説明

PWM制御回路

【課題】 本発明の課題は、スイッチング電源の起動時の立上り時間に影響なく、負荷への大電流供給時の出力電圧の低下を改善し、装置搭載のCPUやチップセットでの誤動作を防止することにある。
【解決手段】 ソフトスタート回路に出力電圧が変化したことを検出する検出回路とソフトスタート回路に補正をかける補正回路を具備することで、出力電圧が一時的に低下したことを検出した場合にスイッチングパルス幅を広げることで電圧低下(ディップ)を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPWM制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源の起動時(出力開始時)はソフトスタート回路にてスイッチングパルス幅を徐徐に広げることで立上り時間の調整を行い、急激な立上りによる電圧オーバシュートの防止や使用時間内での立上り時間を確保している。
【0003】
【特許文献1】特許第3504016号
【特許文献2】特開2000−224843号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング電源に接続している負荷側にアルミ電解コンデンサ等を実装していると、出力開始時に大きな突入電流が流れる。スイッチング電源の起動時はソフトスタート回路でスイッチングパルス幅の抑制を行っている為当該パルス幅で可能なエネルギー供給量には制限があり、それを超過した場合には出力電圧が低下する。以上より起動時の立上り電圧に一時的な低下(ディップ)が発生し、装置リセットへの影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ソフトスタート回路に出力電圧が変化したことを検出する検出回路とソフトスタート回路に補正をかける補正回路を具備することで、出力電圧が一時的に低下したことを検出した場合にスイッチングパルス幅を広げることで電圧低下(ディップ)を改善する。
【発明の効果】
【0006】
スイッチング電源の起動時の立上り時間に影響なく、負荷への大電流供給時の出力電圧の低下を改善し、装置搭載のCPUやチップセットでの誤動作を防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
スイッチング電源の出力電圧を反転微分回路に入力し、前記反転微分回路の出力電圧をソフトスタート回路に使用している電圧積分回路に電圧加算を行う。
【実施例1】
【0008】
図1はこの発明の実施例1を示すブロック図である。図1において、1は三角波形生成回路、2はエラーアンプ、3は電圧積分回路、4はコンパレータ、5はPWM制御回路、6は電圧加算回路、7は電源入力、8は電源回路、9は負荷を示す。
【0009】
図2は図1に示した電源の動作の概略を示したものである。(A)は三角波形生成回路1の出力電圧波形とエラーアンプ2の出力波形、電圧積分回路3の出力電圧を示した図、(B)はPWM回路5の出力電圧波形を示した図、(C)は電源回路の出力電圧波形を示した図、(D)は負荷の負荷電流を示した図である。
【0010】
電源投入後、徐々にPWM回路のパルス幅が広がり、電源回路の出力電圧も上昇するが、負荷装置は出力電圧がある一定以上の電圧になると負荷を引き始め、(C)の点線で示すように出力電圧を下げようとするが、電圧加算回路6により電圧積分回路3の出力電圧を変化させることで、PWM回路5のhigh側のパルス幅を増加させ、出力電圧の低下を防ぐ。
【実施例2】
【0011】
図3はこの発明の実施例2を示すブロック図である。図1に電圧減算回路10を追加したものである。
【0012】
図4は図3に示した電源の動作の概略を示したものである。(E)は三角波形生成回路1の出力電圧波形とエラーアンプ2の出力波形、電圧積分回路3の出力電圧を示した図、(F)はPWM回路5の出力電圧波形を示した図、(G)は電源回路の出力電圧波形を示した図、(H)は負荷の負荷電流を示した図である。
【0013】
実施例1において、電圧積分回路6に電圧加算したことによりPWM制御回路5のパルス幅が広められたことで、電源立上り時の負荷による出力電圧の落ち込みは無くなるが、PWM回路の出力パルス幅を広げきってしまっているため、出力電圧立上り後に過渡的な過電圧異常を発生させる恐れがある。
【0014】
そこで、電圧減算回路10により電圧積分回路の出力を変化させることで、PWM回路5の出力を減少させ、出力電圧の異常上昇を防ぐ。
【実施例3】
【0015】
図5はこの発明の実施例3を示す図である。
【0016】
11は検知回路、12は反転微分回路、13はスイッチング素子、14は転流用素子、15はコイル、16は平滑用コンデンサを示す。
【0017】
電源回路8内の平滑コンデンサ16の電圧を検出する検知回路11に反転微分回路12を内蔵し、電源投入時に負荷9により電源出力が一時的に低下した場合、反転微分回路12の出力を電圧積分回路3に加算し、PWM回路5のスイッチングパルス幅を広げることで電圧低下を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の動作を示す図である。
【図3】本発明の実施例2を示す図である。
【図4】本発明の実施例2の動作を示す図である。
【図5】本発明の実施例3を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
…1三角波形生成回路、2…エラーアンプ、3…電圧積分回路、4…コンパレータ、5…PWM回路、6…電圧加算回路、7…電源入力、8…電源回路、9…負荷、10…電圧減算回路、11…検知回路、12…反転微分回路、13…スイッチング素子、14…転流用素子、15…コイル、16…平滑用コンデンサ、17…トランス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角波形生成回路とエラーアンプと電圧積分回路を備え、前記三角波形生成回路と前記エラーアンプ出力電圧と前記電圧積分回路の出力電圧を入力とするコンパレータを備え、前記コンパレータ出力よりパルス波形を生成するPWM制御において、前記電圧積分回路の出力電圧を変化させるべく電圧加算回路を具備し、前記パルス波形のパルス幅リミット値を増加することを特徴とするPWM制御回路。
【請求項2】
前記請求項1において、電圧積分回路の出力電圧を変化させるべく電圧減算回路を具備し、前記パルス波形のパルス幅リミット値を減少することを特徴とするPWM制御回路。
【請求項3】
前記請求項1のPWM制御回路とスイッチング素子とコイルと転流用素子と平滑コンデンサを具備したスイッチング電源において、前記平滑コンデンサの電圧を検出する検出回路に反転微分回路を具備し、前記請求項1の電圧積分回路の出力電圧を変化させるべく前記反転微分回路の出力を前記電圧積分回路に加算し、パルス波形のパルス幅リミット値を増加することを特徴とするスイッチング電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−345614(P2006−345614A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167657(P2005−167657)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】