説明

含ホウ素ポルフィリン誘導体

【課題】光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法に有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体を提供する。
【解決手段】下記の含ホウ素ポルフィリン誘導体。


式中、R、Rはアルキル基又はビニル基を、RはXB12112−基(XはO,S,NHを示す)等を、Rは水酸基等を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポルフィリン骨格を有する化合物は、腫瘍細胞親和性と光感受性を有し、レーザー光照射により励起三重項状態の分子となり、(1)他の分子への電子移動や他の分子からの水素引き抜きによるラジカル反応を起こし、最終的には過酸化物を生成せしめて腫瘍細胞を傷害する経路、および、(2)周囲に存在する酸素分子への電子移動によって励起一重項酸素分子を生成せしめ、腫瘍細胞を酸化して傷害する経路により、腫瘍細胞を壊死させることができることから、光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)の有効成分として有用であり、ポルフィリン誘導体の1つであるレザフィリンは、2003年に我が国において認可され、早期肺がん患者の治療に用いられている。
【0003】
近年、ポルフィリン骨格を有する化合物にホウ素を導入することで水溶性を高めた含ホウ素ポルフィリン誘導体が開発されている。中でもKahlらによって開発された下記の構造式で表されるBOPP(非特許文献1)は、C6グリオーマXenograftモデルマウスに対して100mg/kgの用量でi.p.投与およびi.v.投与した場合、90ppmも腫瘍に蓄積することから臨床応用が期待されたが、臨床第1相試験において血小板減少などの副作用により開発が断念された。
【化1】

【0004】
一方、放射性アイソトープを利用した新しいがんの治療方法として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)が注目されている。ホウ素中性子捕捉療法は、ホウ素10同位体(10B)を含むホウ素化合物を腫瘍細胞に取り込ませ、低エネルギーの中性子線(例えば熱中性子)を照射することで、細胞内で起こる核反応により局所的に腫瘍細胞を破壊する治療方法である。この治療方法では、10Bを含むホウ素化合物を腫瘍に選択的に蓄積させることが、治療効果を高める上で重要であるため、含ホウ素ポルフィリン誘導体はそのような性質を有するホウ素化合物として期待されている。
【0005】
以上のような背景のもと、腫瘍細胞親和性に優れ、かつ、毒性が低いことで高用量の投与が可能である、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体が望まれており、既にそのような化合物の提案もあるが(特許文献1)、より優れた含ホウ素ポルフィリン誘導体が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−233883号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kahl,S.B.Koo,M.−S.Chem.Commun.1769−1771(1990).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、腫瘍細胞親和性に優れ、かつ、毒性が低いことで高用量の投与が可能である、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、プロトポルフィリンが有する2つのカルボキシエチル基のうちの少なくとも1つのカルボキシル基に、BSH(mercaptoundecahydrododecaborate:B1211SH)などのカゴ状のホウ素イオンクラスターを結合した化合物は、腫瘍細胞親和性に優れるとともに低毒性であり、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用であること、さらに、2つのビニル基のうちの少なくとも1つを化学変換して当該部分の脂溶性(疎水性)を高めると、ホウ素イオンクラスターを結合させたカルボキシエチル基が結合したピロール環のサイドが有する親水性と相俟って分子が両親媒性を示し、その結果、ウイルスエンベロープやリポソームなどのナノ粒子(直径が1〜100nm程度の粒子)との融合性や自己集合性を有するようになることを知見した。
【0010】
上記の知見に基づいてなされた本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、請求項1記載の通り、下記の一般式(1)で表されるアニオン化合物の塩であることを特徴とする。
【化2】

[式中、R、Rは同一または異なって置換されていてもよいアルキル基、ビニル基のいずれかを示す。RはXB12112−で表される基(XはO,S,NHのいずれかを示す)、NH1211で表される基のいずれかを示す。Rは水酸基、XB12112−で表される基(Xは前記と同義である)、NH1211で表される基のいずれかを示す。]
また、請求項2記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、請求項1記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体において、R、Rの少なくとも1つがアルコキシ基によって置換されたアルキル基であることを特徴とする。
また、請求項3記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、請求項2記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体において、アルコキシ基の炭素数が5以上であることを特徴とする。
また、本発明の光線力学療法剤は、請求項4記載の通り、請求項1乃至3のいずれかに記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明のホウ素中性子捕捉療法剤は、請求項5記載の通り、請求項1乃至3のいずれかに記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体(但し分子中のホウ素原子の少なくとも1つは10Bである)を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明のポルフィリン誘導体は、請求項6記載の通り、下記の一般式(2)で表されることを特徴とする。
【化3】

[式中、R、Rは前記と同義である。但しR、Rの少なくとも1つは置換されていてもよいアルキル基を示す。R13、R14は同一または異なってアルコキシ基、水酸基のいずれかを示す。]
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、腫瘍細胞親和性に優れ、かつ、毒性が低いことで高用量の投与が可能である、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】試験例2における、本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のHeLa細胞に対する取り込み性を評価した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、下記の一般式(1)で表されるアニオン化合物の塩であることを特徴とするものである。
【化4】

[式中、R、Rは同一または異なって置換されていてもよいアルキル基、ビニル基のいずれかを示す。RはXB12112−で表される基(XはO,S,NHのいずれかを示す)、NH1211で表される基のいずれかを示す。Rは水酸基、XB12112−で表される基(Xは前記と同義である)、NH1211で表される基のいずれかを示す。]
【0014】
上記の一般式(1)において、R、Rにおける置換されていてもよいアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が例示され、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デカニル基、ドデカニル基、テトラデカニル基、ヘキサデカニル基、オクタデカニル基、イコサニル基などが挙げられる。アルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(塩素原子や臭素原子など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デカニルオキシ基、ドデカニルオキシ基、テトラデカニルオキシ基、ヘキサデカニルオキシ基、オクタデカニルオキシ基、イコサニルオキシ基などの例えば炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のもの)などが挙げられる。
【0015】
上記の一般式(1)で表されるアニオン化合物の塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩の他、テトラメチルアンモニウム塩やメチルトリフェニルフォスフォニウム塩などが挙げられるが、水溶性に優れるとともに毒性が低いアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を好適に採用することができる。
【0016】
上記の一般式(1)で表されるアニオン化合物の塩である本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の合成ルートの一例を以下に示す。
【化5】

[式中、R、Rは前記と同義である。但しR、Rの少なくとも1つは置換されていてもよいアルキル基を示す。R、Rは前記と同義である。]
【0017】
本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のうち、R、Rのいずれもがビニル基である化合物(本発明化合物A)は、例えば、プロトポルフィリンとB1211XH(Xは前記と同義である)の塩(テトラメチルアンモニウム塩やメチルトリフェニルフォスフォニウム塩など)を反応させることで合成することができる。R、Rの少なくとも1つが置換されていてもよいアルキル基である化合物(本発明化合物B)は、例えば、プロトポルフィリンが有する2つのビニル基のうちの少なくとも1つを置換されていてもよいアルキル基に化学変換した後(中間体C)、B1211XHの塩を反応させることで合成することができる。なお、各工程においては、カルボキシル基の活性化のためのクロロカルボニル基への変換、保護基の導入とその脱保護などの自体公知の有機化学的手法を用いることができる。
【0018】
上記の本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の合成ルートに従えば、下記の一般式(2)で表されるポルフィリン誘導体は、R、Rの少なくとも1つが置換されていてもよいアルキル基である本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の合成中間体として有用である。
【化6】

[式中、R、Rは前記と同義である。但しR、Rの少なくとも1つは置換されていてもよいアルキル基を示す。R13、R14は同一または異なってアルコキシ基、水酸基のいずれかを示す。]
【0019】
上記の一般式(2)において、R13、R14におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基が例示され、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デカニルオキシ基、ドデカニルオキシ基、テトラデカニルオキシ基、ヘキサデカニルオキシ基、オクタデカニルオキシ基、イコサニルオキシ基などが挙げられる。
【0020】
本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、腫瘍細胞親和性に優れるとともに低毒性であるので、光線力学療法の有効成分として有用である。また、分子中のホウ素原子の少なくとも1つを10Bとすることで、ホウ素中性子捕捉療法の有効成分となる。さらに、ガドリニウムやマンガンなどの遷移金属と錯体を形成させることで、腫瘍細胞の検出や診断のためのMRI造影剤として用いることもできる。特筆すべきは、例えば、R、Rの少なくとも1つをアルコキシ基によって置換されたアルキル基(1−アルコキシエチル基など)とし、アルコキシ基の炭素数を多くすることによって当該部分の脂溶性を高めると(炭素数は5以上が望ましく10以上がより望ましい)、一般式(1)で表されるアニオン化合物を上下に2分して見た場合の上側半分が疎水性、下側半分が親水性となり、分子が両親媒性を示すことで、ウイルスエンベロープやリポソームなどのナノ粒子との融合性や自己集合性を有するようになることである。従って、このような化合物デザインが行われた本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体は、これらのナノ粒子に融合させたり自己集合させたりすることで、腫瘍細胞親和性や腫瘍細胞に対する取り込み性などの向上を図ることができるので、結果として、がん治療効果の改善や副作用としての光毒性の軽減などが可能となる。具体例を挙げると、例えば、本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体をセンダイウイルスエンベロープ(HVJ)と融合させることで、HVJが有する強い細胞膜融合能を利用して本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体の腫瘍細胞に対する取り込み性の向上を図ることができるとともに、HVJが持つ免疫賦活作用をがん治療効果に寄与させることができる。また、本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体をリポソームと融合させたり、自己集合させたりすることで、腫瘍細胞親和性の向上を図ることができる。BOPPをはじめとするこれまでに知られている含ホウ素ポルフィリン誘導体で、このような化合物デザインが行われたものは、本発明者が知る限りにおいて存在しない。
【0021】
本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の医薬品製剤化は、例えば、本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体を蒸留水や生理食塩水に溶解することで行うことができる。製剤中には自体公知のpH調節剤や防腐剤などを添加してもよい。その用法・用量は、例えばレザフィリンの用法・用量に準じることができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0023】
実施例1:
以下の化学反応式に従って本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体1a,1b,2a,2bを合成した。
【化7】

【0024】
(1)化合物1aの合成
プロトポルフィリンIX (0.16 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、オギザリルクロリド(0.7 mL)を加えた。反応混合物を室温で20分攪拌後、過剰量のオギザリルクロリドを含む塩化メチレン溶媒を減圧下で除いた。残さをアセトニトリル(15 mL)に溶かし、B12H11SHのテトラメチルアンモニウム塩(0.25 mmol, 80 mg)を加え、続いてピリジン(0.3 mL)を加え、室温で72時間攪拌した。減圧下で溶媒を溜去した後、粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール30%/塩化メチレン70%)で精製し、化合物1aを紫色の固体として71mg, 51%の収率で得た。
IR νmax(KBr disc)/cm-1 3587s, 3375s, 3228s (OH/NH), 3025w (CH), 2495s (BH), 1725, 1685s (C=O), 1618s (C=C), 1605s (NH), 1410s (CH3), 1152s (CN), 1050s (B-B); UV/Vis(CH3CN): λmax: 417, 526, 535, 592, 637 nm; 11B NMR (96.3 MHz; CD3CN) δ -15.37, -11.97, -9.78, -5.49; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.29, 10.22, 10.2, 10.15 (4H, m, meso H), 8.49 (2H, q, CH=CH2), 6.45 (2H, d, J = 16.0 Hz, CH=CH2), 6.17 (2H, d, J = 12.0 Hz, CH=CH2), 4.32 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.77, 3.73, 3.66, 3.64 (12H, s, CH3), 3.24 (4H, m, CH2COOH), 3.08 (24H, s, N(CH3)4), 0.55-1.82 (11H, bs, B12H11), -3.85 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; CD3CN) δ 176.43, 176.69 (2C, CO), 145.39, 143.54, 142.37, 137.03, 136.85, 136.74, 130.61, 126.77 (16C, C pyrrole), 97.92-97.14 (4C, meso-C), 56.73, 56.6 (4C, CH=CH2), 54.59 (8C, N(CH3)4), 31.27, 30.56 (2C, CH2COOH), 23.28, 22.67 (2C, CH2CH2COOH), 13.45, 12.57, 11.56, 11.28 (4C, CH3); MS(ESI, negative): m/z(%): 359.22 (100) [M-/2]; elemental analysis calcd(%) for C42H68N6B12O3S (868.62): C 58.20, H 7.91, N 9.70; found: C 58.05, H 7.73, N 9.49.
【0025】
(2)化合物1bの合成
プロトポルフィリンIX (0.16 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、オギザリルクロリド(1.5 mL)を加えた。反応混合物を室温で20分攪拌後、過剰量のオギザリルクロリドを含む塩化メチレン溶媒を減圧下で除いた。残さをアセトニトリル(15 mL)に溶かし、B12H11SHのテトラメチルアンモニウム塩(0.5 mmol, 0.16 g)を加え、続いてピリジン(0.5 mL)を加え、室温で72時間攪拌した。減圧下で溶媒を溜去した後、粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール30%/塩化メチレン70%)で精製し、化合物1bを紫色の固体として140mg, 74%の収率で得た。
IR νmax(KBr disc)/cm-1 3254s (NH), 3026w (CH), 2499s (BH), 1682s (C=O), 1620s (C=C), 1609s (NH), 1416s (CH3), 1160s (CN), 1053s (B-B); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 523, 536, 595, 639 nm; 11B NMR (96.3 MHz; CD3CN) δ -15.35, -11.94, -9.71, -5.53; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.45, 10.39, 10.26, 10.35 (4H, m, meso H), 8.59 (2H, q, CH=CH2), 6.39 (2H, d, J = 14.0 Hz, CH=CH2), 6.21 (2H, d, J = 9.0 Hz, CH=CH2), 4.35 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.75, 3.70, 3.65, 3.60 (12H, s, CH3), 3.26 (4H, m, CH2COOH), 3.07 (24H, s, N(CH3)4), 0.51-1.85 (11H, bs, B12H11), -3.89 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; CD3CN) δ 202.13 (2C, CO), 146.56, 145.17, 143.25, 137.14, 136.92, 135.56, 131.66, 127.72 (16C, C pyrrole), 98.19-97.05 (4C, meso-C), 56.96, 56.62 (4C, CH=CH2), 55.07 (8C, N(CH3)4), 31.45, 29.99 (2C, CH2COOH), 23.65, 23.02 (2C, CH2CH2COOH), 13.59, 12.59, 11.49, 11.74 (4C, CH3); MS(ESI, negative): m/z(%): 436.65 (100) [M-/2]; elemental analysis calcd(%) for C50H102N8B24O2S2(1170.99): C 51.28, H 8.78, N 9.57; found: C 51.12, H 8.75, N 9.38.
【0026】
(3)化合物2aの合成
化合物1a (0.081 mmol)をアセトニトリル/水(1:1)に溶かし、アンバーライト120R Na+ formを加え、一晩攪拌した後、アンバーライトをろ過し、減圧下で溶媒を溜去し、化合物2aを紫色の固体として20mg, 32%の収率で得た。
UV/Vis(H2O): λmax: 411, 515, 535, 583, 637 nm; 11B NMR (96.3 MHz; d6-DMSO) δ -15.24, -11.85, -9.95, -5.65; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.44, 10.34, 10.28, 10.25 (4H, m, meso H), 8.52 (2H, m, CH=CH2), 6.44 (2H, d, J = 18.0 Hz, CH=CH2), 6.21 (2H, d, J = 9.0 Hz, CH=CH2), 4.25 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.74, 3.71, 3.65, 3.62 (12H, s, CH3), 3.13 (4H, m, CH2COOH), 0.55-1.81 (11H, bs, B12H11), -3.84 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; d6-DMSO) δ 176.43, 176.69 (2C, CO), 145.39, 143.54, 142.37, 137.03, 136.85, 136.74, 130.61, 126.77 (16C, C pyrrole), 97.92-97.14 (4C, meso-C), 56.73, 56.6 (4C, CH=CH2), 31.27, 30.56 (2C, CH2COOH), 23.28, 22.67 (2C, CH2CH2COOH), 13.45, 12.57, 11.56, 11.28 (4C, CH3).
【0027】
(4)化合物2bの合成
化合物1b (0.12 mmol)をアセトニトリル/水(1:1)に溶かし、アンバーライト120R Na+ formを加え、一晩攪拌した後、アンバーライトをろ過し、減圧下で溶媒を溜去し、化合物2bを紫色の固体として100mg, 65%の収率で得た。
UV/Vis(H2O): λmax: 415, 522, 536, 591, 639 nm; 11B NMR (96.3 MHz; d6-DMSO) δ -15.21, -11.89, -10.05, -5.72; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.37, 10.27, 10.15, 10.01 (4H, m, meso H), 8.52 (2H, m, CH=CH2), 6.46 (2H, d, J = 18.0 Hz, CH=CH2), 6.14 (2H, d, J = 18.0 Hz, CH=CH2), 4.34 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.73, 3.71, 3.60, 3.57 (12H, s, CH3), 3.15 (4H, m, CH2COOH), 0.19-1.65 (11H, bs, B12H11), -3.81 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; d6-DMSO) δ 179.79 (2C, CO), 146.41, 144.64, 142.47, 136.98, 136.52, 136.12, 130.3, 127.07 (16C, C pyrrole), 97.95-97.33 (4C, meso-C), 56.79, 56.65 (4C, CH=CH2), 32.25, 31.02 (2C, CH2COOH), 23.19, 22.87 (2C, CH2CH2COOH), 14.05, 12.97, 11.59, 11.56 (4C, CH3).
【0028】
実施例2:
以下の化学反応式に従って本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体5a,5b,6a,6bを合成した。
【化8】

【0029】
(1)化合物3の合成
プロトポルフィリン・ジメチルエステル(1.0 mmol, 0.59 g)を過剰量の臭化水素を含む酢酸(10 mL)中に加え、2時間室温で攪拌した。酢酸を減圧下で溜去した後、得られた緑色の残さ(臭素化プロトポルフィリン・ジメチルエステル)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、炭酸カリウム(1 g)と1-ペンタノールまたは1-ドデカノール(2.2 mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物をろ過した後、ろ液を減圧下で濃縮し、化合物3を粗生成物として得た。
化合物3a: 収率92%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3310w (CH), 2989s, 2927s (NH), 1755s (C=O), 1710s (C=C), 1605s (NH), 1415s (CH3), 11495s (CN), 2965m, 2895m, 1475m, 1442m, 1409m, 1169m, 1098s, 752m (δ, γ of CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 523, 537, 594, 635 nm; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.58-10.36 (4H, s, meso H), 6.12 (2H, m, α-CH), 4.28 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.89, 3.82 (6H, s, COOMe), 3.71, 3.69, 3.68, 3.62 (12H, s, CH3), 3.48 (4H, t, CH2COOH), 3.12 (4H, m, OCH2), 2.22 (6H, d, J = 7.0 Hz, CH3), 1.75, 1.41, 1.21 (12H, m, CH2), 0.78 (6H, t, CH3), -3.95 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; d6-DMSO) δ 177.08 (2C, CO), 145.2, 144.98, 144.05, 143.87, 139.15, 136.85, 136.18, 125.03 (16C, C pyrrole), 98.54, 98.02, 97.98, 97.74 (4C, meso-C), 75.14, 73.16 (2C, O-CH), 61.27, 57.19 (2C, OCH2), 47.86 (2C, COOMe), 31.98, 30.79 (2C, CH2COOH), 28.56, 28.06, 27.47, 27.17, 26.25, 25.74 (6C, -CH2-), 23.21, 23.25 (2C, CH2CH2COOH), 21.57, 21.65, 14.02, 13.63, 11.36, 11.86 (8C, CH3); MS(ESI, positive): m/z(%) 767 (100) [M+]; elemental analysis calcd (%) for C46H62N4O6(767.01): C 72.03, H 8.15, N 7.30; found: C 71.96, H 8.12, N 7.27.
化合物3b: 収率97%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3310w (CH), 3300s, 2950s (NH), 1755s (C=O), 1681s (C=C), 1609s (NH), 1417s (CH3), 1152s (CN), 2965m, 2866m, 1479s, 1454s, 1412m, 1316m, 1168m, 1100s, 885m, 715m (CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 419, 526, 538, 595, 639 nm; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.65, 10.57, 10.35, 10.12 (4H, s, meso H), 6.08 (2H, m, α-CH), 4.34 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.85, 3.79 (6H, s, COOMe), 3.67, 3.64, 3.59, 3.50 (12H, s, CH3), 3.01 (4H, m, CH2COOH), 2.56 (4H, m, OCH2), 2.13 (6H, d, J = 6.0 Hz, CH3), 1.71-1.17 (20H, m, CH2), 0.83 (6H, t, CH3), -3.95 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; d6-DMSO) δ 179.02 (2C, CO), 147.26, 147.05, 146.23, 145.14, 141.15, 134.65, 133.92, 124.95 (16C, C pyrrole), 99.21, 98.25, 97.65, 97.47 (4C, meso-C), 75.03 (2C, O-CH), 57.07 (2C, OCH2), 48.35 (2C, COOMe), 31.47, 30.13 (2C, CH2COOH), 29.01-25.36 (20C, -CH2-), 24.99, 24.12 (2C, CH2CH2COOH), 23.16, 22.06, 14.95, 13.14, 11.36, 11.43 (8C, CH3); MS(ESI, positive): m/z (%): 963 (100) [M+]; elemental analysis calcd(%) for C60H90N4O6(963.38): C 74.8, H 9.42, N 5.82; Found: C 74.69, H 9.38, N 5.77.
【0030】
(2)化合物4の合成
化合物3 (1 mmol)をTHF (15 mL)に溶かし、メタノール/水(1:1)の混合溶媒に溶かした水酸化リチウム(0.092 g)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物をろ過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール10%/塩化メチレン90%)で精製し、化合物4を濃紫色の固体として得た。
化合物4a: 収率87%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3309w (CH), 2987s, 2927s, 2860s (OH/NH), 1745s (C=O), 1706s (C=C), 1600s (NH), 1410s (CH3), 1145s (CN), 2961m, 2889m, 1471m, 1439m, 1405m, 1165m, 1093s, 749m (δ, γ of CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 520, 539, 595, 639 nm; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.65-10.43 (4H, s, meso H), 6.14 (2H, m, α-CH), 4.33 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.69, 3.67, 3.65, 3.63 (12H, s, CH3), 3.54 (4H, t, CH2COOH), 3.08 (4H, m, OCH2), 2.17 (6H, d, J = 8.0 Hz, CH3), 1.73, 1.35, 1.16 (12H, m, CH2), 0.7 (6H, t, CH3), -3.96 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 175.11 (2C, CO), 147.2, 146.51, 145.79, 145.78, 140.02, 136.92, 136.28, 124.88 (16C, C pyrrole), 98.39, 97.97, 97.72, 97.36 (4C, meso-C), 74.05, 72.47 (2C, O-CH), 60.67, 56.61 (2C, OCH2), 32.18, 30.4 (2C, CH2COOH), 29.4, 29.21, 28.12, 27.7, 25.25, 25.08 (6C, -CH2-), 22.32, 22.22 (2C, CH2CH2COOH), 21.99, 21.88, 13.92, 13.73, 11.2, 11.56 (8C, CH3); MS(ESI, positive): m/z (%): 739 (100) [M+]; elemental analysis calcd (%) for C44H58N4O6(738.95): C 71.52, H 7.91, N 7.58; found: C 71.33, H 7.81, N 7.49.
化合物4b: 収率90%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3310w (CH), 3197s, 2927s, 2856s (OH/NH), 1745s (C=O), 1675s (C=C), 1605s (NH), 1415s (CH3), 1150s (CN), 2965m, 2856m, 1475s, 1452s, 1405m, 1313m, 1165m, 1100s, 883m, 705m (CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 523, 537, 593, 638 nm; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.59, 10.5, 10.47, 10.15 (4H, s, meso H), 6.07 (2H, m, α-CH), 4.37 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.71, 3.68, 3.65, 3.63 (12H, s, CH3), 2.95 (4H, m, CH2COOH), 2.61 (4H, m, OCH2), 2.18 (6H, d, J = 6.0 Hz, CH3), 1.85-0.81 (20H, m, CH2), 0.72 (6H, t, CH3), -3.92 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 177.82 (2C, CO), 148.78, 147.35, 146.33, 145.6, 141.12, 134.76, 133.73, 125.14 (16C, C pyrrole), 98.39, 97.97, 97.72, 97.36 (4C, meso-C), 74.72 (2C, O-CH), 56.17 (2C, OCH2), 31.27, 30.56 (2C, CH2COOH), 29.5-25.95 (20C, -CH2-), 25.57, 24.29 (2C, CH2CH2COOH), 24.26, 22.06, 16.65, 13.92, 11.65, 11.54 (8C, CH3); MS(ESI, positive): m/z(%): 936 (100) [M++1]; elemental analysis calcd(%) for C58H86N4O6(935.33): C 74.48, H 9.27, N 5.99; found: C 74.37, H 9.01, N 5.82.
【0031】
(3)化合物5の合成
化合物4 (0.16 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、オギザリルクロリド(0.7 mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌後、過剰量のオギザリルクロリドを含む塩化メチレン溶媒を減圧下で除いた。残さをアセトニトリル(15 mL)に溶かし、B12H11SHのテトラメチルアンモニウム塩(0.25 mmol, 80 mg)を加え、続いてピリジン(0.3 mL)を加え、室温で72時間攪拌した。減圧下で溶媒を溜去した後、粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール30%/塩化メチレン70%)で精製し、化合物5を赤紫色の固体として得た。
化合物5a: 収率55%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3568s, 3421s (OH/NH), 3311w (CH), 2500s (BH), 1722, 1685s (C=O), 1620s (C=C), 1608s (NH), 1386s (CH3), 1157s (CN), 1080s (B-B), 2986m, 2864m, 1471m, 1440m, 1400m, 1185m, 1093s, 721m (δ, γ of CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 414, 522, 538, 592, 635 nm; 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -14.39, -10.91, -9.58, -5.89; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.65, 10.56, 10.49, 10.12 (4H, s, meso H), 6.16 (2H, m, α-CH), 4.37 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.74, 3.69, 3.66, 3.65 (12H, s, CH3), 3.3 (4H, t, CH2COOH), 3.0 (4H, t, OCH2), 2.98 (24H, s, N(CH3)4), 2.42 (6H, s, CH3), 1.75, 1.39, 1.21 (12H, m, CH2), 0.75 (6H, t, CH3), -0.48 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; CD3CN) δ 210.86, 178.47 (2C, CO), 149.19, 148.67, 147.45, 146.77, 142.06, 141.08, 138.11, 118.2 (16C, C pyrrole), 100.17, 99.38, 98.29, 97.61 (4C, meso-C), 74.12, 73.85 (2C, O-CH), 60.67 (2C, OCH2), 50.7 (8C, N(CH3)4), 30.8, 30.54 (2C, CH2COOH), 29.37, 29.33, 25.68, 25.46 (6C, -CH2-), 23.95, 23.71 (2C, CH2CH2COOH), 22.31, 23.05, 14.13, 14.1, 11.98, 11.92, 11.8, 11.65 (8C, CH3); elemental analysis calcd (%) for C52H92N6B12O3S (1011.12): C 61.77, H 9.17, N 8.31; found: C 61.49, H 8.96, N 8.19.
化合物5b: 収率57%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3568s, 3423s (OH/NH), 3305w (CH), 1735s, 1689 (C=O), 1635s (C=C), 1611s (NH), 1458s (CH3), 1125s (CN), 1080s (B-B), 2995m, 2854m, 1475s, 1458s, 1410m, 1282m, 1165m, 1058s, 885m, 721m (CH2-groups); UV/Vis(CH3CN): λmax: 412, 520, 535, 591, 634 nm; 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -15.35, -11.98, -9.75, -5.45; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.55, 10.42, 10.12, 10.0 (4H, s, meso H), 5.94 (2H, m, α-CH), 4.25 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.69, 3.67, 3.63, 3.6 (12H, s, CH3), 3.37 (4H, m, CH2COOH), 3.15 (24H, s, N(CH3)4), 2.61 (4H, m, OCH2), 2.2 (6H, d, J = 6.0 Hz, CH3), 1.74-0.75 (20H, m, CH2), 0.71 (6H, t, CH3), -0.69 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; CD3CN) δ 213.41, 213.08 (2C, CO), 149.19, 148.60, 147.51, 146.76, 142.06, 141.95, 138.73, 138.19 (16C, C pyrrole), 99.78, 99.61, 98.36, 97.41 (4C, meso-C), 73.99, 69.61 (2C, O-CH), 50.73 (2C, OCH2), 34.96, 32.33 (2C, CH2COOH), 29.94-26.99 (20C, -CH2-), 25.66, 24.26 (2C, CH2CH2COOH), 24.26, 23.11, 16.65, 14.21, 11.93, 11.65 (8C, CH3); MS(ESI, negative): m/z(%): 936 (100) [M++2]; elemental analysis calcd (%) for C66H120N6B12O3S (1207.49): C 65.65, H 10.02, N 6.96; found: C 65.34, H 9.83, N 6.7.
【0032】
(4)化合物6の合成
化合物5をアセトニトリル/水(1:1)に溶かし、アンバーライト120R Na+ formを加え、一晩攪拌した後、アンバーライトをろ過し、減圧下で溶媒を溜去し、化合物6を濃赤色の固体として得た。
化合物6a: 収率37%, UV/Vis(H2O): λmax: 410, 517, 536, 585, 635 nm; 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -14.39, -10.91, -9.58, -5.89; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 12.05 (1H, s, COOH), 10.73, 10.64, 10.52, 10.24 (4H, m, meso H), 6.17 (2H, m, α-CH), 4.32 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.72, 3.66, 3.64, 3.62 (12H, s, CH3), 3.35 (4H, t, CH2COOH), 2.97 (4H, t, OCH2), 2.35 (6H, s, CH3), 1.7, 1.35, 1.25 (12H, m, CH2), 0.7 (6H, t, CH3), -3.91 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; CD3CN) δ 208.93, 177.47 (2C, CO), 148.15, 147.14, 146.21, 146.77, 142.06, 141.08, 138.11, 118.45 (16C, C pyrrole), 98.29, 97.61 (4C, meso-C), 73.78, 72.46 (2C, O-CH), 68.47 (2C, OCH2), 30.82 (2C, CH2COOH), 29.32, 29.27, 25.46, 25.19 (6C, -CH2-), 22.98, 22.64 (2C, CH2CH2COOH), 22.05, 21.97, 14.17, 14.09, 11.96, 11.91, 11.76, 11.68 (8C, CH3).
化合物6b: 収率35%, UV/Vis(H2O): λmax: 412, 520, 535, 591, 634 nm; 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -15.40, -11.95, -9.85, -5.42; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.57, 10.45, 10.21, 10.12 (4H, s, meso H), 6.11 (2H, m, α-CH), 4.34 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.68, 3.66, 3.64, 3.61 (12H, s, CH3), 3.35 (4H, m, CH2COOH), 2.85 (4H, m, OCH2), 2.18 (6H, d, J = 6.0 Hz, CH3), 1.85-0.81 (20H, m, CH2), 0.76 (6H, t, CH3), -3.92 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; CD3CN) δ 207.41, 168.42 (2C, CO), 149.19, 148.60, 147.51, 146.76, 142.06, 141.95, 138.73, 118.25 (16C, C pyrrole), 98.56, 98.05, 96.85, 96.54 (4C, meso-C), 72.85, 71.65 (2C, O-CH), 52.65 (2C, OCH2), 31.86, 28.89 (2C, CH2COOH), 27.86-22.74 (20C, -CH2-), 25.66, 24.26 (2C, CH2CH2COOH), 22.54, 21.19, 15.75, 12.41, 11.52 (8C, CH3).
【0033】
実施例3:
以下の化学反応式に従って本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体7a,7b,8a,8bを合成した。
【化9】

【0034】
(1)化合物7の合成
化合物4 (0.16 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、オギザリルクロリド(1.5 mL)を加えた。反応混合物を室温で20分攪拌後、過剰量のオギザリルクロリドを含む塩化メチレン溶媒を減圧下で除いた。残さをアセトニトリル(15 mL)に溶かし、B12H11SHのテトラメチルアンモニウム塩(0.5 mmol, 0.16 g)を加え、続いてピリジン(0.5 mL)を加え、室温で72時間攪拌した。減圧下で溶媒を溜去した後、粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール30%/塩化メチレン70%)で精製し、化合物7を赤紫色の固体として得た。
化合物7a: 収率39%, 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -5.71, -10.74; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.18 (d, 4H, meso-H), 8.43 (m, 2H, CH=CH2), 6.38, 6.14 (d, 4H, CH=CH2), 4.37, 4.29 (m, 4H, CH2), 3.72 (t, 4H, CH2-CO), 3.6 (s, 12H, CH3), 2.35 (s, 48H, N(CH3)4), 1.55-0.88 (bs, BHs), 0.08 (s, 2H, NH).
化合物7b: 収率38%, 11B NMR (300 MHz; CD3CN) δ -6.54, -10.92; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 10.66, 10.08 (m, 4H, meso-H), 6.15, 5.83 (m, 2H, CH), 4.33 (t, 8H, CH2), 3.7 (m, 12H, CH3), 3.64 (m, 4H, CH2), 2.27 (s, 48H, N(CH3)4), 1.89 (t, 6H, CH3), 1.73 (bs, 4H, CH2), 1.7-0.75 (bs, BHs), 0.75 (s, 2H, NH).
【0035】
(2)化合物8の合成
化合物7をアセトニトリル/水(1:1)に溶かし、アンバーライト120R Na+ formを加え、一晩攪拌した後、アンバーライトをろ過し、減圧下で溶媒を溜去し、化合物8を赤紫色の固体として得た。
化合物8a: 収率33%, 11B NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ -6.67, -10.90; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.26-10.03 (m, 4H, meso-H), 6.16 (m, 2H, CH), 4.19 (t, 8H, CH2), 3.69 (m, 4H, CH2), 3.63 (m, 12H, CH3), 2.07 (s, 4H, CH2), 1.69 (t, 6H, CH3), 1.55 (bs, 4H, CH2), 1.35-0.25 (bs, BHs), 0.65 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 205.32 (2C, CO), 147.58-140.49 (8C, C-N pyrrole), 136.6, 136.49 (8C, C-pyrrole), 96.96, 95.0 (4C, meso-C), 72.8 (2C, O-CH), 68.41 (2C, OCH), 47.49, 46.86 (2C, O-CH2), 29.48, 28.18 (6C, CH2), 25.38, 21.93 (6C, CH3), 13.88, 11.33 (2C, CH3).
化合物8b: 収率37%, 11B NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ -6.54, -10.92; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.26, 10.5, 10.03 (m, 4H, meso-H), 6.16 (m, 2H, CH), 4.19 (t, 8H, CH2), 3.65 (m, 12H, CH3), 3.64 (m, 4H, CH2), 2.16 (s, 6H, CH3), 2.07 (bs, 4H, CH2), 1.69-0.74 (m, other CH2), 1.35-0.25 (bs, BHs), -0.57 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 205.44 (2C, CO), 166.9, 147.68, 147.6, 146.63, 145.83, 145.35, 145.33, 140.56, 140.49, 140.42, 136.6, 136.58, 136.53, 136.46, 131.70, 128.64 (16C, C pyrrole), 98.46, 98.09, 96.9, 96.63 (4C, meso-C), 74.5, 70.18 (2C, O-CH), 67.4, 62.48 (2C, OCH2), 52.22, 47.55, 40.33, 29.79, 28.35, 25.43 (other CH2), 23.24, 23.04, 22.37, 13.85, 11.67, 11.61, 11.34, 10.87 (8C, CH3).
【0036】
実施例4:
下記の構造式で表される化合物9および化合物10を、実施例1における化合物1aおよび化合物2aの合成のために用いたB12H11SHのテトラメチルアンモニウム塩の代わりにB12H11OHのメチルトリフェニルフォスフォニウム塩を用い、同様の方法によってそれぞれ赤紫色の固体として得た。
【化10】

化合物9: 収率70%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3567s, 3431s (OH/NH), 2998w (CH), 2484s (BH), 1725s, 1690s (C=O), 1675s (C=C), 1615s (NH), 1377s (CH3), 1153s (CN), 1065s (B-B); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 522, 536, 595, 639 nm; 11B NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ -6.41, -14.78, -17.55, -23.46; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 9.48, 9.26, 8.84 (4H, s, meso CH), 7.63 (2H, m, CH=CH2), 7.83-7.53 (30H, m, Ph3P), 6.1 (4H, m, CH=CH2), 4.12 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.74, 3.65, 3.64, 3.61 (12H, s, CH3), 3.35 (4H, m, CH2COOH), 3.1 (6H, s, CH3P), 0.4-1.69 (11H, bs, B12H11), -2.05 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 177.26, 175.08 (2C, CO), 148.33, 148.45, 140.9, 137.12, 136.52, 133.21, 133.07, 130.18 (16C, C pyrrole), 130.13, 129.96, 121.29, 121.23, 121.20, 119.24 (36C, Ph3P), 97.92-97.14 (4C, meso-C), 54.78 (2C, CH=CH2), 36.62 (2C, CH3P), 31.35, 30.76 (2C, CH2COOH), 23.15, 22.97 (2C, CH2CH2COOH), 13.05, 12.31, 12.01, 11.74 (4C, CH3); MS(ESI, negative): m/z(%): 358 (65) [M-/2]; elemental analysis calcd (%) for C72H80N4B12O4P2(1257.11): C 68.79, H 6.41, N 4.46; found: C 68.52, H 6.19, N 4.16.
化合物10: 収率58%, UV/Vis(H2O): λmax: 415, 525, 535, 595, 639 nm; 11B NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ -6.51, -14.9, -17.63, -23.73; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.3, 10.25, 10.19, 10.13 (4H, s, meso CH), 8.5 (2H, q, CH=CH2), 6.46 (2H, d, J = 16 Hz, CH=CH2), 6.14 (2H, d, J = 12 Hz, CH=CH2), 4.34 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.73-3.60 (12H, s, β-CH3), 3.21 (4H, m, CH2COOH), 0.21-1.55 (11H, bs, B12H11), -3.81 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 176.43, 176.69 (2C, CO), 145.39, 143.54, 142.37, 137.03, 136.85, 136.74, 130.61, 126.77 (16C, C pyrrole), 97.92-97.14 (4C, meso-C), 56.73, 56.6 (2C, CH=CH2), 31.27, 30.56 (2C, CH2COOH), 23.28, 22.67 (2C, CH2CH2COOH), 13.45, 12.57, 11.56, 11.28 (4C, CH3).
【0037】
実施例5:
下記の構造式で表される化合物11および化合物12を以下のようにして合成した。
【化11】

プロトポルフィリンIX (0.16 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶かし、オギザリルクロリド(0.7 mL)を加えた。反応混合物を室温で30分攪拌後、過剰量のオギザリルクロリドを含む塩化メチレン溶媒を減圧下で除いた。残さをジメチルホルムアミド(10 mL)に溶かし、B12H11NH3のテトラメチルアンモニウム塩(0.5 mmol, 0.11 g)を加え、さらに水素化ナトリウム(1 mmol, 70 mg)を加えて室温で30分攪拌した後、続いてピリジン(0.3 mL)を加え、室温で72時間攪拌した。減圧下で溶媒を溜去した後、粗生成物を薄層クロマトグラフ(メタノール20%/塩化メチレン80%)で精製し、化合物11を赤紫色の固体として得た。次に、化合物11をアセトニトリル/水(1:1)に溶かし、アンバーライト120R Na+ formを加え、一晩攪拌した後、アンバーライトをろ過し、減圧下で溶媒を溜去し、化合物12を赤紫色の固体として得た。
化合物11: 収率65%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3565s, 3382s, 3246s (OH/NH), 2985w (CH), 2493s (BH), 1710s, 1675s (C=O), 1616s (C=C), 1605s (NH), 1406s (CH3), 1165s (CN), 1065s (B-B); UV/Vis(CH3CN): λmax: 415, 524, 536, 595, 639 nm; 11B NMR (96.3 MHz; CD3CN) δ -15.37, -11.97, -9.78, -5.49; 1H NMR (300 MHz; CD3CN) δ 9.59, 9.28, 10.12 (4H, m, meso H), 8.02 (2H, m, CH=CH2), 6.11 (4H, m, CH=CH2), 4.74 (2H, s, NH2), 4.28 (4H, m, porphyrin-CH2), 4.07, 3.88 (12H, m, β-CH3), 3.48, 3.27 (4H, m, CH2COOH), 2.88 (12H, s, N(CH3)4), 0.45-1.7 (11H, bs, B12H11), -3.77 (s, 2H, NH); 13C NMR (75 MHz; CD3CN) δ 176.89, 176.21 (2C, CO), 145.42, 143.93, 141.73, 140.34, 136.63, 136.33, 135.85, 130.14 (16C, C pyrrole), 97.46-97.04 (4C, meso-C), 54.35, 56.6 (2C, CH=CH2), 54.31 (4C, N(CH3)4), 33.0, 30.56 (2C, CH2COOH), 23.28, 23.0 (2C, CH2CH2COOH), 13.45, 12.57, 11.56, 11.28 (4C, CH3); (ESI): m/z(%) 701.6 (100) [M]; elemental analysis calcd(%) for C38H56N6B12O3(776.64): C 58.77, H 7.53, N 10.82; Found: C 58.47, H 7.26, N 10.67.
化合物12: 収率49%, UV/Vis(H2O): λmax: 415, 525, 535, 595, 639 nm; 11B NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ -15.25, -11.80, -9.95, -5.65; 1H NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 10.39, 10.3, 10.26, 10.22 (4H, s, meso H), 8.47 (2H, m, CH=CH2), 6.46 (2H, d, J = 15 Hz, CH=CH2), 6.22 (2H, d, J = 12 Hz, CH=CH2), 5.57 (2H, s, NH2), 4.28 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.71-3.61 (12H, s, β-CH3), 2.93 (4H, m, CH2COOH), 0.27-1.89 (11H, bs, B12H11), -3.82 (s, 2H, NH); 13C NMR (300 MHz; d6-DMSO) δ 176.55, 175.04 (2C, CO), 146.38, 145.41, 143.38, 140.12, 137.65, 136.96, 133.14 (16C, C pyrrole), 97.99-97.41 (4C, meso-C), 56.64, 56.23 (2C, CH=CH2), 33.17, 30.87 (2C, CH2COOH), 22.98, 22.05 (2C, CH2CH2COOH), 14.12, 13.57, 11.36, 11.05 (4C, CH3), (ESI): m/z(%) 702.6 (100) [M].
【0038】
試験例1:本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のがん細胞に対する細胞増殖阻害試験
5種類の本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の各種濃度の存在下、種々のがん細胞を96穴プレート上で37℃で72時間培養した後(5×10cells/well,培地:RPMI−1640)、生存細胞をMTT法によって検出し、それぞれの化合物のGI50(50%細胞増殖阻害濃度、以下同じ)を求めた。結果をBOPPのGI50とともに表1に示す。表1から明らかなように、5種類の化合物のうち、化合物2a,10,12は、いずれのがん細胞に対してもGI50がBOPPよりも大きかった(但し化合物10のC6細胞に対するGI50は除く)。また、化合物6a,6bも、HepG2細胞に対してはGI50がBOPPよりも大きく、化合物6aは、HeLa細胞に対してもGI50がBOPPよりも大きかった。以上の結果と、化合物2b,8a,8bについての別途の同様の試験の結果から、本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、総じてBOPPよりも毒性が低いことがわかった。
【0039】
【表1】

【0040】
試験例2:本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のがん細胞に対する取り込み試験
5種類の本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のホウ素濃度が10ppmまたは100ppmの存在下、HeLa細胞を37℃で3時間培養した後(1×10cells,培地:RPMI−1640)、過塩素酸/過酸化水素で細胞を灰化し、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)によって灰化液に含まれるホウ素量を測定することで、本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体のHeLa細胞に対する取り込み性を評価した。結果をBOPPの結果とともに図1に示す。図1から明らかなように、5種類の化合物のうち、化合物2a,6aはBOPPと同じ程度に、化合物6b,10,12はBOPPの約4倍、濃度依存的にHeLa細胞に取り込まれたことから、本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体は、腫瘍細胞親和性に優れ、腫瘍に選択的に蓄積することがわかった。
【0041】
試験例3:本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体を用いたがん細胞の蛍光イメージング試験
本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体(化合物12)またはBOPPの100μMの存在下、HeLa細胞を37℃で3時間培養した後(1×10cells,培地:RPMI−1640)、4%のパラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定してから4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で細胞を染色し、蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、化合物12またはBOPPの単独造影,DAPIの単独造影,化合物12またはBOPPとDAPIの混合造影を比較することで、化合物12とBOPPは、主に細胞質ゾルに蓄積することがわかった。
【0042】
試験例4:本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の光線力学療法への適用試験
5種類の本発明の含ホウ素ポルフィリン誘導体の各種濃度の存在下、HeLa細胞を37℃で3時間培養した後(1×10cells,培地:RPMI−1640)、キセノンランプを用いて平均2.4mW/cmのレーザー光(波長:400〜800nm)を5分間細胞に照射し、さらに12時間培養した後の生存細胞をMTT法によって検出し、それぞれの化合物のGI50を求めた。結果をBOPPのGI50とともに表2に示す。表2から明らかなように、5種類の化合物のうち、化合物10,12のGI50は、BOPPよりもはるかに小さく、レーザー光の照射による細胞傷害効果が非常に強いことがわかったが、試験例2の結果を考慮すれば、この効果は、これらの化合物のHeLa細胞に対する取り込み性の高さが寄与していると考えられた。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例6:
下記の構造式で表される化合物13を、実施例2における化合物4aの合成のために用いた1-ペンタノールの代わりに1-ヘプタデカノールを用い、同様の方法によって赤紫色の固体として得た。
【化12】

化合物13: 収率95%, IR νmax(KBr disc)/cm-1 3313w (CH), 3197s, 2925s, 2854s (OH/NH), 1715s (C=O), 1654s (C=C), 1568s (NH), 1410s (CH3), 1150s (CN), 2965m, 2856m, 1475s, 1452s, 1400m, 1340m, 1165m, 1100m, 831m, 705m (CH2-groups); UV/Vis(CH3OH): λmax: 414, 525, 539, 595, 639 nm; 1H NMR (300 MHz; CD3OD) δ 10.66, 10.58, 10.23, 10.12 (4H, s, meso H), 6.03 (2H, m, α-CH), 4.37 (4H, m, porphyrin-CH2), 3.62 (12H, s, β-CH3), 3.49 (4H, m, OCH2), 3.07 (4H, m, CH2COOH), 2.09 (6H, s, CH3), 1.33 (4H, s, CH2), 1.11 (56H, s, CH2), 0.73 (6H, d, J = 7 Hz, CH3), 0.55 (s, 2H, NH); (ESI): m/z(%) 1076 (100) [M++2].
【0045】
試験例5:本発明のポルフィリン誘導体のウイルスエンベロープとの融合試験
化合物13(0.5mg/43.5μL)とセンダイウイルスエンベロープ(5000HAU/650μL)を4℃で混合し、遠心分離を4℃で13200rpmで10分間行った。得られた沈殿物を100μLのPBS溶液に懸濁し、再び遠心分離を同じ条件で行い、化合物13とセンダイウイルスエンベロープの融合物を赤紫色の沈殿物として得た。この化合物13とセンダイウイルスエンベロープの融合物(化合物13の濃度:30μM)の存在下、HeLa細胞を37℃で1時間培養した後(5×10cells,培地:RPMI−1640)、4%のパラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定してから蛍光顕微鏡観察を行ったところ、化合物13単独を同じ濃度でHeLa細胞に接触させた場合に比較して細胞からの蛍光強度が強かった。従って、化合物13をセンダイウイルスエンベロープと融合させることで、HeLa細胞に対する取り込み性の向上を図ることができることがわかった。この結果は、化合物13を用いて合成された本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体でも同様であった。以上の結果から、本発明のポルフィリン誘導体は、本発明の含ホウ素ポリフィリン誘導体の合成中間体として有用であるのみならず、それ自体も光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用であることがわかった(化合物4a,4b,13の種々のがん細胞に対するGI50を表3に示す)。
【0046】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、腫瘍細胞親和性に優れ、かつ、毒性が低いことで高用量の投与が可能である、光線力学療法やホウ素中性子捕捉療法の有効成分として有用な含ホウ素ポルフィリン誘導体を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表されるアニオン化合物の塩である含ホウ素ポルフィリン誘導体。
【化1】

[式中、R、Rは同一または異なって置換されていてもよいアルキル基、ビニル基のいずれかを示す。RはXB12112−で表される基(XはO,S,NHのいずれかを示す)、NH1211で表される基のいずれかを示す。Rは水酸基、XB12112−で表される基(Xは前記と同義である)、NH1211で表される基のいずれかを示す。]
【請求項2】
、Rの少なくとも1つがアルコキシ基によって置換されたアルキル基である請求項1記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体。
【請求項3】
アルコキシ基の炭素数が5以上である請求項2記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体を有効成分とする光線力学療法剤。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の含ホウ素ポルフィリン誘導体(但し分子中のホウ素原子の少なくとも1つは10Bである)を有効成分とするホウ素中性子捕捉療法剤。
【請求項6】
下記の一般式(2)で表されるポルフィリン誘導体。
【化2】

[式中、R、Rは前記と同義である。但しR、Rの少なくとも1つは置換されていてもよいアルキル基を示す。R13、R14は同一または異なってアルコキシ基、水酸基のいずれかを示す。]


【図1】
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【公開番号】特開2011−37748(P2011−37748A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186014(P2009−186014)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(501086714)学校法人 学習院 (7)
【Fターム(参考)】