PTPシート及びPTP包装機
【課題】コストの増大の抑制等を図るとともに、ICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことができるPTPシートを提供する。
【解決手段】PTPシート1は、包装用フィルム3に形成されたポケット部2に錠剤5が収容され、ポケット部2を塞ぐように金属製のカバーフィルム4が取着される。PTPシート1には、所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体7と、少なくともICタグ本体7に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナ8とを備えるICタグ6が付与される。ICタグ6は、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31に設けられる。その結果、ICタグ6とカバーフィルム4との間隔を十分に確保することができ、電波がカバーフィルム4に吸われてしまうことを防止できる。
【解決手段】PTPシート1は、包装用フィルム3に形成されたポケット部2に錠剤5が収容され、ポケット部2を塞ぐように金属製のカバーフィルム4が取着される。PTPシート1には、所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体7と、少なくともICタグ本体7に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナ8とを備えるICタグ6が付与される。ICタグ6は、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31に設けられる。その結果、ICタグ6とカバーフィルム4との間隔を十分に確保することができ、電波がカバーフィルム4に吸われてしまうことを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを設けたPTPシート及びPTPシートの製造に際して用いられるPTP包装機を含む技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般にPTPシートは、錠剤等を収容するポケット部が形成された包装用フィルムと、ポケット部の開口側を密封するように前記包装用フィルムに貼着されるカバーフィルムとから構成されている。そして、包装用フィルムとカバーフィルムとを貼着する前段階において、ポケット部に錠剤等が充填される。ここで、包装用フィルムはPP(ポリプロピレン)等の樹脂によって形成され、一方で、カバーフィルムはアルミニウム等の金属により形成される。
【0003】
近年、PTPシートのうち、ポケット部を除いた平坦部分にICタグを設け、商品の管理等を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ICタグは、例えば、情報を記憶するためのメモリ(ICタグ本体)と、外部との間で電波を送受信するためのアンテナとを備える。メモリは、バーコードと比較して大量の情報を記憶することができ、商品管理等に必要な情報を十分に記憶することができる。また、アンテナは、特定の周波数の電波を送受信することが可能であり、これにより、メモリ上の情報の読み取りやメモリへの情報の書き込みを非接触で行えるようになっている。ここで、一般的に、比較的高周波数の電波を用いるICタグは、比較的低周波数の電波を用いるICタグと比較して、アンテナの小型化が容易である。そのため、比較的高周波数の電波を用いるICタグは、ICタグ自体の小型化を図りやすく、また、ICタグの小型化により製造に要する材料の抑制を図ることができるため、コストの面でも有利である。
【特許文献1】特開2005−112378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術のように、比較的高周波数の電波を利用するICタグがPTPシートの平坦部分に設けられていると、金属製のカバーフィルムとICタグとが近接してしまうこととなり、電波がカバーフィルムに吸われてしまうおそれがある。そのため、情報の読み取りや書き込みができなくなってしまい、ICタグを設けた意義が没却してしまうおそれがある。これに対して、金属による影響を受け難い比較的低周波数の電波を利用するICタグを用いることが考えられる。ところが、このようなICタグは、その小型化が比較的困難であるとともに、コストの増大を招いてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、コストの増大の抑制等を図るとともに、ICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことのできるPTPシート、及び、該PTPシートを製造する際に用いられるPTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0007】
手段1.包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートであって、
前記ポケット部は、前記カバーフィルムから最も離間した部位を含む底部を備えており、
前記ICタグを、前記底部に設けたことを特徴とするPTPシート。
【0008】
尚、「所定の電波」とは、例えば、2.45GHz帯等、比較的高周波数の周波数帯を用いて送受信される電波をいう。
【0009】
上記手段1によれば、ICタグは、ポケット部のうちカバーフィルムから最も離間した部位を含む底部に設けられる。従って、ICタグと金属製のカバーフィルムとの間隔を最大限に大きくすることができる。これにより、比較的高周波数の電波を用いるICタグを設けた場合であっても、カバーフィルムに電波を吸収されにくくすることができ、ひいてはICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことができる。また、このように比較的高周波数の電波を用いるICタグを用いることとすれば、比較的容易に小型化を図ることができるとともに、コストの増大を抑制できる。尚、PTPシートに複数のポケット部が形成されるときには、全てのポケット部の底部に対してICタグを設けることとしてもよいし、一部のポケット部の底部に対してのみICタグを設けることとしてもよい。
【0010】
手段2.前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート。
【0011】
上記手段2によれば、ICタグは、底部のうちカバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付される。すなわち、ICタグは、医薬品等の被充填物を収容する側と反対側の面に貼付される。これにより、カバーフィルムの破封により、被充填物とともにICタグが取り出されてしまうことが起こりにくく、結果として、ICタグが誤飲されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0012】
手段3.前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と同じ側の面に貼付されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート。
【0013】
上記手段3によれば、ICタグは、底部のうち、カバーフィルムが設けられた側と同じ側の面に貼付される。このため、ICタグは、外部からの応力に対して包装用フィルムで保護されることとなる。従って、ICタグの脱落を抑制することができる。
【0014】
手段4.前記底部は、少なくとも前記ICタグ本体を収容可能な凹部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシート。
【0015】
上記手段4によれば、底部は凹部を備えており、当該凹部内に少なくともICタグ本体が収容され得る。これにより、底部にICタグを貼付する際、ICタグ本体に対して過度の圧力が加わってしまうことを抑制できる。また、ICタグが設けられた後には、ICタグ本体は凹部を形成する壁で保護されることとなり、PTPシートの搬送時等においてICタグ本体に直接外力が及んでしまうことを防止できる。つまり、底部に凹部が備えられることで、PTPシートの製造時及び製造後におけるICタグ本体の損傷を一挙に防止することができる。
【0016】
手段5.前記ICタグは、当該ICタグよりも平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられているとともに、
前記ベースフィルムが、前記ICタグを被覆する状態で前記底部に貼付されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のPTPシート。
【0017】
ICタグの小型化は、コストの面においても、また、面積をさほど確保できない底部に設けるという点においても重要であるが、反面、小型化されたICタグを底部に設けるに際し、取付作業が比較的困難となってしまうおそれがある。この点、上記手段5によれば、ICタグは、当該ICタグより平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられる。このため、底部にICタグを設けるにあたって、比較的大きなベースフィルムごとICタグを底部に設けることができることとなり、取付作業性の向上を図ることができる。また、ベースフィルムは、ICタグを覆う状態で底部に設けられる。その結果、ベースフィルムがICタグの保護フィルムとしての役割を担うこととなり、PTPシートの製造時や搬送時等におけるICタグの破損を防止することができる。
【0018】
手段6.前記ICタグは、前記底部に接着されており、当該ICタグ本体と前記底部との接着強度を、前記ICタグ本体と前記ベースフィルム又は前記アンテナとの接着強度よりも大きくすることで、
前記ベースフィルムを剥がした際、前記ICタグ本体は前記底部に接着されたままとなる一方で、前記アンテナは前記ベースフィルムとともに前記ICタグ本体から分離するよう構成したことを特徴とする手段5に記載のPTPシート。
【0019】
上記手段6によれば、ICタグ本体と底部との接着強度が、ICタグ本体とベースフィルム或いはアンテナとの接着強度よりも大きくされている。これにより、ベースフィルムを剥がした場合、ICタグ本体は底部に接着されたままとなる一方で、アンテナはベースフィルムとともにICタグ本体から分離する。このため、ベースフィルムが一旦剥がされると、ICタグ本体とアンテナとが分離した状態となり、情報の送受信を行うことができなくなる。ひいては、ICタグの機能が無力化されることとなるため、いたずら等の防止を図ることができる。
【0020】
手段7.前記ベースフィルムは前記底部から離間する向きに凹設された窪み部を備え、
当該窪み部内に少なくとも前記ICタグ本体が収容されており、かつ、
前記ベースフィルムのうち前記窪み部以外の部位の表面が、前記底部に貼付されていることを特徴とする手段5又は6に記載のPTPシート。
【0021】
一般的に、底部は若干なりとも凸形状をなしている場合があり、また、ICタグ本体は多少なりとも厚みを有するものである。そのため、平面状のベースフィルムにICタグを設けた上で、当該ベースフィルムを底部に貼付すると、ベースフィルムのうち外縁部分しか底部と貼付されないおそれがある。その結果、貼付状態が不安定化してしまい、ひいてはICタグが剥落してしまうことが懸念される。この点、上記手段7によれば、ベースフィルムには、少なくともICタグ本体を収容可能な窪み部が備えられており、ベースフィルムのうち窪み部以外の部位の表面が底部と貼付される。従って、ベースフィルムと底部との貼付面積をより大きく確保することができ、貼付状態の不安定化を抑制できる。ひいては、ICタグの剥落をより確実に防止することができる。また、貼付時や流通時等において、ICタグへ直接強い外力が働くことが無くなり、結果として、ICタグの破損を防止しやすい。
【0022】
手段8.包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
少なくとも所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
前記包装用フィルムに複数の前記ポケット部を形成するためのポケット部形成装置と、
該ポケット部形成装置の下流側に設けられ、前記被充填物を前記各ポケット部へと充填するための充填装置と、
該充填装置の下流側に設けられ、前記包装用フィルムと前記カバーフィルムとを圧接して貼着し、帯状のPTPフィルムとするためのシール手段と、
該シール手段の下流側に設けられ、前記PTPフィルムをシート単位に打ち抜くためのシート打抜装置とを備えるとともに、
前記ポケット部形成装置は、前記カバーフィルムから最も離間する部位を含む底部を備えたポケット部を形成可能であり、さらに、
前記ICタグを、前記複数のポケット部のうち少なくとも1つの前記底部に設けるためのICタグ付与手段を設けたことを特徴とするPTP包装機。
【0023】
上記手段8によれば、コストの増大等を抑制しつつ、ICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことができるPTPシートを製造することができる。
【0024】
手段9.前記シール手段の下流側に、前記ICタグ貼付手段を設け、かつ、当該ICタグ付与手段は、前記底部のうち、前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に前記ICタグを貼付可能であるとともに、
前記ICタグの貼付時において、前記被充填物の前記ポケット部外への移動を規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする手段8に記載のPTP包装機。
【0025】
PTPフィルムにICタグを貼付する際、ICタグの剥落を防止するためには比較的大きな圧力でICタグを貼付することが効果的である。ところが、圧力が大きすぎると、当該圧力が被充填物を介してカバーフィルムに加わってしまい、カバーフィルムが破封してしまうおそれがある。この点、上記手段9によれば、ICタグの貼付時、移動規制手段によって、被充填物のポケット部外への移動が規制される。これにより、カバーフィルムの破封を防止することができる。また、ICタグの貼付時、比較的大きな圧力を加えることができるため、ICタグを底部に対してより強固に貼付することが可能となり、ICタグの剥落を一層防止することができる。
【0026】
手段10.前記シール手段の下流側に、前記PTPフィルムの異常の有無を検査する検査手段を設けるとともに、
当該検査手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設けたことを特徴とする手段8又は9に記載のPTP包装機。
【0027】
上記手段10によれば、PTPフィルムは、検査手段によって、その異常の有無が検査され、当該検査手段の下流側に設けられたICタグ付与手段によって、ICタグが付与される。すなわち、検査が行われる際、ICタグは未だ付与されていない状態である。従って、ICタグが検査の障害となってしまうといった事態は起こらず、結果として、検査精度の低下を防止することができる。
【0028】
手段11.前記ポケット部形成装置の上流側に、前記ICタグ付与手段が設けられるとともに、当該ICタグ付与手段は、前記包装用フィルムのうち前記底部が形成される予定位置の少なくとも一部に前記ICタグを貼付することを特徴とする手段8に記載のPTP包装機。
【0029】
上記手段11によれば、ポケット部形成装置の上流側に設けられたICタグ付与手段によって、包装用フィルムのうち底部の形成される予定位置の少なくとも一部にICタグが貼付される。すなわち、ポケット部の形成前に、包装用フィルムにICタグが貼付される。これにより、ポケット部(底部)の形成時に、その形成圧力をICタグに加えることができ、ICタグを底部に対してより一層強固に貼付することができる。ひいては、ICタグの剥落を効果的に防止することができる。
【0030】
手段12.前記ポケット部形成装置は、前記貼付されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準にして前記ポケット部の形成位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする手段11に記載のPTP包装機。
【0031】
上記手段12によれば、ポケット部形成装置に備えられた位置決め手段によって、付与されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準としてポケット部形成の位置決めがなされる。これにより、ポケット部をより正確に所定位置に形成することができるとともに、ICタグを底部により確実に設けることができる。尚、前記マークは、ICタグの付与前に設けることとしてもよいし、ICタグの付与後に設けることとしてもよい。
【0032】
手段13.前記ポケット部形成装置は、前記ポケット部の形成に先立って、前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部を有する加熱手段を備え、
当該予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする手段11又は12に記載のPTP包装機。
【0033】
上記手段13によれば、ポケット部の形成は、加熱手段によってポケット部の形成予定部位を加熱軟化状態とした上で、当該加熱軟化された部位をポケット状とすることで行われる。ここで、ポケット部の形成前にICタグを付与した場合には、精密機器であるICタグ本体が、加熱によって損傷を被ってしまうおそれがある。この点、上記手段13によれば、ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部が設けられる。このため、ICタグ本体への加熱を抑えることができ、結果として、ICタグ本体が熱で損傷してしまうといった事態を抑制できる。
【0034】
手段14.前記ポケット部形成装置は、前記包装用フィルムを、少なくともプラグで押圧することによって、前記ポケット部を形成する成形手段を備え、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする手段11乃至13のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【0035】
上記手段14によれば、ポケット部を押圧形成するプラグのうち、少なくともICタグ本体に対応する部位に凹部が設けられる。従って、ポケット部の形成前にICタグを設けた場合であっても、ポケット部の形成時に、ICタグ本体が底部とプラグとで挟み込まれ、過度の圧力が加えられてしまうことを防止できる。その結果、ICタグ本体の損傷をより抑制することができる。
【0036】
手段15.前記ポケット部形成装置は、
前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する加熱手段と、
当該加熱手段にほぼ連続して又は近接して設けられ、該加熱手段で加熱された部分をポケット状に成形することで前記底部を含む前記ポケット部を形成する成形型を有する成形手段とを備え、
前記成形型のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に突起或いは凹みを設けたことを特徴とする手段8乃至14のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【0037】
上記手段15によれば、成形型のうち、少なくともICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凸部或いは凹み部が設けられる。従って、ポケット部の形成と同時に、凹部が底部に形成されることとなり、凹部を形成する手段を別途設ける必要がなくなる。これにより、生産効率の向上を図ることができる。加えて、製造されたPTPシートにおいては、上記手段4の作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0038】
手段16.前記成形型は、凹状の成形面を有するとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位に気体を加圧供給し、前記凹状の成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するものであり、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記凹状の成形面のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする手段15に記載のPTP包装機。
【0039】
上記手段16によれば、成形型は凹状の成形面を有し、包装用フィルムの加熱軟化された加熱部位に気体を加圧供給することで、加熱部位は前記成形面に合わせて伸張され、ポケット部が形成される。そして、ポケット部の形成に際し、ICタグ付与手段によって、ICタグが付与される。その結果、ポケット部の形成圧力を利用することで、ポケット部の形成と同時に、ICタグが底部に貼付されることとなる。従って、ICタグを貼付するために別途の貼付手段を設ける必要がなくなるため、コストの増大をより一層抑制することができる。また、成形型のうち、少なくともICタグ本体が設けられる部位に凹みが設けられているため、ICタグ本体の損傷を一層抑制することができる。
【0040】
手段17.前記成形型は、凸状の成形面を有するプラグを備えるとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位を前記プラグで押圧し、前記成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するとともに、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする手段15に記載のPTP包装機。
【0041】
上記手段17によれば、包装用フィルムの加熱軟化された部位を、プラグで押圧することでポケット部を形成する場合において、上記手段16と同様の作用効果が奏されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた包装用フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして包装用フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。包装用フィルム3は、PP(ポリプロピレン)等の比較的硬質で、所定の剛性を有する合成樹脂によって構成され(PVC等の他の熱可塑性樹脂材料により構成されてもよい)、透明又は半透明を呈している。カバーフィルム4は、PP等よりなるシーラントが塗布されたアルミニウム箔である。
【0043】
また、本実施形態では、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31にICタグ6が設けられている。より詳しくは、ICタグ6は、底部31のうちカバーフィルム4が設けられている側と反対側の面(外面)に貼付されている。
【0044】
ICタグ6は、図2に示すように、ICタグ本体7及び当該ICタグ本体7に電気的に接続されたアンテナ8によって構成されている。また、ICタグ6は、当該ICタグ6より平面大きさが大きいベースフィルム9上に取着されており、当該ベースフィルム9が前記底部31に貼付されている。つまり、ICタグ6は、ベースフィルム9で覆われるようにして前記底部31に貼付されている。
【0045】
ICタグ本体7は、書き換え不能で読み取り専用の情報を記憶する固定情報回路と、情報の読み取り及び書き換えが可能な変動情報回路とを備えた集積回路によって構成されている。ICタグ本体7に記憶される情報としては、医薬品(錠剤5)の固有情報と、医薬品の製造に伴う変動情報とに大別される。医薬品の固有情報の例としては、製薬会社名、医薬品名、型式、有効成分等が挙げられる。一方、医薬品の製造に伴う変動情報の例としては、工場、ライン番号、製造日、ロット番号、有効期限、検査結果等が挙げられる。本実施形態では、例えば、前記固定情報回路に、固有情報が記憶され、前記変動情報回路に、変動情報が記憶される。
【0046】
アンテナ8は、ICタグ本体7に記憶された情報の読み取り及びICタグ本体7への情報の書き込みのために用いられる所定の電波を送受信するものである。当該アンテナ8は、透明又は半透明の透明導電膜〔例えば、ITO(In2O3にSnをドーパントとして添加)透明導電膜〕で形成されており、前記ベースフィルム9上に強固に貼付されている。当該アンテナ8によって、ICタグ本体7に対する情報の読み取り及び書き込みを非接触で行えるようになっている。また、本実施形態におけるアンテナ8は、比較的高周波数の電波(例えば、2.45GHz帯の電波)を用いて情報の送受信をするよう構成されている。
【0047】
ベースフィルム9は、透明又は半透明を呈し、底部31の平面形状と略一致する平面円形状をなしている。そして、当該ベースフィルム9の略中央部分に、前記ICタグ本体7が接着されており、当該ICタグ本体7を取り囲むように前記アンテナ8が貼付されている。
【0048】
次に、図3に基づき、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10について説明する。PTP包装機10の最上流側では、帯状の包装用フィルム3がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された包装用フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっている。また、包装用フィルム3の搬送経路に沿って、加熱手段12と成形手段としてのポケット形成手段13とが順に並設されている。これら加熱手段12及びポケット形成手段13によってポケット部形成装置14が構成されており、本実施形態では、いわゆる圧空成形法によりポケット部2が形成される。すなわち、ポケット形成手段13は、下型34及び成形型としての上型35を備え、下型34には、複数の孔36が形成されており、該孔36にエアが供給されるようになっている。一方、上型35には、孔36に対応した位置にポケット部2の形状に合わせた成形面を有する成形凹部37が設けられている。ポケット部2が形成される際には、まず加熱手段12の凸状の加熱部によって包装用フィルム3が部分的に加熱される。次に、加熱軟化された包装用フィルム3は、ポケット形成手段13へと搬送され、上型34及び下型35によって挟まれる。さらに、孔36に所定圧力のエアが供給されることで、包装用フィルム3が成形凹部37の形状に合わせて伸張させられ、包装用フィルム3に複数のポケット部2が形成される。尚、このポケット部2の形成は、包装用フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0049】
ポケット部2が形成された包装用フィルム3の移送経路に沿って、各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填装置としての錠剤投入装置16、検査手段としての検査装置17、及びシール手段18が配設されている。錠剤投入装置16は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。また、検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、及び異物混入の有無等の検査を行うためのものである。尚、当該検査装置17は、ポケット部2の開口側から検査を行う。
【0050】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール手段18の方へと案内されている。シール手段18は、フィルム受けロール19と加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。両ロール19,20間に包装用フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、包装用フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、包装用フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム11が製造される。尚、フィルム受けロール19には、ポケット部2の形状に対応する窪みが刻設され、ポケット部2が潰れないよう構成されている。また、加熱ロール20の外周面には、その外周面に対して僅かに突設された図示しない網目状の凸部が設けられている。当該凸部により、カバーフィルム4には僅かにへこんだ網目状の凹部が形成されるとともに、カバーフィルム4の包装用フィルム3への貼着が、より確実なものとなる。
【0051】
シール手段18の下流には、錠剤等の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査手段としての検査装置21が配設されている。この検査装置21はポケット部2の底部31側からの検査を行うものである。従って、前記検査装置17による検査と相俟って、PTPフィルム11の表裏両面からの検査を実行することができるようになっている。尚、各検査装置17,21からの検査結果信号は、図示しない情報制御装置に送られるようになっている。当該情報制御装置は、錠剤5の品種別に固有情報、変動情報、及び検査結果を管理したり、錠剤5の良否判定を行ったり、情報信号を出力したりするものである。そして、情報制御装置によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、不良品判定となったPTPシートは、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0052】
検査装置21の下流には、PTPフィルム11の移送経路を挟むように、ICタグ付与手段としてのICタグ付与装置41と移動規制手段としての支持部材42とが配設されている。
【0053】
ICタグ付与装置41は、図4に示すように、シート供給ローラ43と、離型紙巻取ローラ44と、ICタグ貼付ローラ45とを備えている。
【0054】
シート供給ローラ43には、ICタグシート46がロール状に巻回されている。ICタグシート46は、第1の離型紙47及び第2の離型紙48によって、複数のICタグ6及び複数のベースフィルム9が挟まれることで構成されている〔図5(a),(b)参照〕。当該ICタグシート46の引出し端は、離型紙巻取ローラ44及びICタグ貼付手段45の方へと案内されている。
【0055】
離型紙巻取ローラ44は、シート供給ローラ43より送り出されたICタグシート46のうち、第2の離型紙48を巻取るものである。離型紙巻取ローラ44による第2の離型紙48の巻取によって、前記ICタグ6が露出した状態とされる。
【0056】
ICタグ貼付ローラ45は、ICタグシート46の移送速度がPTPフィルム11の移送速度と同速となるよう回転可能に支持されているとともに、各ポケット部2の底部31の外面に対して、第1の離型紙47上のICタグ6を押し当てることができるよう図の上下方向に移動可能となっている。すなわち、当該ICタグ貼付ローラ45により、ICタグ6はベースフィルム9ごと底部31の外面に押し当てられ、貼付されるとともに、その貼付の後に、第1の離型紙47が巻取られる。尚、本実施形態では、PTPフィルム11上の全てのポケット部2の底部31にそれぞれICタグ6が付与されるようになっている。
【0057】
また、支持部材42は、PTPフィルム11を挟んで、ICタグ付与装置41とは反対側に設けられた平板状の部材であり、その表面がカバーフィルム4と略当接する位置に配設されている。ICタグ6貼付時には、前記支持部材42によって、前記カバーフィルム4がICタグ付与装置41とは反対側から支持されることとなり、貼付の圧力による錠剤5のポケット部2外への移動を規制できるようになっている。尚、カバーフィルム4との摩擦力を低減させるという観点からは、支持部材42としてローラ状の部材を用いることとしてもよい。
【0058】
さらに、ICタグ付与装置41の下流にはPTPフィルム11の移送経路に沿って、スリット成形装置24、情報記録手段25及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット成形装置24は、PTPフィルム11の所定位置にスリットを形成する機能を有する。情報記録手段25では、前記情報制御装置から出力された錠剤5の固有情報及び変動情報がICタグ本体7毎に記録される。尚、変動情報には、検査装置17,21による検査結果に基づく良否判断別結果や不良原因等の検査情報が含まれる。また、シート打抜装置26は、PTPフィルム11をPTPシート1単位に打ち抜く機能を有する。
【0059】
前記シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、当該PTPシート1は、完成品用ホッパ30に移送されるようになっている。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態のPTPシート1において、ICタグ6は、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31に設けられる。従って、ICタグ6と金属製のカバーフィルム4との間隔を比較的大きくすることができる。これにより、比較的高周波数の電波を用いるICタグ6を設けた場合であっても、カバーフィルム4に電波を吸収されにくくすることができ、ひいてはICタグ6との間で情報の送受信をより確実に行うことができる。また、このように比較的高周波数の電波を用いるICタグ6を用いることとすれば、比較的容易に小型化を図ることができるとともに、コストの増大を抑制できる。加えて、ICタグ6は、PTPシート1の必須の構成要素たるポケット部2の底部31に設けられるため、ICタグ6を設けるための突部等を別途設ける必要がない。その結果、ICタグ6の小型化と相俟って、コストの増大を一層抑制できる。
【0061】
さらに、ICタグ6は、底部31のうちカバーフィルム4が取着された側と反対側の面に貼付される。すなわち、ICタグ6は、錠剤5を収容する側と反対側の面に貼付される。このため、カバーフィルム4の破封により、錠剤5とともにICタグ6が取り出されてしまうことが起こりにくく、結果として、ICタグ6が誤飲されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0062】
併せて、ICタグ6は、当該ICタグ6より平面大きさが大きいベースフィルム9上に設けられる。このため、底部31にICタグ6を設けるにあたって、比較的大きなベースフィルム9ごとICタグ6を底部31に設けることができることとなり、取付作業性の向上を図ることができる。また、ベースフィルム9は、ICタグ6を覆う状態で底部31に設けられる。その結果、ベースフィルム9がICタグ6の保護フィルムとしての役割を担うこととなり、PTPシート1の製造時や搬送時等におけるICタグ6の破損を防止することができる。
【0063】
加えて、ベースフィルム9の平面形状は、底部31の平面形状と略一致する平面円形状をなしている。このため、底部31にベースフィルム9を貼付するに際し、より大きな貼付面積を確保することができる。従って、底部31に対してベースフィルム9を一層強固に貼付することができ、ひいてはICタグ6の剥落をより効果的に防止することができる。
【0064】
また、包装用フィルム3、ベースフィルム9、及びアンテナ8は、透明又は半透明である。従って、ポケット部2に充填された錠剤5を比較的容易に視認することができる。その結果、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0065】
さらに、本実施形態においては、検査装置17,21の下流側に設けられたICタグ付与装置41により底部31にICタグ6が付与される。すなわち、検査が行われる際、ICタグ6は未だ付与されていない状態である。従って、ICタグ6が検査の障害となってしまうといった事態は起こらず、結果として、検査精度の低下を防止することができる。
【0066】
加えて、ICタグ6の貼付時、支持部材42によって、錠剤5のポケット部2外への移動が規制される。これにより、カバーフィルム4の破封を防止することができる。また、ICタグ6の貼付時、比較的大きな圧力を加えることができるため、ICタグ6を底部31に対してより強固に貼付することが可能となり、ICタグ6の剥落を一層防止することができる。
【0067】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0068】
(a)上記実施形態では、底部31の外面にICタグ6が設けられているが、図6に示すように、底部31のうちカバーフィルム4が設けられる側と同じ側の面にICタグ6を設けることとしてもよい。この場合、ICタグ6は、外部からの応力に対して包装用フィルム3で保護されることとなる。従って、ICタグ6の脱落を抑制することができる。
【0069】
(b)上記実施形態では、底部31は、略平坦な形状をなしているが、図7(a),(b)に示すように、底部31のうち少なくともICタグ本体7に対応する部位に凹部51a,51bを設けることとしてもよい。この場合、底部31にICタグ6を貼付する際に、ICタグ本体7に対して過度の圧力が加わってしまうことを抑制できる。また、ICタグ6が設けられた後には、ICタグ本体7は凹部51a,51bを形成する壁で保護されることとなり、PTPシート1の搬送時等においてICタグ本体7に直接外力が及んでしまうことを防止できる。つまり、底部31に凹部51a,51bが備えられることで、PTPシート1の製造時及び製造後におけるICタグ本体7の損傷を一挙に防止することができる。
【0070】
(c)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、シール手段18の下流側に設けられているが、図8(a)に示すように、ICタグ付与装置61をポケット部形成装置14の上流側に設けることとしてもよい。すなわち、ポケット部2の形成前に、包装用フィルム3にICタグ6が貼付されることとしてもよい。これにより、ポケット部2(底部31)の形成時に、その形成圧力をICタグ6に加えることができ、ICタグ6を底部31に対してより一層強固に貼付することができる。ひいては、ICタグ6の剥落を効果的に防止することができる。さらに、ICタグ付与装置61によりICタグ6を付与する際には、図8(b)に示すように、包装用フィルム53にマーク58を予め設けておき、当該マーク58を基準としてICタグ6を付与することとしてもよい。これにより、より正確な位置にICタグ6を付与することができる。加えて、当該別実施例のようにポケット部2の形成前にICタグ6を付与する構成を採用した場合、ポケット部形成装置14に、付与されたICタグ6、又は、マーク58(ICタグ6の貼付後にマーク58を設けてもよい)を基準としてポケット部2形成の位置決めをする位置決め手段59を設けることとしてもよい。その結果、ポケット部2をより正確に所定位置に形成することができるとともに、ICタグ6を底部31により確実に設けることができる。
【0071】
(d)上記実施形態における加熱手段12は、包装用フィルム3のうち少なくともポケット部2の形成予定位置を加熱するものであればよく、例えば、加熱手段12に、少なくともポケット部2の形成予定位置を加熱する突起状の予熱部を設けることとしてもよい。また、この場合には、予熱部のうち少なくともICタグ本体7に対応する部位に凹部を設けることとしてもよい。凹部を設けることで、ICタグ本体7への加熱を抑えることができ、ICタグ本体7が損傷してしまうことを抑制できる。
【0072】
(e)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、シール手段20の下流側に設けられているが、図9(a)に示すように、ポケット部形成装置14の下流側であり、かつ、錠剤投入装置16の上流側に、ICタグ6を底部31に貼付するICタグ付与装置71を設けることとしてもよい。また、この場合に、ICタグ6の貼付時、底部31をポケット部2内から支持する底部支持部材55を設けることとしてもよい。具体的には、次のように実施することができる。すなわち、図9(b)に示すように、ICタグ付与装置71は、シート供給ローラ73、第1離型紙巻取ローラ74、ICタグ貼付装置75、及び第2離型紙巻取ローラ50を備える。シート供給ローラ73には、上記実施形態と同様の構成を有するICタグシート76が巻回されている。当該ICタグシート76の引出し端は前記第1離型紙巻取ローラ74及びICタグ貼付装置75へと案内されている。第1離型紙巻取ローラ74は、ICタグシート76のうち、第1の離型紙77を巻取るものである。第1離型紙巻取ローラ74による第1の離型紙77の巻取により、ベースフィルム79が露出した状態とされる。ICタグ貼付装置75は、回転軸72と当該回転軸72の側面から延出する複数のアーム80を備えている。回転軸72は、アーム80先端の移動速度がPTPフィルム11の移送速度に同速となるよう回転するものであり、所定の底部31の外面に対して、アーム80の先端面を押し当てることができるようになっている。アーム80は、その先端面においてベースフィルム9を吸着可能に構成されており、当該アーム80によって、ベースフィルム9が吸着されることで、ベースフィルム9上に取着されたICタグ6も一体的にアーム80に吸着されることとなる。アーム80に吸着されたICタグ6及びベースフィルム9は、包装用フィルム3の移送経路側へと搬送され、底部31の外面に貼付される。貼付に際しては、包装用フィルム3に対して接離するよう移動可能な棒状の底部支持部材55によって、底部31が支持される。尚、第2離型紙巻取ローラ50が回転することによって、最終的に残った第2の離型紙78が巻取られることとなる。このような実施形態を採用することにより、ポケット部2の変形を防止しつつ、より強い圧力でベースフィルム9を底部31に貼付することができる。その結果、底部31に対してベースフィルム79をより強固に貼付することができ、ひいてはICタグ6の剥落をより確実に防止できる。加えて、底部31の外面にICタグ6が設けられるため、ICタグ6の誤飲という事態を抑制することができる。尚、底部支持部材55の先端面のうち、ICタグ本体7に対応する部位に凹みを設けることとしてもよく、この場合には、ICタグ本体7の損傷を抑制することができる。
【0073】
(f)さらに、図10に示すように、ポケット部形成装置14の下流側であり、かつ、前記錠剤投入装置16の上流側にICタグ付与装置81を設けるとともに、ICタグ6を前記底部31の内面に貼付することとしてもよい。この場合、ICタグ6の貼付時に、ポケット部2が潰れてしまうおそれがないため、比較的強い圧力でICタグ6を貼付することができる。ひいては、ICタグ6と底部31との貼付状態を一層強固なものとすることができ、ICタグ6の剥落をより一層防止することができる。また、底部31の内面にICタグ6が設けられるため、外部からの応力に対して包装用フィルム3で保護されることとなり、ICタグの脱落を抑制することができる。
【0074】
(g)上記実施形態において、成形凹部37は、湾曲面状に形成されているが、図11(a),(b)に示すように、上型35a,35bの成形凹部37a,37bのうち、少なくともICタグ本体7に対応する部位に凸部90や凹み部91を設けることとしてもよい。これにより、ポケット部2a,2bの形成と同時に、底部31a,31bには凹部92a,92bが形成されることとなるため、生産効率の向上を図ることができる。加えて、上記(b)で述べた作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0075】
(h)上記実施形態では、いわゆる圧空成形法によりポケット部2が形成されているが、ポケット部2の形成方法に関しては、当該方法に限定されるものではない。従って、例えば、図12(a),(b)に示すように、加熱軟化状態となった包装用フィルム3a,3bを、上型85a,85bと下型86a,86bとで挟み込みつつ、ポケット部82a,82bの形状に合わせて形成された成形型としてのプラグ94a,94bを押し上げることでポケット部82a,82bを形成することとしてもよい(プラグ成形法、プラグアシスト圧空成形法等)。さらに、プラグ成形法を用いる場合、プラグ94a,94bのうち、少なくともICタグ本体7に対応する部位に凸部98、或いは凹み部99を設けることとしてもよい。これにより、上記(g)で述べた作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。加えて、ICタグ6が予め設けられた包装用フィルム3bに対して、ポケット部82aを押圧成形する場合には、凹み部99が設けられたプラグ94bを用いることで、底部31cとプラグ94bでICタグ本体7が挟み込まれ、過度の圧力が加えられてしまうことを防止できる。その結果、ICタグ本体7の損傷をより抑制することができる。
【0076】
(i)上記実施形態では、ICタグ貼付ローラ45が、ICタグ6を底部31の外面に押し当てることでICタグ6を貼付しているが、ポケット部2の形成に際し、ICタグ6を所定位置に付与することとしてもよい。その結果、ポケット部2の形成圧力を利用することで、ポケット部2の形成と同時に、ICタグ6が底部31に貼付されることとなる。従って、ICタグ6を貼付するために別途の貼付手段を設ける必要がなくなるため、コストの増大をより一層抑制することができる。また、この場合、図11(b),図12(b)に示したように、少なくともICタグ本体7が設けられる部位に凹み部91,99を設けることとしてもよい。凹み部91,99を設けることで、ICタグ本体7の損傷を一層抑制することができる。
【0077】
(j)上記実施形態において、PTP包装機10には、ICタグ付与装置41が設けられているが、ICタグ付与装置41を設けることなく、ICタグ6が予め設けられた包装用フィルム3を用いることで、ICタグ6が付与されたPTPシート1を得ることとしてもよい。これにより、製造設備の簡素化を図ることができ、ひいてはコストの増大をより一層抑制することができる。尚、この場合には、上記(g),(h)で述べたように、凹み部91,99を設けた上でポケット部2を形成するという方法が好適に用いられる。
【0078】
(k)上記実施形態では、ベースフィルム9は平面状とされているが、ベースフィルム9自体が、底部31から離間する方向に凹設された窪み部を有することとし、当該窪み部内に前記ICタグ本体7が設けられることとしてもよい。この場合、ベースフィルム9と底部31との貼付面積をより大きく確保することができ、貼付状態の不安定化を抑制できる。ひいては、ICタグ6の剥落をより確実に防止することができる。また、貼付時や流通時等において、ICタグ6へ直接強い外力が働くことが無くなり、結果として、ICタグ6の破損を防止しやすい。
【0079】
(l)上記実施形態では、ICタグ6がベースフィルム9に取着され、当該ベースフィルム9が底部31に貼付されることで、ICタグ6が底部31に設けられている。これに対し、ベースフィルム9のみならずICタグ6にも接着剤を付着させ、ICタグ6自身をも底部31に対して貼付することとしてもよい。また、この場合、ICタグ本体7と底部31との接着強度を、ICタグ本体7とベースフィルム9との接着強度よりも大きくすることで、ベースフィルム9を剥がした際、ICタグ本体7は底部31に接着されたままとなる一方で、アンテナ8は前記ベースフィルム9とともにICタグ本体7から分離するよう構成してもよい。これにより、ベースフィルム9が一旦剥がされると、ICタグ本体7とアンテナ8とが分離した状態となり、情報の送受信を行うことができなくなる。ひいては、ICタグ6の機能が無力化されることとなるため、いたずら等の防止を図ることができる。
【0080】
(m)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、スリット形成装置24及びシート打抜装置26の上流に設けられているが、必ずしも上流でなくともよい。例えば、スリット形成装置24とシート打抜装置26との間に設けることとしてもよいし、シート打抜装置26の下流側に設けることとしてもよい。この場合、スリット形成装置24やシート打抜装置26から生じる応力によって、ICタグ6が損傷してしまうことを抑制できる。
【0081】
(n)上記実施形態では、全てのポケット部2の底部31にそれぞれICタグ6が設けられているが、一部のポケット部2の底部31に対してのみICタグ6を設けることとしてもよい。
【0082】
(o)上記実施形態では、ベースフィルム9が設けられているが、ベースフィルム9を設けない構成を採用することとしてもよい。
【0083】
(p)上記実施形態では、ICタグ本体7の周囲にアンテナ8が設けられているが、アンテナ8の構成については、当該構成に限定されるものではない。従って、例えば、ICタグ本体7にアンテナ8が内蔵される構成を採用してもよい。
【0084】
(q)上記実施形態では、アンテナ8は、ITO透明導電膜で形成されているが、例えば、AZO(ZnOにAlをドーパントとして添加)透明導電膜等で形成されていてもよい。また、カーボンナノチューブによってアンテナ8が形成されることとしてもよい。加えて、アンテナ8を印刷形成することとしてもよい。
【0085】
(r)上記実施形態では、ICタグ貼付ローラ45は、ICタグ6の貼付を行うとともに、第1の離型紙47の巻取を行っているが、第1の離型紙47を巻取る巻取手段を別途設ける構成を採用してもよい。当該構成を採用することで、ICタグ貼付ローラ45は、図の上下方向に移動可能な機構を有することなく、一定の圧力でICタグ6及びベースフィルム9を底部31の外面に押し当て、貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態におけるPTPシートを示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のJ−J線断面図である。
【図2】本実施形態におけるICタグ等の構成を示す平面図である。
【図3】本実施形態におけるPTP包装機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態におけるICタグ付与装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【図5】(a)は、ICタグシートの部分拡大断面図であり、(b)は、ICタグシートの部分平面模式図である。
【図6】別の実施形態におけるICタグの貼付位置を示す断面図である。
【図7】(a),(b)は、別の実施形態における凹部等を示す断面図である。
【図8】(a)は、別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図であり、(b)は、別の実施形態における包装用フィルム等を示す部分平面模式図である。
【図9】(a)は、別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図であり、(b)は、別の実施形態におけるICタグ付与装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【図10】別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図である。
【図11】(a),(b)は、別の実施形態における凸部や凹み部等を示す部分拡大断面図である。
【図12】(a),(b)は、別の実施形態におけるポケット部形成装置や凸部や凹み部等を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…PTPシート、2,2a,2b,82a,82b…ポケット部、3,3a,3b,53…包装用フィルム、4…カバーフィルム、5…被充填物としての錠剤、6…ICタグ、7…ICタグ本体、8…アンテナ、9…ベースフィルム、10…PTP包装機、11…PTPフィルム、12…加熱手段、13…成形手段としてのポケット形成手段、14…ポケット部形成装置、16…充填装置としての錠剤投入装置、17,21…検査手段としての検査装置、18…シール手段、26…シート打抜装置、31,31a,31b,31c…底部、35,35a,35b…成形型としての上型、41,61,71,81…ICタグ付与手段としてのICタグ付与装置、42…移動規制手段としての支持部材、51a,51b,92a,92b…凹部、58…マーク、59…位置決め手段、90,98…凸部、91,99…凹み部、94a,94b…成形型としてのプラグ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを設けたPTPシート及びPTPシートの製造に際して用いられるPTP包装機を含む技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般にPTPシートは、錠剤等を収容するポケット部が形成された包装用フィルムと、ポケット部の開口側を密封するように前記包装用フィルムに貼着されるカバーフィルムとから構成されている。そして、包装用フィルムとカバーフィルムとを貼着する前段階において、ポケット部に錠剤等が充填される。ここで、包装用フィルムはPP(ポリプロピレン)等の樹脂によって形成され、一方で、カバーフィルムはアルミニウム等の金属により形成される。
【0003】
近年、PTPシートのうち、ポケット部を除いた平坦部分にICタグを設け、商品の管理等を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ICタグは、例えば、情報を記憶するためのメモリ(ICタグ本体)と、外部との間で電波を送受信するためのアンテナとを備える。メモリは、バーコードと比較して大量の情報を記憶することができ、商品管理等に必要な情報を十分に記憶することができる。また、アンテナは、特定の周波数の電波を送受信することが可能であり、これにより、メモリ上の情報の読み取りやメモリへの情報の書き込みを非接触で行えるようになっている。ここで、一般的に、比較的高周波数の電波を用いるICタグは、比較的低周波数の電波を用いるICタグと比較して、アンテナの小型化が容易である。そのため、比較的高周波数の電波を用いるICタグは、ICタグ自体の小型化を図りやすく、また、ICタグの小型化により製造に要する材料の抑制を図ることができるため、コストの面でも有利である。
【特許文献1】特開2005−112378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術のように、比較的高周波数の電波を利用するICタグがPTPシートの平坦部分に設けられていると、金属製のカバーフィルムとICタグとが近接してしまうこととなり、電波がカバーフィルムに吸われてしまうおそれがある。そのため、情報の読み取りや書き込みができなくなってしまい、ICタグを設けた意義が没却してしまうおそれがある。これに対して、金属による影響を受け難い比較的低周波数の電波を利用するICタグを用いることが考えられる。ところが、このようなICタグは、その小型化が比較的困難であるとともに、コストの増大を招いてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、コストの増大の抑制等を図るとともに、ICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことのできるPTPシート、及び、該PTPシートを製造する際に用いられるPTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0007】
手段1.包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートであって、
前記ポケット部は、前記カバーフィルムから最も離間した部位を含む底部を備えており、
前記ICタグを、前記底部に設けたことを特徴とするPTPシート。
【0008】
尚、「所定の電波」とは、例えば、2.45GHz帯等、比較的高周波数の周波数帯を用いて送受信される電波をいう。
【0009】
上記手段1によれば、ICタグは、ポケット部のうちカバーフィルムから最も離間した部位を含む底部に設けられる。従って、ICタグと金属製のカバーフィルムとの間隔を最大限に大きくすることができる。これにより、比較的高周波数の電波を用いるICタグを設けた場合であっても、カバーフィルムに電波を吸収されにくくすることができ、ひいてはICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことができる。また、このように比較的高周波数の電波を用いるICタグを用いることとすれば、比較的容易に小型化を図ることができるとともに、コストの増大を抑制できる。尚、PTPシートに複数のポケット部が形成されるときには、全てのポケット部の底部に対してICタグを設けることとしてもよいし、一部のポケット部の底部に対してのみICタグを設けることとしてもよい。
【0010】
手段2.前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート。
【0011】
上記手段2によれば、ICタグは、底部のうちカバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付される。すなわち、ICタグは、医薬品等の被充填物を収容する側と反対側の面に貼付される。これにより、カバーフィルムの破封により、被充填物とともにICタグが取り出されてしまうことが起こりにくく、結果として、ICタグが誤飲されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0012】
手段3.前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と同じ側の面に貼付されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート。
【0013】
上記手段3によれば、ICタグは、底部のうち、カバーフィルムが設けられた側と同じ側の面に貼付される。このため、ICタグは、外部からの応力に対して包装用フィルムで保護されることとなる。従って、ICタグの脱落を抑制することができる。
【0014】
手段4.前記底部は、少なくとも前記ICタグ本体を収容可能な凹部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシート。
【0015】
上記手段4によれば、底部は凹部を備えており、当該凹部内に少なくともICタグ本体が収容され得る。これにより、底部にICタグを貼付する際、ICタグ本体に対して過度の圧力が加わってしまうことを抑制できる。また、ICタグが設けられた後には、ICタグ本体は凹部を形成する壁で保護されることとなり、PTPシートの搬送時等においてICタグ本体に直接外力が及んでしまうことを防止できる。つまり、底部に凹部が備えられることで、PTPシートの製造時及び製造後におけるICタグ本体の損傷を一挙に防止することができる。
【0016】
手段5.前記ICタグは、当該ICタグよりも平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられているとともに、
前記ベースフィルムが、前記ICタグを被覆する状態で前記底部に貼付されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のPTPシート。
【0017】
ICタグの小型化は、コストの面においても、また、面積をさほど確保できない底部に設けるという点においても重要であるが、反面、小型化されたICタグを底部に設けるに際し、取付作業が比較的困難となってしまうおそれがある。この点、上記手段5によれば、ICタグは、当該ICタグより平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられる。このため、底部にICタグを設けるにあたって、比較的大きなベースフィルムごとICタグを底部に設けることができることとなり、取付作業性の向上を図ることができる。また、ベースフィルムは、ICタグを覆う状態で底部に設けられる。その結果、ベースフィルムがICタグの保護フィルムとしての役割を担うこととなり、PTPシートの製造時や搬送時等におけるICタグの破損を防止することができる。
【0018】
手段6.前記ICタグは、前記底部に接着されており、当該ICタグ本体と前記底部との接着強度を、前記ICタグ本体と前記ベースフィルム又は前記アンテナとの接着強度よりも大きくすることで、
前記ベースフィルムを剥がした際、前記ICタグ本体は前記底部に接着されたままとなる一方で、前記アンテナは前記ベースフィルムとともに前記ICタグ本体から分離するよう構成したことを特徴とする手段5に記載のPTPシート。
【0019】
上記手段6によれば、ICタグ本体と底部との接着強度が、ICタグ本体とベースフィルム或いはアンテナとの接着強度よりも大きくされている。これにより、ベースフィルムを剥がした場合、ICタグ本体は底部に接着されたままとなる一方で、アンテナはベースフィルムとともにICタグ本体から分離する。このため、ベースフィルムが一旦剥がされると、ICタグ本体とアンテナとが分離した状態となり、情報の送受信を行うことができなくなる。ひいては、ICタグの機能が無力化されることとなるため、いたずら等の防止を図ることができる。
【0020】
手段7.前記ベースフィルムは前記底部から離間する向きに凹設された窪み部を備え、
当該窪み部内に少なくとも前記ICタグ本体が収容されており、かつ、
前記ベースフィルムのうち前記窪み部以外の部位の表面が、前記底部に貼付されていることを特徴とする手段5又は6に記載のPTPシート。
【0021】
一般的に、底部は若干なりとも凸形状をなしている場合があり、また、ICタグ本体は多少なりとも厚みを有するものである。そのため、平面状のベースフィルムにICタグを設けた上で、当該ベースフィルムを底部に貼付すると、ベースフィルムのうち外縁部分しか底部と貼付されないおそれがある。その結果、貼付状態が不安定化してしまい、ひいてはICタグが剥落してしまうことが懸念される。この点、上記手段7によれば、ベースフィルムには、少なくともICタグ本体を収容可能な窪み部が備えられており、ベースフィルムのうち窪み部以外の部位の表面が底部と貼付される。従って、ベースフィルムと底部との貼付面積をより大きく確保することができ、貼付状態の不安定化を抑制できる。ひいては、ICタグの剥落をより確実に防止することができる。また、貼付時や流通時等において、ICタグへ直接強い外力が働くことが無くなり、結果として、ICタグの破損を防止しやすい。
【0022】
手段8.包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
少なくとも所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
前記包装用フィルムに複数の前記ポケット部を形成するためのポケット部形成装置と、
該ポケット部形成装置の下流側に設けられ、前記被充填物を前記各ポケット部へと充填するための充填装置と、
該充填装置の下流側に設けられ、前記包装用フィルムと前記カバーフィルムとを圧接して貼着し、帯状のPTPフィルムとするためのシール手段と、
該シール手段の下流側に設けられ、前記PTPフィルムをシート単位に打ち抜くためのシート打抜装置とを備えるとともに、
前記ポケット部形成装置は、前記カバーフィルムから最も離間する部位を含む底部を備えたポケット部を形成可能であり、さらに、
前記ICタグを、前記複数のポケット部のうち少なくとも1つの前記底部に設けるためのICタグ付与手段を設けたことを特徴とするPTP包装機。
【0023】
上記手段8によれば、コストの増大等を抑制しつつ、ICタグとの間で情報の送受信をより確実に行うことができるPTPシートを製造することができる。
【0024】
手段9.前記シール手段の下流側に、前記ICタグ貼付手段を設け、かつ、当該ICタグ付与手段は、前記底部のうち、前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に前記ICタグを貼付可能であるとともに、
前記ICタグの貼付時において、前記被充填物の前記ポケット部外への移動を規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする手段8に記載のPTP包装機。
【0025】
PTPフィルムにICタグを貼付する際、ICタグの剥落を防止するためには比較的大きな圧力でICタグを貼付することが効果的である。ところが、圧力が大きすぎると、当該圧力が被充填物を介してカバーフィルムに加わってしまい、カバーフィルムが破封してしまうおそれがある。この点、上記手段9によれば、ICタグの貼付時、移動規制手段によって、被充填物のポケット部外への移動が規制される。これにより、カバーフィルムの破封を防止することができる。また、ICタグの貼付時、比較的大きな圧力を加えることができるため、ICタグを底部に対してより強固に貼付することが可能となり、ICタグの剥落を一層防止することができる。
【0026】
手段10.前記シール手段の下流側に、前記PTPフィルムの異常の有無を検査する検査手段を設けるとともに、
当該検査手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設けたことを特徴とする手段8又は9に記載のPTP包装機。
【0027】
上記手段10によれば、PTPフィルムは、検査手段によって、その異常の有無が検査され、当該検査手段の下流側に設けられたICタグ付与手段によって、ICタグが付与される。すなわち、検査が行われる際、ICタグは未だ付与されていない状態である。従って、ICタグが検査の障害となってしまうといった事態は起こらず、結果として、検査精度の低下を防止することができる。
【0028】
手段11.前記ポケット部形成装置の上流側に、前記ICタグ付与手段が設けられるとともに、当該ICタグ付与手段は、前記包装用フィルムのうち前記底部が形成される予定位置の少なくとも一部に前記ICタグを貼付することを特徴とする手段8に記載のPTP包装機。
【0029】
上記手段11によれば、ポケット部形成装置の上流側に設けられたICタグ付与手段によって、包装用フィルムのうち底部の形成される予定位置の少なくとも一部にICタグが貼付される。すなわち、ポケット部の形成前に、包装用フィルムにICタグが貼付される。これにより、ポケット部(底部)の形成時に、その形成圧力をICタグに加えることができ、ICタグを底部に対してより一層強固に貼付することができる。ひいては、ICタグの剥落を効果的に防止することができる。
【0030】
手段12.前記ポケット部形成装置は、前記貼付されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準にして前記ポケット部の形成位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする手段11に記載のPTP包装機。
【0031】
上記手段12によれば、ポケット部形成装置に備えられた位置決め手段によって、付与されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準としてポケット部形成の位置決めがなされる。これにより、ポケット部をより正確に所定位置に形成することができるとともに、ICタグを底部により確実に設けることができる。尚、前記マークは、ICタグの付与前に設けることとしてもよいし、ICタグの付与後に設けることとしてもよい。
【0032】
手段13.前記ポケット部形成装置は、前記ポケット部の形成に先立って、前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部を有する加熱手段を備え、
当該予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする手段11又は12に記載のPTP包装機。
【0033】
上記手段13によれば、ポケット部の形成は、加熱手段によってポケット部の形成予定部位を加熱軟化状態とした上で、当該加熱軟化された部位をポケット状とすることで行われる。ここで、ポケット部の形成前にICタグを付与した場合には、精密機器であるICタグ本体が、加熱によって損傷を被ってしまうおそれがある。この点、上記手段13によれば、ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部が設けられる。このため、ICタグ本体への加熱を抑えることができ、結果として、ICタグ本体が熱で損傷してしまうといった事態を抑制できる。
【0034】
手段14.前記ポケット部形成装置は、前記包装用フィルムを、少なくともプラグで押圧することによって、前記ポケット部を形成する成形手段を備え、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする手段11乃至13のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【0035】
上記手段14によれば、ポケット部を押圧形成するプラグのうち、少なくともICタグ本体に対応する部位に凹部が設けられる。従って、ポケット部の形成前にICタグを設けた場合であっても、ポケット部の形成時に、ICタグ本体が底部とプラグとで挟み込まれ、過度の圧力が加えられてしまうことを防止できる。その結果、ICタグ本体の損傷をより抑制することができる。
【0036】
手段15.前記ポケット部形成装置は、
前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する加熱手段と、
当該加熱手段にほぼ連続して又は近接して設けられ、該加熱手段で加熱された部分をポケット状に成形することで前記底部を含む前記ポケット部を形成する成形型を有する成形手段とを備え、
前記成形型のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に突起或いは凹みを設けたことを特徴とする手段8乃至14のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【0037】
上記手段15によれば、成形型のうち、少なくともICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凸部或いは凹み部が設けられる。従って、ポケット部の形成と同時に、凹部が底部に形成されることとなり、凹部を形成する手段を別途設ける必要がなくなる。これにより、生産効率の向上を図ることができる。加えて、製造されたPTPシートにおいては、上記手段4の作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0038】
手段16.前記成形型は、凹状の成形面を有するとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位に気体を加圧供給し、前記凹状の成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するものであり、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記凹状の成形面のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする手段15に記載のPTP包装機。
【0039】
上記手段16によれば、成形型は凹状の成形面を有し、包装用フィルムの加熱軟化された加熱部位に気体を加圧供給することで、加熱部位は前記成形面に合わせて伸張され、ポケット部が形成される。そして、ポケット部の形成に際し、ICタグ付与手段によって、ICタグが付与される。その結果、ポケット部の形成圧力を利用することで、ポケット部の形成と同時に、ICタグが底部に貼付されることとなる。従って、ICタグを貼付するために別途の貼付手段を設ける必要がなくなるため、コストの増大をより一層抑制することができる。また、成形型のうち、少なくともICタグ本体が設けられる部位に凹みが設けられているため、ICタグ本体の損傷を一層抑制することができる。
【0040】
手段17.前記成形型は、凸状の成形面を有するプラグを備えるとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位を前記プラグで押圧し、前記成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するとともに、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする手段15に記載のPTP包装機。
【0041】
上記手段17によれば、包装用フィルムの加熱軟化された部位を、プラグで押圧することでポケット部を形成する場合において、上記手段16と同様の作用効果が奏されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた包装用フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして包装用フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。包装用フィルム3は、PP(ポリプロピレン)等の比較的硬質で、所定の剛性を有する合成樹脂によって構成され(PVC等の他の熱可塑性樹脂材料により構成されてもよい)、透明又は半透明を呈している。カバーフィルム4は、PP等よりなるシーラントが塗布されたアルミニウム箔である。
【0043】
また、本実施形態では、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31にICタグ6が設けられている。より詳しくは、ICタグ6は、底部31のうちカバーフィルム4が設けられている側と反対側の面(外面)に貼付されている。
【0044】
ICタグ6は、図2に示すように、ICタグ本体7及び当該ICタグ本体7に電気的に接続されたアンテナ8によって構成されている。また、ICタグ6は、当該ICタグ6より平面大きさが大きいベースフィルム9上に取着されており、当該ベースフィルム9が前記底部31に貼付されている。つまり、ICタグ6は、ベースフィルム9で覆われるようにして前記底部31に貼付されている。
【0045】
ICタグ本体7は、書き換え不能で読み取り専用の情報を記憶する固定情報回路と、情報の読み取り及び書き換えが可能な変動情報回路とを備えた集積回路によって構成されている。ICタグ本体7に記憶される情報としては、医薬品(錠剤5)の固有情報と、医薬品の製造に伴う変動情報とに大別される。医薬品の固有情報の例としては、製薬会社名、医薬品名、型式、有効成分等が挙げられる。一方、医薬品の製造に伴う変動情報の例としては、工場、ライン番号、製造日、ロット番号、有効期限、検査結果等が挙げられる。本実施形態では、例えば、前記固定情報回路に、固有情報が記憶され、前記変動情報回路に、変動情報が記憶される。
【0046】
アンテナ8は、ICタグ本体7に記憶された情報の読み取り及びICタグ本体7への情報の書き込みのために用いられる所定の電波を送受信するものである。当該アンテナ8は、透明又は半透明の透明導電膜〔例えば、ITO(In2O3にSnをドーパントとして添加)透明導電膜〕で形成されており、前記ベースフィルム9上に強固に貼付されている。当該アンテナ8によって、ICタグ本体7に対する情報の読み取り及び書き込みを非接触で行えるようになっている。また、本実施形態におけるアンテナ8は、比較的高周波数の電波(例えば、2.45GHz帯の電波)を用いて情報の送受信をするよう構成されている。
【0047】
ベースフィルム9は、透明又は半透明を呈し、底部31の平面形状と略一致する平面円形状をなしている。そして、当該ベースフィルム9の略中央部分に、前記ICタグ本体7が接着されており、当該ICタグ本体7を取り囲むように前記アンテナ8が貼付されている。
【0048】
次に、図3に基づき、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10について説明する。PTP包装機10の最上流側では、帯状の包装用フィルム3がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された包装用フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっている。また、包装用フィルム3の搬送経路に沿って、加熱手段12と成形手段としてのポケット形成手段13とが順に並設されている。これら加熱手段12及びポケット形成手段13によってポケット部形成装置14が構成されており、本実施形態では、いわゆる圧空成形法によりポケット部2が形成される。すなわち、ポケット形成手段13は、下型34及び成形型としての上型35を備え、下型34には、複数の孔36が形成されており、該孔36にエアが供給されるようになっている。一方、上型35には、孔36に対応した位置にポケット部2の形状に合わせた成形面を有する成形凹部37が設けられている。ポケット部2が形成される際には、まず加熱手段12の凸状の加熱部によって包装用フィルム3が部分的に加熱される。次に、加熱軟化された包装用フィルム3は、ポケット形成手段13へと搬送され、上型34及び下型35によって挟まれる。さらに、孔36に所定圧力のエアが供給されることで、包装用フィルム3が成形凹部37の形状に合わせて伸張させられ、包装用フィルム3に複数のポケット部2が形成される。尚、このポケット部2の形成は、包装用フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0049】
ポケット部2が形成された包装用フィルム3の移送経路に沿って、各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填装置としての錠剤投入装置16、検査手段としての検査装置17、及びシール手段18が配設されている。錠剤投入装置16は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。また、検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、及び異物混入の有無等の検査を行うためのものである。尚、当該検査装置17は、ポケット部2の開口側から検査を行う。
【0050】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール手段18の方へと案内されている。シール手段18は、フィルム受けロール19と加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。両ロール19,20間に包装用フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、包装用フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、包装用フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム11が製造される。尚、フィルム受けロール19には、ポケット部2の形状に対応する窪みが刻設され、ポケット部2が潰れないよう構成されている。また、加熱ロール20の外周面には、その外周面に対して僅かに突設された図示しない網目状の凸部が設けられている。当該凸部により、カバーフィルム4には僅かにへこんだ網目状の凹部が形成されるとともに、カバーフィルム4の包装用フィルム3への貼着が、より確実なものとなる。
【0051】
シール手段18の下流には、錠剤等の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査手段としての検査装置21が配設されている。この検査装置21はポケット部2の底部31側からの検査を行うものである。従って、前記検査装置17による検査と相俟って、PTPフィルム11の表裏両面からの検査を実行することができるようになっている。尚、各検査装置17,21からの検査結果信号は、図示しない情報制御装置に送られるようになっている。当該情報制御装置は、錠剤5の品種別に固有情報、変動情報、及び検査結果を管理したり、錠剤5の良否判定を行ったり、情報信号を出力したりするものである。そして、情報制御装置によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、不良品判定となったPTPシートは、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0052】
検査装置21の下流には、PTPフィルム11の移送経路を挟むように、ICタグ付与手段としてのICタグ付与装置41と移動規制手段としての支持部材42とが配設されている。
【0053】
ICタグ付与装置41は、図4に示すように、シート供給ローラ43と、離型紙巻取ローラ44と、ICタグ貼付ローラ45とを備えている。
【0054】
シート供給ローラ43には、ICタグシート46がロール状に巻回されている。ICタグシート46は、第1の離型紙47及び第2の離型紙48によって、複数のICタグ6及び複数のベースフィルム9が挟まれることで構成されている〔図5(a),(b)参照〕。当該ICタグシート46の引出し端は、離型紙巻取ローラ44及びICタグ貼付手段45の方へと案内されている。
【0055】
離型紙巻取ローラ44は、シート供給ローラ43より送り出されたICタグシート46のうち、第2の離型紙48を巻取るものである。離型紙巻取ローラ44による第2の離型紙48の巻取によって、前記ICタグ6が露出した状態とされる。
【0056】
ICタグ貼付ローラ45は、ICタグシート46の移送速度がPTPフィルム11の移送速度と同速となるよう回転可能に支持されているとともに、各ポケット部2の底部31の外面に対して、第1の離型紙47上のICタグ6を押し当てることができるよう図の上下方向に移動可能となっている。すなわち、当該ICタグ貼付ローラ45により、ICタグ6はベースフィルム9ごと底部31の外面に押し当てられ、貼付されるとともに、その貼付の後に、第1の離型紙47が巻取られる。尚、本実施形態では、PTPフィルム11上の全てのポケット部2の底部31にそれぞれICタグ6が付与されるようになっている。
【0057】
また、支持部材42は、PTPフィルム11を挟んで、ICタグ付与装置41とは反対側に設けられた平板状の部材であり、その表面がカバーフィルム4と略当接する位置に配設されている。ICタグ6貼付時には、前記支持部材42によって、前記カバーフィルム4がICタグ付与装置41とは反対側から支持されることとなり、貼付の圧力による錠剤5のポケット部2外への移動を規制できるようになっている。尚、カバーフィルム4との摩擦力を低減させるという観点からは、支持部材42としてローラ状の部材を用いることとしてもよい。
【0058】
さらに、ICタグ付与装置41の下流にはPTPフィルム11の移送経路に沿って、スリット成形装置24、情報記録手段25及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット成形装置24は、PTPフィルム11の所定位置にスリットを形成する機能を有する。情報記録手段25では、前記情報制御装置から出力された錠剤5の固有情報及び変動情報がICタグ本体7毎に記録される。尚、変動情報には、検査装置17,21による検査結果に基づく良否判断別結果や不良原因等の検査情報が含まれる。また、シート打抜装置26は、PTPフィルム11をPTPシート1単位に打ち抜く機能を有する。
【0059】
前記シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、当該PTPシート1は、完成品用ホッパ30に移送されるようになっている。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態のPTPシート1において、ICタグ6は、ポケット部2のうちカバーフィルム4から最も離間した部位を含む底部31に設けられる。従って、ICタグ6と金属製のカバーフィルム4との間隔を比較的大きくすることができる。これにより、比較的高周波数の電波を用いるICタグ6を設けた場合であっても、カバーフィルム4に電波を吸収されにくくすることができ、ひいてはICタグ6との間で情報の送受信をより確実に行うことができる。また、このように比較的高周波数の電波を用いるICタグ6を用いることとすれば、比較的容易に小型化を図ることができるとともに、コストの増大を抑制できる。加えて、ICタグ6は、PTPシート1の必須の構成要素たるポケット部2の底部31に設けられるため、ICタグ6を設けるための突部等を別途設ける必要がない。その結果、ICタグ6の小型化と相俟って、コストの増大を一層抑制できる。
【0061】
さらに、ICタグ6は、底部31のうちカバーフィルム4が取着された側と反対側の面に貼付される。すなわち、ICタグ6は、錠剤5を収容する側と反対側の面に貼付される。このため、カバーフィルム4の破封により、錠剤5とともにICタグ6が取り出されてしまうことが起こりにくく、結果として、ICタグ6が誤飲されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0062】
併せて、ICタグ6は、当該ICタグ6より平面大きさが大きいベースフィルム9上に設けられる。このため、底部31にICタグ6を設けるにあたって、比較的大きなベースフィルム9ごとICタグ6を底部31に設けることができることとなり、取付作業性の向上を図ることができる。また、ベースフィルム9は、ICタグ6を覆う状態で底部31に設けられる。その結果、ベースフィルム9がICタグ6の保護フィルムとしての役割を担うこととなり、PTPシート1の製造時や搬送時等におけるICタグ6の破損を防止することができる。
【0063】
加えて、ベースフィルム9の平面形状は、底部31の平面形状と略一致する平面円形状をなしている。このため、底部31にベースフィルム9を貼付するに際し、より大きな貼付面積を確保することができる。従って、底部31に対してベースフィルム9を一層強固に貼付することができ、ひいてはICタグ6の剥落をより効果的に防止することができる。
【0064】
また、包装用フィルム3、ベースフィルム9、及びアンテナ8は、透明又は半透明である。従って、ポケット部2に充填された錠剤5を比較的容易に視認することができる。その結果、利用者の利便性の向上を図ることができる。
【0065】
さらに、本実施形態においては、検査装置17,21の下流側に設けられたICタグ付与装置41により底部31にICタグ6が付与される。すなわち、検査が行われる際、ICタグ6は未だ付与されていない状態である。従って、ICタグ6が検査の障害となってしまうといった事態は起こらず、結果として、検査精度の低下を防止することができる。
【0066】
加えて、ICタグ6の貼付時、支持部材42によって、錠剤5のポケット部2外への移動が規制される。これにより、カバーフィルム4の破封を防止することができる。また、ICタグ6の貼付時、比較的大きな圧力を加えることができるため、ICタグ6を底部31に対してより強固に貼付することが可能となり、ICタグ6の剥落を一層防止することができる。
【0067】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0068】
(a)上記実施形態では、底部31の外面にICタグ6が設けられているが、図6に示すように、底部31のうちカバーフィルム4が設けられる側と同じ側の面にICタグ6を設けることとしてもよい。この場合、ICタグ6は、外部からの応力に対して包装用フィルム3で保護されることとなる。従って、ICタグ6の脱落を抑制することができる。
【0069】
(b)上記実施形態では、底部31は、略平坦な形状をなしているが、図7(a),(b)に示すように、底部31のうち少なくともICタグ本体7に対応する部位に凹部51a,51bを設けることとしてもよい。この場合、底部31にICタグ6を貼付する際に、ICタグ本体7に対して過度の圧力が加わってしまうことを抑制できる。また、ICタグ6が設けられた後には、ICタグ本体7は凹部51a,51bを形成する壁で保護されることとなり、PTPシート1の搬送時等においてICタグ本体7に直接外力が及んでしまうことを防止できる。つまり、底部31に凹部51a,51bが備えられることで、PTPシート1の製造時及び製造後におけるICタグ本体7の損傷を一挙に防止することができる。
【0070】
(c)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、シール手段18の下流側に設けられているが、図8(a)に示すように、ICタグ付与装置61をポケット部形成装置14の上流側に設けることとしてもよい。すなわち、ポケット部2の形成前に、包装用フィルム3にICタグ6が貼付されることとしてもよい。これにより、ポケット部2(底部31)の形成時に、その形成圧力をICタグ6に加えることができ、ICタグ6を底部31に対してより一層強固に貼付することができる。ひいては、ICタグ6の剥落を効果的に防止することができる。さらに、ICタグ付与装置61によりICタグ6を付与する際には、図8(b)に示すように、包装用フィルム53にマーク58を予め設けておき、当該マーク58を基準としてICタグ6を付与することとしてもよい。これにより、より正確な位置にICタグ6を付与することができる。加えて、当該別実施例のようにポケット部2の形成前にICタグ6を付与する構成を採用した場合、ポケット部形成装置14に、付与されたICタグ6、又は、マーク58(ICタグ6の貼付後にマーク58を設けてもよい)を基準としてポケット部2形成の位置決めをする位置決め手段59を設けることとしてもよい。その結果、ポケット部2をより正確に所定位置に形成することができるとともに、ICタグ6を底部31により確実に設けることができる。
【0071】
(d)上記実施形態における加熱手段12は、包装用フィルム3のうち少なくともポケット部2の形成予定位置を加熱するものであればよく、例えば、加熱手段12に、少なくともポケット部2の形成予定位置を加熱する突起状の予熱部を設けることとしてもよい。また、この場合には、予熱部のうち少なくともICタグ本体7に対応する部位に凹部を設けることとしてもよい。凹部を設けることで、ICタグ本体7への加熱を抑えることができ、ICタグ本体7が損傷してしまうことを抑制できる。
【0072】
(e)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、シール手段20の下流側に設けられているが、図9(a)に示すように、ポケット部形成装置14の下流側であり、かつ、錠剤投入装置16の上流側に、ICタグ6を底部31に貼付するICタグ付与装置71を設けることとしてもよい。また、この場合に、ICタグ6の貼付時、底部31をポケット部2内から支持する底部支持部材55を設けることとしてもよい。具体的には、次のように実施することができる。すなわち、図9(b)に示すように、ICタグ付与装置71は、シート供給ローラ73、第1離型紙巻取ローラ74、ICタグ貼付装置75、及び第2離型紙巻取ローラ50を備える。シート供給ローラ73には、上記実施形態と同様の構成を有するICタグシート76が巻回されている。当該ICタグシート76の引出し端は前記第1離型紙巻取ローラ74及びICタグ貼付装置75へと案内されている。第1離型紙巻取ローラ74は、ICタグシート76のうち、第1の離型紙77を巻取るものである。第1離型紙巻取ローラ74による第1の離型紙77の巻取により、ベースフィルム79が露出した状態とされる。ICタグ貼付装置75は、回転軸72と当該回転軸72の側面から延出する複数のアーム80を備えている。回転軸72は、アーム80先端の移動速度がPTPフィルム11の移送速度に同速となるよう回転するものであり、所定の底部31の外面に対して、アーム80の先端面を押し当てることができるようになっている。アーム80は、その先端面においてベースフィルム9を吸着可能に構成されており、当該アーム80によって、ベースフィルム9が吸着されることで、ベースフィルム9上に取着されたICタグ6も一体的にアーム80に吸着されることとなる。アーム80に吸着されたICタグ6及びベースフィルム9は、包装用フィルム3の移送経路側へと搬送され、底部31の外面に貼付される。貼付に際しては、包装用フィルム3に対して接離するよう移動可能な棒状の底部支持部材55によって、底部31が支持される。尚、第2離型紙巻取ローラ50が回転することによって、最終的に残った第2の離型紙78が巻取られることとなる。このような実施形態を採用することにより、ポケット部2の変形を防止しつつ、より強い圧力でベースフィルム9を底部31に貼付することができる。その結果、底部31に対してベースフィルム79をより強固に貼付することができ、ひいてはICタグ6の剥落をより確実に防止できる。加えて、底部31の外面にICタグ6が設けられるため、ICタグ6の誤飲という事態を抑制することができる。尚、底部支持部材55の先端面のうち、ICタグ本体7に対応する部位に凹みを設けることとしてもよく、この場合には、ICタグ本体7の損傷を抑制することができる。
【0073】
(f)さらに、図10に示すように、ポケット部形成装置14の下流側であり、かつ、前記錠剤投入装置16の上流側にICタグ付与装置81を設けるとともに、ICタグ6を前記底部31の内面に貼付することとしてもよい。この場合、ICタグ6の貼付時に、ポケット部2が潰れてしまうおそれがないため、比較的強い圧力でICタグ6を貼付することができる。ひいては、ICタグ6と底部31との貼付状態を一層強固なものとすることができ、ICタグ6の剥落をより一層防止することができる。また、底部31の内面にICタグ6が設けられるため、外部からの応力に対して包装用フィルム3で保護されることとなり、ICタグの脱落を抑制することができる。
【0074】
(g)上記実施形態において、成形凹部37は、湾曲面状に形成されているが、図11(a),(b)に示すように、上型35a,35bの成形凹部37a,37bのうち、少なくともICタグ本体7に対応する部位に凸部90や凹み部91を設けることとしてもよい。これにより、ポケット部2a,2bの形成と同時に、底部31a,31bには凹部92a,92bが形成されることとなるため、生産効率の向上を図ることができる。加えて、上記(b)で述べた作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0075】
(h)上記実施形態では、いわゆる圧空成形法によりポケット部2が形成されているが、ポケット部2の形成方法に関しては、当該方法に限定されるものではない。従って、例えば、図12(a),(b)に示すように、加熱軟化状態となった包装用フィルム3a,3bを、上型85a,85bと下型86a,86bとで挟み込みつつ、ポケット部82a,82bの形状に合わせて形成された成形型としてのプラグ94a,94bを押し上げることでポケット部82a,82bを形成することとしてもよい(プラグ成形法、プラグアシスト圧空成形法等)。さらに、プラグ成形法を用いる場合、プラグ94a,94bのうち、少なくともICタグ本体7に対応する部位に凸部98、或いは凹み部99を設けることとしてもよい。これにより、上記(g)で述べた作用効果と同様の作用効果が奏されることとなる。加えて、ICタグ6が予め設けられた包装用フィルム3bに対して、ポケット部82aを押圧成形する場合には、凹み部99が設けられたプラグ94bを用いることで、底部31cとプラグ94bでICタグ本体7が挟み込まれ、過度の圧力が加えられてしまうことを防止できる。その結果、ICタグ本体7の損傷をより抑制することができる。
【0076】
(i)上記実施形態では、ICタグ貼付ローラ45が、ICタグ6を底部31の外面に押し当てることでICタグ6を貼付しているが、ポケット部2の形成に際し、ICタグ6を所定位置に付与することとしてもよい。その結果、ポケット部2の形成圧力を利用することで、ポケット部2の形成と同時に、ICタグ6が底部31に貼付されることとなる。従って、ICタグ6を貼付するために別途の貼付手段を設ける必要がなくなるため、コストの増大をより一層抑制することができる。また、この場合、図11(b),図12(b)に示したように、少なくともICタグ本体7が設けられる部位に凹み部91,99を設けることとしてもよい。凹み部91,99を設けることで、ICタグ本体7の損傷を一層抑制することができる。
【0077】
(j)上記実施形態において、PTP包装機10には、ICタグ付与装置41が設けられているが、ICタグ付与装置41を設けることなく、ICタグ6が予め設けられた包装用フィルム3を用いることで、ICタグ6が付与されたPTPシート1を得ることとしてもよい。これにより、製造設備の簡素化を図ることができ、ひいてはコストの増大をより一層抑制することができる。尚、この場合には、上記(g),(h)で述べたように、凹み部91,99を設けた上でポケット部2を形成するという方法が好適に用いられる。
【0078】
(k)上記実施形態では、ベースフィルム9は平面状とされているが、ベースフィルム9自体が、底部31から離間する方向に凹設された窪み部を有することとし、当該窪み部内に前記ICタグ本体7が設けられることとしてもよい。この場合、ベースフィルム9と底部31との貼付面積をより大きく確保することができ、貼付状態の不安定化を抑制できる。ひいては、ICタグ6の剥落をより確実に防止することができる。また、貼付時や流通時等において、ICタグ6へ直接強い外力が働くことが無くなり、結果として、ICタグ6の破損を防止しやすい。
【0079】
(l)上記実施形態では、ICタグ6がベースフィルム9に取着され、当該ベースフィルム9が底部31に貼付されることで、ICタグ6が底部31に設けられている。これに対し、ベースフィルム9のみならずICタグ6にも接着剤を付着させ、ICタグ6自身をも底部31に対して貼付することとしてもよい。また、この場合、ICタグ本体7と底部31との接着強度を、ICタグ本体7とベースフィルム9との接着強度よりも大きくすることで、ベースフィルム9を剥がした際、ICタグ本体7は底部31に接着されたままとなる一方で、アンテナ8は前記ベースフィルム9とともにICタグ本体7から分離するよう構成してもよい。これにより、ベースフィルム9が一旦剥がされると、ICタグ本体7とアンテナ8とが分離した状態となり、情報の送受信を行うことができなくなる。ひいては、ICタグ6の機能が無力化されることとなるため、いたずら等の防止を図ることができる。
【0080】
(m)上記実施形態では、ICタグ付与装置41は、スリット形成装置24及びシート打抜装置26の上流に設けられているが、必ずしも上流でなくともよい。例えば、スリット形成装置24とシート打抜装置26との間に設けることとしてもよいし、シート打抜装置26の下流側に設けることとしてもよい。この場合、スリット形成装置24やシート打抜装置26から生じる応力によって、ICタグ6が損傷してしまうことを抑制できる。
【0081】
(n)上記実施形態では、全てのポケット部2の底部31にそれぞれICタグ6が設けられているが、一部のポケット部2の底部31に対してのみICタグ6を設けることとしてもよい。
【0082】
(o)上記実施形態では、ベースフィルム9が設けられているが、ベースフィルム9を設けない構成を採用することとしてもよい。
【0083】
(p)上記実施形態では、ICタグ本体7の周囲にアンテナ8が設けられているが、アンテナ8の構成については、当該構成に限定されるものではない。従って、例えば、ICタグ本体7にアンテナ8が内蔵される構成を採用してもよい。
【0084】
(q)上記実施形態では、アンテナ8は、ITO透明導電膜で形成されているが、例えば、AZO(ZnOにAlをドーパントとして添加)透明導電膜等で形成されていてもよい。また、カーボンナノチューブによってアンテナ8が形成されることとしてもよい。加えて、アンテナ8を印刷形成することとしてもよい。
【0085】
(r)上記実施形態では、ICタグ貼付ローラ45は、ICタグ6の貼付を行うとともに、第1の離型紙47の巻取を行っているが、第1の離型紙47を巻取る巻取手段を別途設ける構成を採用してもよい。当該構成を採用することで、ICタグ貼付ローラ45は、図の上下方向に移動可能な機構を有することなく、一定の圧力でICタグ6及びベースフィルム9を底部31の外面に押し当て、貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態におけるPTPシートを示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のJ−J線断面図である。
【図2】本実施形態におけるICタグ等の構成を示す平面図である。
【図3】本実施形態におけるPTP包装機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態におけるICタグ付与装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【図5】(a)は、ICタグシートの部分拡大断面図であり、(b)は、ICタグシートの部分平面模式図である。
【図6】別の実施形態におけるICタグの貼付位置を示す断面図である。
【図7】(a),(b)は、別の実施形態における凹部等を示す断面図である。
【図8】(a)は、別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図であり、(b)は、別の実施形態における包装用フィルム等を示す部分平面模式図である。
【図9】(a)は、別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図であり、(b)は、別の実施形態におけるICタグ付与装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【図10】別の実施形態におけるPTP包装機の一部を示すブロック図である。
【図11】(a),(b)は、別の実施形態における凸部や凹み部等を示す部分拡大断面図である。
【図12】(a),(b)は、別の実施形態におけるポケット部形成装置や凸部や凹み部等を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…PTPシート、2,2a,2b,82a,82b…ポケット部、3,3a,3b,53…包装用フィルム、4…カバーフィルム、5…被充填物としての錠剤、6…ICタグ、7…ICタグ本体、8…アンテナ、9…ベースフィルム、10…PTP包装機、11…PTPフィルム、12…加熱手段、13…成形手段としてのポケット形成手段、14…ポケット部形成装置、16…充填装置としての錠剤投入装置、17,21…検査手段としての検査装置、18…シール手段、26…シート打抜装置、31,31a,31b,31c…底部、35,35a,35b…成形型としての上型、41,61,71,81…ICタグ付与手段としてのICタグ付与装置、42…移動規制手段としての支持部材、51a,51b,92a,92b…凹部、58…マーク、59…位置決め手段、90,98…凸部、91,99…凹み部、94a,94b…成形型としてのプラグ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートであって、
前記ポケット部は、前記カバーフィルムから最も離間した部位を含む底部を備えており、
前記ICタグを、前記底部に設けたことを特徴とするPTPシート。
【請求項2】
前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート。
【請求項3】
前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と同じ側の面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート。
【請求項4】
前記底部は、少なくとも前記ICタグ本体を収容可能な凹部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のPTPシート。
【請求項5】
前記ICタグは、当該ICタグよりも平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられているとともに、
前記ベースフィルムが、前記ICタグを被覆する状態で前記底部に貼付されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のPTPシート。
【請求項6】
前記ICタグは、前記底部に接着されており、当該ICタグ本体と前記底部との接着強度を、前記ICタグ本体と前記ベースフィルム又は前記アンテナとの接着強度よりも大きくすることで、
前記ベースフィルムを剥がした際、前記ICタグ本体は前記底部に接着されたままとなる一方で、前記アンテナは前記ベースフィルムとともに前記ICタグ本体から分離するよう構成したことを特徴とする請求項5に記載のPTPシート。
【請求項7】
前記ベースフィルムは前記底部から離間する向きに凹設された窪み部を備え、
当該窪み部内に少なくとも前記ICタグ本体が収容されており、かつ、
前記ベースフィルムのうち前記窪み部以外の部位の表面が、前記底部に貼付されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のPTPシート。
【請求項8】
包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
少なくとも所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
前記包装用フィルムに複数の前記ポケット部を形成するためのポケット部形成装置と、
該ポケット部形成装置の下流側に設けられ、前記被充填物を前記各ポケット部へと充填するための充填装置と、
該充填装置の下流側に設けられ、前記包装用フィルムと前記カバーフィルムとを圧接して貼着し、帯状のPTPフィルムとするためのシール手段と、
該シール手段の下流側に設けられ、前記PTPフィルムをシート単位に打ち抜くためのシート打抜装置とを備えるとともに、
前記ポケット部形成装置は、前記カバーフィルムから最も離間する部位を含む底部を備えたポケット部を形成可能であり、さらに、
前記ICタグを、前記複数のポケット部のうち少なくとも1つの前記底部に設けるためのICタグ付与手段を設けたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項9】
前記シール手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設け、かつ、当該ICタグ付与手段は、前記底部のうち、前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に前記ICタグを貼付可能であるとともに、
前記ICタグの貼付時において、前記被充填物の前記ポケット部外への移動を規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載のPTP包装機。
【請求項10】
前記シール手段の下流側に、前記PTPフィルムの異常の有無を検査する検査手段を設けるとともに、
当該検査手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設けたことを特徴とする請求項8又は9に記載のPTP包装機。
【請求項11】
前記ポケット部形成装置の上流側に、前記ICタグ付与手段が設けられるとともに、
当該ICタグ付与手段は、前記包装用フィルムのうち前記底部が形成される予定位置の少なくとも一部に前記ICタグを貼付することを特徴とする請求項8に記載のPTP包装機。
【請求項12】
前記ポケット部形成装置は、前記貼付されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準にして前記ポケット部の形成位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする請求項11に記載のPTP包装機。
【請求項13】
前記ポケット部形成装置は、前記ポケット部の形成に先立って、前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部を有する加熱手段を備え、
当該予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする請求項11又は12に記載のPTP包装機。
【請求項14】
前記ポケット部形成装置は、前記包装用フィルムを、少なくともプラグで押圧することによって、前記ポケット部を形成する成形手段を備え、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【請求項15】
前記ポケット部形成装置は、
前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する加熱手段と、
当該加熱手段にほぼ連続して又は近接して設けられ、該加熱手段で加熱された部分をポケット状に成形することで前記底部を含む前記ポケット部を形成する成形型を有する成形手段とを備え、
前記成形型のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に突起或いは凹みを設けたことを特徴とする請求項8乃至14のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【請求項16】
前記成形型は、凹状の成形面を有するとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位に気体を加圧供給し、前記凹状の成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するものであり、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記凹状の成形面のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする請求項15に記載のPTP包装機。
【請求項17】
前記成形型は、凸状の成形面を有するプラグを備えるとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位を前記プラグで押圧し、前記成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するとともに、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする請求項15に記載のPTP包装機。
【請求項1】
包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートであって、
前記ポケット部は、前記カバーフィルムから最も離間した部位を含む底部を備えており、
前記ICタグを、前記底部に設けたことを特徴とするPTPシート。
【請求項2】
前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート。
【請求項3】
前記ICタグは、前記底部のうち前記カバーフィルムが取着された側と同じ側の面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート。
【請求項4】
前記底部は、少なくとも前記ICタグ本体を収容可能な凹部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のPTPシート。
【請求項5】
前記ICタグは、当該ICタグよりも平面大きさが大きいベースフィルム上に設けられているとともに、
前記ベースフィルムが、前記ICタグを被覆する状態で前記底部に貼付されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のPTPシート。
【請求項6】
前記ICタグは、前記底部に接着されており、当該ICタグ本体と前記底部との接着強度を、前記ICタグ本体と前記ベースフィルム又は前記アンテナとの接着強度よりも大きくすることで、
前記ベースフィルムを剥がした際、前記ICタグ本体は前記底部に接着されたままとなる一方で、前記アンテナは前記ベースフィルムとともに前記ICタグ本体から分離するよう構成したことを特徴とする請求項5に記載のPTPシート。
【請求項7】
前記ベースフィルムは前記底部から離間する向きに凹設された窪み部を備え、
当該窪み部内に少なくとも前記ICタグ本体が収容されており、かつ、
前記ベースフィルムのうち前記窪み部以外の部位の表面が、前記底部に貼付されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のPTPシート。
【請求項8】
包装用フィルムに形成されたポケット部に被充填物が収容され、前記ポケット部を塞ぐように金属製のカバーフィルムが取着され、
少なくとも所定の情報を電気的に記憶可能なICタグ本体と、少なくとも当該ICタグ本体に記憶された情報の読み取りに用いられる所定の電波を送受信するためのアンテナとを備えるICタグが付与されたPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
前記包装用フィルムに複数の前記ポケット部を形成するためのポケット部形成装置と、
該ポケット部形成装置の下流側に設けられ、前記被充填物を前記各ポケット部へと充填するための充填装置と、
該充填装置の下流側に設けられ、前記包装用フィルムと前記カバーフィルムとを圧接して貼着し、帯状のPTPフィルムとするためのシール手段と、
該シール手段の下流側に設けられ、前記PTPフィルムをシート単位に打ち抜くためのシート打抜装置とを備えるとともに、
前記ポケット部形成装置は、前記カバーフィルムから最も離間する部位を含む底部を備えたポケット部を形成可能であり、さらに、
前記ICタグを、前記複数のポケット部のうち少なくとも1つの前記底部に設けるためのICタグ付与手段を設けたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項9】
前記シール手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設け、かつ、当該ICタグ付与手段は、前記底部のうち、前記カバーフィルムが取着された側と反対側の面に前記ICタグを貼付可能であるとともに、
前記ICタグの貼付時において、前記被充填物の前記ポケット部外への移動を規制する移動規制手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載のPTP包装機。
【請求項10】
前記シール手段の下流側に、前記PTPフィルムの異常の有無を検査する検査手段を設けるとともに、
当該検査手段の下流側に、前記ICタグ付与手段を設けたことを特徴とする請求項8又は9に記載のPTP包装機。
【請求項11】
前記ポケット部形成装置の上流側に、前記ICタグ付与手段が設けられるとともに、
当該ICタグ付与手段は、前記包装用フィルムのうち前記底部が形成される予定位置の少なくとも一部に前記ICタグを貼付することを特徴とする請求項8に記載のPTP包装機。
【請求項12】
前記ポケット部形成装置は、前記貼付されたICタグ或いは当該ICタグに対応する位置に設けられたマークを基準にして前記ポケット部の形成位置を決定する位置決め手段を備えることを特徴とする請求項11に記載のPTP包装機。
【請求項13】
前記ポケット部形成装置は、前記ポケット部の形成に先立って、前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する予熱部を有する加熱手段を備え、
当該予熱部のうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする請求項11又は12に記載のPTP包装機。
【請求項14】
前記ポケット部形成装置は、前記包装用フィルムを、少なくともプラグで押圧することによって、前記ポケット部を形成する成形手段を備え、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体に対応する部位に凹部を設けたことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【請求項15】
前記ポケット部形成装置は、
前記包装用フィルムのうち、少なくとも前記ポケット部に対応する部位を加熱する加熱手段と、
当該加熱手段にほぼ連続して又は近接して設けられ、該加熱手段で加熱された部分をポケット状に成形することで前記底部を含む前記ポケット部を形成する成形型を有する成形手段とを備え、
前記成形型のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に突起或いは凹みを設けたことを特徴とする請求項8乃至14のいずれか1項に記載のPTP包装機。
【請求項16】
前記成形型は、凹状の成形面を有するとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位に気体を加圧供給し、前記凹状の成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するものであり、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記凹状の成形面のうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする請求項15に記載のPTP包装機。
【請求項17】
前記成形型は、凸状の成形面を有するプラグを備えるとともに、
前記成形手段は、前記加熱手段で加熱された加熱部位を前記プラグで押圧し、前記成形面に合わせて前記加熱部位を伸張させることで前記底部を含む前記ポケット部を形成するとともに、
前記ICタグ付与手段は、前記ポケット部の形成に際し、前記ICタグを付与するものであって、
前記プラグのうち、少なくとも前記ICタグ本体が設けられる部位に対応する部位に凹みを設けたことを特徴とする請求項15に記載のPTP包装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−247418(P2008−247418A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90373(P2007−90373)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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