説明

PTPシート製造装置

【課題】PTPシートに対しラベル部材を適切に貼付することのできるPTPシート製造装置を提供する。
【解決手段】PTP包装機11は、容器フィルム3にポケット部2を形成するポケット部形成装置16、当該ポケット部2に錠剤を投入する錠剤投入装置21、ポケット部2を塞ぐように帯状のカバーフィルム4を取着する連続送りロール20及び加熱ロール25等を備えている。さらに、カバーフィルム4取着後のPTPフィルム6が連続送りされる区間には、当該PTPフィルム6に対しラベル部材を貼付するラベル貼付装置30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の内容物を収容するPTPシートを製造するためのPTPシート製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、内容物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。一般に、PTPシートは、容器フィルムがPP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により形成され、カバーフィルムがアルミニウム等の金属材料により形成されている。
【0003】
近年では、より多くの情報を利用者に与えるべく、各種情報の記載されたラベル部材をカバーフィルム側に貼付したPTPシートも見受けられる。例えば医薬品の分野では、薬剤の名称、用法、効能、服用個数、服用時間など、薬剤に関する情報を記載した使用説明書等がラベル部材としてPTPシートに貼付されることもある。
【0004】
以下、PTPシートへのラベル部材の貼付方法の一例について説明する。従来同様、まずポケット部の形成された容器フィルムに対し錠剤等が収容された後、カバーフィルムが取着されることでPTPフィルムが製造される。そして、ミシン目工程や刻印工程等を経たPTPフィルムに対しラベル部材が貼付される。ラベル部材は剥離紙に貼付された状態で所定の供給ローラに巻き付けられており、PTPフィルムの間欠送り動作に合せて順次供給され、当該PTPフィルムに貼付される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/146836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、PTPフィルムが間欠送りされる区間では、PTPフィルムの搬送・停止が比較的短い間隔で交互に行われるため、PTPフィルムは急加速・急減速を繰り返し、搬送速度が一定とならない上、そのピーク速度は、PTPフィルムが連続送りされる区間の搬送速度に比べ極めて速い。このため、特許文献1に記載された構成等のように、PTPフィルムの間欠送り動作に同期させてラベル部材の貼付を行おうとした場合には、貼付位置に位置ズレが生じる、シワがよるなど、ラベル部材を適切に貼付できないおそれがある。
【0007】
逆に、PTPフィルムの搬送停止中にラベル部材の貼付を行おうとした場合には、例えばラベル部材を吸着等して剥離紙から引き剥がし、PTPフィルムへ貼付するといった動作を行う機構等が必要となるため、製造装置の構造や動作制御が複雑化するとともに、生産速度の高速化の妨げとなるおそれもある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシートに対しラベル部材を適切に貼付することのできるPTPシート製造装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.帯状の容器フィルムに対し、内容物を収容するためのポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備えたPTPシート製造装置において、
前記PTPフィルムが連続送りされる区間において、当該PTPフィルムのカバーフィルム側に対し所定のラベル部材を貼付するラベル貼付手段を備えたことを特徴とするPTPシート製造装置。
【0011】
上記手段1によれば、連続送りされるPTPフィルムに対しラベル部材を貼付することができる。PTPフィルムの連続送り動作中は、その速度が比較的遅く一定であるため、ラベル貼付手段の動作を同期させやすい。結果として、ラベル部材の貼付位置を位置合わせしやすくなる等、ラベル部材を適切に貼付しやすくなる。また、PTPフィルムを停止する必要もないため、生産速度の低下を抑制することができる。さらに、ラベル貼付手段として、後述の手段2に記載するような比較的簡素な構成を採用することができ、製造装置の構造や動作制御の複雑化を抑制することができる。
【0012】
手段2.前記ラベル貼付手段は、
前記ラベル部材が剥離可能に貼付された帯状の剥離紙を前記PTPフィルムの連続送り動作に同期させつつ移送する移送手段と、
前記PTPフィルムのカバーフィルム側に近接配置され、前記剥離紙の移送方向を反転させる反転手段と、
前記反転手段を介して前記剥離紙を反転させることにより当該剥離紙から剥離した前記ラベル部材を前記カバーフィルムに押し付ける押圧手段とを備えていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート製造装置。
【0013】
上記手段2によれば、連続送りされるPTPフィルムに対し、比較的簡単な構成により、ラベル部材を剥離紙から順次剥離させ貼付していくことができる。
【0014】
なお、仮に剥離紙からラベル部材を吸着等して引き剥がし、PTPフィルムに貼付するような構成では、連続送りされるPTPフィルムに対し次々にラベル部材を貼付していくのに適さないのは勿論のこと、ラベル部材が後述の手段3に記載するような2つ折りタイプの場合には、当該ラベル部材を剥離紙から引き剥がす際、ラベル部材が開いてしまい、適切に貼付することができなくなるおそれもある。この点、本手段によれば、そのような不具合の発生を抑制することができる。
【0015】
手段3.前記ラベル部材は、2つ折りに構成され、その折り目が前記PTPフィルムの搬送方向に向くように貼付されることを特徴とする手段2に記載のPTPシート製造装置。
【0016】
上記手段3によれば、ラベル部材の貼付過程やPTPフィルムの搬送過程において、ラベル部材が開いてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。搬送中にラベル部材が開いてしまうと、例えばPTPシート単位に打ち抜く際に障害となるおそれがある。
【0017】
手段4.前記ラベル部材は、前記カバーフィルムに貼付される部分において、前記ポケット部に対応して取出部が形成されたものであることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【0018】
なお、上記「取出部」とは、例えばポケット部に対応して形成された切込みや、ミシン目等により切取り又は切開き可能に形成された部位、予め切取られた状態の開口部など、他の一般部とは異なり、ポケット部内の内容物を取り出すことを目的に形成された部位を指す。
【0019】
一般にPTPシートにおいて利用者がポケット部の内部から内容物を取り出す際には、容器フィルム側からポケット部を押圧し、カバーフィルムを突き破るようにして内容物を押し出すこととなるが、カバーフィルム側にラベル部材が貼付されている場合には、当該ラベル部材が障害となり、内容物を取り出すことが困難となるおそれがある。この点、本手段によれば、ラベル部材を剥がすことなく、ポケット部内部の内容物を容易に取り出すことができる。
【0020】
また、手段4のように、ポケット部に対応して取出部が形成されているラベル部材に関しては、貼付位置をより正確に位置合わせする必要がある。従って、本手段の構成においては、手段1の作用効果がより奏功することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図であり、(c)は、PTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】(a)はラベル部材が貼付されたPTPシートの背面側を示す平面図であり、(b)はラベル部材が開封された状態のPTPシートの背面側を示す平面図である。
【図3】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
【図4】ラベル貼付装置等の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1(a)〜(c)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の裏側に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態における容器フィルム3は透明なポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。一方、カバーフィルム4はアルミラミネートフィルムにより形成されている。
【0024】
PTPシート1は、容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図1(b)参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている(図1(c)参照)。
【0025】
また、図2(a),(b)に示すように、PTPシート1のカバーフィルム4側には、ラベル部材7が貼付されている。
【0026】
本実施形態におけるラベル部材7は、紙材製の2つ折りタイプのものであり、カバーフィルム4に貼付される固定片部7aと、当該固定片部7aの一側部にて開閉自在に連接された扉片部7bとを有している。
【0027】
但し、図2(a)に示すように、貼付当初のラベル部材7は、扉片部7bの自由端側等、ラベル部材7の折れ目となる固定片部7aと扉片部7bとの連接部を除く3辺が、固定片部7aに対し剥離可能な状態で接着等され、閉じられた状態となっている。そして、利用者が扉片部7bの接着等された部分を固定片部7aから引き剥がすことにより、図2(b)に示すように、ラベル部材7は開封された状態となる。
【0028】
固定片部7aの外側面には感圧接着剤層が設けられており、ラベル部材7は当該感圧接着剤層を介してカバーフィルム4に貼付されている。
【0029】
固定片部7a及び扉片部7bの内側面、並びに扉片部7bの外側面には、錠剤5の名称、用法、効能、服用個数、服用時間など、錠剤5に関する各種情報が記載されている。
【0030】
また、固定片部7aには、各ポケット部2の周縁形状に沿ってミシン目が形成されることにより、切取り可能な取出部7cが形成されている。これにより、利用者はラベル部材7を剥がすことなく、ポケット部2に収容された錠剤5を、固定片部7aを介して容易に取り出すことができる。
【0031】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTPシート製造装置としてのPTP包装機11の概略について説明する。
【0032】
図3に示すように、PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。
【0033】
ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0034】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間における容器フィルム3の搬送経路には、加熱装置15とポケット成形装置16とが順に並設されており、これらによってポケット部形成手段が構成されている。
【0035】
そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形装置16によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。このポケット部2の成形は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0036】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及び連続送りロール20の順に掛装されている。
【0037】
連続送りロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的にかつ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14と連続送りロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0038】
ガイドロール19と連続送りロール20との間における容器フィルム3の移送経路には、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての錠剤投入装置21が配設されている。錠剤投入装置21は、連続送りロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。
【0039】
錠剤投入装置21と連続送りロール20との間における容器フィルム3の移送経路には、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5等の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査装置22が配設されている。この検査装置22はポケット部2の開口側からの検査を行うものである。
【0040】
帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、連続送りロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造されるようになっている。本実施形態では、連続送りロール20及び加熱ロール25によってシール手段が構成されている。
【0041】
連続送りロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記連続送りロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0042】
連続送りロール20とテンションロール27との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、PTPフィルム6の表側に対応して、錠剤5の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うための検査装置29が配設されている。この検査装置29はポケット部2の突出面側からの検査を行うものである。なお、各検査装置22,29によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0043】
また、連続送りロール20とテンションロール27との間におけるPTPフィルム6の移送経路、すなわちPTPフィルム6が連続送りされる区間には、PTPフィルム6の裏側に対応して、ラベル貼付手段としてのラベル貼付装置30が配設されている。ラベル貼付装置30の詳細については後述する。
【0044】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、特段の事情がない限り、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0045】
間欠送りロール28とテンションロール31との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、刻印手段としての刻印装置33が配設されている。刻印装置33はPTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印を付す機能を有する。
【0046】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間におけるPTPフィルム6の移送経路には、シート打抜手段としてのシート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。
【0047】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。
【0048】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0049】
なお、上記各送りロール14,20,28,32は、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各送りロール14,20,28,32の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各送りロール14,20,28,32の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。勿論、上記送りロール14等のみならず、後述する貼付ロール57bなど、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているロールに関しては、上記同様、その表面にポケット部2が収容される凹部が形成されている。
【0050】
PTP包装機11の概略は以上のとおりであるが、以下、上記ラベル貼付装置30の構成について図4を参照して詳しく説明する。
【0051】
ラベル貼付装置30の上流側には、帯状の剥離紙51を巻回した供給ロール52が回転自在に配設されている。剥離紙51の表面には、複数のラベル部材7が所定間隔で剥離可能に貼付されている。各ラベル部材7は、その折り目が剥離紙51の移送方向に向くように当該剥離紙51に貼付されている。
【0052】
ラベル貼付装置30の最下流側には、剥離紙51を巻き取る巻取りロール53が設けられている。巻取りロール53のやや上流側には、剥離紙51を供給ロール52から引き出し順次移送する一対の駆動ロール54a,54bが設けられている。駆動ロール54a,54bは、ラベル貼付装置30の図示しない制御装置により駆動制御される。駆動ロール54a,54b等により本実施形態における移送手段が構成される。
【0053】
供給ロール52から引き出された剥離紙51は、反転手段としての反転部材55に掛装された後、案内ロール56を経て、駆動ロール54a,54b間を通り、巻取りロール53によって巻き取られるようになっている。
【0054】
反転部材55は、搬送されるPTPフィルム6のカバーフィルム4側に近接して配置されている。反転部材55は、その先端部がPTPフィルム6の搬送方向に向け先細るような断面三角形状をなす。
【0055】
反転部材55に掛装された剥離紙51は、その裏面を反転部材55の表面に当接させた状態で反転部材55の先端部にて鋭角状に折り返されている。つまり、反転部材55にて剥離紙51の移送方向が反転されるようになっている。このように反転部材55にて剥離紙51の移送方向が反転することにより、当該剥離紙51の表面に貼付されているラベル部材7は当該剥離紙51から剥離する。そして、ラベル部材7は、その折り目がPTPフィルム6の搬送方向に向くように送出されることとなる。
【0056】
反転部材55の先端部近傍には、PTPフィルム6を挟み込むように、押圧手段としての一対の貼付ロール57a,57bが設けられている。そして、反転部材55にて剥離紙51から剥離したラベル部材7は、貼付ロール57a,57b間に導かれることによって、PTPフィルム6のカバーフィルム4側に押し付けられ、貼付される。
【0057】
反転部材55の上流側には、ラベル部材7の位置を検知するセンサ59が設けられている。ラベル貼付装置30の制御装置は、センサ59の検知結果に基づき駆動ロール54a,54bを駆動制御する。
【0058】
続いてラベル貼付装置30の動作制御について説明する。
【0059】
通常時、ラベル貼付装置30の制御装置は、駆動ロール54a,54bを連続駆動させ、ラベル部材7の送出し動作(剥離紙51の移送動作)が、PTPフィルム6の連続送り動作に同期するようにしている。
【0060】
但し、本実施形態では、誤差を吸収するため、PTPフィルム6におけるPTPシート1のシート形成ピッチよりも、剥離紙51におけるラベル部材7の貼付ピッチが若干短く設定されている。このため、ラベル貼付装置30の制御装置は、図示しない連続送りロール20のエンコーダの値に基づき、PTPフィルム6におけるPTPシート1に相当する部位(シート打抜き部位)がどこに存在するかを正確に把握するとともに、当該部位が所定位置に達する前段階にセンサ59によりラベル部材7が検出された場合には、一旦、剥離紙51の移送を停止する。そして、PTPシート1に相当する部位が前記所定位置に達するタイミングで剥離紙51の移送停止を解除し、ラベル部材7を送出す。
【0061】
このようにして、反転部材55の先端部にて剥離紙51から剥離しつつ、PTPフィルム6の連続送り動作に同期して送出されたラベル部材7は、その折り目側から順次、貼付ロール57a,57b間に導かれ、PTPフィルム6のカバーフィルム4側におけるPTPシート1に相当する部位に貼付される。このような工程が繰り返されることにより、ラベル部材7が順次、PTPフィルム6に貼付されていくこととなる。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、連続送りされるPTPフィルム6に対しラベル部材7を貼付することができる。PTPフィルム6の連続送り動作中は、その速度が比較的遅く一定であるため、ラベル貼付装置30の動作を同期させやすい。結果として、ラベル部材7の貼付位置を位置合わせしやすくなる等、ラベル部材7を適切に貼付しやすくなる。特に、本実施形態のように、ラベル部材7において、ポケット部2に対応した取出部7cが形成されている構成においては、その効果が大きい。また、PTPフィルム6を停止する必要もないため、生産速度の低下を抑制することができる。さらに、ラベル貼付装置として、本実施形態のラベル貼付装置30のように比較的簡素な構成を採用することができ、製造装置の構造や動作制御の複雑化を抑制することができる。
【0063】
加えて、本実施形態では、2つ折りタイプのラベル部材7の折り目がPTPフィルム6の搬送方向に向くように、当該ラベル部材7が送出され、貼付ロール57a,57bに押え付けられるようにして貼付される構成となっている。このため、ラベル部材7の貼付過程やPTPフィルム6の搬送過程において、ラベル部材7が開いてしまうといった不具合が発生しにくくなる。
【0064】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0065】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】
(b)上記実施形態では、ラベル部材7が紙材により形成されているが、ラベル部材7の材質はこれに限定されるものではなく、例えば樹脂を原料としたフィルム基材など他の材質のものであってもよい。
【0067】
(c)ラベル部材7は、上記実施形態の2つ折りタイプのものに限定されず、例えば折り目のない1枚タイプのものや、2つ折りタイプの中に使用説明書等を備えたブックレット型のものであってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、各ポケット部2の周縁形状に沿ってミシン目が形成されることにより、切取り可能な取出部7cが形成されているが、これに代えて、例えばポケット部2に対応して切込み(例えば、十字状の切込み等)や開口部などを形成することにより、取出部とした構成としてもよい。また、取出部7cを省略した構成としてもよい。
【0069】
(d)上記実施形態では、ラベル貼付装置30が連続送りロール20とテンションロール27との間に配置されているが、ラベル貼付装置30の配置位置はこれに限定されるものではなく、連続送りロール20及び加熱ロール25によって容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着された後段階であって、PTPフィルム6が連続送りされる区間であれば、どこであってもよい。
【0070】
(e)ラベル貼付手段の構成は、上記実施形態におけるラベル貼付装置30に限定されるものではない。例えば、断面三角形状の反転部材55に代えて、断面円形状の反転部材や、回転可能なロール状の反転部材を採用してもよい。
【0071】
また、剥離紙51におけるラベル部材7の貼付ピッチと、PTPフィルム6におけるPTPシート1のシート形成ピッチとを一致させ、センサ59を省略した構成を採用してもよい。
【0072】
(f)上記実施形態では、2つ折りタイプのラベル部材7の折り目がPTPフィルム6の搬送方向に向くように、当該ラベル部材7が送出され、PTPフィルム6に貼付される構成となっているが、これに限らず、例えばラベル部材7の折り目がPTPフィルム6の搬送方向と直交する方向に向くような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、6…PTPフィルム、7…ラベル部材、7c…取出部、11…PTP包装機、15…加熱装置、16…ポケット成形装置、20…連続送りロール、21…錠剤投入装置、25…加熱ロール、27…テンションロール、30…ラベル貼付装置、37…シート打抜装置、51…剥離紙、54a,54b…駆動ロール、55…反転部材、57a,57b…貼付ロール、59…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の容器フィルムに対し、内容物を収容するためのポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備えたPTPシート製造装置において、
前記PTPフィルムが連続送りされる区間において、当該PTPフィルムのカバーフィルム側に対し所定のラベル部材を貼付するラベル貼付手段を備えたことを特徴とするPTPシート製造装置。
【請求項2】
前記ラベル貼付手段は、
前記ラベル部材が剥離可能に貼付された帯状の剥離紙を前記PTPフィルムの連続送り動作に同期させつつ移送する移送手段と、
前記PTPフィルムのカバーフィルム側に近接配置され、前記剥離紙の移送方向を反転させる反転手段と、
前記反転手段を介して前記剥離紙を反転させることにより当該剥離紙から剥離した前記ラベル部材を前記カバーフィルムに押し付ける押圧手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート製造装置。
【請求項3】
前記ラベル部材は、2つ折りに構成され、その折り目が前記PTPフィルムの搬送方向に向くように貼付されることを特徴とする請求項2に記載のPTPシート製造装置。
【請求項4】
前記ラベル部材は、前記カバーフィルムに貼付される部分において、前記ポケット部に対応して取出部が形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のPTPシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−25481(P2012−25481A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168756(P2010−168756)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】