説明

コネクタ

【課題】リテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向に並ぶ端子金具の、異物混入による短絡を防止することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング10に収容した端子金具20を、リテーナ30によって抜け止めするコネクタCであり、コネクタハウジング10には、端子金具20を収容可能なキャビティ11と、コネクタハウジング10の外側からキャビティ11内に通じるリテーナ装着部14とが設けられ、リテーナ装着部14に装着されたリテーナ30が、キャビティ11内に進入して端子金具20に係止することでこの端子金具20を抜け止めするものであり、キャビティ11は、リテーナ装着部14へのリテーナ30の挿抜方向に複数段が設けられ、リテーナ30の挿抜方向に隣接するキャビティ11間を仕切る隔壁18には、リテーナ装着部14に突出する突出壁19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタハウジングに収容した端子金具を、リテーナによって抜け止めするコネクタが知られている。このコネクタのコネクタハウジングには、端子金具を収容可能なキャビティと、コネクタハウジングの外側からキャビティ内に通じるリテーナ装着部とが設けられ、リテーナ装着部に装着されたリテーナが、キャビティ内に進入して端子金具に係止し、端子金具を抜け止めするようになっている。
【0003】
ところで、この種のコネクタは、鉄粉等の異物が浮遊した潤滑油等の油中で使用される場合がある。このような場合には、鉄粉等の異物が、例えばコネクタハウジングとリテーナとの間の隙間等からコネクタハウジング内に侵入し、リテーナ装着部の壁面に付着して溜まり、隣接するキャビティ内に収容された端子金具間に渡って、端子金具の短絡を招く虞がある。
【0004】
そこで、例えば下記特許文献1に記載のコネクタにおいては、異物混入による端子金具の短絡を防ぐべく、以下のような対策がなされている。このコネクタのコネクタハウジングには、複数のキャビティが一列に並んで設けられており、その下側にリテーナ装着部が設けられている。そして、隣接するキャビティを仕切る隔壁の下側に延長壁が突設され、これにより、隣接する端子金具のうち一方の端子金具から、下側の壁面を伝わって他方の端子金具に至る経路の距離(沿面距離)を長くし、異物混入による端子金具間の短絡を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−130311号公報
【特許文献2】特開2003−7384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような対策は、端子金具が一段に並べられたコネクタにおいては効果的であるけれども、例えば特許文献2に記載のコネクタのように、上下方向(リテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向)に、端子金具が複数段並べられたものにおいては、上下に隣接する端子金具の短絡を防止することが難しく、対策が望まれていた。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、リテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向に並ぶ端子金具の、異物混入による短絡を防止することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コネクタハウジングに収容した端子金具を、リテーナによって抜け止めするコネクタであり、前記コネクタハウジングには、前記端子金具を収容可能なキャビティと、前記コネクタハウジングの外側から前記キャビティ内に通じるリテーナ装着部とが設けられ、前記リテーナ装着部に装着された前記リテーナが、前記キャビティ内に進入して前記端子金具に係止することでこの端子金具を抜け止めするものであり、前記キャビティは、前記リテーナ装着部への前記リテーナの挿抜方向に複数段が設けられ、前記リテーナの挿抜方向に隣接する前記キャビティ間を仕切る隔壁には、前記リテーナ装着部に突出する突出壁が設けられているものである。
【0009】
このような構成によれば、リテーナの挿抜方向に隣接する端子金具のうち一方の端子金具から、リテーナ装着部側の壁面を伝わって、他方の端子金具に至る経路の距離(沿面距離)が増すから、リテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向に並ぶ端子金具の、異物混入による短絡を防止することができる。
【0010】
また、前記キャビティは、各段に複数が並んで設けられ、前記各段に並べられた複数の前記キャビティ間を仕切る隔壁には、前記リテーナ装着部に突出する突出リブが設けられているものとしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、各段において隣接する端子金具のうち一方の端子金具から、リテーナ装着部側の壁面を伝わって他方の端子金具に至る経路の距離(沿面距離)が増すから、この端子金具間の短絡を防止することができる。したがって、キャビティがリテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向に複数段設けられ、かつ各段に複数のキャビティが並んで設けられたコネクタにおいて、上下左右に隣接する端子金具間の、異物混入による短絡を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リテーナ装着部へのリテーナの挿抜方向に並ぶ端子金具の、異物混入による短絡を防止することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態におけるコネクタを示す断面図
【図2】コネクタハウジングを示す側面図
【図3】コネクタハウジングを示す底面図
【図4】リテーナを示す平面図
【図5】コネクタハウジングにリテーナを装着する前の状態を示すコネクタの断面図
【図6】リテーナが仮係止位置に保持された状態を示すコネクタの断面図
【図7】リテーナが本係止位置に保持された状態を示すコネクタの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態におけるコネクタCは、コネクタハウジング10に収容した端子金具20を、リテーナ30によって抜け止めするコネクタである。以下、各構成部材において、図1の左側を前方、右側を後方とし、また上側を上方、下側を下方として説明する。
【0015】
コネクタハウジング10は合成樹脂製であり、全体として横長断面の略直方体状をなしている。このコネクタハウジング10には、端子金具20を収容可能な複数のキャビティ11が、上下方向(リテーナ装着部14へのリテーナ30の挿抜方向)に複数段(本実施形態では2段)設けられている。また、キャビティ11は、各段に複数室(本実施形態では6室)が並んで設けられている。なお、各キャビティ11には、後方から端子金具20が挿入可能とされ、図示しない相手側端子金具のタブは前方から挿入可能とされている。
【0016】
また、各キャビティ11内における底面には、正規位置に挿入された端子金具20を一次係止するためのランス12が形成されている。ランス12は、前方に向けて片持ち状に延出され、上下方向に弾性変形可能とされている。
【0017】
端子金具20は、所定形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工し、全体として前後方向に細長い形状に形成されたものであり、その前側は相手側端子金具のタブが前方から接続される略角筒状の接続部21とされ、後側は電線25に固着されるバレル部22とされている。
【0018】
接続部21の下面には、コネクタハウジング10に設けられたランス12が係止可能な一次係止部23が孔状に形成されている。また、接続部21の後端縁は、後述するリテーナ30に係止される二次係止部24とされている。バレル部22は、電線25の端末に露出した芯線25Aをかしめ付けるワイヤバレル22Aと、電線25の被覆25Bをかしめ付けるインシュレーションバレル22Bとを備えている。
【0019】
コネクタハウジング10には、リテーナ30を装着するためのリテーナ装着部14が設けられている。リテーナ装着部14は、コネクタハウジング10の下面からキャビティ11に貫通形成され、リテーナ30は、コネクタハウジング10の下面に対して略垂直方向に挿抜可能とされている。リテーナ装着部14は、ランス12の後側に設けられ、すべてのキャビティ11の中間部分(端子金具20の接続部21が収容される部分とインシュレーションバレル22Bが収容される部分との間、すなわちワイヤバレル22Aが収容される部分)に連通している。なお、リテーナ装着部14は、コネクタハウジング10の下方および両側方(幅方向の外方)に開放され(図2参照)、コネクタハウジング10の下面に形成されたリテーナ装着部14の開口は、コネクタハウジング10の幅方向に細長い略長方形とされている(図3参照)。
【0020】
各段に並べられた複数のキャビティ11間を仕切る隔壁(キャビティ11の左右に位置する隔壁であって縦隔壁15と称する)には、リテーナ装着部14に突出する突出リブ16が設けられている(図2および図3参照)。
【0021】
縦隔壁15は、リテーナ装着部14の前側に位置する前縦隔壁15Aと、リテーナ装着部14の後側に位置する後縦隔壁15Bと、リテーナ装着部14の上側に位置する上縦隔壁15Cとを備えている。上縦隔壁15Cは、上段のキャビティ11の上側略半分を仕切り、前縦隔壁15Aおよび後縦隔壁15Bは、上段のキャビティ11の下側略半分から下段のキャビティ11の全高にわたり左右のキャビティ11間を仕切っている(図5参照)。
【0022】
突出リブ16は、縦隔壁15の全長、すなわち前縦隔壁15A、上縦隔壁15Cおよび後縦隔壁15Bにわたり連続して設けられている(図2参照)。突出リブ16は、縦隔壁15の幅方向の略中心に位置し、その幅寸法は、縦隔壁15の幅寸法の3分の1程度とされている。また、突出リブ16の縦隔壁15からの突出寸法は、その全長にわたり略一定とされている。この突出リブ16により、左右方向に隣接する端子金具20のうち一方の端子金具20から、リテーナ装着部14側の壁面を伝わって、他方の端子金具20に至る経路の距離(沿面距離)が、突出リブ16が設けられていない場合に比して、突出リブ16の突出寸法の2倍ほど増している。
【0023】
なお、上下方向(リテーナ30の挿抜方向)に隣接するキャビティ11間を仕切る隔壁(横隔壁18と称する)には、リテーナ装着部14に突出する突出壁19が設けられており、この突出壁19については後ほど詳しく説明する。
【0024】
コネクタハウジング10の両外側面(コネクタハウジング10の幅方向における両端面)には、後述するリテーナ30の保持板32が嵌合する保持板嵌合部17が設けられている(図2参照)。保持板嵌合部17は、コネクタハウジング10の外側面のうち保持板32に対応する部分を凹ませてなる。
【0025】
保持板嵌合部17には、リテーナ30を仮係止位置に保持するための仮係止突起17Aと、リテーナ30を本係止位置に保持するための本係止突起17Bとが突設されている。仮係止突起17Aおよび本係止突起17Bは、保持板嵌合部17のうちリテーナ装着部14よりも前側に設けられている。仮係止突起17Aと本係止突起17Bとは、同等の幅寸法(前後方向の寸法)を有し、上下に重なる位置に配され、本係止突起17Bが仮係止突起17Aより上側に位置している。なお、仮係止突起17Aおよび本係止突起17Bの突出寸法は、ともに保持板嵌合部17の凹み寸法の半分程度とされている。
【0026】
リテーナ30は、リテーナ装着部14の開口から上方に差し込まれ、端子金具20の挿抜を許容する仮係止位置(図6参照)と、端子金具20を抜け止め状態に係止する本係止位置(図7参照)とに保持可能とされている。
【0027】
リテーナ30は合成樹脂材により成形され、リテーナ装着部14にほぼ緊密に嵌合可能な本体部31と、コネクタハウジング10の保持板嵌合部17に嵌合可能な保持板32とを有している。
【0028】
本体部31は、リテーナ装着部14の形状に整合した、横方向に細長いブロック形状とされ、コネクタハウジング10のキャビティ11に対応して、前後方向に複数の貫通孔33が貫通形成されている(図5参照)。この貫通孔33は、リテーナ30がコネクタハウジング10に装着されると、コネクタハウジング10に設けられたキャビティ11のうち、下段の各キャビティ11とそれぞれ連通する。
【0029】
本体部31のうち貫通孔33の天井部となる上板部34は、リテーナ30が仮係止位置に保持されているときには、図6に示すように、上段のキャビティ11から退避して端子金具20の挿抜を許容し、リテーナ30が本係止位置に保持されると、図1および図7に示すように、上段のキャビティ11の下側に進入して、上段のキャビティ11内に挿入された端子金具20の二次係止部24に係止する。
【0030】
また、本体部31のうち貫通孔33の床部となる下板部35は、リテーナ30が仮係止位置に保持されているときには、図6に示すように、下段のキャビティ11から退避して端子金具20の挿抜を許容し、リテーナ30が本係止位置に保持されると、図1および図7に示すように、下段のキャビティ11の下側に進入して、下段のキャビティ11内に挿入された端子金具20の二次係止部24に係止する。なお、本体部31は、リテーナ30が本係止位置に保持されると、リテーナ装着部14の開口に嵌まって開口を塞ぎ、その下面がコネクタハウジング10の下面と面一状になる。
【0031】
本体部31には、コネクタハウジング10の縦隔壁15に設けられた突出リブ16が嵌合可能な凹溝36が設けられている(図7参照)。凹溝36は、本体部31のうち突出リブ16に対応する位置において、突出リブ16の外形に沿う形状に凹み形成された溝である。凹溝36は、本体部31の前側、上側、後側にわたり連続して形成され(図4参照)、リテーナ30が本係止位置に保持された状態では、本体部31の前面に設けられた凹溝36に前縦隔壁15Aの突出リブ16が嵌合し、本体部31の後面に設けられた凹溝36に後縦隔壁15Bの突出リブ16が嵌合し、本体部31の上面に設けられた凹溝36に上縦隔壁15Cの突出リブ16が嵌合する。
【0032】
上板部34および下板部35の前端部には、図1に示すように、前方に向かって下り勾配をなして凹む下り傾斜部37が設けられている。下り傾斜部37は、図4に示すように、各キャビティ11の幅方向の中央部に対応する部分に設けられている。下り傾斜部37の幅寸法は、各キャビティ11の幅寸法の3分の1程度とされている。
【0033】
また、上板部34および下板部35の後端部には、図1に示すように、前方に向かって上り勾配をなして凹む上り傾斜部38が設けられている。上り傾斜部38は、各キャビティ11の略全幅にわたる幅寸法とされている(図4参照)。なお、上り傾斜部38は下り傾斜部37よりも緩い勾配とされている。
【0034】
保持板32は、本体部31の幅方向における両端に設けられている(図4参照)。保持板32は、本体部31から上方に立ち上がるとともに本体部31から前後に突出した板状をなしている。保持板32の厚さ寸法は、保持板嵌合部17の凹み寸法と同等とされ、保持板32が保持板嵌合部17に嵌合した状態では、保持板32の外側面が、コネクタハウジング10の外側面とほぼ段差なく平坦な面を構成する(図7参照)。
【0035】
保持板32の内側面には、仮係止突起17Aまたは本係止突起17Bに係止可能な係止凹部39が形成されている(図6および図7参照)。係止凹部39は、本体部31よりも前側の部分に、一定の凹み寸法を有して形成され、係止凹部39の幅寸法(前後方向の寸法)は、仮係止突起17Aおよび本係止突起17Bの前後方向の寸法と同等とされている。リテーナ30が仮係止位置に至ったときには、図6に示すように、係止凹部39の上端面が仮係止突起17Aに係止し、リテーナ30が本係止位置に至ったときには、図7に示すように、係止凹部39の上端面が本係止突起17Bに係止する。
【0036】
さて、上下方向に隣接するキャビティ11間を仕切る横隔壁18には、リテーナ装着部14に突出する突出壁19が設けられている(図9参照)。突出壁19は、横隔壁18のうちリテーナ装着部14の前側に位置する部分から後側に突出している。突出壁19は、横並びするキャビティ11の数と同数が設けられ、各キャビティ11の上下間に個別に設けられている(図5参照)。突出壁19は、図3に示すように、平面視、コネクタハウジング10の幅方向に細長い長方形状とされ、隣り合う前縦隔壁15Aの間隔(各キャビティ11の略全幅)と同等の幅寸法を有している。また、突出壁19の突出寸法は、その厚さ寸法(上下方向の寸法)および突出リブ16の突出寸法と同等とされている。なお、突出壁19の突出寸法は、上下方向に隣接する端子金具20間の沿面距離を増やしつつも、リテーナ装着部14へのリテーナ30の挿抜を阻害しない程度の寸法とされている。
【0037】
この突出壁19により、上下方向に隣接する端子金具20のうち一方の端子金具20の接続部21から、リテーナ装着部14側の壁面を伝わって、他方の端子金具20の接続部21に至る経路の距離(沿面距離)が、突出壁19が設けられていない場合に比して、突出壁19の突出寸法の2倍ほど増している。
【0038】
次に、コネクタCの組み付け手順の一例を説明する。
まず、リテーナ30を仮係止位置に保持する。リテーナ30をリテーナ装着部14の開口に差し入れ、リテーナ30の保持板32を仮係止突起17Aに係止させる(図6参照)。このとき、突出リブ16の一部はリテーナ30の凹溝36に嵌合し、突出壁19はリテーナ30の上板部34に押されて若干弾性変形する。
【0039】
その後、各キャビティ11に端子金具20を挿入し、すべての端子金具20を挿入し終えたら、リテーナ30をさらに上方へ押し込んで本係止位置に保持する(図5参照)。このとき、リテーナ30の上板部34が突出壁19を乗り越えて突出壁19の上側に位置し、突出壁19は貫通孔33内に配されて弾性復帰する。また、リテーナ30の上板部34および下板部35が、それぞれ上段のキャビティ11、下段のキャビティ11に進入し、そこに挿入されている端子金具20の二次係止部24に係止する。また、突出リブ16と凹溝36とが、全長にわたり完全に嵌合する。
【0040】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のコネクタCは、コネクタハウジング10に収容した端子金具20を、リテーナ30によって抜け止めするコネクタであり、コネクタハウジング10には、端子金具20を収容可能なキャビティ11と、コネクタハウジング10の外側からキャビティ11内に通じるリテーナ装着部14とが設けられ、リテーナ装着部14に装着されたリテーナ30が、キャビティ11内に進入して端子金具20に係止することでこの端子金具20を抜け止めするものであり、キャビティ11は、上下方向(リテーナ装着部14へのリテーナ30の挿抜方向)に複数段が設けられ、上下方向に隣接するキャビティ11間を仕切る横隔壁18には、リテーナ装着部14に突出する突出壁19が設けられている。
【0041】
これにより、突出壁19に沿ったクランク形状によって、上下方向に隣接する端子金具20のうち一方の端子金具20から、リテーナ装着部14側の壁面を伝わって、他方の端子金具20に至る経路の距離(沿面距離)が増すから、上下方向に並ぶ端子金具20の、異物混入による短絡を防止することができる。
【0042】
また、キャビティ11は、各段に複数が並んで設けられ、各段に並べられた複数のキャビティ11間を仕切る縦隔壁15には、リテーナ装着部14に突出する突出リブ16が設けられている。これにより、各段において隣接する端子金具20のうち一方の端子金具20から、リテーナ装着部14側の壁面を伝わって他方の端子金具20に至る経路の距離(沿面距離)が増すから、この端子金具20間の短絡を防止することができる。したがって、キャビティ11が、上下方向に複数段設けられ、かつ各段に複数のキャビティ11が並んで設けられたコネクタCにおいて、上下左右に隣接する端子金具20間の、異物混入による短絡を防止することができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明を、雌型の端子金具20をコネクタハウジング10に収容した雌側のコネクタCに適用した例を示したが、これに限らず、本発明は、雄型の端子金具をコネクタハウジングに収容した雄側のコネクタに適用しても良い。
(2)上記実施形態では、本発明を、キャビティ11が上下方向に2段設けられたコネクタCに適用した例を示したが、これに限らず、本発明は、キャビティが上下方向に3段以上設けられたコネクタに適用しても良い。
【符号の説明】
【0044】
C…コネクタ
10…コネクタハウジング
11…キャビティ
14…リテーナ装着部
15…縦隔壁(各段に並べられた複数のキャビティ間を仕切る隔壁)
16…突出リブ
18…横隔壁(リテーナの挿抜方向に隣接するキャビティ間を仕切る隔壁)
19…突出壁
20…端子金具
30…リテーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングに収容した端子金具を、リテーナによって抜け止めするコネクタであり、
前記コネクタハウジングには、前記端子金具を収容可能なキャビティと、前記コネクタハウジングの外側から前記キャビティ内に通じるリテーナ装着部とが設けられ、
前記リテーナ装着部に装着された前記リテーナが、前記キャビティ内に進入して前記端子金具に係止することでこの端子金具を抜け止めするものであり、
前記キャビティは、前記リテーナ装着部への前記リテーナの挿抜方向に複数段が設けられ、
前記リテーナの挿抜方向に隣接する前記キャビティ間を仕切る隔壁には、前記リテーナ装着部に突出する突出壁が設けられているコネクタ。
【請求項2】
前記キャビティは、各段に複数が並んで設けられ、
前記各段に並べられた複数の前記キャビティ間を仕切る隔壁には、前記リテーナ装着部に突出する突出リブが設けられている請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109893(P2013−109893A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252647(P2011−252647)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】