説明

RFIDタグシステム

【課題】RFIDタグが備える報知手段を駆動するためにアンテナに照射される電波の電力を抑制しつつ、LEDやブザーなどの報知手段にて報知を実行させることが可能なRFIDタグシステムを提供する。
【解決手段】リーダライタ21は、ハンディリーダライタ51と設置リーダライタ52とから構成されている。そして設置リーダライタ52は、書棚に陳列された書籍の背表紙に貼付されたRFIDタグ1の近傍に配置されている。そして、ユーザが所望の書籍を探索する場合には、ハンディリーダライタ51より探索RFIDタグ1の固有ID を指定した固有ID 指定信号を送信し、次いで、設置リーダライタ52より識別ID指定信号を送信し、探索RFIDタグ1が備えるLED17を点灯させる。RFIDタグ1では、識別ID指定信号が照射されたことに基づきLED17を点灯させるために必要な電力を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFIDタグシステムに関する。そしてより詳細には、RFIDタグが備える報知手段にて報知を実行するために必要な電力をリーダライタより効率的に供給することが可能なRFIDタグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグを物品に貼り付け、これをリーダライタにて読み取ることにより、物品の流通管理が行われている。また、RFIDタグにLEDやブザーなどの報知手段を付加し、リーダライタにて特定のRFIDタグの報知手段を反応させて報知を実行させることにより、複数のRFIDタグの中から所望のRFIDタグを見つけ出すことが可能なRFIDタグ及び当該RFIDタグを使用した物品検索システム、物品収納システムが提案されている。
【特許文献1】特開2006−24018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、RFIDタグに付加されるLEDやブザーなどの報知手段は、一般的に消費電力が大きい。従って、当該報知手段の駆動電力を、アンテナへの電波照射による電磁誘導に基づいて生成させるためには、外部より非常に強い電波を照射しなければならず問題であった。
【0004】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、RFIDタグが備える報知手段を駆動するためにアンテナに照射する電波の電力を抑制しつつ、LEDやブザーなどの報知手段にて報知を実行させることが可能なRFIDタグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のRFIDタグシステムは、リーダライタを使用して所望のRFIDタグを探索するRFIDタグシステムであって、RFIDタグは、RFIDチップと、前記RFIDチップに接続されたアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一タグアンテナと、前記第一タグアンテナとは異なるアンテナである第二タグアンテナと、前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段と、リーダライタより送信された信号電波が前記第二タグアンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調して受信するタグ受信手段と、報知を行うタグ報知手段と、前記タグ受信手段にて復調され受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、リーダライタより送信された信号電波が前記第二タグアンテナに照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段とを備え、前記RFIDチップは、前記RFIDチップを識別するためのIDである固有ID を記憶するチップ記憶手段と、前記第一タグアンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、前記第一タグアンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一タグアンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、リーダライタは、前記RFIDタグを識別するための識別IDと、前記RFIDチップを識別するための固有ID とを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、前記第一タグアンテナにて送受信可能な周波数を用いて信号電波の送受信を行う第一R/Wアンテナと、変調した信号を前記第一R/Wアンテナより信号電波として送信させる第一R/W送信手段と、前記第一R/Wアンテナに発生する電気信号を復調し受信する第一R/W受信手段と、前記第二タグアンテナにて送受信可能な周波数を用いて信号電波を送受信するアンテナであって、前記RFIDタグとの間の距離が、前記第一R/Wアンテナと前記RFIDタグとの間の距離よりも短い位置に配置されるアンテナである第二R/Wアンテナと、変調した信号を前記第二R/Wアンテナより信号電波として送信させる第二R/W送信手段とを備えている。
【0006】
また、請求項2に係る発明のRFIDタグシステムは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記リーダライタは、所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップを識別するための固有ID を指定した信号である固有ID 指定信号を変調した後、前記第一R/W送信手段にて前記RFIDタグに対して送信し、前記RFIDタグは、前記第一タグアンテナにて発生した電気信号を前記チップ受信手段にて復調して受信し、前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が固有ID 指定信号であり、且つ、当該固有ID 指定信号にて指定された固有ID と、前記チップ記憶手段に記憶されている固有ID とが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段にて返答信号を変調して送信し、前記リーダライタは、前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID 指定信号に応じて所望のRFIDタグより返信された返答信号を第一R/W受信手段にて復調し受信した場合に、当該返答信号を送信したRFIDタグが有する識別IDを、R/W記憶手段を参照して抽出し、抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を変調した後、前記第二R/W送信手段にて前記RFIDタグに対して送信し、前記RFIDタグでは、前記リーダライタの前記第二R/W送信手段にて送信された信号電波が前記第二タグアンテナに照射されることにより、タグ電力供給手段が、前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を生成した後、前記タグ受信手段が、前記第二タグアンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ制御手段が、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明のRFIDタグシステムでは、RFIDタグは、RFIDチップを駆動させるための第一タグアンテナとは別に、電力を生成する第二タグアンテナを備えている。また、リーダライタは、第一タグアンテナに信号電波を供給するための第一R/Wアンテナと、第二タグアンテナに信号電波を送信する第二R/Wアンテナを備えている。そして、第二R/Wアンテナは第一R/Wアンテナと比較して、よりRFIDタグの近くに配置されている。ここで、RFIDタグが備える報知手段を駆動するための電力は、第二タグアンテナに信号電波が照射されることに基づいて生成されるが、第二R/WアンテナはRFIDタグの近くに配置されるので、第二R/Wアンテナより送信される信号電波の出力を抑えた状態でも、第二タグアンテナでは強い電力で信号電波を受信することが可能となる。以上より、リーダライタからの信号電波の送信電力を極力抑制しつつ、RFIDタグが備えるタグ報知手段を駆動させることが可能となる。
【0008】
また、請求項2に係る発明のRFIDタグシステムでは、リーダライタは、はじめに、探索するRFIDタグが内蔵するRFIDチップの固有ID を指定した固有ID 指定信号を送信することにより、所望のRFIDタグが存在するか否かを確認する。そして、所望のRFIDタグより返答信号が返信された場合に、所望のRFIDタグが存在していると判断して、当該RFIDタグの報知手段より報知を実行させるために、RFIDタグを識別するための識別IDを指定した識別ID指定信号を送信する。これにより、請求項1に記載の発明の効果に加えて、リーダライタは、所望のRFIDタグが放射電波の放射圏内に存在することを確認したのち、当該RFIDタグより報知を実行させることが可能となる。そしてリーダライタは、RFIDタグの報知手段を駆動するために照射する電波を、RFIDタグが放射電波の放射圏内に存在する場合にのみ送信すればよいため、継続してRFIDタグに対して報知手段駆動用の電波を送信する必要がなくなり、リーダライタの低消費電力化が可能となる。さらに、本RFIDタグシステムでは、所望のRFIDタグが近くに存在しないことがあらかじめリーダライタにて確認できるため、ユーザは、所望とするRFIDタグがリーダライタより放射される電波の放射圏内に存在することをあらかじめ確認し、当該RFIDタグに報知を実行させることが可能となる。従って、RFIDタグが報知手段より報知を行っているにもかかわらず、ユーザが当該RFIDタグを見落としてしまっているような状態が発生しても、ユーザは近傍に所望のRFIDタグが存在していることを確認できるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化したRFIDタグ1、リーダライタ21(ハンディリーダライタ51、設置リーダライタ52)、及びRFIDタグシステム50の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0010】
はじめに、図1を参照して、RFIDタグ1及びリーダライタ21(ハンディリーダライタ51、設置リーダライタ52)を使用したRFIDタグシステム50の一例である、書籍探索システムの概要について説明する。図1は、書籍探索システムを示した模式図である。
【0011】
図1に示すように、背表紙にRFIDタグ1が貼付された状態の書籍100が、書棚に複数陳列されている。RFIDタグ1にはLED17が設けられている。そしてユーザは、ハンディリーダライタ51(詳細は後述する。)及び設置リーダライタ52(詳細は後述する。)を使用し、これらの書籍の中から所望の書籍に貼付されたRFIDタグ1のLED17を点灯させることによって、当該書籍を探索する。
【0012】
書籍探索方法の概要について説明する。ユーザははじめに、探索したい書籍の情報(表題「○○○○」、図書番号等、以下「書籍関連情報」という。)をハンディリーダライタ51の入力部27より入力する。そしてユーザは、ハンディリーダライタ51における電波が放射する放射面(図1中ハンディリーダライタ51の紙面手奥行き側)を書棚側に向けた状態とし、探索を開始する。
【0013】
探索が開始されると、ハンディリーダライタ51に付属するアンテナである第一R/Wアンテナ25(図4参照、後述)より、探索したい書籍(以下「探索書籍」という。)に貼付されているRFIDタグ1(以下「探索RFIDタグ」という。)を指定した信号電波が放射される。この状態でユーザは、ハンディリーダライタ51より放射される信号電波の向きを徐々に変えながら、陳列されている状態の書籍に対して順番に信号電波を照射させる。そして、書棚に陳列された書籍のうち、探索書籍の背表紙に貼付された探索RFIDタグ1に信号電波が照射される。
【0014】
探索RFIDタグ1に信号電波が照射された状態となったことをハンディリーダライタ51が検出すると、次いで、ハンディリーダライタ51は、ハンディリーダライタ51と設置リーダライタ52との間で通信可能とするために設けられている通信線53、54を介して、設置リーダライタ52に対してデータが送信される。設置リーダライタ52は、書棚の背面であって、書籍の背表紙に貼付された状態のRFIDタグ1に信号電波を照射することが可能な位置に配置されている。そして、ハンディリーダライタ51よりデータを受信した設置リーダライタ52は、付属するアンテナである第二R/Wアンテナ31(図4参照、後述)より、探索RFIDタグ1に対して信号電波を照射する。
【0015】
設置リーダライタ52からの信号電波が照射されたRFIDタグ1は、信号電波を復調した信号から、自身がハンディリーダライタ51及び設置リーダライタ52より指定された探索RFIDタグであるかどうかを判断する。そして、探索RFIDタグであると判断した場合、RFIDタグ1は、LED17を点灯させる。これを視認したユーザは、複数の書籍のうち、LED17が点灯しているRFIDタグ1が貼付された書籍(表題:「○○○○」)を探索書籍と認識する。
【0016】
ここでRFIDタグ1では、LED17を点灯させるために必要な電力は、設置リーダライタ52より放射される電波より生成している。詳細には、設置リーダライタ52の第二R/Wアンテナ31より放射された電波がRFIDタグ1のループアンテナに照射された場合に電磁誘導により発生する電流を蓄電し、LED17を点灯させるための電力として使用している(詳細は後述する。)。
【0017】
また図1に示すように、設置リーダライタ52は書棚の背面に配置されているので、ユーザにより所持された状態で使用されるハンディリーダライタ51と比較して、RFIDタグ1との間の距離が近い。電波の電力はその伝搬距離に大きく依存し、伝搬距離が長い場合、電力の減衰量が大きくなってしまう。しかしながら上述の書籍探索システムでは、LED17を点灯させるために必要な大電力を、RFIDタグ1に対して近距離に配置された設置リーダライタ52からの放射電波より生成している。これにより、リーダライタ21より放射する電波の電力を極力抑えつつ、LED17を点灯させることが可能としている。
【0018】
次に、RFIDタグ1及びリーダライタ21の電気的構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、RFIDタグ1の電気的構成を示す模式図であり、図3は、RFIDタグ1の電源構成を示す模式図であり、図4は、リーダライタ21(ハンディリーダライタ51及び設置リーダライタ52)の電気的構成を示す模式図である。
【0019】
はじめに、図2を参照し、RFIDタグ1の電気的構成について説明する。図2に示すように、RFIDタグ1は、RFIDチップ40と、報知制御用通信部41と、RFIDチップ40に接続された第一アンテナ5と、報知制御用通信部41に接続された第二アンテナ15とを備えている。
【0020】
これらのうち、第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、所謂ループアンテナにて構成されている。そして電波が照射された場合に、電磁誘導により電流を生じさせることが可能であるとともに、各々のアンテナに電気信号を送信することにより、所定の周波数の電波を放射させることが可能となっている。
【0021】
なお第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、所定の周波数にて共振現象が発生するように双方のアンテナのループ径及び巻数が調整されている。これにより、リーダライタ21(ハンディリーダライタ51及び設置リーダライタ52)より放射された信号電波が照射された場合に、効率よく電気信号を取り出すことが可能となっている。また、チップ変調部3より電気信号が送信された場合に、信号電波を効率よく放射させることが可能となっている。
【0022】
なお、上述の第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、同一の径及び同一の巻数にて構成されていてもかまわないし、異なる径及び異なる巻数にて構成されていてもかまわない。また、第一アンテナ5及び第二アンテナ15にて送受信可能な電波の周波数としては、リーダライタ21と通信を行うことが可能であれば、特定の周波数に限定されず、さまざまな周波数が使用可能であることは勿論である。例えば、13.56MHzや2.4GHzの周波数が使用される。
【0023】
次に、RFIDチップ40の電気的構成について説明する。RFIDチップ40は、通信処理や判断処理、表示処理等の制御を司るチップ制御部2と、第一アンテナ5より送信可能な変調信号を生成するチップ変調部3と、第一アンテナ5より受信した電気信号を復調するチップ復調部4と、不揮発性記憶素子であるチップ記憶部8と、チップ電源供給部6とから構成されている。
【0024】
これらのうち、チップ復調部4は、第一アンテナ5に信号電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられており、第一アンテナ5と電気的に接続している。また、復調した電気信号をチップ制御部2に対して送信することが可能なように、チップ復調部4はチップ制御部2と電気的に接続している。またチップ変調部3は、チップ制御部2より送信された電気信号を第一アンテナ5を介して送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられている。そしてチップ変調部3は、チップ制御部2及び第一アンテナ5と電気的に接続している。
【0025】
なお、チップ変調部3における変調方式、及びチップ復調部4における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0026】
またチップ記憶部8には、固有ID 記憶領域9が設けられており、固有ID が記憶されている。固有ID は、RFIDチップ40を特定するために使用されるIDであり、RFIDチップ40に固有のIDである。そして、RFIDチップ同士を識別するために使用される。そして、チップ制御部2よりチップ記憶部8に記憶されている情報を参照することが可能なように、チップ記憶部8はチップ制御部2と電気的に接続している。
【0027】
またチップ電源供給部6は、第一アンテナ5に信号電波が照射されることにより発生した電流を蓄電し、チップ制御部2、チップ変調部3、及びチップ復調部4、及びチップ記憶部8を駆動させる電力として使用するために設けられている。
【0028】
なお、本実施の形態においては、RFIDタグ1がRFIDチップ40を内蔵している構成を想定しているが、本発明は本構成に限定されない。従って、上述の各機能ブロックを別途デバイス(CPU、変調回路、復調回路、メモリなど)により実現した構成であってもかまわない。
【0029】
次に、報知制御用通信部41について説明する。報知制御用通信部41は、通信処理や判断処理、表示処理等の制御を司る報知制御部12と、第二アンテナ15より受信した電気信号を復調する報知復調部14と、不揮発性記憶素子である報知記憶部18と、LED17と、報知電源供給部16とから構成されている。
【0030】
これらのうち、報知復調部14は、第二アンテナ15に信号電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられている。そして報知復調部14は、第二アンテナ15と電気的に接続している。また、復調した電気信号を報知制御部12に対して送信することが可能なように、報知復調部14は報知制御部12と電気的に接続している。
【0031】
なお、報知復調部14における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0032】
また報知記憶部18には、識別ID記憶領域19が設けられており、識別IDが記憶されている。識別IDは、RFIDタグ1を特定するために使用されるIDであり、RFIDタグ1同士を識別するために使用される。そして、報知制御部12より報知記憶部18に記憶されている情報を参照することが可能なように、報知記憶部18は報知制御部12と電気的に接続している。
【0033】
またLED17は、報知制御部12からの制御信号に基づいて点灯/消灯を切り替えることが可能なように、報知制御部12と電気的に接続している。また報知電源供給部16は、第二アンテナ15に信号電波が照射されることにより発生した電流を蓄電し、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させる電力として使用するために設けられている。
【0034】
次に、図3を参照し、RFIDタグ1の電源構成について説明する。図3に示すように、RFIDチップ40のチップ電源供給部6は、第一アンテナ5にて発生した電流を蓄電し、チップ制御部2、チップ変調部3、チップ復調部4、及びチップ記憶部8を駆動させるために、これらの機能ブロックに電力を供給する。これによりRFIDチップ40は駆動し、各種処理を実行する。また、報知制御用通信部41の報知電源供給部16は、第二アンテナ15にて発生した電流を蓄電し、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させるために、これらのデバイスに電力を供給する。これにより報知制御用通信部41を構成する各デバイスは駆動し、各種処理を実行する。
【0035】
次に、図4を参照して、リーダライタ21の電気的構成について説明する。図4に示すように、リーダライタ21は、ハンディリーダライタ51と設置リーダライタ52とから構成されている。図1に示すようにハンディリーダライタ51は、ユーザにより所持された状態で、書棚の正面側から書籍の背表紙に貼付された状態のRFIDタグ1に信号電波を照射し、所望の書籍を探索するために使用される。また設置リーダライタ52は、書棚の背面から書籍の背表紙に貼付された状態のRFIDタグ1に信号電波を照射し、所望の書籍を探索するために使用される。また、ハンディリーダライタ51と設置リーダライタ52とは、ハンディリーダライタ51に接続した状態の通信線53(図1参照)と設置リーダライタ52に接続した状態の通信線54(図1参照)とを介し、ネットワーク55に接続された状態となっている。そして、ハンディリーダライタ51の制御部である第一制御部22と、設置リーダライタ52の制御部である第二制御部42とが、ネットワーク55を介して通信を行うことが可能な状態となっている。
【0036】
なお、ネットワーク55としては、従来公知の様々なネットワークが使用可能である。例えば、インターネット、構内LAN(イントラネット)、無線LAN等が挙げられる。また、ハンディリーダライタ51と設置リーダライタ52とが1対1で通信可能なように接続した状態であってもよい。例えば、有線ケーブル(LANケーブル、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等)により接続した状態や、無線により接続した状態が挙げられる。
【0037】
また、本実施の形態では、ハンディリーダライタ51及び設置リーダライタ52とは通信線53、54を介して通信可能な状態となっているが、其々のリーダライタとネットワーク55との通信方法はこの方法に限定されず、従来公知の様々な通信方法が使用可能である。例えば、アンテナを介した無線通信によりネットワーク55を介して通信可能な構成であってもよい。
【0038】
ハンディリーダライタ51の電気的構成について説明する。ハンディリーダライタ51は、通信処理や判断処理等の制御を司る第一制御部22と、ループ形状を有するアンテナより構成される第一R/Wアンテナ25と、第一R/Wアンテナ25より送信可能な変調信号を生成する第一変調部23と、第一R/Wアンテナ25より受信した信号を復調する第一復調部24と、入力部27と、不揮発性記憶素子である第一記憶部28とから構成されている。
【0039】
第一R/Wアンテナ25は、所謂ループアンテナにて構成されている。そして電波が照射された場合に、電磁誘導により第一R/Wアンテナ25に電流を生じさせることが可能であるとともに、第一R/Wアンテナ25に電気信号を送信することにより、所望の信号電波を放射させることが可能となっている。
【0040】
なお第一R/Wアンテナ25は、所定の周波数にて共振現象が発生するようにアンテナのループ径及び巻数が調整されている。これにより、RFIDタグ1より放射された信号電波が照射された場合に、効率よく電気信号を取り出すことが可能となっている。また、第一変調部23より電気信号が送信された場合に、第一R/Wアンテナより信号電波を効率よく放射させることが可能となっている。
【0041】
また、第一R/Wアンテナ25は、RFIDタグ1が備える第一アンテナ5と信号電波の送受信が可能なように、ループアンテナの径や巻数が調整されている。これにより、ハンディリーダライタ51の第一制御部22は、第一アンテナ5が接続された状態のRFIDチップ40と通信を行うことが可能となっている。
【0042】
また、第一R/Wアンテナ25にて送受信可能な電波の周波数としては、第一アンテナ5と通信可能であれば、特定の周波数に限定されずさまざまな周波数が使用可能であることは勿論である。例えば、13.56MHzや2.4GHzの周波数が使用される。
【0043】
また第一復調部24は、第一R/Wアンテナ25に電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられている。そして第一復調部24は、第一R/Wアンテナ25と電気的に接続している。また、復調した電気信号を第一制御部22に対して送信することが可能なように、第一復調部24は第一制御部22と電気的に接続している。また第一変調部23は、第一制御部22より送信された電気信号を第一R/Wアンテナ25を介して送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられている。そして第一変調部23は、第一制御部22及び第一R/Wアンテナ25と電気的に接続している。
【0044】
なお、第一変調部23における変調方式、及び第一復調部24における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0045】
また入力部27は、ユーザが探索書籍の書籍関連情報を入力するために設けられており、押ボタンやタッチセンサ等により構成されている。
【0046】
また第一記憶部28には、固有ID 割当情報記憶領域29が設けられている。固有ID 割当情報記憶領域29には、RFIDタグ1のチップ記憶部8(図2参照)に記憶されている固有ID と、当該RFIDタグ1が貼付されている書籍の書籍関連情報とが対応付けられた情報である固有ID 割当情報が記憶される。固有ID 割当情報は、入力部27を介してユーザにより探索書籍の書籍関連情報が入力された場合において、該当する書籍に貼付されているRFIDタグ1に内蔵されたRFIDチップ40の固有ID を検索するために、第一制御部22より参照される。そして、第一制御部22より第一記憶部28に記憶されている各情報を参照することが可能なように、第一記憶部28は第一制御部22と電気的に接続している。
【0047】
次に、リーダライタ21を構成する設置リーダライタ52の電気的構成について説明する。設置リーダライタ52は、通信処理や判断処理等の全体の制御を司る第二制御部42と、ループ形状を有するアンテナより構成される第二R/Wアンテナ31と、第二R/Wアンテナ31より送信可能な変調信号を生成する第二変調部43と、不揮発性記憶素子である第二記憶部48とから構成されている。
【0048】
第二R/Wアンテナ31は、所謂ループアンテナにて構成されている。そして電波が照射された場合に、電磁誘導により第二R/Wアンテナ31に電流を生じさせることが可能であるとともに、第二R/Wアンテナ31に電気信号を送信することにより、所望の信号電波を放射させることが可能であるように構成されている。
【0049】
なお第二R/Wアンテナ31は、所定の周波数にて共振現象が発生するようにアンテナのループ径及び巻数が調整されている。これにより、RFIDタグ1より放射された信号電波が照射された場合に、効率よく電気信号を取り出すことが可能となっている。また、第二変調部43より電気信号が送信された場合に、信号電波を効率よく放射させることが可能となっている。
【0050】
なお、第二R/Wアンテナ31は、RFIDタグ1が備える第二アンテナ15と信号電波の送受信が可能なように、ループアンテナの径や巻数が調整されている。これにより、設置リーダライタ52の第二制御部42は、第二アンテナ15が接続された状態の報知制御用通信部41と通信を行うことが可能となっている。
【0051】
また、第二R/Wアンテナ31にて送受信可能な電波の周波数としては、第二アンテナ15と通信可能であれば、特定の周波数に限定されず、さまざまな周波数が使用可能であることは勿論である。例えば、13.56MHzや2.4GHzの周波数が使用される。
【0052】
また第二変調部43は、第二制御部42より送信された電気信号を第二R/Wアンテナ31を介して送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられており、第二制御部42及び第二R/Wアンテナ31と電気的に接続している。
【0053】
なお、第二変調部43における変調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0054】
また第二記憶部48には、照合情報記憶領域49が設けられている。照合情報記憶領域49には、RFIDチップ40のチップ記憶部8(図2参照)に記憶されている固有ID と、当該RFIDチップ40が内蔵されたRFIDタグ1の報知制御用通信部41中報知記憶部18に記憶されている識別IDとが対応付けられた情報である固有ID −識別ID照合情報が記憶される。固有ID −識別ID照合情報は、所定の固有ID を有するRFIDチップ40が内蔵されたRFIDタグ1の識別IDを検索し、当該RFIDタグ1が備えるLED17を点灯させるために、第二制御部42より参照される。そして、第二制御部42より第二記憶部48に記憶されている各情報を参照することが可能なように、第二記憶部48は第二制御部42と電気的に接続している。
【0055】
次に、RFIDタグ1中RFIDチップ40のチップ制御部2、報知制御用通信部41の報知制御部12、ハンディリーダライタ51の第一制御部22、及び設置リーダライタ52の第二制御部42により実行される処理について、図5〜図8を参照して説明する。図5は、ハンディリーダライタ51の第一制御部22にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートであり、図6は、RFIDタグ1のチップ制御部2にて実行される報知処理のフローチャートであり、図7は、設置リーダライタ52の第二制御部42にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートであり、図8は、RFIDタグ1の報知制御部12にて実行される報知処理のフローチャートである。
【0056】
なお、ハンディリーダライタ51の第一制御部22、及び設置リーダライタ52の第二制御部42は、電源投入により、図5及び図7に示す処理を繰り返し実行する。また、RFIDタグ1中RFIDチップ40のチップ制御部2は、ハンディリーダライタ51の第一R/Wアンテナ25より放射された信号電波が第一アンテナ5に照射されてチップ電源供給部6(図3参照)にて駆動電力が生成され、チップ制御部2に電力が供給された場合に、図6に示す処理を実行する。また、RFIDタグ1中報知制御用通信部41の報知制御部12は、設置リーダライタ52の第二R/Wアンテナ31より放射された信号電波が第二アンテナ15に照射されて報知電源供給部16(図3参照)にて駆動電力が生成され、報知制御部12に電力が供給された場合に、図8に示す処理を実行する。
【0057】
図5に示すように、ハンディリーダライタ51の第一制御部22は、電源が投入された状態で、入力部27を監視し、ユーザにより入力部27を介して入力操作がなされるまで待機している(S11:NO)。
【0058】
そして、入力部27を介してユーザにより探索書籍に関連する書籍関連情報の入力操作がなされ、これを第一制御部22が検出した場合(S11:YES)、第一制御部22は、第一記憶部28の固有ID 割当情報記憶領域29に記憶されている固有ID 割当情報を参照し、入力された探索書籍関連情報に相当する書籍に貼付されているRFIDタグ1の固有ID を特定する(S12)。
【0059】
次いでユーザにより、ハンディリーダライタ51における第一R/Wアンテナ25が配置され信号電波が放射される放射面が、書棚側に向けられる。そしてこの状態で、第一制御部22は、信号電波の放射圏内に存在するRFIDタグ1のうち、S12にて特定した固有ID を指定した固有ID 指定信号を第一R/Wアンテナ25より送信させるために、第一変調部23に対して固有ID 指定信号を送信する(S13)。
【0060】
第一制御部22より送信された固有ID 指定信号は、第一変調部23において、第一R/Wアンテナ25より放射させることが可能な周波数に変調される。そして変調された固有ID 指定信号が、第一R/Wアンテナ25より信号電波として放射される。なお、放射される信号電波は、書棚に陳列された状態の書籍に貼付されているRFIDタグ1にて受信することが可能な程度の送信電力に増幅されて送信される。
【0061】
一方、RFIDタグ1のRFIDチップ40を構成するチップ制御部2では、ハンディリーダライタ51の第一R/Wアンテナ25より放射された信号電波が第一アンテナ5に照射された場合、チップ電源供給部6がチップ制御部2等の駆動のために必要な電力を生成する。これによりチップ制御部2が起動し、図6における処理を開始する。
【0062】
図6に示すように、起動したチップ制御部2は、第一アンテナ5により受信し、チップ復調部4にて復調された結果の復調信号を受信するまで待機している。そして復調信号を受信し、受信した信号がハンディリーダライタ51より送信された固有ID 指定信号(S13、図5参照)であると判断した場合には(S41:YES)、次いで、受信した固有ID 指定信号にて指定されている固有ID と、チップ記憶部8の固有ID 記憶領域9に記憶されている固有ID とを比較する。
【0063】
受信した固有ID 指定信号にて指定された固有ID と、チップ記憶部8の固有ID 記憶領域9より読みだした固有ID とが一致する場合には(S43:YES)、ハンディリーダライタ51に対して返答信号を返信し、ハンディリーダライタ51に対して固有ID 指定信号を受信した旨を通知する必要がある。そこでチップ制御部2は、読みだした固有ID の情報を含む固有ID 返答信号をチップ変調部3に対して送信する(S45)。そしてRFIDチップ40のチップ制御部2は報知処理を終了する。
【0064】
チップ制御部2より送信された固有ID 返答信号は、チップ変調部3において、第一アンテナ5より放射させることが可能な周波数に変調される。そして、変調された固有ID 返答信号が、第一アンテナ5より信号電波として放射される。
【0065】
一方チップ制御部2は、復調信号がリーダライタ21より送信された固有ID 指定信号でない場合には(S41:NO)、S41に戻って引き続き継続して固有ID 指定信号を受信するまで待機する。また、復調信号が固有ID 指定信号の場合であっても(S41:YES)、受信した固有ID 指定信号にて指定された固有ID と、チップ記憶部8の固有ID 記憶領域9より読みだした固有ID とが一致しない場合には(S43:NO)、チップ制御部2は報知処理を終了する。
【0066】
なお、上述の処理においては、受信した固有ID 指定信号にて指定された固有ID と、チップ記憶部8の固有ID 記憶領域9より読みだした固有ID とが一致するか否かを判断しているが、判断方法はこの方法に限定されない。従ってRFIDチップ40のチップ制御部2は、受信した固有ID と読みだした固有ID との関係が所定の規則に則っている場合に、リーダライタ21に対して固有ID 指定信号を受信した旨を通知する必要があると判断し、固有ID 返答信号をチップ変調部3に対して送信してもよい。
【0067】
一方、図5に示すように、固有ID 指定信号を送信した(S13参照)後のハンディリーダライタ51の第一制御部22は、RFIDタグ1より固有ID 返答信号を受信するまで継続して固有ID 指定信号の送信処理を繰り返す(S15:NO→S13)。そして、RFIDタグ1からの信号電波を第一R/Wアンテナ25が受け、第一復調部24にて復調され、復調された結果の復調信号が、S45(図6参照)の処理に基づいてRFIDタグ1より送信された固有ID 返答信号である場合には(S15:YES)、次いで第一制御部22は、受信した固有ID 返答信号に含まれている固有ID と、S12において特定した固有ID とを比較する(S17)。そして双方が一致する場合には(S17:YES)、ハンディリーダライタ51の第一R/Wアンテナ25より放射された固有ID 指定信号の電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグ1が存在していると判断する。
【0068】
一方、復調された結果の復調信号が固有ID 返答信号であっても(S15:YES)、含まれている固有ID が、S12において特定した固有ID と一致しない場合には(S17:NO)、ハンディリーダライタ51の第一R/Wアンテナ25より放射されている信号電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグ1が存在しておらず、探索対象外の書籍に貼付されているRFIDタグ1より返信された固有ID 返信信号であると判断する。このような場合には、ユーザによりハンディリーダライタ51の向きが調整され、電波の放射方向が変更される。そして、S13に戻り、信号電波の放射圏内に探索書籍及び探索RFIDタグ1が存在する状態となるまで、上述の処理が繰り返し実行される。
【0069】
なお、上述の処理においては、受信した固有ID と、S12において検索した固有ID とが一致しているか否かを判断しているが、判断方法はこの方法に限定されない。従ってハンディリーダライタ51の第一制御部22は、受信した固有ID とS12にて特定した固有ID との関係が所定の規則に則っている場合に、ハンディリーダライタ51より放射された固有ID 指定信号の電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグ1が存在していると判断してもよい。
【0070】
S17において、ハンディリーダライタ51より放射されている固有ID 指定電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグ1が存在していると判断された場合(S17:YES)、次いで第一制御部22は、探索RFIDタグ1に設けられているLEDを点灯させるために、設置リーダライタ52に対して識別ID指定信号の送信指示を行う(S19)。具体的には、ネットワーク55を介し、設置リーダライタ52の第二制御部42に対して、S12にて特定した固定IDを指定した識別ID送信指示のパケットを送信する。そして第一制御部22はS11に戻って上述の処理を繰り返す。
【0071】
一方、図7に示すように、設置リーダライタ52の第二制御部42は、電源が投入されている状態で、継続してネットワーク55より受信するパケットを監視している。そして、ハンディリーダライタ51より識別ID指定信号の送信指示のパケットを受信するまで待機している(S31:NO)。
【0072】
そして、S19(図5参照)の処理に基づき、ハンディリーダライタ51より送信されたパケットを受信し、識別ID指定信号の送信指示のパケットであると判断した場合に(S31:YES)、第二制御部42は、受信したパケットにて指定された固有ID のRFIDチップ40を内蔵したRFIDタグ1を、探索RFIDタグ1として特定する。そして探索RFIDタグ1のLED17を点灯させるために、当該固有ID に対応する識別IDを検索し特定する。具体的には、第二記憶部48の照合情報記憶領域49に記憶されている固有ID −識別ID照合情報を参照し、ハンディリーダライタ51からの受信パケットにて指定された固有ID に対応する識別IDを探索RFIDタグ1の識別IDとして特定する(S33)。
【0073】
次いで第二制御部42は、探索RFIDタグ1が備えるLED17を点灯させるために、探索RFIDタグ1の識別IDを指定した識別ID指定信号を第二変調部43に対して送信する(S35)。送信された識別ID指定信号は、第二変調部43において、第二R/Wアンテナ31より放射させることが可能な周波数に変調される。そして、変調された識別ID指定信号が、第二R/Wアンテナ31より信号電波として放射される。なお、放射される信号電波は、探索RFIDにてLED17を点灯させるために必要な電力を生成することが可能な程度の送信電力に増幅されて送信される。ここで、設置リーダライタ52はRFIDタグ1の近傍に配置されているので、送信電力を極力抑えた状態で送信することが可能となっている。その後第二制御部42は、S31に戻って上述の処理を繰り返し実行する。
【0074】
一方、RFIDタグ1の報知制御用通信部41を構成する報知制御部12では、設置リーダライタ52の第二R/Wアンテナ31より放射された信号電波が第二アンテナ15に照射された場合、報知電源供給部16が報知制御部12等の駆動のために必要な電力を生成する。これにより報知制御部12が起動し、図8における処理を開始する。
【0075】
図8に示すように、起動した報知制御部12は、はじめに、第二アンテナ15により受信し、報知復調部14にて復調された結果の復調信号を受信するまで待機している(S61:NO)。そして復調信号を受信し、受信した信号が設置リーダライタ52より送信された識別ID指定信号(S35、図7参照)であると判断した場合には(S61:YES)、次いで、報知記憶部18の識別ID記憶領域19に記憶されている識別IDと、受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDとを比較する。
【0076】
そして、受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDと、読みだした識別IDとが一致する場合には(S63:YES)、報知制御部12は、設置リーダライタ52よりLED17を点灯させる旨の指示がなされたと判断し、LED17を点灯させる(S65)。そし報知制御部12はRFIDタグ検索処理を終了する。
【0077】
なお、LED17を点灯させるために必要な電力は、設置リーダライタの第二R/Wアンテナ31より第二アンテナ15に対して照射された信号電波に基づき、報知電源供給部16にて生成される。ここで、第二R/Wアンテナ31から放射される信号電波は、RFIDタグ1にてLED17を点灯させるために必要な電力を生成するのに十分な強度に調整されて送信されている。従って報知制御部12は、報知電源供給部16にて生成された電力を使用してLED17を点灯させることが可能となっている。
【0078】
一方報知制御部12は、受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDと、報知記憶部18の識別ID記憶領域19より読みだした識別IDとが一致しない場合には(S63:NO)、自身がリーダライタ21より探索されているRFIDタグではないものと判断する。この場合、LED17を点灯させる必要はないので、以降特段の処理を行うことなく報知処理を終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態では、リーダライタ21(ハンディリーダライタ51及び設置リーダライタ52)を使用してRFIDタグ1のLED17を点灯させることにより、当該RFIDタグ1が貼付された状態の書籍を探索書籍として認識することが可能となる。ここでリーダライタ21は、はじめに固有ID 指定信号を送信して探索RFIDが信号電波の放射圏内に存在しているか否かを確認し、探索RFIDが存在していることを確認した後、識別ID指定信号を送信して探索RFIDが備えるLED17を点灯させる。これによりリーダライタは、LED17を点灯させるための電力をRFIDタグ1にて生成させるために必要な電力の送信電波を出し続ける必要がなくなるため、リーダライタ21の低消費電力化が可能となる。
【0080】
さらに、RFIDタグ1にてLED17を点灯させるための電力は、設置リーダライタ52が備える第二R/Wアンテナ31より放射された信号電波に基づいて生成される。ここで、設置リーダライタ52はRFIDタグ1の近傍に配置されているので、比較的小さい出力の信号電波を放射した場合でも、RFIDタグにてLED17を点灯させるために必要な電力を生成することが可能となる。これにより、設置リーダライタ52は、放射させる信号電波の電力を極力抑制しつつ、RFIDタグにてLED17を点灯させることが可能となる。これにより、リーダライタ21の消費電力をさらに抑制することが可能となる。
【0081】
さらに、ハンディリーダライタ51から放射される信号電波の放射圏内に探索RFIDタグ1が存在するか否かを判断することが可能となる。これにより、所望のRFIDタグが近くに存在しているか否かがあらかじめリーダライタにて確認できるため、ユーザは、所望とするRFIDタグがリーダライタより放射される電波の放射圏内に存在することをあらかじめ確認し、当該RFIDタグに報知を実行させることが可能となる。従って、RFIDタグが報知手段より報知を行っているにもかかわらず、ユーザが当該RFIDタグを見落としてしまっているような状態が発生しても、ユーザは近傍に所望のRFIDタグが存在していることを確認できるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。
【0082】
なお、図2の第一アンテナ5が、本発明の「第一タグアンテナ」に相当し、第二アンテナ15が、本発明の「第二タグアンテナ」に相当し、報知記憶部18が、本発明の「タグ記憶手段」に相当し、チップ記憶部8が、本発明の「チップ記憶手段」に相当し、LED17が、本発明の「タグ報知手段」に相当し、報知電源供給部16が、本発明の「タグ電力供給手段」に相当する。また、図8のS61において、報知復調部14にて復調された結果の信号を受信する処理を行う報知制御部12が、本発明の「タグ受信手段」に相当し、S65においてLED17を点灯させる制御を行う報知制御部12が、本発明の「タグ制御手段」に相当する。また、図6のS41において、チップ復調部4にて復調された結果の信号を受信する処理を行うチップ制御部2が、本発明の「チップ受信手段」に相当し、S45において、チップ変調部3に信号を送信し、変調信号を第一アンテナ5より送信させる処理を行うチップ制御部2が、本発明の「チップ送信手段」に相当する。
【0083】
また、図4に示す第一記憶部28が、本発明の「R/W記憶手段」に相当し、図5のS13において、第一変調部23に信号を送信し、第一R/Wアンテナ25より変調信号を送信させる処理を行う第一制御部22が、本発明の「第一R/W送信手段」に相当し、S15において、第一復調部24にて復調された結果の信号を受信する処理を行う第一制御部22が、本発明の「第一R/W受信手段」に相当し、図7のS35において、第二変調部43に信号を送信し、第二R/Wアンテナ31より変調信号を送信させる処理を行う第二制御部42が、本発明の「第二R/W送信手段」に相当する。
【0084】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0085】
上述の実施の形態では、RFIDタグ1は報知手段としてLED17を備えていたが、報知手段はLEDに限定されない。従って、他の報知手段を実現するためのデバイス(ブザー等)を備えた構成であってもよい。
【0086】
上述の実施の形態では、設置リーダライタ52は書棚の背面に設置されて使用される構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。RFIDタグ1が備えるLED17が点灯可能な強度の信号電波を送信することが可能であれば、設置リーダライタ52は他の場所に設置されていてもかまわないし、移動可能に配置されていてもかまわない。
【0087】
また、上述の実施の形態では、RFIDタグ1は、識別指定信号を受信した場合に報知電源供給部16にて電力を生成し、生成した電力によりLED17を点灯させていたが、LED17を点灯させるために必要な電力の生成方法はこの方法に限定されない。従って、設置リーダライタ52は、はじめにLED17点灯のために必要な電波をRFIDタグ1に対して送信し、RFIDタグ1においてLED17を点灯させるために十分な電力が生成された後、識別ID指定信号を送信してもかまわない。本方法により設置リーダライタ52は、識別ID指定信号の信号電波の送信電力を抑えることが可能となるという効果を奏する。なお、この場合において、LED17点灯のために必要な電波は変調信号電波であってもよいし、無変調電波であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】書籍探索システムの模式図である。
【図2】RFIDタグ1の電気的構成を示す模式図である。
【図3】RFIDタグ1の電源構成を示す模式図である。
【図4】リーダライタ21の電気的構成を示す模式図である。
【図5】ハンディリーダライタ51の第一制御部22にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートである。
【図6】RFIDタグ1のチップ制御部2にて実行される報知処理のフローチャートである。
【図7】設置リーダライタ52の第二制御部42にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートである。
【図8】RFIDタグ1の報知制御部12にて実行される報知処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 RFIDタグ
2 チップ制御部
3 チップ変調部
4 チップ復調部
5 第一アンテナ
6 チップ電源供給部
8 チップ記憶部
12 報知制御部
14 報知復調部
15 第二アンテナ
16 報知電源供給部
17 LED
18 報知記憶部
21 リーダライタ
22 第一制御部
23 第一変調部
24 第一復調部
25 第一R/Wアンテナ
27 入力部
28 第一記憶部
31 第二R/Wアンテナ
40 RFIDチップ
41 報知制御用通信部
42 第二制御部
43 第二変調部
48 第二記憶部
50 RFIDタグシステム
51 ハンディリーダライタ
52 設置リーダライタ
53 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタを使用して所望のRFIDタグを探索するRFIDタグシステムであって、
RFIDタグは、
RFIDチップと、
前記RFIDチップに接続されたアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一タグアンテナと、
前記第一タグアンテナとは異なるアンテナである第二タグアンテナと、
前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段と、
リーダライタより送信された信号電波が前記第二タグアンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調して受信するタグ受信手段と、
報知を行うタグ報知手段と、
前記タグ受信手段にて復調され受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、
前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、リーダライタより送信された信号電波が前記第二タグアンテナに照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段とを備え、
前記RFIDチップは、
前記RFIDチップを識別するためのIDである固有ID を記憶するチップ記憶手段と、
前記第一タグアンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、
前記第一タグアンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一タグアンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、
リーダライタは、
前記RFIDタグを識別するための識別IDと、前記RFIDチップを識別するための固有ID とを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、
前記第一タグアンテナにて送受信可能な周波数を用いて信号電波の送受信を行う第一R/Wアンテナと、
変調した信号を前記第一R/Wアンテナより信号電波として送信させる第一R/W送信手段と、
前記第一R/Wアンテナに発生する電気信号を復調し受信する第一R/W受信手段と、
前記第二タグアンテナにて送受信可能な周波数を用いて信号電波を送受信するアンテナであって、前記RFIDタグとの間の距離が、前記第一R/Wアンテナと前記RFIDタグとの間の距離よりも短い位置に配置されるアンテナである第二R/Wアンテナと、
変調した信号を前記第二R/Wアンテナより信号電波として送信させる第二R/W送信手段と
を備えたことを特徴とするRFIDタグシステム。
【請求項2】
前記リーダライタは、
所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップを識別するための固有ID を指定した信号である固有ID 指定信号を変調した後、前記第一R/W送信手段にて前記RFIDタグに対して送信し、
前記RFIDタグは、
前記第一タグアンテナにて発生した電気信号を前記チップ受信手段にて復調して受信し、
前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が固有ID 指定信号であり、且つ、当該固有ID 指定信号にて指定された固有ID と、前記チップ記憶手段に記憶されている固有ID とが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段にて返答信号を変調して送信し、
前記リーダライタは、
前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID 指定信号に応じて所望のRFIDタグより返信された返答信号を第一R/W受信手段にて復調し受信した場合に、当該返答信号を送信したRFIDタグが有する識別IDを、R/W記憶手段を参照して抽出し、
抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を変調した後、前記第二R/W送信手段にて前記RFIDタグに対して送信し、
前記RFIDタグでは、
前記リーダライタの前記第二R/W送信手段にて送信された信号電波が前記第二タグアンテナに照射されることにより、タグ電力供給手段が、前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を生成した後、
前記タグ受信手段が、
前記第二タグアンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、
前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ制御手段が、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−301374(P2009−301374A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156159(P2008−156159)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】