説明

RFID一括読取装置、物品製造システム

【課題】工場等での個数管理の工程に適したRFID一括読取装置を提供する。
【解決手段】本発明のRFID一括読取装置は、物品を示すデータが格納された複数のRFID103を一括して収容する保持具601と、保持具601に収容された複数のRFID103のデータを受信するアンテナ602と、アンテナ602にて受信されたデータを検出してRFID103の数が所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報を発する警報装置603とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ、非接触データキャリア、無線ICタグ、非接触IC、非接触ICラベル、非接触ICタグなどと呼称される複数のRFID(Radio Frequency Identification:電波方式認識)の一括読み取りを行なうRFID一括読取装置、および該物品を製造する物品製造システムに関する。なお、本明細書では、RFIDとは、無線等の非接触の通信媒体を用いてデータ交信を行ない、固体識別符号などの情報を記録するメモリ付き集積回路を示すものとする。
【背景技術】
【0002】
最近の工場では、RFIDに製造する物品を示すデータを書き込んで物品に取り付け、RFIDからデータを読み取ることで物品管理を行なうことが多くなっている。
【0003】
従来のバーコードによる物品管理においては、バーコードを1枚づつ読み取る必要があったのに対して、RFIDによる物品管理においては、複数のRFIDの一括読み取りが可能であるという非常に大きな利点がある。
【0004】
複数のRFIDの一括読み取りを行なう技術は、現在までに多数開示されており、その一例として、特許文献1,2に開示された技術が挙げられる。
【0005】
特許文献1に開示された技術では、物品を梱包した箱をパレットに積み上げ、そのパレットから距離を置いてアンテナを設置する。各々の箱には、アンテナと正対する側の面にRFIDが取り付けられており、アンテナの設置位置は固定したままアンテナの向きを変えて各々の箱に取り付けられているRFIDを読み取る。
【0006】
特許文献2に開示された技術では、店舗の売り場等の出入り口にアンテナゲートが設置されており、その出入り口を籠車に載せられた状態で通過したRFIDをアンテナゲートで読み取る。
【特許文献1】特開2001−322718号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】特開2003−128213号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、パレットに載置された箱に取り付けられたRFIDを読み取るものであるため、箱の数が多くなった場合や箱のサイズが大きくなった場合には、装置全体が大型化するおそれがあるだけでなく、アンテナとの距離が一定以上離れて、アンテナ側でデータを読み取ることができないRFIDが出てくるおそれがある。RFIDは、電波の周波数帯およびアンテナの出力に応じて出力範囲が異なるため、出力範囲の広いRFIDを用いるという手段も考えられるが、出力範囲の広いRFIDは一般にコストが高いため、装置全体のコストが増大することが懸念される。また、箱の配置等によってRFIDが重なってしまうと、RFIDからの電波を読み取ることができない。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術は、工場等での物品の個数管理の工程に適用した場合、アンテナゲートをどのような物品が通過したかを把握することはできるものの、物品の数が当初予定していた数に満たなかったとしてもそのまま次工程に移行されてしまう。そのため、例えば、工場から出庫される物品をアンテナゲートを通過させた時に、アンテナゲートを通過した物品の数が出庫予定の数に満たなかった場合であっても、これらの物品がそのまま工場から出庫されてしまうといった問題が生じるおそれがある。
【0009】
そこで本発明の目的は、工場等での物品の個数管理の工程に適したRFID一括読取装置、および該物品を製造する物品製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のRFID一括読取装置は、製造する物品を示すデータが格納された複数のRFIDの一括読み取りを行なうRFID一括読取装置において、
前記複数のRFIDを一括して収容する保持具と、
前記保持具に収容された前記複数のRFIDのデータを受信するアンテナと、
前記アンテナにて受信されたデータを検出して前記複数のRFIDの数が所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報を発する警報装置とを有することを特徴とする。
【0011】
この場合、前記アンテナはループ状のアンテナで、ループ部分を水平にした状態で配置されており、ループ部分の内側に前記保持具が設置されていても良い。
【0012】
また、前記保持具は、前記RFIDを垂直方向に所定の間隔をおいて重ねて収容する構造であっても良い。
【0013】
また、前記保持具は、前記RFIDを上下もしくは左右から挟み込む構造であっても良い。
【0014】
また、前記保持具は複数設けられていても良い。
【0015】
また、前記警報装置にてデータが検出されたRFIDの数を表示する表示装置をさらに有していても良い。
【0016】
また、前記表示装置は、前記警報装置にてデータが検出されたRFIDの数の確認を完了した旨の指示を入力するための入力部を備えていても良い。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成される本発明においては、物品を示すデータが格納された複数のRFIDを保持具に収容した状態で一括読み取りを行ない、RFIDの数が所定数以外であれば警報を発する構成となっているので、物品を示すデータを高い精度で読み取ることができるとともに、物品の数が所定数以外の場合にはその旨を周囲に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施例のRFID一括読取装置は、コンピュータを示すデータが格納された複数のRFIDの一括読み取りを行なうものである。ここでは、まず、本実施例のRFID一括読取装置における一括読み取りの対象となるRFIDを用いてコンピュータの製造を行なうコンピュータの製造システムについて説明する。
【0020】
本実施例に係るコンピュータの製造システムは、製造するコンピュータを示すRFIDを用いて製造を行なうものであり、図1は本実施例に係るコンピュータの製造システムの要部構成を示すブロック図、図2は製造ライン(不図示)で行なわれる製造工程の一例を示す図、図3は製造ラインにて製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図、図4は本実施例で作製されて使用されるRFID103を示す平面図、図5はRFID103に格納される情報内容を示す図である。
【0021】
生産指示データベース101は複数の製造ラインのそれぞれで製造される各コンピュータについて、ID番号、納期、受注番号、型番、号機番号および構成コードなどの事項や、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順を格納している。
【0022】
製造するコンピュータを示すRFIDを作製する場合、制御装置104が生産指示データベース101からRFIDを作成するのに必要となる上記の各事項を読み出してRFIDプリント装置102へ送出し、RFIDプリント装置102は該情報に応じてRFID103を作製する。
【0023】
RFID103は表面にID番号、納期、受注番号、型番、号機番号、構成コードなどの事項が印刷され、この他にリサイクルによる作製が可能であることから再発行回数とリサイクル可能な回数(残度数)が印刷されている。また、その表面には受注番号、型番、号機番号、構成コードなどの事項を示す2次元コード402が印刷されている。2次元コード402はコンピュータのテスト工程における、BIOSなどの基本情報を持つ記憶部に書き込むDMI書き込み時に必要な内容を読み込むために活用される。
【0024】
RFにより読み取られるRFID103のチップ内情報としては、製造するコンピュータを示すID番号とリサイクル回数とされている。
【0025】
作製されたRFID103は、対応するコンピュータを製造する製造ラインに人手または自動でセットされる。図2に示される製造工程の例では、RFID103がセットされた後(ステップ201)に、2つの組立工程(ステップ202,203)と3つのテスト工程(ステップ204〜206)が行なわれた後に、箱詰めする梱包工程(ステップ207)、梱包された箱を所定数に纏めるパレタイズ工程(ステップ208)、出荷工程(ステップ209)が行なわれる。
【0026】
各種工程は工程ごとに異なる作業台で行なわれ、RFID103が各作業台を移動するごとに各作業台に応じた作業が行なわれる。
【0027】
図3に示すように各作業台3011〜301nには、図1に示した制御装置104と接続する制御部3041〜304n、各作業台に固有のIDを格納するID記憶部3021〜302n、CRT、LCD等の表示部およびプリンタなどの印刷部から構成され、制御部3041〜304nの制御により表示および印刷を行なう出力表示部3031〜303n、RFIDを読み取るためのRFID読取器3051〜305nが設けられている。
【0028】
次に、本実施例の作業形態について説明する。
【0029】
本実施例では、RFID103に示されるコンピュータを製造するものであるが、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツにもRFIDを取り付け、これらのIDをRFにより読み取って製造を行なうものである。
【0030】
RFID103は、各作業台3011〜301nを移動するが、移動が行なわれるごとに各作業台3011〜301nのRFID読取器3051〜305nによりID番号が読み取られ、各制御部3041〜304nへ送出される。各制御部3041〜304nはRFID103のID番号が送られてくるとID記憶部3021〜302nに格納されている各作業台に固有のIDを読み出してRFID103のID番号とともに制御装置104へ送出する。このとき、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツがある場合にはRFID読取器3051〜305nはこれらのIDをRFにより読み取って各制御部3041〜304nへ送出し、各制御部3041〜304nは各パーツのIDをRFID103のID番号、ID記憶部3021〜302nに格納されている各作業台に固有のIDとともに制御装置104へ送出する。
【0031】
上述したように、生産指示データベース101は複数の製造ラインのそれぞれで製造される各コンピュータについて、ID番号、納期、受注番号、型番、号機番号および構成コードなどの事項や、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順を蓄積するものであり、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順についてはRFID103のID番号と各作業台に固有のIDに対応して格納している。
【0032】
制御装置104は、RFID103のID番号と各作業台に固有のIDとが送られてくると、RFID103のID番号と各作業台に固有のIDに対応して生産指示データベース101に格納されている作業手順を読み出して、これらを送出した各制御部3041〜304nに返送する。
【0033】
また、その作業内容が組立工程における銘板の貼付作業、梱包工程における保証書の同梱作業、パレタイズ工程における箱ラベルの貼付作業を行なうものである場合には、制御装置104は生産指示データベース101に格納されている銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータを読み出して各制御部へ送出する。
【0034】
また、その作業工程が各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツを使用する工程であり、これらのIDが送られてきた場合には、制御装置104は生産指示データベース101のRFID103のID番号に対応して各パーツのIDを蓄積させる。
【0035】
各制御部3041〜304nは作業手順が送られてくると、作業手順を各出力表示部3031〜303nに表示させる。また、このとき、銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータも送られてきている場合にはこれらの印刷を各出力表示部3031〜303nに行なわせる。
【0036】
作業者は各出力表示部3031〜303nに表示されている作業内容に基いて作業を行い、また、銘板、保証書、箱ラベルを使用する工程である場合には、出力表示部により印刷された銘板、保証書、箱ラベルを使用して作業を行なう。
【0037】
テスト工程206までの作業が終了すると、続く梱包工程207では、作業者はコンピュータの箱詰めと共に、RFID103を箱へ取り付ける作業を行ない、パレタイズ工程では、作業者は梱包された箱をパレットに所定数に纏める作業を行なう。
【0038】
パレタイズ工程208が完了すると、パレット上の箱に取り付けられているRFID103を読み取ることで、パレット上のコンピュータの個数が、生産もしくは出荷を予定していた所定数あるかを確認する。そのためには、箱が積まれた状態でパレットをゲートアンテナを通過させ、ゲートアンテナでパレット上のRFIDを一括して読み取ることが最も有効な手段であるが、そのような大型のゲートアンテナは未だ製品化されていない。
【0039】
そこで、本実施例では、パレタイズ工程208が完了した後に、コンピュータの梱包箱に取り付けられているRFID103を、パレットに積まれたコンピュータと同一の並びで保持具に一括して収容し、保持具に収容されたRFIDを一括して読み取る作業を行なう。この作業において本発明のRFID一括読取装置が適用されるが、その説明は後述する。
【0040】
パレット上のコンピュータの個数が所定数であることが確認されると、出荷工程209の前にRFID103は回収され、次に製造を行なうコンピュータのためのRFIDとして再利用される。このとき、制御装置104は、チップ内情報として格納されているリサイクル回数が予め定められている回数、例えば200回を超えているかを確認し、超えている場合には作製することなく廃棄対象とする。リサイクル回数が予め定められている回数の範囲内である場合にはあらたな製造対象のコンピュータのデータを格納する。このとき、表面に印刷されている表面情報、2次元コードは消去してあらたに書き換える。
【0041】
上記のように構成される本実施例においては、各作業台にてRFIDが読み取られるごとに作業手順が表示され、工程に応じて銘板や保証書、箱ラベルが印刷されるので、従来行なわれていた生産指示書、銘板、保証書および箱ラベルのピックアップ作業が必要なくなる。
【0042】
また、必要とされるときに各作業台に表示が行なわれたり、印刷が行なわれる、いわゆるオンデマンド型のシステムとなるので、生産指示書、銘板、保証書および箱ラベルの欠落や重複、紛失などが発生しないものとなる。
【0043】
また、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツについてもその内容がRFにて読み取られて生産指示データベースに101に製造するコンピュータのIDに対応して蓄積されるので、従来必要とされていたパーツに貼付されているバーコードの読取り作業が必要なくなる。
【0044】
なお、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツがRFIDを使用せず、従来から使用されているバーコードが貼付されているものを使用する場合には、各作業台にバーコード読取器を設け、各作業台の制御部はRFID103のIDとともに各パーツのバーコードが示すデータを制御装置104へ送出し、制御装置104は生産指示データベース101のRFID103のID番号に対応して各パーツのバーコードが示すデータを蓄積させるものとしてもよい。
【0045】
以下、パレタイズ工程208の完了後、出荷工程209の前において、パレット上のコンピュータの個数が所定数であることを確認する作業にて適用される、本実施例のRFID一括読取装置について説明する。
【0046】
図6は本実施例のRFID一括読取装置の構成を示す図である。
【0047】
本実施例のRFID一括読取装置は、コンピュータを示すデータ(ID番号)が格納された複数のRFID103を一括して収容する保持具601と、保持具601に収容された複数のRFID103のデータを受信するループ状のアンテナ602と、アンテナ602にて受信されたデータを検出してRFID103の数が所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報を発する警報装置603と、警報装置603にてデータが検出されたRFID103の数を表示する表示装置604とを有している。
【0048】
保持具601は、RFID103を垂直方向に所定の間隔をおいて重ねて収容する構造となっている。保持具601がRFID103を安易に隙間なく重ねて収容する構造であると、後述のようにアンテナ602側での読み取り精度が悪化する。そのため、保持具601は、RFID103を所定の間隔をおいて重ねて収容する構造とするのが好ましく、それにより高い読み取り精度を確保することができる。また、保持具601がRFID103を水平方向に並べて収容する構造であると、保持具601が置かれる底面部分を水平方向に長くしなければならず、装置全体が大型化してしまう。そのため、保持具601は、RFID103を垂直方向に重ねて収容する構造とするのが好ましく、それにより省スペース化を達成することができる。なお、保持具601は、図6のように2列以上に区分けされ、各列においてRFID103を垂直方向に所定の間隔で並べて収容する構造であっても良い。
【0049】
保持具601内で垂直方向に重ねるRFID103どうしの間隔は、例えば、アンテナ602のループ部分の大きさが80cm×60cmである場合は、2cm〜3cm程度にすることが好ましい。この場合、RFID103どうしの間隔を1cm程度にすると、RFID103から発信された電波が互いに干渉し、RFID103の共振周波数にずれが生じるため、アンテナ602側で読み取りが不安定になったり、全く読み取りができなくなったりして読み取り精度が悪化する。一方、RFID103どおしの間隔を拡げると、保持具601の高さが高くなり、アンテナ603と離れた位置にあるRFID103(例えば、保持具601上部のRFID103)の読み取りが困難になる。このことから、垂直方向に重ねるRFID103の数を少なくしなければならない。この場合、保持具601におけるRFID103の総収容数を確保するには、保持具601の列数を増やす必要があるが、列数が多い保持具601をアンテナ602のループ部分の内側に設置することはスペースの問題で難しい。したがって、RFID103どおしの間隔は、アンテナ602側での読み取り精度が悪化しない範囲で最小にすることが好ましい。
【0050】
保持具601内で垂直方向に重ねるRFID103の数は、10枚程度にすることが好ましい。RFID103はアンテナ602から受信した電波による共振作用によって誘電起電力を発生する。例えば、RFID103どうしの間隔を2cm程度にして、RFID103を15枚重ねて収容すると、各々のRFID103にてアンテナ602から受信する電波の電波強度が低下する。電波強度の低下は、アンテナ603との距離が離れたRFID103(例えば、保持具601上部のRFID103)で特に顕著になり、このようなRFID103は誘電起電力が低下して動作が不安定になるためにアンテナ602側での読み取りが不安定になる。したがって、垂直方向に重ねるRFID103の数は、10枚程度にすることが好ましい。
【0051】
保持具601は、1個に限らず、複数個設けても良い。保持具601の個数は、パレットに積み込まれるコンピュータの数に応じて適宜決定される。例えば、保持具601の構造を、RFID103を2〜3cm程度の間隔で垂直方向に10枚重ねる構造とすると、保持具601が2列に区分されている場合、1つの保持具601には計20枚のRFID103が収容されることになる。この場合、パレットに積み込まれるコンピュータが20個であれば保持具601は1個、コンピュータが40個であれば保持具601は2個、コンピュータが60個であれば保持具601は3個設ければ良い。
【0052】
保持具601の材質は、金属類以外のプラスチック等を使用することができる。
【0053】
保持具601におけるRFID103の収容部分は、図7に示すようにRFID103を左右から挟み込む構造になっているが、本発明はこれに限定されず、RFID103を上下から挟み込む構造としても良く、また、収容するRFID103に対応する数の設置台を設けて、その設置台の上にRFID103を差し置く構造としても良い。ただし、保持具601は移動可能であるため、移動中にRFID103の抜け落ちを防ぐために、RFID103を上下もしくは左右から挟み込む構造とするのが好ましい。
【0054】
アンテナ602は、ループ状のアンテナで、ループ部分を水平にした状態で配置されており、ループ部分の内側に保持具601が設置されている。
【0055】
アンテナ602のループ部分の高さは、保持具601が置かれている底面から一定の距離だけ高くすることが好ましく、保持具601内で最も高い位置にあるRFID103と最も低い位置にあるRFID103との真ん中付近の高さにすることが特に好ましい。
【0056】
警報装置603は、図8に示すように、RFID読取器801と、通信部802と、判定部803と、警報発生部804とを有している。
【0057】
RFID読取器801は、アンテナ602にて受信されたRFID103のデータ(ID番号)を検出して判定部803へ送出する。
【0058】
通信部802は、パレットに本来積み込まれているべきコンピュータの所定数を示すデータ、すなわち該当する製造ラインで生産が予定されていたコンピュータの数を示すデータを、例えば制御装置104から受信して判定部803へ送出する。この場合、生産指示データベース101に複数の製造ラインのそれぞれで生産を予定しているコンピュータの数を蓄積しておく。そして、通信部802は、制御装置104と無線または有線で接続し、生産指示データベース101から制御装置104により読み出されたコンピュータの生産予定数のデータを、制御装置104から受信する。
【0059】
判定部803は、RFID読取器801および通信部802から送出されたデータに基づき、RFID103の数が、生産予定の所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報発生信号を出力する。また、判定部803は、RFID103の数を表示装置604に通知する。
【0060】
警報発生部804は、判定部803から警報発生信号が出力された時に警報を発するブザー等である。
【0061】
表示装置604は、警報装置603にてデータが検出されたRFID103の数を、警報装置603の判定部803からの通知に基づき表示する。また、表示装置604は、作業員が入力操作を行なうためのタッチパネルを備えており、作業員は、表示装置604に表示されたRFID103の数が、目視で確認したRFID103の数とが一致しているか確認し、確認完了指示を入力操作を行なうための入力部であるタッチパネルにて入力できるようになっている。
【0062】
ここで、本実施例のRFID一括読取装置の動作について説明する。
【0063】
パレタイズ工程208が完了すると、作業員はパレット上の箱の各々に取り付けられているRFID103を取り出して保持具601に収容する。なお、RFID103を保持具601に収容するのはパレタイズ工程208の完了後ではなく、パレタイズ工程208においてコンピュータの箱をパレットに積み込む度に、随時、積み込んだ箱からRFID103を取り出して保持具601に収容することにしても良い。そして、作業員は、RFID103が収容された保持具601をアンテナ602のループ部分の内側に設置する。
【0064】
保持具601に収容されたRFID103は、アンテナ602からの電波を受信することで誘電起電力を発生し、チップ内情報として書き込まれているデータ(ID番号)を電波によって発信する。このデータはアンテナ602で受信される。
【0065】
警報装置603では、RFID読取器801により、アンテナ602で受信されたデータが検出されて判定部803に送出される。その一方、通信部802により、該当する製造ラインで生産予定であったコンピュータの数を示すデータが制御装置104等から受信されて判定部803に送出される。判定部803では、RFID読取器801および通信部802から送出されたデータに基づいて、RFID103の数が、コンピュータの生産予定の所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報発生信号を出力し、それにより警報発生部804から警報が発せられる。
【0066】
さらに、警報装置603では、判定部803は、データが検出されたRFID103の数を表示装置604に通知し、表示装置604では、RFID103の数を表示する。
【0067】
そして、作業員は、保持具601に収容されているRFID103の数を目視で確認し、表示装置604に表示されたRFID103の数と一致しているか確認し、その確認完了指示をタッチパネルにて入力する。
【0068】
上述したように本実施例においては、製造したコンピュータを示す複数のRFID103を一括して収容する保持具601を設け、保持具601にRFID103を収容した状態で一括読み取りを行っているため、RFID103のデータを省スペースでかつ非常に高い精度で読み取ることができる。また、保持具601に収容されているRFID103の数が所定数以外の場合に警報を発するため、コンピュータの数が例えば生産予定の所定数以外であれば、その旨を作業員に知らせることができる。それにより、生産予定数に満たないままでコンピュータが工場から出荷されてしまうこと等を防止することができる。
【0069】
また、本実施例においては、保持具601がRFID103を所定の間隔をおいて収容する構造となっているため、RFID103を隙間なく重ねて収容する構造と比較して、高い読み取り精度を確保することができる。また、RFID103を垂直方向に重ねて収容する構造となっているため、RFID103を平面上に並べて収容する構造と比較して、さらなる省スペース化を図ることができる。
【0070】
なお、本実施例においては、本発明のRFID一括読取装置を複数のRFID103の一括読み取りに使用する場合について説明したが、本発明のRFID一括読取装置は、複数のRFID103への一括書き込みにも使用することができる。
【0071】
また、本実施例においては、警報装置603が制御装置104とは別個のものであるとして説明したが、本発明はこれに限らず、警報装置603を制御装置104と一体としてもよい。また、警報装置603を一体化した制御装置104、生産指示データベース101およびRFIDプリント装置102は一般的なコンピュータシステムとして構成されるものであり、これらは1つの生産制御部として構成することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施例に係るコンピュータの製造システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】製造ライン(不図示)で行なわれる製造工程の一例を示す図である。
【図3】製造ラインにて製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施例で作製されて使用されるRFID103を示す平面図である。
【図5】RFID103に格納される情報内容を示す図である。
【図6】本実施例のRFID一括読取装置の構成を示す図である。
【図7】図6に示した保持具のRFID収容部分の構造の一例を示す図である。
【図8】図6に示した警報装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
101 生産指示データベース
102 RFIDプリント装置
103 RFID
104 制御装置
3011〜301n 作業台
3021〜302n ID記憶部
3031〜303n 出力表示部
3041〜304n 制御部
3051〜305n RFID読取器
601 保持具
602 アンテナ
603 警報装置
604 表示装置
801 RFID読取器
802 通信部
803 判定部
804 警報発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を示すデータが格納された複数のRFIDの一括読み取りを行なうRFID一括読取装置において、
前記複数のRFIDを一括して収容する保持具と、
前記保持具に収容された前記複数のRFIDのデータを受信するアンテナと、
前記アンテナにて受信されたデータを検出して前記複数のRFIDの数が所定数であるかどうかを確認し、所定数以外の場合に警報を発する警報装置とを有することを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のRFID一括読取装置において、
前記アンテナはループ状のアンテナで、ループ部分を水平にした状態で配置されており、ループ部分の内側に前記保持具が設置されていることを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のRFID一括読取装置において、
前記保持具は、前記RFIDを垂直方向に所定の間隔をおいて重ねて収容する構造であることを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載のRFID一括読取装置において、
前記保持具は、前記RFIDを上下もしくは左右から挟み込む構造であることを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のRFID一括読取装置において、
前記保持具は複数設けられていることを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のRFID一括読取装置において、
前記警報装置にてデータが検出されたRFIDの数を表示する表示装置をさらに有することを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載のRFID一括読取装置において、
前記表示装置は、前記警報装置にてデータが検出されたRFIDの数の確認を完了した旨の指示を入力するための入力部を備えることを特徴とするRFID一括読取装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の警報装置を生産制御部として具備し、製造する物品を示すデータとして物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して格納されているデータを返送し、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
前記製造用IDを格納するID記憶部と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記記憶部に格納されている製造用IDを読み出して前記物品IDとともに前記生産制御部へ送出し、その後、前記生産制御部より送られてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有することを特徴とする製造システム。
【請求項9】
請求項8記載の製造システムにおいて、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業手順を格納し、出力部は前記作業手順を表示することを特徴とする製造システム。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の製造システムにおいて、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業で必要とされる印刷物を印刷するためのデータを格納し、出力部は前記印刷物を印刷することを特徴とする製造システム。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の製造システムにおいて、
読取器は製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているRFIDに格納されているパーツIDを読み取り、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記パーツIDを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記パーツIDを蓄積することを特徴とする製造システム。
【請求項12】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の製造システムにおいて、
作業台に設けられた製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているバーコードのデータを読み取るバーコード読取器を有し、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記バーコードのデータを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記バーコードのデータを蓄積することを特徴とする製造システム。
【請求項13】
請求項8ないし請求項12のいずれかに記載の製造システムにおいて、
RFIDは生産制御部により作製されることを特徴とする製造システム。
【請求項14】
請求項13記載の製造システムにおいて、
RFIDはリサイクル可能に構成され、生産制御部はリサイクルにより作製された回数が予め定められた回数以下のときにRFIDを作製することを特徴とする製造システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−113901(P2006−113901A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302011(P2004−302011)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】