説明

PONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法

【課題】本発明は、目標帯域の逐次計算処理が不要で、ONU側でカウンタの具備及びフレーム端の高速サーチが不要で、割当帯域の変動を抑制しつつ、帯域利用効率の低下を抑止し、簡易な処理で公平且つ高効率な帯域割当をすることの可能な高効率且つ公平な帯域割当を少ない処理負荷でのPONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータがONUにない場合にその閾値以下の最大のフレーム端の値又はその閾値未満の最大のフレーム端の値をONUが要求帯域としてOLTに送信し、OLTは割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、帯域割当に用いるONUからの要求帯域を選択して、帯域を各ONUに割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的帯域割当方式を適用するPONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやイントラネットの急成長を背景に,大容量通信の需要が高まっており,高速光通信システムの普及が急ピッチで進んでいる中、経済的な高速光アクセスネットワークを実現するためのシステムとして、PON(Passive Optical Network)が知られている。また、PONにおいて帯域を有効利用するための動的帯域割当(DBA)が提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
DBAとして一般的な方法として、Interleaved polling with adaptive cycle time(IPACT)と呼ばれる方法がある。IPACTでは、OLTは送信時間を申告の到着順に割当する。送信時間の割当方法には、Fixed service、Limited service、Constant Credit service、Linear Credit service、Elastic serviceの5つがある。
【0004】
ここでは、特性がよいとされるLimited serviceを例にとる。Limited serviceでは、ONUの申告する蓄積量に申告に要するデータ量Wreqを加えた値が割当の重みに応じた帯域に相当する最大バースト長(maximum transmission window; MTW)を超過している場合はMTWを、要求帯域が超過していない場合は申告した帯域要求データ量にWreqを加えた値を割り当てる。帯域要求データ量の申告が零の場合は申告に要するデータ量Wreqを割り当てる。ここでONUの最大バースト長MTW又はMTWからWreqを減じた値は、それぞれの割当に関する重みに比例した値である。ONUの申告と許可が一巡するとまた初めのONUに戻って動作を繰り返す。IPACTでは、MTW以上の要求帯域がある場合も、フラグメント防止のために使用できない時間を含み、公平性が低下する課題がある。
【0005】
図8に、OLTへの到着フレームの一例を示す。図9に、IPACTを用いた送信時間の割り当て例を示す。MTWは1.5MTU(Maximum Transfer Unit、最大フレーム長)とし、2ONUが帯域要求を行う。両ONUの重みは等しいが、伝送するフレームのフレーム長が、ONU1が1MTUで、ONU2が0.75MTUで異なるとする。ここで、Wreq、プリアンブル、IFG、BOH、FEC等の効果は単純化のために無視した。以降の例でも同様である。ONU1の要求はMTWから0.5MTU欠ける1MTUで、ONU2の要求は1.5MTUで丁度MTWとする。ONU1への送信許可はMTWよりも最大フレーム長(MTU)の半分不足する2/3MTUとなり、ONU2への送信許可は1MTWとなる。このため割当帯域は2:3となり不公平な割当となることが分かる。この不公平性は全てのONUでそのフレーム長の分布が一様であれば確率的には解消される。
【0006】
しかし、ONU毎にMTWの値が異なる場合は、フレーム長の分布が一様であっても確率的にも不公平となる。この送信時間の割当方法ではMTWとバッファ内のフレーム端とが一致することはほとんど無いため、実際の送信許可とMTWとの差に相当する帯域割当が不足する。この割当不足は最大で凡そ1MTU分、例えば、バイト単位の割当であれば(1MTU−1バイト)であるため、図10に示すように、MTWの大きさに応じて不足帯域が異なることになる。この図では、縦軸の値が1に近いほど不足が少なく、離れるほど不足が大きいことを意味する。すなわち、この方式は、MTWの異なるONU間では重みに対する実際の割当帯域の比が異なるため、公平ではないといえる。例えば、MTWが1MTUの場合割当帯域の平均は52%となり、20MTUの場合98%となる。このようにMTWの値によって比が約2倍異なり、不公平であることが分かる。なお、割当不足はMTU以下の一様分布とし、平均割当帯域は十分長い観測時間での値とした。
【0007】
この課題を解決するために、二つの方法が提案されている。しかし、そのどちらの方法も新たな課題がある。
第1の従来方法は、DDRスケジューリング(deficit round−robin DRR scheduling)を用いた方法が提案されている。この方法では、ONUiは、割当の重みに応じた帯域に相当し、各許可の際に送信可能な目標バースト長Wを保持する。ここで目標バースト長W又はWからWreqを減じた値は、それぞれの割当に関する重付に比例した値である。ONUiのdeficit counterの値Sの初期値は目標バースト長Wである。ONUの要求する最大データ量又はONUの要求する要求帯域にWreqを加えた値がSの値より小さいとき、ONUは要求する要求帯域を分割無しに送信を許可される。送信しても蓄積データが残っている場合はSに(w−要求帯域)を加える。要求帯域の申告が零の場合は申告に要するデータ量Wreqを許可する。ONUの申告と許可が一巡するとまた初めのONUに戻って動作を繰り返す。
【0008】
但し、deficit counterの値Sは、送信によりONUの蓄積データ又は入力データ量が零又は所定の値以下となる場合はSの値を初期値に戻すかSに上限又は下限を規定する。この初期値に戻す動作もせずSに上限又は下限を設定しない場合、異常値となる恐れがある。これは、入力データ量が少なく蓄積データ量が少ない状態が継続する場合である。このような場合、Sの値は周期毎に(W−要求帯域)が積算されて無限大まで増大する。これは、Sはフラグメントのために発生する割当不足を次周期の割当許可に持ち越すことで解消するためのものであり、入力データ量の不足を次周期に持ち越すためのものではないからである。例えば所定の値として、Sから要求帯域を減じた値がMTU以下となる場合である。上限の例として例えばMTU未満となる値、例えばバイト単位で処理する場合MTUから1バイト減じた値とすればよい。
【0009】
図11に、DDRスケジューリングを用いた送信時間の割り当て例を示す。図11に示すようにONU1の要求帯域及び送信許可は1MTU、2MTUと繰り返し、帯域割当の平均は1.5MTUとなりONU2と同じとなることがわかる。しかし、この方法では、ONU側でカウンタを有する必要があり、ONU側の実装が重くなる課題がある。ONU側にカウンタを実装せずにSをOLTから申告の度毎に逐次通知する方法も考えられるが、この場合、申告毎にOLTからONUにSの値を通知し、ONUは申告までの短い時間でSに応じたフレーム端を高速サーチする必要があり、より困難度が向上する。
【0010】
第2の従来方法は、一つの閾値以下の最大のフレーム端の値とONUの全蓄積データ量を申告する方法である。この方式は概ね一定長の帯域割当周期での割当を想定している。閾値として、1MTU以上の値か、保証帯域に対応する帯域割当周期でのデータ量の値である(これ以降、Wreq相当分は無視するが、無視しない場合の説明も、Wreq相当分を加算すれば同様である。)。図12に、その模式図を示す。ここで、閾値は1MTUとした。図12に示すようにONU1の要求帯域は1MTUとONUの全バッファ長、ONU2の要求帯域は1MTUとONUの全バッファ長となる。送信許可はそれぞれ1MTUと固定の帯域割当周期から、もう一方のONUに割り当てる1MTU長以下を減じた値の繰り返しである。例えば割当周期が800MTU相当である場合、ONU1の割当周期毎の割当は799MTU相当と1MTU相当の繰り返し、ONU2の割当周期毎の割当は0.75MTU相当と799MTU相当と800MTU相当の繰り返しであり、長い時間の平均として割当帯域は同じとなる。
【0011】
しかし、この方法では、割当周期毎の割当帯域の変動が激しく、上り割当帯域を目標値へ短い時間で収束できない課題があった(例えば、非特許文献2)。また、割当周期毎に各ONUの目標帯域自体が変動するためにその逐次計算処理と、不足カウンタのリセット処理が煩雑であることが知られている(例えば、非特許文献1)。このため、PONの多分岐化、更には複数のPONを束ねて、それらのPONに収容するONUに対して一括で帯域割当処理を行う集約型のPON、複数の波長の内の1又は幾つかの波長を選択して通信するONUに対して一括で帯域割当処理を行うスタックドPONあるいはWDM/TDM−PON等に実装するためには処理負荷の軽減が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「Passive Optical Networks Principles and Practice」、CEDRIC F. LAM,2007,Elsevier Inc.,p.221−242
【非特許文献2】「1G/10GデュアルレートEPONに適した動的帯域割当方法:要求量しきい値の更新をソフトウェア処理により実現する方法」、村山大輔、太田憲行、鈴木謙一、三鬼準基、吉本直人、雲崎清美、2009年6月通信方式電子情報通信学会技術研究報告.vol.109(116),pp.115−120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
目標帯域の逐次計算が不要という観点からは、IPACTは魅力的であるが、公平且つ高効率な割当ができない問題がある。
【0014】
公平且つ高効率な割当という観点ではdeficit counterを用いた方法が好ましいが、第1の従来の方法はONU側に積算カウンタが必要であり、そのリセット処理が困難であるという問題が、第2の従来の方法は目標帯域の逐次計算が必要で計算処理が重いという問題がある。そのため、PONの多分岐化、更には複数PONを束ね、それぞれが収容するONUに対して一括して帯域を割り当てるような構成は困難である。
【0015】
そこで、本発明は、目標帯域の割当周期毎の逐次計算処理が不要で、ONU側で割当帯域に対応する申告データ量の過不足をカウントするカウンタを必要とせず、OLTからの動的な申告のための閾値変更を受信してONU側での短時間でのフレーム端の高速サーチが不要で、割当周期毎の割当帯域の変動を抑制することが可能な高効率且つ公平な帯域割当を少ない処理負荷でのPONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係るPONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法は、所定の閾値、例えば当該ONUに保証する保証帯域又は割当の重みに応じた帯域相当のデータ量を超過する帯域要求対象のデータがONUにある場合にその閾値以下の最大のフレーム端の値とその閾値より大きいフレーム端の値又はその閾値未満の最大のフレーム端の値とその閾値以上のフレーム端の値を、その閾値を超過する帯域要求対象のデータがONUにない場合に少なくともその閾値以下の最大のフレーム端の値又はその閾値未満の最大のフレーム端の値をONUが要求帯域としてOLTに送信し、OLTは割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、各ONUに割り当てる上り信号の帯域割当に用いる要求帯域を選択するか又は所定の閾値以下又は未満の最大のフレーム端の値をOLTに送信し、OLTは割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、各ONUに割り当てる頻度を変更する。
【0017】
具体的には、本発明に係るPONシステムは、複数のONU(Optical Network Unit)とOLT(Optical Line Terminal)が光ファイバで接続されたPON(Passive Optical Network)システムであって、前記ONUは、当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに割り当てられた重みに応じた帯域に相当するデータ量に応じた予め定められた閾値を有し、前記閾値を超過する帯域要求対象のデータを当該ONUが蓄積する場合には、前記閾値以下の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、前記閾値未満の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信し、当該所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータが当該ONUにない場合は、前記閾値以下の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、その閾値未満の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信し、前記OLTは、予め定められた周期の間に前記上り信号を割り当てた割当帯域の平均値を前記ONUごとに算出し、算出した前記平均値が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、当該ONUへの割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで、当該ONUに割り当てる頻度を変更する。
【0018】
本発明に係るPONシステムは、ONUは固定的な閾値に基づき帯域要求をし、OLTはONUへの割当帯域の平均値が固定的な目標帯域に近づくように当該ONUの帯域割当に用いる要求帯域を選択して上り信号の帯域割当をするため、ONU側で割当帯域に対応する申告データ量の過不足をカウントするカウンタを必要とせず、OLTからの動的な申告のための閾値変更とそれに伴う高速なフレーム端サーチを要さない。また、割当帯域の平均値が目標帯域に近づくように帯域割当をするため、割当周期毎の割当帯域の変動が少なく、目標帯域の逐次計算が不要となる。したがって、本発明に係るPONシステムは、高効率且つ公平な帯域割当を少ない処理負荷で実現することができる。
【0019】
本発明に係るPONシステムでは、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、2以上の要求帯域をOLTに送信し、前記OLTは、1つの前記ONUから2以上の前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、2以上の前記要求帯域のそれぞれを仮の割当帯域に設定し、当該2以上の仮の割当帯域を用いて前記平均値を算出し、当該算出した2以上の平均値のうちの前記目標帯域に最も近い平均値を判定し、当該判定した平均値のときの前記仮の割当帯域に相当する送信時間を前記1つのONUに割り当ててもよい。
【0020】
本発明に係るPONシステムでは、前記各ONUは、前記予め定められた閾値として、前記目標帯域を用いて算出され、かつ、前記目標帯域相当以下の値と前記目標帯域相当より大きい値の組合わせ又は前記目標帯域相当未満の値と前記目標帯域相当以上の値の組合せとなる2以上の閾値を有し、前記閾値以下で最大のフレーム端の値を前記閾値ごとに求め、求めた前記閾値ごとの最大のフレーム端の値を前記2以上の要求帯域として前記OLTに送信してもよい。
【0021】
本発明に係るPONシステムでは、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、1つの要求帯域を前記OLTに送信し、前記OLTは、1つの前記ONUから1つの前記要求帯域を前記上り信号の要求帯域として受信し、当該要求帯域を用いて平均値を算出し、当該算出した平均値と前記目標帯域とのずれが一定値を超えたか否かを判定し、超えた場合には前記1つのONUへの割当頻度を高めてもよい。
【0022】
具体的には、本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法は、複数のONU(Optical Network Unit)とOLT(Optical Line Terminal)が光ファイバで接続されたPON(Passive Optical Network)システムにおける帯域割当方法であって、前記ONUが、当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに割り当てられた重みに応じた帯域に相当するデータ量に応じた予め定められた閾値を有し、前記閾値を超過する帯域要求対象のデータを当該ONUが蓄積する場合には、前記閾値以下の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、前記閾値未満の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として前記OLTに送信し、当該所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータが当該ONUにない場合は、前記閾値以下の最大のフレーム端の値を当該ONUの要求帯域として送信するか、或いは、その閾値未満の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として前記OLTに送信する要求帯域送信手順と、前記各ONUに前記上り信号の送信時間を割り当て、割り当てた送信時間に応じた割当帯域の1周期当たりでの平均値を前記ONUごとに算出し、算出した平均値が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、当該ONUへの割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで、当該ONUに割り当てる頻度を変更する上り信号割当手順と、を順に有する。
【0023】
本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法は、要求帯域送信手順と、上り信号割当手順と、を有し、ONUは固定的な閾値に基づき帯域要求をし、OLTはONUへの割当帯域の平均値が固定的な目標帯域に近づくように当該ONUの帯域割当に用いる要求帯域を選択して上り信号の帯域割当をするため、ONU側で割当帯域に対応する申告データ量の過不足をカウントするカウンタを必要とせず、OLTからの動的な申告のための閾値変更とそれに伴う高速なフレーム端サーチを要さない。また、上り信号割当手順において割当帯域の平均値が固定的な目標帯域に近づくように帯域割当をするため、割当周期毎の割当帯域の変動が少なく、目標帯域の逐次計算が不要となる。したがって、本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法は、高効率且つ公平な帯域割当を少ない処理負荷で実現することができる。
【0024】
本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法では、前記要求帯域送信手順において、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、2以上の要求帯域を前記OLTに送信し、前記上り信号割当手順において、前記OLTは、1つの前記ONUから2以上の前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、2以上の前記要求帯域のそれぞれを仮の割当帯域に設定し、当該2以上の仮の割当帯域を用いて前記平均値を算出し、当該算出した2以上の平均値のうちの前記目標帯域に最も近い平均値を判定し、当該判定した平均値のときの前記仮の割当帯域に相当する送信時間を前記1つのONUに割り当ててもよい。
【0025】
本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法では、前記各ONUは、前記予め定められた閾値として、前記目標帯域を用いて算出され、かつ、前記目標帯域相当以下の値と前記目標帯域相当より大きい値の組み合わせ又は前記目標帯域相当未満の値と前記目標帯域相当以上の値の組合せとなる2以上の閾値を有し、前記閾値以下で最大のフレーム端の値を前記閾値ごとに求め、求めた前記閾値ごとの最大のフレーム端の値を前記2以上の要求帯域として前記OLTに送信してもよい。
【0026】
本発明に係るPONシステムにおける帯域割当方法では、前記要求帯域送信手順において、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、1つの前記要求帯域を前記OLTに送信し、前記上り信号割当手順において、前記OLTは、1つの前記ONUから1つの前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、当該要求帯域を用いて平均値を算出し、当該算出した平均値と前記目標帯域とのずれが一定値を超えたか否かを判定し、超えた場合には前記1つのONUへの割当頻度を高めてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、本発明は、目標帯域の割当周期毎の逐次計算処理が不要で、ONU側で割当帯域に対応する申告データ量の過不足をカウントするカウンタを必要とせず、OLTからの動的な申告のための閾値変更を受信してONU側での短時間でのフレーム端の高速サーチが不要で、割当周期毎の割当帯域の変動を抑制することの可能な高効率且つ公平な帯域割当を少ない処理負荷でのPONシステム及びPONシステムにおける帯域割当方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態1のPONシステムの第1の構成を説明する概念図である。
【図2】実施形態1のPONシステムの第2の構成を説明する概念図である。
【図3】第1の帯域割当方法の一例を示す模式図であり、(a)は要求帯域を示し、(b)は割り当てられた送信時間を示す。
【図4】従来例で示した第2の従来方法(従来の複数リクエスト方式)と本実施形態の第1の帯域割当方法との比較を示す。
【図5】第1の帯域割当方法の目標帯域に対する割当帯域の推移の例を示す。
【図6】実施形態2のPONシステムの第1の構成を説明する概念図である。
【図7】実施形態2のPONシステムの第2の構成を説明する概念図である。
【図8】OLTへの到着フレームの一例を示す。
【図9】IPACTを用いた送信時間の割り当て例であり、(a)は要求帯域を示し、(b)は割り当てられた送信時間を示す。
【図10】IPACTを用いた場合の目標帯域に対する平均帯域の比の一例を示す。
【図11】DDRスケジューリングを用いた第1の従来方法であり、(a)は要求帯域を示し、(b)は割り当てられた送信時間を示す。
【図12】一つの閾値以下の最大のフレーム端の値とONUの全蓄積データ量を申告する第2の従来方法であり、(a)は要求帯域を示し、(b)は割り当てられた送信時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0030】
(実施形態1)
図1は、実施形態1のPONシステムの第1の構成を説明する概念図である。図1のPONシステム301はONU側に波長の可変機能を付与した例である。PONシステム301は、複数のONU100と、光伝送路50と、ONU100との間で信号光を送受するOLT200と、ONU100の送信機17又は受信機16の波長と帯域を割振る制御装置(不図示)を備える。
【0031】
ONU100は、光伝送路50でOLT200と接続され、OLT200との間で信号光を送受する送受信機と、を有する。図1及び以降の図では、送受信機を送信機17及び受信機16で示している。送信機17は、送信波長として選択可能な波長のうちの1波長の信号光を送信する。ここで、選択可能な波長のうちの1波長とは、例えば、同一の波長グリッドを透過する波長である。波長グリッドは、規格毎に波長幅が異なる。例えば、CWDMは20nm間隔で、あるDWDMは100GHz間隔(1550nm帯で0.8nm相当)である。従って、CWDMの1波長には複数のDWDMの波長が含まれる。選択可能な波長のうちの1波長にはCWDMの波長グリッドに従うものであれば、DWDMの異なる波長が含まれる。
【0032】
さらに、ONU100は、光合分波器15と、フィルタ18を有する。光合分波器15は、光伝送路50からの下り信号光を受信機16に結合し、送信機17からの上り信号光を光伝送路50に結合する。フィルタ18は、受信波長として選択可能な波長のうちの1波長の信号光を選択して透過させる。そして、フィルタ18は、透過させる信号光の波長を調整することができる。このため、ONU100は、受信波長として選択可能な波長から所定の波長の信号を選択して受信できる。なお、送信機の波長可変性とフィルタの波長可変性の代わりに複数の波長の送信機と受信機を備え、いずれかの送信機といずれかの受信機を使用することとしてもよい。このことは本実施形態の他のPONシステムの構成でも同様である。
【0033】
OLT200は、光伝送路50からの光を波長で分波する光合分波器25と、光合分波器25からの信号光をそれぞれ受光する受信機26と、それぞれ異なる波長の信号光を送信する複数の信号光を送信する送信機27を有する。光合分波器25は、例えば、波長フィルタであり、送信機27からの信号光を光伝送路50へ出力し、光伝送路50からの信号光を受信機26に結合する。受信機26は、例えば、フォトダイオードである。
【0034】
光伝送路50は、送信機17からの信号光を合波して受信機26に結合し、送信機27からの信号光を分岐して受信機16に結合する。
【0035】
ここで、OLT200は、光合分波器25で分波して波長毎に受信機26で受信するため、異なる波長として分波される信号光をそれぞれ異なる受信機26にて同時に受信するが、同一波長として分波される異なる送信機17からの信号光を受信機26にて同時に受信しない。なお、信号光が2値の強度信号の場合も、送信機毎に受信機26に到着する強度が異なり、複数信号光の重なった入力を異なる値の多値信号として受信できる場合は同時に受信しても良い。
【0036】
ここでは同一波長として分波される異なる送信機17からの信号光を受信機26にて同時に受信しないとし、PONシステム301は、同一波長として受信する異なる送信機17からの信号光が同時に受信機26に到着しないように、送信機17に対して送信可能時間を指定する。上述のようにPONシステム301は、制御機が送信機17に対して信号光を送出できる波長と時間として帯域を割り当て、送信機からの信号光を時分割多重する。
【0037】
図2は、実施形態1のPONシステムの第2の構成を説明する概念図である。図2のPONシステム302はOLT側に波長の可変機能を付与した例である。PONシステム302は、複数のONU100と、光伝送路50と、ONU100との間で信号光を送受するOLT200と、OLT200の送信機27からの信号光の波長を割り振ることでONU100の受信機16に信号光を、OLT200の受信機26への波長を割り振ることでONU100の送信機17からの信号光を受信機26に割り振る制御装置(不図示)を備える。
【0038】
ONU100は、光伝送路50でOLT200と接続され、OLT200との間で信号光を送受する送受信機と、を有する。送信機17は、選択可能な波長のうちの1波長を予め設定され、その波長の信号光を出力する。
【0039】
さらに、ONU100は、光合分波器15と、フィルタ18を有する。光合分波器15は、光伝送路50からの下り信号光を受信機16に結合し、送信機17からの上り信号光を光伝送路50に結合する。フィルタ18は、受信波長として選択可能な波長のうちの1波長のうちの予め設定された信号光を選択して透過させる。そして、フィルタ18は、透過させる信号光の波長を調整することができる。このため、ONU100は、受信波長として選択可能な波長から所定の波長の信号を選択して受信できる。
【0040】
なお、フィルタ18はONU100が有するとしたが、同等の機能が光伝送路50中、例えばスプリッタ55に備えている場合はONU100が備えなくてもよい。例えば、スプリッタ55がフィルタ18で選択する波長をONU100に接続するAWG等の光合分波器である場合である。また、送信機17も、その送信した信号光が光伝送路50中で波長選択性のある光合分波器等により選択されるのであれば、選択可能な波長のうちの予め設定された1波長の信号光を出力する代りに選択可能な複数の波長を含む広帯域な光を送出する光源であってもよい。
【0041】
OLT200は、光伝送路50からの光を合分岐する光合分岐器25aと、光合分岐器25aからの信号光を制御機が指定した選択可能な波長を選択するフィルタ28を介してそれぞれ受光する複数の受信機26と、制御機が指定した選択可能な波長の信号光をそれぞれ送信する複数の送信機27を有する。
光合分波器25aは、例えば、パワースプリッタであり、送信機27からの同一のあるいは異なる波長として分波される信号光を光伝送路50へ出力し、光伝送路50からの送信機17からの同一のあるいは異なる波長として分波される信号光を、フィルタ28に出力し、フィルタ28を介して受信機26に結合する。受信機26は、例えば、フォトダイオードである。
【0042】
光伝送路50は、送信機17からの信号光を合波して受信機26に結合し、送信機27からの信号光を分岐して受信機16に結合する。ここで、OLT200の送信機27は複数のONU100の受信機16へ信号光を送信するが、OLT−ONU間の利用効率向上の観点からそれぞれ同時に同一のONU100と通信しないのが好ましい。
【0043】
そこで、制御機は同一波長として受信する信号光が同時に受信機16に到着しないように、送信機27に対して波長を切り替えるあるいは送信可能時間を指定する。なお、利用効率は低下するが、冗長化を目的として複数の送信機27からの信号光が、受信機16において同一の情報が位相を揃えて到着する場合は、複数の送信機27から同一波長として受信する信号光が同時に同一の受信機16に到着してもよい。また制御機は複数の送信機17からの信号光が同時に受信機26に到着しないように、送信機17に対して送信可能時間を指定する。なお、利用効率は低下するが、冗長化を目的として複数の受信機26が、単一の送信機17からの信号光を同時に受信しても良い。上述のようにPONシステム302は、制御機が送受信機(26、27)に対して信号光を送出する波長と時間としてそれぞれのONU100に帯域を割り当て、送信機17からの信号光を波長分割多重且つ時分割多重する。
【0044】
図1のPONシステム301と図2のPONシステム302を組み合わせたPONシステムの構成としてもよい。このPONシステムの構成は、波長の可変性をONUとOLTの両方で有している構成である。このため、波長の可変性の制限等の関係から波長の可変範囲や同一波長として分波する波長の範囲に違いがあるとしても、ONUの構成はPONシステム301の構成と同様であり、OLTの構成はPONシステム302の構成と同様である。その他はPONシステム301及びPONシステム302の構成と同様である。
【0045】
時分割多重に際し、本実施形態では、PONシステムにおける帯域割当方法を実行する。PONシステムにおける帯域割当方法は、要求帯域送信手順と、上り信号割当手順と、を順に有する。要求帯域送信手順では、複数のONU100が、所定の閾値、例えば当該ONUに保証する保証帯域又は割当の重みに応じた帯域相当のデータ量(最大伝送窓Wとする)を超過する帯域要求対象のデータがONUにある場合にその閾値以下の最大のフレーム端の値とその閾値より大きいフレーム端の値又はその閾値未満の最大のフレーム端の値とその閾値以上のフレーム端の値を、所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータがONUにない場合にその閾値以下の最大のフレーム端の値又はその閾値未満の最大のフレーム端の値をONU100からOLT200への上り信号Sの送信時間の割り当てを要求する旨の帯域要求としてOLT200に送信する。上り信号割当手順では、OLT200が、予め定められた時間に上り信号を割り当てた割当帯域の平均値をONUごとに算出し、算出した平均値が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、各ONUに割り当てる上り信号の帯域割当に用いる要求帯域を選択するか又は所定の閾値以下又は未満の最大のフレーム端の値をOLTに送信し、OLTは割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち目標帯域に近づくように、各ONUに割り当てる頻度を変更する。
【0046】
具体的には、以下の第1の帯域割当方法又は第2の帯域割当方法を行う。
<第1の帯域割当方法>
第1の帯域割当方法では、目標帯域と目標帯域に最大フレーム長以上の値を加えた値に相当する2つの申告のための閾値をONUに設定し、各周期の割当帯域の平均が目標帯域に近づくように、申告された2値のうちから割当に用いる値を選択する。例えば、第1の帯域割当方法では、要求帯域送信手順において、各ONU100は、目標帯域を用いて算出されかつ帯域要求する値が目標帯域相当以下の値と目標帯域相当より大きい値の組み合わせ又は目標帯域相当未満の値と目標帯域相当以上の値の組合せとなる2以上の閾値を有し、閾値以下で最大のフレーム端の値を閾値ごとに求め、求めた閾値ごとの最大のフレーム端の値を2以上の要求帯域としてOLT200に送信する。
【0047】
そして、上り信号割当手順において、OLT200が、1つのONU100から2以上の要求帯域を上り信号Sの要求帯域として受信し、2以上の要求帯域のそれぞれを仮の割当帯域に設定し、当該2以上の仮の割当帯域を用いて平均値を算出し、当該算出した2以上の平均値のうちの目標帯域に最も近い平均値を判定し、当該判定した平均値のときの仮の割当帯域に相当する送信時間をONU100ごとに割り当てる。
【0048】
目標帯域に応じた複数の閾値を設定し、それぞれの閾値を超過しない最大のフレーム端の値を申告し、OLTは二つの閾値のいずれかの申告値に従って送信時間を許可する。目標帯域としてONUで割当可能な帯域、すなわちある周期でONUに割当可能な全データ量を帯域要求のあるONU間で、その割当の重み、例えば、保証帯域比で割当した値を例にとって説明するが、割当可能な全データ量が固定的な帯域分を減じたデータ量を割当する計算でも、優先度に応じて完全優先や、ONUの重みに更に優先度に応じた重みを乗じた重みの比で割当する計算でも、通信断がない場合に適用されるその他の計算方法に従う目標帯域の計算であってもよい。このことはこれ以降に説明する実施形態でもあっても同様である。
【0049】
ここで、二つの申告値が異なる場合に、目標帯域から許可したデータ量を減じた値を加算するカウンタをOLTがONU毎に有する。ONUに対するカウンタ値Dとする。Dの初期値は例えば零とする。OLTはDの絶対値を小さくするように二つの申告値から送信許可に用いる申告値を選択する。ここで、ONUの蓄積データ量が目標帯域以下である場合は両閾値に応じた申告量は同一となる。この二つの申告値が一致した場合や申告値が十分小さい値例えば目標帯域から最大フレーム長を減じた値以下になった場合にDは初期値に戻してもよい。このように本願のリセット処理は容易である。なお、この例でもDを指数平滑平均することにすれば、初期値に戻さなくても良い。
【0050】
図3は、第1の帯域割当方法の一例を示す模式図である。ONU1の要求帯域は1MTUと2MTU、ONU2の要求帯域は1.5MTUと2.25MTUとなる。送信許可は、ONU1では1MTUと2MTUの繰り返しで、ONU2では1.5MTUの繰り返しであり短い周期の平均でどちらも1.5MTU相当となることがわかる。この演算は例えば以下のように詳説できる。
【0051】
図4に、本実施形態の第1の帯域割当方法と従来例で示した第2の従来方法(従来の複数リクエスト方式)との比較を示す。i番目のONUは、ONUの最大伝送窓Wを第1の閾値とし、(2)最大伝送窓Wに1MTU以上を加えた値を第2の閾値とする。そして、周期kに、第1の閾値以下の最大のフレーム端の値Rsi,kと、第2の閾値以下の最大のフレーム端の値Rbi,kと、の2値をOLTに申告する。
【0052】
第2の閾値を設定するために最大伝送窓Wに加える値は、収束の幅を小さくする観点からは1MTUであることが好ましい。OLTは最大伝送窓Wから周期kでの割当帯域Gi,kを減じた値を不足カウンタ値Di,kに積算する。送信許可に用いる要求帯域の選択は、不足カウンタ値Di,k−1が正の場合にフレーム端の値Rbi,k、非正の場合はフレーム端の値Rsi,kとする。ここで、目標帯域の逐次計算は不要である。このとき、不足カウンタ値Di,kは±1MTUの範囲で変動するため、第2の従来方法における不足カウンタ値の変動幅も小さい。リセットは必要に応じてフレーム端の値Rbi,k=Rsi,kの所定回数、例えば1〜数回の継続を条件として行えばよく、容易に実現できる。
【0053】
また、本実施形態の第1の帯域割当方法では従来のIPACTと比べてMTW(ここでは最大伝送窓W)の値によらずに公平性を保つ例を示す。図5に、第1の帯域割当方法の目標帯域に対する割当帯域の推移の例を示す。ここで、簡易化のため、閾値に対するリクエストの差は一様分布の場合の平均とした。例として、最大伝送窓Wが1MTUと20MTUの場合の各周期の割当帯域の目標帯域に対する比を●と▲で、平均値を細実線と太実線で示した。図5に示すように、交互にフレーム端の値Rsi,kとフレーム端の値Rbi,kに従った割当、即ち目標帯域以下と以上の割当となり、割当帯域の目標帯域に対する比の平均は15周期で最大伝送窓Wが1MTUの場合目標帯域の±2%の範囲に、20MTUの場合±0.2%の範囲に収束する。このように第1の帯域割当方法では最大伝送窓Wの大きさによらずに、公平であることが分かる。他方、従来のIPACTでは図10に示すように割当帯域の目標帯域に対する比の平均は最大伝送窓Wが1MTUの場合52%、20MTUの場合98%であり、Wの値によって比が約2倍異なり、不公平である。
【0054】
なお、図4では、二つの閾値の差を1MTUとしているが、単一の閾値として、その閾値を超えない最大のフレーム端とその閾値を超えたフレーム端がある場合は閾値を超過した最初のフレーム端の2値を、その閾値を超えたフレーム端がない場合は単一の要求帯域又は同じ値の要求帯域をもって送信許可としてもよい。この場合も図4の場合と同様に不足カウンタ値Di,kの変動は±1MTUの範囲となる。リセットの条件も図4と同様としてもよい。
【0055】
<第2の帯域割当方法>
第2の帯域割当方法では、目標帯域に相当する1つの申告のための閾値をONUに設定し、各周期の割当帯域の平均の目標帯域からのずれが、所定の値、例えば1MTUや最大伝送窓Wに近づくと割り当てる回数を増やす。例えば、上り信号割当手順において、OLT200が、1つのONU100から1つの要求帯域を上り信号Sの要求帯域として受信し、割当帯域の平均値を算出し、当該算出した平均値と目標帯域とのずれが一定値を超えたか否かを判定し、超えた場合には前記1つのONUへの割当頻度を高める。一定値とは例えば最大フレーム長又は最大伝送窓Wである。
【0056】
具体的には、送信許可を与える頻度を、カウンタ値の変化に応じて増やす。例えば、カウンタ値による割当不足が1周期での割当帯域相当に近似した場合に頻度を増加する。カウンタ値の変化が、ONUが通信に用いる波長の切替等に伴う通信断等による場合、カウンタ値の変化は甚だしく増加することがあるが、その際、カウンタ値の通信断前後の一巡目でまとめて変更しても良いし、複数の巡回に平均してもよい。例えば1巡又は2巡する間である場合、10巡の間に11回又は12回許可するとしてもよい。この方法では、第1の帯域割当方法と同様に、通信断に伴う送信許可を与える頻度の変更を通常の送信許可と異なる特別な方法を用いた通知等で双方が認識する必要がない点で優れる。なお送信許可を与える頻度は通信断時間相当の値の例で示したが、例えば何周期分通信断があっても1周期分とする等のそれ以外の値であっても良い。
【0057】
上記のように、実施形態1に係るPONシステムにおける帯域割当方法では、目標帯域の逐次計算処理が不要で、ONU側で割当帯域に対応する申告帯域をカウントするカウンタを必要とせず、OLTからの動的な申告のための閾値変更を受信してONU側での短時間でのフレーム端の高速サーチが不要で、割当周期毎の割当帯域の変動を抑制しつつ、帯域利用効率の低下を抑止し、簡易な処理で公平且つ高効率な帯域割当をすることができる。
【0058】
以上の説明では、ONU100がデータをやり取りするOLT200側の送受信機が変化しない場合を例にとり説明をしているが、ONU100がデータのやり取りをするOLT側の送受信機を変更する場合にも拡張することが出来る。更に、この拡張は、グループに収容替えをする場合以外にも、通信断が発生する場合全般に有効である。以下、OLT内の同一の送受信機とデータのやり取りをするONU群をグループと呼ぶことがある。例えば、OLTのパッケージ入れ替えや、ONUの信号光を集約したファイバの強制切替に伴いONUを再起動する場合である。この場合、ONU毎に起動するまでの時間が異なるため、ONUへの割当帯域は再起動までの待ち時間の長さに応じて減少することになる。また、省電力等のためにONUがスリープを行う場合も同様である。この場合は、ONU毎にスリープ時間が異なり、特にスリープ機能を有するONUと有さないONUの間で割当帯域が不公平となる。スリープの場合、再起動する場合と比べて頻繁に発生するので割当帯域のONU間差が大きくなる。
【0059】
本願では、通信断に伴い、帯域要求がOLTに伝わらないONUの不足カウンタ値Di,kで示される過剰割当帯域の減衰を抑制するようにカウンタを補正する点で異なる。具体的には、制御機は、カウンタの補正のため、通信断の際の目標帯域をカウンタに積算しておくことで、実効的に変更する。なお、例えば、本願実施形態4のように通信断の前後でOLT内の同一の送受信機とデータのやり取りをしてもよい(同一のグループであってもよい)。更に、通信断の前からカウンタ値が非正の値で、通信断がなかった場合に通信断の最中に帯域要求がないと想定されるONUに関してはカウンタ値の補正をしなくてもよい。
【0060】
逆に、通信断がなかった場合に通信断の最中に帯域要求がありそうなONUについては、特に補正する必要がある。通信断がなかった場合に通信断の最中に帯域要求がありそうなONUとは、現在蓄積しているデータの割当が未了のONU、丁度割当が終わっているが直前まで割当があったONU、及び通信断の間に割当がありそうなONU(例えば、PONの帯域に比べて要求帯域が少なく、数〜数10周期に1回帯域要求するような場合で丁度通信断のときに帯域要求する周期となるONU)である。蓄積しているデータ相当の割当が未了かどうかの判別のためには、閾値以上の蓄積データの有無を通知する通知、例えば総蓄積データ量の通知があるのが好ましい。
【0061】
通信断に伴い、変更する目標帯域の範囲として2通りある。第1の目標帯域の範囲は通信断中のONUの目標帯域のみを変更の範囲とし、第2の目標帯域の範囲は、通信断中のONUに加えてグループを構成する他のONUの目標帯域も変更の範囲とする。第1の範囲では、変更対象が通信断のONUに限定されるため、変更が軽微である。但し、補正が限定的である。第2の範囲では、通信断時間が長い場合、通信断ではないONUのカウンタ値が過大に積み増しされる。この場合、例えば、カウンタ値が大きい順に割り当てをする。又は大きい順に大きい閾値でデータ量を割り当てる、又は割当する頻度を多くする。ここで、カウンタ値がある所定の範囲内にある場合は同じ順位として、同順位内では巡回的に大きい順とみなして割当してもよい。所定の範囲は、例えば、通信断に起因するカウンタ値の積み上がりの程度の差の範囲である。
【0062】
<第1の目標帯域の範囲>
第1の目標帯域の範囲では、目標帯域の計算の仕方は例えば以下である。
(1)各周期における通信中のONUの重みの総和又は総和に該当する通信断中のONUの重みを加えた値に対する当該ONUの重みで、ONU間で割当可能な帯域を割当した目標帯域を用いる。また、目標帯域の計算で用いるグループは、通信断前のグループでもよいし通信断後のグループでもよく、通信断の途中で一方から他方に切り替えてもよい。また、この通信断中の目標帯域の計算は、少なくとも当該ONUのカウンタ値が正の値、零、十分大きな値、又はOLT内の同一送受信機とデータのやり取りをする他のONUと同等の値になるまでで、その後は積み上げしなくてもよい。同等の値とは、例えば、通信断がない場合にカウンタがとりうる値の範囲又はその平均値、十分大きな値とは、例えば、通信断がない場合にカウンタがとりうる値である。目標帯域の計算で用いるグループの切替も、例えば当該ONUのカウンタが正の値又は零又は十分大きな値になるまででよい。帯域要求のないONUの目標帯域を零とする、又は当該ONUへの割当をスキップすることである。
【0063】
(2)以下のいずれかを当該目標帯域を通常算出に用いる時間で除し、通常算出に用いる時間に通信断の時間を加えた時間を乗じた目標帯域を用いる。通常計算に用いる時間とは、例えば、全ONUに対して帯域を割り当てるに要する時間である。
【0064】
i)通信断前の目標帯域
ii)所定の期間におけるその平均値
iii)通信断前の割当帯域
iv)所定の期間におけるその平均値
v)通信断前の要求帯域
vi)所定の期間におけるその平均値
vii)通信断前の使用帯域
viii)所定の期間におけるその平均値
ix)通信断後の目標帯域
x)通信断後の要求帯域
【0065】
ここで平均値としては、単純な平均、最頻値、中央値、指数平滑移動平均等のいずれを用いてもよいが、当該カウンタの算出に用いるのと同等の平均であることが好ましい。同等の指数平滑移動平均である場合、収束の仕方が同等となる。又、要求帯域、割当帯域、使用帯域を用いる場合、所定の期間の平均値であることが好ましい。これは、要求帯域、割当帯域、使用帯域が周期毎で通常変動するためである。また、(1)と同様に、この通信断中の目標帯域の計算は、当該ONUのカウンタが正の値又は零又は十分大きな値になるかグループの他のONUと同等の値になるまでで、その後は通信断によるカウンタの補正を休止してもよい。
【0066】
(3)通信断中にカウンタを指数平滑移動平均で積算する場合に、カウンタ値が正の場合は指数平滑移動平均の係数を1とする。カウンタ値は通信断の間一定の値となり、通信断の間は継続してカウンタ値が変化しないカウンタ値の減衰を抑制することとなる。
第1の範囲、即ち通信断のONUの目標データの計算を変更する場合、(1)(2)で
当該ONUのカウンタ値が正の値、零、十分大きな値、又はグループの他のONUと同等の値に到達した後も、通信断によるカウンタの補正を継続する場合、通信断のONUのみカウンタ値が積み上がる。この積みあがったカウンタ値が指数平滑移動平均によって平滑化する前に優先的に割り当てると、通信断の有無によるONU間の割当帯域の不公平が改善する。但し、通信断後のカウンタ値の総和及びその平均が、通信断で積みあがったカウンタのために正の方向にずれ平衡が崩れる。
【0067】
これに比べ、(1)(2)で、当該ONUのカウンタ値が正の値、零、十分大きな値、又はグループの他のONUと同等の値に到達した後に通信断によるカウンタの補正を休止する場合は、カウンタ値の積み上がりを抑制するため、平衡が崩れる課題はない。この場合、通信断前の過剰割当分を通信断中に解消するため、通信断前の過剰割当分があるONUに対する通信再開後に割当が減らされる割当帯域の過剰な減少の問題の解決となる。但し、通信断中の割当不足の補填はなされない。
【0068】
(3)では、通信断前の割当が過小でありカウンタ値が正であったONUのカウンタ値が指数平滑移動平均によって縮小することが無いので、通信再開後に通信断前の正のカウンタ値分を通信再開後に割当できるため、不公平性の問題は部分的にではあるが解決しているのは、(1)(2)で途中からカウンタ値の補正を休止する場合と同様である。
【0069】
(1)(2)で、当該ONUのカウンタ値が正の値、零、十分大きな値、又はグループの他のONUと同等の値に到達した後にカウンタ値の補正を休止する場合及び(3)は通信断時間が通信断のない場合にONU間での割当量がおおむね平準化できる場合、すなわちONUの台数相当の割当に関する周期より長く、指数平滑移動平均で忘却しないほど短い場合に適している。
【0070】
<第2の目標帯域の範囲>
第2の目標帯域の範囲では、通信断のONUと通信断でないONUの両方の目標データの計算を変更する場合の通信断とならないONUの計算は、以下である。
(1)第1の目標帯域の範囲の(1)と同様、すなわち、各周期における通信中のONU及び該当する通信断中のONUの重みの総和に対する当該ONUの重みで、ONU間で割当可能な帯域を割当した目標帯域、例えば最大伝送窓Wを用いる。第2の目標帯域の範囲で計算するグループは、通信断のONUの過剰割当帯域が、通信断しない場合に積み上がる変動量程度の範囲であり、通信断時間が、通信断しない場合に積み上がる変動量が積み上がるに要する時間よりも十分大きければ、通信再開後のグループであることが望ましく、通信断時間が、通信断しない場合に積み上がる変動量が積み上がるに要する時間と同等かそれ以下であれば、カウンタの積みあがった値が積み上がるに要する時間だけ通信断前のグループで計算し、その後に通信再開後のグループで計算することが好ましい。
【0071】
(2)通信断のないONUの目標帯域は、ONU間に割当可能な帯域から通信断のONUの通信断前の目標帯域又は所定の期間におけるその平均値又は通信断前の割当帯域又は所定の期間におけるその平均値又は通信断前の要求帯域又は所定の期間におけるその平均値又は通信断前の使用帯域又は所定の期間におけるその平均値又は通信断後の目標帯域又は通信断後の要求帯域のいずれかを通常算出に用いる時間で除し、通常算出に用いる時間に通信断の時間を加えた時間を乗じた値を減じた帯域を、ONU間で割当可能な帯域を割当する計算方法で計算する。通信断のONUの目標帯域は第1の目標帯域の範囲の(2)と同様である。通信断中のONUの目標帯域を減じて計算するグループの判断と通信断のONUのカウンタの積み上げを途中でやめる場合の止める判断は第2の目標帯域の範囲の(1)と同様であり、通信断のONUの目標帯域の積み上げをしない又は止めた場合はそれ以外のONUで割当可能な帯域を割当して目標帯域を計算すればよい。
【0072】
第2の目標帯域の範囲、即ち通信断のONUおよびそのONUのグループのONUの目標帯域の計算を変更する場合、通信断のONUの通信断で積みあがったカウンタ値を、通信断中にその他のONUに割り当てている形となるので、通信断後のカウンタ値の総和及びその平均が、正の方向にずれ平衡が崩れる課題は無くなる。但し、通信断の間に、通信断のONUの帯域を他のONUが使用している形となるので、通信断時間が長いと、通信断でないONUのカウンタ値が過小となる。このため、例えば、カウンタ値が大きい順に割り当てをする。又は大きい順に大きな閾値で帯域を割り当てる。又は大きい順に高い頻度で帯域を割り当てる。
【0073】
なお、本実施例では、通信断及び通信断から通信再開したONUに対するカウンタ値は、特にその値が正の場合に、要求帯域が充足された時点や要求がなくなった時点等で、所定の値、例えば零とはしない。少なくとも、通信断中及び通信断中の割当不足の補正に要する時間は、そのまま指数平滑移動平均等での計算を継続する。
【0074】
このようにすることで、本発明は、通信断に伴う目標帯域を零とはしない又はスキップするがその分をカウンタに積算しておくため、通信断のために割り当てられなかった割当帯域分過剰割当分を清算でき、通信再開後に通信断前の過剰割当分だけ割当帯域が減らされるといった割当帯域の過剰な減少を軽減することができる。すなわち、通信断のときもカウンタを積み上げるので通信断分の帯域割当が不足しない。なお、目標帯域を計算する例を示すが、通信断のあった場合のみに適用すれば、従来のように常時逐次計算するのと比べて処理が簡易であるのは明らかである。
【0075】
以上、PONシステム301のONU100からOLT200への上りの信号光に即して説明を加えたが、OLT200からONU100への下りの信号光及び、PONシステム302及びPONシステム301とのPONシステム302を組み合わせたPONシステムの構成でも同様である。
【0076】
なお、PONシステム301及びPONシステム302は、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、波長分割多重する波長の数も任意である。また、送受信機とグループの関係は明記していないが、ONUの送信機の波長及び対向するOLTの受信機と、ONUの受信機の波長及び対向するOLTの送信機の組合せは一致していなくてもよい。また、ONU毎の送受する波長はそれぞれ1波長としたが、複数波長としてもよい。以上の説明では、PONシステム301及びPONシステム302をPONとして説明したが、光スイッチを備えるPONシステムでも、1対N接続ではない1対1接続のPONシステムであってもよい。更に、波長分割多重と時分割多重を組み合わせた例で示したが、波長分割多重以外の、例えば符号分割多重と時分割多重を組み合わせた場合も同様であるし、波長分割多重や符号分割多重等の分割多重を併用しない時分割多重のみの場合も同様である。これらは以降の実施形態でも同様である。
【0077】
(実施形態2)
図6は、実施形態2のPONシステムの第1の構成を説明する概念図である。PONシステム303と図1のPONシステム301との違いは、PONシステム301が波長分割多重していることに対してPONシステム302が芯線多重していることにある。このため、PONシステム303のONU100は、送信機17の波長可変性と受信機16の前段で複数の下り波長から受信対象の波長を選択する波長可変のフィルタ18の代替として光スイッチ31を有する。図1のPONシステム301の波長を方路に読み替えれば、PONシステム303の動作及び効果は実施形態1と同様である。なお、光合分波器15は上り下りの波長を合分波する光合分岐器であり、上り波長同士、下り波長同士の波長間での分波はしない。また、光スイッチ31の代りに複数の送信機と受信機を方路毎に備え、いずれかの送信機といずれかの受信機を使用することとしてもよい。このことは本実施形態の他のPONシステムの構成でも同様である。
【0078】
図7は、実施形態2のPONシステムの第2の構成を説明する概念図である。PONシステム303はONU100側に方路の可変機能を付与した例であるが、PONシステム304はOLT側に方路の可変機能を付与した例である。PONシステム304と図2のPONシステム302との違いは、PONシステム302が波長分割多重していることに対して、芯線多重していることにある。このため、PONシステム304のOLT200は、送信機27の波長可変性と受信機26の前段で複数の上り波長から受信対象の波長を選択する波長可変のフィルタ18の代替として光スイッチ31を有する。図2のPONシステム302の波長を方路に読み替えれば、PONシステム304の動作及び効果は実施形態1と同様である。なお、この構成の場合、方路が3以上の場合に特に有効である。即ち、1:N切替又はN:M切替用に芯線が設置されている場合に適する。
【0079】
実施形態2の第3の構成は、図3のPONシステム303と図7のPONシステム304の組合せであり、方路の可変性をONU100とOLT200の両方で有している構成である。従って、ONU100の構成はPONシステム303と同様であり、OLT200の構成はPONシステム304と同様である。その他はPONシステム303及びPONシステム304と同様である。
【0080】
なお、実施形態2では、すでに実施形態1で説明した部分と同一あるいは略同一である部分の説明を省略する。また、PONシステム303又は304は、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、芯線多重する方路の数も任意である。また、ONU毎の送受する芯線はそれぞれ1芯線としたが、複数芯線としてもよい。
【0081】
(実施形態3)
実施形態3のPONシステムは、図6のPONシステム303又は図7のPONシステム304の構成においてさらに波長分割多重も行う。図1のPONシステム301及び図2のPONシステム302の波長を波長と方路の組合せに読み替えれば、本通信システムの動作及び効果は実施形態1と同様である。
【0082】
本PONシステムは、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、波長多重する波長の数も芯線多重する方路の数も任意である。また、送受信機とグループの関係は明記していないが、ONUの送信機が所属するグループの組合せと、ONUの受信機が所属するグループの組合せは一致していなくてもよい。また、ONU毎の送受する波長及び芯線はそれぞれ1波長1芯線としたが、複数波長複数芯線としてもよい。
【0083】
(実施形態4)
実施形態4のPONシステムと実施形態1のPONシステムとの違いは、OLTとONUの構成にある。本PONシステムでは、全ONUは同一グループであり、送信機17は同一の波長として扱われる波長を出力し、単一グループであるのでグループ別に信号光を分波するフィルタ28は備えず、送信機27はそれぞれ単一であり、25は伝送路50からの信号光を26に出力し、27からの信号光を伝送路50に出力する。又グループは一つであるので制御機はONUをグループに割り振らない。即ち、GE−PON等の通常の時分割多重のPONである。本PONシステムではグループは一つであるので通信断前と後でグループは同一である。その他の動作については実施形態1のPONシステムと同様である。本PONシステムでの通信断は例えば、支障移転、パッケージの交換、バージョンアップ等でONUの再起動が伴う場合やONUの休止等で発生する。本実施形態では、これらの通信断による割当帯域の不公平が是正できる効果がある。
【0084】
(実施形態5)
なお、以上説明した実施態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0085】
例えば、PONシステムは1つの受信機で1グループのONU群の信号を受信しているが、受信機は複数とすることもできる。さらに、通信システムは波長分割多重、芯線多重及び波長分割多重と芯線多重の組合せであったが、他の分割多重の技術、例えば、光符号、OFDMの一つのビン、偏波、位相であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、通信システム関連の技術分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
15:光合分波器
16:受信機
17:送信機
18、28:フィルタ
25、25a:光合分波器
26:受信機
27:送信機
31:光スイッチ
50:光伝送路
55:スプリッタ
100:ONU
200:OLT
301、302、303、304:PONシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のONU(Optical Network Unit)とOLT(Optical Line Terminal)が光ファイバで接続されたPON(Passive Optical Network)システムであって、
前記ONUは、
当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに割り当てられた重みに応じた帯域に相当するデータ量に応じた予め定められた閾値を有し、
前記閾値を超過する帯域要求対象のデータを当該ONUが蓄積する場合には、前記閾値以下の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、前記閾値未満の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信し、
当該所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータが当該ONUにない場合は、前記閾値以下の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、その閾値未満の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信し、
前記OLTは、
予め定められた周期の間に前記上り信号を割り当てた割当帯域の平均値を前記ONUごとに算出し、算出した前記平均値が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち前記目標帯域に近づくように、当該ONUへの割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで、当該ONUに割り当てる頻度を変更する
PONシステム。
【請求項2】
前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、2以上の要求帯域をOLTに送信し、
前記OLTは、1つの前記ONUから2以上の前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、2以上の前記要求帯域のそれぞれを仮の割当帯域に設定し、当該2以上の仮の割当帯域を用いて前記平均値を算出し、当該算出した2以上の平均値のうちの前記目標帯域に最も近い平均値を判定し、当該判定した平均値のときの前記仮の割当帯域に相当する送信時間を前記1つのONUに割り当てる
ことを特徴とする請求項1に記載のPONシステム。
【請求項3】
前記各ONUは、
前記予め定められた閾値として、前記目標帯域を用いて算出され、かつ、
前記目標帯域相当以下の値と前記目標帯域相当より大きい値の組み合わせ又は前記目標帯域相当未満の値と前記目標帯域相当以上の値の組合せとなる2以上の閾値を有し、
前記閾値以下で最大のフレーム端の値を前記閾値ごとに求め、求めた前記閾値ごとの最大のフレーム端の値を前記2以上の要求帯域として前記OLTに送信する
ことを特徴とする請求項2に記載のPONシステム。
【請求項4】
前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、1つの要求帯域を前記OLTに送信し、
前記OLTは、1つの前記ONUから1つの前記要求帯域を前記上り信号の要求帯域として受信し、当該要求帯域を用いて平均値を算出し、当該算出した平均値と前記目標帯域とのずれが一定値を超えたか否かを判定し、超えた場合には前記1つのONUへの割当頻度を高める
ことを特徴とする請求項1に記載のPONシステム。
【請求項5】
複数のONU(Optical Network Unit)とOLT(Optical Line Terminal)が光ファイバで接続されたPON(Passive Optical Network)システムにおける帯域割当方法であって、
前記ONUが、当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに割り当てられた重みに応じた帯域に相当するデータ量に応じた予め定められた閾値を有し、前記閾値を超過する帯域要求対象のデータを当該ONUが蓄積する場合には、前記閾値以下の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、前記閾値未満の最大のフレーム端の値及び当該最大のフレーム端より大きいフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として前記OLTに送信し、当該所定の閾値を超過する帯域要求対象のデータが当該ONUにない場合は、前記閾値以下の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として送信するか、或いは、その閾値未満の最大のフレーム端の値を当該ONUからの上り信号の要求帯域として前記OLTに送信する要求帯域送信手順と、
前記各ONUに前記上り信号の送信時間を割り当て、割り当てた送信時間に応じた割当帯域の1周期当たりでの平均値を前記ONUごとに算出し、算出した平均値が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで割当に関する重みに応じた帯域、即ち前記目標帯域に近づくように、当該ONUへの割当帯域の平均が当該ONUに保証する保証帯域又は当該ONUに許容する最大帯域を超過しない限りで、当該ONUに割り当てる頻度を変更する上り信号割当手順と、
を順に有するPONシステムにおける帯域割当方法。
【請求項6】
前記要求帯域送信手順において、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、2以上の要求帯域を前記OLTに送信し、
前記上り信号割当手順において、前記OLTは、1つの前記ONUから2以上の前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、2以上の前記要求帯域のそれぞれを仮の割当帯域に設定し、当該2以上の仮の割当帯域を用いて前記平均値を算出し、当該算出した2以上の平均値のうちの前記目標帯域に最も近い平均値を判定し、当該判定した平均値のときの前記仮の割当帯域に相当する送信時間を前記1つのONUに割り当てる
ことを特徴とする請求項5に記載のPONシステムにおける帯域割当方法。
【請求項7】
前記要求帯域送信手順において、前記各ONUは、前記予め定められた閾値として、前記目標帯域を用いて算出され、かつ、前記目標帯域相当以下の値と前記目標帯域相当より大きい値の組み合わせ又は前記目標帯域相当未満の値と前記目標帯域相当以上の値の組合せとなる2以上の閾値を有し、前記閾値以下で最大のフレーム端の値を前記閾値ごとに求め、求めた前記閾値ごとの最大のフレーム端の値を前記2以上の要求帯域として前記OLTに送信する
ことを特徴とする請求項6に記載のPONシステムにおける帯域割当方法。
【請求項8】
前記要求帯域送信手順において、前記各ONUは、当該ONUからの上り信号の要求帯域として、1つの前記要求帯域を前記OLTに送信し、
前記上り信号割当手順において、前記OLTは、1つの前記ONUから1つの前記要求帯域を前記上り信号の前記要求帯域として受信し、当該要求帯域を用いて平均値を算出し、当該算出した平均値と前記目標帯域とのずれが一定値を超えたか否かを判定し、超えた場合には前記1つのONUへの割当頻度を高める
ことを特徴とする請求項5に記載のPONシステムにおける帯域割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−49738(P2012−49738A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188858(P2010−188858)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】