説明

USBホストシステム、データ転送方法および映像音声処理システム

【課題】USBデバイスとの間のデータの転送速度を速くする。
【解決手段】USBホストシステム100に一時転送中断処理部102を設ける。この一時転送中断処理部102は、USBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間でデータ転送を行うときに、USBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間でUSBホスト転送メモリ105のメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎にUSBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間のデータ転送を一時中断させ、USBホスト転送メモリ105内の格納データに対する所定の処理が完了してUSBホスト転送メモリ105が使用可能となるのを待ってUSBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間のデータ転送を再開させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBホストを搭載した、例えば映像音声機器(以下、AV機器と称す)のようなUSBホストシステムと、このUSBホストシステムとUSBデバイスとの間のデータ転送方法と、このUSBホストシステムを使用した映像音声処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、PCと称す)とその周辺機器とを結ぶ外部バスの1つに規格「Universal Serial Bus」(以下、USBと称す)があり、PC側にUSBホスト機能を、周辺機器側にUSBデバイス機能を搭載することで実現されている。
【0003】
PCと周辺機器との間のデータ転送の転送速度を向上させるための手段として、USBホスト側の転送能力を向上させる方法と、USBデバイス側の転送能力を向上させる方法とがあるが、USBホストは、PCという高速なCPUと大容量のメモリを搭載したシステムに組み込まれるため、速度向上に対する取り組みとしては主眼がおかれていない。むしろ非力なCPUと少ないメモリを搭載したシステムに組み込まれるUSBデバイスの転送速度を向上させるための取り組みが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−337913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし近年、AVコンポやデジタルビデオレコーダといったPC以外のAVシステムにUSBホストが組み込まれ、AVシステムとUSBストレージデバイスとを接続した利用が普及しはじめている。AVシステムとUSBストレージデバイスとの間のデータ転送には、一般的にUSBマスストレージクラスと呼ばれる規格が用いられ、データ要求フェーズ、データ転送フェーズ、ステータス確認フェーズの3フェーズから構成される。
【0005】
AVシステムは、PCと比較してCPUの処理能力が低く、搭載されているメモリも少ない。そのため、1回にデータ要求が可能な転送サイズは使用可能なメモリサイズにより制限される。たとえば100KByteのメモリが転送に使用可能ならば、USBマスストレージクラスでのデータ要求フェーズは、100KByte以下の転送を要求することになる。つまり、使用可能なメモリサイズ以上のデータ転送を行いたい場合でも、使用可能なメモリサイズ毎に細切れにして転送を要求する必要があり、その要求ごとに、USBマスストレージクラスのデータ要求フェーズ、ステータス確認フェーズが必要になるため、転送速度が遅くなるという問題があった。すなわち、USBホストコントローラが使用可能なメモリサイズが少ない場合、メモリサイズ分の転送毎に、データ要求フェーズ、ステータス確認フェーズが必要となり、転送速度が遅くなる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するもので、高速にUSB転送が可能なUSBホストシステム、USBホストシステムとUSBデバイスとの間で高速に転送を行うデータ転送方法、および高速にUSB転送が可能な映像音声処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のUSBホストシステムは、中央処理演算装置と、USBホスト機能を有するUSBホストコントローラと、中央処理演算装置とUSBホストコントローラとからアクセスが行われ、USBホストコントローラとUSBホストコントローラに対してUSBバスを介して接続されるUSBデバイスとの間で転送される転送データの一時格納用に使用可能なUSBホスト転送メモリを含むメインメモリと、USBホストコントローラとUSBデバイスとの間でデータ転送を行うときに、USBホストコントローラとUSBデバイスとの間で転送メモリのメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎にUSBホストコントローラとUSBデバイスとの間のデータ転送を一時中断させ、転送メモリ内の格納データに対する所定の処理が完了して転送メモリが使用可能となるのを待ってUSBホストコントローラとUSBデバイスとの間のデータ転送を再開させる一時転送中断処理部とを備えている。
【0008】
USBホストシステムとUSBデバイスとを接続しUSB経由でのデータ転送を行う場合、転送すべきデータは転送用メモリを経由させる必要がある。そのため、使用可能な転送用メモリのサイズ以上の転送を行いたい場合、USBデバイスには転送を行いたいデータサイズを要求し、USBホストコントローラには使用可能な転送用メモリのサイズ分の転送設定を行い、転送を実行する。USBホストコントローラに設定したサイズのデータ転送が終わった時点で、アプリケーションなどの上位ソフトウェアが転送済みデータの処理を行う。USB転送は、上位ソフトウェアによるデータ処理が完了し、転送用メモリが使用可能になるまで待つ。そして、転送用メモリが使用可能になった場合に、残りの転送すべきデータのうち、使用可能な転送用メモリのサイズ分の転送設定をUSBホストコントローラに対して行い、USBデータ転送を行う。以上の処理を繰り返し実行し、転送すべきデータすべてが完了した時点で、USBデバイスに対しステータス確認の要求を行う。以上の方法により、使用可能な転送用メモリのサイズ以上のデータ転送を行う場合でも、USBデバイスに対して行う、データ要求とステータス確認がそれぞれ1回ずつですみ、転送速度の向上が見込まれる。つまり、データ要求フェーズにおいてUSBホストコントローラが使用可能なメモリサイズ以上の転送要求をUSBデバイスに対して行い、使用可能なメモリサイズ毎の転送要求をUSBホストコントローラに対して設定することで、従来メモリサイズ分の転送毎に必要であった、データ要求フェーズ、ステータス確認フェーズの転送を削減することができ、転送速度が向上する。
【0009】
上記の断続的なUSB転送処理の制御は、一時転送中断処理部によって実現される。
【0010】
上記本発明のUSBホストシステムにおいては、USBホストコントローラがEHCI(エンハンスド・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格、OHCI(オープン・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格、UHCI(ユニバーサル・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格の何れかに準拠していることが好ましい。
【0011】
また、上記構成においては、USB転送の際に使用されるコマンドが、USBマスストレージ規格に準拠していることが好ましい。
【0012】
本発明のデータ転送方法は、USBホストシステムとUSBデバイスとの間でデータを転送するデータ転送方法であって、USBホストシステムがUSBデバイスに対して、転送メモリのメモリサイズより大きなデータの転送要求を行う第1のステップと、USBデバイスがUSBホストコントローラに対し、転送メモリのメモリサイズ以下の転送設定を行う第2のステップと、USBデバイスが、USBホストコントローラに設定された転送サイズ分のデータ転送を行う第3のステップと、第1のステップで転送要求されたデータの転送が終了したか否かの判断を行う第4のステップとを含み、第4のステップにおいて、データの転送が終了していないと判断された場合は、第2乃至第4のステップを繰り返すことを特徴とする。
【0013】
この方法によれば、使用可能な転送用メモリのサイズ以上のデータ転送を行う場合でも、USBデバイスに対して行う、データ要求とステータス確認がそれぞれ1回ずつですみ、転送速度の向上が見込まれる。
【0014】
上記のデータ転送方法においては、USBデバイスがUSBマスストレージ規格に対応している場合に、USBデバイスとUSBホストシステムとの間の転送において、第1のステップの前にUSBデバイスが行うデータ転送要求をCBW(Command Block Wrapper)にて行うことが好ましい。
【0015】
本発明の映像音声処理システムは、USBホストシステムと、USBホストシステムに対して接続されてUSBホストシステムとの間で映像音声信号を入出力するUSBデバイスとを備えたものである。USBホストシステムは、中央処理演算装置と、USBホスト機能を有するUSBホストコントローラと、中央処理演算装置とUSBホストコントローラとからアクセスが行われ、USBホストコントローラとUSBホストコントローラに対してUSBバスを介して接続されるUSBデバイスとの間で転送される映像音声信号からなる転送データの一時格納用に使用可能なUSBホスト転送メモリを含むメインメモリと、USBホスト転送メモリに格納された映像音声信号からなる転送データを復号するデコード部と、USBホストコントローラとUSBデバイスとの間でデータ転送を行うときに、USBホストコントローラとUSBデバイスとの間で転送メモリのメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎にUSBホストコントローラとUSBデバイスとの間のデータ転送を一時中断させ、転送メモリ内の格納データに対するデコード部による所定の処理が完了して転送メモリが使用可能となるのを待ってUSBホストコントローラとUSBデバイスとの間のデータ転送を再開させる一時転送中断処理部とからなる。
【0016】
この構成によれば、映像音声信号の伝送にあたって、上記USBホストシステムと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、USBデバイスとUSBホストシステムとの間の転送において、データ転送要求処理とステータス確認処理とを減らすことで、USB転送での転送速度の向上が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1は本発明における実施の形態1のUSBホストシステムの概略構成を示すブロック図である。図1において、100はUSBホストシステム、101はCPU(中央処理演算装置)、102は一時転送中断処理を行う一時転送中断処理ブロック、103はUSBホスト機能を有するUSBホストコントローラ、104は中央処理演算装置とUSBホストコントローラとからアクセスが行われるメインメモリ、105はメインメモリ104のうちUSBホストコントローラ103がUSBデバイスとの間で転送を行うデータを一時格納するためのUSBホスト転送メモリ、106はUSBにより転送されたデータを処理するデータ処理ブロック、107はUSBバス、108はUSBホストコントローラ103に対してUSBバス107を介して接続されるUSBデバイスである。
【0020】
上記の一時転送中断処理ブロック102は、USBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間でデータ転送を行うときに、USBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間でUSBホスト転送メモリ105のメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎にUSBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間のデータ転送を一時中断させ、USBホスト転送メモリ105内の格納データに対する所定の処理が完了してUSBホスト転送メモリ105が使用可能となるのを待ってUSBホストコントローラ103とUSBデバイス108との間のデータ転送を再開させる機能を有する。
【0021】
この一時転送中断処理ブロック102は、例えば、CPU401のソフトウェア処理として実装される。これ以外に、ハードウェアシーケンサのように、専用のハードウェアを構築し、専用ハードウェアが直接USBホストコントローラ403を制御する構成も考えられる。
【0022】
上記のUSBホストコントローラは、EHCI(エンハンスド・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格、OHCI(オープン・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格、およびUHCI(ユニバーサル・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格の何れかに準拠している。USB転送の際に使用されるコマンドが、USBマスストレージ規格に準拠している。
【0023】
図2は本発明における実施の形態1の動作を示すフローチャートである。実施の形態1では、USBホストコントローラ103を用い、USBデバイス108に保存されているデータを、メインメモリ104のうちUSBホストコントローラ103が転送に使用することができるメモリ領域であるUSBホスト転送メモリ105に転送する場合について説明する。なお説明においては、データ処理ブロック106がUSBデバイス108から読み取るデータサイズを1024KByte、USBホスト転送用メモリ105のサイズを256KByteとして説明する。
【0024】
以下、図2のフローチャートについて説明する。データ処理ブロック106から、USBデバイス108に対する1024KByteのデータ読み取り要求が発生(ステップS201)した場合、一時転送中断処理ブロック(CPU上で動作するソフトウェア)102がUSBデバイス108に対して読み取り要求サイズである1024KByteのデータ読み取り要求を送る(ステップS202)。
【0025】
次に、USBホストコントローラ103に対して、USBデバイス108からUSBホスト転送用メモリ105へUSBホスト転送用メモリ105のサイズである256KByte分のデータ読み取りを行うための設定を行い、USBデバイス108からUSBホスト転送用メモリ105への転送を実行する(ステップS203)。
【0026】
次に、USBデバイス108から256KByteのデータがUSBホスト転送用メモリ105へ転送されるのを待つ(ステップS204)。
【0027】
転送が完了した時点で、データ処理ブロック106に対して256KByteのデータ転送が完了したことを通知する(ステップS205)。
【0028】
データ処理ブロック106は、USBホスト転送用メモリ105に保持されている転送が完了した256KByte分のデータを使用し必要なデータ処理を行う(ステップS206)。
【0029】
必要なデータ処理が完了した時点で、続きの転送があるかをチェックし(ステップS207)、続きの転送がある場合はステップS203の処理に戻り、同様の処理を行う。
【0030】
一方、データ処理ブロック106から発生した要求サイズ分の転送がすべて完了した場合は、転送が完了する(ステップS208)。
【0031】
このように転送を行うことで、従来はUSBホスト転送用メモリ105のサイズ、つまり今回の場合256KByte毎に必要であったUSBデバイス108に対するデータ読み取り要求(ステップS202)の転送が、1回の転送のみで実現することができ、転送効率の向上が可能となる。
【0032】
なお、ステップS203においてUSBホストコントローラ103に対して設定する転送サイズは、USBホスト用転送メモリ105以下のサイズであれば、同様の処理が可能である。
【0033】
なお、上記図2のフローチャートで示す動作は、基本的には、一時転送中断処理ブロック102がすべてを制御することになる。ただし、一時転送中断処理ブロック102はCPU101上で動作するソフトウェアを想定しているので、図1におけるCPU101と一時転送中断処理ブロック102とが、両方が動作することで、図2のフローチャート処理が行われる。
【0034】
[実施の形態2]
本発明における実施の形態2のUSBホストシステムの動作を図3を参照しながら説明する。実施の形態2のUSBホストシステムの概略構成には、図1に示した実施の形態1と同じである。
【0035】
図3は本発明における実施の形態2の動作フローチャートである。実施の形態2では、USBホストコントローラ103を用い、メインメモリ104のうちUSBホストコントローラ103が転送に使用することができるメモリ領域であるUSBホスト転送メモリ105からUSBデバイス108に対してデータを書き込む場合について説明する。なお説明においては、データ処理ブロック106がUSBデバイス108に対して書き込むデータサイズを1024KByte、USBホスト転送用メモリ105のサイズを256KByteとして説明する。
【0036】
データ処理ブロック106から、USBデバイス108に対する1024KByteのデータ書き込み要求が発生(ステップS301)した場合、USBデバイス108に対して書き込み要求サイズである1024KByteのデータ書き込み要求を送る(ステップS302)。
【0037】
次に、データ処理ブロック106が、USBデバイス108に対して書き込むデータの256KByte分のデータをUSBホスト転送用メモリ105へ設定する(ステップS303)。
【0038】
設定が完了した時点で、USBホストコントローラ103に対して、USBホスト転送用メモリ105からUSBデバイス108へUSBホスト転送用メモリ105のサイズである256KByte分のデータ書き込みを行うための設定を行い、USBホスト転送用メモリ105からUSBデバイス108への転送を実行する(ステップS304)。
【0039】
次に、USBホスト転送用メモリ105から256KByteのデータがUSBデバイス108へ転送されるのを待つ(ステップS305)。
【0040】
転送が完了した時点で、データ処理ブロック106に対して256KByteのデータ転送が完了したことを通知する(ステップS306)。
【0041】
データ処理ブロック106は、USBデバイス108に対しての書き込みが全て完了したかどうかを確認(ステップS307)し、書き込みデータが残っている場合は、データ処理ブロック106は、USBデバイス108に対して書き込む次の256KByte分のデータを準備(ステップS308)し、USBホスト転送用メモリ105へ設定する(ステップS303)。
【0042】
一方、USBデバイス108に対しての書き込みが全て完了し、書き込みデータが残っていない場合は、転送を完了(ステップS309)する。
【0043】
このように転送を行うことで、従来はUSBホスト転送用メモリ105のサイズ、つまり今回の場合256KByte毎に必要であったUSBデバイス108に対するデータ書き込み要求の転送が、1回の転送のみで実現(ステップS302)することができ、転送効率の向上が可能となる。
【0044】
なお、ステップS303においてUSBホストコントローラ103に対して設定する転送サイズは、USBホスト用転送メモリ105以下のサイズであれば、同様の処理が可能である。
【0045】
[実施の形態3]
図4は本発明における実施の形態3のUSBホストシステム概略構成を示すブロック図である。図4において、400はUSBホストシステム、401はCPU、402は一時転送中断処理を有するUSBホスト制御ソフト、403はUSBホスト機能を有するUSBホストコントローラ、404は中央処理演算装置とUSBホストコントローラとからアクセスが行われるメインメモリ、405はメインメモリ404のうちUSBホストコントローラ403がUSBデバイスとの間で転送を行うデータを格納するためのUSBホスト転送メモリ、406はUSBにより転送されるオーディオデータやビデオデータを処理するAV処理ブロック、407はUSBバス、408はUSBホストコントローラ403に対してUSBバス407を介して接続されるUSBデバイスである。このAV処理ブロック406には、オーディオデータやビデオデータを復号するデコード部を含む。
【0046】
上記のUSBホスト制御ソフト402の一時転送中断処理では、USBホストコントローラ403とUSBデバイス408との間でデータ転送を行うときに、USBホストコントローラ403とUSBデバイス408との間でUSBホスト転送メモリ405のメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎にUSBホストコントローラ403とUSBデバイス408との間のデータ転送を一時中断させ、USBホスト転送メモリ405内の格納データに対する所定の処理が完了してUSBホスト転送メモリ405が使用可能となるのを待ってUSBホストコントローラ403とUSBデバイス408との間のデータ転送を再開させる。
【0047】
実施の形態3では、USBホストシステム400とUSBデバイス408との間のデータ転送には、USBの規格で規格化されている、USB Mass Storage Class Bulk-Only Transportプロトコル(以下、BOTプロトコルと称す)を用いる例について説明する。
【0048】
図5は、USBホストシステム400がUSBデバイス408からデータを読み込む際の転送シーケンスを図示した模式図である。なお説明においては、AV処理ブロック406がUSBデバイス408から読み出すデータサイズを1024KByte、USBホスト転送用メモリ405のサイズを256KByteとして説明する。
【0049】
実施の形態3では、USBにより転送されるデータはAV処理ブロック406で処理される。例えば、オーディオデータやビデオデータが復号される。
【0050】
AV処理ブロック406は、処理するデータをUSBデバイス408から読み出すため、USBホスト制御ソフト402に対し転送を要求する(ステップS501)。
【0051】
要求を受けたUSBホスト制御ソフト402はUSBホストコントローラ403に対し、USBデバイス408に転送要求を出すためのコマンドであり、BOTプロトコルで決められているCommand Block Wrapper(以下、CBWと称す)転送を設定する(ステップS502:CBW転送要求)。なお、CBWにはUSBデバイス408から読み取るデータサイズを設定する箇所があり、AV処理ブロック406からの要求サイズである1024KByteを設定する。
【0052】
次に、USBホストコントローラ403がUSBデバイス408に対してCBW転送を実行する(ステップS503)。
【0053】
CBW転送が完了し完了通知を受け取る(ステップS504)と、USB制御ソフト402は実際のデータ転送を行うため、USBホスト転送用メモリ405のサイズである256KByteのデータをUSBデバイス408から受信する要求をUSBホストコントローラ403に設定する(ステップS505)。
【0054】
次に、USBホストコントローラ403がUSBデバイス408から256KByteのデータを受信する(ステップS506)。
【0055】
受信が完了して完了通知を受け取る(ステップS507)と、USBホスト制御ソフト402はAV処理ブロック406に対し256KByte分のデータ転送が完了したことを通知する(ステップS508)。
【0056】
通知を受けたAV処理ブロック406は、受信したデータを用いて復号などのAV処理を実行する(ステップS509)。
【0057】
AV処理ブロック406が256KByte分のデータを処理した時点で、続きのデータ転送を行うため、データの再要求を行う(ステップS510)。データの再要求を受けたUSBホスト制御ソフト402は、次の256KByte分のデータの受信要求をUSBホストコントローラ403に設定し(ステップS511)、転送を行う。
【0058】
以上の転送要求処理とAV処理とを繰り返し実行し、最終的に1024KByte分のデータのAV処理を実行する。なお、1024KByte分のデータ転送が完了して完了通知を受け取った時点(ステップS512)で、USBホスト制御ソフト402は、一連の転送のステータスをUSBデバイス408から受信するためコマンドで、BOTプロトコルで決められたCommand Status Wrapper(以下、CSWと称す)転送を、USBホストコントローラ403に設定する(ステップS513:CSW転送要求)。
【0059】
USBホストコントローラ403はCSW転送を行い(ステップS514)、その結果をUSBホスト制御ソフト402を介して転送ステータスとしてAV処理ブロックに通知する(ステップS515)。
【0060】
以上の処理を行うことで、従来USBホスト転送用メモリ405のサイズである256KByte毎にCBWとCSWの転送が必要だったのに対し、それぞれ1回ずつのCBW転送とCSW転送で、転送用メモリ405のサイズ以上の転送が可能となり、CBWとCSWの転送に必要であった時間を節約でき、転送速度の向上につながる。
【0061】
実施の形態3では、USBホストコントローラ403に設定する転送サイズを256KByteとして説明したが、設定する転送サイズはUSBホスト転送用メモリ405のサイズ以下であれば同様の効果が得られる。またUSBホストシステム400からUSBデバイス408に対してデータを書き込む場合においても、同様の手順により転送が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかるUSBホストシステムは、USBデバイスとのデータ転送の効率化による高速転送機能を有し、USBデバイスからAVデータを読み書きするオーディオ機器や、デジタルテレビ、デジタルビデオレコード等に有用である。また、AVデータを処理可能でありUSBホストを搭載する他のAVシステムの用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明における実施の形態1、2のUSBホストシステム概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1での動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2での動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明における実施の形態3のUSBホストシステム概略構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態3での転送シーケンスを示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
100 USBホストシステム
101 CPU
102 一時転送中断処理ブロック
103 USBホストコントローラ
104 メインメモリ
105 USBホスト転送メモリ
106 USBにより転送されたデータを処理するデータ処理ブロック
107 USBバス
108 USBデバイス
400 USBホストシステム
401 CPU
402 一時転送中断処理を有するUSBホスト制御ソフト
403 USBホストコントローラ
404 メインメモリ
405 USBホスト転送メモリ
406 USBにより転送されるAVデータを処理するためのAV処理ブロック
407 USBバス
408 USBデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央処理演算装置と、USBホスト機能を有するUSBホストコントローラと、前記中央処理演算装置と前記USBホストコントローラとからアクセスが行われ、前記USBホストコントローラと前記USBホストコントローラに対してUSBバスを介して接続されるUSBデバイスとの間で転送される転送データの一時格納用に使用可能なUSBホスト転送メモリを含むメインメモリと、前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間でデータ転送を行うときに、前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間で前記転送メモリのメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎に前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間のデータ転送を一時中断させ、前記転送メモリ内の格納データに対する所定の処理が完了して前記転送メモリが使用可能となるのを待って前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間のデータ転送を再開させる一時転送中断処理部とを備えたUSBホストシステム。
【請求項2】
前記USBホストコントローラがEHCI(エンハンスド・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格に準拠している請求項1に記載のUSBホストシステム。
【請求項3】
前記USBホストコントローラがOHCI(オープン・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格に準拠している請求項1に記載のUSBホストシステム。
【請求項4】
前記USBホストコントローラがUHCI(ユニバーサル・ホスト・コントローラ・インターフェース)規格に準拠している請求項1に記載のUSBホストシステム。
【請求項5】
USB転送の際に使用されるコマンドが、USBマスストレージ規格に準拠していることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載のUSBホストシステム。
【請求項6】
USBホストシステムとUSBデバイスとの間でデータを転送するデータ転送方法であって、
前記USBホストシステムが前記USBデバイスに対して、転送メモリのメモリサイズより大きなデータの転送要求を行う第1のステップと、
前記USBデバイスが前記USBホストコントローラに対し、前記転送メモリのメモリサイズ以下の転送設定を行う第2のステップと、
前記USBデバイスが、前記USBホストコントローラに設定された転送サイズ分のデータ転送を行う第3のステップと、
前記第1のステップで転送要求されたデータの転送が終了したか否かの判断を行う第4のステップとを含み、
前記第4のステップにおいて、データの転送が終了していないと判断された場合は、前記第2乃至第4のステップを繰り返すことを特徴とするデータ転送方法。
【請求項7】
前記USBデバイスがUSBマスストレージ規格に対応しており、前記USBデバイスと前記USBホストシステムとの間の転送において、前記第1のステップの前に前記USBデバイスが行うデータ転送要求をCBW(Command Block Wrapper)にて行うことを特徴とする請求項6に記載のデータ転送方法。
【請求項8】
USBホストシステムと、前記USBホストシステムに対して接続されて前記USBホストシステムとの間で映像音声信号を入出力するUSBデバイスとを備えた映像音声処理システムであって、
前記USBホストシステムは、中央処理演算装置と、USBホスト機能を有するUSBホストコントローラと、前記中央処理演算装置と前記USBホストコントローラとからアクセスが行われ、前記USBホストコントローラと前記USBホストコントローラに対してUSBバスを介して接続される前記USBデバイスとの間で転送される映像音声信号からなる転送データの一時格納用に使用可能なUSBホスト転送メモリを含むメインメモリと、前記USBホスト転送メモリに格納された前記映像音声信号からなる転送データを復号するデコード部と、前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間でデータ転送を行うときに、前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間で前記転送メモリのメモリサイズ以下の所定サイズの転送データの転送が実行される毎に前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間のデータ転送を一時中断させ、前記転送メモリ内の格納データに対する前記デコード部による所定の処理が完了して前記転送メモリが使用可能となるのを待って前記USBホストコントローラと前記USBデバイスとの間のデータ転送を再開させる一時転送中断処理部とからなる映像音声処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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