説明

X線透視撮影装置

【課題】片足のつま先で2方向同時に透視操作ができるフットスイッチを備えたバイプレーンのX線透視撮影装置を提供する。
【解決手段】透視撮影操作用のフットスイッチ10は、突起11aを有するペダル11と、突起12aを有するペダル12と、ペダル13を備えており、突起11aと突起12aの間隔は術者のつま先の幅より狭い構成である。ペダル11を踏むと第1の方向の透視が行われ、ペダル12を踏むと第2の方向の透視が行われる。つま先で突起11aと突起12aを踏むと2方向同時に透視が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線透視撮影装置に係り、特に被検者に対して2方向のX線画像を得るようにしたバイプレーンのX線透視撮影装置における透視撮影操作用フットスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線TVシステムでX線透視画像を観察し(これを「透視」という)、必要と思われる画像となったときにフィルム撮影に切り換えてフィルムへの記録(これを「撮影」という)を行うことができるようにしたX線透視撮影装置が知られている。検査によっては2方向から透視または撮影を行う必要がある場合があり、そのための2方向透視撮影装置も知られている。フィルムを備えていないX線透視撮影装置では例えばFPDで構成される受像系で得られる画像を記憶装置に保存することを撮影という。
【0003】
近年、FPDなどで構成されX線2次元情報を映像信号に変換する受像系とX線を曝射するX線管装置をCアームの両端に対向配置したシステムを2式(両者をAシステムとBシステムとする)備えたX線透視撮影装置が提供されている。該X線透視撮影装置は図3に示す透視撮影操作用のフットスイッチ30を備え、ペダル31が操作されるとAシステムによる透視が行われ、ペダル32が操作されるとBシステムによる透視が行われる。ペダル33が操作されるとAシステムおよび/あるいはBシステムによる撮影が行われる。撮影が行われるAシステムとBシステムの組み合わせは図示しない操作盤により指示される。
【0004】
一方、透視像を表示するモニタを見やすくするために部屋の照明を暗くする操作と、透視をオン、オフ操作する透視用フットスイッチとを連動させ、術者が照明の明るさを指示するなどの負担を軽減したX線透視撮影装置が提供されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−52129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示す従来の透視撮影操作用のフットスイッチ30は、AシステムとBシステムの透視を同時に行う場合、ペダル31とペダル32を同時に操作する必要があるが、つま先で2つのペダル31、32を同時に操作するのは困難であり、足先を横に向けて2つのペダル31、32を操作するか両足で各々のペダル31、32を踏むなど、術者に無理な姿勢を要求するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、X線を曝射するX線管装置と被検者を透過したX線像を映像信号に変換する受像系とからなるシステムを2式備えるとともに、前記2式のシステムの透視撮影操作をするフットスイッチを備えたX線透視撮影装置において、前記フットスイッチは前記2式のシステム各々を個別に透視操作するペダルを備えるとともに、片足のつま先で前記2式のシステムを同時に透視するように操作できる操作手段を備えたものである。しかもそれぞれ透視操作をするための個々のペダルを片足のつま先で操作できる近接位置に配設したものである。またそれぞれ透視操作をするための個々のペダルが対向する内側に突起を形成し、前記突起の間隔をつま先の幅より狭くしたものである。したがって、術者は無理な姿勢をすることなく2式のシステムで同時に透視をすることができる。
【発明の効果】
【0008】
前記フットスイッチは、2式のシステムを同時に透視するように操作する場合、術者は足先を横に向けて2つのペダルを操作するとか両足で各々のペダルを踏むなど無理な姿勢をすることなく、片足のつま先で透視操作をすることができ、術者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例による透視撮影操作用のフットスイッチの概略構造を示す図である。
【図2】本発明の実施例によるX線透視撮影装置の概略構成を示す図である。
【図3】従来の透視撮影操作用のフットスイッチの概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例によるX線透視撮影装置は、FPDなどで構成されX線2次元情報を映像信号に変換する受像系とX線を曝射するX線管装置をCアームの両端に対向配置したシステム2式で構成されるバイプレーンシステムである。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例について図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例による透視撮影操作用のフットスイッチ10の概略構造を示す図である。図2は、本発明の実施例によるX線透視撮影装置の概略構成を示す図である。
【0012】
本発明の実施例によるX線透視撮影装置は、図2に示すとおり、FPDなどで構成されX線2次元情報を映像信号に変換する受像系3とX線を曝射するX線管装置2を回動可能に保持されたCアーム4の両端に被検者Mを挟んで対向配置したAシステム1と、FPDなどで構成されX線2次元情報を映像信号に変換する受像系7とX線を曝射するX線管装置6を回動可能に保持されたCアーム8の両端に被検者Mを挟んで対向配置したBシステム5と、寝台9に移動可能に保持され被検者Mを載置する天板9aと、床に配設された透視撮影操作用のフットスイッチ10と、天板9aに移動可能に保持された操作部15と、天井に支持され画像を表示するモニタ16などで構成される。
【0013】
透視撮影操作用のフットスイッチ10は、図1に示すとおり、突起11aを有するペダル11と、突起12aを有するペダル12と、ペダル13を備えており、突起11aと突起12aの間隔は術者のつま先の幅より狭い構成である。
【0014】
ペダル11を操作するとAシステム1により透視が行われ、ペダル12を操作するとBシステム5により透視が行われる。突起11a、12aをつま先で同時に踏み操作するとAシステム1とBシステム5が同時に透視を行う。ペダル13を操作するとAシステム1および/あるいはBシステム5による撮影が行われる。撮影が行われるAシステム1とBシステム5の組み合わせは操作部15で指定される。
【0015】
本発明は以上の構成であるから、Aシステム1とBシステム5の各々を個別に透視操作することができ、かつ、Aシステム1とBシステム5が同時に透視するように操作する場合、術者は足先を横に向けて2つのペダル11、12を操作するとか両足で各々のペダル11、12を踏むなど無理な姿勢をすることなく、片足のつま先で突起11a、12aを同時に踏めばよい。したがって術者の負担が軽減される。
【0016】
図に示す実施例においては、2つの突起11a、12aが形成されているが、例えば突起11aが形成されていなくてもペダル11と突起12aの間隔が術者のつま先の幅より狭ければ本発明は適用可能である。上述のとおり本発明は図示例に限定されるものではなく種々の変形例を包含する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、X線透視撮影装置に係り、特に被検者に対して2方向のX線画像を得るようにしたバイプレーンのX線透視撮影装置における透視撮影操作用フットスイッチに利用の可能性がある。
【符号の説明】
【0018】
1 Aシステム
2 X線管装置
3 受像系
4 Cアーム
5 Bシステム
6 X線管装置
7 受像系
8 Cアーム
9 寝台
9a 天板
10 フットスイッチ
11 ペダル
11a 突起
12 ペダル
12a 突起
13 ペダル
15 操作部
16 モニタ
30 フットスイッチ
31 ペダル
32 ペダル
33 ペダル
M 被検者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を曝射するX線管装置と被検者を透過したX線像を映像信号に変換する受像系とからなるシステムを2式備えるとともに、前記2式のシステムの透視撮影操作をするフットスイッチを備えたX線透視撮影装置において、前記フットスイッチは前記2式のシステム各々を個別に透視操作するペダルを備えるとともに、片足のつま先で前記2式のシステムを同時に透視するように操作できる操作手段を備えたことを特徴とするX線透視撮影装置。
【請求項2】
それぞれ透視操作をするための個々のペダルを片足のつま先で操作できる近接位置に配設したことを特徴とする請求項1記載のX線透視撮影装置。
【請求項3】
それぞれ透視操作をするための個々のペダルが対向する内側に突起を形成し、前記突起の間隔をつま先の幅より狭くしたことを特徴とする請求項1記載のX線透視撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−264136(P2010−264136A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119276(P2009−119276)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】