説明

X線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラム

【課題】より簡易にCT値に応じてX線CT画像データから領域を抽出し、抽出した領域内外における3次元投影画像データを作成することが可能なX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムである。
【解決手段】X線CT装置は、3次元画像データを再構成する画像再構成手段と、第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段35cと、第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段35dと、3次元参照画像を介して第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段35eと、取得された位置に連結する連結領域を求める連結領域抽出手段35fと、第2の領域から連結領域を削除することにより第2の領域を更新する連結領域削除手段35gとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体にX線を照射して得られたX線CT(computed tomography)画像データから3次元投影画像データを作成するX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムに係り、特に、領域を抽出するとともに、抽出された領域内外における3次元投影画像データを削除する機能を備えたX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体にX線を照射し、透過したX線を検出してX線CT画像データを再構成する画像診断装置としてX線CT装置がある。このX線CT装置を用いて造影剤を被検体に投与することによる血管等の器官の観察を目的とする撮像がしばしば行なわれる。血管の観察を目的とする撮像では、造影剤の投与により造影血管のX線CT画像データが再構成され、さらに、X線CT画像データから3次元(3D:three-dimensional)投影画像データが作成される。
【0003】
3D投影画像データの作成方法として代表的なものは、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)、最小値投影法(Minimum Intensity Projection)または加算平均投影法(X-ray Projection)等の方法が挙げられる。そして、造影血管の観察を目的とする場合には、MIPにより作成された3D投影画像(MIP画像)が頻繁に用いられる。
【0004】
しかし、骨と造影血管のCT値には共に同程度の範囲に存在する部分があることから、血管の観察を目的としてMIP画像を作成しても、骨が血管とともに画像化されて映り込み、骨の画像が臨床診断上邪魔になるという問題がある。
【0005】
そこで、従来は、MIP画像による造影血管の観察に先立って、MIP画像とは別に、ボクセルを用いた表面表示(SR:Surface Rendering)画像やVolume表示(VR:Volume Rendering) 画像といった3D画像が作成され、SR画像やVR画像を介して骨領域における画像データを抽出して削除する、いわゆる骨抜き作業が実施される(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図9は、従来のMIP画像によるによる造影血管の観察に先立って実施される骨抜き作業の手順を説明する図である。
【0007】
図9(a)は、骨抜き作業のために3D画像として作成されたシェーデッド・ボリューム・レンダリング(SVR:Shaded volume rendering)画像のイメージの一例を示す図である。図9(a)に示すように、SVR画像には、血管とともにCT値が同等の骨が写りこんでしまう。
【0008】
そこで、SVR画像において、CT値による閾値やCT値に対する不透明度(Opacity)が設定されて骨と造影血管とを識別するための基準とされる。そして、閾値や不透明度により識別可能に骨と造影血管とを表示させ、一般的に用いられる連結領域抽出法により骨領域のSVR画像データを分割ないし抽出して選択的に削除することにより骨抜き作業が実施される。
【0009】
この結果、図9(b)に示すように、骨が削除された造影血管のSVR画像が得られる。さらに、骨が削除されたSVR画像の血管抽出領域に含まれるX線CT画像データからMIP画像が生成される。
【特許文献1】特開平9−73557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のX線CT装置を用いた造影血管の観察においては、効率的に骨抜き作業が実施できないという問題がある。すなわち、骨のCT値は一定の範囲内の値をとるが、骨のCT値には、軟部組織に近いCT値となるものが存在する。従って、骨抜き作業の開始時に閾値や不透明度をCT値が低くなるように設定すると、軟部組織に近い臓器が骨とともに表示されることとなる。
【0011】
しかし、軟部組織に近い臓器と造影血管との接触部位が多く、一般的に使用されている連結領域抽出法による骨領域の抽出が困難となる。この結果、骨抜き作業の開始時に閾値や不透明度をCT値が低くなるように設定すると、効率的な骨抜き作業が困難なものとなる。
【0012】
そこで、骨抜き作業の開始時には、閾値や不透明度がCT値が高くなるように設定されて骨抜き作業が実施される。従って、骨抜き作業後におけるX線CT画像データからMIP画像を作成しても、MIP画像は、軟部組織に近いCT値の骨(特に軟骨)が含まれた画像となる。
【0013】
図9(c)は、骨抜き作業後におけるMIP画像に軟骨が表示された例を示す図である。図9(c)の曲線枠に示すように、骨抜き作業後におけるMIP画像に軟部組織に近いCT値の軟骨が残存する場合が多い。
【0014】
このため、MIP画像に残存する骨を削除するために、再びSR画像やSVR画像といった3D画像を表示させて、骨抜き作業が再開される。そして、再開された骨抜き作業においては、閾値が下げられて、よりCT値の低い臓器が表示される。さらに、新たに設定された閾値により表示された軟骨が、連結領域抽出法により選択的に削除された後、MIP画像が作成される。
【0015】
しかし、再度作成されたMIP画像には、さらにCT値の低い軟骨が表示される場合があり、そのような場合には、臨床上有効なMIP画像を得るために、3D画像を介した骨抜き作業、MIP画像による確認および骨抜き作業の閾値設定といった煩雑な作業が繰り返されることとなる。
【0016】
そして、このような煩雑な作業が発生するという問題は、血管観察の他、特定の臓器や器官をCT値の相異により選択的に削除あるいは表示させて観察する際にも起こり得るものである。
【0017】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、より簡易にCT値に応じてX線CT画像データから領域を抽出し、抽出した領域内外における3次元投影画像データを作成することが可能なX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るX線CT装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、被検体の生データを収集して3次元画像データを再構成する画像再構成手段と、前記3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段と、前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段と、前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段と、前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段と、前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段とを有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明に係る画像データ領域抽出システムは、上述の目的を達成するために、請求項5に記載したように、画像診断装置により収集された3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段と、前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段と、前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段と、前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段と、前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段とを有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係る画像データ領域抽出プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項6に記載したように、コンピュータを、画像診断装置により収集された3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段、前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段、前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段、前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段、および前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段として機能させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムにおいては、より簡易にCT値に応じてX線CT画像データから領域を抽出し、抽出した領域内外における3次元投影画像データを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係るX線CT装置、画像データ領域抽出システムおよび画像データ領域抽出プログラムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明に係るX線CT装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0024】
X線CT装置20は、ガントリ部21およびコンピュータ装置22とから構成される。ガントリ部21は、X線管23、高電圧発生装置24、X線検出器25およびデータ収集部26(DAS;Data Aquisition System)を有する。X線管23とX線検出器25とは、高速で且つ連続的に回転する図示しない回転リングに被検体Pを挟んで互いに対向する位置に搭載される。
【0025】
そして、高電圧発生装置24はコンピュータ装置22からの制御信号によりX線管23に管電流や管電圧を供給し、X線検出器25で被検体Pを透過したX線を検出できるように構成される。さらに、X線検出器25で検出されたX線検出信号はデータ収集部26に与えられてデジタル化され、生データとしてコンピュータ装置22に与えられる構成とされる。つまり、高電圧発生装置24、X線管23、X線検出器25、データ収集部26により被検体Pの生体情報である生データを収集する生データ収集手段としての機能がX線CT装置20に備えられる。
【0026】
コンピュータ装置22は、画像処理装置27、画像表示部28および入力部29とから構成される。画像処理装置27は、制御部30を中枢として、データ収集部26から出力される生データを補正処理等を経て投影データに変換する前処理部31、投影データを記憶するメモリ部32、投影データから3D画像データを再構成する画像再構成部33、3D画像データやデータ収集部26から出力された生データを一時的に保管する記憶装置34、記憶装置34から3D画像データを読み込んで特定の領域における3D投影画像データを作成する画像データ領域抽出システム35とから構成される。
【0027】
すなわち、画像処理装置27の前処理部31や画像再構成部33により、生データから3D画像データを再構成する画像再構成手段としての機能がX線CT装置20に備えられる。
【0028】
また、画像データ領域抽出システム35がX線CT装置20に内蔵される。ただし、画像データ領域抽出システム35をX線CT装置20に内蔵せずに、個別に設けてもよい。画像データ領域抽出システム35をX線CT装置20とは個別に構成した場合には、X線CT装置20で撮像された3D画像データおよびSVR画像データを画像データ領域抽出システム35に入力することができるように構成される。
【0029】
この画像データ領域抽出システム35によれば、画像表示部28に表示されたSVR画像等の3D参照画像を参照しつつ、特定の領域を指定してMIP画像データ等の3D投影画像データを作成することができる。3D投影画像データの作成のための投影法としては、最大値投影法(MIP)、最小値投影法(MinIP)あるいは加算平均投影法等の投影法が挙げられる。ここでは、3D参照画像の一例であるSVR画像を参照しつつ3D投影画像データの一例であるMIP画像データを作成する場合について説明する。
【0030】
図2は、図1に示すX線CT装置20に内蔵される画像データ領域抽出システム35の機能ブロック図である。
【0031】
画像データ領域抽出システム35は、画像データ領域抽出プログラムをコンピュータ装置22に読み込ませて構築され、SVR用データ管理部35a、MIP用データ管理部35b、SVR画像作成部35c、MIP画像作成部35d、連結領域指定部35e、連結領域抽出部35f、MIP用連結領域削除部35g、連結領域抽出確定部35hおよびSVR用連結領域削除部35iを備える。ただし、画像データ領域抽出システム35の全部または一部を回路で構成してもよい。また、入力部29には、マウス29a、抽出ボタン29bおよび処理開始ボタン29cが設けられる。
【0032】
SVR用データ管理部35aは、SVR画像を作成して表示すべき既存の領域(既存領域)をSVR用既存領域情報として管理する機能と、SVR用既存領域情報を更新の度にSVR画像作成部35cへ提供する機能とを有する。
【0033】
具体的には、SVR用データ管理部35aは、後述する連結領域指定部35eから受けたSVR画像上の位置情報をSVR用既存領域情報とともに連結領域抽出部35fに与える一方、連結領域抽出部35fから受けた連結領域情報をSVR画像作成部35cへ提供する機能とを有する。また、SVR用データ管理部35aは、連結領域抽出確定部35hから、連結領域の抽出確定情報を受けた場合には、連結領域情報をSVR用既存領域情報とともにSVR用連結領域削除部35iに与える機能を有する。また、SVR用データ管理部35aは、SVR用連結領域削除部35iからSVR用既存領域情報の更新情報が通知された場合に、通知された更新情報に従ってSVR用既存領域情報を更新する機能と、入力部29の処理開始ボタン29cから領域の抽出処理開始指示を受けた場合に、初期化処理情報としてSVR用既存領域情報をMIP用データ管理部35bに与えることにより、MIP画像の初期化処理の開始を指示する機能を有する。
【0034】
MIP用データ管理部35bは、MIP画像の既存領域をMIP用既存領域情報として管理する機能と、MIP用既存領域情報を機能をMIP画像作成部35dへ提供する機能とを有する。
【0035】
具体的には、MIP用データ管理部35bは、SVR用データ管理部35aから初期化処理情報としてSVR用既存領域情報を受けた場合に、SVR用既存領域と同じ領域をMIP用既存領域としてMIP画像作成部35dへ提供することにより、初期化処理としてSVR画像データと同じ領域のMIP画像データを作成させる機能を有する。また、MIP用データ管理部35bは、MIP画像の既存領域から削除すべき領域が連結領域抽出部35fから連結領域情報として通知された場合に、MIP用連結領域削除部35gにMIP用既存領域情報とともに連結領域情報を提供する一方、MIP用連結領域削除部35gからMIP用既存領域情報の更新情報が通知された場合に、通知された更新情報に従ってMIP用既存領域情報を更新する機能を有する。
【0036】
SVR画像作成部35cは、SVR用データ管理部35aからSVR用既存領域情報を受けた場合に、SVR用既存領域に含まれる3D画像データを記憶装置34から読み込んで、SVR画像データを作成する機能と、作成したSVR画像データを画像表示部28に与えることにより画像表示部28にSVR画像を表示させる機能とを有する。
【0037】
また、SVR画像作成部35cは、SVR用データ管理部35aから連結領域情報を受けた場合に、画像表示部28に表示されたSVR画像上で連結領域を視覚的に表示するための連結領域画像データを作成する機能と、作成した連結領域画像データを画像表示部28に与えることにより画像表示部28に連結領域を表示させる機能とを有する。例えば、連結領域がSVR画像上においてカラー表示されるように連結領域画像データを作成することができる。SVR画像作成部35cが作成する連結領域画像データは、連結領域がSVR画像上で識別可能であれば、SVR画像データであるか否かを問わない。SVR画像作成部35cが作成する連結領域画像データは、例えば、単一の色で表示された画像データとすることもできるし、コントラストのついたカラー投影画像データとすることもできる。
【0038】
MIP画像作成部35dは、MIP用データ管理部35bからMIP用既存領域情報を受けた場合に、MIP用既存領域に含まれる3D画像データを記憶装置34から読み込んで、MIP画像データを作成する機能と、作成したMIP画像データを画像表示部28に与えることにより画像表示部28にMIP画像を表示させる機能とを有する。
【0039】
連結領域指定部35eは、SVR画像用既存領域およびMIP画像用既存領域から削除したい領域を求めるための情報として画像表示部28に表示されたSVR画像が介してマウス29a等の入力部29により指定された位置を取得し、取得した位置をSVR用データ管理部35aに提供する機能を有する。連結領域指定部35eは、位置情報を取得する際に、記憶装置34に保存された3D画像データを参照するように構成される。
【0040】
また、必要に応じて、連結領域指定部35eが入力部29により指定された位置情報を画像表示部28に与え、指定された位置を識別可能に画像表示部28に表示させるようにすることもできる。
【0041】
連結領域抽出部35fは、SVR用データ管理部35aから受けたSVR画像上の位置情報およびSVR用既存領域情報に基づいて記憶装置34に保存された3D画像データを参照することにより、SVR用既存領域内において位置情報により定まる位置を含む連結した領域(連結領域)を求め、求めた連結領域をSVR用データ管理部35aとMIP用データ管理部35bとに提供する機能を有する。
【0042】
つまり、連結領域抽出部35fは、SVR用既存領域における3D画像データのうち、位置情報により指定された位置(開始点)に連結する閾値領域が占める領域を物体とみなし、一般的な連結領域抽出法により連結領域として求めるように構成される。
【0043】
連結領域を求める際に使用する閾値には、CT値を用いることができる。そして、3D画像データの不透明度が0(透明)から0と1との間の値(半透明)、または0から1(不透明)に変移する点や範囲を代表する画素値(CT値)を閾値とし、記憶装置34に保存された3D画像データのうち例えば閾値以上あるいは閾値以下となる領域を連結領域として求めることができる。
【0044】
このようにして求められた閾値領域を、3D画像データ中における物体とみなすことができる。すなわち、3D画像データの不透明度が一定の値以上となった領域を表す閾値領域の境界面を物体の検出位置とすることができる。連結領域の抽出に用いられる閾値は、入力部29の操作により任意に設定することができる。設定された閾値は、入力部29から連結領域指定部35eおよび連結領域抽出部35fに通知される。
【0045】
さらに、必要に応じて連結領域抽出部35fは、求めた連結領域を膨張(dilation)または収縮(erosion)させて、膨張または収縮後における連結領域を、SVR用データ管理部35aとMIP用データ管理部35bとに提供するようにしてもよい。
【0046】
仮に3D画像データに対する閾値の設定が不適切であることから連結領域と物体が占める領域とが十分な精度で合致しない場合であっても、連結領域を膨張または収縮することにより、連結領域を物体が占める領域に近づけることが可能となる。そこで、予め、膨張率(または収縮率)や膨張幅(または収縮幅)を設定しておき、閾値領域として抽出された連結領域を膨張あるいは収縮させ、膨張あるいは収縮後における連結領域をSVR用既存領域やMIP用既存領域から削除すべき領域としてSVR用データ管理部35aやMIP用データ管理部35bに与えるようにすることができる。
【0047】
MIP用連結領域削除部35gは、MIP用データ管理部35bから受けたMIP用既存領域情報および連結領域情報に基づいて、MIP用既存領域から連結領域を差し引くことにより、MIP用既存領域を更新する機能と、更新後のMIP用既存領域をMIP用既存領域情報の更新情報としてMIP用データ管理部35bに与える機能とを有する。
【0048】
連結領域抽出確定部35hは、入力部29の抽出ボタン29bからSVR用既存領域から連結領域を実際に差し引く要求を受けた場合に、SVR用データ管理部35aに連結領域の抽出確定情報を与える機能を有する。
【0049】
SVR用連結領域削除部35iは、SVR用データ管理部35aから受けたSVR用既存領域情報および連結領域情報に基づいて、SVR用既存領域から連結領域を差し引くことにより、SVR用既存領域を更新する機能と、更新後のSVR用既存領域をSVR用既存領域情報の更新情報としてSVR用データ管理部35aに与える機能とを有する。
【0050】
さらに、必要に応じて、SVR画像作成部35cやMIP画像作成部35dに、入力部29から受けた情報に基づいて、SVR画像データやMIP画像データを回転、移動、拡大して表示できるように生成して画像表示部28に与える機能を設けることもできる。そうすることで、画像表示部28に表示されたSVR画像やMIP画像を入力部29の操作により回転、移動または拡大することができるようになる。
【0051】
次にX線CT装置20の動作および作用について説明する。
【0052】
図3は、図1に示すX線CT装置20により、X線CT画像データから領域を抽出し、抽出した領域内外における3次元投影画像データを作成する際における手順を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0053】
まずステップS1において、例えば、被検体Pの造影血管画像を収集するために、造影剤投与を伴うスキャンが実行されて被検体Pの3D画像データが再構成される。すなわち、コンピュータ装置22からの制御信号により高電圧発生装置24から管電流や管電圧がX線管23に供給され、被検体PにX線が照射される。そして、被検体Pを透過したX線がX線検出器25で検出される。X線検出器25で検出されたX線検出信号はデータ収集部26に与えられてデジタル化され、生データとしてコンピュータ装置22に与えられる。
【0054】
コンピュータ装置22では、前処理部31における補正処理により生データが投影データに変換されて、一旦メモリ部32に記憶される。そして、画像再構成部33により投影データから3D画像データが再構成され、再構成された3D画像データは記憶装置34に保存される。
【0055】
そして、記憶装置34に保存された造影血管を含む3D画像データが、画像データ領域抽出システム35に読み込まれて、造影血管のMIP画像データの作成用に供される。
【0056】
次に、ステップS2において、造影血管や骨領域を含む3D画像データからSVR画像データが作成されて画像表示部28に表示される。すなわち、SVR用データ管理部35aは、3次元空間の全領域をSVR用既存領域としてSVR画像作成部35cへ提供する。SVR画像作成部35cは、記憶装置34から全領域の3D画像データを読み込んで、SVR画像データを生成する。SVR画像作成部35cは、生成したSVR画像データを画像表示部28に与える。このため、画像表示部28には、全領域のSVR画像が表示される。
【0057】
次に、ステップS3において、領域抽出処理を開始するために領域抽出アプリケーションを起動する指示が入力部29の処理開始ボタン29cから画像データ領域抽出システム35に与えられると、領域の抽出処理開始指示がSVR用データ管理部35aに与えられる。そうすると、SVR用データ管理部35aは、初期化処理情報として全領域を示すSVR用既存領域情報をMIP用データ管理部35bに与える。
【0058】
これによりMIP画像の初期化処理が開始される。すなわち、MIP用データ管理部35bはSVR用既存領域と同じ領域をMIP用既存領域としてMIP画像作成部35dへ提供する。MIP画像作成部35dは、全領域であるMIP用既存領域に含まれる3D画像データを記憶装置34から読み込んでMIP処理を施すことにより全領域のMIP画像データを作成する。MIP画像作成部35dは、作成したMIP画像データを画像表示部28に与える。このため、画像表示部28には、MIP画像が表示される。
【0059】
このように表示されたMIP画像には、造影血管とともに血管の臨床診断上削除すべき骨領域のMIP画像が含まれる。そこで、MIP画像から骨領域の画像を削除する、いわゆる骨抜き作業を行なう必要がある。この骨抜き作業は、画像データ領域抽出システム35の機能により画像表示部28に表示されたSVR画像およびMIP画像の双方を参照しつつ、入力部29の操作により行なうことができる。
【0060】
そこで、ステップS4において、骨領域を抽出するための閾値が設定される。閾値は入力部29から連結領域指定部35eおよび連結領域抽出部35fに通知される。
【0061】
図4は、図1に示すX線CT装置20による骨抜き作業の手順の一例を説明する図である。
【0062】
図4(a)に示すように、例えば造影血管、骨および軟骨が近接している場合に、実線で示すライン位置におけるCT値のプロフィールイメージは図4(b)に示すようになる。すなわち、造影血管および骨領域のCT値は200を超える値となり、軟骨領域のCT値は100から200の間の値となる。そして、造影血管と骨との間の領域および骨と軟骨との間の領域のCT値は、造影血管、骨領域および軟骨領域のCT値よりも小さい値となっている。
【0063】
そして、このようなCT値の相異を利用して造影血管、骨領域および軟骨領域の識別および分離が行なわれる。MIP画像は、基本的にはCT値の全範囲がCT値に対応するGray Levelに割り当てられて表示される。このため、CT値が小さい部分は黒となる一方、CT値が高い部分は白となる。
【0064】
尚、MinIP画像の場合には、被検体の体周りにCT値が−1000の空気が存在すると、MinIP画像の値が−1000になってしまうことから通常MinIP処理に先立って3D画像データのCT値が−900から−500程度となるように閾値処理される。
【0065】
すなわち、造影血管、骨領域および軟骨領域を閾値領域として抽出し、別々の物体として分離できるように、CT値が閾値として設定される。ここで、閾値として設定されるCT値を低くし過ぎると、適切に造影血管と骨領域とを分離することができない。すなわち、図4(b)に示すCT値のプロフィールイメージを有するMIP画像の場合には、造影血管と骨との間の領域および骨と軟骨との間の領域のCT値が100を超えている。従って、閾値を例えば軟骨のCT値よりも小さい100とし、CT値が100を超える領域を閾値領域として抽出すると図4(c)に示すように造影血管、骨領域および軟骨領域が一体化されてしまう。
【0066】
そこで、骨抜き作業の開始時には、造影血管と骨領域とを分離するために、大きい値のCT値が閾値とされる。例えばユーザは、入力部29の操作により、造影血管と骨との間の領域および骨と軟骨との間の領域のCT値よりも大きいCT値200を閾値として指定することができる。そうすると、入力部29からCT値200とする閾値が連結領域指定部35eおよび連結領域抽出部35fに通知される。
【0067】
この結果、図4(b)に示すCT値のプロフィールイメージを有するMIP画像の場合には、図4(d)に示すようにCT値が200以上の造影血管と骨領域とがそれぞれ分離した閾値領域を3D画像データ上に形成することができる。
【0068】
そして、ステップS5において、ユーザは、画像表示部28に表示されたSVR画像上で削除したい閾値領域をマウス29aで選択(クリック)する。そうすると、マウス29aで選択された位置が連結領域指定部35eにより取得される。連結領域指定部35eは、取得した位置をSVR用データ管理部35aに与える。
【0069】
そして、ステップS6において、SVR用データ管理部35aは、SVR用既存領域とともに連結領域指定部35eから受けた位置情報を連結領域抽出部35fに提供する。そして、連結領域抽出部35fは、提供された位置を含む閾値領域を連結領域として求める。このとき必要に応じて連結領域抽出部35fは、連結領域を膨張または収縮させる。この連結領域は、連結領域抽出部35fからSVR用データ管理部35aおよびMIP用データ管理部35bに通知される。
【0070】
そうすると、ステップS7において、MIP用データ管理部35bは、連結領域抽出部35fから受けた連結領域情報をMIP用既存領域情報とともにMIP用連結領域削除部35gへ提供する。MIP用連結領域削除部35gは、MIP画像用の既存領域から連結領域を差し引き、MIP用の既存領域を更新する。この結果、新たに更新されたMIP画像用の既存領域が更新情報としてMIP用データ管理部35bに与えられる。
【0071】
MIP用データ管理部35bは、更新後のMIP用既存領域情報をMIP画像作成部35dに与え、MIP画像作成部35dは、更新後のMIP用既存領域に含まれる3D画像データを記憶装置34から読み込んで、MIP画像データを作成する。作成されたMIP画像データは、MIP画像作成部35dから画像表示部28に与えられる。この結果、画像表示部28には、マウス29aによりSVR画像上で選択した閾値領域(連結領域)が削除されたMIP画像が表示される。
【0072】
一方で、ステップS8において、SVR用データ管理部35aは、連結領域抽出部35fから受けた連結領域情報をSVR画像作成部35cに与える。そうすると、SVR画像作成部35cは、画像表示部28に表示されたSVR画像上で連結領域を視覚的に表示するための連結領域画像データを作成する。そして、SVR画像作成部35cは、作成した連結領域画像データを画像表示部28に与える。これにより画像表示部28に連結領域が例えばカラー表示のように視覚的に表される。
【0073】
このため、ユーザは、SVR画像上でマウス29aにより選択し、カラー表示された連結領域を参照しつつ、実際に連結領域が削除されたMIP画像を確認することができる。つまり、MIP画像からは連結領域が削除される一方、SVR画像からは連結領域が削除されない。
【0074】
そして、ユーザは、MIP画像を参照し、意図したMIP画像が得られるようであれば、入力部29の抽出ボタン20bを操作し、SVR用既存領域から連結領域を実際に差し引く要求を連結領域抽出確定部35hに与える。連結領域抽出確定部35hは、SVR用データ管理部35aに連結領域の抽出確定情報を与える。
【0075】
そうすると、ステップS9において、SVR用データ管理部35aは、連結領域抽出確定部35hからSVR画像からの連結領域の削除指示があったと判定する。
【0076】
そして、ステップS10において、SVR用データ管理部35aは、連結領域情報をSVR用既存領域情報とともにSVR用連結領域削除部35iに与える。SVR用連結領域削除部35iは、SVR用データ管理部35aから受けたSVR用既存領域情報および連結領域情報に基づいて、SVR用既存領域から連結領域を差し引くことにより、SVR用既存領域を更新する。そして、SVR用連結領域削除部35iは、更新後のSVR用既存領域を更新情報としてSVR用データ管理部35aに与える。SVR用データ管理部35aは、SVR用連結領域削除部35iから通知された更新情報に従ってSVR用既存領域情報を更新する。
【0077】
そして、再びステップS1において、SVR用データ管理部35aは、更新後のSVR用既存領域情報をSVR画像作成部35cへ提供する。このため、SVR画像作成部35cは、連結領域を削除した更新後におけるSVR用既存領域に含まれる3D画像データを記憶装置34から読み込んで、SVR画像データを作成する。そして、SVR画像作成部35cは、作成したSVR画像データを画像表示部28に与える。この結果、画像表示部28には、連結領域が削除されたSVR画像が表示される。
【0078】
一方、ステップS9において、SVR画像上における連結領域の削除指示がない場合には、再びステップS4において、新たな閾値を設定することができる。そして、異なる閾値により形成される閾値領域が共通のSVR画像上で選択されて同様な手順でMIP画像から削除される。
【0079】
例えば、骨領域と造影血管が適切に分離されない場合のように閾値の設定が不適切であると判断される場合には、閾値領域が適切に作成されるように、閾値をCT値250に上げて設定することができる。そして、新たに設定した閾値で定まる閾値領域の選択により同様な手順でSVR画像を参照して骨抜き作業が開始される。
【0080】
また、高いCT値を閾値として閾値領域の削除がある程度完了したが、より低いCT値の臨床診断上不要な臓器がまだ存在すると判断した場合には、閾値を小さく設定することができる。そして、臨床診断上支障の無い、すなわち不要な臓器が無いMIP画像が作成されるまで、繰返しCT値を下げて骨抜き作業等の作業を行なうことができる。
【0081】
例えば、図4(b)に示すCT値のプロフィールイメージを有するMIP画像の場合には、閾値をCT値200として骨領域を削除したとしても、CT値が200未満の軟骨領域を更に削除する必要がある。そこで、閾値をCT値100に下げて軟骨領域が閾値領域に含まれるようにすることが必要となる。
【0082】
ところが、通常は例えば閾値をCT値200に設定して骨領域を閾値領域として抽出し、抽出した骨領域をMIP画像から削除するのみでは、CT値が200未満ではあるが200に近い値の骨領域周辺の組織がMIP画像から削除されずに残存することとなる。このため、閾値をCT値200からCT値100に下げると図4(e)に示すように造影血管と軟骨領域が一体となってしまう。
【0083】
そこで、図4(f)の斜線部に示すように、連結領域として選択された骨領域が連結領域抽出部35fにより膨張された後削除され、膨張後の骨領域を含む連結領域以外の領域が新たなMIP用既存領域とされる。このため、図4(g)に示すように、軟骨領域をMIP画像から削除するためにステップS4において閾値をCT値100に下げたとしても造影血管と軟骨領域とを分離することができる。
【0084】
図5は、図1に示すX線CT装置20に内蔵された画像データ領域抽出システム35の機能により、被検体Pの頭部を正面からみたSVR画像において選択された連結領域を膨張してSVR画像から削除する場合と、選択された連結領域を膨張せずにそのままSVR画像から削除する場合とを比較した図である。また、図6は、図5に示す被検体Pの頭部を右側からみたSVR画像において選択された連結領域を膨張してSVR画像から削除する場合と、選択された連結領域を膨張せずにそのままSVR画像から削除する場合とを比較した図である。尚、図5のSVR画像に対応する図6のSVR画像には同符号を付してある。
【0085】
図5および図6に示すような頭蓋骨に囲まれた血管のSVR画像1(D1)から骨領域を削除する場合には、骨のCT値を基準とする閾値が設定され、SVR画像2(D2)に示すように骨のみが選択的に表示される。しかし、確実に骨のみを抽出するために閾値を高く設定すると、図6のSVR画像2(D2)に示すようにCT値の低い骨領域が除外されて実際の骨よりも狭い領域の骨が連結領域として抽出される。
【0086】
ここで、抽出された連結領域、すなわち表示された骨をマウス29aにより指定して、そのまま元のSVR画像1(D1)から削除すると、閾値を元に戻して血管を表示させたSVR画像3(D3)には、CT値が低く表示されなかった骨の画像が残存してしまう。
【0087】
そこで、表示された骨を指定して連結領域を膨張させると、図6のSVR画像4(D4)に示すようにCT値が低く、表示されなかった骨領域をカバーするような連結領域が再設定される。そして、再設定された膨張後における連結領域を元のSVR画像1(D1)から削除すれば、閾値を元に戻して血管を表示させた場合にSVR画像5(D5)に示すように殆ど骨が残存しない血管の画像を得ることができる。
【0088】
このようにして、ステップS5から同様な手順で軟骨領域が連結領域として選択され、MIP画像から削除される。つまり、閾値が順次、小さく再設定されて軟骨領域の選択による連結領域の抽出、連結領域の膨張、膨張後の連結領域の削除という処理が繰返し行なわれる。この結果、不要な骨や軟骨等の領域における画像が削除された臨床診断上支障の無い造影血管画像等のMIP画像データを作成することができる。
【0089】
図7は、図1に示すX線CT装置20に内蔵された画像データ領域抽出システム35の機能により、画像表示部28に並列表示されたSVR画像およびカラーMIP画像の一例を示す図である。
【0090】
図7に示すように、画像表示部28には、SVR画像(右上)とMIP画像(左上)とが並列表示される。また、適宜、参照用に断面変換(MPR:multi-planar reconstruction)画像(右下)を並列表示させることもできる。このような画面構成によりユーザは、連結領域が削除されたMIP画像を参照しつつ、視覚的に連結領域を表示させた共通のSVR画像上で閾値を変更して閾値領域を複数回に亘って選択することにより、MIP画像から容易に骨領域を削除することができる。
【0091】
図8は、図1に示すX線CT装置20に内蔵された画像データ領域抽出システム35の機能により、MIP画像を作成する場合の手順と、従来のMIP画像の作成手順とを比較した図である。
【0092】
図8(a)は、図1に示すX線CT装置20に内蔵された画像データ領域抽出システム35の機能により、MIP画像を作成する場合の手順を説明する図であり、図8(b)は従来のMIP画像の作成手順を説明する図である。
【0093】
図8(b)に示すように、従来は、SVR画像を生成・表示させてSVR画像上において不要な骨領域を抽出した後、抽出された領域外の3D画像データからMIP画像が生成される。しかしながら、SVR画像の表示、領域の抽出およびMIP画像の表示という一連の操作のみでは、MIP画像上において十分に不要な領域が削除されず、ユーザの意図するMIP画像が得られない場合がある。そこで、再び、SVR画像を表示させ、領域の抽出、MIP画像の表示という操作が繰り返される。そして、十分に不要な領域が削除されるまで、このような同様な操作が複数回繰り返される。このため、骨抜き作業は、ユーザにとって時間と手間を要する作業となっている。
【0094】
一方、図8(a)に示すように、X線CT装置20の画像データ領域抽出システム35によれば、SVR画像が一度表示されれば、SVR画像上において、閾値を変更しつつ複数回に亘って領域を抽出することができる。このため、閾値を変える度に、SVR画像データの生成処理を行なう必要がなくなり、処理時間の低減に繋げることができる。また、SVR画像上において領域を抽出すると、SVR画像に視覚的に抽出された閾値領域が表示される一方、並列表示されたMIP画像にリアルタイムに反映され、領域削除後のMIP画像を確認することができる。このため、ユーザの手間を軽減することもできる。
【0095】
つまり、以上のようなX線CT装置20は、SVR画像等の3次元参照画像上で領域抽出を複数回に亘って実行する場合に、抽出された各領域がリアルタイムに反映されたMIP画像等の3次元投影画像を参照できるような画像処理機能を設けた装置である。
【0096】
CT値等の基準値に基づいて連結領域抽出法により特定の領域を抽出することができる機能を備えた装置である。
【0097】
このため、ユーザがSVR画像上で不要な領域を指定した際に、MIP画像がどのような画像になるかリアルタイムに更新して表示される。この結果、SVR画像とMIP画像の表示切換処理および領域抽出のやり直し作業を繰返し行う必要がなくなるため、ユーザは、意図したMIP画像データ等の3次元投影画像データをより簡易かつ短時間で作成することができるようになる。
【0098】
尚、X線CT装置20および画像データ領域抽出システム35の一部の構成要素や機能を省略して構成してもよい。
【0099】
また、画像データ領域抽出システム35は、X線CT装置20のみならず、他の画像診断装置により得られた3D画像データから3D投影画像データを作成するために用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係るX線CT装置の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図2】図1に示すX線CT装置に内蔵される画像データ領域抽出システムの機能ブロック図。
【図3】図1に示すX線CT装置により、X線CT画像データから領域を抽出し、抽出した領域内外における3次元投影画像データを作成する際における手順を示すフローチャート。
【図4】図1に示すX線CT装置による骨抜き作業の手順の一例を説明する図。
【図5】図1に示すX線CT装置に内蔵された画像データ領域抽出システムの機能により、被検体の頭部を正面からみたSVR画像において選択された連結領域を膨張してSVR画像から削除する場合と、選択された連結領域を膨張せずにそのままSVR画像から削除する場合とを比較した図。
【図6】図5に示す被検体の頭部を右側からみたSVR画像において選択された連結領域を膨張してSVR画像から削除する場合と、選択された連結領域を膨張せずにそのままSVR画像から削除する場合とを比較した図。
【図7】図1に示すX線CT装置に内蔵された画像データ領域抽出システムの機能により、画像表示部に並列表示されたSVR画像およびカラーMIP画像の一例を示す図。
【図8】図1に示すX線CT装置に内蔵された画像データ領域抽出システムの機能により、MIP画像を作成する場合の手順と、従来のMIP画像の作成手順とを比較した図。
【図9】従来のMIP画像によるによる造影血管の観察に先立って実施される骨抜き作業の手順を説明する図。
【符号の説明】
【0101】
20 X線CT装置
21 ガントリ部
22 コンピュータ装置
23 X線管
24 高電圧発生装置
25 X線検出器
26 データ収集部
27 画像処理装置
28 画像表示部
29 入力部
29a マウス
29b 抽出ボタン
29c 処理開始ボタン
30 制御部
31 前処理部
32 メモリ部
33 画像再構成部
34 記憶装置
35 画像データ領域抽出システム
35a SVR用データ管理部
35b MIP用データ管理部
35c SVR画像作成部
35d MIP画像作成部
35e 連結領域指定部
35f 連結領域抽出部
35g MIP用連結領域削除部
35h 連結領域抽出確定部
35i SVR用連結領域削除部
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の生データを収集して3次元画像データを再構成する画像再構成手段と、
前記3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段と、
前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段と、
前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段と、
前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段と、
前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段と、
を有することを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記3次元投影画像表示手段は、前記3次元投影画像を前記3次元参照画像と並列に表示させるように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記3次元参照画像表示手段は、前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を前記3次元参照画像上において識別可能に表示させるように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記連結領域抽出手段は、前記連結領域を膨張あるいは収縮させることができるように構成される一方、前記連結領域削除手段は膨張あるいは収縮後における連結領域を前記第2の領域から削除するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項5】
画像診断装置により収集された3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段と、
前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段と、
前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段と、
前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段と、
前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段と、
を有することを特徴とする画像データ領域抽出システム。
【請求項6】
コンピュータを、
画像診断装置により収集された3次元画像データのうち第1の領域に含まれる3次元画像データを3次元参照画像として表示させる3次元参照画像表示手段、
前記3次元画像データのうち前記第1の領域内にある第2の領域に含まれる3次元画像データを3次元投影画像として表示させる3次元投影画像表示手段、
前記3次元参照画像を介して前記第2の領域から削除すべき連結領域を指定するための位置を取得する連結領域指定手段、
前記連結領域指定手段により取得された位置に連結する連結領域を予め設定された閾値に基づく閾値領域として求める連結領域抽出手段、および
前記第2の領域から前記連結領域抽出手段により求められた前記連結領域を削除することにより前記第2の領域を更新する連結領域削除手段、
として機能させることを特徴とする画像データ領域抽出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−135699(P2007−135699A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330407(P2005−330407)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】