説明

ROADM装置及び光アド・ドロップ方法

【課題】本発明は、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服するものである。第1に、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を大幅に緩和することを目的とする。第2に、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本願発明のROADM装置及び光アド・ドロップ方法は、ドロップする信号を位相反転したものを、入力された多チャネル光信号に加算することで、ドロップする信号の消去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定チャネル信号のアド又はドロップを行うROADM装置及び光アド・ドロップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高精細動画像配信といった高速サービスのニーズ、並びに、高効率の帯域収容・保守運用性向上といった運用面のニーズ、等をトリガとして、大容量かつフレキシブルな光ネットワークの開発が盛んに進められている。このようなネットワークに求められる特徴は、マルチリング構成、フルメッシュなパス収容を可能とするアップグレーダビリティ、将来的なノード・サブリング追加を可能とするトランスペアレンシ、可能な限りノード内再生中継(O−E−O変換)を不要化するパスドロップアンドコンティニュー機能の具備、等である。
【0003】
上記機能を実現するためのキーコンポーネントとして、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置が開発されている。図13に、従来のROADM構成例を示す。波長分割多重(WDM)を用いて多重された多チャネル光信号は、光増幅器81にて増幅された後、光カップラ82を透過し、一方は光フィルタ86にて特定チャネルの光信号がドロップされ、他方は波長ブロッカ84へと入力される。波長ブロッカ84は、WDM信号を分波し、波長毎に透過・遮断することが可能なデバイスであり、PLC(Planar Lightwave Circuit)技術、液晶技術、MEMS技術等を用いて実現できる(例えば、非特許文献1参照)。波長ブロッカ84の出力光信号と、もう1台の光フィルタ86を用いて合波されたアド信号は、もう1台の光カップラ85を用いて合波され、出力段に配置された光増幅器に87より所望の光信号パワーに増幅された後、出力する。本構成により、ドロップされないチャネルの光信号はO−E−O変換なしにスルーされるため、光パスのドロップアンドコンティニューが可能となる。加えて、波長ブロッカ84でドロップされる光信号を遮断することにより、ドロップ信号とアド信号を同一光波長にすることができ、波長の再利用が可能となる。
【0004】
図14は、従来のROADM装置の別の構成例である。波長ブロッカ84と光カップラ85の代わりに、波長選択スイッチ88(WSS:Wavelength Selective Switch)を用いて、ドロップアンドコンティニューと特定チャネルのアド又はドロップを実現している。WSS88は、先の液晶技術やPLC技術やMEMS技術を組み合わせて実現できる(例えば、非特許文献1参照)。本構成は、多ポートのアド又はドロップを可能とする点も特徴である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】E.Bert Basch et al.,“Architectural Tradeoffs for Reconfigurable Dense Wavelength−Division Multiplexing Systems”,IEEE J.Sel.Topics in Quantum Electron.,vol.12,no.4,pp.615−626,Jul.−Aug.2006.
【非特許文献2】T.Kobayashi et al.,“Electro−optically multiplexed 110Gbit/s optical OFDM signal transmission over 80km SMF without dispersion compensation”,Electronics Letters,vol.44,no.3,pp.225−226,2008.
【非特許文献3】A.Sano et al.,“69.1−Tb/s(432 x 171−Gb/s)C−and Extended L−Band Transmission over 240km Using PDM−16−QAM Modulation and Digital Coherent Detection”,OFC2010,PDPB7,2010.
【非特許文献4】R Sambaraju et al.,“Generation of Multi−Gigabit−per−Second MQAM/MPSK−Modulated Millimeter−Wave Carriers Employing Photonic Vector Modulator Techniques”,IEEE J. Lightwave Technol.,vol.25,no.11,pp3350−3357,Jul.2007.
【非特許文献5】T.Kobayashi et al.,“160−Gb/s Polarization−Multiplexed 16−QAM long−haul transmission over 3,123km using digital coherent receiver with digital PLL based frequency offset compensator”,OFC2010,OTuD1,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のROADM装置を用いて光ノード、光ネットワークを構成する場合、主に2つの技術課題がある。第1に、光信号合分波に光フィルタを使用することによるガードバンド使用、及び、光信号チャネル間隔に対する制限が挙げられる。従来構成のROADM装置では、光信号使用帯域と光フィルタの波長依存性に応じてガードバンドを設け、ガードバンド内の光周波数グリッド使用を回避する必要があった。また、従来の光フィルタを用いたROADM装置は、チャネル間隔の非常に狭い光信号のアド又はドロップには適さない。例えば近年、光周波数利用効率を大幅に改善するための技術として光OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が盛んに検討されている。光OFDM方式は、サブキャリア間の直交関係を利用して非常に高密度なキャリア多重を可能とし(例えば、非特許文献2参照)、各々のサブキャリアが光周波数軸上で重畳されている。このように、光周波数軸上で重なったサブキャリアのアド又はドロップは、従来の光フィルタを用いた手段では実現困難であった。
【0007】
第2に、光フィルタの多段透過時における光信号スペクトルの帯域遮断による伝送距離制限が挙げられる。将来的には、マルチリングネットワークのノード数は数十以上になることが予想され、ネットワーク内の最長パスのチャネル信号は、数十段以上の光フィルタを透過することになる。そのため、ネットワーク内の主伝送路は、フィルタリング効果の影響を極力低減することが望ましい。
【0008】
本発明は、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服するものである。第1に、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を緩和することを目的とする。第2に、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明のROADM装置及び光アド・ドロップ方法は、ドロップする信号を位相反転したものを、入力された多チャネル光信号に加算することで、ドロップする信号の消去を行う。これにより、光フィルタを用いることによる上記第1及び第2の課題を解決し、チャネル間隔の非常に狭い多チャネル光信号に対して、ドロップアンドコンティニューと特定チャネルのアド・ドロップ機能を提供する。
【0010】
まず、本発明の原理を、光OFDM信号の例を用いて説明する。図1において、サブキャリア光周波数f,f,…,fを有する多チャネル光信号(S(t),S(t),…,S(t),t:時間)から予め定められた特定チャネルのS(t)(サブキャリア光周波数f)をドロップし、S(t)(サブキャリア光周波数f)をアドすることを考える。多チャネル光信号を分岐後、受信器Rxにて、特定チャネルのドロップ光信号S(t)を抽出して電気信号のドロップ信号s(t)に変換、もしくは多チャネル光信号を一括で電気信号に変換し、信号処理にてドロップ信号s(t)を抽出して受信する。一方、アド光信号S(t)をアドする際は、電気信号のアド信号s(t)とドロップ信号s(t)を用いて、共に光周波数fを有するアド光信号S(t)と位相反転ドロップ光信号−S(t)を生成する。位相反転ドロップ光信号−S(t)はドロップ光信号S(t)を位相反転させることにより生成できる。これらを加え合わせて(S(t)−S(t))のアド調整光信号を生成し、送信器Txにて、多チャネル光信号を分岐後のスルー信号に加え合わせることにより、ドロップ光信号S(t)が消去され、アド光信号S(t)が合波された多チャネル光信号SOUTが得られる。
【0011】
上記原理を、複素シンボル、即ち変調データの複素数表現を用いて更に説明する。振幅変調成分a(t)および位相変調成分b(t)を有する光信号S(t)は、
S(t)={a(t)+jb(t)}exp(j2πft)
と表すことができる。exp(j2πft)はキャリア光周波数fの搬送波による項である。a(t)+jb(t)は光信号データによって決まり、変調方式によりa(t)およびb(t)の取り得る値を複素平面上に幾何学的に表現できる。上記表現は信号点配置(コンステレーション)と呼ばれる。例として、OOK(On−Off−Keying)、BPSK(Binary Phase−Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)のコンステレーションを図2(a)〜(c)に示す。本発明の原理である位相反転をコンステレーションで表すと、図2(d)のようになる。具体的には、任意の振幅変調・位相変調成分を有する信号に対して、a(t)およびb(t)を抽出して位相をπシフトさせることにより、正負符号が逆転した信号を作ることができる。
【0012】
具体的には、本発明に係るROADM装置は、光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力するROADM装置であって、入力された前記多チャネル光信号を光電変換するOE変換部と、前記OE変換部からの多チャネル信号をAD変換する入力信号用AD変換部と、前記入力信号用AD変換部からデジタル化された前記多チャネル信号が入力され、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するディジタル信号処理部と、前記ディジタル信号処理部の受信した前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成する位相反転部と、入力されたアド信号をAD変換するアド信号用AD変換部と、前記入力信号用AD変換部からの前記多チャネル信号と前記位相反転部からの前記位相反転ドロップ信号を加算することにより前記多チャネル信号に含まれる前記ドロップ信号を消去し、前記ドロップ信号の消去された前記多チャネル信号と前記アド信号用AD変換部でAD変換後の前記アド信号とを加算して出力するアド信号調整部と、前記アド信号調整部の出力するアド調整信号をDA変換するDA変換部と、前記DA変換部からの前記アド調整信号を用いて多チャネル光信号を発生する信号発生部と、を備える。
【0013】
本発明に係るROADM装置は、OE変換部と、入力信号用AD変換部と、ディジタル信号処理部と、を備えるため、所望ドロップチャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号を受信することができる。本発明に係るROADM装置は、位相反転部と、アド信号用AD変換部と、アド信号調整部と、を備えるため、多チャネル光信号からドロップ光信号を電気段で消去し、所望ドロップチャネルと同一周波数帯域にアド信号を載せることができる。本発明に係るROADM装置は、DA変換部と、信号発生部と、を備えるため、多チャネル光信号を出力することができる。このように、本発明に係るROADM装置は、光フィルタを用いずに、多チャネル光信号からドロップ光信号を消去し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せるため、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服することができる。すなわち、本発明に係るROADM装置は、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を緩和することができるとともに、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することができる。
【0014】
具体的には、本発明に係るROADM装置は、光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力するROADM装置であって、入力された前記多チャネル光信号を分岐し、一方の分岐光をOE変換部及び光周波数・位相抽出部に出力し、他方の分岐光を光合波部に出力する光分岐部と、前記光分岐部で分岐された一方の分岐光を光電変換するOE変換部と、前記OE変換部で光電変換された多チャネル信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部からデジタル化された前記多チャネル信号が入力され、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信すると共に、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理部と、前記ディジタル信号処理部の生成する位相反転ドロップ信号をDA変換するDA変換部と、前記光分岐部で分岐された一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相を抽出する光周波数・位相抽出部と、前記光周波数・位相抽出部の抽出する光周波数及び位相に同期した光を前記DA変換部からの位相反転ドロップ信号にて変調し、位相反転ドロップ光信号を発生する位相反転ドロップ光信号発生部と、前記光周波数・位相抽出部の抽出する光周波数及び位相に同期した光をアド信号にて変調し、アド光信号を発生するアド光信号発生部と、前記位相反転ドロップ光信号発生部の発生する前記位相反転ドロップ光信号及び前記アド光信号発生部の発生する前記アド光信号の位相を、前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の位相に調整するアド光信号調整部と、前記アド光信号調整部からの前記位相反転ドロップ光信号を前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に合波することにより前記多チャネル光信号に含まれる前記ドロップ光信号を消光し、前記アド光信号調整部からの前記アド光信号を前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に合波して出力する光合波部と、を備える。
【0015】
本発明に係るROADM装置は、光分岐部と、OE変換部と、AD変換部と、ディジタル信号処理部と、を備えるため、所望ドロップチャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号を受信することができる。本発明に係るROADM装置は、DA変換部と、光周波数・位相抽出部と、位相反転ドロップ光信号発生部と、アド光信号発生部と、アド光信号調整部と、光合波部と、を備えるため、多チャネル光信号からドロップ光信号を消光し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せることができる。このように、本発明に係るROADM装置は、光フィルタを用いずに、多チャネル光信号からドロップ光信号を消去し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せるため、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服することができる。すなわち、本発明に係るROADM装置は、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を緩和することができるとともに、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することができる。
【0016】
本発明に係るROADM装置では、前記特定チャネルのサブキャリア信号を選択的に通過させる光チャネル選択部を、前記光分岐部と前記OE変換部及び前記光周波数・位相抽出部との間にさらに備えていてもよい。
本発明により、OE変換部及び光周波数・位相抽出部に入力される光信号の周波数帯域が狭くなるため、OE変換部及び光周波数・位相抽出部の装置構成を簡略化することができる。
【0017】
具体的には、本発明に係るチャネル群ROADM装置は、前記多チャネル光信号は、1以上のチャネルを基本単位とするチャネル群を波長軸上に複数配置することで構成され、前記多チャネル光信号の光パワーを増幅する光増幅部と、前記多チャネル光信号を各チャネル群の光信号に分波するチャネル群分波部と、前記チャネル群分波部の分波した前記各チャネル群の光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドして再び各チャネル群の光信号として出力する本発明に係る2以上のROADM装置と、前記ROADM装置の出力した各チャネル群の光信号を前記多チャネル光信号へと合波するチャネル群合波部と、前記チャネル群合波部からの前記多チャネル光信号を増幅する光増幅部と、を備える。
光増幅部と、チャネル群分波部と、2以上のROADM装置と、チャネル群合波部と、光増幅部と、を備えるため、チャネル群毎にアド又はドロップすることができる。これにより、多チャネル光信号の伝送路中に挿入する光フィルタは最小限にして、非常に多チャネルの光信号のアド又はドロップが可能となる。
【0018】
本発明に係るチャネル群ROADM装置では、前記チャネル群分波部と前記ROADM装置の間に、当該各々のチャネル群の光パワーを調整する光パワー調整部を具備していてもよい。
本発明により、各チャンネル群の光パワーを各ROADM装置のアド・ドロップに適した光パワーに調整することができる。
【0019】
具体的には、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力する光アド・ドロップ方法において、入力された前記多チャネル光信号を光電変換するOE変換手順と、光電変換後の多チャネル信号から、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するとともに、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理手順と、光電変換後の前記多チャネル信号と前記位相反転ドロップ信号を加算することによりドロップ信号を消去し、かつ、前記ドロップ信号を消去された前記多チャネル信号とアド信号とを加算して出力するアド信号調整手順と、前記アド信号調整手順で出力したアド調整信号を用いて多チャネル光信号を発生する信号発生手順と、を順に有する。
【0020】
本発明に係る光アド・ドロップ方法は、OE変換手順と、ディジタル信号処理手順と、を有するため、所望ドロップチャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号を受信することができる。本発明に係る光アド・ドロップ方法は、アド信号調整手順を有するため、多チャネル光信号からドロップ光信号を電気段で消去し、所望ドロップチャネルと同一周波数帯域にアド信号を載せることができる。本発明に係る光アド・ドロップ方法は、信号発生手順を有するため、多チャネル光信号を出力することができる。このように、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光フィルタを用いずに、多チャネル光信号からドロップ光信号を消去し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せるため、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服することができる。すなわち、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を緩和することができるとともに、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することができる。
【0021】
具体的には、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力する光アド・ドロップ方法において、入力された前記多チャネル光信号を分岐する光分岐手順と、前記光分岐手順で分岐された一方の前記多チャネル光信号を光電変換するOE変換手順と、前記AD変換手順で光電変換した多チャネル信号から、前記特定チャネルのドロップ光信号に応じたドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するとともに、前記ドロップ信号と同一クロックかつ同一データで位相の反転した位相反転ドロップ信号を生成すると共に、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理手順と、前記光分岐手順で分岐した前記一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相に同期した光を前記位相反転ドロップ信号にて変調し、位相反転ドロップ光信号を発生する位相反転ドロップ光信号発生手順と、前記光分岐手順で分岐した前記一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相に同期した光をアド信号にて変調し、アド光信号を発生するアド光信号発生手順と、前記位相反転ドロップ光信号及び前記アド光信号の位相を、前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の位相に調整するアド光信号調整手順と、前記位相反転ドロップ光信号発生手順で発生した前記位相反転ドロップ光信号を前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に合波することにより前記多チャネル光信号に含まれる前記ドロップ光信号を消光し、前記アド光信号発生手順で発生した前記アド光信号を前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に合波して出力する光合波手順と、を有する。
【0022】
本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光分岐手順と、OE変換手順と、ディジタル信号処理手順と、を有するため、所望ドロップチャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号を受信することができる。本発明に係る光アド・ドロップ方法は、位相反転ドロップ光信号発生手順と、アド光信号発生手順と、アド光信号調整手順と、光合波手順と、を有するため、多チャネル光信号からドロップ光信号を消光し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せることができる。このように、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光フィルタを用いずに、多チャネル光信号からドロップ光信号を消去し、所望ドロップチャネルと同一光周波数帯域にアド光信号を載せるため、従来の光フィルタを用いたROADM装置の2つの課題を克服することができる。すなわち、本発明に係る光アド・ドロップ方法は、光フィルタによるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を緩和することができるとともに、光ネットワークの主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性を改善することができる。
【0023】
本発明に係る光アド・ドロップ方法では、前記特定チャネルのサブキャリア信号を選択的に通過させる光チャネル選択手順を、前記光分岐手順と前記OE変換手順の間にさらに有していてもよい。
本発明により、OE変換手順及び光周波数・位相抽出手順における光信号の周波数帯域が狭くなるため、これらを実行する装置構成を簡略化することができる。
【0024】
具体的には、本発明に係るチャネル群光アド・ドロップ方法は、前記多チャネル光信号は、1以上のチャネルを基本単位とするチャネル群を波長軸上に複数配置することで構成され、前記多チャネル光信号の光パワーを増幅する光増幅手順と、前記多チャネル光信号を各チャネル群の光信号に分波するチャネル群分波手順と、前記チャネル群分波手順で分波した前記各チャネル群の光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドして再び各チャネル群の光信号として出力する光アド・ドロップ方法を実行するアド・ドロップ手順と、前記光アド・ドロップ方法で出力した各チャネル群の光信号を前記多チャネル光信号へと合波するチャネル群合波手順と、前記チャネル群合波部からの前記多チャネル光信号を増幅する光増幅手順と、を有する。
光増幅手順と、チャネル群分波手順と、アド・ドロップ手順と、チャネル群合波手順と、光増幅手順と、を有するため、チャネル群毎にアド又はドロップすることができる。これにより、多チャネル光信号の伝送路中に挿入する光フィルタは最小限にして、非常に多チャネルの光信号のアド又はドロップが可能となる。
【0025】
本発明に係るチャネル群光アド・ドロップ方法では、前記チャネル群分波手順と前記光アド・ドロップ方法との間に、各前記多チャネル光信号の光パワーを調整する光パワー調整手順を有していてもよい。
本発明により、各チャンネル群の光パワーをアド・ドロップに適した光パワーに調整することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、ROADM装置における、光フィルタ使用によるガードバンド、及び、光信号チャネル間隔に対する制限を大幅に緩和すると共に、主伝送路上に光フィルタが多段配置されることによるノード多段透過特性の低下を克服できる。更には、将来的にOFDM信号を用いてネットワークを構築する場合、サブキャリア毎のアド又はドロップによりネットワークのフレキシビリティを大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の原理を示す。
【図2】光信号のコンステレーションの一例を示す。
【図3】実施形態1に係るROADM装置の一例を示す。
【図4】実施形態2に係るROADM装置の一例を示す。
【図5】実施形態3に係るROADM装置の一例を示す。
【図6】実施形態4に係るチャネル群ROADM装置の一例を示す。
【図7】実施形態5に係るチャネル群ROADM装置の一例を示す。
【図8】実施例1に係るROADM装置の一例を示す。
【図9】実施例2に係るROADM装置の一例を示す。
【図10】実施例3に係るROADM装置の一例を示す。
【図11】実施例4に係るチャネル群ROADM装置の一例を示す。
【図12】実施例5に係るチャネル群ROADM装置の一例を示す。
【図13】従来のROADM構成例1を示す。
【図14】従来のROADM構成例2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0029】
(実施形態1)
図3は、実施形態1に係るROADM装置の一例である。ROADM装置101は、光周波数の異なる多チャネル光信号SINが入力され、多チャネル光信号SINのうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号SOUTとして出力する。ROADM装置101は、1つ以上のチャネルの光信号を、一端全て光電変換し、ドロップ信号の消去を電気段で行う構成である。ROADM装置101は、上述した光OFDM信号のように、光信号のチャネル間隔が非常に狭い場合を想定している。
【0030】
ROADM装置101は、OE変換部11と、入力信号用AD変換部12と、ディジタル信号処理部13と、位相反転部14と、アド信号用AD変換部15と、アド信号調整部16と、DA変換部17と、信号発生部18と、を備える。実施形態1に係る光アド・ドロップ方法は、OE変換手順と、ディジタル信号処理手順と、アド信号調整手順と、信号発生手順と、を順に有する。
【0031】
OE変換手順では、OE変換部11が、入力された多チャネル光信号SINを光電変換する。
ディジタル信号処理手順では、入力信号用AD変換部12が、OE変換部11からのアナログ信号をAD変換する。そして、ディジタル信号処理部13が、入力信号用AD変換部12からデジタル信号が入力され、ドロップ信号sのビット位相、クロック及びデータを抽出して受信する。位相反転部14は、ディジタル信号処理部13の受信したドロップ信号sとクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号−sを生成する。
【0032】
ここで、ディジタル信号処理部13は、主に以下4機能を有する。
(1)特定チャネルのドロップ信号sのクロックの抽出
(2)特定チャネルのドロップ信号sのビット位相の抽出
(3)特定チャネルのドロップ信号sの波形情報(振幅変調・位相変調成分)の抽出
(4)特定チャネルのドロップ信号sのデータの抽出
【0033】
こうしたディジタル信号処理技術は、100Gbpsクラスの超高速信号伝送を可能とするディジタルコヒーレント受信方式の発展と共に急速に発展しつつある(例えば、非特許文献3参照。)。(1)、(4)のクロックとデータを用いてドロップ信号sを受信する。また、上記ディジタル信号(全チャネル)の多チャネル信号sINをアド信号調整部16へ入力すると共に、特定チャネルの(1)〜(4)の情報を位相反転部14へ入力した後、アド信号調整部16へと入力させる。
【0034】
アド信号調整手順では、アド信号用AD変換部15は、入力されたアド信号sをAD変換する。そして、アド信号調整部16は、入力信号用AD変換部12からの多チャネル信号sINと位相反転部14からの位相反転ドロップ信号−sを加算することにより多チャネル信号sINに含まれるドロップ信号sを消去し、ドロップ信号sの消去された多チャネル信号sINとアド信号用AD変換部15でAD変換後のアド信号sとを加算して出力する。
【0035】
ここで、位相反転部14では、図2(d)で説明したように、入力した特定チャネルのディジタル信号を位相反転させる。アド信号調整部16では、全チャネルのディジタル信号と位相反転された特定チャネルのディジタル信号を加え合わせることにより、ドロップ信号を消去することができる。
【0036】
信号発生手順では、DA変換部17は、アド信号調整部16からのアド調整信号sOUTをDA変換する。そして、信号発生部18は、DA変換部17からのアド調整信号sOUTを用いて多チャネル光信号SOUTを発生する。
【0037】
このようにして生成されたアド調整信号sOUTを用いて、信号発生部18にて光信号を生成することにより、最終的に特定チャネルがアド又はドロップされた多チャネル光信号SOUTを得る。本構成により、チャネル間隔が非常に狭い多チャネル光信号SINに対して、アド又はドロップが可能となる。
【0038】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るROADM装置の一例である。ROADM装置102は、ドロップ信号の消去を光段で行う構成である。具体的には、ROADM装置102は、光分岐部21と、光周波数・位相抽出部22と、OE変換部23と、AD変換部24と、ディジタル信号処理部25と、DA変換部26と、位相反転ドロップ光信号発生部27と、アド光信号発生部28と、アド光信号調整部29と、光合波部30と、を備える。実施形態2に係る光アド・ドロップ方法は、光分岐手順と、OE変換手順と、ディジタル信号処理手順と、位相反転ドロップ光信号発生手順と、アド光信号発生手順と、アド光信号調整手順と、光合波手順と、を順に有する。
【0039】
本構成では、OE変換部23の前段に光分岐部21が配置され、光信号SINは光合波部30へと入力されると共に、上記OE変換部23、光周波数・位相抽出部22に入力される。また、実施形態1では、特定チャネルのドロップ信号sの位相反転及び消去、アド信号sの加え合わせ、を電気段で行ったが、本実施形態では、ディジタル信号処理部25において特定ドロップチャネルのクロック、ビット位相、データを用いて、位相反転された特定チャネルのディジタル信号を生成し、DA変換部26においてDA変換の後、位相反転ドロップ光信号発生部27において光信号に変換している。これにより、位相反転ドロップ光信号−Sを生成する。
【0040】
光分岐手順では、光分岐部21は、入力された多チャネル光信号SINを分岐し、一方の分岐光SINをOE変換部23及び光周波数・位相抽出部22に出力し、他方の分岐光SINを光合波部30に出力する。
OE変換手順では、OE変換部23は、光分岐部21で分岐された一方の分岐光を光電変換する。
【0041】
ディジタル信号処理手順では、AD変換部24は、OE変換部23からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、ディジタル信号処理部25は、AD変換部24からデジタル信号が入力され、ドロップ信号sのビット位相、クロック及びデータを抽出して受信すると共に、ドロップ信号sとクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号−sを生成する。
【0042】
位相反転ドロップ光信号発生手順では、光周波数・位相抽出部22は、光分岐部21で分岐された一方の分岐光SINに含まれるドロップ光信号Sの光周波数及び位相を抽出する。そして、位相反転ドロップ光信号発生部27は、光周波数・位相抽出部22の抽出する光周波数及び位相に同期した光をDA変換部26からの位相反転ドロップ信号−sにて変調し、位相反転ドロップ光信号−Sを発生する。
【0043】
アド光信号発生手順では、DA変換部26は、ディジタル信号処理部25の生成する位相反転ドロップ信号−sをDA変換する。そして、アド光信号発生部28は、光周波数・位相抽出部22の抽出する光周波数及び位相に同期した光をアド信号sにて変調し、アド光信号Sを発生する。
【0044】
アド光信号調整手順では、位相反転ドロップ光信号−S及びアド光信号Sの位相を、光分岐手順で分岐した他方の分岐光SINに含まれるドロップ光信号Sの位相に調整する。例えば、アド光信号調整部29は、位相反転ドロップ光信号発生部27の発生する位相反転ドロップ光信号−S及びアド光信号発生部28の発生するアド光信号Sの位相を、光分岐部21の分岐する他方の分岐光SINに含まれるドロップ光信号Sの位相に調整する。
【0045】
光合波手順では、光合波部30は、アド光信号調整部29からの位相反転ドロップ光信号−Sを光分岐部21の分岐する他方の分岐光に合波することにより多チャネル光信号SINに含まれるドロップ光信号Sを消光し、アド光信号調整部29からのアド光信号Sを光分岐部21の分岐する他方の分岐光に合波して出力する。
【0046】
このように、実施形態2に係るROADM装置102及び光アド・ドロップ方法は、アド信号sに関しては、独立したアド光信号発生部28にてアド光信号Sを生成し、アド光信号調整部29にて位相反転ドロップ光信号−Sとアド光信号Sの偏波、位相及び光パワーを調整後、光合波部30にてスルーされてきた光信号SINと合波する。本構成により、光領域でドロップ信号Sの消去が行われ、かつ、主信号伝送路中に光フィルタのような帯域制限デバイスを配置することなく、光信号のアド又はドロップが可能となる。
【0047】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係るROADM装置の一例である。ROADM装置103は、実施形態2の光分波部21の後段に光チャネル選択部31を配置する。また、実施形態3に係る光アド・ドロップ方法は、光チャネル選択手順を、光分岐手順とOE変換手順の間にさらに有する。
【0048】
光チャネル選択手順では、光チャネル選択部31は、予め定められた特定チャネルのサブキャリア信号を選択的に通過させる。光チャネル選択部31は、例えば、バンドパスフィルタである。これにより、光分波部21で分岐した多チャネル光信号SINのうち特定のサブキャリアを含む一部のサブキャリア信号を選択することができる。
【0049】
光チャネル選択部31にてドロップ光信号Sのサブキャリアを含む一部のサブキャリア信号を選択した後、OE変換部23に入力することで、OE変換部23、光周波数・位相抽出部22等の装置構成を簡略化するとともに部品点数を低減することができる。
【0050】
(実施形態4)
【0051】
図6は、実施形態4に係るチャネル群ROADM装置の一例である。実施形態4に係る多チャネル光信号SINは、1以上のチャネルを基本単位とするチャネル群を波長軸上に複数配置することで構成されている。チャネル群ROADM装置104は、多チャネル光信号SINをいくつかのチャネル群にグルーピングし、チャネル群ごとにアド又はドロップを行う。
【0052】
チャネル群ROADM装置104は、光増幅部41と、チャネル群分波部42と、n個(nは2以上)のROADM装置100−1〜100−nと、チャネル群合波部44と、光増幅部45と、を備える。ROADM装置100−1〜100−nは、実施形態1〜3に係るROADM装置101〜103のいずれかを用いることができる。実施形態4に係るチャネル群光アド・ドロップ方法は、光増幅手順と、チャネル群分波手順と、アド・ドロップ手順と、チャネル群合波手順と、光増幅手順と、を有する。
【0053】
ROADM装置100が並列に配置され、チャネル群毎にアド又はドロップされると共に、これらのチャネル群を群分波するためのチャネル群分波部42、群合波するためのチャネル群合波部44及び入出力段での光増幅器41を有する。本構成により、主信号伝送路中に挿入する光フィルタは最小限にして、非常に多チャネルの光信号のアド又はドロップが可能となる。
【0054】
光増幅手順では、光増幅部41は、多チャネル光信号の光パワーを増幅する。
チャネル群分波手順では、チャネル群分波部42は、チャネル群を各々のチャネル群の光信号に分波する。
アド・ドロップ手順では、ROADM装置100−1〜100−nは、各々のチャネル群について実施形態1〜3に係る光アド・ドロップ方法を実行する。これにより、ROADM装置100−1〜100−nは、各々のチャネル群から予め定められた波長の光信号をドロップ又はアドして再び各チャネル群の光信号として出力する。
チャネル群合波手順では、チャネル群合波部44は、ROADM装置100−1〜100−nの出力した各チャネル群の光信号を多チャネル光信号へと合波する。
光増幅手順では、光増幅部45は、チャネル群合波手順で合波した多チャネル光信号を増幅する。
【0055】
(実施形態5)
図7は、実施形態5に係るチャネル群ROADM装置の一例である。チャネル群ROADM装置105は、実施形態4のチャネル群分波部42とROADM装置100−1〜100−nの間に、光パワー調整部43−1〜43−nを具備する。また、実施形態5に係るチャネル群光アド・ドロップ方法は、チャネル群分波手順と光アド・ドロップ方法との間に、光パワー調整手順を有する。
【0056】
光パワー調整手順では、光パワー調整部43−1〜43−nは、各々のチャネル群の光パワーを調整する。例えば、光パワー調整部43−nは、ROADM装置100−nのチャネル群の光信号パワーをモニタし、ROADM装置100−nに入力する光パワーをROADM装置100−nの動作に適した光パワーに調整する。
【実施例1】
【0057】
以下実施例では、光信号は、特に断らない限りQPSK、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等、位相・振幅が多値に変調された光OFDM信号を想定する。
【0058】
図8に実施例1に係るROADM装置を示す。本実施例は、実施形態1に係るROADM装置及び光アド・ドロップ方法の一実施例を示す。本実施例に係るROADM装置は、光源51、光ハイブリッド52、O/E11−1、ADC(Analog to Digital Converter)12−1、DSP(Digital Signal Processor)13−1、加算器16−1、遅延器16−4、分岐器16−2、SA(Spectrum analyzer)16−3、DAC(Digital−to−Analog Converter)17−1、変調器駆動信号発生器18−1、光源18−2、ベクトル変調器18−3(例えば、非特許文献4参照。)、から成る。以下、詳細に説明する。
【0059】
O/E11−1はOE変換部11として機能する。ADC12−1はAD変換部12として機能する。DSP13−1はディジタル信号処理部13及び位相反転部14として機能する。ADC15−1はアド信号用AD変換部として機能する。加算器16−1、遅延器16−4、分岐器16−2、SA16−3はアド信号調整部16として機能する。DAC17−1はDA変換部として機能する。変調器駆動信号発生器18−1、光源18−2及びベクトル変調器18−3は信号発生部18として機能する。
【0060】
入力された多チャネル光信号SINは、光ハイブリッド52において、光源51からの光を用いてコヒーレント検波され、電気信号処理可能な周波数領域にダウンコンバートされる。その後、O/E11−1にてアナログ電気信号に変換後、ADC12−1にてディジタル信号に変換される。本ディジタル信号はDSP13−1に入力され、特定チャネルのドロップ信号のクロック、ビット位相、波形情報(振幅変調・位相変調成分)、及びデータが抽出されてドロップ信号sが受信される。
【0061】
次いで、ドロップ信号sより抽出した振幅変調成分・位相変調成分のディジタル値の正負符号を逆転させた後、全チャネル分のディジタル信号に再び加え合わせることにより、ドロップ信号sを消去する。ドロップ信号が消去された多チャネル信号は、加算器16−1に入力される。一方、アド信号sは、ADC15−1でアナログディジタル変換された後、遅延器16−4を通過して加算器16−1に入力される。加算器16−1の出力は分岐器16−2で一部分岐され、SA16−3でモニタされ、多チャネル信号sINと特定のアドチャネル信号sとがクロック同期及びビット位相同期されるよう遅延器16−4にフィードバックされる。上記のように合波された複数チャネルのディジタル信号は、DAC17−1にてディジタルアナログ変換され、変調器駆動信号発生器18−1へと入力される。発生された変調器駆動信号は、ベクトル変調器18−3に印加され、光源18−2からの光は所望の変調を受け、複数チャネルの光OFDM多重された光信号SOUTに変換されて出力する。
【0062】
本実施例の説明では、DSP13−1において、ドロップ信号sの振幅変調成分及び位相変調成分のディジタル値の正負符号を逆転させることにより位相反転ドロップ信号−sを生成したが、図2(d)で説明したように、信号データ波形の位相をπずらす信号処理を行ってもよい。また、抽出したデータを反転させたもの(例:OOKの場合、“1“→“−1“、“0“→“0“、BPSKの場合、“0“→“π“、“π“→“0“、QPSKの場合、“π/4“→“5π/4“...等)から、位相反転ドロップ信号−sを簡易に合成してもよい。
【0063】
更に本実施例では、DSP13−1がディジタル信号処理部13及び位相反転部14の両方の機能を有するが、第2のDSP、あるいは精密位相調整された導波路基板を用いて、位相反転部を実現することも可能である。
【0064】
本実施例の説明では、光信号への伝送路特性の影響、例えば光ファイバの分散や偏波モード分散の影響は特に考慮していないが、上記特性により入力光信号の波形歪みが発生した場合は、DSP13−1のディジタル信号処理を用いて、ドロップチャネルのみならずドロップチャネルの隣接チャネルもしくは全チャネルの波形歪みを分析の上、ドロップ信号の分離並びにクロック、ビット位相及びデータの抽出を行ってもよい。また、アド信号加算時に、ドロップ信号sの波形歪みと同量の波形歪みを予めアド信号sに加えて、ドロップ信号sの消去を行ってもよい。
【0065】
本実施例では、加算器16−1、遅延器16−4、分岐器16−2、SA16−3を用いて、多チャネル信号sINとアド信号sを合波したが、これらの演算機能をDSP13−1に持たせる、精密位相調整された導波路基板を用いて装置構成する、等の代替手段により、加算器16−1、遅延器16−4、分岐器16−2及びSA16−3の部品を省略することも可能である。
【0066】
また本実施例では、光源51と光源18−2を個別に配置したが、1台の光源で共用することも可能である。
【0067】
更に本実施例では、多チャネル光信号SINは位相及び振幅が多値に変調されたOFDM信号を用いたが、他の変調方式、例えばNRZ(Non Return to Zero)を用いたOOK信号を用いてもよい。
【実施例2】
【0068】
図9に、実施例2に係る構成の一例を示す。本実施例は、実施形態2に係るROADM装置及び光アド・ドロップ方法の一実施例を示す。本実施例に係るROADM装置は、光カップラ53,21−1,30−1,30−2、光ハイブリッド55、光源54,27−2,28−2、光PLL22−1、O/E23−1、ADC24−1、DSP25−1、DAC26−1、ベクトル変調器27−3,28−3、遅延回路29−1,29−5、光増幅器29−2,29−6、偏波コントローラ29−3,29−7、OSA29−4,29−8から成る。以下、詳細に説明する。
【0069】
光カップラ21−1は光分岐部21として機能する。光PLL22−1は光周波数・位相抽出部22として機能する。O/E23−1はOE変換部23として機能する。ADC24−1はAD変換部24として機能する。DSP25−1はディジタル信号処理部25として機能する。DAC26−1はDA変換部26として機能する。変調器駆動信号発生器27−1、光源27−2及びベクトル変調器27−3は位相反転ドロップ光信号発生部27として機能する。変調器駆動信号発生器28−1、光源28−2及びベクトル変調器28−3はアド光信号発生部28として機能する。遅延回路29−1,29−5、光増幅器29−2,29−6及び偏波コントローラ29−3,29−7はアド光信号調整部29として機能する。光カップラ30−1,30−2は光合波部30として機能する。
【0070】
入力された多チャネル光信号SINは、光カップラ53で分岐され、一方は光カップラ21−1へ、他方は光カップラ30−1へと入力される。光カップラ21−1で分岐された多チャネル光信号SINは、一方は光PLL22−1に入力されドロップ光信号Sの光周波数と光位相が抽出される(例えば、非特許文献4参照。)。他方は、光ハイブリッド55において、光源54からの光を用いてコヒーレント検波され、電気信号処理可能な光周波数領域にダウンコンバートされる。その際、上記光PLL22−1にて抽出されたドロップ光信号Sの光周波数と光位相の情報が用いられる。
【0071】
その後、O/E23−1にてアナログ電気信号に変換後、ADC24−1にてディジタル信号に変換される。本ディジタル信号はDSP25−1に入力され、ドロップ信号sのクロック、ビット位相、波形情報(振幅変調・位相変調成分)及びデータが抽出されてドロップ信号sが受信される。次いで、DSP25−1において、ドロップ信号sより抽出したクロック、ビット位相、振幅変調成分及び位相変調成分を用いて振幅変調成分及び位相変調成分のディジタル値の正負符号を逆転させることにより位相反転ドロップ信号−sが生成され、DAC26−1へと入力される。
【0072】
位相反転ドロップ信号−sは、変調器駆動信号発生器27−1へと入力される。発生された変調器駆動信号はベクトル変調器27−3に印加され、光源27−2からの光が所望の変調を受けて出力される。位相反転ドロップ光信号−Sは、遅延回路29−1、光増幅器29−2及び偏波コントローラ29−3を透過後、光カップラ30−1に入力され、光カップラ53からのスルーされた多チャネル光信号SINと合波され、所望のドロップ光信号Sが消去される。合波された多チャネル光信号SINは、光カップラ30−1で一部分岐され、OSA29−4でモニタされ、所望のドロップ光信号Sが完全に消去されるよう遅延回路29−1、光増幅器29−2及び偏波コントローラ29−3にフィードバックされる。こうしてドロップ光信号Sが消去された多チャネル光信号SINは、光カップラ30−2に入力される。
【0073】
一方、アド信号sは、光PLL22−1にて抽出された所望ドロップ信号Sと同一光周波数および同一光位相を有する光源28−2からの光をベクトル変調器28−3で変調することにより生成される。変調されたアド光信号Sは、遅延回路29−5、光増幅器29−6及び偏波コントローラ29−7を透過後光カップラ30−2に入力され、光カップラ30−1から出力されたドロップ光信号Sが消去された多チャネル光信号SINと合波される。多チャネル光信号SINとアド光信号Sが合波された多チャネル光信号SOUTは、光カップラ30−2で一部分岐され、OSA29−8でモニタされ、クロック同期、ビット位相同期及び光パワー等化されるよう遅延回路29−5、光増幅器29−6及び偏波コントローラ29−7にフィードバックされる。
【0074】
本実施例の説明では、DSP25−1においてドロップ信号sの振幅変調成分及び位相変調成分のディジタル値の正負符号を逆転させることにより位相反転ドロップ信号−sを生成したが、図2(d)で説明したように、光信号データ波形の位相をπずらす信号処理を行ってもよい。また、抽出したデータを反転させたもの(例:OOKの場合、“1“→“−1“、“0“→“0“、BPSKの場合、“0“→“π“、“π“→“0“、QPSKの場合、“π/4“→“5π/4“...等)から、位相反転ドロップ信号を合成してもよい。
【0075】
また、本実施例では、多チャネル光信号SINと位相反転されたドロップ光信号−Sを合波してドロップ光信号Sを消去した後、アド光信号Sを合波したが、図1及び図3の構例と同様に、位相反転されたドロップ光信号−Sとアド光信号Sを位相、光パワー及び偏波調整して合波後、本合波された光信号と多チャネル光信号SINとを位相、光パワー及び偏波調整して合波してもよい。その際、部品点数は本図と同様であるが、主伝送路中の光カップラの数を低減できる(例えば、光カップラ30−2)。ただし、位相、光パワー及び偏波調整を、位相反転された所望ドロップ光信号−Sとアド光信号Sそれぞれで行うため、異なる時定数で位相、光パワー及び偏波調整を行ってもよい。
【0076】
本実施例の説明では、光信号への伝送路特性の影響、例えば光ファイバの分散や偏波モード分散の影響は特に考慮していないが、上記特性により入力光信号の波形歪みが発生した場合は、DSP25−1のディジタル信号処理を用いて、所望ドロップチャネルのみならずドロップチャネルの隣接チャネルもしくは全チャネルの波形歪みを分析の上、ドロップ信号の分離並びにクロック、ビット位相及びデータの抽出を行ってもよい。また、アド信号加算時に、ドロップ信号sの波形歪みと同量の波形歪みを予めアド信号sに加えて、多チャネル光信号SINにおけるドロップ光信号Sの消去を行ってもよい。
【0077】
更に、本実施例では、光源54、光源27−2及び光源28−2を個別に配置したが、実施例1と同様に、1台の光源で共用することも可能である。
【0078】
本実施例では、遅延回路29−1,29−5、光増幅器29−2,29−6、偏波コントローラ29−3,29−7、OSA29−4,29−8を用いて、位相、光パワー及び偏波を調整して所望ドロップチャネルのドロップ光信号Sを消去したが、精密位相調整したPLC導波路を用いて装置構成する、等の代替手段により、上記部品を不要化することも可能である。
【0079】
同様に、本実施例では、所望ドロップチャネルのドロップ光信号Sをの光周波数と光位相情報を光PLL22−1にて行ったが、光PLL22−1の処理機能をDSP25−1に持たせる、精密位相調整したPLC導波路を用いて装置構成する、等の代替手段により、光PLL22−1を省略することも可能である。また、本実施例では、複数チャネル光信号SINは位相及び振幅が多値に変調された光OFDM信号を用いたが、実施例1と同様に、他の変調方式、例えばNRZを用いた光OOK信号を用いてもよい。
【実施例3】
【0080】
図10に、実施例3に係る構成の一例を示す。本実施例は、実施形態3に係るROADM装置及び光アド・ドロップ方法の一実施例を示す。基本構成は実施例2と同様であるが、光カップラ53の後段に光フィルタ31−1が配置されている点が異なる。本構成では、非常に多波長の光信号が入力する場合を想定し、分岐した多チャネル光信号のうち所望のサブキャリアを含む一部のサブキャリアを選択した後、O/E23−1に入力することで、装置構成簡略化、部品点数低減が期待できる。または、複数波長に分波した後、光カップラ53以外の構成要素を複数セット用意して、非常に大規模なチャネルのアド又はドロップを実現することもできる。
【0081】
本実施例では、ドロップ信号の消去を光段で行う実施例2を用いたが、ドロップ信号の消去を電気段で行う実施例1にて、光ハイブリッド55の前段に光フィルタ31−1を配置してもよい。
【実施例4】
【0082】
図11に、実施例4に係る構成の一例を示す。本実施例は、実施形態4に係るチャネル群ROADM装置104及び光アド・ドロップ方法の一実施例を示す。本実施例に係るチャネル群ROADM装置は、光増幅器41−1、チャネル群分波光フィルタ42−1、ROADM装置100−1〜100−n、チャネル群合波光フィルタ44−1、光増幅器45−1からなる。
【0083】
光増幅器41−1は光増幅部41として機能し、チャネル群分波光フィルタ42−1はチャネル群分波部42として機能し、チャネル群合波光フィルタ44−1はチャネル群合波部44として機能し、光増幅器45−1は光増幅部45として機能する。
【0084】
本実施例は、複数チャネルの光信号をいくつかのチャネル群にグルーピングし、アド又はドロップを行う構成である。光増幅器41−1で増幅された多チャネル光信号は、チャネル群分波光フィルタ42−1によりそれぞれのチャネル群に分波される。その後、並列に配置されたROADM装置100−1〜100−nにおいて、チャネル群毎にアド又はドロップされると共に、これらのチャネル群を群分波・群合波するためのチャネル群分波光フィルタ44−1で合波され、光増幅器45−1で増幅された後、出力される。本実施例により、主信号伝送路中に挿入する光フィルタは最小限にして、非常に多チャネルの光信号のアド又はドロップが可能となる。
【実施例5】
【0085】
図12に、実施例5に係る構成の一例を示す。本実施例は、実施形態5に係るチャネル群ROADM装置105及び光アド・ドロップ方法の一実施例を示す。本実施例は、基本構成は実施例4と同様であるが、各ROADM装100−1〜100−nの前段に、光パワー調整部43−1〜43−nとして機能する可変光アッテネータがパラレルに配置されている点が異なる。可変光アッテネータにより、チャネル群毎に光パワー調整が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
11:OE変換部
11−1:O/E
12:入力信号用AD変換部
12−1:ADC
13:ディジタル信号処理部
13−1:DSP
14:位相反転部
15:アド信号用AD変換部
15−1:ADC
16:アド信号調整部
16−1:加算器
16−2:分岐器
16−3:SA
16−4:遅延器
17:DA変換部
17−1:DAC
18:信号発生部
18−1:光信号発生器
18−2:光源
18−3:ベクトル変調器
21:光分岐部
21−1:光カップラ
22:光周波数・位相抽出部
22−1:光PLL
23:OE変換部
23−1:O/E
24:AD変換部
24−1:ADC
25:ディジタル信号処理部
25−1:DSP
26:DA変換部
26−1:DAC
27:位相反転ドロップ光信号発生部
27−1:変調器駆動信号発生器
27−2:光源
27−3:ベクトル変調器
28:アド光信号発生部
28−1:変調器駆動信号発生器
28−2:光源
28−3:ベクトル変調器
29:アド光信号調整部
29−1、29−5:遅延回路
29−2、29−6:光増幅器
29−3、29−7:偏波コントローラ
30:光合波部
30−1、30−2:光カップラ
31:光チャネル選択部
41:光増幅部
41−1:光増幅器
42:チャネル群分波部
42−1:チャネル群分波光フィルタ
43:光パワー調整部
43−1、43−2、43−n:光パワー調整部可変光アッテネータ
44:チャネル群合波部
44−1:チャネル群合波光フィルタ
45:光増幅部
45−1:光増幅器
51:光源
52:光ハイブリッド
81:光増幅器
82:光カップラ
83:ドロップ信号
84:波長ブロッカ
85:光カップラ
86:光フィルタ
87:光増幅器
88:WSS
89:光フィルタ
100−1、100−2、100−n、101、102、103:ROADM装置
104、105:チャネル群ROADM装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力するROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置であって、
入力された前記多チャネル光信号を光電変換するOE(Optical Electrical)変換部と、
前記OE変換部からの多チャネル信号をAD変換する入力信号用AD(Analog Digital)変換部と、
前記入力信号用AD変換部からデジタル化された前記多チャネル信号が入力され、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するディジタル信号処理部と、
前記ディジタル信号処理部の受信した前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成する位相反転部と、
入力されたアド信号をAD変換するアド信号用AD変換部と、
前記入力信号用AD変換部からの前記多チャネル信号と前記位相反転部からの前記位相反転ドロップ信号を加算することにより前記多チャネル信号に含まれる前記ドロップ信号を消去し、前記ドロップ信号の消去された前記多チャネル信号と前記アド信号用AD変換部でAD変換後の前記アド信号とを加算して出力するアド信号調整部と、
前記アド信号調整部の出力するアド調整信号をDA変換するDA変換部と、
前記DA変換部からの前記アド調整信号を用いて多チャネル光信号を発生する信号発生部と、
を備えるROADM装置。
【請求項2】
光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力するROADM装置であって、
入力された前記多チャネル光信号を分岐し、一方の分岐光をOE変換部及び光周波数・位相抽出部に出力し、他方の分岐光を光合波部に出力する光分岐部と、
前記光分岐部で分岐された一方の分岐光を光電変換するOE変換部と、
前記OE変換部で光電変換された多チャネル信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部からデジタル化された前記多チャネル信号が入力され、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信すると共に、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理部と、
前記ディジタル信号処理部の生成する位相反転ドロップ信号をDA変換するDA変換部と、
前記光分岐部で分岐された一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相を抽出する光周波数・位相抽出部と、
前記光周波数・位相抽出部の抽出する光周波数及び位相に同期した光を前記DA変換部からの位相反転ドロップ信号にて変調し、位相反転ドロップ光信号を発生する位相反転ドロップ光信号発生部と、
前記光周波数・位相抽出部の抽出する光周波数及び位相に同期した光をアド信号にて変調し、アド光信号を発生するアド光信号発生部と、
前記位相反転ドロップ光信号発生部の発生する前記位相反転ドロップ光信号及び前記アド光信号発生部の発生する前記アド光信号の位相を、前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の位相に調整するアド光信号調整部と、
前記アド光信号調整部からの前記位相反転ドロップ光信号を前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に合波することにより前記多チャネル光信号に含まれる前記ドロップ光信号を消光し、前記アド光信号調整部からの前記アド光信号を前記光分岐部の分岐する前記他方の分岐光に合波して出力する光合波部と、
を備えるROADM装置。
【請求項3】
前記特定チャネルのサブキャリア信号を選択的に通過させる光チャネル選択部を、前記光分岐部と前記OE変換部及び前記光周波数・位相抽出部との間にさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載のROADM装置。
【請求項4】
前記多チャネル光信号は、1以上のチャネルを基本単位とするチャネル群を波長軸上に複数配置することで構成され、
前記多チャネル光信号の光パワーを増幅する光増幅部と、
前記多チャネル光信号を各チャネル群の光信号に分波するチャネル群分波部と、
前記チャネル群分波部の分波した前記各チャネル群の光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドして再び各チャネル群の光信号として出力する請求項1〜3のいずれかに記載の2以上のROADM装置と、
前記ROADM装置の出力した各チャネル群の光信号を前記多チャネル光信号へと合波するチャネル群合波部と、
前記チャネル群合波部からの前記多チャネル光信号を増幅する光増幅部と、
を備えるチャネル群ROADM装置。
【請求項5】
請求項4に記載のチャネル群ROADM装置において、前記チャネル群分波部と前記ROADM装置の間に、各前記多チャネル光信号の光パワーを調整する光パワー調整部を具備する
ことを特徴とするチャネル群ROADM装置。
【請求項6】
光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力する光アド・ドロップ方法において、
入力された前記多チャネル光信号を光電変換するOE変換手順と、
光電変換後の多チャネル信号から、前記特定チャネルのドロップ光信号に対応するドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するとともに、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理手順と、
光電変換後の前記多チャネル信号と前記位相反転ドロップ信号を加算することによりドロップ信号を消去し、かつ、前記ドロップ信号を消去された前記多チャネル信号とアド信号とを加算して出力するアド信号調整手順と、
前記アド信号調整手順で出力したアド調整信号を用いて多チャネル光信号を発生する信号発生手順と、
を順に有する光アド・ドロップ方法。
【請求項7】
光周波数の異なる多チャネル光信号が入力され、当該多チャネル光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドし、再び多チャネル光信号として出力する光アド・ドロップ方法において、
入力された前記多チャネル光信号を分岐する光分岐手順と、
前記光分岐手順で分岐された一方の前記多チャネル光信号を光電変換するOE変換手順と、
前記AD変換手順で光電変換した多チャネル信号から、前記特定チャネルのドロップ光信号に応じたドロップ信号のビット位相、クロック及びデータを抽出して前記ドロップ信号を受信するとともに、前記ドロップ信号と同一クロックかつ同一データで位相の反転した位相反転ドロップ信号を生成すると共に、前記ドロップ信号とクロック及びデータが同一でありかつ位相が反転した位相反転ドロップ信号を生成するディジタル信号処理手順と、
前記光分岐手順で分岐した前記一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相に同期した光を前記位相反転ドロップ信号にて変調し、位相反転ドロップ光信号を発生する位相反転ドロップ光信号発生手順と、
前記光分岐手順で分岐した前記一方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の光周波数及び位相に同期した光をアド信号にて変調し、アド光信号を発生するアド光信号発生手順と、
前記位相反転ドロップ光信号及び前記アド光信号の位相を、前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に含まれる前記ドロップ光信号の位相に調整するアド光信号調整手順と、
前記位相反転ドロップ光信号発生手順で発生した前記位相反転ドロップ光信号を前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に合波することにより前記多チャネル光信号に含まれる前記ドロップ光信号を消光し、前記アド光信号発生手順で発生した前記アド光信号を前記光分岐手順で分岐した前記他方の分岐光に合波して出力する光合波手順と、
を有する光アド・ドロップ方法。
【請求項8】
前記特定チャネルのサブキャリア信号を選択的に通過させる光チャネル選択手順を、前記光分岐手順と前記OE変換手順の間にさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の光アド・ドロップ方法。
【請求項9】
前記多チャネル光信号は、1以上のチャネルを基本単位とするチャネル群を波長軸上に複数配置することで構成され、
前記多チャネル光信号の光パワーを増幅する光増幅手順と、
前記多チャネル光信号を各チャネル群の光信号に分波するチャネル群分波手順と、
前記チャネル群分波手順で分波した前記各チャネル群の光信号のうちの予め定められた特定チャネルの光信号をドロップ又はアドして再び各チャネル群の光信号として出力する請求項6〜8のいずれかに記載の光アド・ドロップ方法を実行するアド・ドロップ手順と、
前記光アド・ドロップ方法で出力した各チャネル群の光信号を前記多チャネル光信号へと合波するチャネル群合波手順と、
前記チャネル群合波部からの前記多チャネル光信号を増幅する光増幅手順と、
を有するチャネル群光アド・ドロップ方法。
【請求項10】
請求項9に記載のチャネル群光アド・ドロップ方法において、前記チャネル群分波手順と前記光アド・ドロップ方法との間に、各前記多チャネル光信号の光パワーを調整する光パワー調整手順を有する
ことを特徴とするチャネル群光アド・ドロップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−119925(P2012−119925A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267601(P2010−267601)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】