X線CT撮影装置
【課題】本発明は、位置ズレや組み立て精度による画像再構成への影響を低減するために、補正を行うX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のX線CT撮影装置は、X線コーンビームを発生するX線発生器11と、X線発生器11を保持する支持部材30と、支持部材3に保持され、被写体を透過したX線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサ21と、X線発生器10及びX線イメージセンサ21を被写体に対して相対的に回転させ、X線投影データを被写体のX線吸収係数の分布に変換して画像再構成を行う制御部50と、X線コーンビームの一部と空間的に重なる位置に設けられ、X線投影データの一部にマーカ像を写し込む位置情報部材と、マーカ像に基づいてX線イメージセンサ21の位置ズレ量を検出し、画像再構成において位置ズレ量を補正する補正部77とを備える。
【解決手段】本発明のX線CT撮影装置は、X線コーンビームを発生するX線発生器11と、X線発生器11を保持する支持部材30と、支持部材3に保持され、被写体を透過したX線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサ21と、X線発生器10及びX線イメージセンサ21を被写体に対して相対的に回転させ、X線投影データを被写体のX線吸収係数の分布に変換して画像再構成を行う制御部50と、X線コーンビームの一部と空間的に重なる位置に設けられ、X線投影データの一部にマーカ像を写し込む位置情報部材と、マーカ像に基づいてX線イメージセンサ21の位置ズレ量を検出し、画像再構成において位置ズレ量を補正する補正部77とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンビームを用いるX線CT撮影装置に係る発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーンビームを用いる医療用等のX線コンピュータ断層撮影装置(以下、単にX線CT撮影装置という)では、X線発生器とX線イメージセンサを被写体の両側に配置する。そして、X線発生器とX線イメージセンサとを被写体の周りで被写体に相対的に回転させつつ、X線発生器により被写体に多方向からX線コーンビームを照射し、被写体を透過したX線の強度分布(被写体のX線投影データ)をX線イメージセンサで検出する。検出されたX線投影データから、被写体について3次元的なX線吸収係数分布情報を得、逆投影を行ってこの3次元的なX線吸収係数分布情報を2次元的に再構成した特定の断層面の断層画像や、3次元的に再構成したCT画像を得る。本願のX線CT撮影装置も、そのような医療用等のX線コンピュータ断層撮影装置である。
【0003】
なお、X線発生器及びX線イメージセンサと被写体とはどちらが回転しても良く、X線発生器及びX線イメージセンサを被写体の周りで回転しても、被写体が、回転テーブルに載せられ回転しても良い。コーンビームを用いるX線CT撮影装置の構成等については、特許文献1に詳しく記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−288719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コーンビームを用いる最近のX線CT撮影装置では、様々な大きさの被写体や用途に対応するために、X線イメージセンサを支持部材に対して着脱自在とする構成や、X線イメージセンサを前記支持部材に対して移動可能とする構成が採用される場合がある。しかし、X線イメージセンサが前記支持部材に対して着脱自在又は移動可能なX線CT撮影装置の場合、X線イメージセンサの設置位置に僅かな位置ズレが生じると、画像再構成に大きく影響を与える問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、X線イメージセンサを前記支持部材に対して着脱又は移動するX線CT撮影装置において、X線イメージセンサの着脱又は移動による設置位置ズレによる画像再構成への影響を低減するために、位置ズレ補正を行うX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1の解決手段は、X線コーンビームを発生するX線発生器と、前記X線発生器を支持する支持部材と、前記被写体を挟んで前記X線発生器と対向する前記支持部材の位置に支持されると共に、前記支持部材に着脱自在、又は移動可能に支持され、前記被写体を透過した前記X線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサと、前記X線発生器及び前記X線イメージセンサを前記被写体に対して相対的に回転させる駆動部と、前記X線イメージセンサで取得した前記X線投影データを前記被写体のX線吸収係数の分布情報に変換して画像再構成を行う画像処理部と、前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備える。
【0008】
本発明に係る請求項2の解決手段は、請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、前記支持部材は、旋回アームであることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る請求項3の解決手段は、請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る請求項4の解決手段は、請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、X線吸収材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る請求項5の解決手段は、請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る請求項6の解決手段は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項7の解決手段は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記補正部は、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る請求項8の解決手段は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記位置ズレ量は、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、前記補正部は、前記位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせ、当該シフト後の前記X線投影データに対して前記制御部で画像再構成させることで前記位置ズレ量の補正を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る請求項9の解決手段は、請求項8に記載のX線CT撮影装置であって、前記補正部は、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載のX線CT撮影装置は、前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備えるので、前記イメージセンサが前記支持部材に対して着脱自在又は移動可能になっている場合に位置ズレが生じていても前記支持部材に支持された前記X線イメージセンサの位置ズレを補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる。したがって、歯科、耳鼻咽喉科、眼科等の顎顔面領域の医療用X線CT撮影の分野において、様々なサイズや形状の異なるX線イメージセンサ使用し、着脱、移動する場合に特に有効である。また、本発明は、医療用X線CT撮影のみならず、一般工業用X線CT等分野にも幅広く使用できる。
【0017】
本発明の請求項2に記載のX線CT撮影装置は、支持部材が、旋回アームであるので、構造を従来の歯科用パノラマX線撮影装置と同様にでき、構造を単純化することができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられているので、位置情報部材を取り付ける自由度が高く、支持部材に支持されたX線イメージセンサの位置ズレを検出しやすくできる。
【0019】
本発明の請求項4に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、X線吸収材料で構成されているので、X線が位置情報部材を透過して得られたX線投影データも有効に利用することができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であるので、別途位置情報部材用の部材を設ける必要がなく、構造が簡単であり、コストを低減できる。
【0021】
本発明の請求項6に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されるので、X線CT撮影装置で得られる結果を損なうことなくX線イメージセンサの位置ズレを補正できる。
【0022】
本発明の請求項7に記載のX線CT撮影装置は、補正部が、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正するので、特に画像再構成に与える影響が大きな方向に関してX線イメージセンサの位置ズレを補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる効果を有している。
【0023】
本発明の請求項8に記載のX線CT撮影装置は、位置ズレ量が、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、補正部が、位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせて位置ズレ量の補正を行うので、支持部材に保持されたX線イメージセンサの位置ズレを適確な補正量で補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる。
【0024】
本発明の請求項9に記載のX線CT撮影装置は、補正部が、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用するので、X線イメージセンサの種別毎に最適な設定位置情報を読み出し、X線イメージセンサの位置ズレを補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mのブロック図を示す。図1に示すX線CT撮影装置Mは、X線CT撮影を行うX線CT撮影部M1と、X線CT撮影したX線投影データを処理及び表示するX線画像処理表示部M2とを備えている。図1に示すX線CT撮影部M1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持部材30と、被写体Pを保持する被写体保持部材40と、支持部材30及び被写体保持部材40を駆動する駆動部50とを備えている。さらに、図1に示すX線CT撮影装置Mは、X線発生部10、X線検出部20及び駆動部50を制御する制御部70と、制御部70に対して所定の指示を行う操作部80と、制御部70の処理結果等を表示する表示部90とを備えている。
【0026】
まず、X線発生部10は、X線を照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線ビーム(X線コーンビーム)Bの広がりを規制する開口を持つX線遮蔽部材である一次遮蔽部材12とを備えている。支持部材30は、X線発生器11を備えたX線発生部10を支持することで、X線発生器11を支持している。X線検出部20は、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21を備えている。X線イメージセンサ21は、カセット22に着脱自在である。X線イメージセンサ21は、カセット22にセットされた状態で、支持部材30においてX線発生器11に対向する位置に支持される。X線撮影の際、X線発生器11とX線イメージセンサ21は、被写体Pを挟んで対向する。なお、一次遮蔽部材12に規制されたX線ビームBは、被写体Pの関心領域P1を含む被撮影領域P2を照射してX線イメージセンサ21に至る。
【0027】
駆動部50は、支持部材30及び被写体保持部材40を駆動するために、X軸モータ50x、Y軸モータ50y、Z軸モータ50z及び旋回用モータ50rを備えている。これらのモータは、X線CT撮影部内制御部71により制御されている。また、X線CT撮影部内制御部71は、CPU71aと、X線検出部20を制御するX線検出部制御手段73と、X線発生部10を制御するX線発生部制御手段74とを備えている。
【0028】
なお、制御部70は、X線CT撮影部M1内にあるX線CT撮影部内制御部71と、X線画像処理表示部M2内にあるX線画像処理表示部内制御部72とを有しており、両者は有線又は無線の回線(例えばLAN等)M3で接続されている。X線画像処理表示部内制御部72には、CPU72aと、設定やX線投影データ等を記憶する記憶手段75と、X線投影データの画像再構成等の画像処理を行う画像処理手段76と、X線イメージセンサ21の位置ズレ量を計算し、当該位置ズレの補正を行う補正部である座標計算手段77とを備えている。画像処理においては、X線イメージセンサ21で取得したX線投影データが被写体PのX線吸収係数の分布情報に変換され画像再構成が行われる。なお、画像処理手段76は、X線画像処理表示部内制御部72内において画像処理部を構成する。
【0029】
操作部80は、X線CT撮影部内制御部71を操作する操作手段81と、X線画像処理表示部内制御部72を操作する操作手段82とを備えている。また、表示部90は、X線CT撮影部内制御部71の処理結果等を表示する表示手段91と、X線画像処理表示部内制御部72の処理結果等を表示する表示手段92とを備えている。この処理結果の中には、画像処理により生成されるX線CT画像等が含まれる。
【0030】
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mの概略図を図2に示す。図2に示すX線CT撮影装置Mの概略図では、X線CT撮影部M1と、X線画像処理表示部M2とが物理的に分離している様子が示されている。なお、図1及び図2に示すX線CT撮影装置Mでは、X線CT撮影部M1とX線画像処理表示部M2とが物理的に分離した構成について説明したが、本発明はこれに限られず、X線画像処理表示部M2をX線CT撮影部M1に一体として組み込んだ構成でも良い。図2に示すX線CT撮影部M1は、図1に示すブロック図と同じ構成要素については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0031】
図2に示すX線CT撮影部M1は、望ましくは図示のようにX線発生部10からのX線を遮蔽するための防X線室100内に設けられ、防X線室100外から操作可能なように操作手段81及び表示手段91が支持部材30にも防X線室100の側壁にも取り付けられている。操作手段81及び表示手段91を支持部材30と防X線室100の側壁のいずれか一方のみに取り付けるようにしてもよい。なお、図2に示すX線CT撮影装置Mは、X線CT撮影のほかに歯科用等のパノラマ撮影も可能である。
【0032】
また、X線CT撮影部M1の構成は、図2に示す構成に限られず、図3(a),(b)に示す構成でも良い。図3(a)はX線撮影部M1の正面図を含むX線CT撮影装置Mの正面図であり、図3(b)はX線撮影部M1の側面図である。図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1は、図2に示すX線CT撮影部M1と異なり、被写体Pを被写体保持部材40を兼ねた椅子に座らせてX線CT撮影を行う。そのため、図2に示すX線CT撮影部M1では、駆動部50が支持部材30を上下,前後,左右に移動させ又は回転させるのみであり、被写体保持部材40は駆動部50に対して固定されているために被写体保持部材の上下の移動と共に上下に移動する構成であったが、図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1では、駆動部51が支持部材30を上下させ、駆動部52が支持部材30を前後,左右に移動させ又は回転させ、駆動部53が被写体保持部材40を上下させ、駆動部54が被写体保持部材40を左右に移動させる。なお、図3(a),(b)では、防X線室100を図示していないが、図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1も防X線室100内に設けられるようにしてもよい。
【0033】
また、図1乃至図3(a),(b)で説明したX線CT撮影装置Mは、被写体Pに対して支持部材30を回転させる構成であったが、本発明はこれに限られず、被写体Pに対して相対的に支持部材30を回転すれば良い。そのため、X線CT撮影部M1には、支持部材30の旋回軸を三次元的に移動させるX−Y−Z移動機構、及び被写体保持部材を兼ねた椅子40を三次元的に移動させるX−Y−Z移動機構、X−Y移動機構の少なくとも一方が前記支持部材又は被写体保持部材のいずれかに設けられているか、又はX移動機構、Y移動機構が前記支持部材及び被写体保持部材に別々に設けられているか、適宜にくみ合わせることができ、いずれにしても被写体が支持部材に対して相対的に移動できれば良い。
【0034】
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影部M1の支持部材30(旋回アーム)の基本構成について説明する。まず、図4に、支持部材30の断面図を示す。図4に示す支持部材30では、X線検出部20にカセット22にセットされたX線イメージセンサ21が実装されている。X線検出部20には、図の手前から奥の方向に対してカセット22を挿入するレール23が設けられており、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21がレール方向に挿脱でき、X線検出部20に着脱自在になっている。つまり、カセット22は、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する方向、又はその方向の接線方向に挿脱でき、着脱自在になっている。
【0035】
ここで、図5(a)に、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21の側面図を示し、図5(b)に、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21の正面図を示す。図5(b)に示すカセット22には、左側に取っ手24が設けられており、図5(b)の左右方向に挿脱する構成であるが、本発明はこれに限られない。図示しないが、X線検出部20の上下方向にレール23、カセット22の下側に取っ手24を設け、図5(b)の上下方向に挿脱する構成でも良い。つまり、カセット22は、支持部材30が被写体Pに対して相対的に回転する回転軸と平行な方向に挿脱でき、着脱自在になっている。また、本実施の形態に係るX線検出部20は、レール23を設けたが、本発明はこれに限られず、レール23を設けずにカセット22を着脱自在とする構成でも良い。また、カセット22には、電気的接点(不図示)が設けられており、支持部材30にカセット22を装着することで支持部材30の接点(不図示)と接続され導通する。
【0036】
次に、図4に示すX線検出部20の前面には、X線イメージセンサ21の有効領域外に入射するX線ビームBを遮蔽するためにX線遮蔽部材である二次遮蔽部材25が設けられている。そのため、二次遮蔽部材25に設けられた開口部26を通過したX線ビームBのみが、X線イメージセンサ21に照射されることになる。
【0037】
なお、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21は、被写体の大きさや撮影目的に応じて複数種の用意しておき、適切にカセット22を交換することで最適な撮影が可能となる。また、図4に示したX線検出部20では、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21を完全に着脱する構成であったが、本発明はこれに限られず、例えば、複数のX線イメージセンサ21を予め組み込んでおき、それぞれのX線イメージセンサ21を必要に応じてX線ビームBの光路に移動させる構成でも良い。この場合、X線イメージセンサ21は支持部材30に対して移動可能に支持される。例えば、カセット22と同様の形状の基板に、複数のX線イメージセンサ21が設けられ、この基板がX線検出部20の内部で変位し、X線イメージセンサが択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けされる構成が考えられる。
【0038】
基板の表裏にそれぞれX線イメージセンサ21が設けられるようにして、基板が反転するようにしてもよいし、基板面に複数のX線イメージセンサが並んで設けられて、基板がスライドするようにしてもよい。この場合のさらに具体的な一例として、次のような構成が考えらる。従来周知の歯科用パノラマX線撮影装置は、フィルムカセットを装着するカセットホルダが駆動され、旋回アーム等の支持部材と被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に移動できる構成となっていたが、この構造を応用して、フィルムカセットと同一形状の基板を準備し、この基板面に、形状の異なるX線イメージセンサ21を検出面を同じ方向に向けて並べて設けたものをカセットホルダに装着して変位させ、このX線イメージセンサ21が択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けする構成も考えられる。
【0039】
X線イメージセンサ21をX線ビームBの光路に対して移動させる構成は、上記のように複数のX線イメージセンサ21から択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けされる構成に限定されない。例えば、X線イメージセンサ21の検出面を有効に活用し、より広い範囲のCT撮影を行うために、通常のX線CT撮影とオフセットX線CT撮影とが切換可能なX線CT撮影装置を構成する場合があるが、この場合にも、本願構成を用いることができる。通常のX線CT撮影時と、オフセットX線CT撮影時とで、X線イメージセンサ21は支持部材3と被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に変位するが、この場合に位置ズレが起こったとしても、後述の構成により位置ズレ量を検出し、シフト補正することができる。
【0040】
X線イメージセンサ21の移動方向は、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する方向、又はその方向の接線方向であっても、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する回転軸と平行な方向であっても良く、その他の任意の方向でよい。したがって、図4では、X線イメージセンサ21を水平方向に着脱させる構成を示したが、本発明は、これに限らず、X線イメージセンサ21を垂直方向に着脱又は移動させても良い。また、X線CT撮影装置も患者を立位で撮影するタイプに限らず、前記支持部材の回転軸が水平方向に向き、横臥した患者を撮影するタイプに適用しても良い。
【0041】
ここで、複数種のX線イメージセンサ21の例としては、被写体の全体、頭部、全顎などの大きな部位を撮影する広域CT撮影用、例えば3〜4本の歯牙など、被写体の局所をCT撮影する局所CT撮影用や、パノラマX線撮影用等がある。
【0042】
次に、X線検出部20をX線発生器11側から見た正面図を図6に示す。図6に示す二次遮蔽部材25の開口部26の四隅には、照射されたX線をある程度吸収するが一部透過させてX線イメージセンサ21に像を写し込むアルミニウム等の材料からなるマーカmk1〜mk4が設けられている。マーカmk1〜mk4は、図4に示すように、X線ビームB(コーンビーム)の一部と空間的に重なる位置に設けられ、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データの一部にマーカ像を写し込む位置情報部材である。マーカmk1〜mk4の材料は、むろんアルミニウムに限定されるものではなく、X線吸収材料であればよい。X線吸収材料としては、ほかに銅や真鍮等の金属材料、各種の樹脂、セラミック等が考えられ、長期間劣化しない材料が望ましい。
【0043】
なお、マーカmk1〜mk4は、必ずしも二次遮蔽部材25に設ける必要はなく、図4に示すように支持部材30にマーカmk100を設け、その先端mk100aがX線ビームB(コーンビーム)の一部と空間的に重なる構成でも良い。マーカmk100のようなマーカを用いる場合、二次遮蔽部材25がないX線検出部20の構成であっても、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データの一部にマーカ像を写し込むことが可能となる。すなわち、マーカmk1〜mk4、マーカmk100のような位置情報部材は、支持部材30に対して固定的な位置に設けられればよく、その条件を満たすのであれば支持部材30の任意の箇所に設けられればよい。
【0044】
マーカmk100は、立方体やL字形に限定されず、任意の形状、構成で良い。例えば、X線透過率が極めて高い合成樹脂のフィルム状部材にアルミニウム等の材料からなる線状部材又は線状の層を貼り付けて形成したものを開口部26に貼り付ける構成でも良い。
【0045】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、カセット22が本来装着されるべき位置に装着されていれば、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データは、位置ズレがなく、ボケのない鮮明な画像となる。図7に、X線イメージセンサ21及びカセット22のみをX線発生器11側から見た正面図を示す。図7に示すX線イメージセンサ21及びカセット22は、本来装着されるべき位置に装着されているため、X線ビームBを照射してX線イメージセンサ21の四隅に写し込まれるマーカ像mi1〜mi4は、本来写し込まれるべき正しい位置に結像している。このマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を標準位置座標情報lc1〜lc4として制御部70の記憶手段75に記憶させておく。図5(a)は、X線イメージセンサ21を持つカセット22の側面図、図5(b)は、図5(a)で示したX線イメージセンサ21及びカセット22の正面図である。また図6は、図5(a),(b)で示したX線イメージセンサ21及びカセット22をX線検出部20に正しい位置に装着した時の正面図を示す。マーカmk1からmk4は、前記X線検出部20の開口部26の内側の四隅に固定して配置される。
【0046】
なお、標準位置座標情報lc1〜lc4の設定は、工場の出荷時であっても、X線CT撮影を行う前の準備としてその都度行っても良い。
【0047】
ここで、図8に、標準位置座標情報lc1〜lc4の設定方法のフローチャートを示す。図8に示すフローチャートでは、まず、ステップS1において、X線イメージセンサ21がX線投影データを取得する。そして、ステップS2において、制御部70は、座標計算手段77により取得したX線投影データからマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を検出する。次に、ステップS3において、制御部70は、検出したマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を、X線イメージセンサ21の種別情報(ID)と共に標準位置座標情報lc1〜lc4として記憶手段75に記憶させておく。
【0048】
次に、X線イメージセンサ21及びカセット22が本来装着されるべき位置に装着されていない場合において、X線検出部20をX線発生器11側から見た正面図を図9に示す。図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22の位置は、本来の位置からずれて装着されている。図10に、図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22のみをX線発生器11側から見た正面図を示す。図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22は、本来装着されるべき位置からずれて装着されているため、マーカmk1〜mk4によりX線イメージセンサ21の四隅に写し込まれるマーカ像はマーカ像mi31のみであり、他のマーカ像mi11、mi21、mi41はX線イメージセンサ21を外れて少なくとも完全には結像できない。
【0049】
そこで、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、図9に示すようにX線イメージセンサ21及びカセット22がずれて装着された場合に、当該位置ズレを画像処理によりシフトさせて補正する。図11に、標準位置座標情報lc3近傍の部分拡大図を示す。なお、図6に示すように、マーカmk1〜mk4を矩形で形成した場合、X線イメージセンサ21に結像するマーカ像mi1〜mi4も矩形の像となる。
【0050】
図11で示すマーカ像mi31の右上角の1点をmp31とし、標準位置座標情報lc3の右上角の1点をmp3とする。mp31とmp3との差を求めることで、mp31は、mp3に対して図11に示すように距離dx1分だけ右に、距離dy1分だけ上に位置ズレしていることが分かる。この位置ズレが生じたまま、何も補正せずに画像再構成を行うと、X線CT撮影装置Mは標準位置座標情報の位置での設定に基づいて画像再構成を行うことになる。そのため、図11に示すカセット22の装着状態における点mp31での画像情報が、本来設定されている点mp3での画像情報として演算処理されず、位置ズレした点での画像情報として演算処理される不都合が生じる。
【0051】
この不都合を解消するため、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、点mp31での画像情報にシフト量dx1、dy1の座標修正を行い、点mp3の画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1分だけ左に、シフト量dy1分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、上述した位置ズレによる不都合を解消することができる。このシフト補正は、画像再構成前に行ってもよいが、画像再構成時に行うようにしてもよい。
【0052】
なお、上記の説明では、点mp31、点mp3に着目して位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、図11に示すマーカ像mi31の右片ml31rと標準位置座標情報lc3の右片ll3rとに着目したり、マーカ像mi31の上辺ml31hと標準位置座標情報lc3の上片ll3hとに着目しても良い。また、上記においては、シフト量dx1、dy1の座標修正を行ったが、シフト量dx1分のみの補正をするようにしてもよい。X線CT撮影においては、支持部材30が旋回するため、距離dx1分と距離dy1分の位置ずれのうち、特に距離dx1分の位置ずれの影響が大きい。ゆえに、シフト量dx1分の座標補正を行うことで、大きな不都合は回避することができる。上記の例では、マーカ像mi31の右上角の1点mp31と、標準位置座標情報lc3の右上角の1点mp3の差のうち、距離dx1分の位置ズレのみに着目し、シフト量dx1分のみの補正をする。
【0053】
また、二次遮蔽部材25等に設けるマーカの数は、本実施の形態では4個としたが、全て設ける必要はなく最低1個でも足りる。図9〜図11に示した例では、理解を容易にするため位置ズレ量を大きく示しているが、実際の位置ズレ量は微小なものであるので、1個のマーカでも対応可能である。但し、複数のマーカを用いると、図12に示すようにX線イメージセンサ21が斜めに装着されてしまった場合にも、矢印方向に2次元的座標変換を行い位置ズレの補正を行うことが可能となる利点がある。
【0054】
次に、本実施の形態に係る位置ズレ補正のフローチャートを、図13に示す。図13に示すフローチャートでは、まず、ステップT1において、X線イメージセンサ21がX線投影データを取得する。そして、ステップT2において、制御部70は、座標計算手段77により取得したX線投影データからマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を検出する。次に、ステップT3において、制御部70の座標計算手段77は、ステップT2で取得したマーカ像mi1〜mi4の位置座標情報と、図8で記憶させておいた標準位置座標情報との差を位置ズレ量として求める。そして、ステップT4において、制御部70の画像処理手段76は、ステップT3で求めた位置ズレ量に基づいてX線投影データをシフトさせて画像再構成を行う。
【0055】
次に、二次遮蔽部材25の開口部26に設けるマーカの位置について説明する。本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mにおいて、旋回中心軸30cを中心に支持部材30を360°旋回してX線CT撮影する場合に、X線ビームBが形成する被撮影領域P2を図14にハッチング部として示す。この被撮影領域P2は、支持部材30が360°旋回して撮影している間、常にX線ビームBが照射される領域であり、図14に示すように断面略六角形の円筒形状の領域となる。
【0056】
そして、この被撮影領域P2がX線イメージセンサ21に結像することになるため、図15に示すようにX線イメージセンサ21には結像領域P3内のX線投影データのみを用いて画像再構成等の処理が行われることになる。従って、図15に示すX線イメージセンサ21の範囲の内で結像領域P3以外の部分は画像再構成等の処理に利用されないので、当該部分にマーカmk1〜mk4を設ければX線イメージセンサ21の領域を有効に利用することができる。つまり、マーカmk1〜mk4を結像領域P3以外に設けることで、画像再構成等の処理に必要な結像領域P3に影響を与えずに、マーカ像mi1〜mi4を取得することができ位置ズレ補正を行うことができる。なお、マーカmk1〜mk4の大きさは、5mm×5mm程度で良い。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、位置情報部材であるマーカmk1〜mk4により写し込まれたマーカ像mi1〜mi4に基づいてX線イメージセンサ21の位置ズレ量を検出し、画像再構成において当該位置ズレ量を補正するので、X線イメージセンサ21の位置ズレによる影響を受けずに、画像再構成を行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図16(a)〜(c)に示す。図16(c)に示すX線検出部20では、形状の異なるX線イメージセンサ21を備えた複数のカセット22(図16(a),(b))が交換可能である。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
図16(a)に示すカセット22aには、図中の横方向に長い矩形のX線イメージセンサ21aを設けている。一方、図16(b)に示すカセット22bには、図中の縦方向に長い矩形のX線イメージセンサ21bを設けている。このように形状の異なるX線イメージセンサ21を交換するには、X線検出部20に設ける二次遮蔽部材25の開口部26の形状は、図16(c)に示すように十文字形状にする必要がある。つまり、異なる形状の図16(a),(b)のX線イメージセンサ21a,21bを重ね合わせた形状となる。
【0060】
図16(c)に示す二次遮蔽部材25の開口部26に、実施の形態1で説明した位置情報部材であるマーカを設ける場合、各コーナに矩形のマーカmk1a〜mk4a,mk1b〜mk4bを設けるだけではなく、X線イメージセンサ21aとX線イメージセンサ21bとの交差部にL字形のマーカmk1ab〜mk4abを設けることができる。
【0061】
開口部26に設けるマーカは、実施の形態1でも説明したように複数設ける必要はなく、最低1箇所設ければ良い。しかし、本実施の形態に係るX線検出部20のように、形状の異なるX線イメージセンサ21を交換する場合、例えば、マーカmk1aのみ設けたのでは、図16(b)のX線イメージセンサ21bを装着した際に、位置ズレ補正を行うことができない。また、例えば、マーカmk1bのみ設けたのでは、図16(a)のX線イメージセンサ21aを装着した際に、位置ズレ補正を行うことができない。
【0062】
そこで、本実施の形態に係るX線検出部20では、X線イメージセンサ21aの形状とX線イメージセンサ21bの形状とが重なる位置にL字形のマーカmk1abを設けることで、X線イメージセンサ21a,21bのどちらを装着しても位置ズレ補正を行うことができる。
【0063】
(実施の形態3)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図17(a)〜(c)に示す。図17(a)に示すX線検出部20では、図6に示したX線検出部20と異なり、二次遮蔽部材25の開口部26にマーカmk1〜mk4を設けず、開口部26自体の四隅に隅切状コーナmc1〜mc4をマーカとして利用する。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0064】
図17(b)に示すX線検出部20では、本来図17(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、本実施の形態に係るX線検出部20でも、隅切状コーナmc1〜mc4によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用して、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図17(c)は隅切状コーナmc3の近傍を拡大したものであり、この隅切状コーナmc3を用いて位置ズレ量の補正を説明する。
【0065】
図17(b)に示す隅切状コーナmc3によりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31a,その境界線像の左上の1点をmp31aと図17(c)では記載している。そして、図17(c)では、位置ズレが生じていない隅切状コーナmc3によりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図17(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3a、その境界線像の左上の1点をmp3aとする。そして、mp31aとmp3aとの差を求めることで、mp31aは、mp3aに対して図17(c)に示すように距離dx1a分だけ右に、距離dy1a分だけ上に位置ズレしていることが分かる。
【0066】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、点mp31aでの画像情報にシフト量dx1a、dy1aの座標修正を行い、点mp3aの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1a分だけ左に、シフト量dy1a分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0067】
なお、上記の説明では、点mp31a、点mp3aに着目して位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、図17(c)に示す点mp31aの垂直方向の線ml31raと標準位置座標情報lc3aの垂直方向の線ll3raとに着目しても、点mp31aの水平方向の線ml31haと標準位置座標情報lc3aの水平方向の線ll3haとに着目しても良い。
【0068】
(実施の形態4)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図18(a)〜(c)に示す。図18(a)に示すX線検出部20では、図6に示したX線検出部20と異なり、二次遮蔽部材25の開口部26にマーカmk1〜mk4を設けず、開口部26の境界線をマーカとして利用する。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図18(a)に示すX線検出部20では、開口部26の四隅をmk1b〜mk4bとし、mk1bからmk3bに至る開口部26の辺をmk13b,mk2bからmk4bに至る開口部26の辺をmk24bとする。
【0070】
図18(b)に示すX線検出部20では、本来図18(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、本実施の形態に係るX線検出部20でも、開口部26の境界線(mk13b,mk24b)によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用し、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図18(c)は開口部26の四隅のmk3b近傍を拡大したものであり、この図18(c)を用いて本実施の形態に係る位置ズレ量の補正を説明する。
【0071】
図18(b)に示す開口部26の境界線mk13bによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31b,開口部26の四隅mk3bに対応する像をmp31bと図18(c)に記載している。そして、図18(c)では、位置ズレが生じていない開口部26の境界線mk13bによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図18(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3b、開口部26の四隅mk3bに対応する像をmp3bとする。そして、mp31bとmp3b又はmi31bとlc3bとの差を求めることで、mp31b(又はmi31b)は、mp3b(又はlc3b)に対して図18(c)に示すように距離dx1b分だけ右に位置ズレしていることが分かる。
【0072】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでも、点mp3bでの画像情報にシフト量dx1bの座標修正を行い、点mp3bの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1b分だけ左にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0073】
なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、開口部26の境界線としてmk13b及びmk24bの2辺のみを用いて位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、開口部26の境界線の1辺でも、3辺でも、4辺でも良い。図19(a)〜(c)に、開口部26の境界線の4辺を用いて位置ズレの補正を行う場合が図示されている。
【0074】
図19(a)に示すX線検出部20では、開口部26の四隅をmk1c〜mk4cとし、mk1cからmk2cに至る開口部26の辺をmk12c,mk1cからmk3cに至る開口部26の辺をmk13c,mk2cからmk4cに至る開口部26の辺をmk24c,mk3cからmk4cに至る開口部26の辺をmk34cとする。
【0075】
図19(b)に示すX線検出部20では、本来図19(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、開口部26の境界線(mk12c,mk13c,mk24c,mk34c)によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用し、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図19(c)は開口部26の四隅のmk3c近傍を拡大したものであり、この図19(c)を用いて本例の位置ズレ量の補正を説明する。
【0076】
図19(b)に示す開口部26の境界線mk13c及びmk34cによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31c及びmi34c,開口部26の四隅mk3cに対応する像をmp31cと図19(c)に記載している。そして、図19(c)では、位置ズレが生じていない開口部26の境界線mk13c及びmk34cによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図19(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3c及びlc4c、開口部26の四隅mk3cに対応する像をmp3cとする。そして、mp31cとmp3c又はmi31cとlc3cとの差を求めることで、mp31c(又はmi31c)は、mp3c(又はlc3c)に対して図18(c)に示すように距離dx1c分だけ右に位置ズレしていることが分かる。また、そして、mp31cとmp3c又はmi34cとlc4cとの差を求めることで、mp31c(又はmi34c)は、mp3c(又はlc4c)に対して図18(c)に示すように距離dy1c分だけ上に位置ズレしていることが分かる。
【0077】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでも、点mp3cでの画像情報にシフト量dx1c,dy1cの座標修正を行い、点mp3cの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1c分だけ左に、シフト量dy1c分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0078】
なお、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したX線CT撮影装置Mでは、X線イメージセンサ21が支持部材3に対し意図的に脱着可能か、移動可能の構成となっているものであった。しかし、本発明に係るX線CT撮影装置Mは、これに限定されず、X線イメージセンサ21が支持部材3に固定された構成においても利用できる。この場合、標準位置座標情報として設計上最適なX線イメージセンサ21の位置を記憶させておき、X線イメージセンサのバージョンアップのためにX線イメージセンサを交換取換する際や、修理等でX線CT撮影装置Mを分解組立した際のX線イメージセンサ21の位置とのズレが生じた場合に、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した方法で補正できる。この場合は、X線イメージセンサ21が支持部材3に対し意図的に移動可能の構成となっているのではないが、移動可能の別例である。これにより、当該X線CT撮影装置Mは、製造後にX線イメージセンサ21の位置ズレが生じたとしても、常に適切に補正することができる。
【0079】
X線CT撮影装置Mが、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接離隔できる構成である場合でも、本願構成を用いることができる。拡大率を変更するため、X線イメージセンサ21をX線発生器11に対し、相対的に近接離隔自在の構成とする場合がある。本出願人の出願にかかる特開2003−175031号公報にかかる図15に示すデジタルX線パノラマ撮影装置は、そのようなX線イメージセンサがX線発生器に対し、相対的に近接離隔できる構成の例である。この場合、X線CT撮影装置Mが、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接離隔した移動量が検出できるようにしておき、その近接離隔の移動量に従って、前記位置ズレ量も修正するようにすれば、適正なシフト量が算定できる。例えば、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接すれば、位置ズレ量も大きくなるので、シフト量も大きくするよう修正する。逆に、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に離隔すれば、位置ズレ量も小さくなるので、シフト量も小さくするよう修正する。
【0080】
マーカ像のX線イメージセンサ21への写し込みは、X線CT撮影の本撮影の際に行ってもよいが、本撮影の前に、予備的に行う撮影で行ってもよい。すなわち、本撮影において、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データに被写体のX線像とマーカ像の双方を写し込み、位置ズレ量を検出するようにしてもよく、予備的に行う撮影でマーカ像のみの写し込みを行い、予め位置ズレ量を検出するようにしてもよい。予備的に行う撮影でマーカ像のみの写し込みを行う場合には、本撮影においてはマーカ像の写し込みを省略して、被写体のみを撮影対象とすることができる。予備的に行う撮影でマーカ像の写し込みを行う場合、必ずしも広範囲のX線コーンビーム照射を行う必要はなく、狭い範囲のX線コーンビームでマーカ部分のみX線照射してもよく、また、必ずしもX線コーンビームを照射しなくとも、X線細隙ビームを照射してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る別のX線CT撮影装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の支持部材の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてマーカ像が写し込まれたX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において標準位置座標情報を得るためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてX線イメージセンサの位置ズレが生じたX線検出部の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレが生じたX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレ補正を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレ補正を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において位置ズレ補正を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてX線ビームが形成する被撮影領域を説明するための概略図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において被撮影領域によりX線イメージセンサに写し込まれる像の領域を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図18】本発明の実施の形態4に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図19】本発明の実施の形態4に係るX線CT撮影装置の別のX線検出部の概略図である。
【符号の説明】
【0082】
10 X線発生部、11 X線発生器、12 一次遮蔽部材、20 X線検出部、21 X線イメージセンサ、22 カセット、23 レール、24 取っ手、25 二次遮蔽部材、26 開口部、30 支持部材、40 被写体保持部材、50 駆動部、60 駆動部支持部材、70 制御部、71 X線CT撮影部内制御部、72 X線画像処理表示部内制御部、73 X線検出部制御手段、74 X線発生部制御手段、75 記憶手段、76 画像処理手段、77 座標計算手段、80 操作部、81,82 操作手段、90 表示部、91,92 表示手段、100 防X線室。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンビームを用いるX線CT撮影装置に係る発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーンビームを用いる医療用等のX線コンピュータ断層撮影装置(以下、単にX線CT撮影装置という)では、X線発生器とX線イメージセンサを被写体の両側に配置する。そして、X線発生器とX線イメージセンサとを被写体の周りで被写体に相対的に回転させつつ、X線発生器により被写体に多方向からX線コーンビームを照射し、被写体を透過したX線の強度分布(被写体のX線投影データ)をX線イメージセンサで検出する。検出されたX線投影データから、被写体について3次元的なX線吸収係数分布情報を得、逆投影を行ってこの3次元的なX線吸収係数分布情報を2次元的に再構成した特定の断層面の断層画像や、3次元的に再構成したCT画像を得る。本願のX線CT撮影装置も、そのような医療用等のX線コンピュータ断層撮影装置である。
【0003】
なお、X線発生器及びX線イメージセンサと被写体とはどちらが回転しても良く、X線発生器及びX線イメージセンサを被写体の周りで回転しても、被写体が、回転テーブルに載せられ回転しても良い。コーンビームを用いるX線CT撮影装置の構成等については、特許文献1に詳しく記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−288719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コーンビームを用いる最近のX線CT撮影装置では、様々な大きさの被写体や用途に対応するために、X線イメージセンサを支持部材に対して着脱自在とする構成や、X線イメージセンサを前記支持部材に対して移動可能とする構成が採用される場合がある。しかし、X線イメージセンサが前記支持部材に対して着脱自在又は移動可能なX線CT撮影装置の場合、X線イメージセンサの設置位置に僅かな位置ズレが生じると、画像再構成に大きく影響を与える問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、X線イメージセンサを前記支持部材に対して着脱又は移動するX線CT撮影装置において、X線イメージセンサの着脱又は移動による設置位置ズレによる画像再構成への影響を低減するために、位置ズレ補正を行うX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1の解決手段は、X線コーンビームを発生するX線発生器と、前記X線発生器を支持する支持部材と、前記被写体を挟んで前記X線発生器と対向する前記支持部材の位置に支持されると共に、前記支持部材に着脱自在、又は移動可能に支持され、前記被写体を透過した前記X線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサと、前記X線発生器及び前記X線イメージセンサを前記被写体に対して相対的に回転させる駆動部と、前記X線イメージセンサで取得した前記X線投影データを前記被写体のX線吸収係数の分布情報に変換して画像再構成を行う画像処理部と、前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備える。
【0008】
本発明に係る請求項2の解決手段は、請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、前記支持部材は、旋回アームであることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る請求項3の解決手段は、請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る請求項4の解決手段は、請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、X線吸収材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る請求項5の解決手段は、請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る請求項6の解決手段は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記位置情報部材は、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項7の解決手段は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記補正部は、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る請求項8の解決手段は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記位置ズレ量は、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、前記補正部は、前記位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせ、当該シフト後の前記X線投影データに対して前記制御部で画像再構成させることで前記位置ズレ量の補正を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る請求項9の解決手段は、請求項8に記載のX線CT撮影装置であって、前記補正部は、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載のX線CT撮影装置は、前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備えるので、前記イメージセンサが前記支持部材に対して着脱自在又は移動可能になっている場合に位置ズレが生じていても前記支持部材に支持された前記X線イメージセンサの位置ズレを補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる。したがって、歯科、耳鼻咽喉科、眼科等の顎顔面領域の医療用X線CT撮影の分野において、様々なサイズや形状の異なるX線イメージセンサ使用し、着脱、移動する場合に特に有効である。また、本発明は、医療用X線CT撮影のみならず、一般工業用X線CT等分野にも幅広く使用できる。
【0017】
本発明の請求項2に記載のX線CT撮影装置は、支持部材が、旋回アームであるので、構造を従来の歯科用パノラマX線撮影装置と同様にでき、構造を単純化することができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられているので、位置情報部材を取り付ける自由度が高く、支持部材に支持されたX線イメージセンサの位置ズレを検出しやすくできる。
【0019】
本発明の請求項4に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、X線吸収材料で構成されているので、X線が位置情報部材を透過して得られたX線投影データも有効に利用することができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であるので、別途位置情報部材用の部材を設ける必要がなく、構造が簡単であり、コストを低減できる。
【0021】
本発明の請求項6に記載のX線CT撮影装置は、位置情報部材が、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されるので、X線CT撮影装置で得られる結果を損なうことなくX線イメージセンサの位置ズレを補正できる。
【0022】
本発明の請求項7に記載のX線CT撮影装置は、補正部が、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正するので、特に画像再構成に与える影響が大きな方向に関してX線イメージセンサの位置ズレを補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる効果を有している。
【0023】
本発明の請求項8に記載のX線CT撮影装置は、位置ズレ量が、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、補正部が、位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせて位置ズレ量の補正を行うので、支持部材に保持されたX線イメージセンサの位置ズレを適確な補正量で補正し、正確な画像再構成を行うことが可能となる。
【0024】
本発明の請求項9に記載のX線CT撮影装置は、補正部が、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用するので、X線イメージセンサの種別毎に最適な設定位置情報を読み出し、X線イメージセンサの位置ズレを補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mのブロック図を示す。図1に示すX線CT撮影装置Mは、X線CT撮影を行うX線CT撮影部M1と、X線CT撮影したX線投影データを処理及び表示するX線画像処理表示部M2とを備えている。図1に示すX線CT撮影部M1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持部材30と、被写体Pを保持する被写体保持部材40と、支持部材30及び被写体保持部材40を駆動する駆動部50とを備えている。さらに、図1に示すX線CT撮影装置Mは、X線発生部10、X線検出部20及び駆動部50を制御する制御部70と、制御部70に対して所定の指示を行う操作部80と、制御部70の処理結果等を表示する表示部90とを備えている。
【0026】
まず、X線発生部10は、X線を照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線ビーム(X線コーンビーム)Bの広がりを規制する開口を持つX線遮蔽部材である一次遮蔽部材12とを備えている。支持部材30は、X線発生器11を備えたX線発生部10を支持することで、X線発生器11を支持している。X線検出部20は、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21を備えている。X線イメージセンサ21は、カセット22に着脱自在である。X線イメージセンサ21は、カセット22にセットされた状態で、支持部材30においてX線発生器11に対向する位置に支持される。X線撮影の際、X線発生器11とX線イメージセンサ21は、被写体Pを挟んで対向する。なお、一次遮蔽部材12に規制されたX線ビームBは、被写体Pの関心領域P1を含む被撮影領域P2を照射してX線イメージセンサ21に至る。
【0027】
駆動部50は、支持部材30及び被写体保持部材40を駆動するために、X軸モータ50x、Y軸モータ50y、Z軸モータ50z及び旋回用モータ50rを備えている。これらのモータは、X線CT撮影部内制御部71により制御されている。また、X線CT撮影部内制御部71は、CPU71aと、X線検出部20を制御するX線検出部制御手段73と、X線発生部10を制御するX線発生部制御手段74とを備えている。
【0028】
なお、制御部70は、X線CT撮影部M1内にあるX線CT撮影部内制御部71と、X線画像処理表示部M2内にあるX線画像処理表示部内制御部72とを有しており、両者は有線又は無線の回線(例えばLAN等)M3で接続されている。X線画像処理表示部内制御部72には、CPU72aと、設定やX線投影データ等を記憶する記憶手段75と、X線投影データの画像再構成等の画像処理を行う画像処理手段76と、X線イメージセンサ21の位置ズレ量を計算し、当該位置ズレの補正を行う補正部である座標計算手段77とを備えている。画像処理においては、X線イメージセンサ21で取得したX線投影データが被写体PのX線吸収係数の分布情報に変換され画像再構成が行われる。なお、画像処理手段76は、X線画像処理表示部内制御部72内において画像処理部を構成する。
【0029】
操作部80は、X線CT撮影部内制御部71を操作する操作手段81と、X線画像処理表示部内制御部72を操作する操作手段82とを備えている。また、表示部90は、X線CT撮影部内制御部71の処理結果等を表示する表示手段91と、X線画像処理表示部内制御部72の処理結果等を表示する表示手段92とを備えている。この処理結果の中には、画像処理により生成されるX線CT画像等が含まれる。
【0030】
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mの概略図を図2に示す。図2に示すX線CT撮影装置Mの概略図では、X線CT撮影部M1と、X線画像処理表示部M2とが物理的に分離している様子が示されている。なお、図1及び図2に示すX線CT撮影装置Mでは、X線CT撮影部M1とX線画像処理表示部M2とが物理的に分離した構成について説明したが、本発明はこれに限られず、X線画像処理表示部M2をX線CT撮影部M1に一体として組み込んだ構成でも良い。図2に示すX線CT撮影部M1は、図1に示すブロック図と同じ構成要素については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0031】
図2に示すX線CT撮影部M1は、望ましくは図示のようにX線発生部10からのX線を遮蔽するための防X線室100内に設けられ、防X線室100外から操作可能なように操作手段81及び表示手段91が支持部材30にも防X線室100の側壁にも取り付けられている。操作手段81及び表示手段91を支持部材30と防X線室100の側壁のいずれか一方のみに取り付けるようにしてもよい。なお、図2に示すX線CT撮影装置Mは、X線CT撮影のほかに歯科用等のパノラマ撮影も可能である。
【0032】
また、X線CT撮影部M1の構成は、図2に示す構成に限られず、図3(a),(b)に示す構成でも良い。図3(a)はX線撮影部M1の正面図を含むX線CT撮影装置Mの正面図であり、図3(b)はX線撮影部M1の側面図である。図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1は、図2に示すX線CT撮影部M1と異なり、被写体Pを被写体保持部材40を兼ねた椅子に座らせてX線CT撮影を行う。そのため、図2に示すX線CT撮影部M1では、駆動部50が支持部材30を上下,前後,左右に移動させ又は回転させるのみであり、被写体保持部材40は駆動部50に対して固定されているために被写体保持部材の上下の移動と共に上下に移動する構成であったが、図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1では、駆動部51が支持部材30を上下させ、駆動部52が支持部材30を前後,左右に移動させ又は回転させ、駆動部53が被写体保持部材40を上下させ、駆動部54が被写体保持部材40を左右に移動させる。なお、図3(a),(b)では、防X線室100を図示していないが、図3(a),(b)に示すX線CT撮影部M1も防X線室100内に設けられるようにしてもよい。
【0033】
また、図1乃至図3(a),(b)で説明したX線CT撮影装置Mは、被写体Pに対して支持部材30を回転させる構成であったが、本発明はこれに限られず、被写体Pに対して相対的に支持部材30を回転すれば良い。そのため、X線CT撮影部M1には、支持部材30の旋回軸を三次元的に移動させるX−Y−Z移動機構、及び被写体保持部材を兼ねた椅子40を三次元的に移動させるX−Y−Z移動機構、X−Y移動機構の少なくとも一方が前記支持部材又は被写体保持部材のいずれかに設けられているか、又はX移動機構、Y移動機構が前記支持部材及び被写体保持部材に別々に設けられているか、適宜にくみ合わせることができ、いずれにしても被写体が支持部材に対して相対的に移動できれば良い。
【0034】
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影部M1の支持部材30(旋回アーム)の基本構成について説明する。まず、図4に、支持部材30の断面図を示す。図4に示す支持部材30では、X線検出部20にカセット22にセットされたX線イメージセンサ21が実装されている。X線検出部20には、図の手前から奥の方向に対してカセット22を挿入するレール23が設けられており、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21がレール方向に挿脱でき、X線検出部20に着脱自在になっている。つまり、カセット22は、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する方向、又はその方向の接線方向に挿脱でき、着脱自在になっている。
【0035】
ここで、図5(a)に、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21の側面図を示し、図5(b)に、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21の正面図を示す。図5(b)に示すカセット22には、左側に取っ手24が設けられており、図5(b)の左右方向に挿脱する構成であるが、本発明はこれに限られない。図示しないが、X線検出部20の上下方向にレール23、カセット22の下側に取っ手24を設け、図5(b)の上下方向に挿脱する構成でも良い。つまり、カセット22は、支持部材30が被写体Pに対して相対的に回転する回転軸と平行な方向に挿脱でき、着脱自在になっている。また、本実施の形態に係るX線検出部20は、レール23を設けたが、本発明はこれに限られず、レール23を設けずにカセット22を着脱自在とする構成でも良い。また、カセット22には、電気的接点(不図示)が設けられており、支持部材30にカセット22を装着することで支持部材30の接点(不図示)と接続され導通する。
【0036】
次に、図4に示すX線検出部20の前面には、X線イメージセンサ21の有効領域外に入射するX線ビームBを遮蔽するためにX線遮蔽部材である二次遮蔽部材25が設けられている。そのため、二次遮蔽部材25に設けられた開口部26を通過したX線ビームBのみが、X線イメージセンサ21に照射されることになる。
【0037】
なお、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21は、被写体の大きさや撮影目的に応じて複数種の用意しておき、適切にカセット22を交換することで最適な撮影が可能となる。また、図4に示したX線検出部20では、カセット22にセットされたX線イメージセンサ21を完全に着脱する構成であったが、本発明はこれに限られず、例えば、複数のX線イメージセンサ21を予め組み込んでおき、それぞれのX線イメージセンサ21を必要に応じてX線ビームBの光路に移動させる構成でも良い。この場合、X線イメージセンサ21は支持部材30に対して移動可能に支持される。例えば、カセット22と同様の形状の基板に、複数のX線イメージセンサ21が設けられ、この基板がX線検出部20の内部で変位し、X線イメージセンサが択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けされる構成が考えられる。
【0038】
基板の表裏にそれぞれX線イメージセンサ21が設けられるようにして、基板が反転するようにしてもよいし、基板面に複数のX線イメージセンサが並んで設けられて、基板がスライドするようにしてもよい。この場合のさらに具体的な一例として、次のような構成が考えらる。従来周知の歯科用パノラマX線撮影装置は、フィルムカセットを装着するカセットホルダが駆動され、旋回アーム等の支持部材と被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に移動できる構成となっていたが、この構造を応用して、フィルムカセットと同一形状の基板を準備し、この基板面に、形状の異なるX線イメージセンサ21を検出面を同じ方向に向けて並べて設けたものをカセットホルダに装着して変位させ、このX線イメージセンサ21が択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けする構成も考えられる。
【0039】
X線イメージセンサ21をX線ビームBの光路に対して移動させる構成は、上記のように複数のX線イメージセンサ21から択一的にX線ビームBの光路にその検出面がくるよう位置付けされる構成に限定されない。例えば、X線イメージセンサ21の検出面を有効に活用し、より広い範囲のCT撮影を行うために、通常のX線CT撮影とオフセットX線CT撮影とが切換可能なX線CT撮影装置を構成する場合があるが、この場合にも、本願構成を用いることができる。通常のX線CT撮影時と、オフセットX線CT撮影時とで、X線イメージセンサ21は支持部材3と被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に変位するが、この場合に位置ズレが起こったとしても、後述の構成により位置ズレ量を検出し、シフト補正することができる。
【0040】
X線イメージセンサ21の移動方向は、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する方向、又はその方向の接線方向であっても、支持部材3が被写体Pに対して相対的に回転する回転軸と平行な方向であっても良く、その他の任意の方向でよい。したがって、図4では、X線イメージセンサ21を水平方向に着脱させる構成を示したが、本発明は、これに限らず、X線イメージセンサ21を垂直方向に着脱又は移動させても良い。また、X線CT撮影装置も患者を立位で撮影するタイプに限らず、前記支持部材の回転軸が水平方向に向き、横臥した患者を撮影するタイプに適用しても良い。
【0041】
ここで、複数種のX線イメージセンサ21の例としては、被写体の全体、頭部、全顎などの大きな部位を撮影する広域CT撮影用、例えば3〜4本の歯牙など、被写体の局所をCT撮影する局所CT撮影用や、パノラマX線撮影用等がある。
【0042】
次に、X線検出部20をX線発生器11側から見た正面図を図6に示す。図6に示す二次遮蔽部材25の開口部26の四隅には、照射されたX線をある程度吸収するが一部透過させてX線イメージセンサ21に像を写し込むアルミニウム等の材料からなるマーカmk1〜mk4が設けられている。マーカmk1〜mk4は、図4に示すように、X線ビームB(コーンビーム)の一部と空間的に重なる位置に設けられ、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データの一部にマーカ像を写し込む位置情報部材である。マーカmk1〜mk4の材料は、むろんアルミニウムに限定されるものではなく、X線吸収材料であればよい。X線吸収材料としては、ほかに銅や真鍮等の金属材料、各種の樹脂、セラミック等が考えられ、長期間劣化しない材料が望ましい。
【0043】
なお、マーカmk1〜mk4は、必ずしも二次遮蔽部材25に設ける必要はなく、図4に示すように支持部材30にマーカmk100を設け、その先端mk100aがX線ビームB(コーンビーム)の一部と空間的に重なる構成でも良い。マーカmk100のようなマーカを用いる場合、二次遮蔽部材25がないX線検出部20の構成であっても、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データの一部にマーカ像を写し込むことが可能となる。すなわち、マーカmk1〜mk4、マーカmk100のような位置情報部材は、支持部材30に対して固定的な位置に設けられればよく、その条件を満たすのであれば支持部材30の任意の箇所に設けられればよい。
【0044】
マーカmk100は、立方体やL字形に限定されず、任意の形状、構成で良い。例えば、X線透過率が極めて高い合成樹脂のフィルム状部材にアルミニウム等の材料からなる線状部材又は線状の層を貼り付けて形成したものを開口部26に貼り付ける構成でも良い。
【0045】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、カセット22が本来装着されるべき位置に装着されていれば、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データは、位置ズレがなく、ボケのない鮮明な画像となる。図7に、X線イメージセンサ21及びカセット22のみをX線発生器11側から見た正面図を示す。図7に示すX線イメージセンサ21及びカセット22は、本来装着されるべき位置に装着されているため、X線ビームBを照射してX線イメージセンサ21の四隅に写し込まれるマーカ像mi1〜mi4は、本来写し込まれるべき正しい位置に結像している。このマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を標準位置座標情報lc1〜lc4として制御部70の記憶手段75に記憶させておく。図5(a)は、X線イメージセンサ21を持つカセット22の側面図、図5(b)は、図5(a)で示したX線イメージセンサ21及びカセット22の正面図である。また図6は、図5(a),(b)で示したX線イメージセンサ21及びカセット22をX線検出部20に正しい位置に装着した時の正面図を示す。マーカmk1からmk4は、前記X線検出部20の開口部26の内側の四隅に固定して配置される。
【0046】
なお、標準位置座標情報lc1〜lc4の設定は、工場の出荷時であっても、X線CT撮影を行う前の準備としてその都度行っても良い。
【0047】
ここで、図8に、標準位置座標情報lc1〜lc4の設定方法のフローチャートを示す。図8に示すフローチャートでは、まず、ステップS1において、X線イメージセンサ21がX線投影データを取得する。そして、ステップS2において、制御部70は、座標計算手段77により取得したX線投影データからマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を検出する。次に、ステップS3において、制御部70は、検出したマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を、X線イメージセンサ21の種別情報(ID)と共に標準位置座標情報lc1〜lc4として記憶手段75に記憶させておく。
【0048】
次に、X線イメージセンサ21及びカセット22が本来装着されるべき位置に装着されていない場合において、X線検出部20をX線発生器11側から見た正面図を図9に示す。図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22の位置は、本来の位置からずれて装着されている。図10に、図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22のみをX線発生器11側から見た正面図を示す。図9に示すX線イメージセンサ21及びカセット22は、本来装着されるべき位置からずれて装着されているため、マーカmk1〜mk4によりX線イメージセンサ21の四隅に写し込まれるマーカ像はマーカ像mi31のみであり、他のマーカ像mi11、mi21、mi41はX線イメージセンサ21を外れて少なくとも完全には結像できない。
【0049】
そこで、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、図9に示すようにX線イメージセンサ21及びカセット22がずれて装着された場合に、当該位置ズレを画像処理によりシフトさせて補正する。図11に、標準位置座標情報lc3近傍の部分拡大図を示す。なお、図6に示すように、マーカmk1〜mk4を矩形で形成した場合、X線イメージセンサ21に結像するマーカ像mi1〜mi4も矩形の像となる。
【0050】
図11で示すマーカ像mi31の右上角の1点をmp31とし、標準位置座標情報lc3の右上角の1点をmp3とする。mp31とmp3との差を求めることで、mp31は、mp3に対して図11に示すように距離dx1分だけ右に、距離dy1分だけ上に位置ズレしていることが分かる。この位置ズレが生じたまま、何も補正せずに画像再構成を行うと、X線CT撮影装置Mは標準位置座標情報の位置での設定に基づいて画像再構成を行うことになる。そのため、図11に示すカセット22の装着状態における点mp31での画像情報が、本来設定されている点mp3での画像情報として演算処理されず、位置ズレした点での画像情報として演算処理される不都合が生じる。
【0051】
この不都合を解消するため、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、点mp31での画像情報にシフト量dx1、dy1の座標修正を行い、点mp3の画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1分だけ左に、シフト量dy1分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、上述した位置ズレによる不都合を解消することができる。このシフト補正は、画像再構成前に行ってもよいが、画像再構成時に行うようにしてもよい。
【0052】
なお、上記の説明では、点mp31、点mp3に着目して位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、図11に示すマーカ像mi31の右片ml31rと標準位置座標情報lc3の右片ll3rとに着目したり、マーカ像mi31の上辺ml31hと標準位置座標情報lc3の上片ll3hとに着目しても良い。また、上記においては、シフト量dx1、dy1の座標修正を行ったが、シフト量dx1分のみの補正をするようにしてもよい。X線CT撮影においては、支持部材30が旋回するため、距離dx1分と距離dy1分の位置ずれのうち、特に距離dx1分の位置ずれの影響が大きい。ゆえに、シフト量dx1分の座標補正を行うことで、大きな不都合は回避することができる。上記の例では、マーカ像mi31の右上角の1点mp31と、標準位置座標情報lc3の右上角の1点mp3の差のうち、距離dx1分の位置ズレのみに着目し、シフト量dx1分のみの補正をする。
【0053】
また、二次遮蔽部材25等に設けるマーカの数は、本実施の形態では4個としたが、全て設ける必要はなく最低1個でも足りる。図9〜図11に示した例では、理解を容易にするため位置ズレ量を大きく示しているが、実際の位置ズレ量は微小なものであるので、1個のマーカでも対応可能である。但し、複数のマーカを用いると、図12に示すようにX線イメージセンサ21が斜めに装着されてしまった場合にも、矢印方向に2次元的座標変換を行い位置ズレの補正を行うことが可能となる利点がある。
【0054】
次に、本実施の形態に係る位置ズレ補正のフローチャートを、図13に示す。図13に示すフローチャートでは、まず、ステップT1において、X線イメージセンサ21がX線投影データを取得する。そして、ステップT2において、制御部70は、座標計算手段77により取得したX線投影データからマーカ像mi1〜mi4の形、位置の座標を検出する。次に、ステップT3において、制御部70の座標計算手段77は、ステップT2で取得したマーカ像mi1〜mi4の位置座標情報と、図8で記憶させておいた標準位置座標情報との差を位置ズレ量として求める。そして、ステップT4において、制御部70の画像処理手段76は、ステップT3で求めた位置ズレ量に基づいてX線投影データをシフトさせて画像再構成を行う。
【0055】
次に、二次遮蔽部材25の開口部26に設けるマーカの位置について説明する。本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mにおいて、旋回中心軸30cを中心に支持部材30を360°旋回してX線CT撮影する場合に、X線ビームBが形成する被撮影領域P2を図14にハッチング部として示す。この被撮影領域P2は、支持部材30が360°旋回して撮影している間、常にX線ビームBが照射される領域であり、図14に示すように断面略六角形の円筒形状の領域となる。
【0056】
そして、この被撮影領域P2がX線イメージセンサ21に結像することになるため、図15に示すようにX線イメージセンサ21には結像領域P3内のX線投影データのみを用いて画像再構成等の処理が行われることになる。従って、図15に示すX線イメージセンサ21の範囲の内で結像領域P3以外の部分は画像再構成等の処理に利用されないので、当該部分にマーカmk1〜mk4を設ければX線イメージセンサ21の領域を有効に利用することができる。つまり、マーカmk1〜mk4を結像領域P3以外に設けることで、画像再構成等の処理に必要な結像領域P3に影響を与えずに、マーカ像mi1〜mi4を取得することができ位置ズレ補正を行うことができる。なお、マーカmk1〜mk4の大きさは、5mm×5mm程度で良い。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、位置情報部材であるマーカmk1〜mk4により写し込まれたマーカ像mi1〜mi4に基づいてX線イメージセンサ21の位置ズレ量を検出し、画像再構成において当該位置ズレ量を補正するので、X線イメージセンサ21の位置ズレによる影響を受けずに、画像再構成を行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図16(a)〜(c)に示す。図16(c)に示すX線検出部20では、形状の異なるX線イメージセンサ21を備えた複数のカセット22(図16(a),(b))が交換可能である。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
図16(a)に示すカセット22aには、図中の横方向に長い矩形のX線イメージセンサ21aを設けている。一方、図16(b)に示すカセット22bには、図中の縦方向に長い矩形のX線イメージセンサ21bを設けている。このように形状の異なるX線イメージセンサ21を交換するには、X線検出部20に設ける二次遮蔽部材25の開口部26の形状は、図16(c)に示すように十文字形状にする必要がある。つまり、異なる形状の図16(a),(b)のX線イメージセンサ21a,21bを重ね合わせた形状となる。
【0060】
図16(c)に示す二次遮蔽部材25の開口部26に、実施の形態1で説明した位置情報部材であるマーカを設ける場合、各コーナに矩形のマーカmk1a〜mk4a,mk1b〜mk4bを設けるだけではなく、X線イメージセンサ21aとX線イメージセンサ21bとの交差部にL字形のマーカmk1ab〜mk4abを設けることができる。
【0061】
開口部26に設けるマーカは、実施の形態1でも説明したように複数設ける必要はなく、最低1箇所設ければ良い。しかし、本実施の形態に係るX線検出部20のように、形状の異なるX線イメージセンサ21を交換する場合、例えば、マーカmk1aのみ設けたのでは、図16(b)のX線イメージセンサ21bを装着した際に、位置ズレ補正を行うことができない。また、例えば、マーカmk1bのみ設けたのでは、図16(a)のX線イメージセンサ21aを装着した際に、位置ズレ補正を行うことができない。
【0062】
そこで、本実施の形態に係るX線検出部20では、X線イメージセンサ21aの形状とX線イメージセンサ21bの形状とが重なる位置にL字形のマーカmk1abを設けることで、X線イメージセンサ21a,21bのどちらを装着しても位置ズレ補正を行うことができる。
【0063】
(実施の形態3)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図17(a)〜(c)に示す。図17(a)に示すX線検出部20では、図6に示したX線検出部20と異なり、二次遮蔽部材25の開口部26にマーカmk1〜mk4を設けず、開口部26自体の四隅に隅切状コーナmc1〜mc4をマーカとして利用する。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0064】
図17(b)に示すX線検出部20では、本来図17(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、本実施の形態に係るX線検出部20でも、隅切状コーナmc1〜mc4によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用して、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図17(c)は隅切状コーナmc3の近傍を拡大したものであり、この隅切状コーナmc3を用いて位置ズレ量の補正を説明する。
【0065】
図17(b)に示す隅切状コーナmc3によりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31a,その境界線像の左上の1点をmp31aと図17(c)では記載している。そして、図17(c)では、位置ズレが生じていない隅切状コーナmc3によりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図17(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3a、その境界線像の左上の1点をmp3aとする。そして、mp31aとmp3aとの差を求めることで、mp31aは、mp3aに対して図17(c)に示すように距離dx1a分だけ右に、距離dy1a分だけ上に位置ズレしていることが分かる。
【0066】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、点mp31aでの画像情報にシフト量dx1a、dy1aの座標修正を行い、点mp3aの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1a分だけ左に、シフト量dy1a分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0067】
なお、上記の説明では、点mp31a、点mp3aに着目して位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、図17(c)に示す点mp31aの垂直方向の線ml31raと標準位置座標情報lc3aの垂直方向の線ll3raとに着目しても、点mp31aの水平方向の線ml31haと標準位置座標情報lc3aの水平方向の線ll3haとに着目しても良い。
【0068】
(実施の形態4)
本実施の形態に係るX線検出部20の概略図を図18(a)〜(c)に示す。図18(a)に示すX線検出部20では、図6に示したX線検出部20と異なり、二次遮蔽部材25の開口部26にマーカmk1〜mk4を設けず、開口部26の境界線をマーカとして利用する。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mは、X線検出部20の構成以外、実施の形態1に係るX線CT撮影装置Mと同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図18(a)に示すX線検出部20では、開口部26の四隅をmk1b〜mk4bとし、mk1bからmk3bに至る開口部26の辺をmk13b,mk2bからmk4bに至る開口部26の辺をmk24bとする。
【0070】
図18(b)に示すX線検出部20では、本来図18(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、本実施の形態に係るX線検出部20でも、開口部26の境界線(mk13b,mk24b)によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用し、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図18(c)は開口部26の四隅のmk3b近傍を拡大したものであり、この図18(c)を用いて本実施の形態に係る位置ズレ量の補正を説明する。
【0071】
図18(b)に示す開口部26の境界線mk13bによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31b,開口部26の四隅mk3bに対応する像をmp31bと図18(c)に記載している。そして、図18(c)では、位置ズレが生じていない開口部26の境界線mk13bによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図18(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3b、開口部26の四隅mk3bに対応する像をmp3bとする。そして、mp31bとmp3b又はmi31bとlc3bとの差を求めることで、mp31b(又はmi31b)は、mp3b(又はlc3b)に対して図18(c)に示すように距離dx1b分だけ右に位置ズレしていることが分かる。
【0072】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでも、点mp3bでの画像情報にシフト量dx1bの座標修正を行い、点mp3bの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1b分だけ左にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0073】
なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでは、開口部26の境界線としてmk13b及びmk24bの2辺のみを用いて位置ズレの補正を行ったが、本発明はこれに限られず、開口部26の境界線の1辺でも、3辺でも、4辺でも良い。図19(a)〜(c)に、開口部26の境界線の4辺を用いて位置ズレの補正を行う場合が図示されている。
【0074】
図19(a)に示すX線検出部20では、開口部26の四隅をmk1c〜mk4cとし、mk1cからmk2cに至る開口部26の辺をmk12c,mk1cからmk3cに至る開口部26の辺をmk13c,mk2cからmk4cに至る開口部26の辺をmk24c,mk3cからmk4cに至る開口部26の辺をmk34cとする。
【0075】
図19(b)に示すX線検出部20では、本来図19(a)に示す位置に装着されていなければならないX線イメージセンサ21及びカセット22が位置ズレを生じて装着されている。そこで、開口部26の境界線(mk12c,mk13c,mk24c,mk34c)によってX線イメージセンサ21に結像する像を実施の形態1で示したマーカ像として利用し、実施の形態1と同様に位置ズレ補正を行う。図19(c)は開口部26の四隅のmk3c近傍を拡大したものであり、この図19(c)を用いて本例の位置ズレ量の補正を説明する。
【0076】
図19(b)に示す開口部26の境界線mk13c及びmk34cによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(マーカ像)をmi31c及びmi34c,開口部26の四隅mk3cに対応する像をmp31cと図19(c)に記載している。そして、図19(c)では、位置ズレが生じていない開口部26の境界線mk13c及びmk34cによりX線イメージセンサ21に結像した境界線像(図19(a)での像)を標準位置座標情報としてlc3c及びlc4c、開口部26の四隅mk3cに対応する像をmp3cとする。そして、mp31cとmp3c又はmi31cとlc3cとの差を求めることで、mp31c(又はmi31c)は、mp3c(又はlc3c)に対して図18(c)に示すように距離dx1c分だけ右に位置ズレしていることが分かる。また、そして、mp31cとmp3c又はmi34cとlc4cとの差を求めることで、mp31c(又はmi34c)は、mp3c(又はlc4c)に対して図18(c)に示すように距離dy1c分だけ上に位置ズレしていることが分かる。
【0077】
本実施の形態に係るX線CT撮影装置Mでも、点mp3cでの画像情報にシフト量dx1c,dy1cの座標修正を行い、点mp3cの画像情報として演算処理できるように補正処理を行う。つまり、X線イメージセンサ21で得た画像全体を、シフト量dx1c分だけ左に、シフト量dy1c分だけ下にシフト補正してから、画像再構成の演算処理を行う。そのため、位置ズレによる不都合を解消することができる。
【0078】
なお、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したX線CT撮影装置Mでは、X線イメージセンサ21が支持部材3に対し意図的に脱着可能か、移動可能の構成となっているものであった。しかし、本発明に係るX線CT撮影装置Mは、これに限定されず、X線イメージセンサ21が支持部材3に固定された構成においても利用できる。この場合、標準位置座標情報として設計上最適なX線イメージセンサ21の位置を記憶させておき、X線イメージセンサのバージョンアップのためにX線イメージセンサを交換取換する際や、修理等でX線CT撮影装置Mを分解組立した際のX線イメージセンサ21の位置とのズレが生じた場合に、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した方法で補正できる。この場合は、X線イメージセンサ21が支持部材3に対し意図的に移動可能の構成となっているのではないが、移動可能の別例である。これにより、当該X線CT撮影装置Mは、製造後にX線イメージセンサ21の位置ズレが生じたとしても、常に適切に補正することができる。
【0079】
X線CT撮影装置Mが、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接離隔できる構成である場合でも、本願構成を用いることができる。拡大率を変更するため、X線イメージセンサ21をX線発生器11に対し、相対的に近接離隔自在の構成とする場合がある。本出願人の出願にかかる特開2003−175031号公報にかかる図15に示すデジタルX線パノラマ撮影装置は、そのようなX線イメージセンサがX線発生器に対し、相対的に近接離隔できる構成の例である。この場合、X線CT撮影装置Mが、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接離隔した移動量が検出できるようにしておき、その近接離隔の移動量に従って、前記位置ズレ量も修正するようにすれば、適正なシフト量が算定できる。例えば、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に近接すれば、位置ズレ量も大きくなるので、シフト量も大きくするよう修正する。逆に、X線イメージセンサ21がX線発生器11に対し、相対的に離隔すれば、位置ズレ量も小さくなるので、シフト量も小さくするよう修正する。
【0080】
マーカ像のX線イメージセンサ21への写し込みは、X線CT撮影の本撮影の際に行ってもよいが、本撮影の前に、予備的に行う撮影で行ってもよい。すなわち、本撮影において、X線イメージセンサ21で得られるX線投影データに被写体のX線像とマーカ像の双方を写し込み、位置ズレ量を検出するようにしてもよく、予備的に行う撮影でマーカ像のみの写し込みを行い、予め位置ズレ量を検出するようにしてもよい。予備的に行う撮影でマーカ像のみの写し込みを行う場合には、本撮影においてはマーカ像の写し込みを省略して、被写体のみを撮影対象とすることができる。予備的に行う撮影でマーカ像の写し込みを行う場合、必ずしも広範囲のX線コーンビーム照射を行う必要はなく、狭い範囲のX線コーンビームでマーカ部分のみX線照射してもよく、また、必ずしもX線コーンビームを照射しなくとも、X線細隙ビームを照射してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る別のX線CT撮影装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の支持部材の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてマーカ像が写し込まれたX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において標準位置座標情報を得るためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてX線イメージセンサの位置ズレが生じたX線検出部の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレが生じたX線イメージセンサ及びカセットの概略図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレ補正を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置の位置ズレ補正を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において位置ズレ補正を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置においてX線ビームが形成する被撮影領域を説明するための概略図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係るX線CT撮影装置において被撮影領域によりX線イメージセンサに写し込まれる像の領域を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図18】本発明の実施の形態4に係るX線CT撮影装置のX線検出部の概略図である。
【図19】本発明の実施の形態4に係るX線CT撮影装置の別のX線検出部の概略図である。
【符号の説明】
【0082】
10 X線発生部、11 X線発生器、12 一次遮蔽部材、20 X線検出部、21 X線イメージセンサ、22 カセット、23 レール、24 取っ手、25 二次遮蔽部材、26 開口部、30 支持部材、40 被写体保持部材、50 駆動部、60 駆動部支持部材、70 制御部、71 X線CT撮影部内制御部、72 X線画像処理表示部内制御部、73 X線検出部制御手段、74 X線発生部制御手段、75 記憶手段、76 画像処理手段、77 座標計算手段、80 操作部、81,82 操作手段、90 表示部、91,92 表示手段、100 防X線室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線コーンビームを発生するX線発生器と、
前記X線発生器を支持する支持部材と、
前記被写体を挟んで前記X線発生器と対向する前記支持部材の位置に支持されると共に、前記支持部材に着脱自在、又は移動可能に支持され、前記被写体を透過した前記X線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサと、
前記X線発生器及び前記X線イメージセンサを前記被写体に対して相対的に回転させる駆動部と、前記X線イメージセンサで取得した前記X線投影データを前記被写体のX線吸収係数の分布情報に変換して画像再構成を行う画像処理部と、
前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、
前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備えるX線CT撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、
前記支持部材は、旋回アームであることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられていることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、X線吸収材料で構成されていることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記補正部は、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置ズレ量は、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、
前記補正部は、前記位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせ、当該シフト後の前記X線投影データに対して前記制御部で画像再構成させることで前記位置ズレ量の補正を行うことを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線CT撮影装置であって、
前記補正部は、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項1】
X線コーンビームを発生するX線発生器と、
前記X線発生器を支持する支持部材と、
前記被写体を挟んで前記X線発生器と対向する前記支持部材の位置に支持されると共に、前記支持部材に着脱自在、又は移動可能に支持され、前記被写体を透過した前記X線コーンビームを検出してX線投影データを取得するX線イメージセンサと、
前記X線発生器及び前記X線イメージセンサを前記被写体に対して相対的に回転させる駆動部と、前記X線イメージセンサで取得した前記X線投影データを前記被写体のX線吸収係数の分布情報に変換して画像再構成を行う画像処理部と、
前記支持部材に設けられ、X線ビームに照射された際に、前記X線イメージセンサで得られるX線投影データにマーカ像を写し込む位置情報部材と、
前記位置情報部材により写し込まれた前記マーカ像に基づいて前記X線イメージセンサの位置ズレ量を検出し、前記位置ズレ量を補正する補正部とを備えるX線CT撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、
前記支持部材は、旋回アームであることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部又は一部に設けられていることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、X線吸収材料で構成されていることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記X線イメージセンサの検出面側で前記支持部材に設けられたX線遮蔽部材の端部であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置情報部材は、前記制御部で行う画像再構成の有効領域外に、前記マーカ像が写し込まれるように配置されることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記補正部は、前記支持部材と前記被写体との相対的回転方向の接線に平行な方向に対して、前記位置ズレ量を検出し、補正することを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記位置ズレ量は、予め定められている設定位置情報と前記マーカ像との差として求められ、
前記補正部は、前記位置ズレ量だけ前記X線投影データの位置をシフトさせ、当該シフト後の前記X線投影データに対して前記制御部で画像再構成させることで前記位置ズレ量の補正を行うことを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線CT撮影装置であって、
前記補正部は、前記X線イメージセンサの種別情報を取得し、当該種別情報に対応する前記設定位置情報を読み出し、利用することを特徴とするX線CT撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−279108(P2008−279108A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126637(P2007−126637)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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