説明

X線画像診断装置

【課題】被検体の皮膚障害を低減することができるX線画像診断装置を提供する。
【解決手段】被検体の検査を行うための検査情報の入力の操作が可能な操作手段と、操作手段から入力された検査情報に基づいて、被検体にX線を照射するX線照射手段と、X線照射手段により照射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出手段と、X線検出手段で検出されたX線に基づいてX線画像を生成する画像生成手段と、検査情報に基づいて、X線画像に対応する被検体の被曝情報を作成する被曝情報作成手段と、X線透視停止の操作、X線撮影の操作、又は検査終了の操作のうち少なくともいずれか1つの操作に応じて、X線画像と共に被曝情報を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像診断装置に係り、特にX線を照射する被検体の被曝情報を出力する
X線画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線画像診断装置は、近年ではカテーテルを用いた血管造影検査やIVR(Inter
ventional Radiology)の発展に伴い、循環器分野を中心に進歩を遂
げている。このX線画像診断装置は、心血管系をはじめ、全身の動静脈を対象としており
、血管内に造影剤を注入した状態でX線の透視や撮影を行い、表示部に表示された血管の
画像データを読影して診断や治療が行われる。
【0003】
しかしながら、例えばIVRによる検査では、被検体に対して長時間に亘ってX線の透
視が行われるため、過剰な放射線被曝により火傷等の皮膚障害の問題が発生する。この問
題を解決するために、被検体の皮膚線量を求め、求めた皮膚線量が予め設定した値に達し
たとき、X線を照射するX線管及びこのX線管からのX線を検出するX線検出器を支持し
ているアームを駆動してX線の照射方向を逆にし、被検体の皮膚線量が過大になるのを防
ぐことができるX線画像診断装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−89923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、皮膚線量が予め設定された値に達したときに検査を中断してアームを駆
動する必要があるため、検査を中断できないような場合には、過剰な被曝により皮膚障害
を回避することができない問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、被検体の皮膚障害を低減する
ことができるX線画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明のX線画像診断装置は、被検体の検査を行うための
検査情報の入力の操作が可能な操作手段と、前記操作手段から入力された検査情報に基づ
いて、前記被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記X線照射手段により照射され、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出手段と、前記X線検出手段で検出されたX
線に基づいてX線画像を生成する画像生成手段と、前記検査情報に基づいて、前記X線画
像に対応する前記被検体の被曝情報を作成する被曝情報作成手段と、X線透視停止の操作
、X線撮影の操作、又は検査終了の操作のうち少なくともいずれか1つの操作に応じて、
前記X線画像と共に前記被曝情報を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例に係る第1のモニタの画面に表示された第1の合成データの一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1の合成データに含まれるゲージデータの他の例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第2のモニタの画面に表示された領域データを含む第2の合成データの一例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る第2のモニタの画面に表示される領域データを含む第2の合成データの他の例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る第2のモニタの画面に表示された領域データ3Dモデルの一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る第2のモニタの画面に表示された最大領域データ及び透視グラフを含む第2の合成データの一例を示す図。
【図9】図8に示した透視グラフの詳細を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る第2のモニタの第4の表示エリアに表示される撮影グラフの詳細を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る第2のモニタの画面に表示された警告領域データを含む第2の合成データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明によるX線画像診断装置の実施例を、図1乃至図11を参照して説明する

【0011】
図1は、本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示したブロック図である。こ
のX線画像診断装置100は、天板7上に載置された被検体PにX線を照射するX線照射
部10と、X線照射部10のX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部20と、X
線照射部10のX線照射により、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生
成するX線検出部30とを備えている。
【0012】
また、X線画像診断装置100は、X線照射部10及びこのX線照射部10に対向して
配置されるX線検出部30を保持するアーム8と、天板7及びアーム8を移動する機構部
40と、X線検出部30で生成されたX線投影データを処理して画像データの生成を行な
う画像データ生成部50と、X線照射部10から照射されるX線の情報に基づいて被検体
Pの被曝情報を作成する被曝情報作成部60とを備えている。
【0013】
更に、X線画像診断装置100は、画像データ生成部50で生成された画像データや被
曝情報作成部60で作成された被曝情報を表示する表示部70と、被検体Pを識別する氏
名、身長、及び体重を含む被検体情報、撮影部位、透視条件、撮影条件等の被検体Pの検
査を行うための検査情報の入力等を行う操作部80と、上述したこれらのユニットを統括
して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0014】
X線照射部10は、X線を発生するX線管11と、X線管11と被検体Pの間に配置さ
れ、被検体Pに照射するX線の範囲を制限するX線絞り器12とを備えている。そして、
X線管11は、システム制御部90から供給される透視条件に基づいて高電圧発生部20
から供給される高電圧により透視用のX線を発生する。また、撮影条件に基づいて高電圧
発生部20から供給される高電圧により、1フレームの画像データを生成するための1シ
ョットのX線や、複数パルスの高電圧により、撮影照射時間にフレームレートを乗じたフ
レーム数の画像データを生成するためのX線を発生する。
【0015】
また、X線絞り器12は、システム制御部90から供給される透視条件や撮影条件に含
まれる照射野の情報に基づいて、被検体Pに照射するX線管11からの透視用や撮影用の
X線の範囲を制限する。
【0016】
高電圧発生部20は、システム制御部90から供給される透視条件に含まれる管電圧、
管電流等の透視照射条件や、撮影条件に含まれる管電圧、管電流、フレームレート、X線
照射時間等の撮影照射条件の情報に基づいて、X線照射部10のX線管11に透視用のX
線及び撮影用のX線を発生させるための高電圧をX線管11に供給する。
【0017】
X線検出部30は、X線照射部10のX線絞り器12から照射され、被検体Pを透過し
たX線を検出するX線検出器31と、X線検出器31からの信号を処理してX線投影デー
タを生成する信号処理部32とを備えている。
【0018】
X線検出器31は、例えば入射したX線を電荷に変換する検出素子、この検出素子に読
み出し用の駆動パルスを供給するゲートドライバ、検出素子に蓄積された電荷を電圧に変
換するアンプ、アンプから出力された信号を選択するマルチプレクサ、及びマルチプレク
サからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ等を備えている。また
、X線照射部10のX線管11に対して位置を前後に移動可能な移動機構を備え、X線管
11との距離(SID)を調整できるようになっている。また、被検体Pを透過したX線
を入射するX線検出面を有し、このX線検出面におけるX線の入力視野サイズ(FOV)
を調整できるようになっている。
【0019】
なお、被検体Pを透過したX線を検出して光に変換するイメージインテンファイアと、
このイメージインテンシファイアからの光を撮影して電気信号に変換するテレビカメラ、
及びこのテレビカメラからの電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を用いてX
線投影データを生成するように実施してもよい。
【0020】
機構部40は、被検体Pが載置された天板7を長手方向、幅方向、及び上下方向へ移動
する天板移動機構41と、アーム8を被検体Pの周囲に回動するアーム回動機構42と、
天板移動機構41及びアーム回動機構42を制御する機構制御部43とを備えている。
【0021】
天板移動機構41は、被検体Pが載置された天板7を、被検体Pの撮影部位のX線透視
やX線撮影が可能な撮影位置へ移動する。また、アーム移動機構42は、天板7上におけ
る被検体Pの撮影部位のX線透視やX線撮影が可能な角度にアーム8を回動する。
【0022】
画像データ生成部50は、X線検出部30の信号処理部32で生成されたX線投影デー
タを処理して透視画像データや撮影画像データ等の画像データを生成し、生成した画像デ
ータを保存すると共に表示部70に出力する。
【0023】
被曝情報作成部60は、システム制御部90から供給される被検体情報、透視照射条件
、X線透視の時間、撮影照射条件及び撮影操作回数、照射野、天板7の位置、アーム8の
角度、撮影部位、SID等の検査情報に基づいて、画像データ生成部50で生成された画
像データに対応する被検体Pの被曝情報を作成し、作成した被曝情報を表示部70に出力
する。
【0024】
そして、操作部80からの検査開始の操作が行われた後のX線透視開始の操作、X線透
視停止の操作、X線撮影の操作、及び検査終了の操作に応じて被曝情報を作成する。また
、被検体Pに照射するX線の照射領域や照射線量の変更が伴う例えば天板7の位置、アー
ム8の角度、SID、FOV、画像倍率、照射野、透視照射条件、撮影照射条件等の透視
条件や撮影条件の変更操作に応じて被曝情報を作成する。
【0025】
ここで、検査開始の操作が行われてから、画像データ生成部50による画像データの生
成までに被検体Pに照射された累計のX線量から、被検体Pに照射されたX線の照射領域
の内の積算した皮膚線量が最大となる最大領域の積算皮膚線量を算出する。次いで、例え
ば火傷等の皮膚障害を発症する危険性がある予め設定された警告線量に対する算出した積
算皮膚線量の割合を表すゲージデータを作成する。
【0026】
また、X線透視停止の操作、X線撮影の操作、及び検査終了の操作に応じて、検査開始
の操作が行われてからその操作が行われるまでに被検体Pに照射されたX線の照射領域の
内、その操作が行われたときに画像データ生成部50により生成される最後の画像データ
の領域に対応する照射領域を除いた照射領域を表す領域データを作成する。また、システ
ム制御部90から供給される撮影部位の情報に基づいてその撮影部位を含む被検体Pをモ
デル化した回転可能な三次元の3Dモデル(又は二次元の2Dモデル)を作成すると共に
、被検体Pの検査を開始してからその操作が行われるまでに被検体Pに照射されたX線の
照射領域を3Dモデル(又は2Dモデル)の表面上に表すための3D領域データ(又は2
D領域データ)を作成した後、作成した3D領域データ(又は2D領域データ)を3Dモ
デル(又は2Dモデル)表面上に重畳した領域データ表示3Dモデル(又は領域データ2
Dモデル)を作成する。また、検査開始の操作が行われてからその操作が行われるまでに
被検体Pに照射されたX線の照射領域の内、その操作が行われたときの最後の画像データ
の領域に対応する照射領域の積算した皮膚線量が最大となる照射領域を表す最大領域デー
タを作成する。また、検査開始の操作が行われてからその操作が行われるまでに被検体P
に照射されたX線の照射領域の内、その操作が行われたときの最後の画像データの領域に
対応する照射領域の積算した皮膚線量が警告線量以上となる照射領域を表す警告領域デー
タを作成する。
【0027】
更に、検査開始の操作が行われてから被検体Pに照射されるX線の照射領域又はX線量
の変更を含む検査情報の変更操作に応じて、その操作以降を予測する被検体Pの被曝情報
であるグラフを作成する。
【0028】
ここで、検査情報の変更に応じて変更された透視用X線の照射時間と、前記検査情報の
変更に応じて変更された透視用X線の照射時間と、被検体Pの検査を開始してから操作部
80から画像データ上に指定された関心領域に対応する被検体Pの照射領域に照射される
累計のX線量から算出した積算皮膚線量との関係を表す透視グラフを作成する。
【0029】
また、検査情報の変更に応じて変更された撮影用X線による撮影回数と、被検体Pの検
査を開始してから操作部80から画像データ上に指定され関心領域に対応する被検体Pの
照射領域に照射される累計のX線量から算出した積算皮膚線量との関係を表す撮影グラフ
を作成する。
【0030】
表示部70は、画像データ生成部50で生成された画像データと被曝情報作成部60で
作成された被曝情報を合成する合成部71と、合成部71で合成された画像データと被曝
情報の合成データを表示する第1のモニタ72及びこの第1のモニタ72に隣接された第
2のモニタ73とを備えている。
【0031】
合成部71は、画像データ生成部50で生成された画像データを第1のモニタ72に出
力する。また、画像データ生成部50で生成された画像データ及びこの画像データに対応
する被曝情報作成部60で作成されたゲージデータを合成し、合成した第1の合成データ
を第1のモニタ72に出力する。
【0032】
また、合成部71は、被曝情報作成部60で作成された領域データ2Dモデルや領域デ
ータ3Dモデルを第2のモニタ73に出力する。また、画像データ生成部50で生成され
た画像データ及びこの画像データに対応する被曝情報作成部60で作成された領域データ
、最大領域データ、警告領域データ、グラフ等の被曝情報を合成し、合成した第2の合成
データを第2のモニタ73に出力する。
【0033】
ここで、画像データ生成部50で生成された画像データ及び被曝情報作成部60で作成
された領域データを合成する。また、画像データ生成部50で生成された画像データ及び
被曝情報作成部60で作成された最大領域データを合成する。また、画像データ生成部5
0で生成された画像データ及びこの画像データ上に指定された関心領域に対応する被曝情
報作成部60で作成されたグラフを合成する。また、画像データ生成部50で生成された
画像データ、並びに被曝情報作成部60で作成された最大領域データ及びこの最大領域デ
ータに対応するグラフを合成する。また、画像データ生成部50で生成された画像データ
及び被曝情報作成部60で作成された警告領域データを合成する。
【0034】
第1のモニタ72は主に画像データ生成部50で生成された画像データを表示するため
に設けられ、合成部71から出力された画像データや第1の合成データを表示する。また
、第2のモニタ73は主に被曝情報作成部60で作成された被曝情報を表示するために設
けられ、合成部71から出力された第2の合成データ、領域データ2Dモデル、領域デー
タ3Dモデル等を表示する。
【0035】
操作部80は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デ
バイスや表示パネル、更には、各種スイッチ等を備えたインターラクティブなインターフ
ェースであり、検査情報に含まれる透視条件や撮影条件を入力する操作、天板7やアーム
8を移動する操作、検査を開始させる検査開始の操作及び検査を終了させる検査終了の操
作、X線透視を開始させるX線透視開始の操作及びX線透視を停止させるX線透視停止の
操作、X線撮影を行うX線撮影の操作等を行う。
【0036】
システム制御部90は、CPUと記憶回路を備え、操作部80から供給される入力情報
を一旦記憶した後、これらの入力情報に基づいてX線照射部10、高電圧発生部20、X
線検出部30、機構部40、画像データ生成部50、被曝情報作成部60、及び表示部7
0の各ユニットの制御やシステム全体の制御を行なう。
【0037】
以下、図1乃至図11を参照して、X線画像診断装置100の動作の一例を説明する。
図2は、X線画像診断装置100の動作を示すフローチャートである。図3は、第1のモ
ニタ72の画面に表示された第1の合成データの一例を示す図である。図4は、第1の合
成データに含まれるゲージデータの他の例を示す図である。図5は、第2のモニタ73の
画面に表示された領域データを含む第2の合成データの一例を示す図である。図6は、第
2のモニタ73の画面に表示される領域データを含む第2の合成データの他の例を示す図
である。
【0038】
また、図7は、第2のモニタ73の画面に表示された領域データ3Dモデルの一例を示
す図である。図8は、第2のモニタ73の画面に表示された最大領域データ及び透視グラ
フを含む第2の合成データの一例を示す図である。図9は、図8に示した透視グラフの詳
細を示す図である。図10は、撮影グラフの詳細を示す図である。図11は、第2のモニ
タ73の画面に表示された警告領域データを含む第2の合成データの一例を示す図である

【0039】
図2において、被検体Pの検査情報を入力して検査開始の操作が行われると、X線画像
診断装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0040】
天板7上に載置された被検体Pの撮影部位を撮影位置に移動する操作部80が行われる
と、機構部40の機構制御部43の制御により、天板移動機構41は天板7を移動し、ア
ーム回動機構42はアーム8を回動する。そして、被検体Pの撮影部位を撮影位置に設定
する。
【0041】
次いで、操作部80から例えばX線透視開始の操作が行われると、システム制御部90
は、X線照射部10、高電圧発生部20、X線検出部30、機構部40、画像データ生成
部50、被曝情報作成部60、及び表示部70にX線透視を指示する。高電圧発生部20
は、透視用の高電圧をX線照射部10のX線管11に供給する。X線管11は、高電圧発
生部20から供給される高電圧に応じて透視用のX線を発生する。X線絞り器12は、シ
ステム制御部90から供給される1回目の照射野の情報に基づいて制限したX線管11か
らのX線を被検体Pに照射する。
【0042】
X線検出部30は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成し、生成
したX線投影データを画像データ生成部50へ出力する。画像データ生成部50は、X線
検出部30から出力されたX線投影データを処理して透視画像データを生成し、生成した
透視画像データを表示部70の合成部71に出力する。
【0043】
被曝情報作成部60は、システム制御部90から供給される被検体情報、透視条件、天
板7の位置、アーム8の角度、撮影部位、SID、X線透視開始の操作が行われてから被
検体Pに透視用のX線が照射されたX線透視時間の情報に基づいて、検査を開始してから
画像データ生成部50による透視画像データの生成までに被検体Pに照射された累計のX
線量から、被検体Pに照射されたX線の照射領域の内の積算した皮膚線量が最大となる照
射領域の積算皮膚線量を算出する。次いで、予め設定された警告線量に対する算出した積
算皮膚線量の割合を表すゲージデータを作成し、作成したゲージデータを合成部71に出
力する。
【0044】
合成部71は、画像データ生成部50から出力された透視画像データ及びこの透視画像
データに対応する被曝情報作成部60から出力されたゲージデータを合成し、合成した第
1の合成データを第1のモニタ72に出力する。第1のモニタ72は、合成部71から出
力された第1の合成データをリアルタイムに表示する(ステップS2)。
【0045】
図3は、第1のモニタ72の画面に表示された第1の合成データの一例を示した図であ
る。この画面72aは合成部71からの画像データや被曝情報を表示する第1の表示エリ
ア721及びこの第1の表示エリア721に隣接して配置された第2の表示エリア722
により構成され、第1及び第2の表示エリア721,722に第1の合成データ723が
表示されている。
【0046】
第1の合成データ723は透視画像データ724及び例えばプログレスバーで表される
ゲージデータ725により構成される。そして、第1の表示エリア721に、透視画像デ
ータ724がリアルタイムに表示され、第2の表示エリア722にゲージデータ725が
リアルタイムに表示されている。
【0047】
ゲージデータ725は、被検体Pに照射されたX線の照射領域の内の積算した皮膚線量
が最大となる照射領域における積算皮膚線量の警告線量に対する割合を、被検体Pの検査
を開始してからX線の照射が開始される前の積算皮膚線量を「0%」とし、警告線量に達
したときを例えば「100%」として表している。そして、積算皮膚線量の増大に応じて
斜線部のバーの割合が矢印L1方向に延びるようになっている。
【0048】
そして、ゲージデータ725を検査開始の操作が行われてから、検査終了の操作が行わ
れた後のゲージデータ725を削除する操作、又は次の検査開始の操作まで第2の表示エ
リア722に表示される。
【0049】
なお、最大となる照射領域における積算皮膚線量及び警告線量の値を第2の表示エリア
722に表示するように実施してもよい。また、円グラフを用いて、図4に示すように、
「0%」、算出した積算皮膚線量の警告線量に対する割合、「100%」を表示し、積算
皮膚線量の増大に応じて斜線部の角度の割合が矢印R1方向に増大するように実施しても
よい。
【0050】
このように、第1のモニタ72に透視画像データ724と共にゲージデータ725を表
示することができる。これにより、被検体Pに照射されたX線の照射領域の内、積算した
皮膚線量が最大となる照射領域の積算皮膚線量を容易にリアルタイムに把握することが可
能となり、皮膚障害の危険性を考慮して検査を行うことができる。
【0051】
次に、操作部80から例えば3回に亘る照射野を変更する操作が行われた後の第1のモ
ニタ72の第2の表示エリア722に表示されたゲージデータ725の斜線部のバーが1
00%未満を示しているときに、X線透視停止の操作が行われると、画像データ生成部5
0はX線検出部30から出力されたX線投影データを処理して、X線透視停止の操作が行
われたときの最後の透視画像データを生成し、生成した透視画像データを表示部70の合
成部71に出力する。
【0052】
被曝情報作成部60は、検査を開始してからX線透視停止の操作までに被検体Pに照射
されたX線の照射領域の内、その操作が行われたときに生成された最後の透視画像データ
の領域に対応する照射領域を除いた照射領域を表す領域データを作成し、作成した領域デ
ータを合成部71に出力する。合成部71は、画像データ生成部50から出力された静止
した透視画像データ及びこの透視画像データに対応して被曝情報作成部60から出力され
た領域データを合成し、合成した領域データを含む第2の合成データを第2のモニタ73
に出力する。第2のモニタ73は、合成部71から出力された領域データを含む第2の合
成データを表示する(図2のステップS3)。
【0053】
図5は、第2のモニタ73の画面に表示された領域データを含む第2の合成データの一
例を示した図である。この画面73aは第3の表示エリア731及びこの第3の表示エリ
ア731に隣接して配置された第4の表示エリア732により構成され、第3の表示エリ
ア731に第2の合成データ733が表示されている。
【0054】
第2の合成データ733は、静止した透視画像データ7331、及びこの透視画像デー
タ7331上に重畳して表示された識別可能に例えば色分けした3つの四角枠で包囲され
た領域データ7332乃至7334により構成される。なお、3つの領域データ7332
乃至7334で包囲する領域を、夫々識別可能なように透明度を有する色で色分けして表
示するようにしてもよい。
【0055】
領域データ7332は、検査を開始してから1回目の照射野の情報に基づいて制限した
X線絞り器12からのX線により照射された被検体Pの照射領域に対応している。また、
領域データ7333は、2回目の照射野の情報に基づいて制限したX線絞り器12からの
X線により照射された被検体Pの照射領域に対応している。更に、領域データ7334は
、3回目の照射野の情報に基づいて制限したX線絞り器12からのX線により照射された
被検体Pの照射領域に対応している。更にまた、透視画像データ7331は、4回目の照
射野の情報に基づいて制限したX線絞り器12からのX線照射により生成された画像デー
タに対応している。
【0056】
なお、第3の表示エリア731に第2の合成データ733を表示すると共に、第4の表
示エリア732に第1のモニタ72の第2の表示エリア722に表示したゲージデータ7
25を表示するようにしてもよい。
【0057】
このように、操作部80からのX線透視停止の操作に応じて、第2のモニタ73に静止
した透視画像データ7331を表示させると共にこの透視画像データ7331上に領域デ
ータ7332乃至7334を表示することができる。これにより、被検体Pの検査中に照
射したX線の照射領域を容易に把握することができる。
【0058】
なお、検査を開始してからX線透視停止の操作までに被検体Pに照射されたX線の照射
領域の内、その操作が行われたときの最後の透視画像データ7331の領域から外れ、且
つ第3の表示エリア731に含まれる領域に対応する照射領域がある場合、その照射領域
を表す領域データを作成する。そして、図6に示すように、作成した例えば領域データ7
335を第3の表示エリア731に表示することができる。
【0059】
このように、第3の表示エリア731に含まれる透視画像データ7331の領域外の領
域データ7335を表示することができる。これにより、被検体Pの検査中に照射したX
線の照射領域を広範囲に亘って把握することができる。
【0060】
ここで、操作部80から例えば領域データ3Dモデルを表示させる操作が行われると、
被曝情報作成部60は、システム制御部90から供給される撮影部位の情報に基づいて、
その撮影部位を含む被検体Pをモデル化した回転可能な三次元の3Dモデルを作成すると
共に、被検体Pの検査を開始してからX線透視停止の操作が行われるまでに被検体Pに照
射されたX線の照射領域を、3Dモデルの表面上に表すための3D領域データを作成した
後、作成した3D領域データを3Dモデル表面上に重畳した領域データ3Dモデルを作成
する。そして、作成した領域データ3Dモデルを合成部71に出力する。合成部71は、
被曝情報作成部60から出力された領域データ3Dモデルを第2のモニタ73に出力する
。第2のモニタ73は、合成部71から出力された領域データ3Dモデルを表示する。
【0061】
図7は、第2のモニタ73の画面に表示された領域データ3Dモデルの一例を示した図
である。この画面73cの第3の表示エリア731に領域データ3Dモデル734が表示
されている。
【0062】
領域データ3Dモデル734は、システム制御部90から供給される撮影部位の情報に
基づいて被曝情報作成部60で作成された被検体Pの3Dモデル7341と、検査を開始
してからX線透視停止の操作までに被検体Pに照射されたX線の照射領域を3Dモデル7
341の表面上に表すための3D領域データ7342乃至7345により構成される。
【0063】
3D領域データ7342は、例えば図5の画面73aに表示された透視画像データ73
31の領域に対応し、3D領域データ7343は領域データ7332の領域に対応してい
る。また、3D領域データ7344は領域データ7333の領域に対応し、3D領域デー
タ7345は領域データ7334の領域に対応している。
【0064】
そして、操作部80から回転操作が行われると、領域データ3Dモデル3D734は、
3Dモデル7341の体軸を回転軸として矢印R1方向に回転した所望の角度から表示さ
れる。
【0065】
このように、第2のモニタ73に領域データ3Dモデル734を表示することにより、
被検体Pの検査中に照射したX線の全ての照射領域を表示することができる。また、領域
データ3Dモデル734を回転させることにより、被検体Pに照射したX線の全ての照射
領域を様々な方向から観察することができる。
【0066】
図2のステップS3の後に、操作部80から例えば透視条件の変更操作を行った後、積
算皮膚線量が最大となる最大領域を表示させ、更にその最大領域を指定する関心領域指定
操作が行われると、被曝情報作成部60は検査を開始してから透視画像データ7331の
生成までに被検体Pに照射された累計のX線量から、被検体Pに照射されたX線の照射領
域の内、透視画像データ7331の領域に対応する照射領域の積算した皮膚線量が最大と
なる照射領域を表す最大領域データ、及びこの最大領域データに対応するX線透視を予測
する透視グラフを作成する。そして、作成した最大領域データ及び透視グラフを合成部7
1に出力する。
【0067】
合成部71は、画像データ生成部50から出力された透視画像データ7331、並びに
この透視画像データ7331に対応する被曝情報作成部60から出力された最大領域デー
タ及び透視グラフを合成し、合成した最大領域データ及び透視グラフを含む第2の合成デ
ータを第2のモニタ73に出力する。第2のモニタ73は、合成部71から出力された最
大領域データ及び透視グラフを含む第2の合成データを表示する(図2のステップS4)

【0068】
図8は、第2のモニタ73の画面に表示された最大領域データ及び透視グラフを含む第
2の合成データの一例を示した図である。この画面73dの第3及び第4の表示エリア7
31,732に第2の合成データ735が表示されている。
【0069】
第2の合成データ735は、透視画像データ7331、この透視画像データ7331上
に重畳された識別可能に四角枠で包囲された最大領域データ7351、及び透視グラフ7
36により構成される。そして、第3の表示エリア731に透視画像データ7331及び
最大領域データ7351が表示され、第4の表示エリア732に透視グラフ736が表示
されている。
【0070】
最大領域データ7351に対応する領域は、図5に示した透視画像データ7331上に
表示された例えば3つの領域データ7332乃至7334の部分集合の領域である。
【0071】
透視グラフ736は、最大領域データ7351に対応する照射領域における透視時間と
積算皮膚線量の関係を表している。
【0072】
なお、透視画像データ7331上の関心領域へカーソルを移動する操作部80からのマ
ウス操作により、その関心領域に対応する透視グラフを第3の表示エリア731に噴出し
表示することができる。また、透視画像データ7331上の関心領域へカーソルを移動し
た後、その関心領域をクリックする操作部80からのマウス操作により、その関心領域に
対応する透視グラフを第3の表示エリア731にポップアップ表示することができる。更
に、透視画像データ7331上の複数の関心領域を指定することにより、第4の表示エリ
ア732にその複数の関心領域に対応する透視グラフを表示することができる。
【0073】
このように、第2のモニタ73に表示された透視画像データ7331上に最大領域デー
タ7351を表示することができる。これにより、被検体Pに照射したX線の照射領域の
内、透視画像データ7331の領域に対応する照射領域の積算皮膚線量が最大となる照射
領域を容易に把握することができる。
【0074】
図9は、図8に示した透視グラフ736の詳細を示した図である。この透視グラフ73
6は、横軸の方向をX線の照射時間とし、縦軸の方向を積算皮膚線量とする関係として表
されるグラフ7361と、このグラフ7361に外挿される7362乃至7365と、検
査開始の操作が行われてから、X線透視の停止操作が行われたときの時間を示す現在時間
線7366と、警告線量の位置を示す警告線量線7367とにより構成される。
【0075】
グラフ7361は、検査開始の操作が行われてから現在時間線7366までの時間帯T
1に照射されたX線の照射時間と積算皮膚線量の関係を表している。
【0076】
グラフ7362は、現在時間線7366以降に予め設定された高透視照射条件で透視用
のX線を照射したときに予測される照射時間と積算皮膚線量の関係を表している。
【0077】
グラフ7363は、現在時間線7366以降にX線透視停止の操作を行う前の透視条件
でX線を照射したときに予測される照射時間と積算皮膚線量の関係を表している。
【0078】
グラフ7364は、現在時間線7366以降に変更した後の透視条件でX線を照射した
ときに予測される照射時間と積算皮膚線量の関係を表している。
【0079】
グラフ7365は、現在時間線7366以降に予め設定された低透視照射条件で透視用
のX線を照射したときに予測される照射時間と皮膚線量の関係を表している。
【0080】
このように、操作部80からの透視条件の変更操作により、第2のモニタ73に表示さ
れた最大領域データ7351に対応する透視グラフ736を表示することができる。そし
て、グラフ7361を表示することにより、被検体Pに照射されたX線の照射領域の内、
最大領域データ7351に対応する照射領域の検査開始から透視画像データ7331の生
成までの積算皮膚線量を把握することができる。
【0081】
また、グラフ7364を表示することにより、透視条件を変更した後の検査情報に基づ
いて、最大領域データ7351に対応する照射領域へ透視画像データ7331の生成後に
照射される透視用のX線の照射時間と積算皮膚線量の関係を予測することができる。更に
、各グラフ7362,7363,7365を表示することにより、予め設定された高透視
照射条件、変更する前の透視条件、予め設定された低透視照射条件の各検査情報に基づい
て、最大領域データ7351に対応する照射領域へ透視画像データ7331の生成後に照
射される透視用のX線の照射時間と積算皮膚線量の関係を予測することができる。
【0082】
これにより、警告線量に達するまでの各照射時間を予測することができるため、透視画
像データ7331の生成以降に被検体Pに照射するX線の照射範囲や照射時間を考慮する
ことができる。
【0083】
なお、ステップS3の後に操作部80から例えば撮影条件の変更操作が行われると、被
曝情報作成部60は最大領域データ7351及びこの最大領域データ7351に対応する
X線撮影を予測する撮影グラフを作成し、作成した最大領域データ7351及び撮影グラ
フを合成部71に出力する。合成部71は、画像データ生成部50から出力された透視画
像データ7331、並びにこの透視画像データ7331に対応する被曝情報作成部60か
ら出力された最大領域データ7351及び撮影グラフを合成し、合成した最大領域データ
7351及び撮影グラフを含む第2の合成データを第2のモニタ73に出力する。第2の
モニタ73は、合成部71から出力された第2の合成データに含まれる撮影グラフを第4
の表示エリア732に表示する。
【0084】
図10は、第2のモニタ73の第4の表示エリア732に表示される撮影グラフの詳細
を示した図である。この撮影グラフ737は、図9に示したグラフ7361、現在時間線
7366、及び警告線量線7367と、横軸の方向を撮影回数とし、縦軸の方向を積算皮
膚線量とする関係として表されるグラフ7361に外挿されるグラフ7371乃至737
4とにより構成される。
【0085】
グラフ7371は、現在時間線7366以降に、予め設定された高撮影照射条件で撮影
用のX線を照射したときに予測される撮影回数と積算皮膚線量の関係を表している。
【0086】
グラフ7372は、現在時間線7366以降に、X線透視の停止操作を行う前の撮影条
件でX線を照射したときに予測される撮影回数と積算皮膚線量の関係を表している。
【0087】
グラフ7373は、現在時間線7366以降に、変更した後の撮影条件でX線を照射し
たときに予測される撮影回数と積算皮膚線量の関係を表している。
【0088】
グラフ7374は、現在時間線7366以降に、予め設定された低撮影照射条件で撮影
用のX線を照射したときに予測される撮影回数と皮膚線量の関係を表している。
【0089】
このように、操作部80からの撮影条件の変更操作により、第2のモニタ73に表示さ
れた最大領域データ7351に対応する撮影グラフ737を表示することができる。そし
て、グラフ7373を表示することにより、撮影条件を変更した後の検査情報に基づいて
、最大領域データ7351に対応する照射領域へ透視画像データ7331生成後に照射さ
れる撮影用X線による撮影回数と積算皮膚線量の関係を予測することができる。また、各
グラフ7371,7372,7374を表示することにより、予め設定された高撮影照射
条件、変更する前の撮影条件、予め設定された低撮影照射条件の各検査情報に基づいて、
最大領域データ7351に対応する照射領域へ透視画像データ7331生成後に照射され
る撮影用X線による撮影回数と積算皮膚線量の関係を予測することができる。
【0090】
これにより、警告線量に達するまでの各撮影回数を予測することができるため、透視画
像データ7331の生成以降に被検体Pに照射するX線の照射範囲や被検体Pを撮影する
撮影回数を考慮することができる。
【0091】
次に、第1のモニタ72の第2の表示エリア722に表示されたゲージデータ725の
斜線部のバーが100%以上を示しているとき、操作部80からX線透視停止の操作が行
われた後に、警告線量データを表示させる操作が行われると、画像データ生成部50は、
X線検出部30から出力されたX線投影データを処理してX線透視停止の操作が行われた
ときの最後の透視画像データを生成し、生成した透視画像データを合成部71に出力する

【0092】
ここで、最後の透視画像データの領域に対応する照射領域に積算皮膚線量が警告線量以
上となる照射領域が含まれているとする。この場合、被曝情報作成部60は、検査を開始
してから画像データ生成部50による最後の透視画像データの生成までに被検体Pに照射
された累計のX線量から、被検体Pに照射されたX線の照射領域の内、画像データ生成部
50で生成された最後の透視画像データの領域に対応する照射領域の積算した皮膚線量が
予め設定された警告線量以上となる照射領域を表す警告領域データを作成する。そして、
作成した警告領域データを合成部71に出力する。合成部71は、画像データ生成部50
から出力された最後の静止した透視画像データ及びこの透視画像データに対応する被曝情
報作成部60から出力された警告領域データを合成し、合成した警告領域データを含む第
2の合成データを第2のモニタ73に出力する。第2のモニタ73は、合成部71から出
力された警告領域データを含む第2の合成データを表示する(図2のステップS5)。
【0093】
図11は、第2のモニタ73の画面に表示された警告領域データを含む第2の合成デー
タの一例を示した図である。この画面73eの第3の表示エリア731に第2の合成デー
タ738が表示されている。
【0094】
第2の合成データ738は、静止した透視画像データ7381及びこの透視画像データ
7381上に重畳して表示された識別可能なように例えば四角枠で包囲された警告領域デ
ータ7382により構成される。そして、警告領域データ7382は、例えば図8に示し
た最大領域データ7351と同じ領域のデータである。
【0095】
このように、第2のモニタ73に静止した透視画像データ7381を表示すると共に、
警告領域データ7382を表示することにより、被検体Pに照射したX線の照射領域の内
の積算皮膚線量が警告線量以上となる照射領域を容易に把握することができる。これによ
り、皮膚障害の危険性の拡大を考慮して検査を行うことが可能となり、皮膚障害の低減を
図ることができる。
【0096】
以上述べた本発明の実施例によれば、画像データ生成部50で生成された画像データと
共に、この画像データに対応する被曝情報作成部60で作成された被検体Pの検査中又は
検査終了後における被曝情報を表示することができる。
【0097】
そして、第1のモニタ72の第1の表示エリア721に透視画像データ724を表示す
ると共に、第2の表示エリア722にゲージデータ725を表示することにより、被検体
Pに照射されたX線の照射領域の内、積算した皮膚線量が最大となる照射領域の積算皮膚
線量を容易にリアルタイムに把握することができる。また、X線透視停止の操作に応じて
、第2のモニタ73の第3の表示エリア731に静止した透視画像データ7331を表示
すると共に、この透視画像データ7331上に重畳して領域データ7332乃至7334
を表示することにより、被検体Pに照射したX線の照射領域を容易に把握することができ
る。また、第3の表示エリア731に含まれる透視画像データ7331の領域外の領域デ
ータ7335を表示することにより、被検体Pに照射したX線の照射領域を広範囲に亘っ
て把握することができる。また、第3の表示エリア731に領域データ3Dモデル734
を表示することにより、被検体Pの検査中に照射したX線の全ての照射領域を表示するこ
とができる。また、領域データ3Dモデル734を回転させることにより、被検体Pに照
射したX線の全ての照射領域を様々な方向から見ることができる。また、第3の表示エリ
ア731に表示された透視画像データ7331上に重畳して最大領域データ7351を表
示することにより、被検体Pの照射領域の内、透視画像データ7331の領域に対応する
照射領域の積算皮膚線量が最大となる領域を容易に把握することができる。また、第2の
モニタ73に静止した透視画像データ7381上に重畳して警告領域データ7382を表
示することにより、被検体Pに照射したX線の照射領域の内の積算皮膚線量が警告線量以
上となる照射領域を容易に把握することができる。また、透視条件の変更操作により、第
3の表示エリア731に表示された透視画像データ7331上の関心領域に対応する透視
グラフを表示することにより、透視条件を変更した後の検査情報に基づいて照射される透
視用のX線の照射時間と積算皮膚線量の関係を表すことが可能となり、警告線量に達する
までの照射時間を予測することができる。
【0098】
また、X線撮影の操作に応じて、表示部70の第1のモニタ72の第1の表示エリア7
21にその撮影操作により生成された最後の撮影画像データを表示すると共に、第2の表
示エリア722にゲージデータを表示することができる。また、第2のモニタ73の第3
の表示エリア731に最後の撮影画像データを表示すると共に、その撮影画像データ上に
重畳して領域データを表示することができる。また、第3の表示エリア731に含まれる
最後の撮影画像データの領域外の領域データを表示することができる。また、第3の表示
エリア731に表示された最後の撮影画像データ上に重畳して最大領域データを表示する
ことができる。また、第2のモニタ73の最後の撮影画像データ上に重畳して警告領域デ
ータを表示することができる。また、撮影条件の変更操作により、第3の表示エリア73
1に表示された最後の撮影画像データ上の関心領域に対応する撮影グラフを表示すること
により、撮影条件を変更した後の検査情報に基づいて照射される撮影用のX線による撮影
回数と積算皮膚線量の関係を表すことが可能となり、撮影条件を変更してから警告線量に
達するまでの撮影回数を容易に予測することができる。これにより、X線透視の場合と同
様の効果を得ることができる。
【0099】
以上により、検査中に検査の状況にあわせて様々な被曝情報を出力することができる。
これにより、被検体Pの被曝情報を容易に把握でき、被検体Pの皮膚障害の危険性を考慮
して検査を行うことが可能となるため、皮膚障害の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0100】
P 被検体
7 天板
8 アーム
10 X線照射部
11 X線管
12 X線絞り器
20 高電圧発生部
30 X線検出部
31 X線検出器
32 信号処理部
40 機構部
41 天板移動機構
42 アーム回動機構
43 機構制御部
50 画像データ生成部
60 被曝情報作成部
70 表示部
71 合成部
72 第1のモニタ
73 第2のモニタ
80 操作部
90 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の検査を行うための検査情報の入力の操作が可能な操作手段と、
前記操作手段から入力された検査情報に基づいて、前記被検体にX線を照射するX線照
射手段と、
前記X線照射手段により照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出手段
と、
前記X線検出手段で検出されたX線に基づいてX線画像を生成する画像生成手段と、
前記検査情報に基づいて、前記X線画像に対応する前記被検体の被曝情報を作成する被
曝情報作成手段と、
X線透視停止の操作、X線撮影の操作、又は検査終了の操作のうち少なくともいずれか
1つの操作に応じて、前記X線画像と共に前記被曝情報を表示する表示手段と、
を備えるX線画像診断装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記被曝情報である領域データを、X線照射が終了する直前に得られ
る静止画であるX線画像上に重畳表示する請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記被曝情報である領域データを、前記被検体のモデル上に重畳表示
する請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項4】
前記被曝情報作成手段は、算出した積算皮膚線量の予め設定された警告線量に対する割
合を表すゲージデータを作成し、
前記表示手段は、前記X線画像の近傍に前記被曝情報作成手段により作成されたゲージ
データを表示する請求項1乃至3いずれか一項に記載のX線画像診断装置。
【請求項5】
前記被曝情報作成手段は、前記積算皮膚線量が予め設定された警告線量以上となる照射
領域を表す警告領域データを作成し、
前記表示手段は、前記X線画像上に前記警告領域データを重畳して表示する請求項1乃
至4いずれか一項に記載のX線画像診断装置。
【請求項6】
前記被曝情報作成手段は、前記被検体の検査を開始してから前記被検体に照射されるX
線の照射領域又はX線量の変更を含む検査情報の変更操作に応じて、その検査情報の変更
以降のX線の照射により予測される前記被検体の被曝情報を作成する請求項1乃至5いず
れか一項に記載のX線画像診断装置。
【請求項7】
前記操作手段は、前記X線画像上の関心領域を指定し、
前記被曝情報作成手段は、前記検査情報の変更に応じて変更された透視用X線の照射時
間と、前記被検体の検査を開始してから前記関心領域に対応する前記被検体の照射領域に
照射される累計のX線量から算出した積算皮膚線量との関係を表すグラフを作成し、
前記表示手段は、前記グラフをポップアップ表示、又は前記X線画像上に重畳表示する
請求項6に記載のX線画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−78635(P2013−78635A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285461(P2012−285461)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−239020(P2008−239020)の分割
【原出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】