X線を用いた配線板の不良解析用画像の取得装置及び方法
【課題】迅速かつ正確に配線板の不良箇所を特定し、かつその状態を適正に把握することにより配線板の不良解析を高精度で行うことができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線版をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備える。
【解決手段】独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線版をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板の不良解析に関し、より詳細には、プローブ及びX線を用いた不良解析に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント配線板は、スルーホール等を用いて電気的に接続された回路を複数有しており、製造されたプリント配線板の回路が設計通り正しく形成されているかどうか、すなわち、プリント配線板中の回路が断線していて導通不良を生じたり、他の回路と短絡していて絶縁不良を生じたりせずに、設計通りに形成されているかを電気的に検査する必要がある。
【0003】
検査の結果、プリント配線板に不良があった場合には、修正可能であれば不良部分の修正を行い、修正が不可能であれば廃棄処分を行う。また、修正が不可能であった場合でも、どのような不良であったか等を解析し、製造工程にフィードバックされる。
【0004】
電気試験を行うプリント配線板の検査装置を使用してプリント配線板の検査を行うと、プリント配線板中の回路が断線していれば導通不良(断線不良)、また、他の回路と短絡していれば絶縁不良(短絡不良)といった不良内容が報告される。しかしながら、プリント配線板のどの回路に不良があるかを特定することはできるが、回路のどの位置で不良が発生しているかを特定することは困難であることが多い。
【0005】
このような従前から行われているプリント配線板の検査手法として、たとえば、可動プローブ方式の検査装置、あるいはデジタルマルチメータを自動化した装置が考えられる。
【0006】
デジタルマルチメータを使用する場合には測定対象に2つのプローブを接触させ、測定値を読みとる。同様に、可動プローブ方式の検査装置も測定対象であるプリント配線板上の検査点にプローブを接触させ、測定を行う。ただし、プリント配線板上には多くの検査点が存在するため、これを手動で測定するのは時間がかかりすぎるため、自動で検査点にプローブを移動させるようにするのが一般的である。
【0007】
可動プローブ方式の検査装置は、プローブを移動させるための手段(モータ等)が必要であるとともに、どこにプローブを移動させるかを記述したデータ等からなる検査プログラムも必要になる。
【0008】
プローブを用いて測定する場合、プローブ間に定電流を通し、プローブ間の電圧を測定することにより電流と測定電圧からプローブ間の抵抗値が求められる。
また、絶縁検査の場合、別回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に定電圧を印加し、プローブ間の漏れ電流を測定することにより、定電圧と測定漏れ電流からプローブ間の抵抗値が求められる。
【0009】
このような従来公知の手法では正確な抵抗値を求めたい場合には有効であるが、数万以上の検査点を有する配線板を測定するには時間がかかるという問題がある。
【0010】
また、別の検査手法として、治具式の検査装置は専用治具方式とユニバーサル治具方式が知られている。
【0011】
専用治具方式はプリント配線板上の検査点全てに接触できるプローブ(ピン)を立て、たとえば、検査点が2000点あれば2000本のピンを立て、これをプリント配線板の両面に接触させて、配線板を電気的に検査する。また、ユニバーサル治具方式は、検査点毎にプローブは立てないが、格子上にプローブを立てる。これらの格子上に配列されたピンを配線板の両面に接触させて、電気的な検査を行う。専用治具方式は基板の種類毎に治具を製作する必要があるが、ユニバーサル治具方式はマスクシートを製作することにより、多数の種類の基板に対応させることができる。しかし数万〜数十万本という多数のピンが必要になるという不利がある。いずれの治具方式も、プリント配線板の両面に剣山のようにピンが立ったプローブヘッドを接触させることによりで、電気的に検査する。これらの治具方式は、検査時間が短い反面、治具の製作費用や治具の保管場所等が必要なため、大量生産品には向いているが、多品種少ロットの場合には不利である。治具式に対し、可動プローブ方式はプローブ数が少ないため、検査時間がかかるという特徴を有する。
【0012】
また、不良箇所の検査として従来からX線検査を用いることが知られている。
【0013】
X線検査は電気検査ではなく設計データ等の良品の画像データと、カメラで取り込んだ画像等との比較により判断する検査手法である。配線板の場合には、複数の層から形成されているものも多く、50層以上の多層基板もある。したがって、多層配線板をX線検査により行うことは時間的に不利となる。
【0014】
不良箇所の状態を正確に把握して、解析を行うためには、不良と思われる箇所を、様々な方向から撮影した画像をレンダリング(3DCG)し立体画像とすることにより適正に不良箇所の状態を判断することができる。
【0015】
しかし、様々な方向から撮影するためにはさらに時間がかかり、また、レンダリング処理にも時間がかかる。このため、全ての回路を3D画像化した解析は現実的ではない。
このように3次元画像を用いた検査装置が望ましいが、2次元画像に比べ演算処理に時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平10−19807号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記問題点を解決し、迅速かつ正確に配線板の不良箇所を特定し、かつその状態を適正に把握することにより配線板の不良解析を高精度で行うことできる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本件発明の1つの特徴によれば、独立して検査を行うことかできる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と、
該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備えたことを特徴とするX線を用いた配線板不良解析用画像の取得装置が提供される。
【0019】
この場合、画像取得手段は、配線板の前記不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射し、前記不良箇所を特定し、該不良箇所のX線画像データを得るようになっている。
【0020】
この場合、たとえば、不良箇所を含む回路部分が特定のプローブ間であるとされた場合には、設計情報等に基づいて、該特定のプローブを特定してX線を照射すべき回路部分を特定する。そして、特定された回路部分においてX線走査を行う始点を確定し、回路部分に沿ってX線走査を開始する。走査中、不良箇所が発見された場合には走査を停止し、情報を収集する。典型的には、不良箇所の画像を、不良解析に供するものとして取得する。
【0021】
画像は目視的にも、データ解析用にも供することができる。
【0022】
さらに、画像取得手段は、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、解析を行うために該不良箇所の3次元CT画像を取得することが望ましい。
【0023】
また、本件発明の別の特徴によれば、独立して検査を行うことかできる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する段階と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射する段階と、
前記不良箇所を含む回路部分へのX線の照射を介して前記不良箇所を特定する段階と、
該不良箇所のX線画像を取得する段階とを備えたことを特徴とする配線板不良解析用画像の取得方法が提供される。
【0024】
この前記配線板の不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射してX線画像データを得るようにすることができる。
【0025】
また、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、不良解析を行うためにX線の照射を介して前記不良箇所の3次元CT画像を取得するようにしても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、配線板の不良箇所を迅速にかつ正確に把握することができ配電板の不良の状況を精度良く解析することができる。この結果、不良の内容に応じた適切な対応、たとえば設計変更、修理、処理手順、あるいは処理作業内容の変更等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】プローブ検査装置における断線の検査の説明図である。
【図2】プローブ検査装置における短絡の検査の説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるプリント配線板のX線検査装置の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態による良品のプリント配線板(図2(A))と、不良のプリント配線板(図2(B))を説明する平面図である。
【図5】プリント配線板検査装置のエラーファイルの内容を説明する図である。
【図6】X,Y,Z座標軸を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるプリント配線板の不良解析方法のフローチャートである。
【図8】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の2次元CT画像の例である。
【図9】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の3Dレンダリング処理後のCT画像の例である。
【図10】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の3Dレンダリング処理後のCT画像の例である。
【図11】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の2次元CT画像の例(図11(A)及び3次元レンダリング処理後の画像(図11(B))である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
本願の発明は、代表的には以下の手順で実行される。以下の例では、本件発明をプリント配線基板に適用した場合についてのものである。
【0030】
本発明のプローブ装置は、プリント配線板の検査データを読み込む検査データ入力部を備えている。この検査データは、通常は、設計時に予め用意されており、どの様な手順で回路全体を検査するかという検査作業手順の観点から作成される。さらに、本件発明にかかる装置は、プローブ検査装置が出力するプローブを用いて得られた検査結果に基づいて作成されたエラー情報のデータファイル、すなわち不良箇所を含む回路部分の情報を読み込むエラー入力部を備えている。このエラー入力部の不良箇所を含む情報は、位置補正手段によって、前記読み込まれた検査データとプリント配線板の相対位置を合わせられるようになっている。
【0031】
そして、X線検査装置は、前記プリント配線板の検査データの中からプローブ検査装置が出力した不良箇所を含む回路部分に沿ってX線画像が得られるようにプリント配線板にX線を照射しながら移動、X線撮影を行う。得られた画像データと前記プリント配線板の設計情報を比較することでプリント配線板の不良位置を特定する。この作業は、通常2次元画像を得ることによって行うが、より精度の高い解析をおこなうには、特定した不良箇所について3次元X線CTにより3次元画像を作成し、不良解析する。
以下に可動プローブ方式及び治具方式の検査の場合の例について説明する。
【0032】
可動プローブ方式の検査装置は測定対象(プリント配線板上の検査点)にプローブを接触させ、プローブの対の間で測定する。ただし、プリント配線板上には多くの検査点が存在する場合には、手動で測定するのは時間がかかるため、自動で検査点に検査プローブを移動させる。
【0033】
可動プローブ方式の検査装置は、プローブを移動させるためのモータ等の移動手段が必要となるとともに、どこにプローブを移動させるかを記述したデータを有する検査プログラムが必要となる。
【0034】
この場合において、一般的に二通りの測定方法がある。第1の方法は、オームの法則を活用する抵抗値測定である。回路が断線していないかどうかを検査する導通検査の場合には、回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に通常10mA程度の定電流を流し、プローブ間の電圧を測定する。これにより、電流と測定電圧からプローブ間の抵抗値を求めることができる。
また、回路が短絡していないかを検査する絶縁検査の場合、別回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に100V程度の定電圧を印加し、プローブ間の漏れ電流を測定する。定電圧と測定漏れ電流からプローブ間の抵抗値を求めることができる。
【0035】
上記の測定は正確な抵抗値を測定したい場合には有効であるが、多数の検査点を測定するには時間がかかりすぎるという問題がある。このため、正確な抵抗値を測定するのではなく、断線や短絡の有無の判定が可能で高速検査が必要となる。
【0036】
高速検査は抵抗値を特定せず、良品値と測定値とを比較することで、良否判定を行うものが一般的で、代表的な高速検査の方法としては、静電容量測定による検査方式があげられる(特開昭53−10863号参照)。(静電)容量方式は、プリント配線板を構成するそれぞれの回路の静電容量を測定するようになっている。静電容量は、以下の式で表すことができる。
【0037】
C=ε・S/d ただし、ε:誘電率、S:対向する導体面積、d:距離
ここで、対向する導体の面積を算出するために、基板外にリファレンスとなる金属性のプレートを使用したり、基板の内層プレーン(電源ネットやGNDネット)を利用する。これらの情報から各回路(検査点)の静電容量を求めることができる。静電容量方式の測定の場合、良品の基板の静電容量を知る必要があり、良品基板の静電容量と被検査基板の静電容量(測定値)とを比較することにより、静電容量の増減で断線や短絡を見つけることができる。例えば、図1(B)に示すように、回路部分に断線があった場合、対向する面積が減少するため、図1(A)の断線がない場合に比べて、測定値は減少する。
【0038】
また、図2(B)に示すように回路部分に短絡があった場合、対向する面積が増加するため、図2(A)の短絡がない場合に比べて、測定値は増加する。
【0039】
しかし、この種の測定方法の場合、抵抗値測定及び容量測定のいずれの測定の場合でも、断線及び短絡を検出できるが、不良箇所を含む検査対象回路部分は特定できるが、当該回路部分における不良箇所の正確な位置を特定することはできない。
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるプリント配線板の不良解析を行うためのX線検査装置の概略図を示す。本実施の形態によるプリント配線板のX線装置は、例えばX線源1、X線透視カメラ2、ステージ3を備えている。
【0042】
X線源1とそれに対向配置されてステージ上のプリント配線板4の投影像を撮影するX線透視カメラ2は、ステージ上に固定されたプリント配線板4に対して、X線源1からのX線コーンビーム5を透過させ、上記X線透視カメラ2で撮影できるようにしている。プリント配線板上の微細な不良を検出するために、上記X線源1としては、高倍率で鮮明な画像を得られる焦点径の小さなマイクロフォーカスX線源を用いることが望ましい。また、ステージ3の高さ(Z軸方向)を変えると、X線源1とプリント配線板4の間の距離が変わり、プリント配線板4の画像の拡大率を任意に変更することが可能である。
【0043】
プリント配線板4のX線検査装置を使用して不良解析を行う前に、プローブ検査装置を使用してプリント配線板の検査を上記したようにプローブを用いて電気的に検査を行う。
【0044】
プローブを用いて行ったプリント配線板検査装置で検査を行った結果、プリント配線板4に不良箇所を含む回路部分があるという検査結果が報告されている場合には、断線、短絡等の不良の種類や不良箇所を含む回路部分を情報として含むエラーファイルが形成される。
【0045】
上記したようにプリント配線板の一般的な不良としては、プリント配線板中の回路が断線している導通不良(断線不良)と、他の回路部分と短絡している絶縁不良(短絡不良)があげられる。エラーファイルには、前記の導通不良や絶縁不良の種類とともに、導通不良の場合には回路のどの検査点間が導通不良であったかを記した検査点番号情報が含まれ、絶縁不良の場合にはどの回路とどの回路が絶縁不良であったかを記したネット番号情報が含まれることもある。前記検査では不良箇所のある回路部分を特定することは可能であるが、その回路部分における不良箇所の正確な位置まで特定することは困難である。例えば、図4(A)のような良品のプリント配線板に対し、図4(B)のように第1の回路部分6が断線しており、第2の回路部分7と第3の回路部分8が短絡している場合には、第1の回路部分6においてポイント6aとポイント6bの間に断線があり、第2の回路部分7と第3の回路部分8との間で短絡があることを示している。
【0046】
特定の回路部分が不良箇所を含んでいる場合には、図5に示すような内容のエラーファイルが作成される。実施例の場合には、第1の回路部分6においてポイント6aとポイント6bとの間に断線があり、第2の回路部分7と第3の回路部分8との間で短絡があることを示している。
【0047】
上記プローブ検査により不良箇所を有する回路部分を含むプリント配線板4はX線装置を使用して不良解析のための情報を取得する。この場合、まず、プリント配線板のX線装置に前記プローブ検査装置が出力したエラーファイル及びプリント配線板のトレース情報を含んだ検査データを読み込む。なお、トレース情報は、プリント配線板上の全ての回路がどの位置にどの程度の太さで配線されているかを層毎に座標、線幅等で記述したものであり、プリント配線板の図柄を描画させ、X線画像との比較等を行うために使用される。
【0048】
不良があったプリント配線板4はX線検査装置内のステージ3に固定される。図6に示すようにステージ3はX,Y,Z軸方向に平行移動できるとともに、Z軸を回転軸として回転させることも可能な構造になっている。前記、X,Y,Z軸方向への平行移動及びZ軸を回転軸とした回転を行うにはサーボ技術等を利用することができる。
【0049】
まず、前記検査データとプリント配線板の相対位置を合わせるために、プリント配線板上に設定しておいた任意の数量の位置合わせ用の認識マーク(アライメントマーク)をカメラで取得し、XY位置を補正する。アライメントマークが1点の場合、プリント配線板4の固定角度が変わったり、プリント配線板4が伸縮していた場合には補正を行うことが出来ないため、2点以上設定することが望ましい。
【0050】
図7に示すように本発明では、プローブ検査装置の出力したエラーファイルを利用してプリント配線板上の不良箇所を含む回路部分のみに対して、X線検査装置を用いて検査する。この場合まず、上記したようにX線検査装置1は、プローブ検査装置で検査して得られてエラーファイル情報を読み込む(ステップ1)。不良箇所を含む回路部分のある検査点からプリント配線板のトレース情報に沿ってX線透視カメラ2で画像が取得できるように別の検査点に向かってステージ3をXY方向に移動させながらX線画像を取得する(ステップ2)。次に、前記X線画像とプリント配線板の図柄データとの画像比較を行う(ステップ3)。前記ステップを繰り返しながら、プリント配線板上の回路の不良位置を判定していく(ステップ4)。例えば、図3(B)の不良箇所を含むものであると判断すれば、第1の回路部分6のポイント6aからX線画像の取得を開始し、第1の回路部分6の回路に沿ってポイント6aからポイント6bに向かって撮影を行う(ステップ5)。
なお、画像を撮影することにより、取得された画像の評価ないし基準画像との比較に基づいて不良箇所の判断することもできるが、表示画像の目視により直接判断することもできる。
【0051】
この場合、X線検査装置では、まず図8(A)、図8(B)、図8(C)に示されるような画像が得られる。このX線画像とプリント配線板の配線情報等から得られる良品の画像データを比較した結果、不良の可能性があると判定した場合には、ステージ3の移動を中止し、3次元X線CTを行う。3次元X線CTを行うには、不良箇所が回転軸の中心となるようにステージ3をXY移動させ、ステージ3を微小角度間隔で回転させ、各角度ステップごとにX線透視カメラ2で撮影された画像をHDD等の記録媒体に記録し、記録された画像像を使用して解析装置で画像再構成し、3次元映像を得る。図8、図10(A)、図10(B)及び図11にはこのようにして得られた高精度の3次元X線画像の例が示されている。なお、図11(A)に示される画像は2次元画像であり、図10(B)に示される画像は3Dレンダリングを施した画像である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、配線板の精度の高い不良解析に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1……X線源1
2……X線透視カメ
3……ステージ
4……プリント配線板
5……X線コーンビーム
6……第1の回路部分
7……第2の回路部分
8……第3の回路部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板の不良解析に関し、より詳細には、プローブ及びX線を用いた不良解析に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント配線板は、スルーホール等を用いて電気的に接続された回路を複数有しており、製造されたプリント配線板の回路が設計通り正しく形成されているかどうか、すなわち、プリント配線板中の回路が断線していて導通不良を生じたり、他の回路と短絡していて絶縁不良を生じたりせずに、設計通りに形成されているかを電気的に検査する必要がある。
【0003】
検査の結果、プリント配線板に不良があった場合には、修正可能であれば不良部分の修正を行い、修正が不可能であれば廃棄処分を行う。また、修正が不可能であった場合でも、どのような不良であったか等を解析し、製造工程にフィードバックされる。
【0004】
電気試験を行うプリント配線板の検査装置を使用してプリント配線板の検査を行うと、プリント配線板中の回路が断線していれば導通不良(断線不良)、また、他の回路と短絡していれば絶縁不良(短絡不良)といった不良内容が報告される。しかしながら、プリント配線板のどの回路に不良があるかを特定することはできるが、回路のどの位置で不良が発生しているかを特定することは困難であることが多い。
【0005】
このような従前から行われているプリント配線板の検査手法として、たとえば、可動プローブ方式の検査装置、あるいはデジタルマルチメータを自動化した装置が考えられる。
【0006】
デジタルマルチメータを使用する場合には測定対象に2つのプローブを接触させ、測定値を読みとる。同様に、可動プローブ方式の検査装置も測定対象であるプリント配線板上の検査点にプローブを接触させ、測定を行う。ただし、プリント配線板上には多くの検査点が存在するため、これを手動で測定するのは時間がかかりすぎるため、自動で検査点にプローブを移動させるようにするのが一般的である。
【0007】
可動プローブ方式の検査装置は、プローブを移動させるための手段(モータ等)が必要であるとともに、どこにプローブを移動させるかを記述したデータ等からなる検査プログラムも必要になる。
【0008】
プローブを用いて測定する場合、プローブ間に定電流を通し、プローブ間の電圧を測定することにより電流と測定電圧からプローブ間の抵抗値が求められる。
また、絶縁検査の場合、別回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に定電圧を印加し、プローブ間の漏れ電流を測定することにより、定電圧と測定漏れ電流からプローブ間の抵抗値が求められる。
【0009】
このような従来公知の手法では正確な抵抗値を求めたい場合には有効であるが、数万以上の検査点を有する配線板を測定するには時間がかかるという問題がある。
【0010】
また、別の検査手法として、治具式の検査装置は専用治具方式とユニバーサル治具方式が知られている。
【0011】
専用治具方式はプリント配線板上の検査点全てに接触できるプローブ(ピン)を立て、たとえば、検査点が2000点あれば2000本のピンを立て、これをプリント配線板の両面に接触させて、配線板を電気的に検査する。また、ユニバーサル治具方式は、検査点毎にプローブは立てないが、格子上にプローブを立てる。これらの格子上に配列されたピンを配線板の両面に接触させて、電気的な検査を行う。専用治具方式は基板の種類毎に治具を製作する必要があるが、ユニバーサル治具方式はマスクシートを製作することにより、多数の種類の基板に対応させることができる。しかし数万〜数十万本という多数のピンが必要になるという不利がある。いずれの治具方式も、プリント配線板の両面に剣山のようにピンが立ったプローブヘッドを接触させることによりで、電気的に検査する。これらの治具方式は、検査時間が短い反面、治具の製作費用や治具の保管場所等が必要なため、大量生産品には向いているが、多品種少ロットの場合には不利である。治具式に対し、可動プローブ方式はプローブ数が少ないため、検査時間がかかるという特徴を有する。
【0012】
また、不良箇所の検査として従来からX線検査を用いることが知られている。
【0013】
X線検査は電気検査ではなく設計データ等の良品の画像データと、カメラで取り込んだ画像等との比較により判断する検査手法である。配線板の場合には、複数の層から形成されているものも多く、50層以上の多層基板もある。したがって、多層配線板をX線検査により行うことは時間的に不利となる。
【0014】
不良箇所の状態を正確に把握して、解析を行うためには、不良と思われる箇所を、様々な方向から撮影した画像をレンダリング(3DCG)し立体画像とすることにより適正に不良箇所の状態を判断することができる。
【0015】
しかし、様々な方向から撮影するためにはさらに時間がかかり、また、レンダリング処理にも時間がかかる。このため、全ての回路を3D画像化した解析は現実的ではない。
このように3次元画像を用いた検査装置が望ましいが、2次元画像に比べ演算処理に時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平10−19807号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記問題点を解決し、迅速かつ正確に配線板の不良箇所を特定し、かつその状態を適正に把握することにより配線板の不良解析を高精度で行うことできる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本件発明の1つの特徴によれば、独立して検査を行うことかできる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と、
該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備えたことを特徴とするX線を用いた配線板不良解析用画像の取得装置が提供される。
【0019】
この場合、画像取得手段は、配線板の前記不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射し、前記不良箇所を特定し、該不良箇所のX線画像データを得るようになっている。
【0020】
この場合、たとえば、不良箇所を含む回路部分が特定のプローブ間であるとされた場合には、設計情報等に基づいて、該特定のプローブを特定してX線を照射すべき回路部分を特定する。そして、特定された回路部分においてX線走査を行う始点を確定し、回路部分に沿ってX線走査を開始する。走査中、不良箇所が発見された場合には走査を停止し、情報を収集する。典型的には、不良箇所の画像を、不良解析に供するものとして取得する。
【0021】
画像は目視的にも、データ解析用にも供することができる。
【0022】
さらに、画像取得手段は、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、解析を行うために該不良箇所の3次元CT画像を取得することが望ましい。
【0023】
また、本件発明の別の特徴によれば、独立して検査を行うことかできる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する段階と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射する段階と、
前記不良箇所を含む回路部分へのX線の照射を介して前記不良箇所を特定する段階と、
該不良箇所のX線画像を取得する段階とを備えたことを特徴とする配線板不良解析用画像の取得方法が提供される。
【0024】
この前記配線板の不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射してX線画像データを得るようにすることができる。
【0025】
また、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、不良解析を行うためにX線の照射を介して前記不良箇所の3次元CT画像を取得するようにしても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、配線板の不良箇所を迅速にかつ正確に把握することができ配電板の不良の状況を精度良く解析することができる。この結果、不良の内容に応じた適切な対応、たとえば設計変更、修理、処理手順、あるいは処理作業内容の変更等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】プローブ検査装置における断線の検査の説明図である。
【図2】プローブ検査装置における短絡の検査の説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるプリント配線板のX線検査装置の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態による良品のプリント配線板(図2(A))と、不良のプリント配線板(図2(B))を説明する平面図である。
【図5】プリント配線板検査装置のエラーファイルの内容を説明する図である。
【図6】X,Y,Z座標軸を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるプリント配線板の不良解析方法のフローチャートである。
【図8】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の2次元CT画像の例である。
【図9】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の3Dレンダリング処理後のCT画像の例である。
【図10】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の3Dレンダリング処理後のCT画像の例である。
【図11】X線検査装置により撮影された不良個所の可能性がある箇所の2次元CT画像の例(図11(A)及び3次元レンダリング処理後の画像(図11(B))である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
本願の発明は、代表的には以下の手順で実行される。以下の例では、本件発明をプリント配線基板に適用した場合についてのものである。
【0030】
本発明のプローブ装置は、プリント配線板の検査データを読み込む検査データ入力部を備えている。この検査データは、通常は、設計時に予め用意されており、どの様な手順で回路全体を検査するかという検査作業手順の観点から作成される。さらに、本件発明にかかる装置は、プローブ検査装置が出力するプローブを用いて得られた検査結果に基づいて作成されたエラー情報のデータファイル、すなわち不良箇所を含む回路部分の情報を読み込むエラー入力部を備えている。このエラー入力部の不良箇所を含む情報は、位置補正手段によって、前記読み込まれた検査データとプリント配線板の相対位置を合わせられるようになっている。
【0031】
そして、X線検査装置は、前記プリント配線板の検査データの中からプローブ検査装置が出力した不良箇所を含む回路部分に沿ってX線画像が得られるようにプリント配線板にX線を照射しながら移動、X線撮影を行う。得られた画像データと前記プリント配線板の設計情報を比較することでプリント配線板の不良位置を特定する。この作業は、通常2次元画像を得ることによって行うが、より精度の高い解析をおこなうには、特定した不良箇所について3次元X線CTにより3次元画像を作成し、不良解析する。
以下に可動プローブ方式及び治具方式の検査の場合の例について説明する。
【0032】
可動プローブ方式の検査装置は測定対象(プリント配線板上の検査点)にプローブを接触させ、プローブの対の間で測定する。ただし、プリント配線板上には多くの検査点が存在する場合には、手動で測定するのは時間がかかるため、自動で検査点に検査プローブを移動させる。
【0033】
可動プローブ方式の検査装置は、プローブを移動させるためのモータ等の移動手段が必要となるとともに、どこにプローブを移動させるかを記述したデータを有する検査プログラムが必要となる。
【0034】
この場合において、一般的に二通りの測定方法がある。第1の方法は、オームの法則を活用する抵抗値測定である。回路が断線していないかどうかを検査する導通検査の場合には、回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に通常10mA程度の定電流を流し、プローブ間の電圧を測定する。これにより、電流と測定電圧からプローブ間の抵抗値を求めることができる。
また、回路が短絡していないかを検査する絶縁検査の場合、別回路上の検査点にプローブを接触させ、プローブ間に100V程度の定電圧を印加し、プローブ間の漏れ電流を測定する。定電圧と測定漏れ電流からプローブ間の抵抗値を求めることができる。
【0035】
上記の測定は正確な抵抗値を測定したい場合には有効であるが、多数の検査点を測定するには時間がかかりすぎるという問題がある。このため、正確な抵抗値を測定するのではなく、断線や短絡の有無の判定が可能で高速検査が必要となる。
【0036】
高速検査は抵抗値を特定せず、良品値と測定値とを比較することで、良否判定を行うものが一般的で、代表的な高速検査の方法としては、静電容量測定による検査方式があげられる(特開昭53−10863号参照)。(静電)容量方式は、プリント配線板を構成するそれぞれの回路の静電容量を測定するようになっている。静電容量は、以下の式で表すことができる。
【0037】
C=ε・S/d ただし、ε:誘電率、S:対向する導体面積、d:距離
ここで、対向する導体の面積を算出するために、基板外にリファレンスとなる金属性のプレートを使用したり、基板の内層プレーン(電源ネットやGNDネット)を利用する。これらの情報から各回路(検査点)の静電容量を求めることができる。静電容量方式の測定の場合、良品の基板の静電容量を知る必要があり、良品基板の静電容量と被検査基板の静電容量(測定値)とを比較することにより、静電容量の増減で断線や短絡を見つけることができる。例えば、図1(B)に示すように、回路部分に断線があった場合、対向する面積が減少するため、図1(A)の断線がない場合に比べて、測定値は減少する。
【0038】
また、図2(B)に示すように回路部分に短絡があった場合、対向する面積が増加するため、図2(A)の短絡がない場合に比べて、測定値は増加する。
【0039】
しかし、この種の測定方法の場合、抵抗値測定及び容量測定のいずれの測定の場合でも、断線及び短絡を検出できるが、不良箇所を含む検査対象回路部分は特定できるが、当該回路部分における不良箇所の正確な位置を特定することはできない。
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるプリント配線板の不良解析を行うためのX線検査装置の概略図を示す。本実施の形態によるプリント配線板のX線装置は、例えばX線源1、X線透視カメラ2、ステージ3を備えている。
【0042】
X線源1とそれに対向配置されてステージ上のプリント配線板4の投影像を撮影するX線透視カメラ2は、ステージ上に固定されたプリント配線板4に対して、X線源1からのX線コーンビーム5を透過させ、上記X線透視カメラ2で撮影できるようにしている。プリント配線板上の微細な不良を検出するために、上記X線源1としては、高倍率で鮮明な画像を得られる焦点径の小さなマイクロフォーカスX線源を用いることが望ましい。また、ステージ3の高さ(Z軸方向)を変えると、X線源1とプリント配線板4の間の距離が変わり、プリント配線板4の画像の拡大率を任意に変更することが可能である。
【0043】
プリント配線板4のX線検査装置を使用して不良解析を行う前に、プローブ検査装置を使用してプリント配線板の検査を上記したようにプローブを用いて電気的に検査を行う。
【0044】
プローブを用いて行ったプリント配線板検査装置で検査を行った結果、プリント配線板4に不良箇所を含む回路部分があるという検査結果が報告されている場合には、断線、短絡等の不良の種類や不良箇所を含む回路部分を情報として含むエラーファイルが形成される。
【0045】
上記したようにプリント配線板の一般的な不良としては、プリント配線板中の回路が断線している導通不良(断線不良)と、他の回路部分と短絡している絶縁不良(短絡不良)があげられる。エラーファイルには、前記の導通不良や絶縁不良の種類とともに、導通不良の場合には回路のどの検査点間が導通不良であったかを記した検査点番号情報が含まれ、絶縁不良の場合にはどの回路とどの回路が絶縁不良であったかを記したネット番号情報が含まれることもある。前記検査では不良箇所のある回路部分を特定することは可能であるが、その回路部分における不良箇所の正確な位置まで特定することは困難である。例えば、図4(A)のような良品のプリント配線板に対し、図4(B)のように第1の回路部分6が断線しており、第2の回路部分7と第3の回路部分8が短絡している場合には、第1の回路部分6においてポイント6aとポイント6bの間に断線があり、第2の回路部分7と第3の回路部分8との間で短絡があることを示している。
【0046】
特定の回路部分が不良箇所を含んでいる場合には、図5に示すような内容のエラーファイルが作成される。実施例の場合には、第1の回路部分6においてポイント6aとポイント6bとの間に断線があり、第2の回路部分7と第3の回路部分8との間で短絡があることを示している。
【0047】
上記プローブ検査により不良箇所を有する回路部分を含むプリント配線板4はX線装置を使用して不良解析のための情報を取得する。この場合、まず、プリント配線板のX線装置に前記プローブ検査装置が出力したエラーファイル及びプリント配線板のトレース情報を含んだ検査データを読み込む。なお、トレース情報は、プリント配線板上の全ての回路がどの位置にどの程度の太さで配線されているかを層毎に座標、線幅等で記述したものであり、プリント配線板の図柄を描画させ、X線画像との比較等を行うために使用される。
【0048】
不良があったプリント配線板4はX線検査装置内のステージ3に固定される。図6に示すようにステージ3はX,Y,Z軸方向に平行移動できるとともに、Z軸を回転軸として回転させることも可能な構造になっている。前記、X,Y,Z軸方向への平行移動及びZ軸を回転軸とした回転を行うにはサーボ技術等を利用することができる。
【0049】
まず、前記検査データとプリント配線板の相対位置を合わせるために、プリント配線板上に設定しておいた任意の数量の位置合わせ用の認識マーク(アライメントマーク)をカメラで取得し、XY位置を補正する。アライメントマークが1点の場合、プリント配線板4の固定角度が変わったり、プリント配線板4が伸縮していた場合には補正を行うことが出来ないため、2点以上設定することが望ましい。
【0050】
図7に示すように本発明では、プローブ検査装置の出力したエラーファイルを利用してプリント配線板上の不良箇所を含む回路部分のみに対して、X線検査装置を用いて検査する。この場合まず、上記したようにX線検査装置1は、プローブ検査装置で検査して得られてエラーファイル情報を読み込む(ステップ1)。不良箇所を含む回路部分のある検査点からプリント配線板のトレース情報に沿ってX線透視カメラ2で画像が取得できるように別の検査点に向かってステージ3をXY方向に移動させながらX線画像を取得する(ステップ2)。次に、前記X線画像とプリント配線板の図柄データとの画像比較を行う(ステップ3)。前記ステップを繰り返しながら、プリント配線板上の回路の不良位置を判定していく(ステップ4)。例えば、図3(B)の不良箇所を含むものであると判断すれば、第1の回路部分6のポイント6aからX線画像の取得を開始し、第1の回路部分6の回路に沿ってポイント6aからポイント6bに向かって撮影を行う(ステップ5)。
なお、画像を撮影することにより、取得された画像の評価ないし基準画像との比較に基づいて不良箇所の判断することもできるが、表示画像の目視により直接判断することもできる。
【0051】
この場合、X線検査装置では、まず図8(A)、図8(B)、図8(C)に示されるような画像が得られる。このX線画像とプリント配線板の配線情報等から得られる良品の画像データを比較した結果、不良の可能性があると判定した場合には、ステージ3の移動を中止し、3次元X線CTを行う。3次元X線CTを行うには、不良箇所が回転軸の中心となるようにステージ3をXY移動させ、ステージ3を微小角度間隔で回転させ、各角度ステップごとにX線透視カメラ2で撮影された画像をHDD等の記録媒体に記録し、記録された画像像を使用して解析装置で画像再構成し、3次元映像を得る。図8、図10(A)、図10(B)及び図11にはこのようにして得られた高精度の3次元X線画像の例が示されている。なお、図11(A)に示される画像は2次元画像であり、図10(B)に示される画像は3Dレンダリングを施した画像である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、配線板の精度の高い不良解析に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1……X線源1
2……X線透視カメ
3……ステージ
4……プリント配線板
5……X線コーンビーム
6……第1の回路部分
7……第2の回路部分
8……第3の回路部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線版をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と、
該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備えたことを特徴とするX線を用いた配線板不良解析用画像取得装置。
【請求項2】
前記画像取得手段が、前記配線板の前記不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射し、前記不良箇所を特定し、該不良箇所のX線画像データを得るようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像取得手段が、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、解析を行うために該不良箇所の3次元CT画像を取得するようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する段階と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射する段階と、
前記不良箇所を含む回路部分へのX線の照射を介して前記不良箇所を特定する段階と、
該不良箇所のX線画像を取得する段階とを備えたことを特徴とする配線板不良解析用画像の取得方法。
【請求項5】
前記配線板の不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射してX線画像データを得ることを特徴とする請求項4に記載の配線板の不良解析用画像の取得方法。
【請求項6】
前記配線板の前記不良箇所を特定した後、不良解析を行うためにX線の照射を介して前記不良箇所の3次元CT画像を取得することを特徴とする請求項5に記載の配線板の不良解析用画像の取得方法。
【請求項1】
独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線版をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する不良回路検出手段と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射するX線照射手段と、
該X線照射手段によるX線の照射を介して前記回路部分において前記不良箇所を特定し該不良箇所のX線画像を取得する画像取得手段とを備えたことを特徴とするX線を用いた配線板不良解析用画像取得装置。
【請求項2】
前記画像取得手段が、前記配線板の前記不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射し、前記不良箇所を特定し、該不良箇所のX線画像データを得るようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像取得手段が、前記配線板の前記不良箇所を特定した後、解析を行うために該不良箇所の3次元CT画像を取得するようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
独立して検査を行うことができる複数の回路部分を有する配線板をプローブを用いて検査することにより前記複数の回路部分から不良箇所を含む回路部分を検出する段階と、
前記配線板の回路情報に基づき前記不良箇所を含む回路部分にX線を照射する段階と、
前記不良箇所を含む回路部分へのX線の照射を介して前記不良箇所を特定する段階と、
該不良箇所のX線画像を取得する段階とを備えたことを特徴とする配線板不良解析用画像の取得方法。
【請求項5】
前記配線板の不良箇所を含む回路部分に沿ってX線を照射してX線画像データを得ることを特徴とする請求項4に記載の配線板の不良解析用画像の取得方法。
【請求項6】
前記配線板の前記不良箇所を特定した後、不良解析を行うためにX線の照射を介して前記不良箇所の3次元CT画像を取得することを特徴とする請求項5に記載の配線板の不良解析用画像の取得方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−47622(P2013−47622A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185652(P2011−185652)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(594033824)マイクロクラフト株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(594033824)マイクロクラフト株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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