Webシステム
【課題】パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易に利用することができるWebシステムを提供する。
【解決手段】ソフトウエアキーボード1と、メールシステム2と、Webブラウザ3とを備えており、さらにそれらを制御するための統合インターフェース4が備えられている。統合インターフェース4には、ソフトウエアキーボード1からの信号を制御するための入力制御手段4aと、言語の変換を制御するためのIME制御手段4bと、Webページを解析するためのWeb解析手段4cと、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段4dとが設けられている。
【解決手段】ソフトウエアキーボード1と、メールシステム2と、Webブラウザ3とを備えており、さらにそれらを制御するための統合インターフェース4が備えられている。統合インターフェース4には、ソフトウエアキーボード1からの信号を制御するための入力制御手段4aと、言語の変換を制御するためのIME制御手段4bと、Webページを解析するためのWeb解析手段4cと、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段4dとが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンの操作に慣れていない、高齢者や初心者向けのWebシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン及びインターネットを中核として情報技術が急速に普及している。それに伴い、情報技術を活用した様々なサービスが企業や公共機関や行政等によって提供されている。こうした、パソコン及びインターネットを中核とする情報技術の発達により、人々は必要とする情報を迅速に手に入れることができるようになり、人々の生活における利便性を飛躍的に向上させてきた。
【0003】
しかしながら、情報技術の活用能力は、年齢や身体的特長等によって大きな格差が存在するため、全ての人々が情報技術の発達による利便性を平等に享受できるわけではない。このため、コンピュータを使いこなせない高齢者等の人々は、情報社会から取り残され、情報技術を利用できるものと利用できないものとの間で大きな較差(いわゆるデジタルデバイド)を生じ、このことが大きな社会問題となっている。
【0004】
従来、こうしたデジタルデバイドの解消のためのWebシステムが提案されている。例えば、非特許文献1では、中高年齢者向けのメールシステムが提案されている。
【非特許文献1】日本IBM:らくらくウェブ散策 http://www-6.ibm.com/jp/accessibility/soft/rakuraku.html
【0005】
しかし、それらの多くはボタンや文字のサイズを大きくすることが中心であり、操作自体を容易にするものではない。発明者らは、中高年齢者のデジタルデバイドの現況を調べるため、中高年齢者を対象としたパソコン利用に関するアンケート調査を行った。その結果、中高齢者がパソコンを利用する場合に障害となるのは、ボタンや文字の小さいことだけではなく、入力操作の複雑さが大きな割合を占めていることが判明した。すなわち、この入力操作に通常使用されているキーボードには、100個以上の操作ボタンがついており、それを中高年齢者が使いこなすことは、容易なことではないのである。
【0006】
こうした入力操作に使われるキーボードの操作が不得手な人向けに、日本語入力用のソフトウェアキーボードが開発されている(非特許文献2、3参照)。
【非特許文献2】ピリカラボ Trail Soft Keyboardhttp://ww3.tiki.ne.jp/~k_nakada/
【非特許文献3】アライド・ブレインズ株式会社:Petehttp://at.a-brain.com/PeteHP7index.html
【0007】
しかし、これらの日本語入力用のソフトウェアキーボードは、Webブラウザとは別に、単独で起動させなければならない。このため、起動が複雑となり、パソコンに不慣れな高齢者や初心者にとって、起動すら難しくなってしまう。また、Webブラウザの表示画面とソフトウエアキーボードの表示画面とが重なった場合には、ソフトウエアキーボードの表示画面を移動させなければならず、操作が複雑で難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易に利用することができるWebシステムを提供すること解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のWebシステムは、インターネット情報を閲覧したり発信したりするためのWebブラウザと、該Webブラウザを利用するために必要なデータを入力するための入力インターフェースとを備えており、該入力インターフェースは、表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードであるWebシステムにおいて、言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、前記ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、前記Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなる統合インターフェースを備えることにより、該統合インターフェースを起動することによって、該ソフトウエアキーボードの表示画面と、前記Webブラウザの表示画面とが独立して同時に使用することが可能とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明のWebシステムでは、入力インターフェースとして、コンピュータの表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードが用いられている。これにより、利用者はWebブラウザの表示画面を見ながら、同一画面上にあるソフトウエアキーボードの画面を見て操作を行うことができるため、従来高齢者等にもたれていたキーボードへ嫌悪感が緩和される。しかも、本発明のWebシステムでは、統合インターフェースを起動するだけで、ソフトウエアキーボードの表示画面と、Webブラウザの表示画面とを独立して同時に使用することが可能とされている。すなわち、この統合インターフェースは、通常独立したアプリケーションとして存在する個々の機能を一つのアプリケーションに内挿している。具体的には、言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなり、各手段が相互に連動してコンピュータの入力操作とWebブラウジングを容易に行うことを可能としている。ここで、言語の変換を制御するための言語変換制御手段とは、Windows(登録商標)のIMS、Macintosh(登録商標)のIM等のように、多種類の言語を特殊なキーボードを用いずに入力可能とするための手段をいう。このため、この統合インターフェースを起動することによって、Webブラウザとソフトウエアキーボードとが両方とも使用可能の状態となり、ソフトウエアの立ち上げ操作が極めて簡単となる。また、従来のソフトウエアキーボードを用いるWebシステムのように、Webブラウザの表示画面とソフトウエアキーボードの画面との重なりを防ぐために、画面を移動させるといった操作も不要となり、まごつくことなくソフトウエアキーボードを用いて、必要なデータを入力することができる。
【0011】
したがって、本発明のWebシステムによれば、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易に利用することができる。
【0012】
本発明のWebシステムにメールの送受信を行うためのメールシステムを組み込む場合、メールの送受信のための一連の操作が工程ごとに表示画面上で誘導されるようにすることもできる。例えば、立ち上げの表示画面において、メールまたはインターネットの選択画面が表示され、メールを選択した場合には、次の表示画面で、メールを読むのかメールを送るのかの選択画面が表示される、というような具合である。こうすることによって、従来のメールシステムのように、アドレスの指定や、タイトル、カーボンコピーの指定等、煩雑なデータ入力をきわめて容易に行うことができ、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易にメールシステムを利用することが可能となる。
【0013】
また、メールシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムとすることもできる。こうであれば、各端末ごとにメールシステムを導入する必要がなくなり、メールシステムを一箇所で集中して管理することができる。このため、メールシステムの管理やバージョンアップ等のメンテナンスが容易となる。特に公共端末を利用するような場合には、利用者の個人情報を端末ごとに設定する必要がなくなるため好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態のWebシステムを図面を参照しつつ説明する。このWebシステムは、名古屋市中高齢者向け情報化推進プロジェクト(事業名「らくらくパソコンe−なもくん開発事業」)において開発されたものであり、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者がインターネット検索やメールの送受信を行うためのWebシステムである。
【0015】
このWebシステムは、図1に示すように、ソフトウエアキーボード1と、メールシステム2と、Webブラウザ3とを備えており、さらにそれらを制御するための統合インターフェース4が備えられている。ソフトウエアキーボード1、Webブラウザ3及び統合インターフェース4は、図2に示す複数のパソコン端末11、12、13・・・・・・1nに実装されており、メールシステム2は、パソコン端末11〜1nとインターネットで接続された管理サーバ20に実装されている。
【0016】
図1に示すように、統合インターフェース4には、ソフトウエアキーボード1からの信号を制御するための入力制御手段4aと、言語の変換を制御するためのIME制御手段4bと、Webページを解析するためのWeb解析手段4cと、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段4dとが設けられている。IME制御手段4bが言語変換制御手段である。統合インターフェース4は、Microsoft Windows (登録商標)のプラットフォームでWin32APIを利用したプログラムにより実現されている。また、ソフトウエアキーボード1は、Windows(登録商標)付属のIMEをカプセル化することにより実装されており、Web解析手段4cとブラウザ制御手段4dは、WWW Browser Componentをカプセル化することによって、実装されている。
【0017】
メールシステム2には、受信用のIMAPと送信用のSMTPが用いられており、これによりメールの送受信がWeb上でできるようにされている。また、このメールシステム2には、図3に示すように、PHPのセッション機能を利用した認証システム5がWebブラウザ3(図1参照)とは別に設けられている。これにより、認証画面のデザインや操作性をWebブラウザに依存することなく、自由にデザインできるようにされている。また、クロスサイトスクリプト、Java(登録商標)Script、VBScript等を悪用した攻撃対策として、ユーザ入力のデータスクリプトをhtmlspecialchars関数によって、文字列のタグや特殊文字の排除をするようにされている。さらに、データ改竄に対しては、送られたデータの再チェック及びPHPセッション管理機能を用いることによって防いでいる。また、セッションIDの盗用対策として、SSLによる通信が採用されている。
【0018】
以上のように構成された、実施形態のWebシステムでは、図2に示すパソコン端末11〜1nを立ち上げると、図4に示す利用者の認証を行うための画面101が表示される。この画面101には、利用者の名前及び暗証番号を入力する入力画面101aと、ソフトウエアキーボード1とが同時に表示される。これらの表示は、それぞれ独立に使用することが可能であり、画像が重なり合ったりすることはない。また、ソフトウエアキーボード1は、文字ボタンがスクロール形式とされており、見た目のボタン数も少なくされている。また、コマンドボタンは文字の変換、決定、入力の三つのみであり、極めてシンプルとされている。これらのことから、高齢者のキーボードに対する嫌悪感をかなり緩和することができる。
【0019】
利用者は、ソフトウエアキーボード1を利用して名前と暗証番号を入力欄1aから入力した後、「次へ」をクリックすることにより、図5に示す画面102が表示される。画面102には、メール及びインターネットの選択ボタンが表示される。ここで、「メール」ボタンをクリックすることにより、図6に示す画面103が表示される。画面103には「手紙を書く」、「もらった手紙」及び「戻る」という3つの選択ボタンと、新しく届いた手紙の数とが表示される。
【0020】
画面103で、「手紙を書く」をクリックすると、図7に示す、メールの宛名を入力するための画面104が表示される。ここで、ソフトウエアキーボード1の入力欄1aに宛名を入力し「OK]のボタンをクリックすることにより、図8に示すように、送信しようとするメールの内容を確認するための画面105が表示される。さらにこの表示画面の「OK」ボタンをクックすることにより、図9に示す、メールの内容を確認するための画面106が表示される。ここで、メールの内容を最終的に確認した後、「送信」のボタンをクリックすることにより、メールの送信が完了する。
【0021】
また、新たに届いたメールを見る場合には、図6に示す、画面103に表示された3つの選択ボタンから「新しく届いた手紙」をクリックすることにより、図10に示すように、新たに届いたメールの送り手と日付が画面107に表示される。さらに画面107における、送り手の表示部分をクリックすることにより、画面108に示すように、メールの内容を確認することができる。
【0022】
さらに、過去に送信されたメールを一覧したい場合には、図6に示す画面103に表示された3つの選択ボタンから「もらった手紙」をクリックする。この操作により、図12の画面109に示すように、「日付順」か「あいうえお順」かを選択するためのボタンが表示される。ここで、「日付順」を選択すれば、図13に示すように、画面110に日付順でメールの送信者と日付とが表示される。さらにその内容を見たい場合には、そのメール送信者の部分をクリックする。また、「あいうえお順」を選択した場合には、図14の画面111に示すように、あいうえお順でメールの送信者と日付とが表示される。さらにその内容を見たい場合には、そのメール送信者の部分をクリックする。
【0023】
以上のように、このWebシステムは、メールの送信を行うための操作が次々に誘導されるため、高齢者等のパソコンに不慣れなものであっても、容易にメールの送信を行うことができる。また、同一表示画面上に、メールの内容等の表示と、ソフトウエアキーボード1とが両方表示され、それらは、互いに重なり合ったりはしないため、画面を移動させるといった操作も不要となり、まごつくことなくソフトウエアキーボード1を用いて、必要なデータを入力することができる。さらに、このWebシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムであるため、各パソコン端末11、12、13・・・・・・・・・1nごとにメールシステムを導入する必要がなく、メールシステム2を管理サーバ20において一括して管理することができる。このため、メールシステムの管理やバージョンアップ等のメンテナンスが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
情報技術を活用した様々なサービスを企業や公共機関や行政等が提供する場合において、本発明のWebシステムを用いることにより、パソコンの操作に慣れていない、高齢者や初心者であっても利用し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態のWebシステムのブロック図である。
【図2】実施形態のWebシステムの模式図である。
【図3】実施形態のWebシステムに係るメールシステムの送受信方法を示す図である。
【図4】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された認証のための画面である。
【図5】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された目的選択のための画面である。
【図6】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された目的選択のための画面である。
【図7】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメールアドレス入力のための画面である。
【図8】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール文を入力するための画面である。
【図9】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された入力されたメール文の確認のための画面である。
【図10】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された新着メールの一覧を表示する画面である。
【図11】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された新着メールの内容を表示する画面である。
【図12】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された一覧方法を選択するための画面である。
【図13】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール送信者の一覧を表示する画面である。
【図14】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール送信者の一覧を表示する画面である。
【符号の説明】
【0026】
3…Webブラウザ
1…ソフトウエアキーボード(入力インターフェース)
4a…IME制御手段(言語変換制御手段)
4b…入力制御手段
4c…Web解析手段
4d…ブラウザ制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンの操作に慣れていない、高齢者や初心者向けのWebシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン及びインターネットを中核として情報技術が急速に普及している。それに伴い、情報技術を活用した様々なサービスが企業や公共機関や行政等によって提供されている。こうした、パソコン及びインターネットを中核とする情報技術の発達により、人々は必要とする情報を迅速に手に入れることができるようになり、人々の生活における利便性を飛躍的に向上させてきた。
【0003】
しかしながら、情報技術の活用能力は、年齢や身体的特長等によって大きな格差が存在するため、全ての人々が情報技術の発達による利便性を平等に享受できるわけではない。このため、コンピュータを使いこなせない高齢者等の人々は、情報社会から取り残され、情報技術を利用できるものと利用できないものとの間で大きな較差(いわゆるデジタルデバイド)を生じ、このことが大きな社会問題となっている。
【0004】
従来、こうしたデジタルデバイドの解消のためのWebシステムが提案されている。例えば、非特許文献1では、中高年齢者向けのメールシステムが提案されている。
【非特許文献1】日本IBM:らくらくウェブ散策 http://www-6.ibm.com/jp/accessibility/soft/rakuraku.html
【0005】
しかし、それらの多くはボタンや文字のサイズを大きくすることが中心であり、操作自体を容易にするものではない。発明者らは、中高年齢者のデジタルデバイドの現況を調べるため、中高年齢者を対象としたパソコン利用に関するアンケート調査を行った。その結果、中高齢者がパソコンを利用する場合に障害となるのは、ボタンや文字の小さいことだけではなく、入力操作の複雑さが大きな割合を占めていることが判明した。すなわち、この入力操作に通常使用されているキーボードには、100個以上の操作ボタンがついており、それを中高年齢者が使いこなすことは、容易なことではないのである。
【0006】
こうした入力操作に使われるキーボードの操作が不得手な人向けに、日本語入力用のソフトウェアキーボードが開発されている(非特許文献2、3参照)。
【非特許文献2】ピリカラボ Trail Soft Keyboardhttp://ww3.tiki.ne.jp/~k_nakada/
【非特許文献3】アライド・ブレインズ株式会社:Petehttp://at.a-brain.com/PeteHP7index.html
【0007】
しかし、これらの日本語入力用のソフトウェアキーボードは、Webブラウザとは別に、単独で起動させなければならない。このため、起動が複雑となり、パソコンに不慣れな高齢者や初心者にとって、起動すら難しくなってしまう。また、Webブラウザの表示画面とソフトウエアキーボードの表示画面とが重なった場合には、ソフトウエアキーボードの表示画面を移動させなければならず、操作が複雑で難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易に利用することができるWebシステムを提供すること解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のWebシステムは、インターネット情報を閲覧したり発信したりするためのWebブラウザと、該Webブラウザを利用するために必要なデータを入力するための入力インターフェースとを備えており、該入力インターフェースは、表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードであるWebシステムにおいて、言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、前記ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、前記Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなる統合インターフェースを備えることにより、該統合インターフェースを起動することによって、該ソフトウエアキーボードの表示画面と、前記Webブラウザの表示画面とが独立して同時に使用することが可能とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明のWebシステムでは、入力インターフェースとして、コンピュータの表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードが用いられている。これにより、利用者はWebブラウザの表示画面を見ながら、同一画面上にあるソフトウエアキーボードの画面を見て操作を行うことができるため、従来高齢者等にもたれていたキーボードへ嫌悪感が緩和される。しかも、本発明のWebシステムでは、統合インターフェースを起動するだけで、ソフトウエアキーボードの表示画面と、Webブラウザの表示画面とを独立して同時に使用することが可能とされている。すなわち、この統合インターフェースは、通常独立したアプリケーションとして存在する個々の機能を一つのアプリケーションに内挿している。具体的には、言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなり、各手段が相互に連動してコンピュータの入力操作とWebブラウジングを容易に行うことを可能としている。ここで、言語の変換を制御するための言語変換制御手段とは、Windows(登録商標)のIMS、Macintosh(登録商標)のIM等のように、多種類の言語を特殊なキーボードを用いずに入力可能とするための手段をいう。このため、この統合インターフェースを起動することによって、Webブラウザとソフトウエアキーボードとが両方とも使用可能の状態となり、ソフトウエアの立ち上げ操作が極めて簡単となる。また、従来のソフトウエアキーボードを用いるWebシステムのように、Webブラウザの表示画面とソフトウエアキーボードの画面との重なりを防ぐために、画面を移動させるといった操作も不要となり、まごつくことなくソフトウエアキーボードを用いて、必要なデータを入力することができる。
【0011】
したがって、本発明のWebシステムによれば、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易に利用することができる。
【0012】
本発明のWebシステムにメールの送受信を行うためのメールシステムを組み込む場合、メールの送受信のための一連の操作が工程ごとに表示画面上で誘導されるようにすることもできる。例えば、立ち上げの表示画面において、メールまたはインターネットの選択画面が表示され、メールを選択した場合には、次の表示画面で、メールを読むのかメールを送るのかの選択画面が表示される、というような具合である。こうすることによって、従来のメールシステムのように、アドレスの指定や、タイトル、カーボンコピーの指定等、煩雑なデータ入力をきわめて容易に行うことができ、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者であっても、容易にメールシステムを利用することが可能となる。
【0013】
また、メールシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムとすることもできる。こうであれば、各端末ごとにメールシステムを導入する必要がなくなり、メールシステムを一箇所で集中して管理することができる。このため、メールシステムの管理やバージョンアップ等のメンテナンスが容易となる。特に公共端末を利用するような場合には、利用者の個人情報を端末ごとに設定する必要がなくなるため好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態のWebシステムを図面を参照しつつ説明する。このWebシステムは、名古屋市中高齢者向け情報化推進プロジェクト(事業名「らくらくパソコンe−なもくん開発事業」)において開発されたものであり、パソコンの操作に慣れていない高齢者や初心者がインターネット検索やメールの送受信を行うためのWebシステムである。
【0015】
このWebシステムは、図1に示すように、ソフトウエアキーボード1と、メールシステム2と、Webブラウザ3とを備えており、さらにそれらを制御するための統合インターフェース4が備えられている。ソフトウエアキーボード1、Webブラウザ3及び統合インターフェース4は、図2に示す複数のパソコン端末11、12、13・・・・・・1nに実装されており、メールシステム2は、パソコン端末11〜1nとインターネットで接続された管理サーバ20に実装されている。
【0016】
図1に示すように、統合インターフェース4には、ソフトウエアキーボード1からの信号を制御するための入力制御手段4aと、言語の変換を制御するためのIME制御手段4bと、Webページを解析するためのWeb解析手段4cと、Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段4dとが設けられている。IME制御手段4bが言語変換制御手段である。統合インターフェース4は、Microsoft Windows (登録商標)のプラットフォームでWin32APIを利用したプログラムにより実現されている。また、ソフトウエアキーボード1は、Windows(登録商標)付属のIMEをカプセル化することにより実装されており、Web解析手段4cとブラウザ制御手段4dは、WWW Browser Componentをカプセル化することによって、実装されている。
【0017】
メールシステム2には、受信用のIMAPと送信用のSMTPが用いられており、これによりメールの送受信がWeb上でできるようにされている。また、このメールシステム2には、図3に示すように、PHPのセッション機能を利用した認証システム5がWebブラウザ3(図1参照)とは別に設けられている。これにより、認証画面のデザインや操作性をWebブラウザに依存することなく、自由にデザインできるようにされている。また、クロスサイトスクリプト、Java(登録商標)Script、VBScript等を悪用した攻撃対策として、ユーザ入力のデータスクリプトをhtmlspecialchars関数によって、文字列のタグや特殊文字の排除をするようにされている。さらに、データ改竄に対しては、送られたデータの再チェック及びPHPセッション管理機能を用いることによって防いでいる。また、セッションIDの盗用対策として、SSLによる通信が採用されている。
【0018】
以上のように構成された、実施形態のWebシステムでは、図2に示すパソコン端末11〜1nを立ち上げると、図4に示す利用者の認証を行うための画面101が表示される。この画面101には、利用者の名前及び暗証番号を入力する入力画面101aと、ソフトウエアキーボード1とが同時に表示される。これらの表示は、それぞれ独立に使用することが可能であり、画像が重なり合ったりすることはない。また、ソフトウエアキーボード1は、文字ボタンがスクロール形式とされており、見た目のボタン数も少なくされている。また、コマンドボタンは文字の変換、決定、入力の三つのみであり、極めてシンプルとされている。これらのことから、高齢者のキーボードに対する嫌悪感をかなり緩和することができる。
【0019】
利用者は、ソフトウエアキーボード1を利用して名前と暗証番号を入力欄1aから入力した後、「次へ」をクリックすることにより、図5に示す画面102が表示される。画面102には、メール及びインターネットの選択ボタンが表示される。ここで、「メール」ボタンをクリックすることにより、図6に示す画面103が表示される。画面103には「手紙を書く」、「もらった手紙」及び「戻る」という3つの選択ボタンと、新しく届いた手紙の数とが表示される。
【0020】
画面103で、「手紙を書く」をクリックすると、図7に示す、メールの宛名を入力するための画面104が表示される。ここで、ソフトウエアキーボード1の入力欄1aに宛名を入力し「OK]のボタンをクリックすることにより、図8に示すように、送信しようとするメールの内容を確認するための画面105が表示される。さらにこの表示画面の「OK」ボタンをクックすることにより、図9に示す、メールの内容を確認するための画面106が表示される。ここで、メールの内容を最終的に確認した後、「送信」のボタンをクリックすることにより、メールの送信が完了する。
【0021】
また、新たに届いたメールを見る場合には、図6に示す、画面103に表示された3つの選択ボタンから「新しく届いた手紙」をクリックすることにより、図10に示すように、新たに届いたメールの送り手と日付が画面107に表示される。さらに画面107における、送り手の表示部分をクリックすることにより、画面108に示すように、メールの内容を確認することができる。
【0022】
さらに、過去に送信されたメールを一覧したい場合には、図6に示す画面103に表示された3つの選択ボタンから「もらった手紙」をクリックする。この操作により、図12の画面109に示すように、「日付順」か「あいうえお順」かを選択するためのボタンが表示される。ここで、「日付順」を選択すれば、図13に示すように、画面110に日付順でメールの送信者と日付とが表示される。さらにその内容を見たい場合には、そのメール送信者の部分をクリックする。また、「あいうえお順」を選択した場合には、図14の画面111に示すように、あいうえお順でメールの送信者と日付とが表示される。さらにその内容を見たい場合には、そのメール送信者の部分をクリックする。
【0023】
以上のように、このWebシステムは、メールの送信を行うための操作が次々に誘導されるため、高齢者等のパソコンに不慣れなものであっても、容易にメールの送信を行うことができる。また、同一表示画面上に、メールの内容等の表示と、ソフトウエアキーボード1とが両方表示され、それらは、互いに重なり合ったりはしないため、画面を移動させるといった操作も不要となり、まごつくことなくソフトウエアキーボード1を用いて、必要なデータを入力することができる。さらに、このWebシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムであるため、各パソコン端末11、12、13・・・・・・・・・1nごとにメールシステムを導入する必要がなく、メールシステム2を管理サーバ20において一括して管理することができる。このため、メールシステムの管理やバージョンアップ等のメンテナンスが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
情報技術を活用した様々なサービスを企業や公共機関や行政等が提供する場合において、本発明のWebシステムを用いることにより、パソコンの操作に慣れていない、高齢者や初心者であっても利用し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態のWebシステムのブロック図である。
【図2】実施形態のWebシステムの模式図である。
【図3】実施形態のWebシステムに係るメールシステムの送受信方法を示す図である。
【図4】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された認証のための画面である。
【図5】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された目的選択のための画面である。
【図6】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された目的選択のための画面である。
【図7】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメールアドレス入力のための画面である。
【図8】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール文を入力するための画面である。
【図9】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された入力されたメール文の確認のための画面である。
【図10】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された新着メールの一覧を表示する画面である。
【図11】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された新着メールの内容を表示する画面である。
【図12】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示された一覧方法を選択するための画面である。
【図13】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール送信者の一覧を表示する画面である。
【図14】実施形態のWebシステムに係るパソコン端末に表示されたメール送信者の一覧を表示する画面である。
【符号の説明】
【0026】
3…Webブラウザ
1…ソフトウエアキーボード(入力インターフェース)
4a…IME制御手段(言語変換制御手段)
4b…入力制御手段
4c…Web解析手段
4d…ブラウザ制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット情報を閲覧したり発信したりするためのWebブラウザと、該Webブラウザを利用するために必要なデータを入力するための入力インターフェースとを備えており、該入力インターフェースは、表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードであるWebシステムにおいて、
言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、前記ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、前記Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなる統合インターフェースを備えることにより、該統合インターフェースを起動することによって、該ソフトウエアキーボードの表示画面と、前記Webブラウザの表示画面とを独立して同時に使用することが可能とされていることを特徴とするWebシステム。
【請求項2】
メールの送受信を行うためのメールシステムが備えられており、該メールシステムは該メールの送受信のための一連の操作が工程ごとに表示画面上で誘導されるようになっていることを特徴とする請求項1記載のWebシステム。
【請求項3】
メールシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムであることを特徴とする請求項2記載のWebシステム。
【請求項1】
インターネット情報を閲覧したり発信したりするためのWebブラウザと、該Webブラウザを利用するために必要なデータを入力するための入力インターフェースとを備えており、該入力インターフェースは、表示画面上に表示されて入力操作が行われるソフトウエアキーボードであるWebシステムにおいて、
言語の変換を制御するための言語変換制御手段と、前記ソフトウエアキーボードを制御するための入力制御手段と、Webページを解析するためのWeb解析手段と、前記Webブラウザを制御するためのブラウザ制御手段とからなる統合インターフェースを備えることにより、該統合インターフェースを起動することによって、該ソフトウエアキーボードの表示画面と、前記Webブラウザの表示画面とを独立して同時に使用することが可能とされていることを特徴とするWebシステム。
【請求項2】
メールの送受信を行うためのメールシステムが備えられており、該メールシステムは該メールの送受信のための一連の操作が工程ごとに表示画面上で誘導されるようになっていることを特徴とする請求項1記載のWebシステム。
【請求項3】
メールシステムは、メールの送受信をWeb上で行うWebメ−ルシステムであることを特徴とする請求項2記載のWebシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−59062(P2006−59062A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239326(P2004−239326)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(504316610)特定非営利活動法人ITエコサイクル推進機構 (1)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504316621)
【出願人】(504316632)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(504316610)特定非営利活動法人ITエコサイクル推進機構 (1)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504316621)
【出願人】(504316632)
【Fターム(参考)】
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