説明

RC造免震架構

【課題】施工を簡略化させることにより作業効率を向上させることができ、しかも建物にかかる工費の低減が図れる。
【解決手段】建物は、柱フレーム21と梁フレーム22とを格子状に組み合わせたプレキャストコンクリート製の外壁PCパネル2を縦横方向に複数連結して外周架構を形成し、RCコアウォールと外壁PCパネル2とを建物の主架構とするとともに、建物の低層部に免震装置を備えたRC造免震架構から構成されている。外壁PCパネル2は、正面視略田の字型に形成され、柱フレーム21と梁フレーム22とに囲まれた上段に位置する第1開口部2a〜2dに耐震壁パネル25を組み込んだ構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高層RC造の建物におけるRC造免震架構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、100mを超えるような超高層オフィスにも高い耐震性能が求められ、免震化の需要が高まってきているが、超高層オフィスはほとんどが非免震の鉄骨造により構築されているのが現状である。これは、免震構法を採用したときに、上部構造が鉄骨造の場合には、架構剛性が低く十分な免震効果が得られないといった構造上の課題があったからである。また、事務所ビル等では外周架構は鉄骨造としている場合が多い。そして、このように外周架構を鉄骨造とする場合には、その外装材にはプレキャストコンクリート版(PC版)を化粧材として使用しているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、柱を立設した後、横連窓を構成するガラスカーテンウォールと、その上部に連なって直上階の腰壁となるプレキャストコンクリート製のPCカーテンウォールとからなる外壁ユニットを柱に取り付け、外壁ユニットに一体に設けられた梁上に直上階の床スラブを施工して構築される建物について記載されている。
【特許文献1】特開2001−164757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の外周鉄骨架構と外装PC版との組み合わせの外周架構からなる建物では、以下のような問題があった。
すなわち、現場施工の際において、先ず柱梁の鉄骨を組み立て、その外周表面にパネル材(PC版)を取り付け、そのPC版の室内側にコンクリートを打設し、さらにそのパネル材に窓ガラスを取り付ける工程により施工されているので、現場における工数が多く、施工に多大な時間がかかるといった問題があった。
また、高価な鉄骨を大量に使用する構造であることから、材料費が増大にともなって、工費が大きくなるため、その点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、施工を簡略化させることにより作業効率を向上させることができ、しかも建物にかかる工費の低減が図れるRC造免震架構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るRC造免震架構では、建物の内部にRCコアウォールを備えたRC造免震架構であって、柱フレームと梁フレームとを格子状に組み合わせたプレキャストコンクリート製の外壁PCパネルフレームを縦横方向に複数連結して外周架構を形成し、RCコアウォールと外壁PCパネルフレームとを建物の主架構とするとともに、建物の低層部に免震装置を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明では、柱フレームと梁フレームとを一体形成してプレキャスト化させ、外装材と構造躯体との機能を備えた外壁PCパネルフレームを複数配置してラーメン架構を構成する外周架構と、RCコアウォールとを主架構としているので、従来のS造、CFT造の建物と比較して、剛性の高い上部架構からなるRC架構を形成することができる。さらに、これら主架構に加えて建物の低層部に免震装置を組み込んだ構造であるので、地震時にも建物機能が維持される高い耐震性能を実現することができ、例えば100mを超えるような超高層建物への適用が可能となる。また、各外壁PCパネルフレームがプレキャストコンクリート製であるので、例えばコンクリートの現場打ちは隣り合う外壁PCパネルフレームどうしの接合部のみにすることが可能となるので、コンクリート打設量が減り、施工の簡略化を図ることができる。
そして、外壁PCパネルフレームが構造躯体を兼用しているので、室内に柱型が出ない構造とすることができ、室内空間を有効利用することができる。
【0008】
また、本発明に係るRC造免震架構では、外壁PCパネルフレームは、正面視略田の字型に形成されていることが好ましい。
本発明では、例えば中央の柱フレームをフルPC柱とし、両側に位置する柱フレームを前記フルPC柱の半分の断面寸法、幅寸法をなす接続部としてのハーフPC柱とし、上部、中央部、および下部に梁フレームを配置し、田の字型に一体形成した外壁PCパネルフレームとすることができる。
【0009】
また、本発明に係るRC造免震架構では、外壁PCパネルフレームには、柱フレームと梁フレームとに囲まれた開口部に耐震壁パネルが組み込まれていてもよい。
本発明では、剛性調整用の耐震壁パネルを、建物としての鉛直荷重や水平荷重に対して有効に働くようにバランスよく外壁PCパネルフレームに形成される開口部に配置することで、建物の耐震性能を向上させることができる。つまり、耐震壁パネルの量を建物の高さ方向に調整することで、外周架構の応力負担率を調整することが可能である。そして、予め外壁PCパネルフレームの任意の開口部に耐震壁パネルを組み込んでおくことで、施工時における作業工数を削減することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係るRC造免震架構では、外壁PCパネルフレームには、柱フレームと梁フレームとに囲まれた開口部に窓ガラスパネルが組み込まれていることが好ましい。
本発明では、予め外壁PCパネルフレームの任意の開口部に窓ガラスパネルを組み込んでおくことで、施工時における作業工数を削減することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係るRC造免震架構では、外壁PCパネルフレームには、柱フレームと梁フレームとに囲まれた開口部に太陽光発電パネルが組み込まれていてもよい。
本発明では、外周架構に太陽光発電の機能をもたせることができ、予め外壁PCパネルフレームの任意の開口部に太陽光発電パネルを組み込んでおくことで、施工時における作業工数を削減することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のRC造免震架構によれば、外装材と構造躯体との機能を備えた外壁PCパネルフレームと、RCコアウォールとを主架構としたことで、剛性の高い上部架構からなるRC架構を形成し、さらにこれら主架構に加えて建物の低層部に免震装置を組み込んだ構造であることから、地震時にも建物機能が維持される高い耐震性能を確保することができ、例えば100mを超えるような超高層建物への適用が可能となる。また、各外壁PCパネルフレームがプレキャストコンクリート製であるので、施工が簡略化され、作業効率を向上させることができ、しかも従来のように外周架構に鉄骨を採用しない構造となるので、高価な鉄骨の使用量を抑えることができる、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態によるRC造免震架構について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態による建物の外観を示す正面図、図2は図1に示すA−A線断面図、図3は外周架構を形成する外壁PCパネルの斜視図、図4は外壁PCパネルの外壁側から見た正面図であって、図1に示すT部拡大図、図5(a)は図4に示すB−B線断面図、(b)は同じくC−C線断面図、図6(a)は図4に示すD−D線断面図、(b)は同じくE−E線断面図である。
【0014】
図1の符号1は、本実施の形態によるRC造免震架構から構成される建物を示している。
図1および図2に示すように、本建物1は、例えば100mを超える高さの超高層建物が対象とされており、外壁フレーム架構を形成する複数の外壁PCパネルフレーム(以下、単に「外壁PCパネル2」という)と、建物1内部に配置されていて平断面が平面視概略ロ字状に形成された鉄筋コンクリート造のコアウォール(以下、「RCコアウォール3」という)と、建物1の基礎部(本発明の低層部に相当)に設けられた免震装置4との組み合わせによって構成されるハイブリッド構造となっている。
【0015】
図2に示すように、RCコアウォール3は、上述したように平面視概略ロ字状をなし、建物1の幅方向中央において奥行方向(図2でY方向)が一方側(図2では紙面に向かって上側)に寄った位置に配置され、耐力と靭性とをもち、建物1の芯棒としての機能を有している。このRCコアウォール3には、エレベータシャフト、ホール、階段、機械室などが配置され、RCコアウォール3の周囲には略凹状の室内空間が配置された構造となっている。また、本実施の形態では、RCコアウォール3が寄った側の外装材で、RCコアウォール3の一辺に対応する位置には、PCカーテンウォール5が設けられている。このRCコアウォール3は、各フロアにおいて外壁PCパネル2に対して図示しない鉄骨梁にて両端ピン接合により接合され、その鉄骨梁には床組が形成されている。
そして、PCコアウォール3、境界梁ともに、例えば極めて稀に発生するレベル2の地震時において、短期許容応力度以内とされ、余裕度検討レベル(レベル2×1.5)において終局強度以内となるように設定されている。
【0016】
図3乃至図6に示すように、外壁PCパネル2は、建物1の2階以上の架構として適用され(図1参照)、外壁材と構造躯体との機能をもたせたプレキャストコンクリート製からなり、図4に示す正面視で略田の字型の形状をなしている。なお、図3は後述する窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、および耐震壁パネル25が組み込まれていない状態を示していて一部簡略化した図であり、図4の正面図は建物1の外壁側から見た図であり、図5(a)、(b)の側断面図では紙面に向かって外壁PCパネル2を挟んで左側が外壁側であり、図6(a)、(b)の水平断面図では紙面に向かって外壁PCパネル2を挟んで下側が外壁側である。
【0017】
外壁PCパネル2は、柱フレーム21と梁フレーム22とを組み合わせて上述したように略田の字型の格子状に一体形成されており、各フレーム21、22によって仕切られた4つの開口部2a、2b、2c、2dが形成されている。建物1は、このような複数の外壁PCパネル2、2、…が縦横方向に複数連結されて配列されており、これによってラーメン架構を構成する外周架構が形成されている。
【0018】
そして、外壁PCパネル2は、縦方向の長さが横方向より長い寸法(例えば、縦寸法が4.2mで横寸法が3.2m)となる長方形状をなし、4つの開口部2a〜2dのうち上段に位置する第1開口部2a、2bが略正方形状となるように、中央梁フレーム22Aの位置が上下方向で中心より上方に配置されている。つまり、上段に位置する第1開口部2a、2bは正方形状をなし、下段に位置する第2開口部2c、2dは第1開口部2a、2bよりも縦方向に長い長方形状をなしている。
【0019】
横方向中央に配置される中央柱フレーム21Aは、本建物1に必要な柱断面を有するフルPC柱をなし、その両側に位置する接合柱フレーム21B、21Bは中央柱フレーム21Aの半分の断面(幅寸法)となるハーフPC柱となっている。図6に示すように、各接合柱フレーム21Bは、横方向に隣接する側面に室内側に凹んだ切欠部21a(コンクリート打設部)が形成されており、横方向に隣り合う外壁PCパネル2、2の接合柱フレーム21B(ハーフPC柱)の切欠部21a、21aどうしを当接させ、そのとき形成される凹状部にコンクリートCを現場打設することで横方向に連結する構成となっている。なお、縦方向の連結は、双方の梁フレーム22の接合面に内装させた継手26(図3参照)によって連結する構成となっている。つまり、本外壁PCパネル2は、互いの連結にかかる現場打ち部分をこの接合柱フレーム21Bのみとした構造となっている。また、図5に示すように、上部および中間部に位置する梁フレーム22は、外側部が突出した張出部22aが形成されており、この張出部22aが庇の役割を持たせたものとなっている。
【0020】
また、本外壁PCパネル2では、上段に位置する第1開口部2a、2bには窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、耐震壁パネル25を適宜組み込まれた構造であり、下段に位置する第2開口部2c、2dにはそれぞれ窓ガラスパネル23が組み込まれた構造であり、多機能性を有する構成となっている。つまり、図4乃至図6では第1開口部2a、2bのうち一方(図3の紙面左側)の開口部2aに耐震壁パネル25、他方(図3では紙面右側)の開口部2bに太陽光発電パネル24が組み込まれている。
【0021】
図5(b)および図6(a)に示すように、太陽光発電パネル24は、外周架構に太陽光発電の機能をもたせるものであって、板状に形成されている周知の太陽電池モジュールであり、上段の第1開口部2a、2bにおいて、外壁PCパネル2の厚さ方向で外側に寄った位置、或いは外面に対して略同一面となる位置(本実施の形態では張出部22aの先端位置に相当する)に配置されている。
【0022】
図5(a)および図6(a)に示すように、耐震壁パネル25は、鉄筋コンクリート壁であり、建物1に配置されるすべての外壁PCパネル2、2、…のうち適宜な位置に配置される外壁PCパネル2の第1開口部2a、2bに組み込まれ、柱フレーム21と梁フレーム22に一体に形成されていて、外壁PCパネル2に剛性調整機能をもたせるためのものとなっている。
【0023】
このように、外壁PCパネル2は、建物1に作用する軸力を負担するのみならず、地震力を負担する構造となっている。
そして、本建物1の外壁PCパネル2では、その第1開口部2a、2bに窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、および耐震壁パネル25が、耐震壁パネル25が建物1としての鉛直荷重、水平荷重に対して有効に働くようにバランスよく配置されている。つまり、本建物1では、免震装置4に近い建物1の低層部1Aに耐震壁パネル25を多く配置するとともに、上層部には耐震壁パネル25の代わりに太陽光発電パネル24を多く配置することで、窓の開口率が建物1全体にわたってほぼ一様となっている。
【0024】
次に、図1に示す免震装置4は、地下1階の床下に配置し、鉛プラグ入りの積層ゴム、弾性すべり支承、およびリニアスライダーを併用し、鉛プラグ量を調整することで、免震層位置での重心と剛心との偏心をなくすように構成されている。
また、引抜き耐力を有する免震装置(リニアスライダー)は、コアの四隅に配置され、RCコアウォール3の転倒により建物1の崩壊モードが決定されることを回避する構成としている。
そして、例えば外周隅部に引き抜き許容型免震装置を配置することで、外壁PCパネル2の適正な応力負担を担保することができる。
【0025】
次に、このように構成される建物1に構成されるRC造免震架構の作用について、図1乃至図6に基づいて説明する。
本建物1では、柱フレーム21と梁フレーム22とを一体形成してプレキャスト化させ、外装材と構造躯体との機能を備えた外壁PCパネル2を複数配置してラーメン架構を構成する外周架構と、RCコアウォール3とを主架構としているので、従来のS造、CFT造の建物と比較して、剛性の高い上部架構からなるRC架構を形成することができる。さらに、これら主架構(外壁PCパネル2、RCコアウォール3)に加えて建物1の低層部1Aに免震装置4を組み込んだ構造であるので、地震時にも建物機能が維持される高い耐震性能を実現することができ、例えば100mを超えるような超高層建物への適用が可能となる。
【0026】
そして、本外壁PCパネル2では、剛性調整用の耐震壁パネル25を、建物1としての鉛直荷重や水平荷重に対して有効に働くようにバランスよく外壁PCパネル2に形成される第1開口部2a、2bに配置することで、建物1の耐震性能を向上させることができる。
つまり、外壁PCパネル2の外周フレーム(柱フレーム21、梁フレーム22)に期待する耐力はあるレベル以下に抑える必要があるが、耐震壁パネル25の量を建物1の高さ方向に調整することで、外周架構の応力負担率を調整し、例えばレベル2の地震時にも各部材が短期許容応力度以内であることを確認するとともに、余裕度検討レベルにおいても各部材が終局強度以下とすることが可能である。
【0027】
また、本実施の形態では、図1に示すように1階部分が平面的に基壇部で柱が抜けたフィーレンディール架構となっているので、フィーレンディール架構として梁の長期曲げモーメントが最大となる位置に耐震壁パネル25を配置することで、梁の長期設計用応力を減じ、軸力をスムーズに免震装置4へ伝達することができる。そして、基壇部では、2階レベルの外周一周に配置したSRC梁によって外壁PCパネル2からの鉛直軸力を一旦受け、1階のSRC柱から1階床下の免震装置4への応力集中を図ることができる。外周隅部には、引抜き許容型免震装置を配置し、柱に過大な引張力が発生するのを抑制することで外壁PCパネル2の適正な応力負担を担保することができる構造となっている。
【0028】
さらに、RCコアウォール3の四隅に引抜き耐力を有するリニアスライダーなどの免震装置(図示省略)を配置し、この免震装置に発生する引抜き力が余裕度検討レベルにおいても装置の限界強度を超えないようにすることで、RCコアウォール3の転倒によって建物1の崩壊が決定されることを回避することができ、建物1のフェールセーフ機構とすることが可能となる。
【0029】
また、各外壁PCパネル2がプレキャストコンクリート製であるので、例えばコンクリートの現場打ちは隣り合う外壁PCパネル2、2どうしの接合部のみにすることが可能となるので、コンクリート打設量が減り、施工の簡略化を図ることができる。
【0030】
さらに、予め外壁PCパネル2の任意の開口部2a〜2dに窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、および耐震壁パネル25を組み込んでおくことで、施工時における作業工数を削減することができ、作業効率の向上を図ることができる。
さらにまた、外壁PCパネル2では、本窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、および耐震壁パネル25を構造上の機能に加え、外観のデザインとしての機能をもたせて配置することも可能である。
そして、外壁PCパネル2が構造躯体を兼用しているので、室内に柱型が出ない構造とすることができ、室内空間を有効利用することができる。
【0031】
上述のように本実施の形態によるRC造免震架構では、外装材と構造躯体との機能を備えた外壁PCパネル2と、RCコアウォール3とを主架構としたことで、剛性の高い上部架構からなるRC架構を形成し、さらにこれら主架構に加えて建物1の低層部1Aに免震装置4を組み込んだ構造であることから、地震時にも建物機能が維持される高い耐震性能を確保することができ、例えば100mを超えるような超高層建物への適用が可能となる。また、各外壁PCパネル2がプレキャストコンクリート製であるので、施工が簡略化され、作業効率を向上させることができ、しかも従来のように外周架構に鉄骨を採用しない構造となるので、高価な鉄骨の使用量を抑えることができる、コストの低減を図ることができる。
【0032】
以上、本発明によるRC造免震架構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では外壁PCパネル2の形状を正面視で略田の字型とし、4箇所の開口部2a〜2dを設けた構造としているが、これに限定されることはない。要は、柱フレーム21と梁フレーム22とによって格子状に一体に組み合わされた形状であればよいのである。そして、窓ガラスパネル23、太陽光発電パネル24、および耐震壁パネル25は開口部2a〜2dに対して適宜な位置に配置されることが可能であり、建物1全体の外周架構として、免震装置4の配置、耐震性能などの構造、或いは外観のデザイン性を考慮して任意の箇所に配置することができる。
【0033】
また、外壁PCパネル2の寸法、中央柱フレーム21A、中央梁フレーム22Aの位置等も耐震性能などの構造上、或いは外観のデザイン性に対応して設定すればよい。
さらに、免震装置4の形態、数量、およびRCコアウォール3の大きさ、強度、位置についても本実施の形態に限定されることはなく、建物1の高さ、形状などの施工条件に応じて設計することが可能である。
さらにまた、本実施の形態では外壁PCパネル2の両側部の接合面に切欠部21aを設け、横方向に隣接する外壁PCパネル2、2どうしの接合の際にその切欠部21a、21aどうしを当接させて形成される凹部にコンクリートCを打設する構造としているが、これに限定されることはなく、継手のみで互いの外壁PCパネル2、2どうしを接合する構造であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態による建物の外観を示す正面図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】外周架構を形成する外壁PCパネルの斜視図である。
【図4】外壁PCパネルの外壁側から見た正面図であって、図1に示すT部拡大図である。
【図5】(a)は図4に示すB−B線断面図、(b)は同じくC−C線断面図である。
【図6】(a)は図4に示すD−D線断面図、(b)は同じくE−E線断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 建物
2 外壁PCパネル(外壁PCパネルフレーム)
2a〜2d 開口部
21 柱フレーム
21a 切欠部
22 梁フレーム
22a 張出部
23 窓ガラスパネル
24 太陽光発電パネル
25 耐震壁パネル
3 RCコアウォール
4 免震装置
C コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部にRCコアウォールを備えたRC造免震架構であって、
柱フレームと梁フレームとを格子状に組み合わせたプレキャストコンクリート製の外壁PCパネルフレームを縦横方向に複数連結して外周架構を形成し、
前記RCコアウォールと前記外壁PCパネルフレームとを前記建物の主架構とするとともに、前記建物の低層部に免震装置を備えていることを特徴とするRC造免震架構。
【請求項2】
前記外壁PCパネルフレームは、正面視略田の字型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のRC造免震架構。
【請求項3】
前記外壁PCパネルフレームには、前記柱フレームと前記梁フレームとに囲まれた開口部に耐震壁パネルが組み込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のRC造免震架構。
【請求項4】
前記外壁PCパネルフレームには、前記柱フレームと前記梁フレームとに囲まれた開口部に窓ガラスパネルが組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のRC造免震架構。
【請求項5】
前記外壁PCパネルフレームには、前記柱フレームと前記梁フレームとに囲まれた開口部に太陽光発電パネルが組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のRC造免震架構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−59646(P2010−59646A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224727(P2008−224727)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 建設産業新聞、平成20年7月1日 日経産業新聞、平成20年8月18日 日経産業新聞、平成20年7月1日 日刊工業新聞、平成20年7月1日 建設工業新聞、平成20年7月1日 建設通信新聞、平成20年7月1日 清水建設株式会社のホームページ、平成20年6月30日、 http://www.shimz.co.jp/ http://www.shimz.co.jp/news_release/2008/728.html
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】