説明

α−オレフィン重合体の製造システム

【課題】エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、重合反応器へ安定した濃度の触媒を供給することができ、よって安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造するという優れた効果を有するα−オレフィン重合体の製造システムを提供する。
【解決手段】固体触媒成分を有機溶剤に溶解、懸濁又はスラリー化させるための溶解槽及び該溶解槽で得られた溶液、懸濁物又はスラリー化物の濃度を調整するための濃度調整槽を有するα−オレフィン重合体の製造システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−オレフィン重合体の製造システムに関するものである。更に詳しくは、本発明は、エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、重合反応器へ安定した濃度の触媒を供給することができ、よって安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造するという優れた効果を有するα−オレフィン重合体の製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造する方法は公知である(たとえば、特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、従来の方法においては、重合反応器へ供給する触媒の濃度が変動し、よって安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造するという観点から不都合であった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−7722号公報
【非特許文献1】著者名 エドワード・P・ムーア・Jr.、発行社 株式会社 工業調査会、発行年 1998年5月15日 初版第一刷発行、タイトル 『ポリプロピレンハンドブック』8章『製造』ページ337〜353
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、重合反応器へ安定した濃度の触媒を供給することができ、よって安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造するという優れた効果を有するα−オレフィン重合体の製造システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、固体触媒成分を有機溶剤に溶解、懸濁又はスラリー化させるための溶解槽及び該溶解槽で得られた溶液、懸濁物又はスラリー化物の濃度を調整するための濃度調整槽を有するα−オレフィン重合体の製造システムに係るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、重合反応器へ安定した濃度の触媒を供給することができ、よって安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造するという優れた効果を有するα−オレフィン重合体の製造システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の対象は、エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムである。
【0009】
触媒としては、例えば、三塩化チタン、塩化マグネシウムの固体触媒成分を、N−ヘプタンに溶解、懸濁又はスラリー化させたものを使用するのが一般的である。
【0010】
本発明の特徴は、固体触媒成分を有機溶剤に溶解、懸濁又はスラリー化させるための溶解槽及び該溶解槽で得られた溶液、懸濁物又はスラリー化物の濃度を調整するための濃度調整槽を有する点にある(図1参照)。
【0011】
固体触媒(三塩化チタン、塩化マグネシウム)及びトリエチルアルミニウムを触媒溶解槽(図1−符号2)で、有機溶剤であるN−ヘプタンに溶解、懸濁又はスラリー化させ、次に濃度調整槽(図1−符号5)に移送し濃度調整槽(図1−符号5)から、ポンプ(図1−符号3)(例えばプランジャーポンプ)にて、重合槽(図1−符号4)に供給をおこうことにより、重合槽槽へ安定した触媒濃度での供給をおこなうことが出来た。
【実施例】
【0012】
次に本発明を実施例により説明する。
【0013】
実施例1
固体触媒(三塩化チタン、塩化マグネシウム)及びトリエチルアルミニウムを触媒溶解槽(図1−符号2)で、有機溶剤であるN−ヘプタンに溶解、懸濁又はスラリー化させ、次に濃度調整槽(図1−符号5)に移送し濃度調整槽(図1−符号5)から、ポンプ(図1−符号3)(例えばプランジャーポンプ)にて、重合槽(図1−符号4)に供給をおこうことにより、重合槽槽へ安定した触媒濃度での供給をおこなうことが出来た。
【0014】
比較例1
固体触媒(三塩化チタン、塩化マグネシウム)及びトリエチルアルミニウムを触媒溶解槽(図1−符号2)で、有機溶剤であるN−ヘプタンに溶解、懸濁又はスラリー化させ、ポンプ(図1−符号3)(例えばプランジャーポンプ)にて、重合槽(図1−符号4)に供給をおこうことにより、一時的に濃度の濃い若しくは濃度の薄い触媒が供給されたため、重合槽内での温度若しくは圧力振れ等がおこったのに対し、実施例1では、比較的安定した濃度の触媒を供給することが出来た為、安定した運転管理の下にα−オレフィン重合体を製造することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による例(実施例1に対応)である。
【図2】本発明によらない従来の技術の例(比較例1に対応)である。
【符号の説明】
【0016】
[図1]
1 固体触媒(ホッパーコンテナー)
2 触媒調合槽(溶解槽)
3 触媒投入用ポンプ
4 重合槽
5 触媒調合槽(濃度調整槽)
[図2]
1 固体触媒(ホッパーコンテナー)
2 触媒調合槽(溶解槽)
3 触媒投入用ポンプ
4 重合槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン及び炭素数3−20のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種又は2種以上をTi、Mg及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物成分を用いて重合してα−オレフィン重合体を製造するシステムであって、固体触媒成分を有機溶剤に溶解、懸濁又はスラリー化させるための溶解槽及び該溶解槽で得られた溶液、懸濁物又はスラリー化物の濃度を調整するための濃度調整槽を有するα−オレフィン重合体の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−101047(P2008−101047A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282295(P2006−282295)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】