説明

Webコンテンツ変換方法及びシステム

【課題】特定の情報機器向けに作成されたコンテンツを特定の情報機器とは異なる情報端末の表示能力に適したコンテンツに変換すること。
【解決手段】コンテンツ配信要求を行った情報端末のコンテンツ表示能力を取得する第1のステップと、取得した情報端末のコンテンツ表示能力と予め作成されたコンテンツの変換方法の複数のテンプレートを比較し、その情報端末に適したテンプレートを取得する第2のステップと、当該テンプレートに従い既存のコンテンツから必要な構成要素を取得する構成要素取得ステップと、取得した構成要素と前記テンプレートに記述された要素とを合成し、コンテンツ配信要求元の情報端末向けのコンテンツを生成するコンテンツ生成ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータ向けに作成された既存コンテンツを、表示能力の異なる様々な端末のそれぞれに適したコンテンツに変換するコンテンツ変換方法およびシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、固定電話機など、インターネットに接続可能なクライアント端末の多様化にともない、主にパーソナルコンピュータ(以下、PC)向けに作成された既存のコンテンツをクライアント端末に表示するには、クライアント端末の能力(表示画面サイズやファイルサイズなど)に合せて自動的に変換する必要がある。
このような場合、従来の技術では、クライアント端末が表示できるように、クライアント端末に対応するコンテンツ記述言語に合せたコンテンツ記述言語変換、クライアント端末のファイルサイズに合せたページ分割、クライアント端末が対応する画像フォーマットやディスプレイの大きさに合せた画像のフォーマットや大きさの変換を行ってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−63018号公報(第13−21頁、第3−25図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術は、PC以外のクライアント端末でもPC向けのコンテンツを表示できるようにコンテンツを変換する技術であり、必ずしもそれぞれのクライアント端末の表示能力を考慮した見易いコンテンツに変換できないという問題がある。
【0005】
最近のPC向けコンテンツは、年々そのレイアウトが複雑になり、1ページに表示する情報量が増加する傾向にある。これを、従来の技術で変換を行うと、レイアウト構造を考慮せずに、順番に全ての情報を変換してしまう。このため、ユーザは、整理されていない大量の情報を、例えば携帯電話機の小さな画面で閲覧することになり、コンテンツの見にくさを感じる。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決し、コンテンツのレイアウトを解析し、クライアント端末のコンテンツ表示能力に合せてレイアウトで分割されたコンテンツの構成要素を選択して変換するコンテンツ方法およびシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るWebコンテンツ変換方法は、特定の情報機器向けに作成されたコンテンツを変換し、前記特定の情報機器とは異なる情報端末に配信するためのWebコンテンツ変換方法であって、コンテンツ配信要求を行った情報端末のコンテンツ表示能力を取得する第1のステップと、取得した情報端末のコンテンツ表示能力と予め作成されたコンテンツの変換方法の複数のテンプレートを比較し、その情報端末に適したテンプレートを取得する第2のステップと、当該テンプレートに従い既存のコンテンツから必要な構成要素を取得する構成要素取得ステップと、取得した構成要素と前記テンプレートに記述された要素とを合成し、コンテンツ配信要求元の情報端末向けのコンテンツを生成するコンテンツ生成ステップとを備えることを特徴とする。
また、前記構成要素取得ステップが構成要素の取得に失敗したときに、新たなテンプレートを作成するためのコンテンツ解析ステップをさらに備えることを特徴とする。
また、前記コンテンツ解析ステップが、コンテンツのレイアウトを取得するレイアウト取得ステップと、取得したレイアウトで分けられたコンテンツの各構成要素の重要度を取得する重要度取得ステップと、各構成要素の更新頻度を取得する更新頻度取得ステップと、これら3つのステップで得られた情報に基づきテンプレートの作成を指示するステップとを備えることを特徴とする。
また、前記のレイアウト取得ステップが、レイアウトを構成する可能性のあるタグを定義するステップと、解析対象となるコンテンツとレイアウトが同じとなる可能性が高いコンテンツ同士を比較するステップと、レイアウトを構成する可能性のあるタグのうち高い確率でコンテンツ内の同じ位置にある特定のタグを、レイアウトを構成するタグとして取得するステップからなることを特徴とする。また、前記重要度取得ステップが、レイアウト取得ステップで得られたレイアウトを持つコンテンツと解析対象のコンテンツとを比較し、レイアウト取得ステップで得られたレイアウトの各構成要素が同一の内容となる確率の低い順から、重要度の高い構成要素であると判断する重要度判定ステップを備えることを特徴とする。
また、前記重要度判定ステップは、解析対象となるコンテンツを前記特定の情報機器用のディスプレイに表示したときに、ディスプレイの中心点を含む画面要素を最も重要度の高い構成要素であると判断することを特徴とする。
また、前記重要度判定ステップは、解析対象となるコンテンツを前記特定の情報機器のディスプレイに表示したときに、表示面積の大きい画面要素をより高い重要度をもつ画面要素として判断することを特徴とする。
また、前記重要度判定ステップは、バックカラーが白である画面要素を重要度の高い画面要素として判断することを特徴とする。
また、前記重要度判定ステップは、文字数の多い画面要素を重要度の高い画面要素として判断することを特徴とする。
また、前記更新頻度取得ステップが、解析対象のコンテンツを過去のコンテンツと比較することにより、各構成要素の更新頻度を取得するステップ備えることを特徴とする。
また、前記コンテンツ生成ステップは、対象コンテンツを配信する情報端末の情報を登録するステップと、コンテンツの解析結果を表示するステップと、コンテンツ管理者の指示に従いコンテンツ解析結果を修正するステップと、修正されたコンテンツ解析結果をもとにテンプレートを作成するステップとを備えることを特徴とする。
また、前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の境界線またはその領域を強調表示して表示することを特徴とする。
また、前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の更新頻度の高いものと低いものとで強調方法を違えて表示することを特徴とする。
また、前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の重要度に応じて強調方法を違えて表示することを特徴とする。
また、前記テンプレートを作成するステップは、対象コンテンツを配信する情報端末のスクリーンサイズやメモリサイズの情報をもとに、構成要素の重要度の高いものから当該端末に表示させる構成要素を決定することを特徴とする。
また、前記テンプレートを作成するステップは、構成要素の更新頻度が予め設定された閾値よりも頻繁に更新されている構成要素については、コンテンツ変換時に対象となるコンテンツを取得し動的に変換するようにテンプレートに記述し、閾値より頻繁に更新されない構成要素については直接その内容をテンプレートに記述することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るWebコンテンツ変換システムは、コンテンツ配信要求を行った情報端末のコンテンツ表示能力を取得する第1の手段と、取得した情報端末のコンテンツ表示能力と予め作成されたコンテンツの変換方法を指定した複数のテンプレートを比較し、その情報端末に適したテンプレートを取得する第2の手段と、当該テンプレートに従い既存のコンテンツから必要な構成要素を取得する第3の手段と、取得した構成要素と前記テンプレートに記述された要素とを合成し、コンテンツ配信要求元の情報端末向けのコンテンツを生成する第4の手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する場合の一形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明に関わるWebコンテンツ変換方法を実行するシステムの一実施形態を示す全体構成図である。
ここで示すシステムは、既存コンテンツを配信するWebサーバ100、主にPC向けに作成された既存コンテンツを保持する既存コンテンツDB101、イントラネット110により接続され、クライアント端末のコンテンツ表示能力に適したテンプレートを用いて既存コンテンツの変換、配信を行うコンテンツ変換装置120、既存コンテンツを解析してテンプレートを作成するテンプレート生成装置130、インターネット140を介して接続されるコンテンツの取得及び表示を行うクライアント端末150から構成される。
【0010】
コンテンツ変換装置120は、インターネット140を通してクライアント端末150と、イントラネット110を通してWebサーバ100およびテンプレート生成装置130と通信する通信部121、通信部121を経由したクライアント端末150からのコンテンツ要求からクライアント端末150の機種を特定し、その表示能力を取得する機種判定部122、機種判定部122が特定機種の表示能力を取得するために使用する機種とその表示能力の情報が保持されている機種情報DB123、様々な表示能力に合った変換方法が記述されたテンプレートを保持するテンプレートDB125、機種判定部122が取得した表示能力に合せて適切なテンプレートをテンプレートDB125から取得するテンプレート取得部124、テンプレート取得部124が取得したテンプレートに基づき既存コンテンツを変換、生成し、クライアント端末150に配信するコンテンツ生成部126、コンテンツ生成部126においてコンテンツの生成に失敗したときに既存のコンテンツに必要な変換を行い、クライアント端末150に配信するコンテンツ変換部127から構成される。
【0011】
テンプレート生成装置130は、イントラネット110を通してWebサーバ100及びコンテンツ変換装置120との通信をおこなう通信部131、通信部131を経由してWebサーバ100から既存コンテンツを取得するコンテンツ取得部132、取得した既存コンテンツを時間経過とともに保存する既存コンテンツ履歴DB133、取得した既存コンテンツのレイアウトを解析し、既存コンテンツを複数の構成要素に分割するレイアウト解析部134、得られた構成要素の重要度及び更新頻度を判定する構成要素解析部135、得られたレイアウトや構成要素の情報をもとにテンプレートを生成するテンプレート生成部137、生成されたテンプレートを表示し、コンテンツ管理者の指示に従い、テンプレートを変更する表示・入力部136から構成される。
【0012】
このようなシステム構成において、コンテンツ変換装置120が、クライアント端末150からコンテンツの要求を受信し、図2の例に示す既存のコンテンツを図3の例に示すテンプレートに従って変換し、図4の例に示すコンテンツを生成して配信するまでの手順を図5のフローチャートを用いて説明する。
図2の既存コンテンツについて説明する。
図2の(a)は既存コンテンツをブラウザ表示したもので、図2(b)はHTML文書で表示したものである。このコンテンツは、「○○ソフトが取り扱っている製品を説明するコンテンツ」であり、URLが「http://www.○○soft.co.jp/Product/kokyaku.html」であり、大きく4つの構成要素から構成されている。201の構成要素1は「○○ソフト」のロゴであり、202の構成要素2はこのサイト全体のメニューであり、203の構成要素3は構成要素2の全体メニューの項目の1つである「製品一覧」のメニューであり、204の構成要素4は構成要素3の製品一覧メニューの1つ「顧客/販売システム」の内容である製品を説明する本文である。
また、図2(b)のHTML文書で、四角で囲まれた構成要素1〜4は実際には対応するHTML文書が記述されている。
【0013】
図3のテンプレートについて説明する。
テンプレートは、主にレイアウトを記述するテンプレートファイル(図3(a)template1.jsp)と、このテンプレートを適用するクライアント端末の表示能力や構成要素の場所が記述されたプロファイルから構成される(図3(b) templateProfile1.xml)。
図3(a)のテンプレートファイルにおいて、301は対応するプロファイルを指定し、302は構成要素3のHTML文書が記述されており、303はプロファイルを参照して配信時に構成要素4を取得することを意味している。
このテンプレートは、クライアント端末の表示能力を考慮して、もとのコンテンツよりもレイアウトが変更され、情報量が制限されている。
図3(b)のプロファイルにおいて、311の要素Templateの属性FileNameは対応するテンプレートファイル名、312の属性AppliedURLはこのテンプレートを適用するコンテンツのURL、313の属性Deviceはこのテンプレートを適用するクライアント端末の表示能力を意味し、314の要素Blockは特定の構成要素の位置を属性URLと属性XPathで指定している。これらファイルは、テンプレートDB114に保持されている。
【0014】
図5のフローチャートを用いて、コンテンツ変換装置120がコンテンツを変換する手順について説明する。
ステップS501では、クライアント端末150からのコンテンツhttp://www.○○soft.co.jp/Product/kokyaku.htmlの要求を通信部121が受信する。
ステップS502では、機種判定部122が、クライアント端末150からのリクエストのヘッダ情報からクライアント端末150の機種を判定し、さらに機種情報DB123からこの機種の情報(対応するコンテンツ記述言語、対応する画像フォーマット、スクリーンサイズ、ファイルサイズ等)を取得する。
ステップS503では、テンプレート取得部124が、要求されたURL及びクライアント端末150の情報をもとに、テンプレートDB125から適切なテンプレートを取得する。この際、URLがプロファイルの要素Templateの属性AppliedURL312と一致しており、クライアント端末150の表示能力がプロファイルの要素Deviceで記述された表示能力313に最も近いテンプレートを選択する。もし、クライアント端末150から要求されたURLと属性AppliedURL312のURLとが一致するテンプレートがない場合など、テンプレートの取得に失敗した場合はステップS507を実行し、取得できた場合はステップS504を実行する。
【0015】
ステップS504では、コンテンツ生成部126が、テンプレートファイルの指示に従いコンテンツから構成要素を取得する。図3の例では、テンプレートファイルtemplate1.jspの303において構成要素4の取得が記述されており、プロファイルtemplateProfile1.xmlの314において属性nameが「構成要素4」である要素Blockから属性URLの値を取得し、このURLに対応するコンテンツをWebサーバ100から取得する。クライアント端末130に応じて、取得した構成要素のコンテンツ記述言語の変換を行う。もし、対応するコンテンツが削除されたなどの理由から、このコンテンツが取得できない場合はS505を実行し、取得できた場合はS506を実行する。
【0016】
ステップS505では、コンテンツ生成部126が、既存のコンテンツが取得できない旨のエラーページを生成する。
ステップS506では、図3のプロファイルtempProfile1.xmlの314において属性nameが「構成要素4」である要素Blockから属性XPathの値を取得し、これを用いてステップS505で取得したコンテンツから必要な構成要素を取得する。もし、テンプレート作成時ともとのコンテンツが変更された等の理由で、必要な構成要素が取得できない場合はステップS507を実行し、取得できた場合はステップS509を実行する。
ステップS507では、コンテンツ生成部126が、構成要素の取得に失敗した旨の情報を、テンプレート名と取得に失敗したURLと共にコンテンツ変換部127に通知する。
【0017】
ステップS508では、テンプレートを用いたコンテンツ生成に失敗したことから、コンテンツ変換部127が、クライアント端末150から要求があったコンテンツを、従来技術を用いてクライアント端末150に合せたコンテンツ記述言語の変換やページ分割を行う。
ステップS509では、コンテンツ生成部126が、テンプレートファイルに記述されたレイアウト情報とステップS506で取得した構成要素とを合成して図4に示すコンテンツを生成する。
【0018】
以上のようにして、テンプレートを用いて既存コンテンツを変換することで、図4に示すようなクライアント端末150のコンテンツ表示能力を考慮し、情報量が削減された見易いコンテンツを生成・配信できる。すなわち、図2(a)の既存コンテンツのうち全体メニューである構成要素2が削除されたコンテンツがクライアント端末150に表示される。
【0019】
次に、テンプレートを作成するのに必要な情報をテンプレート生成装置130が取得する手順を、図6のフローチャートを用いて説明する。
ここでは、テンプレートを作成する対象となる既存コンテンツを図2に示すコンテンツとして説明する。
まず、ステップS601では、コンテンツ変換装置130からの構成要素取得失敗の通知を受信した、あるいはコンテンツ管理者からの指示があったのを契機に、テンプレート生成装置130が、コンテンツ解析を開始する。
ステップS602では、コンテンツ取得部132が、通信部131を通して、テンプレートの生成対象となる既存コンテンツとそれに関連する既存コンテンツをWebサーバ100から取得する。取得した既存コンテンツは、既存コンテンツ履歴DB133に保管する。
【0020】
ここで、関連するコンテンツとは、対象となるコンテンツと同様のレイアウトであると考えられるコンテンツである。具体的には、対象となるコンテンツと類似度の高いコンテンツ、またサイトのディレクトリ構造において同一ディレクトリにあるコンテンツや同一階層上にあるコンテンツである。対象となるコンテンツを
http://www.○○soft.co.jp/Product/kokyaku.html
としたときに、同一ディレクトリにあるコンテンツとは、
http://www.○○soft.co.jp/Product/cad.html
http://www.○○soft.co.jp/Product/tuushin.html
等であり、これらは図2のコンテンツと構成要素1から3までが同一で、構成要素4(本文)のみが異なるコンテンツである。すなわち、構成要素4の内容がそれぞれ「CAD/地図システム」、「通信システム」の説明になっている。
また、同一階層上のコンテンツとは
http://www.○○soft.co.jp/Company/profile.html
http://www.○○soft.co.jp/Company/vision.html
等である。ただし、前述の同一ディレクトリのコンテンツは含まないものとする。
これらは図2のコンテンツと構成要素1と2が同一で、構成要素3と4が異なるコンテンツである。すなわち、構成要素3が「会社情報」のメニューで、構成要素4がそれぞれ「会社情報」の「プロファイル」および「ビジョン」の説明になっている。
【0021】
ステップS603では、レイアウト解析部132が、対象となるコンテンツのレイアウト構造を解析する。コンテンツのレイアウトは通常<TABLE>、<DIV>タグで記述されている。レイアウトを定義しているタグを判定するために以下の判定条件を用いる。
(1)レイアウト定義可能タグとして<TABLE>、<DIV>を定義する。
(2)レイアウト定義可能タグのうち、<BODY>タグあるいはレイアウト定義可能タグの子要素または孫要素であるものを取得する。
(3)上記(2)で取得したレイアウト定義可能タグのうち、ステップS602で取得した同一ディレクトリまたは同一階層上にあるコンテンツにおいても同じ位置にあるタグを取得する。
(4)上記(3)で取得したレイアウト定義可能タグのうち、このタグによって分けられた複数の構成要素のうち少なくとも1つがステップS602で取得したコンテンツの構成要素と一致しているタグを取得する。
以上(4)で取得したタグがこのコンテンツのレイアウトを定義しているタグであり、これがレイアウト情報である。これにより、コンテンツを複数の構成要素に分割することができる。図2のコンテンツの例では、構成要素1から4に分割できる。
【0022】
ステップS604では、レイアウトで分けられた構成要素のコンテンツ内での重要度を判定する。重要な構成要素とは、そのコンテンツの特徴を表現している構成要素であり、他のコンテンツでは得られない情報を持つ構成要素である。重要度を判定するために、ステップS602で取得した同一ディレクトリおよび同一階層にあるコンテンツと比較する。
図2のコンテンツにおいて、構成要素4は他のコンテンツにはない情報をもっているので最も重要度の高い重要度1と判定する。構成要素3は、同一ディレクトリにあるコンテンツには同一内容の構成要素が含まれているが、同一階層上のコンテンツには含まれないので、次に重要度の高い重要度2と判定する。構成要素1および2は、同一ディレクトリにあるコンテンツおよび同一階層上のコンテンツの両方に同一内容の構成要素が含まれているので最も低い重要度3と判定する。
【0023】
重要度1の構成要素が複数存在する場合は、レイアウト構造の解析結果で得られたレイアウトを持つコンテンツと解析対象のコンテンツとを比較し、レイアウト解析結果で得られたレイアウトの各構成要素が同一の内容となる確率の低い順から、重要度の高い構成要素であると判断する。具体的には、例えば以下の条件により最も重要な構成要素を決定する。
(1)1024×768ピクセルのディスプレイに表示したときに、ディスプレイの中心点を含む構成要素
(2)1024×768ピクセルのディスプレイに表示したときに、最も広い面積をもつ構成要素
(3)構成要素のバックカラーが、白である構成要素
(4)構成要素の文字数が最も多い構成要素
【0024】
ステップS605では、構成要素解析部135が、構成要素が変更される頻度を判定する。コンテンツの時間変化を見るためにコンテンツ取得部132は、定期的にWebサーバ100からコンテンツを取得し、既存コンテンツ履歴DB133に保管する。
【0025】
構成要素解析部135は、既存コンテンツ履歴DB133から過去のコンテンツを取得し、ステップS603で得られた構成要素の時間変化を調べる。予め設定された閾値以上に更新されている構成要素を動的要素、更新されていない構成要素を静的要素と定義する。
図2の例では、製品のバージョンアップや価格改定、新規製品の登録などの理由により構成要素4が頻繁に更新されると仮定する。すると、構成要素4が動的要素であり、残りの構成要素1から3は静的要素とする。
ステップS606では、表示・入力部136が、これまでのステップで得られたレイアウト情報(各構成要素の位置)および構成要素の重要度、更新頻度(動的要素か静的要素か)を表示する。表示例を図7に示す。
【0026】
以上のようにして、テンプレート生成装置130は、テンプレート作成に必要なレイアウト情報、構成要素の重要度および更新頻度を取得できる。
次に、解析した結果を表示・入力部136が表示し、コンテンツ管理者の指示に従い修正を行う。
【0027】
図7に表示・入力部136の画面を示す。この画面は、主に2つの画面(構成要素プロパティ設定画面710とブラウザ表示画面720)から構成される。
ブラウザ表示画面720は、テンプレート作成対象のコンテンツを表示し、さらにレイアウト解析部134によって得られたレイアウトをもとに構成要素721の境界を強調表示する。
あるいは、構成要素の更新頻度の高いものと低いものとで強調方法を違えて表示する。また、構成要素の重要度に応じて強調方法を違えて表示する。
構成要素プロパティ設定画面710は、ブラウザ表示画面720においてマウスポインタ730によって選択された構成要素のプロパティ(重要度、静的/動的)を表示し、さらに設定することができる。
また、メニュー740の「設定」を選択すると「コンテンツ表示装置登録ダイアログ」750が表示され、コンテンツを表示させる予定のクライアント端末を登録する。テンプレートは、基本的にここに登録したクライアント端末の種類数だけ作成される。
【0028】
次に、コンテンツ管理者が表示・入力部136に対して行った操作に基づき、テンプレート生成部137がテンプレートを作成する手順について、図8のフローチャートにもとづいて説明する。
まず、ステップS801では、表示・入力部136が、コンテンツ管理者によって入力された配信対象のクライアント端末150を登録する。コンテンツ管理者は「コンテンツ表示装置登録ダイアログ」750に、このコンテンツを表示させる予定のクライアント端末の情報(スクリーンサイズ、メモリ等)を入力する。ステップS802では、表示・入力部136が、コンテンツ管理者の指示に従い構成要素の範囲を変更する。範囲を変更する方法は、例えばコンテンツ管理者が「Ctrlキー」を押しながら、マウスポインタ730で構成要素をクリックすると、その親の要素が新しい構成要素として選択することによって範囲を変更する。もし親要素が<BODY>であるならば、そのマウスポインタ730が指し示している最小の要素を構成要素として選択する。
【0029】
ステップS803では、表示・入力部136が、コンテンツ管理者の指示に従い構成要素のプロパティを変更する。コンテンツ管理者は、プロパティを変更したい構成要素をマウスポインタ730で選択し、その画面要素のプロパティを構成要素プロパティ設定画面710に表示し、修正を行う。
ステップS804では、テンプレート生成部137が、コンテンツ管理者によりメニュー740の「テンプレート作成」を選択されると、ステップS801で登録した各クライアント端末それぞれに適したテンプレートの作成を開始する。
【0030】
ステップS805では、テンプレート生成部137が、表示する構成要素及びレイアウトを決める。
まず、各構成要素のデータサイズおよび表示サイズを計算する。次に、対象となるクライアント端末のスクリーンサイズ、メモリ等を参照して、表示する構成要素を重要度の高いものから順に選択していく。選択した構成要素をもとのレイアウトを活かした形で再構成する。また、選択されなかった構成要素は別のテンプレートで表示し、そのテンプレートへのハイパーリンクを付加する。
図4の例では、重要度1及び2である構成要素4及び3を表示し、それ以外の構成要素を別のテンプレートにし、そこへのハイパーリンクが生成されている。ステップS806では、テンプレート生成部137が、ステップS805で得られた構成要素及びレイアウトをテンプレートファイルに出力する。
【0031】
図3のテンプレートにおいて、まず対象となったクライアント端末の情報312プロファイル(templateProfile1.xml)に書き込む。次に構成要素3は静的要素であるので、テンプレートファイル(template1.jsp)に直接HTML文書302を書き込む。また、構成要素4は動的要素であるので、プロファイルに構成要素4を含むコンテンツのURLとそのコンテンツ内での位置をXPathで指定し、テンプレートファイルにおいて構成要素4を表示する位置に、構成要素4を表示するためのタグを挿入する。
ステップS807では、テンプレート生成部137が、通信部131を経由してコンテンツ変換装置120のテンプレートDB125にステップS806で作成したテンプレートを配置する。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、コンテンツのレイアウト及びレイアウトで分けられた構成要素を取得し、さらに、構成要素の重要度を自動的に判断することができるので、PC等の特定の情報機器向けに作成されたコンテンツを携帯電話機等のクライアント端末のコンテンツ表示能力に合せて構成要素を取捨選択することによって、クライアント端末に適したコンテンツを配信、提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】PC向けに作成された既存のコンテンツ例を示す図である。
【図3】図2のコンテンツから作成したテンプレート例を示す図である。
【図4】図3のテンプレートを用いて図2のコンテンツを変換した例を示す図である。
【図5】コンテンツ変換装置がテンプレートを用いて既存コンテンツを変換しクライアント端末に配信する手順を示すフローチャートである。
【図6】テンプレート生成装置がコンテンツを解析する手順を示すフローチャートである。
【図7】コンテンツの解析結果を表示する画面例を示す図である。
【図8】テンプレート生成装置がテンプレートを作成する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100…Webサーバ、101…既存コンテンツDB、110…イントラネット、120…コンテンツ変換装置、121…コンテンツ変換装置の通信部、122…機種判定部、123…機種情報DB、124…テンプレート取得部、125…テンプレートDB、126…コンテンツ生成部、127…コンテンツ変換部、130…テンプレート生成装置、131…テンプレート生成装置の通信部、132…コンテンツ取得部、133…既存コンテンツ履歴DB、134…レイアウト解析部、135…構成要素解析部、136…表示・入力部、140…インターネット、150…クライアント端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の情報機器向けに作成されたWebコンテンツ(以下、コンテンツ)を変換し、前記特定の情報機器とは異なる情報端末に配信するためのWebコンテンツ変換方法であって、
コンテンツ配信要求を行った情報端末のコンテンツ表示能力を取得する第1のステップと、
取得した情報端末のコンテンツ表示能力と予め作成されたコンテンツの変換方法の複数のテンプレートを比較し、その情報端末に適したテンプレートを取得する第2のステップと、
当該テンプレートに従い既存のコンテンツから必要な構成要素を取得する構成要素取得ステップと、
取得した構成要素と前記テンプレートに記述された要素とを合成し、コンテンツ配信要求元の情報端末向けのコンテンツを生成するコンテンツ生成ステップとを備えることを特徴とするWebコンテンツ変換方法。
【請求項2】
前記構成要素取得ステップが構成要素の取得に失敗したときに、新たなテンプレートを作成するためのコンテンツ解析ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項3】
前記コンテンツ解析ステップが、コンテンツのレイアウトを取得するレイアウト取得ステップと、取得したレイアウトで分けられたコンテンツの各構成要素の重要度を取得する重要度取得ステップと、各構成要素の更新頻度を取得する更新頻度取得ステップと、これら3つのステップで得られた情報に基づきテンプレートの作成を指示するステップとを備えることを特徴とする請求項2に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項4】
前記のレイアウト取得ステップが、レイアウトを構成する可能性のあるタグを定義するステップと、解析対象となるコンテンツとレイアウトが同じとなる可能性が高いコンテンツ同士を比較するステップと、レイアウトを構成する可能性のあるタグのうち高い確率でコンテンツ内の同じ位置にある特定のタグを、レイアウトを構成するタグとして取得するステップからなることを特徴とする請求項3に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項5】
前記重要度取得ステップが、レイアウト取得ステップで得られたレイアウトを持つコンテンツと解析対象のコンテンツとを比較し、レイアウト取得ステップで得られたレイアウトの各構成要素が同一の内容となる確率の低い順から、重要度の高い構成要素であると判断する重要度判定ステップを備えることを特徴とする請求項3に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項6】
前記重要度判定ステップは、解析対象となるコンテンツを前記特定の情報機器用のディスプレイに表示したときに、ディスプレイの中心点を含む画面要素を最も重要度の高い構成要素であると判断することを特徴とする請求項5に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項7】
前記重要度判定ステップは、解析対象となるコンテンツを前記特定の情報機器のディスプレイに表示したときに、表示面積の大きい画面要素をより高い重要度をもつ画面要素として判断することを特徴とする請求項5に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項8】
前記重要度判定ステップは、バックカラーが白である画面要素を重要度の高い画面要素として判断することを特徴とする請求項5に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項9】
前記重要度判定ステップは、文字数の多い画面要素を重要度の高い画面要素として判断することを特徴とする請求項5に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項10】
前記更新頻度取得ステップが、解析対象のコンテンツを過去のコンテンツと比較することにより、各構成要素の更新頻度を取得するステップ備えることを特徴とする請求項3〜9のいずれか一項に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項11】
前記コンテンツ生成ステップは、対象コンテンツを配信する情報端末の情報を登録するステップと、コンテンツの解析結果を表示するステップと、コンテンツ管理者の指示に従いコンテンツ解析結果を修正するステップと、修正されたコンテンツ解析結果をもとにテンプレートを作成するステップとを備えることを特徴とする請求項1に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項12】
前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の境界線またはその領域を強調表示して表示することを特徴とする請求項11に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項13】
前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の更新頻度の高いものと低いものとで強調方法を違えて表示することを特徴とする請求項11に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項14】
前記コンテンツの解析結果を表示するステップは、構成要素の重要度に応じて強調方法を違えて表示することを特徴とする請求項11に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項15】
前記テンプレートを作成するステップは、対象コンテンツを配信する情報端末のスクリーンサイズやメモリサイズの情報をもとに、構成要素の重要度の高いものから当該端末に表示させる構成要素を決定することを特徴とする請求項11に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項16】
前記テンプレートを作成するステップは、構成要素の更新頻度が予め設定された閾値よりも頻繁に更新されている構成要素については、コンテンツ変換時に対象となるコンテンツを取得し動的に変換するようにテンプレートに記述し、閾値より頻繁に更新されない構成要素については直接その内容をテンプレートに記述することを特徴とする請求項11に記載のWebコンテンツ変換方法。
【請求項17】
特定の情報機器向けに作成されたコンテンツを変換し、前記特定の情報機器とは異なる情報端末に配信するためのWebコンテンツ変換システムであって、
コンテンツ配信要求を行った情報端末のコンテンツ表示能力を取得する第1の手段と、
取得した情報端末のコンテンツ表示能力と予め作成されたコンテンツの変換方法の複数のテンプレートを比較し、その情報端末に適したテンプレートを取得する第2の手段と、
当該テンプレートに従い既存のコンテンツから必要な構成要素を取得する第3の手段と、
取得した構成要素と前記テンプレートに記述された要素とを合成し、コンテンツ配信要求元の情報端末向けのコンテンツを生成する第4の手段と
を備えることを特徴とするWebコンテンツ変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2004−110427(P2004−110427A)
【公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−272202(P2002−272202)
【出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】