説明

SOC検出回路、及び電池電源装置

【課題】二次電池の端子電圧とSOCとの間の相関関係を利用して二次電池のSOCを検出する際に、SOCの検出精度を向上することができるSOC検出回路、及び電池電源装置を提供する。
【解決手段】二次電池10の端子電圧Vtを検出する電圧検出部201と、電圧検出部201によって端子電圧Vtが検出されるタイミングより前における、二次電池10の充電又は放電の傾向を判定する充放電傾向判定部241と、二次電池10における、前記傾向と端子電圧VtとSOCとの対応関係を示す対応関係情報を予め記憶する記憶部244と、端子電圧Vt及び充放電傾向判定部241で判定された前記傾向に基づき、記憶部244に記憶されている対応関係情報を用いて、二次電池10のSOCを取得するSOC取得部242とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池のSOCを検出するSOC検出回路、及び二次電池を用いた電池電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、二次電池のSOC(State Of Charge)を検出する方法として、二次電池の端子電圧とSOCとの間に相関関係があることを利用して、端子電圧とSOCとの関係を示す換算テーブルを用いて、二次電池の端子電圧をSOCに換算する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このように、二次電池の端子電圧をSOCに換算することで、SOCを検出する技術は、特に、SOCの変化に対する端子電圧の変化が比較的大きいリチウムイオン二次電池において、広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−345254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、リチウムイオン二次電池は、SOCの換算に用いる端子電圧を検出する前に二次電池がどのような使われ方をしていたか、という履歴が上述の端子電圧とSOCとの関係に影響を与えることはないと考えられていた。そのため、端子電圧をSOCに換算する際に、当該端子電圧の検出前における二次電池の履歴が考慮されることはなかった。
【0005】
しかしながら、本発明の発明者らは、リチウムイオン二次電池において、端子電圧とSOCとの対応関係が、当該端子電圧の検出前におけるリチウムイオン二次電池の使われ方、すなわち履歴によって、影響を受けることを新たに見出した。本発明の発明者らは、特に、このようなリチウムイオン二次電池の履歴が端子電圧とSOCとの対応関係に及ぼす影響は、リチウムイオン二次電池が大型化するほど顕著になることを見出した。
【0006】
そして、本発明の発明者らは、このようなリチウムイオン二次電池の特性によって、上述の特許文献1に記載の技術のように、二次電池の端子電圧をSOCに換算した場合には、そのSOCの換算精度が低下してしまうという、不都合が生じていることを見出した。
【0007】
本発明の目的は、二次電池の端子電圧とSOCとの間の相関関係を利用して二次電池のSOCを検出する際に、SOCの検出精度を向上することができるSOC検出回路、及び電池電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るSOC検出回路は、二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前における、前記二次電池の充電又は放電の傾向を判定する充放電傾向判定部と、前記二次電池における、前記傾向と端子電圧とSOCとの対応関係を示す対応関係情報を予め記憶する記憶部と、前記電圧検出部で検出された端子電圧及び前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向に基づき、前記記憶部に記憶されている対応関係情報を用いて、前記二次電池のSOCを取得するSOC取得部とを備える。
【0009】
この構成によれば、二次電池の充放電の実行のされ方の傾向と端子電圧とSOCとの対応関係を示す対応関係情報が、記憶部に予め記憶されている。そして、充放電傾向判定部によって、電圧検出部で二次電池の端子電圧が検出されるタイミングより前における、二次電池の充電又は放電の傾向が、判定される。さらに、SOC取得部によって、電圧検出部で検出された二次電池の端子電圧及び充放電傾向判定部で判定された傾向に基づき、記憶部に記憶されている対応関係情報を用いて、二次電池のSOCが取得される。
【0010】
この場合、二次電池の充電又は放電の実行のされ方の傾向に応じて、二次電池のSOCが取得されるので、二次電池の端子電圧とSOCとの間の相関関係を利用して二次電池のSOCを検出する際に、充放電履歴の影響を排除して、SOCの検出精度を向上することが可能となる。
【0011】
また、前記充放電傾向判定部は、前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、最も近いタイミングで実行された前記二次電池の充放電が、充電であった場合に前記傾向は充電傾向であると判定し、放電であった場合に前記傾向は放電傾向であると判定し、前記対応関係情報は、前記充電傾向における端子電圧とSOCとの対応関係と、前記放電傾向における端子電圧とSOCとの対応関係とを示すことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、電圧検出部によって端子電圧が検出されるタイミングより前の、最も近いタイミングで実行された二次電池の充放電に基づいて、充放電傾向判定部によって充放電の傾向が判定されるので、充放電の傾向が判定されるタイミングと端子電圧が検出されるタイミングとのずれが小さくなる結果、端子電圧検出タイミングにおける二次電池の充放電傾向の判定精度を向上することが可能となる。
【0013】
また、前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部をさらに備え、前記充放電傾向判定部は、前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内における、前記電流検出部によって検出される電流値の積算値を算出する積算部と、前記積算部によって算出される積算値に基づいて、前記傾向を判定する判定部とを含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、所定の長さを有する設定期間内において、二次電池に流れる電流値の積算値に基づいて、二次電池の充放電傾向が判定されるので、二次電池の充放電傾向による特性の変化を生じないような一時的な充放電によって、充放電傾向を誤って判定してしまうおそれが低減される。
【0015】
また、前記電流検出部は、前記二次電池に流れる電流の電流値を、充電方向と放電方向とで正負を示す符号を反転させて示し、前記判定部は、前記積算部によって算出された積算値の符号が、前記充電方向に対応する符号であった場合に前記傾向は充電傾向であると判定し、前記放電方向に対応する符号であった場合に前記傾向は放電傾向であると判定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、二次電池に流れる電流の電流値が、電流検出部によって、充電方向と放電方向とで正負を示す符号が反転されて示されるから、積算部がこの電流値を積算すると、その積算値の符号は、設定期間内における充電電気量と放電電気量とのうち、電気量が大きい充放電方向の符号と等しくなる。そして、判定部によって、積算値の符号が、充電方向に対応する符号であった場合に充電傾向であると判定され、放電方向に対応する符号であった場合に放電傾向であると判定されるので、充放電傾向の判定処理が簡素化される。
【0017】
また、前記積算部は、前記設定期間において、前記二次電池に流れる電流が充電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を充電積算値として積算し、前記二次電池に流れる電流が放電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を放電積算値として積算し、前記判定部は、前記充電積算値が前記放電積算値より大きいとき前記傾向は充電傾向であると判定し、前記放電積算値が前記充電積算値より大きいとき前記傾向は放電傾向であると判定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、設定期間内に、二次電池に充電された充電電気量が充電積算値として算出される。また、設定期間内に、二次電池が放電した放電電気量が放電積算値として算出される。そうすると、充電積算値が放電積算値より大きいとき、充電傾向であると判定し、放電積算値が充電積算値より大きいとき放電傾向であると判定することができる。このとき、例えば充電積算値に基づき設定期間内における充電電流の時間平均値を算出し、放電積算値に基づき設定期間内における放電電流の時間平均値を算出し、当該各時間平均値の比較によって、間接的に、充電積算値が放電積算値より大きいとき充電傾向であると判定し、放電積算値が充電積算値より大きいとき放電傾向であると判定するようにしてもよい。
【0019】
また、前記充放電傾向判定部は、前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内における、前記二次電池の充電と放電との比率を充放電比率として算出する充放電比率算出部と、前記充放電比率算出部によって算出された充放電比率に基づいて、前記傾向を判定する判定部とを含むことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、充放電比率算出部によって、端子電圧が検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内における、二次電池の充電と放電との比率が充放電比率として算出される。そうすると、充放電比率は二次電池の充放電傾向を示すと考えられるから、判定部は、充放電比率に基づいて、前記傾向を判定することができる。
【0021】
また、前記判定部は、前記充放電比率算出部によって算出された充放電比率を前記傾向の判定結果として用いるものであり、前記対応関係情報は、前記傾向を、前記充放電比率によって表すことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、二次電池の充放電傾向が、充電傾向であるか放電傾向であるかというだけでなく、傾向の程度が充放電比率として数値で表されるので、前記傾向の判定精度が向上する。
【0023】
また、前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部を備え、前記充放電比率算出部は、前記設定期間において、前記二次電池に流れる電流が充電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を充電積算値として積算し、前記二次電池に流れる電流が放電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を放電積算値として積算し、当該積算された充電積算値と放電積算値との比を、前記充放電比率として算出することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、充放電比率算出部によって、設定期間内における充電電気量が充電積算値として算出され、設定期間内における放電電気量が放電積算値として算出されるので、充電積算値と放電積算値との比を、充放電比率として算出することができる。
【0025】
また、前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部を備え、前記対応関係情報における端子電圧は、前記二次電池の開路電圧であり、前記SOC取得部は、前記二次電池の内部抵抗値を推定する内部抵抗推定部と、前記電流検出部により検出される電流値と前記内部抵抗推定部により推定される内部抵抗値とを乗じた値を、当該電流値が充電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧から減算し、当該電流値が放電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧に加算することによって、前記二次電池の開路電圧を算出する開路電圧算出部と、前記記憶部に記憶されている対応関係情報によって、前記算出された開路電圧と前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向とに対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得する取得部とを含むことが好ましい。
【0026】
二次電池の端子電圧には、二次電池の内部抵抗に電流が流れることにより生じる電圧と、開路電圧(起電力)とが含まれている。しかしながら、二次電池の内部抵抗に電流が流れることにより生じる電圧は、SOCとの間に相関関係を有しない。そのため、二次電池の端子電圧をそのまま用いてSOCに換算すると、SOCの検出精度が低下する。そこで、この構成によれば、開路電圧算出部によって、二次電池の開路電圧が算出され、取得部によって、この二次電池の開路電圧に基づき、二次電池のSOCが取得される。そうすると、電圧検出部で検出される端子電圧に含まれる、SOCと相関関係を有しない電圧成分が低減される結果、SOCの検出精度を向上させることができる。
【0027】
また、前記内部抵抗推定部は、前記電圧検出部によって検出される端子電圧と前記電流検出部によって検出される電流値との組を複数取得し、当該複数の組から得られる回帰直線の傾きを前記二次電池の内部抵抗として推定することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、電圧検出部によって検出される二次電池の端子電圧と電流検出部によって検出される電流値との組を複数取得してその回帰直線を得ると、その回帰直線の傾きが二次電池の内部抵抗を表すから、内部抵抗推定部は、この回帰直線の傾きを二次電池の内部抵抗として取得することができる。
【0029】
また、前記二次電池の温度を検出する温度検出部と、前記二次電池の、温度と内部抵抗値とを対応付けて記憶する内部抵抗値記憶部とをさらに備え、前記内部抵抗推定部は、前記内部抵抗値記憶部によって、前記温度検出部で検出された温度と対応付けて記憶されている内部抵抗値を、前記二次電池の内部抵抗値として推定するようにしてもよい。
【0030】
二次電池の内部抵抗と温度との間には相関関係があるから、内部抵抗値記憶部に、二次電池の、温度と内部抵抗値とを対応付けて記憶しておくことで、内部抵抗推定部は、温度検出部で検出された温度と対応付けて内部抵抗値記憶部に記憶されている内部抵抗値を、二次電池の内部抵抗値として推定することができる。
【0031】
また、前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、前記二次電池の内部抵抗値を検出する内部抵抗推定部とを備え、前記対応関係情報における端子電圧は、前記二次電池の開路電圧であり、前記SOC取得部は、前記電圧検出部によって検出される電圧値と前記電流検出部によって検出される電流値との組を、前記設定期間内において、複数取得し、当該複数の組から得られる回帰直線の傾きを前記二次電池の内部抵抗として推定する内部抵抗推定部と、前記電流検出部により検出される電流値と前記内部抵抗推定部により推定される内部抵抗値とを乗じた値を、当該電流値が充電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧から減算し、当該電流値が放電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧に加算することによって、前記二次電池の開路電圧を算出する開路電圧算出部と、前記記憶部に記憶されている対応関係情報によって、前記算出された開路電圧と前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向とに対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得する取得部とを含むことが好ましい。
【0032】
二次電池の内部抵抗は、二次電池の劣化に伴い増大するから、電圧検出部によって、SOCに換算するための端子電圧が検出されるタイミングから、大きく離れたタイミングで内部抵抗値を推定すると、当該端子電圧が検出されるタイミングにおいては内部抵抗がその推定値から大きく変化しているおそれがある。しかしながら、この構成によれば、内部抵抗推定部によって、設定期間内に内部抵抗値が推定されるので、SOCに換算するための端子電圧が検出されるタイミングの直近における設定期間内における二次電池の内部抵抗が推定される結果、内部抵抗値の推定精度が向上する。
【0033】
また、前記二次電池の活性状態又は劣化状態を、電池状態として検出する電池状態検出部をさらに備え、前記記憶部は、前記対応関係情報を、前記電池状態に対応して予め記憶し、前記SOC取得部は、前記電池状態検出部によって検出された電池状態に対応する対応関係情報を用いて、前記二次電池のSOCを取得することが好ましい。
【0034】
二次電池における、前記傾向と端子電圧とSOCとの対応関係は、二次電池の活性状態や劣化状態である電池状態の影響を受けて変化する。そこで、この構成によれば、電池状態に対応する対応関係情報に基づいて、二次電池のSOCが取得されるので、SOCの検出精度が向上する。
【0035】
また、前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。
【0036】
リチウムイオン二次電池は、他の電池、例えばニッケル水素二次電池と比べて、SOCの変化に対する端子電圧の変化が大きいから、二次電池の端子電圧をSOCに換算した場合のSOCの精度が、相対的に高い。また、本発明の発明者らは、リチウムイオン二次電池は、過去の充放電履歴が、充電傾向であるか放電傾向であるかによって、SOCに対する開路電圧値に差が生じる性質を有することを見出した。従って、本発明に係るSOC検出回路は、リチウムイオン二次電池のSOCを検出する回路として好適である。
【0037】
また、本発明に係る電池電源装置は、上述のSOC検出回路と、前記二次電池とを備える。
【0038】
この構成によれば、二次電池を用いた電池電源装置において、二次電池の端子電圧とSOCとの間の相関関係を利用して二次電池のSOCを検出する際に、SOCの検出精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0039】
このような構成のSOC検出回路、及び電池電源装置は、二次電池の端子電圧とSOCとの間の相関関係を利用して二次電池のSOCを検出する際に、SOCの検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るSOC検出回路、及びこのSOC検出回路を備えた電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】対応関係情報の一例をグラフ化して示した説明図である。
【図3】図1に示す内部抵抗推定部による内部抵抗値の推定方法の一例を説明するための説明図である。
【図4】二次電池が充放電された際の充放電電流値Idと端子電圧値Vtとの一例を示すグラフである。図4(a)は充放電電流値Idを示し、図4(b)は端子電圧値Vtを示している。
【図5】SOC検出回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】SOC検出回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】充放電傾向判定部の動作を説明するための説明図である。
【図9】充放電傾向判定部による充放電傾向判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図7に示す電池電源装置の変形例を示すブロック図である。
【図11】図9に示すフローチャートの変形例を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】図12に示す記憶部に記憶されている対応関係情報の一例を、グラフ化して示した説明図である。
【図14】図12に示す電池電源装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】図12に示す電池電源装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】図14に示すフローチャートの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0042】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るSOC検出回路、及びこのSOC検出回路を備えた電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
図1に示す電池電源装置1は、二次電池10と、SOC検出回路20と、充放電制御回路30とを備えている。電池電源装置1は、太陽光発電システムやUPS等のバックアップ用電源装置の他、携帯型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯電話機、電気自動車、ハイブリットカー等、種々の電池駆動機器やシステムにおける電源システムに用いられる。
【0044】
SOC検出回路20は、例えばECU(Electric Control Unit)として構成されている。SOC検出回路20は、電圧検出部201と、電流検出部202と、温度検出部203と、制御部204とを備えている。そして、充放電制御回路30には、発電装置100と、負荷装置200とが接続されている。
【0045】
発電装置100は、例えば太陽光発電装置(太陽電池)や、例えば風力や水力といった自然エネルギーやエンジン等の人工的な動力によって駆動される発電機等である。なお、充放電制御回路30は、発電装置100の代わりに例えば商用電源に接続されていてもよい。
【0046】
負荷装置200は、電池電源装置1から供給される電力により駆動される各種の負荷であってもよく、例えばモータやバックアップ対象の負荷機器であってもよい。
【0047】
二次電池10は、例えば、直列に接続されたN個の電池ブロックB1,B2,・・・,BNと、電流センサ11と、温度センサ12とが図略の筐体(ボックス)に収容された電池パックとして構成されている。また、電池ブロックB1,B2,・・・,BNのそれぞれは、複数個の単電池13が電気的に直列に接続されて構成されている。
【0048】
単電池13としては、例えばリチウムイオン二次電池などの非水系二次電池を用いることができる。なお、二次電池10は、単電池13を少なくとも一つ含んでいればよく、電池ブロックの数Nや単電池13の数は特に限定されるものではない。また、単電池13や電池ブロックは、並列接続されていてもよく、直列と並列とが組み合わされていてもよい。
【0049】
この場合、請求項における二次電池は、二次電池10であってもよく、電池ブロックB1,B2,・・・,BNであってもよく、単電池13であってもよい。なお、以下の説明において、電池ブロックB1,B2,・・・,BNを総称する場合には添え字を省略して電池ブロックBと記載し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0050】
電流センサ11は、例えば、電池ブロックBと直列接続された抵抗素子や電流変成器等で構成されており、電池ブロックBを流れる電流を検出し、その電流値を電圧信号として電流検出部202へ出力する。
【0051】
温度センサ12としては、例えば熱電対やサーミスタ等が用いられ、電池ブロックBの温度に応じた電圧や抵抗値等のアナログ情報を温度検出部203へ出力する。
【0052】
電圧検出部201は、例えばアナログデジタル変換器を用いて構成されており、電池ブロックB1,B2,・・・,BNのそれぞれの端子電圧Vt1,Vt2,・・・,VtNを測定する。そして、電圧検出部201は、測定した端子電圧Vt1,Vt2,・・・,VtNを、予め設定された周期でデジタル値に変換して電圧値Vdとして制御部204へ出力する。
【0053】
また、電圧検出部201は、端子電圧を電池ブロック毎に測定する例を示したが、単電池13毎に端子電圧値を測定するようにしてもよく、二次電池10全体の端子電圧値Vtを測定するようにしてもよい。また、電圧検出部201は、端子電圧Vt1,Vt2,・・・,VtNを合計することで、二次電池10全体の端子電圧値Vtを算出するようにしてもよい。
【0054】
電流検出部202は、例えばアナログデジタル変換器を用いて構成されており、電流センサ11を用いて二次電池10の充放電電流Iを所定の周期で測定する。電流検出部202は、測定された充放電電流Iをアナログ信号からデジタル信号に変換して、充電方向をプラス(+)の電流値で示し、放電方向をマイナス(−)の電流値で示す充放電電流値Idとして出力する。電流検出部202から制御部204へのデータ出力も、電圧検出部201からのデータ出力と同様、予め定められた周期で行われる。
【0055】
温度検出部203は、例えばアナログデジタル変換器や抵抗値測定回路等を用いて構成されており、温度センサ12を用いて二次電池10内の温度を所定の周期で測定する。そして、温度検出部203は、測定された温度をアナログ信号からデジタル信号に変換して温度値Tとして予め定められた周期で制御部204へ出力する。
【0056】
制御部204は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、その周辺回路等と、記憶部244とを備えて構成されている。
【0057】
また、制御部204は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、充放電傾向判定部241、及びSOC取得部242として機能する。また、SOC取得部242は、内部抵抗推定部421、開路電圧算出部422、及び取得部423を含んでいる。
【0058】
記憶部244は、例えばROMによって構成されている。そして、記憶部244には、二次電池10の状態が充電傾向であるときの開路電圧値VocとSOCとの関係、及び二次電池10の状態が放電傾向であるときの開路電圧値VocとSOCとの関係を示す対応関係情報が、予め、例えばルックアップテーブル(Look Up Table)として記憶されている。
【0059】
図2は、対応関係情報の一例をグラフ化して示した説明図である。グラフG1は、充電傾向における開路電圧値VocとSOCとの関係を示し、グラフG2は、放電傾向における開路電圧値VocとSOCとの関係を示している。図2に示すように、充電傾向におけるグラフG1と、放電傾向におけるグラフG2とでは、同一のSOCに対する開路電圧値Vocが、放電傾向におけるグラフG2の方が高くなっている。
【0060】
従来、リチウムイオン二次電池のSOCに対する開路電圧値Vocは、過去の充放電履歴の影響は受けないと考えられてきた。しかしながら本発明の発明者らは、図2に示すように、リチウムイオン二次電池の過去の充放電履歴が、充電傾向であるか放電傾向であるかによって、SOCに対する開路電圧値Vocに差が生じることを見出した。
【0061】
具体的には、本発明の発明者らは、過去の充放電履歴が放電傾向であった場合の方が、充電傾向であった場合よりもSOCに対する開路電圧値Vocが高くなることを見出した。また、本発明の発明者らは、充放電履歴による開路電圧値Vocの差は、リチウムイオン二次電池が大きくなるほど、すなわち極板面積が大きくなるほど増大することを見出した。リチウムイオン二次電池が大きくなるほど、充放電履歴による開路電圧値Vocの差が増大する理由は、小さな電池では、極板が均一に反応するため充放電履歴による差が生じにくいのに対し、大きな電池では極板面積が大きいために極板の箇所によって反応が不均一になるためであると考えられる。
【0062】
なお、二次電池10は、必ずしもリチウムイオン二次電池に限られず、過去の充放電履歴が、充電傾向であるか放電傾向であるかによって、SOCに対する開路電圧値Vocに差が生じる性質を有する二次電池であればよい。
【0063】
充放電傾向判定部241は、電圧検出部201によって端子電圧値Vtが検出されるタイミングより前の、最も近いタイミングで実行された二次電池10の充放電が、充電であった場合に二次電池10の充放電状態は充電傾向であると判定し、放電であった場合に二次電池10の充放電状態は放電傾向であると判定する。
【0064】
内部抵抗推定部421は、電圧検出部201によって検出された端子電圧Vt1,Vt2,・・・,VtNの合計値として得られた端子電圧値Vtと電流検出部202によって検出される充放電電流値Idとの組を複数取得し、当該複数の組から得られる回帰直線の傾きを二次電池10の内部抵抗値Rとして推定する。
【0065】
図3は、図1に示す内部抵抗推定部421による内部抵抗値Rの推定方法の一例を説明するための説明図である。
【0066】
内部抵抗推定部421は、端子電圧値Vtと充放電電流値Idとの組を複数取得して回帰直線を生成する。図2では、充放電電流値IdがI1、端子電圧値VtがV1のデータP1と、充放電電流値IdがI2、端子電圧値VtがV2のデータP2と、充放電電流値IdがI3、端子電圧値VtがV3のデータP3とを取得して、データP1,P2,P3から回帰直線Lを生成する例を示している。
【0067】
このようにして得られる回帰直線Lは、下記の式(1)で表され、その傾きを示す係数Rが、二次電池10の内部抵抗値Rとして得られる。
【0068】
Vt=R×Id+V ・・・(1)
回帰直線Lを得るためには、値が異なる複数の端子電圧値Vtと充放電電流値Idとの組を取得する必要がある。しかしながら、例えば電気自動車では、車両の加減速や路面の状態等に応じて充放電電流が頻繁に変化し、例えば風力発電では、風速の変化に応じて充放電電流が頻繁に変化する。従って、例えば1分程度の期間において、回帰直線Lを得るのに必要な、値が異なる複数の端子電圧値Vtと充放電電流値Idとの組を取得することが可能である。
【0069】
なお、二次電池10の内部抵抗値Rと二次電池10の温度値Tとの間には、相関関係がある。そこで、例えば二次電池10の温度と内部抵抗値との関係を示した内部抵抗テーブルを予め記憶部244(内部抵抗値記憶部)等に記憶しておき、内部抵抗推定部421は、温度検出部203によって検出された温度Tを、内部抵抗テーブルを用いて二次電池10の内部抵抗値Rに換算することで、内部抵抗値Rを推定するようにしてもよい。あるいは、内部抵抗推定部421は、その他の方法によって、二次電池10の内部抵抗値Rを推定してもよい。
【0070】
開路電圧算出部422は、電圧検出部201により検出される端子電圧値Vtと電流検出部202により検出される充放電電流値Idと内部抵抗推定部421により推定される内部抵抗値Rとに基づき、例えば下記の式(2)を用いて二次電池10の開路電圧値Vocを算出する。
【0071】
Voc=Vt−Id×R ・・・(2)
充放電電流値Idは、充電方向の電流値を正(+)の電流値で示し、放電方向を負(−)の電流値で示しているから、式(2)によれば、充放電電流値Idと内部抵抗値Rとを乗じた値を、電流値が充電方向のときは端子電圧値Vtから減算し、電流値が放電方向のときは端子電圧値Vtに加算することになる。
【0072】
取得部423は、記憶部244に記憶されている対応関係情報によって、式(2)により算出された開路電圧値Vocと充放電傾向判定部241で判定された傾向とに対応付けられているSOCを、二次電池10のSOCとして取得し、例えば充放電制御回路30へ送信する。
【0073】
なお、SOC取得部242は、電池ブロックB1,B2,・・・,BNのSOCをそれぞれSOC1,SOC2,・・・,SOCNとして電池ブロック毎に算出するようにしてもよく、単電池13毎にSOCを算出するようにしてもよく、二次電池10全体のSOCを一括して算出するようにしてもよい。
【0074】
ここで、端子電圧値VtとSOCとの対応関係は、二次電池10の温度に応じて変化するので、温度に応じた変換テーブルや補正係数を例えばROMに記憶しておくようにしてもよい。そして、SOC取得部242は、温度検出部203で検出された温度Tに応じた変換テーブルや補正係数を用いて電圧とSOCとの変換を行うことで、SOCの算出精度が向上する。
【0075】
充放電制御回路30は、発電装置100からの余剰電力や負荷装置200で発生する回生電力を二次電池10に充電する。また、充放電制御回路30は、負荷装置200の消費電流が急激に増大したり、あるいは発電装置100の発電量が低下して負荷装置200の要求する電力が発電装置100の出力を超えたりすると、二次電池10から不足の電力を負荷装置200へ供給する。
【0076】
そして、充放電制御回路30は、制御部204から送信される二次電池10のSOCに基づいて、通常、二次電池10のSOCが20〜80%程度の範囲内になるように二次電池10の充放電を制御する。なお、電池電源装置1が、夜間電力の有効活用をした負荷平準化電源やプラグインハイブリット車用の電源装置等として用いられる場合は、充放電制御回路30は、二次電池10のSOCが100%になるまで充電し、負荷装置200でエネルギーが必要な時に二次電池10を放電させる。
【0077】
また、充放電制御回路30は、二次電池10の端子電圧値Vtが、過充電を防止するための過充電防止電圧を超えた場合、二次電池10の充電を禁止し、過放電を防止するために予め設定された過放電保護電圧を下回った場合、二次電池10の放電を禁止することで、二次電池10の劣化を抑制したり安全性を向上したりするようになっている。
【0078】
また、充放電制御回路30は、電流検出部202によって検出された充放電電流値Idを監視し、充放電電流値Idが予め設定された制限電流値を超えないように、二次電池10の充放電電流Iを制限する。これにより、二次電池10の劣化を低減したり安全性を向上したりするようになっている。
【0079】
次に、上述のように構成されたSOC検出回路20の動作について説明する。図4は、二次電池10が充放電された際の充放電電流値Idと端子電圧値Vtとの一例を示すグラフである。図4(a)は充放電電流値Idを示し、図4(b)は端子電圧値Vtを示している。図5、図6は、SOC検出回路20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0080】
図4(a)、図4(b)に示すように、二次電池10の充放電が繰り返され、二次電池10が充電(充放電電流値Idが正(+))されると、端子電圧値Vtは、二次電池10の内部抵抗に充放電電流値Idが流れることで生じた電圧分だけ急激に上昇した後、充放電電流値Idによる充電に伴い徐々に上昇する。
【0081】
一方、二次電池10が放電(充放電電流値Idが負(−))されると、端子電圧値Vtは、二次電池10の内部抵抗に充放電電流値Idが流れることで生じた電圧分だけ急激に低下した後、充放電電流値Idによる放電に伴い徐々に低下する。
【0082】
次に、図5を参照して、充放電傾向判定部241による充放電傾向判定処理について説明する。まず、電流検出部202によって、充放電電流値Idが検出される(ステップS1)。次に、充放電傾向判定部241によって、充放電電流値Idが正の値か否か(二次電池10が充電状態か否か)確認される(ステップS2)。
【0083】
そして、充放電電流値Idが正の値(ステップS2でYES)であれば、充放電傾向判定部241によって、二次電池10は充電傾向と判定されて、その判定結果が例えばRAMに記憶され(ステップS3)、再びステップS1へ移行し、以降の処理が繰り返される。
【0084】
一方、充放電電流値Idが正の値でなければ(ステップS2でNO)、充放電傾向判定部241によって、充放電電流値Idが負の値か否か(二次電池10が放電状態か否か)確認される(ステップS4)。そして、充放電電流値Idが負の値(ステップS4でYES)であれば、充放電傾向判定部241によって、二次電池10は放電傾向と判定されて、その判定結果が例えばRAMに記憶され(ステップS5)、再びステップS1へ移行し、以降の処理が繰り返される。
【0085】
また、充放電電流値Idが0、すなわち二次電池10が充放電を実行していないときは(ステップS2でNO、ステップS4でNO)、RAMに記憶されている充放電傾向の判定結果が変更されることなくそのまま維持されて、再びステップS1へ移行し、以降の処理が繰り返される。
【0086】
以上、ステップS1〜S5の処理により、直近に実行された二次電池10の充放電が、充電であった場合に充電傾向を示す判定結果がRAMに記憶され、放電であった場合に放電傾向を示す傾向判定結果がRAMに記憶されて、かつRAMに記憶されている傾向判定結果が常時更新されることとなる。
【0087】
次に、図6を参照して、充放電傾向判定部241によって得られた傾向判定結果に基づくSOC検出処理について説明する。図6に示すステップS11〜S19は、例えば、図5に示すステップS1〜S5と並列処理で実行されている。
【0088】
まず、内部抵抗推定部421によって、二次電池10の内部抵抗値Rが推定される(ステップS11)。次に、取得部423によって、RAMから、充放電傾向判定部241による傾向判定結果が読み出される(ステップS12)。次いで、開路電圧算出部422によって、電圧検出部201により検出された端子電圧値Vtが取得される(ステップS13)。
【0089】
そうすると、端子電圧値Vtが検出されるより前の、最も近いタイミングで実行された二次電池10の充放電動作に基づく傾向判定結果が、開路電圧算出部422(SOC取得部242)によって得られることとなる。例えば、図4に示すタイミングTAにおいて、SOC取得部242によるSOC検出処理(端子電圧値Vtの検出)が実行された場合は、タイミングT1における正の充放電電流値Idに基づき傾向判定結果は充電傾向とされ、タイミングTBにおいて、SOC取得部242によるSOC検出処理(端子電圧値Vtの検出)が実行された場合は、タイミングT2における負の充放電電流値Idに基づき傾向判定結果は放電傾向とされる。
【0090】
次に、電流検出部202によって、充放電電流値Idが検出される(ステップS14)。そして、開路電圧算出部422によって、式(2)を用いて開路電圧値Vocが算出される(ステップS15)。これにより、端子電圧値Vtに含まれている、内部抵抗で生じた電圧の影響が排除されて、二次電池10の開路電圧値Vocが推定される。
【0091】
次に、取得部423によって、ステップS12において読み出された傾向判定結果が、充電傾向及び放電傾向のいずれを示すのかが確認される(ステップS16)。そして、傾向判定結果が充電傾向を示す場合(ステップS16で”充電傾向”)、取得部423によって、記憶部244に記憶されている対応関係情報が参照され、当該対応関係情報における充電傾向のLUT(Look Up Table)によって開路電圧値Vocと対応づけられているSOCが、二次電池10のSOCとして取得される(ステップS17)。
【0092】
一方、傾向判定結果が放電傾向を示す場合(ステップS16で”放電傾向”)、取得部423によって、記憶部244に記憶されている対応関係情報が参照され、当該対応関係情報における充電傾向のLUTによって開路電圧値Vocと対応づけられているSOCが、二次電池10のSOCとして取得される(ステップS18)。
【0093】
次に、取得部423によって、このようにして得られたSOCが、充放電制御回路30へ送信されて(ステップS19)、処理を終了する。
【0094】
以上、ステップS1〜S5、S11〜S19の処理により、端子電圧値Vtの検出前に、二次電池10の充放電状態がどのような傾向であったかに応じたLUTを用いて、SOCが取得されるので、二次電池10の充放電履歴の影響を加味したSOCが得られる結果、SOCの検出精度が向上する。
【0095】
また、二次電池10の開路電圧値Vocを推定し、この開路電圧値Vocに基づきSOCが推定されるので、二次電池10に流れる電流によって内部抵抗で生じる電圧、すなわちSOCと相関関係のない電圧成分が排除された開路電圧値Vocから、SOCが推定される結果、SOCの推定精度が向上する。
【0096】
なお、必ずしも開路電圧値Vocに基づきSOCを検出する例に限られず、例えば内部抵抗推定部421、開路電圧算出部422を備えず、SOC取得部242(取得部423)は、端子電圧値VtをそのままSOCに換算することで、二次電池10のSOCを推定するようにしてもよい。
【0097】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るSOC検出回路20aを備えた電池電源装置1aについて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る電池電源装置1aの構成の一例を示すブロック図である。
【0098】
図7に示す電池電源装置1aは、図1に示す電池電源装置1とは、充放電傾向判定部241aの構成が異なる。その他の構成は図1に示す電池電源装置1と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
【0099】
充放電傾向判定部241aは、平均部411と、判定部412とを備えている。平均部411は、電圧検出部201によって端子電圧値vtが検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内において、電流検出部202によって検出された充放電電流値Idの時間平均値Iaveを算出する。具体的には、充放電傾向判定部241aは、設定時間tw内における充放電電流値Idを積分し、その積分値を設定時間twで除算することによって、時間平均値Iaveを算出する。設定期間は、その期間の長さが予め、設定時間twに設定されている。
【0100】
判定部412は、平均部411によって算出された時間平均値Iaveの符号が、充電方向に対応する正(+)の符号であった場合、充電傾向であると判定し、時間平均値Iaveの符号が放電方向に対応する負(−)の符号であった場合、放電傾向であると判定し、その傾向判定結果を例えばRAMに記憶させることで、SOC取得部242へ出力する。
【0101】
図8は、二次電池10が図4に示す場合と同様の充放電を行ったときの、充放電傾向判定部241aの動作を説明するための説明図である。また、図9は、充放電傾向判定部241aによる充放電傾向判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0102】
まず、平均部411は、例えば図8に示すタイミングT3において、タイマ回路を用いて経過時間tmの計時を開始する(ステップS21)。次に、平均部411は、電流検出部202によって検出された充放電電流値Idを単位時間毎に積算し、積算電流値Siを算出する(ステップS22)。
【0103】
そして、平均部411は、タイマ回路により計時されている経過時間tmと設定時間twとを比較し、まだ設定時間twが経過していなければ(ステップS23でNO)、ステップS22を繰り返す一方、設定時間twが経過すれば(ステップS23でYES、タイミングTB)、積算電流値Siを設定時間twで除算することによって、時間平均値Iaveを算出する(ステップS24)。
【0104】
次に、判定部412によって、時間平均値Iaveが正の値か否か確認される(ステップS25)。そして、時間平均値Iaveが正の値(ステップS25でYES)であれば、判定部412によって、二次電池10は充電傾向と判定されて、その判定結果が傾向判定結果として例えばRAMに記憶され(ステップS26)、ステップS11のSOC検出処理へ移行する。
【0105】
一方、時間平均値Iaveが正の値でなければ(ステップS25でNO)、判定部412によって、時間平均値Iaveが負の値か否か確認される(ステップS27)。そして、時間平均値Iaveが負の値(ステップS27でYES)であれば、判定部412によって、二次電池10は放電傾向と判定されて、その判定結果が傾向判定結果として例えばRAMに記憶され(ステップS28)、ステップS11のSOC検出処理へ移行する。
【0106】
また、時間平均値Iaveが0のときは(ステップS25でNO、ステップS27でNO)、RAMに記憶されている傾向判定結果が変更されることなくそのまま維持されて、ステップS11のSOC検出処理へ移行する。
【0107】
ここで、図1に示す充放電傾向判定部241によれば、タイミングTBにおいて充放電傾向を判定する場合、タイミングTBの直前に、短時間でも放電が実行されると放電傾向であると判定されることとなる。しかしながら、本発明者らは、二次電池10の充放電傾向は、必ずしも判定タイミング直前の充放電の方向のみでは決まらない場合があり、判定タイミングの前の、設定時間twの期間内における充放電電流値Idの時間平均値Iaveの方が、二次電池10の充放電傾向をより正確に表すことを見出した。
【0108】
従って、図1に示す充放電傾向判定部241よりも、図7に示す充放電傾向判定部241a(ステップS21〜S28)の方が、充放電傾向の判定精度を向上させることが可能となる。
【0109】
ここで、設定時間twは、長すぎると、遠い過去における二次電池10の充放電が、充放電傾向の判定に影響し、かえって充放電傾向の判定精度が低下してしまうおそれがある。充放電傾向の判定精度を向上させるのに適当な設定時間twは、二次電池10の特性によって異なる。従って、設定時間twは、二次電池10の特性に応じた適当な値を、例えば実験的に求めることで、予め設定する必要がある。
【0110】
以下、引き続き、ステップS11〜S19が実行されて、SOC取得部242によって、二次電池10のSOCが検出される。このとき、充放電傾向判定部241a(ステップS21〜S28)による傾向判定結果の精度が向上する結果、SOC取得部242によるSOCの検出精度が向上する。
【0111】
なお、内部抵抗推定部421は、設定時間twの期間中に検出された端子電圧値Vtと充放電電流値Idとに基づいて内部抵抗値Rを推定する、あるいは設定時間twの期間中に検出された温度Tに基づいて内部抵抗値Rを推定することが好ましい。内部抵抗値Rは、二次電池10の劣化に伴い増大するから、SOC検出処理が実行されるタイミングTBから、大きく離れたタイミングで内部抵抗値Rを推定すると、タイミングTBにおいてはその推定値から大きく変化しているおそれがある。
【0112】
しかしながら、設定時間twの期間中に内部抵抗値Rを推定するようにすると、タイミングTBの直近のタイミングにおける二次電池10の内部抵抗値Rを推定することができるので、内部抵抗値Rの推定精度が向上する。
【0113】
なお、図10に示すSOC検出回路20bのように、充放電傾向判定部241bにおいて、平均部411、判定部412の代わりに積算部413、判定部412bを備える構成としてもよい。
【0114】
そして、図11に示すように、積算部413は、図9における時間平均値Iaveの算出(ステップS24)を実行することなく図11に示すステップS21〜S23を実行し、判定部412bは、図9のステップS25,S27における時間平均値Iaveの代わりに積算電流値Siを用いることで、ステップS25a〜S28を実行するようにしてもよい。
【0115】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るSOC検出回路20cを備えた電池電源装置1cについて説明する。図12は、本発明の第3実施形態に係る電池電源装置1cの構成の一例を示すブロック図である。
【0116】
図12に示す電池電源装置1cは、図7に示す電池電源装置1aとは、充放電傾向判定部241c、及びSOC取得部242cにおける取得部423cの構成が異なる。また、記憶部244cに記憶されている対応関係情報が、二次電池10の充放電傾向を、設定時間tw内における二次電池10の充放電の比率である充放電比率Rcdによって表す点で異なる。その他の構成は図7に示す電池電源装置1aと同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
【0117】
充放電傾向判定部241cは、図7に示す平均部411、判定部412の代わりに充放電比率算出部414、判定部412cを備えている。
【0118】
充放電比率算出部414は、設定時間tw内における、二次電池10の充電電気量と放電電気量との比率を充放電比率Rcdとして算出する。
【0119】
具体的には、充放電比率算出部414は、設定時間twにおいて、二次電池10に流れる電流が充電方向のときに電流検出部202によって検出された充放電電流値Idを充電積算値Sicとして積算し、二次電池10に流れる電流が放電方向のときに電流検出部202によって検出された充放電電流値Idを放電積算値Sidとして積算し、当該積算された充電積算値Sicと放電積算値Sidとの比、例えば(Sic/Sid)を、充放電比率Rcdとして算出する。
【0120】
判定部412cは、充放電比率算出部414によって算出された充放電比率Rcdを、傾向判定結果として例えばRAMに記憶させることによって、SOC取得部242へ出力する。
【0121】
SOC取得部242cは、取得部423の代わりに取得部423cを備えている。取得部423cは、記憶部244cに記憶されている対応関係情報によって、開路電圧算出部422で算出された開路電圧値Vocと充放電比率算出部414で算出された充放電比率Rcdとに対応付けられているSOCを、二次電池10のSOCとして取得する。
【0122】
図13は、記憶部244cに記憶されている対応関係情報の一例を、グラフ化して示した説明図である。図13に示す対応関係情報は、充放電比率Rcd1,Rcd2,Rcd3,Rcd4について、開路電圧値VocとSOCとの対応関係を示している。記憶部244cには、図13に示す対応関係情報が、例えばルックアップテーブルとして記憶されている。ここで、充放電比率Rcd1,Rcd2,Rcd3,Rcd4は、Rcd1>Rcd2>Rcd3>Rcd4である。
【0123】
図14、図15は、図12に示す電池電源装置の動作の一例を示すフローチャートである。図14は、充放電傾向判定部241cによる充放電傾向判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0124】
まず、充放電比率算出部414は、例えば図8に示すタイミングT3において、タイマ回路を用いて経過時間tmの計時を開始する(ステップS31)。次に、電流検出部202によって、充放電電流値Idが検出される(ステップS32)。
【0125】
次に、充放電比率算出部414によって、電流検出部202で検出された充放電電流値Idが、0と比較される(ステップS33)。そして、充放電電流値Idが0以上であれば(ステップS33でYES)、二次電池10に充電方向の電流が流れているので、充放電比率算出部414によって、充放電電流値Idが単位時間毎に積算されて、充電積算値Sicが算出され、ステップS36へ移行する。
【0126】
一方、充放電電流値Idが0に満たなければ(ステップS33でNO)、二次電池10に放電方向の電流が流れているので、充放電比率算出部414によって、充放電電流値Idの絶対値が単位時間毎に積算されて、放電積算値Sidが算出され、ステップS36へ移行する。
【0127】
ステップS36において、内部抵抗推定部421によって二次電池10の内部抵抗値Rが推定される(ステップS36)。なお、設定時間twの期間中であるステップS36において内部抵抗値Rの推定を実行する例を示したが、内部抵抗値Rの推定は、必ずしも設定時間twの期間中に実行されるものに限られない。
【0128】
次に、充放電比率算出部414は、タイマ回路により計時されている経過時間tmと設定時間twとを比較し、まだ設定時間twが経過していなければ(ステップS37でNO)、ステップS32〜S37を繰り返す一方、設定時間twが経過すれば(ステップS37でYES、タイミングTB)、充電積算値Sicを放電積算値Sidで除算することによって、充放電比率Rcdを算出する(ステップS38)。
【0129】
次に、判定部412cによって、充放電比率算出部414によって算出された充放電比率Rcdが、傾向判定結果としてRAMに記憶され、SOC検出処理を実行するべくステップS41へ移行する(ステップS39)。
【0130】
以上、ステップS31〜S39の処理により、判定タイミングの前の、設定時間twの期間内において、充電積算値Sicと放電積算値Sidとが算出され、この充電積算値Sicと放電積算値Sidとから、傾向判定結果として充放電比率Rcdが算出されるので、図1に示す充放電傾向判定部241よりも、充放電傾向の判定精度を向上させることが可能となる。
【0131】
また、充電積算値Sicと放電積算値Sidとの比である充放電比率Rcdが傾向判定結果として用いられるので、どの程度充電傾向であるか放電傾向であるか、というような、充放電傾向の程度を表すことができるので、充放電傾向判定部241,241a,241bのように、充電傾向であるか放電傾向であるかを判定する場合よりも、充放電傾向の判定精度を向上させることが可能となる。
【0132】
次に、ステップS41において、取得部423cによって、RAMから、充放電傾向判定部241cにより記憶された充放電比率Rcdが傾向判定結果として読み出される(ステップS41)。次いで、開路電圧算出部422によって、電圧検出部201により検出された端子電圧値Vtが取得される(ステップS42)。
【0133】
そうすると、端子電圧値Vtが検出されるより前の、設定時間twの期間中に実行された二次電池10の充放電動作に基づく充放電比率Rcdが、開路電圧算出部422(SOC取得部242c)によって得られることとなる。
【0134】
次に、電流検出部202によって、充放電電流値Idが検出される(ステップS43)。そして、開路電圧算出部422によって、式(2)を用いて開路電圧値Vocが算出される(ステップS44)。これにより、端子電圧値Vtに含まれている、内部抵抗で生じた電圧の影響が排除されて、二次電池10の開路電圧値Vocが推定される。
【0135】
次に、取得部423cによって、記憶部244cに記憶されている対応関係情報が参照され、当該関係情報によって、充放電比率Rcd及び開路電圧値Vocと対応付けられているSOCが、二次電池10のSOCとして取得される(ステップS45)。
【0136】
次に、取得部423cによって、このようにして得られたSOCが、充放電制御回路30へ送信されて(ステップS46)、処理を終了する。
【0137】
以上、ステップS31〜S39、S41〜S46の処理により、端子電圧値Vtの検出前(SOC検出前)の二次電池10の充放電傾向が、充電傾向であったか放電傾向であったかということのみならず、その傾向の程度に応じたSOCが得られるので、SOCの検出精度が向上する。
【0138】
なお、取得部423cは、取得部423と同様、開路電圧値Vocを用いず、端子電圧値VtをそのままSOCに換算することで、二次電池10のSOCを推定するようにしてもよい。
【0139】
また、充放電比率算出部414は、ステップS38において、充電積算値Sicを設定時間twで除算して充電時間平均値Avicを算出し、放電積算値Sidを設定時間twで除算して放電時間平均値Avidを算出し、充電時間平均値Avicと放電時間平均値Avidとの比を充放電比率Rcdとして算出するようにしてもよい。
【0140】
そして、取得部423cは、ステップS39の代わりに、充放電比率Rcdが、充電の比率の方が放電の比率よりも高いことを示す場合に充電傾向であると判定し、放電の比率の方が充電の比率よりも高いことを示す場合に放電傾向であると判定することで、充放電比率Rcdに基づいて、二次電池10が充電傾向であるか、放電傾向であるかを判定するようにしてもよい。そして、取得部423cの代わりに取得部423を用いてもよい。
【0141】
具体的には、例えば図16に示すように、判定部412cは、充放電比率Rcdが1より大きいか否か、すなわち充電積算値Sicが放電積算値Sidより大きいか否かを判定する(ステップS51)。そして、充放電比率Rcdが1より大きく、すなわち充電積算値Sicが放電積算値Sidより大きいとき(ステップS51でYES)、判定部412cによって、二次電池10は充電傾向と判定されて、その判定結果が傾向判定結果として例えばRAMに記憶され(ステップS52)、図6に示すSOC検出処理へ移行する。
【0142】
一方、充放電比率Rcdが1以下のとき(ステップS51でNO)、判定部412cによって、充放電比率Rcdが1より小さいか否か、すなわち放電積算値Sidが充電積算値Sicより大きいか否かが判定される(ステップS53)。そして、充放電比率Rcdが1より小さく、すなわち放電積算値Sidが充電積算値Sicより大きいとき(ステップS53でYES)、判定部412cによって、二次電池10は放電傾向と判定されて、その判定結果が傾向判定結果として例えばRAMに記憶され(ステップS54)、図6に示すSOC検出処理へ移行する。
【0143】
また、充放電比率Rcdが1と等しく、すなわち充電積算値Sicと放電積算値Sidとが等しいときは(ステップS51でNO、ステップS53でNO)、RAMに記憶されている傾向判定結果が変更されることなくそのまま維持されて、図6に示すSOC検出処理へ移行するようにしてもよい。
【0144】
また、二次電池10における、充放電の傾向(充放電履歴)と端子電圧とSOCとの対応関係は、二次電池10の活性状態や劣化状態である電池状態の影響を受けて変化する。そこで、二次電池10の活性状態又は劣化状態を、電池状態として検出する電池状態検出部をさらに備え、記憶部244,244cに、電池状態に対応した対応関係情報を予め記憶させておくようにしてもよい。
【0145】
そして、SOC取得部242,242c(取得部423,423c)が、電池状態検出部によって検出された電池状態に対応する対応関係情報を用いて、二次電池10のSOCを取得するようにしてもよい。
【0146】
これにより、電池状態に対応する対応関係情報に基づいて、二次電池のSOCが取得されるので、SOCの検出精度が向上する。この場合、二次電池10の劣化状態を示す情報としては、例えば内部抵抗推定部421によって、推定された内部抵抗値Rを用いることができる。この場合、内部抵抗値Rが大きいほど、二次電池の劣化が進んでいることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、太陽電池や発電装置と二次電池とを組み合わされた電源システム等の電池搭載装置において、二次電池のSOCを検出するSOC算出回路、及びこれを用いた電池電源装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1,1a,1b,1c 電池電源装置
10 二次電池
11 電流センサ
12 温度センサ
13 単電池
20,20a,20b,20c SOC検出回路
30 充放電制御回路
100 発電装置
200 負荷装置
201 電圧検出部
202 電流検出部
203 温度検出部
204,204a,204b,204c 制御部
241,241a,241b,241c 充放電傾向判定部
242,242c SOC取得部
244,244c 記憶部
411 平均部
412,412b,412c 判定部
413 積算部
414 充放電比率算出部
421 内部抵抗推定部
422 開路電圧算出部
423,423c 取得部
Avic 充電時間平均値
Avid 放電時間平均値
B,B1,B2,・・・,BN 電池ブロック
I 充放電電流
Iave 時間平均値
Id 充放電電流値
R 内部抵抗値
Rcd 充放電比率
Si 積算電流値
Sic 充電積算値
Sid 放電積算値
T 温度値
Voc 開路電圧値
Vt 端子電圧値
tm 経過時間
tw 設定時間
vt 端子電圧値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前における、前記二次電池の充電又は放電の傾向を判定する充放電傾向判定部と、
前記二次電池における、前記傾向と端子電圧とSOCとの対応関係を示す対応関係情報を予め記憶する記憶部と、
前記電圧検出部で検出された端子電圧及び前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向に基づき、前記記憶部に記憶されている対応関係情報を用いて、前記二次電池のSOCを取得するSOC取得部と
を備えることを特徴とするSOC検出回路。
【請求項2】
前記充放電傾向判定部は、
前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、最も近いタイミングで実行された前記二次電池の充放電が、充電であった場合に前記傾向は充電傾向であると判定し、放電であった場合に前記傾向は放電傾向であると判定し、
前記対応関係情報は、
前記充電傾向における端子電圧とSOCとの対応関係と、前記放電傾向における端子電圧とSOCとの対応関係とを示すこと
を特徴とする請求項1記載のSOC検出回路。
【請求項3】
前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部をさらに備え、
前記充放電傾向判定部は、
前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内における、前記電流検出部によって検出される電流値の積算値を算出する積算部と、
前記積算部によって算出される積算値に基づいて、前記傾向を判定する判定部とを含むこと
を特徴とする請求項1記載のSOC検出回路。
【請求項4】
前記電流検出部は、
前記二次電池に流れる電流の電流値を、充電方向と放電方向とで正負を示す符号を反転させて示し、
前記判定部は、
前記積算部によって算出された積算値の符号が、前記充電方向に対応する符号であった場合に前記傾向は充電傾向であると判定し、前記放電方向に対応する符号であった場合に前記傾向は放電傾向であると判定すること
を特徴とする請求項3記載のSOC検出回路。
【請求項5】
前記積算部は、
前記設定期間において、前記二次電池に流れる電流が充電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を充電積算値として積算し、前記二次電池に流れる電流が放電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を放電積算値として積算し、
前記判定部は、
前記充電積算値が前記放電積算値より大きいとき前記傾向は充電傾向であると判定し、前記放電積算値が前記充電積算値より大きいとき前記傾向は放電傾向であると判定すること
を特徴とする請求項3記載のSOC検出回路。
【請求項6】
前記充放電傾向判定部は、
前記電圧検出部によって前記端子電圧が検出されるタイミングより前の、予め設定された設定期間内における、前記二次電池の充電と放電との比率を充放電比率として算出する充放電比率算出部と、
前記充放電比率算出部によって算出された充放電比率に基づいて、前記傾向を判定する判定部とを含むこと
を特徴とする請求項1記載のSOC検出回路。
【請求項7】
前記判定部は、
前記充放電比率算出部によって算出された充放電比率を前記傾向の判定結果として用いるものであり、
前記対応関係情報は、
前記傾向を、前記充放電比率によって表すこと
を特徴とする請求項6記載のSOC検出回路。
【請求項8】
前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部を備え、
前記充放電比率算出部は、
前記設定期間において、前記二次電池に流れる電流が充電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を充電積算値として積算し、前記二次電池に流れる電流が放電方向のときに前記電流検出部によって検出された電流値を放電積算値として積算し、当該積算された充電積算値と放電積算値との比を、前記充放電比率として算出すること
を特徴とする請求項6又は7記載のSOC検出回路。
【請求項9】
前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部を備え、
前記対応関係情報における端子電圧は、前記二次電池の開路電圧であり、
前記SOC取得部は、
前記二次電池の内部抵抗値を推定する内部抵抗推定部と、
前記電流検出部により検出される電流値と前記内部抵抗推定部により推定される内部抵抗値とを乗じた値を、当該電流値が充電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧から減算し、当該電流値が放電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧に加算することによって、前記二次電池の開路電圧を算出する開路電圧算出部と、
前記記憶部に記憶されている対応関係情報によって、前記算出された開路電圧と前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向とに対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得する取得部とを含むこと
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のSOC検出回路。
【請求項10】
前記内部抵抗推定部は、
前記電圧検出部によって検出される端子電圧と前記電流検出部によって検出される電流値との組を複数取得し、当該複数の組から得られる回帰直線の傾きを前記二次電池の内部抵抗として推定すること
を特徴とする請求項9記載のSOC検出回路。
【請求項11】
前記二次電池の温度を検出する温度検出部と、
前記二次電池の、温度と内部抵抗値とを対応付けて記憶する内部抵抗値記憶部とをさらに備え、
前記内部抵抗推定部は、
前記内部抵抗値記憶部によって、前記温度検出部で検出された温度と対応付けて記憶されている内部抵抗値を、前記二次電池の内部抵抗値として推定すること
を特徴とする請求項9記載のSOC検出回路。
【請求項12】
前記二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記二次電池の内部抵抗値を検出する内部抵抗推定部とを備え、
前記対応関係情報における端子電圧は、前記二次電池の開路電圧であり、
前記SOC取得部は、
前記電圧検出部によって検出される電圧値と前記電流検出部によって検出される電流値との組を、前記設定期間内において、複数取得し、当該複数の組から得られる回帰直線の傾きを前記二次電池の内部抵抗として推定する内部抵抗推定部と、
前記電流検出部により検出される電流値と前記内部抵抗推定部により推定される内部抵抗値とを乗じた値を、当該電流値が充電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧から減算し、当該電流値が放電方向のときは前記電圧検出部で検出された端子電圧に加算することによって、前記二次電池の開路電圧を算出する開路電圧算出部と、
前記記憶部に記憶されている対応関係情報によって、前記算出された開路電圧と前記充放電傾向判定部で判定された前記傾向とに対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得する取得部とを含むこと
を特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載のSOC検出回路。
【請求項13】
前記二次電池の活性状態又は劣化状態を、電池状態として検出する電池状態検出部をさらに備え、
前記記憶部は、
前記対応関係情報を、前記電池状態に対応して予め記憶し、
前記SOC取得部は、
前記電池状態検出部によって検出された電池状態に対応する対応関係情報を用いて、前記二次電池のSOCを取得すること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のSOC検出回路。
【請求項14】
前記二次電池は、
リチウムイオン二次電池であること
を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のSOC検出回路。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のSOC検出回路と、
前記二次電池と
を備えることを特徴とする電池電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−151983(P2011−151983A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11921(P2010−11921)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】