説明

UV放射による導波路およびブラッグ格子の製造

感光性材料のサンプル内に導波路および格子を同時に画定する方法であって、特定の波長の光に感光する感光領域を有する材料24のサンプルを提供するステップと、特定波長で、高い強度および低い強度の縞の周期的強度パターンおよびチャネルの幅に関連する幅を有する光のスポット22を生成するステップと、感光領域内にスポットを位置付けるステップと、光スポットに感光領域の部分を露光することによって変更された屈折率のチャネルを画定する導波路/格子の所望の経路に沿って、サンプルと光スポットとの間に相対移動を引き起こすステップとを含む。連続する露光が結果として均一な導波路を生じる間に、複数の露光を生成するために光スポットの変調が、格子を作る。これらの構造は、直線または丸い曲線に書き込まれることができ、正確に重ね書きされることができ、複雑な光学デバイスが、単一の製造ステップで製造されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラッグ(Bragg)格子を含む導波路の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、屈折率のより低いクラッドによって囲まれた高屈折率コアによって画定される光導波機能を有する。ブラッグ格子として知られるコアに格子構造を書き込むことによって他の機能が利用可能である。これらの構造は、高い屈折率と低い屈折率が交互する一連の格子面を含み、格子面の周期性に応じるスペクトル反射/透過応答を与える。これらの格子は、分散補償、光フィードバック、および波長多重化を含む応用例のための多種多様な、ファイバをベースとする光学デバイスを作るために使用することができる。
【0003】
従来、ファイバブラッグ格子は、ファイバコアの感光性材料における屈折率変化を生じるように、ファイバを紫外光(UV)で露光することによって製造される。この技術は、所望の周期的な屈折率変化を与えるように、材料の露光された領域と露光されていない領域の所定のパターンを作る能力に依存する。この周期性を達成するために、一般的な方法は、位相マスクまたは2つの干渉ビームで生成されるUV光の干渉縞パターンを使用する。パターンにおける明るい縞への露光は、屈折率の局所的な増大を生じ、一方暗い縞は、屈折率がほとんどまたは全く変化しない。格子製造は、一般に、所望の感光性を与えるためにゲルマニウムでドーピングされた導波路コアを有するファイバに、UV干渉パターンで側方から露光することによって実行される。このパターンは、コア幅より非常に大きいサイズであることが開示される[1]。
【0004】
位相マスクは、大きく引き伸ばされたUVスポットとして形成された必要な強度パターンを提供する十分に確立された手段である。これは、比較的長い長さのファイバが、数百の格子面を提供するために数百の縞を含む干渉パターンで露光されることを可能にする。パターンは、各格子面が多数回露光され、書き込みシステムの不安定性またはマスクにおける不完全性から生じる任意の誤差を平均化して取り除くように、重なり合った露光を与えるためにファイバに沿ってステップ状にすることができる。マスクの物理的な定義は、達成されることができる格子周期の範囲を限定するが、これは、ステップ状の露光が干渉パターンの周期とは異なる周期でパルスすることによって達成される波長のデチューニングを使用することによって達成することができる。この技術は、調整されたスペクトル応答を有する、アポダイゼーションされかつチャーピングされた格子を作るために使用されることができる。
【0005】
縞パターンを生成する代替の方法は、適切な角度で縞パターンを交差することによって、2つのミリメートル規模のUVビームを干渉させることである。交差角度の変化は、幅広い範囲のスペクトル応答を有するブラッグ格子が容易に製造されることができるように、縞の周期を変える。またビームの偏光は、縞のコントラストおよび複屈折性に影響を与えるように制御することができる。波長の調整を外すことを使用して書き込まれたアポダイゼーションされかつチャーピングされた格子は、この種類のパターンから作ることができる。
【0006】
光導波は、プレーナ導波路構造を使用して実行することもできる。これらは、導波路が、2つのより低い屈折率層間に高い屈折率材料の層を挟むことによって一次元で提供されるデバイスである。直交する寸法において、高い屈折率材料のチャネルは、様々なチャネル書き込み技術の1つによって層から画定される。これらは、反応性イオンエッチング、イオン交換、および感光性導波路層における高強度の集束されたスポットを用いるUV書き込みを含む。
【0007】
そのようなプレーナ導波路構造におけるブラッグ格子の準備は望ましい。なぜなら光ファイバフォーマットで既に利用可能な多くの異なる範囲の複雑な光学デバイスは、それによって単一の堅牢な導波路チップに密に集積することができるからである。しかしながら、同じホスト基体材料に画定されるとき、チャネル導波路コアおよびブラッグ格子上部構造体の両方を実現しかつ最適化することは困難であることが見出された。
【0008】
干渉パターンを有するUV露光によって格子をファイバに書き込む前述の技術が、感光性材料を含むプレーナ導波路チャネルに適用されている[2、3、4]。しかしながら、結果としてのデバイスは、製造することが困難でありかつ高価である。また、格子品質が不十分であることが見出され、かつ格子のスペクトル応答を、専用に合わすことは難しく、したがって結果としてのデバイスの適用が制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特定の問題は、反射ピークが変わらない格子を与えるように、導波路チャネルの長さに沿って非常に均一な有効屈折率を有する必要性から生じる。しかしながら、導波されるモードの有効屈折率は、リソグラフィおよびエッチング技術によってチャネルが画定されるとき、正確に制御することが難しいチャネル寸法に強く依存する。
【0010】
UVチャネル書き込み技術が使用されるなら、導波路層のほとんどの感光度は、チャネルと層の残りの部分との間の屈折率差の画定に使い尽くされ、UV干渉パターンへの露光を介して十分に強いブラッグ格子を作るために利用可能な屈折率変化はわずかしかない。
【0011】
したがって、ブラッグ格子を有するプレーナ導波路を製造する改善された方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、サンプルに、屈折率の増大された導波路チャネルを書き込む方法に向けられ、チャネルは幅および経路を有し、方法は、
特定の波長の光に感光する感光領域を有する材料のサンプルを提供するステップと、
特定波長で、高い強度および低い強度の縞の周期的強度パターンおよびチャネルの幅に関連する幅を有する光のスポットを生成するステップと、
感光領域内にスポットを配置するステップと、
屈折率における変化を生み出すために光スポットに感光領域の部分を露光することによってチャネルを画定するために、チャネルの経路に沿って、サンプルと光スポットとの間に相対移動を引き起こすステップとを含む。
【0013】
方法は、単一の製造ステップで導波路および格子の同時の画定を可能にする。露光、相対移動、光スポットの強度、および縞パターンの周期を変化することによって、導波路および格子強度、導波路に沿った格子長さおよび位置、および格子周期を含む多くの特性に対する調整が行われることができる。したがって、様々な光導波路デバイスは、迅速にかつ容易に作られることができる。
【0014】
相対移動が一定速度であるなら、単一の導波路部分が書き込まれることができ、光スポットに対する露光は、屈折率における均一な変化を生み出すために相対移動の間に連続する。
【0015】
光スポットへの露光は、前記チャネルに沿う屈折率における周期的な変化を生み出すために前記相対移動の間に断続的であるなら、格子が書き込まれることができ、周期的な増大はブラッグ格子を画定する。
【0016】
チャネルの経路が感光性領域を介して描かれたとき、2つのレジーム間のスイッチングは、導波路チャネル内に一体に形成された格子とともに、複雑な導波路構造が作られることを可能にする。これは、導波路が最初に書き込まれ、格子がその後に頂部上に課される2ステップの従来技術に関連する位置合わせの問題を回避する。本発明によれば、任意の格子は、常に定義によって導波路と完全に位置合わせされた状態で作られ、格子と導波路の光学モードとの間に最適な重なりが存在する。したがって格子効率は改善される。
【0017】
このように複雑な光学デバイスを製造する能力は、大きな利益を与える。高品質な格子は、所望のように任意の導波路チャネル構造に統合されることができ、統合された光学デバイスの製造は非常に単純化される。リソグラフィ、エッチング、位相マスク製造、および位置合わせなどの重要なステップに関する従来技術は取り除かれ、方法を、現在使用される技術よりフレキシブルに、より低価格に、かつより実施を単純にする。
【0018】
さらなる利点は、従来の2ステップのUV書き込み技術に関連する感光性の損失の問題が対処されることである。均一な導波路チャネルがUVビームで書き込まれるなら、任意のさらなるUV書き込みのためのわずかな感光性しか残されず、非常に弱い格子を形成することしかできない。本方法は、両方の均一な格子部分を形成するために、同一の書き込みステップおよび書き込みビームを使用することによってこれを解消し、格子は、低減された感光性の領域に上書きする必要はない。
【0019】
断続的な露光は、チャネルの経路に沿った複数の隣接する露光を含むことができ、好ましくは隣接する露光は、各露光において光スポットにおける少なくとも1つの高い強度の縞が、前の露光における高い強度の縞に対して既に露光された感光性領域の一部を露光するように重なる。これは、光スポット強度における任意の変動を平均化して取り除き、または光スポットの相対移動または相対位置におけるわずかな誤差を平均化して取り除き、格子における全ての面は、実質的に等しい屈折率変化によって形成され、改善された格子性能を与える。
【0020】
1つの実施形態において、各隣接する露光は、屈折率における結果としての周期的な増大が、光スポットの周期的な強度パターンとは異なる周期を有するように、正確な重なり合いからオフセットされる。これは、物理的な調整が書き込み装置に行われる必要が無いので、同一の書き込みプロセスの間に異なる周期を有するいくつかの格子を書き込む簡単な方法である。実際に、露光繰り返しレートおよび相対移動は、適切な重なりを提供するように制御されることができ、これは、コンピュータ制御を使用することによって有利に行われる。このように、適切なコンピュータプログラムが、任意の所望の導波路構造を製造するように、書き込み装置を制御するために提供されることができる完全に自動化された書き込み方法が提供される。
【0021】
周期性の周期が、チャーピングされまたはアポダイゼーションされたブラッグ格子、または任意の位相シフトを含むブラッグ格子を定義するように屈折率変化を増大するように、オフセットが配置されるなら、フレキシビリティがさらに増大されることができる。標準の位相シフト格子、チャーピングされた位相シフト格子、アポダイゼーションされた位相シフト格子、または任意の位相シフト格子を含む導波路デバイスは、このように1つのステップで書き込まれることができる。これは、非常に精密であり正確なデバイスが製造されることができるので、コンピュータ制御を使用して実行されるなら特に有利である。
【0022】
一実施形態において、相対移動は、傾斜した格子を画定するように周期的な強度パターンに対して垂直ではないように配置される。これは、相対移動を提供するために適切な並進ステージを使用して容易に達成されることができる。同一の装置は、したがって、傾斜した格子および傾斜していない格子を書き込むために使用されることができ、両方のタイプの格子は、単一の製造ステップで単一の導波路構造に書き込まれることができる。傾斜した格子は、光を方向付けまたは後方反射を低減するために使用されることができる。
【0023】
有利な実施形態において、光スポットは実質的に円形である。したがって、スポットは、従来技術の教示に従って格子を書き込むために使用される、大きなおよび/または長く延ばされたパターンより小さいので、縞をあまり含んでいない。これは、格子がより小さい区間で構築されるので、格子の位相特性における迅速な変化は、非常に小さい距離にわたって達成されることができることが有利である。これは、位相符号化および位相シフトを含む格子などの適用において特に有利である。より少ない縞の使用は、上述のような複数の重なる露光の平均化の利点が制限されることを示唆することができる。なぜなら、各格子面は、大きなスポットで生じるような数百回でなく、一般に約数十回しか重ね書きされないからである。しかしながら、現在までの結果は、高品質の格子が少ない量の平均化で達成されることができることを示した。これは、わずかな位相誤差を有する十分に高い品質の格子が、多くの縞を有する大きなスポットを使用してだけ、したがって多くの重なる露光を使用してだけ達成されることができる従来技術における一般的な考えとは矛盾するので、驚くべき結果である。もちろん、そのような大きなスポットの使用は、同時の導波路および格子書き込みとは完全に両立しない。なぜなら、スポットサイズは、任意の所望の導波路チャネルの寸法をはるかに超える格子が必要であると考えられるからである。
【0024】
円形スポットのさらなる利点は、湾曲した導波路および格子を、従来の長く延ばされた縞パターンを使用して達成されることができるより非常に細かな細部および精度で書き込まれることを可能にすることである。したがって、UV書き込みを使用して製造されることができるデバイスの範囲は増大する。
【0025】
したがってチャネルの経路は、実質的に直線であることができ、または1つ以上の湾曲を含むことができる。さらに、チャネルの経路は、2つ以上の相互接続部分を含むことができる。これは、マッハチェンダー(Mach-Zehnder)干渉計構造などの複雑な導波路デバイスが書き込まれることを可能にする。
【0026】
光スポットは、干渉パターンを形成するためにある角度で光の2つのビームを交差することによって、または代わりに位相マスクを介して露光することによって生成されることができる。
【0027】
おそらくは光スポットの低い強度の縞は、ゼロより大きな強度を有する。これは、格子の区間に関して導波路特性を提供することを助ける。なぜなら、格子の低い屈折率面は、囲む感光性材料にわたる所定のわずかな屈折率の増大であるからである。
【0028】
また光スポットは、偏光光から生成されることができ、偏光は、屈折率における変化を修正するために制御されることができる。この修正は、格子縞のコントラスト、すなわち高い屈折率面と低い屈折率面との屈折率の比を変更するために使用されることができる。また、導波路の複屈折がこの技術によって変更されることができる。
【0029】
方法は、さらにスポットの位置付けを繰り返すことと、前記チャネルの経路と実質的に同じ経路を有する1つ以上の追加のチャネルを画定するように相対移動を生じさせることとを含むことができる。この特徴は、格子および/または均一な導波路を、前の構造上に書き込まれることを可能にし、製造されることができるデバイスの複雑性がさらに増加される。サンプルの高い精度の再位置付けが達成されることができるので、コンピュータ制御の使用はこの特徴を強化する。
【0030】
感光領域は、感光性を強化するように水素および/または重水素で充填されることができる。水素および/または重水素は、サンプルに固定されることができる。代わりに方法は、サンプルを光スポットで露光する前に、感光領域に水素および/または重水素を充填するためにサンプルを充填プロセスにさらすことをさらに含むことができ、また、サンプルを光スポットに露光する前に、感光領域に水素および/または重水素を固定するために、充填プロセス後に熱固定プロセスにサンプルをさらすことをさらに含むことができる。充填することおよび固定することは、感光領域の感光性を改善し、屈折率におけるより大きな増大が生じられることができ、またはより弱い光スポットが使用されることができる。
【0031】
本発明についてより良く理解するために、また本発明をどのように実施することができるか示すために、次に、例として添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
感光性材料が紫外光で露光されるとき、その屈折率は永続的に変更される。変更は、増大または減少とすることができる。ゲルマノシリカなどの材料において、増大は、紫外フルエンスの最も高いレベルを除いて作られる。この効果は、周囲の材料よりも大きな屈折率を有する材料のチャネルを作るために、紫外光の強いスポットで所望の経路を描くことによって、材料のサンプル内に導波路チャネルを画定するために使用することができる。高い屈折率材料と低い屈折率材料の平面のアレイを含む光学格子(ブラッグ格子)は、感光性材料を高い強度と低い強度の縞を有する光のパターンで露光することによって同様に生成することができ、パターンの高い強度部分は、高い屈折率材料の平面を作る。本発明は、導波路チャネルとチャネル内の格子の同時の書き込みを可能にするためにこれらの技術を組み合わせる。
【0033】
第1の実施形態
図1は、本発明の実施形態による方法を実行するのに適した装置1の概略図を示す。装置は、例えば244nmで周波数二重化された出力を有する連続波アルゴンイオンレーザなどの紫外光を生成するために動作可能なレーザシステム10を備える。レーザシステム10の出力ビームは、光のパルスを形成するようにビームを変調またはストローブするために動作可能な音響光学変調器12を通過する。空間フィルタ13は、ビーム品質を改善するために変調器の後に配置される。ビームは、次に一連のミラー14を使用してビームスプリッタ16に向けられ、ビームスプリッタ16は、2つの等しい部分にビームを分割し、各ビームはその独自に経路をたどる。さらに独立して可動なミラー18は、部分が交差部で重なるように集束レンズ20を介してビームの2つの部分を再び方向付け、周期的な一連の明るいおよび暗い強度の縞を有する光のスポット22を含む干渉パターンを形成するように干渉する。縞の周期は、ミラー18を介して調整されることができる交差角度で管理される。集束されたビームは、交差がビームウエストで生じることを確実にするように、適切なサイズの参照ピンホール(図示せず)を介して向けられることができる。
【0034】
導波路チャネルが書き込まれるべき材料24のサンプルは、光スポット22が、サンプル24内の感光性領域に配置されるように構成される。サンプル24は、光スポット22に対してサンプル24を移動するように動作可能な直線並進ステージ26上に支持され、スポット22は、感光性領域を通って移動しかつ所望の構成で屈折率増大を生じる。コンピュータプロセッサなどの制御ユニット28は、並進ステージ26および音響光学変調器12に接続され、光のパルス状出力が、並進ステージ26、したがってサンプル24の移動に同期されることを可能にする。代わりにまたは追加して、制御ユニット28は、米国コネチカット州ミドルフィールド(Middlefield)のジード社(Zygo Corporation)から入手可能な干渉計などの干渉計を含むことができる。これは、音響光学変調器12を制御するために使用される並進ステージ26の位置の非常に正確な測定値を提供し、正確な位置制御、したがって高い格子およびチャネル品質を与える。
【0035】
図2(a)は、より詳細に例示的なサンプル24を示す。サンプルは、5層構造を有する。基板は、ほぼ厚み1mmのシリコンウエハ30上に製造される。このウエハ上に、厚み2〜10μmの熱酸化物層31が高温流酸化によって成長される。次にアンダークラッド32が成長される。これは、火炎加水分解堆積などの任意の適切な技術によって行われることができる。この例において、アンダークラッド32は、アンダークラッド32がシリコンウエハ30の融点の温度より低い温度で固化することを可能にするために、リン、ボロン、およびおそらくは低レベルのゲルマニウムでドープされる。アンダークラッド32は、6〜20μmの厚みを有し、かつ導波路における光学場をシリコンウエハ30から離して維持する作用を有する。厚み4〜10μmの厚みのコア33は、アンダークラッド32上に製造される。コアは、高い感光性を提供するために高いレベルのゲルマニウム(2〜15mol%)のドーパントを有する。すずなどの代わりの感光性ドーパントも使用されることができる。最後に、同様におそらくは低いレベルのゲルマニウムを含むドーパントを有するオーバクラッド34が、コア33上に堆積される。オーバクラッド34は、アンダークラッド32に対してほぼ屈折率整合される。アンダークラッド、コア、およびオーバクラッド層は、固化温度が各連続層に関してより低くなり、これらの層が、下にある層を再溶融することなく交互に固化されることができるように好ましくは設計される。したがってオーバクラッド42は、最も低い固化温度を有する。
【0036】
オーバクラッド34およびアンダークラッド32に存在することができるわずかな量のゲルマニウムは、固化を成功することを可能にしまたは屈折率を整合するために使用される。UV露光によって書き込まれる任意の屈折率構造をわずかに延長する傾向がある。しかしながら、濃度が低いなら、導波路品質は許容される。
【0037】
コア33内のゲルマニウムは、2つの目的に役立つ。第1に、コア33がオーバクラッド34およびアンダークラッド32より高い屈折率を有するように、それは、シリカの屈折率を増大する。これは、コア33に対する光閉じ込め導波路特性を与える。第2に、ゲルマニウムは、シリカに感光性にして、その屈折率は、紫外光の露光によってさらに増大されることができる。したがって、紫外光の強く集束されたスポットが、コア33に向けられかつそれを通って移動されるなら、それ(オーバクラッド34およびアンダークラッド32)およびそれ(コア33の露光されていない部分)の両側の材料より高いおよび低い両方の材料より高い屈折率を有するチャネル材料が形成される(書き込まれる)。図2(b)は、そのようなチャネル36が書き込まれたサンプル24の端面図を示す。
【0038】
代わりに、コア層33が、UV書き込み前にオーバクラッド34およびアンダークラッド32と同じ屈折率を有するサンプルが使用されることができる。これは、コア層33にボロンおよび/またはフッ素を添加することによって、またはクラッド層32、34にリンを添加することによって、または両方によって達成されることができる。コア33を、書き込み前にクラッド層32、34と同じ屈折率を有するようにすることによって、その後に書き込まれる導波路は対称的であり、他の構成要素と導波路を統合するときに、ファイバモードおよび開口数に対する良好な屈折率整合を得ることがより容易である。さらなる代わりの実施形態において、コア33は、クラッド層32、34の屈折率より低い初期の屈折率を有することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、ゲルマニウムドープされたシリカコア層33の感光性は、ゲルマニウムシリカマトリクスに拡散する重水素または水素で材料を充填することによって増大される。これは、約100倍に感光性を増大することができる。充填は、熱固定(または他の固定方法)にサンプルをさらすことによって改善することができる。室温での重水素の外部拡散は、高圧での充填されるサンプルに関して数時間に対して、約20分で自然に生じる。増大された感光性は、重水素または水素の存在に依存し、したがって充填されたサンプルは迅速に書き込まれなければならず、または外部拡散を遅くするために書き込みの間に低い温度で維持されなければならない。熱固定は、より長い期間、一般的には数日、数週間、または数ヶ月に関して感光性を維持させる作用を有する。ほとんどの水素または重水素は、固定に使用される高温で迅速に外部拡散するが、残った水素または重水素が感光性維持を与える。これらの態様は、後でより詳細に議論される。
【0040】
図1の装置を使用する本発明の実施形態を実施するために、サンプルが、第1に正しい高さに配置され、光スポット22が、感光性コア層または領域33に集束される。理論的に、その1/e2の強度によって定義される集束されたスポットの幅は、チャネルの所望の幅に等しいように構成され、適切なサイズの屈折率変化を作ることができる。しかしながら実際には、結果として生じるチャネルの実際の幅は、スポットサイズから異なることがある。これは、一般的に以下を含むいくつかの要因のためである。すなわち、飽和によって影響を受けることがあるUV書き込みに対する屈折率応答、さらなる屈折率増大を生じるスポット外側への散乱の存在、および周囲の領域へ拡散するチャネル領域における加熱である。したがって一般的に、所望の幅のチャネルを作るために、どのようにスポットサイズがチャネル幅に関連するのかを決定するために、これらの要因を考慮する必要がある。
【0041】
したがって並進ステージを使用して、サンプル24は、正しい高さに維持されている間にスポット22に対して移動され、スポット22は、感光性領域を通る経路を描き、かつ導波路チャネルを形成する。チャネルは、一般的に周囲の材料より高い屈折率を有する領域として定義される。本発明に関連して、これは、2つの方法の1つで達成される。
【0042】
第1に、一定の均一な屈折率値を有する均一なチャネル導波路構造は、一定強度で光スポットを維持し、かつ一定速度でサンプルを並進することによって書き込まれることができる。静的なとき、一連の高いおよび低い屈折率の面を形成する光スポットにおける縞の作用は、連続する移動および露光により平均化して取り除かれ、屈折率における一定で均一な変化が作られる。したがって、光スポットの幅と同じ幅を有する導波路チャネルが、感光性領域内に形成される。
【0043】
第2に、一連の高いおよび低い屈折率面を備えるブラッグ格子は、同じ装置および同じ光スポットを使用して書き込まれることができる。これを行うために、光スポットの一連の隣接する露光が、格子/導波路の所望の経路に沿った感光性領域の連続する小さな部分を露光するために使用される。これは、格子を構築するために、サンプルをステップ状に移動し、かつ各ステップに関して短い時間でサンプルを露光することによって実行されることができる。改善された格子品質は、各露光の間で隣接する明るい縞の分離によって、スポットおよびサンプルの相対位置を変化させることによって達成されることができる。したがって各格子面は、多くの重なる露光によって形成され、多くの重なる露光は、位置における任意のわずかな誤差または強度における変動を平均化して取り除く。光スポット22の縞パターンが、暗い縞がゼロでは無い強度を有するように構成されるなら、格子の低い屈折率の面は、周囲の材料の屈折率よりわずかに高い屈折率を有して形成され、導波路チャネル内の格子が単一のプロセスで書き込まれる。代わりに、弱い導波路チャネルは、連続する移動および低い強度での露光を第1に使用して書き込まれ、格子が、UV光のより高い強度を使用してその後に頂部上に書き込まれることができる。
【0044】
好ましくは干渉計を含むコントローラ28は、このプロセスを制御するために使用される。干渉計は、コントローラ28によって供給される並進ステージの位置を測定する。これに応答して、コントローラは、露光の間に適切な量だけ制御ステージを移動し、また移動と同期して音響光学変調器を動作して、光のパルスが、サンプルが正しい位置にあるときに各露光を与えるように生成される。これは好ましくは、非常に短い露光(短いパルス持続期間)で屈折率における十分へ変化を生じるのに十分な高い強度を使用して達成され、一定速度で連続されるサンプルの移動を平均化し、サンプルの適切な部分が露光スポット下を通過するときに露光がなされる。
【0045】
この技術は、光スポットの幅に等しい幅を有する高品質な格子、およびしたがって同じスポットを使用して書き込まれる任意の導波路チャネルの幅にも等しい幅を有する高品質な格子を製造する。したがって、1つ以上の統合された格子を含む複雑な導波路構造が、構造の経路がサンプルを通して描かれるときに適切な回数で連続露光からパルス露光に変更することによって、単一の同時の書き込みステップで書き込まれることができる。従来技術の方法に従う2つの別個のステップにおけるチャネルおよび格子の形成から生じる全ての位置合わせの困難性は回避される。
【0046】
図3および図4は、簡単な形態で、どのようにそのような構造が達成されるかを示す。図3は、3個の高い強度(明るい)縞40と3個の低い強度(暗い)縞42とを有する光スポット22を示す。図4は、このスポットで書き込まれた導波路構造44を示す。サンプルが一定速度で移動する間に光スポットに対する連続露光は、第1の均一な導波路セクション46を与える。次に、格子48は、一連の重なる離散する露光を使用して形成され、各露光は、前の露光よりさらに明るい縞の露光である。最後に、連続露光は、第2の均一な導波路セクション50を書き込むために再び開始される。
【0047】
実験結果
このタイプの導波路/格子構造は、図2(a)に関して記載された構造を有するサンプルに書き込まれる。サンプルは、火炎加水分解堆積(Flame Hydrolysis Deposition、FHD)を使用して製造される。いくつかのサンプルは、サンプル内に熱固定された重水素でゲルマニウムドープされた感光性層を充填することによって感光性が増大される。増大されたサンプルおよび増大されないサンプルの両方は、成功して使用される。
【0048】
いくつかの例において、光スポットは、22.5°の交差角度で生成され、かつ6μmの1/e2のスポットサイズにレンズを用いてビームを集束する。光は、244nmの波長で連続波出力を与える周波数二重化されたアルゴンイオンレーザを使用して生成された。これは、552.8nmの縞周期を有する干渉パターンを与えた。
【0049】
図5(a)は、透過率T(実線)および反射率R(破線)に対する波長λのグラフとして、このように形成されたブラッグ格子の1つからの一般的な測定された応答を示す。サンプルは、熱固定される。これから、約60%の反射率および10mmの格子長さに関して約0.14nmの帯域幅を有する、比較的十分に画定された格子が形成されることがわかる。格子パラメータがさらに最適化されることができるが、最適化されていない構造からの比較的清浄な格子応答の製造は、格子内に存在する全ての位相誤差がわずかであり性能を劣化させないことを示唆し、サンプルに沿ったスポットのステッピングが、小さなスポットサイズにも関わらず良好な精度で実行されることが予想される。
【0050】
図5(b)は、熱工程されたサンプルにまた書き込まれた代わりの格子からの同様の測定された応答を示す。この場合、反射率は約80%である。
【0051】
光スポットにおける縞周期は、ブラッグ格子の周期、したがってその波長応答を直接決定する。縞周期は、光スポットを生成するために使用される交差角度を変更することによって修正されることができる。図6(a)および図6(b)は、重水素では充填されていないサンプルにおける様々な縞周期Λを使用して製造され、かつ異なる偏光(TMおよびTE)を使用して特徴付けられた格子に関するピークの反射された波長λのグラフとして、そのような修正の結果を示す。線形の関係は、ブラッグ格子の周期は、露光の間に並進されたサンプルの長さにおける線形変化に従い、それによって格子周期にわたる完全な制御を与えることを示す。格子周期の広い範囲は、したがって、異なる交差角度に対する2つの干渉ビームの簡単な再位置合わせによって容易に利用可能である。2つの偏光に関する応答の比較は、3×10-5の格子複屈折を示す。
【0052】
生じた屈折率変化の量は、格子書き込みに使用された光スポットの強度(またはフルエンス)に応じる。ブラッグ格子の場合に、より高い変化は、格子の強度を決定する高いおよび低い屈折率面間の増大された屈折率差を与える。導波路チャネルに関して、高い変化は、高い有効モード屈折率neff、したがって強い導波路を与える。これらの要因は、光スポットの強度、露光時間、並進速度、および露光レートのデューティサイクルを変更することによって無関係に制御されることができる。
【0053】
図7は、様々な格子を書き込むために使用される光スポットのフルエンスFに対する、様々な格子の高い有効モード屈折率の従属性を示すグラフである。予想されるように、より大きなフルエンスは、より高い有効モード屈折率を与えるが、感光性が最終的に飽和するので関係は線形ではない。
【0054】
格子から反射される信号の強度は、格子長さとともに増大する。この効果を例示するために、同一の格子周期を有する様々な長さの多数の格子が、同じフルエンスの光スポットで書き込まれた。結果は、格子長さLに対する反射された信号の強度Iのグラフとして図8に示される。
【0055】
さらなる実施形態
波長の調整を外す
光ファイバへの格子のUV書き込みで使用されるような波長の調整を外す確立された技術は、本発明に適用されることができる。それは、異なる格子周期が、光スポットを生成するために使用される同じ交差角度に関して書き込まれることを可能にし、ブラッグ格子を書き込むために使用される複数の連続する露光とともに使用される。上述された方法において、露光は、明るい縞および暗い縞が、前の露光の明るい縞および暗い縞と重なるように注意深く位置合わせされる。これは、所定の並進速度に関する露光の繰り返しレートまたは周期が、干渉パターンの周期に整合されることを確実にすることによって達成される。しかしながら、これら2つの周期が、故意に整合されない(調整を外される)なら、重なりはより不正確になり、格子面の幅および/または周期は、各面が連続する露光で多数回にわたり書き込まれるときに変更される。この技術は、アポダイゼーションされたまたはチャーピングされた格子、および位相シフトを有する格子を作るために使用されることができる。なぜなら、格子内の周期は、露光レートおよび/または並進速度を単に修正することによって、知られており連続する方法で変更されることができる。
【0056】
本発明に関して、技術は、異なる周期の格子が1つの書き込みプロセスで単一のサンプルに書き込まれることも可能にする。さらに、従来技術の方法における長く延ばされた光パターンに比べて、本発明の実施形態における小さな円形光スポットの使用は、より広い範囲の波長が、露光繰り返しレートを変更することによって調整を外して、所定の縞周期で書き込まれることを可能にする。幅広い範囲のピーク反射率(ほぼ1530nmから1580nm)を有するブラッグ格子のアレイは、この技術を使用して単一のチップ上に製造される。各格子は、光スポットを作るために使用される2つの集束されたビーム間に同一の交差角度を使用して書き込まれる。
【0057】
図9(a)は、格子周期Λに応じたこれら格子のピーク波長反射率応答λを示す。
【0058】
複数の重ね合わされた格子
材料の単一のセクションが、異なる周期または特徴のブラッグ格子で数回重ね書きされる構造も、本発明の実施形態を使用して成功することが示された。これは、格子幅に対応する寸法を有する小さな光スポットを使用して可能にされる。なぜなら、前に書き込まれた格子との正確な位置合わせは、容易に達成されることができるからである。これは、並進ステージおよび音響光学変調器のコンピュータ制御を使用して強化される。サンプルは、正確にかつ繰り返し正しく位置決めされることができ、光スポットは、前に書き込まれた場所に正確に再び配置されることができる。波長の調整を外すこと(露光繰り返しレートを変更することによって)は、格子から格子への格子周期を変更するために使用される。したがって、完全に複雑な構造が、簡単にかつ迅速に自動的な方法で書き込まれることができる。干渉計で生成された光スポットを使用することは、それが位相マスクの位置合わせに関する必要性を排除するので、これに関して特に有利である。
【0059】
複数の重ね合わされた格子は、複雑な専用に合わされたスペクトル応答を有する非常に短いデバイスを作るために使用されることができ、それは、UV露光されたサンプルにおける感光性の特徴および屈折率変化における有効なツールである。
【0060】
図9(b)は、本発明による方法を使用して製造される4個の重ね合わされた格子を含む格子構造のスペクトル応答を示す。4個の格子の個々の反射率ピークは、明瞭に見られることができ、中間の波長で反射された信号の一般に低いレベルは、達成される格子の相対位置合わせの高い精度を示す。
【0061】
重ね書き込み
上述のような複数の重ね合わされた格子に加えて、本発明の実施形態は、前に書き込まれた構造を重ね書き込みすることによって形成される他の重ね合わされた構造の製造に関する。例えば、弱い均一な導波路チャネルは、低い強度の光スポットで連続露光を使用して最初に書き込むことができる。次に、統合された格子構造を有するより強い導波路チャネルは、より強い光スポットで連続しかつパルス状の露光の間に適切な切り替えを使用して、頂部上に書き込まれることができる。これは、ゼロ強度の暗い縞を有する光スポットが使用されるなら有利である。なぜなら、弱いチャネルは、低い屈折率格子面に屈折率変化を導入することによって、格子の導波路を画定することを助ける。代わりに、これらの段階は逆転されることができ、第2の均一なチャネルは、前に画定された導波路および格子構造上に書き込まれることができる。重ね書き込みの任意の組み合わせにおいて、並進ステージのコンピュータ制御は、以降の構造が、存在する構造に正確に位置合わせされることができるように、繰り返し可能なサンプル位置付けを与える。また、全ての書き込みを実行するために単一のスポットの使用は、同一の幅を有するチャネルおよび格子を結果として生じ、案内される光学モードと格子との間の良好な重なりが存在する。これは、格子の効率を改善する。
【0062】
格子スペクトル応答
「実験結果」の部分で上述された例は、約1500nmのスペクトルを有する格子に関連する。しかしながら、本発明は、それに限定されず、サンプル材料の光学透過範囲内の任意の波長で動作する格子を書き込むために使用されることができる。上述のように、格子周期は、光スポットの縞周期を変更することによって(例えば、2つの干渉ビームの交差角度を変更することによって)、または波長の調整を外すことによって容易に変更されることができる。これは、アポダイゼーションされた格子およびチャーピングされた格子を含む、広い範囲のスペクトル応答を有する格子が書き込まれることを可能にする。特に、以下の適用に関する格子に関心がある。
- 高密度波長デマルチプレックス(Dense Wavelength Demultiplexing、DWDM)通信適用に関する、およびこれらの波長での半導体レーザの外部波長ロッカーとしての使用に関する、1300nmおよび1550nmの格子、
- エルビウムドープされたファイバ増幅器(Erbium-Doped Fibre Amplifier、EDFA)のためのポンプレーザの安定化に関する、1480nmまたは980nmの格子、
- 平面レーザのためのエンドミラーとして、または分散されたフィードバックレーザのための位相シフト反射器としての格子、レーザは、例えば1060nmまたは1300nmでのネオジウム、エルビウム、エルビウム/イッテルビウムコドーピング、ホルミウム、プラセオジミウムなどの希土類ドーパントを組み込むレーザ、
- より短い通信波長帯域(1300nm)およびデータ通信で使用される750nmから900nmの範囲での使用のためのポリマーまたはガラスに書き込まれる格子、および
- 平面Ti:サファイヤレーザ、平面光学パラメトリック発信器(Optical Parametric Oscillator、OPO)などの他の統合された光学デバイスのためのミラーとしての格子。
【0063】
傾斜した格子
傾斜した格子は、格子面が、より一般的な垂直配置でなく、導波路チャネルに方向に対してある角度で配置される格子である。この格子構成は、光が、案内されないモードまたはクラッドモードに完全に結合され、反対方向に導波路に反射して戻らないことを意味する。これは、例えば反射して戻ることが少ない透過フィルタを作るのに魅力的である。また、傾斜の角度は、光が導波路から放出される方向を制御することができ、格子は光を向けるために使用されることができる。面が垂直からシフトされる角度は、1°または2°と同じ程度または約45°までとすることができる。
【0064】
図9(c)は、傾斜した格子の概略図を示す。導波路チャネル150は、その内に画定された格子152を有する。格子152の面154は、チャネル150の長さに対して垂直ではなく、むしろ中間角度で配置される。
【0065】
本発明は、傾斜した導波路構造の製造に適用されることができる。適切な1つ以上の並進ステージを使用することによって、サンプルは、光スポットが格子構造を製造するためにパルス状にされまたは変調される間に、光スポット内の書き込みパターンのベクトルに対するある角度で並進されることができる。
【0066】
図9(d)は、その上に向けられた光スポット158を有するサンプル156の平面図を示す。従来の格子を生成するために、サンプルは、光スポットにおける縞に対して垂直である矢印60によって示される方向に沿って並進される。これは、チャネルの長手方向に垂直な面を有する格子を与える。しかしながら、矢印162によって示されるような、光スポット縞に対して垂直と平行との間の中間である、ある角度で並進され、傾斜した格子164は、図において破線で示されるように生成される。
【0067】
長い周期の格子
本発明の方法は、対応して長い縞周期を有する光スポットを使用して、長い周期の格子を書き込むためにも使用されることができる。長い周期の格子は、一般に10μmから500μmの平均格子周期より長い格子である。このタイプの格子は、クラッドへの伝播を送るための結合を提供するために使用されることができる。
【0068】
二次元導波路構造
本発明の実施形態による小さな一般に円形の光スポットを使用する有意な利点は、小さなスポットが湾曲した経路を正確に描くので、二次元導波路チャネルは容易に書き込まれることができる。これは、従来の格子書き込み技術で一般に使用される長く延ばされたスポットでは不可能である。したがって、前にファイバ形式で実施されることが必要な、または平面導波路デバイスとして実施される複雑でかつ不正確な技術が必要な広い範囲の二次元光学構造は、本発明の単一ステップの直接UV書き込みプロセスによって小型の平面形式で作られることができる。
【0069】
このために、広い範囲の統合された光学構造およびデバイスに必要な多くの構築ブロックを備えるマッハチェンダーベースの構造が製造される。これらは、直線チャネル、湾曲したチャネル、sベンド、yスプリッタ、および統合されたブラッグ格子を含む。特に、波長分割多重化および通信システムのための統合されたアドドロップデバイスの複雑なアレイの製造が可能である。そのようなデバイスの例は、2つのアームを有するマッハチェンダーデバイス、傾斜した格子を有するゼロカプラベースのアドドロップマルチプレクサ、およびアレイ状の導波路格子である。さらに、あるセクションが、本発明を使用して製造され、かつ他のセクションが導波路および格子を画定するために従来技術を使用して製造されるハイブリッドデバイスが作られることができる。そのようなハイブリッドデバイスの例は、ミラーとして作用する各端部にUVで書き込まれた格子と組み合わされた希土類ベースコアを有するものである。
【0070】
多数の知られている、これら構築ブロックを特徴とする平面導波路デバイスが、本発明の幅広い適用可能性を示すために記載される。様々な利点が、本明細書で記載される方法を使用して与えられる。
【0071】
図10は、一般的なデバイスであるマッハチェンダー干渉計を利用するアドドロップマルチプレクサの概略図である。デバイスは、一対の3dBカプラ112、114によって、2つの点でともに結合される一対の導波路チャネル108、110を備える。チャネルの端部は、入力ポート100、出力ポート102、アドポート106、およびドロップポート104を提供する。各チャネルは、ブラッグ格子を含み、結合とともにこれら格子の反射率が、アドドロップ機能性を提供する。そのようなデバイスの詳細な記載を欧州特許第A1-0909963号[5]に見出すことができる。本発明の使用は、従来の製造技術を使用して可能なチャネルおよび格子よりはるかに正確な書き込みを可能にする。これは、不正確に書き込まれた構造の品質を改善するために従来技術で一般に使用される、ポスト製造UVトリミングの必要性を取り除くことができる。
【0072】
図11は、ブラッグ格子を備える簡単な導波路フィルタの概略を示す。一対の導波路チャネル120、122は、3dBカプラ124に結合され、それぞれ統合ブラッグ格子126を有する。図は、各チャネルが同一の波長応答を提供することを示すために、両方のチャネルを横切って延びる単一の格子を示す。しかしながら、本発明を使用して、一対の正確に整合された格子は、各チャネルに同時に書き込まれることができる。なぜなら、同一の光スポットおよび同一の露光繰り返しレートが、各格子を書き込むために使用されることができ、格子応答に非整合を作る可能性がある任意の中間調整の必要性は無い。使用において、複数の波長λ1からλNが1つのチャネルに入る。格子126は、他のチャネル120に沿ってフィルタを出る1つの波長λiだけを反射する。そのようなデバイスが米国特許第B1-6229938号[6]などにより詳細に記載されるように、この種類のデバイスは、AWGなどの統合されたデバイスの出力から望ましくない周波数成分を取り除くために使用されることができる。フィルタの製造は、本発明を使用してより容易に、より迅速に、かつ正確であることが予想される。
【0073】
記載される種類のフィルタおよびマルチプレクサは、格子の温度が変更されることを可能にするように修正されることができ、スペクトル応答を調整する。例えば米国特許第B1-6438293号[7]に、一例が見出されることができる。本発明を使用して、非常に正確なアポダイゼーションされかつ/またはチャーピングされた統合格子を書き込む能力によって、より大きな柔軟性および改善されたフィルタ応答が提供される。デバイス応答は、したがって特定の適用の要件に正確に整合されることができる。
【0074】
例えば国際特許公開第02/44780号パンフレット[8]に記載されるなど、本発明の方法に従って有利に作られることができるさらなるデバイスは、カプラでアシストされる格子である。図12に示されるように、このデバイスは、密に近接してチャネル132、134を配置することによって形成される2つの導波路チャネル132、134間のカプラ領域130を備える。ブラッグ格子136は、カプラ領域130を横切って書き込まれる。格子面の周期は、どの波長がカプラによって結合されることができるかを決定する。再び、デバイスは、正確に、簡単に、かつ迅速に書き込まれることができる。
【0075】
例えば英国特許公開第A-2308461号[9]に記載されるように、より複雑なデバイスが、FMからAMへの光学コンバータである。これは図13に示され、3dBカプラ142を形成するように配置される一対の導波路チャネル138および140を備える。カプラの後で、各チャネルは、統合格子144、146を有し、これらは、単調に反対にチャーピングされるように構成される。本発明を使用して任意のチャープの正確な格子を書き込む能力は、これをこのデバイスの製造に関して十分に適するようにする。
【0076】
本発明を使用する高品質に製造されることができるデバイスのさらなる例は、二次元のアドドロップマルチプレクサである[10]。なぜならデバイスは、格子の非常に正確な配置による。
【0077】
光スポットの生成
したがってさらなる記載において、光スポットは、干渉計プロセスによって生成される一方向で周期的な強度変調を含むパターンであるとして示される。しかしながら、明るいおよび暗い縞の適切なパターンを有するスポットは、代わりに画像形成技術よって生成されることができる。これらの代替実施形態は、より詳細に記載される。
【0078】
干渉計(またはホログラフィック)プロセスは、導波路構造が生成されるべき感光性領域の領域において、少なくとも2つのコヒーレントなレーザビームを重ねまたは交差することを含む。交差の領域において、レーザ光での波長によって画定される周期を有する干渉パターンおよび交差角度が形成される。交差されるべきビームは、単一の元のビームを複数のビームに分割する任意の要素を使用して作られることができる。屈折/反射光学装置または分散構成要素が使用されることができる。
【0079】
図14(a)は、ビームスプリッタ60が使用される反射/屈折光学装置を使用する第1の干渉計構成の概略図を示す。到来する光ビーム59は、ビームスプリッタ60によって2つに分割される。2つのビームは、ミラー62によって交差されかつレンズ70によって集束されるために向けられる。干渉計光スポット72は、したがって2つのビームが交差する形成される集束スポットである。ビームスプリッタを使用する利点は、ただ2つのビームが作られることである。しかしながら、結果としてのビームは、互いに対して空間的に反転され、有効経路長さは異なる、なぜなら1つのビームはビームスプリッタによって屈折され、他方のビームは反射されるからである。両方の要因は、以降のビーム経路のわずかな交互によって修正されることができる。
【0080】
図14(b)は、位相マスク74が複数のビームを作るために使用される、分散構成要素を使用する第2の干渉計構成の概略図を示す。この場合、到来するビーム59は、位相マスク74によって±1次の回析されたビームに回析される。ミラー62およびレンズ70は、次に、ビームを交差しかつ光スポット72を生成する前に使用される。このように位相マスクを使用する技術は、両方のビーム経路が、同一の空間プロファイルを有しかつ同一の有効経路長さを受ける利点を有する。しかしながら、位相マスクは、複数の回析次数(ゼロ次、±2次など)としてさらなビームも生成する。これらは、ビームパワーを浪費し、目的とする干渉パターンを劣化させる。
【0081】
両方の干渉計構成において、集束は、所望の寸法の光スポットを作るために使用されることができる。本発明に関して、これは、所望の導波路チャネル幅に等しい幅を有するスポットである。集束は、図14(a)および図14(b)に示されるような別個のビーム経路に関して独立のレンズ62を使用することによって、または分割前に到来するビームを集束することによって実施されることができる。
【0082】
対照的に、画像形成プロセスは、感光性領域上に所望の内部縞パターンを有するビームを画像形成することによって光スポットを生成する。画像は、所望のパターンを与える任意の構造であることができる。例えば、いくつかの縞を有する丸い光スポットは、倍率係数を含むことができる、位相マスク上に入射するビームを画像形成することによって形成されることができる。図15は、このように画像形成するために使用される装置の概略図である。到来するビーム78は、ビーム上に所望の縞パターンを形成する位相マスク80上に入射する。ビームは、次に、集束された画像面で所望の光スポット84を与えるレンズ82を使用して集束される。代わりに、単一の面または縞は、複数の露光を与えるビームの適切な変調によって格子を生成するために画像形成されかつ使用されることができる。しかしながら一般に、画像形成構成は、2つの干渉ビームより、より制限された場の深さを与える。したがって、干渉計技術は好ましい。
【0083】
UV光源の選択
光スポットを生成するために使用されるUV光の波長は、サンプル材料の感光性特性によって決定される。また光の強度および動作レジーム(連続またはパルス状)に応じて、格子は、タイプI(低強度)またはタイプII(高強度)であることができる。
【0084】
例えば、一般の感光性ドーパントのゲルマニウムでガラスマトリクスをドーピングすることは、180、213、240、281、325、および517nmの多数の光学吸収帯域を生成する作用を有する。最も強い帯域は、242nmにピークを有する240〜250nm範囲にある。ガラスの感光性は、UV光による吸収帯域のブリーチングから生じる。機構は、連続光源に関する光学化学的/光学機械的、およびパルス光源に関して光学熱的であることができる。
【0085】
上述の第1の実施形態において、244nmで動作する連続の周波数二重化されたアルゴンイオンレーザが、ゲルマニウムドープされたシリカに書き込むために使用される。この場合のレーザ源の適合性は、以下の要因によって決定される。
- ゲルマニウム吸収帯域のピークに対するソース波長の近接性
- レーザ源の良好なコヒーレンス長さ、良好な品質の干渉縞パターンの生成のための要件
- 良好なビームポンイティング安定性
- 比較的安価な源
【0086】
代わりの適切なUVレーザは、KrF(248.5nm)、ArF(193nm)、F2(157nm)などのパルスエキシマレーザ源である。パルスエキシマポンプされた周波数二重化ダイレーザ、またはパルス周波数二重化光学パラメトリック発信器が考慮されることができる。しかしながらエキシマレーザは、比較的高価でありかつ複雑な源である。193nmで感光性反応を励起することができ、機構は244nmとは異なる。またパルス動作は、導波路/格子の書き込みを熱損傷させる(タイプII)。これらの源のコヒーレンス長さは、非常に小さく、これらは、それを干渉計で生成する位相マスクを介する光スポットの画像形成により良好に適する。しかしながら、これらは、ラインを狭くすることが、コヒーレンス長さを増大するために使用されるなら、干渉計技術とともに使用されることができる。
【0087】
ブラッグ格子を書き込むために使用される複数の露光に関して、連続の周波数二重化アルゴンレーザの利点は、ビーム変調が、簡単な音響光学変調器とともに行われることができることである(図1参照)。パルスレーザの場合、並進ステージの移動と光スポットの露光との間の同期は、より複雑である。なぜならレーザ繰り返しレートが考慮されなければならないからである。パルスレートが、10kHzの程度であることができるので、実施の書き込み速度で、これは、任意のパルスレーザが非常に高い繰り返しレートで動作する必要があることを意味する。これは、エキシマレーザ、および周波数四重化のQスイッチNd:YAGレーザなどのレーザ源を、いくつかの例において適切ではなくする。しかしながら、モデルロックされたシステムなどの非常に高い繰り返しレートレーザは、出力が本発明の状況において擬似連続であるので実行可能である。銅蒸気などのいくつかの他の高い繰り返しレートレーザシステムも、適切であり得る。
【0088】
光スポットの偏光
光スポットを生成するために使用される光の偏光を制御することによって、格子を修正することが可能である。光スポットを生成するために2ビーム干渉計技術を使用するとき、2つのビームの偏光は、電界強度を変更するように構成されることができる。45°で交差しかつ交差の面に電界を有する2つのビームに関して、ゼロに等しい電界のベクトル合計は存在しないが、一方電界が交差の面に垂直であるなら、ベクトル合計がゼロであることができる。したがって干渉パターンにおける縞の強度は、変化することができ、次に格子特性が変化する。この技術は、格子強度および導波路の複屈折に影響を与えるために使用されることができる。
【0089】
光スポットの位置合わせ
精密で正確な格子および導波路書き込みを達成するために、サンプル内の光スポットの位置合わせは、書き込み中に注意深く制御されるべきであり、制限された厚みであることができかつ厚くないことができる感光性領域にそれが維持することを確実にする。例えば、導波路が書き込まれるウエハは、一般にわずかに曲がる。
【0090】
均一な導波路の直接UV書き込みの従来技術の方法において、単一のビームが、スポットに絞られ集束される。感光性領域に対する焦点の位置精度は、集束されたビームのレイリー範囲内に正確になければならない。これは、一般に10ミリメートルより長い。
【0091】
本発明の実施形態に関する位置公差は、干渉計に関しておよび光スポットを生成する画像形成技術に関して非常に低減される。画像形成プロセスにおいて、画像形成面から感光性領域の位置偏差は、結果として集束の損失を生じ、したがって格子構造のコントラストの損失を生じる。干渉計のアプローチにおいて、2つの集束されたビームが交差する領域の「深さ」は、スポットのサイズに比例し、かつ交差角度の符号に反比例する。シリカに通信適用に関して格子を書き込むために、これは、約20μmのスポット高さを与える。感光性領域内の光スポットの位置合わせが、約2μmほど小さく外れるなら、より少ない格子面が任意の1回の露光で露光される。位置合わせが、約10μmより大きく外れるなら、感光性領域の面積は、全く露光されない。したがってスポットの正確な位置決めは重要である。
【0092】
図16(a)および図16(b)はこの点を示す。図16(a)において、光スポット86は、サンプル90の感光性層88の中心に位置合わせされ、干渉計パターンが層88中に生成される。図16(b)において、光スポット86は、感光性層88上にわずかに中心合わせされ、干渉計パターンは、感光性層88内に部分的にだけ含まれ、かつ一部の格子だけが、層88の頂部だけに書き込まれる。
【0093】
任意の十分な精度の位置合わせ技術が使用されることができる。能動的な位置合わせ技術の一例は、機械的な二重ゲージ、またはサンプルの頂部表面の高さ位置を測定するために動作可能な非接触の干渉計システムなどのレベル測定システムとともに、サンプルを支持する並進ステージとして高解像度レベリングシステムを使用する。この種類のシステムは、頂部層が感光性領域であるサンプル、または感光性領域が常に頂部表面から固定された距離にあるサンプルに適している。いずれの場合において、光スポットの位置合わせは、ウエハの頂部表面の測定された高さに対して固定された高さにそれを維持することによって維持されることができる。
【0094】
より汎用性のある位置合わせ方法は、非常に低いパワーで入射光スポットによって生成されるサンプルの感光性領域からの輝度を監視することに基づく。これは、平坦ではない感光性領域を有するサンプルが、書き込みの前に平らにされることを可能にする。そのような方法の一例は、サンプルが常に最適な位置合わせにあることを確実にするために、サンプルフルオレセンスを介してサンプルの高さまたは感光性層の位置を監視するためにアクティブフィードバックシステムを使用する。この構成は、大きな平らではないサンプルが、例えば平坦ではない表面を結果として生じるウエハ曲がりを受けるシリカオンシリコンサンプルを最適に書き込まれることを可能にする。
【0095】
重水素または水素充填
前述のように、ゲルマノシリケート組成の感光性は、水素(H2)または重水素(D2)充填を使用することによって約100倍だけ強化されることができる。充填プロセスは、シリカマトリクス内にH2またはD2の拡散を含む。UV露光時に、充填された種は、ガラス内に組み込まれ、結果としてUVで生じた屈折率に関する相対値に有意な増大を生じる。
【0096】
H2/D2充填を介して強化された感光性を生じる機構は、2つのステップのプロセスとして説明されることができる。密に近接する水素分子を有するシリカマトリクス内のゲルマニウムサイトに光学的または熱的のいずれかでの十分なエネルギーの供給は、SiOHシリカマトリクス終端、および対応するゲルマニウム酸素欠乏中心(Germanium Oxygen Deficient Centre、GODC)の形成を結果として生じる[11]。ゲルマノシリケートマトリクス内の十分な水素または重水素の存在は、したがって理論的にGODCになる各ゲルマニウムサイトを結果として生じ、ゲルマニウムに依存する感光性の結果として関連する強化を有する。特に240nmで吸収されるGe2+欠陥のゲルマノシリケートガラス内のGODCは、ガラス内のUV感光性を生じると信じられる。追加の強化機構は、水素または重水素の存在が、GODCの光学ブリーチングの触媒として作用し、結果として屈折率の増大を生じる[12]。
【0097】
多数のさらなる機構は、基本的なゲルマニウムに依存する感光性に関する多数の可能な機構が存在するほとんど同じ方法で、ゲルマノシリケートのH2/D2充填に関して観測される感光性強化に寄与することが可能である。しかしながら、強化された感光性は、書き込みの間にUV吸収における増大を与え、したがって生じる機構に関わらず生じる屈折率変化を増大することは明らかである。本発明に関して、感光性強化は、より大きな屈折率変化が所定の光スポット強度で生じることができることが有利である。したがって、より強い格子およびチャネルが書き込まれることができ、かつ/またはより低いパワーの光源が使用されることができる。
【0098】
熱固定
熱固定のプロセスは、水素または重水素充填による感光性の強化にある程度の安定性を課す。熱固定されたサンプル内に書き込まれた格子は、一般に新たに充填されるが熱固定されないサンプルの書き込みパラメータより、書き込みパラメータに関して増大された予測可能性およびより大きな線形性で作用する。
【0099】
固定は、約10秒に関して高温オーブンに充填されたサンプルを配置することによって達成される。1200から1400℃の範囲の温度は、良好な結果を与えることが見いだされているが、他の温度も使用されることができる。このプロセスは、重水素または水素の外部拡散を抑制することによってシリカマトリクスに「固定」する。外部拡散時間は、数分から数ヶ月に延長される。
【0100】
材料
本発明による方法は、これまで議論されるゲルマニウムドープされたシリカに制限されない。それらは、幅広い様々な材料に書き込むために使用されることもでき、材料を感光性に作られることができるようにする。これらは、ポリマー、ガラス、結晶、および単結晶、多結晶、およびアモルファス材料を含む半導体、およびヘテロ構造を含む。
【0101】
導波路構造が書き込まれるべきサンプルの少なくとも一部における感光性領域を画定する必要がある。一般に、これは、感光性材料の埋め込まれた層を備える。そのような層は、イオン交換、直接結合、直接結合に続く固体イオン交換、ガラスのスピニング、エピタキシ、スパッタ成長、火炎加水分解堆積、およびプラズマ強化化学気相堆積(Plasma Enhanced Chemical Vapour Deposition、PECVD)などの方法によって製造されることができる。
【0102】
離散する感光性領域を形成する代わりの実施形態は、材料が、数ミクロンの寸法内のUV露光によって修正だけされる十分に小さい光学浸透深さを有する、材料のバルク感光性サンプルを使用することである。屈折率変化、したがって導波路/格子は、このようにサンプルの表面層に閉じ込められる。そのような場合において、これは微細な格子構造の書き込みを抑制するように、作用は主に熱であることが好ましい。
【0103】
感光性を提供するために使用されるドーパントに関して、シリカのゲルマニウムドーピングが広く使用される。リンおよび/またはボロンとのコドーピングも考慮されることができる。すず、チタン、アンチモン、アルミニウム、および窒素などのさらなるドーパント種は、書き込み波長での増大された吸収を介して、またはシリカマトリクス内に追加のUV修正可能な欠陥の導入を介して、シリカのUV感光性を増大することも予想される。
【0104】
負の感光性材料
前述の記載は、UV光への露光が屈折率における増大を作る、正の感光性を有する材料に向けられた。しかしながら、ある材料は、UV光で露光されたときに屈折率の低減を受ける[1]。これは、例えば、結果としてより低い密度とより低い屈折率を生じる光学熱膨張により、ガラスに比較的に普通である。ゲルマノシリカは、一般に正の応答を示すが、高いレベルのUVフルエンスで、屈折率は低減を開始する。
【0105】
本発明の方法は、正の材料と同様に負の材料に適応されることができる。ブラッグ格子は、正および負の両方の材料に同じ方法で書き込まれることができる。しかしながら、均一な導波路チャネルは、周囲の材料より高い屈折率を有する必要がある。負の材料において、これは、導波路チャネルの所望の経路の両側に低減された屈折率のチャネルを書き込むことによって達成されることができる。格子は、次に頂部にわたって書き込まれることができる。
【0106】
結論
ブラッグ格子を有する紫外で生じた導波路の同時画定の技術が示された。適切なブラッグ格子は、干渉パターンステッピングの使用を介して感光性サンプルに、直接にUV書き込みされる。結果としてのブラッグ格子の周期は、書き込みプロセスの間に、その後の干渉パターン露光に関する重なる周期に直接応じる。その技術は、導波路製造および以降の位相マスクを介する格子画定の従来技術の二段階プロセスと比較すると、プロセス時間および複雑性における著しい低減を可能にする。本技術の固有の柔軟性は、複雑な光学構造および統合された光学デバイスの設計ならびに実現において有利である。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態の特徴は、本発明者の刊行物において記載される[13]。
【0108】
[参考文献]
[1] “Fiber Bragg Gratings”, Raman Kashyap, Academic Press; ISBN: 0124005608; lst edition (May 15, 1999).
[2] “Low-threshold Nd-doped silica planar wave-guide laser", JR Bonar, JA Bebbington, JS Aitchison, GD Maxwell, BJ Ainslie, ELECTRONICS LETTERS, Vol 30(3): pp.229.230, Feb 3 1994.
[3] “Fiber Bragg grating technology fundamentals and overview", KO Hill, G Melt; JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, Vol 15(8): pp.1263-1276, Aug 1997.
[4] “Directly UV written silica-on-silicon planar waveguides with low loss", M Svalgaard, M Kristensen, ELECTRONICS LETTERS, Vol 33 (10): pp.61-863, May 8 1997.
[5] EP-A1-0909963
[6] US-BI-6229938
[7] US-B1-6438293
[8] W002/44780
[9] GB-A-2308461
[10] “Two-wavelength planar add/drop WDM filter employing a three-mode coupling Bragg grating", KW Gaff, F Ladouceur, JD Love, ELECIRONICS LETTERS Vol 36(13): pp.1142-1144, Jun 22 2000.
[11] “Mechanisms of hydrogen-induced losses in silica based optical fibers", A lino, M Kuwabara, K Kokura, JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, Vol.8(11): pp.1675-1679, Nov 1990.
[12] “Effects of elevated-temperature hydrogen exposure on short-wavelength optical losses and defect concentrations in germanosilicate optical fibers", RM Atkins, PJ Lemaire, JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, Vol.72(2): pp. 344-348, Jul 15 1992.
[13] “Fabrication of directly UV-Written channel waveguides with simultaneously defined integral Bragg gratings", GD Emmerson, SP Watts, CBE Gawith, V Mbanis, M Ibsen, RB Williams, PGR Smith, ELECTRONICS LETTERS, Vol.38(24): pp. 1531-1532, Nov2l 2002.
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態を実行するのに適した装置の概略図を示す。
【図2a】本発明の実施形態の使用に適した材料のサンプルの端面図を示す。
【図2b】本発明の実施形態を使用して製造されることができるなどの導波路構造を含む材料のサンプルの端部図を示す。
【図3】本発明の実施形態により生成された明るい縞および暗い縞のパターンを有するスポットを示す。
【図4】本発明の実施形態を使用して製造される均一な区間および格子区間を含む導波路チャネルを示す。
【図5a】本発明の実施形態により製造された第1のブラッグ格子の測定されたスペクトル応答を示す。
【図5b】本発明の実施形態により製造された第2のブラッグ格子の測定されたスペクトル応答を示す。
【図6a】異なる偏光光で測定された本発明の実施形態により製造された一連のブラッグ格子のピーク反射率を示す。
【図6b】異なる偏光光で測定された本発明の実施形態により製造された一連のブラッグ格子のピーク反射率を示す。
【図7】本発明の実施形態により製造された一連のブラッグ格子に関する光スポット露光に対する有効モード屈折率の測定された従属性を示す。
【図8】本発明の実施形態により製造された異なる光の一連のブラッグ格子から反射された光の測定された強度を示す。
【図9a】調整を外した波長を用いる本発明の実施形態により製造された一連のブラッグ格子の測定されたピーク反射率を示す。
【図9b】本発明の実施形態により製造された一連の重ねられたブラッグ格子の測定された応答を示す。
【図9c】導波路チャネルに書き込まれた傾斜されたブラッグ格子を示す。
【図9d】本発明の実施形態による傾斜されたブラッグ格子の書き込みに適した構成の平面図を示す。
【図10】本発明の実施形態を使用する製造に適した第1の例の光学デバイスを示す。
【図11】本発明の実施形態を使用する製造に適した第2の例の光学デバイスを示す。
【図12】本発明の実施形態を使用する製造に適した第3の例の光学デバイスを示す。
【図13】本発明の実施形態を使用する製造に適した第4の例の光学デバイスを示す。
【図14a】本発明の実施形態により光スポットを生成するための2つの可能な構成を示す。
【図14b】本発明の実施形態により光スポットを生成するための2つの可能な構成を示す。
【図15】本発明の実施形態により光スポットを生成するための2つの可能な構成を示す。
【図16a】材料のサンプルにおける正確に配置されたおよび不正確に配置された、本発明の実施形態により生成された光スポットを示す。
【図16b】材料のサンプルにおける正確に配置されたおよび不正確に配置された、本発明の実施形態により生成された光スポットを示す。
【符号の説明】
【0110】
1 装置
10 レーザシステム
12 音響光学変調器
13 空間フィルタ
14、18 ミラー
16、60 ビームスプリッタ
20 集束レンズ
22、72、84、158 光スポット
24、156 サンプル
26 直線並進ステージ
28 制御ユニット、コントローラ
30 シリコンウエハ
31 熱酸化物層
32 アンダークラッド
33 コア
34 オーバクラッド
36、132、134、138、140 チャネル
40 高い強度の縞
42 低い強度の縞
44 導波路構造
46 第1の均一な導波路のセクション
48、144、146、152 格子
50 第2の均一な導波路のセクション
59 光ビーム
60、162 矢印
62 ミラー
70、82 レンズ
74、80 位相マスク
100 入力ポート
102 出力ポート
104 ドロップポート
106 アドドロップ
108、110、120、122、150 導波路チャネル
112、114、124、142 3dBカプラ
126、136 ブラッグ格子
130 結合領域
154 面
164 傾斜した格子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに、屈折率の増大された導波路チャネルを書き込む方法であって、前記チャネルは幅および経路を有し、前記方法は、
特定の波長の光に感光する感光領域を有する材料のサンプルを提供するステップと、
特定波長で、高い強度および低い強度の縞の周期的強度パターンおよび前記チャネルの幅に関連する幅を有する光のスポットを生成するステップと、
前記感光領域内に前記スポットを位置付けるステップと、
屈折率における変化を生み出すために前記光スポットに前記感光領域の部分を露光することによって前記チャネルを画定するために、前記チャネルの経路に沿って、前記サンプルと前記光スポットとの間に相対移動を引き起こすステップとを含む方法。
【請求項2】
前記相対移動は、一定速度であり、前記光スポットへの露光は、屈折率における均一な変化を生み出すために前記相対移動の間に連続である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光スポットへの露光は、前記チャネルに沿う屈折率における周期的な変化を生み出すために前記相対移動の間に断続的であり、前記周期的な増大はブラッグ格子を画定する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記断続的な露光は、前記チャネルの経路に沿った複数の隣接する露光を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記隣接する露光は、前記光スポットにおける少なくとも1つの高い強度の縞が、前の露光における高い強度の縞に既に露光された感光領域の一部を露光するように重なり合う請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記隣接する露光は、屈折率における結果としての周期的な増大が、前記光スポットの前記周期的な強度パターンとは異なる周期を有するように、正確な重なり合いからオフセットされる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
屈折率における前記周期的な増大の前記周期は、チャーピングまたはアポダイゼーションされたブラッグ格子、または任意の位相シフトを含むブラッグ格子を画定するように変わる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記相対移動は、傾斜したブラッグ格子を画定するように前記周期的な強度パターンに対して垂直ではない請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光スポットは実質的に円形である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記光スポットは、干渉パターンを形成するようにある角度で2つの光のビームを交差することによって生成される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記光スポットは、位相マスクを介する露光によって生成される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光スポットの前記低い強度の縞は、ゼロより大きい強度を有する請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記光スポットは偏光光から生成され、前記方法はさらに、屈折率における前記変化を修正するために前記光の偏光を制御することを含む請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記チャネルの前記経路は、実質的に直線である請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記チャネルの前記経路は、1つ以上の曲線を含む請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネルの前記経路は、2つ以上の相互接続部分を有する請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記スポットの位置決めを繰り返すステップと、前記チャネルの前記経路と実質的に同一である経路を有する1つ以上の追加のチャネルを画定するように相対移動を生じさせるステップとをさらに含む請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記感光領域は、感光性を強化するように水素および/または重水素で充填される請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記水素および/または重水素は、前記サンプルに固定される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルを前記光スポットに露光する前に、前記感光領域に水素および/または重水素を充填するために前記サンプルを充填プロセスにさらすステップをさらに含む請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルを前記光スポットに露光する前に、前記感光領域に水素および/または重水素を固定するために、前記充填プロセス後に熱固定プロセスに前記サンプルをさらすステップをさらに含む請求項20に記載の方法。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−508382(P2006−508382A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554625(P2004−554625)
【出願日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【国際出願番号】PCT/GB2003/002141
【国際公開番号】WO2004/049024
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(500125788)ユニバーシティ、オブ、サウサンプトン (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTHAMPTON
【Fターム(参考)】