説明

RF光伝送システム、親局無線装置、及びレベル安定化装置

【課題】システム構成を容易に変更できるRF光伝送システムを提供する。
【解決手段】 親局無線装置10は、複数系統の無線信号を、それぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に変換する周波数変換部111と、複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して子局装置に分配する信号合成分配部112と、合成された光信号に変換し、光ファイバ121−1〜121−nを介して子局装置13−1〜13−nに出力する電気/光変換部113−1〜113−nを具備する。レベル安定化装置16−11〜16−n2は、子局装置から送られたIF信号を分配する信号合成分配部161と、分配されたIF信号を複数系統の所定の無線周波数の無線信号に変換する周波数変換部162と、無線信号を増幅する増幅部163、165と、複数のアンテナ装置169−0と169−1を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF(Radio Frequency)信号を光信号に変換して無線装置間を伝送するRF光伝送システム、親局無線装置、及びレベル安定化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システムやPHS(personal handy-phone system)システム等の無線通信システムでは、携帯電話端末やPHS端末等の端末装置と無線基地局装置との間での信号送受信が無線通信によって行われている。このような無線通信システムでは電波を用いた通信が行われるため、高層ビルの中や地下街などの電波不感地帯では、無線基地局装置と端末装置との通信が難しい。電波不感地帯における通信を可能とするための技術として、ROF(Radio over Fiber)技術が知られている。ROF技術によれば、無線基地局装置から送信されるRF信号が電気/光変換によって光信号に変換され、電波不感地帯に設置された子局装置まで光ファイバを用いて伝送される。端末装置には、子局装置から無線信号が送信される。
【0003】
近年の無線通信システムでは、無線基地局装置及び端末装置にそれぞれ複数のアンテナが備えられるMIMO(Multiple Input Multiple Output)システムが用いられるようになっている。このようなMIMOシステムにもROF技術を適用して、電波不感地帯においても通信を可能とする技術が提案されている。例えば特許文献1には、無線周波数信号を光信号に変換し、光信号を多重化して、単一の光ファイバを介してアクセス・ポイントと集中基地局の間を伝送するMIMOシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−56821号公報(段落0010、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1台の子局装置から送出される信号を、同軸ケーブルや分配器によって分配し、分配された信号を複数の端末装置(あるいは複数のアンテナ)へ送出するシステムは、DAS(distributed antenna system)と称される。信号の送受信が1系統で行なわれる従来の単一伝送方式では、DASも1系統の信号の伝送に対応していた。
【0006】
しかしながら、複数の系統の信号を並行伝送するMIMO方式の無線基地局装置においては、1系統の送受信のために1系統のDASを配備する従来の方式では、MIMOの系統数分のDASを構築して、系統毎に信号伝送を行なう必要があった。例えば特許文献1に記載のシステムでは、アクセス・ポイントと集中基地局が単一の光ケーブルで接続されている。従って、アクセス・ポイントを増設する場合には、対応する集中基地局も増設し、更に光ケーブルで接続する必要がある。このため、システム構成の変更が容易ではない。
【0007】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、システム構成が容易に変更できるRF光伝送システム、親局無線装置、及びレベル安定化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るRF光伝送システムは、基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、前記親局無線装置は、前記複数系統の無線信号を、それぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に変換する第1の周波数変換手段と、前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して第1の合成信号を生成し、前記第1の合成信号を前記子局装置に分配する合成分配手段と、前記第1の合成信号を光信号に変換し、前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力する電気/光変換手段とを具備し、前記子局装置は、前記光回線を介して送られる前記光信号を受信して、電気信号に変換する光/電気変換手段と、前記電気信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配する第1の分配手段と、前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して第2の合成信号を生成し、前記第2の合成信号を前記同軸ケーブルに出力する合成手段とを具備し、前記レベル安定化装置は、前記第2の合成信号を、前記複数の中間周波数帯信号に分配する第2の分配手段と、前記複数の中間周波数帯信号を、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換する第2の周波数変換手段と、前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅する複数の増幅手段と、前記増幅手段によって増幅された前記複数系統の無線信号を送出する複数のアンテナ装置を含む送信手段とを具備する。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る親局無線装置は、基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、前記子局装置は、前記親局装置から前記光回線を介して送られる前記光信号を受信して電気信号に変換し、前記電気信号をそれぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に分配し、電気的に合成して前記同軸ケーブルに出力し、前記レベル安定化装置は、前記子局装置からの信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配して、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換し、前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅して複数のアンテナ装置から送出するRF光伝送システムにおいて用いられる親局無線装置であって、前記複数系統の無線信号を、前記複数の中間周波数帯信号に変換する周波数変換手段と、前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して合成信号を生成し、前記合成信号を前記子局装置に分配する合成分配手段と、前記合成信号を光信号に変換し、前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力する電気/光変換手段とを具備する。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係るレベル安定化装置は、基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、前記親局無線装置は、前記複数系統の無線信号を、それぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に変換し、それぞれ電気的に合成して前記子局装置に分配し、光信号に変換して前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力し、前記子局装置は、前記光回線を介して送られる前記光信号を電気信号に変換し、前記電気信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配して電気的に合成し、前記同軸ケーブルに出力するRF光伝送システムにおいて用いられるレベル安定化装置であって、前記複数系統の無線信号を合成した合成信号であって前記子局装置から前記同軸ケーブルを介して送信される合成信号を、複数の中間周波数帯信号に分配する分配手段と、前記複数の中間周波数帯信号を、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換する周波数変換手段と、前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅する複数の増幅手段と、前記増幅手段によって増幅された前記複数系統の無線信号を送出する複数のアンテナ装置を含む送信手段とを具備する置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、システム構成を容易に変更できるRF光伝送システム、親局無線装置、及びレベル安定化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る2×2MIMOのRF光伝送システムにおいて信号伝送に関する部分の構成を示すブロック図。
【図2】上記実施形態に係る2×2MIMOのRF光伝送システムにおいて損失補正に関する部分の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る4×4MIMOのRF光伝送システムにおいて信号伝送に関する部分の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明によるRF光伝送システムの実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る2×2MIMOのRF光伝送システムにおいて信号伝送に関する部分の構成を示すブロック図である。図1に示すように、このRF光伝送システムの下り回線では、基地局無線装置10から出力された周波数Fの2系統(系統0と系統1)の無線信号(RF信号)が、親局無線装置11で受信されて光信号に変換され、光ファイバ回線121−1〜121−nを介して子局装置13−1〜13−nに伝送される。光信号は子局装置13−1〜13−nで再び電気信号に変換されて、分配器15−1〜15−nを介してレベル安定化装置16−11〜16−n2に分配供給される。レベル安定化装置16−11〜16−n2は供給された信号を周波数Fの2系統の無線信号に復元し、端末装置(図示せず)に送出する。
【0015】
端末装置から送出された無線信号(RF信号)を基地局無線装置10に送信するための上り回線では、下り回線とは逆の信号伝送が行なわれる。すなわち、レベル安定化装置16−11〜16−n2のいずれかで受信されたRF信号が対応するいずれかの子局装置13−1〜13−nに送られて光信号に変換され、対応するいずれかの光ファイバ122−1〜122−nを介して親局装置11に送信される。親局装置11は、当該光信号を電気信号に変換し、基地局無線装置10に2系統の(系統0と系統1)無線信号として周波数Fで送信する。
【0016】
基地局無線装置10は、無線基地局に備えられ、2系統(系統0と系統1)の無線伝送に対応する無線装置である。基地局無線装置10は、系統0に対応する送受信部10−0及び系統1に対応する送受信部10−1を具備している。送受信部10−0は系統0に対応するアンテナ装置、送信機TX0及び受信機RX0を具備し、送受信部10−1は系統1に対応するアンテナ装置、送信機TX1及び受信機RX1を具備している。
【0017】
下り回線では、送信機TX0及び送信機TX1から親局装置11へRF信号が送信される。また上り回線では、親局装置11から送信されたRF信号が受信機RX0及び受信機RX1で受信される。
【0018】
親局装置11は、周波数変換部111、信号合成分配部112、電気/光(E/O)変換部113−1〜113−n、及び光/電気(O/E)変換部114−1〜114−nを具備している。
【0019】
周波数変換部111は、系統0に対応するアンテナ装置、送信機TX0及び受信機RX0、系統1に対応するアンテナ装置、送信機TX1と受信機RX1を具備している。この周波数変換部111は、基地局無線装置10から2系統の下り回線によって送信された周波数FのRF信号を受信し、中間周波数(Intermediate Frequency)帯の電気信号であるIF信号へ変換する。周波数変換部111が下り回線のRF信号を周波数変換する場合、系統0のRF信号と系統1のRF信号とは、互いに異なる周波数(但し、中間周波数帯)のIF信号に変換される。以下では、系統0のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf0、系統1のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf3と表記する。
【0020】
一方、上り回線によって信号を基地局無線装置10に送信する場合には、周波数変換部111は、互いに異なる周波数のIF信号を周波数Fの2系統のRF信号に変換し、基地局無線装置10へ送信する。以下では、周波数変換部111へ入力される系統0に対応するIF信号の周波数をf1、系統1に対応するIF信号の周波数をf4と表記する。
【0021】
このように、下り回線の2系統のRF信号をそれぞれ異なる周波数のIF信号f0、f3へ変換することで、これらの2系統の信号を合成したり分配したりすることができるようになる。また、2系統のRF信号が中間周波数帯の異なる周波数へ変換されるため、信号合成分配部などを構成する回路部材は、高周波帯の信号用の回路部材を使用するよりも安価な中間周波数帯用の部材を使用することができる。従って、RF光伝送システムの製造コストを抑えることができる。
【0022】
信号合成分配部112は、周波数変換部111から入力される下り回線のIF信号(周波数がf0とf3)を電気的に合成して1つのIF信号とし、合成されたIF信号をE/O変換部113−1〜113−nへ分配する。
【0023】
また信号合成分配部112は、O/E変換部114−1〜114−nから入力されるIF信号を周波数f1のIF信号と周波数f4のIF信号に分配し、周波数変換部111へ出力する。
【0024】
E/O変換部113−1〜113−nは、下り回線のIF信号を光信号へ変換し、対応する光ファイバ121−1〜121−nに出力する。一方O/E変換部114−1〜114−nは、上り回線の光信号を電気信号であるIF信号に変換し、信号合成分配部112へ出力する。
【0025】
親局装置11と複数の子局装置13−1〜13−nは、対応する光ファイバ121−1〜121−n及び光ファイバ122−1〜122−nを介してそれぞれ接続されている。光ファイバ121−1〜121−nは下り回線の接続に、光ファイバ122−1〜122−nは上り回線の接続に用いられる。
【0026】
子局装置13−1〜13−nはそれぞれ、電波不感地帯に設置される。図1には、子局装置13−1〜13−nが共通して有する構成が図示されており、対応する部分には対応する参照数字が付されている。
【0027】
子局装置13−1〜13−nのそれぞれは、光/電気(O/E)変換部131、電気/光(E/O)変換部132、信号合成分配部133、周波数f0に対応する増幅部134、周波数f1に対応する低雑音増幅部135、周波数f3に対応する増幅部136、周波数f4に対応する低雑音増幅部137、及びハイブリッド合成分配器(H)138を具備している。
【0028】
O/E変換部131は、対応する光ファイバ121−1〜121−nを介して親局装置11から送信された下り回線の光信号を電気信号であるIF信号(周波数f0、f3)に変換する。E/O変換部132は、信号合成分配部133から出力されたIF信号を光信号に変換して、対応する光ファイバ122−1〜122−nを介して親局装置11に送信する。
【0029】
信号合成分配部133は、O/E変換部131からの下り回線のIF信号を周波数f0のIF信号と周波数f3のIF信号に電気的に分配する。分配された周波数f0のIF信号は増幅部134へ、周波数f3のIF信号は増幅部136へ送られる。
【0030】
また信号合成分配部133は、低雑音増幅部135から入力する周波数f1の上り回線のIF信号と低雑音増幅部137から入力する周波数f4の上り回線のIF信号とを電気的に合成し、E/O変換部132に出力する。
【0031】
ハイブリッド合成分配器138は、増幅部134及び136から入力する下り回線のIF信号(周波数f0、f3)を合成して、接続された1以上のレベル安定化装置に同軸ケーブルを介して出力する。図1では、子局装置13−1がレベル安定化装置16−11及びレベル安定化装置16−12に接続され、同様に子局装置13−nはレベル安定化装置16−n1及びレベル安定化装置16−n2に接続されている。分配器15−1〜15−nは、それぞれ対応する子局装置13−1〜13−nから出力される電気信号をレベル安定化装置に分配する。各子局装置に接続されるレベル安定化装置の数は、2個に限定されず、分配器の数を増やして、子局装置に接続されるレベル安定化装置の数を増やすことも可能である。
【0032】
またハイブリッド合成分配器138は、接続されたレベル安定化装置から同軸ケーブルを介して送られた上り回線のIF信号(周波数f1、f4)を分配して、低雑音増幅部135及び137に出力する。
【0033】
レベル安定化装置16−11〜16−n2はそれぞれ、2系統(系統0と系統1)の無線伝送に対応している。図1には、レベル安定化装置16−11〜16−n2が共通して有する構成が図示されており、対応する部分には対応する参照数字が付されている。
【0034】
レベル安定化装置16−11〜16−n2のそれぞれは、信号合成分配部161、周波数変換部162、増幅部163、低雑音増幅部164、増幅部165、低雑音増幅部166、ハイブリッド分配合成器(H)167、及びハイブリッド分配合成器(H)168を具備している。ハイブリッド分配合成器167には、系統0に対応するアンテナ装置169−0が接続されている。また、ハイブリッド分配合成器168には、系統1に対応するアンテナ装置169−1が接続されている。
【0035】
信号合成分配器161は、同軸ケーブルを介して伝送された下り回線のIF信号を周波数f0のIF信号と周波数f3のIF信号に分配する。また信号合成分配器161は、周波数f1の上り回線のIF信号と周波数f4の上り回線のIF信号を合成し、同軸ケーブルを介して子局装置に送信する。
【0036】
周波数変換部162は、下り回線のIF信号(周波数f0、f3)を高周波のRF信号(周波数F)に変換する。また逆に上り回線では、周波数変換部162は、系統0のRF信号(周波数F)と系統1のRF信号(周波数F)をそれぞれ異なる周波数のIF信号(周波数f1とf4)に変換する。
【0037】
増幅部163は、周波数変換部162から出力された系統0に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器167を介してアンテナ装置169−0に出力する。系統0のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置169−0から空中に送出される。
【0038】
同様に増幅部165は、周波数変換部162から出力された系統1に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器168を介してアンテナ装置169−1に出力する。系統1のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置169−1から空中に送出される。
【0039】
一方、上り回線では、アンテナ装置169−0が受信した系統0のRF信号が、ハイブリッド合成分配器167を介して低雑音増幅部164に出力される。またアンテナ装置169−1が受信した系統1のRF信号は、ハイブリッド分配合成器168を介して低雑音増幅部166に出力される。低雑音増幅部164及び低雑音増幅部166は、RF信号に対して低雑音増幅を行い、周波数変換部162に出力する。
【0040】
ハイブリッド分配合成器167は、系統0の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられ、ハイブリッド分配合成器168は、系統1の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられる。
【0041】
アンテナ装置169−0及び169−1から無線端末装置へは、同一周波数(F)のRF信号が系統0と系統1の2系統によって伝送される。
【0042】
以上のように、図1に示す構成によるRF光伝送システムによれば、親局装置と子局装置間で2×2MIMOの2系統の信号を一括して伝送することが可能となる。このため、子局装置を増設する場合であっても、親局装置を増設して2つのDASシステムを構築する必要がなくなり、システム構成が簡易化される。
【0043】
図1に示すRF光伝送システムでは、子局装置からアンテナ装置までは、同軸ケーブルによって信号が伝送されるため、ケーブル損失の発生が避けられない。また、分配器15−1〜15−nでも、分配損失が生じる。本実施形態では、レベル安定化装置16−11〜16−n2において、以下に説明するように同軸ケーブル損失及び分配損失の補正を行なっている。
【0044】
図2は、本実施形態に係る2×2MIMOのRF光伝送システムにおいて損失補正に関する部分の構成を示すブロック図である。図2において、図1と対応する部分には対応する参照数字が付されている。
【0045】
以下では、一例として、系統0のRF信号について、レベル安定化装置16−11からの出力レベルを安定化させる場合について説明する。説明を簡単化するため、図2では、系統1の信号伝送に関する構成、子局装置13−2〜13−n、及びレベル安定化装置16−12〜16−n2の図示が省略されている。一方、レベル安定化のための制御信号の伝送に係る制御系が図示されている。
【0046】
図2に示すように、親局装置11は、図1に示す構成に加えてレベル安定化制御回路17を具備している。レベル安定化制御回路17は、所望の出力レベルをパラメータ化して、周波数fx(中間周波数帯)の制御信号114を生成する。周波数fxの制御信号は、信号合成分配部112によって下り回線のIF信号と重畳される。重畳されたIF信号は、E/O変換部113−1によって光信号に変換され、光ファイバ121−1を介して子局装置13−1に伝送される。
【0047】
子局装置13−1において、下り回線の光信号は、O/E変換部131によって中間周波数帯の電気信号に変換される。信号合成分配部133は、当該下り回線のIF信号を周波数f0とfxのIF信号、及び周波数f3のIF信号に電気的に分配する。周波数f0とfxのIF信号は増幅器134に入力され、周波数f3のIF信号は増幅器136に入力されて、それぞれ増幅される。
【0048】
ハイブリッド合成分配器138は、増幅部134から入力する下り回線のIF信号と増幅部136から入力する下り回線のIF信号を合成して、同軸ケーブルを介してレベル安定化装置16−11に出力する。
【0049】
レベル安定化装置16−11は、図1に示す構成に加えて信号検出・レベル制御部170を具備している。信号合成分配部161は、下り回線のIF信号を周波数f0のIF信号、周波数f3のIF信号、及び周波数fxの制御信号に分配する。周波数fxの制御信号は信号検出・レベル制御部170に入力され、周波数f0のIF信号は増幅部163に、周波数f3のIF信号は増幅部165に入力される。信号検出・レベル制御部170は、増幅部163の出力レベルを検出し、周波数fxの制御信号に基づいて得られる所望の出力レベルとの差分を算出する。
【0050】
算出された出力レベルの差分は、レベル安定化制御回路17に伝達される。レベル安定化制御回路は、出力レベルの差分に基づいて信号検出・レベル制御部170を制御し、増幅部163の駆動パラメータを調整する。すなわち、増幅部163の出力レベルは上記所望の出力レベルに一致するよう調整される。
【0051】
従って、レベル安定化装置16−11において、RF信号の送信を一定のレベルで行なうことができるようになる。なお、図2では説明を簡単化するため、系統1のRF信号の伝送系については図示を省略した。しかしながら、系統1のRF信号の伝送についても同様に、増幅部165の出力レベルと上記の所望のレベルとの差分に基づいて、増幅部165の駆動パラメータを調整すればよい。これによって、増幅部165の出力レベルも安定化させることができる。また、更に同様に低雑音増幅部164と低雑音増幅部166の駆動パラメータを調整して、損失補正を行なうことができる。
【0052】
また、図2では子局装置13−1とレベル安定化装置16−11のみが図示されているが、子局装置13−11に接続された他のレベル安定化装置(例えば図1に示すレベル安定化装置16−12)についても、同様に送受信レベルを安定化させることができる。
【0053】
更に、図2には1つの子局装置13−1が図示されているが、他の子局装置13−2〜13−nに接続されたレベル安定化装置16−21〜16−n2についても、同様に送受信レベルの安定化を図ることができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係るRF光伝送システムによれば、系統数分のDASを設置する必要が無く、機器の設置コスト、光ファイバーケーブルや同軸ケーブルの配線コスト、及び系統数分の同軸ケーブルの合分配器コスト等の機器コストを大幅に削減することが可能となる。また、複数系統のDASを設置する場合のように送信側と受信側それぞれに系統数分の専用装置を設ける必要が無くなり、それぞれの専用装置における光融着接続処理、及び設置箇所の各々における光ファイバーケーブルの余長処理(光ケーブル1本に対して2箇所)も不要となる。このため、施工コストも削減することができる。
【0055】
また本実施形態に係るRF光伝送システムでは、レベル安定化装置16−11〜16−n2によって各アンテナの送信出力レベルを均一化することができるため、同軸ケーブル損失や分配損失を補償することができる。従って、配線長や設置状況など現地に合わせたレベル補正計算が不要となり、設計コストを削減することが可能となる。
【0056】
本実施形態に係るRF光伝送システムによれば、MIMO対応の基地局無線装置の複数系統の信号が1つの親局装置11によって一括して伝送される。このため、信号が分配されるアンテナ装置を増設しても、親局装置11を増設する必要がなくなり、システム構成を簡単化することができる。親局装置11は、MIMOの系統数分のインタフェースを持ち、同一周波数の複数のRF信号を異なる周波数のIF信号に変換する。更に親局装置11では、当該異なる周波数のIF信号を電気的に合成して、一括して電気信号から光信号へと変換する。このため、同一周波数の複数系統のRF信号を束ねることが可能となり、システム構成を簡単化することができる。親局装置11から送信された光信号は、子局装置においてIF信号に光−電気変換される。
【0057】
また本実施形態にかかるRF光伝送システムでは、アンテナ近傍にはレベル安定化装置が接続される。アンテナ装置の直近(例えばケーブル損失が0dB〜1dB程度の距離)に設置されたレベル安定化装置は、下り回線においては、異なる周波数のIF信号を複数系統の同一周波数のRF信号へ変換する。
【0058】
また、本実施形態に係るRF光伝送システムの実施は、2×2MIMOシステムに限定されるものではない。例えば図3に示すように、4×4MIMOシステムにも適用することができる。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態に係る4×4MIMOのRF光伝送システムにおいて信号伝送に関する部分の構成を示すブロック図である。図3に示すように、このRF光伝送システムの下り回線では、基地局無線装置20から出力された周波数Fの4系統(系統0、系統1、系統3及び系統4)の無線信号(RF信号)が、親局無線装置21で受信されて光信号に変換され、光ファイバ回線221−1〜221−nを介して子局装置23−1〜23−nに伝送される。光信号は子局装置23−1〜23−nで再び電気信号に変換されて、分配器25−1〜25−nを介してレベル安定化装置26−11〜26−n2に分配供給される。レベル安定化装置26−11〜26−n2は供給された信号を周波数Fの4系統の無線信号に復元し、端末装置(図示せず)に送出する。
【0060】
端末装置から送出された無線信号(RF信号)を基地局無線装置20に送信するための上り回線では、下り回線とは逆の信号伝送が行なわれる。すなわち、レベル安定化装置26−11〜26−n2のいずれかで受信されたRF信号が対応するいずれかの子局装置23−1〜23−nに送られて光信号に変換され、光ファイバ222−1〜222−nを介して親局装置21に送信される。親局装置21は、当該光信号を電気信号に変換し、基地局無線装置20に4系統の無線信号として周波数Fで送信する。
【0061】
基地局無線装置20は、無線基地局に備えられ、4系統の無線伝送に対応する無線装置である。基地局無線装置20は、系統0、系統1、系統3及び系統4にそれぞれ対応する送受信部20−0、送受信部20−1、送受信部20−3及び送受信部20−4を具備している。送受信部20−0は系統0に対応するアンテナ装置、送信機TX0及び受信機RX0を具備し、送受信部20−1は系統1に対応するアンテナ装置、送信機TX1及び受信機RX1を具備し、送受信部20−3は系統3に対応するアンテナ装置、送信機TX3及び受信機RX3を具備し、送受信部2−4は系統4に対応するアンテナ装置、送信機TX4及び受信機RX4を具備している。
【0062】
下り回線では、送信機TX0、TX1、TX3及びTX4から親局装置21へRF信号が送信される。また上り回線では、親局装置21から送信されたRF信号が受信機RX0、RX1、RX3及びRX4で受信される。
【0063】
親局装置21は、周波数変換部211、信号合成分配部212、電気/光(E/O)変換部213−1〜213−n、及び光/電気(O/E)変換部214−1〜214−nを具備している。
【0064】
周波数変換部211は、系統0に対応するアンテナ装置、送信機TX0及び受信機RX0、系統1に対応するアンテナ装置、送信機TX1と受信機RX1、系統3に対応するアンテナ装置、送信機TX3と受信機RX3、及び系統4に対応するアンテナ装置、送信機TX4と受信機RX4を具備している。周波数変換部211は、基地局無線装置20から4系統の下り回線によって送信された周波数FのRF信号を受信し、中間周波数帯のIF信号へ変換する。周波数変換部211が下り回線のRF信号を周波数変換する場合、各系統のRF信号は互いに異なる周波数のIF信号に変換される。以下では、系統0のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf0、系統1のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf3、系統3のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf5、及び系統4のRF信号を周波数変換したIF信号の周波数をf7と表記する。
【0065】
一方、上り回線によって信号を基地局無線装置20に送信する場合には、周波数変換部211は、互いに異なる周波数のIF信号を周波数Fの4系統のRF信号に変換し、基地局無線装置20へ送信する。以下では、周波数変換部211へ入力される系統0に対応するIF信号の周波数をf1、系統1に対応するIF信号の周波数をf4、系統3に対応するIF信号の周波数をf6、系統4に対応するIF信号の周波数をf8と表記する。
【0066】
このように、4系統のRF信号をそれぞれ異なる周波数のIF信号へ変換することで、図1に示す例と同様に、これらの4系統の信号を合成したり分配したりすることができるようになる。
【0067】
信号合成分配部212は、周波数変換部211から入力される下り回線のIF信号を電気的に合成して1つのIF信号とし、合成されたIF信号をE/O変換部213−1〜213−nへ分配する。
【0068】
また信号合成分配部212は、O/E変換部214−1〜214−nから入力されるIF信号を各系統のIF信号に分配し、周波数変換部211へ出力する。
【0069】
E/O変換部213−1〜213−nは、図1に示すE/O変換部113−1〜113−nと同様の機能を有し、下り回線のIF信号を光信号へ変換し、対応する光ファイバ221−1〜221−nに出力する。一方O/E変換部214−1〜214−nは、図1に示すO/E変換部114−1〜114−nと同様の機能を有し、上り回線の光信号を電気信号であるIF信号に変換し、信号合成分配部212へ出力する。
【0070】
親局装置21と複数の子局装置23−1〜23−nは、対応する光ファイバ221−1〜221−n及び光ファイバ222−1〜222−nを介してそれぞれ接続されている。光ファイバ221−1〜221−nは下り回線の接続に、光ファイバ222−1〜222−nは上り回線の接続に用いられる。
【0071】
子局装置23−1〜23−nはそれぞれ、電波不感地帯に設置される。図1と同様に図2には、子局装置23−1〜23−nが共通して有する構成が図示されており、対応する部分には対応する参照数字が付されている。
【0072】
子局装置23−1〜23−nのそれぞれは、光/電気(O/E)変換部231、電気/光(E/O)変換部232、信号合成分配部233、増幅部234、低雑音増幅部235、増幅部236、低雑音増幅部237、増幅部238、低雑音増幅部239、増幅部240、低雑音増幅部241及びハイブリッド合成分配器(H)242を具備している。
【0073】
O/E変換部231は、図1に示すO/E変換部131と同様の機能を有し、光ファイバを介して送信された下り回線の光信号を電気信号であるIF信号に変換する。E/O変換部232は、図1に示すE/O変換部132と同様の機能を有し、信号合成分配部233から出力されたIF信号を光信号に変換して、光ファイバを介して親局装置21に送信する。
【0074】
信号合成分配部233は、下り回線のIF信号を、周波数f0のIF信号、周波数f3のIF信号、周波数f5のIF信号及び周波数f7のIF信号に電気的に分配する。分配された周波数f0のIF信号は増幅部234へ、周波数f3のIF信号は増幅部236へ、周波数f5のIF信号は増幅部238へ、また周波数f7のIF信号は増幅部240へ送られる。
【0075】
また信号合成分配部233は、低雑音増幅部235から入力する周波数f1の上り回線のIF信号、低雑音増幅部237から入力する周波数f4の上り回線のIF信号、低雑音増幅器239から入力する周波数f6のIF信号、及び低雑音増幅器241から入力する周波数f8のIF信号を電気的に合成し、E/O変換部232に出力する。
【0076】
ハイブリッド合成分配器242は、増幅部234、236、238及び240から入力する下り回線のIF信号を合成して、接続された1以上のレベル安定化装置に同軸ケーブルを介して出力する。またハイブリッド合成分配器242は、接続されたレベル安定化装置から同軸ケーブルを介して送られた上り回線のIF信号を分配して、低雑音増幅部235、237、239及び241に出力する。
【0077】
レベル安定化装置26−11〜26−n2はそれぞれ、4系統の無線伝送に対応しており、その他の機能は図1に示すレベル安定化装置16−11〜16−n2と同様である。図2には、子局装置26−11〜26−n2が共通して有する構成が図示されており、対応する部分には対応する参照数字が付されている。
【0078】
レベル安定化装置26−11〜26−n2のそれぞれは、信号合成分配部261、周波数変換部262、増幅部263、低雑音増幅部264、増幅部265、低雑音増幅部266、増幅部267、低雑音増幅部268、増幅部269、低雑音増幅部270、及びハイブリッド分配合成器(H)271〜274を具備している。ハイブリッド分配合成器271には、系統0に対応するアンテナ装置281−0が接続されている。また、ハイブリッド分配合成器272は、系統1に対応するアンテナ装置281−1に接続されている。ハイブリッド分配合成器273は、系統3に対応するアンテナ装置281−3に接続されている。ハイブリッド分配合成器274は、系統4に対応するアンテナ装置281−4に接続されている。
【0079】
信号合成分配器261は、同軸ケーブルを介して伝送された下り回線のIF信号を周波数f0のIF信号、周波数f3のIF信号、周波数f5のIF信号、及び周波数f7のIF信号に分配する。また信号合成分配器261は、周波数f1の回線の上り回線のIF信号、周波数f4の上り回線のIF信号、周波数f6の上り回線のIF信号及び周波数f8の上り回線のIF信号を合成し、同軸ケーブルを介して子局装置に送信する。
【0080】
周波数変換部262は、下り回線のIF信号を高周波のRF信号(周波数F)に変換する。また逆に上り回線では、周波数変換部262は、各系統のRF信号をそれぞれ異なる周波数のIF信号に変換する。
【0081】
増幅部263は、周波数変換部262から出力された系統0に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器271を介してアンテナ装置281−0に出力する。系統0のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置281−0から空中に送出される。
【0082】
同様に増幅部265は、周波数変換部262から出力された系統1に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器272を介してアンテナ装置281−1に出力する。系統1のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置281−1から空中に送出される。
【0083】
増幅部267は、周波数変換部262から出力された系統3に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器273を介してアンテナ装置281−3に出力する。系統3のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置283−0から空中に送出される。
【0084】
増幅部269は、周波数変換部262から出力された系統4に対応する下り回線のRF信号を増幅し、ハイブリッド分配合成器274を介してアンテナ装置281−4に出力する。系統4のRF信号(周波数F)は、アンテナ装置284−1から空中に送出される。
【0085】
一方、上り回線では、アンテナ装置281−0が受信した系統0のRF信号が、ハイブリッド合成分配器271を介して低雑音増幅部264に出力される。またアンテナ装置281−1が受信した系統1のRF信号は、ハイブリッド分配合成器272を介して低雑音増幅部266に出力される。アンテナ装置281−3が受信した系統3のRF信号は、ハイブリッド合成分配器273を介して低雑音増幅部268に出力される。アンテナ装置281−4が受信した系統4のRF信号は、ハイブリッド分配合成器274を介して低雑音増幅部270に出力される。低雑音増幅部264、266、268及び270は、RF信号に対して低雑音増幅を行い、周波数変換部262に出力する。
【0086】
ハイブリッド分配合成器271は、系統0の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられ、ハイブリッド分配合成器272は、系統1の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられる。更にハイブリッド分配合成器273は、系統3の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられ、ハイブリッド分配合成器274は、系統4の上り回線の信号と下り回線の信号を分配又は合成するために用いられる。
【0087】
アンテナ装置281−0〜281−4から無線端末装置へは、同一周波数(F)のRF信号が系統0、系統1、系統3及び系統4の4系統によって伝送される。
【0088】
以上のように、図3に示す構成によるRF光伝送システムによれば、親局装置と子局装置間で4×4MIMOの4系統の信号を一括して伝送することが可能となる。このため、子局装置を増設する場合であっても、親局装置を増設して4つのDASシステムを構築する必要がなくなり、システム構成が簡易化される。
【0089】
この図3に示す4×4MIMOにおいても、図2に示した制御系と同様の信号系統によって送信出力レベルを一定化することができる。この場合、親局装置21に、図2と同様のレベル安定化制御回路17が設けられ、レベル安定化装置26−11〜26−n2のそれぞれに信号検出・レベル制御部170が設けられる。
【0090】
このように対応系統数を増やしたMIMOシステムであっても、図2に示す2×2MIMOシステムと同様の効果が得られる。
【0091】
本実施形態に係るRF光伝送システムは、携帯電話システムやPHSシステムに適用されることが想定されているが、例えば携帯電話システムであれば、第3世代のW−CDMA、HSPA、CDMA2000 1X、CDMA2000 1X EV−DO等のシステムに適用することができる。また、IEEE802.16等のモバイルWiMAX規格や、LTEシステム、第4世代以降のシステム等移動体通信方式において、MIMO対応の基地局無線装置の信号を光ケーブル及び同軸ケーブルによって伝送するような場合に、本実施形態に係るRF光伝送システムを利用することができる。
【0092】
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、1つの実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの実施形態に示される構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0093】
10…基地局無線装置、11…親局無線装置、13−1〜13−n…子局装置、16−11〜16−n2…レベル安定化装置、20…基地局無線装置、21…親局無線装置、23−1〜23−n…子局装置、26−11〜26−n2…レベル安定化装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、
前記親局無線装置は、
前記複数系統の無線信号を、それぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に変換する第1の周波数変換手段と、
前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して第1の合成信号を生成し、前記第1の合成信号を前記子局装置に分配する合成分配手段と、
前記第1の合成信号を光信号に変換し、前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力する電気/光変換手段と、
を具備し、
前記子局装置は、
前記光回線を介して送られる前記光信号を受信して、電気信号に変換する光/電気変換手段と、
前記電気信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配する第1の分配手段と、
前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して第2の合成信号を生成し、前記第2の合成信号を前記同軸ケーブルに出力する合成手段と、
を具備し、
前記レベル安定化装置は、
前記第2の合成信号を、前記複数の中間周波数帯信号に分配する第2の分配手段と、
前記複数の中間周波数帯信号を、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換する第2の周波数変換手段と、
前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅する複数の増幅手段と、
前記増幅手段によって増幅された前記複数系統の無線信号を送出する複数のアンテナ装置を含む送信手段と、
を具備するRF光伝送システム。
【請求項2】
前記レベル安定化装置は、
前記複数の増幅手段の出力レベルと所望の出力レベルとの差分を検出する検出手段と、
前記増幅手段の出力レベルが前記所望の出力レベルとなるよう前記検出された差分に基づいて前記増幅手段の駆動を調整する調整手段と、
を更に具備する請求項1に記載のRF光伝送システム。
【請求項3】
前記親局無線装置は、前記所望の出力レベルを制御信号として前記調整手段に提供し、前記調整手段の動作を制御する制御手段を更に具備し、
前記合成分配手段は、前記複数の中間周波数帯信号と前記制御信号を電気的に合成して第1の合成信号を生成する請求項2に記載のRF光伝送システム。
【請求項4】
前記親局無線装置は、2系統の無線信号を受信し、
前記送信手段は、前記2系統の無線信号を送出するための2つのアンテナ装置を含む請求項1に記載のRF光伝送システム。
【請求項5】
前記親局無線装置は、4系統の無線信号を受信し、
前記送信手段は、前記4系統の無線信号を送出するための4つのアンテナ装置を含む請求項1に記載のRF光伝送システム。
【請求項6】
基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、前記子局装置は、前記親局装置から前記光回線を介して送られる前記光信号を受信して電気信号に変換し、前記電気信号をそれぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に分配し、電気的に合成して前記同軸ケーブルに出力し、前記レベル安定化装置は、前記子局装置からの信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配して、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換し、前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅して複数のアンテナ装置から送出するRF光伝送システムにおいて用いられる親局無線装置であって、
前記複数系統の無線信号を、前記複数の中間周波数帯信号に変換する周波数変換手段と、
前記複数の中間周波数帯信号を電気的に合成して合成信号を生成し、前記合成信号を前記子局装置に分配する合成分配手段と、
前記合成信号を光信号に変換し、前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力する電気/光変換手段と、
を具備する親局無線装置。
【請求項7】
基地局無線装置から所定の無線周波数で送信された複数系統の無線信号を受信する親局無線装置と、前記親局無線装置と光回線によって接続された少なくとも1つの子局装置と、前記子局装置と同軸ケーブルで接続された少なくとも1つのレベル安定化装置を含むRF光伝送システムであって、前記親局無線装置は、前記複数系統の無線信号を、それぞれ周波数が異なる複数の中間周波数帯信号に変換し、それぞれ電気的に合成して前記子局装置に分配し、光信号に変換して前記光回線を介して前記光信号を前記子局装置に出力し、前記子局装置は、前記光回線を介して送られる前記光信号を電気信号に変換し、前記電気信号を前記複数の中間周波数帯信号に分配して電気的に合成し、前記同軸ケーブルに出力するRF光伝送システムにおいて用いられるレベル安定化装置であって、
前記複数系統の無線信号を合成した合成信号であって前記子局装置から前記同軸ケーブルを介して送信される合成信号を、複数の中間周波数帯信号に分配する分配手段と、
前記複数の中間周波数帯信号を、前記所定の無線周波数の複数系統の無線信号に変換する周波数変換手段と、
前記複数系統の無線信号をそれぞれ増幅する複数の増幅手段と、
前記増幅手段によって増幅された前記複数系統の無線信号を送出する複数のアンテナ装置を含む送信手段と、
を具備するレベル安定化装置。
【請求項8】
前記複数の増幅手段の出力レベルと所望の出力レベルとの差分を検出する検出手段と、
前記増幅手段の出力レベルが前記所望の出力レベルとなるよう前記検出された差分に基づいて前記増幅手段の駆動を調整する調整手段と、
を更に具備する請求項7に記載のレベル安定化装置。
【請求項9】
前記所望の出力レベルを与える制御信号は、前記複数の中間周波数帯信号と電気的に合成されて前記子局装置から送信される請求項8に記載のレベル安定化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−155512(P2011−155512A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15947(P2010−15947)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】