X線CT装置
【課題】測定対象物を回転させるためのXYテーブル等の回転機構の軸受として、特に高精度のものを用いることなく、低コストのもとに、正確で鮮明な断層像を得ることのできるX線CT装置を提供する。
【解決手段】XYテーブル2に付されたマーカーMを光学カメラ6て撮影し、その撮影出力の画像処理部12での画像処理によりXYテーブル2の位置を求め、あらかじめ演算部13で算出された各投影角度での目標位置に対するずれを誤差算出部14で算出し、その算出結果に基づいて、各投影角度で採取したX線投影データの位置と角度を補正して再構成演算に供することで、回転精度に起因して実際の投影データがずれていても、最終的に得られる3次元情報を正確なものとする。
【解決手段】XYテーブル2に付されたマーカーMを光学カメラ6て撮影し、その撮影出力の画像処理部12での画像処理によりXYテーブル2の位置を求め、あらかじめ演算部13で算出された各投影角度での目標位置に対するずれを誤差算出部14で算出し、その算出結果に基づいて、各投影角度で採取したX線投影データの位置と角度を補正して再構成演算に供することで、回転精度に起因して実際の投影データがずれていても、最終的に得られる3次元情報を正確なものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回路基板等の各種工業製品などの検査に用いられる産業用のX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置においては、一般に、複数の方向から取得した測定対象物のX線投影データを再構成することにより、測定対象物の断層情報を含む画像を構築する。複数方向のX線投影データを得る方式、つまりCT撮影の方式としては、測定対象物の回りにX線発生装置とX線検出器の対を回転させる方式と、X線発生装置とX線検出器の対の間で測定対象物を搭載するテーブルを回転させる方式(例えば特許文献1参照)のほか、コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置し、測定対象物を搭載するテーブルをその上方に配置し、更にそのテーブルの上方に、当該テーブルに対して傾けた状態で2次元のX線検出器を配置し、そのX線検出器を、テーブルに直交する軸を中心として回転させる方式のものが知られている(例えば特許文献2参照)。この方式においては、X線検出器の視野中心に位置する測定対象物の位置が、X線検出器の回転に連れて刻々と変化するため、テーブルにはXYテーブルを用い、そのXYテーブルをX線検出器の回転位置に応じて自動的に移動させ、測定対象物上の観察ポイントが常にX線検出器の視野中心に位置するように制御する。
【0003】
また、上記したコーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置して、その上方にテーブルを介してX線検出器を斜めの姿勢で配置するタイプのX線CT装置において、X線検出器を回転させずに、斜めの姿勢で保持するとともに、テーブルを鉛直軸の回りに回転させてもよい。この方式の装置でも、テーブルをXYテーブルとするとともに、そのXYテーブルを回転機構により回転させる。
【0004】
その例を図12に示す。X線発生装置51は鉛直上方に向けてコーンビーム状のX線を発生し、その照射野内に2次元のX線検出器53が鉛直軸に対して斜めの姿勢で配置されている。X線発生装置51とX線検出器53の間に透視対象物Wを搭載するためのXYテーブル52が配置されている。このXYテーブル52は回転機構54によって鉛直軸の回りに回転が与えられる。X線発生装置51からのX線は、XYテーブル52を介して測定対象物Wを透過し、X線検出器53に入射する。XYテーブル52を所定の角度回転させるごとにX線検出器53の出力を記憶することにより、測定対象物Wの複数方向からのX線投影データを採取する。採取されたX線投影データは、演算装置による再構成演算に供され、試料Wの3次元断層情報が得られる。
【0005】
以上の構成において、XYテーブル52の材質はX線の透過率の高いもの、具体的にはカーボン等が用いられ、また、回転機構54は、測定対象物Wを通過するX線の妨げにならないように、XYテーブル52の外側を保持し、中央部分が大きく空いた構造、従って大径の軸受が用いられる。図13にその要部構成の例を斜視図で示す。この例では、スラスト軸受54aの回転輪54bの外周面にウォームギア54cを固着し、これをウォーム54dの駆動により回転させる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−189343号公報
【特許文献2】特開2006−292465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
X線CT装置においては、CT撮影時における回転機構の回転精度が、得られる断層情報の正確さ、あるいは画像の鮮明さに大きな影響を及ぼす。そのため、回転機構に用いられる軸受には、高精度のものが用いられる。しかしながら、高精度の軸受は価格が高いという問題があり、特に、図12に示した構成においては、回転機構の軸受として大径のものが必要となるが、直径の大きい軸受は精度が出にくい関係上、高精度のものは相当に高コストとなる。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、測定対象物を回転させるための回転テーブルないしは回転台の軸受として、特に高精度のものを用いることなく、従って比較的低コストのもとに、正確で鮮明な断層像を得ることのできるX線CT装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明のX線CT装置は、コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段によるXYテーブルの位置検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動軸方向および上記回転機構の回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことによって特徴づけられる。
【0010】
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明のX線CT装置は、同じくコーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取に当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0011】
ここで、上記した請求項1または2に係る発明のX線CT装置においては、上記X線発生装置が上記XYテーブルの上方に配置され、上記光学カメラは、上記XYテーブルの回転中心の直下で、かつ、上記X線検出器の視野外に配置されている構成(請求項3)を採用することができる。
【0012】
一方、請求項4に係る発明のX線CT装置は、水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段による回転テーブルの位置の検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動方向および上記回転テーブルの回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことによって特徴づけられる。
【0013】
また、請求項5に係る発明のX線CT装置は、同じく水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、上記回転テーブルの上にXYテーブルが設けられているとともに、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データを採取するに当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0014】
以上の請求項1〜5に係る発明においては、上記マーカーは、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付され、上記画像処理手段は、光学カメラにより撮影された複数個のマーカーのうちの一つを観察対象としてその位置を算出するとともに、同じ視野内に存在する別のマーカーを併せて測定対象とし、観察対象とするマーカーが視野外に出たときに、上記測定対象とするマーカーを観察対象に切り換える(請求項6)を採用することができる。
【0015】
また、以上の請求項1〜5に係る発明においては、上記光学カメラが、XYテーブルの回転機構もしくは回転テーブルの中心軸上に配置されて上記マーカーを撮影するように構成すること(請求項7)が好ましい。
【0016】
あるいは、請求項1、2および4〜6に係る発明においては、上記マーカーが、上記回転機構もしくは回転テーブルの回転中心を挟んで両側に配された2台の光学カメラにより撮影され、その各撮影出力が上記画像処理手段による位置検出に供されるように構成すること(請求項8)もできる。
【0017】
本発明は、測定対象物を回転させるための回転機構ないしは回転テーブルの回転精度を厳密に高精度とすることなく、CT撮影時に投影方向を変化させるべく回転する部材に付したマーカーを光学カメラで撮影し、画像処理によって当該部材の位置を検出して、その検出結果に応じて、投影データを補正し、あるいは測定対象物の位置を補正することで、課題を解決しようとするものである。
【0018】
すなわち、請求項1、2および3に係る発明は、前記した図12に示したタイプのX線CT装置に本発明を適用したものであり、CT撮影時に回転が与えられるXYテーブルについて、各回転角度での目標位置をあらかじめ算出しておく一方、CT撮影時には,当該XYテーブルに付したマーカーを光学カメラで撮影し、画像処理によってCT撮影時の各回転角度での位置を求める。そして、検出位置の目標位置に対する誤差を算出する。この誤差は、XYテーブル移動方向への位置(2軸方向)と、回転機構の回転角度を含み、請求項1に係る発明では、その誤差を含んだ状態でX線投影データを取り込み、その取り込んだX線投影データを、誤差分だけ補正して再構成演算に供する。具体的には、X線投影データを上記の2軸方向への誤差分だけ平行移動させて再構成演算に供するとともに、回転角度の誤差分だけ、再構成演算に用いる角度を補正して、つまり誤差を含んだ実際の回転角度のデータとして再構成演算を行う。これにより、再構成演算結果は実質的に回転精度の影響を受けない正確なものとなる。
【0019】
また、請求項2に係る発明では、上記と同様にして誤差を算出し、その算出結果に基づき、その誤差を解消するように、XYテーブルを駆動制御する。これにより、測定対象物は実質的に正しく目標位置にまで回転が与えられた状態となり、その状態でX線投影データを採取することで、正確な撮影を行うことができる。
【0020】
また、請求項2に係る発明では、上記と同じ誤差を算出し、その算出結果に基づき、XYテーブルと回転機構を駆動することなく、つまり誤差を含んだ状態でX線投影データを採取し、再構成演算時にデータ側を補正する。具体的には、例えばX線投影データを上記の2軸方向への誤差分だけ平行移動させて再構成演算に供するとともに、回転角度の誤差分だけ、再構成演算に用いる角度を補正して演算を行う。これにより、再構成演算結果は回転精度の影響が抑制されてほぼ正確なものとなる。
【0021】
請求項4および5に係る発明は、回転テーブルの回転軸とX線光軸方向が互いに直交するタイプのX線CT装置に本発明を適用したものであり、回転テーブルに付したマーカーを上記と同様に光学カメラで撮影し、その撮影画像を画像処理することによって、回転テーブルの水平2軸方向への位置と回転角度を検出する。請求項4に係る発明では、請求項1に係る発明と同様に、各回転角度(投影データ採取位置)における目標位置と、画像処理により求められた検出位置との誤差を水平2軸方向位置と回転角度について算出し、実際の位置は補正せずにX線投影データを取り込み、再構成演算に供すべき投影データを、当該投影データの採取時において算出した誤差に応じて、投影データの2軸方向位置を補正するとともに、再構成に使用する当該データの角度も誤差分だけ変化させる。これにより、回転テーブルの誤差は3次元情報に現れない。
【0022】
一方、請求項5に係る発明では、回転テーブル上にXYテーブルを設け、前記した請求項2に係る発明と同様に、各回転角度における目標位置と画像処理により求められた検出位置との誤差を水平2軸方向と回転角度について算出し、その結果に応じて、誤差を解消するようにXYテーブルの位置を補正し、その位置の補正状態でX線投影データを取り込む。
【0023】
ここで、以上の各発明においては、上記マーカーを、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付しておき、上記画像処理手段は、複数のマーカーの映像の位置情報を用いた最小二乗法により、上記XYテーブルの位置を求める構成(請求項6)を採用することができる。
【0024】
また、マーカーを撮影するための光学カメラの配設位置は特に限定されるものではないが、その光学カメラの視野中心が、XYテーブルもしくは回転テーブルの回転中心軸から離れると、回転角度の検出精度が低下する。これを解消するには、請求項7に係る発明のように、光学カメラをXYテーブルを回転させる回転機構、もしくは回転テーブルの回転中心軸上に配置すればよい。
【0025】
あるいは、請求項8に係る発明のように、上記の回転中心軸を挟んでその両側にそれぞれ光学カメラを配置し、その2台の光学カメラからのマーカーの撮影出力の双方を位置検出のための画像処理に供することにより、検出精度の低下を抑制することができる。
【0026】
ここで、請求項1および2に係る発明の構成、すなわちXYテーブルを回転機構により回転させ、その回転中心軸に対して斜めの姿勢でX線検出器を配置し、XYテーブルを挟んでその反対側にX線発生装置を配置した構成では、XYテーブルの上面は測定対象物が搭載されるため、光学カメラはXYテーブルの下面側に付したマーカーを撮影する必要がある。X線発生装置をXYテーブルの下側に配置するこの種の装置の通常の配置では、光学カメラとX線発生装置が干渉し、光学カメラをXYテーブルの回転中心軸上に配置できない場合がある。前記したように、光学カメラはXYテーブルの回転中心軸上に配置することが好ましく、これを実現するのが請求項3に係る発明であり、この請求項3に係る発明の構成の採用により、X線発生装置が大型であっても、光学カメラはXYテーブルを挟んでX線発生装置と反対側に配置するが故に、光学カメラの視野中心と回転中心軸とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、CT撮影時に測定対象物に回転を与える回転機構や回転テーブルの軸受として、特に回転精度の高い高価なものを用いることなく、実質的に高い回転精度の軸受を用いた場合と同等の3次元情報ないしは断層像が得られる。しかも、そのために必要な部材は光学カメラによる撮影系とソフトウエアですむため、トータルコストを大きく低減することができる。
【0028】
特に、測定対象物を搭載するXYテーブルを透過したX線を、回転軸に対して斜めの姿勢で配置したX線検出器で検出するタイプのCT装置では、透視装置とベースモデルを共用させる場合が多く、透視装置として用いる場合にはXYテーブルを回転させる回転機構にさほどの精度は要求されないため、低コストの軸受を用いたベースモデルに対し、CT装置として用いる場合に限って光学カメラとその映像出力を用いた画像処理による位置検出ソフトを追加することで、コストの安い設計のもとに、CT機能なしの低コストモデルから、CT機能付きの高機能モデルまでラインナップを整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図と機能的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるXYテーブルの下面に付されるマーカーを光学カメラで撮影した画像の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態によるCT撮影から再構成演算までの動作の手順の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態において、マーカーの映像を用いた画像処理によりXYテーブルの位置情報を算出するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における光学カメラの配置の例を示す図であり、平面視による配置図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態の機械的構成を表す模式図である。
【図7】本発明の更にまた他の実施の形態によるCT撮影から再構成演算までの動作を示すフローチャートである。
【図8】水平のX線光軸と鉛直の回転中心軸を備えたX線CT装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【図9】図8のX線CT装置に本発明を適用する場合の光学カメラの配置の例を示す図である。
【図10】図8のX線CT装置に本発明を適用する場合の光学カメラの他の配置の例を示す図である。
【図11】本発明で用いることのできるマーカーの他の例の説明図である。
【図12】コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置し、その上方にXYテーブルを介してX線検出器を斜めの姿勢で配置するとともに、XYテーブルを回転させるタイプのX線CT装置の構成例を示す模式図である。
【図13】図11の装置における回転機構の要部構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について述べる。
図1は本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図と機能的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【0031】
X線発生装置1は鉛直上方に向けてコーンビーム状のX線を発生する。そのX線発生装置1の直上に水平にXYテーブル2が配置されており、その斜め上方に2次元のX線検出器3が設けられている。
【0032】
XYテーブル2は、図13に示したものと同等の回転機構4、すなわちXYテーブル2の外周部分を支承する軸受4aと、その回転輪側の外周面に固定されたウォームギア4b、そのウォームギア4bに噛み合うウォーム4c、そのウォーム4cに回転を与えるモータ(図示略)と、そのモータに駆動信号を供給する回転機構用ドライバ4d等によって構成されてなる回転機構4によって、鉛直(z軸方向)の回転中心軸Rの回りに回転が与えられる。
【0033】
また、このXYテーブル2は、XY駆動機構5の駆動により当該XYテーブル2の広がり方向、つまり回転軸Rに直交する平面上で互いに直交する2軸方向(x軸方向.y軸方向)に移動する。なお、XY駆動機構5は図1において1つのブロックで示しているが、実際には各軸方向それぞれに対応してモータおよびドライバを備えた公知のものである。
【0034】
X線検出器3は、実際には傾動機構に支持されて回転軸Rに対する傾動角度を任意に設定することができるようになっているが、図1ではその図示を省略している。
【0035】
XYテーブル2の下面には、図2に例示するような複数のマーカーMが一定の間隔で付されている。このXYテーブル2の下方には、当該XYテーブル2の下面に付されたマーカーMを撮影するための光学カメラ6が配置されている。この光学カメラ6からの撮影出力を用いて画像処理により、後述するようにXYテーブル2の位置が計測される。ここで、図2は光学カメラ6により撮影した画像の例を示すものである。
【0036】
CT撮影に際しては、X線発生装置1からのX線をXYテーブル2上の測定対象物Wに照射しながら、XYテーブル2を回転軸Rの回りに回転させ、その複数の回転位置でX線検出器3からの出力、つまり複数の投影角度での測定対象物WのX線投影データを取り込む。
【0037】
CT撮影時におけるXYテーブル2の各回転角度でのX線検出器3の出力は画像データ取り込み回路7を介して投影データ記憶部8に逐次格納される。CT撮影の終了後、つまり360°分の投影データの収集が終了した後、これらの投影データは再構成演算部9による再構成演算に供され、測定対象物Wの3次元断層画像が構築される。この3次元断層画像は断層データ記憶部10に記憶される。
【0038】
光学カメラ6の出力は画像データ取り込み回路11を介して画像処理部12によって処理され、後述するようにXYテーブル2の位置情報が求められる。一方、各投影角度におけるXYテーブ2の目標位置、すなわち当初位置(撮影開始位置)を基準として各投影角度において正しくその角度だけ回転したときの位置は、ビュー数ないしはビュー角度が設定されることによって演算部13において算出される。そして、その各投影角度での目標位置の算出結果と、画像処理部12によるXYテーブルの位置情報は誤差算出部14に取り込まれ、これら両者の差、つまり位置の誤差が算出される。この算出された誤差は、後述するように投影データ補正部15によるデータの位置の補正等に供される。
【0039】
上記した回転機構4、XY移動機構5、画像データ取り込み回路7、投影データ記憶部8、再構成演算部9、断層データ記憶部10、画像データ取り込み回路11、画像処理部12、演算部13、誤差算出部14および投影データ補正部15は、制御部16の制御下に置かれている。この制御部16には、ジョイスティックやキーボード、マウス等からなる操作部17が接続されており、この操作部17の操作により、制御部16に対して各種指令を与えたり、あるいはXYテーブル2を随意に移動させることができ、また、この操作部17の操作により、投影データ記憶部8内の投影画像や、断層データ記憶部10内の3次元断層情報を選択的に表示器18に表示させることができる。
【0040】
なお、制御部16並びにそれに制御される上記した各部は、実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、インストールされているプログラムに従って各機能を実現するのであるが、図1では説明の便宜上、主要な機能ごとにブロックによって表している。
【0041】
次に、CT撮影〜再構成演算までの動作について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、測定対象物WをXYテーブル2の上に載せて位置決めをして初期位置を決定した後、ビュー数、従って実質的に各投影角度等の撮影条件を設定する。これにより、演算部13は初期位置を起点として各投影角度でのXYテーブル2の目標位置を算出する。
【0042】
その後、CT撮影開始指令を与えることによって、まず、その初期位置でのX線投影データを採取すると同時に、光学カメラ6の出力を取り込んで初期位置でのマーカーMの画像を取得した後、回転機構4を駆動してXYテーブル2を設定角度だけ回転させる。
【0043】
回転後、上記と同様にX線投影データを採取すると同時に、光学カメラ6からの映像データを取り込み、マーカーMの映像から後述するようにXYテーブル2の位置情報を得る。その位置情報を用いて、回転後のXYテーブル2の位置の先に算出している当該角度での目標位置に対する誤差を算出する。
【0044】
光学カメラ6によるマーカーMの映像からXYテーブル2の位置情報を得る手法について以下に説明する。
図4に示すように、XYテーブル2に付された複数のマーカーM,M,・・のうちの一つを考える。θだけ回転した座標系における移動後のマーカーMの中心は、回転前のマーカーMの座標を(x,y)、回転後のマーカーMの座標を(x′,y′)とし、θだけ回転するものとすると
【0045】
【数1】
で表すことができる。そして、回転機構4の精度に起因して、より具体的には軸受4aaの回転精度を主因として、回転中心が(X,Y)だけ移動した場合には、
【0046】
【数2】
と表すことができる。
【0047】
光学カメラ6の視野内にある複数のマーカーMについて(2)式の関係が成立するので、各マーカーMに関する(2)式の関係を用いた最小二乗法による近似によって、回転中心の移動(X,Y)と実際の回転角度θを算出することができる。
【0048】
このようにして算出された回転後の位置情報は、先に算出した該当角度での目標位置と比較され、目標位置に対する計測位置の誤差を算出して投影データとともに記憶する。
以上の動作を各投影角度において実行し、360°分の投影データが揃った時点でCT撮影を終了し、再構成演算によって測定対象物Wの3次元情報を構築するのであるが、この再構成演算においては、各投影角度での投影データについては、それぞれにマーカーMの映像を用いた画像処理によって求められた回転誤差によるずれX,Yと、実際の回転角度を用いてデータ補正が行われる。
【0049】
すなわち、回転笹による平行移動成分X,Yをもとに検出器平面内における位置ずれ量に換算し直し、投影データを補正して後、再構成演算に供するとともに、その投影データの採取角度、つまり投影角度を実際に計測されたθとして再構成演算を行う。
以上の動作により、回転機構4の軸受4aとして高精度のものを用いることなく、つまりXYテーブル2の回転精度が悪くても、高精度の軸受を用いて正確な回転を与えた場合と等価な3次元情報が得られる。
【0050】
ここで、上記した実施の形態においては、光学カメラ6を回転機構4の回転中心軸上に配置した例を示したが、X線発生装置1によっては干渉によりそのような配置が不可能な場合がある、光学カメラ6の視野中心が回転中心軸から離れることによって、回転角度θの計測精度が低下する場合がある。このような場合、図5に平面視で配置図を示すように、回転機構4による回転中心Rを挟んでその両側に光学カメラ6を配置し、これらの2台の光学カメラ6からの映像信号の双方を用いて、前記した最小二乗法による近似により回転角度θの計測精度を向上させることができる。
【0051】
また、図1に示した各機器の配置では、以上のようにX線発生装置1と光学カメラ6の干渉の可能性があるが、図6に示す配置によって、この問題を解消して光学カメラ6を回転機構4の回転中心軸上に位置させることができる。
【0052】
すなわち、図6の構成では、XYテーブル2の上方にX線発生装置1を配置し、下方にX線検出器3を配置している。XYテーブル2のマーカーMは、当該XYテーブル2の上面に測定対象物Wを搭載する関係上、現実的には下面側に付する必要があるが、そのために光学カメラ6はXYテーブル2の下側に配置することが必須となる。そこで、X線発生装置1をXYテーブル2の上側に配置し、X線検出器3を下側に配置することにより、光学カメラ6はX線発生装置1との干渉を考慮することなく、XYテーブル2の回転中心軸R上に配置することができる。
【0053】
また、図1の実施の形態では、光学カメラ6の映像出力を用いた画像処理によって計測したXYテーブル2の位置情報から、目標位置に対する誤差を算出し、その誤差に基づいて投影データを補正したが、同様にして求められた誤差に基づいて、XYテーブル2を移動させてもよい。その動作を図7にフローチャートで示す。
【0054】
この例では、測定対象物をXYテーブル2上に載せて初期位置を決定し、投影角度等の撮影条件を設定することにより各投影角度での目標位置を算出し、CT撮影開始指令を付与することによって初期位置での投影データおよび光学カメラ6の映像データを採取した後、回転機構2によりXYテーブル2を設定角度だけ回転させ、その状態で光学カメラ6の映像データを採取するところまでは先の例と同じであるが、その後、投影データを採取せずに、光学カメラ6の映像から画像処理により回転中心の移動量(X,Y)と回転角度θを算出し、目標位置との比較により誤差を算出する。そして、その算出結果に基づいて、誤差を解消するようにXYテーブル2と回転機構4を駆動する。そのうえで、投影データを採取する。360°分のデータが揃ったら、撮影動作を終了して再構成演算により3次元情報を構築するが、この場合、採取した投影データをそのまま用いる。
【0055】
以上の動作によっても、先の実施の形態と同様に、軸受4aの回転精度を主因とする位置のずれあっても、そのずれがない場合と等価な3次元情報が得られる。
【0056】
ここで、誤差に基づくXYテーブル2の移動については、x−y平面上での移動により誤差の解消だけでも、位置のずれがある場合に比して3次元情報を大幅に改善することができる。また、回転角度θの誤差については、先の例と同様に再構成演算時に計測された実際の角度での投影データであるとして演算を行ってもよい。
【0057】
次に、本発明を産業用のX線CT装置として多用されている構成、すなわち、水平方向にX線光軸を設け、鉛直の回転軸の回りに測定対象物を搭載する回転テーブルを回転させる構造の装置に適用する例を示す。このような構成のX線CT装置は図8に斜視図で模式的に例示する通りである。
【0058】
X線発生装置101はX線光軸Lが水平方向を向くように配置され、回転テーブル102を挟んでその反対側にX線検出器103が配置される。回転テーブル102は測定対象物Wを搭載して鉛直の回転中心軸Rの回りに回転する。
【0059】
このような構成のX線CT装置において、図9に回転テーブル102の近傍の部分断面図を示すように、回転テーブル102は軸受104の回転輪104a側に固定された状態で当該軸受104に支承され、軸受104の固定輪104bは支持部材104cに固定される。この例において回転テーブル102の上には測定対象物Wを搭載固定するための試料台102aが配置されているとともに、回転テーブル102の下面には、前記した図2に例示するような複数のマーカーMが付されており、支持部材104cには、軸受104の回転中心軸上に位置するように光学カメラ106が固定されている。この光学カメラ106により回転テーブル102の下面のマーカーMを撮影し、先の例と同様な手法によって、回転テーブル102の回転時における回転中心のずれと回転角度の誤差を算出するとともに、その結果に基づいて投影データを平行移動による補正、並びに再構成演算における投影角度の補正を行うことによって、軸受104の回転精度が悪くても高い精度の3次元情報が得られる。
【0060】
回転テーブル102の下面側にスペース的に光学カメラ106を配置できない場合には、図10に示すように、回転テーブル102の上面の試料台102の周囲に複数のマーカーを付すとともに、その上面側に光学カメラ106を配置する。この場合,光学カメラ106は回転中心軸R上に配置できないため、回転中心軸Rを挟んで両側に光学カメラ106を配置し、これらの2台の光学カメラ106の出力の双方を用いて、各マーカーの位置情報から最小二乗法により回転中心軸のずれと実際の回転角度を求めればよい。
【0061】
以上の図9ないしは図10に示した例においても、求められた回転中心軸のずれX,Yと回転角度θに基づいて投影データを補正してもよいし、あるいは、誤差分だけ測定対象物Wを移動させたうえで投影データを採取してもよい。その場合、回転テーブル102の上にXYテーブルを設け、そのXYテーブル上に試料台102aを配置して、位置ずれの補正はそのXYテーブルの駆動によって行うことができる。
【0062】
なお、本発明においては、XYテーブルないしは回転テーブルに付するマーカーの形状等については特に限定されるものではないが、図2に示したような円形のほか、図11に示すような矩形のものを用いることができる。この図11に示す矩形のマーカーMは、その形状が周方向に異形であるがゆえに、光学カメラを回転中心軸上に配置してマーカーを撮影したとき、マーカーの姿勢からも回転角度の情報を得ることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0063】
1 X線発生装置
2 XYテーブル
3 X線検出器
4 回転機構
4a 軸受
4b ウォームギア
4c ウォーム
4d 回転機構用ドライバ
5 XY移動機構
6 光学カメラ
7 画像データ取り込み回路
8 投影データ記憶部
9 再構成演算部
10 断層データ記憶部
11 画像データ取り込み回路
12 画像処理部
13 演算部
14 誤差算出部
15 投影データ補正部
16 制御部
17操作部
18 表示器
M マーカー
R 回転中心軸
W 測定対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回路基板等の各種工業製品などの検査に用いられる産業用のX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置においては、一般に、複数の方向から取得した測定対象物のX線投影データを再構成することにより、測定対象物の断層情報を含む画像を構築する。複数方向のX線投影データを得る方式、つまりCT撮影の方式としては、測定対象物の回りにX線発生装置とX線検出器の対を回転させる方式と、X線発生装置とX線検出器の対の間で測定対象物を搭載するテーブルを回転させる方式(例えば特許文献1参照)のほか、コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置し、測定対象物を搭載するテーブルをその上方に配置し、更にそのテーブルの上方に、当該テーブルに対して傾けた状態で2次元のX線検出器を配置し、そのX線検出器を、テーブルに直交する軸を中心として回転させる方式のものが知られている(例えば特許文献2参照)。この方式においては、X線検出器の視野中心に位置する測定対象物の位置が、X線検出器の回転に連れて刻々と変化するため、テーブルにはXYテーブルを用い、そのXYテーブルをX線検出器の回転位置に応じて自動的に移動させ、測定対象物上の観察ポイントが常にX線検出器の視野中心に位置するように制御する。
【0003】
また、上記したコーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置して、その上方にテーブルを介してX線検出器を斜めの姿勢で配置するタイプのX線CT装置において、X線検出器を回転させずに、斜めの姿勢で保持するとともに、テーブルを鉛直軸の回りに回転させてもよい。この方式の装置でも、テーブルをXYテーブルとするとともに、そのXYテーブルを回転機構により回転させる。
【0004】
その例を図12に示す。X線発生装置51は鉛直上方に向けてコーンビーム状のX線を発生し、その照射野内に2次元のX線検出器53が鉛直軸に対して斜めの姿勢で配置されている。X線発生装置51とX線検出器53の間に透視対象物Wを搭載するためのXYテーブル52が配置されている。このXYテーブル52は回転機構54によって鉛直軸の回りに回転が与えられる。X線発生装置51からのX線は、XYテーブル52を介して測定対象物Wを透過し、X線検出器53に入射する。XYテーブル52を所定の角度回転させるごとにX線検出器53の出力を記憶することにより、測定対象物Wの複数方向からのX線投影データを採取する。採取されたX線投影データは、演算装置による再構成演算に供され、試料Wの3次元断層情報が得られる。
【0005】
以上の構成において、XYテーブル52の材質はX線の透過率の高いもの、具体的にはカーボン等が用いられ、また、回転機構54は、測定対象物Wを通過するX線の妨げにならないように、XYテーブル52の外側を保持し、中央部分が大きく空いた構造、従って大径の軸受が用いられる。図13にその要部構成の例を斜視図で示す。この例では、スラスト軸受54aの回転輪54bの外周面にウォームギア54cを固着し、これをウォーム54dの駆動により回転させる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−189343号公報
【特許文献2】特開2006−292465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
X線CT装置においては、CT撮影時における回転機構の回転精度が、得られる断層情報の正確さ、あるいは画像の鮮明さに大きな影響を及ぼす。そのため、回転機構に用いられる軸受には、高精度のものが用いられる。しかしながら、高精度の軸受は価格が高いという問題があり、特に、図12に示した構成においては、回転機構の軸受として大径のものが必要となるが、直径の大きい軸受は精度が出にくい関係上、高精度のものは相当に高コストとなる。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、測定対象物を回転させるための回転テーブルないしは回転台の軸受として、特に高精度のものを用いることなく、従って比較的低コストのもとに、正確で鮮明な断層像を得ることのできるX線CT装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明のX線CT装置は、コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段によるXYテーブルの位置検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動軸方向および上記回転機構の回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことによって特徴づけられる。
【0010】
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明のX線CT装置は、同じくコーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取に当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0011】
ここで、上記した請求項1または2に係る発明のX線CT装置においては、上記X線発生装置が上記XYテーブルの上方に配置され、上記光学カメラは、上記XYテーブルの回転中心の直下で、かつ、上記X線検出器の視野外に配置されている構成(請求項3)を採用することができる。
【0012】
一方、請求項4に係る発明のX線CT装置は、水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段による回転テーブルの位置の検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動方向および上記回転テーブルの回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことによって特徴づけられる。
【0013】
また、請求項5に係る発明のX線CT装置は、同じく水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、上記回転テーブルの上にXYテーブルが設けられているとともに、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データを採取するに当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0014】
以上の請求項1〜5に係る発明においては、上記マーカーは、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付され、上記画像処理手段は、光学カメラにより撮影された複数個のマーカーのうちの一つを観察対象としてその位置を算出するとともに、同じ視野内に存在する別のマーカーを併せて測定対象とし、観察対象とするマーカーが視野外に出たときに、上記測定対象とするマーカーを観察対象に切り換える(請求項6)を採用することができる。
【0015】
また、以上の請求項1〜5に係る発明においては、上記光学カメラが、XYテーブルの回転機構もしくは回転テーブルの中心軸上に配置されて上記マーカーを撮影するように構成すること(請求項7)が好ましい。
【0016】
あるいは、請求項1、2および4〜6に係る発明においては、上記マーカーが、上記回転機構もしくは回転テーブルの回転中心を挟んで両側に配された2台の光学カメラにより撮影され、その各撮影出力が上記画像処理手段による位置検出に供されるように構成すること(請求項8)もできる。
【0017】
本発明は、測定対象物を回転させるための回転機構ないしは回転テーブルの回転精度を厳密に高精度とすることなく、CT撮影時に投影方向を変化させるべく回転する部材に付したマーカーを光学カメラで撮影し、画像処理によって当該部材の位置を検出して、その検出結果に応じて、投影データを補正し、あるいは測定対象物の位置を補正することで、課題を解決しようとするものである。
【0018】
すなわち、請求項1、2および3に係る発明は、前記した図12に示したタイプのX線CT装置に本発明を適用したものであり、CT撮影時に回転が与えられるXYテーブルについて、各回転角度での目標位置をあらかじめ算出しておく一方、CT撮影時には,当該XYテーブルに付したマーカーを光学カメラで撮影し、画像処理によってCT撮影時の各回転角度での位置を求める。そして、検出位置の目標位置に対する誤差を算出する。この誤差は、XYテーブル移動方向への位置(2軸方向)と、回転機構の回転角度を含み、請求項1に係る発明では、その誤差を含んだ状態でX線投影データを取り込み、その取り込んだX線投影データを、誤差分だけ補正して再構成演算に供する。具体的には、X線投影データを上記の2軸方向への誤差分だけ平行移動させて再構成演算に供するとともに、回転角度の誤差分だけ、再構成演算に用いる角度を補正して、つまり誤差を含んだ実際の回転角度のデータとして再構成演算を行う。これにより、再構成演算結果は実質的に回転精度の影響を受けない正確なものとなる。
【0019】
また、請求項2に係る発明では、上記と同様にして誤差を算出し、その算出結果に基づき、その誤差を解消するように、XYテーブルを駆動制御する。これにより、測定対象物は実質的に正しく目標位置にまで回転が与えられた状態となり、その状態でX線投影データを採取することで、正確な撮影を行うことができる。
【0020】
また、請求項2に係る発明では、上記と同じ誤差を算出し、その算出結果に基づき、XYテーブルと回転機構を駆動することなく、つまり誤差を含んだ状態でX線投影データを採取し、再構成演算時にデータ側を補正する。具体的には、例えばX線投影データを上記の2軸方向への誤差分だけ平行移動させて再構成演算に供するとともに、回転角度の誤差分だけ、再構成演算に用いる角度を補正して演算を行う。これにより、再構成演算結果は回転精度の影響が抑制されてほぼ正確なものとなる。
【0021】
請求項4および5に係る発明は、回転テーブルの回転軸とX線光軸方向が互いに直交するタイプのX線CT装置に本発明を適用したものであり、回転テーブルに付したマーカーを上記と同様に光学カメラで撮影し、その撮影画像を画像処理することによって、回転テーブルの水平2軸方向への位置と回転角度を検出する。請求項4に係る発明では、請求項1に係る発明と同様に、各回転角度(投影データ採取位置)における目標位置と、画像処理により求められた検出位置との誤差を水平2軸方向位置と回転角度について算出し、実際の位置は補正せずにX線投影データを取り込み、再構成演算に供すべき投影データを、当該投影データの採取時において算出した誤差に応じて、投影データの2軸方向位置を補正するとともに、再構成に使用する当該データの角度も誤差分だけ変化させる。これにより、回転テーブルの誤差は3次元情報に現れない。
【0022】
一方、請求項5に係る発明では、回転テーブル上にXYテーブルを設け、前記した請求項2に係る発明と同様に、各回転角度における目標位置と画像処理により求められた検出位置との誤差を水平2軸方向と回転角度について算出し、その結果に応じて、誤差を解消するようにXYテーブルの位置を補正し、その位置の補正状態でX線投影データを取り込む。
【0023】
ここで、以上の各発明においては、上記マーカーを、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付しておき、上記画像処理手段は、複数のマーカーの映像の位置情報を用いた最小二乗法により、上記XYテーブルの位置を求める構成(請求項6)を採用することができる。
【0024】
また、マーカーを撮影するための光学カメラの配設位置は特に限定されるものではないが、その光学カメラの視野中心が、XYテーブルもしくは回転テーブルの回転中心軸から離れると、回転角度の検出精度が低下する。これを解消するには、請求項7に係る発明のように、光学カメラをXYテーブルを回転させる回転機構、もしくは回転テーブルの回転中心軸上に配置すればよい。
【0025】
あるいは、請求項8に係る発明のように、上記の回転中心軸を挟んでその両側にそれぞれ光学カメラを配置し、その2台の光学カメラからのマーカーの撮影出力の双方を位置検出のための画像処理に供することにより、検出精度の低下を抑制することができる。
【0026】
ここで、請求項1および2に係る発明の構成、すなわちXYテーブルを回転機構により回転させ、その回転中心軸に対して斜めの姿勢でX線検出器を配置し、XYテーブルを挟んでその反対側にX線発生装置を配置した構成では、XYテーブルの上面は測定対象物が搭載されるため、光学カメラはXYテーブルの下面側に付したマーカーを撮影する必要がある。X線発生装置をXYテーブルの下側に配置するこの種の装置の通常の配置では、光学カメラとX線発生装置が干渉し、光学カメラをXYテーブルの回転中心軸上に配置できない場合がある。前記したように、光学カメラはXYテーブルの回転中心軸上に配置することが好ましく、これを実現するのが請求項3に係る発明であり、この請求項3に係る発明の構成の採用により、X線発生装置が大型であっても、光学カメラはXYテーブルを挟んでX線発生装置と反対側に配置するが故に、光学カメラの視野中心と回転中心軸とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、CT撮影時に測定対象物に回転を与える回転機構や回転テーブルの軸受として、特に回転精度の高い高価なものを用いることなく、実質的に高い回転精度の軸受を用いた場合と同等の3次元情報ないしは断層像が得られる。しかも、そのために必要な部材は光学カメラによる撮影系とソフトウエアですむため、トータルコストを大きく低減することができる。
【0028】
特に、測定対象物を搭載するXYテーブルを透過したX線を、回転軸に対して斜めの姿勢で配置したX線検出器で検出するタイプのCT装置では、透視装置とベースモデルを共用させる場合が多く、透視装置として用いる場合にはXYテーブルを回転させる回転機構にさほどの精度は要求されないため、低コストの軸受を用いたベースモデルに対し、CT装置として用いる場合に限って光学カメラとその映像出力を用いた画像処理による位置検出ソフトを追加することで、コストの安い設計のもとに、CT機能なしの低コストモデルから、CT機能付きの高機能モデルまでラインナップを整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図と機能的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるXYテーブルの下面に付されるマーカーを光学カメラで撮影した画像の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態によるCT撮影から再構成演算までの動作の手順の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態において、マーカーの映像を用いた画像処理によりXYテーブルの位置情報を算出するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における光学カメラの配置の例を示す図であり、平面視による配置図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態の機械的構成を表す模式図である。
【図7】本発明の更にまた他の実施の形態によるCT撮影から再構成演算までの動作を示すフローチャートである。
【図8】水平のX線光軸と鉛直の回転中心軸を備えたX線CT装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【図9】図8のX線CT装置に本発明を適用する場合の光学カメラの配置の例を示す図である。
【図10】図8のX線CT装置に本発明を適用する場合の光学カメラの他の配置の例を示す図である。
【図11】本発明で用いることのできるマーカーの他の例の説明図である。
【図12】コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置を固定配置し、その上方にXYテーブルを介してX線検出器を斜めの姿勢で配置するとともに、XYテーブルを回転させるタイプのX線CT装置の構成例を示す模式図である。
【図13】図11の装置における回転機構の要部構成の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について述べる。
図1は本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図と機能的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【0031】
X線発生装置1は鉛直上方に向けてコーンビーム状のX線を発生する。そのX線発生装置1の直上に水平にXYテーブル2が配置されており、その斜め上方に2次元のX線検出器3が設けられている。
【0032】
XYテーブル2は、図13に示したものと同等の回転機構4、すなわちXYテーブル2の外周部分を支承する軸受4aと、その回転輪側の外周面に固定されたウォームギア4b、そのウォームギア4bに噛み合うウォーム4c、そのウォーム4cに回転を与えるモータ(図示略)と、そのモータに駆動信号を供給する回転機構用ドライバ4d等によって構成されてなる回転機構4によって、鉛直(z軸方向)の回転中心軸Rの回りに回転が与えられる。
【0033】
また、このXYテーブル2は、XY駆動機構5の駆動により当該XYテーブル2の広がり方向、つまり回転軸Rに直交する平面上で互いに直交する2軸方向(x軸方向.y軸方向)に移動する。なお、XY駆動機構5は図1において1つのブロックで示しているが、実際には各軸方向それぞれに対応してモータおよびドライバを備えた公知のものである。
【0034】
X線検出器3は、実際には傾動機構に支持されて回転軸Rに対する傾動角度を任意に設定することができるようになっているが、図1ではその図示を省略している。
【0035】
XYテーブル2の下面には、図2に例示するような複数のマーカーMが一定の間隔で付されている。このXYテーブル2の下方には、当該XYテーブル2の下面に付されたマーカーMを撮影するための光学カメラ6が配置されている。この光学カメラ6からの撮影出力を用いて画像処理により、後述するようにXYテーブル2の位置が計測される。ここで、図2は光学カメラ6により撮影した画像の例を示すものである。
【0036】
CT撮影に際しては、X線発生装置1からのX線をXYテーブル2上の測定対象物Wに照射しながら、XYテーブル2を回転軸Rの回りに回転させ、その複数の回転位置でX線検出器3からの出力、つまり複数の投影角度での測定対象物WのX線投影データを取り込む。
【0037】
CT撮影時におけるXYテーブル2の各回転角度でのX線検出器3の出力は画像データ取り込み回路7を介して投影データ記憶部8に逐次格納される。CT撮影の終了後、つまり360°分の投影データの収集が終了した後、これらの投影データは再構成演算部9による再構成演算に供され、測定対象物Wの3次元断層画像が構築される。この3次元断層画像は断層データ記憶部10に記憶される。
【0038】
光学カメラ6の出力は画像データ取り込み回路11を介して画像処理部12によって処理され、後述するようにXYテーブル2の位置情報が求められる。一方、各投影角度におけるXYテーブ2の目標位置、すなわち当初位置(撮影開始位置)を基準として各投影角度において正しくその角度だけ回転したときの位置は、ビュー数ないしはビュー角度が設定されることによって演算部13において算出される。そして、その各投影角度での目標位置の算出結果と、画像処理部12によるXYテーブルの位置情報は誤差算出部14に取り込まれ、これら両者の差、つまり位置の誤差が算出される。この算出された誤差は、後述するように投影データ補正部15によるデータの位置の補正等に供される。
【0039】
上記した回転機構4、XY移動機構5、画像データ取り込み回路7、投影データ記憶部8、再構成演算部9、断層データ記憶部10、画像データ取り込み回路11、画像処理部12、演算部13、誤差算出部14および投影データ補正部15は、制御部16の制御下に置かれている。この制御部16には、ジョイスティックやキーボード、マウス等からなる操作部17が接続されており、この操作部17の操作により、制御部16に対して各種指令を与えたり、あるいはXYテーブル2を随意に移動させることができ、また、この操作部17の操作により、投影データ記憶部8内の投影画像や、断層データ記憶部10内の3次元断層情報を選択的に表示器18に表示させることができる。
【0040】
なお、制御部16並びにそれに制御される上記した各部は、実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、インストールされているプログラムに従って各機能を実現するのであるが、図1では説明の便宜上、主要な機能ごとにブロックによって表している。
【0041】
次に、CT撮影〜再構成演算までの動作について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、測定対象物WをXYテーブル2の上に載せて位置決めをして初期位置を決定した後、ビュー数、従って実質的に各投影角度等の撮影条件を設定する。これにより、演算部13は初期位置を起点として各投影角度でのXYテーブル2の目標位置を算出する。
【0042】
その後、CT撮影開始指令を与えることによって、まず、その初期位置でのX線投影データを採取すると同時に、光学カメラ6の出力を取り込んで初期位置でのマーカーMの画像を取得した後、回転機構4を駆動してXYテーブル2を設定角度だけ回転させる。
【0043】
回転後、上記と同様にX線投影データを採取すると同時に、光学カメラ6からの映像データを取り込み、マーカーMの映像から後述するようにXYテーブル2の位置情報を得る。その位置情報を用いて、回転後のXYテーブル2の位置の先に算出している当該角度での目標位置に対する誤差を算出する。
【0044】
光学カメラ6によるマーカーMの映像からXYテーブル2の位置情報を得る手法について以下に説明する。
図4に示すように、XYテーブル2に付された複数のマーカーM,M,・・のうちの一つを考える。θだけ回転した座標系における移動後のマーカーMの中心は、回転前のマーカーMの座標を(x,y)、回転後のマーカーMの座標を(x′,y′)とし、θだけ回転するものとすると
【0045】
【数1】
で表すことができる。そして、回転機構4の精度に起因して、より具体的には軸受4aaの回転精度を主因として、回転中心が(X,Y)だけ移動した場合には、
【0046】
【数2】
と表すことができる。
【0047】
光学カメラ6の視野内にある複数のマーカーMについて(2)式の関係が成立するので、各マーカーMに関する(2)式の関係を用いた最小二乗法による近似によって、回転中心の移動(X,Y)と実際の回転角度θを算出することができる。
【0048】
このようにして算出された回転後の位置情報は、先に算出した該当角度での目標位置と比較され、目標位置に対する計測位置の誤差を算出して投影データとともに記憶する。
以上の動作を各投影角度において実行し、360°分の投影データが揃った時点でCT撮影を終了し、再構成演算によって測定対象物Wの3次元情報を構築するのであるが、この再構成演算においては、各投影角度での投影データについては、それぞれにマーカーMの映像を用いた画像処理によって求められた回転誤差によるずれX,Yと、実際の回転角度を用いてデータ補正が行われる。
【0049】
すなわち、回転笹による平行移動成分X,Yをもとに検出器平面内における位置ずれ量に換算し直し、投影データを補正して後、再構成演算に供するとともに、その投影データの採取角度、つまり投影角度を実際に計測されたθとして再構成演算を行う。
以上の動作により、回転機構4の軸受4aとして高精度のものを用いることなく、つまりXYテーブル2の回転精度が悪くても、高精度の軸受を用いて正確な回転を与えた場合と等価な3次元情報が得られる。
【0050】
ここで、上記した実施の形態においては、光学カメラ6を回転機構4の回転中心軸上に配置した例を示したが、X線発生装置1によっては干渉によりそのような配置が不可能な場合がある、光学カメラ6の視野中心が回転中心軸から離れることによって、回転角度θの計測精度が低下する場合がある。このような場合、図5に平面視で配置図を示すように、回転機構4による回転中心Rを挟んでその両側に光学カメラ6を配置し、これらの2台の光学カメラ6からの映像信号の双方を用いて、前記した最小二乗法による近似により回転角度θの計測精度を向上させることができる。
【0051】
また、図1に示した各機器の配置では、以上のようにX線発生装置1と光学カメラ6の干渉の可能性があるが、図6に示す配置によって、この問題を解消して光学カメラ6を回転機構4の回転中心軸上に位置させることができる。
【0052】
すなわち、図6の構成では、XYテーブル2の上方にX線発生装置1を配置し、下方にX線検出器3を配置している。XYテーブル2のマーカーMは、当該XYテーブル2の上面に測定対象物Wを搭載する関係上、現実的には下面側に付する必要があるが、そのために光学カメラ6はXYテーブル2の下側に配置することが必須となる。そこで、X線発生装置1をXYテーブル2の上側に配置し、X線検出器3を下側に配置することにより、光学カメラ6はX線発生装置1との干渉を考慮することなく、XYテーブル2の回転中心軸R上に配置することができる。
【0053】
また、図1の実施の形態では、光学カメラ6の映像出力を用いた画像処理によって計測したXYテーブル2の位置情報から、目標位置に対する誤差を算出し、その誤差に基づいて投影データを補正したが、同様にして求められた誤差に基づいて、XYテーブル2を移動させてもよい。その動作を図7にフローチャートで示す。
【0054】
この例では、測定対象物をXYテーブル2上に載せて初期位置を決定し、投影角度等の撮影条件を設定することにより各投影角度での目標位置を算出し、CT撮影開始指令を付与することによって初期位置での投影データおよび光学カメラ6の映像データを採取した後、回転機構2によりXYテーブル2を設定角度だけ回転させ、その状態で光学カメラ6の映像データを採取するところまでは先の例と同じであるが、その後、投影データを採取せずに、光学カメラ6の映像から画像処理により回転中心の移動量(X,Y)と回転角度θを算出し、目標位置との比較により誤差を算出する。そして、その算出結果に基づいて、誤差を解消するようにXYテーブル2と回転機構4を駆動する。そのうえで、投影データを採取する。360°分のデータが揃ったら、撮影動作を終了して再構成演算により3次元情報を構築するが、この場合、採取した投影データをそのまま用いる。
【0055】
以上の動作によっても、先の実施の形態と同様に、軸受4aの回転精度を主因とする位置のずれあっても、そのずれがない場合と等価な3次元情報が得られる。
【0056】
ここで、誤差に基づくXYテーブル2の移動については、x−y平面上での移動により誤差の解消だけでも、位置のずれがある場合に比して3次元情報を大幅に改善することができる。また、回転角度θの誤差については、先の例と同様に再構成演算時に計測された実際の角度での投影データであるとして演算を行ってもよい。
【0057】
次に、本発明を産業用のX線CT装置として多用されている構成、すなわち、水平方向にX線光軸を設け、鉛直の回転軸の回りに測定対象物を搭載する回転テーブルを回転させる構造の装置に適用する例を示す。このような構成のX線CT装置は図8に斜視図で模式的に例示する通りである。
【0058】
X線発生装置101はX線光軸Lが水平方向を向くように配置され、回転テーブル102を挟んでその反対側にX線検出器103が配置される。回転テーブル102は測定対象物Wを搭載して鉛直の回転中心軸Rの回りに回転する。
【0059】
このような構成のX線CT装置において、図9に回転テーブル102の近傍の部分断面図を示すように、回転テーブル102は軸受104の回転輪104a側に固定された状態で当該軸受104に支承され、軸受104の固定輪104bは支持部材104cに固定される。この例において回転テーブル102の上には測定対象物Wを搭載固定するための試料台102aが配置されているとともに、回転テーブル102の下面には、前記した図2に例示するような複数のマーカーMが付されており、支持部材104cには、軸受104の回転中心軸上に位置するように光学カメラ106が固定されている。この光学カメラ106により回転テーブル102の下面のマーカーMを撮影し、先の例と同様な手法によって、回転テーブル102の回転時における回転中心のずれと回転角度の誤差を算出するとともに、その結果に基づいて投影データを平行移動による補正、並びに再構成演算における投影角度の補正を行うことによって、軸受104の回転精度が悪くても高い精度の3次元情報が得られる。
【0060】
回転テーブル102の下面側にスペース的に光学カメラ106を配置できない場合には、図10に示すように、回転テーブル102の上面の試料台102の周囲に複数のマーカーを付すとともに、その上面側に光学カメラ106を配置する。この場合,光学カメラ106は回転中心軸R上に配置できないため、回転中心軸Rを挟んで両側に光学カメラ106を配置し、これらの2台の光学カメラ106の出力の双方を用いて、各マーカーの位置情報から最小二乗法により回転中心軸のずれと実際の回転角度を求めればよい。
【0061】
以上の図9ないしは図10に示した例においても、求められた回転中心軸のずれX,Yと回転角度θに基づいて投影データを補正してもよいし、あるいは、誤差分だけ測定対象物Wを移動させたうえで投影データを採取してもよい。その場合、回転テーブル102の上にXYテーブルを設け、そのXYテーブル上に試料台102aを配置して、位置ずれの補正はそのXYテーブルの駆動によって行うことができる。
【0062】
なお、本発明においては、XYテーブルないしは回転テーブルに付するマーカーの形状等については特に限定されるものではないが、図2に示したような円形のほか、図11に示すような矩形のものを用いることができる。この図11に示す矩形のマーカーMは、その形状が周方向に異形であるがゆえに、光学カメラを回転中心軸上に配置してマーカーを撮影したとき、マーカーの姿勢からも回転角度の情報を得ることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0063】
1 X線発生装置
2 XYテーブル
3 X線検出器
4 回転機構
4a 軸受
4b ウォームギア
4c ウォーム
4d 回転機構用ドライバ
5 XY移動機構
6 光学カメラ
7 画像データ取り込み回路
8 投影データ記憶部
9 再構成演算部
10 断層データ記憶部
11 画像データ取り込み回路
12 画像処理部
13 演算部
14 誤差算出部
15 投影データ補正部
16 制御部
17操作部
18 表示器
M マーカー
R 回転中心軸
W 測定対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、
上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段によるXYテーブルの位置検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動軸方向および上記回転機構の回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、
上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取に当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることを特徴とするX線CT装置。
【請求項3】
上記X線発生装置が上記XYテーブルの上方に配置され、上記光学カメラは、上記XYテーブルの回転中心の直下で、かつ、上記X線検出器の視野外に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、
上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段による回転テーブルの位置の検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動方向および上記回転テーブルの回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことを特徴とするX線CT装置。
【請求項5】
水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、
上記回転テーブルの上にXYテーブルが設けられているとともに、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データを採取するに当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることを特徴とするX線CT装置。
【請求項6】
上記マーカーは、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付され、上記画像処理手段は、複数のマーカーの映像を用いた最小二乗法により、上記XYテーブルの位置を求めることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
上記光学カメラが、上記XYテーブルの回転機構もしくは回転テーブルの回転中心軸上に配置されて上記マーカーを撮影するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
上記マーカーが、上記回転機構もしくは回転テーブルの回転中心を挟んで両側に配された2台の光学カメラにより撮影され、その各撮影出力が上記画像処理手段による位置検出に供されることを特徴とする請求項1、2、4、5または6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項1】
コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、
上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段によるXYテーブルの位置検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動軸方向および上記回転機構の回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
コーンビーム状のX線を発生するX線発生装置と、そのX線発生装置からのX線光軸に直交する平面に沿って配置され、測定対象物を搭載して当該平面に沿った方向に移動するXYテーブルと、そのXYテーブルを上記X線光軸に沿った軸の回りに設定された角度ずつ回転させる回転機構と、上記XYテーブルを挟んで上記X線発生装置と反対側に上記平面に対して斜めの姿勢で配置される2次元のX線検出器と、上記XYテーブルの複数の回転角度で採取した上記X線検出器からの測定対象物のX線投影データを用いた再構成演算により、測定対象物の3次元の断層画像を構築する再構成演算手段を備えたX線CT装置において、
上記各回転角度でのXYテーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記XYテーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記XYテーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取に当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることを特徴とするX線CT装置。
【請求項3】
上記X線発生装置が上記XYテーブルの上方に配置され、上記光学カメラは、上記XYテーブルの回転中心の直下で、かつ、上記X線検出器の視野外に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、
上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データの採取時における上記画像処理手段による回転テーブルの位置の検出結果の該当の目標位置に対する上記XYテーブルの移動方向および上記回転テーブルの回転角度の誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を用いて、X線投影データの位置と角度を補正するデータ補正手段を有し、上記再構成演算手段は、補正後のX線投影データを用いて再構成演算を行うことを特徴とするX線CT装置。
【請求項5】
水平方向に互いに対向して配置されたX線発生装置とX線検出器との間に、測定対象物を搭載して鉛直軸の回りに回転を与えるための回転テーブルが設けられ、X線発生装置からのX線を回転テーブル上の測定対象物に照射しつつ当該回転テーブルを回転させ、所定の回転角度ごとにX線検出器の出力を取り込むことにより、測定対象物の複数方向からのX線投影データを収集し、そのX線投影データを再構成演算手段により再構成することによって、測定対象物の断層情報を得るX線CT装置において、
上記回転テーブルの上にXYテーブルが設けられているとともに、上記各回転角度での回転テーブルの目標位置を算出する目標位置演算手段と、上記回転テーブルに付されたマーカーを撮影する光学カメラと、その光学カメラによるマーカーの撮影出力を画像処理して上記回転テーブルの位置を検出する画像処理手段と、各回転角度でのX線投影データを採取するに当たり、上記画像処手段による位置検出結果の該当の目標位置に対する誤差を算出する誤差算出手段と、その誤差算出手段による誤差の算出結果を解消するよう、上記XYテーブルを駆動制御する位置補正手段を備えていることを特徴とするX線CT装置。
【請求項6】
上記マーカーは、上記光学カメラの視野内に常時複数個収まるように上記XYテーブルもしくは回転テーブルに複数個付され、上記画像処理手段は、複数のマーカーの映像を用いた最小二乗法により、上記XYテーブルの位置を求めることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
上記光学カメラが、上記XYテーブルの回転機構もしくは回転テーブルの回転中心軸上に配置されて上記マーカーを撮影するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
上記マーカーが、上記回転機構もしくは回転テーブルの回転中心を挟んで両側に配された2台の光学カメラにより撮影され、その各撮影出力が上記画像処理手段による位置検出に供されることを特徴とする請求項1、2、4、5または6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−112790(P2012−112790A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261804(P2010−261804)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]