説明

金型搬送台車

【課題】位置決めピン機構と落下防止ピン機構とを連係可能にし誤操作による金型や成形装置の損傷を確実に防止する金型搬送台車を提供すること。
【解決手段】金型搬送台車10において、位置決め穴8に係脱可能な位置決めピン22を有した位置決めピン機構20aと、係止位置と非係止位置とに切換え可能な落下防止ピン42を有した落下防止ピン機構40aと、位置決めピン22を非係合位置へ操作可能な第1操作機構30aと、落下防止ピン42を非係止位置へ操作可能な第2操作機構50aと、第1,第2操作機構30a,50aを連結する第1,第2ワイヤ部材75a,75bを含み、第1操作機構30aを操作して位置決めピン22を非係合位置へ切換えた状態では第2操作機構50aを操作不能にすると共に第2操作機構50aを操作して落下防止ピン42を非係止位置へ切換えた状態では第1操作機構30aを操作不能にするインターロック機構60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の車輪を有する台車本体と、金型を載置可能なローラ群を有する金型載置部とを有する金型搬送台車において、台車本体に備えられた位置決めピン機構と金型載置部に備えられた落下防止ピン機構を機械的に連結し連係可能にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形装置の金型搬送に使用される金型搬送台車は、4組の車輪付きの台車本体と、2組の金型を載置可能な2組のローラ群を有する第1,第2金型載置部と、第1,第2金型載置部に対応する2組の位置決めピン機構と2組の落下防止ピン機構とを備えている。2組の位置決めピン機構は、夫々第1操作機構により、成形装置に付設のレール部材の位置決め穴に係脱可能であり、2組の落下防止ピン機構は、夫々金型載置部の一端部に設けられ、第2操作機構により金型を係止する係止位置と非係止位置とに切換え可能に操作される。
【0003】
成形装置の金型を交換する場合、次回に使用予定の金型を第2載置部に載置して搬送し、第1金型載置部に成形装置側の使用済み金型を載置するために、成形装置の前面の金型交換位置に停止させ、第1金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置から係合位置へ切換えてレール部材の位置決め穴に係合させ、第2操作機構を操作して、落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態で、使用済み金型を成形装置から空の第1金型載置部に移載する。
【0004】
次に、第1金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置へ切換え、且つ第2操作機構を操作して落下防止ピンを係止位置へ切換え、次に、第2金型載置部上の金型を成形装置の金型取付け部に取り付けるために金型搬送台車を少し移動させて、第2金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置から係合位置へ切換えてレール部材の位置決め穴に係合させ、第2操作機構を操作して、落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態で、金型を第2金型載置部から成形機へ移載する。
【0005】
次に、第2金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置へ切換え、
且つ第2操作機構を操作して、落下防止ピンを係止位置へ切換えてから、使用済み金型を搬出するため金型搬送台車を金型保管場所へ移動させる。
他方、特許文献1に記載の射出成形用金型交換システムにおいて、金型交換台車に、使用済みの金型を受け入れる受入台と、使用予定の金型の待機台とを有するテーブルと、金型の落下防止のための金型ストッパ開閉レバーと、テーブルを台車に固定する位置固定用の移動ロック用クランプレバーと、台車を成形装置に固定する台車位置決めレバーなどが備えられたものが開示されている。
【特許文献1】特開2002−1771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金型搬送台車の位置決めピン機構と落下防止ピン機構が、機械的に連結されていないため、第1操作機構により操作される位置決めピン機構の作動と、第2操作機構により操作される落下防止ピン機構の作動とが独立している。また、特許文献1の金型交換台車も同様に各機構の作動が独立している。
【0007】
そのため、金型搬送台車を所定の金型交換場所に位置決めしていない状態で、誤操作により落下防止ピンを非係合位置に切換えてしまうと、使用予定の金型や使用済みの金型が金型載置部から移動して金型搬送台車から脱落し、成形装置や金型を損傷させてしまう虞がある。使用済み金型を成形装置から第1載置部へ移載する間や使用予定の金型を第2載置部から成形装置に取り付ける間、落下防止ピンが非係止位置に切り換えられた状態で、誤操作により位置決めピンを非係合位置に切り換えられて、金型搬送台車を移動させてしまうと、金型が搬送台車から脱落し、成形装置や金型を損傷させてしまう虞がある。
【0008】
本発明の目的は、位置決めピン機構と落下防止ピン機構とを機械的に連結し、位置決めピンを非係合位置へ切換えた状態では落下防止ピンを操作不能にすると共に、落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態では位置決めピンを操作不能にして、誤操作による金型や成形装置の損傷を確実に防止することができる金型搬送台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の金型搬送台車は、複数の車輪を有する台車本体と、金型を載置可能なローラ群を有する金型載置部とを有する金型搬送台車において、成形装置の前面側の金型交換場所に設けられたレール部材の位置決め穴に係脱可能な位置決めピンと、この位置決めピンを係合位置へ付勢する第1付勢部材を有し且つ台車本体に設けられた位置決めピン機構と、金型載置部上の金型を係止する係止位置と非係止位置とに切換え可能な落下防止ピンと、この落下防止ピンを係止位置へ弾性付勢する第2付勢部材を有し且つ金型載置部の一端部分に設けられた落下防止ピン機構と、前記台車本体に装備され、前記位置決めピンに連結された第1ワイヤを介して位置決めピンを非係合位置へ操作可能な第1操作機構と、前記台車本体に装備され、前記落下防止ピンに連結された第2ワイヤを介して落下防止ピンを非係止位置へ操作可能な第2操作機構と、前記第1,第2操作機構を機械的に連結する第1,第2ワイヤ部材を含み、第1操作機構を操作して位置決めピンを非係合位置へ切換えた状態では第2操作機構を操作不能にすると共に前記第2操作機構を操作して落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態では第1操作機構を操作不能にするインターロック機構と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
成形装置に固定中の金型を交換する場合、次回使用予定の金型を第2金型載置部に載置して搬送し、空の第1金型載置部を成形装置側の使用済み金型を載置するため成形装置の前面の金型交換位置に停止させ、第1金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置から係合位置へ切換える。このとき、第1操作機構により位置決めピンを係合位置へ切換えるまでは、インターロック機構により第2操作機構が操作不能になっている。第2操作機構のロックが解除されると、第2操作機構を操作して、落下防止ピンを非係止位置へ切換え、使用済み金型を成形装置から空の第1金型載置部に移載する。
【0011】
次に、第2操作機構を操作して落下防止ピンを係止位置へ切換える。このとき、第2操作機構により落下防止ピンを係止位置へ切換えるまでは、インターロック機構により第1操作機構が操作不能となっている。第1操作機構のロックが解除されると、第1金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置へ切換える。位置決めピンが非係合位置にある間は、第2操作機構がロックされる。
【0012】
そして、第2金型載置部上の次回使用予定の金型を成形装置の金型取付け部に載置するため金型搬送台車を少し移動させて、第2金型載置部用の第1操作機構を操作し、位置決めピンを非係合位置から係合位置へ切換え、第2操作機構のロックを解除し、第2操作機構を操作して、落下防止ピンを非係止位置へ切換え、第1操作機構をロックし、金型を第2金型載置部から成形装置へ移載する。
【0013】
次に、第2金型載置部用の第2操作機構を操作し、落下防止ピンを非係止位置から係止位置へ切換え、第1操作機構のロックを解除し、第1操作機構を操作して、位置決めピンを非係合位置へ切換え、第2操作機構をロックする。そして、使用済み金型を搬出するため金型搬送台車を金型保管場所へ移動させ、金型交換作業が終了する。
【0014】
請求項2の金型搬送台車は、請求項1の発明において、前記第1操作機構と第2操作機構は同一構造に構成されたことを特徴としている。
【0015】
請求項3の金型搬送台車は、請求項2の発明において、前記第1操作機構は、第1ケース部材と、この第1ケース部材に軸心方向に進退可能に装着されて第1ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第1操作軸と、この第1操作軸に固定された第1ハンドル部とを備え、前記第2操作機構は、第2ケース部材と、この第2ケース部材に軸心方向に進退可能に装着された第2ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第2操作軸と、この第2操作軸に固定された第2ハンドル部とを備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項4の金型搬送台車は、請求項3の発明において、前記インターロック機構は、第1,第2操作軸を非操作位置に夫々ロック可能な第1,第2ロック機構と、第1,第2操作軸のプル操作及びプル操作後の回動操作に夫々連動する第1,第2可動機構とを備え、前記第1ワイヤ部材の一端が第1可動機構に連結され且つ他端が第2ロック機構に連結されると共に前記第2ワイヤ部材の一端が第2可動機構に連結され且つ他端が第1ロック機構に連結されたことを特徴としている。
【0017】
請求項5の金型搬送台車は、請求項4の発明において、前記第1,第2ロック機構は、第1,第2操作軸に夫々形成された第1,第2環状溝と、第1,第2ケース部材に夫々付設されて第1,第2環状溝に係脱可能な第1,第2揺動レバーと、この第1,第2揺動レバーを係合位置へ夫々付勢する第1,第2バネ部材とを有することを特徴としている。
【0018】
請求項6の金型搬送台車は、請求項5の発明において、前記第1,第2可動機構は、第1,第2ケース部材内に夫々可動に装着された第1,第2可動板と、この第1,第2可動板に夫々形成された第1,第2L形スリットと、第1,第2操作軸に夫々突設されて第1,第2L形スリットに夫々係合した第1,第2突設部材とを有することを特徴としている。
【0019】
請求項7の金型搬送台車は、請求項1〜6の何れかの発明において、前記金型交換場所以外の場所において前記位置決めピン機構の位置決めピンが係合位置に切換わるのを規制する位置決めピン規制機構を設け、前記位置決めピン規制機構は、台車本体に付設されて位置決めピンに接近対向する規制位置と、位置決めピンに対向しない非規制位置とに水平回動可能な規制部材と、前記金型交換場所において前記規制部材を非規制位置に保持する切換え保持機構とを有することを特徴としている。
【0020】
請求項8の金型搬送台車は、請求項7の発明において、前記切換え保持機構は、金型交換場所に設けられたレール部材に当接して水平回動する従動部材と、この従動部材の端部と規制部材の端部とを連結するリンク部材と、このリンク部材を原位置へ付勢する復帰バネ部材とを備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項9の金型搬送台車は、請求項1〜8の何れかの発明において、前記金型交換場所以外の場所において前記落下防止ピン機構の落下防止ピンが非係止位置に切換わるのを規制する落下防止ピン規制機構を設け、前記落下防止ピン規制機構は、落下防止ピンに形成された環状溝に係脱可能な係合部材と、係合部材を係合状態へ付勢する付勢バネ部材とを有する係合機構と、この係合部材に連結されたワイヤ部材を介して係合部材を非係合状態に切り換え可能なレバー部材であって金型交換場所に設けられたレール部材に当接すると揺動するレバー部材とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、第1操作機構を操作して位置決めピンを非係合位置へ切換えた状態では第2操作機構を操作不能にすると共に、第2操作機構を操作して落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態では第1操作機構を操作不能にするインターロック機構を備えたので、位置決めピンを非係合位置へ切換えている状態では、つまり、金型搬送台車を所定の金型交換場所に位置決めしていない状態では、インターロック機構により第2操作機構がロックされているので、落下防止ピンを非係止位置に切換える事が出来ない。そのため、誤操作により金型が金型載置部から移動して金型搬送台車から脱落することを防ぎ、成形装置や金型の損傷を防止することが出来る。
【0023】
さらに、使用済み金型を成形装置から第1載置部へ移載する間や使用予定の金型を第2載置部から成形装置に取り付ける間、落下防止ピンを非係止位置から係止位置に切換えるまでは、インターロック機構により第1操作機構がロックされているので、第1操作機構により位置決めピンを非係合位置に切換える事が出来ない。そのため、金型搬送台車を移動させることが出来ず、誤操作により金型が搬送台車から脱落することを防ぎ、成形装置や金型の損傷を防止することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、第1操作機構と第2操作機構が同一構造に構成されたので、同一部品により製造可能なため製造コストを抑制することが出来る。
【0025】
請求項3の発明によれば、第1操作機構は、第1ケース部材と、この第1ケース部材に軸心方向に進退可能に装着された第1ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第1操作軸と、この第1操作軸に固定された第1ハンドル部を備えたので、第1ハンドル部を操作することで第1操作軸を介して第1ワイヤを進退させることが出来る。
第2操作機構は、第2ケース部材と、この第2ケース部材に軸心方向に進退可能に装着された第2ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第2操作軸と、この第2操作軸に固定された第2ハンドル部を備えたので、第2ハンドル部を操作することで第2操作軸を介して第2ワイヤを進退させることが出来る。
【0026】
請求項4の発明によれば、インターロック機構は、第1,第2操作軸を非操作位置に夫々ロック可能な第1,第2ロック機構と、第1,第2操作軸のプル操作及びプル操作後の回動操作に夫々連動する第1,第2可動機構とを備え、第1ワイヤ部材の一端が第1可動機構に連結され且つ他端が第2ロック機構に連結されると共に、第2ワイヤ部材の一端が第2可動機構に連結され且つ他端が第1ロック機構に連結されたので、第1操作軸のプル操作後の回動操作により第1可動機構を可動させると、第1ワイヤ部材を介して第2ロック機構を可動させることができ、第2操作軸をロックすることができる。また、第2操作軸のプル操作後の回動操作により第2可動機構を可動させると、第2ワイヤ部材を介して第1ロック機構を可動させることができ、第1操作軸をロックすることができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、第1,第2ロック機構は、第1,第2操作軸に夫々形成された第1,第2環状溝と、第1,第2ケース部材に夫々付設されて第1,第2環状溝に係脱可能な第1,第2揺動レバーと、この第1,第2揺動レバーを係合位置へ夫々付勢する第1,第2バネ部材とを有するので、第1,第2バネ部材の付勢力により第1,第2環状溝に第1,第2揺動レバーが係止され、第1,第2操作軸をロックする事ができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、第1,第2可動機構は、第1,第2ケース部材内に夫々可動に装着された第1,第2可動板と、この第1,第2可動板に夫々形成された第1,第2L形スリットと、第1,第2操作軸に夫々突設されて第1,第2L形スリットに夫々係合した第1,第2突設部材とを有するので、第1,第2操作軸の進退により、第1,第2突設部材が第1,第2L形スリットの横溝に沿って進退され、第1,第2操作軸の回動により第1、第2突設部材が第1,第2L形スリットの縦溝に沿って移動し、第1,第2可動板を上側にスライドさせることが出来る。
【0029】
請求項7の発明によれば、金型交換場所以外の場所において位置決めピン機構の位置決めピンが係合位置に切換わるのを規制する位置決めピン規制機構を設け、位置決めピン規制機構は、水平回動可能な規制部材と、規制部材を非規制位置に切換えて保持する切換え保持機構とを有するので、金型交換場所以外では第1操作機構により位置決めピンを下降させても規制部材に妨げられるため、金型交換場所以外ではインターロック機構により第2操作機構を作動させることが出来ず、誤操作により金型の落下を防止することができる。
【0030】
請求項8の発明によれば、切換え保持機構は、金型交換場所に設けられたレール部材に当接して水平回動する従動部材と、この従動部材の端部と規制部材の端部とを連結するリンク部材と、このリンク部材を中立位置へ付勢する付勢バネ部材とを備えたので、レール部材に従動部材が当接し水平回動されると、リンク部材を介して規制部材が水平回動され非規制位置に移動させることが出来る。従動部材がレール部材から離隔すると1対の付勢バネ部材の付勢力により従動部材と共に規制部材が規制位置に復帰する。
【0031】
請求項9の発明によれば、金型交換場所以外の場所において前記落下防止ピン機構の落下防止ピンが非係止位置に切換わるのを規制する落下防止ピン規制機構を設けたので、金型交換場所以外では第2操作機構により落下防止ピンを下降させようとしても、落下防止ピンの環状溝に係合部材が係合されているため、金型交換場所以外では第2操作機構を操作することが出来ず、誤操作により金型の落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、複数の車輪を有する台車本体と、金型を載置可能なローラ群を有する金型載置部とを有する金型搬送台車において、台車本体に設けられた位置決めピン機構と金型載置部に設けられた落下防止ピン機構を機械的に連結し連係可能にしたものに関する。
【実施例1】
【0033】
以下、本発明の実施例1について図面に基づいて説明する。
最初に、金型搬送台車10の全体構成について説明する。
図1〜図3に示すように、金型搬送台車10は、4組の車輪14付きの台車本体11と、ローラ群17を夫々有する2面の金型載置部15a,15bと、2組の位置決めピン機構20a,20bと、位置決めピン機構20a,20bを夫々操作する為の第1操作機構30a,30bと、2組の落下防止ピン機構40a,40bと、落下防止ピン機構40a,40bを夫々操作する為の第2操作機構50a,50bと、2組のインターロック機構60とを備えている。
【0034】
図1に示すように、成形装置1の前面側には、金型搬送台車10が停車可能な金型交換場所3が設けられ、この金型交換場所3において、成形装置1の前面下部に左右方向に延びるレール部材7が付設され、このレール部材7に設けられた位置決め穴8に、成形装置1から使用済み金型Dpを取り出す場合は位置決めピン機構20aの位置決めピン22が、成形装置1に次回使用予定の金型Dnを装着する場合は位置決めピン機構20bの位置決めピン22が夫々係合される。
【0035】
図2と図3に示すように、この台車本体11は、格子状に組み立てられた金属製のフレーム13と、4組の車輪14と、金型載置部15a,15bとを備えている。金型載置部15a,15bには、複数のローラからなるローラ群17と、金型落下を防止する支持棒18が装着されている。金型載置部15aは、使用済み金型Dpを成形装置1から取り出したときに載置し、金型載置部15bには、交換予定の金型Dnを載置する。
【0036】
次に、位置決めピン機構20a,20bについて説明するが、位置決めピン機構20a,20bは同一構造を有しているので、位置決めピン機構20aについてのみ説明する。
図2〜図4に示すように、位置決めピン機構20aは、位置決めピン22と、第1付勢部材24と、本体部26とを有し、本体部26が2本のビス部材により台車本体11のフレーム13の下部に装着されている。
【0037】
第1付勢部材24は、位置決めピン22を係合位置へ付勢する圧縮バネであって、位置決めピン22に組み込まれており、位置決めピン22を常時下方へ係合位置の方へ付勢している。位置決めピン22は、後述する第1操作機構30aにより操作され、成形装置1に設けられたレール部材7の位置決め穴8に係脱可能である。
【0038】
次に、第1操作機構30a,30bについて説明するが、第1操作機構30a,30bは同一構造を有しているので、第1操作機構30aについてのみ説明する。
図5〜図12に示すように、第1操作機構30aは、第1ケース部材32と、第1操作軸35と、第1ハンドル部36、第1ワイヤ37とを備え、この第1操作機構30aはフレーム13の成形装置1側の上部に装備されている。この第1操作機構30aは、位置決めピン機構20aに連結された第1ワイヤ37を介して位置決めピン22を非係合位置へ操作可能である。
【0039】
第1ケース部材32は、略長方形状の本体部33と、第1操作軸35の先端側と第1ロック機構61aを蓋する中心部が突設された蓋部材33aと、第1可動機構65aを蓋する蓋部材33bとを有し、これら蓋部材33a,33bは4本のビスにより本体部33に夫々固定されている。本体部33には、第1ロック機構61aが装着される第1凹部33cと、第1可動機構65aが装着される第2凹部33dが形成されている。
【0040】
第1操作軸35は、第1ケース部材32に軸心方向に進退可能に装着されて、先端部に第1ワイヤ37のプルワイヤ37aの一端が連結され、基端部に第1ハンドル部36が固定され、位置決めピン22を非係合位置へ切り換える場合、操作時にプル操作及びプル操作後に回動操作される。この第1操作軸35は、途中部に後述する第1環状溝62aと第1突設部材71aが設けられている。
【0041】
第1ワイヤ37は、プルワイヤ37aとプルワイヤ37aを覆うアウタチューブ37bから形成され、プルワイヤ37aの一端が位置決めピン22に連結され、他端が第1操作軸35に連結されている。一方、アウタチューブ37bの一端が位置決めピン機構20aの本体部26の上端に、他端が第1ケース部材32に連結されているので、第1操作機構30aをプル操作することで発生するプルワイヤ37aのストロークの変化を位置決めピン22に伝達することで、位置決めピン22を係合位置と非係合位置に切り換えることができる。
【0042】
次に、落下防止ピン機構40a,40bについて説明するが、落下防止ピン機構40a,40bは同一構造を有しているので、落下防止ピン機構40aについてのみ説明する。
図2〜図4に示すように、落下防止ピン機構40aは、落下防止ピン42と、第2付勢部材44と、本体部46とを有し、金型載置部15aの一端部分に設けられている。
【0043】
第2付勢部材44は、落下防止ピン42を係止位置へ弾性付勢する引張バネであって、本体部46の外側において一端を本体部46の上端に、他端を落下防止ピン42の下端に連結され、落下防止ピン42を常時上方へ係止位置の方へ弾性付勢している。この落下防止ピン42は、後述する第2操作機構50aにより操作され、金型載置部15a上の金型Dpを係止する係止位置と非係止位置とに切換え可能である。
【0044】
次に、第2操作機構50a,50bについて説明するが、第2操作機構50a,50bは同一構造を有しているので、第2操作機構50aについてのみ説明する。
図5〜図12に示すように、第2操作機構50aは、第1操作機構30aと同一構造に構成されており、第2ケース部材52と、第2操作軸55と、第2ハンドル部56と、第2ワイヤ57とを備え、この第2操作機構50aは、フレーム13の成形装置1とは反対側の上部に装備されている。この第2操作機構50aは、落下防止ピン機構40aに連結された第2ワイヤ57を介して落下防止ピン42を非係止位置へ操作可能である。
【0045】
第2ケース部材52は、略長方形状の本体部53と、第2操作軸55の先端部と第2ロック機構61bを蓋する中心部が突設された蓋部材53aと、第2可動機構65bを蓋する蓋部材53bとを有し、これら蓋部材53a,53bは4本のビスにより本体部53に夫々固定されている。本体部53には、第2ロック機構61bが装着される第1凹部53cと、第2可動機構65bが装着される第2凹部53dが形成されている。
【0046】
第2操作軸55は、第2ケース部材52に軸心方向に進退可能に装着されて、先端部に第2ワイヤ57のプルワイヤ57aの一端が連結され、基端部に第2ハンドル部56が固定され、落下防止ピン42を非係止位置へ切り換える場合、操作時にプル操作及びプル操作後に回動操作される。この第2操作軸55は、途中部に後述する第2環状溝62bと第2突設部材71bが設けられている。
【0047】
第2ワイヤ57は、プルワイヤ57aとプルワイヤ57aを覆うアウタチューブ57bから形成され、プルワイヤ57aの一端が落下防止ピン42に連結され、他端が第2操作軸55に連結されている。一方、アウタチューブ57bの一端が落下防止ピン機構40aの本体部46の下端に、他端が第2ケース部材52に連結されているので、第2操作機構50aをプル操作することで発生するプルワイヤ57aのストロークの変化を落下防止ピン42に伝達することで、落下防止ピン42を係止位置と非係止位置に切り換えることができる。
【0048】
ここで、インターロック機構60について説明する。
図7〜図12に示すように、インターロック機構60は、第1,第2ロック機構61a,61bと、第1,第2可動機構65a,65bと、第1,第2ワイヤ部材75a,75bとを有し、第1ワイヤ部材75aの一端が第1可動機構65aに連結され、且つ他端が第2ロック機構61bに連結されると共に、第2ワイヤ部材75bの一端が第2可動機構65bに連結され、且つ他端が第1ロック機構61aに連結されることで上記の第1,第2操作機構30a,50aを機械的に連結している。
【0049】
このインターロック機構60により、位置決めピン22を非係合位置へ切換え、ロックした状態では、第1可動機構65aと第1ワイヤ部材75aを介して第2ロック機構61bにより第2操作機構50aを操作不能にすることができると共に、落下防止ピン42を非係止位置へ切換えロックした状態では、第2可動機構65bと第2ワイヤ部材75bを介して第1ロック機構61aにより第1操作機構30aを操作不能にすることができる。
【0050】
第1,第2ロック機構61a,61bについて説明すると、第1,第2環状溝62a,62bと、第1,第2揺動レバー63a,63bと、第1,第2バネ部材64a,64bとを備え、第1,第2操作軸35,55を非操作位置に夫々ロック可能である。第1,第2環状溝62a,62bは、第1,第2操作軸35,55に夫々形成され、第1,第2操作軸35,55が先端側へ最大限進出した位置決めピン22が係合位置にある状態で各揺動レバー63a,63bの下方に配置される。
【0051】
各揺動レバー63a,63bは、各ケース部材32,52に夫々付設され、第1,第2環状溝62a,62bに係脱可能である。揺動レバー63a,63bの一端がケース部材32,52に回動自在に連結され、他端がワイヤ部材75a,75bと連結され、ワイヤ部材75a,75bに連動して揺動される。バネ部材64a,64bは、揺動レバー63a,63bのワイヤ部材75a,75bが連結されている端部と第1凹部33c,53cの端面との間に装着され、揺動レバー63a,63bを係合位置へ夫々付勢している。
【0052】
第1,第2可動機構65a,65bについて説明すると、略正方形状の第1,第2可動板66a,66bと、第1,第2L形スリット67a,67bと、第1,第2突設部材71a,71bとを有し、各可動板66a,66bはケース部材32,52の第2凹部33d,53dに装着され、ケース部材32,52に設けられたガイド用のピン部材69に当接しながら上下方向にスライド可能であり、操作軸35,55の回動操作に夫々連動する。
【0053】
各可動板66a,66bにおいて、中心部に縦溝と横溝から構成される第1,第2L形スリット67a,67bが夫々形成され、縦溝の上側に第1,第2ワイヤ部材75a,75bの連結部70が夫々設けられている。第1,第2突設部材71a,71bは、第1,第2操作軸35,55の中心部から夫々突設され、これら突設部材71a,71bの先端部が第1,第2L形スリット67a,67bに夫々係合している。
【0054】
第1ワイヤ部材75aは、プルワイヤ76aとアウタチューブ76bから形成され、プルワイヤ76aの一端が第1可動板66aに連結されると共に他端が第2揺動レバー63bに連結され、且つアウタチューブ76bの一端が第1ケース部材32に連結されると共に他端が第2ケース部材52に連結されている。第2ワイヤ部材75bは、第1ワイヤ部材75aと同一の構成であって、プルワイヤ77aの一端が第2可動板66bに連結されると共に他端が第1揺動レバー63aに連結され、且つアウタチューブ77bの一端が第2ケース部材52に連結されると共に他端が第1ケース部材32に連結されている。
【0055】
ここで、インターロック機構60によるロック及びロック解除について説明する。
第1操作機構30aを操作することにより第2操作機構50aをロックする場合、第1操作機構30aの第1ハンドル部36をプル操作し、第1操作軸35がプルされると、操作軸35に装着された突設部材71aがL形スリット67aの横溝に沿って移動する。操作軸35を最大限プルさせた状態でハンドル部36を右に約25°回動操作すると、突設部材71aがL形スリット67aの縦溝に沿って移動し、それにより突設部材71aが縦溝の上端を押し上げ、可動板66aを上方にスライドさせる。
【0056】
可動板66aが上昇されることで、第1ワイヤ部材75aのプルワイヤ76aが弛んで、第2操作機構50aのバネ部材64bの付勢力により揺動レバー63bが下降される。このとき、第2操作軸55が、第2付勢部材44の付勢力により最大限進出した状態にされているので環状溝62bが揺動レバー63bの下方に位置し、その環状溝62bに揺動レバー63bが下降し係合することで第2操作機構50aがロックされる。
【0057】
第1操作機構30aにより第2操作機構50aのロックを解除する場合、第1ハンドル部36を左に25°回動操作し、突設部材71aをL形スリット67aの縦溝に沿って下降させ可動板66aを下方にスライドさせる。可動板66aが下降することで第1ワイヤ部材75aを介して第2操作機構50aの揺動レバー63bが上げられ、環状溝62bから脱離することでロックが解除される。
【0058】
突設部材71aが下降され、縦溝から横溝に移動すると、第1付勢部材24による付勢力により第1操作軸35がプルワイヤ37aを介して引っ張られ、第1操作軸35は最大限進出した状態になるので、突設部材71aが横溝の端部に係合される。そのため、可動板66aを上昇させることが出来なくなるので、第2ロック機構61bの揺動レバー63bを下降させることが出来ず、第2操作機構50aがロックされなくなる。
【0059】
第1操作機構30a,30bと第2操作機構50a,50bが全て同一構造に構成されているので、第2操作機構50aを操作することにより第1操作機構30aをロックする場合、第1操作機構30bを操作することにより第2操作機構50bをロックする場合や、第2操作機構50bを操作することにより第1操作機構30bをロックする場合も同様の作用及び効果を奏する。
【0060】
次に、金型搬送台車10の作用及び効果について説明する。
先ず、金型Dpを金型Dnに交換するため金型搬送台車10を成形装置1の前面に移動させる前に、金型載置部15aは空の状態のままにし、金型載置部15bに交換予定の金型Dnを配置する。このとき、各位置決めピン22は第1操作機構30a,30bにより非係合位置に切り換えられ、各落下防止ピン42は第2操作機構50a,50bにより係止位置に切り換えられている。このとき、インターロック機構60により第2操作機構50a,50bがロックされている。
【0061】
次に、金型搬送台車10を移動させ、成形装置1の前面の金型交換場所3に停止させ、図1に示すように、空の第1金型載置部15aを成形装置1側の使用済み金型Dpの前側に移動させる。位置決めピン22をレール部材7上の位置決め穴8に合わせて、第1操作機構30aのハンドル部36を左に回動操作し、インターロック機構60により第2操作機構50aのロックが解除され、そして、第1付勢部材24の付勢力により位置決めピン22を係合位置へ切換え位置決め穴8に係合させる。
【0062】
次に、ロックが解除された第2操作機構50aのハンドル部56をプル操作後に右に回動操作することで、第2ワイヤ57を介して落下防止ピン42を非係止位置へ切り換える。ここで、インターロック機構60により第1操作機構30aがロックされる。そして、使用済み金型Dpを成形装置1から空の第1金型載置部15aに移載する。
【0063】
次に、第2操作機構50aのハンドル部56を左に回動操作して、第1操作機構30aのロックを解除し、第2付勢部材44の付勢力により落下防止ピン42を係止位置へ切換える。ロックが解除された第1操作機構30aを操作し、位置決めピン22を非係合位置へ切換える。位置決めピン22が非係合位置に切り換えると、第2操作機構50aはインターロック機構60により再びロックされる。
【0064】
そして、金型搬送台車10を1ピッチ分移動させて、第2金型載置部15b上の次回金型Dnを成形装置1の金型取付部5に対応させ、第1操作機構30bのハンドル部36を左に回動操作し、第2操作機構50bのロックを解除し、第1付勢部材24の付勢力により位置決めピン22を係合位置へ切換え位置決め穴8に係合させる。
【0065】
次に、ロックが解除された第2操作機構50bの第2ハンドル部56をプル操作後に回動操作して、第2ワイヤ57を介して落下防止ピン42を非係止位置へ切換える。ここで、インターロック機構60により第1操作機構30bがロックされる。そして、交換予定の金型Dnを第2金型載置部15bから成形装置1へ移載する。
【0066】
次に、第2操作機構50bのハンドル部56を左に回動操作し、第2付勢部材44の付勢力により落下防止ピン42を係止位置へ切換える。第1操作機構30bのロックが解除され、第1操作機構30bをプル操作後に右に回動操作して、位置決めピン22を非係合位置へ切換え、第2操作機構50bをロックし、次に使用済み金型Dpを搬出するため金型搬送台車10を金型保管場所へ移動させ、金型交換作業が終了する。
【0067】
このように、位置決めピン22を非係合位置へ切換えている状態では、つまり、金型搬送台車10を所定の金型交換場所3に位置決めしていない状態では、インターロック機構 60により第2操作機構50a,50bがロックされているので、落下防止ピン機構40a,40bの落下防止ピン42を非係止位置に切換える事が出来ない。そのため、誤操作により金型Dp,Dnが金型搬送台車10から脱落することを防ぎ、成形装置1や金型Dp,Dnの損傷を防止することが出来る。
【0068】
さらに、使用済み金型Dpを成形装置1から第1載置部15aへ移載する間や使用予定の金型Dnを第2載置部15bから成形装置1に取り付ける間、落下防止ピン42を非係止位置から係止位置に切換えるまでは、インターロック機構60により第1操作機構30a,30bがロックされているので、第1操作機構30a,30bにより位置決めピン22を非係合位置に切換える事が出来ない。そのため、金型搬送台車10を移動させることが出来ず、誤操作により金型Dp,Dnが金型搬送台車10から脱落することを防ぎ、成形装置1や金型Dp,Dnの損傷を防止することができる。
【0069】
また、第1操作機構30a,30bと第2操作機構50a,50bが同一構造に構成されていることで、同一部品により製造可能なため製造コストを抑制することができる。
【実施例2】
【0070】
次に、実施例2に係る位置決めピン規制機構80について、図13〜図16に基づいて説明する。ただし、同一の構成要素のものには同一の符号を付して説明は省略する。
図13〜図16に示すように、この金型搬送台車10には位置決めピン規制機構80が備えられ、この位置決めピン規制機構80は、規制部材81と、切換え保持機構83とを備えている。この規制機構80はフレーム13の成形装置1側の下部に装着され、金型交換場所3以外の場所において位置決めピン機構20bの位置決めピン22が係合位置に切換わるのを規制する。
【0071】
規制部材81は、台車本体11に付設されて非係合位置にある位置決めピン22に接近対向する規制位置と、位置決めピン22に対向しない非規制位置とに切り替わるように水平回動可能である。切換え保持機構83は、金型交換場所3において規制部材81を非規制位置に保持する。
【0072】
切換え保持機構83は、金型交換場所3に設けられたレール部材7に当接して水平回動する従動部材85と、この従動部材85の端部と規制部材81の端部とを連結するリンク部材86と、このリンク部材86を原位置へ付勢する復帰バネ部材87とを備えている。また、この切り換え保持機構83には、リンク部材86をガイドする1対のガイド部材88が備えられ、このガイド部材88が台車本体11に固着されている。
【0073】
この切換え保持機構83の従動部材85のローラ部85aがレール部材7の端部に当接すると、従動部材85が水平方向へ回動し、リンク部材86を介して規制部材81も水平方向へ回動する(図15参照)。このときリンク部材86に固着された環状部材86aにより復帰バネ部材87が圧縮状態にされる。この水平回動により規制部材81が規制位置から非規制位置に切り換えられ、位置決めピン22のみがレール部材7に挿入される。位置決めピン22が非係合位置へ切り換えられ台車本体11が移動し、従動部材85がレール部材7から離隔すると、復帰バネ部材87の付勢力により従動部材85と共にリンク部材86を介して規制部材81が規制位置に復帰する。
【0074】
このように、この位置決めピン規制機構80により金型交換場所3以外では、誤操作により第1操作機構30bにより位置決めピン22を下降させても規制部材81に妨げられるため、金型交換場所3以外では位置決めピン22を下降させることが出来ず、インターロック機構60によりロックされている第2操作機構50bを作動させることが出来ず、誤操作により金型Dp,Dnが金型載置部15a,15bから移動して落下するのを防止することができる。
【0075】
尚、本実施例では、規制部材81は位置決めピン機構20bにしか配置されていないが、位置決めピン機構20aにも配置しても良く、さらに位置決めピンの数量に応じて適宜変更可能であり且つそれらの規制部材は従動部材85に夫々連結され連動される。それ以外の効果は、実施例1と同様の効果を奏するので説明は省略する。
【実施例3】
【0076】
次に、実施例3に係る落下防止ピン規制機構90について、図17〜図20に基づいて説明する。ただし、同一の構成要素のものには同一の符号を付して説明は省略する。
図17〜図20に示すように、この金型搬送台車10には落下防止ピン規制機構90が備えられ、この落下防止ピン規制機構90は、係合機構91とレバー部材95とを備え、金型交換場所3以外の場所において落下防止ピン機構40bの落下防止ピン42が第2操作機構50bにより非係止位置に切換わるのを規制する。
【0077】
係合機構91は、落下防止ピン42に形成された環状溝42aに係脱可能な係合部材92と、係合部材92を係合状態へ付勢する付勢バネ部材94とを有し、本体部91aが落下防止ピン機構40bの側部に固着されている。レバー部材95は、係合部材92の端部に連結されたワイヤ部材97を介して係合部材92を非係合状態に切り換え可能なレバー部材95であって金型交換場所3に設けられたレール部材7に当接すると揺動する。このレバー部材95の中心部は固定部材96に揺動自在に装着され、この固定部材96はフレーム13の成形装置1側の下部に装着されている。
【0078】
レバー部材95の把手部95aがレール部材7の端部に当接すると中心部を軸に揺動し(図19参照)、この把手部95aとは反対側の連結部95bに連結されたワイヤ部材97を介して係合部材92が引き駆動され、係合部材92が非係合状態にされる。これにより、落下防止ピン42が規制状態から非規制状態に切り換えられ、第2操作機構50bにより落下防止ピン機構40bが操作可能になる。台車本体11がレール部材7から離脱し、レバー部材95がレール部材7から離隔すると、付勢バネ部材94の付勢力により、係合部材92が環状溝42aに係合され、落下防止ピン42が規制状態にされる。
【0079】
このように、この落下防止ピン規制機構90により金型交換場所3以外では、誤操作により第2操作機構50bにより落下防止ピン42を下降させようとしても係合機構91の係合92部材に妨げられるため、金型交換場所3以外では第2操作機構40bを操作して落下防止ピン42を下降させることが出来ず、誤操作により金型Dp,Dnが金型載置部15a,15bから移動して落下するのを防止することができる。
【0080】
尚、本実施例では、係合機構91は位置決めピン機構40bにしか装着されていないが、落下防止ピン機構40aにも配置しても良く、さらに落下防止ピンの数量に応じて適宜変更可能であり且つそれらの係合機構はレバー部材に夫々連結され連動される。それ以外の効果は、実施例1と同様の効果を奏するので説明は省略する。
【0081】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]レール部材に設けられた位置決め穴は複数設けても良く、位置決めピンの係合箇所は金型のサイズに応じて適時変更可能にしても良い。
2]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1に係る成形装置と金型搬送台車の全体平面図である。
【図2】金型搬送台車の斜視図である。
【図3】金型搬送台車の側面図である。
【図4】第1,第2操作機構と位置決めピン機構と落下防止ピン機構の斜視図である。
【図5】ロック解除状態の第1操作機構の分解斜視図である。
【図6】インターロック機構によりロックされた状態の第2操作機構の分解斜視図である。
【図7】第1操作機構の側面図である。
【図8】第1操作機構の側面断面図である。
【図9】図7のIX-IX線断面図である。
【図10】図7のX-X線断面図である。
【図11】図7のXI-XI線断面図である。
【図12】図7のXII-XII線断面図である。
【図13】実施例2に係る位置決めピン規制機構の実装状態の斜視図である。
【図14】位置決めピン規制機構の斜視図である。
【図15】位置決めピン規制機構の平面図である。
【図16】位置決めピン規制機構の側面図である。
【図17】実施例3に係る落下防止ピン規制機構の実装状態の斜視図である。
【図18】係合機構の側面断面図である。
【図19】レバー部材の正面図である。
【図20】レバー部材の側面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 成形装置
10 金型搬送台車
20a,20b 位置決めピン機構
22 位置決めピン
30a,30b 第1操作機構
40a,40b 落下防止ピン機構
42 落下防止ピン
50a,50b 第2操作機構
60 インターロック機構
61a,61b 第1,第2ロック機構
65a,65b 第1,第2可動機構
75a,75b 第1,第2ワイヤ部材
80 位置決めピン規制機構
90 落下防止ピン規制機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪を有する台車本体と、金型を載置可能なローラ群を有する金型載置部とを有する金型搬送台車において、
成形装置の前面側の金型交換場所に設けられたレール部材の位置決め穴に係脱可能な位置決めピンと、この位置決めピンを係合位置へ付勢する第1付勢部材を有し且つ台車本体に設けられた位置決めピン機構と、
金型載置部上の金型を係止する係止位置と非係止位置とに切換え可能な落下防止ピンと、この落下防止ピンを係止位置へ弾性付勢する第2付勢部材を有し且つ金型載置部の一端部分に設けられた落下防止ピン機構と、
前記台車本体に装備され、前記位置決めピンに連結された第1ワイヤを介して位置決めピンを非係合位置へ操作可能な第1操作機構と、
前記台車本体に装備され、前記落下防止ピンに連結された第2ワイヤを介して落下防止ピンを非係止位置へ操作可能な第2操作機構と、
前記第1,第2操作機構を機械的に連結する第1,第2ワイヤ部材を含み、第1操作機構を操作して位置決めピンを非係合位置へ切換えた状態では第2操作機構を操作不能にすると共に前記第2操作機構を操作して落下防止ピンを非係止位置へ切換えた状態では第1操作機構を操作不能にするインターロック機構と、
を備えたことを特徴とする金型搬送台車。
【請求項2】
前記第1操作機構と第2操作機構は同一構造に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の金型搬送台車。
【請求項3】
前記第1操作機構は、第1ケース部材と、この第1ケース部材に軸心方向に進退可能に装着されて第1ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第1操作軸と、この第1操作軸に固定された第1ハンドル部とを備え、
前記第2操作機構は、第2ケース部材と、この第2ケース部材に軸心方向に進退可能に装着された第2ワイヤの一端が連結され且つ操作時にプル操作される第2操作軸と、この第2操作軸に固定された第2ハンドル部とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の金型搬送台車。
【請求項4】
前記インターロック機構は、第1,第2操作軸を非操作位置に夫々ロック可能な第1,第2ロック機構と、第1,第2操作軸のプル操作及びプル操作後の回動操作に夫々連動する第1,第2可動機構とを備え、
前記第1ワイヤ部材の一端が第1可動機構に連結され且つ他端が第2ロック機構に連結されると共に前記第2ワイヤ部材の一端が第2可動機構に連結され且つ他端が第1ロック機構に連結されたことを特徴とする請求項3に記載の金型搬送台車。
【請求項5】
前記第1,第2ロック機構は、第1,第2操作軸に夫々形成された第1,第2環状溝と、第1,第2ケース部材に夫々付設されて第1,第2環状溝に係脱可能な第1,第2揺動レバーと、この第1,第2揺動レバーを係合位置へ夫々付勢する第1,第2バネ部材とを有することを特徴とする請求項4に記載の金型搬送台車。
【請求項6】
前記第1,第2可動機構は、第1,第2ケース部材内に夫々可動に装着された第1,第2可動板と、この第1,第2可動板に夫々形成された第1,第2L形スリットと、第1,第2操作軸に夫々突設されて第1,第2L形スリットに夫々係合した第1,第2突設部材とを有することを特徴とする請求項5に記載の金型搬送台車。
【請求項7】
前記金型交換場所以外の場所において前記位置決めピン機構の位置決めピンが係合位置に切換わるのを規制する位置決めピン規制機構を設け、
前記位置決めピン規制機構は、台車本体に付設されて位置決めピンに接近対向する規制位置と、位置決めピンに対向しない非規制位置とに水平回動可能な規制部材と、前記金型交換場所において前記規制部材を非規制位置に保持する切換え保持機構とを有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の金型搬送台車。
【請求項8】
前記切換え保持機構は、金型交換場所に設けられたレール部材に当接して水平回動する従動部材と、この従動部材の端部と規制部材の端部とを連結するリンク部材と、このリンク部材を原位置へ付勢する復帰バネ部材とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の金型搬送台車。
【請求項9】
前記金型交換場所以外の場所において前記落下防止ピン機構の落下防止ピンが非係止位置に切換わるのを規制する落下防止ピン規制機構を設け、
前記落下防止ピン規制機構は、落下防止ピンに形成された環状溝に係脱可能な係合部材と、係合部材を係合状態へ付勢する付勢バネ部材とを有する係合機構と、この係合部材に連結されたワイヤ部材を介して係合部材を非係合状態に切り換え可能なレバー部材であって金型交換場所に設けられたレール部材に当接すると揺動するレバー部材とを備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の金型搬送台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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