説明

PLCシステム、情報表示方法、PLC、および保守装置

【課題】操作性を向上したPLCシステムを提供することである。
【解決手段】機器の動作を制御するPLC32と、PLC32と通信回線を介して接続され、PLC32の保守を行う保守装置であるパソコン34とを備えるPLCシステム30である。PLC32は、PLC32の動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶する情報記憶手段と、PLC32の所定の動作状態を検出した際に、情報記憶手段により記憶した情報の中から、PLC32の所定の動作状態に該当する該当PLC情報を発生異常情報格納領域38aへ格納する該当PLC情報格納手段とを含む。パソコン34は、該当PLC情報格納手段により格納された該当PLC情報を取得する該当PLC情報取得手段と、該当PLC情報取得手段により取得した該当PLC情報を表示する情報表示手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プログラマブルコントローラ(以下、「PLC」と言う)システム、情報表示方法、PLC、および保守装置に関するものであって、特に、PLCの保守を行う場合に利用可能なPLCシステム、情報表示方法、このようなPLCシステムに用いられるPLC、および保守装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用機器等の制御装置として用いられるPLCは、PLC全体を制御するCPUユニットや通信を行う通信ユニットや信号の入出力を行うI/Oユニット等の複数のユニットから構成される。このようなPLCにユーザの所望の制御を実行させるために、ユーザプログラムをどのように設計するか等、ユーザがPLCの制御内容を設計する際には、パソコン(コンピュータ)に所定のソフトウェアをインストールし、このインストールしたソフトウェアを用いることが一般的である。
【0003】
このようなPLCの開発を支援する開発支援装置は、例えば、「オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)」(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、非特許文献1に開示のような開発支援装置を用いて、制御内容の設計等が行われるPLCには、PLCの保守作業を行う場合に、例えば、パソコン(コンピュータ)が接続される。パソコンには、PLCの保守作業を行うためのサポートソフトがインストールされている。サポートソフトは、一般的にPLCを製造するメーカーからPLCと共に提供される。
【0006】
また、PLCには、PLCの状態やPLCの動作を一意に示すコード(イベントコード)が予め定められている。イベントコードは、PLCを製造するメーカーによって、予め定められるものである。具体的には、イベントコードは、製造メーカーにより検出するPLCの動作状態の内容を決定されて、この決定されたPLCの動作状態の内容毎に定められるものである。例えば、PLCの動作状態として「電池外れ」を検出すると決定され、電池外れのイベントコードが1と定められる。そして、従来、PLC側では、このイベントコードのみを具備している。
【0007】
一方で、サポートソフトは、PLCとは異なる独自イベントコードと、このイベントコードに対応して、PLCの取扱方法やトラブルシューティングのためのガイド情報(コンテンツ)を具備している。したがって、サポートソフトにおいてPLCのサポートを行うには、サポートソフトのイベントコードとPLCのイベントコードを対応させる必要があった。したがって、PLCの保守を行うユーザがサポートソフトを用いてPLCのサポートを行うには、まず、サポートソフトのイベントコードとPLCのイベントコードを対応させ、その後、サポートソフトがPLCから現在のPLCの運転状態に該当するイベントコードを取得して、取得したイベントコードに対応するコンテンツをサポートソフト内にて検索し、パソコンのディスプレイ等に表示することとしていた。
【0008】
このようにして、サポートソフト側では、現在のPLCの運転状態を取得したイベントコードで認識することができた。したがって、例えば、PLC側のイベントコードと、サポートソフト側のイベントコードとが一致しない場合、サポートソフト側では、正確なPLCの運転状態を表示できなかった。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的は、操作性を向上したPLCシステム、情報表示方法、PLC、および保守装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るPLCシステムは、機器の動作を制御するPLCと、PLCと通信回線を介して接続され、PLCの保守を行う保守装置とを備える。PLCシステムは、PLCは、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶する情報記憶手段と、PLCの所定の動作状態を検出した際に、情報記憶手段により記憶した情報の中から、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納する該当PLC情報格納手段とを含む。保守装置は、該当PLC情報格納手段により格納された該当PLC情報を取得する該当PLC情報取得手段と、該当PLC情報取得手段により取得した該当PLC情報を表示する情報表示手段とを含む。
【0011】
こうすることにより、PLC側にPLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置を用いてPLCの動作状態を確認等する場合、保守装置は、PLC側からPLCの動作状態に該当する情報を取得して表示することができる。したがって、従来のように、PLC側と保守装置側とでイベントコードで対応させて、PLCの動作状態と情報とを分けて保持することがないため、PLCの動作状態と情報とにズレが生じることがなく、保守装置側で、PLC側から取得した情報をそのまま表示することができる。したがって、保守装置側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【0012】
好ましくは、PLCは、ユーザがそのまま認識可能な情報とユーザがそのまま認識可能な情報に対応するイベントコードとを対応付けて記憶し、該当PLC情報格納手段は、ユーザがそのまま認識可能な情報を格納する。
【0013】
保守装置は、情報記憶手段に記憶されたユーザがそのまま認識可能な情報と、ユーザがそのまま認識可能な情報に対応するイベントコードとをPLCから吸い上げて格納し、該当PLC情報格納手段は、イベントコードを格納してもよい。
【0014】
ユーザがそのまま認識可能な情報は、文字情報であるのが好ましい。
【0015】
好ましくは、PLCの動作状態とは、PLC自身に発生した異常の状態を含む。こうすることにより、PLC自身に発生した異常の状態を正確に表示することができる。
【0016】
さらに好ましくは、保守装置は、情報記憶手段により記憶された情報を更新する更新手段を含む。こうすることにより、ユーザが保守装置を用いて、PLC側に記憶された情報を更新することができる。
【0017】
この発明の他の局面においては、機器の動作を制御するPLCから、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を取得し、PLCの保守を行う保守装置に表示する情報表示方法に関する。情報表示方法は、PLCにおいて、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶するステップと、PLCにおいて、PLCの所定の動作状態を検出した際に、記憶した情報の中から、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納するステップと、保守装置において、所定の格納部に格納された該当PLC情報を取得するステップと、保守装置において、取得した該当PLC情報を表示するステップとを含む。
【0018】
こうすることにより、PLC側にPLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置を用いてPLCの動作状態を確認等する場合、保守装置は、PLC側からPLCの動作状態に該当する情報を取得して表示することができる。したがって、従来のように、PLC側と保守装置側とでイベントコードで対応させて、PLCの動作状態と情報とを分けて保持することがないため、PLCの動作状態と情報とにズレが生じることがなく、保守装置側で、PLC側から取得した情報をそのまま表示することができる。したがって、保守装置側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【0019】
この発明のさらに他の局面においては、機器の動作を制御するPLCに関する。PLCは、PLCの保守を行う保守装置と通信回線を介して接続され、保守装置によって取得される情報であり、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶する情報記憶手段と、PLCの所定の動作状態を検出した際に、情報記憶手段により記憶した情報の中から、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納する該当PLC情報格納手段とを含む。
【0020】
このようなPLCは、PLC側にPLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置を用いてPLCの動作状態を確認等する場合、保守装置により、PLC側からPLCの動作状態に該当する情報を取得させて表示させることができる。したがって、従来のように、PLC側と保守装置側とでイベントコードで対応させて、PLCの動作状態と情報とを分けて保持することがないため、PLCの動作状態と情報とにズレが生じることがなく、保守装置側で、PLC側から取得した情報をそのまま表示させることができる。したがって、保守装置側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【0021】
この発明のさらに他の局面においては、機器の動作を制御するPLCと通信回線を介して接続され、PLCの保守を行う保守装置に関する。保守装置は、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報のうち、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報をPLC側の所定の格納部から取得する該当PLC情報取得手段と、該当PLC情報取得手段により取得した該当PLC情報を表示する情報表示手段とを含む。
【0022】
このような保守装置は、PLC側にPLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置を用いてPLCの動作状態を確認等する場合、PLC側からPLCの動作状態に該当する情報を取得して表示することができる。したがって、従来のように、PLC側と保守装置側とでイベントコードで対応させて、PLCの動作状態と情報とを分けて保持することがないため、PLCの動作状態と情報とにズレが生じることがなく、保守装置側で、PLC側から取得した情報をそのまま表示することができる。したがって、保守装置側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、PLC側にPLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置を用いてPLCの動作状態を確認等する場合、保守装置は、PLC側からPLCの動作状態に該当する情報を取得して表示することができる。したがって、PLCの動作状態とその情報とにズレが生じることがなく、保守装置側で、PLC側から取得した情報をそのまま表示することができる。したがって、保守装置側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態に係るPLCシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】PLCのメモリに記憶されるイベントコードの一例を示す図である。
【図3】コンテンツの一例を示す図である。
【図4】PLC側の動作について示すフローチャートである。
【図5】パソコン側の動作について示すフローチャートである。
【図6】他の実施形態について示すパソコン側の動作について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係るPLCシステムについて説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るPLCシステム30の構成を示すブロック図である。図1を参照して、この発明の一実施形態に係るPLCシステム30は、機器31の動作を制御するPLC32と、PLC32に通信回線を介して接続されるパソコン(コンピュータ)34とを備える。
【0026】
PLC32は、PLC32全体を制御するCPUユニット35、機器31やパソコン34等の外部機器との通信を行う通信ユニット36、信号の入出力を行うI/Oユニット等の各種の複数のユニットを含む。そして、CPUユニット35は、CPUユニット35全体を制御するCPU等の制御部35aと、ユーザによって作成されるユーザプログラムや、データ等を記憶するメモリ38を備える。メモリ38は、所定の格納部である発生異常情報格納領域38aを備える。
【0027】
また、PLC32には、図示はしないが、機器31の動作状態を表示するプログラマブル表示器(以下、「表示器」と言う)が接続されていてもよい。
【0028】
PLC32は、電源ONされると、PLC32を製造するメーカーによって作成されたPLC32全体の共通するシステムプログラムを実行し、その後、メモリ38に記憶されているユーザプログラムを実行する。
【0029】
ここで、PLC32のメモリ38には、PLC32自身の状態やPLC32の動作を一意に示すコード、すなわち、PLC32の動作状態を一意に示すコード(イベントコード)が予め記憶されている。イベントコードは、PLC32の製造メーカーによって予め定められるものである。
【0030】
イベントコードは、例えば「外付けのメモリカードの差込の有無」については検出し、「電池切れ」については検出しない、というように、製造メーカーにより予め検出するPLC32の動作状態の内容を規定したもので、この規定されたPLC32の動作状態の内容に応じて、定められている。この実施例では、PLC32自身に発生する複数の異常の内容が、各々異なる数字のイベントコードで記憶されている。図2は、PLC32のメモリ38に記憶されるイベントコードの一例を示す図である。図2を参照して、「メモリカードなし」いう異常は、イベントコード1である。
【0031】
また、PLC32のメモリ38には、このようなイベントコードに基づいて、PLC32の取扱方法やトラブルシューティングのためのガイド情報(コンテンツ)が相互に紐付されて記憶されている。コンテンツは、イベントコードと同様に、製造メーカーによって予め定められるものであり、イベントコード毎に定められるものである。そして、コンテンツは、PLC32の動作状態を示す、ユーザがそのまま認識可能な情報である。ここで、そのまま認識可能な情報とは、ユーザがその内容をそのまま認識可能なものであって、コードのような数字の情報とは異なる、たとえば、文字の情報である。ここで、メモリ38は、情報記憶手段として作動する。図3は、コンテンツの一例を示す図である。図3を参照して、イベントコード1に対応して、「メモリカードを差し込んでください」というコンテンツが記憶されている。そして、図2および図3を参照して、コンテンツの内容と異常の内容とがイベントコード1で紐付けられている。
【0032】
なお、ここで、そのまま認識可能な情報は、文字情報だけでなく、画像情報、音声情報、パソコンのような保守装置側で動かしたいプログラム等を含む。
【0033】
パソコン34は、パソコン34全体を制御するCPU等の制御部51と、データを記憶するメモリ等の記憶部52と、データを表示するディスプレイ53と、PLC32等の外部装置とのインターフェースとなるI/F(インターフェース)部54とを備える。パソコン34とPLC32とは、必要に応じて接続される。
【0034】
ここで、パソコン34は、PLC32を保守するユーザがPLC32を保守する際に用いる保守装置であって、ユーザが使用するサポートソフト55がインストールされている。サポートソフト55とは、ユーザが、例えばPLC32自身に異常が発生した際に、PLC32にパソコン34を接続して、PLC32自身に発生した異常の現象を認識し、どのような処置を行えばよいかと言った情報等を参照する際に使用するものである。このサポートソフト55は、一般的にPLC32の製造メーカーからPLC32と共に提供される。
【0035】
ここで、PLC32がPLC32自身に発生した異常を検出して、ユーザによってサポートソフト55を用いて処置される場合について説明する。図4は、PLC32側の動作について示すフローチャートである。図5は、パソコン34側の動作について示すフローチャートである。図1〜図5を参照して説明する。
【0036】
まず、PLC32側において、制御部35aは、システムプログラムを実行して、PLC32自身に、所定の異常が発生したことを検出する。所定の異常として、例えば、「メモリカードなし」という異常が発生したことを検出する(図4において、S31)。すなわち、図2に示すイベントコード1の異常が発生したことを検出する。そうすると、制御部35aは、図3に示すメモリ38に記憶されているコンテンツの一覧の中から、イベントコード1に該当するコンテンツを発生異常情報格納領域38aに格納する(S32)。すなわち、PLC32の所定の異常の状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納する。この場合、イベントコード1に対応するコンテンツである「メモリカードを差し込んでください」を発生異常情報格納領域38aに格納する。ここで、制御部35aは、該当PLC情報格納手段として作動する。
【0037】
そして、ユーザによりPLC32にパソコン34が接続されると、パソコン34のサポートソフト55が、PLC32側の発生異常情報格納領域38aからコンテンツを読み出す(図5において、S41)。ここで、制御部51は、該当PLC情報取得手段として作動する。そして、読み出したコンテンツをパソコン34のディスプレイ53に表示する(S42)。ここで、制御部51は、情報表示手段として作動する。
【0038】
そして、ユーザは、ディスプレイ53に表示されたコンテンツを参照し、PLC32に発生した所定の異常に対する対処法を認識して、メモリカードを取り付ける等の所定の処置を施す。
【0039】
このように、PLC32側にPLC32の動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報として、例えば文字情報を記憶しておくことにより、ユーザが保守装置であるパソコン34を用いてPLC32の動作状態を確認等する場合、パソコン34は、PLC32側からPLC32の動作状態に該当する文字情報を取得して表示することができる。したがって、従来のように、PLC32側とパソコン34側とでイベントコードで対応させて、PLC32の動作状態と文字情報とを分けて保持することがないため、PLC32の動作状態と文字情報とにズレが生じることがなく、パソコン34側で、PLC32側から取得した文字情報をそのまま表示することができる。したがって、パソコン34側で正確に表示させることができ、操作性を向上させることができる。
【0040】
また、この場合、PLC32自身に発生した異常の状態を正確に表示することができる。
【0041】
また、上記の実施の形態においては、図2に示すPLC32の動作状態を一意に示すイベントコードや、図3に示すイベントコードに対応するコンテンツが、予めPLC32のメモリ38に記憶されている例について説明したが、これに限ることなく、PLC32を使用する使用ユーザが格納できるような構成であってもよい。例えば、PLC32の製造メーカーからPLC32を使用する使用ユーザへ、CD−R等の記録媒体によって提供可能とし、使用ユーザ側で、パソコン34のサポートソフト55を用いて、コンテンツをPLC32のメモリ38に格納してもよい。
【0042】
この場合の処理の一例について説明すると、まず、PLC32にパソコン34が接続される(図6において、S51)。そして、パソコン34においてサポートソフトが起動される。そうすると、サポートソフトは、CD−R等の記録媒体に格納されているPLC32の動作状態を一意に示すイベントコード、およびイベントコードに対応するコンテンツを記録媒体からPLC32に転送する(S52)。PLC32側では、転送されたデータをメモリ38に格納する。ここで、制御部35aは、更新手段として作動する。
【0043】
このようにして、例えばPLCに新たなユニットを追加した場合であっても、製造メーカー側から使用ユーザ側に対して、新たなユニットを追加したPLCの構成に対応するコンテンツ等を格納した記録媒体を提供しておくのみで、使用ユーザ側で、記録媒体を用いて、PLC側のコンテンツを任意に更新することができる。その結果、操作性を向上することができる。
【0044】
なお、CD−R等の記録媒体に限ることなく、インターネット等を経由して提供可能としてもよい。
【0045】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。この実施の形態においては、PLC32は、その動作状態を一意に示すイベントコード、およびイベントコードに対応するコンテンツを格納しながら、一方で、パソコン34も、これらのコンテンツの全てを予めPLCから吸いあげて格納しておく。そして、PLC32は、発生異常情報格納領域38aにイベントコードのみを格納し、パソコン34は発生異常情報格納領域38aのイベントコードを読みだして、自身の有する対応するコンテンツを表示する。
【0046】
また、この吸い上げるタイミングとしては、PLC32にパソコン34を初めて接続した際や、組立時が好ましい。また、これらのタイミングに限らず、任意のタイミングでイベントコードと文字情報とをPLCからパソコンに吸い上げておいてもよい。
【0047】
また、上記の実施の形態においては、パソコン34にサポートソフト55がインストールされており、サポートソフト55を用いる例について説明したが、これに限ることなく、例えば、PLC32を監視する監視ソフトやミドルウェアがインストールされた別のパソコンを用いてもよい。
【0048】
また、PLC32に表示器を接続する構成の場合には、表示器がPLC32側の発生異常情報格納領域38aからコンテンツを読み出して表示してもよい。すなわち、表示器が保守装置として作動してもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態においては、PLC32自身に発生する異常を一意に示すイベントコードを記憶し、コンテンツとして、イベントコードに基づいて、PLC32自身に発生した異常の情報を記憶する例について説明したが、これに限ることなく、例えば、PLC32の稼動状態に関する情報であってもよいし、異常以外の他の情報であってもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態においては、PLC32自身に発生する異常を一意に示すイベントコードを記憶する例について説明したが、イベントコードについては、特に記憶する必要なく、イベントコードに対応するコンテンツを記憶しておけばよい。
【0051】
また、ユーザが所望の文字列等を作成してもよいし、メーカーが作成してもよい。
【0052】
さらに別途、インテリジェントユニットを接続し、インテリジェントユニットが、自動的に保守すべき個所を検出し、それを、PLCやパソコンのメモリに自動的に書込むようにしてもよい。
【0053】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、PLCの保守作業を行う際に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0055】
30 PLCシステム、31 機器、32 PLC、34 パソコン、35 CPUユニット、36 通信ユニット、38 メモリ、38a 発生異常情報格納領域、51 制御部、52 記憶部、53 表示画面、54 I/F部、35a 制御部、55 サポートソフト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の動作を制御するPLCと、PLCと通信回線を介して接続され、PLCの保守を行う保守装置とを備えるPLCシステムであって、
前記PLCは、
PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶する情報記憶手段と、
PLCの所定の動作状態を検出した際に、前記情報記憶手段により記憶した前記情報の中から、前記PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納する該当PLC情報格納手段とを含み、
前記保守装置は、
前記該当PLC情報格納手段により格納された前記該当PLC情報を取得する該当PLC情報取得手段と、
前記該当PLC情報取得手段により取得した前記該当PLC情報を表示する情報表示手段とを含む、PLCシステム。
【請求項2】
前記PLCは、前記ユーザがそのまま認識可能な情報と前記ユーザがそのまま認識可能な情報に対応するイベントコードとを対応付けて記憶し、
前記該当PLC情報格納手段は、前記ユーザがそのまま認識可能な情報を格納する、請求項1に記載のPLCシステム。
【請求項3】
前記保守装置は、前記情報記憶手段に記憶されたユーザがそのまま認識可能な情報と、前記ユーザがそのまま認識可能な情報に対応するイベントコードとを前記PLCから吸い上げて格納し、
前記該当PLC情報格納手段は、前記イベントコードを格納する、請求項1に記載のPLCシステム。
【請求項4】
前記ユーザがそのまま認識可能な情報は、文字情報である、請求項1〜3のいずれかに記載のPLCシステム。
【請求項5】
前記PLCの動作状態とは、PLC自身に発生した異常の状態を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のPLCシステム。
【請求項6】
前記保守装置は、前記情報記憶手段により記憶された前記情報を更新する更新手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のPLCシステム。
【請求項7】
機器の動作を制御するPLCから、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を取得し、PLCの保守を行う保守装置に表示する情報表示方法であって、
PLCにおいて、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶するステップと、
PLCにおいて、PLCの所定の動作状態を検出した際に、記憶した情報の中から、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納するステップと、
保守装置において、所定の格納部に格納された該当PLC情報を取得するステップと、
保守装置において、取得した該当PLC情報を表示するステップとを含む、情報表示方法。
【請求項8】
機器の動作を制御するPLCであって、
前記PLCは、
PLCの保守を行う保守装置と通信回線を介して接続され、
前記保守装置によって取得される情報であり、PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報を記憶する情報記憶手段と、
PLCの所定の動作状態を検出した際に、前記情報記憶手段により記憶した前記情報の中から、前記PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報を所定の格納部へ格納する該当PLC情報格納手段とを含む、PLC。
【請求項9】
機器の動作を制御するPLCと通信回線を介して接続され、PLCの保守を行う保守装置であって、
PLCの動作状態に関する情報であって、ユーザがそのまま認識可能な情報のうち、PLCの所定の動作状態に該当する該当PLC情報をPLC側の所定の格納部から取得する該当PLC情報取得手段と、
前記該当PLC情報取得手段により取得した前記該当PLC情報を表示する情報表示手段とを含む、保守装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208931(P2012−208931A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−58097(P2012−58097)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】