説明

PIDゲイン調整装置及びPIDゲイン調整方法

【課題】PIDゲインを確実かつ短時間に最適化する。
【解決手段】入出力応答データ取得部21は、線形時不変なプラント1における入出力応答データを取得する。動特性抽出部22は、入出力応答データ取得部21によって取得された入出力応答データを、サンプル周波数ωiを固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタFi(s)に通すことにより、複数の異なるサンプル周波数ωi各々に対するプラント1の動特性を抽出する。最適化部23は、プラント1を制御するフィードバック制御系のコントローラ2のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、動特性抽出部22によって抽出されたサンプル周波数ωiがそれぞれ異なるプラント1の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いてPIDゲインの最適値を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PIDゲイン調整装置及びPIDゲイン調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御系の設計では、状態方程式などの数式モデルの構築には多大な労力と専門知識を要する。これに対して制御対象の過渡応答は容易に得られ、数式モデルの構築の際に失われる動特性に関する情報も含んでいる。そこで、簡便な調整法の構築を目指し、過渡応答データをノンパラメトリックモデルとして直接に制御系の設計に用いるデータ駆動設計法が検討されている。
【0003】
このようなデータ駆動設計法の中には、非反証制御の考え方をオフラインでの制御系の設計に適用する方法を提案したものがある(例えば、特許文献1参照)。この方法では、まず、制御対象(プラント)にステップ入力等を加えたときの入出力応答データを少なくとも1つ採取する。そして、この入出力応答データに基づいて所定数以上の仮想の入出力応答データを生成する。さらに、各入出力応答データをそれぞれ反証演算式に代入してパラメータ空間に所定数以上の非反証領域を規定する。さらに、反証演算式を線形制約式とすることで、所定数以上の非反証領域の積集合の領域において制御ゲインの最適値を計算により求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−199209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法では、安定度を表す制約式として最大感度制約を用いているが、これは非凸制約となり、この線形近似には基準となるPIDゲインをひとつ与えることが必要となる。基準となるPIDゲインの設定には、ある程度の経験が必要となるので、PIDゲインの設定が不要な方法の登場が強く望まれている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、PIDゲインを確実かつ短時間に最適化することができるPIDゲイン調整装置及びPIDゲイン調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るPIDゲイン調整装置は、
線形時不変な制御対象における入出力応答データを取得する入出力応答データ取得手段と、
前記入出力応答データ取得手段によって取得された入出力応答データを、サンプル周波数を固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタに通すことにより、複数の異なるサンプル周波数各々に対する前記制御対象の動特性を抽出する動特性抽出手段と、
前記制御対象を制御するフィードバック制御系の制御器のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、前記動特性抽出手段によって抽出された前記サンプル周波数がそれぞれ異なる前記制御対象の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いて前記PIDゲインの最適値を求める最適化部と、
を備える。
【0008】
前記最適化部は、
前記PIDゲインのうちの積分ゲインを最大にする前記PIDゲインの最適値を求める、
こととしてもよい。
【0009】
前記凸となる制約条件は、
前記フィードバック制御系の一巡ループ伝達関数をL(s)とすると、
【数1】


である、
こととしてもよい。
【0010】
前記各バンドパスフィルタは、可変パラメータαを含み、
その伝達関数は、
【数2】


で与えられ、
前記入出力応答データの時間区間を[0,T]とし、サンプル周波数をωiとすると、
可変パラメータαが、
【数3】


となるように設定される、
こととしてもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係るPIDゲイン調整方法は、
線形時不変な制御対象における入出力応答データを取得する入出力応答データ取得工程と、
前記入出力応答データ取得工程において取得された入出力応答データを、サンプル周波数を固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタに通すことにより、複数の異なるサンプル周波数各々に対する前記制御対象の動特性を抽出する動特性抽出工程と、
前記制御対象を制御するフィードバック制御系の制御器のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、前記動特性抽出工程において抽出された前記サンプル周波数がそれぞれ異なる前記制御対象の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いて前記PIDゲインの最適値を求める最適化工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に基づいてPIDゲインの最適値を求めるので、基準となるPIDゲインの設定が不要となる。このため、PIDゲインを確実かつ短時間に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るフィードバック制御系の制御ブロック図である。
【図2】図1のフィードバック制御系におけるPIDゲインを調整するPIDゲイン調整装置の構成を示す図である。
【図3】図2のバンドパスフィルタの周波数応答のゲイン特性を示すグラフである。
【図4】図4(A)は、ある安定な伝達関数S(s)の周波数応答の真のゲイン特性とパラメータを固定とした場合のゲイン特性の推定値を示すグラフである。図4(B)は、ある伝達関数S(s)の周波数応答の真のゲイン特性とパラメータを可変とした場合のゲイン特性の推定値を示すグラフである。
【図5】一巡ループ伝達関数L(s)に対する制約式(式(10))が満たされる場合に保証されるところの、図1のフィードバック制御系のゲイン余裕と位相余裕を複素平面上に表した図である。
【図6】図2のPIDゲイン調整装置の動作のフローチャートである。
【図7】図7(A)は、従来方法により最適化されたPIDゲインでのステップ目標値に対する角速度制御実験装置の出力応答を示す図である。図7(B)は、図2のPIDゲイン調整装置により最適化されたPIDゲインでのステップ目標値に対する角速度制御実験装置の出力応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本実施形態では、記号として、
【数4】


と、
【数5】


を用いる。
【0016】
図1には、本実施形態に係るフィードバック制御系が示されている。図1に示すように、このフィードバック制御系は、プラント1を制御対象とする。プラント1の伝達関数をP(s)とする。プラント1は、線形時不変な安定系である。
【0017】
また、コントローラ2は、プラント1を制御する制御器である。コントローラ2の伝達関数をK(s)とする。
【0018】
yは制御量であり、eは操作入力であり、wは制御系の応答特性を取得するための試験信号である。これらの関係を数式化すると、以下のようになる。
【0019】
【数6】

【0020】
コントローラ2は、PID制御器であり、その伝達関数K(s)は、次式で示される。
【数7】


ここで、KPは比例ゲインであり、KIは積分ゲインであり、KDは微分ゲインである。これらKP、KI、KDをまとめて、PIDゲインと呼ぶ。Tdは、近似微分の時定数である。
【0021】
図2には、本実施形態に係るPIDゲイン調整装置10の構成が示されている。PIDゲイン調整装置10は、コンピュータであり、CPU及びメモリ(いずれも不図示)を備えている。CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、PIDゲイン調整装置10は、以下の構成要素の機能を実現する。図2に示すように、PIDゲイン調整装置10は、試験信号入力部20と、入出力応答データ取得部21と、動特性抽出部22と、最適化部23と、を備える。
【0022】
試験信号入力部20は、フィードバック制御系に試験信号w(t)(0≦t≦T)を入力する。入出力応答データ取得部21は、線形時不変なプラント1における入出力応答データe(t)、y(t)(0≦t≦T)を取得する。なお、試験信号としてw(t)でなく、目標値r(t)(0≦t≦T)を用いることもできる。目標値r(t)は、図1、図2では示されていないが、フィードバック制御系の制御器に加えられる信号であり、例えば、その関係をPID制御系の場合に数式化すると
【数8】


となる。
【0023】
動特性抽出部22は、入出力応答データ取得部21によって取得された入出力応答データe(t)、y(t)(0≦t≦T)を、サンプル周波数ωi(i=1,2、…、N)を固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタFi(s)(i=1,2、…、N)に通すことにより、複数の異なるサンプル周波数ωi(i=1、2、…、N)各々に対するプラント1の動特性を抽出する。
【0024】
各バンドパスフィルタFi(s)(i=1,2、…、N)は、可変パラメータαを含み、
その伝達関数は、
【数9】


で与えられる。
【0025】
図3には、バンドパスフィルタFi(s)の周波数応答のゲイン特性の一例が示されている。バンドパスフィルタFi(s)では、可変パラメータαが小さいほどフィルタのバンド幅が狭くなり、サンプル周波数ωiでのゲインの推定精度がよくなる。一方で、可変パラメータαが小さいほどにバンドパスフィルタFi(s)のモードの減衰が遅くなるので、データが十分に長くなければ有限時間の積分のために精度が悪くなる。バンドパスフィルタFi(s)のステップ応答y(t)が十分に小さくなるまでの時間TFはαに依存している。
【0026】
本実施形態では、バンドパスフィルタFi(s)の可変パラメータαが、
【数10】


となるように設定される。
【0027】
αの逆数は、時刻0から時刻Tの間に含まれるサンプル周波数ωiの正弦波の数Mに相当する。さらに、本実施形態では、可変パラメータαを決定するのに、次の規則を用いる。M=Tωi/(2π)を求め、
(1)M≧20ならば、α=1/20とする。
(2)20≧M≧1ならば、αを上記式(7)に基づく値とする。
(3)1>Mならば、α=1とする。
【0028】
図4(A)には、ある安定な伝達関数S(s)の周波数特性のゲイン特性の真値が点線で示され、この伝達関数のステップ応答データを用いて、可変パラメータαを仮に固定としたときの提案法によるゲイン特性の推定値が実線で示されている。また、図4(B)には、S(s)の周波数特性のゲイン特性の真値が点線で示され、この伝達関数のステップ応答データを用いて、可変パラメータαを上記規則に従って可変としたときの提案法によるゲイン特性の推定値が実線で示されている。図4(A)及び図4(B)には、周波数応答の真値と推定値が示されている。図4(A)及び図4(B)を比較すると分かるように、パラメータαを可変とした方が、周波数応答のゲイン特性が真値に近づいている。
【0029】
図2に戻り、最適化部23は、プラント1を制御するコントローラ2のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、動特性抽出部22によって抽出されたサンプル周波数ωi(i=1,2、…、N)がそれぞれ異なるプラント1の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いてPIDゲインの最適値を求める。
【0030】
最適化部23におけるPIDゲインの調整方法について説明する。図1に示すフィードバック制御系における感度関数と一巡ループ伝達関数は、それぞれ以下の式(8)、式(9)のように定義される。
【数11】


本実施形態では、この閉ループ系の安定度の制約式として、次式を導入する。
【数12】


上記式(10)は、PIDゲインに関する線形制約式である。ナイキストの安定条件から、プラント1が安定でこの制約が−1<a<0を満たす、あるaで満たされるならば、閉ループ系(図1のフィードバック制御系)は安定である。プラント1が不安定な場合には、この制約があると安定化できないので、プラント1は安定系に限られる。これにより、図5に示されるゲイン余裕gと、位相余裕φmが確保される。
【0031】
また、図1のフィードバック系が安定であるとき、ステップ関数w(t)=1、0≦tに対する応答は、次式を満たす。
【数13】


このため、w(t)(0≦t)をステップ外乱と見なすと、積分ゲインKIを大きくすれば外乱が抑制されると期待される。よって、PIDゲイン調整装置10は、式(10)の制約下で、積分ゲインKIを最大にする安定化PIDゲインを求める。ところで、プラント1の周波数応答P(jω)が与えられる場合には、この問題は直ちに周波数応答を係数に持つ線形計画問題に帰着でき、解が容易に得られる。
【0032】
ここで、上記式(10)が成り立つならば、以下の式が成り立つ。
【数14】


また、上記式(12)は次式で表される。
【数15】


ただし、
【数16】


である。
【0033】
この制約は、凸制約であるので、最適化部23は、最大感度制約のような線形近似が必要ない。上述のバンドパスフィルタの出力
【数17】


をそれぞれ代入すると、上記式(13)は、次式のようになる。
【0034】
【数18】


最適化部23は、バンドパスフィルタの出力を式(17)に代入することにより、N個の線形制約式を作成する。最適化部23は、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いてPIDゲインの最適値を求める。
【0035】
次に、本実施形態に係るPIDゲイン調整装置10の動作について説明する。図6には、PIDゲイン調整装置10の動作を示すフローチャートが示されている。
【0036】
図6に示すように、不図示の操作入力部により、動特性抽出部22へバンドパスフィルタのサンプル周波数ωi(i=1、・・・、N)を設定する(ステップS1)。
【0037】
続いて、外部入力部20は、フィードバック制御系に外部入力w(t)(0≦t≦T)を与え、入出力応答データ取得部21は、過渡応答データe(t)、y(t)(0≦t≦T)を測定する(ステップS2)。あるいは、外部入力として、不図示の目標値r(t)を与え、入出力応答データ取得部21が、過渡応答データを測定するようにしてもよい。
【0038】
続いて、入出力応答データ取得部21は、バイアスを除去したデータe(t)−e(0)、y(t)−y(0)を算出する(ステップS3)。
【0039】
続いて、動特性抽出部22は、バンドパスフィルタF(s)(i=1、2、…、N)を用いてeFi(t)、yFi(t)(i=1、2、・・・、N)を求める(ステップS4)。
【0040】
続いて、最適化部23は、上記式(17)のN個の線形制約式を求め、積分ゲインKIを最大にするPIDゲインの最適値を線形計画法により算出する(ステップS5)。算出されたPIDゲインの最適値は、コントローラ2に設定される。
【0041】
図7(A)には、従来方法により最適化されたPIDゲインによるステップ目標値に対する角速度制御実験装置の出力の過渡応答が示されている。また、図7(B)には、本実施形態に係るPIDゲイン調整装置10により最適化されたPIDゲインによるステップ目標値に対する角速度制御実験装置の出力の過渡応答が示されている。図7(A)と図7(B)とを比較するとわかるように、PIDゲイン調整装置10を用いたPIDゲインでは、ステップ応答に対するオーバーシュートが軽減されている。
【0042】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に基づいてPIDゲインの最適値を求めるので、基準となるPIDゲインの設定が不要となる。このため、PIDゲインを確実かつ短時間に最適化することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、サンプル周波数ωiの正弦波の数の逆数となるように、バンドパスフィルタの可変パラメータαを調整する。このようにすれば、より高精度に、PIDゲインを最適化することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態において、実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述のプログラムを実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0045】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0046】
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【0047】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、PIDゲインの調整に好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 プラント
2 コントローラ
10 PIDゲイン調整装置
20 試験信号入力部
21 入出力応答データ取得部
22 動特性抽出部
23 最適化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形時不変な制御対象における入出力応答データを取得する入出力応答データ取得手段と、
前記入出力応答データ取得手段によって取得された入出力応答データを、サンプル周波数を固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタに通すことにより、複数の異なるサンプル周波数各々に対する前記制御対象の動特性を抽出する動特性抽出手段と、
前記制御対象を制御するフィードバック制御系の制御器のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、前記動特性抽出手段によって抽出された前記サンプル周波数がそれぞれ異なる前記制御対象の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いて前記PIDゲインの最適値を求める最適化部と、
を備えるPIDゲイン調整装置。
【請求項2】
前記最適化部は、
前記PIDゲインのうちの積分ゲインを最大にする前記PIDゲインの最適値を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載のPIDゲイン調整装置。
【請求項3】
前記凸となる制約条件は、
前記フィードバック制御系の一巡ループ伝達関数をL(s)とすると、
【数1】


である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のPIDゲイン調整装置。
【請求項4】
前記各バンドパスフィルタは、可変パラメータαを含み、
その伝達関数は、
【数2】


で与えられ、
前記入出力応答データの時間区間を[0,T]とし、サンプル周波数をωiとすると、
可変パラメータαが、
【数3】


となるように設定される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のPIDゲイン調整装置。
【請求項5】
線形時不変な制御対象における入出力応答データを取得する入出力応答データ取得工程と、
前記入出力応答データ取得工程において取得された入出力応答データを、サンプル周波数を固有角周波数とするそれぞれ異なる複数のバンドパスフィルタに通すことにより、複数の異なるサンプル周波数各々に対する前記制御対象の動特性を抽出する動特性抽出工程と、
前記制御対象を制御するフィードバック制御系の制御器のPIDゲインに関して凸となる制約条件の下で導出された線形制約式に、前記動特性抽出工程において抽出された前記サンプル周波数がそれぞれ異なる前記制御対象の動特性をあてはめることにより、複数の線形制約式を作成し、作成された複数の線形制約式に基づいて線形計画法を用いて前記PIDゲインの最適値を求める最適化工程と、
を含むPIDゲイン調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226551(P2012−226551A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93534(P2011−93534)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人計測自動制御学会 制御部門、 第11回 計測自動制御学会 制御部門大会、 平成23年3月4日
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】