説明

RFIDラベル発行プリンタ及びRFIDラベル

【課題】 RFIDラベルのラベル上紙への印字不良及びICチップの破壊や平面状アンテナの断線等の故障を抑制する。
【解決手段】 RFIDラベル80のラベル上紙82を連続紙とし、ラベル上紙82とインレット85との間に剥離剤層を設けてラベル上紙82のみを剥離可能とする。RFIDラベル発行プリンタではサーマルヘッド42による印字と、リーダ/ライタ30によるICチップ83に対する情報の書き込みや読み出しを、分離部20によって分離されたラベル上紙82とインレット85とにそれぞれ行い、再度貼り合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を使用し非接触でデータの書き込みと読み出しとが可能なRFID(Radio Frequency IDentification)ラベルの発行を行うRFIDラベル発行プリンタ及びRFIDラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDは、ICチップとそれに接続した平面状のアンテナから構成されるインレット(フィルム状の基板)を有している。ICチップは、記憶部、電源整流部、送信部、受信部の4つに区分され、それぞれが働きを分担して通信を行うようになっている。記憶部の容量は、8〜2000バイトであり、何度でもデータの書き換えが行える。
【0003】
通信手順としては、平面状のアンテナがリーダライタからの電波を受信すると、共振作用により起電力が発生(電磁誘導等)し、ICチップが起動してチップ内の情報を信号化し、アンテナから信号がリーダライタ側に発信される。リーダライタ側では、その信号をキャッチすると、データ処理を行うことで、RFID側の情報を認識する。
【0004】
ところで、ICチップに記憶された内容は人間の視覚や従来のバーコードリーダでは読み取れないため、RFIDをラベルやタグと一体化したRFIDラベルとし、そのラベルの表面に文字やバーコードを印字することで、人間の視覚、OCR、バーコードリーダ等で読み取り可能とする利用形態が拡大しつつある。
【0005】
一方、このRFIDラベル発行プリンタに印字を行うラベルプリンタは、印字手段の他にRFIDと通信する非接触通信手段(リーダライタ)を備えている。また、そのリーダライタは、通信用アンテナを有しており、この通信用アンテナを用いてRFIDのアンテナと通信し、ICチップに情報を書き込んだり、ICチップに記録された情報を読み取ったりしている。
【0006】
ところで、このようなRFIDラベルに対してラベルプリンタにより、印字及びICチップへの情報の書き込みを行う際、ICチップに書き込むべき内容とラベルに印字すべき内容とを一致させる必要がある。
【0007】
このような印字や情報の書き込み等を行うものとして、特許文献1では、用紙に設けられたRFIDタグへの読み込み/書き込みを行うRFID読み込み/書き込み装置及び用紙のラベルに印字を行うプリンタ装置を内蔵し、プリンタ装置によりRFID読み込み/書き込み装置で読み取られたRFIDタグからのデータに基づいてラベルに印字を行うようにしたRFID読み込み/書き込み装置付きプリンタを提案している。
【0008】
【特許文献1】特開2001−96814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に示されるRFIDラベル発行プリンタでは、RFID読み込み/書き込み装置で読み取られたRFIDタグからのデータに基づいてラベルに印字を行うようにしているため、RFIDタグに書き込まれた内容とプリンタ装置でラベルに印字される内容とを一致させることができる。
【0010】
ところが、RFIDのインレットは、上述したようにICチップとそれに接続した平面状のアンテナから構成されているため、これらのICチップや平面状のアンテナの厚みにより、印字すべきラベルの表面に凹凸が生じてしまい、印字カスレ等による印字不良を生じてしまうおそれがある。
【0011】
また、インレット自体はICチップや平面状のアンテナとほぼ同じ厚みがあるため、印字すべきラベルの表面のインレットの外周部分に相当する部分に段差を生じてしまい、上記同様に、印字不良を生じてしまうおそれがある。
【0012】
しかも、ラベルへの印字の際はICチップや平面状のアンテナに対して印字部のサーマルヘッド及びプラテンローラから熱や圧力が加わるため、ICチップの破壊や平面状のアンテナの断線等によるRFIDの故障を生じてしまう可能性がある。
【0013】
解決しようとする問題点は、RFIDのICチップ及び平面状のアンテナの厚みやインレット自体の厚みにより、印字すべきラベルの表面に凹凸や段差が生じて印字不良を生じてしまうおそれがあるという点や、印字の際にICチップや平面状のアンテナに対して熱や圧力が加わり、ICチップの破壊や平面状のアンテナ断線等によるRFIDの故障を生じてしまう可能性があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のRFIDラベル発行プリンタは、ICチップとそれに接続した平面状のアンテナからなるインレットが粘着層を介して剥離可能に仮着される台紙と、この台紙のインレットが配置される面に前記インレットを覆うように仮着されるラベル上紙とを有するRFIDラベルを発行するRFIDラベル発行プリンタであって、ロール状に巻回された前記RFIDラベルを装着する供給軸を有する供給部と、前記供給軸から繰り出された前記RFIDラベルのラベル上紙のみを前記台紙から分離させる分離部と、分離された前記ラベル上紙に対して印字を行うサーマルヘッドを有する印字部と、前記台紙側に付着して搬送されるインレットのICチップに対し前記アンテナを介して情報の書き込み/読み出しを行うリーダ/ライタと、印字が行われた前記ラベル上紙と情報の書き込み/読み出しが行われたインレット付台紙とを再度貼り合わせつつ搬送ガイドする貼合ガイド部とを備え、前記サーマルヘッドとリーダ/ライタとを、貼合ガイド部から前記分離部側にほぼ等距離の位置に配置したことを特徴とする。
また、前記分離部は、前記ラベル上紙の上面側に位置する剥離部材と、この剥離部材に接する前記ラベル上紙を上方にガイドするガイドローラとを有し、前記貼合ガイド部は、前記ラベル上紙と前記台紙とを上下から押圧しつつ搬送ガイドを行うガイドローラを有しているようにすることができる。
本発明のRFIDラベルは、ICチップとそれに接続した平面状のアンテナからなるインレットが粘着層を介して剥離可能に仮着される台紙と、この台紙のインレットが配置される面に前記インレットを覆うように仮着されるラベル上紙とを有するRFIDラベルにおいて、前記ラベル上紙は先端から終端まで一連の連続紙で構成し、前記インレットは、裏面側に粘着層を介して台紙に剥離可能に仮着されるとともに、表面側に剥離剤層がインレットを覆うように設けられ、前記ラベル上紙を台紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットが台紙側に付着して残り、前記台紙をラベル上紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットがラベル上紙側に付着して残ることを特徴とする。
本発明のRFIDラベル発行プリンタでは、RFIDラベルのラベル上紙に対するサーマルヘッドによる印字と、インレットに対する情報の書き込み/読み出しとを、同時に搬送されるラベル上紙とインレットに分離してそれぞれ行い、その後再度貼り合わせることにより、それぞれの情報を一致させることとした。
また、本発明のRFIDラベルは、ラベル上紙を先端から終端まで一連の連続紙で構成し、インレットの裏面側に粘着層を介して台紙に剥離可能に仮着されるとともに、インレットの表面側を覆うように剥離剤層を設けた。
ラベル上紙を一連の連続紙としたので、ラベル発行プリンタ内でラベル上紙とインレット付台紙を分離した後の搬送経路が異なっても、インレット付の台紙に対しラベル上紙が不足することなく貼り合わせることができる。
また、上記インレットは所定の厚みと堅さを兼ね備えているので、ラベル上紙を台紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットは台紙側に付着して残り、一方、台紙をラベル上紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットをラベル上紙側に付着して残すことができる。
したがって、本発明のRFIDラベル発行プリンタ内で搬送しながらラベル上紙とインレットが付着した台紙とに分離することができる一方、再度貼り合わせた後には、台紙側を手で剥離することによりラベル上紙とインレットとを一体化して目的物に貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のRFIDラベル発行プリンタ及びRFIDラベルによれば、RFIDラベルのラベル上紙に対する印字部のサーマルヘッドによる印字と、そのサーマルヘッドから搬送方向上流側ほぼ同距離に配置されたリーダ/ライタによるインレットのICチップに対する情報の書き込み/読み出しを、独立して同時に行うことができる。
これにより、ラベル上紙への印字不良及びICチップの破壊や平面状のアンテナ断線等によるRFIDの故障を抑制できる。
また、本発明のRFIDラベルは、本発明のラベル発行プリンタ内でラベル上紙とインレット付台紙とに分離して搬送し、それぞれに情報の印字や書き込み/読み取りをした後、これらを再度貼り合わせて各媒体の情報一致を図ることができる。
また、発行された後には、台紙側を手で剥離することによりラベル上紙とインレットとを一体化して目的物に貼り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態では、RFIDラベルのラベル上紙に対する印字部のサーマルヘッドによる印字と、そのサーマルヘッドに対向する位置にあるリーダ/ライタによるインレットのICチップに対しての情報の書き込みや読み出しを、分離部によって供給部の供給軸から繰り出されるRFIDラベルのラベル上紙のみを台紙から分離させた状態で行わせるようにした。
【0017】
その際、ラベル上紙の表面には、RFIDのICチップ及び平面状のアンテナの厚みやインレット自体の厚みによる凹凸や段差が生じないため、印字カスレ等を生じることなく確実な印字が行われる。また、リーダ/ライタによるインレットのICチップに対しての情報の書き込みや読み出しは、サーマルヘッドからの熱や圧力が加わらない状態で行われるため、ICチップの破壊や平面状のアンテナ断線等によるRFIDの故障が確実に抑制される。
【0018】
また、サーマルヘッドとリーダ/ライタとは、互いに対向する位置にあるため、ラベル上紙に印字される内容とICチップに書き込む内容とが1枚のRFIDラベル毎に一致する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のRFIDラベル発行プリンタの一実施形態を示す図、図2は、図1のRFIDラベルを示す斜視図、図3は、図2のRFIDラベルの1枚分を示す断面図、図4は、図1の制御部の詳細を示すブロック図である。
【0020】
図に示すラベルプリンタは、主として、供給部10、分離部20、リーダ/ライタ30、印字部40、貼合ガイド部50、カッター部60、制御部70を備えている。
【0021】
供給部10の供給軸11には、ロール状に巻回されたRFIDラベル80が装着されている。RFIDラベル80は、印字部40のプラテンローラ41及び貼合ガイド部50の回転駆動により供給軸11から繰り出され、リーダ/ライタ30を経て印字部40に移送される。
【0022】
ここで、印字部40のプラテンローラ41及び貼合ガイド部50は、後述のステッピングモータ93の駆動力を受けて同期回転するようになっている。
【0023】
分離部20は、分離ローラ21とガイドローラ22とを有し、RFIDラベル80の後述のラベル上紙82を剥離台紙81から分離させる。この場合、分離ローラ21(剥離部材)及びガイドローラ22によってラベル上紙82のみが上方に引き上げられるため、後述のインレット85は剥離台紙81側に残されることになるが、その詳細については後述する。
【0024】
リーダ/ライタ30の近傍には、用紙センサ31が設けられており、この用紙センサ31によってRFIDラベル80の後述の剥離台紙81の検出マーク86が検出される。印字部40は、用紙センサ31が検出マーク86を検出したタイミングに基づいて、印字を開始する。
【0025】
印字部40は、対向配置されたプラテンローラ41とサーマルヘッド42を有している。プラテンローラ41とサーマルヘッド42との間には、供給部10から繰り出されたRFIDラベル80のラベル上紙82が供給される。
【0026】
そして、サーマルヘッド42の熱によりラベル上紙82に対しての印字が行われる。なお、ラベル上紙82に対しては、図示しないインクリボンを用い、インクを転写することで印字が行われるようにしてもよい。
【0027】
リーダ/ライタ30は、印字部40のサーマルヘッド42に対向する位置に配設されており、アンテナ32を備えている。アンテナ32は、RFIDラベル80の搬送通路に近接して配置されている。
【0028】
リーダ/ライタ30は、このアンテナ32と、RFIDラベル80の後述のアンテナ84とを介してICチップ83と通信し、ICチップ83に情報を書き込んだり、ICチップ83から情報を読み取ったりする。また、リーダ/ライタ30は、印字部40のサーマルヘッド42に対向する位置に配設されているため、ICチップ83に書き込む内容がラベル上紙82に印字される内容と一致するようになっている。
【0029】
貼合ガイド部50は、ガイドローラ51,52を有し、これらのガイドローラ51,52により分離部20の分離ローラ21によって分離されたRFIDラベル80の後述のラベル上紙82を上下から押圧して剥離台紙81に貼り合わせつつ搬送ガイドを行う。また、これらのガイドローラ51,52は、プラテンローラ41からの回転駆動力を図示しないタイミングベルトによって受けることにより、プラテンローラ41と同期回転するようになっている。
【0030】
貼合ガイド部50の近傍には、可動刃61と固定刃62とを有するカッター部60が設けられており、貼合ガイド部50によって貼り合わされたRFIDラベル80を1枚毎に切断する。切断された1枚毎のRFIDラベル80は、取出口63から取り出される。
【0031】
制御部70は、RFIDラベル80の発行指示に基づき、各部の動作を制御するものであるが、その詳細については後述する。
【0032】
次に、RFIDラベル80について説明する。
図2及び図3に示すように、RFIDラベル80は、剥離台紙81とラベル上紙82との間に、ICチップ83とそれに接続した平面状のアンテナ84から構成されるインレット(フィルム状の基板)85が所定の間隔で配置されている。なお、アンテナ84にあっては、図2のようにコイル状に限らず、UHF帯で使用されるコイル状以外の形状であってもよい。
【0033】
剥離台紙81の下面には、上述した検出マーク86が1枚のRFIDラベル80毎に設けられている。また、剥離台紙81の内側にはシリコン等からなる剥離層87が形成されている。ラベル上紙82の内側には粘着層89が形成されており、ラベル上紙82は粘着層89を介して剥離台紙81の剥離層87上に仮着されている。また、インレット85は、下面側に粘着層88が形成されており、剥離層に埋設された状態で、剥離台紙81上に配置されている。
【0034】
次に、制御部70について説明する。
図4に示すように、制御部70は、CPU71、ROM72、RAM73、プラテン制御回路74、ヘッド制御回路75、用紙センサ制御回路76、カッター制御回路77、外部I/F78、内部I/F79、リーダ/ライタ制御回路79aを備えている。また、これらは、データバス79bを介して相互に接続されている。
【0035】
CPU71は、用紙センサ31からの検出結果やROM72に格納されている制御プログラム等に基づいて、各部の動作を制御する。
【0036】
ROM72には、制御プログラム、各種固定データ、制御テーブルデータ等が格納されている。RAM73には、フラグ、ワークエリア等が格納される。プラテン制御回路74は、印字が行われる際、上述した貼合ガイド部50のガイドローラ51,52とともにRFIDラベル80をサーマルヘッド42側に送る。ヘッド制御回路75は、印字の際にサーマルヘッド42の印字動作を制御する。
【0037】
用紙センサ制御回路76は、用紙センサ31による検出動作を制御するとともに、用紙センサ31からの検出結果をCPU71に与える。カッター制御回路77は、上述したカッター部60の可動刃61を上下動させるカッターモータ94の駆動を制御する。外部I/F78は、PC(パーソナルコンピュータ)90からの印字に関わるデータ等を取り込んだり、RFIDラベル発行プリンタ側のステータス情報等をPC90に送出したりする。
【0038】
内部I/F79は、RFIDラベル発行プリンタ側に設けられている入力部91からの入力情報をCPU71に供給したり、表示部92に表示させるためのステータス情報等を与えたりする。リーダ/ライタ制御回路79aは、リーダ/ライタ30による上述したICチップ83への情報の書き込みやICチップ83からの情報の読み出しを制御する。
【0039】
このような構成では、RFIDラベル80に対して、印字や情報の書き込み/読み出しが行われる場合、図1に示したように、印字部40のプラテンローラ41の回転駆動と、プラテンローラ41と同期回転する貼合ガイド部50のガイドローラ51,52による回転駆動により、RFIDラベル80が供給軸11から繰り出される。
【0040】
このとき、RFIDラベル80のラベル上紙82は、図3で説明したように、粘着層89を介して剥離台紙81側に仮着されており、分離部20の分離ローラ21によって上方に引き上げられることで、剥離台紙81側からの分離が容易に行われる。そして、ラベル上紙82はガイドローラ22によって印字部40のサーマルヘッド42側に搬送され、インレット85は剥離台紙81側に残されたままリーダ/ライタ30側に搬送される。
【0041】
ここで、RFIDラベル80の搬送中に用紙センサ31により、剥離台紙81側の検出マーク86が検出されると、その検出したタイミングに基づいてサーマルヘッド42によるラベル上紙82への印字と、リーダ/ライタ30によるICチップ83への情報の書き込みや、ICチップ83からの情報の読み取りが行われる。
【0042】
この場合、サーマルヘッド42によるラベル上紙82への印字は、ラベル上紙82がインレット85から分離された状態で行われるため、ラベル上紙82の印字面にインレット85による凹凸や段差が無い状態での印字が行われる。
【0043】
また、リーダ/ライタ30側では、剥離台紙81に残されているインレット85がサーマルヘッド42から離れるため、サーマルヘッド42やプラテンローラ41からの熱や圧力が無い状態で情報の書き込みや情報の読み取りが行われる。その際、リーダ/ライタ30のアンテナ32と、RFIDラベル80のアンテナ84とを介してICチップ83との通信が行われることで、ICチップ83への情報の書き込みや、ICチップ83からの情報の読み取りが行われる。
【0044】
また、リーダ/ライタ30は、印字部40のサーマルヘッド42に対向する位置に配設されているため、ICチップ83に書き込む内容がラベル上紙82に印字される内容と一致するようになっている。言い換えれば、1枚毎のRFIDラベル80に対して、印字と情報の書き込み及び情報の読み取りがほぼ同時に行われることになる。
【0045】
このようにして、個別に印字や情報の書き込み及び情報の読み取りが行われたラベル上紙82と剥離台紙81とは、貼合ガイド部50のガイドローラ51,52により上下から押圧されて再度貼り合わされつつカッター部60側に送られる。そして、カッター部60の可動刃61と固定刃62とにより、RFIDラベル80が1枚毎に切断される。切断された1枚毎のRFIDラベル80は、取出口63から取り出される。
【0046】
このように、本実施形態では、RFIDラベル80のラベル上紙82に対する印字部40のサーマルヘッド42による印字と、そのサーマルヘッド42に対向する位置にあるリーダ/ライタ30によるインレット85のICチップ83に対しての情報の書き込みや読み出しを、分離部20によって供給部10の供給軸11から繰り出されるRFIDラベル80のラベル上紙82のみを台紙から分離させた状態で行わせるようにした。
【0047】
これにより、ラベル上紙82の表面には、ICチップ83及び平面状のアンテナ84の厚みやインレット85自体の厚みによる凹凸や段差が生じないため、印字カスレ等を生じることなく確実な印字が行われるようにすることができる。また、リーダ/ライタ30によるICチップ83に対しての情報の書き込みや読み出しは、サーマルヘッド42やプラテンローラ41からの熱や圧力が加わらない状態で行われるため、ICチップ83の破壊や平面状のアンテナ84の断線等によるRFIDの故障が確実に抑制されるようにすることができる。
【0048】
また、サーマルヘッド42とリーダ/ライタ30とは、互いに対向する位置にあるため、ラベル上紙82に印字される内容とICチップ83に書き込む内容とが1枚のRFIDラベル毎に一致するようにすることができる。
【0049】
なお、上述したサーマルヘッド42とリーダ/ライタ30とは、図1のように、貼合ガイド部50から分離部20側にほぼ等距離の位置に配置されており、これによって、貼合ガイド部50のガイドローラ51,52からサーマルヘッド42及びリーダ/ライタ30までの搬送距離がほぼ等しくなる。これにより、印字済みのラベル上紙82が情報の書き込み/読み出しの行われたインレット85に不足なく覆い被さるように貼貼り合わされる。
【0050】
また、図1では、ラベル上紙82の搬送経路が剥離台紙81の搬送経路より長くなる場合を例示した。したがって、この場合のRFIDラベル80は、ラベル上紙82の先端、終端側が剥離台紙81よりも長く形成されていることが好ましい。
【0051】
また、剥離部材としては、分離ローラ21に限らず、小径のピン、(板材やくさび状の)エッジ、小径のローラ等が使用可能である。すなわち、ラベル上紙82を剥離台紙81から剥離するには、ラベル上紙82に急な角度を付けて折り返す(しごく)のが効果的であるためである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のRFIDラベル発行プリンタの一実施形態を示す図である。
【図2】図1のRFIDラベルを示す斜視図である。
【図3】図2のRFIDラベルの1枚分を示す断面図である。
【図4】図1の制御部の詳細を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
10 供給部
11 供給軸
20 分離部
21 分離ローラ
22 ガイドローラ
30 リーダ/ライタ
32 アンテナ
40 印字部
41 プラテンローラ
42 サーマルヘッド
50 貼合ガイド部
51,52 ガイドローラ
80 RFIDラベル
81 剥離台紙
82 ラベル上紙
83 ICチップ
84 アンテナ
85 インレット
87 剥離層
88,89 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップとそれに接続した平面状のアンテナからなるインレットが粘着層を介して剥離可能に仮着される台紙と、この台紙のインレットが配置される面に前記インレットを覆うように仮着されるラベル上紙とを有するRFIDラベルを発行するRFIDラベル発行プリンタであって、
ロール状に巻回された前記RFIDラベルを装着する供給軸を有する供給部と、
前記供給軸から繰り出された前記RFIDラベルのラベル上紙のみを前記台紙から分離させる分離部と、
分離された前記ラベル上紙に対して印字を行うサーマルヘッドを有する印字部と、
前記台紙側に付着して搬送されるインレットのICチップに対し前記アンテナを介して情報の書き込み/読み出しを行うリーダ/ライタと、
印字が行われた前記ラベル上紙と情報の書き込み/読み出しが行われたインレット付台紙とを再度貼り合わせつつ搬送ガイドする貼合ガイド部とを備え、
前記サーマルヘッドとリーダ/ライタとを、貼合ガイド部から前記分離部側にほぼ等距離の位置に配置したことを特徴とするRFIDラベル発行プリンタ。
【請求項2】
前記分離部は、前記ラベル上紙の上面側に位置する剥離部材と、この剥離部材に接する前記ラベル上紙を上方にガイドするガイドローラとを有し、
前記貼合ガイド部は、前記ラベル上紙と前記台紙とを上下から押圧しつつ搬送ガイドを行うガイドローラを有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRFIDラベル発行プリンタ。
【請求項3】
ICチップとそれに接続した平面状のアンテナからなるインレットが粘着層を介して剥離可能に仮着される台紙と、この台紙のインレットが配置される面に前記インレットを覆うように仮着されるラベル上紙とを有するRFIDラベルにおいて、
前記ラベル上紙は先端から終端まで一連の連続紙で構成し、前記インレットは、裏面側に粘着層を介して台紙に剥離可能に仮着されるとともに、表面側に剥離剤層がインレットを覆うように設けられ、前記ラベル上紙を台紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットが台紙側に付着して残り、前記台紙をラベル上紙に対して鋭角に折り返し剥離するとインレットがラベル上紙側に付着して残ることを特徴とするRFIDラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−150861(P2006−150861A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347633(P2004−347633)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】