説明

SIPポート状態整合方法、セッション制御サーバ、およびエッジルータ

【課題】SSCとSSEのSIPポートの状態を効率的に整合させる。
【解決手段】SIPを扱う通信ネットワーク上のSSE2およびSSC3間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合方法であって、SSC3においてLAFの再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に、SSE2の再開処理が発生したかどうかを示す再開フラグをSSC3の制御対象であるSSE2毎に格納する格納ステップと、SSE2の再開処理が発生した時、前記再開フラグをオンにするとともに、SSC3においてLAFの収集処理が発生した時、前記再開フラグをオフにするフラグ処理ステップと、SSC3においてLAFの再開処理が発生した時、前記再開フラグがオンの場合はSSE2およびSSC3においてSIPポートの再設定処理を行う再設定処理ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアゲートウェイプロトコルを適用した装置間において、それぞれの装置で保持しているSIP(Session Initiation Protocol)ポートの状態が整合状態にあることを確認するSIPポート状態整合方法、セッション制御サーバ、およびエッジルータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメディアゲートウェイプロトコルとしては、例えばH.248.1がある。このようなメディアゲートウェイプロトコルを適用した装置間において、それぞれの装置で保持しているSIPポートの状態が整合状態にあることを確認する技術が知られている。
【0003】
図6は、従来のSIPポート状態整合方法を説明するための図である。ここでは、SIPポートの整合を含むSIPポートの制御を行うために、SIPを扱う通信ネットワーク1(図示せず)上のエッジルータ2およびセッション制御サーバ3にH.248.1を適用した場合を想定している。
【0004】
図6(A)は、適用例を示している。すなわち、SIPを扱う通信ネットワーク1において、ユーザ端末(例えば、ユーザ端末4A)に係わるSIPポートとして、第1のアドレス1a、第2のアドレス2a、第3のアドレス3a、および第4のアドレス4aの4つのアドレスがあるとする。これら4つのアドレスは、セッション制御サーバ3であるMGC(Media Gateway Controller)と、エッジルータ2であるMG(Media Gateway)により制御される。
【0005】
ここでいう第1のアドレス1aとは、セッション制御サーバ3等がユーザ端末4Aに対して通知するアドレスである。具体的には、ユーザ端末4AのIPアドレスとポート番号であり、セッション制御サーバ3が承知しているアドレスである。また、第2のアドレス2aとは、第1のアドレス1aを持つユーザ端末4AがSIPパケットを送信するときのあて先IPアドレスとなるアドレスである。具体的には、エッジルータ2のIPアドレスとポート番号であり、変更の可能性が高いアドレスである。また、第3のアドレス3aとは、エッジルータ2が、ユーザ端末4Aから送信されてくる第1のアドレス1aを送信元IPアドレスとし、また第2のアドレス2aをあて先IPアドレスとしたSIPパケットをセッション制御サーバ3に送信するときの送信元IPアドレスとなるアドレスである。具体的には、エッジルータ2のIPアドレスとポート番号であり、変更の可能性が高いアドレスである。また、第4のアドレス4aとは、エッジルータ2が、ユーザ端末4Aから送信されてくる第1のアドレス1aを送信元IPアドレスとし、また第2のアドレス2aをあて先IPアドレスとしたSIPパケットをセッション制御サーバ3に送信するときのあて先IPアドレスとなるアドレスである。具体的には、セッション制御サーバ3のIPアドレスとポート番号であり、セッション制御サーバ3が承知しているアドレスである。
【0006】
これら4つのアドレスの制御では、第1のアドレス1aおよび第2のアドレス2aを含むターミネーションをターミネーションAAとし、このターミネーションAAのID(Identification)をTAAとする。また、第3のアドレス3aおよび第4のアドレス4aを含むターミネーションをターミネーションABとし、このターミネーションABのIDをTABとする。また、ターミネーションAAおよびターミネーションABを含むコンテキストをコンテキストAとし、このコンテキストAのIDをCAとする。
【0007】
図6(B)は、初期状態またはLAF(Latest File)収集時のセッション制御サーバ3およびエッジルータ2が保持するコンテキストAを示している。コンテキストAのコンテキストID、ターミネーションAAのターミネーションID、ターミネーションAA内のアドレス、ターミネーションABのターミネーションID、ターミネーションAB内のアドレスは、それぞれセッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致した状態にある。なお、LAFとは、前日にバックアップした交換機の所データファイルおよびシステムファイルをいい、所データとは、交換機による相違を示すデータをいう。
【0008】
図6(C)は、SIPポートの再設定が行われた時のコンテキストAを示している。セッション制御サーバ3が再設定をエッジルータ2に要求すると、エッジルータ2がターミネーションABを再設定する。ここでは、ターミネーションAB内の第3のアドレス3aが3abに再設定された場合を例示している。エッジルータ2は、再設定した結果を再設定応答としてセッション制御サーバ3に送信し、セッション制御サーバ3は、受信した再設定応答を蓄積する。
【0009】
ターミネーションAB内の第3のアドレス3aが3abに再設定されたものの、コンテキストAのコンテキストID、ターミネーションAAのターミネーションID、ターミネーションAA内のアドレス、ターミネーションABのターミネーションID、ターミネーションAB内のアドレスは、それぞれセッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致した状態にある。従って、このときは、ターミネーションIDが一致すればターミネーション内のアドレスも一致した状態にあるという論理が成り立つ。そのため、ターミネーションIDの一致を確認することで、SIPポート(4つのアドレス)の状態が整合状態にあることを確認することが可能である。
【0010】
なお、ターミネーションABのターミネーションIDをそれまでのTABから他のIDに変えるか否かはエッジルータ2に依存する。ここでは、ターミネーションIDを変えない場合を示している。ターミネーションIDを変えても変えなくても、ターミネーションIDの一致を確認することでSIPポートの状態が整合状態にあることを確認することが可能である点は同じである。
【0011】
図6(D)は、図6(C)に示すSIPポート再設定の後、セッション制御サーバ3にLAF再開が発生した時のコンテキストAを示している。LAF再開が発生すると、図6(B)に示すLAF収集時の状態に戻ることになる。一方、エッジルータ2にはLAF再開が発生していないので、図6(C)に示す状態が継続される。
【0012】
この結果、コンテキストAのコンテキストID、コンテキストA内のターミネーションのターミネーションIDは、それぞれセッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致するが、ターミネーションAB内の第3のアドレスは、セッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致しないことになる。このことにより、LAF収集以降LAF再開以前にSIPポートの再設定が行われると、コンテキストIDおよびターミネーションIDの一致を確認することでSIPポートの状態が整合状態にあることを確認することが不可能になる。すなわち、コンテキストIDおよびターミネーションIDがセッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致しても、ターミネーション内のアドレスがセッション制御サーバ3とエッジルータ2とで一致していない可能性がある。こうした現象は、ターミネーション内のアドレスが異なるターミネーションに対し、同じターミネーションIDを付けることが許容されていることに起因している。
【0013】
このような場合は、全てのユーザに対してターミネーション内のアドレスが一致しているか否かを確認する。全てのユーザに対してターミネーション内のアドレスが一致している場合は、ターミネーションIDの一致を確認することでSIPポートの状態が整合状態にあることを確認することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】H.248.1「Gateway control protocol」 ITU−T
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、従来技術によると、LAF収集以降LAF再開以前など旧設定状態に戻っている場合にSIPポートの再設定が行われると、コンテキストIDおよびターミネーションIDの一致を確認することでSIPポートの状態が整合状態にあることを確認することが不可能になる。そこで、全てのユーザに対してターミネーション内のアドレスが一致しているか否かを確認するという方法があるが、このような方法によると、LAF再開時におけるセッション制御サーバとエッジルータのSIPポートの整合処理の負荷が大きくなるという問題がある。
【0016】
本発明は、上述した従来の技術に鑑み、セッション制御サーバとエッジルータのSIPポートの状態を効率的に整合させることができるSIPポート状態整合方法、セッション制御サーバ、およびエッジルータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、第1の態様に係る発明は、SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合方法であって、前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に、前記エッジルータの再開処理が発生したかどうかを示す再開フラグを前記セッション制御サーバの制御対象である前記エッジルータ毎に格納する格納ステップと、前記エッジルータの再開処理が発生した時、前記再開フラグをオンにするとともに、前記セッション制御サーバにおいてLAFの収集処理が発生した時、前記再開フラグをオフにするフラグ処理ステップと、前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記再開フラグがオンの場合は前記エッジルータおよび前記セッション制御サーバにおいてSIPポートの再設定処理を行う再設定処理ステップとを備えることを要旨とする。
【0018】
また、上記目的を達成するため、第2の態様に係る発明は、SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合システムを構成するセッション制御サーバであって、前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に、前記エッジルータの再開処理が発生したかどうかを示す再開フラグを前記セッション制御サーバの制御対象である前記エッジルータ毎に格納する格納部と、前記エッジルータの再開処理が発生した時、前記再開フラグをオンにするとともに、前記セッション制御サーバにおいてLAFの収集処理が発生した時、前記再開フラグをオフにするフラグ処理部と、前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記再開フラグがオンの場合は、前記セッション制御サーバ側のSIPポートの再設定処理を行うとともに、前記エッジルータにSIPポートの再設定オーダを送信する再設定処理部とを備えることを要旨とする。
【0019】
また、上記目的を達成するため、第3の態様に係る発明は、SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合システムを構成するエッジルータであって、前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記セッション制御サーバから受信したSIPポートの再設定オーダに基づき、前記エッジルータ側のSIPポートの再設定処理を行う再設定処理部を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、セッション制御サーバとエッジルータのSIPポートの状態を効率的に整合させることができるSIPポート状態整合方法、セッション制御サーバ、およびエッジルータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるSSEおよびSSCの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における再開フラグ格納部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図5】本発明の効果を説明するための図である。
【図6】従来のSIPポート状態整合方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムの構成例を示す図である。ここでは、NGN(Next Generation Network)に本発明を適用した場合を想定している。なお、図6に示したものと同一または同等の機能要素については同一の符号を割り当てることとし、詳細な説明については省略する。
【0024】
本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムは、図1に示すように、ネットワーク1と、SSE(Subscriber Service Edge)2と、SSC(Subscriber Session Control server)3と、ユーザ端末4Aと、ユーザ端末4Bとを備えている。ネットワーク1には、SSE2、SSC3、ユーザ端末4A、およびユーザ端末4Bが接続されている。ここではユーザ端末4Aとユーザ端末4Bとを区別しているが、ユーザ端末を区別しない場合は一括してユーザ端末4と称する。ネットワーク1は、IPパケットを伝送可能とする通信ネットワークである。SSE2は、ユーザ端末4との間でIPパケットの送受信を行うエッジルータであり、H.248.1のMGに準じた機能を持つ。SSC3は、セッション制御機能等を有するセッション制御サーバであり、H.248.1のMGCに準じた機能を持つ。ユーザ端末4Aは、ユーザ5Aが操作する端末装置である。ユーザ端末4Bは、ユーザ5Bが操作する端末装置である。
【0025】
本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムは、ユーザ端末4Aに係わるSIPポートとして、第1のアドレス1a、第2のアドレス2a、第3のアドレス3a、および第4のアドレス4aの4つのアドレスを含むターミネーション情報をターミネーションIDだけで管理する。第2のアドレスおよび第3のアドレスはローカルアドレスである。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態におけるSSE2およびSSC3の構成例を示す図である。SSE2およびSSC3の機能のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。ここでは、SSE2を一つしか示していないが、SSC3は複数のSSE2に対応しており、SSE2毎に同様の処理が実行される。
【0027】
SSE2は、SSE再開処理部21と、再開情報送信部22と、SIPポート再設定処理部23とを備えている。SSE再開処理部21は、SSE再開処理を行う。SSE再開処理とは、SSE2を再開(初期化)する処理をいう。SSE再開時には、SIPポートのターミネーション情報が失われる。再開情報送信部22は、SSE2の再開処理が発生した旨を示す情報(再開情報)をSSE2からSSC3に送信する。SIPポート再設定処理部23は、SSE2側のSIPポートを再設定する。具体的には、SSC3においてLAFの再開処理が発生し、不整合を検知した場合、SSC3から受信したSIPポートの再設定オーダに基づき、SSE2側のSIPポートの再設定処理を行う。
【0028】
SSC3は、再開情報受信部31と、再開フラグ処理部32と、再開フラグ格納部33と、LAF再開処理部34と、再開フラグ参照部35と、SIPポート再設定処理部36と、LAF収集処理部37とを備えている。再開情報受信部31は、再開情報をSSE2から受信して再開フラグ処理部32とSIPポート再設定処理部36に渡す。再開フラグ処理部32は、SSE2の再開処理が発生した時、再開情報受信部31から渡された再開情報に基づき再開フラグ格納部33にアクセスし、SSE2の再開処理が発生したかどうかを示すフラグ(再開フラグ)をオンにする。また、再開フラグ処理部32は、SSC3によるLAF収集処理が発生した時(LAF収集時)にLAF収集処理部37からの情報に基づき再開フラグをオフにする。LAF収集処理とは、交換機の所データファイル、SOデータファイル、運用データファイルおよびシステムファイル等のバックアップをとる処理をいう。再開フラグ格納部33は、再開フラグをSSE毎に格納する(後述する)。LAF再開処理部34は、LAF再開処理を行う。LAF再開処理とは、LAF収集処理により収集されたLAFによる再開処理をいう。再開フラグ参照部35は、LAF再開処理が行われると、再開フラグ格納部33に格納されている再開フラグを参照する。フラグオンだった場合、再開フラグ参照部35はSIPポート再設定処理部36に通知し、通知を受けたSIPポート再設定処理部36はSSC3側のSIPポートの再設定処理を行うとともに、SSE2にSIPポートの再設定オーダを送信する。このようなSIPポートの再設定処理は、(1)再開情報を受け取った場合と、(2)SSC3においてLAFの再開処理が発生した時に再開フラグがオンの場合(3)SIPポート整合処理が発生した時に不整合が検知された場合に行われる。LAF収集処理部37は、LAFを収集して再開フラグ処理部32に渡す。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態における再開フラグ格納部33の構成を示す図である。この図に示すように、再開フラグ格納部33は、SSC3においてLAF再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に再開フラグをSSE毎に格納している。そして、SSE再開時にフラグオン、SSC3によるLAF収集時にフラグオフし、SSC3によるLAF再開処理が発生した場合はこれら再開フラグを参照し、フラグオンになっているSSE2のSIPポートを再設定する。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態におけるSIPポート状態整合システムの動作例を示すシーケンスチャートである。具体的には、SSE2とSSC3の間のシーケンスを示している。以下、このSIPポート状態整合システムの動作を図4にしたがって説明する。
【0031】
まず、SSE再開処理部21は、SSE2の再開処理を行うと(ステップA1)、その旨を再開情報送信部22に通知する。この通知を受けた再開情報送信部22は、再開情報を再開情報受信部31に送信する(ステップA2)。既に説明した通り、SSE再開時には、SIPポートのターミネーション情報が失われる。
【0032】
再開情報受信部31は、再開情報をSSE2から受信すると(ステップA3)、この再開情報を再開フラグ処理部32とSIPポート再設定処理部36に渡す。再開フラグ処理部32は、再開情報を再開情報受信部31から受け取ると、この再開情報に基づき、再開フラグ格納部33に格納されている再開フラグをオンにする(ステップA6)。また、SIPポート再設定処理部36は、再開情報を再開情報受信部31から受け取ると、SIPポート再設定オーダ(具体的には、(1)SIPポート情報の削除、(2)SIPポート情報の作成)をSIPポート再設定処理部23に送信するとともに、SSC3側のSIPポートの再設定処理を行う(ステップA4)。
【0033】
SIPポート再設定処理部23は、SIPポート再設定オーダをSIPポート再設定処理部36から受信すると、SSE2側のSIPポートの再設定処理を行う(ステップA5)。この場合、SIPポート再設定処理部23は、SIPポートのターミネーション情報が失われた状態でSIPポートの再設定処理を行うため、自ら決定したSIPポート情報を設定する(SSE再開時にSSC3がLAF再開処理を行うと、SSC3側とSSE2側のSIPポート情報が不整合になる可能性がある)。
【0034】
LAF収集処理部37は、LAF収集処理を行うと(ステップA7)、その旨を再開フラグ処理部32に通知する。この通知を受けた再開フラグ処理部32は、再開フラグ格納部33に格納されている再開フラグをオフにする(ステップA8)。
【0035】
LAF再開処理部34は、LAF再開処理を行うと(ステップA9)、その旨を再開フラグ参照部35に通知する。この通知を受けた再開フラグ参照部35は、再開フラグ格納部33に格納されている再開フラグを参照し(ステップA10)、再開フラグがオンの場合(ステップA11でYES)、その旨をSIPポート再設定処理部36に通知する。この通知を受けたSIPポート再設定処理部36は、SSC3側のSIPポートの再設定処理を行うとともに、SIPポート再設定オーダをSIPポート再設定処理部23に通知する(ステップA12)。この通知を受けたSIPポート再設定処理部23は、SSE2側のSIPポートの再設定処理を行う(ステップA5)。一方、再開フラグがオフの場合(ステップA11でNO)、SIPポート再設定処理部36は、SIPポート再設定処理をスキップする(ステップA11)。
【0036】
図5は、本発明の効果を説明するための図であり、具体的には、従来のSIPポート状態整合システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【0037】
既に説明した通り、従来技術によると、LAF再開時におけるSSC3とSSE2のSIPポートの整合処理の負荷が大きくなるという問題がある。すなわち、従来のSIPポート状態整合システムでは、LAF再開処理を行うと(ステップA27)、SSC3とSSE2のSIPポートの整合処理を行う(ステップA28)。そして、SIPポートの不整合が発生している場合(ステップA29でYES)、SSC3側のSIPポートの再設定処理を行うとともに、SSE2側のSIPポートの再設定処理を行う(ステップA30→A25)。このように、従来のSIPポート状態整合システムによると、SSC3とSSE2のSIPポートの整合処理(ステップA28)が必要であった。それに対して、本発明によれば、再開処理が発生したSSE2に対してはSSC3がSIPポートの再設定処理を行うようにしたので、このようなSIPポートの整合処理を行わなくて済む。
【0038】
以上のように、本発明によれば、セッション制御サーバとエッジルータのSIPポートの状態を効率的に整合させることができる。すなわち、再開処理が発生したエッジルータについては、セッション制御サーバがLAF再開処理を行うとSIPポートの不整合が多量に発生する可能性がある。そこで、本発明では、再開処理が発生したエッジルータに対してはセッション制御サーバがSIPポートの再設定処理を行うようにした。これにより、SIPポートの整合処理を行わなくて済むため、セッション制御サーバによるLAF再開時のセッション制御サーバとエッジルータのSIPポートの整合処理の負荷を大幅に軽減することができる。この効果は、エッジルータに対して大量にSIPポートを設定している場合ほど顕著である。
【符号の説明】
【0039】
2…SSE
21…SSE再開処理部
22…再開情報送信部
23…SIPポート再設定処理部
3…SSC
31…再開情報受信部
32…再開フラグ処理部
33…再開フラグ格納部
34…LAF再開処理部
35…再開フラグ参照部
36…SIPポート再設定処理部
37…LAF収集処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合方法であって、
前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に、前記エッジルータの再開処理が発生したかどうかを示す再開フラグを前記セッション制御サーバの制御対象である前記エッジルータ毎に格納する格納ステップと、
前記エッジルータの再開処理が発生した時、前記再開フラグをオンにするとともに、前記セッション制御サーバにおいてLAFの収集処理が発生した時、前記再開フラグをオフにするフラグ処理ステップと、
前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記再開フラグがオンの場合は前記エッジルータおよび前記セッション制御サーバにおいてSIPポートの再設定処理を行う再設定処理ステップと、
を備えることを特徴とするSIPポート状態整合方法。
【請求項2】
SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合システムを構成するセッション制御サーバであって、
前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生してもデータが消えないディスク領域に、前記エッジルータの再開処理が発生したかどうかを示す再開フラグを前記セッション制御サーバの制御対象である前記エッジルータ毎に格納する格納部と、
前記エッジルータの再開処理が発生した時、前記再開フラグをオンにするとともに、前記セッション制御サーバにおいてLAFの収集処理が発生した時、前記再開フラグをオフにするフラグ処理部と、
前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記再開フラグがオンの場合は、前記セッション制御サーバ側のSIPポートの再設定処理を行うとともに、前記エッジルータにSIPポートの再設定オーダを送信する再設定処理部と、
を備えることを特徴とするセッション制御サーバ。
【請求項3】
SIPを扱う通信ネットワーク上のエッジルータおよびセッション制御サーバ間でSIPポートの状態を整合させるSIPポート状態整合システムを構成するエッジルータであって、
前記セッション制御サーバにおいてLAFの再開処理が発生した時、前記セッション制御サーバから受信したSIPポートの再設定オーダに基づき、前記エッジルータ側のSIPポートの再設定処理を行う再設定処理部
を備えることを特徴とするエッジルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−130159(P2011−130159A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286356(P2009−286356)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】