説明

RFIDタグを用いた管理システムおよび管理方法

【課題】
従来不可能であったきめ細かな管理記録を残すシステムを提供する。
【解決方法】
少なくとも1つの通信装置を有する記録装置と、固有番号を有し該記録装置に対するリーダライタとを有する管理システムであって、該記録装置は少なくとも1カ所の所定の場所に固定されており、該所定の場所に対して管理を行った後に該リーダライタで該記録装置に該リーダライタの固有番号を書き込み、該記録装置に記録されている情報のうち少なくともリーダライタの固有番号を管理用端末で取得して所定の場所が管理されたか否かの情報を取得するシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばRFIDタグを用いて管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常は夜間の建物あるは施設等の管理は、例えば警備員が各部屋または施設を目視により行っている。また管理する場所はあらかじめ定められた場所である。しかしながら、このような従来の方法では管理の際の見落としや巡回する場所をとばした場合にそのことを確認することはできなかった。
【0003】
また、管理する場所の具体的な場所、例えば窓の施錠、カーテン、テーブルなどに対して実際に管理を行ったか否かを調べることはできず、さらに、どのような順序で管理を行ったかも調べることはできなかった。これは、建物、施設だけでなく、例えば公園等の管理においても同様である。
【0004】
また、警備だけでなく例えば従業員の労働時間を管理する場合は通常タイムカードなどが使用されている。しかし、タイムカードでは1ヶ月当たりの労働時間の集計など、データの計算や集計等に多くの時間を費やすことになり、効率が悪いのが現状である。あるいは、タイムカードの押し忘れなども発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、管理の質を向上させるには従来の大まかな管理ではなく、具体的な箇所の管理や手順等を記録できることが必要である。また従業員の出退勤の管理なども効率化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題に鑑み、本発明は少なくとも1つの通信装置を有する記録装置と、固有番号を有し該記録装置に対するリーダライタとを有する管理システムであって、該記録装置は少なくとも1カ所の所定の場所に固定されており、該所定の場所に対して管理を行った後に該リーダライタで該記録装置に該リーダライタの固有番号を書き込み、該記録装置に記録されている情報のうち少なくともリーダライタの固有番号を管理用端末で取得して所定の場所が管理されたか否かの情報を取得するシステムを提供する。これによって管理を行った箇所に取り付けた記憶装置に、管理記録を残すことができる。このようなシステムでは、記録装置には個々の記録装置を識別できるような装置固有番号を有していることが好ましい。また記憶装置を取り付ける場所として、床、壁、天井、扉、窓枠、照明器具、展示品、商品、移動可能な設備であることが好ましい。さらに、建物、敷地、施設、プラント、公園、森林、海岸、河川、道路、橋梁、トンネル、のうち少なくともいずれかに対する、警備、巡視、備品管理、保守管理、点検、のいずれかの作業を行うシステムを提供する。
【0007】
さらに、リーダライタは移動体通信端末に搭載または接続されており、記録装置に情報を書き込む際に移動体通信端末から所定の場所に情報を送信するシステムも提供する。これによってリアルタイムで情報を管理することができる。このような記憶装置としてRFIDタグを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシステムまたは方法を使用することによって非常に質の高い管理サービスを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の管理システムを説明する。以下の実施例では通信装置を有する記録装置としてRFIDタグを設定する。
【実施例1】
【0010】
図1はRFIDタグ1を示した図である。該タグ1は通信用のアンテナ2とチップ部3からなり、チップ部3には情報を記憶する記憶部(図示しない)を有している。該チップ部3には電源は搭載されてなく、情報を記憶あるいは出力する時に使う電源は、リーダライタから供給される電波を用いて供給する。このようなしくみは当業者には既知である。
【0011】
次にこのようなRFIDタグに情報を送信したり、情報を読み出すリーダライタについて説明する。図2は移動体通信機器として携帯電話5を例としている。該リーダライタ4は携帯電話5と接続され情報交換をする機能を有している。図2ではリーダライタ4は略円形状であるが、これに限定されるものではなく、RFIDタグ1に対するリーダライタ4は当業者であれば適宜用意することができる。また、リーダライタ4は携帯電話5に内蔵される形態でもよい。
【0012】
このようなRFIDタグ1およびリーダライタ4で管理を行うシステムを説明する。図3は管理する場所として室内を想定した図である。具体的に管理する場所にはそれぞれRFIDタグ1が設置されており、図3の例では窓の施錠付近8、カーテン9、テーブル7にそれぞれRFIDタグ1が設置されている。RFIDタグ1はこれらの場所の表面に貼り付けても良いが、内部に埋め込んでも良い。このように管理する箇所にRFIDタグ1を設置しておき、管理の際にリーダライタ4該当するRFIDタグ1に情報を書き込む。
【0013】
管理の様子を図3を用いて具体的に説明する。例えば、オフィスビル等において夜間の室内警備を例とする。まず、管理すべき部屋に警備員が入り、最初に窓の施錠を確認する。確認した後、該施錠付近に設置されているRFIDタグ1にリーダライタ4を近づける。このとき、リーダライタ4は自動的にRFIDタグ1を検出しても良いし、リーダライタ4または該リーダライタと接続している携帯電話5に設けられたスイッチ(図示しない)によってRFIDタグ1を検出するようにしても良い。リーダライタ4はRFIDタグ1に現在時刻、リーダライタ4の固有番号、携帯電話5が有している固有番号、などの情報を書き込む。次にカーテン9を管理し、その後カーテン9に取り付けられたRFIDタグ1にリーダライタ4を近づけて、該RFIDタグ1に前記のような情報を書き込む。次にテーブル7を管理し、同様にRFIDタグ1に前記情報を書き込む。
【0014】
このように部屋の中を管理した結果、各RFIDタグ1には現在時刻、リーダライタ4の固有番号、携帯電話5が有している固有番号が記憶されている状態となる。当該警備員は部屋の管理が終了すると、次の場所へ移り同様に管理後にRFIDタグ1に情報を記録していく。
【0015】
所定の時間、例えば1週間、おきにRFIDタグ1に記憶された情報を読み取り集計することによって所定に時間に所定の場所が管理されているか否かを知ることができる。つまり従来は特定の場所が管理されたか否かの情報を知るには、管理した人の自己申告あるいは聞き取りなどによってしか得られなかった。またバーコードによって管理する場合にでも、バーコードは市販のコピー機等で容易にコピーすることができるため、情報の信頼性が低いという問題があったが、このように本実施例によって管理の記録を明確に残すことができ、管理の品質を向上させることができる。
【0016】
本実施例ではさらに、図4に示したように移動体通信システムを使用することができる。管理の方法は上記の通りであるが、例えばテーブル7を管理し、該テーブル7のRFIDタグ1に情報を書き込むと共に、該テーブル7のRFIDタグ1に記憶されているRFIDタグ1の固有番号をリーダライタ4で取得し、これを携帯電話5、基地局11、及びキャリア12を経由して所定のサーバ13に送る。この所定のサーバ13は例えば警備会社が所有するサーバであり、警備会社では該サーバ13の内容をリアルタイムで監視しており、管理を忘れた場合には該携帯電話5にメッセージを送信することができる。これによって管理忘れのない確実な管理サービスを実現することができる。
【0017】
本実施例のさらなる利点を次に説明する。上記のように各RFIDタグ1には管理と共に情報が書き込まれるため、例えばRFIDタグ1に記録されている時刻の情報を取得することによってどのような順序で管理されたかを知ることができる。つまり管理履歴が残ることによって管理の順序を知ることができる。これは時刻の情報のみならず、例えば管理すると共に書き込む情報として単なる数字を書き込み、管理する毎に書き込む数字を大きくしていってもよい。例えば整数で、1、2、3、・・・というように数字を記録することによって管理の順序を残すことができる。さらに、RFIDタグ1に情報を書き込むと共にサーバ13に情報を送ることによって、後でRFIDタグ1の情報を収集したときにサーバ13に記録された情報と照合して、管理に不正がないかを調べることができる。
【0018】
本実施例の管理システムは移動体通信機器として携帯電話を想定している。これによって既存のシステムを使用することができるので極めて安価にシステムを実現することができ、さらにサーバ13に関しても携帯電話5で接続できるものでよいため、安価に実現することができる。またRFIDタグ1に関してもテーブル7の裏側に貼り付けることによって目立たなくさせることができ、既存の建物や施設にも極めて安価で容易に実現することができる。
【0019】
このように屋外の現場でも容易に出退勤を含め、人員の入退出を管理できるため、例えば建物、敷地、施設、プラント、公園、森林、海岸、河川、道路、橋梁、トンネル、等の警備、巡視、備品管理、保守管理、点検を行うことができる。特に橋梁、トンネルのような場所では例えばコンクリートなどの経年変化により、頻繁に管理する必要が生じたときなどは該当箇所にRFIDタグ1を貼付するだけで管理箇所を特定することができ、管理記録を該タグ1に残したり、所定の会社等へも情報を送信することができる。
【実施例2】
【0020】
次に本発明のシステムを従業員の出退勤管理に応用した例を説明する。RFIDタグ1、リーダライタ4、移動体通信装置として携帯電話5、通信システムとして携帯電話の通信システムを用いることは実施例1と同様である。本実施例ではRFIDタグ1を取り付ける場所は、例えば会社の出入り口のドア、ドア近傍の壁面、床面、天井である。あるいは各部屋の出入り口付近に設置しても良い。各RFIDタグには固有番号が記憶されており、この固有番号により、例えば会社、部屋等を識別することができる。RFIDタグ1には固有番号の他に会社名、部署名などを記憶させても良い。
【0021】
このようなシステムにおいて、例えば各社員は固有番号を有するリーダライタ4を持っており、これを図2に示したように携帯電話5と接続して出退勤時にRFIDタグ1にリーダライタ4を近づける。リーダライタ4は自動的にRFIDタグ1を検出することが好ましいが、リーダライタ4または該リーダライタと接続している携帯電話5に設けられたスイッチ(図示しない)によってRFIDタグ1を検出するようにしても良い。
【0022】
RFIDタグ1にはリーダライタ4の固有番号、携帯電話の固有番号、現在時刻等が記憶される。このようにRFIDタグ1に記録された情報を定期的に読み出し、従業員の労働時間等を計算することができる。このようにRFIDタグ1に情報を記録することによって該タグ1が設置されている場所に出入りする人の情報を記録することができる。
【0023】
本実施例はさらに屋外での使用に効果的である。例えばRFIDタグ1を建設作業などの作業現場に設置しておき、作業員がリーダライタ4で現場に記録を残すことができる。これによって正確に労働時間を計算することができる。さらにはホームヘルパー等では、各家庭の部屋に設置されたRFIDタグ1にヘルパーが有するリーダライタ4で情報を書き込むことによって、正確に介護記録を残すことができる。また本実施例においても上記実施例1と同様に携帯電話の通信システムを用いて例えば会社が有するサーバ13に情報を送ることができ、さらに、会社がこの情報をリアルタイムで監視することができる。
【0024】
このような出退勤管理システムは、アルバイトなど時間給での職種に対して、正確な労働時間を計算することができタイムカードなどと比較しても格段に優れたデータ収集能力を有するシステムを実現できる。さらには必要に応じてRFIDタグ1を設置するだけで良いため既存のシステムや構造物を痛めることなくシステムを実現できる技術的利点を有していいる。
【実施例3】
【0025】
本実施例ではレストラン等での配膳を管理するシステムを説明する。本実施例でのレストランは、例えばショッピングセンター等にある数店舗が集まっている食堂スペースのような場所を想定している。通常、このような場所では多数のテーブルが用意されており、各テーブルの客はどの店舗の客であるか不明である。料理ができると各店舗はあらかじめ配布したアクティブタグのようなブザーが鳴り、客が料理を取りに行くしくみである。
【0026】
このような場所であらかじめメニューにはRFIDタグ1が貼付されており、客は希望のメニューを図2に示したようなリーダライタ4で読み込み、これを図3に示したような携帯電話のシステムを用いて店のサーバ13に情報を送信する。各店舗ではサーバ13の内容がリアルタイムで見ることできるようになっており、注文が入ると該当する料をを作る。料理ができると端末で該当する客の携帯電話5に料理ができたことを示すメッセージを送信する。該メッセージにより客は料理を取りに行くことができる。
【0027】
このようなシステムでは、料理ができるまでの残り時間を客の携帯電話5に配信することができる。さらには携帯電話の料金引き落としサービス等を用いて精算もできるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1はRFIDタグを示した図である。
【図2】図2は携帯電話にリーダライタが接続されて状態を示す図である。
【図3】図3は部屋の各所にRFIDタグ1を設置されている状態を示す図である。
【図4】図4は携帯電話通信システムを概略的に示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1 RFIDタグ
2 アンテナ
3 チップ部
4 リーダライタ
5 携帯電話
7 テーブル
8 窓の施錠付近
9 カーテン
11 基地局
12 キャリア
13 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの通信装置を有する記録装置と、固有番号を有し該記録装置に対するリーダライタとを有する管理システムであって、該記録装置は少なくとも1カ所の所定の場所に固定されており、該所定の場所に対して管理を行った後に該リーダライタで該記録装置に該リーダライタの固有番号を書き込み、該記録装置に記録されている情報のうち少なくともリーダライタの固有番号を管理用端末で取得して所定の場所が管理されたか否かの情報を取得するシステム。
【請求項2】
記録装置は個々の記録装置を識別する装置固有番号を有している請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
所定の場所は床、壁、天井、扉、窓枠、照明器具、展示品、商品、移動可能な設備である請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
複数の記録装置を設置し、各記録装置に書き込まれた情報の順序を取得することによって手順を管理する請求項1ないし3に記載のシステム。
【請求項5】
リーダライタは移動体通信端末に搭載または接続されており、記録装置に情報を書き込む際に移動体通信端末から所定の場所に情報を送信する請求項1ないし4に記載のシステム。
【請求項6】
記録装置はRFIDタグである請求項1ないし5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの記録装置と、固有番号を有し該記録装置に対するリーダライタとを有する管理方法であって、該記録装置は少なくとも1カ所の所定の場所に固定されており、該所定の場所に対して管理を行った後に該リーダライタで該記録装置に該固有番号を書き込み、管理用端末で記録された情報を取得して該所定の場所が管理されたか否かを調べる管理方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載のシステムを用いた管理システムであって、建物、敷地、施設、プラント、公園、森林、海岸、河川、道路、橋梁、トンネル、のうち少なくともいずれかに対する、警備、巡視、備品管理、保守管理、点検、のいずれかの作業を行うシステム。
【請求項9】
請求項8のシステムにおいて、作業手順を管理するシステム。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれかに記載のシステムを用いた管理システムであって、機械、生産設備、の少なくともいずれかに対する、警備、備品管理、保守管理、点検、修理のいずれかの作業を行うシステム。
【請求項11】
請求項10のシステムにおいて、作業手順を管理するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−260470(P2006−260470A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80466(P2005−80466)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(503172138)株式会社応用電子 (23)
【Fターム(参考)】