説明

Wander吸収ならびに遅延補正用モジュール

【課題】光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能と遅延を補正する機能をモジュール化することにより、該光ケーブルで接続されるデジタル信号処理部、およびAMP部の構成を簡単にして、装置設計を容易にする。
【解決手段】1つのデジタル信号処理部(101)と複数のAMP部(110)(111)(112)を光ケーブル(120)(121)(122)にて接続する構成をとるW−CDMA基地局において、各AMP部とデジタル信号処理部(101)との距離はランダムであるので、デジタル信号処理部と各AMP部とを接続する光ケーブルの間にWander吸収/遅延補正用モジュール(130)(131)(132)を接続し、このWander吸収/遅延補正用モジュール(130)(131)(132)で、デジタル信号処理部(101)と各AMP部(110)(111)(112)間で発生する遅延時間差を補正するとともに、光ケーブルで発生するWanderを吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信基地局に設けられた1つのベースバンド処理部と、互いに離れた場所に設置されて前記ベースバンド処理部とそれぞれ光通信にて接続されたAMP部を備えている複数のセルからなるシステム等におけるWanderの吸収ならびに遅延補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)基地局など無線通信基地局の装置構成において、ベースバンド処理部とAMP部を分けてその間を光通信にて接続する構成が検討されている。このような構成のメリットとしては、1つのベースバンド処理部を設置することにより複数のAMP部を離れた場所に簡単に設置することが可能となりセル数の増加が容易に行える事や、AMP部のみの置き換えでセルの構成を容易に変更可能な事などが挙げられる。
【0003】
しかし、このような光通信を用いてベースバンド処理部とAMP部を接続するシステムにおける問題点の一つとしてWanderが挙げられる。Wanderは変動周波数がDC〜10Hz程度のゆっくりとした位相変動であり、光ファイバやケーブルの温度変動に起因して発生する。このWander成分により光信号の伝播遅延が時間により変化し、受信側の装置にてデータがスリップすることによりデータ誤りが発生することがある。
【0004】
このWander成分を吸収する方法として、PLLを利用する方法やメモリを利用する方法などが検討されている(特許文献1〜4等参照)。これらの特許文献に記載の発明では、装置内の受信部で受信された信号に対して該装置内にWander成分を吸収するための回路を備えることによって、装置内においてWander成分を吸収する方法が採用されている。
【0005】
また、もう一つの問題点として、各AMP部間の設置位置(ベースバンド処理部との距離)の違いによって発生する光ケーブルの信号伝搬遅延時間がある。1つのベースバンド処理部と複数のAMP部の間で高速デジタル通信を行う場合、各AMP部間の距離差が大きくなることや、ケーブルの状態などの要因によりベースバンド信号に遅延ばらつきが生じてしまう。
【0006】
複数のAMP部の下り信号において時間的なばらつきを保持したまま以降の処理を行っても良いシステムであれば遅延ばらつきが生じても特に問題はないが、例えばダイバーシチ送信や、IPDL(Idle Period Down Link)サービス等、各AMP部間においてデータの遅延ばらつきを保持したまま以降の処理を行ってはならないシステムの場合、発生した遅延に対して補正をかける回路を追加しなければならない。
【0007】
このような複数のAMP処理部の遅延時間を補正する方法として、GPSシステムを利用する方法、あるいはデジタル信号処理部やAMP部に遅延補正用回路を追加する方式が考えられている(特許文献5〜6等参照)。
【0008】
図3は、W−CDMA基地局など無線通信基地局の装置構成において、ベースバンド処理部とAMP部を分けてその間を光ケーブルによって接続した従来の装置構成のイメージを示す概略ブロック図である。
【0009】
図3に示すW−CDMA基地局においては、デジタル信号処理部(301)と複数のAMP部(310)(311)(312)は、それぞれ光ケーブル(320)(321)(322)にて接続されており、また、各AMP部とデジタル信号処理部との距離はランダムである。そのため、デジタル信号処理部(301)もしくはAMP部(310)(311)(312)には、デジタル信号処理部(301)と各AMP部(310)(311)(312)間の距離差による光ケーブルの信号伝搬遅延時間差を補正するために、遅延補正用の回路(302)(303)(304)、もしくは(313)(314)(315)が設けられている。
【0010】
【特許文献1】特開2000−323982号公報
【特許文献2】特開昭62−290222号公報
【特許文献3】特開平5−244129号公報
【特許文献4】特開平8−335915号公報
【特許文献5】特開平8−307929号公報
【特許文献6】特開2004−222088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のようにWander量は温度変動により変化し、装置の設置環境によって影響が異なってくる。従って、設計時の装置設置環境と異なる温度環境化に装置を設置する必要が生じた際には、装置内のWander成分を吸収するための回路を再設計する必要が生じ、この装置の再設計に伴うコストならびに時間がかかってしまうことがある。また、このような事態を避けるために予め装置の持つWander耐力を大きく設計しておくことにより対処することも可能であるが、それにより装置自体のコストが上がってしまうという問題点がある。
【0012】
また、図3に示す遅延補正システムでは、遅延補正用の回路をデジタル信号処理部もしくはAMP部に直接持つ構成であるために装置コストが上がってしまう。さらにこの場合においても、設計時の装置設置環境と異なる状況に対応すべく装置構成を変更する際に、装置が持つ補正能力以上の補正が必要になった場合には、装置を再設計する必要が生じ、コストならびに時間がかかってしまうという問題点がある。
【0013】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、W−CDMA基地局等の無線通信システムの中でデジタル信号処理部と複数のAMP部を、光ケーブルを用いて接続したシステムにおいて、前記デジタル信号処理部とAMP部での回路規模を少なくするとともに、Wanderや伝播遅延を考慮することなく前記デジタル信号処理部およびAMP部の設計を可能にし、装置コストを下げることを可能にする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)基地局等の無線通信システムの中でデジタル信号処理部とそれぞれ光ケーブルを用いて接続された複数のAMP部を配置した無線通信システムにおいて、前記各光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能およびケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正する機能を備えたモジュールを、前記デジタル信号処理部およびAMP部とは独立した一つのモジュールとして構成したことを特徴としている。
【0015】
このWander吸収/遅延補正用モジュールは、前記デジタル信号処理部と前記AMP部を接続する光ケーブルの間に接続することができる。
【0016】
また本発明の無線通信システムにおいて用いられるWander吸収ならびに遅延補正用モジュールは、基地局のデジタル信号処理部と前記セルのアンプ部を接続する光ケーブルに接続されて、前記光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能と前記各ケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正する機能を備えたモジュールとして構成されている。
【0017】
このWander吸収/遅延補正用モジュールは、前記デジタル信号処理部と接続された光ケーブルを介して入力される光信号を電気信号へ変換するO/E変換部と、該O/E変換部から出力されるシリアル信号をパラレル信号へ変換するとともに、前記シリアル信号に同期したリカバリーCLKを抽出するDes部と、前記変換されたパラレル信号に対して前記伝播遅延補正を行うのに十分な容量を持った遅延補正用FIFO部と、該遅延補正用FIFO部のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行う第1のWR/RDアドレス制御部と、前記変換されたパラレル信号に対して前記Wanderを吸収するのに十分な容量を持ったWander吸収用FIFO部と、該Wander吸収用FIFO部のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行う第2のWR/RDアドレス制御部と、前記遅延補正用FIFO部および前記Wander吸収用FIFO部で伝播遅延補正およびWander吸収されたパラレル信号をシリアル信号に変換するSer部と、前記Des部で抽出されたリカバリーCLKを前記遅延補正用FIFO部と前記Wander吸収用FIFO部および前記Ser部へ分配するCLKバッファ部と、前記Des部から出力される前記パラレル信号を入力して同期検出を行い同期検出時に前記第1および第2のWR/RDアドレス制御部にリセットパルスを出力する同期検出部と、前記伝播遅延補正の補正量を設定する第1のスイッチと、前記Wander吸収用FIFO部の容量を設定する第2のスイッチと、前記Ser部が出力するシリアルデータを光信号へ変換し、光ケーブルを介して前記AMP部へ出力するE/O変換部によって構成することができる。
【0018】
前記第1のWR/RDアドレス制御部は、前記第1のスイッチにより設定された前記伝播遅延補正の補正量に従って、前記遅延補正用FIFO部に指定したWriteアドレスに、前記補正量に相当する遅延量だけ加算したアドレスを生成して前記遅延補正用FIFOのReadアドレスとして指定する機能を有し、前記第2のWR/RDアドレス制御部は、前記第2のスイッチにより設定された前記Wander吸収用FIFO部の容量に従って、前記Wander吸収用FIFO部に指定したWriteアドレスに、前記容量に相当する遅延量だけ加算したアドレスを生成して前記Wander吸収用FIFOのReadアドレスとして指定する機能を有している。
【0019】
本発明の無線通信システムでは、デジタル信号処理部と複数のAMP部を接続している光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能とケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正する機能を一つのモジュールとして各光ケーブル中に接続する構成としているので、デジタル信号処理部と各AMP部での回路規模を小さくすることができるとともに、デジタル信号処理部および各AMP部ではWanderや伝播遅延を殆ど考慮することなく設計できるので、装置の増設を容易に実施することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、Wander吸収機能と遅延補正機能を、デジタル信号処理部、およびAMP部から独立したモジュールとして構成しているので、装置設計の際にデジタル信号処理部、およびAMP部にはWander吸収機能並びに遅延補正機能を盛り込まず設計が可能となり、これらの装置設計が容易となる。
【0021】
また、Wander吸収機能と遅延補正機能をモジュール化しているのでしているので、既設計の装置に対して設計値以上のWanderが発生する装置構成や設計値以上の遅延補正が必要な装置構成に対しても容易に対処することができる。
【0022】
さらに、本発明のモジュールには、Wander吸収量ならびに遅延補正量を設定することが可能なスイッチを持つことにより、様々な装置構成に容易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態をW−CDMA基地局に適用した場合の装置全体構成を示す概略ブロック図である。
【0024】
本実施形態のW−CDMA基地局は、1つのデジタル信号処理部(101)と複数のAMP部(110)(111)(112)を光ケーブル(120)(121)(122)にて接続する構成をとる。各AMP部とデジタル信号処理部との距離(光ケーブル長)はランダムに設定可能である。ここではAMP部#1(111)とデジタル信号処理部(101)間の距離が最も遠く(設置距離;x)、AMP部#1(110)とデジタル信号処理部(101)間の設置距離、およびAMP部#1(112)とデジタル信号処理部(101)間の設置距離はそれぞれ、x−y、x−zとする。
【0025】
本実施形態においては、デジタル信号処理部(101)と各AMP部(110)(111)(112)とを接続する光ケーブル(120)(121)(122)に、それぞれ本発明のWander吸収/遅延補正用モジュール(130)(131)(132)を接続し、このWander吸収/遅延補正用モジュール(130)(131)(132)により、各光ケーブル(120)(121)(122)で発生するWanderを吸収するとともにケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正している。
【0026】
図2は、本実施形態におけるにWander吸収/遅延補正用モジュールの詳細構成を示すブロック図である。図1のWander吸収/遅延補正用モジュール(130)(131)(132)は、いずれも図2に示すWander吸収/遅延補正用モジュール(200)の構成を備えており、また図2に示されている光ケーブル(201)及び(202)は、図1の光ケーブル(120)(121)(122)のいずれかと対応するものである。
【0027】
図2に示すように、本実施形態のWander吸収/遅延補正用モジュール(200)は、デジタル信号処理部と接続する光ケーブル(201)と、デジタル信号処理部が出力する光信号を電気信号へ変換するO/E変換部(210)と、O/E変換部(210)が出力するシリアル信号をパラレル信号へ変換し、且つシリアル信号に同期したリカバリーCLK(クロック)を抽出するDes部(212)と、Des部(212)が出力するリカバリーCLKを各ブロックへ分配を行うCLKバッファ部(213)と、Des部(212)が出力するパラレル信号を使用して同期検出を行い同期検出時にリセットパルスを出力する同期検出部(211)と、遅延補正を行うのに十分な容量を持った遅延補正用FIFO(first in first out)部(216)と、遅延補正用FIFO部(216)のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行うWR/RDアドレス制御部(215)と、遅延補正の補正量を設定するスイッチSW#1(214)と、Wanderを吸収するのに十分な容量を持ったWander吸収用FIFO部(219)と、Wander吸収用FIFO部(219)のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行うWR/RDアドレス制御部(218)と、Wander吸収用FIFO部(219)の容量を設定するスイッチSW#2(217)と、Wander吸収用FIFO部(219)が出力するパラレルデータをシリアルデータに変換するSer部(220)と、Ser部が出力するシリアルデータを光信号へ変換するE/O変換部(221)と、AMP部と接続する光ケーブル(202)で構成されている。
【0028】
次に、本実施形態の詳細動作について、図1、図2を参照して説明する。
【0029】
システム起動前に、スイッチSW#1(214)ならびにスイッチSW#2(217)に適切な値を設定する。ここで各スイッチSW#1(214)、スイッチSW#2(217)に設定される値について説明する。
【0030】
まず、スイッチSW#1(214)には光ケーブルの遅延補正時間が設定される。この遅延補正は、デジタル信号処理部(101)と各AMP部(110)、(111)、(112)間を接続するそれぞれの光ケーブル#0(120),#1(121),#2(122)の長さの違いによって発生する伝播遅延の補正を行うことを目的としている。
【0031】
図1の例では、光ケーブル#0(120)、#1(121)、#2(122)の長さはそれぞれ(x−y)、x、(x−z)であるので、最も長い光ケーブル#1(121)の伝播遅延量を基準として、各Wander吸収/遅延補正用モジュールで信号を遅延させることにより、最も長い光ケーブル#1(121)の伝播遅延量とその他の光ケーブル#0,#2の伝播遅延量を揃えることができる。そのために図1の場合、Wander吸収/遅延補正用モジュール(130)には長さ“y”に相当する遅延量を、Wander吸収/遅延補正用モジュール(131)には“0”の遅延量を、Wander吸収/遅延補正用モジュール(132)には長さ“z”に相当する遅延量を、それぞれのスイッチSW#1により設定する。
【0032】
また、スイッチSW#2(217)には光ケーブルで発生するWanderを吸収することができる時間が設定される。一般的にWanderは光ケーブルのケーブル長、材質、温度によって算出することが可能である。そこで、各光ケーブル#0(120)、#1(121)、#2(122)のケーブル長、材質、および使用される環境の温度から算出したWander量+α(マージン)分の時間をスイッチSW#2(217)に設定する。
【0033】
次に、システム起動後の本実施形態の動作について説明する。
【0034】
デジタル信号処理部(101)が各光ケーブルにシリアルデータからなる光信号を出力すると、該光信号は光ケーブル(201)を通ってWander吸収/遅延補正用モジュール(200)のO/E変換部(210)にそれぞれ入力される。O/E変換部(210)では、入力された光信号を電気信号に変換しDes部(212)へシリアル信号を出力する。Des部(212)では入力してくるシリアル信号をパラレル信号に変換し、遅延補正用FIFO部(216)、および同期検出部(211)へパラレル信号を出力するとともに、シリアル信号からリカバリーCLKを抽出して、CLK(クロック)バッファ部(213)へ出力する。
【0035】
CLKバッファ部(213)は、入力されたリカバリーCLKを、遅延補正用FIFO部(216)およびWander吸収用FIFO部(219)におけるデータ書き込み読出し動作、およびDes部(212)におけるシリアル/パラレル変換動作のための同期用クロックとして、遅延補正用FIFO部(216)、Wander吸収用FIFO部(219)およびSer部(220)にそれぞれ分配する。
【0036】
同期検出部(211)は、Des部(212)から入力されたパラレル信号中の同期情報を監視し、同期情報を検出した際にリセットパルスをWR/RDアドレス制御部(215)および(218)へ出力する。これは、光信号が入力していない際にモジュールが動作し始めると、遅延補正用FIFO(216)とWander吸収用FIFO(219)で遅延量がずれる可能性があるため、遅延量をスイッチSW#1(214)、スイッチSW#2(217)で設定した値に初期化するために設けられている。
【0037】
Des部(212)より出力されたパラレルデータは、WR/RDアドレス制御部(215)により指定されたWriteアドレスで遅延補正用FIFO(216)に書き込まれ、WR/RDアドレス制御部(215)で指定されたReadアドレスで遅延補正用FIFO(216)から読み出される。その際、WR/RDアドレス制御部(215)は、スイッチSW#1(214)で設定された遅延量だけWriteアドレスに加算したアドレスを生成し、遅延補正用FIFO(216)のReadアドレスとして指定する。
【0038】
遅延補正用FIFO部(216)より読み出されたパラレルデータは、WR/RDアドレス制御部(218)により指定されたWriteアドレスでWander吸収用FIFO(219)に書き込まれ、WR/RDアドレス制御部(218)で指定されたReadアドレスでWander吸収用FIFO(219)から読み出される。その際、WR/RDアドレス制御部(218)は、スイッチSW#2(217)で設定された遅延量だけWriteアドレスに加算したアドレスを生成し、Wander吸収用FIFO(219)のReadアドレスとして指定する。
【0039】
Wander吸収用FIFO(220)より読み出したパラレルデータは、Ser部(220)に入力されてシリアルデータに変換され、E/O変換部(221)へ出力される。E/O変換部(221)では入力されたシリアルデータを光信号に変換し、AMP部と接続している光ケーブル(202)へ光信号として出力する。この一連の動作により、光ケーブル(201)より入力した光信号は、本発明であるモジュールを通過することにより適切な遅延補正およびWanderを吸収されて光ケーブル(202)に出力される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態をW−CDMA基地局に適用した場合の装置全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態におけるにWander吸収/遅延補正用モジュールの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】従来の装置構成のイメージを示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
101 デジタル信号処理部
110,111,112 AMP部
120,121,122,201,202 光ケーブル
130,131,132,200 Wander吸収/遅延補正用モジュール
210 O/E変換部
211 同期検出部
212 Des部
213 CLKバッファ部
214,217 スイッチ部
215,218 WR/RDアドレス制御部
216 遅延補正用FIFO部
219 Wander吸収用FIFO部
220 Ser部
221 E/O変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に設けられたデジタル信号処理部とそれぞれ光ケーブルを用いて接続されるAMP部を備えた複数のセルを有するW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)基地局等の無線通信システムにおいて、
前記各光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能およびケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正する機能を備えたWander吸収/遅延補正用モジュールが、前記デジタル信号処理部および前記AMP部とは独立した一つのモジュールとして前記光ケーブルに接続されていることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記Wander吸収/遅延補正用モジュールは、前記デジタル信号処理部と前記AMP部を接続する光ケーブル間の任意の位置に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線通信システムにおける前記基地局のデジタル信号処理部と前記複数のセルのアンプ部を接続する各光ケーブルにそれぞれ接続される独立のモジュールとして構成され、前記光ケーブルで発生するWanderを吸収する機能とケーブル長のばらつきによって発生する伝播遅延を補正する機能を備えていることを特徴とするWander吸収/遅延補正用モジュール。
【請求項4】
前記デジタル信号処理部と接続された光ケーブルを介して入力される光信号を電気信号へ変換するO/E変換部と、該O/E変換部から出力されるシリアル信号をパラレル信号へ変換するとともに、前記シリアル信号に同期したリカバリーCLKを抽出するDes部と、前記変換されたパラレル信号に対して前記伝播遅延補正動作を行う遅延補正用FIFO部と、該遅延補正用FIFO部のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行う第1のWR/RDアドレス制御部と、前記変換されたパラレル信号に対して前記Wander吸収動作を行うWander吸収用FIFO部と、該Wander吸収用FIFO部のWriteアドレス/Readアドレスの制御を行う第2のWR/RDアドレス制御部と、前記遅延補正用FIFO部および前記Wander吸収用FIFO部で伝播遅延補正およびWander吸収されたパラレル信号をシリアル信号に変換するSer部と、前記Des部で抽出されたリカバリーCLKを前記遅延補正用FIFO部と前記Wander吸収用FIFO部および前記Ser部へ分配するCLKバッファ部と、前記Des部から出力される前記パラレル信号を入力して同期検出を行い同期検出時に前記第1および第2のWR/RDアドレス制御部にリセットパルスを出力する同期検出部と、前記伝播遅延補正の補正量を設定する第1のスイッチと、前記Wander吸収用FIFO部の容量を設定する第2のスイッチと、前記Ser部が出力するシリアルデータを光信号へ変換し、光ケーブルを介して前記AMP部へ出力するE/O変換部によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のWander吸収/遅延補正用モジュール。
【請求項5】
前記第1のWR/RDアドレス制御部は、前記第1のスイッチにより設定された前記伝播遅延補正の補正量に従って、前記遅延補正用FIFO部に指定したWriteアドレスに、前記補正量に相当する遅延量だけ加算したアドレスを生成して前記遅延補正用FIFOのReadアドレスとして指定する機能を有し、前記第2のWR/RDアドレス制御部は、前記第2のスイッチにより設定された前記Wander吸収用FIFO部の容量に従って、前記Wander吸収用FIFO部に指定したWriteアドレスに、前記容量に相当する遅延量だけ加算したアドレスを生成して前記Wander吸収用FIFOのReadアドレスとして指定する機能を有していることを特徴とする請求項4に記載のWander吸収/遅延補正用モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−99109(P2008−99109A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280125(P2006−280125)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】