説明

PWM制御装置及びパルス波形制御方法

【課題】従来のPWM制御装置では、パルス幅変調信号の周期を一定に保ちながら高い分解能でデューティー比を制御できない問題があった。
【解決手段】本発明のPWM制御装置は、基準クロック信号REFCをカウントして第1のカウント値CNT1を出力する第1のカウンタ40と、第1のカウント値CNT1に基づき前縁制御信号FCNTLを出力する前縁制御信号生成部41と、調整用クロック信号ADJCを生成する調整用クロック生成部30bと、第1のカウント値CNT1に基づき調整用クロック信号ADJCの出力開始を指示する第2のカウンタ制御部20と、第2のカウント値CNT2を出力する第2のカウンタ50と、第2のカウント値CNT2に基づき後縁制御信号ECNTLを出力する後縁制御信号生成部51と、前縁制御信号FCNTL及び前記後縁制御信号ECNTLを合成してパルス幅変調信号を生成するPWMパルス生成部60と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明にかかるPWM制御装置及びパルス波形制御方法は、特にPWM(Pulse Width Modulation)信号のパルス幅を制御するPWM制御装置及びパルス波形制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯機器に搭載される半導体装置では、機器の使用時間を延ばすために、消費電力に厳しい制限が要求される。このような半導体装置は、安定した電源供給を得るために電源制御回路により電源供給を受ける場合がある。このとき、半導体装置の消費電力の低減を実現するためには、電源制御回路には、高速起動や出力電圧変動を抑制する高精度な制御が必要である。電源制御回路ではスイッチング素子であるPID(Power Intelligence Device)に対してPWM(Pulse Width Modulation)パルスを与えることで半導体装置に対する電源を制御する。このような電源制御回路において、出力電圧の変動を高精度に抑制する場合、PWMパルスを高分解能なステップで制御する必要がある。しかしながら、PWMパルスの分解能を高めるためには使用するクロック周波数を高くしなければならず、それにより消費電力が増加する問題がある。
【0003】
ここで、PWMパルスを変調するPWM制御装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているPWM制御装置100のブロック図を図7に示す。PWM制御装置100は、デジタル信号の値に応じてクロック信号を変調したパルス幅変調信号を生成するデジタル方式パルス幅変調装置である。PWM制御装置100は、同期検出部101、第1のカウンタ102、第2のカウンタ103、前縁制御信号生成部104、後縁制御信号生成部105、パルス幅変調信号生成部106を有している。また、PWM制御装置100は、クロック信号として周波数比(N+1):Nの2つのクロック信号(クロック信号Aとクロック信号B)が供給される。
【0004】
同期検出部101は、クロック信号Aとクロック信号Bの同期タイミングを検出して第1のカウンタ102及び第2のカウンタ103とに同期信号を出力する。同期検出部101にはイネーブル信号が入力されており、イネーブル信号がアサート(有効)されている状態で動作する。第1のカウンタ102は、同期信号に応じて初期化され、クロック信号Aをカウントして第1のカウント信号を生成する。第2のカウンタ103は、同期信号に応じて初期化され、クロック信号Bをカウントして第2のカウント信号を生成する。前縁制御信号生成部104は、クロック信号Aを用いて、第1のカウント信号とデジタル信号に従ってパルス幅変調信号のパルス前縁の位置を特定するための前縁制御信号を生成する。後縁制御信号生成部105は、クロック信号Bを用いて、第2のカウント信号とデジタル信号に従ってパルス幅変調信号のパルス後縁の位置を特定するための後縁制御信号を生成する。パルス幅変調信号生成部106は、前縁制御信号生成部104により生成された前縁制御信号と、後縁制御信号生成部105により生成された後縁制御信号とを合成してパルス幅変調信号を生成する。
【0005】
ここで、クロック信号Aは、デジタル信号におけるサンプリングクロックの{(N+1)×M}倍の周波数を有する。また、クロック信号Bは、デジタル信号におけるサンプリングクロックの{N×M}倍の周波数を有する。なお、Nは2又は10の累乗である。また、デジタル信号は、例えば16ビットのデジタルデータである。
【0006】
PWM制御装置100では、まず、同期検出部101がクロック信号Aとクロック信号Bの立ち上がりエッジの位置が前後に逆転したことを検出する。そして、このエッジの逆転に応じて第1のカウンタ102及び第2のカウンタ103に同期信号を出力し、第1のカウンタ102及び第2のカウンタ103を初期化する。
【0007】
続いて、第1のカウンタ102は、同期信号により初期化され、初期化後にクロック信号Aのカウントを開始し、そのカウント値を第1のカウント信号として出力する。第1のカウント信号は0〜{(N+1)×M−1}の間で循環する値を有する。一方、第2のカウンタ103は、同期信号により初期化され、初期化後にクロック信号Bのカウントを開始し、そのカウント値を第2のカウント信号を出力する。第2のカウント信号は0〜{N×M−1}の間で循環する値を有する。
【0008】
このときクロック信号Aとクロック信号Bとは周波数比(N+1):Nであるため、クロック信号Aとクロック信号Bの位相差はクロック信号Aの(N+1)周期で循環し、(クロック信号Aの1周期)/Nを単位とするNステップの位相差が順に出現する。例えば、始点ではクロック信号Aとクロック信号Bの位相差は0/N、中央付近ではクロック信号Aとクロック信号Bの位相差は(N/2)/N、終点付近ではクロック信号Aとクロック信号Bの位相差は(N−1)/Nとなる。なお、第1のカウンタ102と第2のカウンタ103は同期されているので、第2のカウンタ103の値が特定されると、その値におけるクロック信号Bの立ち上がりエッジとその直前にあるクロック信号Aの立ち上がりエッジとの位相差が特定できる。
【0009】
次に、前縁制御信号生成部104は、デジタル信号によってパルス前縁の位置を特定し、その位置と第1のカウント信号の値が一致したクロック信号Aの立ち上がりエッジに応じて前縁制御信号をアサートして、第1のカウント信号の終点で前縁制御信号をネゲートする。後縁制御信号生成部105は、デジタル信号によってパルス後縁の位置を特定し、その位置と第2のカウント信号の値が一致したクロック信号Bの立ち上がりエッジで後縁制御信号をネゲートし、第2のカウント信号の始点で後縁制御信号をアサートする。
【0010】
ここで、Nを128、Mを5に設定し、16ビットのデジタル信号に適用させた場合のPWM制御装置の動作について説明する。まず、パルス幅変調信号のパルス後縁の位置を算出するために、クロック信号Aとクロック信号Bのある同期時点における第2のカウント信号の値(ここでは、{N×(M−1)−1}=128×4−1)とデジタル信号の下位7ビットのデータを加算する。この加算値と第2のカウント信号の値が一致したクロック信号Bの立ち上がりエッジで後縁制御信号をネゲートし、第2のカウント信号の始点(カウント値が0の時点)で後縁制御信号をアサートする。
【0011】
また、パルス前縁の位置を算出するために、同じ同期時点における第1のカウント信号の値(ここでは、{(N+1)×(M−1)−1}=129×4−1)とデジタル信号の下位7ビットのデータを加算し、その加算値をデジタル信号の残りの上位9ビットのデータで減算する。この減算値と第1のカウント信号の値が一致したクロック信号Aの立ち上がりエッジで前縁制御信号をアサートし、第1のカウント信号の終点(カウント値129×5−1の時点)で前縁制御信号をネゲートする。
【0012】
このように、クロック信号Aとクロック信号Bの周波数比を(N+1):Nとした場合、クロック信号Aとクロック信号Bの位相差はクロック信号Aの(N+1)周期で循環し、(クロック信号Aの1周期)/Nを単位とするNステップの位相差が順に出現する。この位相差を用いることでPWM制御装置100は、(クロック信号Aの1周期)/Nのパルス幅を単位とするパルス幅変調信号を生成することができる。つまり、PWM制御装置100は、入力されるクロック信号の周期に対してN倍の分解能を有し、同じ周波数のクロックを用いた場合に比べN倍高い分解能によるパルス幅の制御を実現することができる。
【特許文献1】特許第3967370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載のPWM制御装置100は、パルス幅変調信号の前縁を前縁制御信号で生成し、後縁を後縁制御信号で生成してパルス幅変調信号のオン期間を設定している。しかしながら、パルス幅変調信号の前縁から次のサイクルのパルス幅変調信号の前縁までの周期がデジタル信号の値によって異なるため、一定周期においてパルス幅変調信号のオン期間を任意に設定できず、スイッチング電源などに要求される一定周期における任意のオン・デューティー比を実現することができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかるPWM制御装置の一態様は、基準クロック信号をカウントし、第1のカウント値を出力する第1のカウンタと、前記第1のカウント値が第1の設定値に達したことを検知して前記第1のカウンタをリセットする第1のカウンタ制御部と、前記第1のカウント値が第2の設定値に達したことを検知してパルス幅変調信号の前縁位置を指定する前縁制御信号を出力する前縁制御信号生成部と、前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号を生成する調整用クロック生成部と、前記第1のカウント値が第3の設定値に達したことを検知して前記調整用クロック生成部に出力開始を指示する第2のカウンタ制御部と、前記調整用クロック信号をカウントし、第2のカウント値を出力する第2のカウンタと、前記第2のカウント値が第4の設定値に達したことを検知して前記パルス幅変調信号の後縁位置を指定する後縁制御信号を出力する後縁制御信号生成部と、前記前縁制御信号に基づき前記パルス幅変調信号の立ち上がりエッジを生成し、前記後縁制御信号に基づき前記パルス幅変調信号の立ち下がりエッジを生成するPWMパルス生成部と、を有するものである。
【0015】
本発明にかかるパルス波形制御方法の一態様は、基準クロック信号と、前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号と、に基づきパルス幅変調信号の周期及びパルス幅を制御するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法であって、基準クロック信号をカウントした第1のカウント値が第1の設定値に達したことを検知して前記第1のカウント値をリセットし、前記リセット後に入力される前記基準クロック信号をカウントして第1のカウント値を生成し、前記第1のカウント値が第2の設定値に達したことを検知してパルス幅変調信号の前縁位置を指定する前縁制御信号を生成し、前記第1のカウント値が第3の設定値に達したことを検知して調整用クロック信号の出力を開始し、前記調整用クロック信号をカウントして第2のカウント値を生成し、前記第2のカウント値が第4の設定値に達したことを検知して前記パルス幅変調信号の後縁位置を指定する後縁制御信号を生成し、前記前縁制御信号と前記後縁制御信号とを合成して前記パルス幅変調信号を生成するものである。
【0016】
また、本発明にかかるパルス制御方法の一態様は、基準クロック信号と、前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号と、に基づきパルス幅変調信号の周期及びパルス幅を制御するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法であって、基準クロック信号のクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の一周期の長さを設定し、前記パルス幅変調信号の一周期の開始位置から前記パルス幅変調信号の前縁位置までの間に含まれる基準クロック信号のクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の前縁位置を設定し、前記第1のカウント値に基づき前記調整用クロックの出力を開始する位置を設定し、前記調整用クロックの出力開始位置から前記パルス幅変調信号の後縁位置までの期間に含まれる前記調整用クロックのクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の後縁位置を設定するものである。
【0017】
本発明にかかるPWM制御装置及びパルス波形制御方法によれば、第1のカウンタのカウント開始タイミングを第1の設定値にて行い、第2のカウンタのカウント開始タイミングを第1のカウント値と第3の設定値との関係に基づき行う。つまり、本発明にかかるPWM制御装置は、第1のクロック信号と第2のクロック信号との同期開始位置を第3の設定値に基づき任意に設定することができる。
【0018】
また、本発明にかかるPWM制御装置及びパルス波形制御方法は、第1の設定値及び第2の設定値に基づきパルス幅変調信号の前縁位置を設定し、第3の設定値及び第4の設定値に基づきパルス幅変調信号の後縁位置を設定する。つまり、本発明にかかるPWM制御装置は、パルス幅変調信号の前縁位置と後縁位置とを独立して設定することができる。
【0019】
このようなことから、本発明にかかるPWM制御装置及びパルス波形制御方法は、パルス幅変調信号の前縁位置を第1のクロック信号のみに基づき一定周期で生成することができる。また、パルス幅変調信号の前縁位置と後縁位置との関係を第1のクロック信号と第2のクロック信号の同期開始位置の関係に基づき任意に設定することができる。つまり、本発明にかかるPWM制御装置は、第1のクロック信号と第2のクロック信号との位相差によることなく、所定の周期で生成される前縁位置に対して任意の後縁位置を有するパルス幅変調信号を生成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかるPWM制御装置及びパルス波形制御方法によれば、一定周期を有するパルス幅変調信号のオン・デューティー比を高分解能で制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に本実施の形態にかかるPWM制御装置1のブロック図を示す。図1に示すように、PWM制御装置1は、演算ユニット2において演算された第1の設定値(例えば、リセットタイミング設定値RST_TIMa)、第2の設定値(例えば、前縁位置設定値PWU)、第3の設定値(例えば、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb)、第4の設定値(例えば、後縁位置設定値PWD)に基づき出力するパルス幅変調信号OUTのパルス幅及び周期を決定する。以下で本実施の形態にかかるPWM制御装置1の詳細な構成について説明する。
【0022】
PWM制御装置1は、第1のカウンタ制御部10、第2のカウンタ制御部20、クロックコントローラ30、第1のカウンタ40、第2のカウンタ50、PWMパルス生成部60、リセット制御回路61を有する。
【0023】
第1のカウンタ制御部10は、第1のカウンタ40が出力する第1のカウント値CNT1が第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaに達したことを検知して第1のリセット信号RST1を出力する。第1のリセット信号RST1は、第1のカウンタ40に与えられ、第1のカウンタが出力する第1のカウント値CNT1をリセットする。また、第1のリセット信号RST1は、クロックコントローラ30内の基準クロック生成部30aに与えられ、基準クロック生成部30aが出力する基準クロック信号REFCの位相をリセットする。
【0024】
第1のカウンタ制御部10は、第1のレジスタ(例えば、コンペア・レジスタ11)及び第1のコンパレータ(例えば、コンパレータ12)を有する。コンペア・レジスタ11には、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaが格納される。コンパレータ12は、第1のカウント値CNT1と第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaとの一致比較結果を第1のリセット信号RST1として出力する。より具体的には、コンパレータ12は、第1のカウント値CNT1と第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaとが一致すると第1のリセット信号RST1をアサートし、不一致であれば第1のリセット信号RST1をネゲートする。
【0025】
第2のカウンタ制御部20は、第1のカウンタ40が出力する第1のカウント値CNT1が第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbに達したことを検知して第2のリセット信号RST2を出力する。第2のリセット信号RST2は、クロックコントローラ30内の調整用クロック生成部30bに与えられ、調整用クロック生成部30bは第2のリセット信号RST2に応じて調整用クロック信号ADJCの出力を開始する。
【0026】
第2のカウンタ制御部20は、第3のレジスタ(例えば、コンペア・レジスタ21)及び第3のコンパレータ(例えば、コンパレータ22)を有する。コンペア・レジスタ21には、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbが格納される。コンパレータ22は、第1のカウント値CNT1と第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbとの一致比較結果を第2のリセット信号RST2として出力する。より具体的には、コンパレータ22は、第1のカウント値CNT1と第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbとが一致すると第2のリセット信号RST2をアサートし、不一致であれば第2のリセット信号RST2をネゲートする。
【0027】
クロックコントローラ30は、PWM制御装置1において用いられる基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCとを生成する。基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCとは互いに周期が異なるクロック信号である。本実施の形態では、基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCとの位相差に相当する時間をパルス幅変調信号OUTのパルス幅の制御ステップ(分解能)とし、一つの分解能に対応する時間を分解能サイクルと称す。
【0028】
クロックコントローラ30は、基準クロック生成部30aと調整用クロック生成部30bとを有する。基準クロック生成部30aは、遅延回路31a、32a、論理和回路34a、セット・リセットラッチ回路35aを有する。遅延回路31aは、セット・リセットラッチ回路35aの出力端子Qに入力端子が接続され、出力端子がセット・リセットラッチ回路35aのリセット端子Rに接続される。遅延回路32aは、入力端子が遅延回路31aの出力端子に接続され、出力端子が論理和回路34aの一方の入力端子に接続される。論理和回路34aは、一方の入力端子が遅延回路32aの出力端子に接続され、他方の入力端子に第1のリセット信号RST1が入力される。論理和回路34aは、2つの入力の論理和演算を行い、その演算結果を出力する。セット・リセットラッチ回路35aは、セット端子Sに論理和回路34aの出力端子が接続され、リセット端子Rに遅延回路31aの出力端子が接続され、出力端子Qから基準クロック信号REFCを出力する。セット・リセットラッチ回路35aは、セット端子Sがアサートされると出力信号を第1の論理レベル(例えば、ハイレベル)とし、リセット端子がアサートされると出力信号を第2の論理レベル(例えば、ロウレベル)とする。基準クロック生成部30aは、セット・リセットラッチ回路35aの出力を遅延回路31a、32aを介してセット・リセットラッチ回路35aのセット端子S及びリセット端子Rに帰還させることで、基準クロック信号REFCを生成する。
【0029】
調整用クロック生成部30bは、遅延回路31b、32b、分解能設定遅延回路33b、論理和回路34b、36b、セット・リセットラッチ回路35bを有する。遅延回路31bは、セット・リセットラッチ回路35bの出力端子Qに入力端子が接続される。論理和回路36bは、一方の入力端子が遅延回路31bの出力端子に接続され、他方の入力端子にクロック停止信号RST3が入力される。出力端子が論理和回路36bの一方の端子に接続される。論理和回路36bは、2つの入力の論理和演算を行い、その演算結果をセット・リセットラッチ回路35bのリセット端子Rに出力する。
【0030】
遅延回路32bは、入力端子が遅延回路31bの出力端子に接続され、出力端子が分解能設定遅延回路33bの入力端子に接続される。分解能設定遅延回路33bは、入力端子が遅延回路32bの出力端子と接続され、出力端子が論理和回路34bの一方の入力端子に接続される。論理和回路34bは、一方の入力端子が分解能設定遅延回路33bの出力端子に接続され、他方の入力端子に第2のリセット信号RST2が入力される。論理和回路34bは、2つの入力の論理和演算を行い、その演算結果を出力する。
【0031】
セット・リセットラッチ回路35bは、セット端子Sに論理和回路34bの出力端子が接続され、リセット端子Rに遅延回路31bの出力端子が接続され、出力端子Qから調整用クロック信号ADJCを出力する。セット・リセットラッチ回路35bは、セット端子Sがアサートされると出力信号をハイレベルとし、リセット端子がアサートされると出力信号をロウレベルとする。基準クロック生成部30aは、セット・リセットラッチ回路35bの出力を遅延回路31b、32b、33bを介してセット・リセットラッチ回路35bのセット端子S及びリセット端子Rに帰還させることで、調整用クロック信号ADJCを生成する。
【0032】
ここで、遅延回路31aと遅延回路31bとは同じ遅延時間を有し、遅延回路32aと遅延回路32bとは同じ遅延時間を有する。そのため、調整用クロック信号ADJCの一周期の時間は、基準クロック信号REFCの一周期の時間に比べて分解能設定遅延回路33bの遅延時間分だけ長くなる。つまり、基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCは異なる周期を有するクロック信号となる。
【0033】
第1のカウンタ40は、基準クロック信号REFCをカウントして、第1のカウント値CNT1を出力する。本実施の形態では、第1のカウンタ40は、基準クロック信号REFCの立ち上がりエッジことにカウント値をインクリメントすることで、基準クロック信号REFCのクロックサイクル数をカウントする。また、第1のカウンタ40には第1のリセット信号RST1が入力され、第1のリセット信号RST1がアサートされると第1のカウント値CNT1がリセットされる。
【0034】
第2のカウンタ50は、調整用クロック信号ADJCをカウントして、第2のカウント値CNT2を出力する。本実施の形態では、第2のカウンタ50は、調整用クロック信号ADJCの立ち上がりエッジことにカウント値をインクリメントすることで、調整用クロック信号ADJCのクロックサイクル数をカウントする。また、第2のカウンタ50には後述する後縁制御信号ECNTLが入力されており、後縁制御信号ECNTLがアサートされると第2のカウント値CNT2はリセットされる。
【0035】
前縁制御信号生成部41は、第1のカウンタ40が出力する第1のカウント値CNT1が前縁位置設定値PWUに達したことを検知して前縁制御信号FCNTLを出力する。前縁制御信号FCNTLはPWMパルス生成部60に与えられる。前縁制御信号生成部41は、第2のレジスタ(例えば、コンペア・レジスタ42)及び第2のコンパレータ(例えば、コンパレータ43)を有する。コンペア・レジスタ42には、前縁位置設定値PWUが格納される。コンパレータ43は、第1のカウント値CNT1と前縁位置設定値PWUとの一致比較結果を前縁制御信号FCNTLとして出力する。より具体的には、コンパレータ43は、第1のカウント値CNT1と前縁位置設定値PWUとが一致すると前縁制御信号FCNTLをアサートし、不一致であれば前縁制御信号FCNTLをネゲートする。
【0036】
後縁制御信号生成部51は、第2のカウンタ50が出力する第2のカウント値CNT2が後縁位置設定値PWDに達したことを検知して後縁制御信号ECNTLを出力する。後縁制御信号ECNTLは、PWMパルス生成部60に与えられる。後縁制御信号生成部51は、第4のレジスタ(例えば、コンペア・レジスタ52)及び第4のコンパレータ(例えば、コンパレータ53)を有する。コンペア・レジスタ52には、後縁位置設定値PWDが格納される。コンパレータ53は、第2のカウント値CNT2と後縁位置設定値PWDとの一致比較結果を後縁制御信号ECNTLとして出力する。より具体的には、コンパレータ53は、第1のカウント値CNT1と後縁位置設定値PWDとが一致すると後縁制御信号ECNTLをアサートし、不一致であれば後縁制御信号ECNTLをネゲートする。
【0037】
PWMパルス生成部60は、前縁制御信号FCNTLに基づきパルス幅変調信号OUTの立ち上がりエッジを生成し、後縁制御信号ECNTLに基づきパルス幅変調信号OUTの立ち下がりエッジを生成する。つまり、PWMパルス生成部60は、前縁制御信号FCNTLと後縁制御信号ECNTLとを合成することで出力信号となるパルス幅変調信号OUTの波形整形を行う。
【0038】
リセット制御回路61は、後縁制御信号ECNTLの状態を監視して、調整用クロック生成部30bの動作を停止させる。リセット制御回路61は、Dフリップフロップ62、63、セット・リセットラッチ回路64を有する。本実施の形態では、Dフリップフロップ62は、クロック入力端子Cに調整用クロック信号ADJCを受け、データ入力端子Dに後縁制御信号ECNTLを受ける。そして、Dフリップフロップ62は、調整用クロック信号ADJCの立ち上がりエッジが入力された時点の後縁制御信号ECNTLの論理レベルを出力端子Qから出力する。Dフリップフロップ63は、クロック入力端子Cに調整用クロック信号ADJCを受け、データ入力端子Dにラッチ回路62の出力を受ける。そして、Dフリップフロップは、調整用クロック信号ADJCの立ち上がりエッジが入力された時点のDフリップフロップ62の出力の論理レベルを出力端子Qから出力する。セット・リセットラッチ回路64は、セット端子SにDフリッププロップ63の出力を受け、リセット端子Rに第2のリセット信号RST2を受ける。そして、セット端子Sに立ち上がりエッジが入力されると出力端子Qから出力する出力信号(クロック停止信号RST3)をアサートし、リセット端子Rに立ち上がりエッジが入力されると出力端子Qから出力する出力信号(クロック停止信号RST3)をネゲートする。なお、リセット制御回路61は、後縁制御信号ECNTLが出力された後に調整用クロック信号ADJCを停止させて、後縁制御信号ECNTLが生成された後の誤動作を防止する機能を実現するものである。
【0039】
本実施の形態では、PWMパルス生成部60は、セット・リセットラッチ回路により構成される。PWMパルス生成部60で用いられるセット・リセットラッチ回路は、セット端子Sに前縁制御信号FCNTLが入力され、リセット端子Rに後縁制御信号ECNTLが入力され、出力端子Qからパルス幅変調信号OUTを出力する。このセット・リセットラッチ回路は、前縁制御信号FCNTLがアサートされるとパルス幅変調信号OUTをハイレベルに切り替えることで、パルス幅変調信号OUTの立ち上がりエッジを生成する。また、このセット・リセットラッチ回路は、後縁制御信号ECNTLがアサートされるとパルス幅変調信号OUTをロウレベルに切り替えることで、パルス幅変調信号OUTの立ち下がりエッジを生成する。
【0040】
つまり、本実施の形態にかかるPWM制御装置1は、前縁制御信号FCNTLがアサートされるタイミングでパルス幅変調信号OUTの前縁位置を設定し、後縁制御信号ECNTLがアサートされるタイミングでパルス幅変調信号OUTの後縁位置を設定する。前縁制御信号FCNTL及び後縁制御信号ECNTLがアサートされるタイミングは、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb、前縁位置設定値PWU、及び、後縁位置設定値PWDにより設定される。以下においてこれらの値の算出方法について説明する。
【0041】
本実施の形態において用いられる値を算出するための手順を示すフローチャートを図2に示す。また、本実施の形態では、各値は、演算ユニット2によって算出される。つまり、図2に示すフローチャートに示す手順は演算ユニット2において実行されるものである。
【0042】
図2に示すように、各値の導出に先立ち、まずパルス幅変調信号OUTにおけるオン期間(例えば、ハイレベルとなる期間)に含まれる分解能サイクル数ONresを算出する(ステップS1)。オン期間に含まれる分解能サイクル数ONresは、式(1)に基づき導出される。
ONres=PWMon/RES ・・・ (1)
ここで、PWMonは、パルス幅変調信号OUTのオン期間の時間であり、RESは一つの分解能サイクルの時間である。
【0043】
続いて、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaの算出と、算出された第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaのコンペア・レジスタ11への格納を行う(ステップS2)。第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaは、式(2)に基づき導出される。
RST_TIMa=(PWMres/CK1res)−1 ・・・ (2)
ここで、PWMresはパルス幅変調信号OUTの一周期に含まれる分解能サイクル数であり、CK1resは基準クロック信号REFCの一周期に含まれる分解能サイクル数である。本実施の形態では、第1のカウンタ40が0を初期値としてクロックサイクル数をカウントするため、式(2)では、最後の項で1を減算している。つまり、式(2)最後の項で減算する値は第1のカウンタ40の初期値に応じて決定すればよい。第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaは、式(2)からわかるように、パルス幅変調信号OUTの一周期の長さを決定する値、あるいは、パルス幅変調信号OUTの一周期に含まれる基準クロック信号REFCのクロックサイクル数を設定する値である。
【0044】
次に、前縁位置設定値PWUの算出と、算出された前縁位置設定値PWUのコンペア・レジスタ42への格納を行う(ステップS3)。前縁位置設定値PWUは、パルス幅変調信号OUTの一周期の開始位置からパルス幅変調信号の前縁位置までの期間に含まれる基準クロック信号REFCのサイクル数が設定される。具体的には、前縁位置設定値PWUは、パルス幅変調信号OUTの前縁位置が第1のカウンタのリセット後に入力される基準クロック信号REFCの何番目のクロックサイクルに同期して出力されるかを設定する値である。本実施の形態では、パルス幅変調信号OUTの前縁位置を周期の先頭に設定するために、前縁位置設定値PWUとして、第1のカウンタ40の初期値である"0"を設定する。そのため、前縁位置設定値PWUは式(3)に基づき導出される。
PWU=0 ・・・ (3)
【0045】
次に、後縁位置設定値PWDの算出と、算出された後縁位置設定値PWDのコンペア・レジスタ52への格納を行う(ステップS4)。後縁位置設定値PWDは、式(4)に基づき導出される。
PWD=(ONres%CK1res)+1 ・・・ (4)
ここで、%は、剰余演算を示すものである。つまり、後縁位置設定値PWDは、オン期間に含まれる分解能サイクル数ONresと基準クロック信号REFCの一周期に含まれる分解能サイクル数CK1resの剰余演算結果に基づき設定される。また、後縁位置設定値PWDは、調整用クロック信号ADJCの開始位置からパルス幅変調信号の後縁位置までの期間に含まれる調整用クロック信号ADJCのクロックサイクル数に基づき設定される値である。本実施の形態では、第2のカウンタの初期値が0であり、その初期化に入力される調整クロック信号のクロックサイクル数をカウントした値が第2のカウント値CNT2となる。また、本実施の形態では、後縁制御信号ECNTLの立ち上がりエッジに同期してパルス幅調整信号OUTの後縁位置がきまる。そのため、式(4)では、最後の項で"1"を加算している。つまり、式(4)最後の項で加算する値は第2のカウンタ50の動作と、後縁制御信号ECNTLとパルス幅変調信号の前縁位置とに基づき決定すればよい。
【0046】
次に、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbの算出を行うが、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbは、パルス幅変調信号のオン期間の長さに応じて値が異なる。本実施の形態では、式(5)の条件式を満たすか否かによって第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbの算出方法を選択する(ステップS5)。
ONres>CK2res×(ONres%CK1res) ・・・ (5)
ここで、CK2resは、調整用クロック信号ADJCの一周期に含まれる分解能サイクル数である。式(5)の条件式は、左項において、オン期間に含まれる分解能サイクル数と基準クロック信号REFCの一周期に含まれる分解能サイクル数との剰余演算結果からオン期間の長さを微調整するために何個の調整用クロック信号ADJCのクロックサイクルが必要かを算出し、算出されたクロックサイクル数の調整用クロック信号ADJCの長さを求める。そして、左項の調整用クロック信号ADJCの長さがオン期間の長さよりも長いか否かを判定する。
【0047】
式(5)の条件式を満たし真(Yes)と判定された場合、式(6)によって第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbを算出し、算出された第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbをコンペア・レジスタ21に格納する(ステップS6)。
RST_TIMb=(ONres−(CK2res×(ONres%CK1res)))
/CK1res ・・・(6)
【0048】
一方、式(5)の条件式が満たされず判定が偽(No)となった場合、式(7)によって第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbを算出し、算出された第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbをコンペア・レジスタ21に格納する(ステップS7)。
RST_TIMb=PWMck1−
((CK2res×(ONres%CK1res)−ONres)
/CK1res) ・・・ (7)
ここで、PWMck1は、パルス幅変調信号の一周期に含まれる基準クロック信号REFCのクロックサイクル数である。
【0049】
式(6)に基づき求められる第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbは、制御対象としているパルス幅変調信号の周期が開始された後(第1のカウンタ40がリセットされる後)に第2のリセット信号RST2を出力する値となる。一方、式(7)に基づき求められる第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbは、制御対象としているパルス幅変調信号の周期が開始される以前(第1のカウンタ40がリセットされる以前)に第2のリセット信号RST2を出力する値となる。
【0050】
第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbは、パルス幅変調信号OUTのオン期間の分解能サイクル数と基準クロック信号REFCの一周期に含まれる分解能サイクル数との剰余演算結果から得られる調整用クロック信号ADJCの分解能サイクル数と、オン期間に含まれる分解能サイクル数と、の分解能サイクル数の差から得られる基準クロック信号REFCのクロックサイクル数に基づき設定される。また、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbは、調整用クロックの出力を開始する第1のカウント値CNT1の値を設定する値である。
【0051】
続いて、本実施の形態にかかるPWM制御装置1の動作について説明する。PWM制御装置1は、演算ユニット2が上記ステップS1〜S7に基づき算出した値に基づきパルス幅変調信号OUTの波形を整形する。そこで、図3にPWM制御装置1の動作の手順を示すフローチャートを示す。PWM制御装置1は、図3に示すフローチャートをパルス幅変調信号OUTの一周期ごとに実行する。
【0052】
PWM制御装置1は、まず、生成するパルス幅変調信号OUTの周期の開始前にリセットを解除する(ステップS10)。これにより、コンペア・レジスタ11、21、42、52及びコンパレータ12、22、43、53は初期化された状態となる。続いて、演算ユニット2において、上記ステップS1〜S7を実行し、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb、前縁位置設定値PWU、及び、後縁位置設定値PWDを算出し、算出した値をそれぞれコンペア・レジスタ11、21、42、52に格納する(ステップS11)。これにより、PWM制御装置1の動作条件の設定が完了する。
【0053】
続いて、PWM制御装置1は、パルス幅変調信号OUTの一周期の波形を整形する処理ループ1の処理を開始する(ステップS12)。処理ループ1は、第1のカウンタ制御部10のコンパレータ12によって、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaと第1のカウント値CNT1が一致するまで、ステップS13からステップS22までの動作を繰り返し実行する。また、処理ループ1に含まれる処理では、パルス幅変調信号OUTの前縁部と後縁部を生成する。
【0054】
処理ループ1では、第1のカウンタ40が基準クロック信号REFCのクロックサイクルをカウントして、第1のカウント値CNT1をカウントアップする(ステップS13)。そして、第2のカウンタ制御部20のコンパレータ22によって第2のリセットタイミング設定値RST_TIMbと第1のカウント値CNT1との一致が検出されると、処理ループ2の処理が開始される(ステップS14)。ステップS14においてコンパレータ22が値の一致を検出すると、コンパレータ22は第2のリセット信号RST2をアサートし、調整用クロック信号ADJCの出力が開始される。なお、処理ループ2は、処理ループ1と並列的に実行されるものであって、処理ループ2の処理が行われている間も第1のカウンタ40のカウントアップ動作は継続される。
【0055】
処理ループ2は、後縁制御信号生成部51のコンパレータ53によって後縁位置設定値PWDと第2のカウント信号とが一致するまで、ステップS16からステップS19までの動作を繰り返す(ステップS15)。処理ループ2では、第2のカウンタ50が調整用クロック信号ADJCのクロックサイクルをカウントして、第2のカウント値CNT2をカウントアップする(ステップS16)。そして、前縁制御信号生成部41のコンパレータ43によって前縁位置設定値PWUと第1のカウント値CNT1との一致が検出される(ステップS17)と、前縁制御信号FCNTLがアサートされる。これにより、PWMパルス生成部60は、パルス幅変調信号OUTをハイレベルに切り替え、この立ち上がりエッジがパルス幅変調信号OUTの前縁部となる(ステップS18)。
【0056】
その後、コンパレータ53によって後縁位置設定値PWDと第2のカウント信号との一致が検出されると、処理ループ2が終了する(ステップS19)。ステップS19において、コンパレータ53が後縁位置設定値PWDと第2のカウント信号との一致を検出すると、コンパレータ53は後縁制御信号ECNTLをアサートされる。これにより、PWMパルス生成部60は、パルス幅変調信号OUTをロウレベルに切り替え、この立ち下がりエッジがパルス幅変調信号OUTの後縁部となる(ステップS20)。また、後縁制御信号ECNTLがアサートされるとカウンタ50がリセット状態となる(ステップS21)。
【0057】
そして、第1のカウンタ制御部10のコンパレータ12によって第1のリセットタイミング設定値RST_TIMaと第1のカウント値CNT1との一致が検出されると、処理ループ1が終了する(ステップS22)。このとき、コンパレータ12は第1のリセット信号RST1をアサートするため、これにより、第1のカウンタ40がリセット状態となる(ステップS23)。以上の動作によって、一周期のパルス幅変調信号OUTの生成が完了する。
【0058】
続いて、図2、図3のフローチャートに沿って行われるPWM制御装置1の動作のタイミングチャートの一例を図4に示し、図4を参照してPWM制御装置1の動作について説明する。なお、図4に示す例では、期間TL1、TL4をパルス幅変調信号OUTのオン期間の時間を示し、期間TL2、TL5がパルス幅変調信号OUTのオフ期間の時間を示し、期間TL3、TL6がパルス幅変調信号OUTの一周期の時間を示すものとする。図4に示す例では、2周期分のパルス幅変調信号OUTが示されている。
【0059】
このパルス幅変調信号OUTは、同じ周期時間を有し(例えば、期間TL3=期間TL6=300nsec)、周期の開始時点に前縁部が位置するものとする。また、2周期のパルス幅変調信号OUTは、デューティー比が異なる。期間TL3を一周期とするパルス幅変調信号は、例えば、オン・デューティー比(オン期間のデューティー比(TL1/TL3))が13.4%(40.2nsec)であるものとする。一方、期間TL6を一周期とするパルス幅変調信号は、例えば、オン・デューティー比(TL4/TL6)が13.5%(40.5nsec)であるものとする。また、図4に示す例では、基準クロック信号REFCの一周期を10nsecとし、調整用クロック信号ADJCの一周期を10.1nsecとし、一分解能サイクルを100psecとする。
【0060】
このような条件において、期間TL3における設定値は、式(2)より第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa=(3000/100)−1=29となり、式(3)より前縁位置設定値PWU=0となり、式(4)より後縁位置設定値PWD=(402%100)+1=3となり、式(6)より第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb=402−(101×(405%100))/100=2となる。従って、図4に示すnは29となり、dは2となり、aは3となる。
【0061】
また、期間TL6における設定値は、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa及び前縁位置設定値PWUは、パルス幅変調信号OUTの周期及び前縁位置を一定としているため、期間TL3と同じ値となる。一方、式(4)より後縁位置設定値PWD=(405%100)+1=6となり、式(7)より第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb=(3000/100)−(((101×(405%100))−405)/100)=29となる。従って、図4に示すnは29となり、bは6となる。なお、図4に示すx、y、e、cはそれぞれ自然数の値である。また、設定値の各値は、パルス幅変調信号OUTのオフ期間(パルス幅変調信号OUTがロウレベルを示す期間)の間に演算ユニット2によって演算され、対応するレジスタに格納される(図3のステップS10、S11)。
【0062】
図4に示すように、まずタイミングT1で第1のカウント値CNT1がn=29に達し、第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa=n=29と一致すると、第1のカウンタ制御部10のコンパレータ12が第1のリセット信号RST1をアサートする。これにより、タイミングT2では第1のカウント値CNT1が0(16進数表記では00H)にリセットされる。このとき、前縁位置設定値PWU=00H=0であるため、前縁制御信号生成部41のコンパレータ43が前縁制御信号FCNTLをアサートし、パルス幅変調信号OUTの前縁部が形成される。このタイミングT2における動作は、図3のステップS17、S18の処理に相当するものである。
【0063】
続いて、第1のカウント値CNT1は、基準クロック信号REFCのクロックサイクルの進みに応じてカウントアップされる(図3のステップS13の処理に相当する)。そして、タイミングT3において、第1のカウント値CNT1が2(16進数表記で02H)に達し、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb=d=2と一致すると、第2のカウンタ制御部20のコンパレータ22が第2のリセット信号RST2をアサートする。この第2のリセット信号RST2の立ち上がりに応じて、調整用クロック生成部30bが調整用クロック信号ADJCの出力を開始する。また、第2のカウンタ50が調整用クロック信号ADJCのクロックサイクルのカウントを開始し、第2のカウント値CNT2をカウントアップする(図3のステップS16の処理に相当する)。
【0064】
そして、タイミングT4において、第2のカウント値CNT2がa=3に達し、後縁位置設定値PWD=a=3と一致する。この値の一致に応じて後縁制御信号生成部51のコンパレータ53が後縁制御信号ECNTLをアサートする。この後縁制御信号ECNTLの立ち上がりエッジに応じてパルス幅変調信号OUTの後縁部が形成される(図3のステップS20の処理に相当する)。また、タイミングT4では、後縁制御信号ECNTLがアサートされたことに応じて、Dフリップフロップ62が後縁制御信号ECNTLの論理レベルを調整用クロック信号ADJCによってラッチする。
【0065】
その後、タイミングT5において、第2のカウント値CNT2と後縁位置設定値PWDとが不一致となると後縁制御信号ECNTLはネゲートされる。そして、後縁制御信号ECNTLのネゲートに応じて第2のカウンタ50はリセットされ、第2のカウント値CNT2が0(16進数表記で00H)になる(図3のステップS21の処理に相当する)。また、タイミングT5では、タイミングT4でハイレベルとなったDフリップフロップ62の出力をDフリップフロップ63が調整用クロック信号ADJCによってラッチする。そして、タイミングT6でセット・リセットラッチ回路64が出力するクロック停止信号RST3がアサートされ、調整用クロック生成部30bが停止する。これにより、タイミングT6以降では調整用クロック信号ADJCは出力されなくなる。なお、クロック停止信号RST3は、タイミングT7で第2のリセット信号RST2が立ち上がると、その立ち上がりに応じてリセットされ、ネゲートされる(ロウレベルとなる)。
【0066】
その後、第1のカウンタ40は、基準クロック信号REFCのクロックサイクルのカウントを続け、第1のカウント値CNT1がn=29に達すると期間TL3に対応するパルス幅変調信号OUTの生成が完了する。本実施の形態では、タイミングT8までが期間TL3に対応するパルス幅変調信号OUTであるが、これに続いて期間TL6に対応するパルス変調信号OUTの生成が開始される。
【0067】
期間TL6に対応するパルス変調信号OUTでは、第2のリセットタイミング設定値RST_TIMb=n=29であるため、タイミングT7において第1のカウント値CNT1が29となったことに応じて第2のリセット信号RST2をアサートする。そして、タイミングT7の第2のリセット信号RST2の立ち上がりに応じて調整用クロック生成部30bが調整用クロック信号ADJCの出力を開始し、第2のカウンタ50は第2のカウント値CNT2のカウントアップを開始する(図3のステップS16の処理に相当する)。
【0068】
また、タイミングT7で第1のリセットタイミング設定値RST_TIMa=n=29と第1のカウント値CNT1=n=29とが一致するため、第1のカウンタ制御部10のコンパレータ12が第1のリセット信号RST1をアサートする。そして、第1のリセット信号RST1がアサートされたことに応じて、タイミングT8で第1のカウント値CNT1は0にリセットされる。このとき、前縁位置設定値PWU=00H=0であるため、前縁制御信号生成部41のコンパレータ43が前縁制御信号FCNTLをアサートし、パルス幅変調信号OUTの前縁部が形成される。このタイミングT8における動作は、図3のステップS17、S18の処理に相当するものである。
【0069】
続いて、第1のカウント値CNT1と第2のカウント値CNT2とのカウントアップが進み、タイミングT9において、第2のカウント値CNT2がb=6に達し、後縁位置設定値PWD=b=6と一致する。この値の一致に応じて後縁制御信号生成部51のコンパレータ53が後縁位置制御信号をアサートする。この後縁制御信号ECNTLの立ち上がりエッジに応じてパルス幅変調信号OUTの後縁部が形成される(図3のステップS20の処理に相当する)。また、タイミングT9では、後縁制御信号ECNTLがアサートされたことに応じて、Dフリップフロップ62が後縁制御信号ECNTLの論理レベルを調整用クロック信号ADJCによってラッチする。
【0070】
その後、タイミングT10において、第2のカウント値CNT2と後縁位置設定値PWDとが不一致となると後縁制御信号ECNTLはネゲートされる。そして、後縁制御信号ECNTLのネゲートに応じて第2のカウンタ50はリセットされ、第2のカウント値CNT2が0(16進数表記で00H)になる(図3のステップS21の処理に相当する)。また、タイミングT10では、タイミングT9でハイレベルとなったDフリップフロップ62の出力をDフリップフロップ63が調整用クロック信号ADJCによってラッチする。そして、タイミングT11でセット・リセットラッチ回路64が出力するクロック停止信号RST3がアサートされ、調整用クロック生成部30bが停止する。これにより、タイミングT6以降では調整用クロック信号ADJCは出力されなくなる。
【0071】
その後、第1のカウンタ40は、基準クロック信号REFCのクロックサイクルのカウントを続け、タイミングT12において、第1のカウント値CNT1がn=29に達すると期間TL6に対応するパルス幅変調信号OUTの生成が完了する。
【0072】
上記説明より、本実施の形態にかかるPWM制御装置1は、基準クロック信号REFCをカウントした第1のカウント値CNT1の値に応じて、調整用クロック信号ADJCの出力を開始する。つまり、PWM制御装置1では、基準クロック信号REFCの任意のクロックサイクルに同期して調整用クロック信号ADJCの出力を開始する。すなわち、PWM制御装置1により生成されるパルス幅変調信号OUTは、前縁位置が基準クロック信号REFCのクロックサイクル数により設定され、後縁位置が調整用クロック信号ADJCの出力が開始される基準クロック信号REFCのサイクル数と調整用クロック信号ADJCのクロックサイクル数とにより設定される。これにより、PWM制御装置1では、デューティー比の分解能として基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCの一周期の時間差を有するパルス幅変調信号OUTを生成することができる。また、PWM制御装置1では、基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCとの同期開始位置を任意に設定できるため、パルス幅変調信号OUTの前縁位置と後縁位置とのいずれか一方を固定した場合であっても、分解能に応じたデューティー比の制御が可能である。
【0073】
このようにして生成されたパルス幅変調信号OUTは、一定周期と異なるデューティー比を実現することができる。このパルス幅変調信号OUTは、例えば、スイッチング電源においてスイッチング素子として用いられるPID(Power Intelligent Device)の駆動パルスとして利用される。スイッチング電源では、PIDを一定周期で駆動しながら、電源状態に応じて駆動パルスのデューティー比を制御する必要がある。従って、本実施の形態にかかるPWM制御装置1によって生成されるパルス幅変調信号OUTは、このような用途に最適である。
【0074】
また、本実施の形態にかかるPWM制御装置1によって生成されるパルス幅変調信号OUTは、基準クロック信号REFCと調整用クロック信号ADJCの一周期の時間差を最小制御ステップ(分解能)として、デューティー比が制御される。そのため、パルス幅変調信号OUTのデューティー比の制御の分解能を向上させる場合に、基準クロック信号REFC及び調整用クロック信号ADJCの周波数を高くする必要がない。つまり、低い周波数の基準クロック信号REFC及び調整用クロック信号ADJCによって高い分解能でデューティー比を制御することができる。これにより、PWM制御装置1の動作周波数を低減できるため、PWM制御装置1の消費電力を抑制することができる。
【0075】
実施の形態2
実施の形態2にかかるPWM制御装置1aは、相補動作するオントランジスタとオフトランジスタの独立した制御に対応するものである。そのため、PWM制御装置1aでは、パルス幅変調信号OUT1、及び、反転パルス幅変調信号OUT2を生成する。なお、パルス幅変調信号OUT1は、パルス幅変調信号OUTに相当するものである。
【0076】
実施の形態2にかかるPWM制御装置1aのブロック図を図5に示す。なお、以下の説明において、実施の形態1にかかるPWM制御装置1と同一の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、PWM制御装置1aは、PWM制御装置1に対して、オフスイッチ用前縁制御信号生成部71、オフスイッチ用後縁制御信号生成部81、オフスイッチ用PWMパルス生成部90、インバータ91を追加したものである。
【0077】
オフスイッチ用前縁制御信号生成部71は、前縁制御信号生成部41が前縁制御信号FCNTLをアサートする位置よりも前の位置でオフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaをアサートする。オフスイッチ用前縁制御信号生成部71は、コンペア・レジスタ72及びコンパレータ73を有する。コンペア・レジスタ72は、演算ユニット2からオフスイッチ用前縁位置設定値PWU2が入力され、この値を格納する。コンパレータ73は、オフスイッチ用前縁位置設定値PWU2と第1のカウント値CNT1の値との一致比較結果をオフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaとして出力する。
【0078】
オフスイッチ用後縁制御信号生成部81は、コンペア・レジスタ82及びコンパレータ83を有する。コンペア・レジスタ82は、演算ユニット2からオフスイッチ用後縁位置設定値PWD2が入力され、この値を格納する。コンパレータ83は、オフスイッチ用後縁位置設定値PWD2と第2のカウント値CNT2の値との一致比較結果をオフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaとして出力する。
【0079】
オフスイッチ用PWMパルス生成部90は、例えば、セット・リセットラッチ回路により構成される。オフスイッチ用PWMパルス生成部90で用いられるセット・リセットラッチ回路は、セット端子Sにオフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaが入力され、リセット端子Rにオフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaが入力され、出力端子Qから出力される信号をインバータ91によって反転させることで、反転パルス幅変調信号OUT2を出力する。このセット・リセットラッチ回路は、オフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaがアサートされると出力端子Qから出力される出力信号をハイレベルに切り替え、オフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaがアサートされると出力端子Qから出力される出力信号をロウレベルに切り替える。そして、この出力信号は、インバータ91によって反転される。つまり、反転パルス幅変調信号OUT2は、オフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaがアサートされる位置の立ち下がりエッジを前縁部とし、オフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaがアサートされる位置の立ち上がりエッジを後縁部とする。
【0080】
オフスイッチ用PWMパルス生成部90及びインバータ91は、オフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaに基づき反転パルス幅変調信号OUT2の前縁部を生成し、後縁制御信号ECNTLaに基づき反転パルス幅変調信号OUT2の後縁部を生成する。つまり、PWMパルス生成部90は、オフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaとオフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaとを合成することで出力信号となる反転パルス幅変調信号OUT2の波形整形を行う。
【0081】
ここで、実施の形態2において用いられるオフスイッチ用前縁位置設定値PWU2及びオフスイッチ用後縁位置設定値PWD2の値について説明する。オフスイッチ用前縁位置設定値PWU2は、前縁制御信号FCNTLよりも前の位置でオフスイッチ用前縁制御信号FCNTLaをアサートするために、前縁位置設定値PWUよりも小さな値が設定される。なお、前縁位置設定値PWUが0であった場合、オフスイッチ用前縁位置設定値PWU2は、パルス幅変調信号OUT1に含まれる基準クロック信号REFCのクロックサイクル数よりも小さな値となる。例えば、パルス幅変調信号OUT1に含まれる基準クロック信号REFCのクロックサイクル数が30であった場合、オフスイッチ用前縁位置設定値PWU2は、29以下の値となる。
【0082】
また、オフスイッチ用後縁位置設定値PWD2は、後縁制御信号ECNTLよりも後ろの位置でオフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaをアサートするために、後縁位置設定値PWDよりも大きな値が設定される。例えば、後縁位置設定値PWDが3であった場合、オフスイッチ用後縁位置設定値PWU2は、4以上の値が設定される。
【0083】
このような設定値に基づきPWM制御装置1aが出力するパルス幅変調信号OUT1と反転パルス幅変調信号OUT2との関係を図6に示す。図6に示すように、PWM制御装置1aは、タイミングT22にパルス幅変調信号OUT1の前縁部が位置し、タイミングT22よりも前のタイミングT21に反転パルス幅変調信号OUT2の前縁部が位置する。このときタイミングT21とタイミングT22との時間差TL11が生じる。この期間TL11では、パルス幅変調信号OUT1と反転パルス幅変調信号OUT2とが共にオフするため、制御対象となる2つのトランジスタが共にオフ状態となる。
【0084】
また、タイミングT22からタイミングT23の期間は、パルス幅変調信号OUT1によってオントランジスタはオン状態となり、オフトランジスタはオフ状態となる。その後、タイミングT23においてパルス幅変調信号OUT1が立ち下がり、タイミングT24において反転パルス幅変調信号OUT2が立ち上がる。このときタイミングT23とタイミングT24との時間差TL12が生じる。この期間TL12では、パルス幅変調信号OUT1と反転パルス幅変調信号OUT2とが共にオフするため、制御対象となる2つのトランジスタが共にオフ状態となる。そして、タイミングT24からタイミングT25の期間は、パルス幅変調信号OUT1によってオントランジスタはオフ状態となり、オフトランジスタはオン状態となる。その後、タイミングT25以降は、タイミングT21からタイミングT25の動作を繰り返す。
【0085】
上記説明よりPWM制御装置1aは、パルス幅変調信号OUT1と反転パルス幅変調信号OUT2とを独立して制御することができる。相補動作する2つのトランジスタを一つの信号で2つのトランジスタを制御した場合、トランジスタの閾値によっては信号の立ち下がりエッジあるいは立ち上がりエッジにおいてトランジスタが共にオン状態となり、貫通電流が発生する。しかしながら、実施の形態2にかかるPWM制御信号1aによって生成されるパルス幅変調信号OUT1及び反転パルス幅変調信号OUT2は、相補動作する2つのトランジスタのいずれか一方のトランジスタがオンする前に2つのトランジスタが共にオフする期間を生成することができる。これにより、相補動作する2つのトランジスタにおいて発生する貫通電流を防止することができる。
【0086】
なお、実施の形態2では、クロック制御回路61は、オフスイッチ用後縁制御信号ECNTLaに基づきクロック停止信号RST3をアサートする。これは、パルス幅変調信号の構成を変更したことに伴う変更であり、クロック制御回路61の動作及びクロック停止信号RST3の機能に実質的な変更を加えるものではない。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態において分解能設定遅延回路33bが有する遅延時間を制御することで分解能の制御ステップを変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施の形態1にかかるPWM制御装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかるPWM制御装置における設定値の演算手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかるPWM制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかるPWM制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態2にかかるPWM制御装置のブロック図である。
【図6】実施の形態2にかかるPWM制御装置の出力信号の波形を示す図である。
【図7】従来のPWM制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
1、1a PWM制御装置
2 演算ユニット
10 第1のカウンタ制御部
11、21、42、52、72、82 コンペア・レジスタ
12、22、43、53、73、83 コンパレータ
20 第2のカウンタ制御部
30 クロックコントローラ
30a 基準クロック生成部
30b 調整用クロック生成部
31a、32a、31b、32b 遅延回路
33b 分解能設定遅延回路
34a、34b、36b 論理和回路
35a、35b、64 セット・リセットラッチ回路
62、63 Dフリップフロップ
40 第1のカウンタ
50 第2のカウンタ
41 前縁制御信号生成部
51 後縁制御信号生成部
60 PWMパルス生成部
61 クロック制御回路
71 オフスイッチ用前縁制御信号生成部
81 オフスイッチ用後縁制御信号生成部
90 オフスイッチ用PWMパルス生成部
91 インバータ
RST_TIMa 第1のリセットタイミング設定値
RST_TIMb 第2のリセットタイミング設定値
PWU 前縁位置設定値
PWD 後縁位置設定値
PWU2 オフスイッチ用前縁位置設定値
PWD2 オフスイッチ用後縁位置設定値
CNT1 第1のカウント値
CNT2 第2のカウント値
REFC 基準クロック信号
ADJC 調整用クロック信号
RST1 第1のリセット信号
RST2 第2のリセット信号
RST3 クロック停止信号
FCNTL 前縁制御信号
FCNTLa オフスイッチ用前縁制御信号
ECNTL 後縁制御信号
ECNTLa オフスイッチ用後縁制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック信号をカウントし、第1のカウント値を出力する第1のカウンタと、
前記第1のカウント値が第1の設定値に達したことを検知して前記第1のカウンタをリセットする第1のカウンタ制御部と、
前記第1のカウント値が第2の設定値に達したことを検知してパルス幅変調信号の前縁位置を指定する前縁制御信号を出力する前縁制御信号生成部と、
前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号を生成する調整用クロック生成部と、
前記第1のカウント値が第3の設定値に達したことを検知して前記調整用クロック生成部に出力開始を指示する第2のカウンタ制御部と、
前記調整用クロック信号をカウントし、第2のカウント値を出力する第2のカウンタと、
前記第2のカウント値が第4の設定値に達したことを検知して前記パルス幅変調信号の後縁位置を指定する後縁制御信号を出力する後縁制御信号生成部と、
前記前縁制御信号に基づき前記パルス幅変調信号の立ち上がりエッジを生成し、前記後縁制御信号に基づき前記パルス幅変調信号の立ち下がりエッジを生成するPWMパルス生成部と、
を有するPWM制御装置。
【請求項2】
前記調整用クロック信号の一周期の時間は、前記基準のクロック信号の一周期に対して前記PWM制御装置におけるパルス幅変調信号の制御ステップに相当する時間差を有する請求項1に記載のPWM制御回路。
【請求項3】
前記第1の設定値は、前記パルス幅変調信号の一周期に含まれる基準クロック信号のクロックサイクル数を設定する値であり
前記第2の設定値は、前記パルス幅変調信号の一周期の開始位置から前記パルス幅変調信号の前縁位置までの間に含まれる基準クロック信号のクロックサイクル数を設定する値であり、
前記第3の設定値は、前記調整用クロックの出力を開始する前記第1のカウント値の値を設定する値であり、
前記第4の設定値は、前記調整用クロックの出力開始位置から前記パルス幅変調信号の後縁位置までの期間に含まれる前記調整用クロックのクロックサイクル数に基づき設定される値である請求項1又は2に記載のPWM制御装置。
【請求項4】
前記第1乃至第4の設定値は、前記基準クロック信号の一周期の時間と前記調整用クロックの一周期の時間との時間差を一サイクルとした分解能サイクル数に基づき設定されるものであって、
前記第1の設定値は、前記パルス幅変調信号の一周期の前記分解能サイクル数と、前記基準クロック信号の一周期の前記分解能サイクル数と、の除算結果に基づき設定され、
前記第2の設定値は、前記基準カウンタのリセット後に前記第1のカウンタにより最初に出力されるカウント値が設定され、
前記第3の設定値は、前記パルス幅変調信号のオン期間の分解能サイクル数と前記基準クロック信号の一周期に含まれる前記分解能サイクル数との剰余演算結果から得られる前記調整用クロック信号の分解能サイクル数と、前記オン期間に含まれる前記分解能サイクル数と、のサイクル数の差から得られる前記基準クロック信号のクロックサイクル数に基づき設定され、
前記第4の設定値は、前記オン期間に含まれる前記分解能サイクル数と、前記基準クロック信号に含まれる前記分解能サイクル数と、の剰余演算結果に基づき設定される請求項1又は2に記載のPWM制御装置。
【請求項5】
前記第1乃至第4の設定値を演算する演算ユニットを有する請求項3又は4のいずれか1項に記載のPWM制御装置。
【請求項6】
前記第1のカウンタ制御部は、前記第1の設定値を格納する第1のレジスタと、前記第1の設定値と前記第1のカウント値との比較一致結果を前記第1のカウンタへのリセット信号として出力する第1のコンパレータとを有し、
前記前縁制御信号生成部は、前記第2の設定値を格納する第2のレジスタと、前記第2の設定値と前記第1のカウント値との比較一致結果を前記前縁制御信号として出力する第2のコンパレータとを有し、
前記第2のカウンタ制御部は、前記第3の設定値を格納する第3のレジスタと、前記第3の設定値と前記第1のカウント値との比較一致結果を前記調整用クロック生成部へのリセット信号として出力する第3のコンパレータと、
前記後縁制御信号生成部は、前記第4の設定値を格納する第4レジスタと、前記第4の設定値と前記第2のカウント値との比較一致結果を前記後縁制御信号として出力する第4のコンパレータとを有する
請求項1に記載のPWM制御装置。
【請求項7】
前記PWM制御装置は、さらに、
前記第1のカウント値及び第5の設定値に基づき前記前縁制御信号生成部が出力する前記前縁制御信号の出力位置よりも前の位置でオフスイッチ用前縁制御信号を出力する第2のオフスイッチ用前縁制御信号生成部と、
前記第2のカウント値及び第6の設定値に基づき前記後縁制御信号生成部が出力する前記後縁制御信号の出力位置よりも後の位置でオフスイッチ用後縁制御信号を出力するオフスイッチ用後縁制御信号生成部と、
前記オフスイッチ用前縁制御信号及び前記オフスイッチ用後縁制御信号を合成してオフスイッチ用パルス幅変調信号を生成するオフスイッチ用PWMパルス生成部と、
を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のPWM制御装置。
【請求項8】
前記後縁制御信号の出力に応じて、前記調整用クロック生成部に前記調整用クロック信号の停止を指示するクロック停止信号を出力するクロック制御回路を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のPWM制御装置。
【請求項9】
基準クロック信号と、前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号と、に基づきパルス幅変調信号の周期及びパルス幅を制御するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法であって、
基準クロック信号をカウントした第1のカウント値が第1の設定値に達したことを検知して前記第1のカウント値をリセットし、
前記リセット後に入力される前記基準クロック信号をカウントして第1のカウント値を生成し、
前記第1のカウント値が第2の設定値に達したことを検知してパルス幅変調信号の前縁位置を指定する前縁制御信号を生成し、
前記第1のカウント値が第3の設定値に達したことを検知して調整用クロック信号の出力を開始し、
前記調整用クロック信号をカウントして第2のカウント値を生成し、
前記第2のカウント値が第4の設定値に達したことを検知して前記パルス幅変調信号の後縁位置を指定する後縁制御信号を生成し、
前記前縁制御信号と前記後縁制御信号とを合成して前記パルス幅変調信号を生成するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法。
【請求項10】
基準クロック信号と、前記基準クロック信号とは異なる周期を有する調整用クロック信号と、に基づきパルス幅変調信号の周期及びパルス幅を制御するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法であって、
基準クロック信号のクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の一周期の長さを設定し、
前記パルス幅変調信号の一周期の開始位置から前記パルス幅変調信号の前縁位置までの間に含まれる基準クロック信号のクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の前縁位置を設定し、
前記第1のカウント値に基づき前記調整用クロックの出力を開始する位置を設定し、
前記調整用クロックの出力開始位置から前記パルス幅変調信号の後縁位置までの期間に含まれる前記調整用クロックのクロックサイクル数に基づき前記パルス幅変調信号の後縁位置を設定するPWM制御装置におけるパルス波形制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate