説明

SMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法及び試験システム

【課題】SMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法を提供する。
【解決手段】伝動装置110と可動式検知装置120とを有する試験機器を提供し、伝動装置110は複数個のSMD型受動素子10を連続的に積み込んで移動させ、可動式検知装置120はそれらのSMD型受動素子10の電極11に電気接触することによって、SMD型受動素子10群は連続的に多種の試験を受けることになる。試験を行う際に、伝動装置110と可動式検知装置120とは分類作業まで同時に移動して試験による傷を低減することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSMD型受動素子を試験する技術に関し、特に一種のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法と試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
受動素子は、能動素子と異なってエネルギーを供給することができず、たとえば、コンデンサー、誘電子、抵抗器などがあり、現在使う受動素子はピン(pin)挿入型からSMD型に変更されつつである。図1に示すように、周知のSMD型受動素子10の両端にはそれぞれ一個や少数の電極11を備え、通常上表面から端面、さらに下表面までが覆われる。それらの電極11の材質は銅の外部にNi‐Snなどの合金で電解メッキした柔かいものである。なお、各SMD型受動素子10には、例えばコンデンサー値、耐圧性、及び電気漏れなどの試験に応じて多種の電気接続をし、もっと厳しい品質が要求される場合、十種類以上な電気試験を行わなければいけなくなる。そして、それらの試験を繰り返すことによって、かすり傷や刺し傷を生じてメッキ層に大量な損傷を与えてしまうことで外観不良品と判定されて試験による損失が重要課題となる。
【0003】
接触器の電気接触方法により、SMD型受動素子10の試験は主にワイピング方式(wiping)と作動方式(actuated)の二種類を有し、ワイピング式接触器の電気接触子はローラー(roller)であり、試験の回数が多くなればなるほど、SMD型受動素子10の電極11表面には著しいローラー圧跡が多く増える。このワイピング式接触器に関して特許文献1の「roller contact with conductive brushes」に開示されており、同様に特許文献2にも公開されている。
【0004】
図2及び図3に示すようなSMD型受動素子10の作動式試験方法によれば、試験機器は回転円盤式伝動装置20と複数個の固定式検知装置30を備える。複数個のSMD型受動素子10は、順序に円盤式伝動装置20の素子収容器21の内に積み込まれ、移動しながら対応する検知装置30に位置合わせた後に、プローブ(probe)でそれらのSMD型受動素子10の電極11を刺して試験を行う。これにより、毎回の試験において、必ず刺し傷を残し各電極11表面上に残す損傷数は試験の回数に比例している。従って、全ての試験を行った後に、それらのSMD型受動素子10の電極11表面には大量な点状損傷が生じるので、試験による製品損失を招く。特許文献3の「電子素子用試験機器」にこの作動式試験機器に関する技術を公開している。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6714028号
【特許文献2】中華民国特許第567512号
【特許文献3】中華民国特許第77206824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は上記問題を解決するため、SMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法を提案し、この方法によって、可動式検知装置を提供する。それらのSMD型受動素子に連続的に多種試験を行う過程には、可動式検知装置は分類作業まで伝動装置と同時に移動して試験による傷の減少を実現することができる。
本発明の他の目的はSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法を提供し、その可動式検知装置に電気接触力と耐磨耗性とを増加させることができる。
また、本発明のもうひとつ目的はSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法を提供し、一定速度で移動して各種の試験にかかる時間を調整して制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法は伝動装置と可動式検知装置とを有する試験機器を提供し、伝動装置は複数個のSMD型受動素子を連続的に積み込んで移動させ、可動式検知装置はそれらのSMD型受動素子の電極に電気接触することによって、SMD型受動素子群は連続的に多種の試験を受けることになる。試験を行う際に、伝動装置と可動式検知装置とは分類作業まで同時に移動して試験による傷を低減することが可能である。他に、一種のSMD型受動素子の試験システムは公開されている。
【0008】
本発明は、上記問題に対してさらに下記の技術を採用して解決することもできる。
上記のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法において、その可動式検知装置はカーボンブラシ(carbon brushes)と結合している。
上記のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法において、その試験機器はさらに複数個の試験装置を含み、それらの試験装置はカーボンブラシの移動経路に置かれる複数個の金属パッドを備える。
上記のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法において、その可動式検知装置は複数個の吸孔を有し、それらの吸孔は試験する際にSMD型受動素子群を吸っている。
上記のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法において、試験する際に伝動装置と可動式検知装置とは一定速度で移動している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第一実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法を具体的に説明する。図4は第一実施例による試験機器を示す断面図であり、図5は第一実施例による試験機器のカーボンブラシと試験装置の金属パッドとの相対位置を示す平面図である。図4に示すように、第一実施例による試験機器は、主要に伝動装置110、可動式検知装置120、及び複数個の試験装置130を含み、他に入料装置と分類装置とは本発明の特徴範囲ではなく、周知の試験機器を参考にしてここでは特に説明しない。
【0010】
その伝動装置110は複数個の素子収容器111を備え、それらの素子収容器111は複数個のSMD型受動素子10を積み込むことに用いられる。第一実施例では、伝動装置110は回転円盤式であり、SMD型受動素子10群は対応する素子収容器111群の内にそれぞれ水平的に置かれ、ゆえに、積み込まれる各SMD型受動素子10の少なくとも両電極11はその可動式検知装置120の露出表面に向かせることができる。
【0011】
その可動式検知装置120はSMD型受動素子10の電極11に電気接触することに用いられて伝動装置110と同時に移動している。第一実施例では、可動式検知装置120は、積み込まれるSMD型受動素子10の電極11群に電気接触するために複数個のプローブ121もしくは他の電気検出素子を有する。第一実施例では、それらのプローブ121は電極11群両端の同一側の表面に接触している。可動式検知装置120がカーボンブラシ122と結合することは好ましく、このカーボンブラシ122は、対応のプローブ121と電気導通して、摩擦接触を介してそれらの試験装置130と電気接続している。さらに、具体的に言えば、その可動式検知装置120は複数個の吸孔123を有することができ、それらの吸孔123は試験する過程にSMD型受動素子10群を吸付することができる。
各試験装置130は、上記カーボンブラシ122の摩擦接触用に複数個の金属パッド131もしくは電気接続端を具し、このカーボンブラシ122の摩擦接触を介してSMD型受動素子10、例えば、コンデンサー値、耐圧性、漏れ電流などの様々な電気特性を試験することになる。
【0012】
第一実施例において、カーボンブラシ122は、固定式試験装置130と可動式検知装置120との間の電気導通用の摩擦式導電治具であり、業界に常用な専用名詞だけとし、特に材質や形が限定されない。カーボンブラシ122は石墨カーボンを除いて銅や黄銅などの導電材料から成ることもでき、銅線ブラシもしくは各種の導電ブラシや導電ブロック(block)の形になることが可能である。但し、よく見られる形はブラシ状ではなくブロック状である。
【0013】
従って、上記試験機器を用いての複数個のSMD型受動素子10の電気試験を行う方法は、それらのSMD型受動素子10が連続的にその伝動装置110に積み込まれて、それらの可動式検知装置120はプローブ121群を介してSMD型受動素子10群の電極11に電気接触し、このように多種な試験を連続的に行う際に可動式検知装置120と伝動装置110とは分類作業まで同時に移動して試験による傷を低減することに達する。
【0014】
図5に示すように、前後試験の間に一度も停止の必要がなく移動中に電気試験を連続式に行うため、試験装置130群の金属パッド131は上記カーボンブラシ122の移動経路Mに位置されている。電気短絡や試験干渉を避けるため、前後試験の間に試験装置130の金属パッド131の間隔Sはカーボンブラシ122の接触長さLよりも長くならなくではいけない。試験する際に伝動装置110と可動式検知装置120とは一定速度で移動することが好ましく、ゆえに、各試験装置130の試験時間は、カーボンブラシ122が金属パッド131を通過する長さに比例して、異なる寸法の金属パッド131を調整や交換することにより、各試験装置130の試験時間を調整することができる。一方、それらの試験装置130の試験時間は、伝動装置110と可動式検知装置120との移動速度と反比例になって、移動速度を遅く調整することによって試験装置130の試験時間を長くすることが可能である。
【0015】
図6、図7、及び図8に示すように、本発明の第二実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法において、第一実施例と異なる形態の試験システム(試験機器)の使用を説明する。図6と図7とに示すように、その試験機器は、主要に伝動装置210、可動式検知装置220、及び複数個の試験装置(図に示していない)により構成される。その伝動装置210とその可動式検知装置220とは一体に連結されることができる。第二実施例では、伝動装置210は軌道型である。また、図6に示すように、複数個のSMD型受動素子10は伝動装置210の複数個の素子収容器211に連続的に積み込まれ、取置や滑りの方式を採用して積み込むことにより、SMD型受動素子10群の電極11を可動式検知装置220の複数個の簧221に電気接触させることができる。第二実施例では、簧221群はそれらの電極11端の表面に接触し、且つ可動式検知装置220の下方ではカーボンブラシ222と結合している。尚、カーボンブラシ222は、試験装置230の複数個の金属パッド231に接触するように可動式検知装置220の側面に結合されることもある。なお、図7に示すように、伝動装置210の移動経路(上記カーボンブラシ222の移動経路である)は丸く回るようになり、金属パッド231群はこの丸い移動経路(図に示していない)に位置される。図8に示すように、試験する際に、それらの簧221はSMD型受動素子10群の電極1に電気接触し、且つ対応するカーボンブラシ222に電気接続されている。また、同一の素子収容器211に対応するカーボンブラシ222群は移動中に同時に試験装置230の複数個の金属パッド231と接触することによって電気信号を転送している。従って、分類作業まで適当数量の試験装置230を通過したことは、対応数量の電気試験を完成したことと思えばよい。試験過程で各SMD型受動素子10はそのまま対応する素子収容器211内に置かれ、簧221を交換する必要がなく、試験による損傷を有効に減少させることが可能である。
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて説明したが、本発明の保護範囲は特許請求の範囲で限定されて、この保護範囲に基準して、本発明の精神と範囲内に触れるどんな変更や修正は本発明の保護範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】周知のSMD型受動素子を示す斜視図である。
【図2】周知のSMD型受動素子を試験する試験機器を示す正面図である。
【図3】周知のSMD型受動素子を試験する試験機器を示す断面図である。
【図4】本発明の第一実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法における試験機器を示す断面図である。
【図5】本発明の第一実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法におけるカーボンブラシ群と金属パッド群との相対位置を示す模式図である。
【図6】本発明の第二実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法における試験機器を示す模式図である。
【図7】本発明の第二実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法における試験機器を示す模式図である。
【図8】本発明の第二実施例によるSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法におけるSMD型受動素子の模式図である。
【符号の説明】
【0017】
10:SMD型受動素子、11:電極、110:伝動装置、111:素子収容器、120:可動式検知装置、121:プローブ、122:カーボンブラシ、123:吸孔、130:試験装置、131:金属パッド、210:伝動装置、211:素子収容器、220:可動式検知装置、221:簧、222:カーボンブラシ、231:金属パッド、M:カーボンブラシ移動経路、L:カーボンブラシ接触長さ、S:金属パッド間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置と可動式検知装置とを有する試験機器を提供するステップと、
連続的に複数個のSMD型受動素子を前記伝動装置に積み込み、前記可動式検知装置により前記SMD型受動素子に電気接触するステップと、
前記SMD型受動素子に対し連続的に多種の試験を行い、試験過程中に分類作業まで伝動装置と可動式検知装置とは同時に移動させて試験による傷を減少するステップと、
を含むことを特徴とするSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法。
【請求項2】
前記可動式検知装置はカーボンブラシと結合することを特徴とする請求項1に記載のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法。
【請求項3】
前記試験機器はさらに複数個の試験装置を有し、前記試験装置は、前記カーボンブラシの移動経路に置かれる複数個の金属パッドを備えることを特徴とする請求項2に記載のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法。
【請求項4】
前記可動式検知装置は複数個の吸孔を有し、前記吸孔は試験過程中に前記SMD型受動素子を吸付することを特徴とする請求項1に記載のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法。
【請求項5】
試験過程中に伝動装置と可動式検知装置とは一定速度で移動することを特徴とする請求項1に記載のSMD型受動素子を試験する際の傷の減少方法。
【請求項6】
連続的に複数個のSMD型受動素子を積み込む伝動装置と、
前記SMD型受動素子の電極に電気接触するようにし、伝動装置と同時に移動して、かつカーボンブラシと結合している可動式検知装置と、
を備えることを特徴とするSMD型受動素子の試験システム。
【請求項7】
さらに複数個の試験装置を備え、前記試験装置は、前記カーボンブラシの移動経路に置かれる複数個の金属パッドを有することを特徴とする請求項6に記載のSMD型受動素子の試験システム。
【請求項8】
前記伝動装置は回転円盤式であることを特徴とする請求項6に記載のSMD型受動素子の試験システム。
【請求項9】
前記伝動装置は軌道式であることを特徴とする請求項6に記載のSMD型受動素子の試験システム。
【請求項10】
伝動装置と可動式検知装置とは一体的に結合されることを特徴とする請求項6に記載のSMD型受動素子の試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−298498(P2007−298498A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25279(P2007−25279)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(507039051)
【Fターム(参考)】