説明

P2X7調節因子としてのイソチアゾリジン1,1−ジオキシドおよびテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン1,1−ジオキシド誘導体

本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。ここで、式において、Rは、任意に置換されているC1−4アルキルを表し;Xは、nが1または2を表す−(CR1011−を表し;R、R、およびRは、独立に、H、F、またはMeを表し;R、R、R、R、およびRは、独立に、水素、ハロゲン、またはシアノ;または任意に置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、もしくはC3−6シクロアルキルを表し、但し、RおよびRの少なくとも一方が、水素以外の基を表す。この化合物または塩は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能であると考えられる。本発明は、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、関節リウマチ、または骨関節炎の治療または予防への、この化合物または塩の使用も提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(「P2X7受容体拮抗剤」)イソチアゾリジン1,1−ジオキシド誘導体またはテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン1,1−ジオキシド誘導体;それらの調製方法;それらを含む医薬組成物;およびそのような化合物の療法における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
P2X7受容体は、造血系の細胞、例えば、マクロファージ、ミクログリア、マスト細胞、およびリンパ球(TおよびB)に発現されるリガンド開口型イオンチャネルであり(例えば、Collo, et al. Neuropharmacology, Vol.36, pp1277-1283 (1997)を参照)、細胞外ヌクレオチド、特にアデノシン三リン酸(ATP)により活性化される。P2X7受容体の活性化は、巨細胞形成、脱顆粒、細胞傷害性細胞死、CD62L脱落、細胞増殖の制御、ならびにインターロイキン1β(IL−1β)(例えば、Ferrari, et al., J. Immunol., Vol.176, pp3877-3883 (2006))、インターロイキン18(IL−18)、および腫瘍壊死因子α(TNFα)(例えば、Hide, et al. Journal of Neurochemistry, Vol.75, pp965-972 (2000))などの炎症促進性サイトカインの放出への関与が示唆されてきた。P2X7受容体は、抗原提示細胞、ケラチノサイト、耳下腺細胞、肝細胞、赤血球、赤白血病細胞、単球、線維芽細胞、骨髄細胞、ニューロン、および腎メサンギウム細胞にも局在化している。さらに、P2X7受容体は、中枢および末梢神経系中のシナプス前終末により発現され、グリア細胞中のグルタメート放出を媒介することが示されている(Anderson, C. et al. Drug. Dev. Res., Vol.50, page 92 (2000))。
【0003】
免疫系の主要な細胞へのP2X7受容体の局在化は、それらの細胞から重要な炎症性メディエーターを放出するその能力と相まって、疼痛および神経変性疾患を含む広範囲の疾病の治療におけるP2X7受容体拮抗剤の潜在的な役割を示唆している。最近の前臨床インビボ試験が、炎症性疼痛および神経因性疼痛の両方にP2X7受容体が関与していることを直接示している一方で(Dell’Antonio et al., Neurosci. Lett., Vol.327, pp87-90 (2002),. Chessell, IP., et al., Pain, Vol.114, pp386-396 (2005), Honore et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., Vol.319, p1376-1385 (2006))、P2X7受容体が皮質ニューロンのミクログリア細胞誘発性の死を媒介するというインビトロの証拠もある(Skaper, S.D., et al., Glia, Vol.54, p234-242 (2006))。また、アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルのβアミロイドプラーク周囲にP2X7受容体の発現増加が観察された(Parvathenani, L. et al. J. Biol. Chem., Vol.278(15), pp13309-13317 (2003))。
【0004】
国際公開第98/13355号(Guilford Pharma Inc)は、FKBP型イムノフィリンに対する親和性を有する神経栄養性化合物として有用であると主張されている一連の複素環エステルまたはアミド化合物および、例えば、ペプチジル−プロリルイソメラ−ゼまたはロタマ−ゼ酵素活性の阻害剤としてのそれらの使用を記載している。
【0005】
本発明は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(「P2X7受容体拮抗剤」)化合物を提供する。
【0006】
本発明の第1の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される:
【化1】

【0007】
式中、
は、任意に、1、2、または3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されているC1−4アルキルを表し;
Xは−(CR1011−を表し;
10およびR11は、独立に、水素、ハロゲン、またはC1−6アルキルを表すが;前記C1−6アルキル基は、任意に、1、2、または3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてもよく;
nは、1または2の整数を表すが、但し、nが2を表す場合Rがイソブチル以外の基を表し;
、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表し、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基のいずれも、任意に、1、2、または3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてもよく、
但し、RおよびRの少なくとも一方が、水素以外の基を表す。
【0008】
本明細書では、「アルキル」という用語(基または基の一部として使用される場合)は、特定の数の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を意味する。例えば、C1−6アルキルは、少なくとも1つ、最大で6つの炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を意味する。アルキルおよびC1−6アルキルの例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、およびイソヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
「C3−6シクロアルキル」基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルでよい。
【0010】
「ハロゲン」という用語は、本明細書において、特記されない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である基を意味するように使用される。
【0011】
本発明が、基または特徴(例えば、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X、および/またはnの)の特別な、好ましい、好適な、または他の実施形態の可能な組み合わせ全てを網羅および開示し、例えば、実施形態が本明細書に記載されている異なる基または特徴の実施形態の可能な組み合わせ全てを網羅および開示することが理解できよう。
【0012】
ある特別な実施形態において、Xは、−CH−または(CH−を表す。好ましくは、Xは−CH−を表す。
【0013】
好ましくは、nは1を表す。
【0014】
ある特別な実施形態において、Rは、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、またはイソブチル)を表す。
【0015】
好ましくは、Rは、C1−3アルキル、特にメチル、エチル、またはイソプロピルを表す。より好ましくは、Rは、メチルまたはエチルを表す。
【0016】
nが2を表す場合、ある特別な実施形態において、RはC1−3アルキル(例えば、メチル、エチル、またはイソプロピル)であり、より詳細にはメチルまたはエチルであり、さらにより詳細にはメチルである。
【0017】
ある特別な実施形態において、R、R、およびRは、それぞれ水素を表す。
【0018】
ある特別な実施形態において、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。
【0019】
ある特別な実施形態において、Rは、水素またはハロゲン(例えば、フッ素または塩素)を表す。
【0020】
ある特別な実施形態において、Rは、水素またはハロゲン(例えば、フッ素または塩素)を表す。
【0021】
ある特別な実施形態において、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されているC1−6アルキル(例えば−CF)を表す。
【0022】
ある特別な実施形態において、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。
【0023】
好ましくは、
は、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表し;
は、水素、フッ素、または塩素を表し;
は、水素、フッ素、または塩素を表し;
は、水素、フッ素、塩素、または−CFを表し;
は、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表すが;
但し、RおよびRの少なくとも一方が、水素以外の基を表す。
【0024】
好ましくは、R、R、R、R、およびRは、本明細書に開示される1つ以上の実施例に定義されるとおりである。
【0025】
より好ましくは、
は塩素を表し;RおよびRおよびRは水素を表し;Rは塩素を表す;または、
は塩素を表し;RおよびRおよびRは水素を表し;Rはフッ素を表す;または、
は塩素を表し;RおよびRはフッ素を表し;RおよびRは水素を表す;または
、R、およびRは水素を表し;Rは−CFを表し;Rは塩素を表す。
【0026】
本発明の特別な実施形態において、以下の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0027】
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E1);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E2);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E3);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E4);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E5);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E6);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E7);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E8);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E9);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E10);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E11);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E12);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E13);
2−エチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E14);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E15);
2−メチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E16);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E17);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E18);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E19);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E20);
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E21);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E22);
2−(1−メチルエチル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E23);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E24);
2−(2−メチルプロピル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E25);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E26);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E27);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E28);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E29);
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E30);
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E31);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E32);
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E33);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E34);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E35);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E36);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E37);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E38);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E39);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E40);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E41);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E42);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E43);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E44);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E45);
2−(1−メチルエチル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E46);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E47);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E48);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E49);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E50);
2−エチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E51);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E52);または
2−メチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E53)。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、以下の式(I)の化合物(nが1を表しXが−CH−を表す)またはその薬学的に許容できる塩が提供される。
【0029】
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E1);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E2);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E3);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E4);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E5);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E6);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E7);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E8);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E9);
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E10);
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E11);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E12);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E13);
2−エチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E14);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E15);
2−メチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E16);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E17);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E18);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E19);
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E20);
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E21);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E22);
2−(1−メチルエチル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E23);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E24);
2−(2−メチルプロピル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E25);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E26);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E27);
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E28);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E29);
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E30);
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E31);または
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E32)。
【0030】
特別な実施形態において、上記の化合物(nが1を表しXが−CH−を表す、例えば実施例1から32)またはその薬学的に許容できる塩は、L−ホモシスチン(例えば実施例のセクションを参照)から調製される。したがって、上記の化合物または塩(nが1を表しXが−CH−を表す)は、特別な実施形態において、L−ホモシスチン
【化2】

から調製される、またはL−ホモシスチンから得られる形態にありうる。
【0031】
本発明の特別な態様は、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する:
【化3】

【0032】
上式において、Rは、任意に、1、2、または3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されているC1−4アルキルを表し;
X、n、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩に対して本明細書で定義したとおりであり;
式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩のモル濃度で50%超(例えば、70%超、特には95%超など90%超)が、Rに結合した環炭素原子において、示された立体化学を有する。
【0033】
特別な実施形態において、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、Rに結合した環炭素原子における示された立体化学に関して、70%を超える(例えば80%を超える、特には90%を超える)鏡像体過剰率を有する。
【0034】
特別な実施形態において、式(IA)の化合物またはその塩では、Rが、置換されていないC1−3アルキルなど置換されていないC1−4アルキルを表し;より詳細にはメチル、エチル、またはイソプロピル;最も詳細にはメチルまたはエチルを表す。
【0035】
特別な実施形態において、式(IA)の化合物またはその塩では、R、R、およびRが、それぞれ水素を表す。
【0036】
式(I)の化合物またはその塩に関して本明細書に開示される本発明の全ての実施形態、例えば特別な、または好ましい特徴または態様(例えば、本発明の化合物もしくはその塩、および/または医薬組成物、および/または使用または治療の方法またはその組み合わせなどの実施形態)は、適切または可能な程度、用語に関して必要な全変更を施した上で、式(IA)の化合物またはその塩に関して本明細書でも開示および企図される。
【0037】
本発明の別な特別な態様は、Rに結合した環炭素原子において、実質的にラセミ(例えばラセミ)である本明細書に開示される式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0038】
P2X7の拮抗剤は、種々の疼痛病態(例えば、神経因性疼痛、慢性炎症性疼痛、または内臓痛)、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防、治療、または寛解に有用であろう。P2X7拮抗剤は、関節リウマチおよび炎症性腸疾患の管理において有用な治療薬となることがある。
【0039】
P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(「P2X7受容体拮抗剤」)本発明の化合物または塩は、P2X7受容体機能の競合的拮抗剤、逆作動剤、または負のアロステリック調節因子のことがある。
【0040】
式(I)の特定の化合物は、ある場合には、その酸付加塩を形成することがある。医学における使用には、式(I)の化合物を塩として使用してよく、その場合塩は薬学的に許容できなくてはならないことが認識されるであろう。薬学的に許容できる塩には、Berge, Bighley and Monkhouse , J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものがある。
【0041】
式(I)の化合物が式(I)の塩基性化合物である場合、一実施形態において、無機酸または有機酸などの薬学的に許容できる酸から薬学的に許容できる塩が形成される。そのような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。一実施形態において、薬学的に許容できる酸は、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、エタンスルホン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、メタンスルホン酸、硝酸、リン酸、硫酸、またはp−トルエンスルホン酸である。
【0042】
薬学的に許容できる塩の例には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、塩化水素酸、硫酸、ビスメチレンサリチル酸(bismethylenesalicylic)、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸、および硝酸から形成されるものがある。
【0043】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、結晶形態にも、非結晶形態にも調製でき(例えば、結晶形態またはアモルファス固体形態)、特に結晶の場合、例えば水和物のように任意に溶媒和されていてよい。本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の溶媒和物(例えば水和物)、例えば化学量論的溶媒和物(例えば水和物);および変動する量の溶媒(例えば水)を含む化合物または塩を含む。
【0044】
式(I)の特定の化合物またはその塩は、立体異性形態(例えばジアステレオマーおよびエンチオマー)で存在することができるが、本発明は、これらの立体異性形態のそれぞれおよびラセミ体を含むそれらの混合物に及ぶ。異なる立体異性形態は、通常の方法により互いに分離できるが、立体特異的合成または不斉合成によりいかなる異性体を得ることもできる。本発明は、互変異性形態およびそれらの混合物にも及ぶ。
【0045】
主題の発明は、同位体標識された化合物も含むが、それらは、1つ以上の原子が、天然に最も普通に存在する原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を持つ原子により置換されている事実を除けば、式(I)に記載の化合物またはその塩と同じである。本発明の化合物または塩に取り入れることのできる同位体の例としては、3H、11C、14C、18F、123I、および125Iなど、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体が挙げられる。
【0046】
上述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物および前記化合物の薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。同位体標識された本発明の化合物または塩、例えば3H、14Cなどの放射性同位体が取り込まれた化合物は、薬剤および/または基質組織分布アッセイ(drug and/or substrate tissue distribution assays)に有用な可能性がある。トリチウム化した、すなわち3H、および炭素14、すなわち14C、同位体は、例えば、調製の容易さ(場合による)および/または検出性のために任意に選択される。11Cおよび8F同位体は、PET(ポジトロン断層法)に有用なことがあり、125I同位体はSPECT(単一光子放出型コンピュータ断層撮影法)に有用なことがある。PETおよびSPECTは、脳のイメージングに有用なことがある。さらに、重水素、すなわち2Hなど、より重い同位体により置換すると、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大または投与要求量(dosage requirements)の低下などから生じる特定の効果が生じることがあり、そのためある状況では選択してもよい。本発明の式(I)の同位体標識された化合物またはその塩は、一実施形態において、そしていくつかの場合において、同位体標識されていない試薬を利用可能な同位体標識されている試薬に替えることにより、スキームおよび/または以下の実施例中に開示される手順を実施して調製される。
【0047】
本発明のさらに特別な態様は、放射性同位元素により標識された化合物または塩ではない、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。特別な実施形態において、前記化合物または塩は、同位体標識された化合物または塩ではない。
【0048】
化合物の調製
【化4】

【0049】
変形体が本明細書に定義されているとおりである式(I)の化合物およびその薬学的に許容できる塩は、本発明のさらなる態様を構成する、以下に記載される方法により調製できる。
【0050】
本発明のさらなる態様によると、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を調製する方法は、以下に記載される工程(a)、(b)、または(c)を含み、前記化合物の薬学的に許容できる塩を調製する工程を任意に含む。
【0051】
(a)X、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRが先に定義されたとおりの、式(2)のカルボン酸(またはその活性化された誘導体)と、式(3)のアミンとのカップリング(スキーム1参照)。(2)および(3)の化合物は任意に保護される。
【0052】
式(2)の酸と式(3)のアミンのカップリングは、典型的には、DMFおよび/またはジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、例えば0℃から室温などの好適な温度で、活性化剤、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩またはポリマー担持カルボジイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)または1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)などと、任意に好適な塩、例えば第三アルキルアミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン)またはピリジンを使用するものである。別法としては、(2)と(3)のカップリングは、ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中で、室温などの好適な温度で、O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートおよび好適な第三アルキルアミン、例えばジイソプロピルアミンによる処理によっても実施できる。別法としては、式(2)の化合物を活性化された誘導体(例えば、酸クロライド、混合無水物、活性エステル(例えばO−アシルイソウレア))として利用してよく、そのような状況下では、プロセス(a)は、典型的には前記活性化誘導体のアミンによる処理を含む(Ogliaruso, M.A.; Wolfe, J.F. in The Chemistry of Functional Groups (Ed. Patai, S.) Suppl.B: The Chemistry of Acid Derivatives, Pt. 1 (John Wiley and Sons, 1979), pp442-8; Beckwith, A.L.J. in The Chemistry of Functional Groups (Ed. Patai, S.) Suppl.B: The Chemistry of Amides (Ed. Zabricky, J.)(John Wiley and Sons, 1970), pp 73 ff)。
【0053】
(b)保護されている式(I)の化合物の脱保護。保護基の例およびその除去手段は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts 'Protective Groups in Organic Synthesis' (Wiley-Interscience, 4th Ed. 2006)に見ることができる。
【0054】
(c)式(I)の化合物の、式(I)の他の化合物への相互変換。従来の相互変換手順の例としては、エピマー化、酸化、還元、アルキル化、芳香族置換、求核置換、アミドカップリング、およびエステル加水分解が挙げられる。
【0055】
スキーム1
【化5】

【0056】
式(2)の化合物を調製する代表的な方法は、以下のスキーム2〜3に示されている。これらの変換および/または類似の方法のいくつかは、化学文献、例えばG. Luisi & F. Pinnen, Arch.Pharm. (Weinheim) 326, 139-141 (1993); R.J.Cherney, et.al., J.Med.Chem., 47, 2981-2983, (2004)に記載されている。
【0057】
スキーム2
【化6】

【0058】
上式において、X、R、R、R、およびRは、先に定義されたとおりである。Pは、C1−6アルキルなど好適なカルボキシラート保護基を表す。Lは、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素)など好適な脱離基を表す。
【0059】
工程(i)(step(i))は、メタノールなどの好適な溶媒中で、0℃から室温などの好適な温度で、例えば塩化チオニルによる処理による、カルボン酸(4)(L−ホモシスチン)の対応するカルボン酸エステルとしての標準的な保護を典型的に含む。
【0060】
工程(ii)(step(ii))は、典型的には、0℃から室温などの好適な温度で、エタノールとクロロホルムとの混合物などの好適な溶媒中で、塩素などの試薬による化合物(5)の酸化と、それに次ぐトリエチルアミンなどの好適な塩基による処理をして化合物(6)を得る工程を含む。
【0061】
工程(iii)(step(iii))は、典型的には、室温から70℃などの好適な温度で、ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中での、炭酸カリウムなどの好適な塩基およびアルキルハライド(例えばヨウ化メチル)などのアルキル化剤(7)による化合物(6)の処理を含む。
【0062】
脱保護工程(iv)は、典型的には、テトラヒドロフランと水との混合物などの適切な溶媒中で室温などの好適な温度での適切な水酸化物塩(例えば水酸化リチウム)の使用など、カルボン酸エステル(8)を酸(2)に転化する標準的な手順を含む。
【0063】
スキーム3
【化7】

【0064】
上式において、X、R、R、R、およびRは、先に定義されたとおりである。Pは、tert−ブチルオキシカルボニルなどの好適なアミノ保護基を表し、Pは、C1−6アルキルなど好適なカルボキシラート保護基を表す。Lは、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素)など好適な脱離基を表す。
【0065】
工程(i)(step(i))は、典型的には、テトラヒドロフランなど好適な溶媒中で0℃から室温などの好適な温度での、例えばクロロギ酸エチルなど好適なクロロギ酸エステルおよびトリエチルアミンなど好適な塩基を利用する混合無水物の形成と、それに次ぐ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元剤を利用する還元により、カルボン酸(9)を対応するアルコール(10)へ還元する標準的な方法を含む。
【0066】
工程(ii)(step(ii))は、典型的には、0℃から室温など好適な温度で、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、チオ酢酸およびトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボキシラートなど好適なアゾジカルボキシラート試薬により化合物(10)を処理し、化合物(11)を得る工程を含む。
【0067】
工程(iii)(step(iii))は、典型的には、3℃などの好適な温度で、水などの好適な溶媒中での、塩素などの好適な試薬による化合物(11)の酸化を含む。
【0068】
(12)の脱保護および環化による(13)の形成、工程(iv)(step(iv))は、典型的には、テトラヒドロフランとジオキサンとの混合物など適切な溶媒中で0℃などの好適な温度で、適切な酸(例えば塩化水素酸)の使用など、カルバマート保護アミノ基を脱保護し、次いでクロロホルムなど好適な溶媒中で−5℃から室温など好適な温度で、トリエチルアミンなどの好適な塩基により処理する標準的な手順を含む。
【0069】
工程(v)(step(v))は、典型的には、室温から70℃など好適な温度で、ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中で、炭酸カリウムなど好適な塩基およびアルキルハライド(例えばヨウ化メチル)などのアルキル化剤(7)による化合物(13)の処理を含む。
【0070】
脱保護工程(vi)(step(vi))は、典型的には、ジクロロメタンなど適切な溶媒中で0℃から室温など好適な温度で、適切な酸(例えばトリフルオロ酢酸)の使用など、カルボン酸エステル(14)を酸(2)に転化する標準的な手順を含む。
【0071】
一般式(3)、(4)、(7)、および(9)の化合物は、典型的には、市販源から入手可能か、化学文献に記載されている方法(または類似の反応)を利用して当業者により調製可能である。
【0072】
関連する場合、薬学的に許容できる塩は、適切な酸または酸誘導体との反応により調製できる。
【0073】
臨床適応、医薬組成物、および用量
本発明の化合物または薬学的に許容できる塩は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能(「P2X7受容体拮抗剤」)なので、それらは、急性疼痛、慢性疼痛、慢性関節痛、筋骨格痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、ガンに関連する疼痛、偏頭痛に関連する疼痛、緊張性頭痛または群発頭痛、機能性腸障害に関連する疼痛、腰痛および/または頸部痛、捻挫および/または筋違えに関連する疼痛、交感神経依存性疼痛;筋炎、インフルエンザまたは通常の風邪など他のウイルス感染症に関連する疼痛、リウマチ熱に関連する疼痛、心筋虚血に関連する疼痛、術後痛、ガン化学療法、頭痛、歯痛、または月経困難症などの疼痛の治療に有用であろうと思われる。
【0074】
慢性関節痛病態は、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎(強直性脊椎炎)、痛風関節炎、または若年性関節炎のことがある。
【0075】
炎症性疼痛病態は、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎(強直性脊椎炎)、または線維筋痛症のことがある。
【0076】
特に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、関節リウマチまたは骨関節炎の疼痛(例えば炎症性疼痛)など、関節の疼痛(例えば炎症性疼痛)の治療または予防(prevention)(治療または予防(prophylaxis))に有用なことがある。
【0077】
機能性腸障害に関連した疼痛としては、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、および過敏性腸症候群が挙げられる。
【0078】
神経因性疼痛病態は、糖尿病性神経障害(例えば、有痛性糖尿病性神経障害)、座骨神経痛、非特異的腰痛、三叉神経痛、多発性硬化症痛、線維筋痛症、HIV関連神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、もしくは腰部神経根障害;または、物理的外傷、切断、幻肢症候群、脊髄手術、ガン、毒素、または慢性炎症状態から生じる疼痛のことがある。或いは、神経因性疼痛病態は、「ピンと針」などの通常無痛の感覚に関連した疼痛(錯感覚および/または異常感覚)、接触への感受性増大(知覚過敏)、無害な刺激の後の痛みの感覚(動的、静的、温感、または冷感アロディニア)、有害な刺激への感受性増大(温、冷、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後に持続する痛みの感覚(痛覚異常過敏)、または選択的な感覚経路の欠如または欠損(痛覚鈍麻)のことがある。
【0079】
急性疼痛病態は、手術後の疼痛または月経困難症(例えば原発性月経困難症)のことがある。
【0080】
本発明の化合物または塩により治療が可能であろう他の病態としては、発熱、炎症、免疫疾患、血小板機能異常(例えば閉塞性血管病)、インポテンツまたは勃起不全;異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患;シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の血液動態副作用、心臓血管疾患;神経変性疾患および神経変性、外傷後の神経変性、耳鳴り、オピオイド(例えばモルヒネ)、CNS(中枢神経系)抑制薬(例えばエタノール)、精神刺激剤(例えばコカイン)またはニコチンなどの依存性を誘発する薬剤への依存;1型糖尿病の合併症、腎機能障害、肝機能障害(例えば、肝炎、肝硬変)、胃腸機能障害(例えば下痢)、結腸ガン、過活動膀胱、および切迫性尿失禁が挙げられる。鬱病およびアルコール依存症も、本発明の化合物または塩により治療できることがある。
【0081】
炎症および前記炎症に関連する炎症状態としては、関節炎(特に、関節リウマチまたは骨関節炎)、皮膚病態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、乾癬)、髄膜炎、眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼組織への急性損傷(例えば結膜炎)、炎症性肺疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD、気管支炎および/または肺気腫を含む)、または気道過敏症);消化管疾患(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎(atopic gastritis)、バリアロフォルメ胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、または胃食道逆流症);臓器移植および炎症成分による他の病態、例えば、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群が挙げられる。炎症および前記炎症に関連する炎症状態は、特に関節炎(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)のことがある。
【0082】
免疫疾患としては、自己免疫疾患、免疫不全疾患、または臓器移植が挙げられる。
【0083】
異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患としてはは、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病、骨溶解、骨転移を伴う、または伴わない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、骨関節炎、骨痛、骨減少症、ガン性悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に、尿路結石症)、固形ガン、痛風、および強直性脊椎炎、腱炎、および滑液包炎が挙げられる。
【0084】
異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患は、本発明の化合物または薬学的に許容できる塩による考えられる治療には、特に関節リウマチまたは骨関節炎のことがある。
【0085】
心臓血管疾患としては、高血圧または心筋虚血;アテローム性動脈硬化;機能性または有機的(functional or organic)静脈不全;静脈瘤療法;痔;および動脈圧の著しい低下に関連するショック状態(例えば、敗血症ショック)が挙げられる。
【0086】
神経変性疾患としては、認知症、特に変性認知症(老人性認知症、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または運動ニューロン病;特にはアルツハイマー病);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;外傷;感染症および関連した病態(HIV感染、髄膜炎、および帯状疱疹を含む);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏;および、例えば加齢に伴う軽度認知障害、特に加齢関連性記憶障害が挙げられる。
【0087】
例えば、式(I)の化合物またはその塩により治療されるべき神経変性疾患は、例えば、変性認知症(特にアルツハイマー病)、血管性認知症(特に多発脳梗塞性認知症)、または軽度認知障害(MCI)、例えば、加齢関連性記憶障害などの加齢に伴うMCIのことがある。
【0088】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、神経保護にも有用であり、脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳障害、脊髄損傷などの外傷後の神経変性の治療にも有用であるかもしれない。
【0089】
本発明の化合物または薬学的に許容できる塩は、悪性細胞成長および/または転移、および筋芽細胞白血病(myoblastic leukaemia)の治療にも有用であるかもしれない。
【0090】
1型糖尿病の合併症としては、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性、緑内障、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病、およびサルコイドーシスが挙げられる。
【0091】
腎機能障害としては、腎炎、糸球体腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、および腎炎症候群が挙げられる。
【0092】
別様に明白に述べられない限り、治療への言及が、確立された症状の治療および予防的治療の両方を含むことが理解できよう。
【0093】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、ヒトまたは動物用の医薬品に使用するための、および/または療法に利用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0094】
本発明の他の態様によると、発明者らは、ヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの、P2X7受容体に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)の治療または予防(例えば治療)に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0095】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、P2X7受容体に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0096】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、疼痛、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患(より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0097】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛(例えば、関節の炎症性疼痛などの疼痛(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎))を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0098】
本発明のさらなる態様によると、発明者らは、アルツハイマー病を患っている被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0099】
本発明の他の態様によると、発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトのP2X7受容体の作用に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛などの疼痛)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0100】
本発明の他の態様によると、発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの疼痛(例えば、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛)、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患(より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0101】
本発明の他の態様によると、発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛(特に、炎症性疼痛または神経因性疼痛;関節リウマチまたは骨関節炎などの関節の炎症性疼痛など)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0102】
本発明の一実施形態において、発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトのアルツハイマー病の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0103】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を、ヒトおよび/または他の哺乳動物の治療に使用するために、製薬の慣例に従い任意に医薬組成物として処方することもできる。したがって、本発明の他の態様において、ヒトまたは動物用の医薬としての使用向けの式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0104】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を療法に使用するためには、製薬の慣例に従い、通常医薬組成物に処方されるであろう。本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩および薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0105】
前記医薬組成物は、本明細書に記載されるとおり、治療の方法、使用、または治療または予防に使用することができる。
【0106】
本発明の医薬組成物は、例えば室温および/または大気圧で、混合により調製できるが、通常、経口、非経口、または直腸投与向けである。それ自体、医薬組成物は、錠剤、カプセル、経口液体調合物、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成可能な粉末、注射用もしくは注入用の溶液もしくは懸濁液、または座薬の形態でよい。
【0107】
経口投与可能な医薬組成物が一般的に好ましい。
【0108】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位投与量形態(unit dose form)でよく、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポビドン)、フィラー(例えば、ラクトースおよび/またはミクロクリスタリンセルロース)、潤沢剤、例えば打錠滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウムなどの錠剤崩壊剤)、および/または許容できる湿潤剤などの1種以上の賦形剤を含んでよい。例えば製薬の慣例に知られている方法に従い、錠剤をコーティングしてよい。
【0109】
経口液体調合物は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、またはエリクシルの形態でよく、水または他の好適にビヒクルにより使用前に再構成するための乾燥した製品の形態でもよい。そのような液体調合物は、懸濁剤(複数可)、乳化剤(複数可)、非水性ビヒクル(複数可)(食用油など)、および/または保存剤(複数可)、および/または、所望により、香味料(複数可)または着色料(複数可)などの添加剤(複数可)を含んでよい。
【0110】
非経口投与には、本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩および滅菌済みビヒクルを利用して、流体の単位剤形が調製されるのが典型的である。一実施形態において、化合物または塩は、使用されるビヒクルおよび濃度によって、ビヒクル中に懸濁または溶解される。溶液調製の際には、例えば、好適なバイアルまたはアンプルに充填し密封する前に、化合物または塩を、例えば注入のために溶解し濾過滅菌することができる。一実施形態において、局所麻酔などのアジュバント(複数可)、保存剤(複数可)、および/または緩衝剤(複数可)がビヒクルに溶解される。安定性を高めるため、例えば、バイアルへの充填後に組成物を凍結し、真空下で水を除去することができる。非経口懸濁液は、化合物または塩が典型的には溶解ではなくビヒクル中に懸濁される点と、滅菌が通常濾過によってなされない点を除いて、実質的に同じ方法で調製されるのが典型的である。化合物または塩は、滅菌されたビヒクルへの懸濁前に、例えばエチレンオキサイドへの曝露により滅菌できる。一実施形態において、例えば本発明の化合物または塩の均一な分布を促進するために、界面活性剤または湿潤剤が組成物中に含まれる。
【0111】
一実施形態において、組成物は、例えば投与の方法により、(組成物の重量で)0.1%から99%、詳細には0.1から60%または1から60%または10から60重量%の活性物質(本発明の化合物または薬学的に許容できる塩)を含む。組成物に含まれるキャリア(複数可)および/または賦形剤(複数可)は、例えば、組成物の重量で1%から99.9%、例えば10%から99%;および/または組成物の単位投与量あたり、20mgから2000mg、例えば50mgから1000mgなどの量で存在してよい。
【0112】
例えば、本明細書に記載されている疾患/疾病/病態の治療または予防(例えば治療)に使用するための化合物またはその薬学的に許容できる塩の投与量は、疾患の重篤度、患者の体重、および/または他の類似の因子により通常の方法で変わりうる。しかし、一般的な指針として、一実施形態において、0.05から2000mgまたは0.05から1000mg、例えば0.05から200mg、20から40mgなどの本発明の化合物または薬学的に許容できる塩(化合物として測定)の単位投与量を、例えば医薬組成物に使用できる。一実施形態において、そのような単位投与量は、例えばヒトなどの哺乳動物に1日1回投与するためのものである。別法として、そのような単位投与量は、例えばヒトなどの哺乳動物に、1日2回以上(例えば2回または3回)投与するためのこともある。そのような療法は、数日、数週間、数ヶ月、または数年にわたることもある。
【0113】
組み合わせ
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、他の(さらなる)治療薬(複数可)、例えば上述の疾患の治療または予防(例えば治療)に有用であると主張される医薬と組み合わせて使用してもよい。
【0114】
そのようなさらなる治療薬(複数可)の例としては、例えば、国際公開第2007/008155号および国際公開第2007/008157号に記載のとおり、呼吸器疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD))の治療用のβ2作動薬(β2アドレナリン受容体作動薬としても知られる;例えばホルモテロール)および/またはコルチコステロイド(例えば、ブデソニド、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルまたはフロ酸エステルとして)、モメタゾン(例えばフロ酸エステルとして)、ベクロメタゾン(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えばアセトニドとして)、フルニソリド、ロフレポニド、およびブチキソコルト(例えばプロピオン酸エステルとして)が挙げられる。
【0115】
さらなる治療薬としては、例えば、国際公開第2006/083214号に記載のとおり、例えば心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化など)の治療用の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG CoA)レダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)(例えば経口投与用)が挙げられる。
【0116】
さらなる治療薬としては、詳細には、例えば国際公開第2005/025571号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチまたは骨関節炎、および/または炎症性疼痛など)の治療用の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック、エトドラク、フェノプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトララック(ketoralac)、オキサプロジン、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルマリコキシブ(lumaricoxib)、メロキシカム、エトリコキシブ、またはパレコキシブ;または、例えば、パラセタモール、ロキソプロフェン、またはアセクロフェナク;特に、セレコキシブ、パラセタモール、イブプロフェン、またはジクロフェナック)(例えば、経口投与用)が挙げられる。例えば、セレコキシブ(COX−2阻害剤)は、1日1回または2回、100mgまたは200mg(フリー塩基として測定)の投与レジメンで経口投与できる。
【0117】
さらなる治療薬としては、詳細には、例えば国際公開第2004/105798号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(例えば関節リウマチまたは骨関節炎)の治療用の腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤(例えば、エタネルセプトまたは抗TNFα抗体、例えばインフリキシマブまたはアダリムマブ)(例えば、皮下または静脈内投与などの非経口投与用)が挙げられる。
【0118】
さらなる治療薬としては、詳細には、抗CD20モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与など非経口用)、例えばオファツムマブ(HuMax−20(商標)、部分的にGenmab ASにより開発された)(例えば、静脈内投与用のオファツムマブ)、リツキシマブ、PRO70769、AME−133(Applied Molecular Evolution)、またはhA20(Immunomedics,Inc.);特にオファツムマブまたはリツキシマブが挙げられる。このさらなる治療薬は、例えば、炎症性疾病または疾患(関節リウマチもしくは骨関節炎、および/または炎症性疼痛など)の治療用になりうる。
【0119】
さらなる治療薬には、例えば国際公開第2004/105797号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチまたは骨関節炎など;特に関節リウマチ)の治療用の2−ヒドロキシ−5−[[4−[(2−ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]アゾ]安息香酸(スルファサラジン)がある。
【0120】
さらなる治療薬としては、詳細には、例えば国際公開第2004/105796号に記載のとおり、例えば経口投与用および/または、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチまたは骨関節炎など;特に関節リウマチ)の治療用のN−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(メトトレキサート)が挙げられる。関節リウマチの治療には、メトトレキサートを、週に1度経口で7.5mgの投与レジメンでヒトに投与でき、2.5mgの分割された経口投与量を12時間間隔で1クールとして週に1度3回(合計7.5mg)の投与量を利用して投与できる。スケジュールは最適な応答を得られるように任意に徐々に調整できるが、典型的には週の合計経口投与量がメトトレキサート20mgを超えない。応答が得られたら、メトトレキサート投与量は、典型的には可能な最低の有効投与量に下げられる。
【0121】
さらなる治療薬としては、例えば国際公開第2004/073704号に記載されるとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチまたは骨関節炎など;特に関節リウマチ)の治療用のプロTNFα変換酵素(TACE)の阻害剤が挙げられる。
【0122】
さらなる治療薬としては以下のものが挙げられる:
例えば、国際公開第2006/003517号に記載のとおり、例えばIL−1(例えばIL−1β)媒介疾病(関節リウマチもしくは骨関節炎、および/または炎症性もしくは神経因性疼痛;特に関節リウマチ)の治療用の、
a)スルファサラジン;
b)スタチン(例えば経口投与用)、例えばアトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、クリルバスタチン、ダルバスタチン、ロスバスタチン、テニバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ニスバスタチン、ベルバスタチン、ピタバスタチン、リバスタチン、グレンバスタチン、エプタスタチン、テニバスタチン、フルラスタチン(flurastatin)、ロスバスタチン、またはイタバスタチン;
c)グルココルチコイド剤(例えば、経口または皮膚局所投与用)、例えば、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、およびヒドロコルチゾン;
d)p38キナーゼの阻害剤(例えば経口投与用)
e)抗IL−6受容体抗体、例えば抗IL−6受容体モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用);
f)アナキンラ;
g)抗IL−1(例えばIL−1β)モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用);
h)JAK3タンパク質チロシンキナーゼの阻害剤;
i)抗マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)モノクローナル抗体;または
j)抗CD20モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用)、例えば、リツキシマブ、オファツムマブ(HuMax−CD20(商標)、部分的にGenmab ASにより開発された)(例えば静脈内投与用のオファツムマブ)、PRO70769、AME−133(Applied Molecular Evolution)、またはhA20(Immunomedics,Inc.);特にリツキシマブまたはオファツムマブ。
【0123】
詳細には、さらなる治療薬または複数の治療薬は、パラセタモールおよび/またはオピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール)などの、炎症性疼痛を治療できる治療薬または複数の治療薬になりうる。この/これらの治療薬(複数可)、および/またはこの/これらの治療薬(複数可)を含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の炎症性疼痛の治療用になりうる。例えば、パラセタモールは、1日に2回、3回、または4回投与される、500mgから1000mg(例えば、500mg、650mg、または1000mg、特に650mg)のパラセタモール(フリーの塩基/フリーの化合物として測定)のヒトの経口投与レジメンで投与できる。
【0124】
本発明の特別な実施形態において、さらなる治療薬または複数の治療薬は、以下のような神経因性疼痛を治療できる治療薬または複数の治療薬になりうる:
オピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール;最も特にはモルヒネ)、
モノアミン再取り込み阻害剤(デュロキセチンまたはアミトリプチリンなど)、
プレガバリン、
ガバペンチン、
ガバペンチンエナカルビル(XP13512)、および/または
カルバマゼピン。
この/これらの治療薬(複数可)および/またはこの/これらの治療薬(複数可)を含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の神経因性疼痛の治療用になりうる。
【0125】
例えば、プレガバリンを、1日に2回から3回の投与量に分割して、1日総量150mgから600mgのプレガバリン(フリー塩基として測定)のヒトの経口投与レジメンで、例えば神経因性疼痛のために経口投与できる。例えば、帯状疱疹後神経痛(神経因性疼痛病態)には、プレガバリンを、1日総量150mgのプレガバリン(1日あたり2回から3回の投与量に分割)の出発経口投与レジメンで投与し、1日総量300mgのプレガバリンの経口投与レジメンに増加し(例えば約1週間で)、任意に1日総量600mgのプレガバリンの最大経口投与レジメンまで増加することができる。有痛性糖尿病性神経障害(別な神経因性疼痛病態)には、1日総量150mgから300mgのプレガバリンの経口投与レジメンを投与できる。線維筋痛症には、1日総量150mgから450mg(例えば300mgまたは450mg)のプレガバリンの経口投与レジメンを投与できる。プレガバリンは、例えば、式(I)の化合物またはその塩と別々に投与することができる。
【0126】
例えば、ガバペンチンを、例えば神経因性疼痛のために経口投与できる。経口投与単位は、例えば、100mg、300mg、400mg、600mg、または800mgのガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)を含んでよい。神経因性疼痛のためのガバペンチン投与レジメンは、例えば、300mgを1日あたり1回、2回、または3回から、最大で総投与量3600mg/日でよい。投与レジメンのいくらかの漸増が通常実施される。例えば、成人の末梢神経因性疼痛には、以下のとおり用量設定してガバペンチン療法を開始できる:第1日=300mgのガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)を1日1回、第2日=300mgを1日2回、第3日=300mgを1日3回;別法としては、出発投与量を、三等分した投与量として投与される、900mg/日のガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)としてもよい。その後、例えば、個々の患者の応答および忍容性に応じて、投与量を、通常2〜3日ごとに300mg/日の増分で、3600mg/日のガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)の最大総投与量までさらに増やすことができる。ガバペンチン投与量のより緩やかな用量設定が、個々の患者に適切なこともある。総投与量1800mg/日に到達する最低時間は典型的には1週間であり、2400mg/日に到達するのは通常合計2週間であり、3600mg/日に到達するのは通常合計3週間である。ガバペンチンは、例えば式(I)の化合物またはその塩と別々に投与することができる。
【0127】
例えば、ガバペンチンエナカルビル(XP13512、(±)−1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]−アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、ガバペンチンのプロドラッグ)を、例えば式(I)の化合物またはその塩とは別々に、例えばヒトに経口投与することができる。一実施形態において、ガバペンチンエナカルビル(XP13512)は、例えばヒトの成人などのヒトに、例えば900mg/日から3600mg/日のガバペンチンに存在するモル量と等しいモル量のガバペンチンエナカルビルを有する総1日投与量で経口投与される(例えば、国際公開第02/100347号の81ページ24〜32行を参照)。投与量600mgのガバペンチンエナカルビル(フリーの酸として測定)は、312mgのガバペンチンのモル当量を含む。ヒトの薬物動態学試験に使用されるXP13512の経口投与量、投与レジメン、および製剤の例については、参照により本明細書に組み込まれるK.C. Cundy et al., “Clinical Pharmacokinetics of XP13512, a Novel Transported Prodrug of Gabapentin”, J. Clin. Pharmacol., 2008, e-publication 30 September 2008およびその中のthe Materials and Methods - Formulation and Study Designsセクションも参照されたい。
【0128】
本発明の特別な実施形態において、さらなる治療薬がオピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール)を含む場合、オピオイドおよび/またはオピオイドを含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の疼痛、特に炎症性または神経因性疼痛の治療用である。
【0129】
前記化合物が他の治療薬と組み合わせて使用される場合、前記化合物は、任意の便利な経路により、連続にも同時にも投与できる。
【0130】
このように、本発明は、さらなる態様において、さらなる治療薬または複数の治療薬(例えば本明細書に定義のとおり)とともに式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む組み合わせを提供する。
【0131】
本発明の組み合わせの個々の成分(すなわち、式(I)の化合物またはその塩、およびさらなる治療薬または複数の治療薬)は、別の医薬製剤/組成物として存在してよく、組み合わされた医薬製剤/組成物として存在してもよい(例えば、単一の組み合わされた経口剤形、例えば単一の組み合わされた錠剤またはカプセル中に一緒にあってもよい)。この組み合わせの個々の成分は、例えば、別の医薬製剤/組成物(例えば経口)中で連続に投与しても、別なまたは組み合わされた医薬製剤(複数可)/組成物(複数可)(例えば経口)中で同時に投与してもよい。特別な実施形態において、それらは、別な医薬製剤/組成物(例えば経口)中で連続に投与される。
【0132】
本明細書中で言及される組み合わせは、医薬製剤の形態で使用するために任意に表されてもよく、したがって、本明細書中で定義された組み合わせを、薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤とともに含む医薬製剤は本発明のさらなる態様を構成する。そのような組み合わせの個々の成分は、別なまたは組み合わせた医薬製剤中で、連続にも同時にも投与してよい。
【0133】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が、同じ疾病状態に対して活性のある第2の治療薬と組み合わせて使用される場合、各成分の投与量が、化合物が単独で使用される場合とは異なる場合がある。
【0134】
以下の説明および実施例は、本発明の化合物およびそれらの調製方法を説明するが、限定的なものではない。
【実施例】
【0135】
本明細書で使用される略語には以下のものが含まれる。
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸
【化7】

eq 当量
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
h 時間
min 分
LCMSまたはLC/MS 液体クロマトグラフィ/質量分析法
MS 質量分析法
RT 室温(周囲温度);本明細書で別様に開示される以外は、通常約18から約25℃の範囲またはこの範囲内の部分範囲である。
【0136】
本発明の化合物を調製するための一般方法(a)〜(c)および先にスキーム1〜3で概説した合成方法を、さらに以下の実施例により説明する。
【0137】
実施例1N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E1)(L−ホモシスチンから調製または得られる形態)
【化9】

【0138】
2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボン酸1,1−ジオキシド(0.080g、0.36mmol、以下に記載のとおり調製)を、ジメチルホルムアミド(8ml)に溶解させ、これに1−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミン(0.139g、0.72mmol)を加え、次いでジイソプロピルエチルアミン(0.140g、1.08mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.122g、0.90mmol)、およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.173g、0.90mmol)を加えた。混合物を室温で24時間攪拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。得られた残渣を、分取HPLCにより精製すると、純粋なN−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(0.045g)を与えた。MS[M+H]=397.07、HPLC保持時間=3.35分。
【0139】
上記の手順に使用した2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボン酸1,1−ジオキシドは、以下のとおり調製した。
(i)エチル(3S)−3−イソチアゾリジンカルボキシラート1,1−ジオキシドを、Luisi, Grazia; Pinnen, Francesco. Archiv der Pharmazie (Weinheim, Germany) (1993), 326(3), 139-41に記載の方法と類似の方法で、L−ホモシスチンから調製した。
(ii)エチル(3S)−3−イソチアゾリジンカルボキシラート1,1−ジオキシド(0.100g、0.52mmol)をジメチルホルムアミド(2ml)に溶解させ、炭酸カリウム(0.286g、2.07mmol)で処理し、次いでイソブチルブロマイド(0.142g、1.04mmol)で処理した。混合物を室温で4.5時間攪拌し、次いで70℃で2時間加熱した。次いで、混合物を水で希釈し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機画分を、水で3回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させると、残渣を与え、それを、それぞれ石油エーテルと酢酸エチルが10:1の混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィでさらに精製すると、純粋なエチル2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキシラート1,1−ジオキシドを与えた(0.100g)。
(iii)エチル2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキシラート1,1−ジオキシド(0.400g、1.6mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(0.270g、6.4mmol)で処理した。混合物を室温で4時間攪拌し、次いで水に注いだ。水性混合物を酢酸エチルで抽出し、次いで水層を、0℃のHCl水溶液(10%)で処理し、次いで酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮すると、2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボン酸1,1−ジオキシド(0.320g)を与えた。
【0140】
実施例2〜32(L−ホモシスチンから調製または得られる形態)
上記の実施例1に記載された方法と類似の方法で、以下に表にまとめた化合物(表1、L−ホモシスチンから調製または得られる形態)を、上記手順中で使用したそれぞれ1−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミンおよび/またはイソブチルブロマイドの代わりに、適切なアミンおよび/またはアルキルハライドを使用して調製したが、これらは全て市販源から入手可能か、化学文献に先に記載されている経路を利用して調製できる。
【0141】
【表1】




【0142】
実施例33
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド(E33)(1,1−ジメチルエチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−L−ノルバリナートから調製または得られる形態)
【化10】

【0143】
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシドは、上記のN−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド(E1)に関して記載されたのと類似の方法であるが、2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボン酸1,1−ジオキシドの代わりに2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボン酸1,1−ジオキシドを利用して調製した。MS[M+H]=383.05、HPLC保持時間=3.89分。
【0144】
上述の手順中で使用した2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボン酸1,1−ジオキシドは、R.J. Cherney, et.al., J.Med.Chem., 2004, 47, 2981-2983 (国際公開第2002028846号参照)に記載されたのと類似の方法であるが、記載されたベンジルハライドの代わりにヨウ化エチルを使用して、1,1−ジメチルエチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−L−ノルバリナートから調製した。
【0145】
実施例34−53(1,1−ジメチルエチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−L−ノルバリナートから調製または得られる形態)
【0146】
上記実施例33に記載されたのと類似の方法で、以下に表にまとめられた化合物(表2、1,1−ジメチルエチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−L−ノルバリナートから調製または得られる形態)は、上記手順中で使用したそれぞれ1−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミンおよび/またはヨウ化エチルの代わりに、適切なアミンおよび/またはアルキルハライドを使用して調製したが、これらは全て市販源から入手可能か、化学文献に先に記載されている経路を利用して調製できる。
【0147】
【表2】




【0148】
質量分析計直結自動化HPLC
該当する場合、質量分析計直結自動化HPLCによる精製を、以下の装置および条件で実施した。
【0149】
ハードウェア
Waters2525バイナリグラジエントモジュール
Waters515メイクアップポンプ
Watersポンプコントロールモジュール
Waters2767インジェクトコレクト
Watersカラムフルイディクスマネジャー
Waters2996フォトダイオードアレイディテクター
WatersZQ質量分析計
Gilson202フラクションコレクター
GilsonAspec廃液回収器
【0150】
ソフトウェア
Watersマスリンクスバージョン4 SP2
【0151】
カラム
使用したカラムは、Watersのアトランティスであり、寸法は19mm×100mm(小規模)および30mm×100mm(大規模)である。固定相粒径は5μmである。
【0152】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
メークアップ溶媒=メタノール:水、80:20
ニードルリンス溶媒=メタノール
【0153】
方法
対象とする化合物の分析保持時間により使用する5種の方法がある。それらは実行時間が13.5分であるが、10分のグラジエントおよびその後の3.5分のカラムフラッシュおよび再平衡である。
大規模/小規模1.0−1.5=5〜30%B
大規模/小規模1.5−2.2=15〜55%B
大規模/小規模2.2−2.9=30〜85%B
大規模/小規模2.9−3.6=50〜99%B
大規模/小規模3.6−5.0=80〜99%B(6分間、次いで7.5分のフラッシュおよび再平衡)
【0154】
流速
上記の方法は全て、流速が20ml/分(小規模)または40ml/分(大規模)である。
【0155】
液体クロマトグラフィ/質量分析法
液体クロマトグラフィ/質量分析法(LC/MS)による上記実施例の分析は、以下に示す方法に示される装置および条件を利用して実施した。
【0156】
液体クロマトグラフィ
方法(a):(実施例1〜2、4〜5、38)
ハードウェア
島津LC−20ABポンプ
島津SIL−20ABオートサンプラー
島津SPD−M20A DAD検出器
島津CTO−20ACオーブン
島津DGU−20A3脱気装置
【0157】
ソフトウェア
島津CLASS−VP
【0158】
カラム
YMC HPLCカラム:504.6mm I.D.、S−5μm、12nm
【0159】
溶媒
A:4Lの水+2.75mLのTFA
B:4Lのアセトニトリル+2.5mLのTFA
【0160】
利用した一般的な方法は、実行時間が6分である。
【0161】
【表3】

【0162】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は40度である。UV検出範囲は190から370nmである。
【0163】
方法(b):(実施例3、6、8〜11、13、19、25、36、39、41〜52、53)
ハードウェア
島津LC−20ABポンプ
島津SIL−20ABオートサンプラー
島津SPD−M20A DAD検出器
島津CTO−20ACオーブン
島津DGU−20A3脱気装置
【0164】
ソフトウェア
島津CLASS−VP
【0165】
カラム
YMC HPLCカラム:504.6mm I.D.、S−5μm、12nm
【0166】
溶媒
A:4Lの水+2.75mLのTFA
B:4Lのアセトニトリル+2.5mLのTFA
【0167】
利用した一般的な方法は、実行時間が6分である。
【0168】
【表4】

【0169】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は40度である。UV検出範囲は190から370nmである。
【0170】
方法(c):(実施例7、16、20〜21、24)
ハードウェア
島津LC−20ABポンプ
島津SIL−20ABオートサンプラー
島津SPD−M20A DAD検出器
島津CTO−20ACオーブン
島津DGU−20A3脱気装置
【0171】
ソフトウェア
島津CLASS−VP
【0172】
カラム
XB−C18、5μm、4.650mm
【0173】
溶媒
A:1Lの水+0.5mLのNH・H
B:アセトニトリル
【0174】
利用した一般的な方法は、実行時間が6分である。
【0175】
【表5】

【0176】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は40度である。UV検出範囲は190から370nmである。
【0177】
方法(d):(実施例12、14〜15、17〜18、22〜23、26〜28、37、40)
ハードウェア
島津LC−20ABポンプ
島津SIL−20ABオートサンプラー
島津SPD−M20A DAD検出器
島津CTO−20ACオーブン
島津DGU−20A3脱気装置
【0178】
ソフトウェア
島津CLASS−VP
【0179】
カラム
YMC HPLCカラム:504.6mm I.D.、S−5μm、12nm
【0180】
溶媒
A:4Lの水+2.75mLのTFA
B:4Lのアセトニトリル+2.5mLのTFA
【0181】
利用した一般的な方法は、実行時間が6分である。
【0182】
【表6】

【0183】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は40度である。UV検出範囲は190から370nmである。
【0184】
方法(e):(実施例33〜35)
ハードウェア
島津LC−20ABポンプ
島津SIL−20ABオートサンプラー
島津SPD−M20A DAD検出器
島津CTO−20ACオーブン
島津DGU−20A3脱気装置
【0185】
ソフトウェア
島津CLASS−VP
【0186】
カラム
YMC HPLCカラム:504.6mm I.D.、S−5μm、12nm
【0187】
溶媒
A:4Lの水+2.75mLのTFA
B:4Lのアセトニトリル+2.5mLのTFA
【0188】
利用した一般的な方法は、実行時間が6分である。
【0189】
【表7】

【0190】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は40度である。UV検出範囲は190から370nmである。
【0191】
上記方法(a)〜(e)の質量分析法
島津LC−2010A HT AB API 150EXまたは島津LC−2010A HT Thermo LCQ Advantage。
【0192】
方法(f):(実施例29〜32)
ハードウェア
Agilent1100グラジエントポンプ
Agilent1100オートサンプラー
Agilent1100DAD検出器
Agilent1100脱気装置
Agilent1100オーブン
Agilent1100コントローラー
WatersZQ質量分析計
Sedereセデックス(Sedex)85
【0193】
ソフトウェア
Watersマスリンクスバージョン4.0 SP2
【0194】
使用したカラムは、Watersアトランティスであり、寸法は4.6mm×50mmである。固定相粒径は3μmである。
【0195】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0196】
利用した一般的な方法は、実行時間が5分である。
【0197】
【表8】

【0198】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は30度である。UV検出範囲は220から330nmである。
【0199】
薬理学的データ
本発明の化合物または塩を、以下の試験に従いP2X7受容体でのインビトロ生物活性に関して試験した。
【0200】
エチジウム蓄積アッセイ
以下の組成のNaClアッセイバッファを使用して試験を行った:140mMのNaCl、10mMのHEPES[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸]、5mMのN−メチル−D−グルカミン、5.6mMのKCl、10mMのD−グルコース、0.5mMのCaCl(pH 7.4)。
【0201】
ヒトリコンビナントP2X7受容体を安定に発現しているヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を、ポリ−D−リジンで前処理された96ウェルプレートで18〜24時間成長させた(ヒトP2X7受容体のクローニングは、米国特許第6,133,434号に記載されており、例えばその中の実施例3を参照されたい)。細胞を350μlのアッセイバッファで2回洗浄し、その後P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物を含む50μlのアッセイバッファを添加した(最初に化合物を溶解するため、少量のジメチルスルホキシドを任意に使用したので、この50μlの被験化合物サンプル中に存在している)。次いで細胞を室温で(19〜21℃)30分間インキュベートし、ATPおよびエチジウムを加えた(最終アッセイ濃度100μM)。ATP濃度は、受容体タイプに対してEC80に近くなるように選択し、ヒトP2X7受容体の試験では1mMであった。インキュベーションを8分または16分継続し、4mMのP2X7受容体拮抗剤Reactive Black5(Aldrich)を含む1.3Mスクロース25μlの添加により停止した。Canberra Packard Fluorocount(14ステーションロード、パンボーン、リーディング、バークシャー州 RG8 7AN、英国)またはMolecular Molecular Devices(660−665 エスクデールロード、ワーキンガム、バークシャー州、RG41 5TS、英国)のFlexStation II384により、プレートの下から蛍光を測定(励起波長530nm、発光波長620nm)して、エチジウムの細胞内蓄積を測定した。ATP応答を阻害する拮抗剤pIC50値は、反復曲線フィッティング技術を利用して決定した。
【0202】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)Caアッセイ
ヒトP2X7用に以下の組成を持つNaClアッセイバッファを使用して試験を実施した:137mMのNaCl;20mMのHEPES[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸];5.37mMのKCl;4.17mMのNaHCO;1mMのCaCl;0.5mMのMgSO;および1g/LのD−グルコース(pH 7.4)。
【0203】
ヒトリコンビナントP2X7受容体を安定に発現しているヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を、ポリ−D−リジンで前処理された384ウェルプレートで室温で24時間成長させた(ウェルの底に均一な細胞層が成長するのに十分な時間)。別法としては、ヒトP2X7受容体をコードする遺伝子を送達するように修飾されたバキュロウイルス(BecMam)ベクターにより形質導入された(すなわち一時的にヒトリコンビナントP2X7受容体を発現する)ヒト骨肉腫(U−2OS)細胞(市販)を、ウェルプレートがポリ−D−リジンにより前処理されていない点以外HEK293細胞の場合と実質的に同じ条件で成長させた(ヒトP2X7受容体のクローニングは、米国特許第6,133,434号に記載されており、例えばその中の実施例3を参照されたい)。細胞を、80μlのアッセイバッファで3回洗浄し、2μMのCa2+感受性、細胞透過性の蛍光染料Fluo4−AM[4−(6−アセトキシメトキシ−2,7−ジフルオロ−3−オキソ−9−キサンテニル)−4’−メチル−2,2’−(エチレンジオキシ)ジアニリン−N,N,N’N,’−四酢酸テトラキス(アセトキシメチル)エステル](Tef Labs. Inc.,9415 キャピタルビュードライブ、オースチン、テキサス州、78747、アメリカ合衆国)を37℃で1時間ロードし、再び3回洗浄し(3×80μl)、30μlのバッファとともに残し、P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物を含むアッセイバッファ10μlを添加したが、化合物は選択される最終アッセイ濃度の4倍で加えられた。P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物の溶液の作成は、(i)化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、最終アッセイ濃度の200倍のDMSOのストック溶液を作り、(ii)DMSO中に化合物が溶けているストック溶液1μlを50μlのアッセイバッファと混合して、最終アッセイ濃度の約4倍の溶液を作ることにより行った。次いで、細胞を室温で30分間インキュベーションし、その後ベンゾイルベンゾイル−ATP(BzATP)を含む10μlのアッセイバッファを加え(オンライン、FLIPR384またはFLIPR3装置による、(Molecular Devices、1311 オーリンズドライブ、サニーベイル、カリフォルニア州、94089−1136、アメリカ合衆国))、60μMのBzATP最終アッセイ濃度にした(BzATPは、この最終濃度の5倍で加えられた)。BzATP濃度は、受容体タイプに対してEC80に近くなるように選択した。インキュベーションおよび読み取りを90秒間継続し、プレートの下から、FLIPR電荷結合素子(CCD)カメラにより蛍光を測定(励起波長488nm、発光波長516nm)して、細胞内のカルシウム増加を測定した。BzATP応答を阻害する拮抗剤pIC50値は、反復曲線フィッティング技術を利用して決定した。
【0204】
実施例1から10、12から32、33から38、40、42、45、49、50、51、52、および53の化合物を、上記FLIPR Caアッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)および/またはエチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)で、ヒトP2X7受容体拮抗剤活性について試験したが、
FLIPR Caアッセイまたはそのわずかに変更したバージョンにおいて、4.7以上のpIC50値を持ち、
および/または
エチジウム蓄積アッセイまたはそのわずかに変更したバージョンにおいて、約5.5から約8.0(典型的には2回以上の測定の平均値)のpIC50値を持つことが分かった。
【0205】
実施例11、39、41、43、44、46、47、および48の化合物は、エチジウム蓄積アッセイまたはそのわずかに変更したバージョンにおいて、約4.8から約5.4(典型的には2回以上の測定の平均値)のpIC50値を持つことが分かった。
【0206】
実施例3、4、13、15、17、18、20、21、22、24、27、29、30、31、32、35、および36の化合物は、エチジウム蓄積アッセイまたはそのわずかに変更したバージョンにおいて、約6.5から約8.0(典型的には2回以上の測定の平均値)のpIC50値を持つことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩:
【化1】

[式中、
は、1、2、または3つのハロゲン原子により任意に置換されているC1−4アルキルを表し;
Xは−(CR1011−を表し;
10およびR11は、独立に、水素、ハロゲン、またはC1−6アルキルを表すが;前記C1−6アルキル基は、1、2、または3つのハロゲン原子により任意に置換されていてもよく;
nは、1または2の整数を表し、但し、nが2を表す場合Rがイソブチル以外の基を表し;
、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表し、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基のいずれも、1、2、または3つのハロゲン原子により任意に置換されていてもよく、
但し、RおよびRの少なくとも一方は、水素以外の基を表す]。
【請求項2】
が、メチル、エチル、またはイソプロピルを表す、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
が、メチルまたはエチルを表す、請求項2に記載の化合物または塩。
【請求項4】
nが1を表す、請求項1、2、または3に記載の化合物または塩。
【請求項5】
Xが−CH−を表す、請求項1、2、または3に記載の化合物または塩。
【請求項6】
、R、およびRが、それぞれ水素を表す、請求項1、2、3、4、または5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
が、水素、ハロゲン、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されているC1−6アルキルを表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項8】
が、水素またはハロゲンを表す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項9】
が、水素またはハロゲンを表す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
が、水素、ハロゲン、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されているC1−6アルキルを表す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
が、水素、ハロゲン、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により任意に置換されているC1−6アルキルを表す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項12】
が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表し;
が、水素、フッ素、または塩素を表し;
が、水素、フッ素、または塩素を表し;
が、水素、フッ素、塩素、または−CFを表し;
が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表すが;
但し、RおよびRの少なくとも一方が、水素以外の基を表す、請求項7〜11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
【請求項13】
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−エチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−メチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−(1−メチルエチル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−(2−メチルプロピル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−メチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−3,4−ジフルオロフェニル)メチル]−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−エチル−3−イソチアゾリジンカルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−エチル−N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−エチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−(1−メチルエチル)−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−(1−メチルエチル)テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−{[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
2−エチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;
N−[(2−クロロ−6−メチルフェニル)メチル]−2−メチルテトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド;または
2−メチル−N−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)メチル]テトラヒドロ−2H−1,2−チアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシド
である、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項15】
療法に使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項16】
疼痛、炎症、または神経変性疾患を患っているヒトまたは動物の被験者を治療する方法であって、
前記被験者に、請求項1〜13のいずれか一項に定義された、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項17】
疼痛、炎症、または神経変性疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、請求項1〜13のいずれか一項に定義された化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項18】
前記医薬が、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、関節リウマチ、または骨関節炎の治療または予防用である、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2011−506519(P2011−506519A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538556(P2010−538556)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066945
【国際公開番号】WO2009/077362
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】