説明

c−JUNN末端キナーゼ(JNK)およびP−38キナーゼ阻害剤としての、ピロロ[1,2−D][1,2−4]トリアジン

式(I):
【化1】


〔式中、置換基は明細書中で定義の通り。〕
の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで提供されるのは、サイトカイン阻害活性を有する化合物である。ある態様における化合物は、p38キナーゼおよび/またはJNKが関連する状態の処置ならびにp38キナーゼまたはJNK関連状態の処置のためのピロロトリアジン化合物である。
【背景技術】
【0002】
多くのサイトカインが炎症性応答に関与し、IL−1、IL6、IL−8およびTNF−αを含む。IL−1およびTNF−αのようなサイトカインの過剰生産は、とりわけ、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、乾癬、多発性硬化症、内毒素ショック、骨粗鬆症、アルツハイマー病、および鬱血性心不全を含む、広範な疾患に関係する[Henry et al., Drugs Fut., 24:1345-1354 (1999);Salituro et al., Curr. Med. Chem., 6:807-823 (1999)]。ヒト患者における証拠は、例えば、TNF−αに対するモノクローナル抗体(Remicade)[Rankin et al., Br. J. Rheumatol., 34:334-342 (1995)]、および可溶性TNF−α受容体−Fc融合タンパク質(Etanercept)[Moreland et al., 25 Ann. Intern. Med., 130:478-486 (1999)]のような、サイトカインのタンパク質アンタゴニストが、慢性炎症性疾患の処置に有用であることを示す。
【0003】
TNF−αの生合成は、例えば、マイトージェン、感染生物、または外傷のような外部刺激に応答して、多くの型の細胞で起こる。TNF−α産生の重要なメディエーターは、JNKおよびp38キナーゼを含む、マイトージェン−活性タンパク質(MAP)キナーゼである。これらのキナーゼは、炎症促進性サイトカイン、内毒素、紫外線光、および浸透圧ショックを含むが、これらに限定されない種々の負荷刺激に応答して活性化される。JNKおよびp38経路は、TNFR1、CD40、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(‘HVEM')/他のTNF受容体関連タンパク質(TRAF)関連受容体(‘ATAR')、CD95/Fas/Apo1、TRAIL/Apo2L受容体およびTNF関連活性化誘発サイトカイン(‘TRANCE')受容体、NF−kBの受容体アクティベーター(‘RANK')のようなTNF受容体ファミリーメンバーの刺激により活性化される。
【0004】
p38の4種の既知のアイソフォーム、すなわち、p38α、p38β、p38γ、およびp38δが存在する。αおよびβアイソフォームは、炎症細胞で発現され、TNF−α産生の重要なメディエーターである。細胞中のp38αおよびβ酵素の阻害は、TNF−α発現レベルの減少に至る。また、炎症性疾患の動物モデルへのp38αおよびβ阻害剤の投与は、このような阻害剤が、これらの疾患の処置に有効であることを証明している。従って、p38酵素は、IL−1およびTNF−αが介在する炎症過程において、重要な役割を有する。炎症性疾患において使用するための、p38キナーゼならびにIL−1およびTNF−αのようなサイトカインを阻害すると報告されている化合物は、Scios, IncのUS特許6,277,989および6,130,235;Vertex Pharmaceuticals IncのUS特許6,147,080および5,945,418;Smith-Kline Beecham Corp.のUS特許6,251,914、5,977,103および5,658,903;G.D. Searle & Co.のUS特許5,932,576および6,087,496;Astra ZenecaのWO00/56738およびWO01/27089;Johnson & JohnsonのWO01/34605;WO00/12497(p38キナーゼ阻害剤としてのキナゾリン誘導体);WO00/56738(同じ目的のためのピリジンおよびピリミジン誘導体);WO00/12497(p38キナーゼ阻害剤間の関係を討論);およびWO00/12074(p38阻害剤として有用なピペラジンおよびピペリジン化合物)に開示されている。
【0005】
負荷活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)とも呼ばれるJNK(c−Jun N末端キナーゼ)は、セリン/スレオニンMAPキナーゼファミリーのメンバーである。MAPキナーゼシグナル伝達カスケードは、原形質膜で受けたシグナルを、細胞生理学および遺伝子発現の変化へと翻訳する際に非常に重要である。JNKは、炎症性サイトカイン、増殖因子およびUV光のような細胞ストレスを含む、種々の刺激に応答して活性化される。
【0006】
JNKは、他のMAPKと同様、癌、トロンビン誘発血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫性疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症および心臓疾患に応答した細胞応答の伝達に役割を有することにより関与する。JNK経路の活性化に関連する治療標的は、慢性骨髄性白血病(CML)、リウマチ性関節炎、喘息、骨関節症、虚血、癌および神経変性疾患を含む。
【0007】
3種の異なる遺伝子、JNK1、JNK2、JNK3が同定されており、少なくとも10種のJNKのスプライシング・アイソフォームが哺乳動物細胞に存在する(Gupta et al., EMBO J., 15:2760-70 (1996))。JNKファミリーのメンバーは、腫瘍壊死因子−α(TNFα)およびインターロイキン−1β(IL−1β)のような炎症促進性サイトカイン、ならびにアニソマイシン、UV照射、低酸素症、および浸透圧ショックを含む環境ストレスにより、活性化される(Minden et al., Biochemica et Biophysica Acta, 1333:F85-F104 (1997))。
【0008】
チロシンキナーゼ阻害剤として有用なピロロトリアジン化合物は、Bristol-Myers Squibbに譲渡された、2000年5月18日出願のUS特許出願仮出願09/573,829に開示されている。加えて、ピロロトリアジンキナーゼ阻害剤は、Bristol-Myers Squibbに譲渡されたWO02/40486に開示されている。p38キナーゼ阻害剤を開示する他の特許は:WO03/032970、WO03/033482、WO03/032971、WO03/032986、WO03/032980、WO03/032987、WO03/033483、WO03/033457およびWO03/032972を含み、これらは引用により本明細書に包含する。ここに記載の特許出願、特許および刊行物の各々は、引用により本明細書に包含する。
【発明の開示】
【0009】
要約
ここで提供されるのは、p38キナーゼおよび/またはc−Jun N末端キナーゼ(JNK)活性が関連する状態の1種以上の症状の処置、予防または寛解のための化合物、組成物および方法である。一つの態様において、組成物および方法における使用のための化合物は、ピロロトリアジンである。他の態様において、本化合物は、p38α、p38βキナーゼおよび/またはJNK1、JNK2およびJNK3を含むが、これらに限定されないc−Jun N末端キナーゼを含む、キナーゼ阻害剤として有用である。
【0010】
一つの態様において、ここで、提供される化合物は、式I:
【化1】

〔式中、G、R、R、RおよびRは、得られる化合物がp38キナーゼおよび/またはJNK活性を示すように選択される。〕
を有するか、またはその薬学的に許容される誘導体である。
【0011】
また提供されるのは、上記で定義の式Iの化合物を、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物である。
【0012】
処置を必要とする哺乳動物患者に、式Iの化合物を投与することによる、哺乳動物におけるサイトカイン介在疾患の1種以上の症状を、処置、予防または寛解する方法を提供する。処置、予防またはその症状が寛解される疾患および障害は、慢性炎症性疾患、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、乾癬、多発性硬化症、内毒素ショック、骨粗鬆症、アルツハイマー病、および鬱血性心不全を含むが、これらに限定されない。
【0013】
ここで提供される化合物および組成物を使用した、炎症性応答を予防または阻害する方法も提供される。
【0014】
さらに提供されるのは、ここで提供される化合物および組成物を使用した、p38αおよびp38βキナーゼを含むp38キナーゼ、および/またはJNK1、JKN2、およびJNK3を含む、c−Jun N末端キナーゼの活性を阻害する方法である。さらに提供されるのは、ここで提供される化合物および組成物を使用した、サイトカイン応答を介在する方法である。
【0015】
包装材料、p38キナーゼおよび/またはJNK介在疾患または障害の1種以上の症状の処置、予防または寛解に有用なここで提供される化合物または組成物、および本化合物または組成物がp38キナーゼおよび/またはJNK介在疾患または障害の1種以上の症状の処置、予防または寛解に有用であることを示すラベルを含む、製品が提供される。
【0016】
詳細な記載
A. 定義
特記されない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。ここの全ての記載にわたり、言及されている全ての特許、特許出願、公開特許および刊行物、Genbank配列、データベース、ウェブサイトおよび他の公開されたものは、特記されない限り、その全体を引用により本明細書に包含する。ここに記載の用語について複数の定義があるときには、この章のものが優先する。URLまたは他のこのような識別名もしくはアドレスを引用しているとき、このような識別名は変わることがあり、インターネット上の特定の情報は、現れては消えるが、同等な情報がインターネットを検索することにより発見できることは、理解される。それに対する引用は、このような情報の利用可能性および公的普及の証拠である。
【0017】
ここで使用されている、p38αは、Han et al. (1995)Biochim. Biophys. Acta 1265(2-3):224-7に開示の酵素を意味する。ここで使用されている、p38βは、Jiang et al. (1996)J. Biol. Chem. 271(30):17920-6に開示の酵素を意味する。ここで使用されている、p38γは、Li et al. (1996)Biochem. Biophys. Res. Commun. 228:334-340に開示の酵素を意味する。ここで使用されている、p38δは、Wang et al. (1997)J. Biol. Chem. 272(38):23668-74に開示の酵素を意味する。
【0018】
ここで使用されている“JNK”は、負荷活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)とも呼ばれるc−Jun N末端キナーゼを意味する。それはセリン/スレオニンMAPキナーゼファミリーのメンバーである。3種の異なる遺伝子、JNK1、JNK2、JNK3が同定されており、少なくとも10種のJNKのスプライシング・アイソフォームが哺乳動物細胞に存在する(Gupta et al., EMBO J., 15:2760-70 (1996))。JNKファミリーのメンバーは、腫瘍壊死因子−α(TNFα)およびインターロイキン−1β(IL−1β)のような炎症促進性サイトカイン、ならびにアニソマイシン、UV照射、低酸素症、および浸透圧ショックを含む環境ストレスにより、活性化される(Minden et al., Biochemica et Biophysica Acta, 1333:F85-F104 (1997))。
【0019】
ここで使用されている、化合物の薬学的に許容される誘導体は、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物またはプロドラッグである。このような誘導体は、このような誘導体化のための既知の方法を使用して、当業者により容易に製造され得る。製造された化合物を、動物またはヒトに実質的な毒性作用なく投与でき、薬学的に活性であるかまたはプロドラッグであるかのいずれかである。薬学的に許容される塩は、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1'−イルメチル−ベンゾイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのような、しかしこれらに限定されないアミン塩;リチウム、カリウムおよびナトリウムのような、しかしこれらに限定されないアルカリ金属塩;バリウム、カルシウムおよびマグネシウムのような、しかしこれらに限定されないアルカリ土類金属塩;亜鉛のような、しかしこれに限定されない遷移金属塩;およびリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムを含むが、これらに限定されない他の金属塩を含むが、これらに限定されず;そしてまた、硝酸塩、ホウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ならびに塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩および硫酸塩を含むが、これらに限定されない無機酸塩;および酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩のような、しかしこれらに限定されない有機酸の塩を含むが、これらに限定されない。加えて、双性イオン(“分子内塩”)を形成し得る。ある態様において、本化合物の塩形態は、化合物の溶解速度および経口バイオアベイラビリティーを改善する。薬学的に許容されるエステルは、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸およびボロン酸を含むが、これらに限定されない酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルエステルを含むが、これらに限定されない。薬学的に許容されるエノールエーテルは、式C=C(OR)(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである)の誘導体を含むが、これに限定されない。薬学的に許容されるエノールエステルは、式C=C(OC(O)R)(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである)の誘導体を含むが、これに限定されない。薬学的に許容される溶媒和物および水和物は、化合物と1個以上の溶媒または水分子、または1個から約100個、または1個から約10個、または1から約2個、3個または4個の溶媒または水分子との複合体である。
【0020】
用語“アルキル”は、1個から20個の炭素原子、一つの態様において、1個から7個の炭素原子の直鎖または分枝鎖非置換炭化水素基を意味する。表現“低級アルキル”は、1個から4個炭素原子の非置換アルキル基を意味する。下付文字がアルキルまたは他の基に関連して使用されているとき、その下付文字は、その基が含み得る炭素原子数を意味する。用語“C0−4アルキル”は、一個の結合および1個から4個炭素原子のアルキル基を含む。
【0021】
用語“シクロアルキル”は、好ましくは1個から3個の環を含み、かつ環あたり、3個から7個の炭素を含む飽和または部分的に不飽和の非芳香族環状炭化水素環系を意味し、それは、不飽和C−C炭素環式環とさらに縮合していてよい。例示的基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、およびアダマンチルを含む。“置換シクロアルキル”は、1個以上の上記で定義のアルキルまたは置換アルキル基、またはアルキル置換基として上記の1個以上の基で置換されている。表現“低級シクロアルキル”は、3個から5個の炭素原子を含む、非置換の飽和または不飽和非芳香族性環状炭化水素環系を意味する。
【0022】
“アルキレン”は、1個から6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素ラジカルまたは3個から6個の炭素原子の分枝鎖飽和二価炭化水素ラジカル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレンなどを意味する。
【0023】
“アルケニル”は、少なくとも1個の二重結合を含む、2個から6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカルまたは3個から6個の炭素原子の分枝鎖一価炭化水素ラジカル、例えば、エテニル、プロペニルなどを意味する。
【0024】
“アルケニレン”は、少なくとも1個の二重結合を含む、2個から6個の炭素原子の直鎖二価炭化水素ラジカルまたは3個から6個の炭素原子の分枝鎖二価炭化水素ラジカル、例えば、エテニレン、プロペニレンなどを意味する。
【0025】
“アルキニル”は、少なくとも1個の三重結合を含む、2個から6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカルまたは3個から6個の炭素原子の分枝鎖二価炭化水素ラジカル、例えば、エチニル、プロピニルなどを意味する。
【0026】
“アルキニレン”は、少なくとも1個の三重結合を含む、2個から6個の炭素原子の直鎖二価炭化水素ラジカルまたは3個から6個の炭素原子の分枝鎖一価炭化水素ラジカル、例えば、エチニレン、プロピニレンなどを意味する。
【0027】
“アルコキシ”は、ラジカル−OR(式中、Rは上記で定義のアルキル、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシなどである)を意味する。
【0028】
“アシル”は、ラジカル−C(O)R(式中、Rはアルキルまたはハロアルキル例えば、アセチル、トリフルオロアセチルなどである)を意味する。
【0029】
“アシルアミノ”は、ラジカル−NRC(O)R'(式中、Rは水素またはアルキルであり、そしてR'はアルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル、例えば、アセチルアミノ、2−アミノ−2−メチルプロピオンアミドなどである)を意味する。
【0030】
“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード、一般にフルオロおよびクロロを意味する。
【0031】
“ハロアルキル”は、1個以上の同じまたは異なるハロ原子で置換されたアルキル、例えば、−CHCl、−CF、−CHCF、−CHCClなどを意味する。
【0032】
“アリール”は、6個から10個の環原子一価単環式または二環式芳香族性炭化水素ラジカル、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどを意味する。本アリール環は、所望により酸素、窒素または硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を含んでよく、残りの環原子はCである5、6または7員単環式飽和環と縮合してよく、ここで、1個または2個のC原子は、所望によりカルボニル基で置換されていてよい。縮合環を伴う代表的アリールラジカルは、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキサン、クロマン、イソクロマン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、1,3−ジヒドロイソベンゾフラン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4テトラヒドロキノリン、2,3−ジヒドロ−1H−インドール、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール、ベンズイミダゾル−2−オン、3H−ベンズオキサゾル−2−オンなどを含むが、これらに限定されない。
【0033】
“ヘテロアリール”は、N、O、またはSから選択される1個、2個または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子はCである、5個から10個の環原子の一価単環式または二環式芳香族性ラジカルを意味する。本用語はまた、環内のヘテロ原子が、例えば、N−オキシドまたは4級塩を形成するように、酸化または4級化されているような、このようなラジカルを含む。代表例は、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、キノキサリニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、インドリル、2−ピリドニル、4−ピリドニル、N−アルキル−2−ピリドニル、ピラジノニル、ピリダジノニル、ピリミジノニル、オキサゾロニル、およびそれらの対応するN−オキシド(例えばピリジルN−オキシド、キノリニルN−オキシド)、それらの4級塩などを含むが、これらに限定されない。
【0034】
“ヘテロ環”または“ヘテロシクリル”は、3個から8個の環原子を有し、その中の1個または2個の環原子が、N、O、またはS(O)(ここで、nは0から2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、ここで、1個または2個のC原子が、所望によりカルボニル基で置換されていてよい環状非芳香族性ラジカルを意味する。本用語はまた、環窒素原子が、例えば、N−オキシドまたは4級塩を形成するように、酸化または4級化されているような、このようなラジカルを含む。代表例は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピロリジノ、オキシラニル、ジオキサン、1,3−ジオキソラニル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル(dioxalanyl)、スルホラニル、2−オキサゾリドニル(oxazolidonyl)、2−イミダゾリドニル(imidazolidonyl)、S,S−ジオキソ−チオモルホリノなどを含むが、これらに限定されない。
【0035】
“ヘテロシクロアミノ”は、4個から8個の環原子を有し、ここで少なくとも1個の環原子がNであり、所望によりNまたはOから選択されるさらなる環原子を有し、残りの環原子はCである飽和一価環状基を意味する。本用語は、例えばピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノなどを含む。
【0036】
“所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはシクロアルキル”は、アルキル、フェニル、ベンジル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、ヘテロシクリル、アシル、−OR(ここで、Rは水素またはアルキルである)、−NRR'(ここで、RおよびR'は独立して水素、アシル、または所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよいアルキルから選択される)、−NHCOR(ここで、Rは、所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよいアルキルである)、−NRS(O)R'(ここで、Rは水素またはアルキルであり、nは0から2の整数であり;そしてR'は水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり、それは所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよい)、−NRS(O)NR'R”(ここで、Rは水素またはアルキルであり、nは0から2の整数であり;そしてR'およびR”は独立して水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり、これらは所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよい)、−S(O)R(ここで、nは0から2の整数であり;そしてRは水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり、これらは所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよい)、−S(O)NRR'(ここで、nは0から2の整数であり;そしてRおよびR'は独立して水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり、これらは所望によりヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロまたはヘテロシクリルで置換されていてよい)、−COOR、−(アルキレン)COOR(ここで、Rは水素またはアルキルである)、−CONR'R”または−(アルキレン)CONR'R”(ここで、R'およびR”は独立して水素またはアルキルであるか、または一体となって、それらが結合している窒素原子と共にヘテロシクリル環を形成する)から選択される、1個、2個、3個または4個もしくはそれ以上の置換基で所望により独立して置換されていてよい、ここで定義の通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはシクロアルキル基を意味する。
【0037】
“所望により置換されていてよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル”は、アルキル、フェニル、ベンジル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、アシル、−OR(ここで、Rは水素またはアルキルである)、−NRR'(ここで、RおよびR'は水素、アルキルまたはアシルから独立してから選択される)、−NHCOR(ここで、Rはアルキルである)、−NRS(O)R'(ここで、Rは水素またはアルキルであり、nは0から2の整数であり、そしてR'は水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、−NRS(O)NR'R”(ここで、Rは水素またはアルキルであり、nは0から2の整数であり、そしてR'およびR”は独立して水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、−S(O)R(ここで、nは0から2の整数であり、そしてRは水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、−S(O)NRR'(ここで、nは0から2の整数であり、そしてRおよびR'は独立して水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、−COOR、−(アルキレン)COOR(ここで、Rは水素またはアルキルである)、−CONR'R”または−(アルキレン)CONR'R”(ここで、R'およびR”は独立して水素またはアルキルである)から選択される、1個、2個、3個または4個もしくはそれ以上の置換基で所望により独立して置換されていてよい、ここで定義の通りのアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環を意味する。
【0038】
“ヘテロアルキル”は、−NR、−OR(ここで、R、RおよびRは互いに独立して水素、アルキルまたはアシルであるか、またはRおよびRは一体となってヘテロシクロアミノ基を形成する)から選択される1個、2個または3個の置換基を担持する、上記で定義のアルキルラジカルを意味する。代表例は、ヒドロキシメチル、アセトキシメチル、3−ヒドロキシプロピル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、2−アミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−アセチルアミノエチル、3−[ピロリジン−1−イル]エチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0039】
“ヘテロアルケニル”は、−NR、−ORまたは−S(O)(ここで、R、RおよびRは互いに独立して水素またはアルキルであり、そしてRはアルキルまたは−NRR'であり、ここで、RおよびR'は互いに独立して水素またはアルキルである)から選択される1個または2個の置換基を担持する、上記で定義のアルケニルラジカルを意味する。代表例は、3−ヒドロキシ−1−プロペニル、3−アミノプロプ−1−エニル、2−アミノスルホニルエテニル、2メチルスルホニルエテニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0040】
“ヘテロアルキニル”は、−NR、−OR、−S(O)または−S(O)NRR'(ここで、RおよびR'は互いに独立して水素またはアルキルであり、R、RおよびRは互いに独立して水素またはアルキルであり、そしてRはアルキルであり、そしてnは0から2の整数である)から選択される1個または2個の置換基を担持する、上記で定義のアルキニルラジカルを意味する。代表例は、3−ヒドロキシ−1−プロピニル、3ジメチルアミノプロプ−1−イニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0041】
“ヘテロアルコキシ”は、ラジカル−OR(ここで、Rは、上記で定義のヘテロアルキル基である)、例えば、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2,3−ジヒドロキシプロポキシ、2−アミノエトキシなどを意味する。
【0042】
“ヘテロアルキルアミノ”は、ラジカル−NR(ここで、Rは水素またはアルキルであり、そしてRは上記で定義のヘテロアルキル基である)、例えば、2−ヒドロキシエチルアミノ、3−ジメチルアミノプロピルアミノなどを意味する。
【0043】
“所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル”は、ラジカル−R(ここで、Rはアルキレン基であり、そしてRは所望により置換されていてよい上記で定義のヘテロシクリル基である)、例えば、2−(モルホリン−4−イル)エチル、3−(ピペリジン−1−イル)−2−メチルプロピルなどを意味する。
【0044】
“所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルケニル”は、ラジカル−R(ここで、Rはアルケニレン基であり、そしてRは所望により置換されていてよい上記で定義のヘテロシクリル基である)、例えば、3−(モルホリン−4−イル)プロプ−1−エニル、3−(ピペリジン−1−イル)プロプ−1−エニル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロプ−1−エニルなどを意味する。
【0045】
“所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキニル”は、ラジカル−R(ここで、Rはアルキニル基であり、そしてRは所望により置換されていてよい上記で定義のヘテロシクリル基である)、例えば、3−(モルホリン−4−イル)プロプ−1−イニル、3−(ピペリジン−1−イル)プロプ−1−イニルなどを意味する。
【0046】
“所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルコキシ”は、ラジカル−OR(ここで、Rは所望により置換されていてよい上記で定義のヘテロシクリルアルキル基である)、例えば、2−(モルホリン−4−イル)−エトキシ、3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシ、2−[2−オキソピロリジン−1−イル]エトキシなどを意味する。
【0047】
“所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルアミノ”は、ラジカル−NR(ここで、Rは水素またはアルキルであり、そしてRは所望により置換されていてよい上記で定義のヘテロシクリルアルキル基である)、例えば、2−(ピロリジン−2−イル)エチルアミノ、3−(ピペリジン−1−イル)プロピルアミノなどを意味する。
【0048】
“所望により置換されていてよいヘテロアラルキルオキシ”は、ラジカル−O−R(ここで、Rはヘテロアラルキルラジカルである)、例えば2−(ピリジン−3−イル)エトキシ、2−[3(2H)−ピリダゾン−1−イル]エトキシなどを意味する。
【0049】
“所望の”または“所望により”は、それに続いて記載の事象または状況が、起こってもよいが起こる必要はないこと、および、その記載が、その事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、“所望によりアルキル基でモノ−またはジ−置換されていてよいアリール基”は、アルキルは存在してよいが、存在する必要がないこと、およびその記載が、アリール基がアルキル基でモノ−またはジ−置換されている状況およびヘテロシクロ基がアルキル基で置換されていない状況を含むことを意味する。
【0050】
“アミノ保護基”は、合成工程中、窒素原子を望まない反応に対して保護することを意図した有機基、例えば、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリフルオロアセチルなどを意味する。
【0051】
明細書を通して、安定な部分および化合物を提供するために、基およびその置換基は、当業者により選択され得る。ここに記載の化学基は、適当であり、そして望む限り、置換または非置換、分枝または非分枝であり得ることは理解される。
【0052】
ここに提供する化合物の全ての立体異性体が、混合物または純粋なもしくは実質的に純粋な形態のいずれかで、考慮される。ここに提供する化合物の定義は、全ての可能性のある立体異性体およびそれらの混合物を含む。ラセミ形態および特定の活性を有する単離した光学異性体を含む。ラセミ形態は、例えば、分別結晶、ジアステレオマー誘導体の分離もしくは結晶化またはキラルカラムクロマトグラフィーのような、物理的方法により分割できる。個々の光学異性体は、ラセミ体から、例えば、光学活性酸との塩形成と続く結晶化のような、慣用法により得ることができる。
【0053】
ここに提供する化合物は、プロドラッグ形態を有し得る。インビボで、生物活性剤を提供するように変換する全ての化合物がプロドラッグである。種々の形態のプロドラッグが当分野で既知である。このようなプロドラッグ誘導体の例は、例えば、各々引用により本明細書に包含する下記文献を参照のこと:
a)Design of Prodrugs, H. Bundgaard編(Elsevier, 1985)および
Methods in Enzymology, Vol.42, p. 309-396, K. Widder, et al. (Acamedic Press, 1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development, KrosgaardLarsen and H. Bundgaard編, Chapter 5, “Design and Application of Prodrugs,” by H. Bundgaard, p. 113-191 (1991);および
c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992)。
【0054】
ここに提供する化合物の溶媒和物(例えば、水和物)も、ここで考慮されることはさらに理解すべきである。溶媒和の方法は、当分野で一般に既知である。
【0055】
ここで使用されている処置は、疾患または障害の1種以上の症状が寛解するかまたは他に良いように変わる全ての方法を意味する。処置はまた、p38キナーゼおよび/またはJNK介在疾患または障害、またはp38αおよびp38βキナーゼ活性を含むp38キナーゼ活性、および/またはJNK1、JNK2およびJNK3活性を含むが、これらに限定されないJNK活性が関与する疾患または障害を処置するためのような、ここに記載の化合物および組成物の全ての医薬的使用を含む。
【0056】
ここで使用されている、特定の化合物または医薬組成物の投与による、特定の障害の症状の寛解は、永久であれ一過性であれ、永続的であれ一時的であれ、本組成物の投与に起因し得るまたはそれが関連し得る、何らかの軽減を意味する。
【0057】
ここで使用されている、IC50は、応答を測定するアッセイにおける、p38αキナーゼおよび/またはJKN活性の調整のような、最大応答の50%阻害を達成する特定の試験化合物の量、濃度または投与量を意味する。
【0058】
ここで使用されている、用語“患者”は、p38酵素および/またはJNKレベルの介在により影響を受ける、ヒトのような哺乳動物種を含む、全ての対象を包含することを意図する。
【0059】
B. 化合物
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化2】

〔式中、
は水素、アルキルまたはハロであり;
は水素またはアルキルであり;
Gは所望によりフェニル環に縮合していてよいアリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロシクリル環であり、かつRおよび/またはRで置換されており;
【0060】

(a) アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ;
(b) アシルアミノ;
(c) 所望により置換されていてよいヘテロシクリル;
(d) 所望により置換されていてよいアリールまたはヘテロアリール;
(e) ヘテロアルキル;
(f) ヘテロアルケニル;
(g) ヘテロアルキニル;
(h) ヘテロアルコキシ;
(i) ヘテロアルキルアミノ;
(j) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル;
(k) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルケニル;
(l) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキニル;
(m) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルコキシまたはヘテロシクリルオキシ;
(n) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルアミノ;
(o) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルカルボニル;
(p) ヘテロアルキルカルボニル;
(q) −NHSO(ここで、Rはアルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルである);
(r) −NHSONR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(s) −Y−(アルキレン)n1−R(ここで、Yは一重結合、−O−、−NH−または−S(O)−(ここで、nおよびn1は各々独立して0から2の整数である)であり;そしてRはハロ、シアノ、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいアラルキル、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−COOH、−COR10、−COOR11、−CONR1213、−SO14、−SONR1516、−NHSO17または−NHSONR1819であり、ここで、R10はアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロ環であり、R11はアルキルであり、そしてR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(t) −C(=NR20)(NR2122)(ここで、R20、R21およびR22は、独立して水素、アルキルまたはヒドロキシであるか、またはR20およびR21は、一体となって−(CH)−であり、ここで、nは2または3であり、そしてR22は水素またはアルキルである);
(u) −NHC(X)NR2324(ここで、Xは−O−または−S−であり、そしてR23およびR24は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(v) −CONR2526(ここで、R25およびR26は、独立して水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルであるか、またはR25およびR26は、それらが結合している窒素と一体となって所望により置換されていてよいヘテロシクリル環を形成する);
(w) −S(O)27(ここで、nは0から2の整数であり、そしてR27はアルキル、ヘテロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルまたは−NR2829であり、ここで、R28およびR29は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(x) 全て所望によりアルキル、ハロ、ヒドロキシまたはアミノで置換されていてよいシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキニルおよびシクロアルキルアルキニル;
(y) アリールアミノアルキレンまたはヘテロアリールアミノアルキレン;
(z) Z−アルキレン−NR3031またはZ−アルキレン−OR32(ここで、Zは−NH−、−N(低級アルキル)−または−O−であり、そしてR30、R31およびR32は互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
【0061】
(aa) −OC(O)−アルキレン−COHまたは−OC(O)−NR'R”(ここで、R'およびR”は、独立して、水素またはアルキルである);
(bb) ヘテロアリールアルケニレンまたはヘテロアリールアルキニレン;
(cc) 水素;
(dd) ハロ;
(ee) シュードハロ;
(ff) ヒドロキシ;
(gg) 所望により置換されていてよいアルコキシ;
(hh) C(L)R40(ここで、LはO、SまたはNR55であり;R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリリウム(heteroarylium)、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、C(L)R56、ハロ、シュードハロ、OR55、SR55、NR5758またはSiR525354であり;ここで、R52、R53およびR54は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R52、R53およびR54は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6263であるか;または(ii)R52、R53およびR54の任意の2個は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そして他方が(i)の通りに選択され;R55は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R56は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6465であり;ここで、R64およびR65は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR66またはNR6263であるか、またはR64およびR65は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し、ここで、R66は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R57およびR58は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R57およびR58は各々独立して水素、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55、NR6768またはC(L)R69であり、ここで、R67およびR68は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであるか、または一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そしてR69は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR70またはNR6263であり、ここで、R70はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか;または(ii)R57およびR58は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、またはアルキレンオキシアルキレンを形成し;R62およびR63は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはR62およびR63は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成する);および
(ii) 所望により置換されていてよいアルキル;
から成る群から選択され:
【0062】

(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;
(d) アルコキシ;および
(e) ヒドロキシ;
から成る群から選択されるか:
または環上の隣接原子を置換しているRおよびRは、一体となってアルキレンジオキシ、チオアルキレンオキシまたはアルキレンジチオキシを形成し;
は:
(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;
(d) ハロアルキル;
(e) チオアルキル;
(f) ヒドロキシ;
(g) アミノ;
(h) アルキルアミノ;
(i) ジアルキルアミノ;
(j) ヘテロアルキル;
(k) 所望により置換されていてよいヘテロ環;
(l) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル;
(m) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルコキシ;
(n) アルキルスルホニル;
(o) アミノスルホニル、モノ−アルキルアミノスルホニルまたはジ−アルキルアミノスルホニル;
(p) ヘテロアルコキシ;および
(q) カルボキシ;
−NHSO(ここで、Rはアルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルである);
(r) −NHSONR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(s) −Y−(アルキレン)n1−R(ここで、Yは一重結合、−O−、−NH−または−S(O)−(ここで、nおよびn1は各々独立して0から2の整数である)であり;そしてRはハロ、シアノ、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいアラルキル、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−COOH、−COR10、−COOR11、−CONR1213、−SO14、−SONR1516、−NHSO17または−NHSONR1819であり、ここで、R10はアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロ環であり、R11はアルキルであり、そしてR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(t) −C(=NR20)(NR2122)(ここで、R20、R21およびR22は、独立して水素、アルキルまたはヒドロキシであるか、またはR20およびR21は、一体となって−(CH)−であり、ここで、nは2または3であり、そしてR22は水素またはアルキルである);
(u) −NHC(X)NR2324(ここで、Xは−O−または−S−であり、そしてR23およびR24は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(v) −CONR2526(ここで、R25およびR26は、独立して水素、アルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルであるか、またはR25およびR26は、それらが結合している窒素と一体となって所望により置換されていてよいヘテロシクリル環を形成する);
(w) −S(O)27(ここで、nは0から2の整数であり、そしてR27はアルキル、ヘテロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルまたは−NR2829であり、ここで、R28およびR29は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(x) 全て所望によりアルキル、ハロ、ヒドロキシまたはアミノで置換されていてよいシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキニルおよびシクロアルキルアルキニル;
(y) アリールアミノアルキレンまたはヘテロアリールアミノアルキレン;
(z) Z−アルキレン−NR3031またはZ−アルキレン−OR32(ここで、Zは−NH−、−N(低級アルキル)−または−O−であり、そしてR30、R31およびR32は互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
【0063】
(aa) −OC(O)−アルキレン−COHまたは−OC(O)−NR'R”(ここで、R'およびR”は独立して水素またはアルキルである);
(bb) ヘテロアリールアルケニレンまたはヘテロアリールアルキニレン;
(cc) 水素;
(dd) ハロ;
(ee) シュードハロ;
(ff) ヒドロキシ;
(gg) 所望により置換されていてよいアルコキシ;
(hh) C(L)R40(ここで、LはO、SまたはNR55であり;R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリリウム、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、C(L)R56、ハロ、シュードハロ、OR55、SR55、NR5758またはSiR525354であり;ここで、R52、R53およびR54は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R52、R53およびR54は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6263であるか;または(ii)R52、R53およびR54の任意の2個は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そして他方が(i)の通りに選択され;R55は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R56は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6465であり;ここで、R64およびR65は、各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR66またはNR6263であるか、またはR64およびR65は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し、ここで、R66は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R57およびR58は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R57およびR58は各々独立して水素、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55、NR6768またはC(L)R69であり、ここで、R67およびR68は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであるか、または一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そしてR69は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR70またはNR6263であり、ここで、R70はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか;または(ii)R57およびR58は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、またはアルキレンオキシアルキレンを形成し;R62およびR63は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはR62およびR63は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成する);および
(ii) 所望により置換されていてよいアルキル;
から成る群から選択され:
【0064】

(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;および
(d) アルコキシ
から成る群から選択される。〕
の化合物または薬学的に許容されるその誘導体である。
【0065】
ある態様において、本化合物はRがアルキルであるとき、Gは1個の窒素を有する飽和ヘテロ環式基との条件付きで選択される。
【0066】
ある態様において、Rは水素またはアルキルである。ある態様において、Rは水素またはメチルである。
【0067】
ある態様において、Rは水素またはアルキルである。ある態様において、Rは水素である。
【0068】
ある態様において、Gはアリールである。他の態様において、Gはフェニルである。
【0069】
ある態様において、Rはヘテロシクリル、アミノ、−Y−R、−NHC(X)NR2324、−CONR2526、COR40であり、ここで、R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、C(L)R56、OR55またはNR5758である。
【0070】
ある態様において、Rは所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−COOH、−COR10、−COOR11、−CONR1213であり、ここで、R10はアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロ環であり、R11はアルキルであり、そしてR12およびR13は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである。
【0071】
ある態様において、R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、COR56、OR55またはNR5758である。
【0072】
ある態様において、R55は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである。
【0073】
ある態様において、R56は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6465であり;ここで、R64およびR65は各々独立して水素またはアルキルである。
【0074】
ある態様において、R57およびR58は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R57およびR58は各々独立して水素、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55、NR6768またはC(L)R69であり、ここで、R67、R67およびR68は各々独立して水素またはアルキル、または(ii)R57およびR58は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンまたはアルキレンオキシアルキレンを形成する。
【0075】
他の態様において、Rはハロ、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、オキサゾリル、ヘテロシクリルおよびアルキルアミノカルボニルアミノである。
【0076】
他の態様において、Rはクロロ、メチル、アミノ、カルボキシ、エチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、シクロプロピルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボニル、モルホリノカルボニル、アミノカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、エトキシカルボニルアミノ、イソプロピルオキシカルボニルアミノ、イソブチルオキシカルボニルアミノ、フェニルアミノカルボニル、オキサゾリル、トリアジニルおよびエチルアミノカルボニルアミノである。
【0077】
ある態様において、Rはアルキルまたはアルコキシである。ある態様において、Rはメチルまたはメトキシである。他の態様において、Rはメチルである。
【0078】
ある態様において、Rは水素、アルキル、アルコキシカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびシクロアルキルアミノカルボニルである。
【0079】
ある態様において、Rは水素、エトキシカルボニル、ベンジルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニルおよびシクロプロピルアミノカルボニルである。
【0080】
ある態様において、Rは水素である。
【0081】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化3】

〔式中、
はクロロ、メチル、アミノ、カルボキシ、エチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、シクロプロピルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボニル、モルホリノカルボニル、アミノカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、エトキシカルボニルアミノ、イソプロピルオキシカルボニルアミノ、イソブチルオキシカルボニルアミノ、フェニルアミノカルボニル、オキサゾリル、トリアジニル、またはエチルアミノカルボニルアミノであり;そして
他の可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0082】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化4】

〔式中、可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0083】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化5】

〔式中、可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0084】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化6】

〔式中、Qはアルキル、アルコキシ、アラルキルアミノ、アルキルアミノおよびシクロアルキルアミノであり、そして他の可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0085】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化7】

〔式中、可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0086】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化8】

〔式中、可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0087】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化9】

〔式中、Qはアルコキシ、またはアルキルアミノカルボニルであり、そして他の可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0088】
ある態様において、ここに提供する化合物は、式:
【化10】

〔式中、Qは水素、アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよびアリールであり;そして他の可変基は、本明細書の他の場所に記載の通りである。〕
を有する。
【0089】
ある態様において、提供される化合物は下記から選択される:
【化11】

【化12】

【0090】
【化13】

【化14】

【0091】
【化15】

【0092】
ある態様において、提供される化合物は下記から選択される:
【化16】

【0093】
C. 化合物の製造
ここで提供される化合物は、下記スキームおよび当業者の知識に従い、製造できる。ここで提供される化合物の製造ために有用な方法の例を、スキーム1に図説する。
【0094】
ここで提供される、タイプ(I)の適当に置換されたピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−4−イルアミンをいくつかの手段で、例えばスキーム1に示す通り、適当に置換されたアミンと、1,1'チオカルボニルジ−2(1H)−ピリドン,1,1'−チオカルボニルジイミダゾールまたはチオホスゲンの、塩化メチレンまたはジオキサンのような溶媒中での反応により、イソチオシアネートを産生する。本イソチオシアネートの適当に置換された(1H−ピロル−2−イルメチレン)−ヒドラジンでの処理により、チオウレアを産生し、それを高温でメチル化および環化して、化合物Iを得る。
【0095】
【化17】

さらなる合成法の引用文献は下記の通りである:
1)Heterocycle formation reactions: Bioorg. Med. Chem. Letters 12: 3125-3128 (2002)
【0096】
種々のチオイソシアネートの、対応するアニリンからの製造は、下記の方法を介して容易に達成できる。アニリンを、1,1'−チオカルボニルジ−2(1H)−ピリドンでCHCl中、1−10時間処理する。典型的に、沈殿が形成され、それを濾過により回収して、生成物を得る。あるいは、溶媒を真空で除去し、得られた物質を、当業者に既知の多くの方法により生成する。また、実施例1Aに記載の製造法は、チオイソシアネート製造の他の有用な手段を提供する。
【0097】
D. 医薬組成物の製剤
ここで提供される医薬組成物は、治療的有効量の、TNF−α、IL−1、および/またはIL−8介在状態を含む、p38−キナーゼ関連および/またはJNK関連状態の1種以上の症状の予防、処置または寛解に有用なここで提供される化合物の1個以上を含む。このような状態は、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、血管新生障害、感染症、神経変性疾患、およびウイルス性疾患を含むが、これらに限定されない。
【0098】
ある態様において、本疾患は、膵炎(急性または慢性)、喘息、アレルギー、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、内毒素により誘発される炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、カヘキシー、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、膵臓β細胞疾患;大量の好中球浸潤を特徴とする疾患;リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎および他の関節炎状態、脳性マラリア、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺サルコイドーシス(sarcoisosis)、骨吸収疾患、同種移植片拒絶反応、感染が原因の発熱および筋肉痛、感染に二次的なカヘキシー、ケロイド形成(meloid formation)、瘢痕組織形成、潰瘍性大腸炎、発熱(pyresis)、インフルエンザ、骨粗鬆症、骨関節症および多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢;アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性傷害が原因の脳虚血または神経変性疾患;固形腫瘍、眼血管新生、および小児血管腫を含む、血管新生障害;急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎を含む)、HIV感染およびCMV網膜炎、AIDS、SARS、ARCまたは悪性疾患(malignancy)、およびヘルペスを含む、ウイルス性疾患;卒中、心筋虚血、卒中心臓発作における虚血、臓器低酸素症、脈管過形成、心臓および腎臓再灌流傷害、血栓症、心肥大、トロンビン誘発血小板凝集、内毒血症および/または毒素ショック症候群、およびプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2が関連する状態から選択される。
【0099】
加えて、ここで提供されるp38および/またはJNK阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)とも呼ばれるプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS−2)のような炎症促進性タンパク質の発現を阻害する。従って、さらなるp38および/またはJNK関連状態は、浮腫、鎮痛、発熱ならびに神経筋疼痛、頭痛、癌が原因の疼痛、歯痛および関節炎疼痛のような疼痛を含む。ここに提供する化合物はまた、ウマ伝染性貧血ウイルスを含むが、これに限定されないレンチウイルス感染;またはネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、およびイヌ免疫不全ウイルスを含むレトロウイルス感染のような、獣医学的ウイルス感染の処置に使用できる。用語“p38関連状態”;“p38関連疾患または障害”;“JNK関連状態”または“JNK関連疾患または障害”がここで使用されているとき、各々は、上記に同定した全ての状態を詳細に繰り返したように、ならびに、p38キナーゼおよび/またはJNK活性により影響を受ける何らかの他の状態を含むことを意図する。
【0100】
本組成物は、1個以上のここで提供される化合物を含む。本化合物は、好ましくは経口投与用の溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル、粉末、持続性放出製剤またはエリキシル剤、または非経腸投与用の滅菌溶液または懸濁液ならびに経皮パッチ製剤および乾燥粉末吸入器のような、適当な医薬製剤に製剤する。典型的に上記の化合物は、当分野で既知の技術および方法を使用して、医薬組成物に製剤する(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Fourth Edition 1985, 126参照)。
【0101】
本組成物中、有効濃度の1個以上の化合物または薬学的に許容される誘導体を、適当な医薬担体または媒体と混合する。本化合物は、製剤前に、上記の通り、対応する塩、エステル、エノールエーテルまたはエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物またはプロドラッグに誘導体化してよい。組成物中の本化合物の濃度は、投与により、TNF−α、IL−1、および/またはIL−8介在状態を含む、p−38キナーゼおよび/またはJNKが関連する状態の1種以上の症状を処置、予防または寛解する量の送達に有効である。このようなは、癌、冠動脈再狭窄、骨粗鬆症ならびに慢性炎症および/または自己免疫より特徴付けられる症候群を含むが、これらに限定されない。
【0102】
典型的に、本組成物は、単一投与量投与用に製剤される。組成物を製剤するために、選択した媒体と、処置する状態が軽減または寛解するような有効の濃度で、化合物の一定重量分画(the weight fraction)を溶解し、懸濁し、分散しまたは他の方法で混合する。ここに提供する化合物の投与に適当な医薬担体または媒体は、特定の形態での投与に適当であると当業者が既知の全ての担体を含む。
【0103】
加えて、本化合物は、本組成物における唯一の薬学的活性成分として製剤でき、または、他の活性成分と組合せ得る。腫瘍標的リポソームのような、組織標的リポソームを含むリポソーム懸濁液はまた、薬学的に許容される担体として適当である。これらは、当業者に既知の方法に従い製造できる。例えば、リポソーム製剤は、米国特許4,522,811に記載の通りに製造できる。簡単に言うと、多重層(MLV)のようなリポソームは、卵ホスファチジルコリンおよび脳ホスファチジルセリン(7:3モル比)の、フラスコ内部での乾燥により形成できる。ここで提供される化合物の二価カチオンを欠くリン酸緩衝化食塩水(PBS)溶液を添加し、フラスコを、脂質薄層が分散するまで撹拌する。得られた層を、封入されていない化合物を除去するために洗浄し、遠心分離によりペレット化し、次いでPBSに再懸濁する。
【0104】
本活性化合物は、処置する患者に対して望ましくない副作用なく、治療的に有用な効果を発揮するのに十分な量で薬学的に許容される担体内に存在する。本治療的有効濃度は、経験的に、本化合物を、本明細書に記載のインビトロおよびインビボ系で試験し、次いでそれからヒトのための用量に外挿することにより決定できる。
【0105】
本医薬組成物中の活性化合物の濃度は、本活性成分の吸収、不活性化および排泄速度、本化合物の物理化学的特性、投与スケジュール、および投与量ならびに当分野で既知の他の因子に依存する。例えば、送達される量は、ここで記載の、TNF−α、IL−1、および/またはIL−8介在状態を含むp−38キナーゼおよび/またはJNKに関連する疾患または障害の1種以上の症状の寛解に十分である。
【0106】
典型的に治療的有効量は、活性成分の約0.1ng/mlから約50−100μg/mlの血清濃度をもたらすべきである。本医薬組成物は、典型的に、体重1キログラムあたり、1日あたり、約0.001mgから約2000mgの化合物の用量をもたらすべきである。医薬投与単位形態は、投与単位形態あたり、約1mgから約1000mg、および一つの態様において、約10から約500mgの必須活性成分または必須成分の組合せをもたらすように製造する。
【0107】
本活性成分は一度に投与でき、または一定間隔で投与する複数のより少ない投与量に分けることができる。正確な投与量および処置期間は、処置する疾患の関数であり、経験的に、既知の試験プロトコールを使用して、またはインビボまたはインビトロ試験データの外挿により、決定できることは理解すべきである。濃度および投与量値は、寛解すべき状態の重症度に依存して変化し得ることも注意すべきである。何らかの特定の対象のために、特異的投与レジメンを、個々の必要に応じて、および本組成物を投与するまたはその投与を監視する者の専門的判断により経時的に調整すべきであり、ここに明示の濃度範囲は例示のためだけであり、請求する組成物の範囲または実施を制限する意図はないことはさらに理解すべきである。
【0108】
薬学的に許容される誘導体は、酸、塩基、エノールエーテルおよびエステル、塩、エステル、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ形態を含む。本誘導体は、その薬物動態学的特性が、対応する中性化合物よりも優れるように選択する。
【0109】
故に、ここに記載の1個以上の化合物または薬学的に許容されるその誘導体の有効濃度または量を、全身、外用(topical)、または局所(local)投与のために適当な医薬担体または媒体と混合して、医薬組成物を形成する。化合物は、ここに記載の炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、血管新生障害、感染症、神経変性疾患、およびウイルス性疾患を含むが、これらに限定されないp−38関連状態および/またはJNk関連状態に関連する疾患または障害の1種以上の症状の軽減、または、該疾患または障害の処置または予防に有効な量包含される。本組成物中の活性化合物の濃度は、本活性化合物の吸収、不活性化、排泄速度、投与スケジュール、投与量、特定の製剤ならびに当業者に既知の他の因子に依存する。
【0110】
本組成物は、経口、非経腸、経腸、外用および局所を含む、適当な経路による投与を意図する。経口投与のために、カプセルおよび錠剤が現在のところ好ましい。本組成物は、液体中、半液体または固体形態であり、各投与経路に適当な方法で製剤する。一つの態様において、投与形態は、非経腸および経口投与形態を含む。経口投与が、現在のところ最も好ましい。
【0111】
非経腸、皮下、または局所投与に使用するための溶液または懸濁液は、下記成分のいずれかを含み得る:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミドまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールおよびメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸および重亜硫酸ナトリウム;キレート化剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);緩衝剤、例えばアセテート、サイトレートおよびホスフェート;および張性を調節するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経腸製剤はガラス、プラスチックもしくは他の適当な物質から製造されたアンプル、使い捨てシリンジまたは一回または複数回用量バイアルに入れることができる。
【0112】
本化合物の溶解性が不十分である場合、化合物を溶解するための方法を使用できる。このような方法は当業者に既知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミドのような共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)のような界面活性剤の使用、または水性重炭酸ナトリウムへの溶解を含むが、これらに限定されない。
【0113】
本化合物(複数もある)の混合または添加により、得られた混合物は溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得る。得られた混合物の形態は、意図する投与形態および本化合物の選択した担体または媒体への溶解性を含む、多数の因子に依存する。有効量は、処置する疾患、障害または状態の症状の寛解に十分であり、経験的に決定できる。
【0114】
本医薬組成物は、ヒトおよび動物に、適当な量の本化合物または薬学的に許容されるその誘導体を含む、錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、滅菌非経腸溶液または懸濁液、および経口溶液または懸濁液、および油−水エマルジョンのような、単位投与形態で投与するために提供される。本薬学的治療的活性化合物およびその誘導体は、典型的に単位投与形態または複数回投与形態に製剤し、投与される。ここで使用されている単位投与形態は、ヒトおよび動物対象に適当であり、かつ当業者に既知の通り個々に包装された物理的に分かれた単位を意味する。各単位投与量は、所望の治療効果をもたらすのに十分な予定された量の本治療的活性化合物を、必要な医薬担体、媒体または希釈剤と共に含む。単位投与量形態の例は、アンプルおよびシリンジならびに個々に包装された錠剤またはカプセルを含む。単位投与形態はその分画をまたは複数個を投与してよい。複数回投与形態は、分離された単位投与量形態で投与すべき、1個の容器に包装された複数個の同一の単位投与形態である。複数回投与形態の例はバイアル、錠剤またはカプセルのビン、またはパイントもしくはガロンビンを含む。故に、複数回投与形態は、包装中で分かれていない、複数の単位投与量である。
【0115】
本組成物は活性成分と共に:希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム、またはカルボキシメチルセルロース;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク;および結合剤、例えばデンプン、天然ガム、例えばアカシアガム、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよび当業者に既知の他のこのような結合剤を含むことができる。液体の、薬学的に投与可能な組成物は、例えば、上記の活性化合物および任意の医薬アジュバントを、担体、例えば、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど中に溶解、分散または他の方法で混合し、それにより溶液または懸濁液を形成させることにより製造できる。望むならば、投与すべき医薬組成物はまた少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤、乳化剤、または可溶化剤、pH緩衝化剤など、例えば、アセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、トリエタノールアミンオレエート、および他のこのような薬剤を含み得る。このような投与形態を製造する実際の方法は、当業者に既知であるか、または明白となる;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 15th Edition, 1975を参照のこと。投与すべき組成物または製剤は、いずれにしても、処置対象の症状を寛解するのに十分な量の活性化合物を含む。
【0116】
0.005%から100%の活性成分を、非毒性担体から製造されたバランスを含む投与形態または組成物を製造できる。経口投与用に、薬学的に許容される非毒性組成物は、通常用いられる賦形剤のいずれか、例えば、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムまたはサッカリンナトリウムの取り込みにより形成される。このような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、粉末および、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系、および生物分解性、生物適合性ポリマー、例えばコラーゲン、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびその他を含むが、これらに限定されない持続性放出製剤を含む。これらの組成物の製造法は当業者に既知である。意図される組成物は、0.001%−100%活性成分、ある態様において、0.1−85%、典型的に75−95%活性成分を含み得る。
【0117】
本活性化合物または薬学的に許容される誘導体は、本化合物を身体からの急速な除去から保護する担体、例えば経時的放出製剤またはコーティングと製剤できる。
【0118】
本組成物は、所望の特性の組合せを得るために、他の活性化合物を含み得る。ここに提供する化合物、またはここに記載の薬学的に許容されるその誘導体はまた、有利には、治療または予防目的で、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、血管新生障害、感染症、神経変性疾患、およびウイルス性疾患を含むが、これらに限定されないp−38キナーゼおよび/またはJNKと関連する疾患または障害のような、上記の疾患または医学的状態の1個以上の処置において価値があることが通常の技術者に既知である他の薬剤と共に投与できる。このような組合せ治療は、ここに提供する本組成物および処置法のさらなる局面を構成することは理解すべきである。
【0119】
1. 経口投与用組成物
経口医薬投与形態は固体、ゲルまたは液体のいずれかである。固体投与形態は、錠剤、カプセル、顆粒、およびバルク粉末(bulk powder)である。経口錠剤のタイプは、圧縮された、咀嚼可能ロゼンジおよび錠剤であり、それは、腸溶性コーティング、糖コーティングまたはフィルムコーティングされていてよい。カプセルは、硬または軟ゼラチンカプセルであり、一方顆粒および粉末は、当業者に既知の他の成分と組合せて、非発泡性または発泡性形態で提供してよい。
【0120】
ある態様において、製剤は固体投与形態、好ましくはカプセルまたは錠剤である。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、任意の下記成分、または類似の性質の化合物を含み得る:結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑剤;流動促進剤;甘味剤;および香味剤。
【0121】
結合剤の例は、微晶性セルロース、トラガカントガム、グルコース溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、スクロースおよびデンプンペーストを含む。滑剤は、タルク、デンプン、マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、リコポディウムおよびステアリン酸を含む。希釈剤は、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムを含む。流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含むが、これに限定されない。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコラート、アルギン酸、コーンデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースを含む。着色剤は、例えば、任意の認可された水可溶性FDおよびC色素、それらの混合物;およびアルミナ水和物に懸濁した水不溶性FDおよびC色素を含む。甘味剤は、スクロース、ラクトース、マンニトールおよびサッカリンのような人工甘味剤、および任意の数の噴霧乾燥香味剤を含む。香味剤は、ペパーミントおよびサリチル酸メチルを含むが、これらに限定されない、果実のような植物から抽出された天然香味剤および心地よい感覚をもたらす化合物の合成混合物である。湿潤剤は、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリル(laural)エーテルを含む。鎮吐コーティングは、脂肪酸、脂肪、蝋、シェラック、アンモニア化シェラックおよびセルロースアセテートフタレートを含む。フィルムコーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000およびセルロースアセテートフタレートを含む。
【0122】
経口投与が望ましいとき、本化合物は、胃の酸性環境からそれを保護する組成物中に提供できる。例えば、本組成物は、胃でその完全性を維持し、本活性化合物を腸で放出する、腸溶性コーティング中に製剤できる。本組成物はまた、制酸剤または他の成分と組合せて製剤できる。
【0123】
投与単位形態がカプセルであるとき、それは、上記のタイプの物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含むことができる。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を修飾する種々の他の物質、例えば、糖のコーティングおよび他の腸溶性薬剤を含み得る。本化合物はまたエリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハー、振り掛け(sprinkle)、チューインガムなどの成分として投与できる。シロップは、本活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロースおよびある種の防腐剤、色素および着色剤および香味剤を含み得る。
【0124】
本活性物質はまた、所望の作用を妨害しない他の活性物質、または所望の活性を補う物質、例えば制酸剤、H2ブロッカー、および利尿剤と混合し得る。本活性成分は、ここに記載の化合物またはその薬学的に許容される誘導体である。活性成分の、約98重量%までの高濃度を包含し得る。
【0125】
錠剤中に含まれる薬学的に許容される担体は、結合剤、滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、および湿潤剤を含む。腸溶性コーティング錠剤は、その腸溶性コーティングのために、胃酸の作用に耐性であり、中性またはアルカリ性の腸で溶解または崩壊する。糖衣錠は、異なる層の薬学的に許容される物質を適用した、圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠は、ポリマーまたは他の適当なコーティングでコーティングされている圧縮錠剤である。複数圧縮錠剤は、先に記載の薬学的に許容される物質を利用した1回以上の圧縮サイクルにより製造した圧縮錠剤である。着色剤をまた上記投与形態に使用できる。香味剤および甘味剤を、圧縮錠剤、糖コーティング、複数圧縮およびチュワブル錠に使用する。香味剤および甘味剤は、チュワブル錠およびロゼンジの形成にとりわけ有用である。
【0126】
液体経口投与形態は、水性溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液および/または非発泡性顆粒から再構成された懸濁液および発泡性顆粒から再構成された発泡性製剤を含む。水性溶液は、例えば、エリキシル剤およびシロップを含む。エマルジョンは水中油型または油中水型のいずれかである。
【0127】
エリキシル剤は透明の、甘い、ヒドロアルコール性製剤である。エリキシル剤に使用される薬学的に許容される担体は、溶媒を含む。シロップは、糖、例えば、スクロースの濃縮水性溶液であり、防腐剤を含み得る。エマルジョンは、一種の液体が、他の液体中を小球の形で分散している2相系である。エマルジョンに使用される薬学的に許容される担体は、非水性液体、乳化剤および防腐剤である。懸濁液は、薬学的に許容される懸濁化剤および防腐剤を含む。液体経口投与形態に再構成すべき、非発泡性顆粒において使用される薬学的に許容される物質は、希釈剤、甘味剤および湿潤剤を含む。液体経口投与形態に再構成すべき、発泡性顆粒において使用される薬学的に許容される物質は、有機酸および二酸化炭素供給源を含む。着色剤および香味剤は、上記の全投与形態において使用される。
【0128】
溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップを含む。防腐剤の例は、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールを含む。エマルジョンで使用される非水性液体の例は、鉱油および綿実油を含む。乳化剤の例は、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、および界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを含む。懸濁化剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカント、Veegumおよびアカシアを含む。希釈剤は、ラクトースおよびスクロースを含む。甘味剤は、スクロース、シロップ、グリセリンおよび人工甘味剤、例えばサッカリンを含む。湿潤剤は、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。有機酸は、クエン酸および酒石酸を含む。二酸化炭素供給源は、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含む。着色剤は任意の、認可された水可溶性FDおよびC色素、およびそれらの混合物を含む。香味剤は、果実のような植物から抽出された天然香味剤、および心地よい感覚をもたらす化合物の合成混合物を含む。
【0129】
固体投与形態のために、例えば炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液は、好ましくはゼラチンカプセル中に封入する。このような溶液、およびその製剤およびそれらの封入は、米国特許4,328,245;4,409,239;および4,410,545に記載されている。液体投与形態のために、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液は、例えば、投与のための計量を容易にするために、十分量の薬学的に許容される液体担体、例えば、水で希釈し得る。
【0130】
あるいは、液体または半固体経口製剤を、本活性化合物または塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)および他のこのような担体に溶解または分散し、これらの溶液または懸濁液を硬または軟ゼラチンカプセル殻に封入することにより、製造できる。他の有用な製剤は、米国特許Re28,819および4,358,603に記載されている。簡単に言うと、このような製剤は、ここで提供される化合物、1,2−ジメトキシメタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(ここで、350、550および750はポリエチレングリコールのおおよその分子量を意味する)を含むが、これらに限定されないジアルキル化モノ−またはポリ−アルキレングリコール、および1個以上の抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、およびジチオカルバメートを含むものを含むが、これらに限定されない。
【0131】
他の製剤は、薬学的に許容されるアセタールを含む水性アルコール性溶液を含むが、これに限定されない。これらの製剤で使用するアルコールは、プロピレングリコールおよびエタノールを含むが、これらに限定されない1個以上のヒドロキシル基を有する任意の薬学的に許容される水混和性溶媒である。アセタールは、アセトアルデヒドジエチルアセタールのような低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールを含むが、これに限定されない。
【0132】
全ての態様において、錠剤およびカプセル製剤は、活性成分の溶解を修飾するまたは持続させるために、当業者に記載の通り、任意の順番で、コーティングし得る。故に、例えば、フェニルサリチレート、蝋およびセルロースアセテートフタレートのような、慣用の腸で分解可能なコーティングでコーティングされていてよい。
【0133】
2. 注射可能薬剤、溶液およびエマルジョン
一般に皮下、筋肉内または静脈内のいずれかへの注射により特徴付けられる非経腸投与も、ここで意図する。注射可能薬剤は、慣用の形態で、液体溶液または懸濁液、注射前に液体中で溶液または懸濁液とするのに適当な固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、製造できる。適当な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。加えて、望むならば、投与すべき本医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤、安定化剤、溶解促進剤、および例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートおよびシクロデキストリンのような他のこのような薬剤のような、少量の非毒性補助物質も含み得る。一定レベルの用量を維持するような(例えば、米国特許3,710,795参照)、遅延放出または持続放出系のインプラントも、ここで意図される。簡単に言うと、ここで提供される化合物を、体液に不溶性の外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、およびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーに囲まれた、固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸ケイ素コポリマー、親水性ポリマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび架橋された部分的に加水分解された酢酸ポリビニルに分散させる。本化合物は、速度制御段階として、外側の高分子膜を通して拡散する。このような非経腸組成物に含まれる活性化合物の濃度は、その特異的な性質ならびに本化合物の活性および対象の必要性に非常に依存する。
【0134】
本組成物の非経腸投与は、静脈内、皮下および筋肉内投与を含む。非経腸投与用製剤は、直ぐに注射できる滅菌溶液、使用直前に溶媒と組合せる準備がされた凍結乾燥粉末のような滅菌乾燥可溶性産物(皮下注射用錠剤を含む)、直ぐに注射できる滅菌懸濁液、使用直前に媒体と組合せる準備がされた滅菌乾燥不溶性産物および滅菌エマルジョンを含む。本溶液は水性または非水性のいずれかであり得る。
【0135】
静脈内投与するとき、適当な担体は、生理学的食塩水またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物のような濃厚剤および可溶化剤を含む溶液を含む。
【0136】
非経腸製剤に使用する薬学的に許容される担体は、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属封鎖剤またはキレート化剤および他の薬学的に許容される物質を含む。
【0137】
水性媒体の例は、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張性デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射を含む。非水性非経腸媒体は、植物由来の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびピーナッツ油を含む。静細菌または静真菌濃度の抗菌剤を、複数回投与容器に包装した非経腸製剤に添加しなければならず、それはフェノールまたはクレゾール、水銀製剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝剤はホスフェートおよびシトレートを含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔剤は、プロカインヒドロクロライドを含む。懸濁化剤および分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの金属封鎖剤またはキレート化剤は、EDTAを含む。医薬担体はまた水混和性媒体に関してはエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを、およびpH調節のために水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を含む。
【0138】
薬学的に活性化合物の濃度は、注射が所望の薬理学的効果を提供するように調節する。正確な用量は、当分野で既知の通り、患者または動物の年齢、体重および状態に依存する。
【0139】
単位投与量非経腸製剤をアンプル、バイアルまたは針付きシリンジに包装する。非経腸投与用の全製剤は、当分野で既知であり、実施されている通り、滅菌しなければならない。
【0140】
例として、活性化合物を含む滅菌水性溶液の静脈内または動脈内輸液は、有効な投与形態である。他の態様は、望む薬理学的効果を得るために、必要に応じて注射する、活性物質を含む滅菌水性または油性溶液または懸濁液である。
【0141】
注射可能薬剤は、局所及び全身投与用に設計される。典型的に少なくとも約0.1%w/wから約90%w/wまでまたはそれ以上、ある態様においては、処置組織に対して1%w/wを超える本活性化合物が含まれるように、治療的有効量を製剤する。本活性成分は一度に投与でき、または一定間隔で投与する複数のより少ない投与量に分けることができる。正確な投与量および処置期間は、処置する疾患の関数であり、経験的に、既知の試験プロトコールを使用して、またはインビボまたはインビトロ試験データの外挿により、決定できることは理解すべきである。濃度および投与量値は、処置する対象の年齢に依存しても変化し得る。何らかの特定の対象のために、特異的投与レジメンを、個々の必要に応じて、および本製剤を投与するまたはその投与を監視する者の専門的判断により経時的に調整すべきであり、ここに明示の濃度範囲は例示のためだけであり、請求する製剤の範囲または実施を制限する意図はないことはさらに理解すべきである。
【0142】
本化合物は微粉化または他の適当な形態で懸濁してよく、または、より可溶性の活性生成物を製造するためにもしくはプロドラッグを製造するために誘導体化してよい。得られた混合物の形態は、意図される投与形態および選択した担体または媒体中への本化合物の溶解性を含む、種々の因子に依存する。有効濃度は、状態の症状の寛解に十分であり、経験的に決定できる。
【0143】
3. 凍結乾燥粉末
ここで興味深いのは、また凍結乾燥粉末であり、これは、溶液、エマルジョンおよび他の混合物として投与用に再構成される。それらはまた、固体またはゲルとして再構成され、製剤される。
【0144】
滅菌、凍結乾燥粉末を、ここで提供される化合物、または薬学的に許容されるその誘導体を適当な溶媒に溶解することにより製造する。本溶媒は、粉末または、該粉末から製造される再構成した溶液の安定性または他の薬理学的要素を改善する賦形剤を含み得る。使用し得る賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適当な薬剤を含むが、これらに限定されない。本溶媒はまた、緩衝剤、例えばシトレート、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムまたは当分野で既知の他のこのような緩衝剤を、典型的に、ほぼ中性のpHで含み得る。その後、当業者に既知の標準条件下で溶液を滅菌濾過し、続いて凍結乾燥することにより、所望の製剤を提供する。一般に、得られた溶液を、凍結乾燥用のバイアルに分配する。各バイアルは本化合物の一回投与量(10−1000mg、一つの態様において、100−500mg)または複数回投与量を含む。本凍結乾燥粉末を、約4℃から室温のような、適当な条件下に貯蔵できる。
【0145】
この凍結乾燥粉末の注射用水での再構成は、非経腸投与に使用するための製剤を提供する。再構成のために、約1−50mg、一つの態様において、5−35mg、他の態様において、約9−30mgの凍結乾燥粉末を滅菌水または他の適当な担体の1mLあたりに添加する。厳密な量は、選択した化合物に依存する。このような量は、経験的に決定できる。
【0146】
4. 外用投与
外用混合物を、局所および全身投与について記載の通り製造する。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアロゾル、灌注、スプレー、坐薬、バンデージ、皮膚パッチまたは外用投与に適当な任意の他の製剤に製剤する。
【0147】
本化合物または薬学的に許容されるその誘導は、例えば吸入による局所投与用エアロゾルとして製剤できる(例えば、炎症性疾患、特に喘息の処置に有用なステロイドの送達用エアロゾルを記載する米国特許4,044,126、4,414,209、および4,364,923を参照)。これらの呼吸管への投与のための製剤は、エアロゾルまたはネブライザー用の溶液の形であり得、または吹き入れ(insufflation)用超微粒粉末として、単独でまたはラクトースのような担体と組合せて製剤する。このような場合、製剤の粒子は、典型的に50ミクロン未満、一つの態様において、10ミクロン未満の粒子径を有する。
【0148】
本化合物は、局所または外用投与、例えば、皮膚および、眼内のような、粘膜への外用投与のために、ゲル、クリーム、およびローションの形で、および眼へのまたは大槽内または脊髄内投与のために、製剤できる。外用投与は、経皮送達およびまたは眼もしくは粘膜への投与、または吸入治療のために意図される。本活性化合物単独または他の薬学的に許容される賦形剤と組合せた鼻内溶液も投与できる。
【0149】
これらの溶液、特に眼使用を意図したものは、0.01%−10%等張性溶液、pH約5−7として、適当な塩と製剤される。
【0150】
5. 他の投与経路用組成物
外用投与、経皮パッチおよび直腸投与のような他の投与経路もここで意図される。
【0151】
例えば、直腸投与用医薬投与形態は、全身的な効果のための直腸坐薬、カプセルおよび錠剤である。直腸坐薬は、ここでは、体温で融解または軟化し、1個以上の薬理学的または治療的活性成分を放出する、直腸に挿入するための固体を意味するために使用する。直腸坐薬に使用するための薬学的に許容される物質は、基剤または媒体および融点を上げるための薬剤である。基剤の例は、カカオバター(テオブロマ油)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)ならびに脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリドの適当な混合物を含む。種々の基剤の組合せを使用できる。坐薬の融点を上げるための薬剤は、鯨蝋および蝋を含む。直腸坐薬は、圧縮法または鋳造のいずれかで製造できる。直腸坐薬の典型的重量は約2から3gmである。
【0152】
直腸投与用の錠剤およびカプセルは、経口投与用錠剤と同じ薬学的に許容される物質および同じ方法を使用して製造する。
【0153】
E. 本化合物の活性の評価
標準の生理学的、薬理学的および生化学的方法が、p38キナーゼおよび/またはJNK活性を含むサイトカインの活性を調節する生物学的活性を有するものを同定するための本化合物の試験に利用できる。
【0154】
化合物阻害活性は、放射活性酵素アッセイで測定した。緩衝組成物は、Lisnock et al (Biochemistry, 1998, vol. 37, pp 16573-16581)から採用した。ペプチド基質はChen et al (Biochemistry, 2000, vol. 39, 2079-2087)から選択した。p38α、[γ−33P−ATP]およびペプチドの濃度は、各々1nM、85uMおよび250uMに等しかった。33Pのペプチドへの取り込みを、フィラメントへの吸収と、その後の100mM リン酸、続いてエタノールでの洗浄を使用して測定した。
【0155】
p38α酵素アッセイの他の条件はまた文献に記載されていた。記載のアッセイと緩衝組成物(Biochemistry, 2000, vol. 39, 2079-2087))、または基質(Biochemistry, 1998, vol. 37, pp 16573-16581)、または両方(Protein Sci., 1998, vol. 7, pp. 2249-2255)を変えた。
【0156】
F. 本化合物および組成物の使用法
さらなる態様において、ここに提供する化合物は、炎症性疾患の1種以上の症状の処置、予防または寛解に使用できる。ここで提供される化合物は、他の態様において、炎症性疾患の処置または予防用医薬の製造に使用できる。
【0157】
ここに提供する化合物は、p38キナーゼ活性、特に、p38αおよびp38βのアイソフォームおよび/またはJNK活性、特に、JNK1、JNK2およびJNK3活性の選択的阻害剤である。従って、ここで提供される化合物は、p38キナーゼおよび/またはJNK活性が関連する状態の処置に有用である。このような状態は、サイトカインレベルが、p38を介した細胞内シグナル伝達の結果として調節される疾患、および特に、サイトカインIL−1、IL−4、IL−8、およびTNF−αの過剰生産が関与する疾患を含む。ここで提供されるp38阻害剤により処置または予防できる疾患はまた、本疾患の責任があると考えられるサイトカイン(IL−1、TNF、IL−6、IL−8)により、簡便に分類される。
【0158】
故に、IL−1介在疾患または状態は、リウマチ性関節炎、骨関節症、卒中、内毒血症および/または毒素ショック症候群、内毒素により誘発される炎症反応、炎症性腸疾患、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、カヘキシー、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、糖尿病、膵臓.ベータ.細胞疾患およびアルツハイマー病を含む。
【0159】
TNF介在疾患または状態は、リウマチ性関節炎、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、痛風性関節炎および他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性菌敗血症、毒素ショック症候群、成人呼吸窮迫症候群、脳性マラリア、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺サルコイドーシス、骨吸収疾患、再灌流傷害、移植片対宿主反応、同種移植片拒絶反応、感染が原因の発熱および筋肉痛、感染に二次的なカヘキシー、AIDS、ARCまたは悪性疾患、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎または発熱(pyresis)を含む。TNF介在疾患はまたウイルス感染、例えばHIV、CMV、インフルエンザおよびヘルペス;および獣医学的ウイルス感染、例えば、ウマ伝染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルスまたはマエディウイルスを含むが、これに限定されないレンチウイルス感染;またはネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、またはイヌ免疫不全ウイルスを含む、レトロウイルス感染を含む。
【0160】
IL−8介在疾患または状態は、大量の好中球浸潤を特徴とする疾患、例えば乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓および腎臓再灌流傷害、成人呼吸窮迫症候群、血栓症および糸球体腎炎を含む。
【0161】
加えて、ここに提供する化合物は、IL−1またはTNFが原因のまたはそれらにより悪化する状態を処置または予防するために、外用で使用できる。このような状態は、湿疹、乾癬、炎症性皮膚状態、例えば日焼け、炎症性眼状態、例えば結膜炎、発熱(pyresis)、疼痛および炎症と関連する他の状態を含む。
【0162】
ここで提供されるのは、p38キナーゼおよび/またはJNK活性を阻害するここで提供される化合物を投与することによる、疾患の処置法である。またここで提供されるのは、ここで提供される化合物の投与による、疾患または障害の発症の阻害または遅延である。ここで提供される方法は、疾患の症状または疾患状態の完全なまたは部分的軽減を達成するために、および/または本疾患または障害および/またはその症状を寛解、軽減または減少させるために使用できる。“p−38α/βキナーゼ”の阻害についてここで言及するとき、これは、p38αおよび/またはp38βキナーゼのいずれかが阻害されることを意味する。故に、p−38α/βキナーゼに関するIC50値の言及は、本化合物がp38αおよびp38βキナーゼの少なくとも1個、または両方の阻害に対してこのような効果を有することを意味する。“JNK1/2/3”の阻害についてここで言及するとき、これは、JNK1および/またはJNK2またはJNK3のいずれかが阻害されることを意味する。故に、JNK1/2/3に関するIC50値の言及は、本化合物がc−Jun N末端キナーゼの少なくとも1個、2個または3個の阻害に対してこのような効果を有することを意味する。
【0163】
p38α/βキナーゼおよび/またはJNK活性の阻害剤としてのそれらの活性の観点から、ここで提供される化合物は炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、血管新生障害、感染症、神経変性疾患、およびウイルス性疾患を含むが、これらに限定されないp−38および/またはJNK関連状態の処置に有用である。
【0164】
一つの態様において、ここに提供する化合物で処置し得る具体的状態または疾患は、膵炎(急性または慢性)、喘息、アレルギー、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、内毒素により誘発される炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、カヘキシー、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、膵臓β細胞疾患;大量の好中球浸潤を特徴とする疾患;リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎および他の関節炎状態、脳性マラリア、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺サルコイドーシス、骨吸収疾患、同種移植片拒絶反応、感染が原因の発熱および筋肉痛、感染に二次的なカヘキシー、ケロイド形成、瘢痕組織形成、潰瘍性大腸炎、発熱(pyresis)、インフルエンザ、骨粗鬆症、骨関節症および多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢;アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性傷害が原因の脳虚血または神経変性疾患;固形腫瘍、眼血管新生、および小児血管腫を含む血管新生障害;急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎を含むC)、HIV感染およびCMV網膜炎、AIDS、SARS、ARCまたは悪性疾患、およびヘルペスを含むウイルス性疾患;卒中、心筋虚血、卒中心臓発作における虚血、臓器低酸素症、脈管過形成、心臓および腎臓再灌流傷害、血栓症、心肥大、トロンビン誘発血小板凝集、内毒血症および/または毒素ショック症候群、およびプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2が関連する状態を含むが、これらに限定されない。
【0165】
加えて、ここで提供されるp38および/またはJNK阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ−2 (COX−2)とも呼ばれるプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS−2)のような誘発性炎症促進性タンパク質の発現を阻害する。従って、さらなるp38および/またはJNK関連状態は、浮腫、鎮痛、発熱および疼痛、例えば神経筋疼痛、頭痛、癌が原因の疼痛、歯痛および関節炎疼痛を含む。ここに提供する化合物はまた感染ウマ伝染性貧血ウイルスを含むが、これに限定されないレンチウイルスのような獣医学的ウイルス感染;またはネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、およびイヌ免疫不全ウイルスを含むレトロウイルス感染の処置にも使用できる。
【0166】
G. 組合せ治療
またここで提供されるのは、処置を必要とする対象に、有効量のここで提供される化合物を単独で、またはお互いに組合せておよび/またはこのような状態の処置に有用な他の適当な治療剤と組合せて投与することによる、p38キナーゼおよび/またはJNK関連状態の処置法である。このような他の治療剤の例は、コルチコステロイド、ロリプラム、カルフォスチン、CSAID、US特許4,200,750およびS. Ceccarelli et al, “Imidazo(1,2-a)quinoxalin-4-amines: A Novel Class of Nonxanthine AI Adenosine Receptor Antagonists,” European Journal of Medicinal Chemistry Vol. 33, (1998), at pp. 943-955に記載の4−置換イミダゾ(1,2A)キノキサリン;インターロイキン−10、グルココルチコイド、サリチル酸塩、酸化窒素、および他の免疫抑制剤;核移行阻害剤、例えばデオキシスペルグアリン(DSG);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えばイブプロフェン、セレコキシブおよびロフェコキシブ;ステロイド、例えばプレドニゾンまたはデキサメサゾン;抗ウイルス剤、例えばアバカビル;抗増殖剤、例えばメトトレキサート、レフルノミド、FK506(タクロリムス、Prograf);細胞毒、例えばアザチオプリンおよびシクロホスファミド;TNF−α阻害剤、例えばテニダップ、抗TNF抗体または可溶性TNF受容体、およびラパマイシン(シロリムスまたはRapamune)またはその誘導体を含む。
【0167】
上記の他の治療剤は、ここに提供する化合物と組合せて用いるとき、例えば、Physicians' Desk Reference(PDRに指示される量で、または、当業者により他の方法で決定される通りに使用できる。ここで提供される方法において、このような他の治療剤(複数もある)は、ここに提供する化合物の投与の前に、同時に、またはその後に投与し得る。
【0168】
下記実施例は、ここに記載の態様を説明し、特許請求の範囲の範囲を限定する意図はない。実施例で用いる略語は下記に定義する。実施例の化合物は、それが製造される実施例および工程により(例えば、“1A”は実施例1の工程Aの表題化合物を意味する)、または化合物が実施例の表題化合物であるときには実施例のみにより(例えば、“2”は実施例2の表題化合物を意味する)同定する。
【0169】
略語
Ph = フェニル
Bz = ベンジル
t−Bu = 3級ブチル
Me = メチル
Et = エチル
Pr = プロピル
Iso−Pまたはi−Pr = イソプロピル
MeOH = メタノール
EtOH = エタノール
EtOAc = 酢酸エチル
Boc = tert−ブチルオキシカルボニル
CBZ = カルボベンジルオキシまたはカルボベンズオキシまたはベンジルオキシカルボニル
DCMまたはCHCl = ジクロロメタン
DCE = 1,2−ジクロロエタン
DMF = ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
HATU = O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
KOH = 水酸化カリウム
CO = 炭酸カリウム
POCl = オキシ塩化リン
KOtBu = カリウムt−ブトキシド
EDCまたはEDCI = 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド
DIPEA = ジイソプロピルエチルアミン
HOBt = 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
m−CPBA = m−クロロ過安息香酸
NaH = 水素化ナトリウム
NaOH = 水酸化ナトリウム
Na = チオ硫酸ナトリウム
NaSO = 硫酸ナトリウム
Pd = パラジウム
Pd/C = パラジウム/炭素
min =分
L = リットル
mL = ミリリットル
μL = マイクロリットル
g = グラム
mg = ミリグラム
mol = モル
mmol = ミリモル
meq = ミリ当量
RTまたはrt = 室温
ret. t. またはt = HPLC保持時間(分)
satまたは sat'd= 飽和
【実施例】
【0170】
マススペクトルはHP1100質量分光計で得た。実施例中:“HPLC(条件A)”は、直径3mmのThermal C18カラム;7分間にわたる、5%Aから95%A(残りはB)への7分間直線勾配を使用したHPLCによる物質の評価を意味する。溶媒Aはアセトニトリルと0.325%TFAおよび溶媒Bは水と0.325%TFAである。tは化合物について観察される保持時間である。
【0171】
実施例1
4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステルの製造
【化18】

A. 3−イソチオシアナト−4−メトキシ−安息香酸
4−メトキシ−安息香酸(1.20g、7.18mmol)、溶解するために十分な濃HCLを含む30mLの水の溶液に、CSCl(0.55mL、7.18mmol)を添加した。反応物を2.5時間、室温で撹拌した。得られた白色固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空で乾燥させて表題化合物、1.37gを白色固体として得た。この物質をさらに精製することなく使用した。
【0172】
B. 5−ヒドラゾノメチル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル
5−ホルミル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル(6.30g、0.034mol)のEtOH(6.3mL)溶液に、ヒドラジン(1.69mL、0.034mol)溶液を添加した。反応物混合物をRTで一晩撹拌した。得られた沈殿を濾過し、真空で乾燥させて、表題化合物、6.79gを明黄色固体として得た。この物質をさらに精製することなく使用した。
【0173】
【化19】

C. 1Cの製造
無水THF(1.0mL)に1A(32mg、0.153mmol)および1B(100mg、0.154mmol)を添加し、RTで1.5時間撹拌した。この反応物に、飽和NaHCO(0.2mL)およびMeI(29μL、0.47mmol)を添加した。反応物を次いで一晩撹拌し、セライトパッドを通して濾過し、溶媒を真空で除去した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH 1−4%;CHCl)で精製して、1C化合物(31mg)を得た。
【0174】
D. 4−(5−カルボキシ−2−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル
3B(31mg、0.074mmol)のDMF(0.5mL)溶液を、マイクロ波照射により190℃で30分加熱した。反応物を再び30分同じ条件で加熱し、水(1mL)を添加した。沈殿を濾過により回収した。濾液をCHCl(1×1mL)で抽出した。抽出物を合わせ、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去した。沈殿を抽出物と合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(4−7%MeOHのCHCl溶液)で精製した。溶媒を真空で除去して、表題化合物(13mg)をオレンジ色固体として得た。
【0175】
E. 4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル
HOBt(30mg、0.20mmol)、EDCI(30mg、0.16mmol)、シクロプロピルアミン(20uL、0.29mmol)のDMF(0.5mL)懸濁液に、RTで4−(5−カルボキシ−2−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル(13mg、0.035mmol)を添加した。反応物を一晩撹拌した。水(1mL)を添加し、沈殿を回収した。生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(1−3%MeOHのCHCl溶液)で精製して、表題化合物、7mgを黄色がかった固体として得た。HPLC(条件A)t 4.37分。MS m/z 410 [M+H]
【0176】
実施例2
4−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾル−3−イル)−フェニルアミノ]−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステルの製造
【化20】

A. 2Aの製造
3−(3−イソチオシアナト−4−メチル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール(22mg、0.10mmol)および1B(20mg、0.10mmol)のTHF(1.0mL)溶液を、RTで1時間撹拌した。この反応混合物に、飽和NaHCO(0.2mL)およびMeI(28mg)を添加した。反応物混合物を2時間撹拌した。水(5mL)を添加し、混合物をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、2A、35mgを得た。
【化21】

【0177】
B. 4−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾル−3−イル)−フェニルアミノ]−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル
2A(20mg、0.047mmol)のDMF(0.5mL)を、マイクロ波照射により190℃で30分加熱した。得られた物質を分取HPLCで精製して、表題化合物、12mgを得た。HPLC(条件A)t 4.48分。MS m/z 378 [M+H]
【0178】
実施例3
4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステルの製造
【化22】

A. 3Aの製造
N−シクロプロピル−3−イソチオシアナト−4−メチル−ベンズアミド(159mg、0.69mmol)および1B(134mg、0.0.69mmol)のTHF(1.0mL)溶液をRTで一晩撹拌した。溶媒を蒸発により除去して、黄色固体を得た。この物質をTHF(5mL)およびNaOH(0.2N、5mL)に懸濁した。この反応物にMeI(43μL、0.69mmol)を添加し、rtで30分撹拌した。水(5mL)を添加し、混合物をCHCl(2×20mL)で抽出した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、溶媒を真空で除去して、3A、(311mg)を得た。この物質をさらに精製することなく使用した。
【化23】

【0179】
B. 4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル
3A(0.69mmol)のHOAc(4mL)溶液マイクロ波照射により190℃で15分加熱した。得られた物質を分取HPLCで精製して、表題化合物、55mgを得た。HPLC(条件A)t 4.91分。MS m/z 394 [M+H]
【0180】
実施例4
4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸ベンジルアミドの製造
【化24】

A. 4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸ベンジルアミド
4−(5−シクロプロピルカルバモイル−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸(37、0.13mmol)のDMF(1mL)溶液に、EDCI(37mg、0.20mmol)、HOBt(30mg、0.20mmol)、EtN(45μL)およびベンジルアミン(29μl、0.27mmol)を添加した。反応物混合物を3時間、rtで撹拌した。粗物質を分取HPLCで精製して、表題生成物、3.3mgをオフホワイト色固体として得た。HPLC(条件A)t 4.40分。MS m/z 455 [M+H]
【0181】
実施例5
4−(5−エトキシカルボニルアミノ−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステルの製造
【化25】

A. 5Aの製造
無水THF(2.0mL)に、(3−イソチオシアナト−4−メチル−フェニル)−カルバミン酸エチルエステル(32mg、0.153mmol)および1B(250mg、1.28mmol)を添加し、RTで2時間撹拌した。この反応物に、飽和NaHCO(0.5mL)およびMeI(120μL、1.93mmol)を添加した。反応物を次いで一晩撹拌し、セライトパッドを通して濾過し、溶媒を真空で除去した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(1/1 EtOAc/ヘキサン)で精製して、5C(280mg)を黄色固体として得た。
【化26】

【0182】
B. 4−(5−エトキシカルボニルアミノ−2−メチル−フェニルアミノ)−6−メチル−ピロロ[1,2−d][1,2,4]トリアジン−7−カルボン酸エチルエステル
5A(50mg)のDMF(0.2mL)溶液を、マイクロ波照射により190℃で30分加熱した。得られた物質を分取HPLCで精製して、表題化合物、15mgを得た。HPLC(条件A)t 5.54分。MS m/z 398 [M+H]
【0183】
実施例6
JNK酵素アッセイ:
20μLの最終反応容量で、5nMヒト組み換え Jnk2を、推定JNK阻害剤の漸増濃度の非存在下または存在下、25mM HEPES pH 7.5、20mM β−グリセロールホスフェート、10mM MgCl、0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム、0.005%Tween(登録商標) 80、10uM [γ−33P−ATP]、500μM IPTTPITTTYFFFKKK ペプチド基質および2mM DTTと共にインキュベートした。反応を[g−33P−ATP]添加により開始させた。20分、30℃でインキュベーション後、一定量をP30/GFフィルターマット(PerkinElmer)上に移した。各フィルターマットを4回100ml 0.5%リン酸、0.5mM ピロホスフェートで、次いで2回50ml エタノールで洗浄し、乾燥させ、5mlのOptiPhase“SuperMix”液体シンチレーションカクテル(PerkinElmer)含有バッグに密閉した。ペプチドに取り込まれた放射活性をTrilux 1450 Microbetaプレートリーターで読み取った。IC50値をSigmaPlotを使用して計算した。
【0184】
p38αアッセイ
用いたp38αアッセイは、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼ反応のカップリングにより得られたNADH酸化を介した、目的の反応物に放出されたADPの測定に基づく。アッセイは384ウェルUVプレートで行った。最終容量は、10%DMSOに溶解した2.5uL 化合物、17.5uLのアッセイ緩衝液および5uLのATPの添加により製造した25uLであった。アッセイ緩衝液はアッセイにおける最終濃度を得るために下記試薬を含む:25mM HEPES、20mM 2−グリセロホスフェート、pH 7.6、10mM MgCl、0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム、0.5mM ホスホエノールピルベート、0.12mM NADH、3.1mg/ml LDH、6.67mg/ml ピルベートキナーゼ、0.25mM ペプチド基質、2mM DTT、0.005%Tween 80およびUpstateからの20nM p38αキナーゼ。試験化合物をp38αキナーゼと60分プレインキュベートし、最終濃度0.15mMまでのATPの添加により反応を開始させる。反応速度を340nmで、SpectraMaxプレート読み取り分光光度計を10分、37℃で使用して測定した。阻害データをSigmaPlotを使用して非直線最小二乗回帰により解析した。
【0185】
結果
下記に示すここで例示の化合物は、上記アッセイで、p38キナーゼ阻害剤としての活性を示した。加えて、これらの化合物はJNK2を阻害することが示された。本化合物のほとんどは、10μM未満、多くは1μM未満のp38αキナーゼおよびJNK2キナーゼIC50値を示した。いくつかのここで提供される化合物のp38阻害およびJNK2阻害活性を下記表1に示す。p38キナーゼおよびJNK2キナーゼIC50値について、“+++”は<1μM、“++”は1.0〜10μMおよび“+”は>10μMを示す。
【0186】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
は水素、アルキルまたはハロであり;
は水素またはアルキルであり;
Gは所望によりフェニル環に縮合していてよいアリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロシクリル環であり、かつRおよび/またはRで置換されており;

(a) アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ;
(b) アシルアミノ;
(c) 所望により置換されていてよいヘテロシクリル;
(d) 所望により置換されていてよいアリールまたはヘテロアリール;
(e) ヘテロアルキル;
(f) ヘテロアルケニル;
(g) ヘテロアルキニル;
(h) ヘテロアルコキシ;
(i) ヘテロアルキルアミノ;
(j) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル;
(k) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルケニル;
(l) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキニル;
(m) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルコキシまたはヘテロシクリルオキシ;
(n) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルアミノ;
(o) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルカルボニル;
(p) ヘテロアルキルカルボニル;
(q) −NHSO(ここで、Rはアルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルである);
(r) −NHSONR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(s) −Y−(アルキレン)n1−R(ここで、Yは一重結合、−O−、−NH−または−S(O)−(ここで、nおよびn1は各々独立して0から2の整数である)であり;そしてRはハロ、シアノ、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいアラルキル、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−COOH、−COR10、−COOR11、−CONR1213、−SO14、−SONR1516、−NHSO17または−NHSONR1819であり、ここで、R10はアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロ環であり、R11はアルキルであり、そしてR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(t) −C(=NR20)(NR2122)(ここで、R20、R21およびR22は独立して水素、アルキルまたはヒドロキシであるか、またはR20およびR21は一体となって−(CH)−であり、ここで、nは2または3であり、そしてR22は水素またはアルキルである);
(u) −NHC(X)NR2324(ここで、Xは−O−または−S−であり、そしてR23およびR24は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(v) −CONR2526(ここで、R25およびR26は、独立して水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルであるか、またはR25およびR26は、それらが結合している窒素と一体となって所望により置換されていてよいヘテロシクリル環を形成する);
(w) −S(O)27(ここで、nは0から2の整数であり、そしてR27はアルキル、ヘテロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルまたは−NR2829であり、ここで、R28およびR29は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(x) 全て所望によりアルキル、ハロ、ヒドロキシまたはアミノで置換されていてよい、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキニルおよびシクロアルキルアルキニル;
(y) アリールアミノアルキレンまたはヘテロアリールアミノアルキレン;
(z) Z−アルキレン−NR3031またはZ−アルキレン−OR32(ここで、Zは−NH−、−N(低級アルキル)−または−O−、およびR30であり、R31およびR32は互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(aa) −OC(O)−アルキレン−COHまたは−OC(O)−NR'R”(ここで、R'およびR”は独立して水素またはアルキルである);
(bb) ヘテロアリールアルケニレンまたはヘテロアリールアルキニレン;
(cc) 水素;
(dd) ハロ;
(ee) シュードハロ;
(ff) ヒドロキシ;
(gg) 所望により置換されていてよいアルコキシ;
(hh) C(L)R40(ここで、LはO、SまたはNR55であり;R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリリウム(heteroarylium)、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、C(L)R56、ハロ、シュードハロ、OR55、SR55、NR5758またはSiR525354であり;ここで、R52、R53およびR54は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R52、R53およびR54は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム(heteroarylium)、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6263であるか;または(ii)R52、R53およびR54の任意の2個が一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そして他方が(i)の通りに選択され;R55は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム(heteroarylium)、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R56は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6465であり;ここで、R64およびR65は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR66またはNR6263であるか、またはR64およびR65は一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し、ここで、R66は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R57およびR58は、下記(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R57およびR58は各々独立して水素、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55、NR6768またはC(L)R69であり、ここで、R67およびR68は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであるか、または一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そしてR69は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR70またはNR6263であり、ここで、R70はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか;または(ii)R57およびR58は一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、またはアルキレンオキシアルキレンであり;R62およびR63は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはR62およびR63は一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成する);および
(ii) 所望により置換されていてよいアルキル;
から成る群から選択され:

(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;
(d) アルコキシ;および
(e) ヒドロキシ;
から成る群から選択されるか、
または環上の隣接原子を置換しているRおよびRは、一体となってアルキレンジオキシ、チオアルキレンオキシまたはアルキレンジチオキシを形成し;

(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;
(d) ハロアルキル;
(e) チオアルキル;
(f) ヒドロキシ;
(g) アミノ;
(h) アルキルアミノ;
(i) ジアルキルアミノ;
(j) ヘテロアルキル;
(k) 所望により置換されていてよいヘテロ環;
(l) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキル;
(m) 所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルコキシ;
(n) アルキルスルホニル;
(o) アミノスルホニル、モノ−アルキルアミノスルホニルまたはジ−アルキルアミノスルホニル;
(p) ヘテロアルコキシ;および
(q) カルボキシ;
−NHSO(ここで、Rはアルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルである);
(r) −NHSONR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(s) −Y−(アルキレン)n1−R(ここで、Yは一重結合、−O−、−NH−または−S(O)−(ここで、nおよびn1は各々独立して0から2の整数である)であり;そしてRはハロ、シアノ、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいアラルキル、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、−COOH、−COR10、−COOR11、−CONR1213、−SO14、−SONR1516、−NHSO17または−NHSONR1819であり、ここで、R10はアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロ環であり、R11はアルキルであり、そしてR12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(t) −C(=NR20)(NR2122)(ここで、R20、R21およびR22は、独立して水素、アルキルまたはヒドロキシであるか、またはR20およびR21は、一体となって−(CH)−であり、ここで、nは2または3であり、そしてR22は水素またはアルキルである);
(u) −NHC(X)NR2324(ここで、Xは−O−または−S−であり、そしてR23およびR24は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(v) −CONR2526(ここで、R25およびR26は独立して水素、アルキル、ヘテロアルキルまたは所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルであるか、またはR25およびR26は、それらが結合している窒素と一体となって所望により置換されていてよいヘテロシクリル環を形成する);
(w) −S(O)27(ここで、nは0から2の整数であり、そしてR27はアルキル、ヘテロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリルアルキルまたは−NR2829であり、ここで、R28およびR29は、互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(x) 全て所望によりアルキル、ハロ、ヒドロキシまたはアミノで置換されていてよいシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキニルおよびシクロアルキルアルキニル;
(y) アリールアミノアルキレンまたはヘテロアリールアミノアルキレン;
(z) Z−アルキレン−NR3031またはZ−アルキレン−OR32(ここで、Zは−NH−、−N(低級アルキル)−または−O−であり、そしてR30、R31およびR32は互いに独立して、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである);
(aa) −OC(O)−アルキレン−COHまたは−OC(O)−NR'R”(ここで、R'およびR”は独立して水素またはアルキルである);
(bb) ヘテロアリールアルケニレンまたはヘテロアリールアルキニレン;
(cc) 水素;
(dd) ハロ;
(ee) シュードハロ;
(ff) ヒドロキシ;
(gg) 所望により置換されていてよいアルコキシ;
(hh) C(L)R40(ここで、LはO、SまたはNR55であり;R40は水素、所望により置換されていてよいアルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリリウム、所望により置換されていてよいシクロアルキル、所望により置換されていてよいヘテロシクリル、C(L)R56、ハロ、シュードハロ、OR55、SR55、NR5758またはSiR525354であり;ここで、R52、R53およびR54は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R52、R53およびR54は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6263であるか;または(ii)R52、R53およびR54の任意の2個がアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そして他方が(i)の通りに選択され;R55は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R56は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55またはNR6465であり;ここで、R64およびR65は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR66またはNR6263であるか、またはR64およびR65は一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し、ここで、R66は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;R57およびR58は、下記の(i)または(ii)の通りに選択され:(i)R57およびR58は各々独立して水素、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR55、NR6768またはC(L)R69であり、ここで、R67およびR68は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであるか、または一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成し;そしてR69は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリル、OR70またはNR6263であり、ここで、R70はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか;または(ii)R57およびR58は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、またはアルキレンオキシアルキレンを形成し;R62およびR63は各々独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリリウム、シクロアルキル、ヘテロシクリルであるか、またはR62およびR63は、一体となってアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレンを形成する);および
(ii) 所望により置換されていてよいアルキル;
から成る群から選択され:そして

(a) 水素;
(b) ハロ;
(c) アルキル;および
(d) アルコキシ;
から成る群から選択される:
ただし、Rがアルキルであるとき、Gは1個の窒素を有する飽和ヘテロ環式基ではない。〕
の化合物またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項2】
化合物が式II:
【化2】

〔式中、
およびRは独立してクロロ、メチル、アミノ、カルボキシ、エチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、シクロプロピルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボニル、モルホリノカルボニル、アミノカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、エトキシカルボニルアミノ、イソプロピルオキシカルボニルアミノ、イソブチルオキシカルボニルアミノ、フェニルアミノカルボニル、オキサゾリル、トリアジニル、またはエチルアミノカルボニルアミノであり:
、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項3】
化合物が、式(III):
【化3】

〔式中、R−Rは、式(I)および(II)に関して定義の通りである。〕
を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項4】
化合物が、式(IV):
【化4】

を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項5】
化合物が、式(V):
【化5】

〔式中、Qはアルキル、アルコキシ、アラルキルアミノ、アルキルアミノまたはシクロアルキルアミノである。〕
を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項6】
化合物が、式(VI):
【化6】

を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項7】
化合物が、式(VII):
【化7】

を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項8】
化合物が、式(VIII):
【化8】

〔式中、Qはアルコキシ、またはアルキルアミノカルボニルである。〕
を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項9】
化合物が、式(IX):
【化9】

〔式中、Qは水素、アルキル、シクロアルキル、アラルキルまたはアリールである。〕
を有する、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項10】
【化10】

【化11】

【化12】

から選択される、請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩。
【請求項11】
処置を必要とする対象に式(I)の化合物を投与することを含む、サイトカイン介在疾患または障害の1種以上の症状を処置、予防または寛解する方法。
【請求項12】
疾患または障害が、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、血管新生障害、感染症、神経変性疾患、およびウイルス性疾患から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
コルチコステロイド、ロリプラム、カルフォスチン、CSAID、4−置換イミダゾ[1,2−A]キノキサリン、インターロイキン−10、グルココルチコイド、サリチレート、酸化窒素、免疫抑制剤、核移行阻害剤、デオキシスペルグアリン(DSG);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;ステロイド、プレドニゾン、デキサメサゾン;抗ウイルス剤、アバカビル;抗増殖剤、メトトレキサート、レフルノミド、FK506;細胞毒、アザチオプリン、シクロホスファミド、TNF−α阻害剤、テニダップ、抗TNF抗体、可溶性TNF受容体、およびラパマイシン、またはそれらの誘導体をさらに投与することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容されかつ開裂可能なエステル、もしくは酸付加塩および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
1種以上の下記薬剤:コルチコステロイド、ロリプラム、カルフォスチン、CSAID、4−置換イミダゾ[1,2−A]キノキサリン、インターロイキン−10、グルココルチコイド、サリチレート、酸化窒素、免疫抑制剤、核移行阻害剤、デオキシスペルグアリン(DSG);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;ステロイド、プレドニゾン、デキサメサゾン;抗ウイルス剤、アバカビル;抗増殖剤、メトトレキサート、レフルノミド、FK506;細胞毒、アザチオプリン、シクロホスファミド、TNF−α阻害剤、テニダップ、抗TNF抗体、可溶性TNF受容体、およびラパマイシン、またはそれらの誘導体をさらに含む、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
サイトカイン関連状態の処置用医薬の製造のための、請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−517933(P2008−517933A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538103(P2007−538103)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/038071
【国際公開番号】WO2006/047354
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】