説明

SIP端末制御システム及びSIP端末制御方法

【課題】マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムに多数のSIP端末が接続されることを可能とする。
【解決手段】マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御システムにおいて、前記マスター主装置は、該マスター主装置に接続された各スレーブ主装置毎のマルチリンク部を備え、各スレーブ主装置は、1以上のSIP端末を収容するSIP端末収容部を備え、前記マルチリンク部と前記各SIP端末収容部とは、SIPリンクにより接続され、前記マルチリンク部は、前記マスター主装置のCPUを利用して動作し、各SIP収容部は、それが含まれる前記スレーブ主装置又は前記マスター主装置のCPUを利用して動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御システム及びSIP端末制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明では、デジタル端末や回線などを制御するためのパッケージとしては、スレーブ主装置に含まれる物理パッケージが利用されていた。スレーブ主装置に含まれる物理パッケージは、対応テーブルを利用して、マスター主装置に含まれる仮想スロットと対応づけられ、マスター主装置は、その対応付けを利用して、スレーブ主装置の物理パッケージの配下にあるデジタル端末や回線を制御することができた。各スレーブに含まれる物理パッケージは、そのスレーブ主装置のCPUを用いてデジタル端末などを制御するため、そのような制御のための処理がマスター主装置のCPUに集中することを避けることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−003923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにSIP端末も接続することとした。これにより、このシステムの汎用性や有用性を大きく向上させることができた。
【0005】
しかし、SIP端末は、スレーブ主装置の物理パッケージに収容されない。マスター主装置が直接的にSIP端末を制御するため、マスター主装置のCPUにSIP端末を制御するための処理が集中していた。ことに、各SIP端末を制御するためには、メッセージ処理などの負荷の重い処理が必要とされる。従って、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムに接続することができるSIP端末の数がかなり制限されていた。
【0006】
そこで、本発明は、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムに多数のSIP端末が接続されることを可能とするSIP端末制御システム及びSIP端末制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御システムにおいて、前記マスター主装置は、該マスター主装置に接続された各スレーブ主装置毎のマルチリンク部を備え、各スレーブ主装置は、1以上のSIP端末を収容するSIP端末収容部を備え、前記マルチリンク部と各前記SIP端末収容部とは、SIPリンクにより接続され、前記マルチリンク部は、前記マスター主装置のCPUを利用して動作し、各SIP収容部は、それが含まれる前記スレーブ主装置又は前記マスター主装置のCPUを利用して動作することを特徴とするSIP端末制御システムが提供される。
【0008】
本発明によれば、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御方法において、前記マスター主装置に、該マスター主装置に接続された各スレーブ主装置毎のマルチリンク部を生成し、各スレーブ主装置に、1以上のSIP端末を収容するSIP端末収容部を生成し、前記マルチリンク部と前記各SIP端末収容部とを、SIPリンクにより接続し、前記マルチリンク部を、前記マスター主装置のCPUを利用して動作させ、各SIP収容部を、それが含まれる前記スレーブ主装置又は前記マスター主装置のCPUを利用して動作させることを特徴とするSIP端末制御方法が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記のマルチリンク部として機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記のSIP端末収容部として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、SIP端末の制御を複数の主装置に分散させることができるので、各主装置のCPU負荷が軽減され、したがって、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムに多数のSIP端末が接続されることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態によるSIP端末制御システムが含まれ、マスター主装置と1以上のスレーブ主装置が含まれるシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるシステムの全体は、マスター主装置101、第1のスレーブ主装置102−1、第2のスレーブ主装置102−2及びSIP端末104−1〜104−9を含む。
【0015】
マスター主装置101の数は1である。第2のスレーブ主装置の数は、図1の例では、2であるがそれ以外の数であっても良い。
【0016】
マスター主装置101、第1のスレーブ主装置102−1及び第2のスレーブ主装置102−2は、SIPリンク103により接続されている。SIPリンク103は、主装置間で通信メッセージの送受信を行う。
【0017】
図1の例では、マスター主装置101には、2つのSIP端末104−4、104−5がTCP/IP上で接続され、第1のスレーブ主装置102−1には、3つのSIP端末104−1〜104−3がTCP/IP上で接続され、第2のスレーブ主装置102−2には、4つのSIP端末104−6〜104−9が接続されているが、各主装置に接続されるSIP端末の数は任意である。
【0018】
マスター主装置102は、CAPS/OPMS201、IOCS203、マルチリンク部205−1〜205−3、SIP端末収容部207を含む。マルチリンク部205の数である3は、主装置の数である3に対応している。従って、スレーブ主装置が追加されれば、マルチリンク部2−5もそれに応じて追加される。
【0019】
CAPS/OPMS201のCAPSは、呼制御モジュールであり、OPMSは、パッケージ、端末管理モジュールである。ここで、パッケージとは、例えば、SIP端末収容部209のことである。IOCSは、入出力制御モジュールである。
【0020】
上述したように、マルチリンク部205は、システムに含まれる主装置の数と同一数設けられ、IOCS203と1つのSIP端末収容部207とをSIPリンク103を介してリンクする。
【0021】
SIP端末収容部207は、送信側処理部209、受信側処理部211、TCP/IP部213を含む。
【0022】
送信側処理部209は、マルチリンク部205から送られてきた送信バイナリデータを基に、テキストで構成される送信SIPメッセージを生成して、その送信メッセージをTCP/IP部213に渡す。
【0023】
受信側処理部211Jは、TCP/IP部213から渡された受信SIPメッセージを解析し、解析結果をテキストメッセージとしてマルチリンク部205に送信する。
【0024】
TCP/IP部213は、SIPメッセージの送受信を送信側処理部209及び受信側処理部211並びにSIP端末104との間で担う。
【0025】
CAPS/OPMS201、IOCS203及びマルチリンク部205−1〜205−3は、マスター主装置101のCPUをこれらのそれぞれの部分として機能させるためのプログラムをマスター主装置101のCPUが実行することにより実現される。このプログラムは、マスター主装置101のメモリ(図示せず)に格納される。
【0026】
マスター主装置101のSIP端末収容部207は、マスター主装置101のCPUをSIP端末収容部207として機能させるためのプログラムをマスター主装置101のCPUが実行することにより実現される。このプログラムも、マスター主装置101のメモリ(図示せず)に格納される。
【0027】
第1のスレーブ主装置102−1のSIP端末収容部207は、第1のスレーブ主装置102−1のCPUをSIP端末収容部207として機能させるためのプログラムを第2のスレーブ主装置102−1のCPUが実行することにより実現される。このプログラムは、第1のスレーブ主装置102−1のメモリ(図示せず)に格納される。
【0028】
第2のスレーブ主装置102−2のSIP端末収容部207は、第2のスレーブ主装置102−2のCPUをSIP端末収容部207として機能させるためのプログラムを第2のスレーブ主装置102−1のCPUが実行することにより実現される。このプログラムは、第2のスレーブ主装置102−2のメモリ(図示せず)に格納される。
【0029】
上記の各部は、プログラム中のクラスがメモリ内においてインスタンス化されたものである。
【0030】
第1のスレーブ主装置102−1にも、CAPS/OPMS201及びIOCS203が生成されている。マスター主装置101が正常に稼働している時には、第1のスレーブ主装置102−1のCAPS/OPMS201及びIOCS203は、スタンバイ状態であるが、マスター主装置101がダウンした時には、第1のスレーブ主装置102−1のCAPS/OPMS201及びIOCS203は、稼働状態となる。この時、第1のスレーブ主装置102−1には、マルチリンク部205も生成される。
【0031】
第2のスレーブ装置についても同様である。
【符号の説明】
【0032】
101 マスター主装置
102−1 第1のスレーブ装置
102−2 第2のスレーブ装置
103 SIPリンク
104−1〜104−9 SIP端末
201 CAPS/OPMS
203 IOCS
205−1、205−2、205−3 マルチリンク部
207 SIP端末収容部
209 送信側処理部
211 受信側処理部
213 TCP/IP部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御システムにおいて、
前記マスター主装置は、該マスター主装置に接続された各スレーブ主装置毎のマルチリンク部を備え、
各スレーブ主装置は、1以上のSIP端末を収容するSIP端末収容部を備え、
前記マルチリンク部と前記各SIP端末収容部とは、SIPリンクにより接続され、
前記マルチリンク部は、前記マスター主装置のCPUを利用して動作し、
各SIP収容部は、それが含まれる前記スレーブ主装置又は前記マスター主装置のCPUを利用して動作することを特徴とするSIP端末制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のSIP端末制御システムにおいて、
前記各SIP端末収容部は、送信側処理部と受信側処理部とを少なくとも含み、前記送信側処理部は、前記マルチリンク部から送られてきた送信バイナリデータを基に、テキストで構成される送信SIPメッセージを生成することを特徴とするSIP端末制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載のSIP端末制御システムにおいて、
前記受信側処理部は、テキストで構成される受信SIPメッセージを解析し、解析の結果を前記マルチリンク部に送信することを特徴とするSIP端末制御システム。
【請求項4】
マスター主装置と1以上のスレーブ主装置とを含むシステムにおけるSIP端末制御方法において、
前記マスター主装置に、該マスター主装置に接続された各スレーブ主装置毎のマルチリンク部を生成し、
各スレーブ主装置に、1以上のSIP端末を収容するSIP端末収容部を生成し、
前記マルチリンク部と前記各SIP端末収容部とを、SIPリンクにより接続し、
前記マルチリンク部を、前記マスター主装置のCPUを利用して動作させ、
各SIP収容部を、それが含まれる前記スレーブ主装置又は前記マスター主装置のCPUを利用して動作させることを特徴とするSIP端末制御方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1に記載のマルチリンク部として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至2の何れか1項に記載のSIP端末収容部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−160192(P2011−160192A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20200(P2010−20200)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】