説明

pH依存溶解性を有する活性成分の均一分散体の固形医薬製剤

本発明は、pH依存溶解性を有する少なくとも一つの活性成分、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の均一分散体の固形医薬製剤、前記固形医薬製剤を含んでなる固形投与形態、前記固形医薬製剤及び前記固形投与形態を調製する方法、癌等の増殖性疾患の治療用薬剤の製造における、前記固形医薬製剤の単独での使用、又は1若しくは2以上の医薬活性化合物との併用、並びに癌等の増殖性疾患の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH依存溶解性を有する少なくとも一つの活性成分、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジン(1-[4-chloroanilino]-4-[4-pyridylmethyl]-phthalazine)、又はその医薬的に許容し得る塩の、均一分散体の固形医薬製剤、上記固形医薬製剤を含んでなる固形投与形態、上記固形医薬製剤及び該固形投与形態の調製法、癌等の増殖性疾患の治療用薬剤の製造における、上記固形医薬製剤の単独での使用、又は1若しくは2以上の医薬的に活性な化合物との併用、並びに癌等の増殖性疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性環境で溶解し易く、中性及び/又は塩基性pHで溶解し難い薬物は、塩酸欠乏症等で胃の酸性度が低下した患者に対する生体利用可能能(bioavailability)が低い。斯かる生体利用可能能の低さは、薬物が幽門を通過する際に完全に溶解しないことに起因する。斯かる薬物を消化管(GIT)全体に亘って溶液中に保持することは、薬物の溶解度の低さゆえにほぼ不可能である。通常、例えば胃液のpHが不明の患者では、これによって生体利用可能能(BA)の個体間又は個体内の変動が大きくなる。この状況は、一般的なプロトンポンプ阻害剤(PPI、例えばオメプラゾール(omeprazol))等の胃液pH調整薬や、H2受容体ブロッカー(例えばラニチジン(ranitidine))の併用投薬を伴う治療計画の場合、更に悪化する。斯かる治療法は化学療法ではよく知られている。投与される主な薬物の溶解度がpHに依存する場合、治療の失敗のおそれがある。
【0003】
加えて、斯かるpH依存溶解性薬物は、胃の内容物が幽門から十二指腸に移動する前に薬物全体が溶解するよう、溶解速度が十分速いことが重要である。すなわち、薬物が経口剤形から速やかに放出され、胃液に速やかに溶解することが、基本的に要求される。
【0004】
従って、pH依存溶解性薬物の胃中での不溶性を克服し、BAの変動を減少させるための方策が必要となる。
【0005】
一般的な方策として、薬物と一緒に酸を導入することが挙げられる。これは、例えばセンペラ(登録商標)7錠(Sempera(登録商標) 7 tablets)(イトラコナゾール(Itraconazole)含有)についてよく知られており、そのラベルでは錠剤をコーラ飲料と一緒に摂取することが推奨されている。これは、コーラ飲料中のリン酸によってイトラコナゾールの溶解度が上昇する結果、BAが上昇するためである。しかし、患者による本投薬の遵守は制御できないため、コーラ飲料との併用投薬が更なる合併症を引き起こす場合がある。加えて、薬物の溶解速度は薬物の粒子サイズ及び構造に依存するため、溶解速度が遅すぎると即時溶解が生じず、薬物が溶解しないまま幽門を通して漏出する場合がある。
【0006】
従って、上記問題に対する別の解決策が必要とされている。
【0007】
具体例を挙げると、WO98/35958は、血管形成阻害活性を有する一連のフタラジン誘導体について包括的に記載しており、特に1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン及びその塩、中でもそのコハク酸塩を、癌等の増殖性疾患治療用の興味深い候補として挙げている。この化合物は血管形成阻害化合物であり、3種の血管内皮増殖因子(VEGFR)キナーゼ全ての阻害剤である。これら3種のVEGFR受容体は、リガンドに対する親和性が異なる。VEGF−AはVEGF−A及びVEGFR2に結合し、VEGF−B及び胎盤成長因子はVEGFR1に結合し、VEGF−A並びに処理形態のVEGF−C及びVEGF−DはVEGFR−2に結合し、VEGF−C及びVEGF−DはVEGFR−3に結合する。
【0008】
VEGFR−3は、腫瘍及び転移形成に関与するリンパ管の成長に特に重要である。また、他の病態の中でも、ぜんそくでは、急性炎症の後胞中に留まり、血管のように溶解しないため、リンパ組織は非常に重要である。これによって外来の薬剤がひきおこす刺激への感受性が継続する。
【0009】
これらの受容体は何れも膜透過性タンパク質である。VEGF変異体のシグナルは、2つの受容体分子の二量体化を経て伝達され、それによって細胞内C末端における酵素活性の活性化が促される。該酵素活性はシグナルキナーゼであり、リン酸基をATPからそれ自身(自己リン酸化)及び下流のシグナル分子に転移する。これによって細胞内シグナルカスケード全体との相互作用が可能となり、内皮細胞増殖及び遊走が引き起こされる。巨視的な結果として、新しい血管が形成される。
【0010】
阻害は特定のリガンドに依存せず、全てのシグナルをブロックする。
【0011】
1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンは下記の化学構造を有する。
【化1】

【0012】
1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンは、(4−クロロフェニル)[4−(4−ピリジルメチル)−フタラジン−1−イル]((4-chlorophenyl)[4-(4-pyridylmethyl)-phthalazin-1-yl])又はZK226343としても知られており、以下では一般名称「PTK/ZK塩基」(PTK/ZK base)で表す。1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンのコハク酸塩は、PTK/ZK、PTK787、CGP−79787D、ZK222584又はコハク酸バタラニブ(Vatalanib succinate)として知られており、以下ではこれらの名称のいずれか、特に「コハク酸バタラニブ」、「本薬」又は「本薬剤」として表す。
【0013】
コハク酸バタラニブの溶解度はpHに大きく依存する。コハク酸バタラニブの溶解度は、非常に低いpH値では適度な値であるが、pHが上昇するにつれて著しく減少する。
【表1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
コハク酸バタラニブは、pHが通常5より大きい小腸で吸収されるので、小腸に入る前に実質的に全て溶解していることが重要である。すなわち、実質的に全てのコハク酸バタラニブが胃液中に、換言すれば胃内で、溶解していなければならない。当然ながら、コハク酸バタラニブを十分吸収させるには、即放型製剤として投与する必要がある。より具体的には、剤型は経口摂取されるため、胃に進入するが、胃のpHは通常、生理的に3.5より小さい。しかし、所与の理由により、例えばプロトンポンプ阻害剤、H2受容体ブロッカー、或いは他の胃液pH調製用化合物との併用投薬のために、或いは、例えば病的胃障害のために、胃液のpHが3.5以上の人の割合はかなり多い。斯かる患者は、薬物の生体利用可能能が著しく低下している。よって、所与の患者集団における薬物の生体利用可能能のばらつきは大きい。このため、薬物への非応答や過剰投与等のリスクが存在する。それゆえ、患者集団の全体に対して、胃液pHが薬物の生体利用可能能に与える影響を低減する製剤が長い間望まれている。
【0015】
極めて驚くべきことに、これらの重要な技術的問題は、コハク酸バタラニブと医薬的に許容し得るカルボン酸との均一分散体の固形医薬製剤が、即放性と高い薬剤負荷を与えるという、本発明者らによる発見によって予期せず解決された。該固形医薬製剤は1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩を含んでなり、押出し加工、溶融加工、特に溶融押出し加工によって製造される。固形医薬製剤の均一分散体の分散性は非常に高く(更には「固溶体」であり)、これによって上記薬剤が、通常は溶解しないようなpHの溶媒(特に胃液等)にも溶解し得るようになる。薬物の溶解度が向上し、生体利用可能能が増加するので、胃液のpHが低下した患者にとっても便利である。コハク酸バタラニブと医薬的に許容し得るカルボン酸との均一分散体の固形医薬製剤は、カルボン酸とコハク酸バタラニブの溶融、押出し、又は溶融押出しによって得られるが、これらに限定されるものではない。これにより、患者は胃液のpHを考慮することなく該薬物を経口摂取することができる。また、本発明の製剤は、その酸性度が胃に対し有害ではないという、驚くべき技術的利点をも有している。更に驚くべきことに、本発明の製剤を経口投与する場合、コハク酸バタラニブの生体利用可能量(bioavailable amount)のばらつきが減ることがわかった。特に驚くべきことに、本発明の製剤は環境条件下で長期間保存可能なことが分かった。斯かる技術的利点ゆえ、本製剤は、臨床使用や市販に極めて適している。とりわけ驚くべきことに、本発明の固形医薬製剤は、コハク酸バタラニブを、即ち「塩」の形態を含有する場合、いかなる塩転換も受けないことがわかった。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、溶解度がpHに依存する少なくとも1の活性成分、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩の均一分散体の固形医薬製剤を提供することであり、これによって上述の技術的課題が解決される。本目的は、本明細書又は添付の特許請求の範囲に記載の固形医薬製剤によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の観点によれば、本発明は、固形医薬製剤であって、
a)医薬的に許容し得る1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジンの塩;及び
b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸;
の均一分散体であるとともに、
37℃でpH6.8の非緩衝水性媒体を溶媒として使用して、100rpmの撹拌速度でUSP XXVIパドル法或いは回転パドル法により測定した場合に、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも70%が30分以内に放出される、製剤を提供する。
【0018】
第2の観点によれば、本発明は上記固形医薬製剤を、錠剤、ペレット又は粉剤の形態で提供する。
【0019】
第3の観点によれば、本発明は、a)1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンの医薬的に許容し得る塩、及び、b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の、均一分散体の固形医薬製剤を調製する方法であって、
i)上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩と、上記pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の混合物とをブレンドして、ブレンド混合物を形成する工程;
ii)押出し又は溶融、好ましくは溶融押出しにより、更に任意により球状化処理を行い、上記ブレンド混合物の押出し又は溶融物を、特にペレット状として形成する工程;及び
iii)例えば製粉或いはふるい分けによって、上記押出し又は溶融物の適切な粒子サイズ分布を得、上述した固形医薬製剤の、適当な粒子サイズの押出し物或いは溶融物を得る工程
を含んでなる方法を提供する。
【0020】
第4の観点によれば、本発明は、上記方法によって得られる固形医薬製剤を提供する。
【0021】
第5の観点によれば、本発明は、上記固形医薬製剤の薬剤としての使用を提供する。
【0022】
第6の観点によれば、本発明は、増殖性疾患、特に癌の治療用の薬剤の製造における、上記固形医薬製剤の使用を提供する。
【0023】
第7の観点によれば、本発明は、増殖性疾患、特に癌を治療する方法であって、治療的有効量の上記固形医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0024】
本発明の更なる観点及びその実施例は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例3に従って作製した錠剤、すなわち、実施例2に従ってブレンドして調製された、コハク酸バタラニブとクエン酸との物理混合物を含有する錠剤を、環境条件下で1月保存した後の溶解プロファイルを示す。
【図2】実施例4に従って作製した錠剤、すなわち、実施例1に従って溶融押出しにより調製し、コハク酸バタラニブとクエン酸の溶融押出し物を含有する錠剤を、環境条件下で1月及び3月保存した後の溶解プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図に言及する以下の説明によって、本発明をよりよく理解し、本発明の他の目的、特徴及び利点を明らかにすることができる。以下の記載は単に本発明を説明するための非限定的な例として挙げるに過ぎない。
【0027】
なお、図1は、実施例3に従って作製した錠剤、すなわち、実施例2に従ってブレンドして調製された、コハク酸バタラニブとクエン酸との物理混合物を含有する錠剤を、環境条件下で1月保存した後の溶解プロファイルを示す図であり、記号は以下の通りである。
【表2】

【0028】
また、図2は、実施例4に従って作製した錠剤、すなわち、実施例1に従って溶融押出しにより調製し、コハク酸バタラニブとクエン酸の溶融押出し物を含有する錠剤を、環境条件下で1月及び3月保存した後の溶解プロファイルを示す図であり、記号は以下の通りである。
【表3】

【0029】
上述したように、第1の観点によれば、本発明は、固形医薬製剤であって、
a)医薬的に許容し得る1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジンの塩;及び
b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸;
の均一分散体であるとともに、
37℃でpH6.8の非緩衝水性媒体を溶媒として使用して、100rpmの撹拌速度でUSP XXVIパドル法或いは回転パドル法により測定した場合に、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも70%が30分以内に放出される、製剤を提供する。
【0030】
好ましい実施態様として、本発明は、上述の固形医薬製剤において、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%が、固形医薬製剤から30分以内に放出される、製剤を提供する。
【0031】
上記製剤の一実施態様によれば、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンは、その医薬的に許容し得る塩、好ましくは医薬的に許容し得る付加塩、特にコハク酸塩の形であることが望ましい。
【0032】
上記製剤の一実施態様によれば、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸は、モノ−、ジ−、トリ−又はポリカルボン酸である。上記モノ−、ジ−、トリ−或いはポリカルボン酸は、以下のグループから選択されることが好ましい。シュウ酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、特にL−アスパラギン酸、リンゴ酸、マレイン酸、リン酸、グルタミン酸、アルギン酸、パモン酸、2−オキソ−グルタル酸、マロン酸、サリチル酸、酒石酸、特に(+)−L−酒石酸、フマル酸、ガラクタル酸、クエン酸、D−グルクロン酸、及びラクトビオン酸。上記酸は、無水物又は水和物、特に1−又は2−水和物の形で存在し得るものと解される。
【0033】
特に、上記酸はクエン酸或いはフマル酸であることが望ましい。
上述の酸は無水物、モノ−、ジ−、或いは他の水和形態で存在し得る。
【0034】
一実施態様によれば、本発明は、上述の固形医薬製剤において、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を更に含有する製剤が提供される。
【0035】
上記製剤の他の実施態様によれば、上記医薬的に許容し得る賦形剤は、フィラー(d)、好ましくは糖含有フィラーであり、より好ましくは、上記糖含有フィラーは、ラクトース、マルトデキストリン、ショ糖、及び、マンニトールを含んでなる群、好ましくは、ラクトース、マルトデキストリン、ショ糖、及び、マンニトールからなる群より選択される。好ましくは、上記糖含有フィラーはマンニトールである。
【0036】
本開示から明らかなように、最も重要な点は、所定の量の混合物を投与した場合に、非緩衝水性溶媒のpH値が、薬物の溶解を可能とする程度に減少するように、(a)薬物と(b)カルボン酸との混合比を設定することである。
【0037】
ある実施態様では、上記製剤中の成分a):成分b)の重量比は、0.1:10(これは即ち、0.1:10の間の任意の範囲、例えば1:10、2:9、3:8、4:7、5:6等を含む意である)、好ましくは1:5、より好ましくは1:2である。特に、成分a):成分b)の重量比は1:1である。
【0038】
ある実施態様によれば、上記固形医薬製剤は、上記フィラー(d)を、上記固形医薬製剤の総重量に対して0〜45重量%程度、好ましくは35〜40重量%程度、更に好ましくは36.9重量%程度含む。
【0039】
上述したように、第2の観点によれば、本発明は上記固形医薬製剤を、錠剤、ペレット又は粉剤の形態で提供する。
【0040】
一実施態様によれば、上記錠剤は、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩を、錠剤の総重量に対して15〜50重量%、好ましくは25〜30重量%、更に好ましくは26.8重量%含有する。
【0041】
特に、上記錠剤は被覆され、とりわけ膜被覆される。
【0042】
一実施態様によれば、上記錠剤は糖で被覆される。
【0043】
一実施態様によれば、上述の粉剤はカプセル、特にゼラチン硬カプセルに収められる。好ましくは、上記カプセルは被覆され、好ましくは膜被覆される。
【0044】
ある実施態様では、上記粉剤は単回投与容器、特に小袋、とりわけスティックパックに収められる。
【0045】
上述したように、第3の観点によれば、本発明は、a)1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンの医薬的に許容し得る塩、及び、b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の、均一分散体の固形医薬製剤を調製する方法であって、
i)上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩と、上記pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の混合物とをブレンドして、ブレンド混合物を形成する工程;
ii)押出し又は溶融、好ましくは溶融押出しにより、更に任意により球状化処理を行い、上記ブレンド混合物の押出し又は溶融物を、特にペレット状として形成する工程;及び
iii)例えば製粉或いはふるい分けによって、上記押出し又は溶融物の適切な粒子サイズ分布を得、上述した固形医薬製剤の、適当な粒子サイズの押出し物或いは溶融物を得る工程
を含んでなる方法を提供する。
【0046】
一実施態様によれば、上記方法は更に、
iv)適当な粒子サイズの上記押出し物と、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤とをブレンドし、任意により錠剤を、特に直接圧縮によって形成する工程を含んでなる。
【0047】
上記方法は更に、
v)上記押出し物をカプセル、好ましくはゼラチン硬カプセルに充填する工程を含んでいてもよい。
【0048】
上記方法は更に、
vi)上記押出し物を単回投与容器、好ましくは小袋に充填する工程を含んでいてもよい。
【0049】
上述したように、第4の観点によれば、本発明は、上記方法によって得られる固形医薬製剤を提供する。
【0050】
上述したように、第5の観点によれば、本発明は、上記固形医薬製剤の薬剤としての使用を提供する。
【0051】
上述したように、第6の観点によれば、本発明は、増殖性疾患、特に癌の治療用の薬剤の製造における、上記固形医薬製剤の使用を提供する。
【0052】
一実施態様によれば、上記医薬製剤は、化学療法剤と組み合わせて使用される。
【0053】
上述したように、第7の観点によれば、本発明は、増殖性疾患、特に癌を治療する方法であって、治療的有効量の上記固形医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0054】
一実施態様によれば、上記方法は、治療的有効量の上記固形医薬製剤を、上述の通り化学療法剤と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含んでなる。
【0055】
本発明は、本明細書に記載される実施態様の可能な組み合わせの全てを包含すると解される。
【0056】
成分a)1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン:
1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンは、遊離塩基でもよく、実際には、その医薬的に許容し得る塩、特に酸付加塩であってもよい。斯かる塩は適当な無機酸又は有機酸から形成し得る。適当な無機酸の例としては、塩酸等のハロゲン酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。適当な有機酸の例としては、以下のものが挙げられる。ホスホン酸、スルホン酸又はスルファミン酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、グルコン酸、グルコースモノカルボン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルカル酸、ガラクタル酸等のカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸、N−メチルグリシン、アセチルアミノ酢酸、N−アセチルアスパラギン、及びN−アセチルシステイン等のアミノ酸;ピルビン酸、アセト酢酸、ホスホセリン、2−又は3−グリセロリン酸、グルコース−6−リン酸、グルコース−1−リン酸、フルクトース−1、6−ビスリン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、1−又は3−ヒドロキシナフチル−2−カルボン酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、4−4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、桂皮酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、メタン−又はエタン−スルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、2−、3−、又は4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−N−メチル−、N−エチル−、又はN−プロピル−スルファミン酸、或いはアスコルビン酸等の他の有機酸。
【0057】
成分b)pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸:
この酸は、文献International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC), “Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, Selection, and Use”, P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth (Eds.), Wiley-VCH page 334 to 337, Table 2のリストから選択し得る。本文献はその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0058】
医薬的に許容し得るカルボン酸:
フィラー(d):
上記フィラー(d)は実際に当業者に既知であり、例えば以下のものが挙げられる。
【0059】
− 不活性の希釈剤又はフィラーであって、ショ糖、マルトデキストリン、ソルビトール、砂糖、特にPearlitol SD 200等のマンニトール、コーンスターチ等のでんぷん、微結晶セルロース、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はラクトース(例えばラクトース一水和物)等の糖含有フィラー等。
【0060】
医薬的に許容し得る追加の賦形剤:
上記医薬的に許容し得る追加の賦形剤は、実際に当業者に既知であり、例えば以下のものが挙げられる。
【0061】
− 高分散二酸化ケイ素等の流動化剤。流動化剤の量は通常、製剤中に0.1〜10重量%含の割合である。好ましくは潤滑剤が、製剤の総量の0.2〜5重量%、例えば製剤の総量の0.3〜5重量%、例えば製剤の総量の0.3〜1重量%、好ましくは製剤の総量の約0.5重量%の割合で含まれる。
【0062】
− 潤滑剤、例えば流動促進剤及び粘着防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油又はタルク等。潤滑剤の量は通常、製剤の総量の0.1〜10重量%である。潤滑剤の量は、好ましくは製剤の総量の0.2〜5重量%、例えば製剤の総量の0.5〜5重量%、例えば製剤の総量の1〜5重量%、より好ましくは製剤の総量の1〜3重量%の量である。本発明の好ましい実施態様では、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0063】
− 崩壊剤、カロボキシメチルセルロース系崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム、例えばAc-Di-Sol(FMC BioPolymerから販売)、架橋ポビドン、グリコール酸でん粉ナトリウム、ゼラチン化又は非ゼラチン化コーンスターチ、ポテトスターチ等。
【0064】
− 結合剤、例えばα化澱粉等。
【0065】
− 界面活性剤及び湿潤剤、例えば天然リン脂質、例えばレシチンや大豆レシチン等;エチレンオキシドと、脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、又は脂肪酸及びヘキシトール若しくは無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等;又は長鎖脂肪族ホスフェートの塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム等。
【0066】
本発明の固形医薬製剤に使用し得る、その他の医薬的に許容し得る賦形剤としては、着色剤、着香料、可塑剤、保湿剤、緩衝剤等が挙げられる。
【0067】
固形医薬製剤
実施例も含めた本願の記載から理解されるように、最も重要な点は、酸性条件下で薬物が速やかに、且つ信頼性のある方式で放出されることである。すなわち、本発明において「即放性(fast-release又はimmediate-release)」という語は、37℃でpH6.8の非緩衝水性媒体を溶媒として用い、100rpmの撹拌速度でのUSP XXVIパドル法又は回転パドル法で測定した場合に、薬物、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも70%が、30分以内に固形医薬製剤から溶解することを意味する。
【0068】
更に、本開示から理解されるように、最も重要な点は、比較的多量の薬物を患者に投与する必要から、本発明に係る錠剤が高負荷(high-load)の薬剤を含むことである。すなわち、本願において、「高負荷(high-load)」すなわち「高薬剤負荷(high-drug-load)」という用語は、錠剤が薬物、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩を、少なくとも15重量%、とりわけ少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%の割合で含むことを意味する。換言すれば、上記錠剤は、上述したように、錠剤の全重量に対し20〜55重量%の薬物、例えば1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩を含む。
【0069】
本願では、「コヒーレント相(coherent phase)」という用語は、分散体の外側の相を意味する。これは内側の相を完全に包囲する連続相である。
【0070】
本願では、「第2相(second phase)」という用語は、分散体の少なくとも1の外側の相の内側の相を意味する。これはコヒーレント相内の共連続相又は不連続相となる。
【0071】
本願では、「均一分散体(homogeneous dispersion)」という用語は、本発明の固形医薬製剤において、第2相の要素がコヒーレント相中に均一に配置していることを意味する。本発明では、「均一分散体(homogeneous dispersion)」という用語は、例えば押出し、特に溶融押出しによって製造される固形医薬製剤を意味する。
【0072】
本発明の固形医薬製剤は更に、抗癌剤等の薬物を含んでいてもよい。
【0073】
医薬製剤が固形投与形態、特に固形単位投与形態(例えば錠剤、小袋、特にスティックパック、或いはカプセル、特にゼラチン硬カプセル、中でも特に錠剤)である場合には、該単位投与形態は経口投与用に用いられる。その場合、膜コーティングや糖衣等のコーティングがされていてもよい。上述のような薬物の投与形態は当業者には公知である。
【0074】
即ち、本発明に係る固形単位投与形態としては、以下に示す1種以上を主成分とする糖衣や膜コーティング等が挙げられる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(もしくは「HPTM」)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アクリルポリマー(例えばEudragit(登録商標)(Degussaにより販売)、ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドン、又はタルク、二酸化チタン、第一鉄顔料等の着色剤。中でも、コーティングはHPMC系の膜コーティングが好ましい。
【0075】
(方法)
本明細書において、本発明の固形医薬製剤(すなわち、a)1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンの医薬的に許容し得る塩、及びb)コヒーレント相としてpKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸、からなる均一分散体の固形医薬製剤)の製造において、上記2成分a)とb)とをブレンドする最初の工程(すなわち、押出し又は溶融、好ましくは溶融押出しに先行する工程)は、パラクロロアニリン化合物の生成を回避するために、乾燥条件下で、すなわち、例えば水等の液体を加えない条件下で行われると解される。パラクロロアニリン化合物は水性酸性条件下で1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンの分解物として生成するが、発癌性を有することが知られている。
【0076】
本願において、本発明の固形医薬製剤の製造方法との関連で使用される「押出し(extrusion)」という用語は1つの材料又は1つ以上の材料のブレンドを特定のオリフィスを通して処理し、極めて高い均一分散性(更には「固溶体」)を与える製造プロセスを意味する。特に製薬技術において、押出しは、任意の種々の材料が存在する場合にはそれらをブレンドし、ダイスを通して処理する事を含んでなる。本願では「溶融押出し(melt extrusion)」という用語は、ある特殊な押出し形態を意味する。溶融押出しで押出される材料は、加工される材料を構成する少なくとも一つの成分の所定の処理圧下で融点を超えて加熱される。当業者にはよく知られているように、処理圧が高くなると成分の融点は低くなり、従って、この方法で使用される圧力は可能な限り最も高い圧力である。
【0077】
(医学的用途)
本発明は癌又は腫瘍もしくは腫瘍の血管新生を治療するための手段と方法を、治療に適したあらゆる動物、好ましくは哺乳類、特に人間に提供する。
【0078】
「固形悪性腫瘍(solid malignant tumour)」という用語は、非炎症性の正常でない悪性の組織塊を示すが、先在組織の細胞から発生する明らかな原因が不明であり、生理的機能を有さず、かつ正常細胞に侵入し体全体に広がっていく。固形悪性腫瘍の典型的な例には乳癌、非小細胞肺癌、結腸癌、腎細胞癌、そして悪性黒色腫等がある。
【0079】
「癌(carcinoma)」という用語は、上皮性起源の悪性腫瘍を示す。上皮組織は身体内外の表面を覆う。上皮組織の例は皮膚、並びに腸、膀胱、子宮等の体腔や臓器を覆う粘膜及び漿膜などである。上皮組織はより深い組織層にまで伸びて粘液分泌腺等の腺を形成することもある。
【0080】
「肉腫(sarcoma)」という用語は、軟骨、脂肪、筋肉、腱及び骨等の結合組織から成長する悪性腫瘍を示す。
【0081】
「白血病(leukaemia)」という用語は、血液の癌、すなわち骨髄に由来し、正常な赤血球、白血球、及び血漿が生成するのを妨げる癌を示す。
【0082】
「リンパ腫(lymphoma)」という用語は、リンパ系の節又は腺に由来する癌を示す。
【0083】
「神経膠腫(glioma)」という用語は、本願で用いる場合には、グリア細胞に由来する悪性腫瘍を示す。
【0084】
「阻害(inhibition)」又は「阻害する(inhibit)」という用語は、固形腫瘍の治療と関連付けて使用される場合には、一次又は二次腫瘍の出現が遅れること、一次又は二次腫瘍の進展が遅くなること、一次又は二次腫瘍が減少すること、又は病気の副次的影響の重篤度が低下・減少することを示す。腫瘍のサイズと関連付けて使用される「低下(reduction)」又は「低める(reducing)」という用語は、「阻害」又は「阻害する」という用語に包含される。固形腫瘍の低下とは、腫瘍体積が低下することをいう。例えば、固形腫瘍の10%の低下とは、治療された腫瘍の体積が10%低下したことを意味する。
【0085】
本発明の重要な観点は、本発明の固形医薬製剤を治療に用いることにある。
【0086】
従って、本発明はまた、本発明の固形医薬製剤を薬剤として使用することも目指す。
特に、本発明は、癌治療のための薬剤を製造するために本発明の固形医薬製剤を使用することを目指す。言い換えれば、本発明は、治療的有効量の本発明の固形医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、癌の治療法を目指している。
【0087】
本願では、「癌の治療」又は「癌を有する哺乳類の治療」とは、本明細書に記載した固形医薬製剤が、i)腫瘍の増殖を阻害し、ii)腫瘍退行を促進し、すなわち腫瘍のサイズを低め、iii)腫瘍を除去し、及び/又はiv)腫瘍細胞の転移を阻害する、ために十分な治療的有効量投与されることを意味する。
【0088】
固形医薬製剤は、「治療的有効」量、すなわち投与条件と関連して所望の効果を発揮するのに十分である量が、患者に投与される。正確な量は治療されるべき癌の形(cancer form)に依存しており、当業者が既知技術を用いて確かめることができるであろう。薬物、特にコハク酸バタラニブの適切な投与量は、約0.5〜3g/患者/日、好ましくは1〜2g/患者/日、例えば1〜1.5g/患者/日、例としては1.3〜1.4g/患者/日、特に1.34g/患者/日で企画される。
【0089】
本発明の非常に興味ある実施態様においては、前記癌は、癌腫、例えば悪性メラノーマ、基底細胞癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺、腎細胞癌、膀胱癌、再発性上皮膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、頸部癌、頸部形成異常、喉頭乳頭腫、結腸癌腫、結腸直腸癌及びカルチノイド腫瘍からなる群より、特に悪性メラノーマ、非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌及び腎細胞癌からなる群より選択された癌腫である。
【0090】
従って、本発明の1つの実施態様においては、前記癌は、悪性メラノーマ、例えば上皮拡散性メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性ほくろメラノーマ、末端性メラノーマ、メラニン欠乏性メラノーマ又は癒着性メラノーマである。本発明のもう1つの実施態様においては、前記癌は、非小細胞肺癌である。本発明の更にもう1つの実施態様においては、前記癌は乳癌である。本発明の更にもう1つの実施態様においては、前記癌は結腸癌である。本発明の更にもう1つの実施態様においては、前記癌は腎細胞癌である。
【0091】
本発明の更に興味ある実施態様においては、前記癌は、肉腫、例えば骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫及びカポジ肉腫からなる群より選択された肉腫である。
【0092】
本発明の更に興味ある実施態様においては、前記癌はグリオーマである。
【0093】
当業者には明らかなように、上述の癌タイプ(すなわち、癌腫、肉腫及びグリオーマ)は、固形腫瘍の存在によって特徴づけられる。
【0094】
本発明の更なる興味ある実施態様においては、前記癌はリンパ腫、例えばホジキン病、非ホジキン病、B−細胞リンパ腫、T−細胞リンパ腫、小胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及び菌状息肉腫からなる群より選択されたリンパ腫である。
【0095】
本発明の更にもう1つの興味ある実施態様においては、前記癌は、メラノーマ、例えば多発性メラノーマである。
【0096】
癌治療における1つの重要な用途は、更に中皮腫に関して、異なる原因(例えば、子宮内膜、卵巣癌、結腸癌)から生じた腹部腫瘍中の腹水生成の減少及び遮断である。
【0097】
抗癌剤として使用する他に、本発明の医薬製剤は、血管増殖による黄斑変性、及び
リンパ管増殖による角膜移植のような血管形成のオーバーシュート、及びそれによる免疫特権の破壊によって特徴づけられる他の疾患に使用することができる。本発明の医薬製剤は血管が異所的に関節に向かって成長する関節リウマチのような疾病に有用であり、また、上述したように、喘息に有効である。また、女性の周期が関連した血管増殖による疾病に対してもまた、子宮内膜症の場合のように、よい効果がある。
【0098】
併用療法によって、種々の癌形に対してより効果的な治療を行うことができることは理解されるだろう。そして該療法において、本発明の固形医薬製剤が適切な化学療法剤と組合せ、及び/又は放射性療法と組み合わせ、及び/又は手術と組み合わせて使用される。
【0099】
従って、本発明の更なる観点は、化学療法剤を併用した癌治療用薬剤の製造に
本発明の固形医薬製剤を使用することに関する。同様に、本発明の更なる観点は、本発明の固形医薬製剤の治療有効量と化学療法剤を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、癌の治療法に関する。
【0100】
適当な化学療法剤の具体的な例には、以下のものからなる群より選択される化学療法剤が含まれる。アドレノコルチコステロイド(adrenocorticosteroid)、例えばプレドニゾン(prednisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)又はデカドロン(decadron)など;アルトレタミン(altretamine)(ヘキサレン(hexalen)、ヘキサメチルメラミン(hexamethylmelamine)(HMM));アミフォスチン(amifostine)(エチオール(ethyol));アミノグルテチミド(aminoglutethimide)(シタドレン(cytadren));アムサクリン(amsacrine)(M-AMSA);アナストロゾール(anastrozole)(アリミデックス(arimidex));アンドロゲン(androgens)、例えばテストステロン(testosterone);アスパラギナーゼ(asparaginase)(エルスパル(elspar));バチルス・カルメテグリン(bacillus calmette-gurin);ビカルタミド(bicalutamide )(カソデックス(casodex));ブレオマイシン(bleomycin)(ブレノキサン(blenoxane));ブスルファン(busulphan)(ミレラン(myleran));カルボプラチン(carboplatin)(カルボプラチン(paraplatin));カルムスチン(carmustine)(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(chlorambucil)(ロイケラン(leukeran));クロロデオキシアデノシン(chlorodeoxyadenosine)(2-CDA、クラドリビン(cladribine)、ロイスタチン(leustatin));シスプラチン(cisplatin)(プラチノール(platinol));シトシンアラビノシド(cytosine arabinoside)(シタラビン(cytarabine));デカルバジン(dacarbazine)(DTIC);ダクチノマイシン(dactinomycin)(アクチノマイシン−D(actinomycin-D)、コスメゲン(cosmegen));ダウノルビシン(daunorubicin )(セルビジン(cerubidine));ドセタキセル(docetaxel)(タキソテール(taxotere));ドキソルビシン(doxorubicin )(アドリオマイシン(adriomycin));エピルビシン(epirubicin);エストラムスチン(estramustine )(emcyt);エストロゲン(estrogens)、例えばジエチルスチルペストロール(diethylstilbestrol)(DES);エトプシド(etopside)(VP-16、VePesid、エトポホス(etopophos));フルダラビン(fludarabine )(フルダラ(fludara));フルタミド(flutamide )(エウレキシン(eulexin));5-FUDR(フロキシウリジン(floxuridine)); 5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)(5-FU);ゲムシタビン(gemcitabine )(ジェムザール(gemzar));ゴセレリン(goserelin )(ゾダレックス(zodalex));ヘルセプチン(herceptin )(トラスツズマブ(trastuzumab));ヒドロキシウレア(hydroxyurea )(ハイドレア(hydrea));イダルビシン(idarubicin )(イダマイシン(idamycin));イフォスファミド(ifosfamide);IL−2(プロロイキン(proleukin)、アルデスロイキン(aldesleukin));インターフェロンアルファ(interferon alpha)(イントロンA(intron A)、ロフェロンA(roferon A));イリノテカン(irinotecan)(カンプトサール(camptosar));ロイプロリド(leuprolide )(ルプロン(lupron));レバミゾール(levamisole)(エルガミゾール(ergamisole));ロムスチン(lomustine)(CCNU);メクロラタミン(mechlorathamine )(ムスタルゲン(mustargen)、ナイトロジエンマスタード(nitrogen mustard));メルファラン(melphalan )(アルケラン(alkeran));メルカプトプリン(mercaptopurine )(プリンエトール(purinethol)、6-MP);メトトレキセート(methotrexate )(メキセート(mexate));ミトマイシン−C(mitomycin-C)(ムタムシン(mutamucin));ミトザントロン(mitoxantrone )(ノバントロン(novantrone));オクトレオチド(octreotide )(サンドスタチン(sandostatin));ペントスタチン(pentostatin )(2−デキソコホルマイシン(2-deoxycoformycin)、ニペント(nipent));プリカマイシン(plicamycin )(ミトラマイシン(mithramycin)、ミトラシン(mithracin));プロロカルバジン(prorocarbazine )(マチュレーン(matulane));ストレプトゾシン(streptozocin);タモキシフィン(tamoxifin )(ノルバデックス(nolvadex));タキソール(taxol )(パシルタキセル(paclitaxel));テニポシド(teniposide )(ブモン(vumon)、VM-26);チオテパ(thiotepa);トポテカン(topotecan )(ヒカムチン(hycamtin));トレチノイン(tretinoin )(ベサノイド(vesanoid)、全トランスレチノイン酸(all-trans retinoic acid));ビンブラスチン(vinblastine )(バルバン(valban));ビンクリスチン(vincristine )(オンコビン(oncovin))及びビノレルビン(vinorelbine )(ナベルビン(navelbine))。
【0101】
本願に記載される目的にとって有用である他の化学療法剤には、米国特許第6,482,802号の第12欄の62行〜第13欄の42行に言及される化学療法剤が包含される。それら及び他の化学療法剤の記載に関しては、The Merck Index, 12th edition, pp. THER 13-14を参照のこと。両文献は共に本願に引用して援用する。
【0102】
化学療法剤は、実際の癌形を考慮した上で選択されることが理解されるであろう。本発明の好ましい実施態様においては、次の化学療法剤が、次の特定の癌形の治療のために(本願に記載の固形医薬製剤と共に)使用される:悪性メラノーマとシスプラチン;悪性メラノーマとIL−2;腎細胞癌腫とドキソルビシン;腎細胞癌腫とIL−2;乳癌とドキソルビシン;乳癌とタキソール;結腸癌と5−フルオロウラシル;結腸癌とシスプラチン;及び、非小細胞肺癌とシスプラチン。
【0103】
本発明を更に、以下の実施例によって説明する。それらの実施例は、いかなる意味でも、本明細書及び特許請求の範囲の普遍性を制限するものとして理解すべきではない。
【実施例】
【0104】
[実施例1]
コハク酸バタラニブとクエン酸の溶融押出し物の調製
コハク酸バタラニブとクエン酸一水和物を同量(それぞれ1000g)ブレンダー(10リットルTurbula-Mixer(Willy A. Bachofen GmbH, CH))に投入し、均一のブレンドが得られるまで15分間混合する。該ブレンドを溶融押出し機(Leistritz ZSE27(Leistritz Extrusionstechnik GmbH, Nuremberg, Germany))の装填漏斗に充填する。約55℃から65℃の加工温度で、該ブレンドの低速押出しを行う。押出し塊を集める。該押出し塊を環境条件まで完全に冷却した後、窒素雰囲気下、遠心ミル(Retsch ZM200(Retsch GmbH, Haan, Germany))を使用し、100μmスクリーンを通してふるいにかける。
【0105】
[実施例2]
コハク酸バタラニブとクエン酸の物理混合物の調製
コハク酸バタラニブとクエン酸一水和物を同量(それぞれ1000g)ブレンダー(10リットルTurbula-Mixer(Willy A. Bachofen GmbH, CH))に投入し、均一のブレンドが得られるまで15分間混合する。
【0106】
[実施例3]
実施例2のコハク酸バタラニブとクエン酸の物理混合物を用いた、即放性酸錠剤の調製
実施例2の コハク酸バタラニブとクエン酸一水和物の物理混合物を用いて、以下の方法で即放性錠剤を製造する。まず、53.6gの該混合物と、フィラーとして26.9gのマンニトール(Pearlitol SD 200(Roquette GmbH, Frankfurt, Germany))、結合剤として15gのα化コーンスターチ(Starch 1500 (Colorcon, Idstein, Germany))を250mlのガラスジャーに入れ、36rpmで10分間ブレンダー(Turbula mixer (Willy A. Bachofen, CH))でブレンドする。次に2gのクロスカルメロース(Ac-Di-Sol (Lehmann & Voss, Hamburg, Germany))を崩壊剤として加え5分間ブレンドし、最後に2.5gのステアリン酸マグネシウム(WerbaChem, Vienna, Austria)を加え、1分間更にブレンドを行う。得られたプレス塊を、Notter 13.75×5曲率半径4(Notter GmbH, Olbronn, Germany)等の楕円パンチ工具のついた、Korsch EK0偏心プレス機(Korsch GmbH, Berlin, Germany)等の錠剤プレス機に供給する。圧縮中、材料は圧縮工具への強い粘着性を示した。
【0107】
[実施例4]
実施例1のコハク酸バタラニブとクエン酸の溶融押出し物を用いた、即放性錠剤の調製
実施例1の溶融押出し塊を用いて、以下の方法で即放性錠剤を製造する。最初に53.6gの該溶融押出し塊と、0.5gの高分散二酸化ケイ素(Aerosil SD 200 (Degussa AG, Frankfurt, Germany))をふるい(a 0.3 mm analytical sieve (Retsch GmbH, Haan, Germany))にかけ250mlのガラスジャーに入れ、36rpmで5分間ブレンダー(a Turbula mixer (Willy A. Bachofen, CH))でブレンドする。この初期ブレンドにフィラーとして36.9gのマンニトール(Pearlitol SD 200 (Roquette GmbH, Frankfurt, Germany))、結合剤として5gのα化コーンスターチ(Starch 1500 (Colorcon, Idstein, Germany))を加え、36rpmで10分間ブレンドする。次に2gのクロスカルメロース(Ac-Di-Sol (Lehmann & Voss, Hamburg, Germany))を崩壊剤として加え5分間ブレンドし、最後に2gのステアリン酸マグネシウム(WerbaChem, Vienna, Austria)を加え、1分間更にブレンドを行う。得られたプレス塊を、楕円パンチ工具(Notter 13.75 x 5 curvature radius 4 (Notter GmbH, Olbronn, Germany))のついた、錠剤プレス機(a Korsch EK0 excenter press (Korsch GmbH, Berlin, Germany))に送る。非常に驚くべきことに、錠剤の製造中、プレス塊の圧縮工具への粘着は見られなかった。
【0108】
[実施例5〜8]
コハク酸バタラニブと有機酸の物理混合物の調製、及びその混合物の即放性錠剤の調製
実施例2に従って、コハク酸バタラニブと次の有機酸の物理混合物を調製した。
【表4】

【0109】
実施例3に従い、得られたブレンドを使って即放性錠剤を調製した。圧縮中、プレス塊は全て圧縮工具への強い粘着性を示した。
【0110】
[実施例9]
実施例3の酸性コハク酸バタラニブ錠の1か月を超えた保管
実施例3の非コート錠の安定性を、安定性研究に関する国際調和委員会(International Committee of Harmonisation (ICH))のガイドラインに従い、25℃/相対湿度(RM)60%で評価した。1か月の保管後、錠剤を目視で検査したところ、多数のクラックや開口によって表面が平滑でなくなっていた。錠剤が完全な状態ではなくなっていた。図1に示すように、錠剤からの薬物の放出は、研究開始時と比べ減少していた。
【0111】
[実施例10]
錠剤からのコハク酸バタラニブの溶出の測定
錠剤からのコハク酸バタラニブの溶出の測定は、USP XXVIパドル法により、以下のパラメータを使用して行った:
装置:6個のカバー付ガラス容器及びパドル撹拌機を有するUSP溶解装置2
溶媒:脱気純水。最終的なpHを6.8±0.05に調節した。
充填量:1000ml
温度:37℃±0.5℃
攪拌速度:100rpm±2rpm
サンプリング時間:5、10、15、30、45及び60分
検出:316nmでUV測定
【0112】
X線回折解析により、従来とは異なる構造の新たな相が生成していることが分かった。
【0113】
[実施例11]
実施例4の酸性コハク酸バタラニブ錠の3か月を超えた保管
実施例4の非コート酸性錠剤の安定性を安定性研究に関する国際調和委員会のガイドラインに従い、25℃/相対湿度(RM)60%で評価した。驚くべきことに、錠剤は完全に一体性を保っており、表面もほとんど損なわれていなかった。
【0114】
1か月の保管後、及び3か月の保管後、pH6.8の非緩衝水中で薬物の放出を調査した。その結果を図2に示す。
【0115】
驚くべきことに、製剤からの溶出速度は保管時間の増加に伴い低下しなかった。
【0116】
また、X線回折解析によれば、新たな相の生成は検出されず、この製剤が安定であることを支持している。
【0117】
インビトロでの溶解性の調査結果が保管前後で不変であることを考えると、この製剤は実際に臨床への供給及び商業化に適していることは明らかである。
【0118】
インビトロでの溶解性の調査結果は、実施例9に記載した方法を用いて得た。
【0119】
図2(実施例4の錠剤について示す。該錠剤はコハク酸バタラニブとクエン酸の溶融押出し物を含み、実施例1に従い溶融押出しにより調製された)を図1(実施例3の錠剤について示す。該錠剤はコハク酸バタラニブとクエン酸の物理混合物を含み、実施例2に従い物理ブレンド(混合)により調製された)と比較してわかるように、
i)実施例4の錠剤は実施例3のものより溶解速度が速いだけでなく、
ii)保存時間の増加に応じ、許容範囲内で溶解速度が増加していることが分かる。すなわち、環境条件下で1月及び3月保存した後、開始時すなわち保存前に比べ溶解速度は増加した。更に驚くべきことに、図1に示すように、実施例3の錠剤は実際には保存時間の増加によって放出速度が減少していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形医薬製剤であって、
a)医薬的に許容し得る1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジンの塩;及び
b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸;
の均一分散体であるとともに、
37℃でpH6.8の非緩衝水性媒体を溶媒として使用して、100rpmの撹拌速度でUSP XXVIパドル法或いは回転パドル法により測定した場合に、上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも70%が30分以内に放出される、製剤。
【請求項2】
上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジン、又はその医薬的に許容し得る塩の少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%が、上記医薬製剤から30分以内に放出される、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
少なくとも1つの医薬的に許容し得る賦形剤を更に含んでなる、請求項1又は2記載の製剤。
【請求項4】
上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジンが、その医薬的に許容し得る塩の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
上記医薬的に許容し得る塩が付加塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
上記医薬的に許容し得る1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]−フタラジンの塩がコハク酸塩である、請求項5記載の製剤。
【請求項7】
上記pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸が、モノ−、ジ−、トリ−或いはポリカルボン酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
上記モノ−、ジ−、トリ−或いはポリカルボン酸が、シュウ酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、特にL−アスパラギン酸、リンゴ酸、マレイン酸、リン酸、グルタミン酸、アルギン酸、パモン酸、2−オキソ-グルタル酸、マロン酸、サリチル酸、酒石酸、特に(+)−L−酒石酸、フマル酸、ガラクタル酸、クエン酸、D−グルクロン酸、ラクトビオン酸、その無水物或いは水和物、特に1−或いは2−水和物、からなる群より選択される、請求項7記載の製剤。
【請求項9】
上記酸がクエン酸又はその水和物、或いは、フマル酸又はその水和物である、請求項7又は8記載の製剤。
【請求項10】
上記医薬的に許容し得る賦形剤がフィラー(d)である、請求項3〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
上記フィラー(d)が糖含有フィラーである、請求項10記載の製剤。
【請求項12】
上記糖含有フィラーが、ラクトース、マルトデキストリン、ショ糖及びマンニトールを含んでなる群、好ましくはこれらからなる群より選択される、請求項11記載の製剤。
【請求項13】
上記糖含有フィラーがマンニトールである、請求項12記載の製剤。
【請求項14】
成分a):成分b)の重量比が0.1:10、好ましくは1:5、より好ましくは1:2である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
成分a):成分b)の重量比が1:1である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
形状が錠剤、ペレット、又は粉剤である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩の含量が、錠剤の総重量に対し約20〜55重量%、好ましくは約25〜30重量%、更に好ましくは26.8重量%である、請求項16記載の錠剤。
【請求項18】
上記錠剤が被覆されている、請求項16又は17記載の錠剤。
【請求項19】
上記錠剤が膜被覆されている、請求項16〜18のいずれか1項に記載の被覆錠剤。
【請求項20】
上記錠剤が糖で被覆されている、請求項19記載の膜被覆錠剤。
【請求項21】
カプセル、特にゼラチン硬カプセルに収められている、請求項16記載の粉剤。
【請求項22】
被覆、好ましくは膜被覆されている、請求項21記載のカプセル。
【請求項23】
単回投与容器、特に小袋、より具体的にはスティックパックに収められている、請求項16記載の粉剤。
【請求項24】
a)1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジンの医薬的に許容し得る塩、及び、b)コヒーレント相として、pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の、均一分散体の固形医薬製剤を調製する方法であって、
i)上記1−[4−クロロアニリノ]−4−[4−ピリジルメチル]フタラジン又はその医薬的に許容し得る塩と、上記pKa値が3.2以下の医薬的に許容し得るカルボン酸の混合物とをブレンドして、ブレンド混合物を形成する工程;
ii)押出し又は溶融、好ましくは溶融押出しにより、更に任意により球状化処理を行い、上記ブレンド混合物の押出し又は溶融物を、特にペレット状として形成する工程;及び
iii)例えば製粉或いはふるい分けによって、上記押出し又は溶融物の適切な粒子サイズ分布を得、上述した固形医薬製剤の、適当な粒子サイズの押出し物或いは溶融物を得る工程
を含んでなる方法。
【請求項25】
iv)適当な粒子サイズの上記押出し物と、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤とをブレンドし、任意により錠剤を、特に直接圧縮によって形成する工程を更に含んでなる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
v)上記押出し物をカプセル、好ましくはゼラチン硬カプセルに充填する工程を更に含んでなる、請求項24又は25記載の方法。
【請求項27】
vi)上記押出し物を単回投与容器、好ましくは小袋に充填する工程を更に含んでなる、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法で得られた固形医薬製剤。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法で得られた、薬剤として使用される固形医薬製剤。
【請求項30】
増殖性疾患、特に癌の治療用の薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか1項に記載の固形医薬製剤の使用。
【請求項31】
増殖性疾患、特に癌の治療用の薬剤の製造における、請求項1〜28のいずれか1項に記載の固形医薬製剤の、化学療法剤との組み合わせによる使用。
【請求項32】
増殖性疾患、特に癌の治療法であって、斯かる治療が必要な患者に、請求項1〜28のいずれか1項に記載の固形医薬製剤の治療的有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項33】
増殖性疾患、特に癌の治療法であって、斯かる治療が必要な患者に、請求項1〜28のいずれか1項に記載の分散固形医薬製剤の治療的有効量を、化学療法剤とともに投与することを含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−518133(P2010−518133A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549374(P2009−549374)
【出願日】平成20年2月9日(2008.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001122
【国際公開番号】WO2008/098760
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】