説明

X線診断装置

【課題】作業を軽減することができるX線診断装置を提供する。
【解決手段】被検体Pに照射するX線管21からのX線の照射範囲を可変できるX線絞り器22と、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器26と、X線検出器26で検出された検出信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成部61と、画像データ生成部61で生成された複数フレームの画像データから動きのある領域を抽出し、抽出した領域に基づいて関心領域を検出する関心領域検出部62と、関心領域検出部62で検出された関心領域に基づいて画像データ生成部61で生成された画像データを処理する画像データ処理部63とを備え、画像データ処理部63は、画像データ生成部61で生成された画像データの関心領域検出部62で検出された関心領域に当たる位置を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線の照射範囲を可変できるX線絞り器を備えたX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、近年ではカテーテルを用いた血管造影検査やIVR(Interventional Radiology)の発展に伴い、循環器分野を中心に進歩を遂げている。このX線診断装置は、被検体にX線を照射するX線照射部、被検体を透過したX線を検出するX線検出部、及び被検体が載置される天板を移動可能に支持する寝台部を備えている。そして、X線照射部は、X線を発生するX線管と、このX線管と被検体の間に配置され、被検体に照射するX線の照射範囲を可変できるX線絞り器とを備えている。
【0003】
ところで、X線診断装置は、線量の少ないX線を照射し、被検体を透過したX線をX線検出部により検出してリアルタイムに得られる画像データをモニタに表示する。そして、X線照射停止の際に、最後のフレームの画像データをメモリに保存するLIH(Last Image Hold)機能が知られている。
【0004】
また、X線照射を停止した後、被検体への無駄なX線被曝を回避するためにX線絞り器により照射範囲を絞る。そして、照射範囲を被検体の関心部位に制限した後、関心部位へのX線照射により得られる画像データと、照射範囲を絞る前にメモリに保存した画像データの関心部位に当たる領域を除いた画像データをモニタに表示する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―212550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、照射範囲を絞るための関心領域の範囲を指定する操作やX線絞り器を作動させる操作等を行う必要があるため、検査や治療中に様々な作業が必要とされるX線診断装置の操作者を煩わせている。
【0007】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、作業を軽減することができるX線診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、実施形態のX線診断装置は、被検体に照射するX線を発生するX線管と、前記被検体に照射する前記X線管からのX線の照射範囲を可変できるX線絞り器と、前記X線絞り器を介して照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器により検出された検出信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データ生成部により時系列的に生成された複数フレームの画像データから動きのある領域を抽出し、抽出した領域に基づいて関心領域を検出する関心領域検出部と、前記画像データ生成部で生成された画像データの前記関心領域に当たる位置を識別する画像データ処理部と、前記画像データ処理部により前記位置が識別された画像データを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るX線診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係るX線絞り器及びX線検出器の構成の一例を示す図。
【図3】実施形態に係る画像処理部の構成の詳細を示すブロック図。
【図4】実施形態に係るX線診断装置の動作を示すフローチャート。
【図5】実施形態に係る表示部に表示された画像データ、X線絞り器及びX線検出器を示す図。
【図6】実施形態に係る表示部に表示された四角枠が重畳された画像データ、X線絞り器及びX線検出器を示す図。
【図7】実施形態に係る表示部に表示された関心領域画像データ、X線絞り器及びX線検出器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
図1は、X線診断装置の構成を示したブロック図である。このX線診断装置100は、被検体Pが移動可能に載置される寝台部10と、寝台部10に載置された被検体PにX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20からの照射により被検体Pを透過したX線を検出するX線検出部25と、X線照射部20及びX線検出部25を移動可能に保持するアーム30と、寝台部10及びアーム30を移動駆動する移動機構部40とを備えている。
【0012】
また、X線診断装置100は、X線照射部20のX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部50と、X線検出部25で検出された検出信号に基づいて画像データを生成する画像処理部60と、画像処理部60で生成された画像データを表示する表示部70と、各種コマンドの入力等を行う操作部80と、上記の各ユニットを制御するシステム制御部90とを備えている。
【0013】
寝台部10は、被検体Pが載置される天板11と、被検体Pが載置された天板11を長手方向及び上下方向へ移動可能に支持する天板支持体12とを備えている。
【0014】
X線照射部20は、被検体Pに照射するX線を発生するX線管21と、被検体Pに照射するX線管21からのX線の照射範囲を可変できるX線絞り器22と、X線絞り器22を制御する絞り制御部23とを備えている。また、X線検出部25は、X線照射部20のX線絞り器22を介して照射され、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器26及びX線検出器26で検出された検出信号を処理してX線投影データを生成する信号処理部27を備えている。
【0015】
移動機構部40は、寝台部10の天板11を長手方向及び上下方向へ移動する天板移動機構41と、アーム30を回動するアーム移動機構42と、天板移動機構41及びアーム移動機構42を制御する機構制御部43とを備えている。
【0016】
高電圧発生部50は、X線照射部20のX線管21に高電圧を供給する高電圧発生器及びこの高電圧発生器を制御するX線制御部を備えている。そして、システム制御部90から供給される管電圧や管電流を含むX線照射条件に基づいて、X線を発生させるための高電圧をX線管21に供給する。
【0017】
画像処理部60は、被検体PへのX線照射によりX線検出部25の信号処理部27で生成されるX線投影データに基づいて画像データを生成する画像データ生成部61を備えている。また、画像データ生成部61で生成された複数フレームの画像データから動きのある領域を抽出し、抽出した領域に基づいて関心領域を検出する関心領域検出部62を備えている。更に、関心領域検出部62で検出された関心領域に基づいて画像データ生成部61で生成される画像データの識別処理や合成処理を行う画像データ処理部63を備えている。
【0018】
表示部70は、液晶パネル或いはCRTのモニタを備え、画像処理部60の画像データ生成部61で生成された画像データを表示する。また、画像処理部60の画像データ処理部63で処理された画像データを表示する。
【0019】
操作部80は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウス、スイッチ等の入力デバイス等を備えている。そして、X線照射条件を設定するための入力、X線を照射させる照射開始の入力、X線の照射を停止させる照射停止の入力等を行う。
【0020】
システム制御部90は、CPUと記憶回路を備え、操作部80から入力される入力情報を一旦記憶した後、これらの入力情報に基づいて、X線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60を統括して制御する。
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、X線照射部20のX線絞り器22及びX線検出部25のX線検出器26の構成の詳細を説明する。
図2は、X線絞り器22及びX線検出器26の構成の一例を示した図である。このX線絞り器22は、X線管21から照射されたX線が通過する照射口22aを形成する4つの絞り羽根221乃至224と、2つの絞り羽根221,222を移動する羽根移動機構225と、2つの絞り羽根223,224を移動する羽根移動機構226とを備えている。
【0022】
各絞り羽根221乃至224は、タングステンやモリブデン等のX線を吸収する素材から成り、X線管21からのX線を検出するX線検出器26の検出面26aに対して平行に移動可能に配置される。そして、各絞り羽根221乃至224により、X線管21で発生したX線が通過する四角形の照射口22aを形成する。この照射口22aにより被検体Pに照射するX線の照射範囲が制限される。
【0023】
2つの絞り羽根221,222は、照射口22aの一方の両端を形成する各端面が互いに対向して平行に配置される。また、各絞り羽根221,222に対して垂直に配置される2つの絞り羽根223,224は、照射口22aの他方の両端を形成する各端面が互いに対向して平行に配置される。
【0024】
羽根移動機構225は、各絞り羽根221,222を、矢印L4方向及びL4方向とは反対方向の矢印L5方向に移動する。また、羽根移動機構226は、各絞り羽根223,224を、矢印L6方向及びL6方向とは反対方向の矢印L7方向に移動する。
【0025】
絞り制御部23は、システム制御部90から供給されるX線管21とX線検出器26の間の距離D1、X線管21とX線絞り器22の間の距離D2、及びX線検出器26の検出面26aの縦の長さ及び横の長さの情報に基づいて、羽根移動機構225,226を制御する。そして、X線管21から照射されたX線の入射範囲がX線検出器26の検出面26aに含まれるように各絞り羽根221乃至224を移動させる。
【0026】
次に、図1乃至図3を参照して、画像処理部60の構成の詳細を説明する。
図3は、画像処理部60の構成の詳細を示したブロック図である。この画像処理部60の画像データ生成部61は、例えば線量の少ない透視用のX線照射によりX線検出部25で生成されるX線投影データから予め設定されたフレームレートで画像データを生成し、生成した画像データをフレーム毎に関心領域検出部62や表示部70に出力する。
【0027】
関心領域検出部62は、差分累積部621、領域抽出部622及び領域判定部623を備えている。そして、差分累積部621は、画像データ生成部61で生成された時系列的に隣り合う2つのフレームの画像データ間で同じ位置の画素同士の画素値の差を取ることにより差分画像データを順次生成する。次いで、生成した差分画像データを生成順に累積し、累積した所定数からなる差分画像データの同じ位置の画素同士の画素値を加算することにより1つの累積差分画像データ(第1の累積差分画像データ)を生成する。次いで、第1の累積差分画像データに引き続き第1の累積差分画像データの場合と同様にして、第2の累積差分画像データを生成する。
【0028】
領域抽出部622は、差分累積部621で生成された第1の累積差分画像データから動きのある第1の領域を抽出し、第2の累積差分画像データから動きのある第2の領域を抽出する。ここでは、第1の累積差分画像データから、予め設定された閾値以上の画素値を有する画素を包囲するX線絞り器22の照射口22aの形状である四角形の領域(第1の領域)を抽出する。また、第2の累積差分画像データから、閾値以上の画素値を有する画素を包囲する四角形の領域(第2の領域)を抽出する。そして、第1の領域の位置を示す第1の位置データ及び第2の領域の位置を示す第2の位置データを領域判定部623に出力する。
【0029】
領域判定部623は、領域抽出部622からの第1及び第2の位置データに基づいて、第1及び第2の領域が関心領域であるか否かを判定する。そして、第1の領域と第2の領域の位置の差が予め設定された許容範囲内である場合、第1及び第2の領域が関心領域であると判定し、例えば第2の位置データを画像データ処理部63及びシステム制御部90に出力する。また、第1の領域と第2の領域の位置の差が前記許容範囲から外れている場合、第1及び第2の領域が関心領域でないと判定し、その判定結果をシステム制御部90に出力する。
【0030】
なお、差分累積部621では、差分画像データを順次生成して生成順に累積し、累積した最新の所定数からなる差分画像データの同じ位置の画素同士の画素値を加算することにより最新の累積差分画像データを生成する。そして、領域抽出部622では、最新の累積差分画像データ全体に分布する各画素の画素値に基づいて最新の累積差分画像データの重心を求める。そして、求めた重心を中心として画素値の合計が最新の累積差分画像データ全体の画素値の合計に対して例えば80%等の所定の割合となる画素を包囲する正方形の領域を抽出し、又は求めた重心を中心として画素値の合計が最新の累積差分画像データ全体の画素値の合計に対して所定の割合となる画素を包囲する長方形の内の最も面積の小さい長方形の領域を抽出し、抽出した領域を関心領域として検出するように実施してもよい。これにより、継続して動いている領域や、位置が大きく変化する領域を関心領域として検出することができる。
【0031】
画像データ処理部63は、関心領域検出部62の領域判定部623から出力された第2の位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成される画像データの関心領域に当たる位置を識別処理する。ここでは、第2の位置データが得られたときから所定の時間に亘って画像データ生成部61で生成される複数フレームの画像データ上に関心領域を包囲する四角形の位置を示す四角枠を重畳する。そして、四角枠を重畳した画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。
【0032】
また、画像データ処理部63は、操作部80からの関心領域を承認する承認入力に応じて画像データ生成部61で生成される例えば1フレームの静止画像データを内部のメモリに保存する。そして、承認入力に応じてX線絞り器22により照射範囲が絞られ、関心領域に対応するX線検出器26の検出範囲に向けてのX線照射により予め設定されたフレームレートで時系列的に生成される各フレームの第1の画像データと、X線絞り器22により照射範囲が絞られる前に内部メモリに保存した静止画像データから関心領域の位置のデータを除いた第2の画像データとを合成して関心領域画像データを生成する。そして、生成した関心領域画像データを表示部70に出力する。
【0033】
以下、図1乃至図7を参照して、X線診断装置100の動作の一例を説明する。
図4は、X線診断装置100の動作を示したフローチャートである。被検体Pが寝台部10の天板11上に載置され、被検体Pの関心部位を含む部位へのX線の照射が可能な位置へ天板11が移動され、被検体P内に例えばカテーテルを挿入して治療が行われる。X線照射部20のX線絞り器22の各絞り羽根221乃至224をホームポジションに設定する入力が操作部80から行われると、X線診断装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0034】
システム制御部90は、X線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60に検査を指示する。そして、X線照射部20の絞り制御部23は、X線絞り器22の羽移動機構225,226を制御して各絞り羽根221乃至224をホームポジションへ移動させる。
【0035】
次に、操作部80から照射開始の入力が行われると、高電圧発生部50は、高電圧をX線管21に供給する。X線照射部20は、天板11上の被検体PにX線を照射する。X線検出部25は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成する。
【0036】
画像処理部60の画像データ生成部61は、X線検出部25で生成されたX線投影データに基づいて、予め設定されたフレームレートで画像データを生成する。そして、生成した画像データをフレーム毎に関心領域検出部62及び表示部70に出力する。表示部70は、画像データ生成部61で生成された画像データをリアルタイムに表示する。
【0037】
図5は、表示部70に表示された画像データ、X線絞り器22及びX線検出器26を示した図である。そして、図5(a)は表示部70に表示された画像データの一例を示し、図5(b)は図5(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。この画像データ71は、例えばX線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成された画像データであり、被検体Pの関心部位P1のデータを含んでいる。
【0038】
関心領域検出部62の差分累積部621は、画像データ生成部61で生成された複数フレームの画像データに基づいて、第1及び第2の累積差分画像データを生成する(図4のステップS2)。
【0039】
領域抽出部622は、差分累積部621で生成された第1及び第2の累積差分画像データから第1及び第2の領域を抽出し、抽出した第1及び第2の領域の位置を示す第1及び第2の位置データを領域判定部623に出力する(図4のステップS3)。
【0040】
領域判定部623は、領域抽出部622からの第1及び第2の位置データに基づいて、第1の領域と第2の領域が関心領域であるか否かを判定する。そして、第1の領域と第2の領域の位置の差が予め設定された許容範囲内である場合(図4のステップS4のはい)、第1及び第2の領域が関心領域であると判定し、第2の位置データを画像データ処理部63及びシステム制御部90に出力する。その後、ステップS5へ移行する。
【0041】
また、第1の領域と第2の領域の位置の差が前記許容範囲から外れている場合(図4のステップS4のいいえ)、第1及び第2の領域が関心領域でないと判定し、その判定結果をシステム制御部90に出力する。その後、ステップS2へ戻る。
【0042】
画像データ処理部63は、第2の位置データが得られたときから所定の時間に亘って画像データ生成部61で生成される複数フレームの画像データ上に、検出された関心領域を包囲する四角形の位置を示す四角枠を重畳する(図4のステップS5)。
【0043】
表示部70は、画像データ処理部63からフレーム毎に出力される四角枠が重畳された画像データをリアルタイムに表示する。
【0044】
図6は、表示部70に表示された四角枠が重畳された画像データ、X線絞り器22及びX線検出器26を示した図である。そして、図6(a)は表示部70に表示された四角枠が重畳された画像データの一例を示し、図6(b)は図6(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0045】
この画像データ71aは、X線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成されたデータであり、被検体P内に挿入されたカテーテル先端部分を示すカテーテルデータ71a1を含んでいる。そして、カテーテルの操作により動きのあるカテーテルデータ71a1を含む関心領域71a2を包囲する四角枠72が画像データ71a上に重畳されている。
【0046】
ここで、表示部70に表示された四角枠72の画像データ71aに対する位置やサイズを操作部80からの入力により変更することができる。この場合、操作部80の入力デバイスを操作して、表示部70にカーソルを表示させて四角枠72の位置へ移動し、四角枠72を画像データ71a上で拡大、縮小、及び移動することにより変更することができる。また、四角枠72を拡大、縮小、及び移動したときの候補となるサンプルを表示部70に表示させ、そのサンプルを選択することにより、変更することができる。
【0047】
なお、表示部70に画像データ71a及び四角枠72を表示すると共に、関心領域71a2に対応するX線検出器26の検出範囲に向けてのX線照射が可能であること、又は関心領域画像データの生成が可能であることを通知するメッセージやアイコンを表示するように実施してもよい。
【0048】
このように、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データに基づいて関心領域71a2を検出することができる。そして、表示部70に表示された画像データ71a上に関心領域71a2の位置を示す四角枠72を重畳表示させることができる。これにより、関心領域71a2を指定する操作を削減することができる。また、その作業の削減により、作業時間を短縮することができる。
【0049】
次に、表示部70に画像データ71a及び四角枠72が表示されてから所定の時間内に操作部80から関心領域71a2を承認する入力が行われると、画像データ処理部63は、その承認入力が行われたときに画像データ生成部61で生成された例えば1フレームの静止画像データを内部メモリに保存する。
【0050】
絞り制御部23は、システム制御部90から供給される第2の位置データに基づいて、X線絞り器22の羽移動機構225,226を制御して絞り羽根221をL4方向に移動させると共に絞り羽根222をL5方向に移動させる。また、絞り羽根223をL6方向に移動させると共に絞り羽根224をL7方向に移動させる。そして、関心領域71a2に対応するX線検出器26の検出面26aよりも狭い範囲の検出範囲26a1に向けてX線照射されるように照射範囲を絞らせる。
【0051】
画像データ処理部63は、X線検出器26の検出範囲26a1に向けてのX線照射により予め設定されたフレームレートで生成される第1の画像データと、X線絞り器22により照射範囲が絞られる前に生成された静止画像データから四角枠72内の領域のデータを除いた第2の画像データとの合成により関心領域画像データを生成して表示部70に出力する(図4のステップS6)。
【0052】
図7は、表示部70に表示された関心領域画像データ、X線絞り器22及びX線検出器26を示した図である。そして、図7(a)は表示部70に表示された関心領域画像データの一例を示し、図7(b)は図7(a)の関心領域画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0053】
この関心領域画像データ73は、図6(a)の画像データ71aと同じサイズの画像データであり、図6(a)に示した四角枠72内にリアルタイムに表示される第1の画像データ74及び四角枠72外に静止表示される第2の画像データ75により構成される。
【0054】
第1の画像データ74は、X線検出器26の検出範囲26a1に向けてX線照射されているときに生成された画像データであり、カテーテルの操作により動きのあるカテーテルデータ741を含んでいる。また、第2の画像データ75は、操作部80からの承認入力に応じて画像データ処理部63に保存された静止画像データの四角枠72内の領域のデータが除かれた画像データである。
【0055】
このように、操作部80からの関心領域71a2を承認する入力により、関心領域71a2に対応するX線検出器26の検出範囲26a1に向けてX線照射するように照射範囲をX線絞り器22に絞らせることができる。これにより、X線絞り器22を作動させる操作を軽減することができる。また、その作業の軽減により、作業時間を短縮することができる。
【0056】
なお、ステップS5において、表示部70に画像データ71a及び四角枠72が表示されてから所定の時間内に操作部80から関心領域71a2を承認する入力が行われないと、ステップS2へ戻る。
【0057】
そして、操作部80から照射停止の入力が行われると、システム制御部90がX線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60に検査の終了を指示することにより、X線診断装置100は動作を終了する(図4のステップS7)。
【0058】
以上述べた実施形態によれば、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データに基づいて動きのある領域を抽出し、抽出した領域に基づいて関心領域71a2を検出することができる。そして、表示部70に表示された画像データ71a上に検出した関心領域71a2の位置を示す四角枠72を重畳表示させることができる。
【0059】
これにより、関心領域71a2を指定する操作を削減することができる。また、その操作の削減により、作業時間を短縮することができるため、被検体Pの被曝を低減することができる。
【0060】
また、操作部80からの関心領域71a2を承認する入力により、関心領域71a2に対応するX線検出器26の検出範囲26a1に向けてX線照射するように照射範囲をX線絞り器22に絞らせることができる。これにより、X線絞り器22を作動させる操作を軽減することができる。また、その操作の軽減により、作業時間を短縮することができるため、被検体Pの被曝を低減することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
20 X線照射部
21 X線管
22 X線絞り器
23 絞り制御部
60 画像処理部
61 画像データ生成部
62 関心領域検出部
63 画像データ処理部
70 表示部
90 システム制御部
621 差分累積部
622 領域抽出部
623 領域判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照射するX線を発生するX線管と、
前記被検体に照射する前記X線管からのX線の照射範囲を可変できるX線絞り器と、
前記X線絞り器を介して照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器により検出された検出信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部により時系列的に生成された複数フレームの画像データから動きのある領域を抽出し、抽出した領域に基づいて関心領域を検出する関心領域検出部と、
前記画像データ生成部で生成された画像データの前記関心領域に当たる位置を識別する画像データ処理部と、
前記画像データ処理部により前記位置が識別された画像データを表示する表示部とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記画像データ処理部は、前記関心領域に基づいて前記X線絞り器により照射範囲が絞られ、前記関心領域に対応する前記X線検出器の検出範囲に向けてのX線照射により生成される第1の画像データと、前記X線絞り器により照射範囲が絞られる前に生成された静止画像データから前記関心領域のデータを除いた第2の画像データとを合成することにより関心領域画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記関心領域検出部は、前記画像データ生成部により時系列的に生成された所定数のフレームの画像データ及びこの画像データが生成された後に生成される所定数のフレームの画像データから動きのある画素値を有する画素を包囲する所定の形状の第1及び第2の領域を抽出し、前記第1領域の位置と前記第2の領域の位置の差が予め設定された許容範囲内に入る場合に前記第1の領域又は前記第2の領域を関心領域として検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記関心領域検出部は、差分累積部及び領域抽出部を備え、
前記差分累積部は、前記画像データ生成部により生成された時系列的に隣り合う2つのフレームの画像データ間で差を取ることにより差分画像データを順次生成して累積し、累積した最新の複数の所定数からなる差分画像データを加算することにより最新の累積差分画像データを生成し、
前記領域抽出部は、前記最新の累積差分画像データ全体に分布する各画素の画素値に基づいて前記最新の累積差分画像データの重心を求め、求めた重心を中心として画素値の合計が前記最新の累積差分画像データ全体の画素値の合計に対して所定の割合となる画素を包囲する所定の形状の領域を抽出し、抽出した領域を関心領域として検出することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記関心領域に対応する前記X線検出器の検出範囲に向けてのX線照射が可能であることを通知するメッセージを表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記所定の形状は、前記X線絞り器により形成が可能な前記X線管からのX線が通過する照射口の形状であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245103(P2012−245103A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118053(P2011−118053)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】