説明

RFIDタグ

【課題】 RFIDタグ単体(モールド材を含む)で金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能で、設置場所の環境変化による故障の可能性を減じたUHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯に使用可能で新規なRFIDタグ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 誘電体基体と、この誘電体基体の一主面に設けられたICチップと、このICチップの一端に電気的に接続され、前記一主面上に配置された第1のアンテナパターンと、前記ICチップの他端に電気的に接続され、前記一主面から前記誘電体基体の一側面を経由し、前記誘電体基体の他の主面に亘り配置された第2のアンテナパターンと、前記誘電体基体を覆うモールド材とを備え、前記第1のアンテナパターンと前記第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ及びその製造方法に関し、RFIDタグはリーダライタから送信されるコマンド信号を受信し、そのコマンド信号の情報に応じてメモリに格納しているタグ情報を更新し、追記し、又はそのタグ情報をRFIDリーダライタに読み出し信号として送信するものであり、生体・物品の入退室管理や物流管理などに利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタとの間で無線通信を行うものである。RFIDタグは、バッテリーを搭載してその電力で駆動するいわゆるアクティブ型タグと、リーダライタからの電力を受けてこれを電源として駆動するいわゆるパッシブ型タグとがある。アクティブ型タグは、パッシブ型に比べてバッテリーを搭載しているため、通信距離や通信の安定度等の点でメリットがある一方、構造が複雑で、サイズの大型化や高コスト化等のデメリットもある。そして、近年の半導体技術の向上により、パッシブ型タグ用としてICチップの小型化、高性能化が進み、通信距離の拡張や通信の安定度の向上などにより、パッシブ型タグの幅広い分野における使用が実現されている状況にある。
【0003】
パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、リーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でしかRFIDタグが動作せず、通信距離は数十cm程度となってしまう。また、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜8m程度と大幅に向上している。したがって、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグは、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの一括読み取りや移動しているRFIDタグの読み取りなども可能となり、その利用範囲は非常に広い。
【0004】
従来、RFIDシステムには、無線タグ(RFIDタグ)から送信される信号を受信する無線タグ受信アンテナとして機能する双方向無線送受信・無線タグ送受信共通アンテナ、つまり、無線LANなどの無線通信装置とRFIDタグとの両方の通信に使用できるRFIDリーダライタ用アンテナを使用するものがある(例えば、特許文献1参照)。一方、無線LANなど使用されるアンテナには、誘電体からなる基体(誘電体基板)の上面に主放射電極を、下面に副放射電極を形成し、側面に接合部(給電点)から副放射電極と主放射電極を結ぶように下端中央から上端右隅に掛けて傾斜した接続電極を設けた表面実装型アンテナがある(例えば、特許文献2参照)。他方、RFIDタグ(無線タグ)には、特許文献2に記載された表面実装型アンテナと類似した構造であって、誘電体(誘電体基板)に形成された上面アンテナ部(主放射電極)、下面アンテナ部(副放射電極)及び側部アンテナ部(接続電極)と、タグIC(ICチップ)とを備え、少なくとも上面アンテナ部、下面アンテナ部及び側部アンテナ部によって1つのタグアンテナが形成されているとともに、タグアンテナを形成する複数のアンテナ部のいずれか1つのアンテナ部にタグICが実装され、上面アンテナ部、タグIC、側面アンテナ部4及び下面アンテナ部を含めた長さを通信周波数の電気長(λg)の略λg/2(λgは誘電体の誘電率効果を含めた等価波長)に設定している。従って、無線タグの長さが略λg/4になっているものがある。(例えば、特許文献3参照)。なお、タグICは、基本的にアンテナ部の給電点に実装されるものである。また、特許文献3の第7図には、上面アンテナ部の導体端部から下面アンテナ部の導体端部に向けて斜め下方に傾斜する帯状パターンの側面アンテナが図示されている。
【0005】
その他のRFIDタグには、共に基材(フィルム基材)の1平面部(一方の表面)に形成され、基材が屈曲させられることで所定の相対位置関係とされる第1導体パターン及び第2導体パターンと、それら第1導体パターン及び第2導体パターンの両方に電気的に接続されたIC回路部と、屈曲させられた基材の間に挿入された間挿材(誘電体基板)とを備えているものや(例えば、特許文献4参照)、誘電体基板と、この誘電体基板の一主面に設けられた接地導体部と、前記誘電体基板の他の主面に設けられ、スロットを形成したパッチ導体部と、前記スロットの対向部分から内部にそれぞれ延びた電気接続部と、前記スロットの内部に配置され、前記電気接続部に接続されたICチップとを備えているものや(例えば、特許文献5参照)、平板状の誘電体部材(誘電体基板)と、誘電体部材の第1の面と第2の面において所定の間隙をおいて形成され、かつ、誘電体部材の第1の面から第2の面までそれぞれ連通する第1、第2のループアンテナパターンと、一方の面において前記第1、第2のループアンテナパターンに電気的に接続されたICチップとを備えているものがある(例えば、特許文献6参照)。
【0006】
また、RFIDタグの製造方法には、射出成形により、タグインレットの周囲をモールド材により覆うRFIDタグには、内蔵部品(タグインレット)を被覆する外層樹脂(モールド材)が、内蔵部品を一次成形用の金型の内面に挿入配置した状態で樹脂射出を行い、内蔵部品の一部を仮封止した状態の一次成形部品とした第1の成形部分が、一次成形を行う際に一次成形用金型の内面に内蔵部品を配置位置決めする目的で設けられた溝および突起部に対応する凹凸を有し、一次成形部品を二次成形用の金型内に挿入配置した状態で樹脂射出を行い、一次成形部品の未成形部分を成形した第2の成形部分とを具備することを特徴とするものや(例えば、特許文献7参照)、樹脂フィルム基材に、アンテナを配設し、且つ、ICチップを搭載し、これらを電気的に接続した、非接触型のICタグとしての機能を有するICタグ部材をインレットとして用いて、成形用の金型によりインモールド成形して、モールド樹脂(モールド材)を外装基材とした非接触型のICタグの製造方法であって、金型内部への樹脂注入に対してインレットを保護する保護層を、インレットの表面に、貼り付けて配して、インモールド成形するもので、保護層を介してモールド樹脂を形成するものであることを特徴とするものや(例えば、特許文献8参照)、電子部品を搭載し電子回路が形成された基板(タグインレット)と、基板の一方の面側に配置され、基板を収納するための収納部を有し、射出成形により成形された第1カバーと、基板の他方の面側に配置され、収納部の外周縁に段部を有し接し、かつ第1カバーと一体に固着された第2カバーとからなるものがある(例えば、特許文献9参照)。
【0007】
さらに、フレキシブル基板を折り曲げて、RFIDタグを構成したものがある(例えば、特許文献10参照)。このようなRFIDタグ(無線タグ)の具体的な構成は、アンテナがフレキシブル基板とスペーサとを有するもので、フレキシブル基板は放射電極等の形成面を内側にして折り曲げられ、マイクロストリップアンテナが形成されている。IC(集積回路)チップをスペーサに対向させ、その対向位置のスペーサに、ICチップよりも大きい凹部が形成されている。したがって、組み立て状態においては、ICチップがスペーサの凹部内に収容され、フレキシブル基板の外面に突出部分がなく、平坦面とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−353852号公報(第1図)
【特許文献2】特開2003−332818号公報(第1図乃至第6図)
【特許文献3】特開2005−191705号公報(特に第1図乃至第10図、第16図乃至第19図)
【特許文献4】特開2007−221528号公報(第10図)
【特許文献5】特開2007−243296号公報(第1図)
【特許文献6】特開2007−272264号公報(第1図乃至第5図、第13図乃至第15図)
【特許文献7】特開2003−36431号公報(第1図)
【特許文献8】特開2005−332116号公報(第1図及び第2図)
【特許文献9】特開2007−133617号公報(第1図)
【特許文献10】特開2008−42379号公報(第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献3〜5に記載のRFIDタグは、ICチップ(タグIC、IC回路部)がRFIDタグの表面上に剥き出しになっており、外部からの衝撃によりICチップが故障する可能性があるという課題がある。また、特許文献3〜5に記載のRFIDタグは、誘電体基板上にアンテナパターンが形成されているので、誘電体基板とアンテナパターンを構成している導体との線膨張率の違いにより、RFIDタグを設置する場所が温度変化の激しい場所であった場合に誘電体基板からアンテナパターンが剥離したり、アンテナパターンが破断したりする可能性があるという課題もある。なお、特許文献4の段落番号「0054」には、「IC回路部、第1導体パターン、及び第2導体パターンの表面に保護層が形成され、更にその表面に前記無線タグの種別や記憶内容等を示す印字が形成される」旨の記載があるが、第1導体パターン及び第2導体パターン(アンテナパターン)と間挿材(誘電体基板)との線膨張率に関する記載や保護層の具体的な構成の記載はない。
【0010】
次に、特許文献6に記載のRFIDタグは、特許文献3〜5に記載のRFIDタグとは異なり、誘電体基板に形成した凹み部にICチップを配置しているので、ICチップは保護されているが、特許文献3〜5に記載のRFIDタグと同様に誘電体基板とアンテナパターンを構成している導体との線膨張率の違いにより、RFIDタグを設置する場所が温度変化の激しい場所であった場合に誘電体基板からアンテナパターンが剥離したり、アンテナパターンが破断したりする可能性があるという課題があるだけでなく、特許文献6の第1図などに図示されているように、誘電体基板の表面と裏面において所定の間隙をおいて形成され、かつ、誘電体基板の表面と裏面までそれぞれ連通する第1、第2のループアンテナパターンと、一方の面(表面)において電気的にICチップが接続された構造なので、誘電体基板が熱により膨張や収縮した際に、ICチップと第1のループアンテナパターンとの接続部分及びCチップと第2のループアンテナパターンとの接続部分の両方に負荷がかかり、ICチップと第1、第2のループアンテナパターンとの接続が外れてしまう可能性があるという課題がある。さらに、特許文献6に記載のRFIDタグは、金属に貼り付けることを前提としており、金属以外に貼り付ける際には、RFIDタグとして動作させるために、RFIDタグの下部(誘電体基板の裏面)に絶縁シートと金属シートとを積層する必要あり、RFIDタグの構造が複雑になるという課題もある。
【0011】
また、RFIDタグの製造方法において、特に、射出成形によりモールド材など樹脂でタグインレットの周囲を覆う技術において、特許文献7に記載のものは、モールド用金型に注入する樹脂の圧力や熱でアンテナパターンに変形や断線が生じたり、アンテナパターンとICチップとの接続が外れたりすることを避けるためのタグインレットのアンテナパターン及びICチップの位置決め用の溝や突起部を有する一次成形用金型と、この一次成形用金型により仮に封止されたタグインレットを封止する二次成形用金型とのモールド用金型を2つ使用する必要があるという課題がある。さらに、特許文献7に記載のものは、最終的に完成するRFIDタグの外寸に関わらず、アンテナパターンやICチップの配置が変わるごとに、一次成形用金型の内部形状を変更する必要があるという課題もある。一方、特許文献8及び9に記載のものは、一次成形用金型による一次成形を行う代わりに、最終的に完成するRFIDタグの下部に相当する部分(台部、下カバー)を予め製作して、それをモールド用金型に配置してその上にタグインレットを載置させてから、モールド用金型に樹脂を注入するので、モールド用金型が1つで済む。他方、特許文献8及び9に記載のものは、タグインレットに仮の封止が施さないので、モールド用金型に注入する樹脂の圧力や熱でアンテナパターンに変形や断線が生じたり、アンテナパターンとICチップとの接続が外れたりすることを避けるために、樹脂が直接タグインレットに触れないようにするためにタグインレット上に層(保護層、耐熱シート)を設ける必要があるという課題がある。
【0012】
ここで、特許文献7〜9に記載されたアンテナパターンを検討すると、特許文献7〜9内のアンテナコイル(コイルアンテナ)という技術用語から、特許文献7〜9に記載されたRFIDタグの製造方法は、周波数帯が長波帯、短波帯の電磁誘導方式で使用されるRFIDタグに適用することを前提としたものであり、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグとアンテナパターンを比較した場合、特許文献7〜9に記載のRFIDタグのアンテナコイル(コイルアンテナ)は、パターンが微細又は複雑なのであり、モールド用金型に注入する樹脂の圧力や熱による影響が前述の高い周波数帯のRFIDタグと比較して大きいことが考えられる。換言すると、特許文献7〜9に記載の課題は、前述の高い周波数帯のRFIDタグに対しては課題であるとは必ずしも言えない可能性がある。なお、特許文献8の段落番号「0014」には、「インレットとなるICタグ部材として、図2(a)に示す、樹脂フィルムからなる基材の上に、アンテナコイルを配設し、且つ、ICチップを搭載し、これらを電気的に接続したものを用いるが、本発明の非接触型のICタグの製造方法において適用できるICタグ部材としては、図2(a)に示すICタグ部材に限定されるものではない」旨の記載はあるが、ICタグ部材が電磁誘導方式以外のものを指すのかが不明である。
【0013】
なお、特許文献10に記載のRFIDタグは、マイクロストリップアンテナであるので、接地導体の面を金属に貼り付けることは可能であるが、構造及び製造上に下記のような課題がある。まず、構造上の課題は、「フレキシブル基板が曲げられている部分(以下、コーナー部と称す)の接着が難しい。したがって、曲げたときにコーナー部から剥離が進む可能性がある。」「誘電体(基材)にフレキシブル基板の材料を用いることにより導体、フレキシブル基板を曲げた後のスプリングバックが大きくなり剥離につながる。曲げたときにICチップと穴が干渉する可能性がある。」「曲げたときに場所によって曲率が変わってくるのでフレキシブル基板自体にシワがよったり剥離したりする可能性がある。」などの課題がある。次に、製造上の課題は、「誘電体がフレキシブル基板のため接着時に位置決めがしづらい。」「接着作業がしにくい。」「接着作業の安定が難しいと考えられ、接着後にシワ、空気混入する可能性がある。」などの課題がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、RFIDタグ単体(モールド材を含む)で金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能で、設置場所の環境変化による故障の可能性を減じたUHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯に使用可能で新規なRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明に係るRFIDタグは、誘電体基体と、この誘電体基体の一主面に設けられたICチップと、このICチップの一端に電気的に接続され、前記一主面上に配置された第1のアンテナパターンと、前記ICチップの他端に電気的に接続され、前記一主面から前記誘電体基体の一側面を経由し、前記誘電体基体の他の主面に亘り配置された第2のアンテナパターンと、前記誘電体基体を覆うモールド材とを備え、前記第1のアンテナパターンと前記第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインを有することを特徴とするものである。
【0016】
請求項2の発明に係るRFIDタグは、前記一側面が、前記ICチップからの距離が最も近い前記誘電体基体の側面又はこの側面と一辺を共有している側面である請求項1に記載のものである。
【0017】
請求項3の発明に係るRFIDタグは、誘電体基体と、この誘電体基体の一側面に設けられたICチップと、このICチップの一端に電気的に接続され、前記一側面から前記誘電体基体の一主面上に亘り配置された第1のアンテナパターンと、前記ICチップの他端に電気的に接続され、前記一側面から前記誘電体基体の他の主面に亘り配置された第2のアンテナパターンと、前記誘電体基体を覆うモールド材とを備え、前記第1のアンテナパターンと前記第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインを有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項4の発明に係るRFIDタグは、前記誘電体基体が、前記第1のアンテナパターン又は前記第2のアンテナパターンが配置される前記一側面の対向する辺にそれぞれ丸みを持たせたものである請求項1〜3のいずれかに記載のものである。
【0019】
請求項5の発明に係るRFIDタグは、前記ショートラインが、前記第1のアンテナパターン及び前記第2のアンテナパターンと一体である請求項1〜4のいずれかに記載のものである。
【0020】
請求項6の発明に係るRFIDタグは、前記ショートラインが、少なくとも前記一主面、前記一側面、前記他の主面のいずれかの一面に配置される請求項1〜5のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能であり、かつ、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを短絡するために、誘電体基体にスルーホール(ICチップ用の穴部を除く)を設ける必要がない簡易な構造のRFIDタグを得ることができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとで構成されるアンテナパターン全長(電気長)のほぼ中間点にICチップを配置しやすくなるので、アンテナパターンのアンテナ素子としての調整が容易で、金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能なRFIDタグを得ることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、ICチップが誘電体基体の一側面に配置されるので誘電体基体の表面や裏面に負荷がかかったとしてもICチップに与える影響が少ない。さらに、ICチップを誘電体基体の一主面に設けた場合よりも第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとで構成されるアンテナパターン全長(電気長)の中間点近傍にICチップを配置しやすくなり、アンテナパターンのアンテナ素子としての調整が容易で、金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能であり、かつ、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを短絡するために、誘電体基体にスルーホール(ICチップ用の穴部を除く)を設ける必要がない簡易な構造のRFIDタグを得ることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、請求項1〜3に係る発明の効果に加え、第1のアンテナパターン又は第2のアンテナパターンが配置される誘電体基体の一側面の対向する辺にそれぞれ丸みを持たせたので、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小して、誘電体基体の一側面の対向する辺にかかる負荷が分散され、この辺にかかって設けられている第1のアンテナパターン又は第2のアンテナパターンへかかる負荷を減じることが可能で、金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能なRFIDタグを得ることができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、請求項1〜4に係る発明の効果に加え、導電性パターンである第1のアンテナパターン、第2のアンテナパターン、ショートラインが一体なので、より信頼性が高い金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能なRFIDタグを得ることができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜5に係る発明の効果に加え、誘電体基体の必要最低限の面のみ導電性パターンが配置されており、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小しても、導電性パターンに与える影響が少ない金属・非金属などの設置面の材質に関わらず動作可能なRFIDタグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグのモールド前の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグのモールド前の構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図8】この発明に係るRFIDタグの基本形の説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1及び2に係るRFIDタグのアンテナパターンの変形例(一部)を示す模式図である。
【図10】この発明の実施の形態1及び2に係るRFIDタグのアンテナパターンの変形例(一部)を示す模式図である。
【図11】この発明の実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図である。
【図12】この発明の実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図である。
【図13】この発明の実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図である。
【図14】この発明の実施の形態3及び4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程及びICチップ接続工程図である。
【図15】この発明の実施の形態3及び4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程により形成されたアンテナパターン拡大図である。
【図16】この発明の実施の形態3及び4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程により製造されたアンテナパターン外観図である。
【図17】この発明の実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図19】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図20】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図21】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図22】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図23】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図である。
【図25】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図である。
【図26】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図である。
【図27】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図である。
【図28】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法のモールド工程図(最終工程)である。
【図29】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図である。
【図30】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図である。
【図31】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図である。
【図32】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図である。
【図33】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法のモールド工程図(最終工程)である。
【図34】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図である。
【図35】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図である。
【図36】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図である。
【図37】この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜4を用いて説明する。図1は実施の形態1に係るRFIDタグの構成図、図1(a)はRFIDタグの斜視図、図1(b)は図1(a)を矢印方向に分割した断面図、図2は実施の形態1に係るRFIDタグのモールド前の構成図、図2(a)はRFIDタグの斜視図、図2(b)は図2(a)を矢印方向に分割した断面図、図3は実施の形態1に係るRFIDタグの構成図、図3(a)はRFIDタグの断面図(図3(c)の点線ABの断面に対応。ただし、図3(c)はモールド前のRFIDタグである。)、図3(b)はモールド工程前のRFIDタグの断面図(図3(c)の点線ABの断面に対応)、図3(c)はモールド工程前のRFIDタグの一主面(表面)図、図4は実施の形態1に係るRFIDタグの構成図、図4(a)(b)はRFIDタグの断面図であり、断面の切り方としては、図3(a)(b)と同様である。図1〜4において、1は誘電体や誘電体基板などのRFIDタグのコアとなる誘電体基体であり、一主面,他の主面,側面からなる立体形状を成し、各面同士の境界が丸みを帯びていてもよい(後述の誘電体基体10やコーナー部11は、その一例である)。なお、本発明の一例である実施の形態1〜5においては、誘電体基体1や後述の誘電体基体10へ後述のICチップ3及びアンテナパターンを実装したものをRFIDタグのコアと称している。また、そのコア(誘電体基体)は、四角柱状のものを使用して実施の形態1〜5を説明しているが、形状はこれらに限るものではない。2は誘電体基体1の一主面(表面)に設けられた穴部、3はICチップ、4はICチップ3の一端に電気的に接続され、誘電体基体1の一主面上に配置された第1のアンテナパターン、5はICチップ3の他端に電気的に接続され、誘電体基体1の側面を経由し、誘電体基体1の他の主面(裏面)に亘り配置された第2のアンテナパターンである。
【0029】
6は第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5を誘電体基体1に固定する接着シートや接着剤で形成された接着層(なお、一部を除き実施の形態1〜5に係る図面においては第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5と誘電体基体1、10との間に存在しているが、図面上は省略している。後述するRFIDタグの製造方法に関連する図面も同様である。)、7は接着層6と接触した面と反対側の第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5の面を含む、誘電体基体1の表面及び裏面と誘電体基体1の全ての側面、つまり4面の側面を覆うモールド材、8は表面から裏面まで誘電体基体1を貫通した穴部(貫通口)、9は穴部8に充填された充填モールド材、10は少なくとも第1のアンテナパターン4又は第2のアンテナパターン5が配置される一側面の対向する辺にそれぞれ丸みを持たせた誘電体基体(コーナー部付き)、11は誘電体基体10の一側面の対向する辺に丸みであるコーナー部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0030】
第1のアンテナパターン4と第2のアンテナパターン5とで構成されるアンテナパターン(以下、特に説明が無い場合以外は、「アンテナパターン」とは、「第1のアンテナパターン」と「第2のアンテナパターン」との両方を指す)を後述するフィルム基材上に形成してもよい。図1〜4にはフィルム基材は図示していないが、アンテナパターンを誘電体基体1に固定する際に、フィルム基材ごと固定してもよい。その場合は、フィルム基材のみに接着層6を接触させてアンテナパターンを固定してもよい。また、充填モールド材9は、モールド材7と同じ材料である必要ないが、モールド材7や誘電体基体1、10と親和性が高いものがよい。もちろん、モールド材7も誘電体基体1、10と親和性が高いものがよい。また、誘電体基体1の一側面とは、4つある側面のうち、ICチップ3からの距離が最も近い誘電体基体1の側面又はこの側面と一辺を共有している側面のいずれかを指す。これは、誘電体基体10でも同様である。以下、側面という表現は、特に注がない限り、アンテナパターンが設けられた一側面を指す。
【0031】
図1に示すRFIDタグは、第1のアンテナパターン4と一端が電気的に接続され、第2のアンテナパターン5と他端が電気的に接続されたICチップ3が挿入された穴部2を有する誘電体基体1の周囲をモールド材によりモールドした構造である。詳しくは、第1のアンテナパターン4は、誘電体基体1の表面に接着層6を介して固定され、第2のアンテナパターン5は、誘電体基体1の表面、側面、裏面に接着層6を介して固定されている。接着層6は、誘電体基体1と第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5が接触する面の全てに設ける必要は無く、モールド材で誘電体基体がモールドされるまで、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5を誘電体基体1に固定できる程度の面積(量)のものでよい。もちろん、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5がフィルム基材に形成されている場合は、接着層6は、誘電体基体1とフィルム基材が接触する面の全てに設ける必要は無いことはいうまでもない。モールド材7によりアンテナパターンを固定するので、接着層の面積をアンテナパターンの面積分抑えることができ、接着層6の材料を減じることが可能である。なお、接着層6は、誘電体基体1側に設けてもよいし、アンテナパターン(フィルム基材)側に設けてもよい。
【0032】
図1及び2において、実施の形態1に係るRFIDタグの穴部2は、ICチップ3が挿入可能な寸法となっており、誘電体基体1上にICチップによる突起が生じない。これによって、誘電体基体1とモールド材7との間に不連続面が生じにくく、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小してもアンテナパターンが誘電体基体とモールド材との間にしっかり固定でき、ICチップ3を負荷から保護している。図1及び2に示す穴部2は、ICチップ3の外形とほぼ同寸であるが、仮に穴部2の寸法がICチップ3の寸法よりも大きい場合でも、ICチップ3が第1のアンテナパターン4と第2のアンテナパターン5とに接続されており、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5は誘電体基体1に固定されることにより、ICチップ3は所定の位置に配置される。この場合、穴部2の内部に残った空気が高温などの要因により膨張することによる誘電体基体1へかかる負荷があるので、その負荷を軽減するために、穴部2に充填モールド材9を注入して充填し、その中にICチップ3を埋めることで、穴部2の内部の空気を追い出してもよい。なお、穴部2に充填する充填モールド材9である樹脂はモールド材7以外のものでもよいが、モールド材7と同じ樹脂を使用する場合は、モールド材で接着層6と接触した面と反対側の第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5の面を含む、誘電体基体1の表面及び裏面と誘電体基体1の全ての側面、つまり4面の側面を覆う際に、穴部2の内部の空気を追い出せばよいが、穴部2に樹脂を注入するタイミングが、ICチップ3の挿入後であれば、ICチップ3、第1のアンテナパターン4、第2のアンテナパターン5により穴部2が覆われていない部分に樹脂が注入できる程度に空けておく必要がある。また、穴部2に樹脂を注入するタイミングが、ICチップ3の挿入前であれば、樹脂が注入された後の「穴部」が本実施の形態1に係るRFIDタグの穴部2であるともいえる。
【0033】
図2に示すRFIDタグは、図1に示すRFIDタグの周囲をモールド材7でモールドする前の構造を示しており、このままの構造では、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5が剥き出しになっており、接着層の固定が強固なものでなければ、誘電体基体1とから剥離したり、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5とICチップ3との電気的な接続が維持できなくなったりする可能性がある。仮に、接着層の固定が強固なものであったとしても、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体1が膨張・縮小し、第1のアンテナパターン4又は第2のアンテナパターン5破断のおそれがある。しかし、図2に示すRFIDタグの周囲にモールド材7を配することにより、モールド材7と誘電体基体1との間に第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5がしっかりと固定されるので、第1のアンテナパターン4又は第2のアンテナパターン5が保護されて、温度変化などの設置環境の変化から影響も受けにくくなる。さらに、接着層6として、従来使用していなかった接着シート・接着剤の使用が可能になる。
【0034】
図3示すRFIDタグは、図1と図2とに示すRFIDタグとは穴部の形状・深さが異なる。図1と図2とに示すRFIDタグの穴部2は、誘電体基体1の表面上にのみ開口を持っていたが、図3に示すRFIDタグの穴部8は、誘電体基体1の表面(一主面)と裏面(他の主面)とを貫通した貫通口で、誘電体基体1の表面と裏面との両方に開口を持っている。したがって、ICチップ3の厚みに関する制約条件が緩和され、選択できるICチップの寸法の自由度が高くなる。穴部8は、穴部2に関する説明と同様に、ICチップ3が挿入可能な寸法となっているので、誘電体基体1上にICチップによる突起が生じない。したがって、誘電体基体1とモールド材7との間に不連続面が生じにくく、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小してもアンテナパターンが誘電体基体とモールド材との間にしっかり固定でき、ICチップ3を負荷から保護している。
【0035】
図3(c)に示すように、穴部8の寸法がICチップ3の寸法よりも大きい場合は、ICチップ3に第1のアンテナパターン4と第2のアンテナパターン5とが接続され、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5は誘電体基体1に保持されているので、ICチップ3は所定の位置に配置される。この場合、穴部8の内部に残った空気が高温などの要因により膨張することによる誘電体基体1へかかる負荷を軽減するために、穴部8に充填モールド材9を注入して充填し、その中にICチップ3を埋めることで、穴部8の内部の空気を追い出してもよい。この場合のRFIDタグを示したものが図3(a)である。図3(a)に示されるRFIDタグの穴部8は、充填モールド材9が充填されている。一方、図3(b)は、穴部8に充填モールド材9が充填される前の状態を示した図である。また、穴部8に充填する充填モールド材9である樹脂はモールド材7以外のものでもよいことは穴部2と同様であるが、モールド材7と同じ樹脂を使用する場合は、モールド材で接着層6と接触した面と反対側の第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5の面を含む、誘電体基体1の表面及び裏面と誘電体基体1の全ての側面、つまり4面の側面を覆う際に、穴部8の内部の空気を追い出してもよい。ただし、図3(b)(c)のように、穴部8に樹脂を注入するタイミングが、ICチップ3の挿入後であれば、ICチップ3、第1のアンテナパターン4、第2のアンテナパターン5により、図3のICチップ3周辺のように、穴部8が覆われていない部分を樹脂が注入できる程度に空けておく必要がある。もし、樹脂が注入できる程度に誘電体基体1の表面の穴部8開口が覆われていない部分がない場合でも、誘電体基体1の裏面側の穴部8開口に樹脂が注入できる程度に空きがあれば、誘電体基体1の裏面側の穴部8開口から樹脂を注入することは可能である。ここでいう空きとは、第2のアンテナパターン5が誘電体基体1の裏面側の穴部8開口に一部被っている場合だけなく、第2のアンテナパターン5が誘電体基体1の裏面側の穴部8開口に全く被っていない場合も含む。また、穴部8に樹脂を注入するタイミングが、ICチップ3の挿入前であれば、樹脂が注入された後の「穴部」が本実施の形態1に係るRFIDタグの穴部8(穴部2)であるともいえる。
【0036】
また、図示していないが、図3に示す穴部8の開口を、ICチップ3の厚み以外の外形と同寸の場合は、穴部8に樹脂を注入するタイミングが、ICチップ3の挿入後であれば、ICチップ3、第1のアンテナパターン4、第2のアンテナパターン5により、穴部8が覆われていない部分が誘電体基体1の表面にはないので、前述のように、誘電体基体1の裏面側の開口から穴部8に樹脂を注入する必要がある。この場合も、第2のアンテナパターン5により、誘電体基体1の裏面側の開口が完全に塞がれていないことが前提条件である。なお、穴部2及び穴部8は、誘電体基体1、10の製造後に設けてもよいし、誘電体基体1が射出成形基板であれば射出成形時に設けてもよい。
【0037】
図4示すRFIDタグは、図1〜図3に示すRFIDタグとは誘電体基体の形状が異なる。図4(a)(b)に示すRFIDタグの誘電体基体10は、ともに第1のアンテナパターン4又は第2のアンテナパターン5が配置される一側面の対向する辺に丸みであるコーナー部11を有している。特に、図4(a)は、誘電体基体10の一側面とこの一側面に対向する面と誘電体基体1の表面と成す辺と裏面と成す辺にも、それぞれコーナー部を設けているが、これは誘電体基体10の満たすべき十分条件であって必要条件ではない。つまり、図4(a)に示す誘電体基体10だけでなく、図4(b)に示す誘電体基体10でもよい。これらのような形状を有する誘電体基体10は、第2のアンテナパターン5が配置される誘電体基体1の表面と側面とが成す辺と、第2のアンテナパターン5が配置される誘電体基体1の裏面と側面とが成す辺とに、コーナー部11が設けられているので、第2のアンテナパターン5(フィルム基板を使用している場合は第2のアンテナパターンに対応する部分のフィルム基材も)のコーナー部11と接する箇所に対する応力集中による負荷が低減される。したがって、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小して、誘電体基体の一側面の対向するコーナー部11にかかる負荷が分散され、第2のアンテナパターン5(及びフィルム基材)へかかる負荷を減じることが可能である。また、コーナー部11に第2のアンテナパターン5が配置され、第2のアンテナパターン5自体も角張るように折られないので、第2のアンテナパターン5自体にも無用な負荷を与えない。もちろん、誘電体基体10に、穴部2に代えて穴部8(貫通口)を設けてもよい。
【0038】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図5〜7を用いて説明する。図5は実施の形態1に係るRFIDタグの構成図、図5(a)はRFIDタグの斜視図、図5(b)は図5(a)を矢印方向に分割した断面図、図6は実施の形態1に係るRFIDタグのモールド前の構成図、図6(a)はRFIDタグの斜視図、図6(b)は図6(a)を矢印方向に分割した断面図、図7(a)(b)はRFIDタグの断面図であり、断面の切り方としては、図3(a)(b)と同様である。図5、6、7において、12は誘電体基体1の一側面に設けられた穴部、13はICチップ3の一端に電気的に接続され、誘電体基体1の側面を経由し、誘電体基体1の一主面(表面)に亘り配置された第1のアンテナパターン、14はICチップ3の他端に電気的に接続され、誘電体基体1の側面を経由し、誘電体基体1の他の主面(裏面)に亘り配置された第2のアンテナパターン、15は第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14を誘電体基体1、10に固定する接着シートや接着剤で形成された接着層(なお、図5、6、7においては第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14と誘電体基体1との間に存在しているが、図面上は省略している。)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0039】
実施の形態2と実施の形態1との違いは、誘電体基体1、10に形成されるICチップ3が挿入される穴部の位置(面)が異なることと、アンテナパターンの配置が異なることである。それ以外は共通であるので実施の形態2では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明していく。もちろん、第1のアンテナパターン13と第2のアンテナパターン14とで構成されるアンテナパターン(以下、特に説明が無い場合以外は、「アンテナパターン」とは、第1のアンテナパターン13と第2のアンテナパターン14との両方を指す)を後述するフィルム基材上に形成してもよい。
【0040】
図5及び6に示すRFIDタグは、第1のアンテナパターン13は、誘電体基体1の表面、側面に接着層6を介して固定され、第2のアンテナパターン14は、誘電体基体1の裏面、側面に接着層6を介して固定されている。穴部12は、穴部2と同様にICチップ3が挿入可能な寸法となっており、誘電体基体1上にICチップによる突起が生じない。これによって、誘電体基体1とモールド材7との間に不連続面が生じにくく、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小してもアンテナパターンが誘電体基体とモールド材との間にしっかり固定でき、ICチップ3を負荷から保護している。
【0041】
図6に示すRFIDタグは、図5に示すRFIDタグの周囲をモールド材7でモールドする前の構造を示しており、このままの構造では、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14が剥き出しになっており、接着層の固定が強固なものでなければ、誘電体基体1とから剥離したり、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14とICチップ3との電気的な接続が維持できなくなったりする可能性がある。仮に、接着層の固定が強固なものであったとしても、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体1が膨張・縮小し、第1のアンテナパターン13又は第2のアンテナパターン14破断のおそれがある。しかし、図6に示すRFIDタグの周囲にモールド材7を配することにより、モールド材7と誘電体基体1との間に第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14がしっかりと固定されるので、第1のアンテナパターン13又は第2のアンテナパターン14が保護されて、温度変化などの設置環境の変化から影響も受けにくくなる。さらに、接着層6として、従来使用していなかった接着シート・接着剤が使用可能になる。
【0042】
図7(a)(b)示すRFIDタグは、図5及び6に示すRFIDタグとは誘電体基体の形状が異なる。これは、実施の形態1の図4(a)(b)示すRFIDタグと図1〜3に示すRFIDタグとの関係と同様である。第1のアンテナパターン13が配置される誘電体基体1の表面と側面とが成す辺と誘電体基体1の裏面と側面とが成す辺と、第2のアンテナパターン14が配置される誘電体基体1の裏面と側面とが成す辺と誘電体基体1の裏面と側面とが成す辺とに、コーナー部11を設けているので、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14(フィルム基板を使用している場合はアンテナパターンに対応する部分のフィルム基材も)のコーナー部11と接する箇所に対する応力集中による負荷が低減される。したがって、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小して、誘電体基体の一側面の対向するコーナー部11にかかる負荷が分散され、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14(及びフィルム基材)へかかる負荷を減じることが可能である。また、コーナー部11に第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14が配置され、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14自体も角張るように折られないので、第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14自体にも無用な負荷を与えない。
【0043】
このように、実施の形態2に係るRFIDタグは、ICチップ3を誘電体基体1の一主面に設けた穴部2、8に挿入する場合よりも、アンテナパターン全長(電気長)の中間点近傍にICチップ3を配置しやすくなり、アンテナパターンのアンテナ素子としての調整が容易である。また、ICチップ3が誘電体基体1の一側面に配置されるので誘電体基体1の表面や裏面に負荷がかかったとしても、アンテナパターンのみが誘電体基体1に形成されているだけなので、ICチップ3に与える影響が少ない。
【0044】
次に、実施の形態1及び2に係るRFIDタグの動作について説明する。RFIDシステム全体やRFIDリーダライタの動作は従来技術と同様なので説明を省略し、RFIDタグの動作に絞って図8を用いて説明する。図8は、この発明に係るRFIDタグの基本形の説明図である。図8(a)は本タグアンテナの原型を示しており、アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会編 オーム社刊 1980/10 (120〜121頁))によればスリーブモノポールアンテナと呼ばれている。このアンテナの入力インピーダンス特性,放射特性は給電用同軸線路の内部構造にはほとんど依存せず,給電点から図面上方に伸びている導体の形状,同軸線路外導体の形状,および接地板の位置,形状によりほぼ決定される。RFIDタグへの応用を考えた場合、タグICチップはリーダライタとの通信に必要な機能すべてを有しているので、図8(a)のように外部回路とアンテナとを接続する同軸線路は不要となり、図8(b)に示すように単に給電点にICチップを接続するだけでよい。図8(a)の入力インピーダンス特性および放射特性と図8(b)のそれらとはほぼ同等である。図8(b)の接地板より下の導体はアンテナ特性には無関係であり、また、接地板より上の円柱導体の形状は適宜選定すべき設計事項である。この円柱導体の形状を例えば給電点から上方に伸びている導体の形状と同一にすると、図8(c)となる.実用性の観点から図8(c)の形状では不便であるので、使用し易くなるように折り曲げて低背化すると図8(d)となる。一般に、図8(d)の基本構造を保ったまま導体寸法・形状を変化しても、アンテナとICチップとのインピーダンス整合を良好にすることは容易ではない。そこで、図8(e)に示すショートライン(短絡導体)を付加してアンテナとICチップとのインピーダンス整合状態を良好に調整できるようにした構造が、実施の形態1及び2に係るRFIDタグの基本的な構造である。
【0045】
実施の形態1及び2に係るRFIDタグは、前述のように、誘電体基体1の4つある側面のうち、ICチップ3からの距離が最も近い誘電体基体1の側面又はこの側面と一辺を共有している一側面のことを指すので、この一側面から誘電体基体1の裏面に亘り、第2のアンテナパターン5が誘電体基体1に固定されているので、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとで構成されるアンテナパターン全長(電気長)のほぼ中間点にICチップを配置しやすい。なお、後述の図9〜図13、図15及び16においては、ICチップ3近傍に第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインが図示されている。このショートラインの形状・位置・太さは、図9〜図13、図15及び16に記載されるものだけに限られるわけではないので、これら以外の図面ではショートラインの記載は省略している。しかし、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとが配置される誘電体基体1、10の一主面(表面)・一側面・他の主面(裏面)の3面にショートラインを配置する方が、導電性パターン(第1のアンテナパターン・第2のアンテナパターン・ショートライン)が誘電体基体1、10の4面以上に渡り存在するよりも、誘電体基体1、10の膨張・収縮による導電性パターンへの影響が少なし、ショートラインと誘電体基体1、10との間の接着層6を無くす方向でのRFIDタグ設計実現の可能性が高まる。もちろん、積極的にショートラインと誘電体基体1、10との間に接着層6を配してもよい。また、別途ショートライン用のスルーホールを誘電体基体1、10を形成するよりも、導電性パターンによりショートラインを形成するほうが、遥かに構成が単純になることはいうまでもない。また、ショートラインは第1のアンテナパターンの一部、又は第2のアンテナパターンの一部であると考えてもよいし、アンテナパターンの一部であると考えてもよい。第1のアンテナパターン、第2のアンテナパターン、ショートラインは、一体の導電性パターンとして形成する方が誘電体基体1、10に載置しやすい上、破断の可能性も低減できる。一体で導電性パターンを形成する方が現実的である。なお、ショートラインも、誘電体基体1、10上に載置されて、モールド材7で覆われている。
【0046】
ダイポールアンテナを利用したRFIDタグは、金属面上に設置すると、金属面と平行に電界が存在することができないため、RFIDリーダライタからの電波を受信できず、金属面に設置して運用することが不可能であるが、実施の形態1及び2に係るRFIDタグは、第2のアンテナパターン5、14が接地板として動作しているため、金属面に設置した場合でもRFIDタグとして動作可能であるので、RFIDリーダライタからの送信波を受信することができる。モールド材7は、ダイポールアンテナを使用するRFIDタグのように、ダイポールアンテナとして動作させるために金属からアンテナパターンを離すために設けられているわけではなく、アンテナパターン及びICチップ3の保護として設けられている。なお、RFIDタグを設置面に両面テープなどの接着物で貼る場合も、アンテナパターンを保護する効果があるので、何度もRFIDタグを設置面から剥したり、再度貼り付けたりすることができる。なお、実施の形態1及び2を含む全ての実施の形態に係るRFIDタグの図面に記載されたアンテナパターンの一部には、誘電体基体1、10の表面に配置された第1のアンテナパターン4、13と裏面に配置された第2のアンテナパターン5、14が対称形状になっているものがあるが、これは各図面同士を比較して説明することを容易にするためで、実際は、誘電体基体1、10の形状や比誘電率、ICチップ3が異なれば、アンテナパターンの形状が変わることはいうまでもない。なお、ICチップ3とアンテナパターンとの整合をとるためや更なる小型化のために、ICチップ3とアンテナパターンとの電気的な接続間にメアンダパターン(メアンダ回路)やステップドインピーダンス(容量性)などのパターンを入れてもよい。
【0047】
実施の形態1及び2の変形例.
この発明の実施の形態1及び2の変形例について図9及び10を用いて説明する。図9及び10は本発明に係るRFIDタグのアンテナパターンの変形例(一部)を示す模式図である。図9及び10において、4aはICチップ3との整合をメアンダ回路4aaにより実現した第1のアンテナパターン、4bはICチップ3と接続された端部と反対側の端部にL字状に曲がったステップドインピーダンス4baを有する第1のアンテナパターン、5aは誘電体基体1、10の裏面に配置される部分が、側面及び表面に配置される部分よりも太くなった第2のアンテナパターン、5bは誘電体基体1、10の側面に配置される部分が斜めになった第2のアンテナパターン、5cは誘電体基体1、10の側面に配置される部分がクランク状になった第2のアンテナパターン、45は第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5とを短絡するショートライン及び図9に示す第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを短絡するショートライン、34は第1のアンテナパターン13と第2のアンテナパターン14とを短絡するショートラインである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0048】
引き続き、図9及び10において、4cはICチップ3との接続側が細くなっている第1のアンテナパターン、13aはICチップ3との接続側が細くなっており、側面まで延びた第1のアンテナパターン、13bはICチップ3との接続側で、側面まで延びた部分が細くなっている第1のアンテナパターン、13cはICチップ3との接続側で、側面まで延びた部分が細くなっている第1のアンテナパターン、13dはICチップ3との整合をメアンダ回路13daにより実現した第1のアンテナパターン、5dは誘電体基体1、10の裏面に配置される部分が、側面及び表面に配置される部分よりも太くなった第2のアンテナパターン、14aはICチップ3との接続側が細くなっており、側面まで延びた第2のアンテナパターン、14bはICチップ3との接続側で、側面まで延びた部分が細くなっている第2のアンテナパターン、14cはICチップ3との接続側で、側面まで延びた部分が細くなっている第2のアンテナパターンである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0049】
さらに、図9及び10において、46は第1のアンテナパターン4cと第2のアンテナパターン5dとを短絡するショートライン、47は第1のアンテナパターン13aと第2のアンテナパターン14aとを短絡するショートライン、48は第1のアンテナパターン13bと第2のアンテナパターン14bとを短絡するショートライン、49は第1のアンテナパターン13aと第2のアンテナパターン14bとを短絡するショートライン、50は第1のアンテナパターン13c又は第1のアンテナパターン13dと第2のアンテナパターン14cとを短絡するショートラインである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、前述のように、各ショートラインは各第1のアンテナパターンの一部、又は各第2のアンテナパターンの一部であると考えてもよいし、各アンテナパターンの一部であると考えてもよい。また、図9及び10において、縦に点線が4本走っているが、これは各アンテナパターンが分断されていることを示しているのではなく、図面中央の2本の点線は、アンテナパターンを誘電体基体1(誘電体基体10)に配置したときに折り曲げられる(谷折)位置を示しており、図面両端の2本の点線は、アンテナパターンの端部とアンテナパターンの端部が配置される誘電体基体1の位置を示している。
【0050】
なお、図9及び10において、dは誘電体基体1の表面に配置される第1のアンテナパターン及び第2のアンテナパターンの長さである。ただし、ICチップ3が一側面に配置された場合は、第1のアンテナパターンが誘電体基体1の表面に配置された部分の長さである。dは第2のアンテナパターンの誘電体基体1が一側面に配置された部分の長さ(誘電体基体1の厚み)である。ただし、ICチップ3が一側面に配置された場合は、第2のアンテナパターンの誘電体基体1の一側面に配置された部分の長さではなく、誘電体基体1の一側面に配置された部分の第1のアンテナパターン及び第2のアンテナパターンの長さである。dは第2のアンテナパターンが誘電体基体1の裏面に配置された部分の長さである。例として、図9ではアンテナパターンの端部が誘電体基体1の端部まで延びていないものを示し、図10ではアンテナパターンの端部が誘電体基体10の端部まで延びているものを示している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。また、図9(a)、図9(g)、図10(a)、図10(b)の上に示されている誘電体基体1は、実際の誘電体基体1をアンテナパターンが配置される3面を仮想的に展開した図であり、図9(a)〜(g)、図10(a)〜(f)に示される各アンテナパターンのどの部分が誘電体基体1の、どの部分に配置されるかを説明するためのものである。
【0051】
実施の形態1及び2においてアンテナパターンが単純な矩形の場合で説明してきたが、本発明に係るRFIDタグのアンテナパターンは、実施の形態1及び2で説明したアンテナパターンや実施の形態1及び2に関する図面に示したアンテナパターンだけに限るものではない。実施の形態1及び2で説明したように、誘電体基体1、10の表面に配置された第1のアンテナパターン4、13と裏面に配置された第2のアンテナパターン5、14がそれぞれ対称形状になっているが、これは各図面同士を比較して説明することを容易にするためで、実際は、誘電体基体1、10の形状や比誘電率、ICチップ3が異なれば、アンテナパターンの形状が変わる。したがって、図9及び図10に示すように、誘電体基体1の厚み・寸法や比誘電率などや使用する周波数などにより適宜アンテナパターンの形状を選択すればよい。なお、長さd、d、dは、どのアンテナパターン(第1のアンテナパターン4、4a〜c、13、13a〜dと第2のアンテナパターン5、5a〜d、14、14a〜cとを足した長さ)を選択しても、図9の各アンテナパターンは、図9の図面上では同じ長さになっている。図10の各アンテナパターンは、図10の図面上では同じ長さになっている。これは、各アンテナパターンの形状を比較しやすさを優先したからであって、実際は、誘電体基体1、10とICチップ3とを同じものを使用したとしてもアンテナパターンが変更になれば、長さd、dは変更となる。なお、アンテナパターンの形状が同じものでも、誘電体基体1、10とICチップ3のスペックが変われば、アンテナパターンの寸法が変わるし、ICチップ3とのアンテナパターンとの整合をとるためにアンテナパターンそのものの形状を変更する必要がある場合もある。これは、図4及び7のコーナー部11を有する誘電体基体10の場合でも同じことがいえるし、モールド材7の比誘電率や厚みの変化する場合でも同じことがいえる。さらに、図示はしてないが、図9に記載されたアンテナパターンと図10に記載されたアンテナパターンを組み合わせてもよい。
【0052】
次に、図9及び図10に記載された各アンテナパターンを簡単に説明していく。図9(a)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン4が誘電体基体1の表面のみに配置され、第2のアンテナパターン5が、誘電体基体1の表面・側面・裏面に亘って配置されている。図9(b)のアンテナパターンは、図9(a)のアンテナパターンと異なり、第2のアンテナパターン5よりも、誘電体基体1の裏面側に配置される部分が幅広になった第2のアンテナパターン5aを有している。図9(c)のアンテナパターンは、図9(a)のアンテナパターンと異なり、誘電体基体1の側面に配置される斜めに傾いた第2のアンテナパターン5bを有する。図9(d)のアンテナパターンは、図9(a)のアンテナパターンと異なり、誘電体基体1の側面に配置されるクランク状の第2のアンテナパターン5cを有する。図9(e)のアンテナパターンは、図9(a)のアンテナパターンと異なり、第1のアンテナパターン4aがICチップ3と接続される部分にメアンダ回路4aaを有している。図9(f)のアンテナパターンは、図9(a)のアンテナパターンと異なり、第1のアンテナパターン4aはICチップ3と接続される部分と反対側の端部がL字状に曲げられたステップドインピーダンス4baを有している。図9(a)〜(f)のアンテナパターンでは、ICチップ3が穴部2に載置できるように構成されている。図9(g)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン13が誘電体基体1の表面及び側面に亘って配置され、第2のアンテナパターン14が誘電体基体1の裏面及び側面に亘って配置されている。図9(g)のアンテナパターンでは、ICチップ3が穴部12に載置できるように構成されている。
【0053】
図10のアンテナパターンと図9のアンテナパターンとの相違点は、図10の各アンテナパターンは、ICチップ3との接続されている部分の近傍のパターンがそれ以外の部分よりも細くなっている点である。また、その細くなっている部分に沿う形で、ショートライン46〜50が形成されている。図10(a)〜(d)のショートライン46〜49のぞれぞれは、ICチップ3を挟み込むように2本形成されている。したがって、RFIDタグの設計段階で2本のショートラインの幅や長さを調整することが可能なので、ショートラインの設計のパラメータが増え、アンテナのインピーダンス調整の幅が広がる。図10(a)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン4cが誘電体基体1の表面のみに配置され、第2のアンテナパターン5dが、誘電体基体1の表面・側面・裏面に亘って配置されている。また、第2のアンテナパターン5dの細くなっている部分は、誘電体基体1の表面及び側面のみに配置されている。図10(a)のアンテナパターンでは、ICチップ3が穴部2に載置できるように構成されている。
【0054】
図10(b)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン13aが誘電体基体1の表面及び側面に亘って配置され、第2のアンテナパターン14aが誘電体基体1の裏面及び側面に亘って配置され、第1のアンテナパターン13a及び第2のアンテナパターン14aの細くなっている部分が誘電体基体1の表面及び裏面にまで延びている。図10(c)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン13bが誘電体基体1の表面及び側面に亘って配置され、第2のアンテナパターン14bが誘電体基体1の裏面及び側面に亘って配置され、第1のアンテナパターン13b及び第2のアンテナパターン14bの細くなっている部分は、誘電体基体1の側面にのみ配置されている。図10(d)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン13aが、誘電体基体1の表面及び側面に亘って配置され、第2のアンテナパターン14bが誘電体基体1の裏面及び側面に配置されている。また、第2のアンテナパターン14bの細くなっている部分は、誘電体基体1の側面のみに配置されている。
【0055】
図10(e)のアンテナパターンは、第1のアンテナパターン13cが誘電体基体1の表面及び側面に亘って配置され、第2のアンテナパターン14cが誘電体基体1の裏面及び側面に亘って配置され、第1のアンテナパターン13c及び第2のアンテナパターン14cの細くなっている部分は、誘電体基体1の側面にのみ配置されている。図10(c)との相違点は、図10(e)では、ショートライン50が1本で第1のアンテナパターン13cと第2のアンテナパターン14cとを短絡している点である。図10(f)のアンテナパターンは、図10(e)のアンテナパターンと異なり、第1のアンテナパターン13dがICチップ3と接続される部分にメアンダ回路13daを有している。図10(b)〜(f)のアンテナパターンでは、ICチップ3が穴部12に載置できるように構成されている。このように、各アンテナパターンを図9及び10により簡単に説明したが、各アンテナパターンのショートライン43.45〜50は、その形状(太さ、位置)により、アンテナのインピーダンスが変動するので、第1のアンテナパターン・第2のアンテナパターン・ショートラインのアンテナを構成する3つの導電性パターンにおける相互関係を考慮しながら調整していく必要があることはいうまでもない。
【0056】
以上のように説明した各アンテナパターンのうち、図10(a)、図10(e)、図10(f)に示す3つのアンテナパターンを実装したRFIDタグの構成を例として、実施の形態1及び2の変形例(のRFIDタグ)について図11〜図13を用いて説明する。図11は実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図、図11(a)はRFIDタグの斜視図、図11(b)は図11(a)を矢印方向に分割した断面図、図12は実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図、図12(a)はRFIDタグの斜視図、図12(b)は図12(a)を矢印方向に分割した断面図、図13は実施の形態1及び2の変形例に係るRFIDタグの構成図、図13(a)はRFIDタグの斜視図、図13(b)は図13(a)を矢印方向に分割した断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0057】
図11に記載されたRFIDタグは、図10(a)のアンテナパターンを穴部2が形成された誘電体基体1に配置したものである。図12に記載されたRFIDタグは、図10(e)のアンテナパターンを穴部12が形成された誘電体基体1に配置したものである。図13に記載されたRFIDタグは、図10(f)のアンテナパターンを穴部12が形成された誘電体基体1に配置したものである。このように、図11〜図13に示されるRFIDタグは、実施の形態1及び2に係るRFIDタグと同様にICチップ3による突起が殆んどないだけでなく、全ての導電性パターンが誘電体基体1の一主面・一側面・他の主面にのみ配置されているので、誘電体基体が膨張したり縮小したりして、導電性パターン全面や導電性パターンの曲がっている部分への負荷が最小限度に抑えられているので、導電性パターンの破断の可能性を低減できる。
【0058】
以下の実施の形態3〜5において、実施の形態1及び2(変形例を含む)に係るRFIDタグの製造方法を説明するが、実施の形態3〜5に係る図面では、誘電体基体1のみ記載されているが、アンテナパターンが配置される一側面の対向する辺にそれぞれ丸みを持たせた誘電体基体10(図4)に対しても適用可能なRFIDタグの製造方法であるので、図面を指していない箇所などでは、「誘電体基体1、10」という表現を使用している。また、ICチップ3を挿入・載置する穴部に関しても、穴部2と穴部12との記載しかないが、穴部8(貫通口)を有する誘電体基体1、10を使用してもよい。さらに、アンテナパターンは、代表として第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5の組み合せと第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14の組み合せを用いて説明しているが、実施の形態1及び2(変形例を含む)で説明したアンテナパターン(ショートラインを含む)も、もちろん使用できる。なお、後述の図15及び16において、一部、第1のアンテナパターン4及び第2のアンテナパターン5の組み合せと第1のアンテナパターン13及び第2のアンテナパターン14の組み合せ以外に例として別のアンテナパターン(図10(a)、図10(e)、図10(f)に示したアンテナパターン)も図示している。
【0059】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図14〜18を用いて説明する。実施の形態3は、実施の形態1及び2に係るRFIDタグのモールド工程までの製造方法に関するものである。図14は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程及びICチップ接続工程図、図14(a)はフィルム基材に形成された銅箔にアンテナパターンをマスキングする状態を示した図、図14(b)はエッチングなどにより、アンテナパターン以外の銅箔を除去したフィルム基材を示した図(アンテナパターン形成工程)、図14(c)はアンテナパターンにICチップ3を実装した状態を示した図(ICチップ接続工程)、図15は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程により形成されたアンテナパターン拡大図、図15(a)は図10(a)に示すアンテナパターンのICチップ接続工程前の拡大図、図15(b)は図10(e)に示すアンテナパターンのICチップ接続工程前の拡大図、図15(c)は図10(f)に示すアンテナパターンのICチップ接続工程前の拡大図、図15(d)は図10(a)に示すアンテナパターンのICチップ接続工程前の拡大図(各導電性パターン明示)、図16は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン形成工程及びICチップ接続工程により製造されたアンテナパターン(タグインレット)外観図、図16(a)はフィルム基材付きのタグインレットの外観図、図16(b)はフィルム基材なしのタグインレットの外観図、図16(c)はフィルム基材付きのタグインレットの外観図、図16(d)はフィルム基材なしのタグインレットの外観図、図17は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図、図17(a)は誘電体基体1とアンテナパターン(ICチップ3)との位置合わせを行っている状態を示す図(接着層6は誘電体基体1の一部に形成)、図17(b)は誘電体基体1とアンテナパターン(ICチップ3)との位置合わせを行っている状態を示す図(接着層6は誘電体基体1のアンテナパターンに対応する部分全体に形成)、図17(c)はアンテナパターン固定工程後の誘電体基体1を示す図、図18は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図、図18(a)は誘電体基体1とアンテナパターン(ICチップ3)との位置合わせを行っている状態を示す図(接着層15は誘電体基体1の一部に形成)、図18(b)は誘電体基体1とアンテナパターン(ICチップ3)との位置合わせを行っている状態を示す図(接着層15は誘電体基体1のアンテナパターンに対応する部分全体に形成)、図18(c)はアンテナパターン固定工程後の誘電体基体1を示す図であり、図14〜18において、16はフィルム基材、51はICチップ3とアンテナパターンとを接続する第1のアンテナパターンにおけるICチップ3側の端部から電気的に連続に延び、ICチップ3の接続端子(図示せず)が接触する電気接続部、52はICチップ3とアンテナパターンとを接続する第2のアンテナパターンにおけるICチップ3側の端部から電気的に連続に延び、ICチップ3の接続端子(図示せず)が接触する電気接続部、53はICチップ3の電気接続部が4つあった場合に、電気接続部51、52に接触しない接続端子を載置させるダミーパッド、3a(の点線で示した四角部分)はアンテナパターンのICチップ3実装(載置)位置である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0060】
まず、タグインレットの製造方法を説明する。図14(a)に示すように、片面に銅箔の層が形成されたフィルム基材16(ロール状の銅箔や銅箔とフィルム基材16が接着等により一体になったもの)に所望のアンテナパターンを複数得るために、その形状のマスキングを行う。次に、図14(b)に示すようにマスキングを行ったフィルム基材16をエッチング又はレーザトリミングすることにより、所望のアンテナパターンを得る。このように、導電性パターンである第1のアンテナパターン、第2のアンテナパターン、後述のショートラインを一体で形成することにより、各工程時に導電性パターンの破断などの可能性をより減じることができる。なお、図14には第1のアンテナパターン及び第2のアンテナパターンの外形のみ模式的に示しているが、実際は、アンテナパターン形成工程時にショートラインも形成することが現実的である。その理由は、導電性パターンでショートラインをパターンとして、アンテナパターン形成工程で形成することにより、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを短絡するために、誘電体基体1、10にスルーホール(ICチップ用の穴部8(貫通口)を除く)を設ける工程やアンテナパターンとショートラインとを接続する工程などを省くことができる。図面の簡略化のために図14ではショートラインを省略するが、図15を用いて、ショートラインを含むアンテナパターンの詳細を例として3種類のアンテナパターンを説明する。
【0061】
図15(a)〜(c)に記載されたアンテナパターンは、ICチップ実装位置3aの周辺を拡大した図であり、電気接続部51、52はICチップ3と整合がとれる形状で設計されている。なお、ダミーパッド53は、RFIDタグに使用するICチップ3の接続端子の数によっては、必要の無い場合もあれば、数を変更する必要がある場合がある。また、第1のアンテナパターン・第2のアンテナパターン・ショートラインを同時に形成した場合は、各導電性パターンの境目(導電性パターンとしては連続している)が分からないので、図15(a)の各導電性パターン明示したものを図15(d)に示す。図15(a)及び図15(d)に示す導体パターン(アンテナパターン・ショートライン)は、その外形を分断することなく、導体パターン内に電気接続部をくり貫いたような形で形成することができるので、各工程時に導電性パターンの破断などの可能性をさらに低いものである。図15(d)から、本発明に係るRFIDタグのアンテナパターンに対していえることは、第1のアンテナパターンと第2のアンテナパターンとを接続している部分がショートラインといえ、第1のアンテナパターン(第2のアンテナパターン)におけるICチップと接続される部分を電気接続部といえることである。さらに、それ以外のパターンは、ダミーパッドであったり、ICチップ実装時の目印のマーキングであったりする。
【0062】
アンテナパターン形成工程後に、図14(c)に示すようにアンテナパターンにICチップを実装する。多面付けの状態又はロール状のアンテナパターンにICチップ3を実装する。チップ実装は導電性ペーストを用いて熱圧着する方法やはんだ付けなどの方法を用いる。このようにして得られたタグインレットを図16(a)に示すように、チップ実装後型で打ち抜き個々のタグインレットにする。この際に、アンテナパターンからフィルム基材16を除去してもよい(図16(b))。なお、タグインレットの製造方法は、上記のものに限られたものではなく、フィルム基材16の一つの面に多くのアンテナパターンを面付けする多面付けしてもよい。また、銅箔を型でアンテナパターンに抜いて製造したり、導電性ペーストなどを用いて印刷したりする方法も考えられる。なお、図16(c)・図16(d)は、それぞれ図16(a)・図16(b)に対応し、図16(a)及び図16(b)のアンテナパターン(図9(a))を図10(a)に示すアンテナパターンに変更したものである。図16(c)及び図16(d)に示す導体パターン(アンテナパターン・ショートライン)は、前述のように、各工程時にパターンに付加が掛かっても破断しにくい。
【0063】
続いて、穴部形成工程と接着層形成工程とを説明する。基体(コア)の一主面(表面)又は一側面に穴部を有する誘電体基体1、10を射出成形にて製造又は平板状の基板から打ち抜きなどの加工で製造する。つまり、穴部形成工程は、誘電体基体1、10の形成時の同時に行われる場合もあれば、誘電体基体1、10の形成後に行われる場合もあるということである。接着層形成工程は、誘電体基体1、10に接着シート(両面テープ)や接着剤で形成された接着層6、15を載置するものである。なお、接着層6、15は、アンテナパターン(フィルム基材16)側に設けてもよい。また、誘電体基体1、10に接着層6、15を設けることを接着層形成工程と称すると解釈すると、アンテナパターン(フィルム基材16)側に接着層6、15を設ける場合は、そのアンテナパターン(フィルム基材16)が誘電体基体1、10に固定される後述のアンテナパターン固定工程と同時に接着層形成工程が行われるといえる。
【0064】
これらのアンテナパターン形成工程、ICチップ接続工程、穴部形成工程、接着層形成工程の各工程を経たタグインレットを誘電体基体1、10に固定する工程がアンテナパターン固定工程である。このアンテナパターン固定工程は、第1のアンテナパターンを一主面に、第2のアンテナパターンを他の主面に固定するものだが、詳しくは、誘電体基体1、10に形成される穴部の位置によって形態が異なる。まず、実施の形態1に係るRFIDタグのように穴部が誘電体基体1、10の表面にある場合は、図17(a)(b)に示すように、タグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)と誘電体基体1の一主面との位置合わせを行った後に、誘電体基体1の穴部2にICチップ3を挿入し、第1のアンテナパターン4を誘電体基体1の一主面に、第2のアンテナパターン5を誘電体基体1の一側面及び他の主面に固定する(図17(c))。次に、実施の形態2に係るRFIDタグのように穴部が誘電体基体1、10の側面にある場合は、図18(a)(b)に示すように、タグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)と誘電体基体1の一側面との位置合わせを行った後に、誘電体基体1の穴部12にICチップ3を挿入し、第1のアンテナパターン13を誘電体基体1の一側面及び一主面に、第2のアンテナパターン14を誘電体基体1の一側面及び他の主面に固定する(図18(c))。なお、ICチップ3を穴部2、12に挿入するので、アンテナパターン位置合わせが容易である。また、タグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)と誘電体基体1との位置合わせの精度が高い場合は、最初にICチップ3を穴部2(穴部8)に挿入せずに、第1のアンテナパターン4(第1のアンテナパターン13)又は第2のアンテナパターン5(第2のアンテナパターン14)から誘電体基体1、10に固定して、結果的にICチップ3が穴部2(穴部8)に挿入されるようにしてもよい。なお、図示していないショートラインが誘電体基体1、10の主面、一側面、裏面の3面以外の面に配置される場合は、アンテナパターン固定工程の手順が増える場合や接着層6をその面(ショートラインの全て若しくは一部が配される面)にも設ける必要がある場合もある。また、モールド工程を後に施すので、接着層6、15には、アンテナパターン(又はフィルム基材16)と誘電体基体1、10との接着に従来使用していなかった、或いは、従来利用できなかった接着層でも利用可能となる。
【0065】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図19〜24を用いて説明する。実施の形態4は、実施の形態1及び2に係るRFIDタグのモールド工程までの製造方法に関するものである。なお、アンテナパターン形成工程、ICチップ接続工程、穴部形成工程、接着層形成工程の各工程は、実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法(図14及び図16)と同様であるので省略する。図19は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入前)、図20は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入中)、図20(a)は誘電体基体1及びアンテナパターンとアンテナパターン固定用金型17の開口部とを位置合わせしている状態図、図20(b)は誘電体基体1をアンテナパターン固定用金型17に挿入中の状態図、図21は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入完了)、図22は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入前)、図23は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入中)、図23(a)は誘電体基体1及びアンテナパターン(ICチップ3)とアンテナパターン固定用金型17の開口部とを位置合わせしている状態図、図23(b)は誘電体基体1をアンテナパターン固定用金型17に挿入中の状態図、図24は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程図(誘電体基体挿入完了)であり、図19〜24において、17は誘電体基体1、10の一側面から誘電体基体1、10とアンテナパターン(ICチップ3)とを内部に挿入可能な開口部を有するアンテナパターン固定用金型、18はアンテナパターン及びICチップ3が実装された誘電体基体1、10が取り出し可能な程度の間隙を残して、誘電体基体1、10が収まる寸法のアンテナパターン固定用金型17内の空間で、アンテナパターン固定用金型17の開口部と連通した挿入空間である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0066】
実施の形態4に係るRFIDの製造方法のアンテナパターン固定工程を説明する。アンテナパターン形成工程、ICチップ接続工程、穴部形成工程、接着層形成工程の各工程を経たタグインレットを誘電体基体1、10にアンテナパターン固定用金型17を利用して固定するものである。このアンテナパターン固定工程は、実施の形態3と同様で第1のアンテナパターンを一主面に、第2のアンテナパターンを他の主面に固定するものだが、詳しくは、誘電体基体1、10に形成される穴部の位置によって形態が異なる。なお、アンテナパターン固定用金型17の挿入空間18の誘電体基体1、10の挿入方向の長さは、図19〜24に示すように、誘電体基体1、10の長さよりも長くてもよいし、アンテナパターンが誘電体基体1、10に固定できるのであれば、挿入空間18の誘電体基体1、10の挿入方向の長さが、誘電体基体1、10の長さよりも短くてもよい。また、その場合は、アンテナパターン固定用金型17から誘電体基体1、10の一部がはみ出しているので、アンテナパターン固定用金型17から誘電体基体1、10を引き抜きやすいといえる。
【0067】
まず、実施の形態1に係るRFIDタグのように穴部が誘電体基体1、10の表面にある場合は、図19、図20(a)に示すように、タグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)、誘電体基体1の一側面、アンテナパターン固定用金型17の位置合わせを行った後に、誘電体基体1の一側面を第2のアンテナパターンに押し当てながら、アンテナパターン固定用金型17の開口部から挿入空間18へ誘電体基体1を挿入していく。その過程でICチップ3が穴部2に挿入される(図20b)。そして、アンテナパターンが固定される位置まで誘電体基体1を固定用金型17の挿入空間18に挿入することにより、誘電体基体1にタグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)が実装されるので、誘電体基体1の一側面を第2のアンテナパターンに押し当てる位置の精度を確保すれば、容易に、第1のアンテナパターン4を誘電体基体1の一主面に、第2のアンテナパターン5を誘電体基体1の一側面及び他の主面に固定することができる。(図21)。そして、挿入空間18は、アンテナパターン及びICチップ3が実装された誘電体基体1、10が、取り出し可能な程度の間隙を残しているので、誘電体基体1、10をアンテナパターン固定用金型17から容易に取り出せる。
【0068】
次に、実施の形態2に係るRFIDタグのように穴部が誘電体基体1、10の一側面にある場合は、図22、図23(a)に示すように、タグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)、誘電体基体1の一側面、アンテナパターン固定用金型17の位置合わせを行った後に、誘電体基体1の一側面をICチップ3に押し当てながら、アンテナパターン固定用金型17の開口部から挿入空間18へ誘電体基体1を挿入していく(図23b)。換言すると、誘電体基体1の一側面と第2のアンテナパターン14(第1のアンテナパターン13)とを接触させたときに、穴部12にICチップ3を挿入されるともいえる。ICチップ3を穴部12に挿入することにより、アンテナパターンとIC3チップとの誘電体基体1への位置合わせが完了するので、アンテナパターンが固定される位置まで誘電体基体1を固定用金型17の挿入空間18に挿入することにより、誘電体基体1にタグインレット(アンテナパターン、ICチップ3)が実装されるので、誘電体基体1の一側面をICチップ3(アンテナパターン)に押し当てる位置の精度を確保すれば、容易に、第1のアンテナパターン13を誘電体基体1の一側面及び一主面に、第2のアンテナパターン14を誘電体基体1の一側面及び他の主面に固定することができる(図24)。そして、挿入空間18は、アンテナパターン及びICチップ3が実装された誘電体基体1、10が、取り出し可能な程度の間隙を残しているので、誘電体基体1、10をアンテナパターン固定用金型17から容易に取り出せる。
【0069】
実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法のアンテナパターン固定工程は、アンテナパターン固定用金型17を使用する方法だけに限られるものではなく、誘電体基体1、10の一側面と第2のアンテナパターン5、14(第1のアンテナパターン4、13)とを接触させ、誘電体基体1、10の一側面と一主面とが成す一辺及び一側面と他の主面とが成す一辺側から、一側面が対向する誘電体基体1、10の他の側面側へ一主面と他の主面上にそれぞれ圧力を加えていき、第1のアンテナパターン4、13を一主面に、第2のアンテナパターン5、14を他の主面に固定することができる構成であればよい。例えば、アンテナパターンと誘電体基体1、10をラミネート加工に使用するようなローラー間に誘電体基体1、10の一側面を先頭に挿入するなどが考えられる。もちろん、誘電体基体1、10の厚み方向において、ローラー間の長さはアンテナパターン固定用金型17の開口部と同じ長さである。図示していないショートラインが誘電体基体1、10の主面、一側面、裏面の3面以外の面に配置される場合は、アンテナパターン固定工程の手順が増える場合や接着層6をその面(ショートラインの全て若しくは一部が配される面)にも設ける必要がある場合もある。なお、誘電体基体1、10の主面、一側面、裏面の3面以外の面に無い方が、誘電体基体1、10をアンテナパターン固定用金型17に挿入した際に、アンテナパターンの破断の可能性がより低減される。以下、実施の形態3及び4で説明した誘電体基体1、10にICチップ3及びアンテナパターンを実装したものをコアと称する。
【0070】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図25〜29を用いて説明する。実施の形態5は、実施の形態1及び2に係るRFIDタグの製造方法に関するもので、実施の形態3及び4では説明していなかったモールド工程に関するものである。図25は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図、図26は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図、図27は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図、図28は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法のモールド工程図(最終工程)、図28(a)はモールド用金型から取り出されたモールドされたコアの断面図、図28(b)は支持部材が抜かれたモールドされたコアの断面図、図28(c)は支持部材が抜かれた後にできたモールド材7の未充填空間を有するモールドされたコアの断面図、図29は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図、図29(a)は図25に図示したコア載置方法の変形例の図、図29(b)は図25に図示したコアとはコア自体が異なる図であり、図25〜図29において、19はコアをモールド材7によりモールドするためのモールド用金型の下方金型、20はコアをモールド材7によりモールドするためのモールド用金型の上方金型、21はモールド用金型内の所定の位置にコアを保持するための支持部材、22は上方金型に設けられたモールド材7をモールド用金型に注入するための注入口、23は支持部材21により生じたコアのモールド材7が存在しない部分である未充填空間、24は未充填空間23を封止する封止樹脂である。なお、注入口22は下方金型19側に設けてもよいし、上方金型20と下方金型19との合わせ面に形成するように、上方金型20と下方金型19との合わせ面に注入口となる形状の溝を彫っておいてもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。以下、モールド工程の説明を行う。
【0071】
まず、図25に示すように、モールド用金型の下方金型19にコアを設置するのだが、この際に、コアをモールドして構成されるRFIDタグのコアを所定の位置に配置するために、下方金型19に棒状の支持部材21を載置して、その上にコアを置く。次に、図26に示すように、下方金型19の開口上に上方金型20を載せて、下方金型19と上方金型20とを型締めを行う。ここで、型締めによりモールド用金型内に形成された空間がRFIDタグの外形となる。換言すると、モールド用金型内に形成された空間に支持部材21とコアとが入れることが可能であれば、コアを構成する誘電体基体1、ICチップ3、アンテナパターンのスペックが変更になったとしても、モールド用金型の寸法や内部の形状を変更する必要がないことになる。ただし、コアをモールドするモールド材7の厚みが薄くなり過ぎるような形状・寸法のコアである場合は、モールド用金型内に形成された空間に支持部材21とコアとが入れることが可能であっても、この限りではない。また、モールド材7の厚みの変化により、前述した誘電体基体1、10とICチップ3のスペックが変わることと同様で、RFIDタグとしてのアンテナ性能が変わってしまう可能性があり、アンテナパターンの寸法を変更、ICチップ3とのアンテナパターンとの整合をとるためにアンテナパターンそのものの形状を変更する必要がある場合もある。
【0072】
型締め後、図27に示すように注入口22からモールド材7である熱可塑性の樹脂を注入し、モールド用金型内の空間をモールド材7で満たす。モールド材7が固化した後に、モールド用金型の型締めを外して、上方金型20と下方金型19とを分離して、加硫を行い、モールドされたコア(RFIDタグ)を取り出す。なお、モールド用金型に注入されるモールド材7の勢いで支持部材21によるコアの支持状態が崩れないように、支持部材21の形状や配置を選択する必要があることはいうまでもない。また、支持部材21はモールドされたRFIDタグの外形を構成するものではないので、モールドされたRFIDタグの外形に関係なく支持部材21の形状を選択できる。もちろん、支持部材21の形状は棒状以外の形状でもよいし、図示されるように2本でなくてもよい。
【0073】
図28(a)は、モールド用金型から取り出されたモールドされたコア(RFIDタグ)である。このモールドされたコアから、図28(b)のように支持部材21を引き抜き、その引き抜くことにより生じたモールド材7の未充填空間23を図28(c)のように封止樹脂24で塞ぐことにより、RFIDタグが完成する。封止樹脂24はコアをモールドしたモールド材7と同じものを使用することが理想的であるが、必ずしも同じである必要はない。ここで、説明した封止樹脂24による未充填空間23の封止とモールド工程との関連を説明すると、図28をモールド工程図(最終工程)という説明を行ったが、未充填空間23のあるなしに関わらずモールドされたコアは、RFIDタグとしては動作が可能であるので、未充填空間23の封止をモールド工程に含めなくてもよい。もちろん、未充填空間23の封止を含めたモールド工程としてもよい。なお、コア単体でもRFIDタグとして動作は可能あるが、対環境性面での脆弱性は否定できないことはいうまでもない。
【0074】
モールド用金型に注入する熱可塑性の樹脂であるモールド材7の熱や注入による流圧によりICチップ3の破損・故障のおそれがある場合は、ICチップ3から注入口22への距離を離したり、前述のように、注入口22の設ける位置を変更したりすることにより、モールド材7のICチップ3への影響を低減させることができる。これは、アンテナパターンにも同様のことがいえる。また、注入口22が図26及び27のような場所で固定した場合は、図29(a)のように、ICチップ3が実装された誘電体基体1の表面(一主面)を下方金型19の底面に対向するようにコアをおいてモールド工程を行えばよい。さらに、図29(b)のように、誘電体基体1の一側面にICチップ3を実装したコアでモールド工程を行えば、よりモールド材7のICチップ3への影響を低減させることができる。
【0075】
以上のようなモールド工程により、ICチップ3による突起がない誘電体基体1、10とモールド材7との間に不連続面が生じにくく、温度変化などの設置環境の変化により誘電体基体が膨張・縮小してもアンテナパターンが誘電体基体1、10とモールド材7との間にしっかり固定できる。なお、フィルム基材16を有するアンテナパターンを貼り付けたコアをそのままモールドしてもよいし、モールドする前にアンテナパターンを残し、コアからフィルム基材16を除去してもよい。また、モールド用金型を使用するので、所望の外形・外寸のRFIDタグが得られる。さらに、支持部材21を使用することにより、所望のRFIDタグの外形・外寸に対応する内部構造を有する一つの金型(モールド用金型)でモールド工程が行える。
【0076】
次に、実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法のモールド工程におけるモールド用金型と支持部材の変形例に関し、図30〜37を用いて説明する。図30は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図、図31は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図、図32は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図、図33は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法のモールド工程図(最終工程)、図33(a)はモールド用金型から取り出されたモールドされたコアの断面図、図33(b)は支持部材(下方金型の突起部)が抜かれた後にできたモールド材7の未充填空間を有するモールドされたコアの断面図、図34は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型(下方金型)の断面図、図35は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型の断面図、図36は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用するモールド用金型に樹脂を注入した断面図、図37は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグの断面図であり、図30〜37において、25は下方金型(突起部付き)、26はコアの裏面である誘電体基体1の裏面(他の主面)が対向する下方金型25の底面に形成された突起部、27は突起部26により生じたコアのモールド材7が存在しない部分である未充填空間、28はモールド材7と同じ材料で構成された支持部材である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図30〜33を用いて説明するモールド工程及び図34〜31を用いて説明するモールド工程は、図25〜29を用いて説明したモールド工程との異なる部分を中心に説明を行う。
【0077】
図30〜33を用いて説明するモールド工程と図25〜29を用いて説明したモールド工程とは、支持部材の形式が異なる以外は基本的に同様である。相違点を詳しく説明すると、後者は、支持部材21とモールド用金型の下方金型19とは別に設けられていたが、前者は、支持部材とモールド用金型の下方金型25とを一体化して、支持部材として、コアの裏面である誘電体基体1の裏面(他の主面)が対向する下方金型25の底面に突起部26を形成している点が異なる。
【0078】
図30〜33を用いて説明するモールド工程は、まず、図30に示すように、モールド用金型の下方金型25にコアを設置するのだが、この際に、コアをモールドして構成されるRFIDタグのコアを所定の位置に配置するために、下方金型25に設けられた突起部26の上にコアを置く。次に、図31に示すように、下方金型25の開口上に上方金型20を載せて、下方金型25と上方金型20とを型締めを行う。型締め後、図32に示すように注入口22からモールド材7である熱可塑性の樹脂を注入し、モールド用金型内の空間をモールド材7で満たす。モールド材7が固化した後に、モールド用金型の型締めを外して、上方金型20と下方金型25とを分離して、加硫を行い、モールドされたコア(RFIDタグ)を取り出す。なお、突起部26はモールドされたRFIDタグの外形を構成するものではないので、モールドされたRFIDタグの外形に関係なく突起部26の形状を選択できる。もちろん、突起部26の形状は棒状以外の形状でもよいし、図示されるように2本でなくてもよい。また、突起部26は、コアを構成する誘電体基体1、ICチップ3、アンテナパターンが変更になっても、コアが載置できる形状であれば、突起部26を含む下方金型25の形状を変更する必要はない。
【0079】
図28(a)は、モールド用金型から取り出されたモールドされたコア(RFIDタグ)である。このモールドされたコアを取り出すことにより生じたモールド材7の未充填空間27を図28(b)のように封止樹脂28で塞ぐことにより、RFIDタグが完成するので、図28(b)に示すように、支持部材21を引き抜くような手間がかからない。また、支持部材21では、モールド用金型に注入されるモールド材7の勢いで支持部材21によるコアの支持状態が崩れないように、支持部材21の形状や配置を選択する必要があったが、突起部26は下方金型25と一体化構造又は下方金型25へ挿し込む構造することにより、モールド用金型に注入されるモールド材7の勢い対しての耐性が高くなるので、突起部26は支持部材よりも細いものを選択することができ、未充填空間27を未充填空間25よりも小さくすることが可能となっている。
【0080】
図34〜37を用いて説明するモールド工程と図25〜29を用いて説明したモールド工程とは、支持部材の材質が異なる以外は基本的に同様である。相違点を詳しく説明すると、後者は、支持部材21は、モールド材7と異なる材料で構成されていたが、前者は、支持部材28は、モールド材7と同じ材料で構成されている点が異なる。
【0081】
図34〜37を用いて説明するモールド工程は、まず、図34に示すように、モールド用金型の下方金型19にコアを設置するのだが、この際に、コアをモールドして構成されるRFIDタグのコアを所定の位置に配置するために、下方金型19に棒状の支持部材28を載置して、その上にコアを置く。次に、図35に示すように、下方金型19の開口上に上方金型20を載せて、下方金型19と上方金型20とを型締めを行う。型締め後、図36に示すように注入口22からモールド材7である熱可塑性の樹脂を注入し、モールド用金型内の空間をモールド材7で満たす。モールド材7が固化した後に、モールド用金型の型締めを外して、上方金型20と下方金型19とを分離して、加硫を行い、モールドされたコア(RFIDタグ)を取り出す。なお、モールド用金型に注入されるモールド材7の勢いで支持部材28によるコアの支持状態が崩れないように、支持部材28の形状や配置を選択する必要があることはいうまでもないが、支持部材28は支持部材21と異なり、モールド材7と同じ材料を使用しているので、モールドされたコアから支持部材28を引き抜く必要がないので、支持部材21よりも選択できる形状の幅が広い。また、支持部材28はモールドされたRFIDタグの外形を構成するものではないので、モールドされたRFIDタグの外形に関係なく支持部材28の形状を選択できる。もちろん、支持部材28の形状は棒状以外の形状でもよいし、図示されるように2本でなくてもよい。
【0082】
図37は、モールド用金型から取り出されたモールドされたコア(RFIDタグ)である。このモールドされたコアを取り出すことによりRFIDタグが完成するので、図28(b)に示すように、支持部材21を引き抜くような手間や、図33に示すように未充填空間27を封止する手間がかからない。また、支持部材21では、モールド用金型に注入されるモールド材7の勢いで支持部材21によるコアの支持状態が崩れないように、支持部材21の形状や配置を選択する必要があったが、支持部材21を大きくすることにより、未充填空間25が大きくなってしまい、コアの封止の信頼性が低減する可能性があったが、支持部材28は、コアのモールド後に引き抜く必要ないので、支持部材28を支持部材21よりも大きくすることが可能となっている。
【0083】
実施の形態3〜5に係るRFIDタグの製造方法を概説すると、アンテナパターンにICチップを実装してタグインレットを製造し(アンテナパターン形成工程及びICチップ接続工程)、そのタグインレットを誘電体基体に固定してコアを製造し(穴部形成工程、接着層形成工程、アンテナパターン固定工程)、そのコアをモールド材へ注入してモールドしてRFIDタグを製造する(モールド工程)ものである。完成したRFIDタグが実施の形態1及び2(変形例を含む)に係るRFIDタグとなる。なお、モールド工程は、接着層と接触した面と反対側のアンテナパターンの面を含む、誘電体基体1、10の一主面及び他の主面と誘電体基体1、10の全ての側面をモールド材で覆うものであるが、前述のように、モールド工程に支持部材21や突起部26を有するモールド用金型(下方金型25)を使用した場合に生じる未充填空間23、27が封止されていない場合も含む。
【符号の説明】
【0084】
1…誘電体基体、2…穴部、3…ICチップ、3a…ICチップ実装位置、
4…第1のアンテナパターン、4a〜c…第1のアンテナパターン、
43,45〜50…ショートライン、4aa…メアンダ回路、
4ba…ステップドインピーダンス、5…第2のアンテナパターン、
5a〜d…第2のアンテナパターン、51,52…電気接続部、53…ダミーパッド、
6…接着層、7…モールド材、8…穴部(貫通口)9…充填モールド材、
10…誘電体基体(コーナー部付き)、11…コーナー部、12…穴部(一側面)、
13…第1のアンテナパターン、13a〜d…第1のアンテナパターン、
13da…メアンダ回路、14…第2のアンテナパターン、
14a〜c…第2のアンテナパターン、15…接着層、16…フィルム基材、
17…アンテナパターン固定用金型、18…挿入空間、19…下方金型、
20…上方金型、21…支持部材、22…注入口、23…未充填空間、24…封止樹脂、
25…下方金型(突起部付き)、26…突起部、27…未充填空間、28…支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基体と、この誘電体基体の一主面に設けられたICチップと、このICチップの一端に電気的に接続され、前記一主面上に配置された第1のアンテナパターンと、前記ICチップの他端に電気的に接続され、前記一主面から前記誘電体基体の一側面を経由し、前記誘電体基体の他の主面に亘り配置された第2のアンテナパターンと、前記誘電体基体を覆うモールド材とを備え、前記第1のアンテナパターンと前記第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインを有するRFIDタグ。
【請求項2】
前記一側面は、前記ICチップからの距離が最も近い前記誘電体基体の側面又はこの側面と一辺を共有している側面である請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
誘電体基体と、この誘電体基体の一側面に設けられたICチップと、このICチップの一端に電気的に接続され、前記一側面から前記誘電体基体の一主面上に亘り配置された第1のアンテナパターンと、前記ICチップの他端に電気的に接続され、前記一側面から前記誘電体基体の他の主面に亘り配置された第2のアンテナパターンと、前記誘電体基体を覆うモールド材とを備え、前記第1のアンテナパターンと前記第2のアンテナパターンとを短絡するショートラインを有するRFIDタグ。
【請求項4】
前記誘電体基体は、前記第1のアンテナパターン又は前記第2のアンテナパターンが配置される前記一側面の対向する辺にそれぞれ丸みを持たせたものである請求項1〜3のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記ショートラインは、前記第1のアンテナパターン及び前記第2のアンテナパターンと一体である請求項1〜4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記ショートラインは、少なくとも前記一主面、前記一側面、前記他の主面のいずれかの一面に配置される請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−211748(P2011−211748A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130375(P2011−130375)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【分割の表示】特願2008−71121(P2008−71121)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】