迅速解放ベルトスプライサー及びその動作方法
コンベアベルトを突き合わせ溶接するためのベルトスプライサー及びその動作方法。ベルトスプライサーは、クランプジョー(12、13)を有し、クランプジョーは、2つのベルト部分(26,27)の突き合わせ縁部を加熱ワンド(60)の対向端に接触させ、互いに溶接するとき2つの溶融された突き合わせ縁部を一緒に保持するように閉鎖する。トグルリンク機構組立体(36)は、クランプされたジョーを閉鎖状態に係止し、エネルギーをばね機構(56、57)に蓄積する。トグルリンク機構組立体は、ばねのエネルギーを迅速に解放させ、クランプジョーの開放を加速させて、溶融された突き合わせ端部を、くっつかないようにワンドの側から遠ざかる方へ迅速に引き離す。別の形態では、スプライサーを閉鎖し迅速に開放するため、トグルリンク機構組立体及びばね機構の代わりに、エアシリンダが使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プラスチック製コンベアベルトの突き合わせ縁部を熱接合するためのスプライシングツールに関し、特に、突き合わせ縁部を加熱ワンドの側から迅速に解放するスプライシングツールに関する。
【背景技術】
【0002】
スプライシングプレスが、2つの熱可塑性プラスチック製コンベアベルト部分の突き合わせ端を一緒に溶接するのに使用される。従来のプレスは、2つのベルト部分の一方を各々保持する一対のクランプを備える。クランプは、突き合わせ端が隙間を挟んで互いに面した状態でベルト部分を堅固に保持する。加熱ワンドを隙間内に移動させ、ベルト部分の突き合わせ端が加熱ワンドの両側に接触するまで2つのクランプを接近させる。突き合わせ端がワンドの熱によって軟化され又は十分に溶融されると、ワンドを取り外すことができるように、クランプは引っ込められる。次いで、軟化し又は溶融した突き合わせ端が合体するまで、クランプを互いの方へ移動させる。クランプは、それらの界面における接合部が冷却するように、突き合わせ端を互いに保持する。
【0003】
上述のスプライシングプレスは、大部分の熱可塑性材料で作られたベルトに対して良好に機能するが、ポリエステルのような幾つかの材料は、クランプを引っ込めたときに、ワンドの側にくっつきがちである。この結果生ずるベルト材料のワンドへの浪費が、このようにして得られる接合の品質を低下させる。そして、ワンドにくっつく材料を取り除かなければならない。したがって、ポリエステルのような、くっつきやすい熱可塑性材料で作られたベルトに対して良好に機能するベルトスプライサーに関する必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
この必要性は、本発明の特徴を具体化するベルトスプライサーによって取り組まれる。ベルトスプライサーは、クランプジョーを迅速に解放するための手段に連結された一対の対面したクランプジョーを備える。トグルリンク機構組立体とばね機構又は空気圧シリンダのような、クランプジョーを迅速に解放するための手段は、第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させるため、第1及び第2のクランプジョーに向けて対向方向に衝撃力を差し向ける。
【0005】
別の形態のベルトスプライサーは、対面関係をなした一対のクランプジョーを動作させるトグルリンク機構組立体を備える。ばね機構が、トグルリンク機構組立体とクランプジョーとの間に取り付けられる。トグルリンク機構組立体は、係止状態から解放状態に動作される。トグルリンク機構組立体の係止状態では、ばね機構は、高いレベルの蓄積されたエネルギーを有し、クランプされたジョーを互いの方へ押す。解放状態では、ばね機構は、その蓄積されたエネルギーを迅速に解放して、クランプされたジョーを迅速に離れるように加速させる。
【0006】
本発明の別の態様では、ベルトスプライサーを動作させるための方法が、(a)2つのベルト部分の突き合わせ縁部を、一対のクランプジョーと対面関係をなして整合する状態に保持し、(b)加熱要素をクランプジョー間に位置決めし、(c)2つのベルト部分の突き合わせ縁部を加熱要素と接触させた状態でクランプジョーを互いの方へ閉鎖位置まで移動させて突き合わせ縁部を溶融させ、(d)クランプジョーを迅速に離れるように加速させて、溶融した突き合わせ縁部を加熱要素から完全に分離することを含む。
【0007】
本発明のこれらの特徴並びにそれらの利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び図面を参照することによって、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の特徴を具体化するベルトスプライサーの等角図である。
【図2】図2は、図1のベルトスプライサーの拡大図である。
【図3】図3は、図1のベルトスプライサーの一端の拡大端立面図である。
【図4A】図4Aは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4B】図4Bは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4C】図4Cは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4D】図4Dは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4E】図4Eは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図5】図5は、加熱プロセスの際の図1のベルトスプライサーの一端の平面図である。
【図6】図6は、図1のベルトスプライサーの端面図であって、突き合わせ溶接のプロセスを示したものである。
【図7】図7は、図1のベルトスプライサーの一端の平面図であって、ベルトの突き合わせ溶接のプロセスを示したものである。
【図8】図8は、図1のベルトスプライサーに対して使用されるハンドルの側面図である。
【図9】図9は、図1のベルトスプライサーに対して使用されるハンドルの別の態様の側面図であって、ラチェット機構を含むものである。
【図10】図10は、図1のようなベルトスプライサーの端部分の底面図であって、クランプジョーが閉鎖状態にあり、エアシリンダがトグルリンク機構組立体と取り替えられている。
【図11】図11は、クランプジョーが開放している、図10のような底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴を具体化するスプライシングツールが図1に示されており、図2及び図3では加熱ワンドとともに示されている。全体として端から端まで左右対称であるツール10は、ツールの各端のところに穴14、15が設けられた左と右のクランプジョー12、13を含む。左のクランプジョーの穴は、右のクランプジョーに穴と整合している。穴14、15を通って延び、スプライシングツールのフレームで支持された横方向レール16が、クランプジョーを整列させ、支持ガイドを提供し、支持ガイドに沿って、ジョーが互いの方へ向かって及び互いに遠ざかるように移動する。クランプジョー12、13上の上部デッキ18は、接合されるコンベアベルト24の平らでない側に設けられた横方向リブ22のような構造体と合致するように、頂部面が内側に窪み付けされた整合溝20、21を有する。図3に示されるコンベアベルトに対して、駆動リブ22は、クランプジョーの上部デッキ18の幅広の溝20内に受け入れられる。幅狭の溝21は、より幅狭の横方向リブを有するベルトを収容する。溝は、ベルト端部分26、27をジョーの上部デッキ上にぴったりと着座させ、両方のベルト部分を垂直方向と水平方向に整合するように位置合わせすることを可能にする。
【0010】
一緒に接合される2つのベルト端部分26、27は、対応する左と右のクランプジョー12、13と左と右の頂部クランプ28、29との間に挟まれる。頂部クランプの底面30には、クランプジョーの上部デッキ18と同じように溝が設けられており、別法として、下部の復路においてその場でベルトを一緒に接合するとき等のように、ベルト端部分26、27を、下側を上にして一緒に溶接し得るようになっている。頂部クランプは、各端のところに、クランプジョーの平行移動のときであっても頂部クランプを対応するクランプジョーと整合させるようにピン34(図5)を受け入れる整合穴32を有する。頂部クランプの頂部に固定された細長いハンドル35が、頂部クランプの容易な取り外しを支援し、接合されたベルトを解放する。
【0011】
クランプジョーは、スプライサーの各端に1基設けられたトグルリンク機構組立体36によって開閉される。トグルリンク機構組立体は、スプライサーフレームに固定された支持ブロック40に回転可能に取り付けられた中央ハブ38を備える。このハブは、フラット(flat)44が設けられた中央ボア42を有する。ハブは、スプライサーの長さ延びハブの回転軸線47を構成するシャフト46(図5)に取り付けられている。トグルリンク機構組立体のハブは、スプライサーの他端のところで、シャフトの他端に取り付けられている。シャフトは、トグルリンク機構組立体の一方又は両方を越えて外方に延び、図8及び図9に示されるもののうち一方のような、オペレータがスプライサーを動作させるハンドルを受け入れる。
【0012】
U形の左と右のリンク機構アーム48、49が、アームの近位端のところでピボット50でハブ38の面に取り付けられる。ピボットは、ハブ38の軸線47を横切って互いに直径方向に対向している。アームの遠位端は、ピボット51のところで、ばね組立体の左と右のドローバー52、53の端に回動可能に取り付けられている。ドローバーは、それらの対向端のところで、左と右のばねリテーナ54、55を保持するヘッド61で終わっている。ドローバー52、53を共軸に取り囲む左と右の圧縮ばね56、57が、ばねリテーナ54、55から、クランプジョー12、13と一体の左と右のばね座58、59まで延びている。ばね組立体は、クランプジョーの閉鎖と迅速開放を可能にするばね機構を形成する。対向する接触側62、63間に加熱要素を収容する加熱ワンド60が、クランプジョー間の隙間64に位置決めでき、ハブ支持体40から上方に延びるワンド台66によって適所に位置合わせされる。
【0013】
トグルリンク機構組立体36の動作は、図4A〜図4Eに図示されている。図4Aでは、クランプジョー12、13は、隙間64間の最大距離離れている。ベルト端部分26、27は、隙間の各側において、クランプジョーと頂部クランプ28、29との間でクランプされている。ハブ38は、リンク機構アーム48、49が垂直方向に重ならず、ばね56、57が細長くほぼ弛緩した、エネルギーが殆ど蓄積されない状態にある角度位置まで回転される。これは、トグルリンク機構組立体の完全解放位置を表す。図4Bには、ワンド台66間に置かれた加熱ワンド60が示されている。トグルリンク機構のハブ38は、依然として、完全解放位置にある。図4Cでは、トグルリンク機構組立体38は、その係止位置で示されている。ハブ38のボア42のフラット44は、ハブが、図4Bにおけるその完全に弛緩した位置から時計回りに約210°回転されたことを示している。係止位置では、2つのリンク機構アームは互いに重なり合い、ハブに設けられたそれらの近位ピボット50が、ドローバー52、53との遠位回動連結部51から見てハブの回転軸線47の両側のオーバーセンター位置に位置する。アームの近位端68、69は、互いのニー(knee)70、71の背後に寄り添い、圧縮されたばね56、57がハブ部分を回転させるのを阻止する。トグルリンク機構組立体がこの安定した係止位置にある状態では、クランプジョーの対面する面のスペーサパッド72、73が、図5に示されるように、ジョーの各端のところでワンド60の側62、63に接触するまで、ばねはクランプジョーを閉鎖する。ベルト部分26、27の突き合わせ縁部74、75(図2)は、この閉鎖位置においてワンドの側に接触して、溶融される。その一方、リンク機構アーム48、49は、ドローバー52、53をハブ38の方へ引っ張り、ばね56、57を圧縮する。この状態では、圧縮されたばねに蓄積されたエネルギーは、ほぼ最大である。
【0014】
突き合わせ縁部74、75が加熱ワンド60によって十分に溶融されると、クランプジョー12、13を解放することができる。ハブ38は反時計回りに回転される。図4Dに示されるようなトグルリンク機構組立体のトグル位置のところで、両方のアームの近位ピボット50と遠位ピボット51は、ハブの回転軸線47及びドローバーの軸線76と互いに一線をなす。これはまた、ばねの最大圧縮、従って最大エネルギーがばねに蓄積されることを表す。ハブが反時計回りにさらに僅かに回転されると、圧縮されたばねは、その蓄積されたエネルギーをリンク機構アーム48、49内に迅速に解放し、ハブを図4Eに示されるように反時計回り78に回転させる。空転状態のハブは、リンク機構アームの近位ピボット50を回転させ、そのニー70、71は、短期間の高振幅の衝撃力でばね座58、59に向けて外方に押されて、クランプジョーを開放する。ハブの急速な空転は、クランプジョーの開放を加速し、ベルト部分の突き合わせ縁部を加熱ワンドの側から迅速に引き離す。クランプジョーのばね座の各々に向けて対向方向に作用する衝撃力を作り出すため、ばねエネルギーのトグルリンク機構組立体内への迅速な解放によって引き起こされる突き合わせ縁部のワンドからの迅速な分離は、ポリエステルのような、くっつきやすい熱可塑性プラスチック製ベルト材料がワンドの側にくっつくのを阻止する。ハブは、図4Aの完全に引っ込められた位置に到達するまで、反時計回りに空転し続ける。次いで、ワンド60を隙間64から上昇させることができる。クランプジョーが元に戻り再閉鎖しないように、リンク機構アームは、ハブが図4Eの位置と図4Aの位置との間に位置するときにばね座に押し付けることによって、ばねを僅かに圧縮する。かくして、トグルリンク機構組立体は、クランプジョーを迅速に解放するための1つの手段を表す。
【0015】
加熱ワンドが取り除かれた後、クランプジョー12、13は、ハブ38をオーバーセンタートグル点を越えて図6及び図7に示されるような係止位置まで時計回りに回転させることによって、再び閉鎖される。ワンドがない状態では、ベルト部分26、27の溶融した突き合わせ縁部74、75が溶接の硬化時に一緒に密着するように、ジョー間の隙間64は狭くなる。クランプジョーの各端のところの対面するスペーサパッド72、73は、クランプジョー間の適当な距離を維持するように接触し、連続する横方向リブ間で測定したベルトのピッチが維持される。2つのベルト部分が一緒に溶接されると、上部クランプ28、29は、ハンドル35によって持ち上げられ、溶接されたベルトは、スプライサーから移動される。
【0016】
図8は、スプライサーを動作させるのに使用されるハンドルの一形態を示している。ハンドル80は、細長いハンドル本体82を備え、ハンドル本体82の一端には、片手で把持されるハンドリング部分84、他端にはハブ部分86が設けられている。ハブ88が、ハブ部分で回転可能に保持される。ハブは、トグルリンク機構組立体36の外方に延びるシャフト46(図5)の端を受け入れるように形作られたボア90を有する。ハンドルのハブ88は、ハブとともに回転する周辺突出部すなわちフィンガ92を有する。ハブ部分に設けられたストップ94、95は、ハンドル本体に対するハブ88の回転範囲を360°未満、例えば210°に制限する。ハンドルを矢印96の方向に移動させると、ストップ94は、ハンドルと共にハブ88を押して、シャフト46の向きを変え、トグルリンク機構のハブ38を回転させる。クランプ機構の解放時にトグルリンク機構が空転するとき、ハンドルのハブは、他のストップ95の方へ自由に回転する。このようにして、リンク機構ハブの迅速な回転は、ハンドル本体全体を同じ高速度で回転させることなしに、ハンドルのハブ88のみに伝達される。2つのストップの代わりに単一のストップを使用することができるが、トグルリンク機構ハブの係止位置と完全解放位置との間の角度と同じ角度にわたって2つのストップが間隔を隔てられているので、ハンドルは、オペレータにとって便利な位置にとどまる。
【0017】
別の形態のハンドルが、図9に示されている。ハンドル98は、代わりに、係止可能なラチェット機構100を使用する。ハンドルは、対向端にハンドリング部分104とハブ部分106とが設けられたハンドル本体102を有する。ハブ部分の回転可能なハブ108が、トグルリンク機構組立体36に連結されたシャフト46(図5)の端を受け入れるように形作られた中央ボア110を有する。歯113の付いたラチェットホイール112が、ハブ110の周囲を形成する。ピボットピン116によってハンドル本体に回動可能に取り付けられた爪114が、ラチェット歯に係合し、ハンドルが図9に示されるときにハブとラチェットホイールを反時計回り118に回転させるが、ハンドル本体内において、トグルリンク機構組立体が空転するとき等には、時計回りに回転させない。ハンドルはまた、一端に係止歯122が設けられた係止レバー120を含む。係止レバーは、ピボットピン116のところで、ハンドル本体102に取り付けられる。ハンドル本体からのガイドピン124が、係止レバーに設けられたスロット126、127内に受け入れられる。係止レバーとハンドル本体との間のばね128が、図9に示される非係止位置においてラチェット機構を付勢し、また爪をラチェットホイールに向けて付勢する。ハンドル98がリンク機構ハブ38に適当に連結されると、オペレータは、ハンドル本体を図9において時計回り130に回転させることによって、係止レバーを握りしめることなしに、クランプジョーを係止された閉鎖位置から開放することができる。トグルリンク機構がそのトグル位置を経て移動し、ばねが優勢になると、ラチェットホイール112とハブ108は、ハンドル本体の回転に先行して、迅速に時計回りにラチェット駆動する。クランプジョーを閉鎖させるため、オペレータは、ハンドル本体を握りしめて、係止歯122がラチェット歯133に係合した状態で係止レバーを係止位置内に回動させ、ついでハンドルを反時計回りに回転させる。
【0018】
図10及び図11に示されるようなエアシリンダ132が、クランプジョーを迅速に解放するための代替手段として使用される。シリンダの本体134が、取付用ブラケット136によって右のクランプジョー13の下側に取り付けられている。シリンダのピストンロッド138の遠位端は、左のクランプジョー12の下側の取付用ブラケット137に固定されている。スプライサーの各端のところでクランプジョーの下側に設けられたリニアベアリング140が、クランプジョーが乗るガイドレール16(図1)を受け入れる。クランプジョーは、図10では、突き合わせ溶接の際の閉鎖位置で示されている。閉鎖位置では、ピストンロッド138は、その大部分がシリンダの本体134内に引っ込められている。クランプジョーを開放させると、ピストンロッド138は、矢印142で表されるように、衝撃力及びその対向方向の反力を生成して2つのクランプジョーを引き離す伸張位置までシリンダ本体から迅速に押し出される。固定されたスプライサーフレームに中央ピボット146が回動可能にピン止めされ、クランプジョーに遠位端148が回動可能に取り付けられたZバーリンク機構144が、必要に応じて、2つのクランプジョーを対向方向に同じ速度で離れるように押すのに使用される。Zバーリンク機構は、トグルリンク機構組立体とともに使用されてもよい。エアシリンダがクランプジョーを迅速に解放するための手段として使用されるとき、エアシリンダに電子的に又は継電接続されて動作する開閉押しボタンが、トグルリンク機構に対して使用されるハンドルの代わりに、スプライサージョーの閉鎖と迅速な開放を制御する。必要ならば、複数のエアシリンダ又はZバーリンク機構を使用してもよい。
【0019】
いくつかの好ましい形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、他の形態も可能である。例えば、ばね機構は、ドローバー及びばねリテーナを除去して、リンク機構アームの遠位端とばね座との間にフック止めされた引張ばねを備えてもよい。別の例として、ハンドルは、スプライサーのいずれかの端のところでシャフトに連結されてもよい。そして、油圧シリンダ又は他の線形アクチュエータのような、クランプジョーを迅速に解放するための他の手段が、衝撃力を生成しクランプジョーを迅速に押して開放することができる。したがって、これらのいくつかの例が示唆するように、特許請求の範囲は、説明した典型的な実施形態の細部に限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プラスチック製コンベアベルトの突き合わせ縁部を熱接合するためのスプライシングツールに関し、特に、突き合わせ縁部を加熱ワンドの側から迅速に解放するスプライシングツールに関する。
【背景技術】
【0002】
スプライシングプレスが、2つの熱可塑性プラスチック製コンベアベルト部分の突き合わせ端を一緒に溶接するのに使用される。従来のプレスは、2つのベルト部分の一方を各々保持する一対のクランプを備える。クランプは、突き合わせ端が隙間を挟んで互いに面した状態でベルト部分を堅固に保持する。加熱ワンドを隙間内に移動させ、ベルト部分の突き合わせ端が加熱ワンドの両側に接触するまで2つのクランプを接近させる。突き合わせ端がワンドの熱によって軟化され又は十分に溶融されると、ワンドを取り外すことができるように、クランプは引っ込められる。次いで、軟化し又は溶融した突き合わせ端が合体するまで、クランプを互いの方へ移動させる。クランプは、それらの界面における接合部が冷却するように、突き合わせ端を互いに保持する。
【0003】
上述のスプライシングプレスは、大部分の熱可塑性材料で作られたベルトに対して良好に機能するが、ポリエステルのような幾つかの材料は、クランプを引っ込めたときに、ワンドの側にくっつきがちである。この結果生ずるベルト材料のワンドへの浪費が、このようにして得られる接合の品質を低下させる。そして、ワンドにくっつく材料を取り除かなければならない。したがって、ポリエステルのような、くっつきやすい熱可塑性材料で作られたベルトに対して良好に機能するベルトスプライサーに関する必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
この必要性は、本発明の特徴を具体化するベルトスプライサーによって取り組まれる。ベルトスプライサーは、クランプジョーを迅速に解放するための手段に連結された一対の対面したクランプジョーを備える。トグルリンク機構組立体とばね機構又は空気圧シリンダのような、クランプジョーを迅速に解放するための手段は、第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させるため、第1及び第2のクランプジョーに向けて対向方向に衝撃力を差し向ける。
【0005】
別の形態のベルトスプライサーは、対面関係をなした一対のクランプジョーを動作させるトグルリンク機構組立体を備える。ばね機構が、トグルリンク機構組立体とクランプジョーとの間に取り付けられる。トグルリンク機構組立体は、係止状態から解放状態に動作される。トグルリンク機構組立体の係止状態では、ばね機構は、高いレベルの蓄積されたエネルギーを有し、クランプされたジョーを互いの方へ押す。解放状態では、ばね機構は、その蓄積されたエネルギーを迅速に解放して、クランプされたジョーを迅速に離れるように加速させる。
【0006】
本発明の別の態様では、ベルトスプライサーを動作させるための方法が、(a)2つのベルト部分の突き合わせ縁部を、一対のクランプジョーと対面関係をなして整合する状態に保持し、(b)加熱要素をクランプジョー間に位置決めし、(c)2つのベルト部分の突き合わせ縁部を加熱要素と接触させた状態でクランプジョーを互いの方へ閉鎖位置まで移動させて突き合わせ縁部を溶融させ、(d)クランプジョーを迅速に離れるように加速させて、溶融した突き合わせ縁部を加熱要素から完全に分離することを含む。
【0007】
本発明のこれらの特徴並びにそれらの利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び図面を参照することによって、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の特徴を具体化するベルトスプライサーの等角図である。
【図2】図2は、図1のベルトスプライサーの拡大図である。
【図3】図3は、図1のベルトスプライサーの一端の拡大端立面図である。
【図4A】図4Aは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4B】図4Bは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4C】図4Cは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4D】図4Dは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図4E】図4Eは、図1のベルトスプライサーの端面図であって、加熱プロセスの際のトグルリンク機構組立体の動作を示したものである。
【図5】図5は、加熱プロセスの際の図1のベルトスプライサーの一端の平面図である。
【図6】図6は、図1のベルトスプライサーの端面図であって、突き合わせ溶接のプロセスを示したものである。
【図7】図7は、図1のベルトスプライサーの一端の平面図であって、ベルトの突き合わせ溶接のプロセスを示したものである。
【図8】図8は、図1のベルトスプライサーに対して使用されるハンドルの側面図である。
【図9】図9は、図1のベルトスプライサーに対して使用されるハンドルの別の態様の側面図であって、ラチェット機構を含むものである。
【図10】図10は、図1のようなベルトスプライサーの端部分の底面図であって、クランプジョーが閉鎖状態にあり、エアシリンダがトグルリンク機構組立体と取り替えられている。
【図11】図11は、クランプジョーが開放している、図10のような底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴を具体化するスプライシングツールが図1に示されており、図2及び図3では加熱ワンドとともに示されている。全体として端から端まで左右対称であるツール10は、ツールの各端のところに穴14、15が設けられた左と右のクランプジョー12、13を含む。左のクランプジョーの穴は、右のクランプジョーに穴と整合している。穴14、15を通って延び、スプライシングツールのフレームで支持された横方向レール16が、クランプジョーを整列させ、支持ガイドを提供し、支持ガイドに沿って、ジョーが互いの方へ向かって及び互いに遠ざかるように移動する。クランプジョー12、13上の上部デッキ18は、接合されるコンベアベルト24の平らでない側に設けられた横方向リブ22のような構造体と合致するように、頂部面が内側に窪み付けされた整合溝20、21を有する。図3に示されるコンベアベルトに対して、駆動リブ22は、クランプジョーの上部デッキ18の幅広の溝20内に受け入れられる。幅狭の溝21は、より幅狭の横方向リブを有するベルトを収容する。溝は、ベルト端部分26、27をジョーの上部デッキ上にぴったりと着座させ、両方のベルト部分を垂直方向と水平方向に整合するように位置合わせすることを可能にする。
【0010】
一緒に接合される2つのベルト端部分26、27は、対応する左と右のクランプジョー12、13と左と右の頂部クランプ28、29との間に挟まれる。頂部クランプの底面30には、クランプジョーの上部デッキ18と同じように溝が設けられており、別法として、下部の復路においてその場でベルトを一緒に接合するとき等のように、ベルト端部分26、27を、下側を上にして一緒に溶接し得るようになっている。頂部クランプは、各端のところに、クランプジョーの平行移動のときであっても頂部クランプを対応するクランプジョーと整合させるようにピン34(図5)を受け入れる整合穴32を有する。頂部クランプの頂部に固定された細長いハンドル35が、頂部クランプの容易な取り外しを支援し、接合されたベルトを解放する。
【0011】
クランプジョーは、スプライサーの各端に1基設けられたトグルリンク機構組立体36によって開閉される。トグルリンク機構組立体は、スプライサーフレームに固定された支持ブロック40に回転可能に取り付けられた中央ハブ38を備える。このハブは、フラット(flat)44が設けられた中央ボア42を有する。ハブは、スプライサーの長さ延びハブの回転軸線47を構成するシャフト46(図5)に取り付けられている。トグルリンク機構組立体のハブは、スプライサーの他端のところで、シャフトの他端に取り付けられている。シャフトは、トグルリンク機構組立体の一方又は両方を越えて外方に延び、図8及び図9に示されるもののうち一方のような、オペレータがスプライサーを動作させるハンドルを受け入れる。
【0012】
U形の左と右のリンク機構アーム48、49が、アームの近位端のところでピボット50でハブ38の面に取り付けられる。ピボットは、ハブ38の軸線47を横切って互いに直径方向に対向している。アームの遠位端は、ピボット51のところで、ばね組立体の左と右のドローバー52、53の端に回動可能に取り付けられている。ドローバーは、それらの対向端のところで、左と右のばねリテーナ54、55を保持するヘッド61で終わっている。ドローバー52、53を共軸に取り囲む左と右の圧縮ばね56、57が、ばねリテーナ54、55から、クランプジョー12、13と一体の左と右のばね座58、59まで延びている。ばね組立体は、クランプジョーの閉鎖と迅速開放を可能にするばね機構を形成する。対向する接触側62、63間に加熱要素を収容する加熱ワンド60が、クランプジョー間の隙間64に位置決めでき、ハブ支持体40から上方に延びるワンド台66によって適所に位置合わせされる。
【0013】
トグルリンク機構組立体36の動作は、図4A〜図4Eに図示されている。図4Aでは、クランプジョー12、13は、隙間64間の最大距離離れている。ベルト端部分26、27は、隙間の各側において、クランプジョーと頂部クランプ28、29との間でクランプされている。ハブ38は、リンク機構アーム48、49が垂直方向に重ならず、ばね56、57が細長くほぼ弛緩した、エネルギーが殆ど蓄積されない状態にある角度位置まで回転される。これは、トグルリンク機構組立体の完全解放位置を表す。図4Bには、ワンド台66間に置かれた加熱ワンド60が示されている。トグルリンク機構のハブ38は、依然として、完全解放位置にある。図4Cでは、トグルリンク機構組立体38は、その係止位置で示されている。ハブ38のボア42のフラット44は、ハブが、図4Bにおけるその完全に弛緩した位置から時計回りに約210°回転されたことを示している。係止位置では、2つのリンク機構アームは互いに重なり合い、ハブに設けられたそれらの近位ピボット50が、ドローバー52、53との遠位回動連結部51から見てハブの回転軸線47の両側のオーバーセンター位置に位置する。アームの近位端68、69は、互いのニー(knee)70、71の背後に寄り添い、圧縮されたばね56、57がハブ部分を回転させるのを阻止する。トグルリンク機構組立体がこの安定した係止位置にある状態では、クランプジョーの対面する面のスペーサパッド72、73が、図5に示されるように、ジョーの各端のところでワンド60の側62、63に接触するまで、ばねはクランプジョーを閉鎖する。ベルト部分26、27の突き合わせ縁部74、75(図2)は、この閉鎖位置においてワンドの側に接触して、溶融される。その一方、リンク機構アーム48、49は、ドローバー52、53をハブ38の方へ引っ張り、ばね56、57を圧縮する。この状態では、圧縮されたばねに蓄積されたエネルギーは、ほぼ最大である。
【0014】
突き合わせ縁部74、75が加熱ワンド60によって十分に溶融されると、クランプジョー12、13を解放することができる。ハブ38は反時計回りに回転される。図4Dに示されるようなトグルリンク機構組立体のトグル位置のところで、両方のアームの近位ピボット50と遠位ピボット51は、ハブの回転軸線47及びドローバーの軸線76と互いに一線をなす。これはまた、ばねの最大圧縮、従って最大エネルギーがばねに蓄積されることを表す。ハブが反時計回りにさらに僅かに回転されると、圧縮されたばねは、その蓄積されたエネルギーをリンク機構アーム48、49内に迅速に解放し、ハブを図4Eに示されるように反時計回り78に回転させる。空転状態のハブは、リンク機構アームの近位ピボット50を回転させ、そのニー70、71は、短期間の高振幅の衝撃力でばね座58、59に向けて外方に押されて、クランプジョーを開放する。ハブの急速な空転は、クランプジョーの開放を加速し、ベルト部分の突き合わせ縁部を加熱ワンドの側から迅速に引き離す。クランプジョーのばね座の各々に向けて対向方向に作用する衝撃力を作り出すため、ばねエネルギーのトグルリンク機構組立体内への迅速な解放によって引き起こされる突き合わせ縁部のワンドからの迅速な分離は、ポリエステルのような、くっつきやすい熱可塑性プラスチック製ベルト材料がワンドの側にくっつくのを阻止する。ハブは、図4Aの完全に引っ込められた位置に到達するまで、反時計回りに空転し続ける。次いで、ワンド60を隙間64から上昇させることができる。クランプジョーが元に戻り再閉鎖しないように、リンク機構アームは、ハブが図4Eの位置と図4Aの位置との間に位置するときにばね座に押し付けることによって、ばねを僅かに圧縮する。かくして、トグルリンク機構組立体は、クランプジョーを迅速に解放するための1つの手段を表す。
【0015】
加熱ワンドが取り除かれた後、クランプジョー12、13は、ハブ38をオーバーセンタートグル点を越えて図6及び図7に示されるような係止位置まで時計回りに回転させることによって、再び閉鎖される。ワンドがない状態では、ベルト部分26、27の溶融した突き合わせ縁部74、75が溶接の硬化時に一緒に密着するように、ジョー間の隙間64は狭くなる。クランプジョーの各端のところの対面するスペーサパッド72、73は、クランプジョー間の適当な距離を維持するように接触し、連続する横方向リブ間で測定したベルトのピッチが維持される。2つのベルト部分が一緒に溶接されると、上部クランプ28、29は、ハンドル35によって持ち上げられ、溶接されたベルトは、スプライサーから移動される。
【0016】
図8は、スプライサーを動作させるのに使用されるハンドルの一形態を示している。ハンドル80は、細長いハンドル本体82を備え、ハンドル本体82の一端には、片手で把持されるハンドリング部分84、他端にはハブ部分86が設けられている。ハブ88が、ハブ部分で回転可能に保持される。ハブは、トグルリンク機構組立体36の外方に延びるシャフト46(図5)の端を受け入れるように形作られたボア90を有する。ハンドルのハブ88は、ハブとともに回転する周辺突出部すなわちフィンガ92を有する。ハブ部分に設けられたストップ94、95は、ハンドル本体に対するハブ88の回転範囲を360°未満、例えば210°に制限する。ハンドルを矢印96の方向に移動させると、ストップ94は、ハンドルと共にハブ88を押して、シャフト46の向きを変え、トグルリンク機構のハブ38を回転させる。クランプ機構の解放時にトグルリンク機構が空転するとき、ハンドルのハブは、他のストップ95の方へ自由に回転する。このようにして、リンク機構ハブの迅速な回転は、ハンドル本体全体を同じ高速度で回転させることなしに、ハンドルのハブ88のみに伝達される。2つのストップの代わりに単一のストップを使用することができるが、トグルリンク機構ハブの係止位置と完全解放位置との間の角度と同じ角度にわたって2つのストップが間隔を隔てられているので、ハンドルは、オペレータにとって便利な位置にとどまる。
【0017】
別の形態のハンドルが、図9に示されている。ハンドル98は、代わりに、係止可能なラチェット機構100を使用する。ハンドルは、対向端にハンドリング部分104とハブ部分106とが設けられたハンドル本体102を有する。ハブ部分の回転可能なハブ108が、トグルリンク機構組立体36に連結されたシャフト46(図5)の端を受け入れるように形作られた中央ボア110を有する。歯113の付いたラチェットホイール112が、ハブ110の周囲を形成する。ピボットピン116によってハンドル本体に回動可能に取り付けられた爪114が、ラチェット歯に係合し、ハンドルが図9に示されるときにハブとラチェットホイールを反時計回り118に回転させるが、ハンドル本体内において、トグルリンク機構組立体が空転するとき等には、時計回りに回転させない。ハンドルはまた、一端に係止歯122が設けられた係止レバー120を含む。係止レバーは、ピボットピン116のところで、ハンドル本体102に取り付けられる。ハンドル本体からのガイドピン124が、係止レバーに設けられたスロット126、127内に受け入れられる。係止レバーとハンドル本体との間のばね128が、図9に示される非係止位置においてラチェット機構を付勢し、また爪をラチェットホイールに向けて付勢する。ハンドル98がリンク機構ハブ38に適当に連結されると、オペレータは、ハンドル本体を図9において時計回り130に回転させることによって、係止レバーを握りしめることなしに、クランプジョーを係止された閉鎖位置から開放することができる。トグルリンク機構がそのトグル位置を経て移動し、ばねが優勢になると、ラチェットホイール112とハブ108は、ハンドル本体の回転に先行して、迅速に時計回りにラチェット駆動する。クランプジョーを閉鎖させるため、オペレータは、ハンドル本体を握りしめて、係止歯122がラチェット歯133に係合した状態で係止レバーを係止位置内に回動させ、ついでハンドルを反時計回りに回転させる。
【0018】
図10及び図11に示されるようなエアシリンダ132が、クランプジョーを迅速に解放するための代替手段として使用される。シリンダの本体134が、取付用ブラケット136によって右のクランプジョー13の下側に取り付けられている。シリンダのピストンロッド138の遠位端は、左のクランプジョー12の下側の取付用ブラケット137に固定されている。スプライサーの各端のところでクランプジョーの下側に設けられたリニアベアリング140が、クランプジョーが乗るガイドレール16(図1)を受け入れる。クランプジョーは、図10では、突き合わせ溶接の際の閉鎖位置で示されている。閉鎖位置では、ピストンロッド138は、その大部分がシリンダの本体134内に引っ込められている。クランプジョーを開放させると、ピストンロッド138は、矢印142で表されるように、衝撃力及びその対向方向の反力を生成して2つのクランプジョーを引き離す伸張位置までシリンダ本体から迅速に押し出される。固定されたスプライサーフレームに中央ピボット146が回動可能にピン止めされ、クランプジョーに遠位端148が回動可能に取り付けられたZバーリンク機構144が、必要に応じて、2つのクランプジョーを対向方向に同じ速度で離れるように押すのに使用される。Zバーリンク機構は、トグルリンク機構組立体とともに使用されてもよい。エアシリンダがクランプジョーを迅速に解放するための手段として使用されるとき、エアシリンダに電子的に又は継電接続されて動作する開閉押しボタンが、トグルリンク機構に対して使用されるハンドルの代わりに、スプライサージョーの閉鎖と迅速な開放を制御する。必要ならば、複数のエアシリンダ又はZバーリンク機構を使用してもよい。
【0019】
いくつかの好ましい形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、他の形態も可能である。例えば、ばね機構は、ドローバー及びばねリテーナを除去して、リンク機構アームの遠位端とばね座との間にフック止めされた引張ばねを備えてもよい。別の例として、ハンドルは、スプライサーのいずれかの端のところでシャフトに連結されてもよい。そして、油圧シリンダ又は他の線形アクチュエータのような、クランプジョーを迅速に解放するための他の手段が、衝撃力を生成しクランプジョーを迅速に押して開放することができる。したがって、これらのいくつかの例が示唆するように、特許請求の範囲は、説明した典型的な実施形態の細部に限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトスプライサーであって、
対面関係をなした第1及び第2のクランプジョーと、
前記第1及び第2のクランプジョーに連結され、前記クランプジョーを迅速に解放するための手段と
を備え、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、前記第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させるために、前記第1及び第2のクランプジョーに向けて衝撃力を対向方向に差し向けるように動作されることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、
トグルリンク機構組立体と、
前記トグルリンク機構組立体と前記第1及び第2のクランプジョーとの間に取り付けられたばね機構と
を備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項3】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体が、
ハブ軸線上で回転可能なハブと、
近位端及び遠位端を各々有する第1及び第2のリンク機構アームと
を含み、
前記近位端が、前記ハブ軸線の対向する側で前記ハブに回動可能に取り付けられ、前記遠位端が前記ばね機構に連結されていることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項4】
請求項3に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ばね機構が、
前記第1のリンク機構アームの前記遠位端と前記第1のクランプジョーとの間に接続された第1のばねと、
前記第2のリンク機構アームの前記遠位端と前記第2のクランプジョーとの間に接続された第2のばねと
を備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項5】
請求項3に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ばね機構が、
前記第1のリンク機構アームの前記遠位端と前記第1のクランプジョーとの間に接続された第1のばね組立体と、
前記第2のリンク機構アームの前記遠位端と前記第2のクランプジョーとの間に接続された第2のばね組立体と
を備え、
前記第1及び第2のばね組立体の各々が、
前記対応するクランプジョーに取り付けられ、貫通穴を有するばね座と、
前記ばね座の前記貫通穴を通って延び、一端が前記対応するリンク機構アームの前記遠位端に回動可能に取り付けられたドローバーと、
前記ドローバーの前記対向端に取り付けられたばねリテーナと、
一端が前記ばねリテーナに取り付けられ、前記対向端のところで前記ばね座と接触するように延び、前記ドローバーを共軸に取り囲む圧縮ばねと
を含むことを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記第1及び第2のリンク機構アームがU形であることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
ハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、一端にハンドリング部分、対向端にハブ部分が設けられたハンドル本体と、前記トグルリンク機構組立体に取り付け可能であり、前記ハンドル内で360°未満の範囲にわたって自由に回転するように前記ハブ部分に回転可能に保持されたハブとを有することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項8】
請求項7に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ハンドルの前記ハブが周辺突出部を有し、前記ハンドルの前記ハブ部分が、少なくとも1つの固定されたストップを含み、前記ストップが、前記ハンドル内での前記ハブの回転を制限し、前記ハンドルの前記回転運動を前記トグルリンク機構組立体に移すことを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項9】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体に取り付けられる係止可能なラチェット機構を有するハンドルをさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項10】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体及び前記ばね機構が、
前記第1及び第2のクランプジョーの一端に配置され、第2のトグルリンク機構組立体と、
前記第1及び第2のクランプジョーの対向端のところで前記第1及び第2のクランプジョーに連結された第2のばね機構と、
前記トグルリンク機構組立体を同時に動作させるために結合するシャフトと
をさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
一緒に溶接される第1及び第2のコンベアベルトの端を、対面関係をなして挟むように、前記第1及び第2のクランプジョーとそれぞれ協働する第1及び第2の頂部クランプをさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項12】
請求項11に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記第1及び第2のクランプジョーが、前記第1及び第2のコンベアベルトの端の平らでない側と合致するように形作られた上部デッキを有し、前記第1及び第2の頂部クランプが、前記第1及び第2のコンベアベルトの端の平らでない側と合致するように形作られた下面を有することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
第1及び第2のクランプジョーが各々、対面するパッドを有し、前記パッド以外のところで前記第1及び第2のクランプジョーが接触するのを阻止することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、
前記第1のクランプジョーに取り付けられたシリンダ本体と、
遠位端が前記第2のクランプジョーに取り付けられた、前記シリンダ本体から伸張可能なピストンロッドと
を有するエアシリンダを備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項15】
ベルトスプライサーであって、
隙間の両端に分離された第1及び第2のクランプジョーと、
トグルリンク機構組立体と、
前記トグルリンク機構組立体と前記第1及び第2のクランプジョーとの間に取り付けられたばね機構と
を備え、
前記トグルリンク機構組立体が、ばね機構が高レベルの蓄積されたエネルギーを有し、前記第1及び第2のクランプジョーを互いの方へ押す係止状態から、前記蓄積されたエネルギーを前記ばね機構から迅速に解放して、前記第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させる解放状態まで作動されることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項16】
ベルトスプライサーを動作させる方法であって、
2つのベルト部分の突き合わせ縁部を、一対のクランプジョーと対面関係をなして整合する状態に保持するステップと、
加熱要素を前記クランプジョー間に位置決めするステップと、
前記2つのベルト部分の前記突き合わせ縁部を前記加熱要素と接触させた状態で前記クランプジョーを互いの方へ閉鎖位置まで移動させて前記突き合わせ縁部を溶融させるステップと、
前記クランプジョーを迅速に離れるように加速させて、前記溶融した突き合わせ縁部を前記加熱要素から完全に分離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記クランプジョーを、各クランプジョーに向かって対向方向に差し向けられる衝撃力によって、迅速に離れるように加速させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の方法において、
前記クランプジョーを前記閉鎖位置において係止するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記クランプジョーが前記閉鎖位置において係止されるとき、前記クランプジョーを離れるように迅速に加速させるためのエネルギーを蓄積するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16乃至請求項19の何れか1項に記載の方法において、
前記クランプジョーを、前記クランプジョーが互いの方へ移動するよりも大きな速度で離れるように加速させることを特徴とする方法。
【請求項1】
ベルトスプライサーであって、
対面関係をなした第1及び第2のクランプジョーと、
前記第1及び第2のクランプジョーに連結され、前記クランプジョーを迅速に解放するための手段と
を備え、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、前記第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させるために、前記第1及び第2のクランプジョーに向けて衝撃力を対向方向に差し向けるように動作されることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、
トグルリンク機構組立体と、
前記トグルリンク機構組立体と前記第1及び第2のクランプジョーとの間に取り付けられたばね機構と
を備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項3】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体が、
ハブ軸線上で回転可能なハブと、
近位端及び遠位端を各々有する第1及び第2のリンク機構アームと
を含み、
前記近位端が、前記ハブ軸線の対向する側で前記ハブに回動可能に取り付けられ、前記遠位端が前記ばね機構に連結されていることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項4】
請求項3に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ばね機構が、
前記第1のリンク機構アームの前記遠位端と前記第1のクランプジョーとの間に接続された第1のばねと、
前記第2のリンク機構アームの前記遠位端と前記第2のクランプジョーとの間に接続された第2のばねと
を備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項5】
請求項3に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ばね機構が、
前記第1のリンク機構アームの前記遠位端と前記第1のクランプジョーとの間に接続された第1のばね組立体と、
前記第2のリンク機構アームの前記遠位端と前記第2のクランプジョーとの間に接続された第2のばね組立体と
を備え、
前記第1及び第2のばね組立体の各々が、
前記対応するクランプジョーに取り付けられ、貫通穴を有するばね座と、
前記ばね座の前記貫通穴を通って延び、一端が前記対応するリンク機構アームの前記遠位端に回動可能に取り付けられたドローバーと、
前記ドローバーの前記対向端に取り付けられたばねリテーナと、
一端が前記ばねリテーナに取り付けられ、前記対向端のところで前記ばね座と接触するように延び、前記ドローバーを共軸に取り囲む圧縮ばねと
を含むことを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記第1及び第2のリンク機構アームがU形であることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
ハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、一端にハンドリング部分、対向端にハブ部分が設けられたハンドル本体と、前記トグルリンク機構組立体に取り付け可能であり、前記ハンドル内で360°未満の範囲にわたって自由に回転するように前記ハブ部分に回転可能に保持されたハブとを有することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項8】
請求項7に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記ハンドルの前記ハブが周辺突出部を有し、前記ハンドルの前記ハブ部分が、少なくとも1つの固定されたストップを含み、前記ストップが、前記ハンドル内での前記ハブの回転を制限し、前記ハンドルの前記回転運動を前記トグルリンク機構組立体に移すことを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項9】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体に取り付けられる係止可能なラチェット機構を有するハンドルをさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項10】
請求項2に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記トグルリンク機構組立体及び前記ばね機構が、
前記第1及び第2のクランプジョーの一端に配置され、第2のトグルリンク機構組立体と、
前記第1及び第2のクランプジョーの対向端のところで前記第1及び第2のクランプジョーに連結された第2のばね機構と、
前記トグルリンク機構組立体を同時に動作させるために結合するシャフトと
をさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
一緒に溶接される第1及び第2のコンベアベルトの端を、対面関係をなして挟むように、前記第1及び第2のクランプジョーとそれぞれ協働する第1及び第2の頂部クランプをさらに備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項12】
請求項11に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記第1及び第2のクランプジョーが、前記第1及び第2のコンベアベルトの端の平らでない側と合致するように形作られた上部デッキを有し、前記第1及び第2の頂部クランプが、前記第1及び第2のコンベアベルトの端の平らでない側と合致するように形作られた下面を有することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
第1及び第2のクランプジョーが各々、対面するパッドを有し、前記パッド以外のところで前記第1及び第2のクランプジョーが接触するのを阻止することを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載のベルトスプライサーにおいて、
前記クランプジョーを迅速に解放するための前記手段が、
前記第1のクランプジョーに取り付けられたシリンダ本体と、
遠位端が前記第2のクランプジョーに取り付けられた、前記シリンダ本体から伸張可能なピストンロッドと
を有するエアシリンダを備えることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項15】
ベルトスプライサーであって、
隙間の両端に分離された第1及び第2のクランプジョーと、
トグルリンク機構組立体と、
前記トグルリンク機構組立体と前記第1及び第2のクランプジョーとの間に取り付けられたばね機構と
を備え、
前記トグルリンク機構組立体が、ばね機構が高レベルの蓄積されたエネルギーを有し、前記第1及び第2のクランプジョーを互いの方へ押す係止状態から、前記蓄積されたエネルギーを前記ばね機構から迅速に解放して、前記第1及び第2のクランプジョーを迅速に離れるように加速させる解放状態まで作動されることを特徴とするベルトスプライサー。
【請求項16】
ベルトスプライサーを動作させる方法であって、
2つのベルト部分の突き合わせ縁部を、一対のクランプジョーと対面関係をなして整合する状態に保持するステップと、
加熱要素を前記クランプジョー間に位置決めするステップと、
前記2つのベルト部分の前記突き合わせ縁部を前記加熱要素と接触させた状態で前記クランプジョーを互いの方へ閉鎖位置まで移動させて前記突き合わせ縁部を溶融させるステップと、
前記クランプジョーを迅速に離れるように加速させて、前記溶融した突き合わせ縁部を前記加熱要素から完全に分離するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記クランプジョーを、各クランプジョーに向かって対向方向に差し向けられる衝撃力によって、迅速に離れるように加速させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の方法において、
前記クランプジョーを前記閉鎖位置において係止するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記クランプジョーが前記閉鎖位置において係止されるとき、前記クランプジョーを離れるように迅速に加速させるためのエネルギーを蓄積するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16乃至請求項19の何れか1項に記載の方法において、
前記クランプジョーを、前記クランプジョーが互いの方へ移動するよりも大きな速度で離れるように加速させることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−508624(P2013−508624A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534249(P2012−534249)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/052033
【国際公開番号】WO2011/046831
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/052033
【国際公開番号】WO2011/046831
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】
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