説明

TLR7およびTLR9の免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)アンタゴニストによる自己免疫および炎症性疾患治療の強化

本発明は、炎症および自己免疫疾患の予防および治療のための、TLRsのアンタゴニストおよびTNFを阻害する抗炎症剤の増強剤としての免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年6月1日に出願された米国仮特許出願第61/182,928号の優先権の利益を主張し、その開示は出典明示により明確に本明細書の一部とされる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、免疫学および免疫治療の分野に関し、より詳細には、腫瘍壊死因子アルファの拮抗的阻害剤による自己免疫および炎症性疾患の治療に関する。
【0003】
関連分野の概要
炎症は、プロ炎症性物質、例えば、病原体に対する身体の組織の複雑な生物学的応答である。該応答において、身体は、プロ炎症性物質を除去しようとし、同時に、治癒プロセスを開始する。炎症成分を有するある特定の疾患(例えば、自己免疫疾患)において、身体の免疫系は非外来物質に対して不適当に応答する。該情況において、免疫系は、身体自身の組織に損傷を引き起こす。
【0004】
歴史上、自己免疫および炎症性疾患は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs−例えば、アスピリン、イブプロフェン、またはナプロキセン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニソン)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン)、またはメトトレキサート、スルファサラジン(sulfasalazine)、レフノミド(leflunomide)、シクロホスファミド、およびミコフェノレート(mycophenolate)を包含する他の非特異的な医薬で治療されてきた。しかしながら、これらの治療の有効性は限定されている。
【0005】
より近年には、自己免疫および炎症性障害のより特異的な治療として、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の拮抗的阻害剤が開発された。かかる拮抗的阻害剤は、エタネルセプト(etanercept)(Embrel(登録商標))、インフリキシマブ(infliximab)(Remicade)、およびアダリムバブ(adalimubab)(Humira)を包含する。これらの剤は、TNF−αに結合し、それにより、その受容体に利用不可能にし、炎症カスケードの開始を防ぐことによって作用し、自己免疫および炎症性障害の治療における実質的な改善を示す。
【0006】
TNF−αのかかる拮抗的阻害剤は、関節リウマチ、乾癬の関節炎、乾癬、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、クローン病、およびサルコイドーシスを包含する幅広く種々のかかる疾患の治療のために承認されている。
【0007】
TNF−αの拮抗的阻害剤は、他の応用においても同様に有用であることが示された。Popivanovaら、(2008) J. Clin. Invest. 118:560−70は、マウスにおけるTNF−αの遮断が慢性大腸炎に関連する結腸直腸発癌を減少させることを教示する。Friesら、(2008) Int. J. Med. Sci. 5: 169−80、および(2008) Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 294:G938−G947は、各々、インフリキシマブおよびエタネルセプトがマウスにおける実験的大腸炎において腸細胞アポトーシスを減少させ、腸細胞の密着結合におけるオクルジン(occludin)および閉鎖帯(zonula occludens)−1の喪失を防いだことを教示する。Coppietersら、(2006) Arthritis & Rheumatism 54:1856−66は、ラクダ科の抗−TNF VHHタンパク質が関節リウマチのマウスモデルにおいてインフリキシマブおよびアダリムマブを越えることを教示する。Zalevskyら、(2007) J. Immunol. 179:1872−83は、TNFのドミナントネガティブ阻害剤がマウスモデルにおける実験的関節炎を減少させることを教示する。Rubbert−RothおよびFinckh (2009) Arthritis Res. Ther. 11(Suppl 1):S1は、FDAが認可したTNF−αの拮抗的阻害剤の有効性の限界について概説する。
【0008】
別のアプローチにおいて、Newtonら、(2001) Ann. Rheum. Dis. 60:iii25−iii32は、TACE、プロTNF−αをTNF−αに変換する酵素の阻害剤が関節炎のマウスモデルにおいて有効であることを教示する。
【0009】
不運にも、現在認可されているTNF−αの拮抗的阻害剤の全てが、結核、腐敗症、および真菌感染を包含する重篤な感染の発症に関与している。白血球および赤血球および血小板数の減少ならびにある特定の癌の発生率の増加もまた、これらの医薬での治療に関連する。
【0010】
Toll様受容体(TLRs)は、免疫系の多くの細胞に存在し、先天性免疫応答に関与することが示された(Hornungら、(2002) J. Immunol. 168: 4531−37)。脊椎動物において、該ファミリーは、TLR1ないしTLR10と呼ばれる10個のタンパク質からなり、細菌、真菌、寄生体、およびウイルス由来の病原体関連分子パターンを認識することが知られている(Poltorakら、(1998) Science 282:2085−88; Underhillら、(1999) Nature 401:811−15; Hayashiら、(2001) Nature 410:1099−103; Zhangら、(2004) Science 303:1522−26; Meierら、(2003) Cell. Microbiol. 5:561−70; Camposら、(2001) J. Immunol. 167:416−23; Hoebeら、(2003) Nature 424:743−48; Lund (2003) J. Exp. Med. 198:513−20; Heilら、(2004) Science 303:1526−29; Dieboldら、(2004) Science 303:1529−31; Hornungら、(2004) J. Immunol. 173:5935−43)。TLRは、哺乳動物が外来分子を認識し、免疫応答を開始する重要な手段であり、先天性および適応的免疫応答を関連づける手段も提供する(Akiraら、(2001) Nat. Immunol. 2:675−80; Medzhitov (2001) Nature Rev. Immunol. 1:135−45)。TLRは、また、自己免疫、感染性疾患、および炎症を包含する多くの疾患の病因において役割を果たすことも示され(Cookら、(2004) Nat. Immunol. 5:975−79)、適当な薬剤を用いるTLR−介在性活性化の調節は、疾患介入の手段を提供しうる。
【0011】
いくつかのTLRは、細胞外病原体を検出し、応答を開始するために細胞表面に位置し、他のTLRは、細胞内病原体を検出し、応答を開始するために細胞内に位置する。表1は、TLR、該受容体を含有する細胞型、およびその既知のアゴニストを示す(Dieboldら、(2004) Science 303:1529−31; Liewら、(2005) Nature 5:446−58; Hemmiら、(2002) Nat. Immunol. 3:196−200; Jurkら、(2002) Nat. Immunol. 3:499; Leeら、(2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100:6646−51); (Alexopoulou (2001) Nature 413:732−38)。
【0012】
【表1】

【0013】
細菌性および合成DNAに存在するある特定の非メチル化CpGモチーフは、免疫系を活性化し、抗腫瘍活性を誘導することが示された(Tokunagaら、(1984) J. Natl. Cancer Inst. 72:955−62; Shimadaら、(1986) Jpn. J. Cancer Res. 77:808−16; Yamamotoら、(1986) Jpn. J. Cancer Res. 79:866−73)。他の研究は、CpGジヌクレオチドを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドがまた、免疫応答を刺激することを示した(Zhaoら、(1996) Biochem.Pharmacol. 26:173−82)。その後の研究は、TLR9が細菌性および合成DNAに存在する非メチル化CpGモチーフを認識することを明らかにした(Hemmiら、(2000) Nature 408:740−45)。CpG−含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾は、また、TLR9を介して免疫応答のモジュレーターとして作用する能力に影響を及ぼすこともできる(例えば、Zhaoら、(1996) Biochem. Pharmacol. 51:173−82; Zhaoら、(1996) Biochem Pharmacol. 52:1537−44; Zhaoら、(1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7:495−502; Zhaoら、(1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:3453−58; Zhaoら、(2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:1051−54; Yuら、(2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585−88; Yuら、(2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263−67;およびKandimallaら、(2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807−13参照)。さらに、構造活性関連研究は、非メチル化CpGジヌクレオチド由来のものと別個の特異的免疫応答プロフィールを誘導する合成モチーフおよび新規なDNAベースの化合物の同定を可能にした(Kandimallaら、(2005) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102:6925−30; Kandimallaら、(2003) Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 100:14303−08; Congら、(2003) Biochem Biophys Res. Commun. 310:1133−39; Kandimallaら、(2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 306:948−53; Kandimallaら、(2003) Nucleic Acids Res. 31:2393−400; Yuら、(2003) Bioorg. Med. Chem. 11:459−64; Bhagatら、(2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 300:853−61; Yuら、(2002) Nucleic Acids Res. 30:4460−69; Yuら、(2002) J. Med. Chem. 45:4540−48; Yuら、(2002) Biochem. Biophys. Res. Commun. 297:83−90; Kandimallaら、(2002) Bioconjug. Chem. 13:966−74; Yuら、(2002) Nucleic Acids Res. 30:1613−19; Yuら、(2001) Bioorg. Med. Chem. 9:2803−08; Yuら、(2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:2263−67; Kandimallaら、(2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807−13; Yuら、(2000) Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:2585−88; Puttaら、(2006) Nucleic Acids Res. 34:3231−38)。
【0014】
TLRの選択的局在化およびそれらから生じるシグナリングは、免疫応答におけるそれらの役割を理解する上でいくつかの手掛かりを提供する。免疫応答は、該応答に関与する細胞サブセットに基づいて先天性および適応的応答の両方を含む。例えば、遅延型過感受性および細胞傷害性Tリンパ球(CTLs)の活性化などの古典的細胞介在機能に関与するTヘルパー(Th)細胞は、Th1細胞である。該応答は、抗原(例えば、ウイルス感染、細胞内病原体、および腫瘍細胞)に対する身体の先天性応答であり、IFN−ガンマの分泌およびCTLsの同時活性化をもたらす。別法では、B細胞活性化のためのヘルパー細胞として関与するTh細胞は、Th2細胞である。Th2細胞は、細菌および寄生体に応答して活性化することが示され、IL−4およびIL−5の分泌によって身体の適応的免疫応答(例えば、IgE産生およびエオシン好性活性化)の媒介となりうる。免疫応答の型は、抗原曝露に応答して産生したサイトカインによって影響され、Th1およびTh2細胞によって分泌されたサイトカインの違いがこれらの2つのサブセットの異なる生物学的機能の結果となりうる。
【0015】
TLRは、炎症性応答の調節における関与の結果として、自己免疫、感染性疾患、および炎症を包含する多くの疾患の病因において役割を果たすことが示された(Papadimitrakiら、(2007) J. Autoimmun. 29: 310−18; Sunら、(2007) Inflamm. Allergy Drug Targets 6:223−35; Diebold (2008) Adv. Drug Deliv. Rev. 60:813−23; Cookら、(2004) Nat. Immunol. 5:975−79; TseおよびHorner (2008) Semin. Immunopathol. 30:53−62; TobiasおよびCurtiss (2008) Semin. Immunopathol. 30:23−27; Ropertら、(2008) Semin. Immunopathol. 30:41−51; Leeら、(2008) Semin. Immunopathol. 30:3−9; Gao et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:29−40; Vijay−Kumarら、(2008) Semin. Immunopathol. 30:11−21)。
【0016】
TLRの活性化は免疫応答の開始に関与するが、TLRを介する免疫系の制御されない刺激は、免疫力が低下した対象におけるある特定の疾患を悪化させうる。かかる制御されない刺激は、また、自己免疫または炎症性障害の一因となりうる。
【0017】
かくして、自己免疫および炎症性疾患の治療に対する改善されたアプローチが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の概要
本発明は、TNF−αの阻害剤として作用する抗炎症剤の活性を強化するTLRsのアンタゴニストとしての新規な免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)化合物を提供し、それにより、かかるTNF−αの阻害剤を低用量で使用することを可能にして、望ましくない副作用を緩和する。これらのIROsは、免疫刺激モチーフの側面にある配列において、および/または修飾を除き免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフにおいて、1以上の化学的修飾を有する。
【0019】
かくして、本発明は、さらに、哺乳動物に、本発明のIRO化合物をTNF−αの阻害剤と組み合わせて医薬上有効量で投与することを特徴とする、自己免疫または炎症成分を有する疾患を有する哺乳動物を治療的に処置する方法を提供する。かかる疾患は、限定するものではないが、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、感染性疾患、マラリア、ライム(Lyme)病、眼感染、結膜炎、皮膚障害、乾癬、鞏皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息および病原体によって引き起こされる疾患を包含する。好ましい自己免疫障害は、限定するものではないが、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性大腸症候群、クローン(Crohn’s)病、関節リウマチ、腐敗症ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン(Addison’s)病、強直性脊椎炎、抗ホスホリピド抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャガス(chagas)病、慢性閉塞性肺疾患、腹腔疾患、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス(Graves)疾患、ギラン−バレー(Guillain−Barre)症候群、ハシモト(Hashimoto)疾患、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症(morphea)、重症性筋無力症、ナルコレプシー、ニューロミオトニー(neuromyotonia)、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変症、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、脈管炎、白斑、外陰痛(vulvodynia)およびヴェゲナー(Wegener’s)肉芽腫を包含する。好ましい炎症性障害は、限定するものではないが、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性乾癬、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏性、炎症性腸疾患、再潅流傷害、関節リウマチ、移植拒絶、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、結膜炎、および脈管炎を包含する。
【0020】
本発明は、さらに、自己免疫または炎症成分を有する疾患または障害の発症を予防する方法であって、かかる疾患または障害を発症する危険性のある哺乳動物に、本発明のIRO化合物をTNF−αの阻害剤と組み合わせて医薬上有効量で投与することを特徴とする方法を提供する。かかる疾患は、限定するものではないが、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、感染性疾患、マラリア、ライム(Lyme)病、眼感染、結膜炎、皮膚障害、乾癬、鞏皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息および哺乳動物において病原体によって引き起こされる疾患を包含する。好ましい自己免疫障害は、限定するものではないが、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性大腸症候群、クローン(Crohn’s)病、関節リウマチ、腐敗症ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン(Addison’s)病、強直性脊椎炎、抗ホスホリピド抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャガス(chagas)病、慢性閉塞性肺疾患、腹腔疾患、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス(Graves)疾患、ギラン−バレー(Guillain−Barre)症候群、ハシモト(Hashimoto)疾患、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症(morphea)、重症性筋無力症、ナルコレプシー、ニューロミオトニー(neuromyotonia)、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変症、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、脈管炎、白斑、外陰痛(vulvodynia)およびヴェゲナー(Wegener’s)肉芽腫を包含する。好ましい炎症性障害は、限定するものではないが、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性乾癬、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏性、炎症性腸疾患、再潅流傷害、関節リウマチ、移植拒絶、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、結膜炎、および脈管炎を包含する。
【0021】
本発明によれば、IRO化合物は、構造 5−N−NCGN−N−3’(式中、CGはオリゴヌクレオチドモチーフであり、Cはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり、Gはグアノシンまたはプリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;N−NおよびN−Nは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;NおよびNは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;但し、少なくとも1つのNないしNおよび/またはCおよび/またはGは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;さらに但し、化合物は3未満の連続グアノシンヌクレオチドを含有し、ここに、該オリゴヌクレオチドモチーフは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合を除き、免疫刺激性であり;ここに、mは0〜約30の数である)を有する。
【0022】
いくつかの好ましい具体例において、IRO化合物は、4未満の連続的グアノシンヌクレオチドを含有する。
【0023】
いくつかの好ましい具体例において、IRO化合物は、1以上のTNF−αの阻害剤および1以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子療法ベクター、DNAワクチン、アジュバント、キナーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗マラリア薬または共刺激分子、またはその組み合わせと共同投与される。
【0024】
本発明のいくつかの態様において、IRO化合物は、腫瘍壊死因子(TNF)活性の阻害剤と組み合わせて投与される。TNFは、体の免疫系によって作られ、免疫疾患、例えば、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、および尋常性乾癬を有する個体は、過剰量のTNFを体内に有する。したがって、TNF活性を阻害する抗炎症剤とIROの共同投与は、自己免疫および/または炎症成分を有する疾患の治療および/または予防において使用できることが見出された。
【0025】
TNFを阻害する抗炎症剤の具体例のなかで、IROと組み合わせて有用なものは、エタネルセプト(Embrel)、インフリキシマブ(Remicade)、およびアダリムバブ(Humira)である。人体が疾患に対して自身を保護する1つの方法は、体の罹患部に血流を増加させることによる。この増加した血流が免疫細胞の浸潤およびプロ炎症性サイトカインおよびケモカンの産生を可能にし、その結果、炎症をもたらす。該炎症プロセスに関与するサイトカインの1つは、TNFである。これらのTNFの阻害剤は、TNFに結合し、該分子によって媒介されるプロ炎症活性を防ぐことを助ける。該プロ炎症活性の阻害は、限定するものではないが、関節リウマチ、多関節性若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、および尋常性乾癬を包含する炎症疾患を阻害することを助ける。
【0026】
いくつかの好ましい具体例において、投与経路は、非経口、粘膜デリバリー、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エーロゾル、眼球内、気管内、直腸内、経膣、遺伝子ガンによる、皮膚パッチ、または点眼剤もしくは口腔洗浄剤の形態である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおける疾患スコアリングを示し、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストの、TNFの阻害剤の活性を強化する能力を説明する。
【0028】
【図2】図2は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおける炎症および骨侵食を示し、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストの、TNF阻害剤の抗炎症活性を増強または強化し、その結果、関節炎に罹った関節における著しく少ない骨喪失をもたらす能力を説明する。
【0029】
【図3】図3は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおける軟骨喪失を示し、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストの、TNF阻害剤の抗炎症活性を増強または強化し、その結果、関節炎に罹った関節における軟骨組織を有意に保護する能力を説明する。
【0030】
【図4】図4は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおける後足の腫れを示し、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストの、TNF阻害剤の抗炎症活性を増強または強化し、その結果、関節炎に罹った関節における炎症の有意な減少をもたらす能力を説明する。
【0031】
【図5】図5は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおけるTh2抗体応答を示し、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストの、TNF阻害剤によるTh2抗体応答の抑制を増強または強化する能力を説明する。
【0032】
【図6】図6は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおけるTh1抗体応答を示し、TNF阻害剤は、Th1抗体応答に対して制限された効果を有するが、一方、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストは、TNF阻害剤の存在下であっても、Th1抗体応答を抑制する能力を有することを説明する。
【0033】
【図7】図7は、実施例2にしたがってウシII型コラーゲン/CFAを皮内注射することによって実験的に関節炎で苦しめられたマウスにおけるTh1型免疫応答(例えば、IFN−γ)を示し、TNF阻害剤は、Th1免疫応答に対して制限された効果を有するが、一方、TLR7およびTLR9のIROアンタゴニストは、Th1抗体応答を抑制する能力を有することを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好ましい具体例の詳細な説明
本発明は、自己免疫または炎症成分を有する疾患の治療または予防に関する。本発明は、TNF−αの阻害剤として作用する抗炎症剤の活性を強化し、それにより、かかるTNF−αの阻害剤を低用量で使用可能とし、その望ましくない副作用を軽減することができるTLRのアンタゴニストとして、新規な免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)を提供する。詳細には、本発明は、選択された免疫応答を阻害および/または抑制するための他の抗炎症剤と組み合わせた、toll様受容体TLRのアンタゴニストとして免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)化合物を提供する。これらのIROは、内因性および/または外因性TLRリガンドまたはアゴニストに応答して、TLR媒介性シグナリングを阻害または抑制する独特の配列を有する。本明細書中に引用される文献は、当該分野における知見のレベルを反映しており、出典明示により、全体として本明細書の一部とされる。引用文献および本明細書の教示間のいずれの矛盾も、後者に好意的に解決されるであろう。
【0035】
本発明は、不適当な免疫応答を抑制する方法を提供し、免疫療法での適用、例えば、限定するものではないが、大人および小児のヒトならびに獣医学的用途における癌、自己免疫障害、喘息、呼吸アレルギー、食物アレルギー、皮膚アレルギー、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、胸膜炎、慢性感染、炎症性疾患、炎症性腸症候群、腐敗症、ならびに細菌、寄生体およびウイルス感染に使用できる。かくして、本発明は、さらに、TNFを阻害し、かつ、例えば、DNAワクチン、抗原、抗体、抗ウイルス剤、抗マラリア薬(例えば、クロロキンおよびヒドロキシクロロキン)、およびアレルゲンと組み合わせて有用な抗炎症剤と組み合わせた、および化学療法剤(伝統的な化学療法および現代の標的化療法)および/または疾患の予防および治療のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて、本発明のIRO化合物を提供する。
【0036】
「オリゴヌクレオチド」なる語は、一般に、複数の結合したヌクレオシド単位を含むポリヌクレオシドをいう。かかるオリゴヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNAを包含する既存の核酸供給源から得ることができるが、好ましくは、合成法によって製造される。好ましい具体例において、各ヌクレオシド単位は、野生型オリゴヌクレオチドと比べて、限定するものではないが、修飾されたヌクレオシド塩基および/または修飾された糖単位を包含する種々の化学修飾および置換を含むことができる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmannら、(1990) Chem. Rev. 90:543;”Protocols for Oligonucleotides and Analogs” In Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques (Agrawal編、Humana Press, Totowa, USA, 1993); Hunzikerら、(1995) Mod. Syn. Methods 7:331−417; and Crookeら、(1996) Ann. Rev. Pharm. Tox. 36:107−29に記載されている。ヌクレオシド残基は、多くの既知のヌクレオシド間結合のいずれかによって互いに結合されることができる。かかるヌクレオシド間結合は、限定するものではないが、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カルボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間結合を包含する。「オリゴヌクレオチド」なる語は、また、1以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(R)−または(S)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書中で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」なる語は、かかるヌクレオシド間結合がホスフェート基を含んでいるか否かに拘わらず、いずれかのかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを包含することを明白に意図される。ある特定の好ましい具体例において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、またはホスホロジチオエート結合、またはその組み合わせであってもよい。
【0037】
「2’−置換リボヌクレオシド」または「2’−置換アラビノシド」なる語は、一般に、ペントース部分の2’位置のヒドロキシル基が2’−置換または2’−O−置換リボヌクレオシドを生成するように置換されているリボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを包含する。ある特定の具体例において、かかる置換は、1−6個の飽和または不飽和炭素原子を含有する低級ヒドロカルビル基、ハロゲン原子、または6−10個の炭素原子を有するアリール基での置換であり、ここに、かかるヒドロカルビルまたはアリール基は、非置換であってもよく、または、例えば、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシ、またはアミノ基で置換されていてもよい。2’−O−置換リボヌクレオシドまたは2’−O−置換−アラビノシドの例は、限定するものではないが、2’−アミノ、2’−フルオロ、2’−アリル、2’−O−アルキル、および2’−プロパルギルリボヌクレオシドまたはアラビノシド、2’−O−メチルリボヌクレオシドまたは2’−O−メチルアラビノシド、および2’−O−メトキシエトキシリボヌクレオシドまたは2’−O−メトキシエトキシアラビノシドを包含する。
【0038】
「3’」なる語は、方向に使用される場合、一般に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中における、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中の別の領域または位置から3’(下流)の領域または位置をいう。
【0039】
「5’」なる語は、方向に使用される場合、一般に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中における、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中の別の領域または位置から5’(上流)の領域または位置をいう。
【0040】
「約」なる語は、一般に、正確な数が重要ではないことを意味する。かくして、オリゴヌクレオチド中のヌクレオシド残基の数が重要ではなく、1または2個少ないヌクレオシド残基または1〜数個の付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記の具体例の各々の等価物として考えられる。
【0041】
「アジュバント」なる語は、一般に、ワクチンまたは抗原などの免疫原に添加された場合、該混合物に曝されると、レシピエント宿主中で該免疫原に対する免疫応答を増強または強化する物質をいう。
【0042】
「アゴニスト」なる語は、一般に、細胞の受容体に結合し、応答を誘導する物質をいう。かかる応答は、受容体によって媒介される活性の増加であってもよい。アゴニストは、しばしば、天然物質、例えば、リガンドの作用を模倣する。
【0043】
「アンタゴニスト」または「阻害剤」なる語は、一般に、受容体に結合できるが、結合時に生物学的応答を生じない物質をいう。アンタゴニストまたは阻害剤は、アゴニストによって媒介される応答を遮断、阻害または減弱することができ、また、受容体に対する結合に関してアゴニストと競合しうる。かかるアンタゴニストまたは阻害活性は、可逆的または不可逆的でありうる。
【0044】
「TNFを阻害する抗炎症剤」または「TNF−αを阻害する抗炎症剤」なる語は、一般に、TNFとその受容体との間の相互作用を阻害することによって炎症を減少させる能力を有する物質をいう。かかる抗炎症剤の例は、限定するものではないが、TNF阻害剤エタネルセプト(Embrel)、インフリキシマブ(Remicade)、およびアダリムバブ(Humira)を包含する。
【0045】
「気道炎症」なる語は、一般に、限定するものではないが、喘息を包含する。
【0046】
「アレルゲン」なる語は、一般に、対象に曝露するとアレルギー性応答を顕現する抗原または分子の抗原性部分、通常はタンパク質をいう。典型的には、例えば、膨疹および炎症試験または当該分野で既知のいずれかの方法によって示された場合、対象は該アレルゲンに対してアレルギー性である。分子に曝露した場合に、一部の対象のみがアレルギー性免疫応答を示したとしても、該分子はアレルゲンであると言われる。
【0047】
「アレルギー」なる語は、一般に、炎症によって特徴付けられる不適当な免疫応答をいい、限定するものではないが、食物アレルギーおよび呼吸アレルギーを包含する。
【0048】
「抗原」なる語は、一般に、抗体またはT細胞抗原受容体によって認識され、選択的に結合され、その結果、免疫応答を誘導する物質をいう。抗原は、限定するものではないが、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびその組み合わせを包含しうる。抗原は、天然または合成であってもよく、一般に、該抗原に特異的な免疫応答を誘導する。
【0049】
「抗ウイルス剤」なる語は、一般に、ウイルスを殺し、その複製、細胞結合または他の必須機能を抑制し、したがって、その増殖および繁殖能を阻害する能力を有する剤をいう。かかる剤は、ウイルスに対する細胞防御を刺激することによって作用しうる。
【0050】
「自己免疫障害」なる語は、一般に、「自己」成分が免疫系による攻撃を受ける障害をいう。
【0051】
「TLR−媒介性疾患」または「TLR−媒介性障害」なる語は、一般に、1以上のTLRの活性化がその寄与因子であるいずれかの生理学的状態を意味する。かかる状態は、限定するものではないが、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症障害、感染疾患、皮膚障害、アレルギー、喘息、および病原体によって引き起こされる疾患を包含する。
【0052】
「生理学上許容される」なる語は、一般に、IRO化合物の効力と干渉せず、かつ、生物学的系、例えば、細胞、細胞培養、組織、または生物と適合性の材料をいう。
【0053】
「担体」なる語は、一般に、いずれかの賦形剤、希釈剤、増量剤、塩、バッファー、安定化剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、ミクロスフェア、リポソームカプセル、または医薬処方における使用について当該分野でよく知られている他の材料を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特徴が特定の適用のための投与経路に依存することは、理解されるであろう。これらの材料を含有する医薬上許容される処方の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990)に記載されている。
【0054】
「共同投与」なる語は、一般に、免疫応答を調節するのに間に合うように十分に接近している少なくとも2つの異なる物質の投与をいう。共同投与は、同時投与、ならびに単一投与または分離投与のいずれかにおいて、数日間までのオーダーで一時的に間隔を置いた少なくとも2つの異なる物質のいずれかの順序での投与をいう。
【0055】
「相補的」なる語は、一般に、核酸にハイブリダイズする能力を有することを意味する。かかるハイブリダイゼーションは、通常、相補鎖間の水素結合の結果であり、好ましくは、ワトソン−クリックまたはHoogsteen塩基対を形成するものであるが、他の様式の水素結合ならびに塩基スタッキング(stacking)もハイブリダイゼーションを導くことができる。
【0056】
「自己免疫または炎症成分を有する疾患または障害」なる語は、全体として、または部分的に、自己抗原に対する免疫応答または炎症に由来する1以上症状を有する状態を意味する。
【0057】
「有効量」または「十分量」なる語は、一般に、所望の生物学的効果、例えば、有益な結果を及ぼすのに十分な量をいう。かくして、「有効量」または「十分量」は、投与されている情況に依存する。共同投与された抗原に対する免疫応答を調節する組成物を投与する場合、IRO化合物および抗原の有効量は、抗原のみが投与された場合に得られた免疫応答と比較して、所望の調節を達成するのに十分な量である。有効量は、1以上の投与において投与されてもよい。
【0058】
「組み合わせて」なる語は、一般に、患者における疾患または障害を治療する過程において、IRO化合物、および該疾患または障害の治療に有用かつIRO化合物の免疫調節効果を減少させない剤を投与することを意味する。かかる組み合わせ治療は、また、IRO化合物および/または独立した剤の2以上の投与を包含しうる。IRO化合物および/または該剤の投与は、同じ経路または異なる経路によるものであってもよい。
【0059】
「個体」または「対象」なる語は、一般に、限定するものではないが、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、乳牛、ブタ、ヒツジ、およびウサギを示す。
【0060】
「キナーゼ阻害剤」なる語は、一般に、細胞におけるリン酸化依存性細胞シグナリングおよび/または成長経路を亢進または阻害する分子をいう。キナーゼ阻害剤は、天然または合成であってもよく、経口治療剤として投与可能な小型分子を包含する。キナーゼ阻害剤は、標的キナーゼ分子の活性化を迅速かつ特異的に阻害する能力を有する。タンパク質キナーゼは、一部、幅広く種々のシグナリングおよび成長経路を調節し、多くの異なるタンパク質を包含するので、魅力的な薬剤標的である。したがって、それらは、癌、心血管疾患、炎症性障害、糖尿病、黄斑変性、および神経学的障害を包含するキナーゼシグナリングを含む疾患の治療において大いに可能性がある。キナーゼ阻害剤の例は、ソラフェニブ(sorafenib)(Nexavar)、Sutent、ダサチニブ(dasatinib)、DasatinibTM(商標)、ZactimaTM、TykerbTM、およびSTI571を包含する。
【0061】
「ヌクレオシド」なる語は、一般に、糖、通常はリボースまたはデオキシリボース、およびプリンまたはピリミジン塩基からなる化合物をいう。
【0062】
「ヌクレオチド」なる語は、一般に、糖に結合したリン酸基を含むヌクレオシドをいう。
【0063】
本明細書中で使用される場合、「ピリミジンヌクレオシド」なる語は、ヌクレオシドの塩基成分がピリミジン塩基(例えば、シトシン(C)またはチミン(T)またはウラシル(U))であるヌクレオシドをいう。同様に、「プリンヌクレオシド」なる語は、ヌクレオシドの塩基成分がプリン塩基(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))であるヌクレオシドをいう。
【0064】
「アナログ」または「誘導体」なる語は、一般に、修飾された塩基および/または糖を有するいずれかのプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチドまたはヌクレオシドを示すように交換可能に使用できる。修飾された塩基は、グアニン、シトシン、アデニン、チミン、またはウラシルではない塩基である。修飾された糖は、リボースまたは2’デオキシリボースではないいずれかの糖であり、オリゴヌクレオチドの骨格において使用できる。
【0065】
「阻害」または「抑制」なる語は、さもなければ応答の誘導および/または刺激に起因するであろう、応答減少または応答の質的相違をいう。
【0066】
「非ヌクレオチドリンカー」なる語は、一般に、リン酸含有結合による以外のオリゴヌクレオチドを連結することができるいずれかの結合または部分をいう。好ましくは、かかるリンカーは、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さである。
【0067】
「ヌクレオチド結合」なる語は、一般に、2つのヌクレオシドの3’および5’ヒドロキシル基をリン酸含有結合によって直接連結する直接的な3’−5’結合をいう。
【0068】
「オリゴヌクレオチドモチーフ」なる語は、一般に、ジヌクレオチドを包含するオリゴヌクレオチド配列をいう。「1以上の修飾を除き、免疫刺激性であるオリゴヌクレオチドモチーフ」は、親オリゴヌクレオチドにおいて免疫刺激であるが、誘導体オリゴヌクレオチドにおいては免疫刺激ではないオリゴヌクレオチドモチーフを意味し、ここに、該誘導体オリゴヌクレオチドは、親オリゴヌクレオチドを基礎とするが、免疫刺激を減少または排除する1以上の修飾を有する。
【0069】
CpG、C*pG、C*pG*、およびCpG*なる語は、免疫刺激であり、かつ、シトシンまたはシトシンアナログおよびグアニンまたはグアニンアナログを含むオリゴヌクレオチドモチーフをいう。
【0070】
「治療」なる語は、利益または所望の結果を得ることを意図されたアプローチをいい、症状の緩和、または疾患進行を遅延または改善することを包含する。
【0071】
第一の態様において、本発明は、免疫調節オリゴヌクレオチド(IRO)化合物を提供する。「IRO」なる語は、1以上のTLRに対するアンタゴニストである免疫調節オリゴヌクレオチド化合物をいい、該化合物は、オリゴヌクレオチドモチーフおよび少なくとも1つの修飾を含み、ここに、該オリゴヌクレオチドモチーフは、該オリゴヌクレオチドモチーフの活性を抑制する1以上の修飾を除き、免疫刺激性(例えば、非メチル化CpG)であり、但し、該化合物は、3個未満の連続的グアノシンヌクレオチドを含有する。かかる修飾は、オリゴヌクレオチド5’末端、該オリゴヌクレオチドモチーフの側面配列、および/またはオリゴヌクレオチドモチーフ内にあってもよい。これらの修飾は、TLRに調節された免疫刺激を抑制するIRO化合物をもたらす。かかる修飾は、該オリゴヌクレオチドモチーフの側面にあるヌクレオチド/ヌクレオシドの塩基、糖残基、および/またはリン酸骨格に対して、または該オリゴヌクレオチドモチーフ内に施すことができる。
【0072】
好ましい具体例において、修飾が2’アルキル化またはアルコキシル化である場合、該修飾は、オリゴヌクレオチドモチーフの5’側に隣接せず、修飾が非電荷ヌクレオシド間結合である場合、該修飾は、オリゴヌクレオチドモチーフの5’側に隣接せず、修飾が3’アルキル化またはアルコキシル化である場合、該修飾はオリゴヌクレオチドモチーフの5’または3’側に隣接しない。
【0073】
好ましい具体例において、IRO化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドではない。
【0074】
IRO化合物の一般的構造は、5’−N−NCGN−N−3’(式中、CGは免疫刺激性モチーフであり、Cはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり、Gはグアノシンまたはプリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;N−NおよびN−Nは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;NおよびNは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;但し、少なくとも1つのNないしNおよび/またはCおよび/またはGは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーであり;さらに但し、化合物は、4未満の連続グアノシンヌクレオチド、好ましくは3未満の連続グアノシンヌクレオチドを含有し、ここに、CGの免疫刺激活性は、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチドリンカーによって抑制され;ここに、mは0〜約30の数である)として表してもよい。
【0075】
本発明のある特定の具体例において、IRO化合物は、ヌクレオチド結合または非ヌクレオチドリンカーによって5’−、3’−、または2’−末端にて、あるいは非ヌクレオチドリンカーまたはヌクレオチド結合を介して官能化された糖もしくは官能化されたヌクレオベースによって共有結合した少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。かかるIRO化合物は、直線状または分枝していてもよい。非限定的例として、該リンカーは、3’−ヒドロキシルに結合していてもよい。かかる具体例において、該リンカーは、官能基を含み、例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネートのようなリン酸ベースの結合手段によって、または非リン酸ベースの結合によって、3’−ヒドロキシルに結合する。リボヌクレオチドのコンジュゲーションの可能性のある部位を下記の式Iに示し、ここに、Bは、複素環塩基を示し、Pを指す矢印は、リン酸に対するいずれかの結合を示す。
【0076】
【化1】

【0077】
いくつかの具体例において、非ヌクレオチドリンカーは、小型分子、巨大分子、または生物分子であり、限定するものではないが、ポリペプチド、抗体、脂質、抗原、アレルゲン、およびオリゴ糖類を包含する。いくつかの他の具体例において、非ヌクレオチドリンカーは、小型分子である。本発明の目的のために、小型分子は、1,000Da未満の分子量を有する有機部分である。いくつかの具体例において、小型分子は、750Da未満の分子量を有する。
【0078】
いくつかの具体例において、小型分子は、脂肪族または芳香族炭化水素であり、そのいずれもが所望により、オリゴリボヌクレオチドを連結している直鎖またはそれに付加された直鎖において、限定するものではないが、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、またはチオウレアを包含する1以上の官能基を包含することができる。小型分子は、環状または非環状であることができる。小型分子リンカーの例は、限定するものではないが、アミノ酸、炭水化物、シクロデキストリン、アダマンタン、コレステロール、ハプテン、および抗体を包含する。しかしながら、非ヌクレオチドリンカーを示す目的で、「小型分子」なる語は、ヌクレオシドを包含することを意図しない。
【0079】
いくつかの具体例において、非ヌクレオチドリンカーは、アルキルリンカーまたはアミノリンカーである。アルキルリンカーは、分枝または非分枝、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和、キラル、非キラル、またはラセミ混合物であってもよい。アルキルリンカーは、約2〜約8個の炭素原子を有することができる。いくつかの具体例において、かかるアルキルリンカーは、約3〜約9個の炭素原子を有する。いくつかのアルキルリンカーは、限定するものではないが、ヒドロキシ、アミノ、チオール、チオエーテル、エーテル、アミド、チオアミド、エステル、尿素、またはチオウレアを包含する1以上の官能基を包含する。かかるアルキルリンカーは、限定するものではないが、1,2プロパンジオール、1,2,3プロパントリオール、1,3プロパンジオール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ポリエチレングリコールリンカー(例えば、[−O−CH2−CH2−] (n=1−9))、メチルリンカー、エチルリンカー、プロピルリンカー、ブチルリンカー、またはヘキシルリンカーを包含することができる。いくつかの具体例において、かかるアルキルリンカーは、ペプチドまたはアミノ酸を包含しうる。
【0080】
いくつかの具体例において、非ヌクレオチドリンカーは、限定するものではないが、表2に挙げるものを包含しうる。
【0081】
【表2−1】

【表2−2】

【0082】
いくつかの具体例において、小型分子リンカーは、グリセロールまたは式 HO−(CH−CH(OH)−(CH−OH[式中、oおよびpは独立して、1〜約6、1〜約4、または1〜約3の整数である]のグリセロールホモログである。いくつかの他の具体例において、小型分子リンカーは、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの誘導体である。いくつかのかかる誘導体は、式 HO−(CH−C(O)NH−CH−CH(OH)−CH−NHC(O)−(CH−OH[式中、mは、0〜約10、0〜約6、2〜約6、または2〜約4の整数である]を有する。
【0083】
本発明のいくつかの非ヌクレオチドリンカーは、3以上のオリゴヌクレオチドの結合を可能にする。例えば、小型分子リンカー グリセロールは、オリゴヌクレオチドを共有結合しうる3個のヒドロキシル基を有する。本発明のいくつかのIROは、したがって、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーに連結した2以上のオリゴヌクレオチドを含む。かかるIROを、「分枝」していると称する。
【0084】
いくつかの具体例において、IRO化合物は、例えば、静電気相互作用、疎水性相互作用、π−スタッキング相互作用、水素結合、およびその組み合わせによって、非共有結合された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含みうる。かかる非共有結合の非限定的な例は、ワトソン−クリック塩基対合、Hoogsteen塩基対合、および塩基スタッキングを包含する。
【0085】
2以上のオリゴヌクレオチドを連結できる方法のいくつかを表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
ある特定の具体例において、本発明の組成物および方法において使用される免疫調節オリゴヌクレオチド中のピリミジンヌクレオシドは、構造(II):
【化2】

[式中、
Dは、水素結合ドナーであり;
D’は、水素、水素結合ドナー、水素結合アクセプター、親水性基、疎水性基、電子吸引基、および電子供与基からなる群から選択され;
Aは、水素結合アクセプターまたは親水性基であり;
A’は、水素結合アクセプター、親水性基、疎水性基、電子吸引基、および電子供与基からなる群から選択され;
Xは、炭素または窒素であり;および
S’は、ペントースまたはヘキソース糖環、または糖アナログ、または修飾された糖である]
を有する。
【0088】
ある特定の具体例において、糖環は、リン酸部分、修飾されたリン酸部分またはピリミジンヌクレオシドを別のヌクレオシドもしくはヌクレオシドアナログに連結するのに適当な他のリンカー部分を用いて誘導体化される。
【0089】
いくつかの具体例において、水素結合ドナーは、限定するものではないが、−NH−、−NH、−SH、および−OHを包含する。好ましい水素結合アクセプターは、限定するものではないが、C=O、C=S、および芳香族複素環の環窒素原子、例えば、シトシンのN3を包含する。
【0090】
いくつかの具体例において、(II)は、ピリミジンヌクレオシド誘導体である。ピリミジンヌクレオシド誘導体の例は、限定するものではないが、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシンまたはN4−エチルシトシン、アラビノC、5−OH−dC、N3−Me−dC、および4−チオウラシルを包含する。化学修飾誘導体は、また、限定するものではないが、チミンまたはウラシルアナログを包含する。いくつかの具体例において、(II)中の糖部分S’は、糖誘導体である。適当な糖誘導体は、限定するものではないが、トレハロースまたはトレハロース誘導体、ヘキソースまたはヘキソース誘導体、アラビノースまたはアラビノース誘導体を包含する。
【0091】
いくつかの具体例において、本発明の組成物および方法において使用される免疫調節オリゴヌクレオチド中のプリンヌクレオシドは、構造(III):
【化3】

(III)
[式中、
Dは、水素結合ドナーであり;
D’は、水素、水素結合ドナー、および親水性基からなる群から選択され;
Aは、水素結合アクセプターまたは親水性基であり;
Xは、炭素または窒素であり;および
各Lは、独立して、C、O、NおよびSからなる群から選択され;および
S’は、ペントースまたはヘキソース糖環、または糖アナログ、または修飾された糖である]
を有する。
【0092】
ある特定の具体例において、糖環は、リン酸部分、修飾されたリン酸部分またはピリミジンヌクレオシドを別のヌクレオシドもしくはヌクレオシドアナログに連結するのに適当な他のリンカー部分を用いて誘導体化される。
【0093】
いくつかの具体例において、水素結合ドナーは、限定するものではないが、−NH−、−NH、−SH、および−OHを包含する。ある特定の具体例において、水素結合アクセプターは、限定するものではないが、C=O、C=S、−NO、および芳香族複素環の環窒素原子、例えば、グアニンのN1を包含する。
【0094】
いくつかの具体例において、(III)は、プリンヌクレオシド誘導体である。プリンヌクレオシド誘導体の例は、限定するものではないが、グアニンアナログ、例えば、7−デアザ−G、7−デアザ−dG、アラ−G、6−チオ−G、イノシン、イソ−G、ロクソリビン(loxoribine)、TOG(7−チオ−8−オキソ)−G、8−ブロモ−G、8−ヒドロキシ−G、5−アミノホルマイシンB、オキソホルマイシン、7−メチル−G、9−p−クロロフェニル−8−アザ−G、9−フェニル−G、9−ヘキシル−グアニン、7−デアザ−9−ベンジル−G、6−クロロ−7−デアザグアニン、6−メトキシ−7−デアザグアニン、8−アザ−7−デアザ−G(PPG)、2−(ジメチルアミノ)グアノシン、7−メチル−6−チオグアニン、8−ベンジルオキシグアノシン、9−デアザグアノシン、1−(B−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンを包含する。化学修飾誘導体は、また、限定するものではないが、アデニンアナログ、例えば、9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)アデニン、2−アミノ−N2−O−、メチルアデノシン、8−アザ−7−デアザ−A、7−デアザ−A、ビダラビン(Vidarabine)、2−アミノアデノシン、N1−メチルアデノシン、8−アザアデノシン、5−ヨードツベルシジン(Iodotubercidin)、およびN1−Me−dGを包含する。いくつかの具体例において、(III)中の糖部分S’は、式IIに関して定義されたとおりの糖誘導体である。
【0095】
本発明のある特定の具体例において、免疫調節核酸は、少なくとも1つのB−L−デオキシヌクレオシドまたは3’−デオキシヌクレオシドを含有する核酸配列を含む。
【0096】
本発明のある特定の具体例において、免疫調節オリゴヌクレオチドは、CpG、C*pG、C*pG*、およびCpG*[式中、Cは、シトシンまたは2’−デオキシシチジンであり、Gは、グアノシンまたは2’−デオキシグアノシンであり、C*は、2’−デオキシチミジン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン、2’−ジデオキシ−5−ハロシトシン、2’−ジデオキシ−5−ニトロシトシン、アラビノシチジン、2’−デオキシ−2’−置換アラビノシチジン、2’−O−置換アラビノシチジン、2’−デオキシ−5−ヒドロキシシチジン、2’−デオキシ−N4−アルキル−シチジン、2’−デオキシ−4−チオウリジン、または他のピリミジンヌクレオシドアナログであり、G*は、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン、2’−デオキシ−6−チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’−デオキシ−2’置換−アラビノグアノシン、2’−O−置換−アラビノグアノシン、2’−デオキシイノシン、または他のプリンヌクレオシドアナログであり、pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間結合である]から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含有する核酸配列を含み、ここに、少なくとも1つのジヌクレオチドの活性は、フランキング配列によって調節される。
【0097】
これらの一般構造内の特定のIROの配列は、限定するものではないが、表4aに示されるものを包含する。
【0098】
表4a:
【表4a−1】

【表4a−2】

【表4a−3】

下線を付したG、AまたはU=2’−OMe;下線を付したT=3’−OMe;A=3’−OMe;G=7−デアザ−dG;m=P−Me;A、T、CおよびG=B−L−デオキシヌクレオシド;X=脱塩基(abasic);X=グリセロールリンカー、X=C3−リンカー;CおよびG=3’−デオキシ−ヌクレオシド;G=araG;C=araC;C=5−OH−dC;G=N2−Me−dG;C=1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリン;G=N1−Me−dG;C=N3−Me−dC;U=3’−OMe;U=dU
【0099】
対照オリゴヌクレオチドの配列は、表4bに示されるものを包含しうる。
【0100】
表4b:
【表4b】

下線を付したU=2’−OMe;下線を付したT=3’−OMe;G=7−デアザ−dG;X=グリセロールリンカー
【0101】
いくつかの具体例において、オリゴヌクレオチドは、各々、約6〜約35個のヌクレオシド残基、好ましくは約9〜約30個のヌクレオシド残基、より好ましくは約11〜約23個のヌクレオシド残基を有する。いくつかの具体例において、オリゴヌクレオチドは、約6〜約18個のヌクレオシド残基を有する。
【0102】
第2の態様において、本発明は、TNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせた本発明のIRO化合物、および生理学上許容される担体を含む医薬処方を提供する。
【0103】
第3の態様において、本発明は、哺乳動物において自己免疫または炎症応答の誘導を阻害または抑制する方法であって、該哺乳動物に、TNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせた本発明のIRO化合物を投与することを特徴とする方法を提供する。好ましい具体例において、IRO化合物および抗炎症剤は、免疫抑制が必要な哺乳動物に投与される。
【0104】
本発明の該態様によれば、IRO化合物は、さらなるTLRリガンドまたはTLRアゴニストに対する免疫応答を抑制することができる。TLRアゴニストまたはTLRリガンド(例えば、免疫調節オリゴヌクレオチド)によるTLRに基づく免疫応答の活性化は、IRO化合物を同時に投与、予め投与または後で投与することによって抑制/阻害することができ、かかる抑制/阻害は、投与後、長期間(例えば、何日も)維持されうる。本発明の該有益な特性は、疾患または障害の予防および/または治療のための独特な利益を有する。例えば、ある種のTLR−アゴニストを該疾患の治療過程において適用すると、IRO化合物が抑制/阻害できる所望されない免疫刺激を引き起こすことがある。TLR−アゴニストの投与と同時、投与前および/または投与後にIROを投与すると、TLR−アゴニスト由来の治療効果を可能にしつつ、同時に所望されない副作用を抑制/阻害しうる。さらに、IROを予め投与すると、TLR−アゴニストによる後の攻撃に対する免疫応答(例えば、アレルギー反応)を防ぐことができる。
【0105】
本発明の態様の方法において、TNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせたIRO化合物の投与は、限定するものではないが、非経口、粘膜デリバリー、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エーロゾル、眼球内、気管内、直腸内、経膣、遺伝子ガンによる、皮膚パッチ、または点眼剤もしくは口腔洗浄剤の形態を包含するいずれかの適当な経路によることができる。該治療組成物の投与は、既知の手法を用いて、症状を減少させるのに十分な、または疾患のマーカーを代替するのに十分な投与量および期間で実施することができる。全身投与の場合、該治療組成物は、好ましくは、IRO化合物の血中レベルが約0.0001μM〜約10μMに達するのに十分な投与量で投与される。局所投与の場合、これよりもっと低濃度で有効な場合もあり、もっと高濃度が許容される場合もある。好ましくは、IRO化合物の全投与量は、1日当たり、患者の体重1kgあたり、約0.001mg〜約200mgの範囲である。1以上の本発明の治療組成物の治療上有効量を同時に、または連続的に、単一治療エピソードとして個体に投与することが望ましい。
【0106】
IRO化合物は、所望により、1以上のアレルゲンおよび/または抗原(自己または外来)、免疫原性タンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、コレラ毒素Bサブユニット、またはいずれか他の免疫原性キャリアタンパク質に結合していてもよい。IRO化合物は、また、限定するものではないが、TLRアゴニスト(例えば、TLR2アゴニストおよびTLR9アゴニスト)、フロイントの不完全アジュバント、KLH、モノホスホリルリピドA(MPL)、アラム、およびサポニン(QS−21およびイミキモドを包含する)、またはその組み合わせを包含する他の化合物(例えば、アジュバント)と組み合わせて使用することができる。
【0107】
本発明の該態様の方法は、免疫系のモデル研究に有用である。該方法は、また、ヒトまたは動物疾患の予防的または治療的処置に有用である。例えば、該方法は、小児および獣医学ワクチン用途に有用である。
【0108】
かくして、第4の態様において、本発明は、自己免疫または炎症成分を有する疾患または障害を有する患者を治療的に処置する方法であって、該患者に、本発明のIRO化合物を、TNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせて投与することを特徴とする方法を提供する。種々の具体例において、治療される疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、感染性疾患、マラリア、ライム(Lyme)病、眼感染、結膜炎、皮膚障害、乾癬、鞏皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息、または病原体によって引き起こされる疾患である。病原体は、細菌、寄生体、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを包含する。好ましいウイルスは、DNAまたはRNAウイルス、例えば、限定するものではないが、二本鎖DNAウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、肝炎ウイルス)、一本鎖DNAウイルス(例えば、パルボウイルス)、一本鎖RNAウイルス(例えば、ピコルナウイルス、トガウイルス、オルトマイアンウイルス(Orthomyanviruses)およびラブドウイルス)、および表5に挙げられたものを包含する。投与は、本発明の第3の態様に関して記載されたとおりに行われる。
【0109】
表5:
【表5−1】

【表5−2】

【0110】
第5の態様において、本発明は、自己免疫または炎症成分を有する疾患または障害を予防する方法であって、かかる疾患または障害を発症する危険性のある患者に、本発明のIRO化合物を、TNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせて投与することを特徴とする方法を提供する。「疾患または障害を発症する危険性のある患者」は、疾患の症状が発現され始めていようがいまいが、該疾患または障害を引き起こす病因物質または他の環境因子に曝された患者である。種々の具体例において、予防される疾患または障害は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、感染性疾患、マラリア、ライム(Lyme)病、眼感染、結膜炎、皮膚障害、乾癬、鞏皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息、または病原体によって引き起こされる疾患である。病原体は、細菌、寄生体、真菌、ウイルス、ウイロイド、およびプリオンを包含する。好ましいウイルスは、DNAまたはRNAウイルス、例えば、限定するものではないが、表5に挙げられたものを包含する。投与は、本発明の第3の態様に関して記載されたとおりに行われる。
【0111】
本発明の該態様の方法のいずれかにおいて、IRO化合物およびTNFを阻害する抗炎症剤は、該疾患または障害を治療するために有用であって、かつ、該IRO化合物または該TNFを阻害する抗炎症剤の免疫調節効果を減少させないいずれか他の薬剤と組み合わせて投与することができる。本発明の方法のいずれかにおいて、該疾患または障害を治療するのに有用な薬剤は、限定するものではないが、1以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、抗ウイルス剤、抗マラリア薬(例えば、クロロキンおよびヒドロキシクロロキン)、または免疫応答の特異性または規模を増強するためのキナーゼ阻害剤、または共刺激分子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチド、および修飾されたアミノ酸を含むペプチドを包含する。例えば、癌の治療において、IRO化合物は、1以上の化学治療化合物、標的化治療剤、および/またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与され得ると考えられる。別法では、該剤は、抗原またはアレルゲンをコードしているDNAベクターを包含することができる。これらの具体例において、本発明のIRO化合物は、アジュバントとして様々に作用することができ、および/または直接的な免疫調節効果を生じることができる。
【0112】
下記の実施例は、本発明のある特定の例示的具体例をさらに説明することを意図し、本発明の範囲を限定しようとするものではない。例えば、代表的なTLR−リガンドが下記の実施例において示されるが、本発明のIROがアンタゴニストとして作用するリガンドの範囲を限定しない。
【実施例】
【0113】
実施例1
免疫調節部分を含有するオリゴヌクレオチドの合成
全てのIROは、標準的な手法にしたがって合成された(例えば、米国特許出願公開第2004/0097719号参照)。
【0114】
オリゴヌクレオチドは、1μMスケールで、自動化DNA合成機(Expedite 8909; PerSeptive Biosystems, Framingham, Mass.)を用いて、標準的な直線状合成またはパラレル合成手法(例えば、米国特許出願公開第2004/0097719号の図5および6参照)にしたがって合成された。
【0115】
デオキシリボヌクレオシドホスホルアミダイトは、(Aldrich−Sigma, St Louis, Mo)から得られた。1’,2’−ジデオキシリボースホスホルアミダイト、プロピル−1−ホスホルアミダイト、2−デオキシウリジンホスホルアミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチル)ペンチルアミジル]−2−プロパノールホスホルアミダイト、およびメチルホスホンアミダイトは、Glen Research(Sterling, Va.)から得られた。β−L−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホルアミダイト、α−2’−デオキシリボヌクレオシドホスホルアミダイト、モノ−DMT−グリセロールホスホルアミダイト、およびジ−DMT−グリセロールホスホルアミダイトは、ChemGenes(Willmington, Mass.)から得られた。(4−アミノブチル)−1,3−プロパンジオールホスホルアミダイトは、Clontech(Palo Alto, Calif.)から得られた。アラビノシチジンホスホルアミダイト、アラビノグアノシン、アラビノチミジン、およびアラビノウリジンは、Reliable Pharmaceutical(St. Louis, Mo.)から得られた。アラビノグアノシンホスホロジチオエート、アラビノチミジンホスホルアミダイト、およびアラビニウリジンホスホルアミダイトは、Idera Pharmaceuticals, Inc.(Cambridge, Mass.)にて合成された(Noronhaら、(2000) Biochem. 39:7050−62)。
【0116】
全てのヌクレオシドホスホルアミダイトは、31PおよびH NMRスペクトルによって特徴付けられた。修飾されたヌクレオシドは、通常のカップリングサイクルを用いて、特定の部位に組み込まれた。合成後、オリゴヌクレオチドは、濃水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLC、次いで透析によって精製された。ナトリウム塩形態として精製したオリゴヌクレオチドは、使用前に凍結乾燥させた。純度は、CGEおよびMALDI−TOF MSによって試験した。
【0117】
実施例2
TNF−aの阻害剤と組み合わせたTLR7およびTLR9のアンタゴニストは効果的に関節炎を治療する。
DBA/1マウスにおいて、ウシII型コラーゲン(CII)/CFAを0日目に、CII/IFAを21日目に皮内注射(i.d.)することにより、関節炎を誘導した。
【0118】
マウスを6群(n=8)に分けた。治療は、各群のマウスの半数が関節炎症状を示した(スコア1)28日目に開始した。TLR7およびTLR9アンタゴニスト(TLRアンタゴニスト)またはEnbrel(TNF−α阻害剤)または両薬剤の組み合わせを3日に1回、46日目までマウスに投与した(全7回の投与)。1、2および3群のマウスには、5mg/kg TNF−α阻害剤と、各々、1.25、2.5、および5mg/kgのTLRアンタゴニストを皮下(s.c.)注射し、4群のマウスには、5mg/kgのTLRアンタゴニストを皮下(s.c.)注射し、5群のマウスには、5mg/kgのTNF−α阻害剤をi.p.投与し、6群のマウスには、ビヒクル(PBS)をs.c.投与した。
【0119】
臨床スコア。全マウスを21日目から3日毎に関節炎症状についてモニターした。関節炎症状は、足に腫れが無い場合を「0」、足に少なくとも1指幅(digit)の腫れがある場合を「1」、足全体に腫れがある場合を「2」、足に変形または強直がある場合を「3」としてスコア付けした。各マウスについて最大スコア12で、4本の足の各々についてスコアを付けた。データを図1に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がいずれか単独の場合よりも、関節炎の治療および進行の予防に有効であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の組み合わせが炎症よび自己免疫疾患進行を防ぐのに有用であることを明らかにする。
【0120】
関節炎症の抑制。58日目に、マウスを安楽死させ、後足関節組織を調製、固定、ヘマトキシリンおよびエオシン染色し、関節組織を白血球および骨侵食について組織学評価した。データを図2に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がいずれか単独の場合よりも、関節炎症およびその結果もたらされる骨侵食の予防に有効であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の組み合わせが関節炎症、骨侵食、および疾患進行を阻害するのに有用であることを明らかにする。軟骨喪失の抑制。58日目に、マウスを安楽死させ、後足関節組織を調製、固定、Safranin Oで染色し、関節組織を軟骨喪失について組織学評価した。データを図3に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がいずれか単独の場合よりも、軟骨喪失の予防に有効であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の組み合わせが軟骨喪失、および疾患進行を阻害するのに有用であることを明らかにする。
【0121】
後足の腫れ。58日目に、マウスを安楽死させ、後足を評価し、腫れについてスコア付けした(グレード0(腫れ無し)〜グレード3(重篤な腫れ))。データを図4に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がいずれか単独の場合よりも、組織の腫れの予防に有効であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の組み合わせが組織の腫れ、および疾患進行を阻害するのに有用であることを明らかにする。
【0122】
IgG1(Th2型)抗体産生。58日目に、マウスを安楽死させ、血清を回収し、IgG1(Th2型)抗体濃度について分析した。データを図5に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIgG1抗体産生を効果的に阻害すること、およびTLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の組み合わせがいずれか単独の場合よりも、IgG1抗体産生の抑制について効果的であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIgG1(Th2型)抗体産生および疾患進行の阻害に有用であることを明らかにする。
【0123】
IgG2a(Th1型)抗体産生。58日目に、マウスを安楽死させ、血清を回収し、IgG2a(Th1型)抗体濃度について分析した。データを図6に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIgG2a(Th1型)抗体産生を効果的に阻害すること、およびTLRアンタゴニストがIgG2a抗体減少を引き起こす剤であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIgG2a(Th1型)抗体産生および疾患進行の阻害に有用であることを明らかにする。
【0124】
IFN−γ産生/免疫応答。58日目に、マウスを安楽死させ、血清を回収し、Th1型免疫応答のインジケーターとして、IFN−γ(Th1型サイトカイン)濃度について分析した。データを図7に示し、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIFN−γ(Th1型サイトカイン)を効果的に阻害すること、およびTLRアンタゴニストがIFN−γ(Th1型免疫応答)減少を引き起こす剤であることを明らかにする。より一般的には、これらのデータは、TLRアンタゴニストおよびTNF−α阻害剤の投与がIFN−γ(Th1型免疫応答)および疾患進行の阻害に有用であることを明らかにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物に、IRO化合物をTNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせて医薬上有効量で投与することを特徴とする、自己免疫または炎症成分を有する疾患を有する哺乳動物を治療的に処置する方法。
【請求項2】
IRO化合物およびTNFを阻害する抗炎症剤が1以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子療法ベクター、DNAワクチン、アジュバント、キナーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、または共刺激分子と組み合わせて投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
IROおよびTNFを阻害する抗炎症剤の投与経路が独立して、非経口、粘膜デリバリー、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エーロゾル、眼球内、気管内、直腸内、経膣、遺伝子ガンによる、皮膚パッチ、または点眼剤もしくは口腔洗浄剤の形態である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
TNFを阻害する抗炎症剤がエタネルセプト(etanercept)、インフリキシマブ(infliximab)、またはアダリムダブ(adalimubab)である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
自己免疫または炎症成分を有する疾患が、関節リウマチ、乾癬の関節炎、乾癬、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、クローン病、サルコイドーシス、大腸炎、または癌である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
自己免疫または炎症成分を有する疾患または障害を発症する危険性のある哺乳動物においてかかる疾患または障害を予防する方法であって、IRO化合物をTNFを阻害する抗炎症剤と組み合わせて医薬上有効量で該哺乳動物に投与することを特徴とする方法。
【請求項7】
IRO化合物およびTNFを阻害する抗炎症剤が1以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、ペプチド、タンパク質、遺伝子療法ベクター、DNAワクチン、アジュバント、抗ウイルス剤、または共刺激分子と組み合わせて投与される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
IROおよびTNFを阻害する抗炎症剤の投与経路が独立して、非経口、粘膜デリバリー、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エーロゾル、眼球内、気管内、直腸内、経膣、遺伝子ガンによる、皮膚パッチ、または点眼剤もしくは口腔洗浄剤の形態である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
TNFを阻害する抗炎症剤がエタネルセプト(etanercept)、インフリキシマブ(infliximab)、またはアダリムダブ(adalimubab)である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
自己免疫または炎症成分を有する疾患が、関節リウマチ、乾癬の関節炎、乾癬、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、クローン病、サルコイドーシス、大腸炎、または癌である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
IRO化合物が構造:
5−N−NCGN−N−3’
[式中、
CGはオリゴヌクレオチドモチーフであり、Cはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり、Gはグアノシンまたはプリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
−NおよびN−Nは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
およびNは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
但し、少なくとも1つのNないしNおよび/またはCおよび/またはGは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
ここに、該オリゴヌクレオチドモチーフは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合を除き、免疫刺激性であり;
ここに、mは0〜約30の数である]
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
IRO化合物が構造:
5−N−NCGN−N−3’
[式中、
CGはオリゴヌクレオチドモチーフであり、Cはシトシンまたはピリミジンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり、Gはグアノシンまたはプリンヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
−NおよびN−Nは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
およびNは、各発生時に、独立して、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
但し、少なくとも1つのNないしNおよび/またはCおよび/またはGは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合であり;
ここに、該オリゴヌクレオチドモチーフは、ヌクレオチド誘導体または非ヌクレオチド結合を除き、免疫刺激性であり;
ここに、mは0〜約30の数である]
を含む、請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−528867(P2012−528867A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514047(P2012−514047)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/036923
【国際公開番号】WO2010/141483
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】