冷却し、濾過する。固体をメチルt−ブチルエーテル(50mL)で洗浄し、第1の産物を合わせて、60%収率で標題化合物を得る。MS(m/z):244(M+1)。
【0033】
調製例5:2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]
【化9】

1.tert−ブチル2−クロロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
ジクロロメタン(1.12L)中の2−クロロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,2−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]塩酸塩(140g、0.49mole)の懸濁液に、トリエチルアミン(67.25mL、1.05mole)、4−ピリジンアミン、N,N−ジメチル−(3.05g、0.025mole)およびジ−t−ブチルジカルボネート(111.22g、0.509mole)を一部ずつ加え、得られた混合物を室温にて一晩攪拌する。反応物を1N HCl(2×)および水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、tert−ブチル2−クロロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートを53%の収率で得る。MS(m/z):244(M+1−Boc)。
【0034】
2.tert−ブチル4’−オキソ−2’−クロロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート
5Lのジャケット形リアクター中に、室温にて、N−ブロモスクシンイミド(115.02g、639.77mmol)を、クロロベンゼン(1.60L)中のtert−ブチル2−クロロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(200g、581.61mmol)の溶液に加える。得られた懸濁液に、外部リアクター壁とほぼ接触して配置された3×100w電球を照射し、リアクターの温度を45℃に設定する。4時間後、N−ブロモスクシンイミド(26.14g、145.40mmol)を加え、温度を15時間40℃に維持する。反応混合物を0℃に冷却し、メチルt−ブチルエーテル(500mL)を加える。固体を濾過し、溶液を約1000mLのクロロベンゼン溶液まで濃縮する。次いで、メチルt−ブチルエーテル(1000mL)を加え、固体を濾過し、濾液を濃縮して600mLのクロロベンゼン溶液を得る。ジメチルスルホキシド(806.47mL、11.35mol)を加え、炭酸水素ナトリウム(95.38g、1.14mol)を室温にて加える。24時間後、室温にて、水/氷(1000mL)を加え、相を分離する。有機相を水(2×1L)で洗浄し、濃縮して、クロロベンゼン溶液を得る。次いで、ジクロロメタン(1.2L)を加え、混合物を5℃(氷/水浴)に冷却する。臭化カリウム(20.27g、170.31mmol)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(4.43g、28.38mmol)を加える。次いで、炭酸水素ナトリウムでpH=9に調整した6%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(644.40mL、567.68mmol)を5℃にて反応混合物に加え、得られた混合物を5℃から室温にて1時間攪拌する。水(1L)を加え、相を分離する。有機相を水(2×0.5L)で洗浄し、氷/水浴で冷却した。次いで、臭化カリウム(2.03g、17.03mmol)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(0.05g、0.32mmole)および固体の炭酸水素ナトリウムでpH=9に調整した6%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(128.88mL、113.54mmol)を5℃にて反応混合物に加え、得られた混合物を5℃から室温まで1時間攪拌する。次いで、水(1L)を加え、相を分離する。有機相を水(2×1L)で洗浄し、乾燥させ、濃縮して暗褐色の固体を得る。
【0035】
ヘキサン(500mL)、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン5%(250mL)およびメチルt−ブチルエーテル/ヘキサン10%(250mL)で固体を粉砕して、tert−ブチル4’−オキソ−2’−クロロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレートを66%収率で淡褐色の固体として得る。MS(m/z):258(M+1(Boc))。
【0036】
3.tert−ブチル2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート
テトラヒドロフラン(81mL)を入れた500mLのPFAフラスコ中に、(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)硫黄トリフルオリド(183.62g、829.94mmol)およびtert−ブチル4’−オキソ−2’−クロロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート(135g、377.24mmol)を加える。得られた懸濁液を70℃にて24時間攪拌する。次いで、室温に冷却し、攪拌しながら氷と飽和炭酸水素ナトリウム(4L)との混合物にゆっくりと注ぐ(ガス発生)。メチルt−ブチルエーテルを使用して、残っている物質をフラスコから移す。ガス発生が停止した後、固体の炭酸水素ナトリウムをpH8になるまで攪拌しながら加える。得られた混合物を、水相中で生成物がTLCにより検出されなくなるまで、メチルt−ブチルエーテル(3×500mL)で抽出する。合わせた有機物を水(3×500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、暗色の厚い油(250g)を得る。粗物質をジクロロメタンに溶解し、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン10%(6L)およびメチルt−ブチルエーテル/ヘキサン(4L)で溶出するシリカゲルプラグで濾過する。TLC(20%メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン UV、Rf=0.5)により生成物が検出されなくなるまで、画分を回収する。画分を濃縮して淡褐色の固体を得て、それを一定重量まで40℃にて真空下で乾燥させて、70%収率のtert−ブチル2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレートを得る。MS(m/z):324(M+1 tBu)。
【0037】
4.2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]
37%塩酸(74.12mL、789.78mmol)を、45℃にて、イソプロピルアルコール(420mL)中のtert−ブチル2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート(60g、157.96mmol)の溶液に加える。得られた溶液を45℃にて15時間攪拌する。次いで、混合物を1/4容量まで濃縮して、白色の懸濁液を得る。水(100mL)を加え、懸濁液を6Nの水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にして、メチルt−ブチルエーテル(3×100mL)で抽出される2層混合物を得る。合わせた有機物をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、淡褐色の固体を得て、それを一定重量まで真空下で乾燥させて、97%の標題化合物を得る。MS(m/z):280(M+1)。
【0038】
調製例6:2,4,4−Triフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化10】

1.tert−ブチル2−ブロモ−4−ヒドロキシ−スピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
N−ブロモスクシンイミド(2.2当量)を、クロロベンゼン(108mL)中のtert−ブチルスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(13.5g)の溶液に加える。得られた懸濁液に、260wの電球を一晩照射する。さらにN−ブロモスクシンイミド(1.7g)を混合物に加え、その混合物に、260wの電球を3時間照射する。溶媒を減圧下で除去して、残渣を得、それを、アセトン(650mL)に溶解し、硝酸銀(8.8g)水溶液(650mL)を加える。混合物を暗所で一晩室温にて攪拌する。混合物を濾過し、アセトンを蒸発させる。酢酸エチルを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を順相Iscoクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル15〜60%)により精製して、tert−ブチル−2−ブロモ−4−ヒドロキシ−スピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートを38%収率で得る。MS(m/z):426/428(M+23/M+2+23)。
【0039】
2.tert−ブチル 2’−ブロモ−4’−オキソ−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート
臭化カリウム(535.67mg、4.50mmol)を、0℃にて、ジクロロメタン(70mL)中のtert−ブチル2−ブロモ−4−ヒドロキシ−スピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−シクロヘキサン]−1’−カルボキシレート(7.28g)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(281.33mg、1.80mmol)の溶液に加える。別の容器中に、pH9になるまで、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(22.34mL、36.01mmol)に炭酸水素ナトリウムを加える。この次亜塩素酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム溶液を0℃にて滴下して加え、得られた暗色の懸濁液を0℃にて15分間攪拌する。ジクロロメタン(20mL)および水(20mL)を加え、相を分離する。有機相を水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を減圧下で除去して、tert−ブチル2’−ブロモ−4’−オキソ−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレートを99%収率で得る。MS(m/z):346/348(M+1tBu/M+3−tBu)。
【0040】
3.tert−ブチル2−ブロモ−4,4−ジフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
100mLのペルフルオロアルコキシ−フラスコフラスコ(perfluoroalcoxy−flask flask)中で、(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)硫黄トリフルオリド(5.16mL、27.96mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(3.5mL)に加える。次いでtert−ブチル2’−ブロモ−4’−オキソ−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−カルボキシレート(4.5g、11.19mmol)を加える。溶液を70℃にて一晩攪拌する。その時間の後、メチルt−ブチルエーテルを加え(30mL)、反応混合物を、氷浴中で冷却した炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)に注意深く注ぐ。CO2発生が見られ、pH8になるまで炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)を加える。混合物をメチルt−ブチルエーテルで抽出する。有機層をデカントし、ブライン(2×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質を、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサンで溶出する順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、3.2gのtert−ブチル2−ブロモ−4,4−ジフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートを得る。MS(m/z):368/370(M+1−tBu/M+3−tBu)。
【0041】
4.tert−ブチル2,4,4−トリフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
ヘキサン(47mL)中の2.5Mのブチルリチウムを、窒素下で−78℃にて、テトラヒドロフラン(50mL)中のtert−ブチル2−ブロモ−4,4−ジフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(1.99g、4.69mmol)の溶液に加える。混合物を−78℃にて1時間攪拌し、固体のN−フルオロ−ベンゼンスルホンアミド(3.69g、11.73mmol)を加える。混合物を室温まで加温し、室温にて一晩攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機相を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去する。粗物質を、順相Iscoクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル3〜12%)により精製して、1.3gのtert−ブチル2,4,4−トリフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレートを得て、それらをHPLCによりさらに精製して、0.818gのその化合物を得る。MS(m/z):308(M+1−tBu)。
【0042】
5.2,4,4−トリフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
t−ブチル2,4,4−トリフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(2.00g、5.50mmol)を塩酸(ジオキサン中に4N)(10mL、40mmol)に溶解する。混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで50gのSCXカートリッジ(固体の陽イオン交換)に通して、メタノール画分中の2Nのアンモニアの蒸発後に1.3gの標題化合物を得る。MS(m/z):264(M+1)。
【0043】
調製例7:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化11】

テトラヒドロフラン(1.58L)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン(105g、375mmol)の溶液に、3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(43.40g、394.12mmol)を加え、混合物を室温にて1時間攪拌する。次いで、粉末のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(95.46g、450.42mmol)を3部で加える。混合物を室温にて15時間攪拌する。次いで、反応混合物を氷−炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(400mL)に注ぐ。相を分離する。水相を酢酸エチル(100mL)で抽出する。合わせた有機層を50%ブラインで洗浄し、固体が有機相中で沈殿する。有機相を合わせて、170gの標題化合物を得る。MS(m/z):374(M+1)。
【0044】
調製例8〜11の化合物を、溶媒として1,2−ジクロロエタンを用いて調製例7に記載されるように本質的に調製する。
【0045】
【表1】

【0046】
調製例12:2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロスピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド
【化12】

250mLのフラスコに、ヨウ化銅(I)(1.91g、10.03mmol)、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](25g、66.87mmol)、炭酸カリウム(19.60g、140.43mmol)、トルエン(50mL)および攪拌バーを加える。反応混合物を5回の真空/再充填サイクルにより脱気する。次いで、2−ブロモ−3−ホルミルピリジン(18.66g、100.31mmol)およびtrans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(3.16mL、20.06mmol)を加える。反応物を室温にて5分間攪拌する。次いで、115℃にて予熱した油浴に浸し、その温度で15時間攪拌する。反応混合物を室温に冷却し、300mLの酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過する。それを酢酸エチル(100mL)で洗浄し、水酸化アンモニウム水溶液(3%)(4×100mL)で洗浄して、痕跡銅を除去し、次いで、それを水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄する。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を真空中で蒸発させて、黄褐色の固体を得る。固体を、溶出液として2−プロパノール/ジクロロメタン(3%〜5%の2−プロパノール)を用いるシリカゲルパッドで濾過して、69%収率で標題化合物を得る。MS(m/z):479(M+1)。
【0047】
調製例13:2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド
【化13】

調製例13の化合物を、2−ブロモピリジン−3−カルバルデヒドおよび2−フルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を用いることによって調製例12に記載されるように本質的に実施する。残渣を順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、83%の標題化合物を得る。MS(m/z):427(M+1)。
【0048】
調製例14:N−[(2−クロロ−3−ピリジル)メチル]アセトアミド
【化14】

室温にて、ジクロロメタン(2mL)中の(2−クロロ−3−ピリジル)メタンアミン(300mg、2.10mmol)の溶液に、酢酸無水物(198.88μL、2.10mmol)およびトリエチルアミン(293.26μL、2.10mmol)を加える。1時間後、反応を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で溶媒を蒸発させて、184mgのN−[(2−クロロ−3−ピリジル)メチル]アセトアミドを得る。MS(m/z):185(M+1)。
【0049】
調製例15:(2−ブロモ−3−ピリジル)メチルメタンスルホネート
【化15】

1.(2−ブロモ−3−ピリジル)メタノール
2−ブロモ−3−ピリジン−カルボキシアルデヒド(22.15g、119.08mmol)およびメタノール(200mL)を含有する2Lの丸底フラスコ(攪拌バーを備え付け、窒素下、0℃にて)に、水素化ホウ素ナトリウム(1.35g、35.72mmol)を3部で加える。1時間後、0℃にて水(200mL)を加え、反応物を減圧下で濃縮して、メタノールを除去する。得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水(200mL)で洗浄する。有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、22gの(2−ブロモ−3−ピリジル)メタノールを白色の固体として得る。MS(m/z):188(M+1)、190(M+3)。
【0050】
2.(2−ブロモ−3−ピリジル)メチルメタンスルホネート
トリエチルアミン(8.90mL)を、0℃にて、ジクロロメタン(212mL)中の(2−ブロモピリジン−3−イル)メタノール(8g、42.55mmol)の溶液を含有する丸底フラスコに加え、次いで塩化メタンスルホニル(3.95mL)を加え、混合物をその温度で1.5時間攪拌する。その時間の後、混合物を水で洗浄し、有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて、10.4gの標題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):266、268(M+1;M+3)。
【0051】
調製例16:2−(2−ブロモ−3−ピリジル)プロパン−2−オール
【化16】

リチウムジイソプロピルアミド(2M、12.5mL、25mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解し、−78℃に冷却する。2−ブロモピリジン(3.9g、25mmol)を滴下して加え、アセトン(1mL、新たに活性化させたモレキュラーシーブで乾燥させる)を加える前に反応物を3時間攪拌し、室温まで加温する。反応物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させる。残渣を、20%ヘキサン/tert−ブチルメチルエーテルで溶出するシリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(1.4g、26%)を得る。H−NMR(d−ジメチルスルホキシド):8.23(dd,J=1.9,4.5Hz,1H),8.19(dd,J=2.0,7.8Hz,1H),7.44(dd,J=4.5,7.7Hz,1H),5.43(s,1H),2.12(s,1H),1.46(s,6H)。
【0052】
調製例17:エチル3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシレート
【化17】

硫酸(18mL、337.69mmol)を、エタノール(90mL)中の1H−ピラゾール−4−カルボン酸、3−メチル−(10g、79.29mmol)の懸濁液に加え、混合物を85℃にて20時間攪拌する。その時間の後、溶媒を部分的に除去する。残渣を1Mの水酸化ナトリウムでpH6〜7に塩基性にし、ジクロロメタンで抽出する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させて、10.3gの標題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):155(M+1)。
【0053】
調製例18:メチル2−フルオロピリジン−3−カルボキシレート
【化18】

2Mのリチウムジイソプロピルアミド(11.3mL、22.5mmol)を、−78℃にて窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン(90mL)中の2−フルオロピリジン(2g、20.5mmol)の溶液に加える。その温度で4時間後、クロロギ酸メチル(1.9mL、24.6mmol)を加え、混合物を−78℃にてさらに1時間攪拌し、一晩で室温に到達させる。反応混合物を水にゆっくりと注ぎ、ジエチルエーテルで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、ヘキサン/ジエチルエーテル(9/1)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、495.2mgの標題化合物を得る。MS(m/z):156(M+1)。
【0054】
調製例19:1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化19】

カリウムt−ブチルアルコール(29.25g、260.68mmol)を、水浴で冷却したジメチルホルムアミド(250mL)中の3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(26.00g、236.12mmol)の溶液に加える。混合物を室温にて10分間攪拌する。次いで、2,3−ジフルオロピリジン(25g、217.24mmol)を加え、混合物を室温にて20時間攪拌する。混合物を氷/水混合物に注ぎ、酢酸エチル(3×20mL)中で抽出する。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、溶出液としてヘキサン/イソプロピルアルコールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、残りのジメチルホルムアミドと共に粗物質を得る。次いでその物質を酢酸エチル(100mL)に溶解し、水(3×20mL)で洗浄する。水相を酢酸エチル(2×20mL)で抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、19gの標題化合物を得る。MS(m/z):206(M+1)。
【0055】
調製例20: 2−(4−ホルミル−3−メチル−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化20】

調製例20の化合物を、3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒドおよび2−フルオロピリジン−3−カルボニトリルを用いることによって調製例19に記載されるように実質的に調製する。標題化合物を23%の収率で得る。MS(m/z):213(M+1)。
【0056】
調製例21:メチル2−(4−ホルミル−3−メチル−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−カルボキシレート
【化21】

3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(300mg、2.72mmol)、炭酸カリウム(565mg、4.08mmol)、メチル2−フルオロピリジン−3−カルボキシレート(507mg、3.27mmol)およびジメチルホルムアミド(2mL)の混合物を60℃にて16時間攪拌する。水を加え、化合物を酢酸エチル中で抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させる。粗混合物を、溶出液としてヘキサン:酢酸エチル、2:1を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、422mgの標題化合物を得る。MS(m/z):246(M+1)。
【0057】
調製例22〜23の化合物は、対応する2−クロロピリジル試薬を用いて調製例21に記載されるように実質的に調製できる。
【0058】
【表2】

【0059】
調製例24:1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化22】

1.エチル1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート
この化合物は、95%の収率でエチル1−(3−ホルミル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレートおよびジメチルアミンを用いることによって調製例7に記載されるように実質的に調製し、後処理の後、さらに精製せずに使用する。MS(m/z):289(M+1)。
【0060】
2.[1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メタノール
0℃に冷却し、窒素下でテトラヒドロフラン(5mL)中のエチル1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート(217.7g、0.75mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン中の1Mの水素化アルミニウムリチウム(0.9mL、0.9mmol)を加え、混合物をその温度にて5分間攪拌する。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、粗物質を酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。この特定の実施例において、化合物は有機抽出物中で単離せず、最終的にSCXカートリッジを用いて水溶液から分離して、146mg(78%)の[1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メタノールを得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):247(M+1)。
【0061】
3.1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
3,3,3−トリアセトキシ−3−ヨードフタリド(0.553g、1.3mmol)を、室温にて、ジクロロメタン(4mL)中の[1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メタノール(0.146g、0.59mmol)の溶液に加える。1時間後、反応を、2Nの炭酸ナトリウム水溶液の添加によりクエンチし、化合物をジクロロメタン中で抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させて、126mgの1−[3−(ジメチルアミノメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒドを得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):245(M+1)。
【0062】
調製例25:1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化23】

1.エチル3−(ブロモメチル)−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−4−カルボキシレート
クロロベンゼン(205mL)中のエチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート(10.2g、40.9mmol)の溶液に、室温にてN−ブロモスクシンイミド(8g)を加える。反応混合物を攪拌し、室温にて一晩、100Wのランプ下で照射する。次いでさらにN−ブロモスクシンイミド(2g)を加え、2時間後、出発物質は検出されない。固体を濾過し、溶媒を蒸発させる。粗物質を、溶出液としてジクロロメタンおよびメタノールを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、5.3gのエチル3−(ブロモメチル)−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−4−カルボキシレートを得る。MS(m/z):328;330(M+1;M+3)。
【0063】
2.イソプロピル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルボキシレート
プロパン−2−オール(23mL)中のエチル3−(ブロモメチル)−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−4−カルボキシレート(1.5g、4.57mmol)の溶液に、リチウムイソプロポキシド(3.02g)を加え、混合物を室温にて一晩攪拌する。その時間の後、さらにリチウムプロポキシド(4.5g)を16時間毎に各々1.5gで3部で加える。最後の添加の後、反応混合物を最終的に40℃にて16時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄する。有機層をデカントし、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、残渣を、溶出液としてジクロロメタンおよびメタノールを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、317mgのイソプロピル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルボキシレートを得る。MS(m/z):322(M+1)。
【0064】
3.[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−イル]メタノール
窒素下で0℃に冷却したジエチルエーテル(4.9mL)中のイソプロピル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルボキシレート(316mg、0.98mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(1.2mL)中の1Mの水素化アルミニウムリチウムを加える。混合物を0℃にて1時間攪拌する。水(46μL)を加え、5分間攪拌し、次いで15%NaOH水溶液(46μL)および水(138μL)を連続して加える。固体を濾過し、溶媒を蒸発させて、241mgの[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−イル]メタノールを得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):266(M+1)。
【0065】
4.1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルバルデヒド
[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−イル]メタノール(241mg、0.91mmol)および酸化マンガン(IV)(791mg)の混合物を、室温にて一晩ジクロロメタン(5mL)中で攪拌する。その時間の後、反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を蒸発させて、197mgの標題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):264(M+1)。
【0066】
調製例26:1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化24】

1.エチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−カルボキシレート
アセトン(23mL)中の3−ブロモメチル−1−(3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1.13g、3.44mmol)の溶液に、ヨウ化カリウム(200.1mg)、炭酸カリウム(865.33mg)およびメタノール(4.18mL)を加える。その混合物を室温にて48時間攪拌する。所望の化合物のメチルおよびエチルエステルを検出する。溶媒を蒸発させる。残渣をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させる。粗物質を、溶出液として酢酸エチルおよびヘキサンを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、メチルおよびエチルエステルの両方の599mgの混合物を得る。MS(m/z):266(M+1)および280(M+1)。
【0067】
2.[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−イル]メタノール
この化合物は、93%の収率で、出発物質としてエチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−カルボキシレート(メチルエステルも含有する混合物中)を使用して、調製例25の工程3(還元工程)に記載されるように実質的に調製する。[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−イル]メタノールをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):238(M+1)。
【0068】
3.1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(メトキシメチル)ピラゾール−4−カルバルデヒド
この化合物は、91%の収率で、出発物質として[1−(3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−3−メトキシメチル−1H−ピラゾール−4−イル]−メタノールを使用して、調製例25の工程4(酸化工程)に記載されるように実質的に調製する。標題化合物をさらに精製せずに使用する。MS(m/z)236(M+1)。
【0069】
調製例27:3−メチル−1−(3−モルホリノ−2−ピリジル)ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化25】

1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド(230mg、1.12mmol)およびモルホリン(2mL、22.93mmol)の混合物をマイクロ波照射下で加熱する(温度160℃、ランプ時間:2分、保持時間:10分、効力:250W)。過剰のモルホリンを真空中で除去し、残渣をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中で洗浄する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(酢酸エチル中に50〜100%)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、72%の標題化合物を得る。MS(m/z):273(M+1)。
【0070】
調製例28:2−ブロモ−3−(メトキシメチル)ピリジン
【化26】

140mLのテトラヒドロフラン中の(2−ブロモピリジン−3−イル)メタノール(20g、106.37mmole)の溶液に、窒素雰囲気下0℃にて、鉱油中の60%水素化ナトリウム(6.38g、155.5mmol)を加える。溶液を0℃にて30分間攪拌する。ヨウ化メチル(7.95mL、127.6mmol)を溶液に加え、混合物を室温にて一晩攪拌する。その混合物を水の添加によりクエンチし、粗物質を酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させて、2−ブロモ−3−(メトキシメチル)ピリジンを98%の収率で得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):202(M+1),204(M+3)。
【0071】
調製例29〜30からの化合物を、対応するヨウ化アルキル試薬を用いて調製例28に記載されるように実質的に調製する。
【0072】
【表3】

【0073】
調製例31:2−ブロモ−3−(イソプロポキシメチル)−ピリジン
【化27】

1.2−ブロモ−3−(ブロモメチル)−ピリジン
25mLのシュレンク管に、2−ブロモ−3−ピリジンベンジルアルコール(1g、5.32mmol)およびジクロロメタン(15mL)を入れる。得られた溶液を、激しく磁気攪拌しながら塩水/氷浴中で0℃に冷却した。次いで三臭化リン(0.55mL、5.80mmol)を滴下して加え、発熱を10℃以下に制御する。厚いスラリーが生じ、添加後、浴を取り除き、スラリーを室温に加温する。次いで混合物を3時間、徐々に還流まで加熱し、次いで一晩室温にする。
【0074】
事前に0℃に冷却した混合物に氷水を加え、次いで2Mの炭酸ナトリウム溶液を加えてpHを塩基性に調整する。有機層を分離し、水溶液を2回ジクロロメタン(2×10mL)で洗浄する。全ての有機物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、1.2gの2−ブロモ−3−ブロモメチル−ピリジンを得て、それをさらに精製せずに使用する。
【0075】
2.2−ブロモ−3−(イソプロポキシメチル)−ピリジン
0℃にて、ジメチルホルムアミド(50mL)中のイソプロピルアルコール(7.31mL、95.65mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(3.63g、90.87mmol)を加え、混合物を室温にて30分間攪拌する(この反応は特別な保護としてシールドを用いて実施する)。次いで、10mLのジメチルホルムアミド中の2−ブロモ−3−ブロモメチル−ピリジン(6g、23.91mmol)を、シリンジを介して加え、混合物を室温にて1時間攪拌する。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出し、ブラインおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質を、溶出液として酢酸エチルおよびヘキサン(5〜25%の酢酸エチルの勾配)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、3.67gの標題化合物を得る。MS(m/z):230,232(M+1,M+3)。
【0076】
調製例32:2−(2−ブロモ−3−ピリジル)アセトニトリル
【化28】

2−ブロモ−3−ブロモメチル−ピリジン(840mg、3.35mmol)およびシアン化ナトリウム(187.99mg、3.68mmol)の混合物を攪拌し、水(10mL)−エタノール(2mL)混合物中で1時間還流する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させて、83%の標題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):197(M+1)、199(M+3)。
【0077】
調製例33:1−[3−(シクロプロポキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化29】

1.エチル1−[3−(ヒドロキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート
メタノール(25mL)中の1−(3−ホルミル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1g、3.9mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(220.2mg、5.8mmol)を加える。混合物を室温にて2時間攪拌する。溶媒を除去し、粗物質を酢酸エチルに溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、1gのエチル1−[3−(ヒドロキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレートを得る。MS(m/z):262(M+1)。
【0078】
2.エチル3−メチル−1−[3−(ビニルオキシメチル)−2−ピリジル]ピラゾール−4−カルボキシレート
トリフルオロ酢酸パラジウム(II)(5.1mg、15.3μmole)および4,7−ジフェニル−フェナントロリン(5.1mg、15.3μmole)を、n−ブチルビニルエーテル(6.1mL、61.2mmol)および1−(3−ヒドロキシメチル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(800mg、3.1mmol)に溶解し、数滴のトリエチルアミンを加える。フラスコを密閉し、75℃にて24時間攪拌する。次いで混合物を24℃に冷却し、セライトパッドで濾過する。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、溶出液としてヘキサンおよび酢酸エチル(酢酸中に5〜20%)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、605mgのエチル3−メチル−1−[3−(ビニルオキシメチル)−2−ピリジル]ピラゾール−4−カルボキシレートを得る。MS(m/z):288(M+1)。
【0079】
3.エチル1−[3−(シクロプロポキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート
ヘキサン中の1.0Mジエチル亜鉛(365.7μL、3.5mmol)を窒素下でジクロロメタン(0.9mL)に加える。溶液を0℃に冷却し、ジクロロメタン(0.9mL)中のトリフルオロ酢酸(268.4μL、3.5mmol)の溶液を非常にゆっくり加える。20分後、ジクロロメタン(0.9mL)中のジヨードメタン(286.1μL、3.5mmol)の溶液を加える。さらに20分後、ジクロロメタン(0.9mL)中の3−メチル−1−(3−ビニルオキシメチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(510mg、1.8mmol)の溶液を加える。混合物を室温にて一晩攪拌する。5%HClを加え、水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。粗物質を、溶出液としてヘキサンおよび酢酸エチル(酢酸エチル中に5〜20%)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、310mgのエチル1−[3−(シクロプロポキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレートを得る。MS(m/z):302(M+1)。
【0080】
4.1−[3−(シクロプロポキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
0℃にて窒素下で、テトラヒドロフラン(0.15M)中の1−(3−シクロプロポキシメチルピリジン−2−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(410mg、1.03mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(1.2当量)中の1.0M水素化アルミニウムリチウムを加える。混合物を室温にて1時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。粗物質をジクロロメタン(14mL)に溶解し、酸化マンガン(IV)(1.2g、13.9mmol)を加える。混合物を室温にて一晩攪拌し、次いでセライトパッドで濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質をシリカゲルパッドに通す(溶出液:酢酸エチルおよびジクロロメタン)。溶媒を減圧下で除去して、90mgの標題生成物を得る。MS(m/z):258(M+1)。
【0081】
調製例34:1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化30】

1.エチル1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレート
この化合物は、83%の収率でエチル3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシレートおよび2−ブロモ−3−(メトキシメチル)ピリジンを用いることによって調製例12に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):276(M+1)。
【0082】
2.[1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メタノール
この化合物は、88%の収率でエチル1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルボキシレートを用いることによって調製例24(工程2)に記載されるように実質的に調製する。
【0083】
3.1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
[1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メタノール(2.2g、9.4mmol)および酸化マンガン(IV)(19g、188.8mmol)の混合物の混合物を室温にて一晩、ジクロロメタン(20mL)中で攪拌する。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて1.8gの標題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用する。MS(m/z):232(M+1)。
【0084】
調製例35:2−ブロモ−3−(イミダゾール−1−イルメチル)ピリジン
【化31】

室温にて、エタノール(46.97mL)中の(2−ブロモ−3−ピリジル)メチルメタンスルホネート(2.5g、9.39mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2.62g)および1H−イミダゾール(1.31g)を加える。混合物を50℃にて攪拌する。厚い種類のエマルションが形成し、10mLのエタノールを加え、その種類のエマルションを50℃にて一晩攪拌する。全ての固体が溶解するまで水を加える。次いで、それを減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)で洗浄する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で溶媒を蒸発させる。粗物質を、溶出液としてジクロロメタンおよびメタノール(98/2〜90/10)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、1.42gの標題化合物を得る。MS(m/z):238,240(M+1,M+3)。
【0085】
調製例36〜40の化合物を、対応する窒素複素環から調製例35に記載されるように実質的に調製する。
【0086】
【表4】

【0087】
調製例41:2−[(2−ブロモ−3−ピリジル)オキシ]アセトアミド
【化32】

0℃にて、テトラヒドロフラン(15mL)中の2−ブロモ−3−ピリジンノール(1.5g、8.49mmol)の溶液に、鉱油(509.44mg、12.74mmol)中の60%水素化ナトリウムを加え、混合物をその温度にて30分間攪拌する。次いで、アセトアミド、2−クロロ−(16.98mmol)を加え、混合物を室温にてウィークエンドにわたって攪拌する。混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させて、75%の収率で標題化合物を得る。その化合物をさらに精製せずに使用する。MS(m/z):231(M+1),233(M+3)。
【0088】
調製例42:2−ブロモ−3−(シクロプロピルメトキシ)ピリジン
【化33】

ジメチルホルムアミド(3mL)中の2−ブロモ−3−ピリジノール(500mg、2.83mmol)の溶液に、0℃にて、鉱油中の60%水素化ナトリウム(169.81mg、4.25mmol)を加える。混合物をその温度で15分間攪拌し、ブロモメチルシクロプロパン(329.66μL、3.40mmol)を加える。次いで反応物を室温にて1時間攪拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で溶媒を蒸発させる。粗物質を短いシリカゲルプラグに通し、化合物をジクロロメタンで溶出して、23%の標題化合物を得た。MS(m/z):228(M+1),230(M+3)。
【0089】
調製例43:エチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−4−ホルミルピラゾール−3−カルボキシレート
【化34】

1.エチル4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート
100mLの丸底フラスコに、セミカルバジド塩酸塩(2g、17.93mmol)、ピルビン酸エチル(11.8mL)およびエタン酸ナトリウム(2.97g)を入れる。次いで水(9mL)を加える。混合物を室温にて90分間攪拌し、次いでそれを濾過し、固体を十分な水で洗浄する。白色の固体をオーブン(40℃)中で一晩真空下で乾燥させる。2.66gのエチル−2−(カルバモイルヒドラゾノ)−プロパノエートを純粋に得る。塩化ホスホリル(3.28mL)を0℃にてジメチルホルムアミド(7.13mL)に滴下して加える。冷却浴を取り除いて室温に到達させる。次いで、混合物を40℃に加熱し、以前に得たエチル−2−(カルバモイルヒドラゾノ)プロパノエート(2.66g、15.36mmol)を、15〜20分にわたって数回に分けて加える(添加の間にガスが発生する)。内部温度が55℃になると、加熱浴を取り除くので、内部温度は60〜70℃の範囲を維持する。次いで、混合物を80℃に加熱する。反応が80℃で安定すると、ガス発生はほとんど観測されない。得られた懸濁液を80℃にて2時間攪拌する。反応混合物を氷/水(30mL)混合物に注ぎ、攪拌して懸濁液を得る。pHが10に到達するまで、50%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して加える。溶液を50℃にて5分間攪拌する。次いで溶液を氷/水浴で冷却し、pH7になるまで35%塩酸水溶液を加える。混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をヘキサンおよび数滴のジクロロメタンで粉砕して、1.6gのエチル4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレートを得て、それをさらに精製せずに次の工程に使用する。MS(m/z):169(M+1)。
【0090】
2.エチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−4−ホルミルピラゾール−3−カルボキシレート
ジメチルホルムアミド(8mL)中のエチル4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(1.6g、9.52mmol)、2,3−ジフルオロピリジン(1.20g)および炭酸カリウム(1.97g)の混合物を加熱し、100℃にて1.5時間攪拌する。次いで、反応混合物を室温にて一晩攪拌する。水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出し、デカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させる。粗物質を、酢酸エチルおよびヘキサンを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、711mgの標題化合物を得る。MS(m/z):264(M+1)。
【0091】
調製例44:3−メチル−1−(3−(テトラヒドロフラン−2−イル)ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化35】

1.3−(2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−フルオロピリジン
乾燥ジメチルホルムアミド(1.8mL)中の酢酸カリウム(440mg、4.5mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.4g、4.5mmol)および4Aモレキュラーシーブを含有するスクリューキャップ試験管に、窒素下で、2−フルオロ−3−ヨードピリジン(400mg、1.8mmol)、2,3−ジヒドロフラン(1.4mL、18mmol)および酢酸パラジウム(20mg、0.09mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し、室温にて一晩攪拌する。混合物をジエチルエーテルで希釈し、混合物をセライトで濾過する。濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で溶媒を蒸発させる。得られた残渣を、ヘキサン:アセトン(アセトン中に5〜30%の勾配)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーを用いるシリカゲルにより精製して、170mgの3−(2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−フルオロピリジンを得る。MS(m/z):166(M+1)。
【0092】
2.2−フルオロ−3−(テトラヒドロフラン−2−イル)ピリジン
メタノール(3.1mL)中の3−(2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−フルオロピリジン(170mg、1mmol)および10%Pd/Cを含有する丸底フラスコを、真空下で排気して、バルーンを用いて水素を充填する。反応物を室温にて一晩攪拌し、セライトで濾過する。溶媒を真空中で蒸発させて、148mgの2−フルオロ−3−(テトラヒドロ−2−イル)ピリジンを得る。MS(m/z):168(M+1)。
【0093】
3.3−メチル−1−(3−(テトラヒドロフラン−2−イル)ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド
ジメチルホルムアミド(2.2mL)中の2−フルオロ−3−(テトラヒドロフラン−2−イル)ピリジン(148mg、0.88mmol)含有するスクリューキャップ試験管に、3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(81mg、0.74mmol)および炭酸カリウム(152mg、1.1mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、110℃にて18時間、磁気攪拌器を用いて予熱した油浴中で攪拌する。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で溶媒を蒸発させる。得られた残渣を、ヘキサン:アセトン(アセトン中の5〜20%の勾配)で順相Iscoクロマトグラフィーを用いてシリカゲルにより精製して、116mgの標題化合物を得る。MS(m/z):258(M+1)。
【0094】
調製例45:3−(2−ブロモ−ピリド−3−イル)イソオキサゾール
【化36】

1.2−ブロモピリジン−3−カルバルデヒドオキシム
エタノール(25mL)中の2−ブロモピリジン−3−カルバルデヒド(2.04g)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(948mg、13.16mmol)およびエタン酸ナトリウム(1.09g、13.16mmol)を加える。混合物を室温にて一晩攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をジクロロメタンと水との間に分配する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて、2gの2−ブロモピリジン−3−カルバルデヒドオキシムを得る。MS(m/z):201/203(M+1/M+3)。
【0095】
2.[3−(2−ブロモ−3−ピリジル)イソオキサゾール−5−イル]−トリメチル−シラン
0℃にて、ジクロロメタン(3.98mL)中の2−ブロモピリジン−3−カルバルデヒドオキシム(400mg、1.99mmol)の攪拌した懸濁液に、ピリジン(201.13μl、2.49mmol)、続いてN−クロロスクシンイミド(337.19mg、2.49mmol)を数回に分けて加える。次いで、トリメチルシリル)アセチレン(350.60μl、2.49mmol)、続いてトリエチルアミン(346.68μL、2.49mmol)を加える。混合物を0℃から室温で攪拌する。2時間後、十分なピリジン(321.81μL、3.98mmol)およびN−クロロスクシンイミド(539.51mg、3.98mmol)を加え、混合物を室温にて16時間攪拌する。次いで反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチする。層を分離し、有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、[3−(2−ブロモ−3−ピリジル)イソオキサゾール−5−イル]−トリメチル−シランを定量的収率で得る。MS(m/z):297/299(M+1/M+3)。
【0096】
3.3−(2−ブロモ−3−ピリジル)イソオキサゾール
メタノール(18mL)中の[3−(2−ブロモ−3−ピリジル)イソオキサゾール−5−イル]−トリメチル−シラン(620mg、2.09mmol)の溶液に、炭酸カリウム(29.12mg、208.59μmole)を一度に加える。混合物を室温にて24時間攪拌する。溶媒を真空中で除去する。粗物質を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液との間に分配する。有機物を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗物質を、溶出液として66/33〜50/50のヘキサン/酢酸エチルを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、140mgの標題化合物を白色の固体として得る。MS(m/z):225/227(M+1/M+3)。
【0097】
調製例46:1−(3−クロロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化37】

乾燥ジメチルホルムアミド(15mL)中の3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド(0.5g、4.5mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2.5g、18mmol)を室温にて加える。反応混合物を40℃にて30分間攪拌し、次いで1−フルオロ−2−クロロピリジン(0.77g、6mmol)を加える。反応混合物を70℃にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、次いで酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗物質を、ヘキサン/酢酸エチル(75:25、65:35)で溶出するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、0.525g(52%)の標題化合物を得る。MS(m/z):222(M+1)。
【0098】
調製例47:1−(3−シクロプロピル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
【化38】

1.1−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
乾燥ジメチルホルムアミド(30mL)中の3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(2.0g、13 mmol)の溶液に、室温にて炭酸カリウム(7.2g、52mmol)を加える。反応混合物を40℃にて30分間攪拌し、次いで1−フルオロ−2−ブロモピリジン(3.0g、17mmol)を加える。反応混合物を70℃にて4時間攪拌する。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、次いで酢酸エチルで抽出する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗混合物を、ヘキサン/酢酸エチル(85:15、80:20)で溶出するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、3.2g(79%)の1−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルを得る。MS(m/z):312(M+3),310(M+1)。
【0099】
2.1−(3−シクロプロピル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
1−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1.5g、5.5mmol)、リン酸カリウム(4.0g、19.2mmol)、シクロプロピルボロン酸(0.7g、8.2mmol)およびトルエン/水(2:1、15mL)の混合物を窒素で脱気し、トリシクロヘキシルホスフェン(0.153g、0.54mmol)および酢酸パラジウム(0.061g、0.27mmol)を加える。混合物を窒素で再び脱気し、反応容器を密閉し、100℃にて16時間加熱する。反応混合物を濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗混合物を、ヘキサン/酢酸エチル(85:15)で溶出するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、1.6g(93%)の1−(3−シクロプロピル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルを得る。MS(m/z):272(M+1)。
【0100】
3.[1−(3−シクロプロピル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]−メタノール
乾燥テトラヒドロフラン(25mL)中の水素化アルミニウムリチウム(0.44g、11.7mmol)の攪拌した懸濁液に、−78℃にて窒素雰囲気下で、乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中の1−(3−ブロモ−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(1.6g、5.8mmol)の溶液を加える。添加の完了後、反応混合物を室温まで加温し、次いで一晩攪拌する。反応混合物を1N水酸化ナトリウムでクエンチし、次いでセライトで濾過する。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、1.1g(84%)の[1−(3−シクロプロピル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]−メタノールを得る。MS(m/z):230(M+1)。
【0101】
4.1−(3−シクロプロピル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド
乾燥ジクロロメタン(15mL)中の[1−(3−シクロプロピル−ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]−メタノール(1.1g、5.0mmol)の溶液に、窒素下で、クロロクロム酸ピリジニウム(1.2g、5.5mmol)を加える。反応混合物を室温にて2時間攪拌し、次いでセライトで濾過する。濾液を減圧下で濃縮する。粗混合物を、ヘキサン/酢酸エチル(90:10、80:20)で溶出するシリカゲル上で精製して、0.2g(20%)の標題化合物を得る。MS(m/z):228(M+1)。
【0102】
調製例48:4−[(2−ブロモ−3−ピリジル)メチル]モルホリン−3−オン
【化39】

ジメチルホルムアミド(10mL)中の2−ブロモ−3−ブロモメチル−ピリジン(0.68g、2.36mmol)の溶液に、0℃にて、水素化ナトリウム(0.11g、60%懸濁液、2.82mmol)、モルホリン−3−オン(0.20g、1.97mmol)およびテトラブチルアンモニウムヨージド(触媒)を加える。混合物を室温にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物を酢酸エチル(25mL)と水(25mL)との間に分配する。水層を酢酸エチル(2×25mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗物質を、ヘキサン/酢酸エチル(55:45)で溶出するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.35g(66%)の標題化合物を得る。MS(m/z):271/273(M+1,M+3)。
【0103】
調製例49〜50の化合物を、対応するラクタム試薬から調製例48に実質的に記載されるように調製する。
【0104】
【表5】

【0105】
調製例51:エチル1−(3−クロロ−2−ピリジル)−4−ホルミルピラゾール−3−カルボキシレート
【化40】

ジメチルホルムアミド(20mL)中のエチル4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレート(1.70g、10.1mmol)および3−クロロ−2−フルオロピリジン(1.99g、15.1mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2.80g、20.2mmol)を加え、混合物を100℃にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物を水(25mL)と酢酸エチル(25mL)との間に分配する。水層を酢酸エチル(3×25mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル(50:50)で溶出するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.5g(54%)の標題化合物を得る。MS(m/z):280(M+1)。
【0106】
調製例52:エチル1−(3−メチル−2−ピリジル)−4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレート
【化41】

ジオキサン(18mL)および水(2mL)中のエチル1−(3−クロロ−2−ピリジル)−4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレート(1.0g、3.5mmol)、トリメチルボロキシン(0.44g、3.50mmol)および炭酸カリウム(1.4g、10.1mmol)の混合物を、10分間、窒素ガスで脱気し、次いでパラジウムトリフェニルホスフィン(0.40g、0.3mmol)を加え、110℃にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物を、ジクロロメタン(50mL)と水(25mL)との間に分配する。水層をジクロロメタン(2×25mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗混合物を、ヘキサン/酢酸エチル(70:30)で溶出するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.12g(13%)の標題化合物を得る。MS(m/z):260(M+1)。
【実施例】
【0107】
実施例1:2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール(L)−酒石酸塩
【化42】

0℃にて、ジクロロメタン(125mL)中の2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド(12.50g、26.10mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.395g、10.44mmol)およびメタノール(37.50mL)を加える。氷浴を取り除き、反応物を室温にて30分間攪拌する。水(50mL)を加え、混合物を半分の体積まで濃縮し、白色の粘性のある固体沈殿物を得る。ジクロロメタン(100mL)を加え、二相混合物を分離する。有機層を水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、半分の体積(約100mL)まで濃縮する。メチルtert−ブチルエーテル(100mL)を加え、溶液を濃縮して沈殿物を得る。固体を濾過し、真空下で乾燥させて、12gの[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノールを得る。MS(m/z):481(M+1)。
【0108】
標題化合物(0.48g、1mmol)の遊離塩基を3mLのメタノールに溶解し、メタノール中の(L)−酒石酸(0.15g、1mmol)の溶液を加える。混合物を10分間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を真空中で一晩乾燥させて、[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール(L)−酒石酸塩を定量的収率で得る。MS(m/z):481(M+1)。
【0109】
実施例2:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−[3−(4H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化43】

40%グリオキサル水溶液(4.69mL、40.71mmol)およびメタノール中の2Nアンモニア(54.29mL、108.57mmol)を、メタノール(10mL)中の2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド(6.50g、13.57mmol)の懸濁液に加える。反応混合物を0℃にて5分間、次いで40℃にて1時間攪拌する。ジクロロメタン(10mL)を懸濁液に加え、ほとんど全ての物質を溶解する。混合物を4時間攪拌し、淡褐色の溶液を得る。その溶液を40℃にて8時間攪拌する。40%グリオキサリル水溶液(2.34mL、20.36mmol)およびメタノール中の2Nアンモニア(27.14mL、54.29mmol)を加え、混合物を40℃にて15時間攪拌する。反応混合物を約100mLに濃縮し、氷/水(400mL)に注ぎ、ベージュ色の固体沈殿物を形成させる。固体を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させる(7g)。その固体を、同じ方法で実質的に調製した他の粗物質と合わせる(10g)。合わせた固体をジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタン/メタノール(96/4)で溶出するシリカゲルパッドで濾過する。生成物を含有する画分を合わせ、濃縮して淡黄色の固体(11g)を得る。固体を還流下で10%ヘキサン/ジクロロメタンで抽出し、濾液を濃縮する。固体をさらに、メタノール/ジクロロメタン混合物中の2N水酸化アンモニウムで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、6.5gの標題化合物を得る。MS(m/z):518(M+1)。
【0110】
実施例3:2−フルオロ−1’−[[1−[3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化44】

化合物を、2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドを用いることによって実施例2に記載されるように実質的に調製する。残渣を、順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、32%の標題化合物を得る:質量スペクトル(m/z):465(M+1)。
【0111】
実施例4:5−(2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル)オキサゾール
【化45】

メタノール(2.5mL)中の2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ニコチンアルデヒド(0.120g、0.25mmol)を含有するスクリューキャップ試験管に、窒素下で、炭酸カリウム(0.104g、0.75mmol)およびp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(0.054g、0.28mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、65℃にて3時間、磁気攪拌器を用いて予熱した油浴中で攪拌する。混合物をメタノールで希釈し、2gのSCXカートリッジを用いて精製した。溶媒を真空中で蒸発させる。得られた残渣を、ヘキサン/エタノール(5〜30%)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、0.093gの標題化合物を得る。MS(m/z):518(M+1)。
【0112】
実施例5:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](L)−酒石酸塩
【化46】

1,2−ジクロロエタン(120mL)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](19.99g、64.33mmol)の溶液に、1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド(12g、58.48mmol)を加え、混合物を室温にて15分間攪拌する。次いで、粉末のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(18.59g、87.72mmol)を加え(内部温度25〜35℃)、得られた懸濁液を室温にて15時間攪拌する。氷混合物中の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を攪拌しながら数回で加える。層が分離する。水相をtert−ブチルメチルエーテル(30mL)で抽出する。合わせた有機層を水(50mL)および50%ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、厚い油を得て、それを、溶出液としてジクロロメタン/メタノール混合物を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、18gの厚い油を得、それを、ヘキサンおよび10%tert−ブチルメチルエーテル/ヘキサンで粉砕して、16.5gの2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を得る。MS(m/z):469(M+1)。酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):469(M+1)。
【0113】
実施例6〜15の化合物を、対応するアルデヒドを用いて実施例5に記載されるように実質的に調製する。
【0114】
【表6−1】

【表6−2】

【0115】
実施例16:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[3−メチル−1−(3−テトラヒドロフラン−2−イル−2−ピリジル)ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化47】

1,2−ジクロロエタン(2.6mL)中の3−メチル−1−(3−(テトラヒドロフラン−2−イル)ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(192mg、0.75mmol)、2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン(209mg、0.75mmol)および酢酸(43μL、0.75mmol)の混合物を含有するスクリューキャップ試験管に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(238mg、1.1mmol)を加える。反応管を密閉し、磁気攪拌器を用いて室温にて18時間攪拌する。混合物をメタノールで希釈し、10gのSCXカートリッジを用いて精製し、溶媒を真空中で蒸発させる。得られた残渣をさらに、ヘキサン:アセトン(アセトン中に5〜30%の勾配)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、113mgの標題化合物をラセミ混合物として得る。MS(m/z):521(M+1)。
【0116】
鏡像異性体分割を、固定相としてChiralpak AD−H(登録商標)(Chiral Technologies,Inc.,West Chester,Pennsylvania,USA)、および移動相として二酸化炭素/メタノール/ジメチルエチルアミン(0.2%)を用いるSCF(超臨界流体クロマトグラフィー)条件下で実施する。第1の溶液が所望の鏡像異性体である。
【0117】
実施例17:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](L)−酒石酸塩
【化48】

ジクロロメタン(2.4mL)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](170mg、0.61mmol)の溶液に、1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−カルバルデヒド(192mg)を加える。混合物を室温にて10分攪拌する。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(268.3mg)を加え、反応物を室温にて一晩攪拌する。混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)でゆっくりクエンチする。次いで有機相を十分なジクロロメタンで抽出し、デカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させる。残渣を、逆相HPLCにより精製して、67.9mgの2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−3−(イソプロポキシメチル)ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を得る。MS(m/z):527(M+1)。
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):527(M+1)。
【0118】
実施例18:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン] (L)−酒石酸塩
【化49】

スクリューキャップ試験管に、ヨウ化銅(I)(1.15g、6.02mmol)、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](15g、40.12mmol)、炭酸カリウム(11.76g、84.26mmol)、15mLのトルエン(事前に20分間窒素で泡立てる)および攪拌バーを加える。反応混合物をさらに10分間窒素で泡立て、次いで2−ブロモ−3−メトキシメチル−ピリジン(10.54g、52.16mmol)、およびtrans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.90mL、12.04mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、室温で5分間攪拌し、予熱した油浴中に115℃にて24時間浸す。サンプルを室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過する。溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(30〜70%)を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製する。所望の画分を回収し、蒸発させる。一部の純粋でない画分(<2g)を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(酢酸エチル中に20〜60%)を用いて順相Iscoクロマトグラフィーにより再純化する。最終化合物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で蒸発乾固する。残渣をジクロロメタンに溶解し、10%水酸化アンモニウム水溶液で洗浄して、残りの銅を取り除く。有機溶媒を蒸発させ、化合物を一晩乾燥させて、13gの2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−[3−(メトキシメチル)−2−ピリジル]−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を得る。MS(m/z):495(M+1)。
【0119】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):495(M+1)。
【0120】
実施例19〜35の化合物を、対応する2−ブロモ−3−置換ピリジン(実施例19〜32および34〜35)または2−ヨード−3−置換ピリジン(実施例33)から実施例18に記載されるように実質的に調製する。
【0121】
【表7−1】

【表7−2】

【表7−3】

【表7−4】

【表7−5】

【0122】
実施例36:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−メトキシ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化50】

スクリューキャップ試験管に、ヨウ化銅(I)(23.74mg、0.125mmol)、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](233,00mg、0.623mmol)、炭酸カリウム(182.71mg、1.31mmol)、トルエン(2mL)(事前に20分間窒素で泡立てる)および攪拌バーを加える。反応混合物を20分間窒素で泡立て、次いで2−ヨード−3−メトキシピリジン(302.01mg、1.25mmol)およびtrans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(39.31μL、0.25mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、磁気攪拌器を用いて110℃にて24時間予熱した油浴中に浸す。次いで、混合物をSCXカラム(25g)に注ぎ、メタノール、次いでメタノール中の2Nアンモニア溶液で溶出する。塩基性画分を濃縮し、得られた残渣を、塩基性HPLCにより精製して、162mgの標題化合物を得る。MS(m/z):481(M+1)。
【0123】
調製例37:2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[1−(3−イソオキサゾール−3−イル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]
【化51】

この化合物を、出発物質として2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]および3−(2−ブロモ−ピリド−3−イル)イソオキサゾールを用いることによって実施例36に記載されるように実質的に調製する。残渣を、順相Iscoクロマトグラフィー(酢酸エチルを溶出液として使用する)により精製して、45%の標題化合物を得る:質量スペクトル(m/z):518(M+1)。
【0124】
実施例38:2−(2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル)プロパン−2−オール
【化52】

乾燥ジメチルホルムアミド(3.2mL)中の2−(2−ブロモ−3−ピリジル)プロパン−2−オール(520mg、2.41mmol)を含有するスクリューキャップ試験管に、窒素下で、4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール(600mg、1.6mmol)、酸化銅(I)(23mg、160μmole)、(R,R)−(−)−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(68mg、480μmole)および炭酸セシウム(1040mg、3.2mmol)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、110℃にて16時間、磁気攪拌器を用いて予熱した油浴中で攪拌する。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させる。得られた残渣を、ヘキサン:エタノール(エタノール中の2〜15%の勾配)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーを用いてシリカゲルにより精製して、310mgの標題化合物を得る。MS(m/z):509(M+1)。
【0125】
実施例39:1−[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]−N−メチル−メタンアミン(L)−酒石酸塩
【化53】

標題化合物の遊離塩基を、51%の収率で、2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドおよびメチルアミンを用いて調製例7に記載されるように実質的に調製する。
【0126】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):551(M+1)。
【0127】
実施例40〜44の化合物を、対応するアルデヒドおよびアミンから実施例39に記載されるように実質的に調製する(実施例43は溶媒として1,2−ジクロロエタンを用いて調製する)。
【0128】
【表8−1】

【表8−2】

【0129】
実施例45:2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドオキシム(L)−酒石酸塩
【化54】

エタノール(3mL)中の2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド(0.210g、0.438mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.038g、0.526mmol)およびエタン酸ナトリウム(0.044g、0.526mmol)を加え、混合物を1時間還流にて攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルおよび水で抽出する。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、塩基性逆相HPLCにより精製して、0.110gの2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドオキシムを得る。MS(m/z):494(M+1)。
【0130】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):494(M+1)。
【0131】
実施例46〜47の化合物を、対応するアルデヒドおよびヒドロキシルアミンから実施例45に記載されるように実質的に調製する。
【0132】
【表9】

【0133】
実施例48:[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタンアミン(L)−酒石酸塩
【化55】

1.2−[[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチル]イソインドリン−1,3−ジオン
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.105mL、0.54mmol)を、0℃にて、トルエン(3mL)中の[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール(0.173g、0.36mmol)、フタルイミド(0.079mg、0.54mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.142g、0.54mmol)の溶液に加える。混合物を室温にて一晩攪拌する。溶媒を除去し、残渣を最初に2gのSCXカートリッジを用い、メタノール画分中の2Nアンモニウムの蒸発後、ヘキサン/エタノール(3%〜30%)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーによって精製して、0.201gの2−[[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチル]イソインドリン−1,3−ジオンを得る。MS(m/z):610(M+1)。
【0134】
2.[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタンアミン(L)−酒石酸塩
エタノール(2.5mL)中の2−[[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチル]イソインドリン−1,3−ジオン(0.201g、0.33mmol)および24μlの水を含有するフラスコに、ヒドラジン一水和物(0.04g、0.79mmol)を加える。反応混合物を2.5時間還流し、次いでメタノールで希釈し、2gのSCXカートリッジを用いて精製する。メタノール画分中の2Nアンモニアの蒸発後、得られた生成物を、エタノールおよびエタノール中の15%水酸化アンモニウム水溶液(メタノール中7N)(25〜90%の勾配の塩基性溶出液)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、129mgの標題化合物を得る。MS(m/z):480(M+1)。
【0135】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):480(M+1)。
【0136】
実施例49:2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボキシアミド(L)−酒石酸塩
【化56】

2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリル
この化合物を、2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]および2−(4−ホルミル−3−メチル−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−カルボニトリルを用いることによって調製例7に記載されるように実質的に調製する。残渣をSCXにより精製して、32%の収率で2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリルを得る。MS(m/z):424(M+1)。
【0137】
2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボキシアミド(L)−酒石酸塩
ジメチルスルホキシド(7.5mL)中の2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリル(0.71mmol、0.30g)の溶液に、炭酸カリウム(0.049g、0.35mmol)を加え、混合物を0〜5℃に冷却し、その後、33%過酸化水素水溶液(0.39mL、3.78mmol)を加える。混合物を室温にて2時間攪拌する。次いで、水を注意深く加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質を、溶出液としてジクロロメタン/メタノール混合物を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、0.252gを得て、それをさらに逆相HPLCにより精製して、0.198gの2−[4−[(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボキシアミドを得る。MS(m/z):442(M+1)。
【0138】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):442(M+1)。
【0139】
実施例50:2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルボキシアミド(L)−酒石酸塩
【化57】

標題化合物を15%の全収率(第1の工程において22%の収率および第2の工程において66%の収率)で、出発物質として2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]および2−(4−ホルミル−3−メチル−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−カルボニトリルを用いることによって実施例49に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):494(M+1)。
【0140】
実施例51:2−[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]アセトアミド(L)−酒石酸塩
【化58】

ジメチルスルホキシド(4mL)中の2−[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]アセトニトリル(170mg、346.96μmole)の溶液に、炭酸カリウム(23.98mg、173.48μmole)を加え、混合物を0〜5℃に冷却する。33%過酸化水溶液(189.54μL、1.84mmol)を加える。混合物を室温にて16時間攪拌し、次いで十分な33%過酸化水溶液(189.54μL、1.84mmol)および炭酸カリウム(23.98mg、173.48μmole)を加える。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。化合物を、溶出液(メタノール中の2Nアンモニア中に1.5〜6%)としてジクロロメタンおよびメタノール中の2Nアンモニアを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、19%の標題化合物の遊離塩基を得る。MS(m/z):508(M+1)。
【0141】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):538(M+1)。
【0142】
実施例52:[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチルN−メチルカルバメート(L)−酒石酸塩
【化59】

メチルイソシアネート(5.80μL、0.096mmol)を、室温にて、ジクロロメタン(1mL)中の2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール(0.042g、0.087mmol)の溶液に加える。1時間後、LC/MSにより反応の発生が観測されず、トリエチルアミン(12.17μL、87.32μmole)およびメチルイソシアネート(5.8μL、0.096mmol)を加え、反応物を一晩攪拌する。さらにトリエチルアミン(12.17μL、87.32μmole)およびメチルイソシアネート(5.8μL、0.096mmol)を加え、24時間後、溶媒を蒸発させ、残渣を、溶出液としてジクロロメタン/メタノール中の2N水酸化アンモニウム(メタノール中の2N水酸化アンモニウム中に0〜5%)を用いて順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、0.041gの[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチルN−メチルカルバメートを得る。MS(m/z):538(M+1)。
【0143】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):538(M+1)。
【0144】
実施例53:[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール(L)−酒石酸塩
【化60】

1.エチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−カルボキシレート
1,2−ジクロロエタン(6.7mL)中のエチル1−(3−フルオロ−2−ピリジル)−4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレート(342.5mg)の溶液に、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](280mg、1mmol)を加える。混合物を10分間攪拌する。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(442mg)を加え、混合物を室温にて一晩攪拌する。炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)を加え、有機相をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。粗物質を、溶出液として酢酸エチルおよびヘキサンを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、450mgのエチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−カルボキシレートを得る。MS(m/z):527(M+1)。
【0145】
2.[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール(L)−酒石酸塩
窒素雰囲気下で0℃に冷却したテトラヒドロフラン(2.37mL)中のエチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−カルボキシレート(250mg、0.47mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン中の1M水素化アルミニウムリチウム(569.3μL)をゆっくりと加える。混合物をその温度で30分間攪拌する。次いで、22μLの水を加え、冷却浴を取り除き、混合物を室温にて5分間攪拌し、その後、22μLの15%水酸化ナトリウム水溶液および65μLの水を加える。固体を濾過し、溶媒を蒸発させる。粗物質を、溶出液としてジクロロメタンおよびメタノールを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、141mgの標題化合物を遊離塩基として得る。MS(m/z):485(M+1)。
【0146】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):485(M+1)。
【0147】
実施例53の遊離塩基を作製する代替方法:
1.エチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート
【化61】

テトラヒドロフラン(0.2L)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン(18.3g、65.42mmol)の懸濁液に、エチル4−ホルミル−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(10g、59.47mmol)を加え、混合物を室温にて10分間攪拌する。次いで粉末のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(16.39g、77.31mmol)を加える。混合物を室温にて1.5時間攪拌する。次いで、反応混合物を氷−炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200mL)に注ぐ。相を分離する。水相をNaHCO飽和水溶液で塩基性にし、酢酸エチル(100mL)で抽出する。合わせた有機相をNaHCO飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、22.5gの標題化合物を得る。MS(m/z):432(M+1)。
【0148】
2.エチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−カルボキシレート
【化62】

ジメチルホルムアミド(225.00mL)中のエチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(22.5g、52.10mmole)の溶液に、炭酸カリウム(10.80g、78.14mmole)および2,3−ジフルオロピリジン(7.19g、62.52mmole)を加え、得られた懸濁液を60℃にて15時間攪拌する。次いで、反応混合物を氷/ブライン(30mL)に注ぎ、CHCl(50mL)を得られた懸濁液に加える。溶液をHO(2×50mL)で洗浄する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗物質を得て、それを、2−プロパノール/CHCl混合物で溶出するSiO濾過により精製して、18gの標題化合物を得る。MS(m/z):527(M+1)。
【0149】
3.[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール
【化63】

雰囲気下で−10℃に冷却したテトラヒドロフラン(26.00mL)中のエチル4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−カルボキシレート(2.6g、4.93mmole)の溶液に、トルエン中の水素化ジイソブチルアルミニウム1M(23.68mL、23.68mmole)をゆっくりと滴下して加える。次いで、反応混合物をその温度で15分攪拌し、次いで、冷浴を取り除き、混合物を室温まで加温する。次いで、HO(100mL)を−10℃にて滴下して加える。得られた懸濁液をEtOAc(2×30mL)で抽出する。合わせた有機物をHO(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、淡褐色の油を得て、それを、メチルt−ブチルエーテル(10mL)に溶解し、白色の結晶を晶出させる。形成した懸濁液を攪拌し、攪拌しながらヘキサン(10mL)を滴下して加える。固体を濾過して、2gの標題化合物を得る。MS(m/z):485(M+1)。
【0150】
実施例54:2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾリル−5−イル)−ピリジン
【化64】

1.2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−ニコチン酸メチルエステル
スクリューキャップ試験管に、酸化銅(I)(11mg、0.08mmol)、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](300mg、0.8mmol)、炭酸セシウム(523mg、1.6mmol)、乾燥ジメチルホルムアミド(1.6mL)および攪拌バーを加える。反応混合物を20分間窒素で泡立て、次いでメチル2−ヨードピリジン−3−カルボキシレート(511mg、1.9mmol)およびtrans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.24mmol、34mg)を加える。反応管を迅速に密閉し(注意:起こり得る圧力の増大;安全なシールドを使用すること)、110℃にて16時間、磁気攪拌器を用いて予熱した油浴に浸す。次いで、混合物をSCXカラム(10g)に注ぎ、メタノール、次いでメタノール中の2Nアンモニア溶液で溶出する。塩基性画分を濃縮し、得られた残基を、ヘキサン:エタノール(エタノール中に2〜15%の勾配)で溶出する順相Iscoクロマトグラフィーを用いるシリカゲルにより精製して、307mgの2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−ニコチン酸メチルエステルを得る。MS(m/z):309(M+1)。
【0151】
2.2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−ピリジン
7mLのテトラヒドロフラン中のアセトアミドオキシム(154mg、2.1mmol)の溶液に、アルゴン下で、139mgの研磨した4Aモレキュラーシーブおよび水素化ナトリウム(2.1mmol、鉱油中に60%として84mg)を加える。混合物を50℃にて30分間攪拌する。室温まで冷却後、2−(4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−ニコチン酸メチルエステル(309mg、0.6mmol)を加え、次いで混合物を50℃にて40分間加熱する。冷却後、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出する。硫酸マグネシウムで有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、残渣をメタノール中で希釈し、5gのSCXカートリッジを用いて精製する。得られた残渣をさらに、XBridgeカラム(5μm、19×100mm)および25mL/分の流速にて5分で60〜80%の間のA中のBの勾配(基礎条件A:炭酸水素アンモニウム20mM pH9およびB:アセトニトリル)を用いて半分取逆相HPLC_MSにより精製して、71mgの標題化合物を得る。MS(m/z):533(M+1)。
【0152】
実施例55:2−クロロ−1’−[[1−(3−クロロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](L)−酒石酸塩
【化65】

1,2−ジクロロエタン(5mL)中の2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン](0.2g、0.71mmol)の溶液に、1−(3−クロロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒド(0.19g、0.86mmol)および数滴の酢酸を加える。反応混合物を室温にて1時間攪拌する。反応混合物を室温にて1時間攪拌する。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.315g、1.43mmol)を加え、室温にて14時間攪拌する。完了後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮する。粗混合物をHPLCにより精製して、0.195g(56%)の2−クロロ−1’−[[1−(3−クロロ−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]を得る。MS(m/z):485(M+1)。
【0153】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):485(M+1)。
【0154】
実施例56:2−クロロ−1’−[[1−(3−シクロプロピル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−イル]メチル]−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](L)−酒石酸塩
【化66】

標題化合物を41%の収率で、出発物質として2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]および1−(3−シクロプロピル−2−ピリジル)−3−メチル−ピラゾール−4−カルバルデヒドを用いることによって実施例55に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):491(M+1)。
【0155】
実施例57:4−[[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メチル]モルホリン−3−オン
【化67】

ジメチルホルムアミド(5mL)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](0.20g、0.53mmol)、4−[(2−ブロモ−3−ピリジル)メチル]モルホリン−3−オン(0.21g、0.77mmol)、ヨウ化銅(I)(0.015g、0.078mmol)および炭酸セシウム(0.36g、1.10mmol)の混合物を、15分間アルゴンを泡立てることによって脱気する。15分間脱気しながら、(1R,2R)−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.02g、0.14mmol)を加え、次いで混合物を130℃で16時間加熱する。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、セライトで濾過する。残渣を酢酸エチル(2×25mL)で洗浄し、濾液を水(30mL)で洗浄する。水層を酢酸エチル(2×25mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗混合物を、ジクロロメタン/メタノール(96:4)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.09g(30%)の標題化合物を得る。MS(m/z):564(M+1)。
【0156】
実施例58〜59の化合物を、調製例49および50にそれぞれ記載される中間体から実施例57に記載されるように実質的に調製する。
【0157】
【表10】

【0158】
実施例60:[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−クロロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール
【化68】

1.エチル4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−1−(3−クロロ−2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート
1,2−ジクロロメタン(20mL)中の2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]塩酸塩(0.35g、1.1mmol)およびエチル1−(3−クロロピリジン−2−イル)−4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレート(0.3g、1.0mmol)の溶液に、N−メチルモルホリン(0.33g、3.2mmol)およびモレキュラーシーブ(0.10g)を加える。反応混合物を室温にて1時間攪拌する。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.58g、2.7mmol)を加え、室温にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物をセライトで濾過し、ジクロロメタン(15mL)と水(15mL)との間に分配する。水相をジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗混合物を、ジクロロメタン/メタノール(98:2)で溶出するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.4g(67%)のエチル4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−1−(3−クロロ−2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレートを得る。MS(m/z):543(M+1)。
【0159】
2.[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−クロロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール
テトラヒドロフラン(5mL)およびエタノール(5mL)中のエチル4−((2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル)−1−(3−クロロ−2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(0.4g、0.73mmol)の溶液に、0℃にて、水素化ホウ素リチウム(1.80mL、2.0Mテトラヒドロフラン溶液、3.68mmol)を加え、室温にて16時間攪拌する。完了後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×25mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗混合物を、ジクロロメタン/メタノール(97:3)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、0.14g(39%)の標題化合物を得る。MS(m/z):500(M+1)。
【0160】
実施例61:[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−メチル−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール
【化69】

標題化合物を14%の収率で、出発物質として2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]塩酸塩および1−(3−メチルピリジン−2−イル)−4−ホルミル−ピラゾール−3−カルボキシレートを用いることによって実施例60に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):481(M+1)。
【0161】
実施例62:[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール
【化70】

1.2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド
無水トルエン(340mL)中の2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](168.4g、451mmol)、CuI(12.9g、67.7mmol)および炭酸カリウム(131g、947mmol)の混合物を、室温にて30分間脱気する。2−ブロモ−ピリジン−3−カルボキシアルデヒド(125g、677mmol)およびtrans−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(21.3mL、135.4mmol)を連続して加える。内容物を30分間脱気し、その後、18時間攪拌しながら105℃にて加熱する。反応混合物のLC/MS分析により、2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]の完全な消費が明らかになる。反応混合物を室温まで冷やし、酢酸エチル(1.5L)で希釈し、攪拌し、セライトパッドで濾過する。母液を10%水酸化アンモニウム(5×100mL)、水(3×100mL)、およびブラインで連続して洗浄する。次いでそれを乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、1%トリエチルアミンを含有するヘキサン中の50%酢酸エチルを用いてシリカゲル上で精製して、2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒドを固体(156g、72%収率)として得る。MS(m/z):479(M+1)。
【0162】
2.[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール
0℃にて、無水ジクロロメタン(1.5L)中の2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]ピリジン−3−カルバルデヒド(180g、377mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(7.2g、188.5mmol)および無水メタノール(0.5L)を連続して加え、内容物を30分攪拌しながら室温に到達させる。反応混合物のLC/MS分析により完了が明らかになる。揮発性物質を減圧下で除去して、得た残渣をジクロロメタン(2L)と水(300mL)との間に分配する。層を分離し、有機層を、1N水酸化ナトリウム水溶液(300mL)、水(3×300mL)、ブラインで連続して洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、1%トリエチルアミンを含有するヘキサン中の50〜55%酢酸エチルを用いてシリカゲル上で精製して、[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノールを固体(167g、92%収率)として得る。MS(m/z):481(M+1)。
【0163】
実施例63[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール塩酸塩
【化71】

酢酸エチル(1.5L)中の[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール(157.4g、328mmol)を、透明溶液が得られるまで80℃にて加熱する。遊離塩基を含有する高温溶液に、イソプロパノール(65.6mL、328mmol)中の5〜6NのHClをゆっくりと加え、混合物を2時間にわたって室温に到達させながら、内容物を激しく攪拌する。HClの添加の途中で沈殿が観察される。得られた白色固体を濾過し、ジエチルエーテル(3×1L)で洗浄し、50℃にて真空下で3日間乾燥させて、[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール塩酸塩を、オフホワイトの固体(165g、97%収率)として得る。MS(m/z):481(M+1)。
【0164】
受容体占有トレーサー化合物:[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミド(L)−酒石酸塩
【化72】

1.tert−ブチル3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパノエート
2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,2,−c]ピラン−7,4’−ピペリジン](2.7g、11.9mmol)をメタノール(60mL)に溶解する。次いで、トリエチルアミン(2.65mL)およびアクリル酸tert−ブチル(3.55mL、23.76mmol)を加え、混合物を65℃で5時間加熱する。熱を除去し、反応混合物を室温にて一晩攪拌する。溶媒を蒸発させ、粗物質を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン1/1を用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、4.2gの所望の化合物を無色の油として得る。MS(m/z):356(M+1)。
【0165】
2.tert−ブチル2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパノエート
下で−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(41mL)中のtert−ブチル3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパノエート(4.9g、13.78mmol)の攪拌溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド 1M(41,35mL、41.45mmol)を滴下して加える。得られた混合物をその温度で3時間攪拌する。次いで、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(1.33mL、11.03mmol)を加え、得られた溶液を同じ温度で30分間攪拌する。得られた混合物に、乾燥テトラヒドロフラン(1mL)中の2−フルオロベンジルブロミド(2.33mL、19.3mmol)を加え、攪拌を継続する。温度を一晩で−78℃から室温にさせる。粗反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層をデカントし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させ、得た粗物質を、5/95〜20/80の酢酸エチル/ヘキサンを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、5.06gの標題化合物を無色の油として得た。MS(m/z):464(M+1)。
【0166】
3.2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパン酸トリフルオロ酢酸
tert−ブチル2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパノエート(5.06g、10.91mmol)およびトリフルオロ酢酸(26.20mL、218mmol)の混合物を室温にて一晩攪拌する。溶媒を乾燥するまで蒸発させ、粗物質をさらに精製せずに使用する。
【0167】
4.2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミド
2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)プロパン酸トリフルオロ酢酸(5.68g、10.89mmol)をジクロロメタン(218mL)に溶解し、次いでトリエチルアミン(12.14mL、87.13mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(1.80g、21.78mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(4.18g、21.78mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3.34g、21.78mmol)を、0℃にて溶液に連続して加える。混合物を室温にて5時間攪拌する。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理し、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗物質を、溶出液として100/0〜90/10のジクロロメタン/メタノール中の2Nアンモニウムを用いる順相Iscoクロマトグラフィーにより精製して、4.0g(84.5%)の標題化合物を得る。MS(m/z):435(M+1)。
【0168】
5.2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミド(L)−酒石酸塩
ラセミ化合物2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミド(2.3g、5.29mmol)の鏡像異性体分割を、ヘキサン/エタノール中の0.2%ジメチルエチルアミン 9/1を用いるChiralpak AD(登録商標)カラム(Chiral Technologies,Inc.,West Chester,Pennsylvania,USA)で実施する。所望の化合物を最初に溶出する鏡像異性体として36%の収率で得る。
【0169】
酒石酸塩を実施例1に記載されるように実質的に調製する。MS(m/z):435(M+1)。
【0170】
X線粉末回折
結晶性固体のXRDパターンを、35kVおよび50mAで作動する、CuKα源(λ=1.54060Å)およびVantec検出基を備えたBruker D4 Endeabor X−線粉末回折計で得る。サンプルを、2θにおいて0.0087°のステップサイズおよび0.5秒/ステップの走査速度、ならびに0.6mmのダイバージェンス、5.28の一定の散乱防止、および9.5mmの検出スリットを用いて、2θにおいて4から40°の間で走査する。乾燥粉末を石英サンプルホルダに詰め、スライドガラスを用いて平滑な表面を得る。結晶形態回折パターンを周囲温度および相対湿度で収集する。ピークを取得する前にバックグラウンドを除去した。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態について、回折ピークの相対強度は、結晶形態および晶癖などの要因から生じる選択配向により変わり得ることは周知である。選択配向の効果が現れる所では、ピーク強度は変化するが、多形特有ピーク位置は変化しない。例えば、The United States Pharmacopeia#23,National Formulary#18,1843−1844ページ,1995を参照のこと。さらに、結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態について、角度ピーク位置がわずかに変化し得ることもまた周知である。例えば、サンプルを分析する温度または湿度、サンプルの置き換え、または内部標準の存在もしくは不在の変化によってピーク位置はシフトし得る。この場合、ピーク位置2θのばらつき±0.1°については、これら潜在性の変化が考えられるが、示した結晶形態の明確な同定が妨げられることはないであろう。結晶形態の確認は、特徴的なピーク(°2θの単位において)、典型的により突出したピークの任意の特有の組み合わせに基づいてなされ得る。
【0171】
従って、CuKα放射線を用いるXRDパターンにより、(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノールの遊離塩基の調製した結晶サンプルを、以下の表1に記載されるような回折ピーク(2θ値)を有すると特徴付ける。特有の結晶形態は、この完全な回折ピークから特徴的なピークのサブセットにより確認され得る。従って、一実施形態において、本発明は、2θにおいて5.5、13.5、17.8、および22.3±0.1°からなる群より選択されるピークのうちの1つ以上と共に11.1における回折ピークを有する、CuKα放射線を用いるXRDパターンにより特徴付けられる(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノールの結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2θにおいて5.5、11.1、13.5、17.8、および22.3±0.1°における回折ピークを有するCuKα放射線を用いるXRDパターンにより特徴付けられる(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノール塩酸塩の結晶形態を提供する。
【0172】
【表11】

【0173】
同様に、(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノールのHCl塩の調製した結晶サンプルを、以下の表2に記載されるような回折ピーク(2θ値)を有するとCuKα放射線を用いるXRDパターンにより特徴付ける。特有の結晶形態は、この完全な回折ピークから特徴的なピークのサブセットにより確認され得る。従って、一実施形態において、本発明は、2θにおいて10.8、12.1、および21.1±0.1°からなる群より選択されるピークのうちの1つ以上と共に16.2における回折ピークを有するCuKα放射線を用いるXRDパターンにより特徴付けられる(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノール塩酸塩の結晶形態を提供する。別の実施形態において、本発明は、2θにおいて10.8、12.1、16.2、および21.2°±0.1°における回折ピークを有するCuKα放射線を用いるXRDパターンにより特徴付けられる(2−{4−[(2’−クロロ−4’,4’−ジフルオロ−4’,5’−ジヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,7’−チエノ[2,3−c]ピラン]−1−イル)メチル]−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル}ピリジン−3−イル)メタノール塩酸塩の結晶形態を提供する。
【0174】
【表12】

【0175】
文献データ(PrzydzialおよびHeisler,2008,上記;Reinscheid,2006,上記)および非臨床的動物研究において生成されたデータは、鬱病、肥満および摂食障害、ならびに片頭痛の治療におけるノシセプチンアンタゴニストについての役割を支持している。具体的には、ノシセプチン受容体アンタゴニストが、過食症、以前の体重損失後の体重の再増加を阻害する齧歯動物モデルにおいて、および片頭痛のためのモデルにおいて、単独または三環系もしくは選択的セロトニン作動性再取り込み阻害剤(SSRI)の抗鬱剤と併用して鬱病の齧歯動物モデルにおいて有効であると見出されている。さらに、ノシセプチン受容体ノックアウトマウスにおいて実施した研究は、強制水泳試験(抗鬱作用の尺度)および空腹により誘発される摂取(抗肥満活性)におけるノシセプチンアンタゴニストの作用は、遺伝子型依存性であることを実証しており、これらの動物モデルにおけるノシセプチンアンタゴニスト作用の特定の機構を支持している。上述の障害が一般的な併存症の臨床症状を表す場合、ノシセプチン受容体アンタゴニストは特に、大鬱病性障害、過食障害、過体重、肥満、および臨床気分障害と併存した肥満を有する患者などのこれらの特定の患者集団において効果的であり得る。
【0176】
本発明の化合物の特徴をさらに実証するために、代表的な化合物を以下のインビトロおよびインビボアッセイにおいて実施する。
【0177】
インビトロ受容体結合
放射性リガンド結合アッセイは一般に、特定の受容体または標的タンパク質に結合する化合物の親和性(K)または有効性を測定するために使用される。濾過ベースの[3H]−OFQ/ノシセプチン受容体結合アッセイは、少しの改良を有して以前のアッセイフォーマットに基づいて開発されている(Ardati A,Henningsen RA,Higelin J,Reinscheid RK,Civelli O,Monsma FJ Jr.Mol Pharmacol.1997 May;51(5):816−24)。[3H]−OFQ/ノシセプチン結合アッセイを、ディープウェル96ウェルプレート中で実施する。[H]OFQ(最終アッセイ濃度0.2nM)競合研究を、20mM HEPES、pH7.4、5mM MgCl、1mM EGTA、100mM NaCl、0.1%ウシ血清アルブミンを含有する0.5mLの最終アッセイ体積の緩衝液中で5〜10μgの膜タンパク質(クローニングしたヒトORL1受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)から単離した)を用いて実施する。サンプルを室温にて60分間インキュベートし、それが競合アッセイに最適であることを見出す。そのアッセイは、Tometc細胞収集器におけるガラス繊維フィルター(WallacフィルターマットA)[0.3%ポリエチレンイミン(Sigma)で1時間予め処理した]での濾過により終了し、フィルターを、5mLの氷冷50mM Tris・HCl、pH7.4で3回洗浄する。次いでフィルターマットを乾燥させ、MeltilexシンチラントAに埋め込み、放射線をWallac Microbetaシンチレーションカウンタで計数する。特異的結合を100nMの未標識ノシセプチンでの置換により測定する。曲線を特異的結合の割合としてプロットし、IC50値を、可変勾配を有するS字状用量反応曲線を用いて測定する。K値はチェン−プルソフ(Cheng and Prusoff)の式(Cheng,Y.C., and Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108(1973))によりIC50から計算する(式中、K=IC50×(1+D×K−1−1である)。
【0178】
同様に、μ、κおよびδオピオイド、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン作用性、ムスカリン性、およびヒスタミン受容体に対するK、ならびにノルエピネフリン輸送体、ナトリウムチャネル、クロライドチャネル、およびカルシウムチャネルに対する結合は、所望の受容体/輸送体/チャネルを発現する膜および適切な対応する放射性リガンド競合分子を用いて測定できる。
【0179】
例示した化合物を上記のように実質的に試験し、ORL−1受容体に対する高親和性を有することを見出す。例示した化合物についてのORL−1受容体に対するKは2nM未満であることを見出し、一方、試験した他の受容体/輸送体/チャネルに対するKiは、著しく高くなることを見出す。実施例62、23、および53の化合物を上記のように実質的に試験し、以下の表3に示すような親和性を有することを見出す。
【0180】
【表13−1】

【表13−2】

【0181】
従って、本発明の化合物の生理学的に関連する用量は、インビボにおけるこれらの部位と実質的に相互作用するとは予想されず、従って、このような活性に関連する望ましくない作用を回避すると予想される。
【0182】
アゴニストにより媒介されるGタンパク質活性化−GTPγ−[35S]結合のインビトロでの機能的遮断
Gタンパク質共役受容体のアゴニストにより媒介される刺激により、膜結合Gαβγ−タンパク質ヘテロ三量体複合体の活性化が生じ、細胞内経路の修飾への細胞外シグナルの変換における第1の工程を表す。Gαβγ−タンパク質三量体の受容体により媒介される活性化の第1の工程は、Gαサブユニット結合グアノシン二リン酸(GDP)のグアノシン三リン酸(GTP)への交換である。Gαサブユニットに対するGTPの結合により、ヘテロ三量体サブユニット、GβおよびGγの解離が引き起こされ、いくつかの細胞内シグナル伝達カスケードの調節が生じる。受容体により媒介されるGタンパク質活性化の尺度は、非加水分解性の放射性標識したGTP、GTP−γ−[35S]のアナログを用いて測定され得る。
【0183】
この方法を利用して、アンタゴニスト親和性(Kb)を、少しの変更を有して、以前に記載されたプロトコル(DeLappら,J Pharmacol Exp Ther.1999 May;289(2):946−55;Ozakiら,Eur J Pharmacol.2000 Aug 18;402(1−2):45−53)に従ってGTP−γ−[35S]結合アッセイを用いてクローン化したヒトORL1/ノシセプチン受容体を発現する膜で測定する。アッセイを、以下の緩衝液成分:100mM NaCl、20mM HEPES、5mM MgCl、1mM EDTA、0.1% BSA、3μM GDP、0.5nM[35S]GTPγSを有する200μ体積で実施する。ORL1受容体膜懸濁液を20μgタンパク質/ウェルの濃度で加え、300nMノシセプチン/OFQを用いて受容体刺激を達成する。コムギ胚芽凝集素でコーティングしたビーズ(Amersham,Arlington Hts.,IL)を1mg/ウェルにて加えて、膜結合[35S]GTPγSを検出する。プレートを密閉し、2時間室温にてインキュベートする。次いでプレートを4℃にて一晩置き、SPAビーズを定着させ、次いでWallac Microbetaでカウントする。特異的[35S]GTPγS結合を、10μMの非標識GTPγSの非存在および存在下で観測されたCPMの相違として測定する。特異的[35S]GTPγS結合の割合としてデータをプロットする。特異的結合の割合として曲線をプロットし、IC50値を、可変勾配を有するS字状用量反応曲線を用いて測定する。アンタゴニスト親和性(K)を、チェン−プルソフ(1973)の式の変形(式中、K=IC50×(1+D×EC50−1−1である)を用いてDeLappら,1999に従って算出する。
【0184】
例示した化合物を上記のように実質的に試験し、ORL−1受容体の有効なアンタゴニストであることを見出す。例示した化合物についてのORL−1受容体についてのKは、6nM未満であると見出す。実施例1、23、および53の化合物を上記のように実質的に試験し、それぞれ、0.20、1.52、および0.62nMのORL−1受容体についてのKを有すると見出す。
【0185】
インビボでの受容体占有
LC/MS/MSを用いる受容体占有(RO)は、インビボでの推定ORL−1アンタゴニストの主要な標的結合を測定する方法として確立している。ノシセプチン/ORL1受容体占有(RO)を、新規所有のノシセプチン/ORL1アンタゴニストROトレーサー、2−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3−(2−フルオロスピロ[4,5−ジヒドロチエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)−N,N−ジメチル−プロパンアミド、(ROトレーサー)を用いて、血液脳関門の内側の高密度のノシセプチン/ORL1結合部位を含有する構造である、臨床下部において測定する。これらの測定は、修飾を有して他の受容体について以前に公開された(Chernet E,Martin LJ,Li D,Need AB,Barth VN,Rash KS,Phebus LA.Use of LC/MS to assess brain tracer distribution in preclinical,in vivo receptor occupancy studies:dopamine D2,serotonin 2A and NK−1 receptors as examples.Life Sci. 78(4):340−6, 2005)ような放射性標識したトレーサーを必要とせずになされる。
【0186】
中枢ノシセプチン/ORL1 ROと、齧歯動物における摂食行動および強制水泳試験の調節の効果との間に正相関を確立した。中枢ノシセプチン/ORL1 ROを、試験化合物のラットへの経口投与後、6または24時間に測定する。雄性Sprague−Dawleyラット(Harlan Sprague−Dawley,Indianapolis,IN)を試験化合物、またはビヒクル(20%カプチソール、25mMリン酸緩衝液、pH2.0)で経口処置する。試験化合物/ビヒクル投与の6または24時間後、全ての動物に3μg/kg用量のROトレーサーを静脈内投与する。ROを測定するとみなすのは、ROトレーサー投与の時である。ROトレーサー投与の40分後、ラットを頸椎脱臼により屠殺し、視床下部を除去する。ROトレーサーのレベルを各組織サンプル中で測定する。
【0187】
中枢作用性の文献参照標準物質(−)−シス−1−メチル−7−[[4−(2,6−ジクロロフェニル)ピペリジン−1−イル]メチル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプタン−5−オール(SB612111、上記のMagdalenaおよびHeislerを参照のこと)、有効なノシセプチン/ORL1受容体選択的アンタゴニストを陽性対照として使用して、100%ノシセプチン/ORL1 ROに関連するROトレーサーレベルを確立する。SB612111を、ROトレーサーの1時間前に30mg/kgの用量(視床下部ノシセプチン/ORL1受容体の約100%ROを生じる用量)で静脈内投与する。
【0188】
視床下部サンプルを、0.1%ギ酸を含有する4容量(w/v)のアセトニトリル中でホモジナイズし、14,000RPMにて16分間遠心分離する。上清を回収し、滅菌水で0.3mLの最終体積まで希釈する。ROトレーサーの測定を、Agilentモデル1200HPLC(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)およびAPI4000質量分析計を用いて実施する。クロマトグラフ分離は、2.1×50mm C18カラム(Agilentパート番号971700−907)および全体で0.1%ギ酸含有量を含む38%アセトニトリル水溶液からなる移動相を使用する。ROトレーサーの検出は、脳組織ホモジネート中で調製した標準物質との比較により定量化したレベルを用いて、435対239の質量対電荷比でイオン遷移を生じる前駆体をモニタリングすることにより達成する。0パーセントのROを、ビヒクルで前処置した動物の視床下部におけるROトレーサーのレベルとして算出し、これは非特異的および特異的結合の合計を表す(全ての受容体はトレーサーに利用可能である)。SB612111、陽性対照群の非常に高い静脈内用量で前処置した動物における低いレベルのROトレーサーは非特異的結合を表し、100%占有の値が割り当てられる(受容体はトレーサーに利用可能ではない)。試験化合物で処置した群由来の視床下部に見出されるROトレーサーのレベルは、これらの2点間で線形補間して、試験化合物についてのROを算出する。
【0189】
例示した化合物を上記のように実質的に試験し、ORL−1受容体において高い受容体占有を有することを見出す。例示した化合物についての受容体占有は、6時間後、3mg/kg用量について約40から約130%の間、または24時間後、3mg/kg用量について約20から約96%ROの間であることを見出す。実施例62、23および53の化合物についての受容体占有を、6時間後、3mg/kgについて上記のように実質的にアッセイし、それぞれ、104、80および83%ROを有することを見出す。このように、本発明の化合物は、有益なバイオアベイラビリティおよび標的ORL−1受容体に対するCNS内への侵入を有することが予想される。
【0190】
hERGチャネル活性
心臓におけるKチャネル伝導性の遮断は、QT−波延長の形態で心臓毒性に関連する。ヒトERG(hERG)Kチャネルについての例示したノシセプチン受容体アンタゴニストの親和性(K)を、周知の手順(例えば、Eur J Pharmacol.412(3):203−12,2001を参照のこと)に従って、hERGチャネルアンタゴニスト放射性リガンド[3H]アステミゾール(2nM最終アッセイ濃度)を用いるクローン化hERGを発現するHEK293細胞において測定する。[3H]アステミゾール結合アッセイを、標準的な手順に従って委託研究会社Cerep(Paris France)にて実施する。
【0191】
実施例62、23、および53を上記のように実質的にアッセイし、それぞれ、6.08、1.21、および8.6μMのKで、低い活性を有することを見出す。実施例62の化合物についてのCNSにおけるノシセプチン/ORL1受容体の80パーセントのRO(EC80RO)を生成するのに必要なインビボでの血漿濃度の比較は約41nMである。このように、ノシセプチン/ORL1受容体のインビボでの受容体占有における生理学的関連を生じるのに必要とされる濃度と、hERGK+チャネル活性に必要とされる濃度との間に大きな分離が存在する。従って、本発明の化合物の生理学的関連用量は、インビボでのhERG部位と実質的に相互作用すると予想されず、従って、QT延長に対する十分な効果を有さないと予想される。
【0192】
マウス(mFST)における強制水泳試験
mFSTを抗鬱作用についてインビボアッセイで規定する(Liら,J Pharmacol Exp Ther.319(1):254−9,2006)。既知の臨床的に有効な抗鬱剤(選択的セロトニン再摂取阻害剤および/または三環系抗鬱剤)で処置したマウスは、絶望に関連する行動である、水タンクに置かれた後、短い時間の不動行動を示す。mFSTを使用して、以前に公開された方法に従って新規ノシセプチン/ORL1アンタゴニストの潜在的な抗鬱剤様活性を評価した(Liら,J.Pharmacol Exp Ther.319(1):254−9,2006)。つまり、25〜30gの間の体重のオスのNIH−Swissマウス(Harlan Sprague−Dawley,Indianapolis,IN)を使用する。群で収容した動物を動物施設からそれらの動物独自のケージ内の試験領域に移動させ、試験前に少なくとも1時間、新しい環境に順応させる。代替として、オスの129S6野生型およびノシセプチン/ORL1受容体ノックアウトマウスを使用して、化合物に対する反応の依存性がノシセプチン/ORL1受容体依存性であることを確認した。使用の日に、20%カプチソール、25mMリン酸緩衝液、pH2.0中で全ての化合物を調製する。6cmの水(22〜25℃)で満たした円筒に6分間、マウスを置く。試験時間の6分のうちの最後の4分間、不動の時間を記録する。浮いている状態で動かないまたは水の上に頭を維持するのに必要がある動きのみをする場合、マウスを不動と記録する。
【0193】
代表的な化合物を上記のように実質的に試験し、野生型マウスにおいて不動時間が顕著に減少することが見出される。実施例62、23、および53の化合物を上記のように実質的に試験し、それぞれ、不動時間の45%、58%、および54%の減少の最大効果で、それぞれ、24.9、9.5、および12.9mg/KgのED60を有することが見出される。従って、本発明の化合物はインビボにおいて抗鬱活性を有すると考えられる。
【0194】
さらに、本発明の化合物は、高い効果を生じさせるために他の既知の抗鬱剤と併用して使用できる。実施例62の化合物を10mg/kgフルオキセチンと併用して上記のように実質的に試験し、フルオキセチンまたは実施例62の化合物単独のいずれかよりも不動時間をさらに顕著に減少させることが見出される。以下の表4を参照のこと。
【0195】
【表14】

【0196】
なおさらに、ORL−1ノックアウトマウス、ORL−1受容体を欠失するように操作したマウスの系統を用いる場合、短い不動時間のこれらの効果は観察されず、この効果は実際にORL−1受容体によって媒介されることを示す。研究の第1のアームにおいて野生型マウスおよび研究の第2のアームにおいてORL−1ノックアウトマウスを用いて実施例62を上記のように実質的に試験し、野生型マウスにおいて不動時間が顕著に減少することが見出されるが、ノックアウトマウスにおいて効果は示されない。ノルエピネフリン再摂取阻害抗鬱剤、イミプリミンを陽性対照として実施し、同等の程度まで野生型およびノックアウトマウスの両方において不動時間を減少させることが見出され、ノルエピネフリン再摂取機構によって媒介される行動はノックアウトマウス系統において未変化であることを示す。
【0197】
マウスにおける空腹により誘発される過食症の遮断
齧歯動物における空腹により誘発される過食症の遮断は、過食症障害について承認されているモデルである(Hollopeter G,Erickson JC,Seeley RJ,Marsh DJ,Palmiter RD.Response of neuropeptide Y−deficient mice to feeding effectors.Regul Pept.1998 Sep 25;75−76:383−9)。全ての実験を、129S6近交系バックグラウンドにおける未処置の12週齢オスの野生型およびORLノックアウトマウスで実施する。試験を開始する前にマウスを個々に最低で3日間収容して、群から個々の収容の変化に起因するストレスの効果を評価する。3匹のマウス/遺伝子型を試験日に各処置群に無作為に割り当てる。絶食前の体重測定を行い、次いで食物をケージから一晩取り除く。マウスを約15時間絶食させる。翌朝、食物にアクセスする前の30分、強制経口投与により、マウスに3用量の薬物またはビヒクルのうちの1用量を与える。薬物は25mMリン酸バッファー、pH2.0に溶解した20%カプチソールに溶解する。体重の測定を薬物治療の直前または食物へのアクセスを戻してから24時間後に行う。遺伝子型と関係なく全てのマウスは、一晩絶食後、約5〜10%の体重を減少させることは注目すべきことである。食物摂取の測定を、1時間での残っている食物の重量によって示すように、食物へのアクセスから1時間後に記録する。測定した食物摂取は明期の間であり、その間の時間、マウスは典型的に休息し、通常、食べないことは留意すべきである。最初の試験後、マウスを無制限に食物にアクセスさせて1週間休息させる。その週の休息の後、表5に示すラテン方格法に従ってマウスを再試験する。
【0198】
【表15】

【0199】
代表的な化合物を上記のように実質的に試験し、マウスにおいて空腹により誘発される過食症を顕著に減少させることが見出される。実施例62、23、および53を上記のように実質的にアッセイし、空腹により誘発される過食症が顕著に遮断されることが見出される。その効果はORL−1ノックアウトマウス系統において観察されず、その効果がORL−1受容体を介して媒介されることが実証される。5−HT2Cアゴニスト、mCPPをポジティブ対照として使用し、野生型マウスおよびORL−1ノックアウトマウスの両方において同等に空腹により誘発される過食症が顕著に減少することが見出される。このように、本発明の化合物は、過体重および/または肥満の治療ならびに/あるいは例えば過食症の治療としての体重維持に有用であることが予想される。
【0200】
ラット硬膜血漿タンパク質浸出(PPE)モデル−経口投与プロトコル
全ての試験化合物を、25mMリン酸バッファー(pH2.0)中の20%カプチソールを含有するビヒクル溶液中に調製する。陽性対照化合物、スマトリプタンを生理食塩水中に溶解する。一晩絶食させたオスのSprague−Dawleyラット(Harlan Laboratoriesから提供)(250〜350g)に、試験化合物、スマトリプタンまたはビヒクルを強制経口投与(2mL/kg)により投与する。投与の50分後、ラットをネンブタール(60mg/kg、ip)で麻酔し、−2.5mmにて設定した切歯棒を用いて定位フレームに置く。正中矢状頭皮切開の後、頭蓋骨を貫通して2対の両側穴をドリルで開ける(3.2mm後方、1.8および3.8mm側方、全ての座標はブレグマを参照とする)。チップを除いて防護される1対のステンレス鋼刺激電極(Rhodes Medical Systems Inc)を、両方の脳半休において穴を通して硬膜の下9.2mmの深さまで下げる。
【0201】
フルオロセインイソチオシアネート(FITC)色素で標識したウシ血清アルブミン(BSA)(FITC−BSA)(20mg/kg、iv)の溶液を、タンパク質溢出のためのマーカーとして機能する三叉神経節の電気刺激の2分前に大腿静脈内に注入する。試験化合物またはビヒクルの投与から60分後、左側三叉神経節を、1.0mA(5Hz、5分間)の電流の強さで5分間電気刺激する。
【0202】
刺激の5分後、ラットを、40mLの生理食塩水での瀉血により殺傷し、血管外の残余のFITC/BSAもリンスする。頭蓋骨の上部を取り除いて硬膜を回収する。その膜サンプルを両方の脳半休から取り除き、水でリンスし、顕微鏡スライド上で平らに広げる。スライド保湿器でスライドを15分間乾燥させ、70%グリセロール/水溶液でカバーガラスをかける。
【0203】
格子モノクロメーターおよび分光光度計を備えた蛍光顕微鏡を使用して、各硬膜サンプルのFITC−BSA色素の量を定量する。その顕微鏡はパーソナルコンピューターと接続された電動ステージを備える。これはステージのコンピューター制御された動きを促進し、各硬膜サンプルの25点(500μmステップ)において蛍光を測定する。三叉神経節の電気刺激によって誘発される溢出は同側作用である(すなわち、三叉神経節が刺激される硬膜側のみで生じる)。これにより、硬膜の残りの(刺激されていない)半分を対照として使用することが可能となる。溢出の割合(すなわち、刺激されていない側に対して刺激された側からの硬膜における溢出の量の割合)を算出する。ビヒクル単独または効果のない用量の試験化合物を投与した動物は約2の溢出の割合を有するが、全体で有効な処置は約1の割合を生じる。
【0204】
標準誤差(±SEM)を用いて平均値として結果を示す。ANOVAを利用して全ての統計的評価を実施し、続いてダネット法(Dunnett’s Method)により対照群と比較する。統計的有意性はp<0.05の場合とみなす。JMP統計的分析ソフトウェア(SAS Research Institute,バージョン6.0.2)を利用して統計的分析を実施する。
【0205】
実施例62の化合物を上記のように実質的に試験し、用量依存的に溢出を効果的に遮断することが見出される(以下の表5を参照のこと)。結果として、本発明の化合物は片頭痛の治療に有用であることが予想される。
【表16】

【0206】
反応性代謝物生成に対する安定性
先行文献は、反応性代謝物生成と、特異的薬物反応(IDR)として知られている臨床毒性との間の相関関係を示唆しているが、直接的な因果効果は規定されていない。反応性代謝物が臨床IDRにおいて役割を果たし得ると仮定すれば、酸化による生体内活性化の潜在性を最小化することが、そのような反応性と関連する構造的特徴を含む化合物の全体の安全性プロファイルを改善する手段として提案される(Baillie,Thomas A.,Approaches to the Assessment of Stable and Chemically Reactive Drug Metabolites in Early Clinical Trials,Chemical Research in Toxicology,vol 22(2)2009を参照のこと)。この目的を達成するために、本発明の代表的な化合物および関連化合物を、チエニル部分の酸化による生体内活性化の潜在性を理解するために、内因性求核試薬としてグルタチオンを用いる、ラット肝臓ミクロソーム捕捉アッセイを用いてスクリーニングする。試験した化合物の中で、R2aおよびR2bが水素であるものが、チエニル部分の酸化を示唆するグルタチオンコンジュゲート形成の証拠を示すことが見出される。試験した化合物の中で、R2aおよびR2bがフルオロであるものは、グルタチオンコンジュゲート形成を示さないことが見出される(以下の表3を参照のこと)。分子を含有するgem−ジフルオロに対するグルタチオンコンジュゲート形成の欠如は、gem−ジフルオロ置換が、このアッセイにおいて試験される生体内活性化についての内在する化学的性質を低下させることを示唆する。
【0207】
【表17】

【0208】
いかなる製剤も含まずに直接本発明の方法に利用される化合物を投与することも可能であるが、その化合物は通常、活性成分として、式Iの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩と、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体、希釈剤および/または賦形剤とを含む医薬組成物の形態で投与される。それらの組成物は、経口、鼻腔内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および肺を含む種々の経路によって投与されてもよい。そのような医薬組成物およびそれらを調製するためのプロセスは当該技術分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(University of the Sciences in Philadelphia,ed.,21sted.,Lippincott Williams & Wilkins Co.,2005を参照のこと)
【0209】
組成物は好ましくは単位投薬形態で製剤化され、各投薬量は約0.1〜約500mg、より通常は約1.0〜約200mg、例えば約5〜50mgの間の活性成分を含む。用語「単位投薬形態」とは、ヒト被験体および他の動物に対する単一の投薬として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、少なくとも1つの適切な医薬的に許容可能な担体、希釈剤および/または賦形剤と関連して、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む。
【0210】
式Iの化合物は一般に、広範囲の投薬範囲にわたって有効である。例えば、通常、1日当たりの用量は、約0.01〜約50mg/kg、より通常は約0.05〜5.0mg/kg、および例えば0.1から1.0mg/kg体重の範囲内である。一部の例において、上述の範囲の下限以下の投薬レベルがより適切であってもよく、一方、他の場合において、さらに多くの用量が、あらゆる有害な副作用を引き起こさずに利用されてもよく、従って、上述の投薬範囲は本発明の範囲を限定すると決して意図されるわけではない。実際に投与される化合物の量は、治療される病態、選択される投与経路、投与される実際の化合物(複数も含む)、個々の患者の年齢、体重および反応、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況を考慮して医師によって決定されることは理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】

(式中、
は、フルオロまたはクロロであり、
2aおよびR2bは、各々水素であるか、または各々フルオロであり、
は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または(C−C)アルコキシメチルであり、
は、フルオロ、クロロ、シアノ、シアノメチル、(C−C)アルキル、シクロプロピル、ヒドロキシメチル、メトキシ、シクロプロピルメトキシ、アミノカルボニルメトキシ、(C−C)アルコキシメチル、シクロプロピルオキシメチル、シクロプロピルメトキシメチル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、アミノカルボニルオキシメチル、メチルアミノカルボニルオキシメチル、ジメチルアミノカルボニルオキシメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、−CH−NR、ヒドロキシイミン、メトキシイミン、モルホリン−4−イル、モルホリン−4−イルメチル、Ar、−CHAr、テトラヒドロフラン−2−イル、3−オキソモルホリン−4−イルメチル、2−オキソピロリジン−1−イルメチル、および2−オキソピペリジン−1−イルメチルからなる群より選択され、
は、水素、C−Cアルキル、シアノメチル、−C(O)CH、またはアミノカルボニルメチルであり、
は、水素またはメチルであり、
Arは、イミジゾール−1−イル、イミジゾール−2−イル、2−メチルイミジゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、イソオキサゾール−3−イル、オキサゾール−5−イル、および3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルからなる群より選択される部分である)
またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
がクロロである、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
2aおよびR2bが各々フルオロである、請求項1または2に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項4】
がフルオロであり、R2aおよびR2bが各々水素である、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項5】
がメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項6】
がフルオロ、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、またはピラゾール−1−イルメチルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項7】
[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノール、
2−クロロ−4,4−ジフルオロ−1’−[[3−メチル−1−[3−(ピラゾール−1−イルメチル)−2−ピリジル]ピラゾール−4−イル]メチル]スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]、または
[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’―ピペリジン]−1’−イル)メチル]−1−(3−フルオロ−2−ピリジル)ピラゾール−3−イル]メタノール
である、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項8】
[2−[4−[(2−クロロ−4,4−ジフルオロ−スピロ[5H−チエノ[2,3−c]ピラン−7,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]−3−メチル−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジル]メタノールである、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの追加の治療成分をさらに含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記追加の治療成分は、SSRI抗鬱剤である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
治療に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項13】
ヒトにおける肥満または過体重の治療に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項14】
片頭痛の治療に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項15】
鬱病の治療に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬的に許容可能な塩。

【公表番号】特表2013−510859(P2013−510859A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538935(P2012−538935)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/056180
【国際公開番号】WO2011/060035
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】