説明

RFタグ及び通信システム

【課題】消耗交換ユニットの情報が記憶されるメモリに対して読み書きを実行するために、接触通信と非接触通信の双方が可能な複合インターフェースを組み込み、接触通信時の端子間に静電気が加えられても、IC回路に加わる電圧を抑制する。
【解決手段】同一の回路で非接触通信と接触通信を可能とすると共に、RFアンテナコイル120の一端部に第1の接触通信用信号線124の一端を接続し、RFアンテナコイル120の一端部からコイル部全体の巻数の1/10〜1/3となる位置に第2の接触通信用信号線126の一端を接続する。第1及び第2の接触通信用信号線124、126との間における直流成分が低インピーダンスとなり、第1及び第2の接触通信用信号線124、126との間に静電気が加わっても、RFアンテナコイル120に電流が流れ、RF回路110、ロジック回路108、不揮発性メモリ102には何ら影響がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に対して着脱交換可能な消耗交換ユニットに取り付けられ、少なくとも情報を記憶するメモリと、前記本体との間で前記メモリ内に記憶された情報の読み書きを実行するインターフェースとを備えたIC回路で構成されたRFタグ及び通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機等の画像形成装置では、像担持体としての感光体ドラムを中心として、この感光体ドラムの周面に対向するように帯電部、光走査部、現像部、転写部等が配置されている。すなわち、帯電部へ所定の電圧を印加することによって感光体ドラムの表面を一様に帯電し、光走査部からの光ビームによって静電潜像を形成し、現像部においてトナーを供給して現像し、転写部において例えば、中間転写体等へトナー像を転写した後、用紙へ画像を転写する。画像が転写された用紙は、排出口までの搬送中に定着部において定着処理されるようになっている。
【0003】
上記のような一連の画像形成処理を実行するに際し、特に、現像部で使用されるトナーが消耗品としての代表的なものである。
【0004】
トナーは、カートリッジに充填され、画像形成装置に対して着脱可能とされ、カートリッジ内のトナー残量を検出し、ある程度の余裕をもった所定の残量になった時点で、第1の段階としてユーザーに対して警告を発し、さらにカートリッジの交換がなされない場合には、第2の段階として画像形成処理自体を禁止するようにしている。
【0005】
上記、トナーカートリッジを代表として、画像形成装置における、現像ユニット、現像トナー一体ユニット等、各部消耗交換ユニットに、RFタグ(不揮発性メモリと、当該メモリ内の読み書きを実行するインターフェースとが一体構成されたもの)を取り付け、このRFタグのメモリに記憶された情報を画像形成装置本体から読み書きすることで、それぞれの消耗交換ユニット固有の情報を簡便に得ることが考えられている。
【0006】
この場合、画像形成装置への消耗交換ユニットの装着時には、安定した通信である接触通信を行い、製造、流通過程では取り扱いが容易な非接触通信を行う、複合型インターフェースを備えたRFタグが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献1及び特許文献2では、接触通信では電磁波を用いないため外来ノイズに対する影響が少なく、通信の信頼性が高く、非接触通信では梱包された状態でも通信することができ、製造、流通状態での通信に適しており、双方の方式の長所を生かすことができる。
【特許文献1】特開平11−272822号公報
【特許文献2】特開2003−122230公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、接触通信を行うためにはRFタグに非接触通信用とは独立した端子を設けることになり、RFタグのIC回路に端子を追加しなければならない。また、IC回路も接触、非接触の両方の回路構成が実装され、制御が複雑となりコストアップにもつながる。
【0009】
また、特許文献2の技術では、コストの面では良好であるが、端子間インピーダンスが、「実質的に絶縁できる程度」となっており、この端子間に静電気が加えられると、IC回路に高電圧がかかり、静電気破壊を起こす場合がある。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、消耗交換ユニットの情報が記憶されるメモリに対して読み書きを実行するために、接触通信と非接触通信の双方が可能な複合インターフェースを組み込み、接触通信時の端子間に静電気が加えられても、IC回路に加わる電圧を抑制することができるRFタグ、及び通信システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、本体に対して着脱交換可能な消耗交換ユニットに取り付けられ、少なくとも情報を記憶するメモリと、前記本体との間で前記メモリ内に記憶された情報の読み書きを実行するインターフェースとを備えたIC回路で構成され、情報を非接触通信可能なRFタグであって、前記インターフェースが、前記情報を送受信するためのRFアンテナコイルと、前記RFアンテナコイルの異なる2点に接続され、前記本体に装填したときに当該本体側の端子と物理的かつ電気的に接続状態となり得る接触通信用接続端子と、を有している。
【0012】
第1の発明によれば、接触通信用接続端子がRFアンテナコイルを介して接続されることで、直流成分に対して低インピーダンスとなり、この接触通信用接続端子間に静電気が加わっても、RFアンテナコイルに電流が流れるため、IC回路やメモリが静電気による高電圧で破壊されるようなことはない。
【0013】
上記第1の発明において前記接触通信用接続端子の一方の接続位置が前記コイル部の端部であり、他方の接続位置がコイル部の巻数に基づいて決定されることを特徴としている。

最適な位置を選択することにより、接触通信において、RFタグに対して効率よく電力を伝達させることができる。
さらに、第1の発明において、前記接触通信用接続端子の両端のRFアンテナコイルの巻数が、前記RFアンテナコイル部全体の巻数の1/10〜1/3であることを特徴としている。
【0014】
実験的にRFアンテナコイル全体の巻数の1/10〜1/3程度となる位置にタップを設け、RFアンテナコイルの一端に接続した接触通信用接続端子とRFアンテナコイルのタップに接続した接触通信用接続端子との間の巻数が少ない側となるようにすることで、接触通信においてRFタグに対する電力伝達がピークとなり、RFタグは通信に必要な電力を発生させることができる。なお、タップ位置は、全体のまき数の1/5が最適である(RFアンテナコイルをタップ接続点において1:4となる位置)。
【0015】
また、第1の発明において、前記RFアンテナコイルには、並列に共振用コンデンサが接続され、接触通信時の搬送波周波数で共振させることを特徴としている。
【0016】
共振用コンデンサを接触通信時のコイル巻数に応じて調整することで、接触通信時の搬送波周波数で共振が可能となる。
【0017】
第2の発明は、本体側に対して着脱交換可能な消耗交換ユニットとの間で、前記消耗交換ユニットに関する情報を読み書きする通信システムであって、前記消耗交換ユニットにRFタグが設けられ、本体には、情報管理装置が設けられており、前記RFタグが、少なくとも情報を記憶するメモリと、前記本体との間で前記メモリ内に記憶された情報の読み書きを実行するインターフェースと、前記情報を送受信するためのRFアンテナコイルと、前記RFアンテナコイルの異なる2点に接続された一対の接触通信用接続端子と、を備え、前記情報管理装置が、前記消耗交換ユニットを前記本体に装填したときに前記一対の接触通信用接続端子と物理的かつ電気的に接続状態となり得る一対の本体側端子と、前記RFタグの情報の読み書きを実行する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
第2の発明によれば、RFタグと情報管理装置との間において、消耗交換ユニットが本体から取り外されている状態では非接触通信を実行し、消耗交換ユニットが本体に装填されている状態では接触通信を行う。
【0019】
この場合、それぞれ別の通信手段を持つのではなく、単純に物理的かつ電気的に接続可能な端子(接触通信用接続端子)を設けるのみであるため、構造が簡単となる。
【0020】
また、接触通信用接続端子がRFアンテナコイルを介して接続されることで、直流成分に対して低インピーダンスとなり、この接触通信用接続端子間に静電気が加わっても、RFアンテナコイルに電流が流れるため、インターフェースやメモリが静電気による高電圧で破壊されるようなことはない。
【0021】
上記第2の発明において、接触通信を実行する前に、前記RFタグの接触通信用接続端子に検出電流を流し、その通電状態により接触通信の良否を判別することを特徴としている。
【0022】
一対の接触通信の接続端子には、RFアンテナコイルが介在されているため、直流成分はRFアンテナコイルを介して流すことができる。そこで、接触通信用接続端子に検出電流を流し、その通電状態により接触通信の良否を判別することができる。電流が流れれば、接続状態、流れなければ非接続状態ということができる。
【0023】
また、第2の発明において、前記検出電流を所定時間に亘って継続して監視し、当該通電時の電流の状態で、前記接触通信用端子と、本体端子との接触不良の有無を判別することを特徴としている。
【0024】
監視を継続することで、接触不良の有無を判別することができる。
【0025】
さらに、第2の発明において、前記本体が、像担持体に対峙するように帯電部、光走査部、現像部、転写部等が配置され、帯電部へ所定の電圧を印加することによって像担持体の周面を一様に帯電し、光走査部からの光ビームによって静電潜像を形成し、現像部においてトナーを供給して現像し、転写部において用紙へ画像を転写する画像形成装置であり、
前記消耗交換ユニットが、少なくともトナーカートリッジ、現像ユニット、現像トナー一体ユニットを含むことを特徴としている。
【0026】
画像形成装置においては、少なくともトナーカートリッジ、現像ユニット、現像トナー一体ユニットを含む多くの消耗交換ユニットが適用されており、これらの情報を管理する場合に、第2の発明の接触通信、非接触通信の併用は有効となる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く第1の発明及び第2の発明によれば、消耗交換ユニットの情報が記憶されるメモリに対して読み書きを実行するために、接触通信と非接触通信の双方が可能な複合インターフェースを組み込み、接触通信時の端子間に静電気が加えられても、IC回路に加わる電圧を抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(画像形成装置の概略構成)
図1には、第1の発明及び第2の発明における「本体」として適用される画像形成装置10の概要が示されている。
【0029】
画像形成装置10には、エンジン部12が備えられており、エンジン部12の下部には、給紙ユニット14が設けられている。
【0030】
この給紙ユニット14は、記録用紙が積載される用紙トレイ22と、この用紙トレイ22から記録用紙を送り出す給紙ロール24と、で構成されており、給紙ロール24により送り出された記録用紙は、搬送ロール26、28を経て給紙路30を通過し、転写ロール74へ搬送される。
【0031】
この転写ロール74によってトナー像が記録用紙に転写され、定着部32の定着ロール32Aで定着された後、切替爪34の位置選択によって、排出ロール36又は排出ロール38により、エンジン部12の上部に設けられた第1の排出トレイ16又は第2の排出トレイ18へ排出される。
【0032】
ここで、両面印刷の場合、上記のような順序で表面の印刷が終わった後、第1の排出トレイ16へ記録用紙が完全に排出される前に、排出ロール36が逆転し、該記録用紙が反転路40へ供給される。そして、搬送ロール42、44、46、48を経て再び給紙路30に戻され、記録用紙の裏面側が印刷される。また、手差し印刷の場合、手差しトレイ20へ記録用紙を載置することで、記録用紙は手差しロール49から搬送ロール48を経て給紙路30へ搬送され、印刷される。
【0033】
前記定着部32は、ランプ(例えば、ハロゲンランプ等)の点灯によって定着ロール32Aが所定温度に加熱されており、前記トナー像は、この加熱された定着ロール32Aによる加熱及び加圧によって記録用紙にトナー像が定着されるようになっている。
【0034】
ところで、画像形成装置10の図1の右側には、各色毎の現像剤(トナーと磁性キャリアからなる)が充填された4個のトナーカートリッジ64が配設されている。このトナーカートリッジ64は、消耗交換ユニットの1つであり、それぞれ現像剤供給路65によって、図1の上から順に配列された後述する現像器60Y、60M、60K、60Cと接続されており、トナーカートリッジ64中の現像剤が現像器60Y、60M、60K、60Cへ供給される。
【0035】
トナーカートリッジ64の図1の左側には、露光ユニット62が配置されており、露光ユニット62からは、画像信号に応じた4本のレーザ光L(Y)、L(M)、L(K)、L(C)が、露光ユニット62の図1の左側に配置された感光体ユニット50を構成する感光体ドラム52Y、52M、52K、52C(以下、総称する場合は、単に「52」とする)へ向けて発せられ、感光体ドラム52に潜像を形成するようになっている。
【0036】
感光体ドラム52は、図1の上からイエロー(52Y)、マゼンダ(52M)、ブラック(52K)、シアン(52C)用となっている。
【0037】
露光ユニット62は、Y、M、K、Cの各色のレーザ光L(Y)、L(M)、L(K)、L(C)(以下総称する場合は、レーザ光Lという)を出力する光源部と、レーザ光Lに対して変調及び走査を行なう変調処理部と、露光面上の走査速度を補正するfθレンズや走査方向にレンズパワーを持つ面倒れ補正用のシリンドリカルレンズ等により構成された光学系と、を含んで構成されている。
【0038】
露光ユニット62では、光源部から射出された各色のレーザ光Lが変調処理部に入射され、各色毎の画像情報に応じてそれぞれ変調されて、ポリゴンモータ63により回転しているポリゴンミラー67により走査(主走査)される。ポリゴンミラー67により走査された各色のレーザ光Lは、ミラー群69により各色に対応する感光体ドラム52の配設方向に反射されて各感光体ドラム52上に結像される。
【0039】
感光体ユニット50には、各感光体ドラム52に対応して、帯電ロール56及びリフレッシュロール54が備えられており(図1では感光体ユニット50Yに対応するもののみに符号を記載)、それぞれ感光体ドラム52に接触回転するように設けられている。帯電ロール56では、感光体ドラム52を一様に帯電させ、現像装置58に備えられたマグネットロール80から飛翔するトナーを感光体ドラム52の表面に付着させる。一方、リフレッシュロール54では感光体ドラム52を放電させ、感光体ドラム52の表面に付着した残留トナーを取り除き、感光体ドラム52の表面にトナーが残留することで生じるゴースト等を防止する。
【0040】
ここで、現像装置58は、それぞれの感光体ユニット50の図1右下側に配置されており、各感光体ドラム52(52Y、52M、52K、52C)に対応して4つの現像器60Y、60M、60K、60Cが縦方向に並べられている。
【0041】
一方、感光体ユニット50の図1の左側には、中間転写ユニット66が配置されており、3つのドラム状の中間転写ドラム68、70、72が備えられている。2つの第1中間転写ドラム68、70は、縦方向に上下に並べられており、上部の第1中間転写ドラム68が、感光体ドラム52のうち上部に配置された2つの感光体ドラム52Y、52Mに接触回転し、下部の第1中間転写ドラム70が、下部に配置された2つの感光体ドラム52K、52Cに接触回転するようになっている。また、第2中間転写ドラム72は、第1中間転写ドラム68、70の双方に接触回転するようになっており、この第2中間転写ドラム72に、前述した転写ロール74が接触回転する。
【0042】
したがって、感光体ドラム52Y、52Mから各トナー像が第1中間転写ドラム68に転写され、感光体ドラム52K、52Cから各トナー像が第1中間転写ドラム70にそれぞれ転写される。この第1中間転写ドラム68、70に転写された各2色のトナー像が、第2中間転写ドラム72に転写されて4色となり、この4色のトナー像が転写ロール74により記録用紙に転写されることになる。
【0043】
これらの中間転写ドラム68、70、72の近傍には、それぞれクリーニングロール76及びクリーニングブラシ78が配置されており、中間転写ドラム68、70、72の表面の残留トナーを取り除く。
【0044】
上記4個の感光体ドラム52Y、52M、52K、52C、2個の第1中間転写ドラム68、70、1個の第2中間転写ドラム72、並びに転写ロール74には、それぞれ所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0045】
このそれぞれの転写バイアス電圧の電位勾配によって、感光体ドラム52Y、52M、52K、52C上に現像されたトナー像が、順次転写され、最終的には、第2中間転写ドラム72と転写ロール74との間に挟持されて搬送される記録用紙へ画像が転写されるようになっている。
【0046】
(RFタグによる非接触通信(無線通信)の構成)
図2に示される如く、本実施の形態のトナーカートリッジ64には、RFタグ100が取り付け(貼り付け)られている。
【0047】
RFタグ100は、トナーカートリッジ64内のトナー残量や製造年月日、型式等の情報を記憶することが可能な不揮発性のメモリ102と、この不揮発性メモリ102に記憶された情報にアクセスして、本体である画像形成装置10に設けられた情報管理装置103の制御手段であるリーダー/ライター部104からの指示により当該情報の読み書きを可能とするインターフェース106とで構成され、全体としてICチップを形成している。
【0048】
インターフェース106は、不揮発性メモリ102に接続されたロジック回路108と、当該ロジック回路108の駆動電源を生成したり、情報を無線通信用搬送波に変調、或いは復調するためのRF回路110と、を備え、このRF回路110には、無線通信用のRFアンテナ112が接続されている。
【0049】
一方、前記リーダー/ライター104にも、本体アンテナ114が設けられている。ここで、リーダー/ライター104から発信された電波に基づいて、RF回路部110が電磁誘導により発電され、ロジック回路108を起動することで、不揮発性メモリ102内の情報を読み書きすることが可能となる。
【0050】
(RFタグによる接触通信(有線通信)の構成)
図2に示される如く、RFアンテナ112は、RF回路110に設けられた一対のアンテナ接続端子に接続された2本の信号線116、118を有しており、この信号線116、118の間には、RFアンテナコイル120と共振用コンデンサ122とが並列接続されている。
【0051】
前記RFアンテナコイル120の一端部からは第1の接触通信用信号線124の一端が接続されている。また、このRFアンテナコイル120全体の巻数の1/10〜1/3程度となる位置にタップを設け、このタップは第1の接触通信用信号線124と接続されるコイル端との間の巻数が少ない側となる方向とし、このタップに第2の接触通信用信号線126の一端が接続されている。なお、このタップは、RFアンテナコイル120全体の巻数の1/5程度となる位置が最適である。
【0052】
第1の接触通信用信号線124及び第2の接触通信用信号線126のそれぞれの他端部は、前記トナーカートリッジ64が装置本体の所定の位置に装填されたときに、画像形成装置10側に設けられた一対の本体端子128、130にそれぞれ物理的かつ電気的に接続するRF端子132、134が取り付けられている。
【0053】
なお、本体端子128、130とRF端子132、134は、前記トナーカートリッジ64の装填移動に伴って接続され、かつ装填完了時に保持されるようになっている。
【0054】
また、本体端子128、130とRF端子132、134の形状は、互いに雄/雌(或いは雌/雄)の関係で雄側が雌側に嵌入する構成や、互いにトナーカートリッジの装填移動方向で対面する所定の面積の接触面とし、装填状態では、互いに突き当たる方向に付勢する構成等、さまざまな構成が考えられるが、本実施の形態ではこれらに限定されるものではなく、トナーカートリッジ64が装填完了したときに本体端子128、130とRF端子132、134とがそれぞれ物理的かつ電気的に接続状態を維持すればよい。
【0055】
ここで、一方の本体端子128は本体コンデンサ146に接続されると共に、増幅器136を介して管理制御装置の一部を構成する受信回路138に接続されている。
【0056】
前記管理制御装置の一部を構成する送信回路140は、増幅器142を介して本体コイル144の一端に接続されている。この本体コイル144の他端は前記一方の本体側端子130に接続される。なお、本体コイル144と本体コンデンサ146の接続位置が入れ替わっても差し支えない。
【0057】
ここで、送信回路140から出力される情報は、所定の搬送波周波数に変調された電波又は磁界(以下、「電磁波」という)として、本体アンテナ114から発せられることになる。
【0058】
このとき、本体端子128、130とRF端子132、134とが接続状態であるとき、この電磁波が有線によってRFアンテナ112へ送られることになる。
【0059】
この場合、本体コイル144及び本体コンデンサ146、並びにRFアンテナコイル120及び共振用コンデンサ122のそれぞれの適正値L、Cを決めておくことで、RFアンテナ112は、前記送信回路140を介したリーダー/ライター部104からの搬送波周波数に対して共振することができる。
【0060】
前記適正値は、画像形成装置10側のリーダー/ライター部104と対応させるトナーカートリッジ64の数によるため、一概には規定できないが、非接触通信時のRFタグ100側のRFアンテナコイル120のインダクタンスLaと共振コンデンサ122のキャパシタンスCaを決定し、その後、有線通信時にRFタグへ電力伝達が最大となるようにRFアンテナコイルのタップの位置を設定すればよい。この最適値はRFアンテナコイル全体の巻数の1/10〜1/3程度の位置となる。
【0061】
また、本実施の形態における画像形成装置10側には、この画像形成装置10側に設置された管理制御装置103には、リーダー/ライター部104と併設して接続状態判定部148が設けられている。
【0062】
接続状態判定部148は、前記本体端子128、130間に所定の直流電圧を印加するようにしている。この直流電圧は、本体端子128、130がRF端子132、134と接続状態であると、RFタグ100のRFアンテナコイル120に直流電流が流れ、この結果、本体端子128、130間に直流電流が流れることになる。すなわち、RFアンテナコイル120が直流分を流すという性質を利用したものである。
【0063】
この電流が流れるか流れないかによって、トナーカートリッジ64の装填状態、並びに接触通信時の端子接触状態の良否を判定することができる。
【0064】
また、この電流の判定を所定時間継続することで、端子接触不良の監視を行うことができる。
【0065】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0066】
まず、非接触通信、接触通信の最適化について説明する。
【0067】
第1に、非接触通信にて搬送周波数に共振するようにRFアンテナコイル120と共振コンデンサ122の定数を決定する。
【0068】
第2に、接触通信時に電力電圧が最大となるように、上記「第1」で決定したRFアンテナコイル120のタップの位置を決定する。なお、基本的にその時のタップの位置は、RFアンテナコイル120のインダクタンス(巻数)に関わらず、一定の巻数比付近となる。
【0069】
また、非接触通信の際、タップ位置は全く無関係であり(非接触通信/接触通信に相関関係無し)、それぞれ独立可能なパラメータである。
【0070】
次に、非接触通信(無線通信)の手順について説明する。
【0071】
非接触通信時の情報の読み書きは、以下の(1)乃至(5)手順によって実行される。
【0072】
(1) リーダー/ライター部104の本体アンテナ114から情報を電波又は磁界に乗せて送信する。
【0073】
(2) これを、RFタグ100のRFアンテナ112が受信すると、整流(電波の場合)又は共振(磁界の場合)により、RFタグ100のRF回路部110に電力が発生する。
【0074】
(3) この発生した電力により、ロジック回路108、不揮発性メモリ102を動作させ、必要な処理(情報の読み書き)を実行する。
【0075】
(4) 一方、RFタグ100の不揮発性メモリ102に記憶された情報を、電波又は磁界に乗せて、RFタグ100のRFアンテナ112から返信を行うと、この返信をリーダー/ライター部104の本体アンテナ114で前記返信に応じた電波又は磁界を受信する。
【0076】
(5) 電波又は磁界を受信したリーダー/ライター部104では、当該電波又は磁界に基づいて情報を取り出す。
【0077】
このような非接触通信は、トナーカートリッジ64が単体で梱包されているとき、すなわち、工場在庫段階や流通段階であっても、内部の情報の読み書きが可能となり、管理作業が容易となる。
【0078】
ところで、このトナーカートリッジ64が、画像形成装置10の所定の位置に装填された場合、高電圧を使用していることも起因して、外部ノイズによって非接触通信に支障をきたす場合がある。そこで、トナーカートリッジ64が装填された場合は、外部ノイズが受けにくい接触通信に切り替える。
【0079】
この接触通信を実行する場合、本実施の形態では、特別な作業は不要となっている。すなわち、トナーカートリッジ64を通常通り、画像形成装置10の所定の位置に装填するのみである。この装填動作に伴って、RF端子132、134と、本体端子128、130とが物理的、かつ電気的に接続状態になり、トナーカートリッジ64の装填が完了すると、この接続状態が維持される。
【0080】
ところで、従来はこの非接触通信−接触通信間の切替は、全く異なる回路で対応し切替制御が必要であった。また、切替なしで実行する構成では、端子間が高インピーダンス(ほとんど絶縁状態)となるため、端子間に静電気が加わると、直接IC回路に高電圧がかかり、破壊する可能性があった。
【0081】
そこで、本実施の形態では、接触通信時の第1の接触通信用信号線124と、第2の接触通信用信号線126との間に、直流成分は低インピーダンスとなるRFアンテナコイル120を介在させるようにした。
【0082】
このため、この第1の接触通信用信号線124と、第2の接触通信用信号線126との間に静電気が加わっても、RFアンテナコイル120に電流が流れるため、RF回路110やロジック回路108、並びに不揮発性メモリ102には何ら影響がなく、正常状態を維持することができる。
【0083】
また、本実施の形態における画像形成装置10側の接続状態判定部148から、本体端子128、130間に所定の直流電圧を定期的に印加する
この直流電圧は、本体端子128、130がRF端子132、134と接続状態である(すなわち、トナーカートリッジ64の装填状態である)と、RFタグ100のRFアンテナコイル120に直流電流が流れ、この結果、本体端子128、130間に直流電流が流れる。
【0084】
接続状態判定部148では、この電流が流れるか流れないかによって、トナーカートリッジ64の装填状態、並びに接触通信時の端子接触状態の良否を判定することができる。
【0085】
また、この電流の判定を所定時間継続することで、端子接触不良の監視を行うことができる。
【0086】
以上説明したように本実施の形態では、同一の回路で非接触通信と接触通信を可能とすると共に、RFアンテナコイル120の一端部に第1の接触通信用信号線124の一端を接続し、RFアンテナコイル120の一端部からコイル部全体の巻数の1/10〜1/3程度となる位置に第2の接触通信用信号線126の一端を接続して、接触通信時の入力端とした。これにより、第1の接触通信用信号線124と、第2の接触通信用信号線126との間における直流成分が低インピーダンスとなり、第1の接触通信用信号線124と、第2の接触通信用信号線126との間に静電気が加わっても、RFアンテナコイル120に電流が流れ、RF回路110やロジック回路108、並びに不揮発性メモリ102には何ら影響がなく、正常状態を維持することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、消耗交換ユニットとしてトナーカートリッジ64を例にとり説明したが、現像ユニット、現像トナー一体ユニット等の他の消耗交換ユニットであってもよい。
【0088】
また、画像形成装置に限らず、消耗交換ユニットが必須であり、かつ消耗交換ユニットとの間で情報をやりとりする必要がある装置(本体)であれば、本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】トナーカートリッジと装填部との関係を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るRFタグを用いた通信ユニットが概略図である。
【符号の説明】
【0090】
10 画像形成装置
64 トナーカートリッジ
100 RFタグ
102 不揮発性メモリ
103 情報管理装置
104 リーダー/ライター部
106 インターフェース
108 ロジック回路
110 RF回路
112 RFアンテナ
114 本体アンテナ
116、118 信号線
120 RFアンテナコイル
122 共振用コンデンサ
124 第1の接触通信用信号線
126 第2の接触通信用信号線
128、130 本体端子
132、134 RF端子
136 増幅器
138 受信回路
140 送信回路
142 増幅器
144 本体コイル
146 本体コンデンサ
148 接続状態判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して着脱交換可能な消耗交換ユニットに取り付けられ、少なくとも情報を記憶するメモリと、前記本体との間で前記メモリ内に記憶された情報の読み書きを実行するインターフェースとを備えたIC回路で構成され、情報を非接触通信可能なRFタグであって、
前記インターフェースが、
前記情報を送受信するためのRFアンテナコイルと、
前記RFアンテナコイルの異なる2点に接続され、前記本体に装填したときに当該本体側の端子と物理的かつ電気的に接続状態となり得る接触通信用接続端子と、
を有することを特徴とするRFタグ。
【請求項2】
前記接触通信用接続端子の一方の接続位置が前記コイル部の端部であり、他方の接続位置がコイル部の巻数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載のRFタグ。
【請求項3】
前記接触通信用接続端子の両端のRFアンテナコイルの巻数が、前記RFアンテナコイル部全体の巻数の1/10〜1/3であることを特徴とする請求項2記載のRFタグ。
【請求項4】
前記RFアンテナコイルには、並列に共振用コンデンサが接続され、接触通信時の搬送波周波数で共振させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のRFタグ。
【請求項5】
本体側に対して着脱交換可能な消耗交換ユニットとの間で、前記消耗交換ユニットに関する情報を読み書きする通信システムであって、
前記消耗交換ユニットにRFタグが設けられ、本体には、情報管理装置が設けられており、
前記RFタグが、
少なくとも情報を記憶するメモリと、
前記本体との間で前記メモリ内に記憶された情報の読み書きを実行するインターフェースと、
前記情報を送受信するためのRFアンテナコイルと、
前記RFアンテナコイルの異なる2点に接続された一対の接触通信用接続端子と、
を備え、
前記情報管理装置が、
前記消耗交換ユニットを前記本体に装填したときに前記一対の接触通信用接続端子と物理的かつ電気的に接続状態となり得る一対の本体側端子と、
前記RFタグの情報の読み書きを実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
接触通信を実行する前に、前記RFタグの接触通信用接続端子に検出電流を流し、その通電状態により接触通信の良否を判別することを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記検出電流を所定時間に亘って継続して監視し、当該通電時の電流の状態で、前記接触通信用端子と、本体端子との接触不良の有無を判別することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
前記本体が、像担持体に対峙するように帯電部、光走査部、現像部、転写部等が配置され、帯電部へ所定の電圧を印加することによって像担持体の周面を一様に帯電し、光走査部からの光ビームによって静電潜像を形成し、現像部においてトナーを供給して現像し、転写部において用紙へ画像を転写する画像形成装置であり、
前記消耗交換ユニットが、少なくともトナーカートリッジ、現像ユニット、現像トナー一体ユニットを含むことを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか1項記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−257206(P2007−257206A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79573(P2006−79573)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】