説明

画像形成装置

【課題】裏紙が任意に給紙トレイにセットされた場合でも、給紙トレイの数や両面白紙の有無に依存することなく、印刷は正しく(すなわち、白紙面にのみ)行われることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】入力された印刷データに基づいて、給紙部から供給された用紙の一方の面である印刷面に印刷を行う印刷部と、給紙部から供給される用紙が、その少なくとも一方の面に既に印刷がなされている裏紙であるか否かを判別する用紙判別部と、用紙が裏紙であると判別されたとき、該用紙の既に印刷がなされている面が印刷面と一致するか否かを判定する印刷面判定部と、給紙部から供給される用紙の表裏を反転させて印刷部へ供給する用紙反転部と、印刷面判定部が、用紙の印刷面に既に印刷がなされていると判定したときに、用紙を用紙反転部へ搬送して用紙の表裏を反転させた後に印刷部へ供給する用紙供給制御部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ機能,スキャナ機能,プリンタ機能などの複合機能を有する複合機あるいは複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
資源の有効活用の観点から、再生紙の利用や、オフィスのペーパレス化等が促進されている。また、資源の有効活用に加えて、経費の削減等の観点からもオフィスにおいて、複写機およびプリンタの印刷用紙には片面が使用済の用紙(以下、「裏紙」という)が使用されるケースが増えており、裏紙をセンサなど用いて検出する技術は既に知られている。
【0003】
例えば、使用者が裏紙の使用可否を予め設定しておき、印刷開始前には選択された給紙トレイでセンサを用いて裏紙の有無を確認し、使用者が裏紙使用しないとした場合には両面白紙を搭載した別のトレイへの変更を行う(使用すると設定した場合にはそのまま印刷される)。また、両面白紙を搭載した給紙トレイを有しない場合には片面集約での印刷を行うプリンタ装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、転写紙を格納する給紙トレイ毎に裏紙を含む転写紙の種類を設定する紙種設定手段と、給紙トレイごとの紙種設定状態を表示する表示手段とを備え、既存の機種についても新たな装置を設けることなく、画像形成ミスを防いで裏紙使用を促進することが可能な画像形成装置および画像形成システムが開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、印刷用紙を保持するための2以上の給紙段と、前記給紙段から送られてきた印刷用紙の一方の面に画像を形成する画像形成手段と、画像が形成された印刷用紙が排出される2以上の排紙部と、を備え、給紙段から供給される印刷用紙の印刷面に既に印刷がなされている無効印刷用紙(すなわち、裏紙)が任意の給紙段から所定枚数連続して画像形成手段へ供給された場合に、印刷用紙の供給元を他の給紙段へ変更する画像形成装置が開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−305604号公報
【特許文献2】特開2003−101720号公報
【特許文献3】特開2008−287177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、普通用紙用トレイと裏紙用トレイの2つの給紙トレイが必要となり、1つの給紙トレイに普通用紙と裏紙が混在する場合には対応できないという問題がある。また、特開平6−255842号公報のように普通用紙と裏紙との判別を行っているとすると、裏紙が表裏逆に給紙トレイに格納されているときには、用紙の使用済みの面に重ねて印刷してしまうという問題も生ずる。さらに、使用者は、印刷前に裏紙を使用するかどうかを設定しなければならないという問題もある。
【0008】
特許文献2の構成では、給紙トレイごとに裏紙を含む転写紙の種類を設定する必要がある。また、特許文献1と同様に、給紙トレイが1つしかない場合には、この構成を適用することができないという問題がある。
【0009】
特許文献3の構成では、印刷面が印刷済みであり印刷面ではない方の面が未印刷であることを検出した場合には、両面ユニットによって印刷用紙を反転させて画像形成手段へ供給し、画像形成することも開示されており、裏紙を有効活用することができるが、特許文献1と同様に、給紙トレイが1つしかない場合には、この構成を適用することができないという問題がある。
【0010】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、裏紙が任意に給紙トレイにセットされた場合でも、給紙トレイの数や両面白紙の有無に依存することなく、印刷は正しく(すなわち、白紙面にのみ)行われることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための画像形成装置は、用紙を格納する少なくとも1つの給紙トレイを含む給紙部と、入力された印刷データに基づいて、給紙部から供給された用紙の一方の面である印刷面に印刷を行う印刷部と、給紙部から供給される用紙が、その少なくとも一方の面に既に印刷がなされている裏紙であるか否かを判別する用紙判別部と、用紙判別部が、用紙が裏紙であると判別したとき、該用紙の既に印刷がなされている面が印刷面と一致するか否かを判定する印刷面判定部と、用紙搬送路上に設けられ、用紙の表裏を反転させて印刷部へ供給する用紙反転部と、印刷面判定部が、用紙の印刷面に既に印刷がなされていると判定したときに、該用紙を用紙反転部へ搬送して該用紙の表裏を反転させた後に印刷部へ供給する用紙供給制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によって、印刷前に裏紙有無の検知を行い、裏紙がある場合には両面反転機構を用い未使用面が印刷面となるよう反転することで、裏紙が任意に給紙トレイにセットされた場合でも給紙トレイの数や両面白紙の有無に依存することなく、また、印刷のスループットを落とすことなく、印刷は(白紙面にのみ)正しく行われるようにすることができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、印刷データが両面印刷のデータであるか否かを検知する印刷データ判定部と、印刷データ判定部が、印刷データが両面印刷のデータであると判定したときに、該両面印刷の印刷データを裏紙である用紙に片面ずつ印刷するようにデータ変換する印刷データ変換部と、を備える。
【0014】
上記構成によって、両面印刷ができない場合(すなわち、全て裏紙の場合)には自動的に片面集約印刷する制御を行うため、給紙トレイに裏紙しかセットされていない状態でも、裏紙に両面印刷を行うような無駄な印刷を防ぐができる。そして、ユーザの再印刷の手間を省くこともできる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、裏紙と、両面ともに未印刷の用紙とのいずれを印刷に用いるかを設定する用紙設定部と、印刷部により印刷を行った用紙が排出される2以上の排紙トレイを含む排紙部と、を備え、両面ともに未印刷の用紙を印刷に用いる設定がなされたとき、給紙部から供給された用紙が裏紙と判別されたときには、印刷部において印刷を行わないまま排紙トレイに排紙し、印刷部が、両面ともに未印刷の用紙に対して印刷を行ったときには、該用紙を裏紙の排紙先とは異なる排紙トレイへ排紙する排紙制御部を備える。
【0016】
上記構成によって、排紙先の振り分け(両面白紙だけ使用した場合に、裏紙は別の排紙トレイヘ出す)の制御と用紙選択(両面白紙だけ使用するか否か)の選択を行うため、両面白紙と裏紙の混在状態でも両面白紙だけの状態と同じ印刷物を得ることができる(排紙先で裏紙の抜き取りなどの作業が不要)。
【0017】
また、本発明の画像形成装置は、用紙判別部による、用紙の印刷面に既に印刷がなされているか否の判別状況に基づいて警告を行う警告部を備える。
【0018】
上記構成によって、裏紙を使用しかつ印刷面との不一致が発生する場合には使用者に対して警告を行う制御を行うため、印刷に要する時間が増加することを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置における警告部は、給紙部から供給された用紙に対する、印刷面に既に印刷がなされていると判別された用紙の割合が予め定められた値を超えたときに警告を行う。
【0020】
上記構成によって、裏紙を使用しかつ印刷面との不一致が発生する度に警告を行わないので、頻繁に警告を発することにより生ずるユーザの不快感を和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の構成を示す図。
【図2】第1裏紙判定部の配置例を示す図。
【図3】制御部およびその接続構成を示す図。
【図4】印刷制御処理を説明するフロー図。
【図5】裏紙警告処理を説明するフロー図。
【図6】印刷制御処理の別例を説明するフロー図。
【図7】印刷制御処理の別例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、画像形成装置1の構成図を示す。画像形成装置1は、例えばプリンタとして構成され、その筐体30に、制御部2,用紙反転部5,印刷部6,第1給紙部7,第2給紙部8,第1排紙部9,第2排紙部10,印刷データ入力部11を含んで構成される。
【0023】
用紙反転部5は、両面印刷を行うために用紙Pの表裏を反転させるための周知もので、例えば、特許文献3の両面ユニット2(該公報の図7参照)と同様の構成をとる。
【0024】
印刷部6は、通常のプリンタと同様、第1給紙部7あるいは第2給紙部8から搬送された用紙Pを感光ドラムへ搬送する搬送ベルト,印刷データ入力部11に入力された印刷データに基づいて用紙Pに転写される画像を形成する感光ドラム,形成された画像を用紙に定着させる定着ローラ,定着後の用紙を第1排紙部9,第2排紙部10へ排出する排出ベルト,および排出ベルト,搬送ベルトをそれぞれ駆動する駆動ローラ(モータおよびモータ駆動回路を含む)等(いずれも図示せず)を含んで構成される。
【0025】
第1給紙部7は、用紙Pを格納する第1給紙トレイ71,第1裏紙判別部3,およびモータや搬送ローラ等を含み、印刷部6へ用紙を供給するための第1給紙部アクチュエータユニット70を含んで構成される。
【0026】
第1裏紙判別部3は、図2のように、第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32とを含んで構成され、それぞれの面(裏面,印刷面)が印刷済みか否かを判定する。なお、印刷面は、用紙Pの印刷部6において画像が転写される面であり、裏面は該画像が転写されない面である。第1裏紙判別部3は、特開平6−255842号公報のような反射型フオトセンサを用紙Pの幅方向に例えば直線状のような予め定められた配置形状に配置し、用紙Pの搬送方向に沿って1ライン毎あるいは予め定められたタイミングで反射型フオトセンサから光を照射し、その光の反射状態によって用紙Pの印刷面および裏面の状態を判定する。また、第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32は、互いの照射光による反射光への干渉を避けるために、図2のように用紙Pを挟んで対向しないように配置するか、照射タイミングを同一としないことが望ましい。
【0027】
図1に戻り、第2給紙部8は、用紙Pを格納する第2給紙トレイ81,第2裏面側判別部41と第2印刷面側判別部42とを含む第2裏紙判別部4,およびモータや搬送ローラ等を含み、印刷部6へ用紙を供給するための第2給紙部アクチュエータユニット80を含んで構成される。第2給紙部8の構成および動作は、第1給紙部7と同様である。なお、第1裏紙判別部3,第2裏紙判別部4が本発明の用紙判別部に相当する。
【0028】
なお、本発明の画像形成装置1においては、特許文献3のように給紙段の切り替えを行う構成とはなっていないので、1つの用紙サイズ(例えばA4)に対して給紙部は1つあればよい。
【0029】
第1排紙部9は、印刷部6から排出された用紙Pをスタックする第1排紙トレイ91,モータや搬送ローラ等を含み、第1排紙トレイ91へ用紙を搬送するための第1排紙部アクチュエータユニット90を含んで構成される。第2排紙部10は、第2排紙トレイ101,第2排紙部アクチュエータユニット100を含み、構成および動作については第1排紙部9と同様である。
【0030】
印刷済みの用紙Pを第1排紙トレイ91,第2排紙トレイ101のいずれへ排出するかは、制御部2からの制御指令に基づいて決定される。また、排紙部を1つとする構成としてもよい。
【0031】
印刷データ入力部11は、印刷データを取得するためのもので、以下のうちの少なくとも1つを含む。
・パーソナルコンピュータ等の情報通信端末(図示せず)からLANを介して印刷データを取得するLANインターフェース回路。
・メモリカードのようなリムーバブル記憶媒体のデータを読み取るための読取装置。
・スキャナのような画像読取装置。
なお、印刷データ入力部11が本発明の用紙設定部に相当する。
【0032】
図3に、制御部2およびその接続構成を示す。制御部2は、周知のCPU21,ROM22,RAM23,および信号入出力回路であるI/O24を含むコンピュータとして構成される。制御部2には、上述の第1裏紙判別部3,第2裏紙判別部4,用紙反転部5,印刷部6,印刷データ入力部11,第1給紙部アクチュエータユニット70,第2給紙部アクチュエータユニット80,第1排紙部アクチュエータユニット90,第2排紙部アクチュエータユニット100の他に、表示部12,用紙搬送路切替ユニット13が接続されている。
【0033】
表示部12は、例えばLCDにより構成され、画像形成装置1の動作に関する情報を表示する。また、表示部12の表示画面上に周知のタッチパネルを設け、ユーザが給紙トレイの選択や印刷モードの設定等を行うことを可能としてもよい。なお、表示部12が本発明の警告部に相当する。
【0034】
用紙搬送路切替ユニット13は、以下の2つを含む。
・給紙部(7,8)から経路R3を搬送された用紙Pを用紙反転部5(経路R4),印刷部6(経路R5)のいずれに搬送するかを、制御部2からの制御指令に基づいて切り替えるためのもので、経路切替用の分岐装置,モータ,搬送用ローラ等を含む。
・印刷部6で印刷された用紙Pを、両面印刷のため用紙反転部5(経路R4)に搬送するか、印刷後の用紙排出のためあるいは第1排紙部9(経路R6),第2排紙部10(経路R7)のいずれに搬送するかを、制御部2からの制御指令に基づいて切り替えるためのもので、経路切替用の分岐装置,モータ,搬送用ローラ等を含む。
また、印刷部6に該ユニットの一部を含む構成としてもよい。なお、用紙搬送路切替ユニット13が本発明の用紙供給制御部に相当する。
【0035】
制御部2は、CPU21がROM22に記憶された制御プログラムを実行することで、印刷データ入力部11から印刷データを取得し、給紙部(7または8)から供給された用紙Pの状態(裏紙か否か)に基づいて、必要があれば用紙反転部5で用紙Pの反転(印刷面の入れ替え)を行い、印刷部6で印刷データを用紙Pの印刷面に印刷し、排紙部(9または10)に排紙する(詳細は後述)。なお、制御部2が本発明の印刷面判定部,用紙供給制御部,印刷データ判定部,印刷データ変換部,排紙制御部に相当する。
【0036】
図4を用いて、画像形成装置1における印刷制御処理について説明する。なお、本処理は、ROM22に記憶された制御プログラムに含まれ、他の処理とともに予め定められたタイミングでCPU21により実行される。また、本処理では、給紙部として第1給紙部7のみを使用する。
【0037】
まず、以下の例の少なくとも一つを用いて印刷設定を行う(S11)。
・パーソナルコンピュータ等の情報通信端末(図示せず)で、印刷用データを指定し、用紙サイズ,印刷枚数等の印刷条件を設定し、印刷用データおよび印刷条件を画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、これらデータを印刷データ入力部11で取得する。
・リムーバブル記憶媒体を印刷データ入力部11にセットし、表示部12のタッチパネルを操作して、印刷用データの指定,印刷条件の設定を行う。
【0038】
印刷設定の入力が完了すると、印刷条件あるいはユーザによる印刷開始操作に基づいて印刷を開始し、第1給紙部7から用紙Pを供給する(S12)。
【0039】
ステップS121については後述する。
【0040】
次に、印刷が開始され、制御部2の制御指令により第1給紙部アクチュエータユニット70が駆動され、第1給紙部7から用紙Pが供給される。このとき、用紙Pは第1裏紙判別部3を通過して、裏紙か否かの判別が行われる。例えば、用紙Pを搬送するときに、用紙Pの略先端部,略中央部,および略後端部のような予め定められた領域において、第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32に含まれる反射型ホトセンサから光を照射し、用紙Pからの反射光の量により検知される黒部検知信号(特開平6−255842号公報参照)の個数が反射型ホトセンサの延べ検知信号の個数に対し所定の比率以上あるときにその面が印刷済み(すなわち裏紙)であると判定する。例えば、第1裏面側判別部31に反射型ホトセンサが10個含まれ、用紙Pの搬送時に3回の照射を行うと、延べ検知信号の個数は30となる。
【0041】
裏紙でないと判別したとき(S13:No)、制御部2の制御指令により用紙搬送路切替ユニット13を切替駆動することで、用紙Pは経路R1→R3→R5を通り印刷部6へ搬送されて印刷データが印刷される(S16)。一方、裏紙であると判別したとき(S13:Yes)、どちらの判別部(31,32)が裏紙であると判別したかを調べる。第1印刷面側判別部32が裏紙でないと判別したとき、すなわち印刷済みの面が印刷面と一致しないとき(S14:No)、そのまま印刷を行う(S16)。
【0042】
一方、第1印刷面側判別部32が裏紙であると判別したとき、すなわち印刷済みの面が印刷面と一致するとき(S14:Yes)、制御部2の制御指令により用紙搬送路切替ユニット13を切替駆動することで、用紙Pは経路R1→R3→R4を通り用紙反転部5へ搬送され、用紙Pの表裏を反転して印刷済みの面の反対側の面が印刷面となるようにする(S15)。その後、経路R4→R5を通り印刷部6に搬送されて印刷データが印刷される(S16)。
【0043】
ステップS151の裏紙警告処理については後述する。
【0044】
上述のステップS11で取得した印刷条件が「両面印刷」でないとき(S17:No)、印刷済みの用紙Pを経路R6あるいはR7のいずれか(印刷条件で設定されたもの)に切り替えて対応する排紙部(9あるいは10)に排紙して、この用紙Pの印刷を終了する(S18)。
【0045】
一方、印刷条件が「両面印刷」であるとき(S17:Yes)、印刷の対象となっている用紙Pが裏紙でないとき、すなわち第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32のいずれでも裏紙であると判別しなかったとき(S20:No)、印刷済みの用紙Pを用紙反転部5へ搬送して表裏を反転し、その後、印刷部6へ搬送して印刷を行う両面印刷を実施し(S21)、排紙部(9あるいは10)に排紙して、この用紙Pの印刷を終了する(S18)。
【0046】
一方、印刷の対象となっている用紙Pが裏紙であるとき(S20:Yes)、当該用紙Pの印刷を終了し(すなわち、用紙Pの反転を行わず)、第1給紙部7から次の用紙を搬送し、両面印刷の他方の面の印刷データを新たに搬送された用紙に印刷する(S22,いわゆる、両面→片面集約)。その後、排紙部(9あるいは10)に排紙して、この用紙Pの印刷を終了する(S18)。無論、次の用紙についても裏紙かどうかの判定を行い、裏紙であるときには用紙の反転を行う。
【0047】
ステップS181の排紙部切替処理については後述する。
【0048】
そして、次ページの印刷データがあるとき(S19:Yes)、ステップS12へ戻り印刷を継続し、次ページの印刷データがないとき(S19:No)、本処理を終了する。
【0049】
印刷済みの面が印刷面と一致することに基づいて警告を行うようにしてもよい。以下、図4,図5を用いて、裏紙警告処理について説明する。まず、図4において、ステップS12で用紙Pの供給が行われたとき、印刷枚数情報を取得する(S121)。印刷枚数は以下のいずれを用いてもよい。
(a)画像形成装置1の累積印刷(給紙)枚数。
(b)使用している給紙部(7あるいは8)における累積印刷(給紙)枚数。
(c)今回の印刷時における給紙枚数の積算値。
【0050】
図5に、図4のステップS151に相当する裏紙警告処理の詳細を示す。本処理は、用紙Pの印刷済みの面が印刷面と一致したとき(S14:Yes)に実行される。まず、印刷済みの面が印刷面と一致したことを示す一致枚数を更新する(S31)。一致枚数は、上述の(a)〜(c)に以下のように対応している。
(a)印刷済みの面が印刷面と一致した累積枚数。
(b)使用している給紙部(7あるいは8)における印刷済みの面が印刷面と一致した累積枚数。
(c)今回の印刷時における印刷済みの面が印刷面と一致した枚数の積算値。
【0051】
次に、印刷枚数に対する一致枚数の割合(一致率)を算出する(S32)。そして、算出した一致率が予めROM22に記憶された閾値を超えるか否かを判定し、一致率が閾値を超えたとき(S33:Yes)、表示部12に、「裏紙を正しくセットして下さい」のような警告メッセージを表示する(S34)。
【0052】
図4の印刷制御処理において、用紙Pの両面とも印刷済みのときには、警告を発し、その用紙には印刷を行わないようにしてもよい。図6を用いて、その詳細について説明する。なお、本処理は、図4の変形例であるため、図4と異なる部分のみを説明する。また、ステップS121,S151は実行しなくてもよい。
【0053】
ステップS11〜S12は、図4と同様である。裏紙であると判別したとき(S13:Yes)、両面とも印刷済みであるか否かを判定する。すなわち、第1裏紙判別部3の、第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32とがともに裏紙であると判別したとき、用紙Pは両面とも印刷済みであると判定する。
【0054】
用紙Pが両面とも印刷済みでないと判定したとき(S131:No)、図4と同様にステップS14以降の処理を実行する。一方、用紙Pが両面とも印刷済みであると判定したとき(S131:Yes)、表示部12に、「印刷に適しない用紙がセットされています」のような警告メッセージを表示する(S132)。そして、その用紙を排紙部(9あるいは10)に排出し(S133)、ステップS12に戻り、次の用紙を供給する。
【0055】
図6のような構成とすることで、無駄な反転動作や印刷を防止することができ、ユーザが印刷面に印刷されたページを再度印刷する手間を省くことができる。
【0056】
図7を用いて、印刷制御処理のさらなる別例を説明する。本処理は、印刷設定において両面ともに未印刷の用紙(未使用紙という)を使用する設定をしたときに、裏紙を検出したときの印刷制御について述べたものである。まず、上述の図4のステップS11と同様に印刷設定を行う(S51)。印刷設定の入力が完了すると、印刷条件に基づいて印刷を開始し、第1給紙部7から用紙Pを供給する(S52)。次に、図4と同様に、供給された用紙Pが裏紙か否かの判別を行い、用紙Pが裏紙でないとき、すなわち第1裏面側判別部31と第1印刷面側判別部32のいずれでも裏紙であると判別しなかったとき(S53:No)、用紙Pを印刷部6に搬送して印刷データを印刷する(S55)。そして、用紙Pを第1排紙部9に排紙する(S56)。
【0057】
一方、用紙Pが裏紙であるとき(S53:No)、印刷設定において未使用紙を使用することが設定されているとき(S54:Yes)、印刷部6にて印刷データを印刷しないまま、用紙Pを第2排紙部10に排紙する(S57)。そして、ステップS52に戻り、次の用紙を供給する。
【0058】
未使用紙を使用することが設定されていないとき(S54:No)、図4のように、用紙Pの印刷済みの面が印刷面と一致したときには裏紙を反転して印刷を行ってもよいが、図7の例では、未使用紙に印刷するように設定されているので、ステップS54:NoからステップS55へ至る処理は、実質的に行われない。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
2 制御部(印刷面判定部,用紙供給制御部,印刷データ判定部,印刷データ変換部,排紙制御部)
3 第1裏紙判別部(用紙判別部)
31 第1裏面側判別部
32 第1印刷面側判別部
4 第2裏紙判別部(用紙判別部)
41 第2裏面側判別部
42 第2印刷面側判別部
5 用紙反転部
6 印刷部
7 第1給紙部
71 第1給紙トレイ
8 第2給紙部
81 第2給紙トレイ
9 第1排紙部
91 第1排紙トレイ
10 第2排紙部
101 第2排紙トレイ
11 印刷データ入力部(用紙設定部)
12 表示部(警告部)
13 用紙搬送路切替ユニット(用紙供給制御部)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を格納する少なくとも1つの給紙トレイを含む給紙部と、
入力された印刷データに基づいて、前記給紙部から供給された用紙の一方の面である印刷面に印刷を行う印刷部と、
前記給紙部から供給される用紙が、その少なくとも一方の面に既に印刷がなされている裏紙であるか否かを判別する用紙判別部と、
前記用紙判別部が、前記用紙が前記裏紙であると判別したとき、該用紙の既に印刷がなされている面が前記印刷面と一致するか否かを判定する印刷面判定部と、
前記給紙部から供給される前記用紙の表裏を反転させて前記印刷部へ供給する用紙反転部と、
前記印刷面判定部が、前記用紙の印刷面に既に印刷がなされていると判定したときに、該用紙を前記用紙反転部へ搬送して該用紙の表裏を反転させた後に前記印刷部へ供給する用紙供給制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷データが両面印刷のデータであるか否かを検知する印刷データ判定部と、
前記印刷データ判定部が、前記印刷データが前記両面印刷のデータであると判定したときに、該両面印刷の印刷データを裏紙である前記用紙に片面ずつ印刷するようにデータ変換する印刷データ変換部と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記裏紙と、両面ともに未印刷の用紙とのいずれを印刷に用いるかを設定する用紙設定部と、
前記印刷部により印刷を行った用紙が排出される2以上の排紙トレイを含む排紙部と、を備え、
前記両面ともに未印刷の用紙を印刷に用いる設定がなされたとき、前記給紙部から供給された用紙が前記裏紙と判別されたときには、前記印刷部において印刷を行わないまま前記排紙トレイに排紙し、
前記印刷部が、前記両面ともに未印刷の用紙に対して印刷を行ったときには、該用紙を前記裏紙の排紙先とは異なる排紙トレイへ排紙する排紙制御部を備える請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙判別部による、前記用紙の印刷面に既に印刷がなされているか否の判別状況に基づいて警告を行う警告部を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記警告部は、前記給紙部から供給された用紙に対する、前記印刷面に既に印刷がなされていると判別された用紙の割合が予め定められた値を超えたときに警告を行う請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8331(P2012−8331A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144039(P2010−144039)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】