説明

UV吸収複合ポリエステルポリマー、UV吸収複合ポリエステルポリマーを含有する組成物、および関連方法

UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーは、(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、このエステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含む、ポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに(ii)このポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、このエポキシドは、UV吸収部分を含む、反応を包含する反応スキームの生成物である。ランダム共重合エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119条第(e)項のもとで、2009年11月2日に出願された米国仮特許出願番号61/257,294に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
地表に到達する紫外(UV)スペクトル内の電磁放射線(光エネルギー)は、およそ290ナノメートル(nm)〜400nmの波長範囲に入る。皮膚の紅斑(日焼け)の原因となるスペクトルの部分は、約290nm〜320nmの範囲内であり、UV−Bと称される。より最近は、UV−B範囲内の太陽光エネルギーのみが皮膚に対して有害であり得るのではなく、より低いエネルギーの、320nm〜400nmの範囲を有するより長い波長(UV−Aとして公知)もまた、問題となり得ることが、研究により示された。
【0003】
UV−Aは、UV−Bよりも深く皮膚に侵入することが示されている。過去20年間にわたり行われた研究において、長時間のUV−A曝露の影響は、尚早な皮膚の加齢、しわの形成をもたらし得ることが示され、そして皮膚がんの発症の潜在的な開始因子であることが示唆されている。UV−Aは、表皮の基底層(ここで、ほとんどの皮膚がんが生じる)の皮膚細胞(ケラチノサイト)を損傷する。
【0004】
局所光保護処置(例えば、遮光剤)が、皮膚の損傷を軽減または予防するために開発されている。遮光剤処方物は、UVにより誘導される皮膚損傷に対して保護するために局所的に付けられ、そして種々の形態(クリーム、ローション、およびスプレーが挙げられる)で調製される。従来の遮光剤処方物は、代表的に、UV放射線を化学的に吸収する有機化合物(有機UVフィルタ)ならびに放射線の吸収に加えて放射線を物理的に散乱および/または反射させる無機化合物(UVブロッカー)を、遮光剤製品に組み込む。
【0005】
遮光剤が効果的に使用されるためには、これらの遮光剤は、均一に、指導されたとおりに付けられる必要がある。不適切または一貫しない付着による遮光剤の誤用は、重大な問題をもたらし得る。使用者は、自分が太陽光線から保護されていると感じ得、そして衣類または日よけなどにより身体を物理的に覆うことにより曝露を回避するための方策をあまり講じないかもしれない。付け損じまたは過小な付着が、時々起こり得る。なぜなら、使用者は、遮光剤製品が美的に不快であると感じ得るからである。いくつかのUVフィルタ(最も顕著には、2−ヒドロキシ安息香酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(ホモサラート)およびサリチル酸2−エチルヘキシル(オクチサレート(octisalate))などのサリチレートファミリーに入るもの)は、いくらか粘性のあるエステルであり、遮光剤製品が付けられる場合に皮膚に油っぽいかつ/またはべたべたした感触を与える。これらの物質はまた、多くの人が不快であると特徴付ける臭いを、遮光剤に与える。米国において認可されたUVフィルタの数が制限されていることに起因して、遮光剤の処方者は、これらの欠点にもかかわらず、より高いSPFの製品を達成するためにサリチレートを利用する傾向がある。使用者は、これらの欠点に起因して、推奨されるより少ない量のサリチレート含有遮光剤製品を付ける傾向があり得、従って、より低いレベルの保護を受け得る。
【0006】
歴史的に、遮光剤は、主として日焼けおよび関連する激しい不快を予防するために処方されている。その結果、これらの遮光剤は主として、UV−BフィルタおよびUVブロッカーを含有する。所定の遮光剤が日焼けに対して保護する能力は、日光阻止因子(「SPF」)系の使用によって、消費者に伝えられる。SPFは、日焼けを防止する遮光剤の効果の、インビボでの実験室測定値である。これは、数値である。SPFが高いほど、UV−Bに対するより高い保護を遮光剤が与える。SPFは、米国食品医薬品局(「FDA」)の刊行物である非特許文献1により詳細に定義されており、そして詳細な試験手順が提供されている。その全内容は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中以下で、SPFを評価するこの方法は、「FDA SPF法」と称される。
【0007】
UV−A放射線もまた吸収するフィルタを含有する遮光剤を開発する試みがなされている。現在まで、米国における無制限の認可された有機UV−Aフィルタの選択肢は、法令による要件に起因して、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾンまたはAVO)に制限されている。AVOは、太陽光の存在下で光分解機構により分解することが示されており、この光分解の生成物は、UV−A放射線の吸収において、親化合物よりも効果が低い。このことは、AVOがUV−Aフィルタとして使用される場合、UV−Aに対する保護は、最初に付けた時点から、太陽光への引き続く曝露の際までに低下することを意味する。光分解は、AVOが(2E)−3−(4−メトキシフェニル)プロパ−2−エン酸2−エチルヘキシル(オクチルメトキシシンナメート、オクチノキサート、OMC)と組み合わせて使用される場合に、特に顕著である。
【0008】
規制活動は、遮光剤の表示、および遮光剤が日焼けに対して保護するのみでなくUV−A損傷に対してもまた保護する能力を消費者に伝えるためのよりよい方法の開発に集中している。2007年に、FDAは、処方箋なしでのヒトでの使用のための遮光剤薬物製品についての、モノグラフに対する提唱された改正を刊行した。この改正にあるのは、遮光剤製品の効力を評価するための試験手順に対する修正である。SPFに加えて、これらの修正は、UV−A保護および光安定性を評価するための提唱を含む。FDAはまた、インビボおよびインビトロでの試験方法に基づく、4つの星でのUV−A保護等級付けシステムを提唱している。これらの値は、非特許文献2にさらに定義されており、そして詳細な試験手順が提供されている。その内容は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中以下で、UV−A保護を評価するこの方法は、「FDA Star法」と称される。
【0009】
ヨーロッパ化粧品協会(「COLIPA」)もまた、UV−A保護に関する指針および試験手順を刊行した。これらの文書において、さらなる数値パラメータ(例えば、インビトロSPF(SPFin vitro)、およびインビトロUV−A保護因子(UVAPF))が定義された。「SPFin vitro」は、COLIPAによって、「測定されたインビトロ透過性から、紅斑作用スペクトルで重み付けされて計算された、紅斑誘導放射線に対するサンケア製品の絶対的保護性能」と定義されている。「UVAPF」は、「照射後に測定されたインビトロ透過性から、持続性色素暗色化(PPD)作用スペクトルで重み付けされて計算された、UVA放射線に対するサンケア製品の絶対的保護性能」と定義されている。これらのパラメータは、非特許文献3にさらに定義されており、そして詳細な試験手順が提供されている。その内容は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中以下で、UV−A保護を評価するこの方法は、「COLIPA指針」と称される。
【0010】
さらなるパラメータ(例えば、UV−A/UV−B比および臨界波長)が定義されている。UV−A/UV−B比は、遮光剤の、UV−B範囲での性能に対するUV−A範囲での性能を説明する。これは、減光曲線のUV−A部分の曲線下面積とUV−B部分の曲線下面積との比として計算される。両方の面積は、含まれる波長の範囲に対して正規化される。UV−A/UV−B比は、非特許文献4にさらに定義され、そして詳細な試験手順が提供されている。その内容は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中以下で、UV−A/UV−B比を決定するこの方法は、「Boots法」と称される。
【0011】
臨界波長は、290nm〜400nmのUV範囲全体の消光曲線の曲線下面積の90%が含まれる、290nmからのスペクトル範囲の上限として与えられる。その波長が370nm以上である場合、その製品は「広いスペクトル」とみなされ、UV−B範囲およびUV−A範囲の全体にわたって釣り合いの取れた保護を表わす。臨界波長は、非特許文献5にさらに定義されており、そして詳細な試験手順が提供されている。その全内容は本明細書中に参考として援用され、そして本明細書中で「Diffeyプロトコル」と称される。
【0012】
特定の遮光剤化学物質は、皮膚から吸収されて体循環に入ることが発見されている。非特許文献6に概説されるように、フィルタであるベンゾフェノン−3(「BP3」)に対して具体的な注意が与えられているが、潜在的に、分子量が低い傾向がある他のフィルタに対してもまた、起因し得る。
【0013】
従って、大部分の遮光剤処方者は、試験される場合に上記数値パラメータのうちのいくつかまたは全てについてより高い値を与え、それによって現行の遮光技術に対する改善を達成し、そして皮膚への侵入を軽減するためのポリマーフィルタを含有する、サンケア製品を開発することを望む。当該分野において、より高い光安定性、満足の行く美観、より高いSPF、および増大したUVA保護がなどの改善が実現され得るように、光保護製品を処方するために使用され得る、新たな成分(好ましくは、ポリマー)が、依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Sunscreen Drug Products for Over−the−Counter Human Use;Final Monograph;21CFR第310部、第352部、第700部および第740部.Federal Register 64(98)、1999年5月21日、27666−27693頁
【非特許文献2】米国食品医薬品局.Sunscreen Drug Products for Over−the Counter Human Use;Proposed Amendment of Final Monograph;Proposed Rule;21CFR 第347部および第352部.Federal Register 72(165)、2007年8月27日.49070−4912
【非特許文献3】Colipa Project Team IV,in−vitro Photoprotection Methods,Method for the in−vitro Determination of UVA Protection Provided by Sunscreen Products,Guideline,2007
【非特許文献4】Measurement of UV−A/UV−B ratio according to the Boots Star rating system(2008年版).Boots UK Limited,Nottingham,NG2 3AA UK.2008年1月
【非特許文献5】Diffey BL,Tanner PR,Matts PJ,Nash JF.In−vitro assessment of the broad−spectrum ultraviolet protection of sunscreen products.J Amer Acad Dermatol 43:1024−35,2000
【非特許文献6】Benson H,Sarveiya C,Risk S,Rogerts M.Influence of anatomical site and topical formulation on skin penetration of sunscreens.Clin Risk Manag.2005年9月;1(3):209−218
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、このエステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに(ii)このポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、このエポキシドは、UV吸収部分を含む、反応、を包含する反応スキームの生成物である、UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを包含する。いくつかの実施形態において、このポリオールはジオールであり、そしてこの二無水物はUV吸収性であり、そしてベンゾフェノン部分を含み、(i)のエステル化工程は、式(IX):
【0016】
【化1】

によって表わされるような、ペンダントカルボン酸および末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(IX)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、R10は独立して、−Hまたは−OHであり、そしてnは、1〜1000の整数であるか、あるいはこの二無水物はUV吸収性ではなく、(i)のエステル化工程は、式(X):
【0017】
【化2】

により表わされる、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および2つの末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(X)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である。
【0018】
式(XI):
【0019】
【化3】

により表される線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーもまた包含され、式(XI)において、Rは独立して、UV吸収部分から選択され;RおよびRは、各々独立して、炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である。
【0020】
UV吸収部分を含む単官能性カルボン酸および/またはエステルと、ジオール、ポリオール、二酸および/またはエステルのうちの少なくとも1つとのランダム共重合エステル化エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーもまた、本発明の範囲内に含まれる。得られるポリマーは、2.0より大きいUV吸収機能を有する。
【0021】
(XIII):
【0022】
【化4】

により表わされる構造を有するUV吸収部分を含む単官能性剤と、
式(XIV)〜(XV):
【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

により表わされる構造を有するものを含むさらなる試薬との反応生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーもまた、包含される。
【0025】
1種以上の本発明のポリマーを含有するパーソナルケア組成物、ならびに関連方法(例えば、パーソナルケア組成物の光安定性を増大させる方法、光保護パーソナルケア組成物により提供されるSPFもしくはUV−A保護を増大させる方法、および/または本発明の組成物およびポリマーを使用して哺乳動物の毛、皮膚もしくは爪を保護する方法)もまた、包含される。
【0026】
上記要旨および以下の発明の実施形態の詳細な説明は、添付の図と合わせて読まれると、よりよく理解され得る。本発明は、示される正確な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1Aおよび図1Bは、それぞれ、実施例1に記載されるポリマーのFTIRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。
【図2】図2A、図2B、図2C、および図2Dは、それぞれ、実施例2に記載されるポリマーのFTIRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。
【図3A】図3A、図3B、および図3Cは、実施例3において評価された各サンプルの照射中の波長の関数として、UV吸光度(A)を示す。
【図3B】図3A、図3B、および図3Cは、実施例3において評価された各サンプルの照射中の波長の関数として、UV吸光度(A)を示す。
【図3C】図3A、図3B、および図3Cは、実施例3において評価された各サンプルの照射中の波長の関数として、UV吸光度(A)を示す。
【図4】図4は、実施例4において評価された遮光剤についてのUVスペクトルを示す。
【図5】図5は、実施例6において評価された各ブレンドについて、波長の関数として、UV吸光度(A)を示す。
【図6】図6は、実施例7において評価された各ブレンドについて、波長の関数として、UV吸光度(A)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、複合ポリオールポリエステルポリマー化合物を含有するパーソナルケア組成物、および関連方法を包含する。光安定化されたパーソナルケア組成物もまた包含され、ここで本発明のUV吸収複合ポリオールポリエステルの添加が、他の非ポリマー光保護成分を含有する光保護組成物の光安定化を容易にする。本発明の複合ポリエステルポリマーと他の光保護成分との混合物を含有する相乗的組成物もまた想定される。本発明の複合ポリオールポリエステルポリマーの添加は、ベース成分の消光係数に基づくモデルを使用して予測されるよりも大きくSPFを増大させることが見出された。光保護パーソナルケア組成物の美観を改善させる方法もまた、他の関連方法と同様に、包含される。
【0029】
本発明のポリマーは、複合ポリオールポリエステルポリマーを含む。「複合ポリオールポリエステル」とは、ポリオール、ポリ酸、ポリ無水物および/またはポリエステルのエステル化反応および/またはエステル交換反応(単官能性酸、無水物、単官能性アルコール、単官能性エポキシドおよび/または単官能性エステルとの反応により完全にかまたは部分的に停止される)により誘導されたポリオールポリエステルポリマー骨格を含む、化合物を意味する。「骨格」とは、エステル結合を介して一緒に結合された、ポリオール、ポリ酸、ポリ無水物および/またはポリエステルを含む、モノマーの連続物を意味する。「ポリ無水物」とは、本明細書中で使用される場合、2つ以上の無水物基を含む不連続な化学実体である。
【0030】
本発明のポリマーにおいて、UV吸収部分が、複合ポリオールポリエステルポリマーの構造に組み込まれるか、または結合させられる。この組み込みまたは結合は、選択されたUV吸収部分を、開始反応物のカテゴリーのうちの1つ以上に含めることによって、行われ得る。開始反応物のカテゴリーの範囲に入る任意の種々の(すなわち、構造および分子量)化合物が使用され得る。反応物のカテゴリーとしては、ジオール、ポリ酸、ポリエステル、単官能性アルコール、エステル、酸、および/またはエポキシドなどが挙げられる。
【0031】
適切なジオールとしては、2個〜54個の炭素原子および2個〜10個のヒドロキシル基を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/または芳香族が挙げられ得る。このようなポリオールは、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。好ましいジオールの例は、限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;1,3−ブチレングリコール;1,4−ブタンジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;ジエチレングリコール;テトラエチレングリコール1,5−ペンタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジプロピレングリコール;1,2−オクタンジオール;および二量体ジオールである。
【0032】
例示的なポリ酸は、2個〜54個の炭素原子、2個〜4個のカルボン酸基および/または無水物基、1個〜2個までのスルホン酸(またはその塩の)基を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/または芳香族である。好ましいポリ酸の例は、限定されないが、炭酸;プロパン二酸;デカン二酸;ペンタン二酸;ヘキサン二酸;ヘプタン二酸;オクタン二酸;ノナン二酸;デカン二酸;二量体酸;三量体酸;四量体酸;フタル酸;イソフタル酸;ピロメリト酸;ナフチレン二カルボン酸;およびソジオスルホフタル酸である。このようなポリ酸は、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。
【0033】
例示的なポリエステルは、上で列挙されたポリ酸のうちのいずれかから誘導されたもの、ならびに/あるいは少なくとも1つの単官能性アルコール(1個〜36個の炭素原子を含む分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/または芳香族の単官能性アルコールが挙げられる)からさらに誘導されたものである。ポリエステルの調製のために好ましい単官能性アルコールの例は、限定されないが、メタノール;エタノール;1−ブタノール;イソブタノール;1−ペンタノール;1−ヘキサノール;1−オクタノール;2−エチル−1−ヘキサノール;1−ノナノール;および1−デカノールである。このようなポリエステルは、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。
【0034】
UV吸収部分を含まない例示的な単官能性アルコールは、1個〜36個の炭素原子を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/芳香族の単官能性アルコールである。
【0035】
例示的な単官能性酸は、1個〜36個の炭素原子を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/芳香族である。このような酸は、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。
【0036】
例示的な単官能性エステルは、1個〜36個の炭素原子を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/芳香族である。このようなエステルは、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。
【0037】
例示的な単官能性エポキシドは、1個〜36個の炭素原子を含む、分枝鎖および/または直鎖の、飽和および/または不飽和の、脂肪族および/芳香族である。このようなエポキシドは、あらゆるUV吸収部分を省略し得るか、またはUV吸収実体を含み得る。
【0038】
反応物の選択および組み合わせの種々の改変(充分に当業者の技術セットの範囲内である)は、他の選択された反応物に依存して、および/または目標の特性を有する最終生成物の形成を促進するように、なされ得る。例えば、合成においてエポキシドを利用する複合ポリオールポリエステルポリマーを形成する場合、二無水物が好ましくあり得る。水溶性および/または水分散性の特性を有する複合ポリオールポリエステルポリマーを形成する場合、二無水物、あるいはスルホン酸(およびその塩の)官能基を含む二酸または二無水物が好ましくあり得る。水溶性および/または水分散性の複合ポリオールポリエステルポリマーの形成のために利用される、特に好ましいポリ酸は、ソジオスルホフタル酸およびピロメリト酸であり得る。
【0039】
上記カテゴリーのうちの1つ以上の範囲に含まれる反応物の構造の一部であるUV吸収部分は、スペクトルのUV−A領域またはUV−B領域を優先的に吸収し得る。あるいは、広いスペクトルのUV吸収剤であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、UV吸収部分は、誘導体化されたベンゾフェノン部分、誘導体化されたナフタレン部分および/またはベンゾトリアゾール誘導体であることが好ましくあり得る。あるいは、UV吸収部分は、構造的にポリマーに組み込まれる限り、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム;ドロメトリゾールトリシロキサン;メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;テレフタリリデンジショウノウスルホン酸;アントラニル酸メチル;メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;4−メチルベンジリデンショウノウ;ベンゾフェノン−3;ベンゾフェノン−4;ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;エチルヘキシルメトキシシンナメート;サリチル酸エチルヘキシル;エチルヘキシルトリアゾン;エチルヘキシルジメチルPABA;サリチル酸ホモメンチル;p−メトキシケイ皮酸イソアミル;オクトクリレン;フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸;ポリシリコーン−15;ベンゾトリアゾリルドデシルp−クレゾール;サリチル酸ブチルオクチル;2,6−ナフタル酸ジエチルヘキシル;ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートおよびポリエステル−8の化学構造を有し得るか、またはこれらと類似であり得る(すなわち、これらの誘導体であり得る)。
【0041】
ベンゾトリアゾール基を含み、調製において使用され得る反応物の例は、式(I):
【0042】
【化7】

により与えられる。式(I)において、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、R4は、置換または非置換の炭化水素基であり、そしてAは、カルボン酸、エステル、および/またはエポキシドからなる群より選択される官能基である。好ましくは、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸;3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;および3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−、ならびに/またはこれらの誘導体のものである。A基が存在しない場合(例えば、反応した、または反応する予定である)、この構造は、本明細書中で記載されるような式(Ia)と称される。
【0043】
1つの実施形態において、UV吸収部分を含む二無水物は、1つ以上のジオールでの無水物環開に実質的に有利である条件下でエステル化されて、前駆体である、ペンダントカルボン酸基を有しヒドロキシル末端を有する線状ポリエステルポリマーを与える。第二の工程において、この前駆体ポリマーは、UV吸収エポキシドとの反応によりさらに誘導体化されて、さらなるエステル結合およびエーテル結合を形成する。ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1つ以上のジオール、およびナフチルグリシジルエーテルを利用する例示的な反応スキームをスキーム1に示す。
【0044】
【化8】

UV吸収エポキシドは代表的に、UV吸収アルコールまたはUV吸収カルボン酸とエピハロヒドリンとの反応、引き続いて塩基での処理によって、調製され得る。任意のエピハロヒドリンが、本発明のUV吸収エポキシドの調製のために使用され得る。エピクロロヒドリンを、ヒドロキシル基および/またはカルボン酸基を有する化合物(この化合物は、本発明のポリマーの形成のために中間体として使用され得る)と簡便に定量的に反応するように使用することが好ましくあり得る。例えば、スキーム2は、UV吸収アルコールがエピクロロヒドリンと反応してビシナルハロヒドリンを形成し、これが次いで、塩基での処理により転換されてエポキシドに戻る反応を図示する。
【0045】
【化9】

ここでRはUV吸収部分を表す。
【0046】
別の例として、UV吸収部分を有するエポキシドは、スキーム3に図示されるようなこの方法によって、UV吸収部分を有するアルコールから簡便に調製され得る。この例において、アルコールは2−ナフトールである。
【0047】
【化10】

また例として、スキーム4は、UV吸収カルボン酸がエピクロロヒドリンと反応してビシナルハロヒドリンを形成し、これが次いで、塩基での処理により転換されてエポキシドに戻る反応を図示する。
【0048】
【化11】

ここでRはUV吸収部分を表す。
【0049】
代替例として、UV吸収部分を有するエポキシドはまた、スキーム5に図示されるようなこの方法によって、UV吸収化合物を有するカルボン酸から簡便に調製され得る。
【0050】
【化12】

スキーム5の例において、このカルボン酸は、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸である。スキーム2および/またはスキーム4を実施すると、UV吸収部分を含む任意のアルコールまたはカルボン酸から、スキーム1に表わされる化学に基づいて、パーソナルケア組成物に含めるのに適したポリマーを形成するための、UV吸収エポキシドが得られる。
【0051】
UV吸収エポキシドを形成するために使用され得る例示的なUV吸収アルコールは、式(II)、(III)、(IV)および(V)により表される:
【0052】
【化13】

【0053】
【化14】

各例において、R14は独立して、任意の炭化水素基(例えば、置換または非置換の、分枝鎖、非分枝鎖および/または環状もしくは環の構造が挙げられ、そして例えば、1個〜50個の炭素原子を含み得る)であり得る。他の例としては、メタノン,[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フェニル−およびメタノン,[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フェニル−が挙げられ得る。
【0054】
UV吸収エポキシドを形成するために使用され得る例示的なUV吸収カルボン酸は、式(VI)および式(VII)に表わされる。
【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

式(VI)において、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、Rは、置換または非置換の炭化水素基であり、そしてAは、カルボン酸基である。
【0057】
別の実施形態において、水溶性および/または水分散性のUV吸収酸官能性ポリオールポリエステルポリマーは、1つ以上のジオールでの無水物環開による、UV吸収基を含む二無水物のエステル化により調製され、ヒドロキシル基およびカルボン酸官能性ポリオールポリエステルポリマーを与える。次いで、一部のヒドロキシル基およびカルボン酸は、エポキシド(好ましくは、UV吸収基を含む)によりエーテル化および/またはエステル化される。次いで、残りのカルボン酸基は、塩基で中和される。
【0058】
本発明の別の実施形態において、UV吸収部分としてベンゾトリアゾール基を含む、架橋した複合ポリエステルポリマー(クロスポリマー)が形成される。「架橋(した)」とは、本明細書中で、カルボン酸(もしくはエステル)基のみを含む多官能性モノマーのうちの少なくとも1つ、またはヒドロキシル基のみを含む多官能性モノマーのうちの少なくとも1つ、またはカルボン酸(もしくはエステル)基およびヒドロキシル基を含む多官能性モノマーのうちの少なくとも1つが、合計少なくとも3個の官能基を有し、そしてポリエステルポリマー骨格の形成において使用されることを意味する。「架橋密度」とは、本明細書中で、ポリマー1分子あたりの架橋部位の数を意味する。「複合」とは、本明細書中で、ポリマー骨格における末端のカルボン酸(もしくはエステル)基および/またはヒドロキシル基が単官能性化合物で「キャップ」されていることを意味する。「キャップ」とは、本明細書中で、ポリエステルポリマー骨格の末端官能基が単官能性反応物によって誘導体化されていることを意味する。「UV吸収部分密度」とは、本明細書中で、UV吸収部分の平均モル数を、ポリマーの全モル数で割ったものと定義される。例えば、ベンゾトリアゾール基含有メチルエステルは、3個以上のヒドロキシル基を含む少なくとも1つのポリオールを用いて、1つ以上のジオールおよび/またはジメチルエステルと共エステル交換され得、2より大きいUV吸収部分密度を有する架橋した複合ポリエステルポリマーをもたらし得る。この反応は、1ポット反応で行われ得る。必要に応じて、しかし代表的に、触媒が使用される。例えば、スキーム6は、3モルの3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸メチルエステルと、3モルのジメチルエステルと、3モルのジオールと、1モルのトリオールとのエステル交換を包含する、本発明に従う反応を示す。
【0059】
【化17】

スキーム6に図示される複合ポリエステルポリマーの構造は、理想化された構造を表わす。得られるポリマー(パーソナルケア組成物に含めるために適している)は、1の架橋密度で架橋され得、そしてUV吸収部分密度は3であり得る。
【0060】
本発明の別の実施形態において、UV吸収部分としてベンゾトリアゾール基を含む、線状UV吸収複合ポリエステルポリマーが形成される。ベンゾトリアゾール基含有メチルエステルは、スキーム7に図示される化学に示されるように、1種以上のジオールおよび/または二酸メチルエステルと、1ポット反応でエステル交換され得る。必要に応じて、触媒が使用される。
【0061】
【化18】

得られるポリマー(パーソナルケア組成物に含めるために適している)は、架橋されず(架橋密度が0であり)、そしてUV吸収部分密度は2である。
【0062】
本明細書中に記載および表現されるモノマー、中間体ポリマーおよび理想化された反応スキームを使用して、本発明の多数のポリマーを誘導し得る。1つの実施形態において、これらのポリマーのうちの1つは、(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、このエステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに(ii)このポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、このエポキシドは、UV吸収部分を含む、反応、を包含する反応スキームの生成物である、UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーである。
【0063】
「UV吸収(性)」とは、本明細書中で使用される場合、約290nm〜約400nmの範囲内の紫外スペクトルの放射線を吸収する部分をいう。「ポリエステルポリマー」とは、本明細書中で使用される場合、2つ以上のカルボン酸基および/または2つ以上のエステル基および/または2つ以上のヒドロキシル基を含む化合物のモノマー単位の、エステル化および/またはエステル交換から形成され、これらのモノマーがエステル結合によって互いに結合している、ポリマーをいう。「無水物環開」とは、本明細書中で使用される場合、エステル結合を形成する、無水物とアルコールとの間の反応を意味し、そして実質的に無水物環開のみを容易にする条件としては、当該分野において周知である、70%以上の無水物環開が起こる条件が挙げられる。
【0064】
1つの実施形態において、このポリオールは好ましくはジオールであり、そしてこの無水物は、UV吸収性であり得るか、またはUV波長を吸収する能力を有さなくてもよい(「非UV吸収(性)」)。さらに、この無水物はベンゾフェノン部分を含むことが好ましくあり得る。
【0065】
1つの実施形態において、上記(i)に記載されるエステル化反応は、式(IX):
【0066】
【化19】

によって表わされるような、ペンダントカルボン酸および末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え得、式(IX)において、Rは独立して、例えば2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、R10は独立して、−Hまたは−OHであり、そしてnは、1〜1000の整数である。
【0067】
あるいは、上記(i)に記載されるエステル化反応は、式(X):
【0068】
【化20】

により表わされる、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および2つの末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え得、式(X)において、Rは独立して、例えば2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である。
【0069】
各実施形態において工程(ii)の反応は、エポキシドの官能基と、ポリエステルポリマーのヒドロキシル基および/またはカルボン酸基のうちの少なくとも1つとのエーテル化反応を包含し、そして本発明のポリマーが形成される。
【0070】
一例として、工程(i)において、エステル化は、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とジオールとの間で、実質的に無水物環開のみが起こる条件下で行われ得る。前駆体ポリエステルポリマーが形成される。これは、末端ヒドロキシル基およびペンダントカルボン酸基を含む。引き続く工程(工程(ii))において、UV吸収部分を含むエポキシドが使用されて、末端ヒドロキシル基の完全または部分的なエステル化、およびペンダントカルボン酸基の完全または部分的なエステル化によって、この前駆体ポリエステルポリマーの残りの活性水素含有官能基をさらに誘導体化する。
【0071】
いくつかの実施形態において、このエポキシドは、UV吸収アルコールおよび/またはUV吸収カルボン酸のエポキシ化から誘導され得る。このエポキシドのUV吸収部分は、誘導体化ベンゾフェノン部分、誘導体化ナフタレン部分、およびベンゾトリアゾール誘導体から選択される。
【0072】
あるいは、またはさらに、使用されるエポキシドは、反応スキーム8Aおよび/または8Bにより表わされる反応から誘導され得る:
【0073】
【化21】

この8Aにおいて、R13は、UV吸収部分を含み、そしてR14は独立して、水素原子、ならびに例えば1個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてR15はハロゲン原子である;または
【0074】
【化22】

この8Bにおいて、R13は、UV吸収部分を含み、そしてR14は独立して、水素原子、ならびに例えば1個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてR15はハロゲン原子である。
【0075】
さらなる実施形態において、このポリマーは、式(XI):
【0076】
【化23】

により表される線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーである。
【0077】
式XIにおいて、Rは独立して、UV吸収部分から選択され;RおよびRは、各々独立して、炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である。「線状」とは、本明細書中で、ポリマー骨格が2個以下のみの官能基を含む反応物の任意のカテゴリーの結合によって形成されていることを意味する。
【0078】
UV吸収部分は、UV吸収ベンゾトリアゾール基を含む化合物から選択される。いくつかの状況において、UV吸収ベンゾトリアゾール基は、構造(Ia):
【0079】
【化24】

により表わされることが好ましくあり得る。Iaにおいて、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、そしてRは、炭化水素基である。いくつかの実施形態において、RおよびRは各々独立して、例えば2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、ここでこの炭化水素基の炭素の各々は独立して、置換または非置換であり、そして飽和または不飽和である。
【0080】
1つの例は、Rが、2個〜36個の炭素原子および/または1個〜400個のエーテル結合を含む置換または非置換のアルキル鎖であり、そして/あるいはRが、2個〜54個の炭素原子を含み、そして/または直鎖および/もしくは分枝鎖および/もしくは芳香族および/もしくは環状およびもしくは多環式の、置換または非置換のアルキル鎖であり、Rが、置換されたトリアゾール、置換されたベンゾフェノン、および/または置換されたナフチル基を含むUV吸収残基であり、そしてnが0〜1000である、ポリマーを包含し得る。「残基」とは、UV吸収部分が、本発明によるポリオールポリエステル骨格と反応する能力を有する官能基に結合していることを意味する。
【0081】
架橋した本発明のポリマーもまた含まれ、例えば、UV吸収部分を含む単官能性カルボン酸および/またはエステルと、ジオール、ポリオール、二酸および/またはエステルのうちの少なくとも1つとのランダム共重合エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーであり、このポリマーは、2.0より大きいUV吸収機能を有する。いくつかの実施形態において、UV機能は約3〜約50、約5〜約25、および約10〜約20である。「ランダム」とは、モノマー反応物が特定の順序なしで一緒に結合し、そして確率の法則および/または質量作用の法則に基づいて一緒に結合することを意味する。「架橋(した)」とは、反応物のカテゴリーのうちの少なくとも1つが、少なくとも3つの官能基を含むことを意味する。
【0082】
いくつかの実施形態において、単官能性カルボン酸および/またはエステルは、式(I):
【0083】
【化25】

により表わされ、式(I)において、Rは、水素原子またはハロゲン原子から独立して選択され、Rは、炭化水素基であり、そしてAは、カルボン酸およびエステルからなる群より選択される官能基である。
【0084】
記載されるように、本発明のポリマー(ならびにいくつかの場合には、これらのポリマーを構成するモノマーおよび/または部分)は、種々の前駆体分子の反応により得られる。その理由により、与えられる炭化水素基は、前駆体分子に依存して必然的に変わる。従って、本明細書中に記載される炭化水素基は独立して、置換されていても置換されていなくてもよく、官能基化されていても官能基化されていなくてもよく、アルキル、アリール、アルケン、アルキン、アルキンであり得、分枝構造を有しても環構造を有してもよく、そして1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の炭素原子、または1個〜500個の炭素原子、100個〜300個の炭素原子、および/または10個〜55個の炭素原子を含み得る。
【0085】
上記ポリマーの任意のものが、パーソナルケア組成物に組み込まれ得る。これらのポリマーに加えて、この組成物は、当該分野において公知である任意のパーソナルケア成分(例えば、界面活性剤、緩衝剤、香料、着色剤、染料、粘度改質剤、水、油、乳化剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膚軟化剤、増粘剤、ゲラント(gellant)、ビタミン、湿潤剤、アルコール、植物抽出物および粉末)を含有し得る。他の適切な添加剤または成分は、製品中に1種以上の植物油(例えば、扁桃油、ヒマシ油、ヤシ油、コーン(トウモロコシ)油、綿実油、カノラ油、アマニ油、麻実油、ナッツ油、オリーブ油、パーム油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ホホバ油およびこれらの油の組み合わせ)を含有し得る。
【0086】
界面活性剤(例えば、陰イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびこれらの組み合わせ)が、パーソナルケア組成物に含まれ得る。他の例示的な成分または添加剤としては、限定されないが、脂質、アルコール、蝋、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、ポリマー材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤および/または剥離剤(化学的または機械的)、ケーキング防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤、変性剤、外用鎮痛薬、フィルム形成剤、湿潤剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、プロペラント、還元剤、遮光剤、皮膚暗色化剤、精油、皮膚感覚剤(sansate)、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0087】
本発明のポリマーに加えて、パーソナルケア組成物はまた、少なくとも1種のさらなるUV保護剤(例えば、非ポリマー性化学UVフィルタ)を含有し得る。このような剤またはフィルタとしては、オクチルトリアゾン、ジメチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、イスコトリジノール(iscotrizinol)、ジメチコ−ジエチルベンザルマロネート(dimethico−diethylbenzalmalonate)、ポリシリコーン−15、イソペンテニル−4−メトキシシンナメート、p−アミノ安息香酸、オクチルジメチル−PABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、p−メトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−3、サリチル酸ホモメチル、メラジメート(meradimate)、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、スルイソベンゾン、トロラミンサリチレート、アボベンゾン、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、二酸化チタン、酸化亜鉛、滑石、4−メチルベンジリデンショウノウ、ビスオクトリゾール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、ビスジスリゾール二ナトリウム(bisdisulizole disodium)、ドロメトリゾールトリシロキサン、ナトリウムジヒドロキシジメトキシジスルホベンゾフェノン、エチルヘキシルトリアゾール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ジエチルヘキシルブタミドトリアジン、ジメチコ−ジエチルベンザルマロネート、ポリシリコーン−15、およびイソペンテニル−4−メトキシシンナメートが挙げられ得る。
【0088】
本発明のパーソナルケア組成物はまた、1種以上の光学光沢剤(例えば、トリアジン−スチルベン(ジスルホン化物、テトラスルホン化物またはヘキサスルホン化物)、クマリン、イミダゾリン、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾリン、およびビフェニルスチルベン)を含有し得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、光学光沢剤がチオフェン誘導体(例えば、以下の構造:
【0090】
【化26】

を有するもの)であることが好ましくあり得る。ここでRおよびRは独立して、分枝鎖または非分枝鎖の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。好ましいチオフェン誘導体としては、ビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェンが挙げられ得、これは、Inolex Chemical Company,Philadelphia,Pennsylvania,USAから入手可能である。
【0091】
本発明は、同じ成分を含むが本発明のポリマーを含有しない組成物と比較した場合に光安定である、パーソナルケア組成物を包含する。例えば、本発明の光安定化合物は、本発明のポリマーを含有しない同じ処方物と比較して、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、および/または少なくとも10%、光安定である。本発明の光安定組成物は、例えば、実施例3に記載されるプロトコルを使用して作製され得る。このような光安定組成物は、ポリマーを単独で含有し得るか(このポリマーが他の化合物の光安定性を改善するように働く場合)、または1つ以上のさらなるUV保護剤と一緒にポリマーを含有し得る(このポリマーがさらなる剤および他の化合物の光安定性を改善するように働く場合)。
【0092】
本発明にはまた、本発明のポリマーおよび少なくとも1種のさらなるVU保護剤を含有する、相乗的組成物が含まれる。「相乗的」とは、合わせられた成分のSPFが、個々の成分のSPFを考慮する場合に予測されるよりも高いことを意味する。
【0093】
本発明の範囲内にはまた、哺乳動物の皮膚、毛、および/または爪を、UV波長の光への曝露により引き起こされる損傷から保護する方法が含まれ、この方法は、この皮膚、毛または爪に、上記ポリマーおよび/またはこのポリマーを含有するパーソナルケア組成物を付ける工程を包含する。「皮膚」は、生存している哺乳動物、爬虫類、両生類、鳥類および他の動物の外皮、ならびに加工された皮膚(例えば、皮革またはスエード革)を包含する。「毛」は、哺乳動物および他の動物の毛髪、羽毛、ウール、および他の線状の角化構造物を包含する。同様に、「爪」は、哺乳動物および他の動物の鉤爪、蹄、および類似の構造物を包含する。
【0094】
光保護処方物の美観を改善する方法もまた、本発明の範囲内であり、この方法は、油っぽいかつ/またはべたべたした感触を与え得る成分、あるいは不愉快な臭いを与え得る成分の排除を可能にすることによる。
【0095】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物を光安定化させる方法もまた含まれ、この方法は、この組成物に、有効量の本発明のポリマーを組み込む工程を包含する。このような方法において、非ポリマー性UV吸収化合物は、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択されることが好ましくあり得る。非ポリマー性UV吸収化合物を含有する組成物のUV−A/UV−B比を増大させる方法もまた含まれ、この方法は、この組成物に、有効量の本発明のポリマーを組み込む工程を包含する。非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物の日光阻止因子を増大させる方法もまた含まれる。このような方法は、この組成物に、有効量の本発明のポリマーを組み込む工程を包含する。
【0096】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物により提供されるUV−A保護を増大させる方法であって、この組成物に、有効量の本発明のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。このような方法において、本発明のポリマーを含有しないパーソナルケア組成物に対して、比較評価が行われる。組成物を評価する方法としては、FDA Star法、COLIPA指針、Boots法、およびDiffeyプロトコルが挙げられる。
【実施例】
【0097】
実施例1 − ベンゾフェノン基、ナフタレン基を含み、スキーム1に従って塩基で中和することにより水分散性にされ得る、本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーの調製。
【0098】
電気加熱マントルにより加熱でき、不活性ガス分散能があり、蒸気カラム、全縮器および受器を備える、実験室用の撹拌バッチ丸底ガラス反応器に、426グラムのブチルエチルプロパンジオール(BEPD)および840グラムのジ安息香酸プロピレングリコールを添加した。このプロピレングリコオールジベンゾエートは、反応溶媒として働く。この混合物を約90℃まで加熱し、そして394グラムのベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)をゆっくりと添加した。この混合物を約135℃まで加熱し、そしてその酸価が一定になるまで(BTDAとBEPDとの間の無水物環開反応が完了して、ベンゾフェノン基を含む酸官能性UV吸収複合ポリエステルポリマーをもたらしたことを示す)保持した。反応水は発生しなかった。このことは、その条件がBTDAの無水物環のみの環開によるエステル化のために適切であったことを示す。このポリマーに、440グラムのナフチルグリシジルエーテルを添加し、そしてその酸価を一定になるまで監視した。得られたポリマーは、溶媒であるジ安息香酸プロピレングリコール中60%の濃度であった。本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーB(UVACPPB)を冷却し、そして容器に移した。表1は、得られた特性を示す。図1Aおよび図1Bは、それぞれFITRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。UVACPPBの特性を表1に示す。
【0099】
【表1】

このポリマーを脱イオン水に分散させ、そして撹拌しながら約75℃まで加熱した。ついで、水酸化ナトリウム溶液(2.0%wt/wt)を、pHが約7に達するまでゆっくりと添加した。この混合物を冷却すると、得られたものは、安定な乳状分散物であった。この場合、このポリマーの酸基は、そのそれぞれのナトリウム塩に転換された。このポリマーはエステルであるジ安息香酸プロピレングリコールを含んだので、中和されたポリマーが有効な乳化剤として働くことが示された。
【0100】
実施例2 − スキーム7および6に従う本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーの調製。
【0101】
線状UV吸収縮合ポリエステルポリマーをスキーム7に従って調製するために、電気加熱マントルにより加熱でき、不活性ガス分散能があり、蒸気カラム、全縮器および受器を備える、実験室用の撹拌バッチ丸底ガラス反応器に、二塩基性エステル(「DBE」)として公知である混合物(およそ1:1:3の重量比の、ヘキサン二酸のメチルエステル、ブタン二酸のメチルエステル、およびペンタン二酸のメチルエステルからなる)を584グラム入れた。次いで、この反応器に、996グラムの1,6−ヘキサンジオールを入れた。この反応物を約120℃まで加熱し、次いで2,590グラムの3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸メチルエステルをゆっくりと添加した。少量のエステル交換触媒を添加し、そしてこの混合物を約230℃まで加熱した。エステル交換が進行するにつれて、副生成物であるメタノールが受器に集まった。理論的な量のメタノールが集まったら、得られたポリマーである本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーA(UVACPPA)を冷却し、そして容器に移した。表2Aは、得られた特性を示す。図2Aおよび図2Bは、それぞれFTIRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。
【0102】
【表2A】

架橋UV吸収縮合ポリエステルポリマーをスキーム6に従って調製するために、電気加熱マントルにより加熱でき、不活性ガス分散能があり、蒸気カラム、全縮器および受器を備える、実験室用の丸底ガラス反応器に、348グラムのアジピン酸ジメチル、236グラムの1,6−ヘキサンジオール、134グラムのトリメチロールプロパンを入れた。この反応物を約100℃まで加熱し、次いで775グラムの3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−メチルエステルを入れた。少量のエステル交換触媒を添加し、そしてこの混合物を約230℃まで加熱した。エステル交換が進行するにつれて、副生成物であるメタノールが受器に集まった。理論的な量のメタノールが集まったら、得られたポリマーである本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーA2(UVACPPA2)を冷却し、そして容器に移した。表1は、得られた特性を示す。図2Cおよび図2Dは、それぞれFTIRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。
【0103】
より高度に架橋した、より高分子量のUV吸収縮合ポリエステルポリマーをスキーム6に従って調製するために、上記反応セットアップに、696グラムのアジピン酸ジメチル、472グラムの1,6−ヘキサンジオール、250グラムのジ−トリメチロールプロパンを入れた。この反応物を約100℃まで加熱し、次いで1162.5グラムの3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−メチルエステルを入れた。少量のエステル交換触媒を添加し、そしてこの混合物を約230℃まで加熱した。エステル交換が進行するにつれて、副生成物であるメタノールが受器に集まった。理論的な量のメタノールが集まったら、得られたポリマーである本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーA3(UVACPPA3)を冷却し、そして容器に移した。表2Bは、得られた特性を示す。図2Eおよび図2Fは、それぞれFTIRスペクトルおよびUVスペクトルを示す。
【0104】
【表2B】

実施例3 − Stanfieldの方法を使用する光安定性の分析
インビトロでの遮光剤の光安定性を試験するための試験プロトコルは、産業において開発されており、そして広く使用されている(Stanfieldらの方法)。光安定性の指数βが開発され定義されており、そして当てられるUV線量と、PMMA基材に塗布された代表的な遮光剤により透過されるUV線量との間の関係のモデルに基づく。この遮光剤を照射して、照射前および照射中のある間隔においてUV吸光度を測定し、そして各当てられた線量に対応する透過UV線量を計算するために使用する。SPFは、透過線量が1MED(最小紅斑線量)(20有効mJ/cm)に達する場合の、MEDでの累積照射線量として定義される。これは、インビボ試験において測定されるSPFに対応する。代表的な太陽シミュレータについて、1MEDの線量は、約2.45J/cmである。当てられたUV線量対透過UV線量の最小二乗曲線当てはめは、
y=αxβ
x=SPFである場合、y=1であるので、
SPF=(1/α)1/β
の形の力の関係式を与える。
【0105】
初期SPF値はSPFにより表わされ、そしてその遮光剤の初期吸光度(理論的に、UV線量が与えられる前)に基づくSPF値を表わす。完全に光安定な遮光剤は、SPFに等しい一定のSPFを有する。βの値は1/SPFに設定される。次いで、βの値は、β(1/SPF)およびSPFの既知の値(ヒト被験体に対するSPF試験から)を用いて、上記等式を満たす価として決定される。βの値は、Excel(登録商標)(Microsoft,Redmond,WA)の「Goal Seek」予報ツールを使用して決定される。SPF/SPFに対して少なくとも80%の所望の値に基づいて、光安定遮光剤についてのβの認容可能な最大値を、表3Aに示す。
【0106】
【表3A】

従って、光安定性は、所定のSPFまたはSPF/SPFの比についてのβの値によって、特徴付けられ得る。理論および試験プロトコルに関するさらなる詳細は、参考文献であるStanfield J.,Osterwalder U.,Herzog B.「In vitro measurements of sunscreen protection.Photocem Photobiol Sci」,2010,9:489−494に見出され得る。
【0107】
本発明のポリマーUVACPPAにより提供される光安定化効果を試験するために、遮光剤処方物を、表3Bに列挙される成分および以下に示される調製手順を使用して、調製した。全ての成分名は、適用可能である場合、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetics Ingredients;INCI)により提供される命名法に合う。
【0108】
【表3B】

以下の全ての部分は、表3Bに列挙される成分をいう。遮光剤を、パートAの成分を容器内で合わせ、そして均一になるまでプロペラで撹拌しながら75℃まで加熱することにより、調製した。次いで、パートBの成分をパートAに添加し、そしてプロペラでの混合を続けた。別の容器内で、パートCの成分を合わせ、そして均一になるまでプロペラで撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、パートCをパートA/パートBのブレンドに添加し、そしてこの混合物を5分間、3500ppmで均質化した。次いで、この混合物を、スイープ混合(sweep mixing)しながら45℃まで冷却した。次いで、パートDの成分を添加し、そして温度が30℃になるまで、冷却および混合を続けた。混合をやめ、そしてクリームの形態の遮光剤を容器に移した。遮光剤のインビトロ試験を、Labsphere UV−2000S透過率分析器(Labsphere,North Sutton,NH)を使用して好都合に実施する。UV−2000Sの機能は、遮光剤製品を通る紫外(UV)放射線の透過率および/または吸光度を測定すること、ならびにこの製品の国際的に認識された有効性特徴を計算することである。UV−2000Sについての操作指示は、操作マニュアル「AQ−02755−000」(Labsphereから12/10/08付け、これは、本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。この操作マニュアル中に、参照試験プロトコル(COLIPA、Boots Star、およびFDA法)を利用する光保護値のインビトロでの測定に関する詳細な指示が提供されている。
【0109】
静的SPFin−vivoを、各処方物に対して、先に参照したFDA法(Suncare Research Laboratories,LLC(Winston Salem,NC.USA.)による)を利用して決定した。次いで、光安定性試験を、Stanfieldらの方法を利用して実施した。遮光剤を、0.75mg/cmで3つのPMMAプレート(Schoenberg、Hamburg)に付け、そして少なくとも15分間平衡化させた。太陽シミュレータモデル16S(Solar Light Company,Philadelphia,PA USA)を使用して、これらのプレートを連続した5UV線量で照射し、そしてLabsphere UV−2000S透過率分析器を使用して、各プレートに対する遮光剤吸光度スペクトルを、UV照射前、ならびに16J/cm、31J/cm、47J/cmおよび63J/cmのUV線量を当てた後に、それぞれ測定した。測定された吸光度値を因子βにより調整した。計算されるSPFがインビボで測定されるSPFに合うために認容可能な値は、0.8〜1.2である。次いで、透過UV線量対照射UV線量をグラフにし、そしてβ、βおよび計算されたSPFの値を上記のように決定した。さらに、各UV線量に対応する吸光度スペクトルを、照射中の各波長における光分解の程度を図示するためにプロットした。これらのプロットを、コントロールについては図3Aに、遮光剤3Aについては図3Bに与える。数値の結果を、以下の表3Cに示す:
【0110】
【表3C】

これらの結果は、AVOとOMC(コントロール)との光不安定な組み合わせを含む遮光剤が、本発明のポリマーUVACCBAの添加により非常に効果的に光安定化されることを示す。本発明のポリマーの使用により達成され得る光安定化効果をさらに試験するために、さらなる処方物を調製した。その成分を以下の表3Dに与える。
【0111】
【表3D】

これらの処方物を、遮光剤3Aの調製について記載された方法を使用して調製し、そして遮光剤3Aについて使用した方法と同じ方法を使用して試験した。ここでまた、さらに、各UV線量に対応する吸光度スペクトルを、照射中の各波長における光分解の程度を図示するためにプロットした。このプロットを、遮光剤3Bについて図3Cに与える。数値の結果を、以下の表3Eに示す。
【0112】
【表3E】

実施例4 − 他のUVフィルタの非存在下での本発明の物質のSPFの決定
他の有機UV吸収剤の非存在下で本発明の物質により与えられるSPFを決定するために、これらの物質を、表4Aに従う濃度で、代表的な遮光剤エマルジョンに処方した。
【0113】
【表4A】

ビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェン。
【0114】
以下の全ての部分は、表4Aに列挙される成分をいう。遮光剤を、パートAの成分を容器内で合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら80℃まで加熱することにより、調製した。別の容器内で、パートBの成分を合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら75℃まで加熱した。次いで、パートBをパートAに添加し、そしてこの混合物を5分間、3500ppmで均質化した。次いで、この混合物を、スイープ混合しながら45℃まで冷却した。次いで、パートCの成分を添加し、そして温度が30℃になるまで、冷却および混合を続けた。混合をやめ、そしてクリームの形態の遮光剤を容器に移した。次いで、これらの遮光剤のSPFin−vitro、UVA/UVB比および臨界波長を、Labsphere UV−2000Sを利用して、先に記載した方法を使用して決定した。
【0115】
これらの結果を表4Bに示す。図4は、各サンプルの、波長の関数としてのUV吸光度を示す。これらの結果は、本発明の物質がUV放射線を吸収し、試験した使用レベルにおいては他のUVフィルタの非存在下でのSPFin−vitroにほとんど寄与しないことを示す。
【0116】
【表4B】

実施例5 − プロトタイプ遮光剤処方物へのUVACCPAの組み込みに起因する驚くべきSPF増幅および美観の改善
本発明の物質であるUVACPPAの実際のプロトタイプ製品への含有の効果を評価するために、遮光剤処方物を、表5Aに示される組成物に従って調製した。さらなるUVフィルタ以外の全ての成分は、本発明の物質をさらなるUVフィルタの非存在下で試験した場合(実施例4)と同じであり、類似のレベルで使用された。
【0117】
【表5A】

以下の全ての部分は、表5Aに示される成分をいう。遮光剤を、パートAの成分を容器内で合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら80℃まで加熱することにより、調製した。別の容器内で、パートBの成分を合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら75℃まで加熱した。次いで、パートBをパートAに添加し、そしてこの混合物を5分間、3500ppmで均質化した。次いで、この混合物を、スイープ混合しながら45℃まで冷却した。次いで、パートCの成分を添加し、そして温度が30℃になるまで、冷却および混合を続けた。混合をやめ、そしてクリームの形態の遮光剤を容器に移した。
【0118】
SPFin vitroおよびUVAPFを、コントロール対遮光剤8Aについて決定した。試験を、Suncare Research Laboratories,LLC(Winston Salem,NC.USA.)で先に記載された器具および方法を使用して実施した。得られたデータを表5Bに示す。
【0119】
【表5B】

本発明のポリマーUVACCPAの含有から得られると予測されるSPFを決定するために、Sunscreen Simulatorを使用した。Sunscreen Simulatorとは、SPF、UVA/UVB比、および臨界波長の計算を可能にするコンピュータモデルである。これは、ステップフィルムモデルに基づく。これにより、吸収性の不均質性が導入される。このモデルは、UV−A吸収フィルタとUV−B吸収フィルタとの混合物の存在により誘導されるSPFに対する相乗効果を再現し、そして特定のUV−A性能を有する遮光剤処方物を設計するために使用され得る。このツールは、遮光剤フィルタの濃度を入力することに基づいて、遮光剤のSPFの予測を可能にする。このインシリコモデリングツールにおいて使用される理論および方法論に関するさらなる詳細は、Herzog,B,Mendrok C,Mongiat S,Muller S,Osterwalder U,「The sunscreen simulator: A formulators tool to predict SPF and UVA parameters」SOFW−Journal 2003:129:2−9に見出され得る。このシミュレータからの結果は、インビトロおよび/またはインビボでの遮光剤試験の代用にはならないが、種々のフィルタレベルが増大され、低下され、追加され、そして/または除かれる場合にもたらされるSPFの予測される変化に関する何らかの洞察を提供し得る。このシミュレータはすでに、世界的に認可された遮光剤についての消光曲線を含む。本発明のポリマーについての消光曲線はこのシミュレータに含まれないので、これらのポリマーについての曲線を既存の遮光剤と比較し、そして最も近い一致を選択した。次いで、他の日光フィルタの非存在下で本発明のポリマーにより提供されるSPF(表4A)をもたらした、既存の遮光剤の濃度を決定した。UVACPPAについての消光曲線の目視確認は、最も近い一致が2,2’−[6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]ビス{5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]フェノール}(ベモトリジノール(Bemotrizinol)、Tinosorb S、BASF Corporation)であることを示した。このシミュレータを使用して、他のフィルタの非存在下(表4A)で3のSPFを提供するために必要とされたベモトリジノールの濃度を決定し、これは0.95%であることがわかった。次いで、この実施例においてコントロール処方物において試験したUVフィルタの型およびレベル(15.0%のホモサラート、5.0%のオクチサレート、10.0%のオクトクリレン、5.0%のオキシベンゾン、および3.0%のアボベンゾン)を、このシミュレータに入力した。このシミュレータにより計算されたSPFは、37.0であった。次いで、0.95%のレベルのベモトリジノールを、フィルタの上記型およびレベルに加えて入力した。得られたSPFは40.5であり、3.5SPF単位増加した。従って、このシミュレータがベモトリジノールモデルに基づいて3のみの増加を予測した場合、3.0%の本発明のポリマーがSPFを約9SPF増幅したことは、非常に驚くべきことであった。このことは、本発明のポリマーUVACPPAが、他の非ポリマー化学UVフィルタと相乗的に働くことを示唆する。
【0120】
オクチサレートとホモサラートとの両方を処方物から除いた、第三の処方物を調製した。他の全ての非UV吸収性分は、コントロールおよび遮光剤5Aの調製においてと同じままであった。サリチレートを含まない処方物を、表5Cに示す。
【0121】
【表5C】

これらの処方物を、この実施例のコントロールおよび遮光剤5Aの調製において記載された様式と同じ様式で調製した。表5Dは、先に記載された方法論を使用して遮光剤5Bについて決定された、インビトロ試験結果を示す。
【0122】
【表5D】

これらの結果は、15.0%の合わせたサリチレートを3.0%の本発明のポリマーUVACPPAで置き換えることにより、得られるインビトロSPFは、これらのサリチレートが存在する場合と同じであることを示す。遮光剤5Aを、サリチレートを含有するコントロールに対して美観に関して評価すると、べたべたが有意に低く、ほとんど「乾いた」感触であり、コントロールの顕著なサリチレートの臭いに対して無臭であることが示された。
【0123】
コントロールおよび遮光剤5Aの各々を、FDA指針のもとで、静的インビボSPFについて、先に記載したFDA法を利用して試験した。コントロールおよび遮光剤5Aの各々について、5つの被験試験パネルを使用した。試験を、Suncare Research Laboratories,LLC(Winston Salem,NC.USA.)により実施した。これらの結果を表5Eに与える。
【0124】
【表5E】

これらのデータは、3.0%のUVACPPAの含有が、コントロールに対して10単位のSPFin−vivoの増幅をもたらすことを示す。従って、遮光剤がインビトロで試験された場合に得られた驚くべき結果を、インビボで立証した。
【0125】
実施例6 − 本発明のポリマーUVACPPBのUV評価
遮光剤へのUVACPPBの含有の潜在的な効果を評価するために、遮光剤油相を、表6Aに従って処方した。
【0126】
【表6A】

これらのブレンドの各々を、200mgのブレンドを100mLのメスフラスコに量り取り、そしてテトラヒドロフランで標線まで希釈することにより、希釈した。次いで、280nm〜400nmのUVスペクトルを、Perkin−Elmer Spectrum 100UV/可視分光光度計を使用して決定した。その結果が図4に見られる。図5において、UV−B範囲においてより強い急光度を有する曲線は、ブレンド6Aから得られた結果である。
【0127】
実施例7 − プロトタイプ遮光剤処方物へのUVACPPBの含有に起因する驚くべきSPFの増幅
本発明の物質であるUVACPPBを実際のプロトタイプ製品に含有することの有効性を評価するために、遮光剤処方物を、表7Aに示される組成に従って調製した。
【0128】
【表7A】

以下の全ての部分は、表7Aに示される成分をいう。遮光剤を、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマーを容器内の脱イオン水のボルテックスに分散させることにより、調製した。次いで、パートAの残りの成分を加え、そしてプロペラで撹拌しながら80℃まで加熱した。別の容器内で、パートBの成分を合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら75℃まで加熱した。次いで、パートBをパートAに添加し、そしてこの混合物を均一になるまで撹拌した。次いで、この混合物を、スイープ混合しながら45℃まで冷却した。次いで、パートCの成分を添加し、そして温度が30℃になるまで、冷却およびスイープ混合を続けた。混合をやめ、そしてクリームの形態の遮光剤を容器に移した。
【0129】
SPFin−vitro、UVA/UVB比、および臨界波長を、コントロール処方物および遮光剤処方物の各々に対して、Labsphere UV−2000Sを用いて、先に記載した方法を使用して決定した。図6は、4つの遮光剤の各々について、波長の関数としての吸光度を示す。そのデータを表7Bに要約する。
【0130】
【表7B】

驚くべきことに、他のUVフィルタの非存在下の遮光剤油相(実施例4)において試験される場合、本発明のポリマーであるUVACPPBは、2インビトロSPF単位のみに寄与したが(表4Aを参照のこと)、実際のプロトタイプ処方物に処方される場合、SPFは、それぞれ12.6単位および4単位増大した。さらに、UVACPPBが主としてUV−Bにおいて吸収するという事実にもかかわらず、UVA/UVB比と臨界波長との両方が増大した。このことは、本発明のポリマーUVACPPBが他のUVフィルタと相乗的に働くことを示唆する(特に、オキシベンゾンがその処方物に含まれる場合)。
【0131】
実施例8
本発明の複合ポリエステルポリマーおよび/または光学光沢剤の、実際のプロトタイプ製品への含有の効果を評価するために、遮光剤処方物を表8Aに示される組成に従って調製した。
【0132】
【表8A−1】

【0133】
【表8A−2】

ビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェン。
【0134】
以下の全ての部分は、表8Aに示される成分をいう。遮光剤を、パートAの成分を容器内で合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら80℃まで加熱することにより、調製した。別の容器内で、パートBの成分を合わせ、そしてプロペラで撹拌しながら75℃まで加熱した。次いで、パートBをパートAに添加し、そしてこの混合物を5分間、3500ppmで均質化した。次いで、この混合物を、スイープ混合しながら45℃まで冷却した。次いで、パートCの成分を添加し、そして温度が30℃になるまで、冷却および混合を続けた。混合をやめ、そしてクリームの形態の遮光剤を容器に移した。
【0135】
SPFin−vitro、UVA/UVB比、および臨界波長を、コントロール処方物および遮光剤処方物の各々に対して、Labsphere UV−2000Sを用いて、先に記載した方法を使用して決定した。図7は、3つの遮光剤の各々について、波長の関数としての吸光度を示す。そのデータを表8Bに要約する。
【0136】
【表8B】

これらの結果は、4.75%のUVACPPAおよび0.25%のBBOTの含有が、SPFを13.4単位増大させたことを示す。これは、実施例4に与えられた結果から予測されるよりもはるかに多い。さらに、これらの結果は、ポリマーの非存在下での1.0%のBBOTの含有が、SPFを13.9単位増大させ、一方で、1.0%のBBOT単独の使用は、1SPF単位に寄与することが実施例4において示された。
【0137】
表8Bに与えられるデータから見られ得るように、光学光沢剤と本発明のポリマーとの組み合わせは、この光学光沢剤単独を含有する組成物と比較して、増大したUV−A/UV−B比および増大した臨界波長を示す組成物を提供する。
【0138】
実施例9
制限された数の低分子量オリゴマーを有する、より高度に架橋した、より高分子量のUV吸収縮合ポリエステルポリマーをスキーム6に従って調製するために、電気加熱マントルにより加熱でき、不活性ガス分散能があり、蒸気カラム、全縮器および受器を備える、実験室用の撹拌バッチ丸底ガラス反応器に、696グラムのアジピン酸ジメチル、1301グラムの二量体ジオール、および775グラムのジ−トリメチロールプロパンを入れた。この反応物を約100℃まで加熱し、次いで2824グラムの3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−メチルエステルを入れた。少量のエステル交換触媒を添加し、そしてこの混合物を約200℃まで加熱した。エステル交換が進行するにつれて、副生成物であるメタノールが受器に集まった。理論的な量のメタノールが集まったら、得られたポリマーである本発明のUV吸収複合ポリエステルポリマーA4(UVACPPA4)を冷却し、そして容器に移した。GPC分析を、直角光散乱検出を使用して実施した。表9は、得られた特性を示す。
【0139】
【表9】

上記実施形態に対して、これらの実施形態の広範な新規概念から逸脱することなく、変更がなされ得ることが当業者により理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態には限定されず、添付の特許請求の範囲により規定されるような本発明の趣旨および範囲内の改変を網羅することが意図されることが、理解される。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、該エステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに
(ii)該ポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、該エポキシドは、UV吸収部分を含む、反応、
を包含する反応スキームの生成物である、UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマー。
【請求項2】
前記ポリオールがジオールであり、そして
前記二無水物がUV吸収性であり、そしてベンゾフェノン部分を含み、
前記(i)のエステル化工程が、式(IX):
【化27】

によって表わされるような、ペンダントカルボン酸および末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(IX)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、R10は独立して、−Hまたは−OHであり、そしてnは、1〜1000の整数である、請求項1に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマー。
【請求項3】
前記工程(ii)の反応が、前記エポキシドの前記官能基と、前記ポリエステルポリマーの前記ヒドロキシル基および/または前記カルボン酸基とのエーテル化反応を包含する、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ポリオールがジオールであり、そして
前記二無水物がUV吸収性ではなく、
前記(i)のエステル化工程が、式(X):
【化28】

により表わされる、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および2つの末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(X)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記工程(ii)の反応が、前記エポキシドの前記官能基と、前記ポリエステルポリマーの前記ヒドロキシル基および/または前記カルボン酸基のうちの少なくとも1つとのエーテル化反応を包含する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記エポキシドがUV吸収アルコールのエポキシ化から誘導される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
前記エポキシドがUV吸収カルボン酸のエポキシ化から誘導される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
前記エポキシドが、反応スキーム8A:
【化29】

により表わされる反応から誘導され、反応スキーム8Aにおいて、R13は、UV吸収部分を含み、そしてR14は独立して、水素原子、ならびに1個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてR15はハロゲン原子である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
前記エポキシドが、UV吸収カルボン酸から、反応スキーム:
【化30】

により表わされる反応から誘導され、該反応スキームにおいて、R13は、UV吸収部分を含み、そしてR14は独立して、水素原子、ならびに1個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてR15はハロゲン原子である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
前記エポキシドの前記UV吸収部分が、誘導体化ベンゾフェノン部分、誘導体化ナフタレン部分、およびベンゾトリアゾール誘導体から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
前記エポキシドの前記UV吸収部分が、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム;ドロメトリゾールトリシロキサン;メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;およびこれらの誘導体から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
前記エポキシドの前記UV吸収部分が、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸;アントラニル酸メチル;メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;4−メチルベンジリデンショウノウ;ベンゾフェノン−3;ベンゾフェノン−4;ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;エチルヘキシルメトキシシンナメート;およびこれらの誘導体から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
前記エポキシドの前記UV吸収部分が、サリチル酸エチルヘキシル;エチルヘキシルトリアゾン;エチルヘキシルジメチルPABA;サリチル酸ホモメンチル;p−メトキシケイ皮酸イソアミル;オクトクリレン;フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸;ポリシリコーン−15;ベンゾトリアゾリルドデシルp−クレゾール;サリチル酸ブチルオクチル;2,6−ナフタル酸ジエチルヘキシル;ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートおよびポリエステル−8;ならびにこれらの誘導体から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、該エステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに
(ii)該ポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、該エポキシドは、UV吸収部分を含む、反応、
を包含する反応スキームの生成物である、UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを含有するパーソナルケア組成物。
【請求項15】
植物油、界面活性剤、脂質、アルコール、蝋、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、ポリマー材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤、化学剥離剤、機械剥離剤、ケーキング防止剤、酸化防止剤、結合剤、粘土、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、フィルム形成剤、湿潤剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、プロペラント、還元剤、皮膚暗色化剤、精油、皮膚感覚剤、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
光学光沢剤をさらに含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記光学光沢剤が、トリアジン−スチルベン(ジスルホン化物、テトラスルホン化物またはヘキサスルホン化物)、クマリン、イミダゾリン、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾリン、およびビフェニルスチルベンから選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記光学光沢剤がチオフェン誘導体である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記光学光沢剤がビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェンである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記光学光沢剤が、式(XII)
【化31】

により表され、式(XII)において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリオールがジオールであり、そして
前記二無水物がUV吸収性であり、そしてベンゾフェノン部分を含み、
前記(i)のエステル化工程が、式(IX):
【化32】

によって表わされるような、ペンダントカルボン酸および末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(IX)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、R10は独立して、−Hまたは−OHであり、そしてnは、1〜1000の整数である、請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
前記工程(ii)の反応が、前記エポキシドの前記官能基と、前記ポリエステルポリマーの前記ヒドロキシル基および/または前記カルボン酸基とのエーテル化反応を包含する、請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリオールがジオールであり、そして
前記二無水物がUV吸収性ではなく、
前記(i)のエステル化工程が、式(X):
【化33】

により表わされる、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および2つの末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与え、式(X)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である、請求項14に記載の組成物。
【請求項24】
前記工程(ii)の反応が、前記エポキシドの前記官能基と、前記ポリエステルポリマーの前記ヒドロキシル基および/または前記カルボン酸基のうちの少なくとも1つとのエーテル化反応を包含する、請求項14に記載の組成物。
【請求項25】
前記エポキシドがUV吸収アルコールのエポキシ化から誘導される、請求項14に記載の組成物。
【請求項26】
前記エポキシドがUV吸収カルボン酸のエポキシ化から誘導される、請求項14に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種の非ポリマー性UV吸収化合物をさらに含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項28】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
パーソナルケア組成物の光安定性を増大させる方法であって、請求項1に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーをパーソナルケア組成物に組み込む工程を包含する、方法。
【請求項30】
哺乳動物の皮膚、毛または爪の一部分を、UV光による損傷から保護する方法であって、有効量の請求項1に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを、皮膚、毛または爪の該部分に付ける工程を包含する、方法。
【請求項31】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物を光安定化させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項1に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項32】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する組成物のUV−A/UV−B比を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項1に記載のポリマーを組み込む工程を包含し、保護の該増大が、Boots法を使用して評価される、方法。
【請求項34】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物の日光阻止因子を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項1に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項35】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物により提供されるUV−A保護を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項1に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
提供される前記UV−A保護が、FDA Star法、COLIPA指針、Boots法、およびDiffeyプロトコルから選択される方法を使用して評価される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
式(XI):
【化34】

により表される線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーであって、式(XI)において、Rは独立して、UV吸収部分から選択され;RおよびRは、各々独立して、炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である、線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマー。
【請求項40】
前記UV吸収部分が、UV吸収ベンゾトリアゾール基を含む化合物から選択される、請求項39に記載のポリマー。
【請求項41】
前記UV吸収ベンゾトリアゾール基が、構造(Ia):
【化35】

により表わされ、構造(Ia)において、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、そしてRは、炭化水素基である、請求項39に記載のポリマー。
【請求項42】
前記UV吸収ベンゾトリアゾール基が、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸;3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;および3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−、ならびに/またはこれらの誘導体から選択される、請求項39に記載のポリマー。
【請求項43】
前記3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステルおよび/または前記3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステルが各々独立して、メチルエステルである、請求項39に記載のポリマー。
【請求項44】
およびRが各々独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、該炭化水素基の炭素の各々が独立して、置換または非置換であり、そして飽和または不飽和である、請求項39に記載のポリマー。
【請求項45】
式(XI):
【化36】

により表わされる線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを含有するパーソナルケア組成物であって、式(XI)において、Rは独立して、UV吸収部分から選択され;RおよびRは、各々独立して、炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数である、パーソナルケア組成物。
【請求項46】
前記UV吸収部分が、UV吸収ベンゾトリアゾール基を含む化合物から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記UV吸収ベンゾトリアゾール基が、構造(Ia):
【化37】

により表わされ、構造(Ia)において、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、そしてRは、炭化水素基である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記UV吸収ベンゾトリアゾール基が、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸;3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステル;および3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−、ならびに/またはこれらの誘導体から選択される、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステルおよび/または前記3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸アルキルエステルが各々独立して、メチルエステルである、請求項46に記載の組成物。
【請求項50】
およびRが各々独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、該炭化水素基の炭素の各々が独立して、置換または非置換であり、そして飽和または不飽和である、請求項45に記載の組成物。
【請求項51】
植物油、界面活性剤、脂質、アルコール、蝋、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、ポリマー材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤、化学剥離剤、機械剥離剤、ケーキング防止剤、酸化防止剤、結合剤、粘土、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、フィルム形成剤、湿潤剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、プロペラント、還元剤、皮膚暗色化剤、精油、皮膚感覚剤、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項52】
光学光沢剤をさらに含有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項53】
前記光学光沢剤が、トリアジン−スチルベン(ジスルホン化物、テトラスルホン化物またはヘキサスルホン化物)、クマリン、イミダゾリン、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾリン、およびビフェニルスチルベンから選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項54】
前記光学光沢剤がチオフェン誘導体である、請求項45に記載の組成物。
【請求項55】
前記光学光沢剤がビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェンである、請求項45に記載の組成物。
【請求項56】
前記光学光沢剤が、式:
【化38】

により表され、該式において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項57】
パーソナルケア組成物の光安定性を増大させる方法であって、請求項34に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーをパーソナルケア組成物に組み込む工程を包含する、方法。
【請求項58】
哺乳動物の皮膚、毛または爪の一部分を、UV光による損傷から保護する方法であって、有効量の請求項39に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを、皮膚、毛または爪の該部分に付ける工程を包含する、方法。
【請求項59】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物を光安定化させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項39に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項60】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する組成物のUV−A/UV−B比を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項39に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを組み込む工程を包含し、保護の該増大が、Boots法を使用して評価される、方法。
【請求項62】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物の日光阻止因子を増大させる方法であって、請求項39に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーに組み込む工程を包含する、方法。
【請求項63】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物により提供されるUV−A保護を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項39に記載の線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項65】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
提供される前記UV−A保護が、FDA Star法、COLIPA指針、Boots法、およびDiffeyプロトコルから選択される方法を使用して評価される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
UV吸収部分を含む単官能性カルボン酸および/またはエステルと、
ジオール、ポリオール、二酸および/またはエステルのうちの少なくとも1つと
のランダム共重合エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーであって、該ポリマーが2.0より大きいUV吸収機能を有する、ポリマー。
【請求項68】
前記単官能性カルボン酸および/またはエステルが、式(I):
【化39】

により表わされ、式(I)において、Rは独立して、水素原子またはハロゲン原子から選択され、Rは、炭化水素基であり、そしてAは、カルボン酸およびエステルからなる群より選択される官能基である、請求項67に記載のポリマー。
【請求項69】
UV吸収部分を含む単官能性カルボン酸および/またはエステルと、
ジオール、ポリオール、二酸および/またはエステルのうちの少なくとも1つと
のランダム共重合エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを含有する、パーソナルケア組成物であって、該ポリマーが2.0より大きいUV吸収機能を有する、パーソナルケア組成物。
【請求項70】
植物油、界面活性剤、脂質、アルコール、蝋、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、ポリマー材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤、化学剥離剤、機械剥離剤、ケーキング防止剤、酸化防止剤、結合剤、粘土、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、フィルム形成剤、湿潤剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、プロペラント、還元剤、皮膚暗色化剤、精油、皮膚感覚剤、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含有する、請求項68に記載の組成物。
【請求項71】
光学光沢剤をさらに含有する、請求項69に記載の組成物。
【請求項72】
前記光学光沢剤が、トリアジン−スチルベン(ジスルホン化物、テトラスルホン化物またはヘキサスルホン化物)、クマリン、イミダゾリン、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾリン、およびビフェニルスチルベンから選択される、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記光学光沢剤がビス(t−ブチルベンゾオキサゾリル)チオフェンである、請求項71に記載の組成物。
【請求項74】
前記光学光沢剤が、式(XII)
【化40】

により表され、式(XII)において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、請求項71に記載の組成物。
【請求項75】
パーソナルケア組成物の光安定性を増大させる方法であって、請求項69に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーをパーソナルケア組成物に組み込む工程を包含する、方法。
【請求項76】
哺乳動物の皮膚、毛または爪の一部分を、UV光による損傷から保護する方法であって、有効量の請求項69に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを、皮膚、毛または爪の該部分に付ける工程を包含する、方法。
【請求項77】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物を光安定化させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項69に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項78】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する組成物のUV−A/UV−B比を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項69に記載のポリマーを組み込む工程を包含し、保護の該増大が、Boots法を使用して評価される、方法。
【請求項80】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物の日光阻止因子を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項69に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項81】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物により提供されるUV−A保護を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項69に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項83】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
提供される前記UV−A保護が、FDA Star法、COLIPA指針、Boots法、およびDiffeyプロトコルから選択される方法を使用して評価される、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
(XIII):
【化41】

により表わされる構造を有するUV吸収部分を含む単官能性剤と、
式(XIV)〜(XV):
【化42】

【化43】

により表わされる構造を有するものを含むさらなる試薬との反応生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマー。
【請求項86】
請求項85に記載のポリマーを含有するパーソナルケア組成物。
【請求項87】
植物油、界面活性剤、脂質、アルコール、蝋、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、ポリマー材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤、化学剥離剤、機械剥離剤、ケーキング防止剤、酸化防止剤、結合剤、粘土、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、フィルム形成剤、湿潤剤、不透明化剤、pH調整剤、防腐剤、プロペラント、還元剤、皮膚暗色化剤、精油、皮膚感覚剤、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の成分をさらに含有する、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
光学光沢剤をさらに含有する、請求項86に記載の組成物。
【請求項89】
前記光学光沢剤が、式(XII)
【化44】

により表され、式(XII)において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、請求項88に記載の組成物。
【請求項90】
パーソナルケア組成物の光安定性を増大させる方法であって、請求項85に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーをパーソナルケア組成物に組み込む工程を包含する、方法。
【請求項91】
哺乳動物の皮膚、毛または爪の一部分を、UV光による損傷から保護する方法であって、有効量の請求項85に記載のUV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーを、皮膚、毛または爪の該部分に付ける工程を包含する、方法。
【請求項92】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物を光安定化させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項85に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項93】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する組成物のUV−A/UV−B比を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項92に記載のポリマーを組み込む工程を包含し、保護の該増大が、Boots法を使用して評価される、方法。
【請求項95】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物の日光阻止因子を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項92に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項96】
前記非ポリマー性UV吸収化合物が、アボベンゾン、オクチルメトキシシンナメートおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
非ポリマー性UV吸収化合物を含有する光保護パーソナルケア組成物により提供されるUV−A保護を増大させる方法であって、該組成物に、有効量の請求項85に記載のポリマーを組み込む工程を包含する、方法。
【請求項98】
提供される前記UV−A保護が、FDA Star法、COLIPA指針、Boots法、およびDiffeyプロトコルから選択される方法を使用して評価される、請求項85に記載の方法。
【請求項99】
式(XII):
【化45】

により表わされる光学光沢剤であって、式(XII)において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、光学光沢剤。
【請求項100】
請求項99に記載の光学光沢剤を含有するパーソナルケア組成物。
【請求項101】
パーソナルケア組成物であって、該パーソナルケア組成物は、
式(XII):
【化46】

により表わされる光学光沢剤であって、式(XII)において、RおよびRは独立して、分枝および非分枝の、飽和または不飽和の、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、光学光沢剤;ならびに
ポリマーA、ポリマーB、ポリマーC、ポリマーD、ポリマーE、およびポリマーFから選択されるUV吸収複合ポリエステルポリマーのうちの少なくとも1つ
を含有し、
該ポリマーAは、
(i)ポリオールと二無水物とのエステル化であって、該エステル化は、実質的に無水物開環のみを容易にする条件下で行われて、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを形成する、エステル化;ならびに
(ii)該ポリエステルポリマーの少なくとも1つのペンダントカルボン酸基および少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、官能基を有するエポキシドとの反応であって、該エポキシドは、UV吸収部分を含む、反応、
を包含する反応スキームの生成物であり;
該ポリマーBは、式(IX):
【化47】

により表わされるような、ペンダントカルボン酸および末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与える、ジオールと、ベンゾフェノン部分を含むUV吸収二無水物とのエステル化、ならびに該ポリエステルポリマーの該ヒドロキシル基および/またはカルボン酸基での、エポキシドの官能基の引き続くエーテル化の反応生成物であり、式(IX)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、R10は独立して、−Hまたは−OHであり、そしてnは、1〜1000の整数であり;
該ポリマーCは、式(X):
【化48】

により表わされる、少なくとも2つのペンダントカルボン酸基および2つの末端ヒドロキシル基を含むポリエステルポリマーを与える、ジオールとUV吸収性ではない二無水物とのエステル化、ならびに該ポリエステルポリマーの該ヒドロキシル基および/または該カルボン酸基のうちの少なくとも1つでの、エポキシドの官能基のエーテル化の反応生成物であり、式(X)において、Rは独立して、2個〜54個の炭素原子および0個〜30個のエーテル結合を有する炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数であり;
該ポリマーDは、式(XI):
【化49】

により表される線状UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーであり、式(XI)において、Rは独立して、UV吸収部分から選択され;RおよびRは、各々独立して、炭化水素基から選択され、そしてnは、1〜1000の整数であり;
該ポリマーEは、UV吸収部分を含む単官能性カルボン酸および/またはエステルと、ジオール、ポリオール、二酸および/またはエステルのうちの少なくとも1つとのランダム共重合エステル化反応の反応生成物および/またはエステル化生成物である、架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーであり、該ポリマーは、2.0より大きいUV吸収機能を有し;そして
該ポリマーFは、(XIII):
【化50】

により表わされる構造を有するUV吸収部分を含む単官能性剤と、式(XIV)〜(XV):
【化51】

により表わされる構造を有するものを含むさらなる試薬との反応生成物である架橋UV吸収複合ポリオールポリエステルポリマーである、パーソナルケア組成物。

【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509491(P2013−509491A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537198(P2012−537198)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/055154
【国際公開番号】WO2011/053995
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511299355)イノレックス インベストメント コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】